(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-01-16
(45)【発行日】2023-01-24
(54)【発明の名称】感光性着色組成物およびカラーフィルタ
(51)【国際特許分類】
G03F 7/004 20060101AFI20230117BHJP
G03F 7/027 20060101ALI20230117BHJP
G02B 5/20 20060101ALI20230117BHJP
G02F 1/1335 20060101ALI20230117BHJP
C09B 67/20 20060101ALI20230117BHJP
C08F 220/28 20060101ALI20230117BHJP
C08F 220/32 20060101ALI20230117BHJP
C08F 220/18 20060101ALI20230117BHJP
【FI】
G03F7/004 501
G03F7/004 505
G03F7/027
G02B5/20 101
G02F1/1335 505
C09B67/20 G
C09B67/20 F
C08F220/28
C08F220/32
C08F220/18
(21)【出願番号】P 2018122290
(22)【出願日】2018-06-27
【審査請求日】2021-04-02
(73)【特許権者】
【識別番号】000222118
【氏名又は名称】東洋インキSCホールディングス株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】718000495
【氏名又は名称】東洋ビジュアルソリューションズ株式会社
(72)【発明者】
【氏名】竹之内 裕介
【審査官】高橋 純平
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-037276(JP,A)
【文献】特開2012-078396(JP,A)
【文献】特開2010-026362(JP,A)
【文献】特開2012-053278(JP,A)
【文献】特開2017-197685(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03F 7/004-7/18
G02B 5/20
G02F 1/1335
C09B 67/20
C08F 220/28
C08F 220/32
C08F 220/18
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
着色剤(A)、チオール化合物(B)、バインダー樹脂(C)、光重合性化合物、および光重合開始剤(D)を含み、
前記着色剤(A)がキノフタロン顔料、およびフタロシアニン系緑色顔料を含み、チオール化合物(B)が4以上のチオール基を含み、
光重合開始剤(D)が、
下記式(3)で示す化合物を含む、感光性着色組成物。
式(3)
【化3】
【請求項2】
感光性着色組成物の不揮発分100質量%中に前記チオール化合物を0.1~10質量%含む、請求項1記載の感光性着色組成物。
【請求項3】
前記キノフタロン顔料がピグメントイエロー138、下記キノフタロン化合物(a)、(b)、(c)、および(d)からなる群より選択される1種以上である、請求項1または2記載の感光性着色組成物。
【化1】
【請求項4】
前記フタロシアニン系緑色顔料が、ピグメントグリーン36、ピグメントグリーン58、および下記一般式(1)で示す化合物からなる群より選択される1種以上である、請求項1~3いずれか1項に記載の感光性着色組成物。
【化2】
(式中、Xは、ハロゲン原子を表し、nは、0~16の整数を表す。Yは、-OP(=O)R
1R
2、-OC(=O)R
3、-OS(=O)
2R
4を表す。R
1およびR
2は、それぞれ独立に、水素原子、水酸基、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアリール基、置換基を有してもよいアルコキシル基または置換基を有してもよいアリールオキシ基を表す。R
3は、水素原子、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいシクロアルキル基、置換基を有してもよいアリール基または置換基を有してもよい複素環基を表す。R
4は、水酸基、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアリール基または置換基を有してもよい複素環基を表す。)
【請求項5】
基材、および請求項1~4いずれか1項に記載の感光性着色組成物から形成されてなるフィルタセグメントを備える、カラーフィルタ。
【請求項6】
請求項5のカラーフィルタを備える、液晶表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カラー液晶表示装置、カラー有機EL表示装置およびカラー撮像管素子等に使用するカラーフィルタの形成に使用できる感光性着色組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶表示装置や固体撮像素子等で使用されるカラーフィルタは、顔料を分散した感光性着色組成物をフォトリソグラフ法で形成する方法が広く知られている。
カラーフィルタは、感光性着色組成物をガラス等の透明基板に塗布し、乾燥により溶剤を除去した後、1つ(1色)のフィルタセグメントのパターン露光を行い、次いで未露光部を現像工程で除去して1つのフィルタセグメントを形成し、必要に応じて加熱等の処理を加えた後、同様の操作を全色のフィルタセグメントについて順次繰り返すことで形成されている。
【0003】
カラーフィルタは、3原色(赤・緑・青)のフィルタセグメントを基本構成としているところ、緑色フィルタセグメントに使用する顔料は、緑色顔料に加え、黄色顔料を併用して色調を調整することが一般的であった。
特許文献1および特許文献2には、緑色顔料にフタロシアニン顔料、黄色顔料にイソインドリン顔料や、アゾ顔料を使用した感光性着色組成物が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2004-333817号公報
【文献】特開2016-075837号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、従来の感光性着色組成物は、被膜の明度が低かった。そこで黄色顔料にキノフタロン顔料を使用したところ明度は向上したが、反面、加熱後の被膜に異物が発生してコントラストが低下する問題があった。
【0006】
本発明は、加熱後に被膜に異物が生じ難いカラーフィルタが形成できる感光性着色組成 物、およびカラーフィルタの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の感光性着色組成物は、着色剤(A)、チオール化合物(B)、バインダー樹脂(C)、光重合性化合物、および光重合開始剤(D)を含み、
前記着色剤(A)がキノフタロン顔料、およびフタロシアニン系緑色顔料を含み、チオール化合物(B)が2以上のチオール基を含む。
【発明の効果】
【0008】
上記の本発明によれば、加熱後に被膜に異物が生じ難いカラーフィルタが形成できる感光性着色組成物、およびカラーフィルタを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、液晶表示装置の模式的断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本明細書の用語を定義する。「(メタ)アクリロイル」、「(メタ)アクリル」、「(メタ)アクリル酸」、「(メタ)アクリレート」、又は「(メタ)アクリルアミド」と表記した場合には、特に説明がない限り、それぞれ、「アクリロイルおよび/又はメタクリロイル」、「アクリルおよび/又はメタクリル」、「アクリル酸および/又はメタクリル酸」、「アクリレートおよび/又はメタクリレート」、又は「アクリルアミドおよび/又はメタクリルアミド」を表す。
本明細書で「C.I.」は、カラーインデックス(C.I.)を意味する。モノマーは、エチレン性不飽和基含有単量体である。
【0011】
本明細書の感光性着色組成物は、着色剤(A)、チオール化合物(B)、バインダー樹脂(C)、光重合性化合物、および光重合開始剤(D)を含み、
前記着色剤(A)がキノフタロン顔料、およびフタロシアニン系緑色顔料を含み、チオール化合物(B)が2以上のチオール基を含む。本明細書の感光性着色組成物は、カラーフィルタの緑色フィルタセグメントの被膜形成に使用することが好ましい。
【0012】
<着色剤(A)>
着色剤(A)は、キノフタロン顔料およびフタロシアニン系緑色顔料を含有する。キノフタロン顔料およびフタロシアニン系緑色顔料を含有することで、高明度かつ高コントラストのカラーフィルタが得られる。着色剤(A)は、染料を併用できる。これにより色相を調整できる。
【0013】
キノフタロン顔料は、ピグメントイエロー138、下記キノフタロン化合物(a)、(b)、(c)、および(d)からなる群より選択される1種以上である。また、特開2012-226110号公報に記載のキノフタロン系顔料も併用できる。
【0014】
【0015】
キノフタロン顔料は、単独または2種類以上を併用して使用できる。
【0016】
フタロシアニン系緑色顔料は、例えばC.I.ピグメントグリーン1、2、4、7、8、10、13、14、15、17、18、19、26、36、45、48、50、51、54、55、58等が挙げられる。これらの中でも、高コントラスト比、高明度を得る観点から、C.I.ピグメントグリーン36、ピグメントグリーン58、および下記一般式(1)で示す化合物が好ましい。
【0017】
【0018】
(式中、Xは、ハロゲン原子を表し、nは、0~16の整数を表す。Yは、-OP(=O)R1R2、-OC(=O)R3、-OS(=O)2R4を表す。R1およびR2は、それぞれ独立に、水素原子、水酸性基、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアリール基、置換基を有してもよいアルコキシル基または置換基を有してもよいアリールオキシ基を表す。R3は、水素原子、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいシクロアルキル基、置換基を有してもよいアリール基または置換基を有してもよい複素環基を表す。R4は、水酸性基、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアリール基または置換基を有してもよい複素環基を表す。)
【0019】
本明細書における一般式(1)で示す化合物は、例えば、下記フタロシアニン化合物(a)~(r)等が挙げられる。
【0020】
【0021】
【0022】
【0023】
【0024】
【0025】
フタロシアニン系緑色顔料は、単独または2種類以上を併用して使用できる。
【0026】
着色剤(A)は、以下のその他顔料を併用できる。これにより被膜の色相を容易に調整できる。
【0027】
赤色顔料は、例えば、C.I.ピグメントレッド1、2、3、4、5、6、7、8、9、12、14、15、16、17、21、22、23、31、32、37、38、41、47、48、48:1、48:2、48:3、48:4、49、49:1、49:2、50:1、52:1、52:2、53、53:1、53:2、53:3、57、57:1、57:2、58:4、60、63、63:1、63:2、64、64:1、68、69、81、81:1、81:2、81:3、81:4、83、88、90:1、101、101:1、104、108、108:1、109、112、113、114、122、123、144、146、147、149、151、166、168、169、170、172、173、174、175、176、177、178、179、181、184、185、187、188、190、193、194、200、202、206、207、208、209、210、214、216、220、221、224、230、231、232、233、235、236、237、238、239、242、243、245、247、249、250、251、253、254、255、256、257、258、259、260、262、263、264、265、266、267、268、269、270、271、272、273、274、275、276、277、278、279、280、281、282、283、284、285、286、287、特表2011-523433号公報に記載のジケトピロロピロール顔料、特開2014-112527号公報に記載のアゾ顔料、特開2013-161026号公報に記載のアゾ顔料等が挙げられる。これらの中でも、フィルタセグメントの耐熱性、耐光性、および透過率の観点から、C.I.ピグメントレッド48:1、122、177、224、242、254が好ましく、C.I.ピグメントレッド254がより好ましい。
【0028】
橙色顔料は、例えば、C.I.ピグメントオレンジ36、38、43、51、55、59、61、71、又は73等が挙げられる。
【0029】
青色顔料は、例えば、C.I.ピグメントブルー1、1:2、9、14、15、15:1、15:2、15:3、15:4、15:6、16、17、19、25、27、28、29、33、35、36、56、56:1、60、61、61:1、62、63、66、67、68、71、72、73、74、75、76、78、79などを挙げることができる。これらの中でも、フィルタセグメントの耐熱性、耐光性、および透過率の観点から、好ましくはC.I.ピグメントブルー15、15:1、15:2、15:3、15:4、又は15:6であり、更に好ましくはC.I.ピグメントブルー15:6である。
【0030】
紫色顔料は、例えば、C.I.ピグメントバイオレット1、1:1、2、2:2、3、3:1、3:3、5、5:1、14、15、16、19、23、25、27、29、31、32、37、39、42、44、47、49、50が挙げられる。これらの中でも、フィルタセグメントの耐熱性、耐光性、および透過率の観点から、C.I.ピグメントバイオレット19、23が好ましく、C.I.ピグメントバイオレット23がより好ましい。
【0031】
緑色顔料は、例えばC.I.ピグメント グリーン1、2、4、7、8、10、13、14、15、17、18、19、26、37、45、48、50、51、54、55、特開2008-19383号公報、特開2007-320986号公報、特開2004-70342号公報等に記載の亜鉛フタロシアニン顔料、特許第4893859号公報等に記載のアルミニウムフタロシアニン顔料などを挙げることができるが、特にこれらに限定されない。
【0032】
黄色顔料は、例えば、C.I.ピグメントイエロー1、2、3、4、5、6、10、12、13、14、15、16、17、18、24、31、32、34、35、35:1、36、36:1、37、37:1、40、42、43、53、55、60、61、62、63、65、73、74、77、81、83、93、94、95、97、98、100、101、104、106、108、109、110、113、114、115、116、117、118、119、120、123、126、127、128、129、138、139、147、150、151、152、153、154、155、156、161、162、164、166、167、168、169、170、171、172、173、174、175、176、177、179、180、181、182、185、187、188、192、193、194、196、198、199、213、214、231等が挙げられる。
【0033】
<染料>
その他着色剤の中で染料は、酸性染料、直接染料、塩基性染料、造塩染料、油溶性染料、分散染料、反応染料、媒染染料、建染染料、硫化染料等が挙げられる。また、染料は、これらの誘導体、または染料をレーキ化したレーキ顔料も使用できる。
【0034】
また、酸性染料は、スルホン酸やカルボン酸等の酸性基を有することが好ましい。直接染料は、酸性染料の無機塩、または酸性染料と、四級アンモニウム塩化合物、三級アミン化合物、二級アミン化合物、または一級アミン化合物等の含窒素化合物との造塩化合物を形成することが好ましい。また、これらの官能基を有する樹脂成分と酸性染料とを造塩する造塩化合物も好ましい。また、造塩化合物は、スルホンアミド化してスルホン酸アミド化合物に変性することで堅牢性に優れた着色組成物を得やすい。
また、酸性染料とオニウム塩基を有する化合物との造塩化合物も、堅牢性に優れるため好ましい。なお、オニウム塩基を有する化合物は、カチオン性基を有する樹脂が好ましい。
【0035】
塩基性染料は、そのままでも使用できるが、有機酸や過塩素酸またはその金属塩と造塩化する造塩化合物が好ましい。塩基性染料の造塩化合物は、耐性(耐光性、溶剤耐性)や、顔料との親和性が優れているために好ましい。また、塩基性染料の造塩化合物で、カウンタイオンは、例えばたらくカチオン成分は、有機スルホン酸、有機硫酸、フッ素基含有リンアニオン化合物、フッ素基含有ホウ素アニオン化合物、シアノ基含有窒素アニオン化合物、ハロゲン化炭化水素基を有する有機酸の共役塩基を有するアニオン化合物、酸性染料とを造塩した造塩化合物が好ましい。なお、造塩化合物は、分子中に重合性不飽和基を含有すると耐性がより向上する。
【0036】
染料は、例えば、アゾ系染料、ジスアゾ系染料、アゾメチン系染料(インドアニリン系染料、インドフェノール系染料など)、ジピロメテン系染料、キノン系染料(ベンゾキノン系染料、ナフトキノン系染料、アントラキノン系染料、アントラピリドン系染料など)、カルボニウム系染料(ジフェニルメタン系染料、トリフェニルメタン系染料、キサンテン系染料、アクリジン系染料など)、キノンイミン系染料(オキサジン系染料、チアジン系染料など)、アジン系染料、ポリメチン系染料(オキソノール系染料、メロシアニン系染料、アリーリデン系染料、スチリル系染料、シアニン系染料、スクアリリウム系染料、クロコニウム系染料など)、キノフタロン系染料、フタロシアニン系染料、サブフタロシアニン系染料、ペリノン系染料、インジゴ系染料、チオインジゴ系染料、キノリン系染料、ニトロ系染料、ニトロソ系染料、およびローダミン系染料、ならびにこれらの金属錯体系染料等が挙げられる。これらの中でも、色相、色分離のし難さ、色むらなどの色特性の観点で、アゾ系染料、キサンテン系染料、シアニン系染料、トリフェニルメタン系染料、アントラキノン系染料、ジピロメテン系染料、スクアリリウム系染料、キノフタロン系染料、フタロシアニン系染料、サブフタロシアニン系染料が好ましく、キサンテン系染料、シアニン系染料、トリフェニルメタン系染料、アントラキノン系染料、ジピロメテン系染料、フタロシアニン系染料がより好ましい。なお、染料の具体的な化合物は「新版染料便覧」(有機合成化学協会編;丸善、1970)、「カラーインデックス」(The Society of Dyers and colourists)、「色素ハンドブック」(大河原他編;講談社、1986)などに記載されている。
【0037】
着色剤(A)は、単独または2種類以上を併用して使用できる。
【0038】
着色剤(A)の含有量は、着色組成物の不揮発分100重量%中、31~50質量%が好ましく、31~40質量%がより好ましい。適量含有すると色再現性がより向上する。
【0039】
<顔料の微細化>
本明細書で着色剤(A)は、微細化してから他の材料と配合することが好ましい。微細化方法は、例えば、湿式磨砕、乾式磨砕、溶解析出法等が挙げられる。本明細書では、湿式磨砕の1種であるニーダー法によるソルトミリング処理が好ましい。
顔料の平均一次粒子径は、分散性が良好なことから、20nm以上が好ましい。また、コントラスト比が高いカラーフィルタを形成できることから、100nm以下が好ましい。なお、平均一次粒子径25~85nmがより好ましい。平均一次粒子径は、顔料のTEM(透過型電子顕微鏡)による拡大画像から一次粒子の大きさを直接計測する。具体的には、20個程度の顔料の一次粒子の短軸径と長軸径を計測し、平均をその顔料粒子の平均一次粒子径とした。
【0040】
ソルトミリング処理とは、顔料と水溶性無機塩と水溶性有機溶剤との混合物を、ニーダー、2本ロールミル、3本ロールミル、ボールミル、アトライター、サンドミル等の混練機を用いて、加熱しながら機械的に混練した後、水洗により水溶性無機塩と水溶性有機溶剤を除去する処理である。水溶性無機塩は、破砕助剤として働くものであり、ソルトミリング時に無機塩の硬度の高さを利用して顔料が破砕される。顔料をソルトミリング処理する際の条件を最適化することにより、一次粒子径が非常に微細であり、また、分布の幅がせまく、シャープな粒度分布をもつ顔料を得ることができる。
【0041】
水溶性無機塩は、例えば。塩化ナトリウム、塩化バリウム、塩化カリウム、硫酸ナトリウム等が挙げられる。これらの中でも安価な塩化ナトリウム(食塩)が好ましい。水溶性無機塩は、処理効率と生産効率の両面から、顔料100重量%に対し、50~2000重量%用いることが好ましく、300~1000重量%がより好ましい。
【0042】
水溶性有機溶剤は、顔料および水溶性無機塩を湿潤することができる。水溶性有機溶剤は、水に溶解(混和)し、かつ用いる無機塩を実質的に溶解しないものであればよい。本明細書では、ソルトミリング時に温度が上昇し、溶剤が蒸発し易い状態になるため、安全性の点から、沸点120℃以上の高沸点溶剤が好ましい。水溶性有機溶剤は、例えば、2-メトキシエタノール、2-ブトキシエタノール、2-(イソペンチルオキシ)エタノール、2-(ヘキシルオキシ)エタノール、ジエチレングリコール、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコール、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、液状のポリエチレングリコール、1-メトキシ-2-プロパノール、1-エトキシ-2-プロパノール、ジプロピレングリコール、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、液状のポリプロピレングリコール等が挙げられる。水溶性有機溶剤は、顔料100重量%に対し、5~1000重量%用いることが好ましく、50~500重量%がより好ましい。
【0043】
顔料をソルトミリング処理する際には、必要に応じて樹脂を添加できる。樹脂の種類は、例えば、天然樹脂、変性天然樹脂、合成樹脂、天然樹脂で変性された合成樹脂等が挙げられる。樹脂は、室温(25℃)で固体であり、水不溶性であることが好ましい。樹脂は、有機溶剤に一部可溶であることも好ましい。樹脂の使用量は、顔料100重量%に対し、5~200重量%が好ましい。
【0044】
感光性着色組成物は、分散剤を含有することが好ましい。分散剤は、樹脂型分散剤、その他分散剤が挙げられる。
【0045】
<樹脂型分散剤>
樹脂型分散剤は、顔料吸着部位を有し、顔料に吸着して分散体を形成する。前記顔料吸着部位(x)以外の部分は、立体障害部位として作用することで、顔料分散性が向上する。
樹脂型分散剤は、ポリウレタン、ポリアクリレート等のポリカルボン酸エステル、不飽和ポリアミド、ポリカルボン酸、ポリカルボン酸(部分)アミン塩、ポリカルボン酸アンモニウム塩、ポリカルボン酸アルキルアミン塩、ポリシロキサン、長鎖ポリアミノアマイドリン酸塩、水酸性基含有ポリカルボン酸エステルや、これらの変性物、ポリ(低級アルキレンイミン)と遊離のカルボキシル基を有するポリエステルとの反応により形成されたアミドやその塩等の油性分散剤、(メタ)アクリル酸-スチレン共重合体、(メタ)アクリル酸-(メタ)アクリル酸エステル共重合体、スチレン-マレイン酸共重合体、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン等の水溶性樹脂や水溶性高分子化合物、ポリエステル系、変性ポリアクリレート系、エレンオキサイド/プロピレンオキサイド付加化合物、リン酸エステル系等が挙げられる。これらの中でも少量の添加で組成物の粘度が低くなり、高いコントラストが得やすい面で塩基性官能基を有する高分子分散剤が好ましく、窒素原子含有グラフト共重合体や、側鎖に3級アミノ基、4級アンモニウム塩基、含窒素複素環などを含む官能基を有する、窒素原子含有アクリル系ブロック共重合体およびウレタン系高分子分散剤などがより好ましい。
【0046】
樹脂型分散剤の市販品は、ビックケミー・ジャパン社製のDsperbyk-101、103、107、108、110、111、116、130、140、154、161、162、163、164、165、166、170、171、174、180、181、182、183、184、185、190、2000、2001、2020、2025、2050、2070、2095、2150、2155またはAnti-TerrA-U、203、204、またはBYK-P104、P104S、220S、LPN6919、LPN21116、LPN21324またはLactimon、Lactimon-WSまたはBykumen等、日本ルーブリゾール社製のSOLSPERSE-3000、9000、13000、13240、13650、13940、16000、17000、18000、20000、21000、24000、26000、27000、28000、31845、32000、32500、32550、33500、32600、34750、35100、36600、38500、41000、41090、53095、55000、76500等、BASF・ジャパン社製のEFKA-46、47、48、452、4008、4009、4010、4015、4020、4047、4050、4055、4060、4080、4400、4401、4402、4403、4406、4408、4300、4310、4320、4330、4340、450、451、453、4540、4550、4560、4800、5010、5065、5066、5070、7500、7554、1101、120、150、1501、1502、1503、等、味の素ファインテクノ社製のアジスパーPA111、PB411、PB821、PB822、PB824等が挙げられる。
【0047】
樹脂型分散剤は、着色剤(A)100質量部に対して1~200重量部が好ましく、5~100重量%がより好ましい。これにより被膜を形成し易くなる。
【0048】
<その他分散剤>
その他分散剤を使用すると、分散後の着色剤(A)の再凝集を抑制しやすい。その他分散剤は、例えば、色素誘導体、界面活性剤等が挙げられる。
【0049】
(色素誘導体)
色素誘導体は、有機顔料、アントラキノン、アクリドン、およびトリアジンからなる群より選択される構造に、塩基性置換基、酸性置換基、または置換基を有していても良いフタルイミドメチル基を導入した化合物が挙げられる。また、色素誘導体は、例えば、特開昭63-305173号公報、特公昭57-15620号公報、特公昭59-40172号公報、特公昭63-17102号公報、特公平5-9469号公報等に記載された化合物が挙げられる。
【0050】
色素誘導体の配合量は、着色剤の分散性向上の観点から、着色剤(A)100質量部に対し、0.5質量部以上が好ましく、1質量部以上がより好ましく、3質量部以上がさらに好ましい。また、耐熱性、耐光性の観点から、着色剤(A)100質量部に対し、40質量部以下が好ましく、35質量部以下がより好ましい。
【0051】
(界面活性剤)
界面活性剤は、例えば、ラウリル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、スチレン-アクリル酸共重合体のアルカリ塩、ステアリン酸ナトリウム、アルキルナフタリンスルホン酸ナトリウム、アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウム、ラウリル硫酸モノエタノールアミン、ラウリル硫酸トリエタノールアミン、ラウリル硫酸アンモニウム、ステアリン酸モノエタノールアミン、スチレン-アクリル酸共重合体のモノエタノールアミン、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸エステル等のアニオン性界面活性剤;ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート、ポリエチレングリコールモノラウレート等のノニオン性界面活性剤;アルキル4級アンモニウム塩やそれらのエチレンオキサイド付加物等のカオチン性界面活性剤;アルキルジメチルアミノ酢酸ベタイン等のアルキルベタイン、アルキルイミダゾリン等の両性界面活性剤が挙げられる。
【0052】
界面活性剤の配合量は、着色剤(A)100質量部に対し、0.1~55質量部が好ましく、0.1~45質量部がより好ましい。界面活性剤を適量配合すると良好な分散効果得やすい。
【0053】
分散剤は、単独または2種類以上を併用して使用できる。
【0054】
<チオール化合物(B)>
チオール化合物(B)は、2以上のチオール基を含む。チオール化合物(B)を光重合開始剤とともに使用すると、光照射後のラジカル重合で、連鎖移動剤として機能する。これにより、酸素による重合阻害を受けにくいチイルラジカルが発生するので、光感度が向上する。なお、チオール基は、4以上がより好ましい。これにより被膜の表面から深部まで良好な光硬化が得やすいため、例えば、カラーフィルタ作製時の熱硬化工程で着色剤(A)の析出による異物発生をより抑制できる。
【0055】
チオール化合物(B)は、例えば、ヘキサンジチオール 、デカンジチオール 、1,4-ブタンジオールビスチオプロピオネート、1,4-ブタンジオールビスチオグリコレート、エチレングリコールビスチオグリコレート、エチレングリコールビスチオプロピオネート、トリメチロールプロパントリスチオグリコレート、トリメチロールプロパントリスチオプロピオネート、トリメチロールプロパントリス(3-メルカプトブチレート)、ペンタエリスリトールテトラキスチオグリコレート、ペンタエリスリトールテトラキスチオプロピオネート、トリメルカプトプロピオン酸トリス(2-ヒドロキシエチル)イソシアヌレート、1,4-ジメチルメルカプトベンゼン、2、4、6-トリメルカプト-s-トリアジン、2-(N,N-ジブチルアミノ)-4,6-ジメルカプト-s-トリアジンなどが挙げられ、好ましくは、エチレングリコールビスチオプロピオネート、トリメチロールプロパントリスチオプロピオネート、ペンタエリスリトールテトラキスチオプロピオネートが挙げられる。
【0056】
チオール化合物(B)は、単独または2種類以上を併用して使用できる。
【0057】
チオール化合物(B)の配合量は、カラーフィルタ用着色組成物の不揮発分100質量%中に0.1~10質量%含み、1~10質量%が好ましい。チオール化合物(B)を適量配合すると熱硬化工程での着色剤(A)の析出による異物発生に対する抑制能がより向上する。
【0058】
<バインダー樹脂>
バインダー樹脂(B)は、いわゆる透明な樹脂であり、400~700nmの全波長領域において透過率80%以上が好ましく、95%以上が好ましい。バインダー樹脂(B)は、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、エチレン性不飽和二重結合等を有する活性エネルギー線硬化性樹脂(以下、活性エネルギー線硬化性樹脂という)が挙げられる。なお、活性エネルギー線硬化性樹脂は、熱硬化性を有しても良い。さらに活性エネルギー線硬化性樹脂は、現像性の観点からアルカリ可溶性樹脂でもよい。また、熱可塑性樹脂は、アルカリ可溶性を有することが好ましい。
【0059】
(熱可塑性樹脂)
熱可塑性樹脂は、例えば、アクリル樹脂、ブチラール樹脂、スチレン-マレイン酸共重合体、塩素化ポリエチレン、塩素化ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体、ポリ酢酸ビニル、ポリウレタン系樹脂、ポリエステル樹脂、ビニル系樹脂、アルキッド樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリアミド樹脂、ゴム系樹脂、環化ゴム系樹脂、セルロース類、ポリエチレン(HDPE、LDPE)、ポリブタジエン、およびポリイミド樹脂等が挙げられる。
【0060】
熱可塑性樹脂は、アルカリ可溶性を有することが好ましい。アルカリ可溶性を有する熱可塑性樹脂は、例えば、カルボキシル基、スルホン基等の酸性基を有する樹脂が挙げられる。熱可塑性樹脂は、酸性基を有するアクリル樹脂、α-オレフィン/(無水)マレイン酸共重合体、スチレン/スチレンスルホン酸共重合体、エチレン/(メタ)アクリル酸共重合体、又はイソブチレン/(無水)マレイン酸共重合体等が挙げられる。これらの中でも、現像性、耐熱性、透明性の面で酸性基を有するアクリル樹脂、スチレン/スチレンスルホン酸共重合体が好ましい。
【0061】
(活性エネルギー線硬化性樹脂)
活性エネルギー線硬化性樹脂は、アルカリ可溶性を有することが好ましい。アルカリ可溶性を有する活性エネルギー線硬化性樹脂は、カルボキシル基を有することでアルカリ可溶性が得られる。
【0062】
アルカリ可溶性を有する活性エネルギー線硬化性樹脂の酸価は20~300mgKOH/gが好ましい。適度な酸価を有すると現像性がより向上し、現像で微細なパターンを形成し易い。
【0063】
アルカリ可溶性を有する活性エネルギー線硬化性樹脂は、カルボキシル基およびエチレン性不飽和基を有すればよく限定されないところ、以下に示す方法(i) 、方法(ii)、方法(iii)の方法で合成した樹脂が好ましい。アルカリ可溶性を有する活性エネルギー線硬化性樹脂を使用すると形成した被膜は、3次元架橋による架橋で薬品耐性がより向上する。
【0064】
[方法(i)]
方法(i)は、例えば、エポキシ基を有する不飽和エチレン性単量体と、他の1種類以上の単量体とを共重合することによって得られた共重合体の側鎖エポキシ基に、不飽和エチレン性二重結合を有する不飽和一塩基酸のカルボキシル基を付加反応させ、更に、生成した水酸性基に、多塩基酸無水物を反応させ、不飽和エチレン性二重結合およびカルボキシル基を導入する方法がある。
【0065】
エポキシ基を有する不飽和エチレン性単量体は、例えば、グリシジル(メタ)アクリレート、メチルグリシジル(メタ)アクリレート、2-グリシドキシエチル(メタ)アクリレート、3,4エポキシブチル(メタ)アクリレート、および3,4エポキシシクロヘキシル(メタ)アクリレートが挙げられ、これらは、単独で用いても、2種類以上を併用してもかまわない。次工程の不飽和一塩基酸との反応性の観点で、グリシジル(メタ)アクリレートが好ましい。
【0066】
不飽和一塩基酸は、例えば、(メタ)アクリル酸、クロトン酸、o-、m-、p-ビニル安息香酸、(メタ)アクリル酸のα位ハロアルキル、アルコキシル、ハロゲン、ニトロ、シアノ置換体等のモノカルボン酸等が挙げられ、これらは、単独で用いても、2種類以上を併用してもかまわない。
【0067】
多塩基酸無水物は、例えば、テトラヒドロ無水フタル酸、無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、無水コハク酸、無水マレイン酸等が挙げられ、これらは単独で用いても、2種類以上を併用してもかまわない。カルボキシル基の数を増やす等、必要に応じて、トリメリット酸無水物等のトリカルボン酸無水物を用いたり、ピロメリット酸二無水物等のテトラカルボン酸二無水物を用いて、残った無水物基を加水分解すること等もできる。また、多塩基酸無水物として、不飽和エチレン性二重結合を有する、エトラヒドロ無水フタル酸、又は無水マレイン酸を用いると、更に不飽和エチレン性二重結合を増やすことができる。
【0068】
方法(i)の類似の方法として、例えば、カルボキシル基を有する不飽和エチレン性単量体と、他の1種類以上の単量体とを共重合することによって得られた共重合体の側鎖カルボキシル基の一部に、エポキシ基を有する不飽和エチレン性単量体を付加反応させ、不飽和エチレン性二重結合およびカルボキシル基を導入する方法がある。
【0069】
[方法(ii)]
方法(ii)は、例えば、水酸性基を有する不飽和エチレン性単量体を使用し、他のカルボキシル基を有する不飽和一塩基酸の単量体や、他の単量体とを共重合することによって得られた共重合体の側鎖水酸性基に、イソシアネート基を有する不飽和エチレン性単量体のイソシアネート基を反応させる方法がある。
【0070】
水酸性基を有する不飽和エチレン性単量体は、例えば、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-若しくは3-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2-若しくは3-若しくは4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、グリセロール(メタ)アクリレート、又はシクロヘキサンジメタノールモノ(メタ)アクリレート等のヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート類が挙げられ、これらは、単独で用いても、2種類以上を併用してもかまわない。また、上記ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートに、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、および/又はブチレンオキシド等を付加重合させたポリエーテルモノ(メタ)アクリレートや、(ポリ)γ-バレロラクトン、(ポリ)ε-カプロラクトン、および/又は(ポリ)12-ヒドロキシステアリン酸等を付加した(ポリ)エステルモノ(メタ)アクリレートも使用できる。塗膜異物抑制の観点から、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、又はグリセロール(メタ)アクリレートが好ましい。
【0071】
イソシアネート基を有する不飽和エチレン性単量体は、例えば、2-(メタ)アクリロイルオキシエチルイソシアネート、又は1,1-ビス〔(メタ)アクリロイルオキシ〕エチルイソシアネート等が挙げられるが、これらに限定することなく、2種類以上併用することもできる。
【0072】
(熱硬化性化合物)
本明細書では、熱可塑性樹脂に代えて、または熱可塑性樹脂と共に熱硬化性化合物を含有できる。熱硬化性化合物は、熱硬化性樹脂および熱硬化性化合物を含む。
【0073】
熱硬化性化合物は、例えば、エポキシ化合物、エポキシ樹脂、ベンゾグアナミン化合物、ベンゾグアナミン樹脂、ロジン変性マレイン酸化合物、ロジン変性マレイン酸樹脂、メラミン化合物、メラミン樹脂、尿素化合物、尿素樹脂、フェノール化合物、フェノール樹脂等が挙げられる。
【0074】
バインダー樹脂の重量平均分子量(Mw)は、4,000~100,000が好ましく、6,000~80,000がより好ましい。また、数平均分子量(Mn)は2,000~50,000が好ましい。分子量分散度(Mw/Mn)は、10以下が好ましい。
【0075】
バインダー樹脂の配合量は、着色剤(A)100重量部に対し、20~1000重量部が好ましい。適量使用すると良好な色特性が得やすい。
【0076】
<光重合性化合物>
光重合性化合物は、光重合性単量体および光重合性オリゴマーを含む。
【0077】
光重合性単量体は、各種(メタ)アクリル酸エステル、(メタ)アクリル酸、スチレン、酢酸ビニル、ヒドロキシエチルビニルエーテル、エチレングリコールジビニルエーテル、ペンタエリスリトールトリビニルエーテル、(メタ)アクリルアミド、N-ヒドロキシメチル(メタ)アクリルアミド、N-ビニルホルムアミド、アクリロニトリル等が挙げられる。
【0078】
光重合性単量体の市販品は、日本化薬社製のKAYARAD R-128H、KAYARAD R526、KAYARAD PEG400DA、KAYARAD MAND、KAYARD NPGDA、KAYARAD R-167、KAYARAD HX-220、KAYARAD R-551、KAYARAD R712、KAYARAD R-604、KAYARAD R-684、KAYARAD GPO-303、KAYARAD TMPTA、KAYARAD DPHA、KAYARAD DPEA-12、KAYARAD DPHA-2C、KAYARAD D-310、KAYARAD D-330、KAYARAD DPCA-20、KAYARAD DPCA-30、KAYARAD DPCA-60、KAYARAD DPCA-120、および東亜合成社製のアロニックスM-303、M-305、M-306、M-309、M-310、M-321、M-325、M-350、M-360、M-313、M-315、M-400、M-402、M-403、M-404、M-405、M-406、M-450、M-452、M-408、M-211B、M-101A、大阪有機社製のビスコート#310HP、ビスコート#335HP、ビスコート#700、ビスコート#295、ビスコート#330、ビスコート#360、ビスコート#GPT、ビスコート#400、ビスコート#405、新中村化学社製のA-9300等が挙げられる。
【0079】
(酸性基を有する光重合性化合物)
光重合性化合物は、酸性基を有する光重合性化合物も挙げられる。酸性基は、例えば、スルホン酸基、カルボキシル基、リン酸基等が挙げられる。
【0080】
酸性基を有する光重合性化合物は、例えば、多価アルコールと(メタ)アクリル酸との遊離水酸性基含有ポリ(メタ)アクリレートと、ジカルボン酸とのエステル化物;多価カルボン酸と、モノヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートとのエステル化物等が挙げられる。具体的な化合物は、例えば、トリメチロールプロパンジアクリレート、トリメチロールプロパンジメタクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールトリメタクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタメタクリレート等のモノヒドロキシオリゴアクリレート又はモノヒドロキシオリゴメタクリレートと、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、テレフタル酸等のジカルボン酸との遊離カルボキシル基含有モノエステル化物;プロパン-1,2,3-トリカルボン酸(トリカルバリル酸)、ブタン-1,2,4-トリカルボン酸、ベンゼン-1,2,3-トリカルボン酸、ベンゼン-1,3,4-トリカルボン酸、ベンゼン-1,3,5-トリカルボン酸等のトリカルボン酸と、2-ヒドロキシエチルアクリレート、2-ヒドロキシエチルメタクリレート、2-ヒドロキシプロピルアクリレート、2-ヒドロキシプロピルメタクリレート等のモノヒドロキシモノアクリレート又はモノヒドロキシモノメタクリレートとの遊離カルボキシル基含有オリゴエステル化物等が挙げられる。
【0081】
酸性基を有する光重合性化合物の市販品は、例えば、大阪有機社製のビスコート#2500P、および東亜合成社製M-5300、M-5400、M-5700、M-510、M-520等が挙げられる。
【0082】
(光重合性オリゴマー)
光重合性オリゴマーは、1以上のウレタン結合を有する光重合性オリゴマー(以下、ウレタンアクリレートオリゴマーという)を含む。ウレタンアクリレートオリゴマーは、2~10程度の(メタ)アクリロイル基を有することが好ましい。
ウレタンアクリレートオリゴマーの合成法は、例えば、水酸性基を有する(メタ)アクリレートに多官能イソシアネートを反応させて合成する方法、アルコールに多官能イソシアネートを反応させ、次いで水酸性基を有する(メタ)アクリレートを反応させて合成する方法が挙げられる。
【0083】
水酸性基を有する(メタ)アクリレートは、例えば、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールエチレンオキサイド変性ペンタ(メタ)アクリレー、ジペンタエリスリトールプロピレンオキサイド変性ペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールカプロラクトン変性ペンタ(メタ)アクリレート、グリセロールアクリレートメタクリレート、グリセロールジメタクリレート、2-ヒドロキシ-3-アクリロイルプロピルメタクリレート、エポキシ基含有化合物とカルボキシ(メタ)アクリレートの反応物、水酸性基含有ポリオールポリアクリレート等が挙げられる。
【0084】
多官能イソシアネートは、例えば、トリレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、ジフェニルメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ポリイソシアネート等が挙げられる。
【0085】
アルコールは、多価アルコールを使用すると被膜の架橋度が高くなり、諸耐性が向上する、多価アルコールは、例えば、プロピレングリコール、エチレングリコール、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール等が挙げられる。
【0086】
これらの市販品は、例えば、共栄社化学社製のAH-600、AT-600、UA-306H、UA-306T、UA-306I、UA-510H、UF-8001G、DAUA-167、新中村化学工業社製のUA-160TM、大阪有機化学工業社製のUV-4108F、UV-4117F等が挙げられる。
【0087】
光重合性化合物は、単独または2種類以上を併用して使用できる。
【0088】
光重合性化合物の配合量は、着色剤(A)100質量部に対して、5~400質量部が好ましく、10~300質量部がより好ましい。適量配合すると光硬化性および現像性がより向上する。
【0089】
<光重合開始剤(D)>
光重合開始剤(D)は、紫外線、可視光線、遠紫外線、電子線、X線等の放射線の露光により、光重合性化合物(D)の重合を開始できる活性種を発生する化合物である。
【0090】
光重合開始剤(D)は、例えば、4-フェノキシジクロロアセトフェノン、4-t-ブチル-ジクロロアセトフェノン、ジエトキシアセトフェノン、1-(4-イソプロピルフェニル)-2-ヒドロキシ-2-メチルプロパン-1-オン、1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2-メチル-1-[4-(メチルチオ)フェニル]-2-モルフォリノプロパン-1-オン、2-(ジメチルアミノ)-2-[(4-メチルフェニル)メチル]-1-[4-(4-モルフォリニル)フェニル]-1-ブタノン、又は2-ベンジル-2-ジメチルアミノ-1-(4-モルフォリノフェニル)-ブタン-1-オン等のアセトフェノン系化合物;ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、又はベンジルジメチルケタール等のベンゾイン系化合物;ベンゾフェノン、ベンゾイル安息香酸、ベンゾイル安息香酸メチル、4-フェニルベンゾフェノン、ヒドロキシベンゾフェノン、アクリル化ベンゾフェノン、4-ベンゾイル-4’-メチルジフェニルサルファイド、又は3,3’,4,4’-テトラ(t-ブチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン等のベンゾフェノン系化合物;チオキサントン、2-クロルチオキサントン、2-メチルチオキサントン、イソプロピルチオキサントン、2,4-ジイソプロピルチオキサントン、又は2,4-ジエチルチオキサントン等のチオキサントン系化合物;2,4,6-トリクロロ-s-トリアジン、2-フェニル-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2-(p-メトキシフェニル)-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2-(p-トリル)-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2-ピペロニル-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2,4-ビス(トリクロロメチル)-6-スチリル-s-トリアジン、2-(ナフト-1-イル)-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2-(4-メトキシ-ナフト-1-イル)-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2,4-トリクロロメチル-(ピペロニル)-6-トリアジン、又は2,4-トリクロロメチル-(4’-メトキシスチリル)-6-トリアジン等のトリアジン系化合物;1,2-オクタンジオン,1-〔4-(フェニルチオ)-,2-(O-ベンゾイルオキシム)〕、又はO-(アセチル)-N-(1-フェニル-2-オキソ-2-(4’-メトキシ-ナフチル)エチリデン)ヒドロキシルアミン等のオキシムエステル系化合物;ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキサイド、又は2,4,6-トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド等のホスフィン系化合物;9,10-フェナンスレンキノン、カンファーキノン、エチルアントラキノン等のキノン系化合物; ボレート系化合物; カルバゾール系化合物;イミダゾール系化合物;あるいは、チタノセン系化合物等が挙げられる。これらの中でもオキシムエステル系化合物は、光硬化後の被膜中の結晶析出を抑制できるためが好ましい。
【0091】
光重合開始剤(D)は、単独または2種類以上併用して使用できる。
【0092】
光重合開始剤(D)の配合量は、着色剤(A)100質量部に対し、1~200質量部が好ましく、2~150質量部がより好ましい。適量配合すると光硬化性および現像性がより向上する。
【0093】
(増感剤)
感光性着色組成物は、光重合開始剤(D)共に増感剤を含有できる。
増感剤は、例えば、カルコン誘導体、ジベンザルアセトン等に代表される不飽和ケトン類、ベンジルやカンファーキノン等に代表される1,2-ジケトン誘導体、ベンゾイン誘導体、フルオレン誘導体、ナフトキノン誘導体、アントラキノン誘導体、キサンテン誘導体、チオキサンテン誘導体、キサントン誘導体、チオキサントン誘導体、クマリン誘導体、ケトクマリン誘導体、シアニン誘導体、メロシアニン誘導体、オキソノ-ル誘導体等のポリメチン色素、アクリジン誘導体、アジン誘導体、チアジン誘導体、オキサジン誘導体、インドリン誘導体、アズレン誘導体、アズレニウム誘導体、スクアリリウム誘導体、ポルフィリン誘導体、テトラフェニルポルフィリン誘導体、トリアリールメタン誘導体、テトラベンゾポルフィリン誘導体、テトラピラジノポルフィラジン誘導体、フタロシアニン誘導体、テトラアザポルフィラジン誘導体、テトラキノキサリロポルフィラジン誘導体、ナフタロシアニン誘導体、サブフタロシアニン誘導体、ピリリウム誘導体、チオピリリウム誘導体、テトラフィリン誘導体、アヌレン誘導体、スピロピラン誘導体、スピロオキサジン誘導体、チオスピロピラン誘導体、金属アレーン錯体、有機ルテニウム錯体、又はミヒラーケトン誘導体、α-アシロキシエステル、アシルフォスフィンオキサイド、メチルフェニルグリオキシレート、ベンジル、9,10-フェナンスレンキノン、カンファーキノン、エチルアンスラキノン、4,4’-ジエチルイソフタロフェノン、3,3’,又は4,4’-テトラ(t-ブチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、4,4’-ジエチルアミノベンゾフェノン等が挙げられる。また、河原信ら編、「色素ハンドブック」(1986年、講談社)、大河原信ら編、「機能性色素の化学」(1981年、シーエムシー)、池森忠三朗ら編、「特殊機能材料」(1986年、シーエムシー)に記載の増感剤も挙げられる。
【0094】
増感剤は、単独または2種類以上併用して使用できる。
【0095】
増感剤の配合量は、光重合開始剤(D)100質量部に対し、3~60質量部が好ましく、5~50質量部がより好ましい。適量配合すると光硬化性および現像性がより向上する。
【0096】
<有機溶剤>
感光性着色組成物は、有機溶剤を含有できる。これにより粘度調整が容易になる。
【0097】
有機溶剤は、例えば、乳酸エチル、ベンジルアルコール、1,3-ブタンジオール、1,3-ブチレングリコール、1,3-ブチレングリコールジアセテート、1,4-ジオキサン、2-ヘプタノン、2-メチル-1,3-プロパンジオール、3,5,5-トリメチル-2-シクロヘキセン-1-オン、3,3,5-トリメチルシクロヘキサノン、3-エトキシプロピオン酸エチル、3-メチル-1,3-ブタンジオール、3-メトキシ-3-メチル-1-ブタノール、3-メトキシ-3-メチルブチルアセテート、3-メトキシブタノール、3-メトキシブチルアセテート、4-ヘプタノン、m-キシレン、m-ジエチルベンゼン、N,N-ジメチルアセトアミド、N,N-ジメチルホルムアミド、n-ブチルアルコール、n-ブチルベンゼン、n-プロピルアセテート、o-キシレン、o-ジエチルベンゼン、p-ジエチルベンゼン、sec-ブチルベンゼン、tert-ブチルベンゼン、γ―ブチロラクトン、イソブチルアルコール、イソホロン、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールジブチルエーテル、エチレングリコールモノイソプロピルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノターシャリーブチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノヘキシルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジイソブチルケトン、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールモノイソプロピルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、シクロヘキサノール、シクロヘキサノールアセテート、シクロヘキサノン、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、ジプロピレングリコールメチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノプロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ダイアセトンアルコール、トリアセチン、トリプロピレングリコールモノブチルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールジアセテート、プロピレングリコールフェニルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、メトキシプロピルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルプロピオネート、ベンジルアルコール、メチルイソブチルケトン、メチルシクロヘキサノール、酢酸n-アミル、酢酸n-ブチル、酢酸イソアミル、酢酸イソブチル、酢酸プロピル、二塩基酸エステル等が挙げられる。これらに中でも、乳酸エチル、メトキシプロピルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート等のグリコールアセテート、ベンジルアルコール、ダイアセトンアルコール等のアルコールやシクロヘキサノン等のケトンが好ましい。
【0098】
有機溶剤は、単独または2種類以上併用して使用できる。
【0099】
有機溶剤の配合量は、着色剤(A)100質量部に対し、500~4000質量部が好ましい。適量配合すると粘度調整が容易になり、均一な被膜を形成し易い。
【0100】
(レベリング剤)
感光性着色組成物は、レベリング剤を含有できる。これにより塗工性がより向上し、被膜の表面平滑性がより向上する。レベリング剤は、例えば、シリコーン系界面活性剤、フッ素系界面活性剤、ノニオン系界面活性剤、カチオン系界面活性剤、アニオン系界面活性剤等が挙げられる。
【0101】
シリコーン系界面活性剤は、例えば、シロキサン結合からなる直鎖状ポリマー、側鎖や末端に有機基を導入した変性シロキサンポリマーが挙げられる。
シリコーン系界面活性剤の市販品は、例えば、ビックケミー社製BYK-300、BYK-306、BYK-310、BYK-313、BYK-315N、BYK-320、BYK-322、BYK-323、BYK-330、BYK-331、BYK-333、BYK-342、BYK-345/346、BYK-347、BYK-348、BYK-349、BYK-370、BYK-377、BYK-378、BYK-3455、BYK-UV3510、BYK-3570、東レ・ダウコーニング社製、FZ-7001、FZ-7002、FZ-2110、FZ-2122、FZ-2123],FZ-2191、FZ-5609、信越化学工業社製X-22-4952、X-22-4272、X-22-6266、KF-351A、K354L、KF-355A、KF-945、KF-640、KF-642、KF-643、X-22-6191、X-22-4515、KF-6004等が挙げられる。
【0102】
フッ素系界面活性剤は、例えば、フルオロカーボン鎖を有する化合物が挙げられる。
フッ素系界面活性剤の市販品は、例えば、AGCセイミケミカル社製サーフロンS-242、S-243、S-420、S-611、S-651、S-386、DIC社製メガファックF-253、F-477、F-551、F-552、F-555、F-558、F-560、F-570、F-575,F-576、R-40-LM、R-41、RS-72-K、DS-21、住友スリーエム社製FC-4430、FC-4432、三菱マテリアル電子化成社製EF-PP31N09、EF-PP33G1、EF-PP32C1、ネオス社製フタージェント602A等が挙げられる。
【0103】
ノニオン系界面活性剤は、例えば、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンセチルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンミリステルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルドデシルエーテル、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル、ポリオキシフェニレンジスチレン化フェニルエーテル、ポリオキシエチレントリベンジルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコール、ポリオキシエチレンアルケニルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸エステル、ソルビタンモノラウレート、ソルビタンモノパルミテート、ソルビタンモノステアレート、ソルビタンジステアレート、ソルビタントリステアレート、ソルビタンモノオレエート、ソルビタントリオレエート、ソルビタンモノラウレート、ソルビタンエスキオレエート、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノパルミテート、ポリオキシエチレンオルビタンモノステアレート、ポリオキシエチレンソルビタントリステアレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレエート、ポリオキイエチレンソルビタントリイソステアレート、テトラオレイン酸ポリオキシエチレンソルビット、グリセロールモノステアレート、グリセロールモノオレエート、ポリエチレングリコールモノラウレート、ポリエチレングリコールモノステアレート、ポリエチレングリコールジステアレート、ポリエチレングリコールモオレエート、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレンアルキルアミン、アルキルアルカノールアミド、アルキルイミダゾリンやアルキルジメチルアミノ酢酸ベタインなどのアルキルベタイン等が挙げられる。
【0104】
カチオン系界面活性剤は、例えばアルキルアミン塩やラウリルトリメチルアンモニウムクロライド、ステアリルトリメチルアンモニウムクロライド、セチルトリメチルアンモニウムクロライドなどのアルキル4級アンモニウム塩やそれらのエチレンオキサイド付加物が挙げられる。
【0105】
アニオン系界面活性剤は、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、スチレン-アクリル酸共重合体のアルカリ塩、アルキルナフタリンスルホン酸ナトリウム、アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウム、ラウリル硫酸モノエタノールアミン、ラウリル硫酸トリエタノールアミン、ラウリル硫酸アンモニウム、ステアリン酸モノエタノールアミン、ステアリン酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム、スチレン-アクリル酸共重合体のモノエタノールアミン、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸エステル等が挙げられる。
【0106】
界面活性剤は、単独または2種類以上併用して使用できる。
【0107】
界面活性剤の含有量は、感光性着色組成物の不揮発分100質量%中、0.001~2質量%が好ましく、0.005~1.0質量%がより好ましい。適量含有すると塗工性、基材に対する被膜の密着性、および被膜の透過性がより向上する。
【0108】
(硬化剤、硬化促進剤)
感光性着色組成物は、硬化剤、硬化促進剤を含有できる。これにより熱硬化性樹脂を含む場合の硬化性がより向上する。
硬化剤は、例えば、フェノール系樹脂、アミン系化合物、酸無水物、活性エステル、カルボン酸系化合物、スルホン酸系化合物等が挙げられる。これらの中でも、2個以上のフェノール性水酸性基を有する化合物、アミン系硬化剤が好ましい。
硬化促進剤は、例えば、アミン化合物(例えば、ジシアンジアミド、ベンジルジメチルアミン、4-(ジメチルアミノ)-N,N-ジメチルベンジルアミン、4-メトキシ-N,N-ジメチルベンジルアミン、4-メチル-N,N-ジメチルベンジルアミン等)、ブロックイソシアネート化合物(例えば、ジメチルアミン等)、イミダゾール誘導体二環式アミジン化合物およびその塩(例えば、イミダゾール、2-メチルイミダゾール、2-エチルイミダゾール、2-エチル-4-メチルイミダゾール、2-フェニルイミダゾール、4-フェニルイミダゾール、1-シアノエチル-2-フェニルイミダゾール、1-(2-シアノエチル)-2-エチル-4-メチルイミダゾール等)、リン化合物(例えば、トリフェニルホスフィン等)、グアナミン化合物(例えば、メラミン、グアナミン、アセトグアナミン、ベンゾグアナミン等)、S-トリアジン誘導体(例えば、2,4-ジアミノ-6-メタクリロイルオキシエチル-S-トリアジン、2-ビニル-2,4-ジアミノ-S-トリアジン、2-ビニル-4,6-ジアミノ-S-トリアジン・イソシアヌル酸付加物、2,4-ジアミノ-6-メタクリロイルオキシエチル-S-トリアジン・イソシアヌル酸付加物等)等が挙げられる。
【0109】
硬化剤、硬化促進剤は、それぞれ単独または2種類以上併用して使用できる。
【0110】
また、硬化剤及び硬化促進剤の配合量は、熱硬化性樹脂100質量部に対し、それぞれ0.01~15質量部が好ましい。
【0111】
(その他添加剤)
感光性着色組成物は、その他添加剤を含有できる。その他添加剤は、例えば、貯蔵安定剤、密着向上剤等が挙げられる。貯蔵安定剤を含有すると感光性着色組成物を粘度の経時安定性がより向上する。密着向上剤を含有すると基材と被膜の密着性がより向上する。
【0112】
(貯蔵安定剤)
貯蔵安定剤は、例えば、乳酸、シュウ酸などの有機酸およびそのメチルエーテル、t-ブチルピロカテコール、テトラエチルホスフィン、テトラフェニルフォスフィンなどの有機ホスフィン、亜リン酸塩等が挙げられる。貯蔵安定剤の含有量は、着色剤(A)100質量部に対し、0.1~10質量部が好ましい。
【0113】
(密着向上剤)
密着向上剤は、シランカップリング剤が好ましく、例えば、ビニルトリス(β-メトキシエトキシ)シラン、ビニルエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン等のビニルシラン類、γ-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン等の(メタ)アクリルシラン類、β-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、β-(3,4-エポキシシクロヘキシル)メチルトリメトキシシラン、β-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリエトキシシラン、β-(3,4-エポキシシクロヘキシル)メチルトリエトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルトリエトキシシラン等のエポキシシラン類、N-β(アミノエチル)γ-アミノプロピルトリメトキシシラン、N-β(アミノエチル)γ-アミノプロピルトリエトキシシラン、N-β(アミノエチル)γ-アミノプロピルメチルジエトキシシシラン、γ-アミノプロピルトリエトキシシラン、γ-アミノプロピルトリメトキシシラン、N-フェニル-γ-アミノプロピルトリメトキシシラン、N-フェニル-γ-アミノプロピルトリエトキシシラン等のアミノシラン類、γ-メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ-メルカプトプロピルトリエトキシシラン等のチオシラン類等のシランカップリング剤が挙げられる。密着向上剤の含有量は、着色剤(A)100質量部に対し、0.01~10質量部、が好ましく、0.05~5質量部がより好ましい。
【0114】
(感光性着色組成物の製造方法)
感光性着色組成物の製造方法の一例は、まず、既に説明したように着色剤(A)のキノフタロン顔料、およびフタロシアニン系緑色顔料を同時に、または別々に微細に分散することが好ましい。次いで、分散剤、分散助剤等と共にニーダー、2本ロールミル、3本ロールミル、ボールミル、横型サンドミル、縦型サンドミル、アニュラー型ビーズミル、またはアトライター等の各種分散手段を用いて分散して着色剤分散体を作製する。次いで着色剤分散体に、光重合性化合物、光重合開始剤、バインダー樹脂、有機溶剤を加え、撹拌・混合することで感光性着色組成物を作製できる。なお、配合成分は、それぞれ任意のタイミングに添加できる。
【0115】
(粗大粒子の除去)
感光性着色組成物は、微細なフィルタセグメントを形成するために、粗大粒子の除去することが好ましい。感光性着色組成物は、遠心分離、焼結フィルタやメンブレンフィルタによる濾過等の手段を使用して、5μm以上の粗大粒子、好ましくは1μm以上の粗大粒子、さらに好ましくは0.5μm以上の粗大粒子および混入した塵の除去を行うことが好ましい。
【0116】
(カラーフィルタ)
本明細書のカラーフィルタは、基材(基板ともいう)、および感光性着色組成物から形成されてなるフィルタセグメントを備える。また、カラーフィルタは、ブラックマトリックスも備える。一般的なカラーフィルタは、少なくとも1つの赤色フィルタセグメント、少なくとも1つの緑色フィルタセグメント、および少なくとも1つの青色フィルタセグメントを備え、さらに少なくとも1つのマゼンタ色フィルタセグメント、少なくとも1つのシアン色フィルタセグメント、および少なくとも1つのイエロー色フィルタセグメントを備える場合がある。本明細書の感光性着色組成物から緑色フィルタセグメントが形成できる。
【0117】
(カラーフィルタの製造方法)
カラーフィルタは、印刷法、フォトリソグラフィー法等で作製できるところ、フォトリソグラフィー法が好ましい。
【0118】
フィルタセグメントの形成は、フォトリソグラフィー法が好ましい。フォトリソグラフィー法は、例えば、溶剤現像型あるいはアルカリ現像型着色レジストとして調製した感光性着色組成物を、透明基板上に、スプレーコートやスピンコート、スリットコート、ロールコート等の塗工方法を使用して、乾燥膜厚が0.2~10μmとなるように塗工する。前記被膜は、所定のパターンを有するマスクを通して紫外線露光を行う。
【0119】
その後、溶剤またはアルカリ現像液に浸漬するか、もしくはスプレーなどにより現像液を噴霧して未硬化部を除去し所望のパターンを形成してフィルタセグメントおよびブラックマトリックスを形成することができる。さらに、現像により形成されたフィルタセグメントおよびブラックマトリックスの重合を促進するため、必要に応じて加熱できる。フォトリソグラフィー法は、印刷法と比較して精度の高いフィルタセグメントが形成できる。
【0120】
現像には、例えば、アルカリ現像液として炭酸ナトリウム、水酸化ナトリウム等の水溶液;ジメチルベンジルアミン、トリエタノールアミン、水酸化テトラメチルアンモニウム等の有機アルカリが挙げられる。また、現像液は、消泡剤や界面活性剤を使用できる。現像処理方法は、例えば、シャワー現像法、スプレー現像法、ディップ(浸漬)現像法、パドル(液盛り)現像法等が挙げられる。
【0121】
なお、紫外線への露光感度を高めるため、感光性着色組成物から形成したレジスト被膜上に、水溶性またはアルカリ可溶性樹脂(例えばポリビニルアルコールや水溶性アクリル樹脂等)を被膜形成できる。これによりレジスト被膜の紫外線硬化を阻害する酸素を防止できる。
【0122】
基板は、例えば、ソーダ石灰ガラス、低アルカリ硼珪酸ガラス、無アルカリアルミノ硼珪酸ガラスなどのガラス板;ポリカーボネート、ポリメタクリル酸メチル、ポリエチレンテレフタレート等の樹脂板が挙げられる。また、基板の表面には、パネル化後の液晶駆動のために、酸化インジウム、酸化錫等で形成された透明電極を備えることが好ましい。また、カラーフィルタが固体撮像素子用途の場合、基板は、シリコンウエハーが好ましい。基板は、用途により透過基板および反射基板がある。
【0123】
基板の厚みは、0.01~3mm程度である。
【0124】
フィルタセグメントの膜厚は、0.2~10μmが好ましく、0.2~5μmがより好ましい。塗工に際し、乾燥工程ができる。乾燥装置は、例えば、減圧乾燥機、コンベクションオーブン、IRオーブン、ホットプレート等が挙げられる。
【0125】
基板上にフィルタセグメントを形成する前に、あらかじめブラックマトリクスを形成しておくと、表示パネルのコントラストを一層高めることができる。ブラックマトリクスは、例えば、クロムやクロム/酸化クロムの多層膜、窒化チタニウムなどの無機膜や、遮光剤を分散した樹脂膜が用いられるが、これらに限定されない。また、前記の透明基板または反射基板上に薄膜トランジスタ(TFT)をあらかじめ形成しておき、その後にフィルタセグメントを形成することもできる。TFT基板上にフィルタセグメントを形成することにより、パネルの開口率を高め、輝度を向上させることができる。
カラーフィルタ上には、必要に応じてオーバーコート膜や透明導電膜を形成できる。
【0126】
(液晶表示装置)
本明細書の液晶表示装置は、カラーフィルタを備える。液晶表示装置は、さらに光源を備えることが好ましい。光源は、冷陰極管(CCFL),白色LEDが挙げられる。これらの中でも本明細書では、赤の再現領域が広がるという点で、白色LEDが好ましい。
図1を使用して液晶表示装置の実施態様の1例を説明する。なお、
図1の1上側を上、下側を下という。液晶表示装置10は、離間対向して配置された一対の透明基板11および透明基板21を備える。これらの間には、液晶LCが封入されている。
【0127】
液晶LCは、TN(Twisted Nematic)、STN(Super Twisted Nematic)、IPS(In-Plane switching)、VA(Vertical Alignment)、OCB(Optically Compensated Birefringence)等の駆動モードに応じて配向される。透明基板11の上側には、TFT(薄膜トランジスター)アレイ12が形成されている。その上には透明電極層13が形成されている。透明電極層13の上側には、配向層14が設けられている。また、透明基板11の下側には、偏光板15が形成されている。透明電極層13は、例えば、ITO(酸化インジウムスズ)を蒸着して形成できる。
【0128】
透明基板21の下側には、カラーフィルタ22を形成する。カラーフィルタ22を構成する赤色、緑色および青色のフィルタセグメントは、ブラックマトリックス(図示せず)により分離する。
【0129】
カラーフィルタ22の上側には透明基板21を設置する。また、カラーフィルタ22の下側に透明電極層23を形成し、さらにその下側に配向層24を設置する。
【0130】
また、透明基板21の上側には、偏光板25を設置する。また、偏光板15の下側にはバックライトユニット30が設けられている。
バックライトユニット30は、白色LED光源31を使用することが好ましい。
【0131】
白色LED光源は、青色LEDの表面に蛍光フィルタを形成したものや、青色LEDの樹脂パッケージに蛍光体を含有させたものがある。例えば、発光が波長430nm~485nmの範囲内で発光強度が極大となる波長(λ3)を有し、530nm~580nmの範囲内で発光強度が極大となる波長(λ4)を有し、600nm~650nmの範囲内で発光強度が極大となる波長(λ5)を有し、かつ波長λ3における発光強度I3と波長λ4における発光強度I4の比(I4/I3)が0.2以上0.4以下であり、波長λ3における発光強度I3と波長λ5における発光強度I5の比(I5/I3)が0.1以上1.3以下である分光特性を持つ白色LED光源(LED1)が好ましい。また、発光が波長430nm~485nmの範囲内に発光強度が最大となる波長(λ1)を有し、530nm~580nmの範囲内に第2の発光強度のピーク波長(λ2)を有し、波長λ1における発光強度I1と波長λ2における発光強度I2の比(I2/I1)が0.2以上0.7以下である分光特性を持つ白色LED光源(LED2)も好ましい。
【0132】
LED1は市販品でいうと、例えば、NSSW306D-HG-V1(日亜化学社製)、NSSW304D-HG-V1(日亜化学社製)等が挙げられる。
【0133】
LED2は市販品でいうと、例えば、NSSW440(日亜化学社製)、NSSW304D(日亜化学社製)等が挙げられる。
【実施例】
【0134】
以下に、本発明を実施例に基づいて説明するが、本発明はこれによって限定されるものではない。なお、実施例中、「部」は「質量部」、「%」は「質量%」である。表中の配合量は、断りがない限り質量部である。
【0135】
各測定法を以下説明する。
【0136】
(顔料の平均一次粒子径)
顔料の粉末に溶剤(メトキシプロピルアセテート)を加え、分散剤(DIsperbyk-161:ビックケミー社分散剤)を少量添加し、超音波で1分間処理し測定用試料を調整する。次いで、透過型(TEM)電子顕微鏡により、100個以上の顔料の一次粒子が確認出来る写真を3枚(3視野分)作成し、それぞれ左上から順番に100個の一次粒子の大きさを測定する。具体的には、個々の顔料の一次粒子の短軸径と長軸径をnm単位で計測し、その平均をその顔料粒子の一次粒子径とし、合計300個の分布を5nm刻みで作成し、5nm刻みの中央値(例えば6nm以上10nm以下の場合は8nm)をそれらの粒子の粒子径として近似し、それぞれの粒子径とその数を基に計算することで個数平均粒子径を算出する。
【0137】
(樹脂の重量平均分子量(Mw))
樹脂の重量平均分子量(Mw)は、TSKgelカラム(東ソー社製)を用い、RI検出器を装備したGPC(東ソー社製、HLC-8120GPC)で、展開溶媒にTHFを用いて測定したポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)である。
【0138】
<微細化処理着色剤の製造方法>
(微細化処理着色剤(A-1))
フタロシアニン系緑色顔料C.I.ピグメント グリーン 36(トーヨーカラー社製「リオノールグリーン 6YK」):500部、塩化ナトリウム:500部、およびジエチレングリコール:250部をステンレス製1ガロンニーダー(井上製作所製)に仕込み、120℃で8時間混練した。次に、この混練物を5リットルの温水に投入し、70℃に加熱しながら1時間攪拌してスラリー状とし、濾過、水洗を繰り返して塩化ナトリウムおよびジエチレングリコールを除いた後、80℃で一昼夜乾燥し、微細化処理着色剤(A-1)を得た。
【0139】
(微細化処理着色剤(A-2))
フタロシアニン系緑色顔料C.I.ピグメント グリーン 58(DIC社製「FASTOGEN GREEN A110」)200部、塩化ナトリウム1400部、およびジエチレングリコール360部をステンレス製1ガロンニーダー(井上製作所製)に仕込み、80℃で6時間混練した。次にこの混練物を8000部の温水に投入し、80℃に加熱しながら2時間攪拌してスラリー状とし、濾過、水洗を繰り返して塩化ナトリウムおよびジエチレングリコールを除いた後、85℃で一昼夜乾燥し、微細化処理着色剤(A-2)を得た。
【0140】
(微細化処理着色剤(A-3))
三つ口フラスコに、98%硫酸500部、下記式(2)で示すフタロシアニン顔料50部とN-メチルピロリドンを500部、およびリン酸ジフェニル13.9部を加え、90℃に加熱し8時間反応させた。これを室温まで冷却後、生成物をろ過し、メタノールで洗浄後、乾燥させて、フタロシアニン系緑色顔料である微細化処理着色剤(A-3)を得た。
【0141】
(微細化処理着色剤(A-4))
三つ口フラスコに、98%硫酸500部、下記式(2)で示すフタロシアニン顔料50部、1,2-ジブロモ-5,5-ジメチルヒダントイン(DBDMH)129.3部を加え撹拌し、20℃、6時間、反応させた。その後、3℃の氷水5000部に上記反応混合物を注入し、析出した固体をろ取し、水洗した。ビーカーに2.5%水酸化ナトリウム水溶液500部、ろ取した残渣を加え、80℃、1時間撹拌した。その後、この混合物をろ取、水洗、乾燥して、フタロシアニン環に臭素原子が平均で10.1個置換された顔料を得た。
次に、3口フラスコに、N-メチルピロリドンを500部、得られたフタロシアニン環に臭素原子が平均で10.1個置換された顔料を50部およびリン酸ジフェニル13.9部を加え、90℃に加熱し8時間反応させた。これを室温まで冷却後、生成物をろ過し、メタノールで洗浄後、乾燥させて、フタロシアニン系緑色顔料である微細化処理着色剤(A-4)を得た。
【0142】
【0143】
(微細化処理着色剤(A-5))
黄色顔料C.I.ピグメント イエロー 138(BASF社「Paliotol Yellow L 0962 HD」)200部、塩化ナトリウム1400部、およびジエチレングリコール360部をステンレス製1ガロンニーダー(井上製作所製)に仕込み、80℃で6時間混練した。次にこの混練物を8リットルの温水に投入し、80℃に加熱しながら2時間攪拌してスラリー状とし、濾過、水洗を繰り返して塩化ナトリウムおよびジエチレングリコールを除いた後、85℃で一昼夜乾燥し、微細化処理着色剤(A-5)を得た。
【0144】
(微細化処理着色剤(A-6))
キノフタロン化合物(a)100部、塩化ナトリウム1200部、およびジエチレングリコール120部をステンレス製1ガロンニーダー(井上製作所社製)に仕込み、60℃で8時間混練した。次に、この混練物を温水に投入し、約70℃に加熱しながら1時間撹拌してスラリー状として、濾過、水洗を繰り返して塩化ナトリウムおよびジエチレングリコールを除いた後、80℃で一昼夜乾燥し、微細化処理着色剤(A-6)97部を得た。
【0145】
(微細化処理着色剤(A-7))
キノフタロン化合物(b)100部、塩化ナトリウム1200部、およびジエチレングリコール120部をステンレス製1ガロンニーダー(井上製作所社製)に仕込み、60℃で8時間混練した。次に、この混練物を温水に投入し、約70℃に加熱しながら1時間撹拌してスラリー状として、濾過、水洗を繰り返して塩化ナトリウムおよびジエチレングリコールを除いた後、80℃で一昼夜乾燥し、微細化処理着色剤(A-7)97部を得た。
【0146】
(微細化処理着色剤(A-8))
キノフタロン化合物(c)100部、塩化ナトリウム1200部、およびジエチレングリコール120部をステンレス製1ガロンニーダー(井上製作所社製)に仕込み、60℃で8時間混練した。次に、この混練物を温水に投入し、約70℃に加熱しながら1時間撹拌してスラリー状として、濾過、水洗を繰り返して塩化ナトリウムおよびジエチレングリコールを除いた後、80℃で一昼夜乾燥し、微細化処理着色剤(A-8)97部を得た。
【0147】
(微細化処理着色剤(A-9))
キノフタロン化合物(d)100部、塩化ナトリウム1200部、およびジエチレングリコール120部をステンレス製1ガロンニーダー(井上製作所社製)に仕込み、60℃で8時間混練した。次に、この混練物を温水に投入し、約70℃に加熱しながら1時間撹拌してスラリー状として、濾過、水洗を繰り返して塩化ナトリウムおよびジエチレングリコールを除いた後、80℃で一昼夜乾燥し、微細化処理着色剤(A-9)97部を得た。
【0148】
<樹脂型分散剤溶液の製造>
市販の樹脂型分散剤であるBYK社製LPN21116と、メトキシプロピルアセテートとを混合して不揮発分20質量%の溶液を調製し、樹脂型分散剤溶液を得た。
【0149】
<バインダー樹脂(C)の製造方法>
(バインダー樹脂(C-1)の製造)
セパラブル4口フラスコに温度計、冷却管、窒素ガス導入管、滴下管および撹拌装置を取り付けた反応容器にシクロヘキサノン196部を仕込み、80℃に昇温し、反応容器内を窒素置換した後、滴下管より、n-ブチルメタクリレート37.2部、2-ヒドロキシエチルメタクリレート12.9部、メタクリル酸12.0部、パラクミルフェノールエチレンオキサイド変性アクリレート(東亞合成社製「アロニックスM110」)20.7部、2,2'-アゾビスイソブチロニトリル1.1部の混合物を2時間かけて滴下した。滴下終了後、更に3時間反応を継続し、アクリル樹脂の溶液を得た。室温まで冷却した後、樹脂溶液約2部をサンプリングして180℃、20分加熱乾燥して不揮発分を測定し、先に合成した樹脂溶液に不揮発分が40質量%になるようにメトキシプロピルアセテートを添加してバインダー樹脂(C-1)溶液を調製した。なお、樹脂の重量平均分子量(Mw)は26000であった。
【0150】
(バインダー樹脂(C-2)の製造)
セパラブル4口フラスコに温度計、冷却管、窒素ガス導入管、撹拌装置を取り付けた反応容器にメトキシプロピルアセテート100部を入れ、容器に窒素ガスを注入しながら120℃に加熱して、同温度で滴下管よりスチレン5.2部、グリシジルメタクリレート35.5部、ジシクロペンタニルメタクリレート41.0部、アゾビスイソブチロニトリル1.0部の混合物を2.5時間かけて滴下し重合反応を行った。次にフラスコ内を空気置換し、アクリル酸17.0部にトリスジメチルアミノメチルフェノール0.3部、およびハイドロキノン0.3部を投入し、120℃で5時間反応を続け、さらにテトラヒドロ無水フタル酸30.4部、トリエチルアミン0.5部を加え120℃で4時間反応させ、重量平均分子量8000、酸価71mgKOH/gのアクリル樹脂の溶液を得た。室温まで冷却した後、樹脂溶液約2gをサンプリングして180℃、20分加熱乾燥して不揮発分を測定し、先に合成した樹脂溶液に不揮発分が40重量%になるようにメトキシプロピルアセテートを添加してバインダー樹脂(C-2)溶液を調製した。
【0151】
<着色剤分散体の製造方法>
(着色剤分散体(P1))
下記の混合物を均一になるように攪拌混合した後、直径0.5mmのジルコニアビーズを用いて、アイガーミル(アイガージャパン社製「ミニモデルM-250 MKII」)で5時間分散した後、5.0μmのフィルタで濾過し着色剤分散体(P1)を作製した。
微細化処理着色剤(A-1) :15.0部
樹脂型分散剤溶液 :5.0部
バインダー樹脂(C-1)溶液 :25.0部
溶剤/PGMAC(メトキシプロピルアセテート) :50.0部
【0152】
(着色剤分散体(P2~9))
着色剤、樹脂型分散剤溶液、バインダー樹脂溶液、および溶剤を表1に記載された組成、および配合量(質量部)に変更した以外は、顔料分散体(P1)と同様に行い、着色剤分散体(P2~9)をそれぞれ作製した。
【0153】
【0154】
<チオール化合物(B)>
・2官能チオール化合物(B-1)
(昭和電工社製「1,4-ビス(3-メルカプトブチリルオキシ)ブタン」)
・3官能チオール化合物(B-2)
(昭和電工社製「トリメチロールプロパントリス(3-メルカプトブチレート)」)
・4官能チオール化合物(B-3)
(SC有機化学社製「ペンタエリスリトール テトラキス(3-メルカプトプロピオネート)」)
・単官能チオール化合物(B-4)
2-エチルヘキシル-メルカプトアセテート
【0155】
<光重合性開始剤>
・オキシムエステル系開始剤(D-1)
(下記式(3)で示す化合物)
【0156】
【0157】
・アセトフェノン系開始剤(D-2)
(IGM Resins B.V.社製「Omnirad369」)
【0158】
[実施例1]
(感光性着色組成物(G-1))
下記組成の混合物を均一になるように撹拌混合した後、1.0μmのフィルタで濾過し、感光性着色組成物(G-1)を作製した。
着色剤分散体1(P4) :26.1部
着色剤分散体2(P5) :20.2部
チオール化合物(B-1) : 0.2部
バインダー樹脂(C-2) : 6.5部
光重合性化合物〔東亜合成社製「アロニックス M-402」〕 : 3.4部
光重合性開始剤(D-1) : 0.2部
溶剤/メトキシプロピルアセテート(PGMAC) :43.5部
【0159】
[実施例2~23、比較例1~2]
(感光性着色組成物(G-2~22))
表2に示す組成、および配合量(重量部)に変更した以外は実施例1の感光性着色組成物(G-1)と同様に行い、実施例2~23および比較例1~2の感光性着色組成物(G-2~25)をそれぞれ得た。
ただし、実施例1~12は参考例である。
【0160】
【0161】
【0162】
<感光性着色組成物の評価>
得られた感光性着色組成物(G-1~25)の塗膜の試験を下記の方法で行った。試験の結果を表3に示す。なお、下記評価結果で、◎、○、および△は実用可、×は実用不可である。
【0163】
<ガス発生量率評価>
得られた感光性着色組成物(G-1~25)について、縦100mm×横100mm×厚さ0.7mmのガラス基板上に感光性着色組成物を加熱処理後膜厚2.2μmとなるようにそれぞれ塗布し、40mJ/cm2の条件下にて紫外線露光を行った。その後、スプレーによりアルカリ現像液を噴霧した塗膜について、230℃のオーブンで20分間加熱処理(ポストベーク)を施した。得られた塗膜10mg削りとり、TG-DTA測定(RIGAKU社製「Thermo plus evo2」)にて230℃で3時間加熱した時の塗膜の重量減少からガス発生量を確認し、以下の基準で評価した。なお、塗膜の膜厚は、Dektak 8(日本真空技術社製)を用いて行った。
◎:ガス発生量が0%以上~2%未満
○:ガス発生量が2%以上~5%未満
△:ガス発生量が5%以上~10%未満
×:ガス発生量が10%以上
【0164】
<結晶析出評価>
得られた感光性着色組成物(G-1~25)について、縦100mm×横100mm×厚さ0.7mmのガラス基板上に感光性着色組成物を加熱処理後膜厚2.2μmとなるように塗布し、所定のパターンを有するマスクを通して40mJ/cm2の条件下にて紫外線露光を行った。その後、スプレーによりアルカリ現像液を噴霧して未硬化部を除去し所望のパターンを形成した。得られた塗膜について、230℃のオーブンで3時間加熱処理(ポストベーク)を施し、顕微鏡(オリンパス光学社製「BX-51」)にて結晶の有無を確認した。評価は画素パターン間の距離が100μmのガラス面上の縦100μm×横300μmのエリアを顕微鏡で観察し、以下の基準で評価した。塗膜の膜厚は、Dektak 8(日本真空技術社製)を用いて行った。
◎:結晶が観察エリア内で発生しなかった
○:結晶が観察エリアの5%未満の範囲で発生した
△:結晶が観察エリアの5%~10%未満の範囲で発生した
×:結晶が観察エリアの10%以上の範囲で発生した
【0165】
<パターン直線性評価>
得られた感光性着色組成物(G-1~25)を縦100mm×横100mm×厚さ0.7mmのガラス基板上に加熱処理後膜厚2.2μmとなるように塗布し、所定のパターンを有するマスクを通して40mJ/cm2の条件下で紫外線露光を行った。その後、スプレーによりアルカリ現像液を噴霧して未硬化部を除去し所望のパターンを形成した。得られた塗膜について、230℃のオーブンで20分間加熱処理(ポストベーク)を施し、顕微鏡(オリンパス光学社製「BX-51」)にてパターン直線性を確認した。評価はマスク開口幅50μmで形成されたパターンを観察し、以下のように評価した。塗膜の膜厚は、Dektak 8(日本真空技術社製)を用いて行った。
○:同じパターン線幅内の最大値と最小値の差が0μm以上1μm未満
△:同じパターン線幅内の最大値と最小値の差が1μm以上2μm未満
×:同じパターン線幅内の最大値と最小値の差が2μm以上
【0166】
【0167】
表3の結果から実施例1~23は、加熱後に被膜に異物が生じ難いカラーフィルタが形成できることがわかる。また、ガス発生を抑制できるため、カラーフィルタ上に他の層を形成して液晶表示装置を作製する場合、ガスによる表示画像の視認性低下を抑制し易い。
一方、比較例1および2は、結晶析出が多く、異物抑制の課題を解決することは難しい。
【符号の説明】
【0168】
10 液晶表示装置
11 透明基板
12 TFTアレイ
13 透明電極層
14 配向層
15 偏光板
21 透明基板
22 カラーフィルタ
23 透明電極層
24 配向層
25 偏光板
30 バックライトユニット
31 白色LED光源
LC 液晶