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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-01-16
(45)【発行日】2023-01-24
(54)【発明の名称】インストルメントパネル構造
(51)【国際特許分類】
   B60K 37/00 20060101AFI20230117BHJP
   B60H 1/34 20060101ALI20230117BHJP
【FI】
B60K37/00 D
B60H1/34 651B
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2018221577
(22)【出願日】2018-11-27
(65)【公開番号】P2020083112
(43)【公開日】2020-06-04
【審査請求日】2021-07-20
(73)【特許権者】
【識別番号】000003137
【氏名又は名称】マツダ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】弁理士法人前田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】平野 高広
(72)【発明者】
【氏名】武田 将志
(72)【発明者】
【氏名】中村 隆行
【審査官】藤村 聖子
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-085710(JP,A)
【文献】特開2011-105035(JP,A)
【文献】特開2009-274607(JP,A)
【文献】特開2018-172117(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60K 37/00
B60H 1/34
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車室内の前部に配設されたインストルメントパネルと、
前記インストルメントパネルの表面に開口する吹出口を通じて、ルーバーにより向きを変更した空調風を前記車室内に吹き出すルーバーユニットと、
前記インストルメントパネルの表面に開口する第2吹出口を通じて、ルーバーにより向きを変更した空調風を前記車室内に吹き出す第2ルーバーユニットと、
前記インストルメントパネルの表面に取り付けられかつ、前記吹出口から吹き出した前記空調風を整流する整流部材と、を備え、
前記吹出口と前記第2吹出口とは上下方向に同じ位置でかつ、車幅方向に位置が異なり、
前記インストルメントパネルは、前記吹出口及び前記第2吹出口の上に、前記吹出口及び前記第2吹出口よりも車両の後方に突出すると共に、車幅方向に延びる突出部を有し、
車幅方向に沿って見たときに、前記突出部の表面と前記吹出口とが成す角度は、前記突出部の表面と前記第2吹出口とが成す角度よりも大きく、
前記整流部材は、
前記吹出口の上縁の上で前記上縁に沿って水平に延びかつ、前記空調風が上方へ広がることを規制する第1整流部と、
前記吹出口の下縁の下で前記下縁に沿って水平に延びかつ、前記空調風が下方へ広がることを規制する第2整流部と、を有し
前記第2整流部は、前記吹出口から前記第2吹出口までにわたって水平に延び、
前記第1整流部は、前記吹出口と前記突出部との間に設けられかつ、前記第2吹出口と前記突出部との間に設けられていないインストルメントパネル構造。
【請求項2】
請求項1に記載のインストルメントパネル構造において、
前記ルーバーユニットは、前記インストルメントパネルの車幅方向の端部に設けられ、
前記整流部材は、前記吹出口における、車幅方向の内方の側縁及び車幅方向の外方の側縁のうち、外方の側縁の横で上下方向に延びかつ、前記第1整流部と前記第2整流部とをつなぐ第3整流部を有し、
前記第3整流部は、前記空調風が車幅方向の外方へ広がることを規制するインストルメントパネル構造。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のインストルメントパネル構造において、
前記インストルメントパネルの下にはグローブボックスが配設されており、
前記第2整流部は、前記インストルメントパネルの下端縁と前記グローブボックスの上端縁との間で水平に延びているインストルメントパネル構造。
【請求項4】
請求項3に記載のインストルメントパネル構造において、
前記整流部材の表面は、前記インストルメントパネルの表面及び前記グローブボックスの表面よりも高明度であるインストルメントパネル構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
ここに開示する技術は、インストルメントパネル構造に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、インストルメントパネルに設けられたレジスタが記載されている。このレジスタは、インストルメントパネルに取り付けられる固定ベゼルを有している。固定ベゼル内には、空気流の向きを車幅方向に変更する複数のフィン(ルーバー)と、空気流の向きを上下方向に変更する可動ベゼルとが配置されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2014-58257号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
インストルメントパネルに開口する吹出口から車室内に吹き出した空調風は、インストルメントパネルの表面に沿って流れることにより、空調風が上方及び/又は下方へと拡散してしまう場合がある。空調風が上方及び/又は下方へと拡散してしまうことによって、乗員に空調風を集中させることができない恐れがある。
【0005】
特許文献1に記載されているレジスタは、固定ベゼル内に配置した可動ベゼルによって、空調風の向きを変更しようとしているが、吹出口から吹き出した後の空調風を変更することはできない。
【0006】
ここに開示する技術は、空調風の上下方向の流れを制御する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
ここに開示する技術は、インストルメントパネル構造に関する。インストルメントパネル構造は、車室内の前部に配設されたインストルメントパネルと、前記インストルメントパネルの表面に開口する吹出口を通じて、ルーバーにより向きを変更した空調風を前記車室内に吹き出すルーバーユニットと、前記インストルメントパネルの表面に開口する第2吹出口を通じて、ルーバーにより向きを変更した空調風を前記車室内に吹き出す第2ルーバーユニットと、前記インストルメントパネルの表面に取り付けられかつ、前記吹出口から吹き出した前記空調風を整流する整流部材と、を備えている。
【0008】
前記吹出口と前記第2吹出口とは上下方向に同じ位置でかつ、車幅方向に位置が異なり、前記インストルメントパネルは、前記吹出口及び前記第2吹出口の上に、前記吹出口及び前記第2吹出口よりも車両の後方に突出すると共に、車幅方向に延びる突出部を有し、車幅方向に沿って見たときに、前記突出部の表面と前記吹出口とが成す角度は、前記突出部の表面と前記第2吹出口とが成す角度よりも大きく、前記整流部材は、前記吹出口の上縁の上で前記上縁に沿って水平に延びかつ、前記空調風が上方へ広がることを規制する第1整流部と、前記吹出口の下縁の下で前記下縁に沿って水平に延びかつ、前記空調風が下方へ広がることを規制する第2整流部と、を有している。
【0009】
そして、前記第2整流部は、前記吹出口から前記第2吹出口までにわたって水平に延び、前記第1整流部は、前記吹出口と前記突出部との間に設けられかつ、前記第2吹出口と前記突出部との間に設けられていない。
【0010】
この構成によると、インストルメントパネルの表面に取り付けられた整流部材が、吹出口から車室内に吹き出した空調風の方向を制御する。具体的に、吹出口の上縁の上で上縁に沿って水平に延びる第1整流部は、空調風が上方へ広がることを規制する。また、吹出口の下縁の下で下縁に沿って水平に延びる第2整流部は、空調風が下方へ広がることを規制する。吹出口から吹き出した空調風は、上下方向に拡散することが抑制される。その結果、乗員に空調風を集中させることができる。整流部材は、空調風の流れを吹出口の外において上下方向に制御することができる。
【0011】
突出部の表面と吹出口とが成す角度が相対的に大きいため、吹出口から吹き出した空調風は、吹出口の上の突出部の表面に沿って上方へ広がる恐れがある。吹出口と突出部との間の第1整流部は、吹出口から吹き出した空調風が上方へ広がることを規制するから、吹出口から吹き出した空調風が突出部の表面に沿って上方へ広がることが抑制される。
【0012】
突出部の表面と第2吹出口とが成す角度が相対的に小さいため、吹出口と突出部との間に第1整流部を設けなくても、吹出口から吹き出した空調風が上方へ広がることが抑制される。
【0013】
また、第2整流部は、吹出口から第2吹出口までにわたって水平に延びるため、吹出口から吹き出した空調風が下方へ広がることが抑制されると共に、第2吹出口から吹き出した空調風が下方へ広がることが抑制される。
【0014】
前記ルーバーユニットは、前記インストルメントパネルの車幅方向の端部に設けられ、前記整流部材は、前記吹出口における、車幅方向の内方の側縁及び車幅方向の外方の側縁のうち、外方の側縁の横で上下方向に延びかつ、前記第1整流部と前記第2整流部とをつなぐ第3整流部を有し、前記第3整流部は、前記空調風が車幅方向の外方へ広がることを規制する、としてもよい。
【0015】
吹出口からサイドウインドウの近くへ空調風を送ることは不要なことが多い。前記の構成によると、第3整流部は、吹出口から車室内に吹き出した空調風が、車幅方向の外方へと広がることを規制する。不要な領域に空調風を送ることが抑制される。
【0016】
また、前記の構成は、吹出口における、車幅方向の内方の側縁には整流部を設けない。車幅方向の内方へ空調風が広がることは規制されない。車室の内方へは空調風を送ることが可能になる。
【0017】
前記インストルメントパネルの下にはグローブボックスが配設されており、前記第2整流部は、前記インストルメントパネルの下端縁と前記グローブボックスの上端縁との間で水平に延びている、としてもよい。
【0018】
整流部材は、空調風の整流機能の他にも、加飾部材として機能することができる。整流部材は、インストルメントパネルの見栄えの向上にも寄与する。
【0019】
前記整流部材の表面は、前記インストルメントパネルの表面及び前記グローブボックスの表面よりも高明度である、としてもよい。
【0020】
インストルメントパネルとグローブボックスとの間で水平に延びる整流部材は、インストルメントパネル及びグローブボックスよりも目立つ。インストルメントパネル及びグローブボックスと整流部材との明度差を、大きくしてもよい。インストルメントパネルとグローブボックスとの間で組み付け誤差が生じても、乗員は、組み付け誤差に気付き難くなる。
【発明の効果】
【0021】
前記のインストルメントパネル構造によると、空調風の上下方向の流れを吹出口の外において制御することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1図1は、インストルメントパネルを例示する正面図である。
図2図2は、インストルメントパネルの一部を拡大して示す正面図である。
図3図3は、インストルメントパネルを裏側から見た背面図である。
図4図4は、図2のIV-IV端面図である。
図5図5は、図2のV-V端面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、インストルメントパネル構造の実施形態について、図面を参照しながら説明する。尚、以下において説明するインストルメントパネル構造は、ここに開示する技術の実施形態の一例である。
【0024】
図1は、インストルメントパネル1の正面図を示している。図2は、インストルメントパネル1の右側部分を拡大して示している。図2の紙面における右は、車幅方向の外方であり、図2の紙面における左は、車幅方向の内方である。インストルメントパネル1は、車室内の前部に配設されている。図1に例示するインストルメントパネル1は、左ハンドル仕様の自動車に取り付けられる。図1における紙面左側において、図示を省略するメータクラスタパネルが、インストルメントパネル1に取り付けられる。尚、インストルメントパネルは、右ハンドル仕様の自動車に取り付けられるインストルメントパネルであってもよい。
【0025】
図1における紙面右側は、助手席に対応する。助手席の前方には、空調風が吹き出す第1吹出口21が、インストルメントパネル1の表面に開口している。第1吹出口21は、インストルメントパネル1の車幅方向の端部に設けられている。第1吹出口21は、車幅方向に長くかつ、上下方向に短い矩形状である。
【0026】
また、第2吹出口22が、第1吹出口21とは車幅方向に異なる位置において、インストルメントパネル1の表面に開口している。第2吹出口22は、第1吹出口21よりも車幅方向の内方に位置している。第1吹出口21と第2吹出口22とは、上下方向に同じ位置である。第2吹出口22は、第1吹出口21と同様に、車幅方向に長くかつ、上下方向に短い矩形状である。
【0027】
第1吹出口21の箇所には、第1ルーバーユニット3が取り付けられている。第1ルーバーユニット3は、図3及び4に示すように、筒状の本体31と、本体31内に配設されたルーバー32とを有している。尚、図3は、第1ルーバーユニット3の配設位置の付近を、インストルメントパネル1の裏面から見た図である。図3の紙面における右は、車幅方向の内方であり、図3の紙面における左は、車幅方向の外方である。
【0028】
本体31は、図4に示すように、車両前後方向の前端及び後端のそれぞれに開口している。前端の開口は、インストルメントパネル1の第1吹出口21に接続している。後端の開口は、図示は省略するが、空調装置のダクトが接続される。
【0029】
ルーバー32は、車幅方向に延びる複数の横ルーバー33と、上下方向に延びる複数の縦ルーバー34とを含んでいる。横ルーバー33と縦ルーバー34とは、本体31内で格子状に配設されている。横ルーバー33は、上下方向に向きを変えることができる。横ルーバー33は、空調風の方向を上下方向に変更する。縦ルーバー34は、車幅方向に向きを変えることができる。縦ルーバー34は、空調風の方向を車幅方向に変更する。乗員は、横ルーバー33及び縦ルーバー34の向きを所望の向きに変えることによって、第1吹出口21から吹き出す空調風の方向を所望の方向に変えることができる。
【0030】
第1ルーバーユニット3は、図3に示すように、インストルメントパネル1の裏面に固定されている。より詳細に、第1ルーバーユニット3は、インストルメントパネル1の裏面から車両の前方に向かって突出する爪35と、ねじ36と、を用いてインストルメントパネル1の裏面に固定されている。
【0031】
図5に示すように、第2吹出口22の箇所には、第2ルーバーユニット4が取り付けられている。第2ルーバーユニット4は、第1ルーバーユニット3と同様に、本体41とルーバー42(尚、図5には、横ルーバー43のみを図示している)とを有している。第2ルーバーユニット4もまた、インストルメントパネル1の裏面に固定されている。
【0032】
インストルメントパネル1には、突出部11が形成されている。突出部11は、第1吹出口21及び第2吹出口22の上において、車幅方向に延びて形成されている。突出部11は、図4及び5に示すように、第1吹出口21及び第2吹出口22よりも車両の後方に突出している。突出部11は、車幅方向について一様に突出していない。第1吹出口21と突出部11の表面とが成す角度θ1は、第2吹出口22と突出部11の表面とが成す角度θ2よりも大きい。つまり、突出部11は、車幅方向の内方から外方へ向かうに従い、先端を上向きとなるように変更している。これにより、助手席に着座する乗員の圧迫感を軽減している。
【0033】
インストルメントパネル1の下には、グローブボックス12が配設されている。グローブボックス12は、第1吹出口21及び第2吹出口22の下に位置している。図3に示すように、グローブボックス12は、取付部13を介して、インストルメントパネル1の裏面に取り付けられている。
【0034】
インストルメントパネル1の表面には、整流部材5が取り付けられている。整流部材5は、第1吹出口21及び第2吹出口22から車室内に吹き出した空調風を整流する。尚、図2では、理解を容易にするために、整流部材5に網掛けを付している。
【0035】
整流部材5は、第1整流部51と、第2整流部52と、第3整流部53とを有している。第1整流部51は、第1吹出口21の上縁の上で水平に延びている。第1整流部51は、第1吹出口21の車幅方向の全体に亘って延びている。第1整流部51はまた、インストルメントパネル1の車幅方向の端まで延びている。第1整流部51は、後述する第2整流部52とは異なり、第1吹出口21にのみ設けられている。
【0036】
第1整流部51は、図4に示すように、第1吹出口21よりも車両の後方に突出している。より詳細に、車幅方向の一方の位置から車幅方向に沿って見たときに、第1整流部51は、ほぼ上下方向に沿って広がる第1吹出口21に対し、上向きに傾斜した斜面511を有している。
【0037】
第2整流部52は、第1吹出口21の下縁の下で水平に延びている。第2整流部52は、第1吹出口21から第2吹出口22に至り、さらに車幅方向の内方の位置まで、水平に延びている。第2整流部52はまた、インストルメントパネル1の車幅方向の端まで延びている。第2整流部52は、インストルメントパネル1の下端とグローブボックス12の上端との間で水平に延びている。第2整流部52は、グローブボックス12の車幅方向の全体に亘って延びている。
【0038】
第2整流部52は、図4及び図5に示すように、第1吹出口21及び第2吹出口22よりも車両の後方に突出している。より詳細に、車幅方向の一方の位置から車幅方向に沿って見たときに、第2整流部52は、ほぼ上下方向に沿って広がる第1吹出口21及び第2吹出口22に対し、下向きに傾斜した斜面521を有している。
【0039】
第3整流部53は、第1吹出口21における車幅方向の内方の側縁及び車幅方向の外方の側縁のうち、外方の側縁の横に位置している。第1吹出口21の側縁と第3整流部53との間には、所定の間隔が設けられている。第3整流部53は、第1整流部51と第2整流部52とを上下方向につないでいる。第3整流部53は、正面から見たときに、上端から下端に向かうに従って、車幅方向の外方から内方へと傾いている。第3整流部53も、第1整流部51及び第2整流部52と同様に、第1吹出口21よりも車両の後方に突出している。第3整流部53は、第1吹出口21に対し、車幅方向の外向きに傾斜した斜面531を有している(図2参照)。
【0040】
整流部材5は、第1整流部51、第2整流部52及び第3整流部53によって、第1吹出口21の周囲において、逆向きのCの字状を成している。
【0041】
整流部材5は、インストルメントパネル1に取り付けられている。図3に示すように、第1整流部51の裏面に設けた複数の突起512が、インストルメントパネル1に対して溶着されている。第2整流部52の裏面に設けた裏面の突起522も、インストルメントパネル1に対して溶着されている。第3整流部53の裏面には爪532が設けられている。第3整流部53の爪532は、インストルメントパネル1の裏面における、車幅方向の端部に、インストルメントパネル1と一体に形成された係合部14に係合する。
【0042】
ここで、整流部材5は、インストルメントパネル1の表面及びグローブボックス12の表面よりも高明度に構成されている。インストルメントパネル1の表面及びグローブボックス12の表面と整流部材5との明度差は大きい。整流部材5は目立つ。整流部材5は、インストルメントパネル1の加飾部材としても機能する。車幅方向に並んだ横長の第1吹出口21及び第2吹出口22と、車幅方向に延びる整流部材5とによって、インストルメントパネル1は、水平基調のデザインである。
【0043】
整流部材5の第1整流部51は、第1吹出口21から車室内に吹き出した空調風が上方へ広がることを規制する。また、第2整流部52は、第1吹出口21から車室内に吹き出した空調風が下方へ広がることを規制する。第1吹出口21から吹き出した空調風は、上下方向に拡散することが抑制される。その結果、乗員に空調風を集中させることができる。
【0044】
特に第1吹出口21は、インストルメントパネル1の突出部11の表面と第1吹出口21とが成す角度θ1が大きい。仮に第1吹出口21の上に第1整流部51を設けないと、第1吹出口21から吹き出した空調風は、第1吹出口21の上の突出部11の表面に沿って上方へ広がる恐れがある。第1吹出口21と突出部11との間の第1整流部51は、第1吹出口21から吹き出した空調風が上方へ広がることを規制するから、第1吹出口21から吹き出した空調風が突出部11の表面に沿って上方へ広がることが抑制される。
【0045】
これに対し、第2吹出口22は、インストルメントパネル1の突出部11の表面と第2吹出口22とが成す角度θ2が小さい。第2吹出口22の上に第1整流部51を設けなくても、第2吹出口22から吹き出した空調風が、突出部11の表面に沿って上方へ広がることが抑制される。そこで、第2吹出口22の上には、第1整流部51を設けない。第2吹出口22の下に設けた第2整流部52と、突出部11とによって、第2吹出口22から吹き出した空調風が上下方向に拡散することが抑制される。その結果、乗員に空調風を集中させることができる。整流部材5は、第1吹出口21及び第2吹出口22の外において、空調風の流れを上下方向に制御することができる。
【0046】
また、インストルメントパネル1の車幅方向の端部に設けた第3整流部53は、第1吹出口21から車室内に吹き出した空調風が、車幅方向の外方へと広がることを規制する。第1吹出口21からサイドウインドウの近くへ空調風を送ることは不要なことが多いが、第3整流部53は、不要な領域に空調風を送ることを抑制する。
【0047】
また、前記のインストルメントパネル1において、第1吹出口21における、車幅方向の内方の側縁に整流部を設けていない。これにより、車室の内方へ空調風を送ることが可能になる。
【0048】
また、インストルメントパネル1の下端縁とグローブボックス12の上端縁との間で、第2整流部52が水平に延びているため、インストルメントパネル1の見栄えを向上させることができる。また、整流部材5は、インストルメントパネル1とグローブボックス12との間で目立つため、インストルメントパネル1とグローブボックス12との間で組み付け誤差が生じても、乗員は組み付け誤差に気付き難くなるという効果も得られる。
【0049】
尚、図示は省略するが、インストルメントパネル1の左側の端部に設けた吹出口についても、前記と同様の整流部材をインストルメントパネルの表面に取り付けてもよい。この整流部材は、前記の整流部材5に対して対称となるため、Cの字状にすればよい。
【符号の説明】
【0050】
1 インストルメントパネル
12 グローブボックス
21 第1吹出口
22 第2吹出口
3 第1ルーバーユニット
32 ルーバー
4 第2ルーバーユニット
42 ルーバー
5 整流部材
51 第1整流部
52 第2整流部
53 第3整流部
図1
図2
図3
図4
図5