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特許7211002生体内電位計測器、生体内電位計測方法、及び生体内電位計測システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-01-16
(45)【発行日】2023-01-24
(54)【発明の名称】生体内電位計測器、生体内電位計測方法、及び生体内電位計測システム
(51)【国際特許分類】
   A61B 18/14 20060101AFI20230117BHJP
   A61M 25/00 20060101ALN20230117BHJP
   A61M 25/10 20130101ALN20230117BHJP
【FI】
A61B18/14
A61M25/00 530
A61M25/10
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2018201831
(22)【出願日】2018-10-26
(65)【公開番号】P2020065843
(43)【公開日】2020-04-30
【審査請求日】2021-09-01
(73)【特許権者】
【識別番号】000003159
【氏名又は名称】東レ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】弁理士法人前田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】坂上 友介
【審査官】菊地 康彦
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-192725(JP,A)
【文献】特開2005-185661(JP,A)
【文献】特開2016-123869(JP,A)
【文献】特開平06-038937(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 18/00-18/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
生体の器官内に挿入して、該器官の内壁面における所定部位の電位を計測する生体内電位計測器であって、
中空袋状の絶縁性部材と、
前記絶縁性部材の中空部分の中に配置された第1の電極と、
前記絶縁性部材に結合した中空管状部材と、
基準となる接地電極と
を備え、
前記中空管状部材を介して、前記絶縁性部材の中空部分に導電性の流動体が注入され、前記第1の電極は前記流動体と接触しており、
前記絶縁性部材の外周面を前記器官の内壁面に接触させた状態であって且つ該接触した前記絶縁性部材の内周面には前記流動体が接触しており前記絶縁性部材と接触した前記器官の部位の前記接地電極に対する電位を前記第1の電極で計測し、
前記中空管状部材には当該中空管状部材の内部に存する前記流動体と電気的に接続された第2の電極が配置されており、前記第2の電極は前記接地電極に接続されており、
前記第2の電極は前記流動体の電位の調整を行う、生体内電位計測器。
【請求項2】
前記中空管状部材を介して、前記絶縁性部材の中空部分に存する前記流動体を攪拌させる攪拌部材をさらに備えている、請求項1に記載の生体内電位計測器。
【請求項3】
前記絶縁性部材及び前記中空管状部材はバルーン付きカテーテルで構成されている、請求項1又は2に記載の生体内電位計測器。
【請求項4】
前記第2の電極は、前記中空管状部材にて発生した前記流動体の電位のノイズの位相を反転させる回路に接続されている、請求項1からのいずれか一つに記載の生体内電位計測器。
【請求項5】
前記第2の電極はさらに高周波ノイズを除去するノイズ除去回路に接続されている、請求項1からのいずれか一つに記載の生体内電位計測器。
【請求項6】
前記絶縁性部材は、該絶縁性部材の外周面が、前記器官の内壁面に接触した状態で、前記第1の電極に高周波電流を通電して、前記導電性の流動体を加熱することによって、前記接触した部位を焼灼する機能を兼ね備えている、請求項1からのいずれか一つに記載の生体内電位計測器。
【請求項7】
請求項1からのいずれか一つに記載の生体内電位計測器と、
前記第1の電極で検出した電位を増幅する増幅器と
を備えた、生体内電位計測システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生体の器官内に挿入して、該器官の内壁面における所定部位の電位を計測する生体内電位計測器、及び、生体内電位計測方法、並びに、生体内電位計測器を備えた生体内電位計測システムに関する。
【背景技術】
【0002】
血管等の器官内にカテーテルを挿入して、病変部に対して検査や治療を行うことが行われている。
【0003】
カテーテルを用いた治療の一つに、バルーン付きのカテーテル・アブレーション治療がある。この治療は、カテーテルの先端にバルーンを取り付け、バルーン内に液体を注入することによってバルーンを膨らませた後、高周波電流によりバルーン内の液体を温めることによって、バルーンの表面と接触している器官を焼灼するもので、例えば、心房細動の治療等に適用されている。
【0004】
この治療によれば、バルーンが柔軟な球形を有しているので、心房細動の治療部位である左心房と肺静脈との接合近傍の内壁面に、膨らんだバルーンの外周面をリング状に接触させることができるため、一度に肺静脈の周囲を焼灼することができる。
【0005】
一方、アブレーション治療によって器官を焼灼した後、焼灼効果を確認するために、焼灼付近の器官の電位を計測することが行われている。例えば、特許文献1には、先端に電位測定用の複数の電極を備えたカテーテルを器官内に挿入して、焼灼付近の器官に各電極を接触させて、各電極が接触した部位の電位を計測する方法が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特許第5870694号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
図11(a)~(c)は、バルーン付きのカテーテルを用いて、バルーンに接触した器官を焼灼した後、従来の電位測定用の電極を用いて、焼灼付近の器官の電位を計測する方法を示した図である。なお、ここでは、焼灼する部位として、心房細動の治療部位である左心房と肺静脈との接合近傍を例に説明する。
【0008】
図11(a)に示すように、先端にバルーン30が取り付けられたカテーテル10を、左心房50と肺静脈51との接合近傍に挿入する。そして、バルーン30内に液体21を注入することによって、バルーン30を膨らませて、バルーン30の外周面を、器官52の内周面に、リング状に接触させる。なお、符号60は、心房細動の起源となる異常な電気信号源を示す。
【0009】
次に、図11(b)に示すように、第1の電極20に高周波電流を流して、バルーン30内の液体21を温めることによって、バルーン30の表面と接触している器官52を焼灼する。これにより、バルーン30が接触している器官の部位に、焼灼された部位(焼灼部位)61ができる。
【0010】
次に、図11(c)に示すように、バルーン付きカテーテル10を抜いて、先端に電位測定用の複数の電極(ラッソ電極)110を備えたカテーテル100を、焼灼部位61の近傍まで挿入して、器官52に、複数の電極110を接触させて、接触した部位の電位を計測する。
【0011】
しかしながら、図11(c)に示すようなリング状の電極110を用いた場合、複数の電極110が接触した部位の電位を、間欠的に計測するため、電極間にある部位の電位は計測されない。
【0012】
一方、心房細動における異常な電気信号の伝導路は、肺静脈51の周囲に亘るため、異常な電気信号の伝導路を絶つためには、バルーン30の表面がリング状に接触した部位を全て焼灼する必要がある。そのため、もし、焼灼できなかった部位(未焼灼部位)があっても、未焼灼部位に複数の電極110が接触していなかった場合、接触していない部位の電位は計測されない。その結果、未焼灼部位の存在を見逃すおそれがあるため、焼灼効果を正確に確認することができない。
【0013】
また、リング状の電極110は、可撓性が十分でないため、もしくは可撓性がありすぎて過度に変形するため、全ての電極110を器官52に接触させることが難しい。もし、一部の電極110が器官52に接触していなかった場合、接触していない部位の電位は計測されず、未焼灼部位の存在を見逃すおそれがある。
【0014】
また、図11(c)に示すように、リング状の電極110が接触した部位は、焼灼部位61と位置がずれるおそれがある。この場合、リング状の電極110は、焼灼部位61からずれた部位の電位を計測するため、焼灼効果を正確に確認することができない。
【0015】
また、バルーン30で焼灼した後、一旦、バルーン30付きのカテーテル10を抜いて、新たに、リング状の電極110を備えたカテーテル100を挿入する必要があるため、焼灼効果の確認に長時間を要してしまう。また、カテーテル10、110の抜き差しによって、器官内にエアが混入するリスクが高まる。
【0016】
本発明は、上記課題に鑑みなされたもので、その主な目的は、アブレーション治療等で、器官の内壁面の周囲を焼灼した際の焼灼部位の電位を、正確に計測することができる生体内電位計測器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明に係る生体内電位計測器は、生体の器官内に挿入して、該器官の内壁面における所定部位の電位を計測する生体内電位計測器であって、中空袋状の絶縁性部材と、前記絶縁性部材の中空部分の中に配置された第1の電極と、前記絶縁性部材に結合した中空管状部材と、を備え、前記中空管状部材を介して、前記絶縁性部材の中空部分に導電性の流動体が注入され、前記絶縁性部材の外周面を前記器官の内壁面に接触させた状態で、該接触した部位の電位を前記第1の電極で計測し、前記中空管状部材には当該中空管状部材の内部に存する前記流動体と電気的に接続された第2の電極が配置されており、前記第2の電極は前記流動体の電位の調整を行うことを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、アブレーション治療等で、器官の内壁面の周囲を焼灼した際の焼灼部位の電位を、正確に計測することができる生体内電位計測器を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】参考形態における生体内電位計測器の構成を模式的に示した図である。
図2】絶縁性部材の外周面が、器官の内壁面に接触した状態を模式的に示した図である。
図3】参考形態における絶縁性部材の外周面が、器官の内壁面に接触した部位の電位を、絶縁性部材の中に配置された電極で計測する方法を示した等価回路図である。
図4】参考形態において、焼灼後に増幅器で計測した電圧の波形を示したグラフである。
図5】実施形態に係る生体内電位計測器の構成を模式的に示した図である。
図6】実施形態における絶縁性部材の外周面が、器官の内壁面に接触した部位の電位を、絶縁性部材の中に配置された電極で計測する方法を示した等価回路図である。
図7】実施形態において、焼灼後に増幅器で計測した電圧の波形を示したグラフである。
図8】(a)~(c)は、絶縁性部材を用いて、器官の内壁面を焼灼した後、絶縁性部材の外周面を、器官の内壁面に接触させた状態で、接触した部位の電位を、絶縁性部材の中に配置した電極で計測する方法を説明した図である。
図9】別の実施形態に係る生体内電位計測器の構成を模式的に示した図である。
図10】別の実施形態における絶縁性部材の外周面が、器官の内壁面に接触した部位の電位を、絶縁性部材の中に配置された電極で計測する方法を示した等価回路図である。
図11】(a)~(c)は、バルーン付きのカテーテルを用いて、バルーンに接触した器官を焼灼した後、従来の電位測定用の電極を用いて、焼灼付近の器官の電位を計測する方法を示した図である。
図12】他の実施形態に係る生体内電位計測器の構成を模式的に示した図である。
図13】さらに別の実施形態に係る生体内電位計測器の構成を模式的に示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明についての説明を行う前に、発明者らが本発明に至った経緯について説明を行う。上述した課題を解決するための1つの手段として、図11(c)に示したような従来の電位測定用の電極の替わりに、バルーン内部に電極を配置して、バルーンが生体の器官に接触している状態でその接触している部分の電位をバルーン内部の電極によって計測することを発明者は考え出した。これにより、アブレーション治療等で、器官の内壁面の周囲を焼灼した際の焼灼部位の電位を、正確に計測することができると考えた。
【0021】
(参考形態)
図1は、発明者が考案した上述の生体内電位計測器の構成を模式的に示した図である。以下、参考形態の生体内電位計測器という。実施形態も含めて、以下の図面においては、説明の簡潔化のため、実質的に同一の機能を有する構成要素を同一の参照符号で示す。なお、この生体内電位計測器は、生体の器官内に挿入して、器官の内壁面における所定部位の電位を計測するものであるが、ここでは、心房細動のカテーテル・アブレーション治療において、焼灼後の焼灼部位における電位を計測する場合を例に説明する。
【0022】
図1に示すように、参考形態に係る生体内電位計測器は、外周面が変形自在又は拡張自在な絶縁性部材30と、絶縁性部材30の中に配置された第1の電極20とを備えている。絶縁性部材30として、例えば、中空袋状からなるバルーンを用いることができる。また、参考形態では絶縁性部材30に、可撓性を有し中空管状であるカテーテル10が結合したバルーン付きカテーテルを用いている。
【0023】
図1は、絶縁性部材30の中に、導電性の流動体21を注入することによって、絶縁性部材30の外周面を、心房細動の治療部位である左心房50と肺静脈51との接合近傍における器官52の内壁面に、リング状に接触させた状態を示している。ここで、導電性の流動体21は、ポンプ120を用いてカテーテル10を介して、外部から注入することができる。ポンプ120とカテーテル10との間は通液チューブ130によって連結されている。符号11で示している部分はカテーテル10の一部であって、通液チューブ連結部11である。また、導電性の流動体21は、例えば、生理食塩水等を用いることができる。
【0024】
参考形態に係る生体内電位計測器は、図1に示したように、絶縁性部材30の外周面を、器官52の内壁面にリング状に接触させた状態で、接触した部位の電位を、絶縁性部材30の中に配置した第1の電極20によって計測するものである。
【0025】
なお、絶縁性部材30が接触した部位の電位は、図1に示すように、生体の表面72に、基準となる接地電極71を貼り付け、絶縁性部材30の中に配置された第1の電極20と、接地電極71との間の電圧を、生体の外部に配置された増幅器70で増幅することによって計測することができる。接地電極71は第3通電ライン156により増幅器70に連結されている。
【0026】
また、絶縁性部材30は、絶縁性部材30の外周面が、器官の内壁面に接触した状態で、絶縁性部材30の中に配置した第1の電極20に連結された第1通電ライン152を介して、第1の電極20に高周波電流200を通電して、流動体21を加熱することによって、絶縁性部材が接触した部位を焼灼する機能(アブレーション機能)を兼ね備えていてもよい。ジェネレータ140が高周波電流を発生させる。ジェネレータ140からは高周波電流200が、第2通電ライン154を通って第1通電ライン152に流れる。流動体21を加熱する際には、絶縁性部材30内部で温度差が生じないように、ポンプ120を用いて流動体21を絶縁性部材30内部で流動させる(内部での対流を矢印210で示す)。これにより、絶縁性部材30内部において流動体21が攪拌されて、絶縁性部材30内部の全体が均一な温度になる。
【0027】
次に、図1に示す、参考形態に係る計測器による生体内の電位を計測する原理について、図2及び図3を参照しながら説明する。
【0028】
図2は、絶縁性部材30の外周面が、器官52の内壁面に接触した状態を模式的に示した図である。ここで、絶縁性部材30の中に注入された流動体21は、導電性を有しているため、流動体21と接触している絶縁性部材30の内周面の電位は、絶縁性部材30の中に配置された第1の電極20の電位と、実質的に同じと考えられる。従って、図2に示すように、第1の電極20と、器官52の内壁面とは、絶縁性部材30を挟んで、静電容量結合型電極80を構成していることになる。
【0029】
図3は、絶縁性部材30の外周面が、器官52の内壁面に接触した部位の電位を、絶縁性部材30の中に配置された第1の電極20で計測する方法を示した等価回路図である。ここで、Vbは、絶縁性部材30が器官52の内壁面に接触した部位で計測される電位で、Ceは、第1の電極20と器官52との間の静電容量を示す。なお、Vbは、器官52の周囲にある複数電位の重心電位が伝わって接触部位で計測されたものである。また、生体の表面72には、基準となる接地電極71が貼り付けられており、第1の電極20と接地電極71との間の電圧は、増幅器70で増幅されて、出力電圧Voutとして計測される。また、Cinは、増幅器70の入力容量で、Rinは、増幅器70の入力抵抗を示す。
【0030】
図3に示した等価回路において、キルヒホッフの第2法則より、下記の式(1)が成り立つ。
【数1】
【0031】
ここで、Zceは、電極-器官間の静電容量のインピーダンス、Zcinは、増幅器の入力容量のインピーダンスである。
【0032】
また、増幅器70の閉ループ回路において、キルヒホッフの第1法則により、以下の式(2)が成り立つ。
【数2】
【0033】
式(1)、(2)を用いて、iについて解くと、下記の式(3)が得られる。
【数3】
【0034】
また、オームの法則から、下記の式(4)が成り立つ。
【数4】
【0035】
式(3)を、式(4)に代入して、以下の式(5)が得られる。
【数5】
【0036】
式(5)の分母の第1項と第2項はそれぞれ式(6)、(7)のように表される。
【数6】
【数7】
【数8】
【0037】
式(6)、(7)を、式(5)に代入すると、下記の式(8)が得られる。
【0038】
ここで、増幅器70の入力容量Cinが十分に小さく、かつ、入力抵抗Rinが十分に大きい場合、すなわち、下記の式(9)、(10)が成り立つ場合、式(8)は、下記の式(11)のように表される。
【数9】
【数10】
【数11】
【0039】
すなわち、増幅器70で計測した電圧Voutは、絶縁性部材30が器官52の内壁面に接触した部位の電位Vbと一致する。これにより、絶縁性部材30が器官52の内壁面に接触した部位の電位Vbを、増幅器70により容易に計測することができる。
【0040】
ところで、図2に示した電極-器官間の静電容量Ceは、絶縁性部材30と器官との接触面積をS、絶縁性部材30の厚みをdとすると、下記の式(12)のように表される。
【数12】
【0041】
ここで、εは、真空の誘電率(8.855×10-12 [F/m])、εは、絶縁性部材30の比誘電率である。
【0042】
従って、式(11)を用いて、絶縁性部材30が器官52の内壁面に接触した部位の電位Vbを求める際、絶縁性部材30の厚みdを、式(9)が満たすように設定することが好ましい。
【0043】
例えば、増幅器70の入力容量Cinを10pF、絶縁性部材30と器官との接触面積Sを1000mm、絶縁性部材30の比誘電率εを5(例えば、ポリウレタンの場合)とすると、式(9)から、d<45μmとなる。よって、絶縁性部材30の厚みdは、典型的には、40μm以下が好ましく、10μm以下がより好ましい。
【0044】
また、式(11)を用いて、絶縁性部材30が器官52の内壁面に接触した部位の電位Vbを求めるためには、増幅器70の入力抵抗Rinを、式(10)が満たすように設定することが好ましい。
【0045】
例えば、増幅器70の入力容量Cinを10pF、電極-器官間の静電容量Ceを1000pF(Cin/Ce=0.01)、絶縁性部材30が器官52の内壁面に接触した部位の電位帯域f(jw=2πf)を100Hzとすると、式(10)から、Rin>0.2GΩとなる。よって、増幅器70の入力抵抗Rinは、典型的には、1GΩ以上が好ましい。
【0046】
次に、図8(a)~(c)を参照しながら、本実施形態における絶縁性部材30を用いて、器官の内壁面を焼灼した後、絶縁性部材30の外周面を、器官の内壁面に接触させた状態で、接触した部位の電位を、絶縁性部材30の中に配置した第1の電極20で計測する方法を説明する。なお、ここでは、焼灼する部位として、心房細動の治療部位である左心房と肺静脈との接合近傍を例に説明する。
【0047】
まず、図8(a)に示すように、先端に絶縁性部材(バルーン)30が取り付けられた可撓性部材(カテーテル)10を、左心房50と肺静脈51との接合近傍に挿入する。そして、絶縁性部材30内に導電性の流動体21をポンプ120を用いて注入することによって、絶縁性部材30を膨らませて、絶縁性部材30の外周面を、器官52の内周面に、リング状に接触させる。なお、符号60は、心房細動の起源となる異常な電気信号源を示す。
【0048】
図8(b)、(c)は、第1の電極20に高周波電流を通電して、絶縁性部材30内の流動体21を加熱することによって、絶縁性部材30の表面と接触している器官52を焼灼した後の状態を示す。ここで、図8(b)は、器官52の周囲に亘って、十分な焼灼が行われず、一部に、焼灼されなかった部位(未焼灼部位)が残った状態を示す。一方、図8(c)は、器官52の周囲に亘って、十分な焼灼が行われ、焼灼された部位(焼灼部位)61ができた状態を示す。
【0049】
図8(b)に示した状態で、絶縁性部材30の外周面が接触した部位の電位を、絶縁性部材30の中に配置した第1の電極20で計測した場合、リング状に接触した全ての部位の電位が重畳されるため、未焼灼部位における電位が重畳された電位が計測されることになる。従って、この場合、アブレーション治療による焼灼が、不十分であったことが確認できる。
【0050】
一方、図8(c)に示した状態で、絶縁性部材30の外周面が接触した部位の電位を、絶縁性部材30の中に配置した第1の電極20で計測した場合、未焼灼部位における電位が重畳されて計測されることはない。従って、この場合、アブレーション治療による焼灼が、十分であったことが確認できる。
【0051】
上記の原理に基づいて、図1に示す計測器を用いて計測を行ったところ、図4に示すような電位が計測された。しかしながら、詳細に調べたところ、図4のNの部分にはノイズが重畳しており、正確な電位を計測できていないことが判明した。本発明者らは、正確な電位を計測するために様々な検討を行った結果、本発明に想到するに至った。
【0052】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、本発明は、以下の実施形態に限定されるものではない。また、本発明の効果を奏する範囲を逸脱しない範囲で、適宜変更は可能である。
【0053】
(実施形態1)
実施形態1に係る生体内電位計測器の構成を図5に模式的に示す。本実施形態に係る生体内電位計測器は、中空管状である通液チューブ130に第2の電極73が配置されている。第2の電極73は、通液チューブ130内部に存している導電性の流動体21と電気的に接続されていて、その第2の電極73が流動体21の電位の調整を行っていることが図1に示した参考形態に係る生体内電位計測器とは異なっている点である。それ以外の点では、本実施形態は参考形態とほとんど同じ構成を有している。なお、通液チューブ130とカテーテル10とを合わせて中空管状部材という。
【0054】
図5に示すように、本実施形態の生体内電位計測器は、中空袋状であって外周面が変形自在又は拡張自在な絶縁性部材30と、絶縁性部材30の中空部分の中に配置された第1の電極20とを備えている。また、本実施形態では絶縁性部材30に、可撓性を有し中空管状であるカテーテル10が結合したバルーン付きカテーテルを用いている。
【0055】
図5は、絶縁性部材30の中に導電性の流動体21を注入することによって、絶縁性部材30の外周面を、心房細動の治療部位である左心房50と肺静脈51との接合近傍における器官52の内壁面にリング状に接触させた状態を示している。ここで、導電性の流動体21は、ポンプ120を用いてカテーテル10を介して、外部から注入することができる。ポンプ120とカテーテル10との間は通液チューブ130によって連結されている。また、導電性の流動体21は、例えば、生理食塩水等を用いることができる。
【0056】
通液チューブ130には電極接続部材132が設けられていて、第2の電極73をそこに挿し込むことにより第2の電極が流動体21と接触することになる。なお、電極接続部材132は、第2の電極73が挿し込まれている場合であっても、第2の電極73が抜き取られている場合でも密閉状態であって、流動体21を外部に漏らすことなく通液チューブ130の一部としての役割を果たす。
【0057】
本実施形態でも参考形態に係る計測器と同様に、縁性部材30の外周面を器官52の内壁面にリング状に接触させた状態で、接触した部位の電位を、絶縁性部材30の中に配置した第1の電極20によって計測している。
【0058】
絶縁性部材30が接触した部位の電位は、生体の表面72に基準となる接地電極71を貼り付け、絶縁性部材30の中に配置された第1の電極20と、接地電極71との間の電圧を、生体の外部に配置された増幅器70で増幅することによって計測している。このとき、接地電極71は第3通電ライン156により増幅器70に連結されているとともに、第2の電極73も第4通電ライン158により接地電極71及び増幅器70に連結されている。このように第2の電極73は接地電極71及び増幅器70に連結されていることにより、流動体21内の電位を調整している。
【0059】
また、絶縁性部材30は、絶縁性部材が接触した部位を焼灼する機能(アブレーション機能)を兼ね備えている。接触部位の焼灼は、絶縁性部材30の外周面が器官の内壁面に接触した状態で、第1の電極20に高周波電流200を通電させて、流動体21を加熱することによっておこなわれる。この高周波電流200は、ジェネレータ140によって発生されて、第1通電ライン152を介して供給される。第1通電ライン152は第1の電極20に連結されており、高周波電流200は、第2通電ライン154を通って第1通電ライン152に流れ、それから第1の電極20に供給される。
【0060】
ここで、高周波電流200を第1の電極20に供給して、第1の電極20の発熱により流動体21を加熱すると、加熱された流動体21が上方に移動するため、絶縁性部材30内部では上側の温度が高くなり、下側の温度が低くなる。このように絶縁性部材30内部で温度差が生じると、絶縁性部材30が器官52の内壁面周囲全体に同じように接触していても、高温部分では焼灼されるが低温部分では焼灼がされなかったり、全周で焼灼されても高温部分の焼灼の度合が大きすぎて必要以上に焼灼されてしまう、という不具合が生じてしまう。そのため、絶縁性部材30内部においてこのような温度差(温度分布)が生じないように、ポンプ120を用いて流動体21を絶縁性部材30内部で流動させる(内部での対流を矢印210で示す)。これにより、絶縁性部材30内部において流動体21が攪拌されて、絶縁性部材30内部において全体が均一な温度になる。
【0061】
図6に本実施形態の絶縁性部材30の外周面が、器官52の内壁面に接触した部位の電位を、絶縁性部材30の中に配置された第1の電極20で計測する方法を示した等価回路図を示す。第2の電極73を接地電極71に接続することにより、図3に示す参考形態の等価回路図とは、電流i1A、i2A、出力電圧VoutAが異なってくる。
【0062】
次に、本実施形態における第1の電極20により計測した生体内の電位を図7に示す。図4と比較をすると、Sの部分からノイズが除去されていることがわかる。本願発明者はこのノイズの原因を検討した結果、このノイズは、流動体21が中空管状部材内部を移動する際に流動体21と中空管状部材の内壁との摩擦によって生じる電位の変化であることをつきとめた。すなわち、絶縁性部材30内部において温度差(温度分布)が生じないように、ポンプ120を用いて流動体21の絶縁性部材30内部への流入と流出とを繰り返すことにより、絶縁性部材30内部において流動体21を攪拌しているのであるが、この流入と流出によって流動体21の電位が変化しているのがノイズとなっていたのである。
【0063】
本実施形態では、第2の電極73を中空管状部材の一部である通液チューブ130の電極接続部材132において、流動体21と電気的に接続させている。そして、第2の電極73は接地電極71にも連結されているので、流動体21に発生する電位の変動を除去することができる。第2の電極73はこのようにして流動体21の電位を調整している。
【0064】
本実施形態によれば、アブレーション治療によって器官52を焼灼した後、焼灼付近の器官の電位を計測する際、絶縁性部材30の外周面を、器官52の内壁面にリング状に接触させた状態で、接触した部位の電位を、絶縁性部材30の中に配置した第1の電極20で計測するため、焼灼付近の器官52の電位を、周囲に亘って確実に計測することができる。これにより、未焼灼部位があった場合、未焼灼部位における電位が重畳された電位として計測することができる。その結果、未焼灼部位の存在を見逃すことがないため、焼灼効果を確実に確認することができる。
【0065】
また、絶縁性部材30は、外周面が変形自在又は拡張自在な材料で構成されているため、器官52の形状に合わせて、絶縁性部材30の外周面を、容易に、器官52の内壁面にリング状に接触させることができる。これにより、焼灼付近の器官52の電位を、周囲に亘って確実に計測することができる。その結果、未焼灼部位があった場合、その存在を見逃すことなく、焼灼効果を確実に確認することができる。
【0066】
また、絶縁性部材30に、第1の電極20に高周波電流を通電して、絶縁性部材30が接触した部位を焼灼する機能を持たすことによって、焼灼した部位と同じ位置で、焼灼付近の器官52の電位を計測することができるため、焼灼効果を正確に確認することができる。
【0067】
また、焼灼付近の器官52の電位を、第1の電極20と器官52とを絶縁性部材30を挟んで構成した静電容量結合型電極で計測することによって、一度に、周囲に亘った電位を計測することができる。
【0068】
また、絶縁性部材30を、中空袋状からなるバルーンで構成することによって、絶縁性部材30の膜厚が一定になるため、器官52の周囲に亘る電位を、バラツキなく計測することができる。
【0069】
また、焼灼付近の器官52の電位を計測する際、絶縁性部材30の抜き差しを行う必要がないため、焼灼効果の確認を短時間で行うことができる。また、絶縁性部材30の抜き差しに伴う、器官52内へのエアの混入のリスクも低減することができる。
【0070】
そして、第2の電極73を流動体21に電気的に接続しているので、流動体21に生じる電位の変化(ノイズ)を除去することができ、生体内の電位をより正確に計測することができる。また、第2の電極73を流動体21に電気的に接続させるという簡単な構成で生体内の電位に重畳するノイズを除去することができる。
【0071】
第2の電極73を電極接続部材132から抜き取ると、増幅器70はノイズを計測することができる。
【0072】
また、本実施形態では、器官の内壁面における所定部位の電位を計測する生体内電位計測器を、絶縁性部材の中に電極を配置する簡単な構成にすることによって、生体親和性や安全性に優れた生体内電位計測器を実現することができる。
【0073】
本実施形態における生体内電位計測方法は、生体の器官の内壁面における所定部位の電位を計測する生体内電位計測方法であって、以下の工程(A)~(C)を含み、電位の計測は、第1の電極と基準となる接地電極との間の電圧を計測することによって行われ、中空管状部材の内部に存する前記流動体と電気的に接続された第2の電極が前記接地電極と接続されている。
【0074】
(A)中空袋状の絶縁性部材を、絶縁性部材に結合した中空管状部材を用いて、生体の器官内に挿入する工程
(B)絶縁性部材の中に、中空管状部材を介して、導電性の流動体を注入して、絶縁性部材の外周面を、器官の内壁面に接触させる工程
(C)接触した部位の電位を、第1の電極で計測する工程
本実施形態における生体内電位計測システムは、図5に示した生体内電位計測器と、第1の電極20で検出した電位を増幅する増幅器70とを備えている。
【0075】
(実施形態2)
実施形態2に係る生体内電位計測器の構成を図9に模式的に示す。実施形態2は、ノイズ除去回路であるコイル90が第2の電極73に接続されている点が実施形態1と異なっており、それ以外の点は実施形態1と同じであるので、実施形態1と異なっている点を以下に説明する。
【0076】
本実施形態では、第2の電極73に連結されている第4通電ライン158にコイル90が設けられている。このコイル90により、バルーン付きカテーテルの内部や計測回路内に何らかの原因で発生するノイズや、外部起因のノイズを除去することができる。
【0077】
図10は、本実施形態の絶縁性部材30の外周面が、器官52の内壁面に接触した部位の電位を、絶縁性部材30の中に配置された第1の電極20で計測する方法を示した等価回路図である。第2の電極73を接地電極71に接続することにより、図3に示す参考形態の等価回路図とは、電流i1B、i2B、出力電圧VoutBが異なってくる。
【0078】
本実施形態では、実施形態1の効果に加えて、コイル90を配置しているので、生体内電位をより正確に計測することができる。
【0079】
(実施形態3)
実施形態3に係る生体内電位計測器の構成を図12に模式的に示す。実施形態3では、中空管状部材の一部である通液チューブ130の電極接続部材132において、流動体21と電気的に接続させている第2の電極として、第2A電極74と第2B電極75の2つを備えている。さらに、第2A電極74及び第2B電極75が接続されたノイズキャンセリング回路77を備えている。これらの点が実施形態1と異なっており、それ以外の点は実施形態1と同じであるので、実施形態1と異なっている点を以下に説明する。
【0080】
本実施形態では、第2B電極75により流動体21の電位を捉え、ノイズキャンセリング回路77によってその電位の変動を計測すると共に変動の位相を反転させた信号を作り出して第2A電極74に送り、流動体21の電位変動を打ち消す。流動体21の電位を捉える第2B電極75は、第2A電極74よりも、電位の変動を生じさせるポンプ120に近い側に位置させている。この構成により、流動体21の流動に起因する電位変動をノイズキャンセリング回路77によって打ち消すことができ、実施形態1に比較して生体器官の電位をより正確に計測することができる。
【0081】
(実施形態4)
実施形態4に係る生体内電位計測器の構成を図13に模式的に示す。実施形態4は、ノイズ除去回路であるコイル90,91が第2A電極74及び第2B電極75のそれぞれに接続されている点が実施形態3と異なっており、それ以外の点は実施形態3と同じであるので、実施形態3と異なっている点を以下に説明する。
【0082】
本実施形態では、第2A電極74及び第2B電極75とノイズキャンセリング回路79との間にコイル90,91がそれぞれ設けられている。このコイル90,91により、バルーン付きカテーテルの内部や計測回路内に何らかの原因で発生するノイズや、外部起因のノイズを除去することができる。そのため、実施形態3よりもさらに生体器官の電位を正確に計測することができる。
【0083】
(その他の実施形態)
以上、本発明を好適な実施形態により説明してきたが、こうした記述は限定事項ではなく、もちろん、種々の改変が可能である。例えば、上記実施形態では、絶縁性部材30として、中空袋状のバルーンを例に説明したが、これに限定されず、電位測定用の第1の電極20を、絶縁性部材30で被覆したものであってもよい。また、電位測定用の第1の電極20を、導電性の流動体21を介して絶縁性部材30で被覆したものであってもよい。
【0084】
第2の電極73はポンプ120の流出口の近くに配置しているが中空管状部材いずれかの部分で配置場所はどこでも構わない。ノイズ除去回路90は、実施形態2に係る生体内電位計測器の周辺に置かれた機器の動作などによって接地電極72や第3の通電ライン156、第4の通電ライン158に生じる高周波ノイズを除去できるコイルやコンデンサであれば、その構成は特に限定されない。
【0085】
また、上記実施形態では、アブレーション治療による器官の焼灼後に、焼灼付近の器官の電位を計測する例を説明したが、アブレーション治療をする前に、病変部の状態を診断するために、病変部付近の器官の電位を計測する場合にも適用することができおる。また、アブレーション治療による器官の焼灼を行っている途中に、焼灼の状態をモニタリングするために、焼灼付近の器官の電位を計測してもよい。この場合、第1の電極20への高周波電流の通電と、第1の電極20を用いた電位の計測とを、時間分割で交互に行ってもよい。
【0086】
また、上記実施形態では、基準となる接地電極71を、生体の表面に配置した例を説明したが、接地電極71を、生体の内部に配置してもよい。これにより、生体自身がシールド効果を持つことによって、ノイズを軽減した状態で、器官の電位を計測することができる。例えば、カテーテルの先端に、接地電極71を取り付けてもよい。また、基準となる接地電極71を、体表もしくは体内に複数個配置してもよいし、複数の接地電極から仮想的な接地電極を算出してもよい。
【0087】
また、上記実施形態では、絶縁性部材30の外周面を、器官の内壁面にリング状に接触させた状態で、当該接触した部位の電位を、絶縁性部材30の中に配置した第1の電極20で計測した例を説明したが、これに限定されず、平面部位に絶縁性部材30を押し当てて、当該接触した部位の電位を絶縁性部材30の中に配置した第1の電極20で計測するものであってもよい。例えば、器官の平面的な内壁面に絶縁性部材30を押し当てて、平面部位の表面形状に沿うように絶縁性部材30を変形させつつ、接触させた状態で、当該接触した部位の電位を第1の電極20で計測してもよい。
【0088】
また、上記実施形態では、生体内電位計測器を、アブレーション治療による器官の焼灼後に、焼灼付近の器官の電位を計測する場面に適用する例を説明したが、これに限定されず、診断、治療、または治療効果の確認のために、絶縁性部材30を、生体の器官内に挿入して、器官の内壁面における所定部位の電位を計測するあらゆる場面に適用することができる。
【0089】
また上記実施形態4では、コイルはどちらか一方だけでもよい。
【符号の説明】
【0090】
10 カテーテル
20 第1の電極
21 導電性の流動体
30 絶縁性部材(バルーン)
52 器官
61 焼灼部位
70 増幅器
71 接地電極
73 第2の電極
74 第2A電極(第2の電極)
75 第2B電極(第2の電極)
90 ノイズ除去回路(コイル)
91 ノイズ除去回路(コイル)
120 攪拌部材(ポンプ)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13