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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-01-16
(45)【発行日】2023-01-24
(54)【発明の名称】コネクタ及び電子機器
(51)【国際特許分類】
   H01R 13/631 20060101AFI20230117BHJP
【FI】
H01R13/631
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2019019752
(22)【出願日】2019-02-06
(65)【公開番号】P2020126809
(43)【公開日】2020-08-20
【審査請求日】2021-06-30
(73)【特許権者】
【識別番号】308036402
【氏名又は名称】株式会社JVCケンウッド
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100101247
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 俊一
(72)【発明者】
【氏名】原 教之
(72)【発明者】
【氏名】矢ケ部 俊之
(72)【発明者】
【氏名】榎本 徳明
【審査官】藤島 孝太郎
(56)【参考文献】
【文献】特開平06-176816(JP,A)
【文献】特開2002-289298(JP,A)
【文献】特開2016-100224(JP,A)
【文献】米国特許第06290536(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R 12/00 -12/91
13/631
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
プラグ及びレセプタクルの一方である接続部品と、前記接続部品に装着される他方の接続部品を有する被装着部材を装着方向にガイドするガイド枠部と、前記ガイド枠部から第1の外方向に突出して形成され前記ガイド枠部に接近する方向の可撓性を有する第1支持部と、前記第1の外方向と反対の第2の外方向に突出して形成され前記ガイド枠部に接近する方向の可撓性を有する第2支持部と、
を有する本体部と、
内側に前記本体部が進入可能な枠体であって、前記枠体の内面として、左右前後に延在し上下方向において平行に対向し、前記本体部が進入した状態で前記第1支持部が当接する第1当接面及び前記第2支持部が当接する第2当接面と、前記第1当接面及び前記第2当接面それぞれの両端から前記本体部に接近する方向に傾斜した2対の傾斜面と、を有するホルダと、
を備え、
前記ホルダに進入した前記本体部が、その進入方向及び前記第1の外方向と直交する方向に移動したときに、前記第1支持部及び前記第2支持部が前記傾斜面を摺動して前記ガイド枠部に接近する方向に弾性変形することを特徴とするコネクタ。
【請求項2】
前記第1支持部が前記第1当接面に当接する位置は、前記第1当接面と前記傾斜面とが接続する位置又は接続する位置の近傍であることを特徴とする請求項1記載のコネクタ。
【請求項3】
筐体と、前記筐体に取り付けられた請求項1又は請求項2記載のコネクタと、を備えたことを特徴とする電子機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プラグとレセプタクルとの係合時の位置ずれを吸収するコネクタ及び電子機器に係る。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に、プラグとレセプタクルとの係合時の位置ずれを吸収するコネクタが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】実開昭64-27982号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載されたコネクタは、矩形のコネクタハウジングの4辺それぞれに対応して、コネクタとコネクタに装着される被装着部材との嵌合時の位置ずれを吸収するリング状のバネ部材を有する。
そのため、コネクタの全体形状の小型化が難しい、という問題がある。
【0005】
そこで、本発明が解決しようとする課題は、被装着部材との係合時の位置ずれを吸収可能としつつ小型化できるコネクタ及び電子機器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するために、本発明は次の構成を有する。
1) プラグ及びレセプタクルの一方である接続部品と、前記接続部品に装着される他方の接続部品を有する被装着部材を装着方向にガイドするガイド枠部と、前記ガイド枠部から第1の外方向に突出して形成され前記ガイド枠部に接近する方向の可撓性を有する第1支持部と、前記第1の外方向と反対の第2の外方向に突出して形成され前記ガイド枠部に接近する方向の可撓性を有する第2支持部と、
を有する本体部と、
内側に前記本体部が進入可能な枠体であって、前記枠体の内面として、左右前後に延在し上下方向において平行に対向し、前記本体部が進入した状態で前記第1支持部が当接する第1当接面及び前記第2支持部が当接する第2当接面と、前記第1当接面及び前記第2当接面それぞれの両端から前記本体部に接近する方向に傾斜した2対の傾斜面と、を有するホルダと、
を備え、
前記ホルダに進入した前記本体部が、その進入方向及び前記第1の外方向と直交する方向に移動したときに、前記第1支持部及び前記第2支持部が前記傾斜面を摺動して前記ガイド枠部に接近する方向に弾性変形することを特徴とするコネクタである。
2) 筐体と、前記筐体に取り付けられた1)に記載のコネクタと、を備えたことを特徴とする電子機器である。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、被装着部材との係合時の位置ずれを吸収可能としつつ小型化できる、という効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、本発明の実施の形態に係るコネクタの実施例1であるコネクタ51が有する本体部1を示す半断面の平面図である。
図2図2は、本体部1の正面図である。
図3図3は、図2におけるS3-S3位置での断面図である。
図4図4は、コネクタに装着されるメモリユニット71を示す斜視図である。
図5図5は、コネクタ51の正面図である。
図6図6は、コネクタ51を筐体81に取り付けた状態を示す一部断面の部分平面図である。
図7図7は、コネクタ51の第1の動作を示す正面図である。
図8図8は、コネクタ51の第2の動作を示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の実施の形態に係るコネクタを、実施例のコネクタ51により説明する。
【0010】
(実施例)
コネクタ51は、図1に示される本体部1、及び図5及び図6に示されているホルダ3を有する。
ホルダ3は扁平の矩形環状の枠体であり、ホルダ3の枠の内側に本体部1の一部が挿入された状態で使用される。
説明の便宜上、上下左右前後の各方向を、図1及び図2に矢印で示した方向に規定する。この上下左右前後の各方向は、コネクタ51の使用姿勢などを規制するものではない。
【0011】
まず、本体部1について、図1図3を参照して詳述する。
本体部1は、上下に薄い扁平の枠状体であるガイド枠部11と、ガイド枠部11から左右それぞれに延び出るフランジ部12と、ガイド枠部11から後方に延びる基板支持部13とを有する。
ガイド枠部11の内面11aのうちの底面11a2の後端には、上方に立ち上がる段部11bが形成されている。基板支持部13の前端部は、段部11bの上端部に連結している。
【0012】
基板支持部13の上面には基板21が載せられている。基板21は、取付ねじNによって基板支持部13に対して複数箇所で固定されている。
基板21の前端部には、接続部品としてのプラグ22が、段部11bよりも前方に突出するように実装されている。
【0013】
ガイド枠部11の前端面の内縁は、面取りによって誘導部11a1とされている。誘導部11a1は、メモリユニット71をガイド枠部11の内側に、装着方向にスムースに挿入できるよう案内するガイドとなる。
ガイド枠部11の内面における上側の左右両端部には、傾斜部11a5が形成されている。
【0014】
ガイド枠部11の外面における上面11a3及び下面11a4には、それぞれ第1支持部14及び第2支持部15が形成されている。
第1支持部14と第2支持部15とは、上下反転した同じ形状であるから、代表として第1支持部14について説明する。
【0015】
第1支持部14は、平板状の基部14aと柱部14bとを有する。
柱部14bは、上面11a3の左右方向及び前後方向のほぼ中央部において、前後に延びるリブ状に上方である第1の外方向に向け立設している。
基部14aにおいて、左右方向の中央部位である接続部14cに柱部14bの先端が接続している。基部14aの左端部には上方に突出する第1当接部14a1が形成されており、右端部には上方に突出する第2当接部14a2が形成されている。
これにより、基部14aは、接続部14cを支点として両端部がそれぞれ上下方向に可撓性を有する。
従って、第1当接部14a1及び第2当接部14a2は、接続部14cに対し上下方向に弾性移動する。
【0016】
第2支持部15も第1支持部14と同じ構造であり、基部15aは、接続部15cを支点として両端部がそれぞれ上下方向に可撓性を有する。
基部15aの両端部には、第1当接部14a1及び第2当接部14a2に相当する第3当接部15a1と第4当接部15a2が形成されている。基部15aには、下面11a4から下方である第2の外方向に突出して立設した柱部15bが接続部15cで接続している。
従って、第2支持部の第3当接部15a1及び第4当接部15a2は、柱部15bが接続した接続部15cに対し上下方向に弾性移動する。
【0017】
図4は、コネクタ51に装着される被装着部材としてのメモリユニット71を示す斜視図である。
メモリユニット71は、扁平の六面体であり、一対の稜線には傾斜部712を有し、ガイド枠部11の内側に対しその形状に適合してほぼすきまなく挿入可能となっている。
挿入側の面である挿入面713には、プラグ22に対応した位置に孔711が形成され、孔711の奥にはプラグ22と接続する接続部品としてのレセプタクル71aが配置されている。
【0018】
これにより、図1に矢印DR7で示されるように、メモリユニット71をガイド枠部11に挿入すると、プラグ22が孔711に進入してレセプタクル71aに係合し、メモリユニット71と基板21とが電気的に接続される。
メモリユニット71は、ガイド枠部11の内側に対し、挿入面713が段部11bに当接する位置まで挿入される。
【0019】
図5及び図6に示されるように、ホルダ3は、本体部1のガイド枠部11を内側に挿通可能な環状の枠部31と、枠部31から上下左右において外方に張り出したフランジ部32とを有する。
枠部31は、内側の面として、左右前後に延在し上下方向において平行に対向する一対の当接面31a,31bと、上下前後に延在し左右方向において平行に対向する一対の非当接面31c,31dとを有する。
当接面31a,31bをそれぞれ第1当接面,第2当接面とも称する。
【0020】
当接面31aと非当接面31c,31dとが接続する上側の左右両隅部分は、それぞれ傾斜面31e1,31e4とされている。傾斜面31e1,31e4は、当接面31aの両端からガイド枠部11に接近する側に傾斜している。
当接面31bと非当接面31c,31dとが接続する下側の左右両隅部分は、それぞれ傾斜した傾斜面31e2,31e3とされている。傾斜面31e2,31e3は、当接面31bの両端からガイド枠部11に接近する側に傾斜している。
枠部31の内面形状は、本体部1のガイド枠部11の外面形状に対し、上下左右及び斜めの各方向に対し所定の距離だけ離隔して大きく形成されている。
【0021】
コネクタ51は、本体部1が枠部31の内側に進入して組み合わされた使用態様で使用される。使用態様において、本体部1の第1支持部14は、枠部31の当接面31aに当接しており、第2支持部15は、当接面31bに当接している。
より詳しくは、図5に示されるように、第1支持部14の第1当接部14a1は、当接面31aにおける傾斜面31e1が接続する接続部位P1又は接続部位P1の近傍で当接し、第2当接部14a2は、当接面31aにおける傾斜面31e4が接続する接続部位P4又は接続部位P4の近傍で当接している。
また、第2支持部15の第3当接部15a1は、当接面31bにおける傾斜面31e2が接続する接続部位P2又は接続部位P2の近傍で当接し、第4当接部15a2は、当接面31bにおける傾斜面31e3が接続する接続部位P3又は接続部位P3の近傍で当接している。
【0022】
本体部1は、第1支持部14及び第2支持部15がわずかに内側に変形してそれぞれ枠部31の当接面31a,31bを付勢するようにホルダ3内に進入していてもよい。
【0023】
図6に示されるように、コネクタ51は、被取付部材である例えば電子機器81Aの筐体81に対し、予め形成された溝部81a,81bにホルダ3のフランジ部32を進入係合させてホルダ3を位置決めする。さらに、本体部1におけるフランジ部121,122が、それぞれ筐体81に形成された係止腕部82,83の内側の係止部82a,83aに係止されて、ホルダ3に対する本体部1の後方移動が規制される。
ホルダ3に対する本体部1の前方移動は、フランジ部12がホルダ3の枠部31の後面に当接することで規制される。すなわち、コネクタ51の使用態様において、ホルダ3に対し本体部1は前後方向には実質的に移動が禁止されている。
筐体の内部には基板21と電気接続される
【0024】
上述の構成により、メモリユニット71をガイド枠部11の内側に進入させた際に、ガイド枠部11とメモリユニット71との間で進入方向に直交する方向の位置ずれがあっても、第1支持部14及び第2支持部15の少なくとも一方がガイド枠部11側に撓む。これにより、ガイド枠部11は進入方向に直交する方向に移動可能である。すなわち、位置ずれに伴うガイド枠部11の移動が許容される。換言するならば、位置ずれが吸収される。
【0025】
ガイド枠11にメモリユニット71が装着されていない自然状態において、ガイド枠部11の軸線は、枠部31の軸線と概ね一致するようになっている。換言するならば、ガイド枠部11と枠部31との隙間は、上下左右の各方向において偏りなく概ね同じになるようになっている。そのために、第1支持部14及び第2支持部15の寸法,形状,及び弾性、並びに、第1支持部14及び第2支持部15が枠部31から受ける反力と第1支持部14及び第2支持部15の弾性反発力などとの釣り合いが考慮されている。
この自然状態に対し、図7に示されるように、メモリユニット71がガイド枠部11の内側に挿入された際に、メモリユニット71の位置が矢印DRaのように上方にずれていた場合、ガイド枠部11が上方に付勢される。この付勢の力により、第1支持部14の第1当接部14a1及び第2当接部14a2は、当接面31aを付勢すると共にその反力によって下方へ矢印DRa1,DRa2のように弾性変形する。
これにより、ガイド枠部11の上方への移動は許容されると共に、第1支持部14の反発力と釣り合う位置でその移動は規制される。
そのため、メモリユニット71のレセプタクル71aに係合した基板21のプラグ22に対し上下方向の力はほとんど付与されず、プラグ22と基板21に不具合は生じない。
【0026】
一方、図8に示されるように、メモリユニット71の位置が矢印DRbのように左方向にずれていた場合、ガイド枠部11が左方に付勢される。この付勢の力により、第1支持部14の第1当接部14a1及び第2支持部15の第3当接部15a1は、それぞれ傾斜面31e1及び傾斜面31e2を摺動し、第1当接部14a1については矢印DRb1に示される下方へ、第3当接部15a1については矢印DRb2に示される上方へ弾性変形する。
これにより、位置ずれに伴うガイド枠部11の左方への移動は許容されると共に、ガイド枠部11の左方への付勢力と、第1当接部14a1及び第3当接部15a1に生じるそれぞれの反発力の右方向成分の合力とが釣り合う位置でその移動は規制される。
そのため、メモリユニット71のレセプタクル71aが装着されたプラグ22に対し上下方向の力はほとんど付与されず、プラグ22と基板21に不具合は生じない。
【0027】
ガイド枠部11に挿入するメモリユニット71の位置が、上下左右に限らず、斜め方向にずれていた場合は、図7に示される変形と図8に示される変形が同じに生じて、ガイド枠部11の斜め方向の移動を許容すると共に、第1支持部14及び第2支持部の変形による反発力との釣り合う位置でその移動が規制される。
【0028】
このように、コネクタ51は、枠部31とガイド枠部11との間において、上下方向には第1支持部14及び第2支持部15が形成されて介在するものの、左右方向には介在する部位はない。
従って、コネクタ51は、左右方向の外形を小さくすることができる。
すなわち、コネクタ51は、被装着部材であるメモリユニット71との嵌合時の位置ずれを吸収可能でありつつ、小型化が可能である。
【0029】
コネクタ51を構成する本体部1及びホルダ3の材質は限定されない。例えば本体部1は樹脂で形成し、ホルダ3は樹脂又は金属で形成することができる。
【0030】
以上詳述した実施例は、上述の構成に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において変形した変形例としてもよい。
【0031】
コネクタ51に装着される被装着部材は、メモリユニットに限定されない。
コネクタ51側にレセプタクルが配置され、被装着部材側にプラグが配置されていてもよい。
第1支持部14及び第2支持部15の基部14a,15aは、上述のような板状であるものに限定されない。リング状、ジグザグ状など当接面31a,31bに当接して弾性変形可能な形状及び材質であればよい。
ガイド枠部11及び枠部31は、閉じた環状に形成されてなくてもよく、環状を不連続なものとするスリットを有していてもよい。例えばC字状に形成されていてもよい。
【符号の説明】
【0032】
1 本体部
11 ガイド枠部
11a 内面
11a1 誘導部
11a2 底面
11a3 上面
11a4 下面
11a5 傾斜部
11b 段部
12,121,122 フランジ部
13 基板支持部
14 第1支持部
14a 基部
14a1 第1当接部
14a2 第2当接部
14b 柱部
14c 接続部
15 第2支持部
15a 基部
15a1 第3当接部
15a2 第4当接部
15b 柱部
15c 接続部
21 基板
22 プラグ
3 ホルダ
31 枠部
31a,31b 当接面
31c,31d 非当接面
31e1~31e4 傾斜面
32 フランジ部
51 コネクタ
71 メモリユニット
711 孔
712 傾斜部
713 挿入面
71a レセプタクル
81 筐体
81A 電子機器
81a,81b 溝部
82,83 係止腕部
82a,83a 係止部
P1~P4 接続部位
N 取付ねじ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8