(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-01-16
(45)【発行日】2023-01-24
(54)【発明の名称】切削インサートおよび刃先交換式切削工具
(51)【国際特許分類】
B23B 27/14 20060101AFI20230117BHJP
B23B 27/16 20060101ALI20230117BHJP
B23B 29/00 20060101ALI20230117BHJP
【FI】
B23B27/14 C
B23B27/16 A
B23B29/00 C
(21)【出願番号】P 2018245858
(22)【出願日】2018-12-27
【審査請求日】2021-09-30
(73)【特許権者】
【識別番号】000006264
【氏名又は名称】三菱マテリアル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100175802
【氏名又は名称】寺本 光生
(74)【代理人】
【識別番号】100142424
【氏名又は名称】細川 文広
(74)【代理人】
【識別番号】100140774
【氏名又は名称】大浪 一徳
(72)【発明者】
【氏名】林崎 弘章
【審査官】増山 慎也
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2017/0014920(US,A1)
【文献】特開2015-085409(JP,A)
【文献】特表2015-528398(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23B 27/14、16
B23B 29/00
B23C 5/20、22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
四角形板状のインサート本体を備え、上記インサート本体の2つの四角形面の中央部には上記インサート本体を貫通する取付孔が開口していて、上記インサート本体は、上記取付孔の中心線に関して180°回転対称形状であるとともに、上記2つの四角形面に関して表裏反転対称形状であり、
上記2つの四角形面の周囲に配置される上記インサート本体の4つの側面は、互いに反対側を向く2つの第1の側面と、上記2つの第1の側面の間に位置する2つの第2の側面とを有し、
上記2つの第1の側面は、これら第1の側面に対向する方向から見て平行四辺形状であって、これらの2つの第1の側面には、各第1の側面をすくい面として、このすくい面の鋭角のコーナ部にコーナ刃を有する切刃が形成されていて、
これらの切刃のコーナ刃は、上記2つの四角形面の対角位置かつ上記2つの第2の側面の対角位置となる位置に配置されており、
上記第2の側面には、上記2つの第1の側面における鋭角のコーナ部に連なる2箇所にそれぞれ凸部が設けられ、
上記第2の側面に対向する方向から見て、上記2つの凸部は、それぞれ、上記第2の側面と上記四角形面との交差稜線に沿う方向において
、上記2つの第1の側面のうち上記凸部が連なる上記第1の側面とは反対側を向く上記第1の側面の鈍角のコーナ部を向く段差面を有
し、
上記すくい面とされる上記2つの第1の側面には、上記切刃よりも上記インサート本体の外方に突出した上記四角形面に垂直な平坦面が形成されていることを特徴とする切削インサート。
【請求項2】
上記段差面は、上記取付孔の中心線方向から見て、上記第1の側面の鈍角のコーナ部に連なる上記第2の側面と上記四角形面との交差稜線に対して90°~135°の範囲の角度で交差する方向に延びていることを特徴とする請求項1に記載の切削インサート。
【請求項3】
板状の工具本体の先端部に、この工具本体の側面から一段凹む凹状のインサート取付座が形成され、このインサート取付座に
、切削インサートが、上記
切削インサートの取付孔に挿通されて上記インサート取付座にねじ込まれるクランプネジによって着脱可能に取り付けられた刃先交換式切削工具であって、
上記切削インサートは、
四角形板状のインサート本体を備え、上記インサート本体の2つの四角形面の中央部には上記インサート本体を貫通する上記取付孔が開口していて、上記インサート本体は、上記取付孔の中心線に関して180°回転対称形状であるとともに、上記2つの四角形面に関して表裏反転対称形状であり、
上記2つの四角形面の周囲に配置される上記インサート本体の4つの側面は、互いに反対側を向く2つの第1の側面と、上記2つの第1の側面の間に位置する2つの第2の側面とを有し、
上記2つの第1の側面は、これら第1の側面に対向する方向から見て平行四辺形状であって、これらの2つの第1の側面には、各第1の側面をすくい面として、このすくい面の鋭角のコーナ部にコーナ刃を有する切刃が形成されていて、
これらの切刃のコーナ刃は、上記2つの四角形面の対角位置かつ上記2つの第2の側面の対角位置となる位置に配置されており、
上記第2の側面には、上記2つの第1の側面における鋭角のコーナ部に連なる2箇所にそれぞれ凸部が設けられ、
上記第2の側面に対向する方向から見て、上記2つの凸部は、それぞれ、上記第2の側面と上記四角形面との交差稜線に沿う方向において、上記2つの第1の側面のうち上記凸部が連なる上記第1の側面とは反対側を向く上記第1の側面の鈍角のコーナ部を向く段差面を有し、
上記インサート取付座は、上記インサート本体の上記2つの第1の側面のうち1つの第1の側面が当接する底面と、上記インサート本体の上記2つの四角形面のうち1つの四角形面が当接する第1の壁面と、上記インサート本体の上記2つの第2の側面のうち上記底面に当接する上記1つの第1の側面とは反対の第1の側面側において上記すくい面の鋭角のコーナ部に連なる部分が当接する上記工具本体の先端側を向く第2の壁面とを備え、
この第2の壁面は上記工具本体の後端側に向かうに従い上記第1の壁面に近づく傾斜面状に形成されるとともに、上記第1の壁面には上記クランプネジがねじ込まれるネジ孔が形成され、
上記底面と上記第2の壁面との間には、上記インサート本体の上記2つの第2の側面のうち上記工具本体の後端側に向けられて上記第2の壁面に当接させられる1つの第2の側面の上記底面に当接させられる上記1つの第1の側面側の上記凸部が収容される凹部が形成されており、
上記インサート本体は、上記クランプネジにより、上記インサート取付座の上記第1の壁面に対向する方向から見て上記底面と上記第2の壁面とが交差する方向に引き込まれて取り付けられることを特徴とする刃先交換式切削工具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えばエンジンのクランクシャフトを仕上げ加工するのに用いられる切削インサート、およびこのような切削インサートを着脱可能に取り付けた刃先交換式切削工具(刃先交換式バイト)に関するものである。
【背景技術】
【0002】
このような切削インサートおよび刃先交換式切削工具として、本発明の発明者は、特許文献1において、第1の方向に沿って延びて先端に台座部を有するホルダと、この台座部に取り付けられる切削インサートと、この切削インサートを台座部に固定する第1の固定ネジおよび第2の固定ネジとを備え、切削インサートは第1の方向と直交する第2の方向を向くすくい面が設けられているインサート主面を有し、台座部は第1および第2の方向と直交する第3の方向を向く側面部を有し、この側面部には第1および第3の方向に開口し切削インサートの一部を収容する収容凹部が設けられたものを提案している。
【0003】
収容凹部は第2の方向を向く底面と第1および第3の方向のうち少なくとも一方向を向く側壁面とを有し、台座部には収容凹部の内部から第2の方向に沿って貫通する第1のネジ孔および第2のネジ孔が設けられ、第1および第2の固定ネジはそれぞれ第1および第2のネジ孔に挿入されて先端がインサート主面に接触し、第1の固定ネジは切削インサートを底面および側壁面に押し付け、第2の固定ネジは切削インサートを底面に押し付け、第1および第2の固定ネジは第1の方向に沿って並んで配置されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、この特許文献1にも記載されているように、上述のような刃先交換式切削工具により切削加工されるクランクシャフトは、近年のエンジンのダウンサイジング化によってジャーナル部の幅を小さくすることが求められてきており、これに伴い隣接するクランクアーム同士の間隔が小さい場合でも切削加工が可能な刃先交換式切削工具が要求されている。この点、特許文献1に記載された刃先交換式切削工具では、ホルダの先端部の幅を小さくしても、第1および第2の固定ネジによる十分な固定力で切削インサートを取り付けることができる。
【0006】
ところが、隣接するクランクアーム同士の間隔が小さくなることは、クランクアームの間のジャーナル部を仕上げ加工する際に生成された切屑が円滑に排出され難くなることに繋がる。そして、特に特許文献1に記載された刃先交換式切削工具では、ホルダの台座部の収容凹部に収容された切削インサートが、そのすくい面とされるインサート主面が、台座部の上顎状部にねじ込まれる第1および第2の固定ネジによって押し付けられることにより固定されており、切削インサートのすくい面上に上顎状部が覆い被さることになる。このため、狭いクランクアームの間で行き場を無くした切屑が上顎状部に絡まってホルダが損傷したり、仕上げ加工されたジャーナル部やクランクアームが切屑によって傷付けられたりするおそれがあった。
【0007】
本発明は、このような背景の下になされたもので、切削インサートの取付強度は確保しつつ、ジャーナル部の幅が小さなクランクシャフトの仕上げ加工を行うような場合でも切屑を円滑に排出することが可能な切削インサートおよび刃先交換式切削工具を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決して、このような目的を達成するために、本発明の切削インサートは、四角形板状のインサート本体を備え、上記インサート本体の2つの四角形面の中央部には上記インサート本体を貫通する取付孔が開口していて、上記インサート本体は、上記取付孔の中心線に関して180°回転対称形状であるとともに、上記2つの四角形面に関して表裏反転対称形状であり、上記2つの四角形面の周囲に配置される上記インサート本体の4つの側面は、互いに反対側を向く2つの第1の側面と、上記2つの第1の側面の間に位置する2つの第2の側面とを有し、上記2つの第1の側面は、これら第1の側面に対向する方向から見て平行四辺形状であって、これらの2つの第1の側面には、各第1の側面をすくい面として、このすくい面の鋭角のコーナ部にコーナ刃を有する切刃が形成されていて、これらの切刃のコーナ刃は、上記2つの四角形面の対角位置かつ上記2つの第2の側面の対角位置となる位置に配置されており、上記第2の側面には、上記2つの第1の側面における鋭角のコーナ部に連なる2箇所にそれぞれ凸部が設けられ、上記第2の側面に対向する方向から見て、上記2つの凸部は、それぞれ、上記第2の側面と上記四角形面との交差稜線に沿う方向において、上記2つの第1の側面のうち上記凸部が連なる上記第1の側面とは反対側を向く上記第1の側面の鈍角のコーナ部を向く段差面を有し、上記すくい面とされる上記2つの第1の側面には、上記切刃よりも上記インサート本体の外方に突出した上記四角形面に垂直な平坦面が形成されていることを特徴とする。
【0009】
また、本発明の刃先交換式切削工具は、板状の工具本体の先端部に、この工具本体の側面から一段凹む凹状のインサート取付座が形成され、このインサート取付座に、切削インサートが、上記切削インサートの取付孔に挿通されて上記インサート取付座にねじ込まれるクランプネジによって着脱可能に取り付けられた刃先交換式切削工具であって、上記切削インサートは、四角形板状のインサート本体を備え、上記インサート本体の2つの四角形面の中央部には上記インサート本体を貫通する上記取付孔が開口していて、上記インサート本体は、上記取付孔の中心線に関して180°回転対称形状であるとともに、上記2つの四角形面に関して表裏反転対称形状であり、上記2つの四角形面の周囲に配置される上記インサート本体の4つの側面は、互いに反対側を向く2つの第1の側面と、上記2つの第1の側面の間に位置する2つの第2の側面とを有し、上記2つの第1の側面は、これら第1の側面に対向する方向から見て平行四辺形状であって、これらの2つの第1の側面には、各第1の側面をすくい面として、このすくい面の鋭角のコーナ部にコーナ刃を有する切刃が形成されていて、これらの切刃のコーナ刃は、上記2つの四角形面の対角位置かつ上記2つの第2の側面の対角位置となる位置に配置されており、上記第2の側面には、上記2つの第1の側面における鋭角のコーナ部に連なる2箇所にそれぞれ凸部が設けられ、上記第2の側面に対向する方向から見て、上記2つの凸部は、それぞれ、上記第2の側面と上記四角形面との交差稜線に沿う方向において、上記2つの第1の側面のうち上記凸部が連なる上記第1の側面とは反対側を向く上記第1の側面の鈍角のコーナ部を向く段差面を有し、上記インサート取付座は、上記インサート本体の上記2つの第1の側面のうち1つの第1の側面が当接する底面と、上記インサート本体の上記2つの四角形面のうち1つの四角形面が当接する第1の壁面と、上記インサート本体の上記2つの第2の側面のうち上記底面に当接する上記1つの第1の側面とは反対の第1の側面側において上記すくい面の鋭角のコーナ部に連なる部分が当接する上記工具本体の先端側を向く第2の壁面とを備え、この第2の壁面は上記工具本体の後端側に向かうに従い上記第1の壁面に近づく傾斜面状に形成されるとともに、上記第1の壁面には上記クランプネジがねじ込まれるネジ孔が形成され、上記底面と上記第2の壁面との間には、上記インサート本体の上記2つの第2の側面のうち上記工具本体の後端側に向けられて上記第2の壁面に当接させられる1つの第2の側面の上記底面に当接させられる上記1つの第1の側面側の上記凸部が収容される凹部が形成されており、上記インサート本体は、上記クランプネジにより、上記インサート取付座の上記第1の壁面に対向する方向から見て上記底面と上記第2の壁面とが交差する方向に引き込まれて取り付けられることを特徴とする。
【0010】
このように構成された切削インサートおよび刃先交換式切削工具においては、切削インサートが、インサート本体の2つの四角形面の中央部に開口してインサート本体を貫通する取付孔に挿通されるクランプネジにより工具本体のインサート取付座に取り付けられるので、この四角形面の周囲の側面のうち互いに反対側を向く2つの第1の側面の一方がすくい面として被削材(例えば、クランクシャフトのジャーナル部)の回転方向に対向させられたときに、このすくい面上にホルダの台座部における上顎状部や固定ネジが覆い被さった状態となるのを避けることができる。
【0011】
従って、このすくい面とされた第1の側面の工具本体先端側の切刃により生成された切屑が、このようなホルダの台座部や固定ネジに絡まって工具本体に損傷が生じたり、仕上げ加工されたジャーナル部やクランクアームに接触して傷を付けたりするのを防ぐことができ、切屑を処理しつつダウンサイジング化によって幅狭となったクランクアーム間からも円滑に排出することが可能となる。
【0012】
また、上記構成の切削インサートでは、インサート本体が取付孔の中心線に関して180°回転対称形状であるとともに2つの四角形面に関して表裏反転対称形状であり、またすくい面とされる2つの第1の側面は平行四辺形状であるので、上述のように被削材の回転方向に対向させられてすくい面とされた2つの第1の側面の一方における2つの鋭角のコーナ部のうち1つを、その切刃のコーナ刃がインサート取付座の第1の壁面とは反対側に位置するように取り付けると、この1つの鋭角のコーナ部とは反対側の他の1つの鋭角のコーナ部は、コーナ刃が第1の壁面側に位置することになる。
【0013】
そして、切削インサートのインサート本体は、上記クランプネジによってインサート取付座の底面と第2の壁面とが交差する方向に引き込まれて取り付けられるので、この引き込みによってインサート本体は、インサート取付座の第1の壁面に当接した2つの四角形面のうちの1つの四角形面と、第2の壁面に当接したインサート本体の上記第2の側面のうち上記他の1つの鋭角のコーナ部に連なる部分が、第1、第2の壁面に押し付けられるようにして取り付けられる。従って、切削インサートは、くさびが打ち込まれるようにしてインサート取付座に取り付けられるので、工具本体への取付強度を確保して、安定した切削加工を行うことが可能となる。
【0014】
さらに、上記構成の切削インサートには、上記第2の側面に、上記2つの第1の側面における鋭角のコーナ部に連なる2箇所にそれぞれ凸部が設けられ、上記2つの凸部は、それぞれ、上記第2の側面と上記四角形面との交差稜線に沿う方向において上記第1の側面の鈍角のコーナ部を向く段差面を有しているとともに、刃先交換式切削工具のインサート取付座には、上記第2の壁面と底面との間に、インサート本体の上記第2の側面のうち上記底面に当接する第1の側面側の上記凸部が収容される凹部が形成されている。
【0015】
このため、切削に使用される切刃に作用する負荷によってインサート本体を取付孔の中心線回りに回転させる力が作用する場合に、万一クランプネジに弛みがあっても、こうして凸部が凹部に収容されて係合されることにより、インサート本体がインサート取付座から脱落してしまうような事態が生じるのも防ぐことができる。
また、上記2つの第1の側面に、上記切刃よりも上記インサート本体の外方に突出した上記四角形面に垂直な平坦面を形成することにより、上記インサート本体の上記2つの第1の側面のうちインサート取付座の底面に当接する上記1つの第1の側面においては、この平坦面が当接することになるので、切刃と底面とが干渉するのを避けることができて、インサート本体を安定して当接させることができ、一層の取付強度の向上を図ることができる。
【0016】
ここで、この凸部の上記段差面は、上記取付孔の中心線方向から見て、上記第1の側面の鈍角のコーナ部に連なる上記第2の側面と上記四角形面との交差稜線に対して90°~135°の範囲の角度で交差する方向に延びていることが望ましい。この角度が90°未満であって、段差面がインサート本体の外方に突出するに従い上記2つの第1の側面のうち一方の第1の側面の鈍角コーナ部側に向かうように上記交差稜線に対してV字状に延びていると、凸部に欠けが生じるおそれがある。また、この角度が135°よりも大きい鈍角であると、上述のようにインサート本体を取付孔の中心線回りに回転させる力が作用した場合に脱落を防止する効果が期待できなくなるおそれがある。
【発明の効果】
【0018】
以上説明したように、本発明によれば、ジャーナル部の幅が小さなクランクシャフトの仕上げ加工を行うような場合でも、切削インサートの取付強度は確保しつつ、切屑を円滑に排出することができ、工具本体の損傷を招いたり、仕上げ加工された加工面を劣化させたりすることなく、安定した切削加工を行うことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】本発明の切削インサートの一実施形態を示す斜視図である。
【
図2】
図1に示す実施形態をインサート本体の四角形面に対向する方向(取付孔の中心線方向)から見た側面図である。
【
図3】
図1に示す実施形態をインサート本体のすくい面とされる第1の側面に対向する方向から見た平面図である。
【
図4】
図1に示す実施形態をインサート本体の第2の側面に対向する方向から見た正面図である。
【
図6】本発明の刃先交換式切削工具の一実施形態における工具本体の右側面図である。
【
図12】
図1~
図5に示した実施形態の切削インサートを
図6~
図11に示した工具本体に取り付けるためのクランプネジを示す側面図である。
【
図13】
図1~
図5に示した実施形態の切削インサートを、
図12に示すクランプネジによって
図6~
図11に示した工具本体に取り付けた、本発明の刃先交換式切削工具の一実施形態を示す斜視図である。
【
図20】
図13~
図19に示した実施形態の刃先交換式切削工具によって切削加工される被削材(クランクシャフト)を示す平面図である。
【
図21】
図13~
図19に示した実施形態の刃先交換式切削工具によって
図20に示した被削材を切削加工する場合の第1の工程を示す平面図である。
【
図23】
図13~
図19に示した実施形態の刃先交換式切削工具によって
図20に示した被削材を切削加工する場合の第2の工程を示す平面図である。
【
図24】
図13~
図19に示した実施形態の刃先交換式切削工具によって
図20に示した被削材を切削加工する場合の第3の工程を示す平面図である。
【
図25】
図1~
図5に示した実施形態の切削インサートの変形例を示す斜視図である。
【
図26】
図25に示す変形例をインサート本体の四角形面に対向する方向(取付孔の中心線方向)から見た側面図である。
【
図27】
図25に示す変形例をインサート本体のすくい面とされる第1の側面に対向する方向から見た平面図である。
【
図28】
図25に示す変形例をインサート本体の第2の側面に対向する方向から見た正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
図1~
図5は、本発明の切削インサートの一実施形態を示すものであり、
図6~
図11は、本発明の刃先交換式切削工具の一実施形態における工具本体を示すものであり、
図12は、
図1~
図5に示した実施形態の切削インサートを
図6~
図11に示した工具本体に取り付けるためのクランプネジを示すものであり、
図13~
図19は、
図1~
図5に示した実施形態の切削インサートを
図6~
図11に示した工具本体に取り付けた本発明の刃先交換式切削工具の一実施形態を示すものである。
【0021】
また、
図20は、この一実施形態の刃先交換式切削工具によって切削加工される被削材(クランクシャフト)を示すものであり、
図21~
図24は、この被削材を
図13~
図19に示した実施形態の刃先交換式切削工具によって切削加工する場合の各工程を示すものである。
【0022】
本実施形態の切削インサートは、超硬合金等の硬質材料により形成された四角形板状のインサート本体1を備えている。このインサート本体1は、詳しくは方形板状であり、さらに詳しくは
図2に示すように概略正方形の板状である。従って、インサート本体1は、表裏の平面上の2つの四角形面(正方形面)2と、これら2つの四角形面2の周囲に配置されて互いに反対側を向く2つの第1の側面3と、これら2つの第1の側面3の間に第1の側面3と垂直な方向に延びて互いに反対側を向く2つの第2の側面4とを備えている。
【0023】
2つの四角形面2の中央部には、インサート本体1を貫通する断面円形の取付孔5が開口している。この取付孔5は、
図5に示すように、2つの四角形面2への開口部からインサート本体1の内側に向かうに従い、その内径が漸次または段階的に縮径するように形成されている。インサート本体1は、この取付孔5の中心線Oに関して180°回転対称形状に形成されるとともに、上記2つの四角形面2に関して表裏反転対称形状に形成されている。
【0024】
上記2つの第1の側面3はすくい面とされ、これら第1の側面3に対向する方向から見て
図3に示すように平行四辺形状に形成されている。このすくい面とされる第1の側面3の辺稜部には、第1の側面3がなす平行四辺形の鋭角のコーナ部Cにコーナ刃6aを有する切刃6が形成されている。従って、これらの切刃6は、そのコーナ刃6aが、
図2に示すように2つの四角形面2の対角位置かつ
図4に示すように2つの第2の側面4の対角位置となる位置に配置されていて、すなわち2つの四角形面2の周回り方向においてと2つの第2の側面4の周回り方向において、互い違いに反対の2つの第1の側面3側に交互に位置することになる。
【0025】
コーナ刃6aは、第1の側面3に対向する方向から見て、
図2に示すように凸円弧等の凸曲線状に形成されている。また、切刃6のうち第1の側面3と第2の側面4との交差稜線部に延びる部分は、同じく第1の側面3に対向する方向から見て傾斜した直線状の前切刃6bとされるとともに、第1の側面3と四角形面2との交差稜線部分は、前切刃6bに対して鋭角に交差する方向に延びる直線状の横切刃6cとされている。
【0026】
従って、第2の側面4において前切刃6bに連なる切刃6の前逃げ面4aと、四角形面2において横切刃6cに連なる切刃6の横逃げ面2aも、鋭角に交差する方向に延びることになる。なお、これらの前逃げ面4aと横逃げ面2aとは平面状に形成されている。また、前切刃6bと横切刃6cは、
図2および
図4に示すようにコーナ刃6aから離れるに従い漸次切刃6が形成された第1の側面3とは反対の第1の側面3側に向けて傾斜するように延びている。
【0027】
さらに、第1の側面3には、上記切刃6が形成された範囲において切刃6に沿って延びるように凹溝状のチップブレーカ3aが形成されている。また、第1の側面3において、これらのチップブレーカ3a以外の部分には、四角形面2に垂直な平坦面3bが形成されており、この平坦面3bは切刃6よりもインサート本体1の外方に突出した位置に形成されている。
【0028】
さらにまた、上記第2の側面4には、2つの第1の側面3における鋭角のコーナ部Cに連なる2箇所にそれぞれ凸部7が設けられ、第1の側面3のこれら2つの凸部7は、それぞれ、第2の側面4と四角形面2との交差稜線に沿う方向において第1の側面3の鈍角のコーナ部Dを向く段差面7aを有している。すなわち、第2の側面4には、上記四角形面2との交差稜線部に、2つの第1の側面3のうち一方の第1の側面3における鈍角のコーナ部Dから他方の第1の側面3における鋭角のコーナ部Cに向けてインサート本体1の外方に突出する段差面7aを備えた凸部7が形成されている。
【0029】
この凸部7は、その外周面が、コーナ刃6aに連なる上記他方の第1の側面3のコーナ逃げ面7bとされて凸円筒面状とされたものであり、上記段差面7aは、上記一方の第1の側面3の前切刃6bに連なる平面状の前逃げ面4aと、この凸部7の外周面との境界に形成されている。この段差面7aは、取付孔5の中心線O方向から見て、
図2に示すように第1の側面3の鈍角のコーナ部Dに連なる部分である第2の側面4の前逃げ面4aと四角形面2との交差稜線Lに対して90°~135°の範囲の角度θで交差する方向に延びており、特に本実施形態では、この角度θは鈍角である。
【0030】
このように構成された切削インサートは、
図6~
図11に示す工具本体11の先端部に形成されたインサート取付座12に、
図12に示すクランプネジ13によって着脱可能に取り付けられて、
図13~
図19に示す本発明の刃先交換式切削工具の一実施形態を構成する。この実施形態の切削インサートおよび刃先交換式切削工具は、いわゆる右勝手の切削インサートおよび刃先交換式切削工具である。
【0031】
工具本体11は、鋼材等により先端側(
図6、
図8、
図9において左側。
図7では右側)の切刃部11Aが後端側(
図6、
図8、
図9において右側。
図7では左側)のシャンク部11Bの一方の側面(
図8における下側の側面。
図9における上側の側面。
図10における右側の側面)11a側に偏ってシャンク部11Bよりも薄肉とされた略長方形の板状に形成されている。
【0032】
上記インサート取付座12は、この切刃部11Aの一方の側面11aの上端部(
図6および
図10における上側の端部)に、一方の側面11aから凹むように凹状に形成されている。なお、工具本体11の上記一方の側面11aと、この一方の側面11aとは反対側を向く他方の側面11bには、切刃部11Aとシャンク部11Bとの境界部に、これらの側面11a、11bに対向する側面視において工具本体11の後端側に凹となる凹円弧状の段部11cが形成されている。
【0033】
このインサート取付座12は、工具本体11の上記一方の側面11aに垂直に延びて工具本体11の上端部側を向く平面状の底面12aと、この底面12aに対して垂直で上記一方の側面11aから一段凹む平面状の第1の壁面12bと、底面12aに垂直で工具本体11の先端側を向き、工具本体11の後端側に向かうに従い第1の壁面12bに近づくように延びる傾斜平面状の第2の壁面12cとを備えている。第1の壁面12bには、クランプネジ13がねじ込まれるネジ孔12dが形成されている。
【0034】
図6に示すように、インサート取付座12の底面12aは工具本体11の先端側に向かうに従い工具本体11の下側(
図6、
図7、
図10、
図11における下側)に向かうように僅かに傾斜して延びているとともに、第1の壁面12bは工具本体11の先端側に向かうに従い
図8に示すように上記一方の側面11a側に向かうように僅かに傾斜して延びている。ネジ孔12dは、その中心線がこの第1の壁面12bに垂直となるように形成されている。
【0035】
また、インサート取付座12の底面12aと第1の壁面12bとが交差する隅角部と、第1の壁面12bと第2の壁面12cとが交差する隅角部には、インサート本体1との干渉を防止するための逃げ部として断面円形の凹所12eが形成されている。さらに、底面12aと第2の壁面12cとの間の隅角部には、インサート本体1の上記凸部7が収容される凹部12fが形成されている。さらにまた、クランプネジ13は、頭部13aと雄ネジ部13bとを備え、頭部13aの雄ネジ部13b側を向く裏面13cは、雄ネジ部13b側に向かうに従い漸次縮径する雄ネジ部13bの中心線を中心とした円錐台状に形成されている。
【0036】
このようなインサート取付座12に、上記切削インサートのインサート本体1は、2つの四角形面2のうちの1つを第1の壁面12bに当接させるとともに、2つの第1の側面3のうちの1つの第1の側面3の平坦面3bを底面12aに当接させ、さらにこうして1つの四角形面2と1つの第1の側面3とを第1の壁面12bと底面12aに当接させた状態で工具本体11の後端側に向けられる2つの第2の側面4のうちの1つの第2の側面4を第2の壁面12cに当接させて、着座させられる。このとき、底面12aに当接する1つの第1の側面3側の上記1つの第2の側面4の凸部7は、インサート取付座12の凹部12fに収容される。なお、横切刃6cは、こうして着座させられた状態で、工具本体11の後端側に向かうに従い工具本体11の他方の側面11b側に向かうように僅かに傾斜している。
【0037】
ここで、このように着座させられた状態で、インサート取付座12のネジ孔12dは、その中心線がインサート本体1の取付孔5の中心線Oに対して、僅かに凹部12f側に偏心するように形成されている。そして、このようにインサート本体1が着座させられた状態から取付孔5に挿通したクランプネジ13をネジ孔12dにねじ込むと、クランプネジ13の頭部13aの裏面13cが、工具本体11の一方の側面11a側を向くインサート本体1の四角形面2側の取付孔5の開口部のテーパ面に当接し、雄ネジ部13bが僅かに撓むとともに、その反力によってインサート本体1はインサート取付座12の第1の壁面12bに対向する方向から見て底面12aと第2の壁面12cとが交差する上記凹部12fに向かう方向に引き込まれて着脱可能に取り付けられる。
【0038】
こうして切削インサートが取り付けられた刃先交換式切削工具は、
図20に示すような被削材であるクランクシャフトWのジャーナル部W1の外周面からクランクアームW2の内側面の内周部の仕上げ加工を行うとともに、これらジャーナル部W1の外周面とクランクアームW2の内側面とが交差する隅角部に内周側に凹む環状溝部W3を倣い加工によって形成する。
【0039】
クランクシャフトWはジャーナル部W1の中心線X回りに
図22に示す回転方向Tに回転可能に支持されている。また、刃先交換式切削工具は、切刃部11Aがジャーナル部W1の外周面に向けられて、インサート取付座12の底面12aに当接したインサート本体1の1つの第1の側面3とは反対の第1の側面3がすくい面としてクランクシャフトWの回転方向Tに対向するように支持される。
【0040】
こうして支持された刃先交換式切削工具は、図
21に白抜き矢線で示すように工具本体11が前進させられることにより、ジャーナル部W1の幅方向(中心線X方向)の中央部からジャーナル部W1の外周面に切刃6が切り込まれる。次いで、
図23に白抜き矢線で示すように刃先交換式切削工具は、中心線X方向に工具本体11の一方の側面11a側に送り出されて専らコーナ刃6aによる引き加工によってジャーナル部W1の外周面を仕上げ加工し、さらにジャーナル部W1の外周側に送られて横切刃6cによる引き加工によってクランクアームW2の内側面の内周部を仕上げ加工する。
【0041】
さらに、このようにジャーナル部W1の外周面とクランクアームW2の内側面の内周部が仕上げ加工されたなら、
図24に白抜き矢線で示すようにコーナ刃6aをジャーナルW1の外周面とクランクアームW2の内側面の内周部とが交差する隅角部に向けてV字状に往復移動させることによって倣い加工を施し、この隅角部に断面凹曲線状の環状溝部W3を形成する。
【0042】
こうして
図24に示したようにクランクシャフトWの回転方向から見てジャーナル部W1の外周面の半分と一方のクランクアームW2の内側面が仕上げ加工されるとともに環状溝部W3が形成されたなら、右勝手の切削インサートおよび刃先交換式切削工具をクランクアームW2の間から後退させる。
【0043】
次いで工具本体11の一方の側面11aに平行な平面に関して鏡面対称である左勝手の刃先交換式切削工具により、クランクシャフトWの回転方向から見てジャーナル部W1の外周面の残りの半分と他方のクランクアームW2の内側面を仕上げ加工するとともに、これらのジャーナル部W1の外周面とクランクアームW2の内側面の隅角部に環状溝部W3を形成する。
【0044】
ここで、上記構成の切削インサートおよび刃先交換式切削工具では、インサート本体1が、横逃げ面2aを有する四角形面2に開口する取付孔5に挿通されたクランプネジ13がインサート取付座12の第1の壁面12bに形成されたネジ孔12dにねじ込まれることにより取り付けられており、すくい面として被削材(クランクシャフトW)の回転方向に向けられる第1の側面3の上に上顎状部や固定ネジが覆い被さるように配置されることがない。
【0045】
このため、ジャーナル部W1およびクランクアームW2の仕上げ加工および環状溝部W3の形成を行う際に切刃6によって生成された切屑は、これら上顎状部や固定ネジに絡まるようなことがなく、本実施形態ではチップブレーカ3aから平坦面3bに乗り上げて分断処理され、クランクアームW2の間から円滑に排出される。従って、エンジンのダウンサイズ化によりジャーナル部W1が幅狭となっても、仕上げ加工されたジャーナル部W1やクランクアームW2が傷付けられたり、工具本体11の損傷を招いたりすることなく、高品位で安定した切削を行うことができる。
【0046】
また、上記構成の切削インサートは、インサート本体1が取付孔5の中心線Oに関して180°回転対称形状であるとともに、2つの四角形面2に関して表裏反転対称形状であって、すくい面とされる2つの第1の側面3は平行四辺形状であるので、すくい面とされた第1の側面3の2つの鋭角のコーナ部Cのうち1つを、切刃6のコーナ刃6aがインサート取付座12の第1の壁面12bとは反対側に位置するように取り付けると、この1つの鋭角のコーナ部Cとは反対側の他の1つの鋭角のコーナ部Cは、コーナ刃6aが第1の壁面12b側に位置することになる。
【0047】
そして、このインサート本体1は、クランプネジ13によって上述のようにインサート取付座12の底面12aと第2の壁面12cとが交差する方向に引き込まれて取り付けられるので、インサート取付座12の第1の壁面12bに当接した1つの四角形面2と、第2の壁面12cに当接した第2の側面4のうち上記他の1つの鋭角のコーナ部Cに連なる前逃げ面4aが、第1、第2の壁面12b、12cに押し付けられるようにして取り付けられる。このため、インサート本体1を、くさびのようにインサート取付座12に取り付けることができるので、工具本体11への取付強度を確保して安定した切削加工を行うことが可能となる。
【0048】
さらに、上記構成の切削インサートでは、上記第2の側面4に、2つの第1の側面3における鋭角のコーナ部Cに連なる2箇所にそれぞれ凸部7が設けられ、2つの凸部7は、それぞれ、第2の側面4と四角形面2との交差稜線に沿う方向において第1の側面3の鈍角のコーナ部Dを向く段差面7aを有している。また、これに対して、刃先交換式切削工具の工具本体11のインサート取付座12には、第2の壁面12cと底面12aとの間に、インサート本体1の第2の側面4のうち底面12aに当接する第1の側面3側の凸部7が収容される凹部12fが形成されている。
【0049】
このため、切削に使用される切刃6に作用する切削負荷によってインサート本体1を取付孔5の中心線O回りに回転させる力が作用したときに、万一クランプネジ13に弛みなどがあっても、こうして凹部12fに収容された凸部7が凹部12fに係合することにより、インサート本体1がインサート取付座12から脱落してしまうような事態が生じるのを防ぐことができる。従って、このようなインサート本体1の脱落によって切削インサートや工具本体11、あるいは被削材であるクランクシャフトWに破損が生じるのも防ぐことができる。
【0050】
なお、この凸部7の上記段差面7aは、本実施形態のように取付孔5の中心線O方向から見て、第1の側面3の鈍角のコーナ部Dに連なる部分である第2の側面4の前逃げ面4aと四角形面2との交差稜線Lに対して90°~135°の範囲の角度θで交差する方向に延びているのが望ましい。
【0051】
この角度θが90°未満であると、段差面7aはインサート本体1の外方に突出するに従い2つの第1の側面3のうち上記一方の第1の側面3の鈍角コーナ部D側に向かうように上記交差稜線Lに対してV字状に延びることになり、凸部7に欠けが生じるおそれがある。また、この角度θが135°よりも大きい鈍角であると、上述のようにインサート本体1を取付孔5の中心線O回りに回転させる力が作用した場合に凸部7を凹部12fに係合させて脱落を防止する効果が期待できなくなるおそれがある。
【0052】
なお、上記実施形態ではこの角度θは鈍角であったが、
図25~
図29に示す上記実施形態の変形例の切削インサートのように、この凸部7の段差面7aが上記交差稜線Lに対してなす角度θが90°で、段差面7aが交差稜線Lに垂直な方向に延びていてもよい。なお、これら
図25~
図29に示す変形例において、
図1~
図5に示した実施形態と共通する部分には同一の符号を配してある。
【0053】
また、上記実施形態では、上記2つの第1の側面3に、四角形面2に垂直な平坦面3bが切刃6よりもインサート本体1の外方に突出するように形成されている。このため、第1の側面3がインサート取付座12の底面12aに当接する際には、この平坦面3bが当接することになり、切刃6と底面12aとが干渉することがなくなって、インサート本体1を安定して当接させて一層の取付強度の向上を図ることができる。
【符号の説明】
【0054】
1 インサート本体
2 四角形面
3 第1の側面
3a チップブレーカ
3b 平坦面
4 第2の側面
5 取付孔
6 切刃
6a コーナ刃
6b 前切刃
6c 横切刃
7 凸部
7a 段差面
11 工具本体
11a 工具本体11の一方の側面
12 インサート取付座
12a インサート取付座12の底面
12b インサート取付座12の第1の壁面
12c インサート取付座12の第2の壁面
12d ネジ孔
12f 凹部
13 クランプネジ
C 第1の側面3の鋭角のコーナ部
D 第1の側面3の鈍角のコーナ部
O 取付孔5の中心線
L 四角形面2と第2の側面4との交差稜線
θ 取付孔5の中心線O方向から見て交差稜線Lに対して段差面7aがなす角度
W クランクシャフト(被削材)
W1 ジャーナル部
W2 クランクアーム