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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-01-16
(45)【発行日】2023-01-24
(54)【発明の名称】ドア用配線モジュール
(51)【国際特許分類】
   B60R 16/02 20060101AFI20230117BHJP
   H02G 3/30 20060101ALI20230117BHJP
   H02G 3/04 20060101ALI20230117BHJP
   H01B 7/00 20060101ALI20230117BHJP
   H01B 7/08 20060101ALI20230117BHJP
   H01B 7/285 20060101ALI20230117BHJP
   B60J 5/04 20060101ALI20230117BHJP
   B60R 13/02 20060101ALI20230117BHJP
【FI】
B60R16/02 620C
H02G3/30
H02G3/04
H01B7/00 301
H01B7/08
H01B7/285
B60J5/04 Z
B60R13/02 B
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2018220720
(22)【出願日】2018-11-26
(65)【公開番号】P2020083074
(43)【公開日】2020-06-04
【審査請求日】2021-02-25
(73)【特許権者】
【識別番号】395011665
【氏名又は名称】株式会社オートネットワーク技術研究所
(73)【特許権者】
【識別番号】000183406
【氏名又は名称】住友電装株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000002130
【氏名又は名称】住友電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088672
【弁理士】
【氏名又は名称】吉竹 英俊
(74)【代理人】
【識別番号】100088845
【弁理士】
【氏名又は名称】有田 貴弘
(72)【発明者】
【氏名】山口 晃司
(72)【発明者】
【氏名】水野 芳正
【審査官】瀬戸 康平
(56)【参考文献】
【文献】特開平09-301097(JP,A)
【文献】特開2004-166064(JP,A)
【文献】実開平05-046608(JP,U)
【文献】特開2006-117052(JP,A)
【文献】特開2016-210338(JP,A)
【文献】特開2012-155991(JP,A)
【文献】特開2012-050305(JP,A)
【文献】特表2001-513721(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60J 5/00
B60R 16/02
H01B 7/00
H02G 3/04, 3/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両のドアにおいて、ドアパネルと意匠トリムとの間に組込まれるドア用機能性面状部材と、
前記ドア用機能性面状部材の主面上における面状部分に配線されて、前記ドア用機能性面状部材と固定された配線部材と、
を備え、
前記ドア用機能性面状部材は、車室側に開口すると共に車外側に突出する容器状に形成されている収容空間形成部を含み、
前記収容空間形成部に前記配線部材が接続される電気部品が配置され
前記配線部材は、前記ドア用機能性面状部材の主面上に並んで配線されている複数の被覆電線を含み、
前記収容空間形成部の底に前記配線部材と前記ドア用機能性面状部材との固定部分が設けられ、
前記複数の被覆電線の一部は、前記収容空間形成部の前記底に固定されつつ前記収容空間形成部に配置される前記電気部品に接続され、他の一部は前記収容空間形成部の前記底に固定されつつ前記収容空間形成部を横切る、ドア用配線モジュール。
【請求項2】
請求項に記載のドア用配線モジュールであって、
前記被覆電線が、前記ドア用機能性面状部材と接触部位直接固定されている、ドア用配線モジュール。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載のドア用配線モジュールであって、
前記ドア用機能性面状部材は、インナートリムである、ドア用配線モジュール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、車両のドアに配線部材を組付ける技術に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、ドア用ハーネスを貫通保持した取付片を、ドアの外周縁に取り付けるウエザーストリップの一部に介設して一体に設けておく技術を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開平9-76837号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に開示の技術によると、ウエザーストリップは、弾性材料からなる長尺で細幅の帯状の防水用部材であるため、ウエザーストリップによっては、ドア用ハーネスの形状が一定に定まらず、ドアに組付けにくい。
【0005】
そこで本発明は、車両のドアに配線部材を組付けやすくすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、第1の態様に係るドア用配線モジュールは、車両のドアにおいて、ドアパネルと意匠トリムとの間に組込まれるドア用機能性面状部材と、前記ドア用機能性面状部材の主面上における面状部分に配線されて、前記ドア用機能性面状部材と固定された配線部材と、を備え、前記ドア用機能性面状部材は、車室側に開口すると共に車外側に突出する容器状に形成されている収容空間形成部を含み、前記収容空間形成部に前記配線部材が接続される電気部品が配置され、前記配線部材は、前記ドア用機能性面状部材の主面上に並んで配線されている複数の被覆電線を含み、前記収容空間形成部の底に前記配線部材と前記ドア用機能性面状部材との固定部分が設けられ、前記複数の被覆電線の一部は、前記収容空間形成部の前記底に固定されつつ前記収容空間形成部に配置される前記電気部品に接続され、他の一部は前記収容空間形成部の前記底に固定されつつ前記収容空間形成部を横切る
【0008】
の態様に係るドア用配線モジュールは、第の態様に係るドア用配線モジュールであって、前記被覆電線が、前記ドア用機能性面状部材と接触部位直接固定されている。
【0010】
の態様に係るドア用配線モジュールは、第1又は第2の態様に係るドア用配線モジュールであって、前記ドア用機能性面状部材は、インナートリムである。
【発明の効果】
【0013】
各態様によると、車両のドアに組込まれるドア用機能性面状部材に配線部材が配線されて固定されている。このため、ドア用機能性面状部材が車両のドアに組込まれることによって、配線部材が車両のドアに組込まれることができる。このときドア用機能性面状部材によって配線部材が配線されて固定されているため、ドア用機能性面状部材の組付け時に広げた状態に保ちやすくなり、組付けが容易となる。また、別用途で組付けられるドア用機能性面状部材に配線部材を固定することで、ドアの薄型化、さらには、車室スペースを広くすることが可能となる。
【0014】
態様によると、ドア用配線モジュールを薄くすることができることによって、車両のドアを薄型化できる。これにより、車両の室内空間を広げることができる。また被覆電線を用いることによって、フレキシブルフラットケーブル又はフレキシブルプリント基板などを用いる場合と比べて、コスト削減を図ることができる。
【0015】
の態様によると、被覆電線とドア用機能性面状部材とを固定するための部材を省略できる。
【0017】
の態様によると、インナートリムと配線部材とを一体化できる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】ドアにおいてドア用配線モジュールが組付けられる位置を示す説明図である。
図2】実施形態に係るドア用配線モジュール及びそれが組込まれたドアを示す概略側面図である。
図3図2のIII-III線に沿って切断した概略断面図である。
図4】ドア用配線モジュールの概略分解斜視図である。
図5】ドア用配線モジュールの第1変形例を示す概略断面図である。
図6】ドア用配線モジュールの第2変形例を示す概略分解斜視図である。
図7】第2変形例に係るドア用配線モジュールの概略断面図である。
図8】ドア用配線モジュールの第3変形例を示す概略分解斜視図である。
図9】第3変形例に係るドア用配線モジュールの概略断面図である。
図10】ドア用配線モジュールの第4変形例を示す概略断面図である。
図11】ドア用配線モジュールの第5変形例を示す概略断面図である。
図12】ドア用配線モジュールの第6変形例を示す概略分解斜視図である。
図13】ドア用配線モジュールの第7変形例を示す概略断面図である。
図14】第7変形例に係るドア用配線モジュールの概略分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
{実施形態}
以下、実施形態に係るドア用配線モジュールについて説明する。図1は、ドア10においてドア用配線モジュール30が組付けられる位置を示す説明図である。図2は、実施形態に係るドア用配線モジュール30及びそれが組込まれたドア10を示す概略側面図である。図3は、図2のIII-III線に沿って切断した概略断面図である。図4は、ドア用配線モジュール30の概略分解斜視図である。
【0022】
ドア10は、全体として偏平な形状に形成されており、車両において車室内と車室外とを仕切るように開閉可能に設けられる部分である。ドア10は、運転席側ドア、助手席側ドア、後部座席用ドアである場合等が想定される。ドア10は、ドアパネル12と、意匠トリム18と、ドア用配線モジュール30と、を備える。
【0023】
ドアパネル12は、アウターパネル13と、インナーパネル14とを備える。アウターパネル13は、ドア10のうち車両外側に面する部分に設けられ、ボディ本体と共に車両の外観を構成する部分である。インナーパネル14は、アウターパネル13の車室側に設けられている。インナーパネル14には、開口15が設けられている。
【0024】
意匠トリム18は、ドア10のうち車室内側に面する部分に設けられ、車両の内観を構成する部分である。意匠トリム18には例えば、ドアハンドル20、車載機器の操作部22等が取付けられる。
【0025】
ドア用配線モジュール30は、ドア用機能性面状部材32と、配線部材40と、を備える。ドア用配線モジュール30は、例えば、ドアパネル12に組付けられることによって、ドア10に組み込まれる。
【0026】
ドア用機能性面状部材32は、車両のドア10において、ドアパネル12と意匠トリム18との間に組込まれる部材である。ドア用機能性面状部材32には、配線部材40が固定される。ドア用機能性面状部材32は、配線部材40の固定以外に、ドア10に対する機能を有する面状の部材である。なお、ここでいう面状の部材とは、厚み寸法が、面方向(厚み方向に直交する2方向)の寸法よりも小さい2次元的に広がる部材を言い、必ずしも表裏方向(厚み方向)に平坦である必要はなく、表裏方向に凹凸が生じていてもよい。
【0027】
ここではドア用機能性面状部材32が、ドアパネル12のうちインナーパネル14に形成された開口15を塞ぐインナートリム32であるものとして説明する。ドア用機能性面状部材32は、開口15と同じ程度又は開口15よりも大きく広がる偏平な部品である。このドア用機能性面状部材32は、インナーパネル14の開口15に組付けられた状態で、当該開口15を塞ぐ。これにより、ドア用機能性面状部材32は、車両の内側と外側とを仕切ることができる。ドア用機能性面状部材32がインナーパネル14の開口15に取付けられた状態で、ネジ止、係止構造等によって当該組付状態が保持される。例えば、ドア用機能性面状部材32の周辺部のうちインナーパネル14に重なる部分がネジ止等によってインナーパネル14にネジ止されれば、それらの間の隙間を可及的に塞ぐことができる。
【0028】
ドア用機能性面状部材32がインナーパネル14に組付けられた状態で、アウターパネル13と、インナーパネル14及びドア用機能性面状部材32との間に空間Sが形成される。この空間Sに、ドア10のウインドウ24を収納することができる。当該空間Sには、雨水環境に曝されるウインドウ24が収容され、また、当該空間Sの上方には、ウインドウ24が出入りするスリット状の開口が形成されている。このため、当該空間Sは、水が侵入する可能性がある空間である。また、当該空間Sは、外部空間と繋がる可能性のある空間であるため、外部からの風切り音等が侵入する恐れがある空間でもある。
【0029】
そこで、ドア用機能性面状部材32は、インナーパネル14と共に、車室空間と外部空間とをより完全に仕切る部材として設けられている。
【0030】
ドア用機能性面状部材32は、例えば樹脂又は金属を材料として金型成型された部品である。ドア用機能性面状部材32は、金型内に溶融材料が流し込まれて成型されたものでもよいし、板材が金型を用いたプレス成型されて成型されたものであってもよい。
【0031】
ドア用機能性面状部材32は、表裏方向に曲げ困難な剛性を有しているとよい。これにより、ドア用機能性面状部材32がドアパネル12に組付けられるときに、縁部などが曲がりにくく、広がった形状に保たれやすいことによって、組付けが容易となる。例えば、ドア用機能性面状部材32は、高剛性に形成されている。
【0032】
ドア用機能性面状部材32の面方向の大きさは、開口15を塞ぐことができる大きさであればよい。図1に示す例では、開口15がインナーパネル14のほぼ全面におよぶため、ドア用機能性面状部材32もインナーパネル14の全面に対応する大きさに形成されている。ドア用機能性面状部材32がインナーパネル14の全面に対応する大きさに形成されていると、ドア10に組込まれる配線部材40の大部分をドア用機能性面状部材32上に組込むことができる。
【0033】
ドア用機能性面状部材32には、収容空間形成部34が形成されていてもよい。収容空間形成部34は、ドア用機能性面状部材32の一方主面側(車室側)に開口すると共に、ドア用機能性面状部材32の他方主面側(外側)に突出する容器状に形成されている。収容空間形成部34は、開口15よりも小さい容器状に形成されている。
【0034】
ドア用機能性面状部材32がインナーパネル14の開口15に嵌め込まれた状態で、収容空間形成部34が開口15の内側に配設される。ドア用機能性面状部材32の収容空間形成部34には、ドア10に組込まれる電気部品17A、17Bを組込むことができる。
【0035】
また、ドア用機能性面状部材32の収容空間形成部34の外周の一部から収容空間形成部34の内側に向けて配線支持突部36、38が突設されている。配線支持突部36、38は、ドア用機能性面状部材32において収容空間形成部34の外方部分から収容空間形成部34の底に向けて順次高さ寸法が低くなる傾斜面を有している。
【0036】
配線部材40は、ドア10に設けられ、当該ドア10に設けられた電気部品16、17A、17Bに接続される電気的な配線である。ドア10の配線部材40は、通常、ドア10のヒンジ側で車両と接続されており、ドア10の前側から後側に向う際に分岐して各種電気部品16、17A、17Bに接続される。配線部材40は、ドア用機能性面状部材32に配線されて保持されている。ここでいう配線とは、ドア10への組付け時の配線状態に応じた形態に配線されていることをいう。従って、ドア10に対して、ドア用機能性面状部材32を所定位置に組付けることによって、配線部材40のうちドア用機能性面状部材32に配線されて保持された部分のドア10への配線が完了する。
【0037】
ここでは、配線部材40には、分岐が形成されている。配線部材40におけるこの分岐部分は、ドア用機能性面状部材32に配線されて保持されている。従って、分岐部分は、ドア用機能性面状部材32によって、その分岐形状が維持されている。
【0038】
より具体的には、配線部材40は、複数の電線41、42、43を含む。電線41、42、43としては、金属で構成された芯線の周囲に被覆が形成された被覆電線を用いることができる。芯線は、単芯線であってもよいし、撚り合せ線であってもよい。
【0039】
ここでは、複数の電線41、42、43は、第1電線41、第2電線42、第3電線43を含む。第1電線41は複数(ここでは3本)設けられ、第2電線42も複数(ここでは2本)設けられ、第3電線43も複数(ここでは2本)設けられている。複数の電線41、42、43は、ドア用機能性面状部材32上に並んで配線されている。
【0040】
第1電線41、第2電線42、第3電線43は、それぞれの一端側では並列状態に集合されている。例えば、第1電線41、第2電線42及び第3電線43の一端部には、共通コネクタが取付けられる。係る共通コネクタが車両本体側の配線部材のコネクタなどに接続される。これにより、ドア10に設けられた電気部品16、17A、17Bが、車両本体に搭載されるバッテリから電源供給を受けたり、車両本体に搭載されるECU又はゲートウェイなどと信号授受がなされたりする。なお図2に示す例では、第1電線41、第2電線42及び第3電線43の一端部がドア10から外方に延出しているが、第1電線41、第2電線42及び第3電線43の一端部がドア10内に収まっていてもよい。
【0041】
第1電線41は、第2電線42及び第3電線43に対して最も長く延在し、第2電線42及び第3電線43は、第1電線41の延在方向中間部で分岐している。第1電線41、第2電線42及び第3電線43のそれぞれの他端部には、コネクタ44、45、46が取付けられており、当該コネクタ44、45、46を介して電気部品16、17A、17Bに接続される。
【0042】
より具体的には、複数の第1電線41は、ドア用機能性面状部材32の前縁部の上下方向中間部から当該ドア用機能性面状部材32の前側一方主面、配線支持突部36の傾斜面、収容空間形成部34の底の内面、配線支持突部38の傾斜面、ドア用機能性面状部材32の後側一方主面を経由して、ドア用機能性面状部材32の後縁部の上下方向中間部に至る一定経路に沿って保持されている。複数の第1電線41は、ドア用機能性面状部材32の後端部から延出してドア10の後部に組込まれる電気部品16、例えばドアロック及びアンロック用モータに接続される。
【0043】
複数の第2電線42は、第1電線41の上側で、ドア用機能性面状部材32の前縁部の上下方向中間部から当該ドア用機能性面状部材32の前側一方主面を経由して配線支持突部36の傾斜面の途中迄に至る一定経路に沿って保持されている。
【0044】
複数の第3電線43は、第1電線41の下側で、ドア用機能性面状部材32の前縁部の上下方向中間部から当該ドア用機能性面状部材32の前側一方主面を経由して配線支持突部36の傾斜面の途中迄に至る一定経路に沿って保持されている。
【0045】
複数の第2電線42及び複数の第3電線43は、配線支持突部36の傾斜面の途中で第1電線41に対して分岐して、収容空間形成部34内に導かれ、当該収容空間形成部34内の電気部品17A、17B、例えば、ウインドウを開閉するための窓開閉治具26を駆動するモータ、各種スイッチに接続される。
【0046】
配線部材40は、ドア用機能性面状部材32の主面上における面状部分に配線されて、ドア用機能性面状部材32と固定されている。ここで、面状部分とは、ドア用機能性面状部材32の主面において、配線部材40を収容保持するための溝が形成されていない部分であり、例えば配線部材40の幅方向(複数の電線41、42、43の並ぶ方向)に平面状又は凸面状などに形成された部分である。ドア用機能性面状部材32と複数の電線41、42、43との固定態様は、ドア用機能性面状部材32に形成された溝に複数の電線41、42、43が収容保持されることによって固定される態様以外の態様であれば、特に限定されるものではなく、種々の固定態様を採用することができる。
【0047】
係る固定態様として、接触部位固定であってもよいし、非接触部位固定であってもよいし、両者が併用されていてもよい。ここで接触部位固定とは、ドア用機能性面状部材32と電線41、42、43とが接触する部分がくっついて固定されているものである。また、非接触部位固定とは、接触部位固定でない固定態様である。例えば、縫糸、別のシート材、粘着テープなどが、電線41、42、43をドア用機能性面状部材32に向けて押え込んだり、縫糸、別のシート材、粘着テープなどが、ドア用機能性面状部材32と電線41、42、43とを囲む状態などとなって、ドア用機能性面状部材32と電線41、42、43とを挟み込んだりして、ドア用機能性面状部材32と電線41、42、43とが固定された状態に維持するものである。以下では、ドア用機能性面状部材32と電線41、42、43とが、接触部位固定の状態にあるものとして説明する。接触部位固定に関する各説明は、適用不可能な構成でない限り、非接触部位固定にも適用可能である。
【0048】
係る接触部位固定の態様として、接触部位間接固定であってもよいし、接触部位直接固定であってもよいし、異なる領域で両者が併用されていてもよい。ここで接触部位間接固定とは、ドア用機能性面状部材32と電線41、42、43とが、その間に設けられた接着剤、粘着剤、両面粘着テープなどの介在部材を介して間接的にくっついて固定されているものである。また接触部位直接固定とは、電線41、42、43とドア用機能性面状部材32とが別に設けられた接着剤等を介さずに直接くっついて固定されているものである。接触部位直接固定では、例えばドア用機能性面状部材32と電線41、42、43とのうち少なくとも一方に含まれる樹脂が溶かされることによってくっついて固定されることが考えられる。以下では、ドア用機能性面状部材32と電線41、42、43とが、接触部位間接固定の状態にあるものとして説明する。接触部位間接固定に関する各説明は、適用不可能な構成でない限り、接触部位直接固定にも適用可能である。
【0049】
係る接触部位間接固定の状態が形成されるに当たり、ここでは図3に示すように、ホットメルトなどの接着剤50によって、ドア用機能性面状部材32と電線41、42、43とが固定されている。接着剤50は、例えば接着剤供給機構80によってドア用機能性面状部材32上に設けられる。この際、図3に示す例では、電線41、42、43が接着剤50に埋まっている。もちろん、電線41、42、43が接着剤50に埋まっている必要はなく、電線41、42、43の上部(ドア用機能性面状部材32に面する側とは反対側)が接着剤50から露出していてもよい。
【0050】
電線41、42、43と接着剤50とは、電線41、42、43が先にドア用機能性面状部材32上に配線された後に接着剤50が設けられてもよいし、先にドア用機能性面状部材32上に設けられた接着剤50上に電線41、42、43が配線されてもよい。
【0051】
以上のように構成されたドア用配線モジュール30によると、車両のドア10に組込まれるドア用機能性面状部材32に配線部材40が配線されて固定されている。このため、ドア用機能性面状部材32が車両のドア10に組込まれることによって、配線部材40が車両のドア10に組込まれることができる。このときドア用機能性面状部材32に配線部材40が配線されて固定されているため、ドア用機能性面状部材32の組付け時に広げた状態に保ちやすくなり、組付けが容易となる。また、配線部材40の固定の用途とは別用途で組付けられるドア用機能性面状部材32に配線部材40を固定することで、ドア10の薄型化、さらには、車室スペースを広くすることが可能となる。
【0052】
また配線部材40は、ドア用機能性面状部材32の主面上に並んで配線されている複数の被覆電線41、42、43を含むため、ドア用配線モジュール30を薄くすることができることによって、車両のドア10を薄型化できる。これにより、車両の室内空間を広げることができる。また被覆電線41、42、43を用いることによって、フレキシブルフラットケーブル又はフレキシブルプリント基板などを用いる場合と比べて、コスト削減を図ることができる。
【0053】
またドア用機能性面状部材32としてインナートリム32が採用されているため、インナートリム32と配線部材40とを一体化できる。
【0054】
{変形例}
ドア用機能性面状部材32と配線部材40との固定構造の変形例について、第1変形例から第4変形例を交えて説明する。
【0055】
図5は、ドア用配線モジュール30の第1変形例を示す概略断面図である。
【0056】
本例のドア用配線モジュール130は、ドア用機能性面状部材32と電線41、42、43とが、いずれか一方に含まれる樹脂が相手側にくっつくことによって接触部位直接固定されている事例である。係る接触部位直接固定の状態が形成されるに当たり、樹脂は、例えば、熱によって溶かされることも考えられるし、溶剤によって溶かされることも考えられる。つまり、接触部位直接固定の状態としては、熱による接触部位直接固定の状態であってもよいし、溶剤による接触部位直接固定の状態であってもよい。好ましくは、熱による接触部位直接固定の状態であるとよい。
【0057】
このとき接触部位直接固定の状態を形成する手段は特に限定されるものではなく、溶着、融着、溶接等の公知の手段を含む各種手段を用いることができる。例えば、溶着によって熱による接触部位直接固定の状態を形成する場合、超音波溶着、加熱加圧溶着、熱風溶着、高周波溶着など種々の溶着手段を採用することができる。またこれらの手段によって接触部位直接固定の状態が形成されると、ドア用機能性面状部材32と電線41、42、43とは、その手段による接触部位直接固定の状態とされる。具体的には、例えば、超音波溶着によって接触部位直接固定の状態が形成されると、ドア用機能性面状部材32と電線41、42、43とは、超音波溶着による接触部位直接固定の状態とされる。溶着によって熱による接触部位直接固定の状態を形成した部分(ドア用機能性面状部材32と電線41、42、43とドの固定部分)を溶着部、このうち、超音波溶着による固定部分を超音波溶着部、加熱加圧溶着による固定部分を加熱加圧溶着部等と称してもよい。
【0058】
接触部位直接固定の場合、ドア用機能性面状部材32に含まれる樹脂のみが溶けていてもよいし、電線41、42、43の被覆に含まれる樹脂のみが溶けていてもよい。これらの場合において、溶けた方の樹脂が他方の外面にくっついた状態となり、比較的はっきりした界面が形成されることがある。また、接触部位直接固定の場合、ドア用機能性面状部材32に含まれる樹脂と電線41、42、43の被覆に含まれる樹脂との両方が溶けていてもよい。この場合、両方の樹脂が混ざり合ってはっきりした界面が形成されないことがある。特に、ドア用機能性面状部材32と電線41、42、43の被覆とが、同じ樹脂材料など相溶しやすい樹脂を含む場合などに、両方の樹脂が混ざり合ってはっきりした界面が形成されないことがある。
【0059】
ドア用機能性面状部材32と電線41、42、43とが接触部位直接固定されるに当たって、ドア用機能性面状部材32の表面層と、電線41、42、43の被覆の表面層とが、同種の樹脂材料など接触部位直接固定可能な材料で形成されているとよい。この場合、ドア用機能性面状部材32、及び電線41、42、43の被覆が共に単一層であってもよい。またドア用機能性面状部材32、及び電線41、42、43の被覆の少なくとも一方に、接触部位直接固定用の融着層が設けられていてもよい。この場合、ドア用機能性面状部材32に融着層が設けられてドア用機能性面状部材32が2層以上とされていてもよいし、電線41、42、43の被覆に融着層が設けられて電線41、42、43の被覆が2層以上とされていてもよいし、両者に融着層が設けられていてもよい。ドア用機能性面状部材32において融着層は、ドア用機能性面状部材32の一方主面の全面に設けられてもよいし、電線41、42、43が固定される一部(例えば、図2に示す固定領域)に設けられていてもよい。同様に融着層は、電線41、42、43の周囲全体に設けられていてもよいし、周方向に沿ってドア用機能性面状部材32側を向く一部に設けられていてもよい。また融着層は、電線41、42、43の延在方向全体に設けられていてもよいし、延在方向に沿って間隔をあけて断続的に設けられていてもよい。
【0060】
本例では、例えば電線41、42、43がドア用機能性面状部材32上に配線された部分が、超音波溶着機などで接触部位直接固定されることが想定されている。
【0061】
なお本例において、電線41、42、43とドア用機能性面状部材32との固定領域は、図2に示す例において接着剤50が設けられる領域と同様の領域であってもよいし、電線41、42、43の長手方向に一連であってもよい。
【0062】
このように被覆電線41、42、43が、ドア用機能性面状部材32と接触部位直接固定されていると、被覆電線41、42、43とドア用機能性面状部材32とを固定するための部材を省略できる。
【0063】
図6は、ドア用配線モジュール30の第2変形例を示す概略分解斜視図である。図7は、第2変形例に係るドア用配線モジュール230の概略断面図である。
【0064】
本例のドア用配線モジュール230では、ドア用機能性面状部材32と電線41、42、43との固定に、上述した非接触部位固定が適用されている事例である。特に本例では、固定用シート52で配線部材40をドア用機能性面状部材32に対して押さつけている事例である。
【0065】
固定用シート52は電線41、42、43の上方を覆う覆い部53と、覆い部53の側方に連なり、電線41、42、43の側方でドア用機能性面状部材32と固定される固定部54とを含む。
【0066】
係る固定用シート52は、例えば、片面の全面に粘着剤が設けられた粘着テープであってもよい。この場合、粘着テープは、電線41、42、43に貼り付く部分が覆い部53となり、その側方でドア用機能性面状部材32に貼り付く部分が固定部54となる。
【0067】
また係る固定用シート52は、例えば、全面に粘着剤の設けられていないシート部材であってもよい。この場合、粘着剤の設けられていないシート部材である固定用シート52の固定部54と電線41、42、43との固定は、特に限定されるものではなく、例えば、実施形態においてドア用機能性面状部材32と電線41、42、43との固定で説明した接触部位直接固定、接触部位間接固定又は非接触部位固定などを適用することができる。なお、シート部材である固定用シート52と電線41、42、43とは固定されていなくてもよい。
【0068】
本例では、電線41、42、43がドア用機能性面状部材32上に配線された部分に、固定用シート52が被せられるとともに、固定用シート52がドア用機能性面状部材32と固定されることが想定されている。
【0069】
なお、本例において、固定用シート52の設けられる領域は、図2に示す例において接着剤50が設けられる領域と同様の領域であってもよいし、電線41、42、43の長手方向に一連であってもよい。
【0070】
図8は、ドア用配線モジュール30の第3変形例を示す概略分解斜視図である。図9は、第3変形例に係るドア用配線モジュール330の概略断面図である。図10は、ドア用配線モジュール30の第4変形例を示す概略断面図である。
【0071】
第3変形例及び第4変形例に係るドア用配線モジュール330、430は、配線部材140が電線41、42、43を並列状態に保つシート部材48を有し、このシート部材48がドア用機能性面状部材32と固定されている事例である。
【0072】
シート部材48を構成する材料は特に限定されるものではないが、シート部材48は、例えばPVC(ポリ塩化ビニル)、PET(ポリエチレンテレフタレート)、PP(ポリプロピレン)などの樹脂を含む材料によって形成される。シート部材48は、内部が一様に埋ったシート状部材であってもよいし、不織シート、織地、編地などの布地等であってもよい。シート部材48は、金属などの材料を含むこともあり得る。シート部材48は、好ましくは、表裏方向において容易に曲る柔軟性を有する。シート部材48は、単層であってもよいし、複数層積層されていてもよい。複数層積層されている場合、例えば、樹脂層と樹脂層とが積層されていることが考えられる。また例えば、樹脂層と金属層とが積層されていることが考えられる。
【0073】
図8に示す例では、シート部材48が第1電線41に応じた直線状に形成されているが、このことは必須の構成ではない。シート部材は、曲がった部分を有していてもよい。
【0074】
図8に示す例では、シート部材48は、電線41、42、43の分岐部分を支持している。このように電線41、42、43が分岐する場合、分岐後にそれぞれ異なる方向に延びる部分を支持可能に、シート部材48も分岐する形状に形成されていてもよい。
【0075】
シート部材48と電線41、42、43との固定は、特に限定されるものではなく、例えば、実施形態においてドア用機能性面状部材32と電線41、42、43との固定で説明した接触部位直接固定、接触部位間接固定又は非接触部位固定などを適用することができる。例えば、図9及び図10に示す例では、シート部材48と電線41、42、43とが接触部位直接固定されている。
【0076】
このとき第3変形例では、シート部材48の裏面(電線41、42、43が固定される面と反対側の面)が、ドア用機能性面状部材32に固定されている。また第4変形例では、シート部材48の表面(電線41、42、43が固定される面)のうち電線41、42、43の側方の部分が、ドア用機能性面状部材32に固定されている。
【0077】
シート部材48とドア用機能性面状部材32との固定態様は、特に限定されるものではなく、例えば、実施形態においてドア用機能性面状部材32と電線41、42、43との固定で説明した接触部位直接固定、接触部位間接固定又は非接触部位固定などを適用することができる。例えば、図9及び図10に示す例では、シート部材48とドア用機能性面状部材32とが接触部位直接固定されている。
【0078】
第3変形例及び第4変形例では、電線41、42、43がシート部材48に配線されて固定されて配線部材140とされた後に、配線部材140がドア用機能性面状部材32上に配設されるとともに、シート部材48がドア用機能性面状部材32と固定されることが想定されている。
【0079】
このように配線部材140が、複数の被覆電線41、42、43を並んだ状態に保持するシート部材48をさらに含み、シート部材48がドア用機能性面状部材32に固定されていると、先に配線形態とされた配線部材140をドア用機能性面状部材32に固定できる。
【0080】
図11は、ドア用配線モジュール30の第5変形例を示す概略断面図である。
【0081】
本例のドア用配線モジュール530は、配線部材40を覆う防音部材60をさらに備える事例である。
【0082】
防音部材60は、音を減らす部材である。防音部材は、吸音材によって構成されていてもよいし、遮音材によって構成されていてもよい。吸音材は、厚み方向の断面を見て空間があるものである。吸音材は、例えば、入射した音エネルギーを吸収等することで、音の反射をなるべく少なくする。吸音材としては、例えば、発泡樹脂(発泡ウレタン等)、不織シート等、内部に細かい空間が多数存在する材料(多孔質な材料)を用いることができる。遮音材は、厚み方向の断面を見て空間がないものである。遮音材は、例えば、音エネルギーを吸収したり反射したりすることで音をなるべく遮る。遮音材としては、例えば、内部が一様に埋まった樹脂シート等、内部に空間がない材料を用いることができる。防音部材60として、吸音材、遮音材のいずれが用いられてもよい。防音部材60は、吸音材としての機能と遮音材としての機能を兼ね備えていてもよい。以下では、防音部材60が吸音材60であるものとして説明する。
【0083】
吸音材60は、配線部材40がドア用機能性面状部材32に固定される部分において、ドア用機能性面状部材32とは反対側から配線部材40を覆うように設けられている。この場合、配線部材40の出す異音を吸音材60が吸収することができる。係る吸音材60は、配線部材40のうちドア用機能性面状部材32上に配線される部分において、延在方向に沿った一部に設けられてもよいし、全体に設けられていてもよい。係る吸音材60の幅寸法は、並列する複数の電線41、42、43を覆うことができればよく、図11に示すように、ドア用機能性面状部材32の幅寸法よりも小さく形成されていてもよい。
【0084】
吸音材60とドア用機能性面状部材32との固定態様は、特に限定されるものではなく、例えば、実施形態においてドア用機能性面状部材32と電線41、42、43との固定で説明した接触部位直接固定、接触部位間接固定又は非接触部位固定などを適用することができる。例えば、図11に示す例では、吸音材60とドア用機能性面状部材32とが接触部位直接固定されている。
【0085】
なお本例では、実施形態に係るドア用配線モジュール30のように配線部材40が接着剤50でドア用機能性面状部材32に固定されている部分に対して吸音材60が設けられている例で説明したが、他の固定態様に係るドア用配線モジュール130、230、330、430に対して吸音材60が設けられていてもよい。
【0086】
図12は、ドア用配線モジュールの第6変形例を示す概略分解斜視図である。
【0087】
本例のドア用配線モジュール630は、ドア用機能性面状部材がインナートリム32以外の部材である事例である。
【0088】
すなわちこれまで、ドア用機能性面状部材32がインナーパネル14の開口15を塞ぐインナートリム32であるものとして説明してきたが、このことは必須の構成ではない。ドア用機能性面状部材は、ドアパネル12と意匠トリム18との間に組み込まれる部材であれば、防水フィルム、防音材などであってもよい。図12に示す例では、ドア用機能性面状部材132が防水フィルム、又は防音材である例を示している。
【0089】
防水フィルムは、例えば、樹脂を材料として内部が一様に埋まったシート状に形成された部材である。防水フィルムは、水を通さない層を有する部材であり、外部からの水の浸入を抑制する。なお、防水フィルムは、水を通さない層のみで構成されている必要はなく、防水フィルムには、水を通す層が積層されていてもよい。例えば、防水フィルムは、水を通す基材に、防水加工が施されて、表面に防水層が形成されたものであってもよい。
【0090】
防音部材は、音を減らす部材である。防音部材は、吸音材によって構成されていてもよいし、遮音材によって構成されていてもよい。吸音材は、厚み方向の断面を見て空間があるものである。吸音材は、例えば、入射した音エネルギーを吸収等することで、音の反射をなるべく少なくする。吸音材としては、例えば、発泡樹脂(発泡ウレタン等)、不織シート等、内部に細かい空間が多数存在する材料(多孔質な材料)を用いることができる。遮音材は、厚み方向の断面を見て空間がないものである。遮音材は、例えば、音エネルギーを吸収したり反射したりすることで音をなるべく遮る。遮音材としては、例えば、内部が一様に埋まった樹脂シート等、内部に空間がない材料を用いることができる。防音部材として、吸音材、遮音材のいずれが用いられてもよい。防音部材は、吸音材としての機能と遮音材としての機能を兼ね備えていてもよい。
【0091】
ドア用機能性面状部材132が防水フィルム、又は吸音材である場合でも、ドア用機能性面状部材32と、配線部材40、140との固定と同様に、ドア用機能性面状部材132と、配線部材40、140とを固定することができる。
【0092】
このように、ドア用機能性面状部材132として防水フィルム、又は吸音材が採用されていると、防水フィルム又は吸音材と配線部材40とを一体化できる。特に、配線部材40を一枚の防水フィルム又は吸音材に対して配線及び固定可能となる。
【0093】
図13は、ドア用配線モジュール30の第7変形例を示す概略断面図である。図14は、第7変形例に係るドア用配線モジュール730の概略分解斜視図である。
【0094】
これまで配線部材40、140がドア用機能性面状部材32、132に対して車室内側に設けられるものとして説明してきたが、このことは必須の構成ではない。ドア用配線モジュール及びこれが組込まれたドアにおいて、配線部材40、140がドア用機能性面状部材32、132に対して車室外側に設けられていてもよい。図14に示す例では、配線部材40がドア用機能性面状部材132に対して車室外側に設けられている例が示されている。ドア用機能性面状部材32を用いた各例及び配線部材140を用いた各例についても、同様に配線部材がドア用機能性面状部材に対して車室外側に設けられていてもよい。
【0095】
そのほか、これまで説明したドア用配線モジュールにおける配線部材40の配線形態は例示であり、ドア用配線モジュールにおける配線部材40の配線形態は上記したものに限られない。例えば、配線部材40のうち他方の端部がドア用機能性面状部材32から外方に延びていてもよい。また例えば、第1電線41、第2電線42及び第3電線43の分岐位置と同じ位置又は異なる位置で、第1電線41、第2電線42及び第3電線43に対して分岐する第4電線を有していてもよい。
【0096】
またこれまで配線部材40が電線41、42、43である場合を説明したが、配線部材40は、複数の線状導体を並列状態で被覆した帯状の配線部材、例えば、フレキシブルフラットケーブル等であってもよい。配線部材は、扁平に形成された扁平配線部材であるとよい。
【0097】
なお、上記実施形態及び各変形例で説明した各構成は、相互に矛盾しない限り適宜組み合わせることができる。
【0098】
本明細書及び図面には下記の各態様が開示される。
第1の態様に係るドア用配線モジュールは、車両のドアにおいて、ドアパネルと意匠トリムとの間に組込まれるドア用機能性面状部材と、前記ドア用機能性面状部材の主面上における面状部分に配線されて、前記ドア用機能性面状部材と固定された配線部材と、を備える。
第2の態様に係るドア用配線モジュールは、第1の態様に係るドア用配線モジュールであって、前記配線部材は、前記ドア用機能性面状部材の主面上に並んで配線されている複数の被覆電線を含む。
第3の態様に係るドア用配線モジュールは、第2の態様に係るドア用配線モジュールであって、前記被覆電線が、前記ドア用機能性面状部材と接触部位直接固定されている。
第4の態様に係るドア用配線モジュールは、第2の態様に係るドア用配線モジュールであって、前記配線部材は、前記複数の被覆電線を並んだ状態に保持するシート部材を含み、前記シート部材が前記ドア用機能性面状部材に固定されている。
第5の態様に係るドア用配線モジュールは、第1から第4のいずれか1つの態様に係るドア用配線モジュールであって、前記ドア用機能性面状部材は、インナートリムである。
第6の態様に係るドア用配線モジュールは、第1から第4のいずれか1つの態様に係るドア用配線モジュールであって、前記ドア用機能性面状部材は、防水フィルムである。
第7の態様に係るドア用配線モジュールは、第1から第4のいずれか1つの態様に係るドア用配線モジュールであって、前記ドア用機能性面状部材は、防音部材である。
各態様によると、車両のドアに組込まれるドア用機能性面状部材に配線部材が配線されて固定されている。このため、ドア用機能性面状部材が車両のドアに組込まれることによって、配線部材が車両のドアに組込まれることができる。このときドア用機能性面状部材によって配線部材が配線されて固定されているため、ドア用機能性面状部材の組付け時に広げた状態に保ちやすくなり、組付けが容易となる。また、別用途で組付けられるドア用機能性面状部材に配線部材を固定することで、ドアの薄型化、さらには、車室スペースを広くすることが可能となる。
第2の態様によると、ドア用配線モジュールを薄くすることができることによって、車両のドアを薄型化できる。これにより、車両の室内空間を広げることができる。また被覆電線を用いることによって、フレキシブルフラットケーブル又はフレキシブルプリント基板などを用いる場合と比べて、コスト削減を図ることができる。
第3の態様によると、被覆電線とドア用機能性面状部材とを固定するための部材を省略できる。
第4の態様によると、先に配線形態とされた配線部材をドア用機能性面状部材に固定できる。
第5の態様によると、インナートリムと配線部材とを一体化できる。
第6の態様によると、防水フィルムと配線部材とを一体化できる。
第7の態様によると、防音部材と配線部材とを一体化できる。
以上のようにこの発明は詳細に説明されたが、上記した説明は、すべての局面において例示であって、この発明がそれに限定されるものではない。例示されていない無数の変形例が、この発明の範囲から外れることなく想定され得るものと解される。
【符号の説明】
【0099】
10 ドア
12 ドアパネル
13 アウターパネル
14 インナーパネル
15 開口
18 意匠トリム
30 ドア用配線モジュール
32 ドア用機能性面状部材
40 配線部材
41 第1電線
42 第2電線
43 第3電線
44、45、46 コネクタ
48 シート部材
50 接着剤
52 固定用シート
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14