(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-01-16
(45)【発行日】2023-01-24
(54)【発明の名称】化合物半導体装置及びその製造方法、検波器
(51)【国際特許分類】
H01L 29/861 20060101AFI20230117BHJP
H01L 29/868 20060101ALI20230117BHJP
H01L 21/329 20060101ALI20230117BHJP
H01L 29/88 20060101ALI20230117BHJP
H01L 29/06 20060101ALI20230117BHJP
H03D 1/06 20060101ALI20230117BHJP
H03D 1/10 20060101ALI20230117BHJP
【FI】
H01L29/91 K
H01L29/91 F
H01L29/91 H
H01L29/91 L
H01L29/88 Z
H01L29/06 301M
H01L29/06 301V
H01L29/91 A
H01L29/06 601N
H03D1/06
H03D1/10
H01L29/91 C
(21)【出願番号】P 2019059969
(22)【出願日】2019-03-27
【審査請求日】2021-09-09
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成29年度、国立研究開発法人科学技術振興機構、戦略的創造研究推進事業「環境電波発電向けナノワイヤ半導体デバイスの研究開発」委託研究、産業技術力強化法第19条の適用を受ける特許出願
(73)【特許権者】
【識別番号】000005223
【氏名又は名称】富士通株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003649
【氏名又は名称】弁理士法人真田特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100092978
【氏名又は名称】真田 有
(72)【発明者】
【氏名】高橋 剛
(72)【発明者】
【氏名】河口 研一
【審査官】杉山 芳弘
(56)【参考文献】
【文献】特表2013-508966(JP,A)
【文献】特開昭58-169969(JP,A)
【文献】特開2018-093054(JP,A)
【文献】FERRO et al.,A novel GaSb/AlSb/InAs high efficiency rectifying diode.,Proceedings. IEEE/Cornell Conference on Advanced Concepts in High Speed Semiconductor Devices and Circuits,米国,IEEE,1993年08月02日,Page.329-337,DOI:10.1109/CORNEL.1993.303103
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 29/88
H01L 29/866
H01L 29/868
H01L 29/861
H01L 21/329
H01L 29/06
H03D 3/10
H03D 7/04
H03K 3/315
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
それぞれバンド間トンネル現象を利用するバンド間トンネルダイオードである第1のバックワードダイオード及び第2のバックワードダイオードと、
前記第1のバックワードダイオードと前記第2のバックワードダイオードとの間をトンネル電流が両方向に流れるようにバンド間トンネル接合するバンド間トンネル接合部
と、を備えることを特徴とする化合物半導体装置。
【請求項2】
前記
第1のバックワードダイオード
及び前記第2のバックワードダイオードは、それぞれ、n型半導体とp型半導体をバンド間トンネル電流が一方向に流れるようにバンド間トンネル接合
されたバンド間トンネルダイオードであり、
前記バンド間トンネル接合部は、
前記第1のバックワードダイオードに備えられる前記p型半導体に連なるp型部分と、
前記第2のバックワードダイオードに備えられる前記n型半導体に連なるn型部分とをバンド間トンネル接合することによって構成されることを特徴とする、請求項1に記載の化合物半導体装置。
【請求項3】
前記n型半導体及び前記n型部分は、少なくともInとAsを含み、
前記p型半導体及び前記p型部分は、少なくともGaとSbを含むことを特徴とする、請求項2に記載の化合物半導体装置。
【請求項4】
前記n型半導体及び前記n型部分は、InAs又はInGaAsからなり、
前記p型半導体及び前記p型部分は、GaSb、GaAsSb又はAlGaSbからなることを特徴とする、請求項2又は3に記載の化合物半導体装置。
【請求項5】
前記n型部分が前記n型半導体よりも高濃度の不純物を含むか、前記p型部分が前記p型半導体よりも高濃度の不純物を含むか、又は、前記n型部分が前記n型半導体よりも高濃度の不純物を含み、かつ、前記p型部分が前記p型半導体よりも高濃度の不純物を含むことを特徴とする、請求項2~4のいずれか1項に記載の化合物半導体装置。
【請求項6】
前記n型部分が前記n型半導体よりもバンドギャップが狭い材料からなるか、前記p型部分が前記p型半導体よりもバンドギャップが狭い材料からなるか、前記n型部分が前記n型半導体よりもバンドギャップが狭い材料からなり、かつ、前記p型部分が前記p型半導体よりもバンドギャップが狭い材料からなることを特徴とする、請求項2~5のいずれか1項に記載の化合物半導体装置。
半導体装置。
【請求項7】
前記
第1のバックワードダイオード
及び前記第2のバックワードダイオードは、互いに異なるバンドギャップを有する材料からなり、一方の側から他方の側へ向けて順にバンドギャップが大きくなることを特徴とする、請求項1~6のいずれか1項に記載の化合物半導体装置。
【請求項8】
前記
第1のバックワードダイオード
及び前記第2のバックワードダイオードは、それぞれ、ナノワイヤ型の構造を有することを特徴とする、請求項1~7のいずれか1項に記載の化合物半導体装置。
【請求項9】
アンテナと、
前記アンテナに接続された化合物半導体装置とを備え、
前記化合物半導体装置は、
それぞれバンド間トンネル現象を利用するバンド間トンネルダイオードである第1のバックワードダイオード及び第2のバックワードダイオードと、
前記第1のバックワードダイオードと前記第2のバックワードダイオードとの間をトンネル電流が両方向に流れるようにバンド間トンネル接合するバンド間トンネル接合部
と、を備えることを特徴とする検波器。
【請求項10】
バンド間トンネル現象を利用するバンド間トンネルダイオードである第1のバックワードダイオードを形成する工程と、
バンド間トンネル電流が両方向に流れるようにバンド間トンネル接合するバンド間トンネル接合部
を形成する工程と、
前記バンド間トンネル接合部によって前記
第1のバックワードダイオードに接合されるように、
バンド間トンネル現象を利用するバンド間トンネルダイオードである第2のバックワードダイオードを形成する工程とを含むことを特徴とする化合物半導体装置の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、化合物半導体装置及びその製造方法、検波器に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、検波器やエネルギーハーベスタには、通常、ショットキーダイオードが用いられる。
より検波感度や変換効率を高くするために、
図49に示すようなバンド間トンネル現象を利用したバックワードダイオードが用いられる場合もある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2016-208028号公報
【文献】特開平2-77036号公報
【文献】特開2010-251689号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、バックワードダイオードは、ゼロバイアス近傍で大きな非線形特性を持つのが特徴である。
バックワードダイオードは、逆方向電圧印加時には、トンネル電流が流れるために低い電圧で急激に電流が流れるのに対し、順方向電圧印加時には、約0.5V付近まで電流が流れず、これにより、大きな非線形特性を示す(例えば
図50参照)。
【0005】
しかしながら、約0.5V付近よりも順方向電圧が大きい場合には電流が流れ始める。
このため、バックワードダイオードは、0V近傍の微弱な高周波電力の入力に対しては大変有効であるが、例えばmW以上の大きな入力電力に対しては、電圧のスイングが大きくなって、順方向電流が流れ始め(例えば
図50参照)、非線形特性が劣化する。
本発明は、バックワードダイオードを用いる場合に順方向の耐圧を向上させ、例えばmW以上の大きな入力電力に対する非線形特性の劣化を抑制することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
1つの態様では、化合物半導体装置は、それぞれバンド間トンネル現象を利用するバンド間トンネルダイオードである第1のバックワードダイオード及び第2のバックワードダイオードと、第1のバックワードダイオードと第2のバックワードダイオードとの間をトンネル電流が両方向に流れるようにバンド間トンネル接合するバンド間トンネル接合部と、を備える。
1つの態様では、検波器は、アンテナと、アンテナに接続された化合物半導体装置とを備え、化合物半導体装置は、それぞれバンド間トンネル現象を利用するバンド間トンネルダイオードである第1のバックワードダイオード及び第2のバックワードダイオードと、第1のバックワードダイオードと第2のバックワードダイオードとの間をトンネル電流が両方向に流れるようにバンド間トンネル接合するバンド間トンネル接合部と、を備える。
【0007】
1つの態様では、化合物半導体装置の製造方法は、バンド間トンネル現象を利用するバンド間トンネルダイオードである第1のバックワードダイオードを形成する工程と、バンド間トンネル電流が両方向に流れるようにバンド間トンネル接合するバンド間トンネル接合部を形成する工程と、バンド間トンネル接合部によって第1のバックワードダイオードに接合されるように、バンド間トンネル現象を利用するバンド間トンネルダイオードである第2のバックワードダイオードを形成する工程とを含む。
【発明の効果】
【0008】
1つの側面として、バックワードダイオードを用いる場合に順方向の耐圧を向上させ、例えばmW以上の大きな入力電力に対する非線形特性の劣化を抑制することができるという効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本実施形態にかかる化合物半導体装置の構成を説明するためのエネルギーバンド図である。
【
図2】本実施形態にかかる化合物半導体装置の構成を説明するためのエネルギーバンド図である。
【
図3】本実施形態にかかる化合物半導体装置の構成を説明するためのI-V特性を示す図である。
【
図4】本実施形態にかかる化合物半導体装置による効果を説明するためのI-V特性を示す図である。
【
図5】比較例の化合物半導体装置の構成を説明するためのエネルギーバンド図である。
【
図6】比較例の化合物半導体装置の構成を説明するためのエネルギーバンド図である。
【
図7】比較例の化合物半導体装置の構成を説明するためのI-V特性を示す図である。
【
図8】比較例の化合物半導体装置の構成によって得られるI-V特性を示す図である。
【
図9】本実施形態にかかる化合物半導体装置の他の例の構成を説明するためのエネルギーバンド図である。
【
図10】本実施形態にかかる化合物半導体装置の他の例による効果を説明するためのI-V特性を示す図である。
【
図11】本実施形態にかかる化合物半導体装置の具体例の構成を示す模式的断面図である。
【
図12】本実施形態にかかる化合物半導体装置の具体例の製造方法を説明するための模式的断面図である。
【
図13】本実施形態にかかる化合物半導体装置の具体例の製造方法を説明するための模式的断面図である。
【
図14】本実施形態にかかる化合物半導体装置の具体例の製造方法を説明するための模式的断面図である。
【
図15】本実施形態にかかる化合物半導体装置の具体例の製造方法を説明するための模式的断面図である。
【
図16】本実施形態にかかる化合物半導体装置の具体例の製造方法を説明するための模式的断面図である。
【
図17】本実施形態にかかる化合物半導体装置の具体例の製造方法を説明するための模式的断面図である。
【
図18】本実施形態にかかる化合物半導体装置の具体例の製造方法を説明するための模式的断面図である。
【
図19】本実施形態にかかる化合物半導体装置の具体例の製造方法を説明するための模式的断面図である。
【
図20】本実施形態にかかる化合物半導体装置の具体例の他の例の構成を示す模式的断面図である。
【
図21】本実施形態にかかるエネルギーハーベスタの構成を示す図である。
【
図22】本実施形態にかかる検波器の構成を示す図である。
【
図23】本実施形態にかかる化合物半導体装置の第1変形例の構成を説明するためのエネルギーバンド図である。
【
図24】本実施形態にかかる化合物半導体装置の第1変形例の構成を説明するためのエネルギーバンド図である。
【
図25】本実施形態にかかる化合物半導体装置の第1変形例の構成を説明するためのI-V特性を示す図である。
【
図26】本実施形態にかかる化合物半導体装置の第1変形例による効果を説明するためのI-V特性を示す図である。
【
図27】本実施形態にかかる化合物半導体装置の第1変形例の構成についてデバイス特性シミュレーションを用いてI-V特性を求めた結果を示す図である。
【
図28】従来のバックワードダイオードのエネルギーバンド図である。
【
図29】従来のバックワードダイオードについてデバイス特性シミュレーションを用いてI-V特性を求めた結果を示す図である。
【
図30】本実施形態にかかる化合物半導体装置の第1変形例の他の例の構成を説明するためのエネルギーバンド図である。
【
図31】本実施形態にかかる化合物半導体装置の第1変形例の他の例による効果を説明するためのI-V特性を示す図である。
【
図32】本実施形態にかかる化合物半導体装置の第1変形例の具体例の構成を示す模式的断面図である。
【
図33】本実施形態にかかる化合物半導体装置の第1変形例の具体例の他の例の構成を示す模式的断面図である。
【
図34】本実施形態にかかる化合物半導体装置の第2変形例の構成を示す模式的断面図である。
【
図35】本実施形態にかかる化合物半導体装置の第3変形例の構成を示す模式的断面図である。
【
図36】本実施形態にかかる化合物半導体装置の第3変形例の製造方法を説明するための模式的断面図である。
【
図37】本実施形態にかかる化合物半導体装置の第3変形例の製造方法を説明するための模式的断面図である。
【
図38】本実施形態にかかる化合物半導体装置の第3変形例の製造方法を説明するための模式的断面図である。
【
図39】本実施形態にかかる化合物半導体装置の第3変形例の製造方法を説明するための模式的断面図である。
【
図40】本実施形態にかかる化合物半導体装置の第3変形例の製造方法を説明するための模式的断面図である。
【
図41】本実施形態にかかる化合物半導体装置の第3変形例の製造方法を説明するための模式的断面図である。
【
図42】本実施形態にかかる化合物半導体装置の第3変形例の製造方法を説明するための模式的断面図である。
【
図43】本実施形態にかかる化合物半導体装置の第3変形例の製造方法を説明するための模式的断面図である。
【
図44】本実施形態にかかる化合物半導体装置の第3変形例の製造方法を説明するための模式的断面図である。
【
図45】本実施形態にかかる化合物半導体装置の第3変形例の製造方法を説明するための模式的断面図である。
【
図46】本実施形態にかかる化合物半導体装置の第3変形例の製造方法を説明するための模式的断面図である。
【
図47】本実施形態にかかる化合物半導体装置の第3変形例の製造方法を説明するための模式的断面図である。
【
図48】本実施形態にかかる化合物半導体装置の第3変形例の製造方法を説明するための模式的断面図である。
【
図49】従来のバックワードダイオードのエネルギーバンド図である。
【
図50】従来のバックワードダイオードのI-V特性を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面により、本発明の実施の形態にかかる化合物半導体装置及びその製造方法、検波器について、
図1~
図50を参照しながら説明する。
本実施形態にかかる化合物半導体装置は、バックワードダイオードを含む化合物半導体装置である。
ここで、バックワードダイオードは、バンド間トンネル現象を利用したバンド間トンネルダイオードであり、例えば検波器やエネルギーハーベスタに用いられる化合物半導体装置において、より検波感度や変換効率を高くするために用いられる。
【0011】
本実施形態の化合物半導体装置は、例えば
図1に示すように、バンド間トンネル電流が両方向に流れるようにバンド間トンネル接合するバンド間トンネル接合部3によって接合された複数(ここでは2つ)のバックワードダイオード1、2を備える。
ここで、複数(ここでは2つ)のバックワードダイオード1、2は、それぞれ、n型半導体4、8とp型半導体5、9をバンド間トンネル電流が一方向に流れるように、即ち、バックワード動作するようにバンド間トンネル接合することによって構成される。
【0012】
なお、n型半導体を、n型半導体層、第1半導体又は第1半導体層ともいう。また、p型半導体を、p型半導体層、第2半導体又は第2半導体層ともいう。
また、バンド間トンネル接合部3は、複数(ここでは2つ)のバックワードダイオード1、2に含まれる一のバックワードダイオード1に備えられるp型半導体5に連なるp型部分6と、複数のバックワードダイオード1、2に含まれる他のバックワードダイオード2に備えられるn型半導体8に連なるn型部分7とをバンド間トンネル接合することによって構成される。
【0013】
ここでは、n型半導体4、8及びn型部分7は、n型InGaAs(n-InGaAs)であり、p型半導体5、9及びp型部分6は、p型GaAsSb(p-GaAsSb)である。
このため、複数のバックワードダイオード1、2は、いずれも、p-GaAsSbとn-InGaAsがヘテロ接合されたpn接合ダイオードである。
【0014】
この場合、複数(ここでは2つ)のバックワードダイオード1、2は、同一のバンドギャップを有する材料からなる。
なお、これに限られるものではなく、例えば、n型半導体4、8及びn型部分7は、InAs又はInGaAsからなり、p型半導体5、9及びp型部分6は、GaSb、GaAsSb又はAlGaSbからなるものとすれば良い。また、n型半導体4、8及びn型部分7は、少なくともInとAsを含み、p型半導体5、9及びp型部分6は、少なくともGaとSbを含むものであれば良い。また、複数のバックワードダイオード1、2は、異なるバンドギャップを有する材料からなるバックワードダイオードを含むものとしても良い。
【0015】
また、本実施形態では、n型部分7がn型半導体4、8よりも高濃度の不純物を含み、かつ、p型部分6がp型半導体5、9よりも高濃度の不純物を含む。
つまり、ここでは、n型部分7は、n+-InGaAsであり、p型部分6は、p+-GaAsSbである。なお、n型部分7及びp型部分9は、不純物濃度が高濃度の半導体層である。このため、高濃度不純物層ともいう。
【0016】
このため、p-GaAsSbとn-InGaAsで構成される一のバックワードダイオード1と、p-GaAsSbとn-InGaAsで構成される他のバックワードダイオード2が、p+-GaAsSbとn+-InGaAsで構成されるバンド間トンネル接合部3によって接合(接続)される。
このように、本実施形態では、複数(ここでは2つ)のバックワードダイオード1、2を接合するバンド間トンネル接合部3を構成するn型部分7及びp型部分6を、高濃度の不純物を含むものとする、即ち、不純物濃度を高くする。
【0017】
これにより、
図2に示すように、バンド間トンネル接合部3のトンネルバリアが薄くなり、バンド間トンネル距離が短縮され、双方向にバンド間トンネルが容易となる。このため、バンド間トンネル接合部3では、バンド間トンネル電流が順方向、逆方向の両方向(双方向)に流れ、
図3に示すようなI-V特性となり、オーミック特性が発生する。
なお、バンド間トンネル接合部3では、バンド間トンネル電流が両方向に流れるようにバンド間トンネル接合されるが、これを、バンド間トンネル接合によるオーミック接合ともいう。
【0018】
このようにして、複数(ここでは2つ)のバックワードダイオード1、2が、バンド間トンネル接合部3によって、バンド間トンネル電流が両方向に流れるようにバンド間トンネル接合される。
これにより、上述のようにして複数(ここでは2つ)のバックワードダイオード1、2を接合したものは、
図4中、実線Aで示すようなI-V特性となり、破線Bで示す従来のバックワードダイオードのI-V特性と比較して、逆方向耐圧をそれほど増加させずに、順方向耐圧を向上させることができる。
【0019】
ここでは、バックワードダイオードは2つ分あるため、1つにかかるバイアスは全体のバイアスの半分である。このため、全体の順方向耐圧は2倍に向上する。
このように、上述のバンド間トンネル接合部3によって複数(ここでは2つ)のバックワードダイオード1、2を接合したものは、順方向耐圧が向上したバックワードダイオードとして機能することになる。
【0020】
これにより、例えばmW以上の大きな入力電力に対する非線形特性の劣化を抑制することができる。この結果、例えば検波器やエネルギーハーベスタに用いた場合に、高感度化、高効率化を実現することが可能となる。
これに対し、例えば
図5に示すように、複数(ここでは2つ)のバックワードダイオード1、2をそのまま結合(単純結合)すると、上述のような効果は得られない。
【0021】
つまり、複数(ここでは2つ)のバックワードダイオード1、2をそのまま結合する場合、一のバックワードダイオード1と他のバックワードダイオード2とを、
図5に示すように、バンド間トンネル電流が一方向に流れるようにバンド間トンネル接合することになる。
この場合、
図6に示すように、一のバックワードダイオード1と他のバックワードダイオード2とを接合する部分のバンド間トンネル距離は長いため、この接合部では、
図7に示すようなI-V特性となり、バックワードダイオードとして機能することになる。
【0022】
なお、一のバックワードダイオード1と他のバックワードダイオード2とをバンド間トンネル接合する接合部を流れるバンド間トンネル電流は、各バックワードダイオード1、2におけるバンド間トンネル接合を流れるバンド間トンネル電流に対して、逆方向へ向けて流れることになる。
この場合、複数(ここでは2つ)のバックワードダイオード1、2をそのまま結合したものは、
図8中、実線Aで示すようなI-V特性となり、破線Bで示す従来のバックワードダイオードのI-V特性と比較して、順方向耐圧を向上させることができるものの、同様に、逆方向耐圧も増加してしまう。
【0023】
このように、複数(ここでは2つ)のバックワードダイオード1、2をそのまま結合したものは、バックワードダイオードとして機能しなくなってしまう。
このため、例えばmW以上の大きな入力電力に対する非線形特性の劣化を抑制することができず、例えば検波器やエネルギーハーベスタに用いた場合に、高感度化、高効率化を実現することもできない。
【0024】
なお、本実施形態では、n型部分7がn型半導体4、8よりも高濃度の不純物を含み、かつ、p型部分6がp型半導体5、9よりも高濃度の不純物を含むものとすることで、複数のバックワードダイオード1、2を接合するバンド間トンネル接合部3を、バンド間トンネル電流が両方向に流れるようにバンド間トンネル接合するものとしているが、これに限られるものではない。
【0025】
例えば、n型部分7がn型半導体4、8よりも高濃度の不純物を含むか、p型部分6がp型半導体5、9よりも高濃度の不純物を含むか、又は、n型部分7がn型半導体4、8よりも高濃度の不純物を含み、かつ、p型部分6がp型半導体5、9よりも高濃度の不純物を含むものとすることで、複数のバックワードダイオード1、2を接合するバンド間トンネル接合部3を、バンド間トンネル電流が両方向に流れるようにバンド間トンネル接合するものとすれば良い。
【0026】
また、本実施形態では、複数のバックワードダイオードとして2つのバックワードダイオード1、2をバンド間トンネル接合部3によって接合する場合を例に挙げて説明しているが、これに限られるものではなく、3つ以上のバックワードダイオードをバンド間トンネル接合部によって接合しても良い。
例えば、
図9に示すように、複数のバックワードダイオードとして4つのバックワードダイオード1、2、10、11をバンド間トンネル接合部3、3A、3Bによって接合しても良い。
【0027】
これにより、
図10中、実線Aで示すようなI-V特性となり、
図10中、破線Bで示す従来のバックワードダイオードのI-V特性、及び、
図10中、実線Cで示す上述の実施形態のバックワードダイオードのI-V特性と比較して、さらに順方向耐圧を向上させることができる。
このように、複数のバックワードダイオード1、2、10、11をバンド間トンネル接合部3、3A、3Bによって接合(接続)した構造とすることで、バックワードダイオードの数に応じて順方向耐圧を向上させることができる。例えば、後述の具体例のように、複数のバックワードダイオードを積層する場合には、積層するバックワードダイオードの数(スタック数)に応じて順方向耐圧を向上させることができる。この場合、バックワードダイオードの数で所望の耐圧に制御できることになる。
【0028】
ところで、上述のように構成される化合物半導体装置は、以下のようにして製造することができる。
本実施形態にかかる化合物半導体装置の製造方法は、一のバックワードダイオード1を形成する工程と、バンド間トンネル電流が両方向に流れるようにバンド間トンネル接合するバンド間トンネル接合部3によって一のバックワードダイオード1に接合されるように、他のバックワードダイオード2を形成する工程とを含む(例えば
図12、
図13参照)。
【0029】
以下、
図11~
図19を参照しながら、具体例を挙げて、具体的に説明する。
本具体例の化合物半導体装置は、例えば
図11に示すように、半絶縁性InP基板12上に、i-InAlAsバッファー層13、n
+-InGaAs層14、n-InGaAs層4、p-GaAsSb層5、p
+-GaAsSb層6、n
+-InGaAs層7、n-InGaAs層8、p-GaAsSb層9からなる半導体積層構造を備える。
【0030】
ここでは、半絶縁性InP基板12上に、i-In0.52Al0.48As層13、n+-In0.53Ga0.47As層14、n-In0.53Ga0.47As層4、p-GaAs0.51Sb0.49層5、p+-GaAs0.51Sb0.49層6、n+-In0.53Ga0.47As層7、n-In0.53Ga0.47As層8、p-GaAs0.51Sb0.49層9からなる半導体積層構造を備える。
【0031】
そして、n-InGaAs層(n-In0.53Ga0.47As層;n型半導体層)4及びp-GaAsSb層(p-GaAs0.51Sb0.49層;p型半導体層)5によって、n-InGaAs/p-GaAsSbからなる一のバックワードダイオード1が構成される。
また、p+-GaAsSb層(p+-GaAs0.51Sb0.49層;高濃度の不純物を含むp型部分)6及びn+-InGaAs層(n+-In0.53Ga0.47As層;高濃度の不純物を含むn型部分)7によって、一のバックワードダイオード1と他のバックワードダイオード2を接合するバンド間トンネル接合部3が構成される。
【0032】
また、n-InGaAs層(n-In0.53Ga0.47As層;n型半導体層)8及びp-GaAsSb層(p-GaAs0.51Sb0.49層;p型半導体層)9によって、n-InGaAs/p-GaAsSbからなる他のバックワードダイオード2が構成される。
また、バンド間トンネル接合部3によって接合された2つのバックワードダイオード1、2は、メサ構造(メサ型の構造)15を有する。
【0033】
また、p-GaAsSb層9上に、例えばPt/Auからなる電極(上部電極)16を備え、n
+-InGaAs層14上に、例えばTi/Auからなる電極(下部電極)17を備え、これらの電極16、17にコンタクト配線18、19が接続されており、全体が層間絶縁膜(例えばBCB)20で埋め込まれている。
次に、本具体例の化合物半導体装置の製造方法について、
図12~
図19を参照しながら説明する。
【0034】
まず、
図12に示すように、半絶縁性InP基板12上に、i-InAlAsバッファー層13を成長させ、続いて、n
+-InGaAs層14を成長させる。
ここでは、i-InAlAsバッファー層13は、例えば、厚さ約200nmのi-In
0.52Al
0.48As層である。
また、n
+-InGaAs層14は、例えばドーピング濃度約1×10
19cm
-2、厚さ約200nmのn
+-In
0.53Ga
0.47As層である。
【0035】
次に、n+-InGaAs層14上に、n-InGaAs/p-GaAsSbからなる一のバックワードダイオード1を構成するn-InGaAs(n-InGaAs層;n型半導体層)4、p-GaAsSb(p-GaAsSb層;p型半導体層)5を成長させる。
ここでは、一のバックワードダイオード1を構成するn-InGaAs層4は、例えば、ドーピング濃度約1×1018cm-3、厚さ約100nmのn-In0.53Ga0.47As層である。
【0036】
また、一のバックワードダイオード1を構成するp-GaAsSb層5は、例えば、ドーピング濃度約1×1019cm-3、厚さ約50nmのp-GaAs0.51Sb0.49層である。
続いて、一のバックワードダイオード1と他のバックワードダイオード2を接合するバンド間トンネル接合部3を構成するp+-GaAsSb(p+-GaAsSb層;高濃度の不純物を含むp型部分)6、n+-InGaAs(n+-InGaAs層;高濃度の不純物を含むn型部分)7を成長させる。
【0037】
ここでは、バンド間トンネル接合部3を構成するp+-GaAsSb層6は、例えば、ドーピング濃度約3×1019cm-3、厚さ約50nmのp+-GaAs0.51Sb0.49層である。
また、バンド間トンネル接合部3を構成するn+-InGaAs層7は、例えば、ドーピング濃度約1×1019cm-3、厚さ約50nmのn+-In0.53Ga0.47As層である。
【0038】
次に、n-InGaAs/p-GaAsSbからなる他のバックワードダイオード2を構成するn-InGaAs(n-InGaAs層;n型半導体層)8、p-GaAsSb(p-GaAsSb層;p型半導体層)9を成長させる。
ここでは、他のバックワードダイオード2を構成するn-InGaAs層8は、例えば、ドーピング濃度約1×1018cm-3、厚さ約100nmのn-In0.53Ga0.47As層である。
【0039】
また、他のバックワードダイオード2を構成するp-GaAsSb層9は、例えば、ドーピング濃度約1×1019cm-3、厚さ約50nmのp-GaAs0.51Sb0.49層である。
なお、ここでは、各半導体層13、14、4~9は、InP基板に格子整合する例を示しているが、必ずしも格子整合しなくても良い。
【0040】
次に、
図13に示すように、例えばフォトリソグラフィーによって、メサ(メサ構造)15になる部分を規定する。
ここでは、他のバックワードダイオード2、バンド間トンネル接合部3、一のバックワードダイオード1のそれぞれを構成する各半導体層4~9をエッチングして、メサ(メサ構造)15を形成する。その後、レジストを除去する。
【0041】
次に、
図14に示すように、例えばフォトリソグラフィーによって、素子分離を行なう領域を規定し、n
+-InGaAs層14をエッチングで除去し、i-InAlAsバッファー層13を露出させて、素子分離を行なう。その後、レジストを除去する。
次に、
図15に示すように、メサ15の直上に電極(上部電極)16を形成する。
ここでは、例えばフォトリソグラフィーによって、電極領域を規定し、メサ15の最上層を構成するp-GaAsSb層9上に、例えばPt/Auの蒸着・リフトオフによって、電極16を形成する。
【0042】
次に、
図16に示すように、n
+-InGaAs層14上に電極(下部電極)17を形成する。
ここでは、例えばフォトリソグラフィーによって、電極領域を規定し、n
+-InGaAs層14上に、例えばTi/Auの蒸着・リフトオフによって、電極17を形成する。
次に、
図17に示すように、メサ15の段差を含む全体を埋め込むように、例えばBCBを塗布し、硬化させることによって、層間絶縁膜20を形成する。
【0043】
次に、
図18に示すように、例えばフォトリソグラフィーによって各電極16、17の直上にコンタクトホール領域を規定し、例えばドライエッチングによって各電極16、17に達するコンタクトホール21、22を形成する。
次に、
図19に示すように、例えばフォトリソグラフィーによって、コンタクト配線領域を規定し、例えばAuめっきによって、各電極17、18に接続されるコンタクト配線18、19を形成する。その後、レジストは除去する。
【0044】
このようにして、本実施形態の具体例の化合物半導体装置を製造することができる。
なお、この具体例では、複数のバックワードダイオードとして2つのバックワードダイオード1、2をバンド間トンネル接合部3によって接合する場合の具体例として説明しているが、例えば
図9に示すように、4つのバックワードダイオード1、2、10、11をバンド間トンネル接合部3、3A、3Bによって接合する場合には、以下のようにすれば良い。
【0045】
つまり、化合物半導体装置は、例えば
図20に示すように、半絶縁性InP基板12上に、i-InAlAsバッファー層13、n
+-InGaAs層14、n-InGaAs層4、p-GaAsSb層5、p
+-GaAsSb層6、n
+-InGaAs層7、n-InGaAs層8、p-GaAsSb層9、p
+-GaAsSb層(p型部分)23、n
+-InGaAs層(n型部分)24、n-InGaAs層(n型半導体;n型半導体層)25、p-GaAsSb層(p型半導体;p型半導体層)26、p
+-GaAsSb層(p型部分)27、n
+-InGaAs層(n型部分)28、n-InGaAs層(n型半導体;n型半導体層)29、p-GaAsSb層(p型半導体;p型半導体層)30からなる半導体積層構造を備えるものとすれば良い。
【0046】
例えば、半絶縁性InP基板12上に、i-In0.52Al0.48As層13、n+-In0.53Ga0.47As層14、n-In0.53Ga0.47As層4、p-GaAs0.51Sb0.49層5、p+-GaAs0.51Sb0.49層6、n+-In0.53Ga0.47As層7、n-In0.53Ga0.47As層8、p-GaAs0.51Sb0.49層9、p+-GaAs0.51Sb0.49層23、n+-In0.53Ga0.47As層24、n-In0.53Ga0.47As層25、p-GaAs0.51Sb0.49層26、p+-GaAs0.51Sb0.49層27、n+-In0.53Ga0.47As層28、n-In0.53Ga0.47As層29、p-GaAs0.51Sb0.49層30からなる半導体積層構造を備えるものとすれば良い。
【0047】
この場合、n-InGaAs層(n-In0.53Ga0.47As層;n型半導体層)4及びp-GaAsSb層(p-GaAs0.51Sb0.49層;p型半導体層)5によって、n-InGaAs/p-GaAsSbからなる第1のバックワードダイオード1が構成される。
また、p+-GaAsSb層(p+-GaAs0.51Sb0.49層;高濃度の不純物を含むp型部分)6及びn+-InGaAs層(n+-In0.53Ga0.47As層;高濃度の不純物を含むn型部分)7によって、第1のバックワードダイオード1と第2のバックワードダイオード2を接合するバンド間トンネル接合部3が構成される。
【0048】
また、n-InGaAs層(n-In0.53Ga0.47As層;n型半導体層)8及びp-GaAsSb層(p-GaAs0.51Sb0.49層;p型半導体層)9によって、n-InGaAs/p-GaAsSbからなる第2のバックワードダイオード2が構成される。
また、p+-GaAsSb層(p+-GaAs0.51Sb0.49層;高濃度の不純物を含むp型部分)23及びn+-InGaAs層(n+-In0.53Ga0.47As層;高濃度の不純物を含むn型部分)24によって、第2のバックワードダイオード2と第3のバックワードダイオード10を接合するバンド間トンネル接合部3Aが構成される。
【0049】
また、n-InGaAs層(n-In0.53Ga0.47As層;n型半導体層)25及びp-GaAsSb層(p-GaAs0.51Sb0.49層;p型半導体層)26によって、n-InGaAs/p-GaAsSbからなる第3のバックワードダイオード10が構成される。
また、p+-GaAsSb層(p+-GaAs0.51Sb0.49層;高濃度の不純物を含むp型部分)27及びn+-InGaAs層(n+-In0.53Ga0.47As層;高濃度の不純物を含むn型部分)28によって、第3のバックワードダイオード10と第4のバックワードダイオード11を接合するバンド間トンネル接合部3Bが構成される。
【0050】
また、n-InGaAs層(n-In0.53Ga0.47As層;n型半導体層)29及びp-GaAsSb層(p-GaAs0.51Sb0.49層;p型半導体層)30によって、n-InGaAs/p-GaAsSbからなる第4のバックワードダイオード11が構成される。
また、バンド間トンネル接合部3、3A、3Bによって接合された4つのバックワードダイオード1、2、10、11は、メサ構造(メサ型の構造)15を有する。
【0051】
また、p-GaAsSb層30上に、例えばPt/Auからなる電極(上部電極)16を備え、n+-InGaAs層14上に、例えばTi/Auからなる電極(下部電極)17を備え、これらの電極16、17にコンタクト配線18、19が接続されており、層間絶縁膜(例えばBCB)20で埋め込まれているものとすれば良い。
このように構成される化合物半導体装置は、上述の具体例の化合物半導体装置と層構造が異なるだけであるため、上述の具体例の製造方法と同様の方法で製造することができる。
【0052】
ところで、上述のような構成及び製造方法を採用しているのは、以下の理由による。
例えば、無線通信の受信機用の検波器やエネルギーハーベスタのエネルギー変換素子として、通常はショットキーダイオードが用いられる。
より検波感度や変換効率が高い素子として、バンド間トンネル現象を利用したバックワードダイオードがある(例えば
図49参照)。
【0053】
バックワードダイオードは、エサキダイオードの不純物濃度を制御して順方向ピーク部を抑制した構造といえる。
そして、バックワードダイオードは、ゼロバイアス近傍で大きな非線形特性を持つのが特徴である。
ここで、
図50は、典型的なバックワードダイオードのI-V特性を示している。
【0054】
図50に示すように、バックワードダイオードは、逆方向電圧印加時には、トンネル電流が流れるために低い電圧で急激に電流が流れるのに対し、順方向電圧印加時には、約0.5V付近まで電流が流れず、これにより、大きな非線形特性を示す。
しかしながら、約0.5V付近よりも順方向電圧が大きい場合には電流が流れ始める。
これは、
図49に示すようなエネルギーバンド構造において、バリアになっていたp-GaAsSbとn-InGaAsの伝導帯のエネルギー差(ΔEc)を超える電子が多くなるためである。
【0055】
このため、バックワードダイオードは、0V近傍の微弱な高周波電力の入力に対しては大変有効な素子であるが、例えばmW以上の大きな入力電力に対しては、電圧のスイングが大きくなって、順方向電流が流れ始め(例えば
図50参照)、非線形特性が劣化する。
このように、バックワードダイオードは、小さな入力電力の変換には向くが、比較的大きい入力電力には向かないという課題、即ち、電力変換のダインミックレンジが小さいという課題があった。
【0056】
一方、比較的大きな入力電力に対しても変換が効率良く行なわれるように、高い入力電力、即ち、高い電圧でも、非線形特性を保つことが求められる。そして、バックワードダイオードでは、順方向の耐圧を向上させることが必要とされる。
そこで、バックワードダイオードを用いる場合に順方向の耐圧を向上させ、例えばmW以上の大きな入力電力に対する非線形特性の劣化を抑制するために、上述のような構成及び製造方法を採用している。
【0057】
したがって、本実施形態にかかる化合物半導体装置及びその製造方法は、バックワードダイオードを用いる場合に順方向の耐圧を向上させ、例えばmW以上の大きな入力電力に対する非線形特性の劣化を抑制することができるという効果を有する。
ところで、上述のバンド間トンネル接合部によって接合された複数のバックワードダイオードを含む化合物半導体装置は、例えば
図21に示すような微小電力のエネルギーハーベスティングに用いられるエネルギーハーベスタ、あるいは、例えば
図22に示すようなマイクロ波、ミリ波、テラヘルツ波などの高周波信号を検波する検波器(通信用検波器;受信機用検波器)として利用することができる。
【0058】
ここでは、エネルギーハーベスタは、例えば
図21に示すように、アンテナ31と、電力変換器32と、昇圧器33と、二次電池34とを備える。
また、電力変換器32は、ダイオード35と、キャパシタ36と、インダクタ37とを備える。
そして、ダイオード35に、上述のバンド間トンネル接合部3によって接合された複数のバックワードダイオード1、2を適用することができる。
【0059】
この場合、エネルギーハーベスタは、アンテナ31と、アンテナ31に接続され、化合物半導体装置を含む電力変換器32とを備え、化合物半導体装置は、バンド間トンネル電流が両方向に流れるようにバンド間トンネル接合するバンド間トンネル接合部3によって接合された複数のバックワードダイオード1、2を備えるものとなる。
また、検波器は、例えば
図22に示すように、アンテナ38と、ダイオード39と、インダクタ40とを備える。
【0060】
そして、ダイオード39に、上述のバンド間トンネル接合部3によって接合された複数のバックワードダイオード1、2を適用することができる。
この場合、検波器は、アンテナ38と、アンテナ38に接続された化合物半導体装置とを備え、化合物半導体装置は、バンド間トンネル電流が両方向に流れるようにバンド間トンネル接合するバンド間トンネル接合部3によって接合された複数のバックワードダイオード1、2を備えるものとなる。
【0061】
これらのエネルギーハーベスタや検波器は、上述のバンド間トンネル接合部3によって接合された複数のバックワードダイオード1、2を備えるため、順方向耐圧を向上させ、例えばmW以上の大きな入力電力に対する非線形特性の劣化を抑制することができる。
この結果、例えばエネルギーハーベスタに用いた場合(例えば
図21参照)に、効率良く電力エネルギー変換が行なえるようになり、エネルギー変換効率が向上し、高効率化を実現することができる。また、電力変換素子として用いた場合に、電力エネルギー変換できる入力電力のダイナミックレンジを広げることができ、高効率化に寄与することができる。
【0062】
また、例えば通信用検波器に用いた場合(例えば
図22参照)に、例えば大きな入力電力が入った場合にも検波感度の低下を起こさないで動作できるようになり、即ち、過入力でも検波感度の劣化を引き起こさないようにすることができ、高感度化を実現することができる。また、検波素子として用いた場合に、入力電力のダイナミックレンジを広げることができ、高感度に寄与することができる。
【0063】
なお、上述の実施形態では、バンド間トンネル接合部3を構成するn型部分7がn型半導体4、8よりも高濃度の不純物を含むか、p型部分6がp型半導体5、9よりも高濃度の不純物を含むか、又は、n型部分7がn型半導体4、8よりも高濃度の不純物を含み、かつ、p型部分6がp型半導体5、9よりも高濃度の不純物を含むものとすることで、複数のバックワードダイオード1、2を接合するバンド間トンネル接合部3を、バンド間トンネル電流が両方向に流れるようにバンド間トンネル接合するものとしているが、これに限られるものではない。
【0064】
例えば、
図23に示すように、バンド間トンネル接合部3を構成するn型部分7Xがn型半導体4、8よりもバンドギャップが狭い材料からなり、かつ、p型部分6Xがp型半導体5、9よりもバンドギャップが狭い材料からなるものとすることで、複数のバックワードダイオード1、2を接合するバンド間トンネル接合部3を、バンド間トンネル電流が両方向に流れるようにバンド間トンネル接合するものとしても良い。なお、これを第1変形例という。
【0065】
この場合、n型部分7Xは、In組成が高いn-InGaAs(例えばn-In0.8Ga0.2As)又はn-InAsであり、p型部分6Xは、p-GaSbである。
なお、n型部分7X及びp型部分6Xは、バックワードダイオード1、2を構成する半導体よりもバンドギャップが狭い半導体層である。このため、狭バンドギャップ層ともいう。
【0066】
このため、p-GaAsSbとn-InGaAsで構成される一のバックワードダイオード1と、p-GaAsSbとn-InGaAsで構成される他のバックワードダイオード2が、In組成が高いn-InGaAs又はn-InAsとp-GaSbで構成されるバンド間トンネル接合部3によって接合(接続)される。
このように、第1変形例では、複数(ここでは2つ)のバックワードダイオード1、2を接合するバンド間トンネル接合部3を構成するn型部分7X及びp型部分6Xを、バンドギャップが狭い材料からなるものとする。
【0067】
これにより、
図24に示すように、バンド間トンネル接合部3のトンネルバリアが薄くなり、バンド間トンネル距離が短縮され、双方向にバンド間トンネルが容易となる。このため、バンド間トンネル接合部3では、バンド間トンネル電流が順方向、逆方向の両方向(双方向)に流れ、
図25に示すようなI-V特性となり、オーミック特性が発生する。
なお、バンド間トンネル接合部3では、バンド間トンネル電流が両方向に流れるようにバンド間トンネル接合されるが、これを、バンド間トンネル接合によるオーミック接合ともいう。
【0068】
このようにして、複数(ここでは2つ)のバックワードダイオード1、2が、バンド間トンネル接合部3によって、バンド間トンネル電流が両方向に流れるようにバンド間トンネル接合される。
これにより、上述のようにして複数(ここでは2つ)のバックワードダイオード1、2を接合したものは、
図26中、実線Aで示すようなI-V特性となり、破線Bで示す従来のバックワードダイオードのI-V特性と比較して、逆方向耐圧をそれほど増加させずに、順方向耐圧を向上させることができる。
【0069】
ここでは、バックワードダイオードは2つ分あるため、1つにかかるバイアスは全体のバイアスの半分である。このため、全体の順方向耐圧は2倍に向上する。
このように、上述のバンド間トンネル接合部3によって複数(ここでは2つ)のバックワードダイオードを接合したものは、順方向耐圧が向上したバックワードダイオードとして機能することになる。
【0070】
これにより、例えばmW以上の大きな入力電力に対する非線形特性の劣化を抑制することができる。この結果、例えば検波器やエネルギーハーベスタに用いた場合に、高感度化、高効率化を実現することが可能となる。
ここで、
図27は、
図23に示すようなエネルギーバンド構造を有する第1変形例のもの、即ち、p-GaAsSb/n-InGaAsからなる2つのバックワードダイオード1、2をn-InAs/p-GaSbからなるバンド間トンネル接合部3で接続したものについてデバイス特性シミュレーションを用いてI-V特性を求めた結果を示している。
【0071】
また、
図29は、
図28に示すようなエネルギーバンド構造を有するp-GaAsSb/n-InGaAsからなる従来のバックワードダイオードについてデバイス特性シミュレーションを用いてI-V特性を求めた結果を示している。
従来のバックワードダイオードでは、
図29に示すように、バックワードダイオード特有のI-V特性になっており、順方向の耐圧は、約0.4V~約0.5V付近であることがわかる。
【0072】
これに対し、第1変形例のものでは、
図27に示すように、順方向の耐圧が約0.9V~約1.0V程度に増加していることがわかる。
このように、第1変形例のものでは、順方向の耐圧を向上させたバックワードダイオードが実現できることがわかる。
なお、第1変形例では、n型部分7Xがn型半導体4、8よりもバンドギャップが狭い材料からなり、かつ、p型部分6Xがp型半導体5、9よりもバンドギャップが狭い材料からなるものとすることで、複数のバックワードダイオード1、2を接合するバンド間トンネル接合部3を、バンド間トンネル電流が両方向に流れるようにバンド間トンネル接合するものとしているが、これに限られるものではない。
【0073】
例えば、n型部分7Xがn型半導体4、8よりもバンドギャップが狭い材料からなるか、p型部分6Xがp型半導体5、9よりもバンドギャップが狭い材料からなるか、n型部分7Xがn型半導体4、8よりもバンドギャップが狭い材料からなり、かつ、p型部分6Xがp型半導体5、9よりもバンドギャップが狭い材料からなるものとすることで、複数のバックワードダイオード1、2を接合するバンド間トンネル接合部3を、バンド間トンネル電流が両方向に流れるようにバンド間トンネル接合するものとすれば良い。
【0074】
また、第1変形例では、複数のバックワードダイオードとして2つのバックワードダイオード1、2をバンド間トンネル接合部3によって接合する場合を例に挙げて説明しているが、これに限られるものではなく、3つ以上のバックワードダイオードをバンド間トンネル接合部3によって接合しても良い。
例えば、
図30に示すように、複数のバックワードダイオードとして4つのバックワードダイオード1、2、10、11をバンド間トンネル接合部3、3A、3Bによって接合しても良い。
【0075】
これにより、
図31中、実線Aで示すようなI-V特性となり、破線Bで示す従来のバックワードダイオードのI-V特性、及び、実線Cで示す上述の実施形態のバックワードダイオードのI-V特性と比較して、さらに順方向耐圧を向上させることができる。
このように、複数のバックワードダイオード1、2、10、11をバンド間トンネル接合部3、3A、3Bによって接合(接続)した構造とすることで、バックワードダイオードの数に応じて順方向耐圧を向上させることができる。例えば、後述の具体例のように、複数のバックワードダイオードを積層する場合には、積層するバックワードダイオードの数(スタック数)に応じて順方向耐圧を向上させることができる。この場合、バックワードダイオードの数で所望の耐圧に制御できることになる。
【0076】
なお、上述の第1変形例のものと、上述の実施形態のものとを組み合わせても良い。
つまり、上述の第1変形例のものにおいて、n型部分7Xがn型半導体4、8よりも高濃度の不純物を含むか、p型部分6Xがp型半導体5、9よりも高濃度の不純物を含むか、又は、n型部分7Xがn型半導体4、8よりも高濃度の不純物を含み、かつ、p型部分6Xがp型半導体5、9よりも高濃度の不純物を含むものとしても良い。
【0077】
以下、上述の第1変形例のものについて、具体例を挙げて、具体的に説明する。
第1変形例の具体例の化合物半導体装置は、例えば
図32に示すように、半絶縁性InP基板12上に、i-InAlAsバッファー層13、n
+-InGaAs層14、n-InGaAs層4、p-GaAsSb層5、p-GaSb層6X、n-InGaAs層7X、n-InGaAs層8、p-GaAsSb層9からなる半導体積層構造を備える。
【0078】
ここでは、半絶縁性InP基板12上に、i-In0.52Al0.48As層13、n+-In0.53Ga0.47As層14、n-In0.53Ga0.47As層4、p-GaAs0.51Sb0.49層5、p-GaSb層6X、n-In0.8Ga0.2As層7X、n-In0.53Ga0.47As層8、p-GaAs0.51Sb0.49層9からなる半導体積層構造を備える。
【0079】
そして、n-InGaAs層(n-In0.53Ga0.47As層;n型半導体層)4及びp-GaAsSb層(p-GaAs0.51Sb0.49層;p型半導体層)5によって、n-InGaAs/p-GaAsSbからなる一のバックワードダイオード1が構成される。
また、p-GaSb層(バンドギャップが狭い材料からなるp型部分)6X及びn-InGaAs層(n-In0.8Ga0.2As層;バンドギャップが狭い材料からなるn型部分)7Xによって、一のバックワードダイオード1と他のバックワードダイオード2を接合するバンド間トンネル接合部3が構成される。
【0080】
また、n-InGaAs層(n-In0.53Ga0.47As層;n型半導体層)8及びp-GaAsSb層(p-GaAs0.51Sb0.49層;p型半導体層)9によって、n-InGaAs/p-GaAsSbからなる他のバックワードダイオード2が構成される。
また、バンド間トンネル接合部3によって接合された2つのバックワードダイオード1、2は、メサ構造(メサ型の構造)15を有する。
【0081】
また、p-GaAsSb層9上に、例えばPt/Auからなる電極(上部電極)16を備え、n+-InGaAs層14上に、例えばTi/Auからなる電極(下部電極)17を備え、これらの電極16、17にコンタクト配線18、19が接続されており、層間絶縁膜(例えばBCB)20で埋め込まれている。
このように構成される化合物半導体装置は、上述の実施形態の具体例の化合物半導体装置とバンド間トンネル接合部3を構成する半導体層が異なるだけであるため、上述の実施形態の具体例の製造方法と同様の方法で製造することができる。
【0082】
なお、この第1変形例の具体例では、複数のバックワードダイオードとして2つのバックワードダイオード1、2をバンド間トンネル接合部3によって接合する場合の具体例として説明しているが、例えば
図33に示すように、4つのバックワードダイオード1、2、10、11をバンド間トンネル接合部3、3A、3Bによって接合する場合には、以下のようにすれば良い。
【0083】
つまり、化合物半導体装置は、例えば
図33に示すように、半絶縁性InP基板12上に、i-InAlAsバッファー層13、n
+-InGaAs層14、n-InGaAs層4、p-GaAsSb層5、p
+-GaSb層6X、n
+-InGaAs層7X、n-InGaAs層8、p-GaAsSb層9、p
+-GaSb層23X、n
+-InGaAs層24X、n-InGaAs層25、p-GaAsSb層26、p
+-GaSb層27X、n
+-InGaAs層28X、n-InGaAs層29、p-GaAsSb層30からなる半導体積層構造を備えるものとすれば良い。
【0084】
なお、ここでは、バンド間トンネル接合部3を構成する各半導体層を、上述の実施形態のように高濃度の不純物を含むものとしている。
例えば、半絶縁性InP基板12上に、i-In0.52Al0.48As層13、n+-In0.53Ga0.47As層14、n-In0.53Ga0.47As層4、p-GaAs0.51Sb0.49層5、p+-GaSb層6X、n+-In0.8Ga0.2As層7X、n-In0.53Ga0.47As層8、p-GaAs0.51Sb0.49層9、p+-GaSb層23X、n+-In0.8Ga0.2As層24X、n-In0.53Ga0.47As層25、p-GaAs0.51Sb0.49層26、p+-GaSb層27X、n+-In0.8Ga0.2As層28X、n-In0.53Ga0.47As層29、p-GaAs0.51Sb0.49層30からなる半導体積層構造を備えるものとすれば良い。
【0085】
この場合、n-InGaAs層(n-In0.53Ga0.47As層;n型半導体層)4及びp-GaAsSb層(p-GaAs0.51Sb0.49層;p型半導体層)5によって、n-InGaAs/p-GaAsSbからなる第1のバックワードダイオード1が構成される。
また、p+-GaSb層(バンドギャップが狭い材料からなり、高濃度の不純物を含むp型部分)6X及びn+-InGaAs層(n+-In0.8Ga0.2As層;バンドギャップが狭い材料からなり、高濃度の不純物を含むn型部分)7Xによって、第1のバックワードダイオード1と第2のバックワードダイオード2を接合するバンド間トンネル接合部3が構成される。
【0086】
また、n-InGaAs層(n-In0.53Ga0.47As層;n型半導体層)8及びp-GaAsSb層(p-GaAs0.51Sb0.49層;p型半導体層)9によって、n-InGaAs/p-GaAsSbからなる第2のバックワードダイオード2が構成される。
また、p+-GaSb層(バンドギャップが狭い材料からなり、高濃度の不純物を含むp型部分)23X及びn+-InGaAs層(n+-In0.8Ga0.2As層;バンドギャップが狭い材料からなり、高濃度の不純物を含むn型部分)24Xによって、第2のバックワードダイオード2と第3のバックワードダイオード10を接合するバンド間トンネル接合部3Aが構成される。
【0087】
また、n-InGaAs層(n-In0.53Ga0.47As層;n型半導体層)25及びp-GaAsSb層(p-GaAs0.51Sb0.49層;p型半導体層)26によって、n-InGaAs/p-GaAsSbからなる第3のバックワードダイオード10が構成される。
また、p+-GaSb層(バンドギャップが狭い材料からなり、高濃度の不純物を含むp型部分)27X及びn+-InGaAs層(n+-In0.8Ga0.2As層;バンドギャップが狭い材料からなり、高濃度の不純物を含むn型部分)28Xによって、第3のバックワードダイオード10と第4のバックワードダイオード11を接合するバンド間トンネル接合部3Bが構成される。
【0088】
また、n-InGaAs層(n-In0.53Ga0.47As層;n型半導体層)29及びp-GaAsSb層(p-GaAs0.51Sb0.49層;p型半導体層)30によって、n-InGaAs/p-GaAsSbからなる第4のバックワードダイオード11が構成される。
また、バンド間トンネル接合部3、3A、3Bによって接合された4つのバックワードダイオード1、2、10、11は、メサ構造(メサ型の構造)15を有する。
【0089】
また、p-GaAsSb層30上に、例えばPt/Auからなる電極(上部電極)16を備え、n+-InGaAs層14上に、例えばTi/Auからなる電極(下部電極)17を備え、これらの電極16、17にコンタクト配線18、19が接続されており、層間絶縁膜(例えばBCB)20で埋め込まれているものとすれば良い。
このように構成される化合物半導体装置は、上述の実施形態の具体例の化合物半導体装置とバンド間トンネル接合部3を構成する半導体層が異なるだけであるため、上述の実施形態の具体例の製造方法と同様の方法で製造することができる。
【0090】
なお、上述の実施形態及び第1変形例では、複数のバックワードダイオード1、2(10、11)を、同一のバンドギャップを有する材料からなるものとしているが、これに限られるものではない。
例えば、複数のバックワードダイオードは、異なるバンドギャップを有する材料からなるバックワードダイオードを含むものとしても良い。
【0091】
また、例えば、複数のバックワードダイオードは、互いに異なるバンドギャップを有する材料からなり、一方の側から他方の側へ向けて順にバンドギャップが大きくなるものとしても良い(例えば
図34参照)。なお、これを第2変形例という。
この場合、例えば、複数のバックワードダイオードのバンドギャップが、カソード側から見て段階的に大きくなるものとしても良いし、例えば、複数のバックワードダイオードのバンドギャップが、基板に近い側から順番に大きくなるものとしても良い。
【0092】
また、複数のバックワードダイオードを構成するp型半導体のバンドギャップが、一方の側から他方の側へ向けて順に大きくなるものとしても良いし、複数のバックワードダイオードを構成するn型半導体のバンドギャップが、一方の側から他方の側へ向けて順に大きくなるものとしても良いし、複数のバックワードダイオードを構成するp型半導体及びn型半導体のバンドギャップが、一方の側から他方の側へ向けて順に大きくなるものとしても良い。
【0093】
以下、第2変形例のものについて、具体例を挙げて、具体的に説明する。
なお、ここでは、上述の実施形態のもの(
図20参照)において、複数のバックワードダイオードを、互いに異なるバンドギャップを有する材料からなり、一方の側から他方の側へ向けて順にバンドギャップが大きくなるものとする場合を例に挙げて説明する。
つまり、第2変形例の具体例の化合物半導体装置は、例えば
図34に示すように、半絶縁性InP基板12上に、i-InAlAsバッファー層13、n
+-InGaAs層14、n-InGaAs層4、p-GaAsSb層5X、p
+-GaAsSb層6、n
+-InGaAs層7、n-InGaAs層8、p-AlGaAsSb層9X、p
+-GaAsSb層23、n
+-InGaAs層24、n-InGaAs層25、p-AlGaAsSb層26X、p
+-GaAsSb層27、n
+-InGaAs層28、n-InGaAs層29、p-AlGaAsSb層30Xからなる半導体積層構造を備えるものとする。
【0094】
例えば、半絶縁性InP基板12上に、i-In0.52Al0.48As層13、n+-In0.53Ga0.47As層14、n-In0.53Ga0.47As層4、p-GaAs0.51Sb0.49層5X、p+-GaAs0.51Sb0.49層6、n+-In0.53Ga0.47As層7、n-In0.53Ga0.47As層8、p-Al0.1Ga0.9As0.51Sb0.49層9X、p+-GaAs0.51Sb0.49層23、n+-In0.53Ga0.47As層24、n-In0.53Ga0.47As層25、p-Al0.2Ga0.8As0.51Sb0.49層26X、p+-GaAs0.51Sb0.49層27、n+-In0.53Ga0.47As層28、n-In0.53Ga0.47As層29、p-Al0.3Ga0.7As0.51Sb0.49層30Xからなる半導体積層構造を備えるものとすれば良い。
【0095】
この場合、n-InGaAs層(n-In0.53Ga0.47As層;n型半導体層)4及びp-GaAsSb層(p-GaAs0.51Sb0.49層;p型半導体層)5Xによって、n-InGaAs/p-GaAsSbからなる第1のバックワードダイオード1が構成される。
また、p+-GaAsSb層(p+-GaAs0.51Sb0.49層;高濃度の不純物を含むp型部分)6及びn+-InGaAs層(n+-In0.53Ga0.47As層;高濃度の不純物を含むn型部分)7によって、第1のバックワードダイオード1と第2のバックワードダイオード2を接合するバンド間トンネル接合部3が構成される。
【0096】
また、n-InGaAs層(n-In0.53Ga0.47As層;n型半導体層)8及びp-AlGaAsSb層(p-Al0.1Ga0.9As0.51Sb0.49層;p型半導体層)9Xによって、n-InGaAs/p-AlGaAsSbからなる第2のバックワードダイオード2が構成される。
また、p+-GaAsSb層(p+-GaAs0.51Sb0.49層;高濃度の不純物を含むp型部分)23及びn+-InGaAs層(n+-In0.53Ga0.47As層;高濃度の不純物を含むn型部分)24によって、第2のバックワードダイオード2と第3のバックワードダイオード10を接合するバンド間トンネル接合部3Aが構成される。
【0097】
また、n-InGaAs層(n-In0.53Ga0.47As層;n型半導体層)25及びp-AlGaAsSb層(p-Al0.2Ga0.8As0.51Sb0.49層;p型半導体層)26Xによって、n-InGaAs/p-AlGaAsSbからなる第3のバックワードダイオード10が構成される。
また、p+-GaAsSb層(p+-GaAs0.51Sb0.49層;高濃度の不純物を含むp型部分)27及びn+-InGaAs層(n+-In0.53Ga0.47As層;高濃度の不純物を含むn型部分)28によって、第3のバックワードダイオード10と第4のバックワードダイオード11を接合するバンド間トンネル接合部3Bが構成される。
【0098】
また、n-InGaAs層(n-In0.53Ga0.47As層;n型半導体層)29及びp-AlGaAsSb層(p-Al0.3Ga0.7As0.51Sb0.49層;p型半導体層)30Xによって、n-InGaAs/p-AlGaAsSbからなる第4のバックワードダイオード11が構成される。
また、バンド間トンネル接合部3、3A、3Bによって接合された4つのバックワードダイオード1、2、10、11は、メサ構造(メサ型の構造)15を有する。
【0099】
また、p-AlGaAsSb層30X上に、例えばPt/Auからなる電極(上部電極)16を備え、n+-InGaAs層14上に、例えばTi/Auからなる電極(下部電極)17を備え、これらの電極16、17にコンタクト配線18、19が接続されており、層間絶縁膜(例えばBCB)20で埋め込まれているものとすれば良い。
このように構成される化合物半導体装置は、上述の実施形態の具体例の化合物半導体装置と各バックワードダイオード1、2、10、11を構成する半導体層が異なるだけであるため、上述の実施形態の具体例の製造方法と同様の方法で製造することができる。
【0100】
なお、上述の実施形態及び各変形例では、バンド間トンネル接合部3(3A、3B)によって接合された複数のバックワードダイオード1、2(10、11)がメサ型の構造15を有する場合を例に挙げて説明しているが、これに限られるものではなく、例えば、バンド間トンネル接合部によって接合された複数のバックワードダイオードをナノワイヤ化して、ナノワイヤからなるダイオード(ナノワイヤダイオード;ナノワイヤ型ダイオード)としても良い(例えば
図35参照)。なお、これを第3変形例という。
【0101】
この場合、バンド間トンネル接合部3によって接合された複数のバックワードダイオード1、2は、それぞれ、ナノワイヤ型の構造を有することになる。なお、これをナノワイヤ型バックワードダイオードともいう。
なお、化合物半導体装置は、ナノワイヤ型バックワードダイオードを含む化合物半導体装置であるため、化合物半導体装置を、ナノワイヤ半導体装置又はナノワイヤ型の構造を有する半導体装置ともいう。
【0102】
また、抵抗を下げるために複数のナノワイヤダイオードを備える化合物半導体装置としても良い。
以下、第3変形例のものについて、具体例を挙げて、具体的に説明する。
なお、ここでは、上述の実施形態のもの(
図11参照)において、バンド間トンネル接合部3によって接合された複数のバックワードダイオード1、2をナノワイヤ化した場合を例に挙げて説明する。また、基板を半絶縁性GaAs基板(例えば半絶縁性GaAs(111)B基板)12Xとし、バッファー層を設けない場合を例に挙げて説明する。
【0103】
つまり、第3変形例の具体例の化合物半導体装置は、例えば
図35に示すように、半絶縁性GaAs(111)B基板12X上にn
+-GaAs層14Xが設けられており、その上に、n-InGaAs層4、p-GaAsSb層5、p
+-GaAsSb層6、n
+-InGaAs層7、n-InGaAs層8、p-GaAsSb層9からなるナノワイヤ15Xを備える。
【0104】
ここでは、半絶縁性GaAs(111)B基板12X上にn+-GaAs層14Xが設けられており、その上に、n-In0.53Ga0.47As層4、p-GaAs0.51Sb0.49層5、p+-GaAs0.51Sb0.49層6、n+-In0.53Ga0.47As層7、n-In0.53Ga0.47As層8、p-GaAs0.51Sb0.49層9からなるナノワイヤ15Xを備える。
【0105】
そして、n-InGaAs層(n-In0.53Ga0.47As層;n型半導体層)4及びp-GaAsSb層(p-GaAs0.51Sb0.49層;p型半導体層)5によって、n-InGaAs/p-GaAsSbからなる一のバックワードダイオード1が構成される。
また、p+-GaAsSb層(p+-GaAs0.51Sb0.49層;高濃度の不純物を含むp型部分)6及びn+-InGaAs層(n+-In0.53Ga0.47As層;高濃度の不純物を含むn型部分)7によって、一のバックワードダイオード1と他のバックワードダイオード2を接合するバンド間トンネル接合部3が構成される。
【0106】
また、n-InGaAs層(n-In0.53Ga0.47As層;n型半導体層)8及びp-GaAsSb層(p-GaAs0.51Sb0.49層;p型半導体層)9によって、n-InGaAs/p-GaAsSbからなる他のバックワードダイオード2が構成される。
また、バンド間トンネル接合部3によって接合された2つのバックワードダイオード1、2は、ナノワイヤ構造(ナノワイヤ型の構造)15Xを有する。
【0107】
また、n+-GaAs層14X上に、例えばAuGe/Auからなる電極(下部電極)17を備え、この電極17にコンタクト配線19が接続されており、さらに、ナノワイヤ15Xの上部にもコンタクト配線[電極(上部電極)を含む]18が接続されており、層間絶縁膜(例えばBCB)20で埋め込まれている。
なお、ここではn+-GaAs層14Xの表面は、SiO2膜41で覆われている。
【0108】
次に、第3変形例の具体例の化合物半導体装置の製造方法について、
図36~
図48を参照しながら説明する。
まず、
図36に示すように、半絶縁性GaAs(111)B基板12X上に、n
+-GaAs層14X(例えばドーピング濃度約1×10
19cm
-2、厚さ約200nm)を成長させる。
【0109】
次に、
図37に示すように、例えばプラズマCVD法によって、全面にSiO
2を堆積させてSiO
2膜41を形成する。
次に、
図38に示すように、例えばフォトリソグラフィーによって、ナノワイヤ15Xを形成する領域を規定し、例えばドライエッチングによって、SiO
2膜41に開口を設ける。
【0110】
次に、
図39に示すように、ナノワイヤ15Xを成長させる際の触媒となるAu(Au触媒)42を、例えば蒸着・リフトオフによって形成する。
次に、
図40~
図42に示すように、Au42を触媒として、一のバックワードダイオード1、バンド間トンネル接合部3及び他のバックワードダイオード2を含むナノワイヤ15Xを成長させる。
【0111】
つまり、まず、
図40に示すように、Au42を触媒として、n-InGaAs層4、p-GaAsSb層5を成長させて、一のバックワードダイオード1を構成するn-InGaAs/p-GaAsSbからなるナノワイヤを成長させる。
ここでは、n-In
0.53Ga
0.47As層4とp-GaAs
0.51Sb
0.49層5とからなるナノワイヤを成長させて、一のバックワードダイオード1を形成する。
【0112】
次に、
図41に示すように、Au42を触媒として、p
+-GaAsSb層6とn
+-InGaAs層7を成長させて、バンド間トンネル接合部3を構成するp
+-GaAsSb/n
+-InGaAsからなるナノワイヤを成長させる。
ここでは、p
+-GaAs
0.51Sb
0.49層6とn
+-In
0.53Ga
0.47As層7とからなるナノワイヤを成長させて、バンド間トンネル接合部3を形成する。
【0113】
次に、
図42に示すように、Au42を触媒として、n-InGaAs層8、p-GaAsSb層9を成長させて、他のバックワードダイオード2を構成するn-InGaAs/p-GaAsSbからなるナノワイヤを成長させる。
ここでは、n-In
0.53Ga
0.47As層8とp-GaAs
0.51Sb
0.49層9とからなるナノワイヤを成長させて、他のバックワードダイオード2を形成する。
【0114】
このようにして、一のバックワードダイオード1、バンド間トンネル接合部3及び他のバックワードダイオード2を含むナノワイヤ15Xを成長させて、ナノワイヤ型の構造15Xを有する一のバックワードダイオード1、バンド間トンネル接合部3及び他のバックワードダイオード2を形成する。
次に、
図43に示すように、例えばフォトリソグラフィーによって、素子分離を行なう領域を規定し、n
+-GaAs層14Xをエッチングで除去し、半絶縁性GaAs(111)B基板12Xを露出させて、素子分離を行なう。その後、レジストを除去する。
【0115】
次に、
図44に示すように、n
+-GaAs層14X上に、電極(下部電極)17を形成する。
ここでは、例えばフォトリソグラフィーによって、電極領域を規定し、n
+-GaAs層14X上に、例えばAuGe/Auの蒸着・リフトオフによって、電極17を形成する。
【0116】
次に、
図45に示すように、ナノワイヤ15Xを含む全体を埋め込むように、例えばBCBを塗布し、硬化させることによって、層間絶縁膜20を形成する。
次に、
図46に示すように、ナノワイヤ15Xの一部が露出するように、層間絶縁膜20をエッチング(エッチバック)する。
次に、
図47に示すように、例えばフォトリソグラフィーによって電極17の直上にコンタクトホール領域を規定し、例えばドライエッチングによって電極17に達するコンタクトホール43を形成する。
【0117】
次に、
図48に示すように、例えばフォトリソグラフィーによって、コンタクト配線領域を規定し、例えばAuめっきによって、ナノワイヤ15Xの上部及びコンタクトホール43にコンタクト配線(電極を含む)18及びコンタクト配線19を形成する。ここでは、ナノワイヤ15Xの上部に設けられるコンタクト配線18は、電極(上部電極)として機能する。その後、レジストは除去する。
【0118】
このようにして、第3変形例の具体例の化合物半導体装置を製造することができる。
なお、第3変形例では、基板12X上に形成する絶縁膜をSiO2膜41としているが、これに限られるものではなく、例えばSiNなどの他の絶縁膜としても良い。
また、第3変形例では、Au触媒42を用いているが、これに限られるものではなく、Au触媒を用いないでも良い。
【0119】
なお、上述の実施形態及び各変形例では、基板をInP基板又はGaAs基板としているが、これに限られるものではなく、例えば、Si、GaSbなどの基板を用いても良い。
また、高周波動作を考慮すると基板は半絶縁性の方が望ましいため、上述の実施形態及び各変形例では、基板を半絶縁性基板としているが、半絶縁性基板でなくても良い。
【0120】
また、上述の実施形態及び各変形例において、層間絶縁膜以外に、メサ構造15やナノワイヤ構造15Xが、例えばSiN、SiO2、Al2O3などの絶縁膜(薄い絶縁膜)でカバーされるようにしても良い。
なお、本発明は、上述した実施形態及び各変形例に記載した構成に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形することが可能である。
【0121】
以下、上述の実施形態及び変形例に関し、更に、付記を開示する。
(付記1)
バンド間トンネル電流が両方向に流れるようにバンド間トンネル接合するバンド間トンネル接合部によって接合された複数のバックワードダイオードを備えることを特徴とする化合物半導体装置。
【0122】
(付記2)
前記複数のバックワードダイオードは、それぞれ、n型半導体とp型半導体をバンド間トンネル電流が一方向に流れるようにバンド間トンネル接合することによって構成され、
前記バンド間トンネル接合部は、前記複数のバックワードダイオードに含まれる一のバックワードダイオードに備えられる前記p型半導体に連なるp型部分と、前記複数のバックワードダイオードに含まれる他のバックワードダイオードに備えられる前記n型半導体に連なるn型部分とをバンド間トンネル接合することによって構成されることを特徴とする、付記1に記載の化合物半導体装置。
【0123】
(付記3)
前記n型半導体及び前記n型部分は、少なくともInとAsを含み、
前記p型半導体及び前記p型部分は、少なくともGaとSbを含むことを特徴とする、付記2に記載の化合物半導体装置。
(付記4)
前記n型半導体及び前記n型部分は、InAs又はInGaAsからなり、
前記p型半導体及び前記p型部分は、GaSb、GaAsSb又はAlGaSbからなることを特徴とする、付記2又は3に記載の化合物半導体装置。
【0124】
(付記5)
前記n型部分が前記n型半導体よりも高濃度の不純物を含むか、前記p型部分が前記p型半導体よりも高濃度の不純物を含むか、又は、前記n型部分が前記n型半導体よりも高濃度の不純物を含み、かつ、前記p型部分が前記p型半導体よりも高濃度の不純物を含むことを特徴とする、付記2~4のいずれか1項に記載の化合物半導体装置。
【0125】
(付記6)
前記n型部分が前記n型半導体よりもバンドギャップが狭い材料からなるか、前記p型部分が前記p型半導体よりもバンドギャップが狭い材料からなるか、前記n型部分が前記n型半導体よりもバンドギャップが狭い材料からなり、かつ、前記p型部分が前記p型半導体よりもバンドギャップが狭い材料からなることを特徴とする、付記2~5のいずれか1項に記載の化合物半導体装置。
【0126】
(付記7)
前記複数のバックワードダイオードは、同一のバンドギャップを有する材料からなることを特徴とする、付記1~6のいずれか1項に記載の化合物半導体装置。
(付記8)
前記複数のバックワードダイオードは、異なるバンドギャップを有する材料からなるバックワードダイオードを含むことを特徴とする、付記1~6のいずれか1項に記載の化合物半導体装置。
【0127】
(付記9)
前記複数のバックワードダイオードは、互いに異なるバンドギャップを有する材料からなり、一方の側から他方の側へ向けて順にバンドギャップが大きくなることを特徴とする、付記1~6のいずれか1項に記載の化合物半導体装置。
(付記10)
前記複数のバックワードダイオードは、それぞれ、ナノワイヤ型の構造を有することを特徴とする、付記1~9のいずれか1項に記載の化合物半導体装置。
【0128】
(付記11)
アンテナと、
前記アンテナに接続された化合物半導体装置とを備え、
前記化合物半導体装置は、バンド間トンネル電流が両方向に流れるようにバンド間トンネル接合するバンド間トンネル接合部によって接合された複数のバックワードダイオードを備えることを特徴とする検波器。
【0129】
(付記12)
アンテナと、
前記アンテナに接続され、化合物半導体装置を含む電力変換器とを備え、
前記化合物半導体装置は、バンド間トンネル電流が両方向に流れるようにバンド間トンネル接合するバンド間トンネル接合部によって接合された複数のバックワードダイオードを備えることを特徴とするエネルギーハーベスタ。
【0130】
(付記13)
一のバックワードダイオードを形成する工程と、
バンド間トンネル電流が両方向に流れるようにバンド間トンネル接合するバンド間トンネル接合部によって前記一のバックワードダイオードに接合されるように、他のバックワードダイオードを形成する工程とを含むことを特徴とする化合物半導体装置の製造方法。
【符号の説明】
【0131】
1 バックワードダイオード(一のバックワードダイオード)
2 バックワードダイオード(他のバックワードダイオード)
3、3A、3B バンド間トンネル接合部
4 n型半導体(n型半導体層;n-InGaAs層;n-In0.53Ga0.47As層)
5 p型半導体(p型半導体層;p-GaAsSb層;p-GaAs0.51Sb0.49層)
5X p-GaAsSb層(p-GaAs0.51Sb0.49層)
6 p型部分(p+-GaAsSb層;p+-GaAs0.51Sb0.49層)
6X p型部分(p-GaSb;p+-GaSb層)
7 n型部分(n+-InGaAs層;n+-In0.53Ga0.47As層)
7X n型部分(In組成が高いn-InGaAs;n-In0.8Ga0.2As;n-InAs;n+-InGaAs層;n+-In0.8Ga0.2As層)
8 n型半導体(n型半導体層;n-InGaAs層;n-In0.53Ga0.47As層)
9 p型半導体(p型半導体層;p-GaAsSb層;p-GaAs0.51Sb0.49層)
9X p-AlGaAsSb層(p-Al0.1Ga0.9As0.51Sb0.49層)
10、11 バックワードダイオード
12 半絶縁性InP基板
12X 半絶縁性GaAs基板(半絶縁性GaAs(111)B基板)
13 i-InAlAsバッファー層(i-In0.52Al0.48As層)
14 n+-InGaAs層(n+-In0.53Ga0.47As層)
14X n+-GaAs層
15 メサ構造(メサ型の構造)
15X ナノワイヤ(ナノワイヤ構造;ナノワイヤ型の構造)
16 電極(上部電極)
17 電極(下部電極)
18、19 コンタクト配線
20 層間絶縁膜(BCB)
21、22 コンタクトホール
23 p+-GaAsSb層(p型部分;p+-GaAs0.51Sb0.49層)
23X p+-GaSb層(p型部分)
24 n+-InGaAs層(n型部分;n+-In0.53Ga0.47As層)
24X n+-InGaAs層(n型部分)
25 n-InGaAs層(n型半導体;n型半導体層;n-In0.53Ga0.47As層)
26 p-GaAsSb層(p型半導体;p型半導体層;p-GaAs0.51Sb0.49層)
26X p-AlGaAsSb層(p-Al0.2Ga0.8As0.51Sb0.49層)
27 p+-GaAsSb層(p型部分;p+-GaAs0.51Sb0.49層)
27X p+-GaSb層(p型部分)
28 n+-InGaAs層(n型部分;n+-In0.53Ga0.47As層)
28X n+-InGaAs層(n+-In0.8Ga0.2As層;n型部分)
29 n-InGaAs層(n型半導体;n型半導体層;n-In0.53Ga0.47As層)
30 p-GaAsSb層(p型半導体;p型半導体層;p-GaAs0.51Sb0.49層)
30X p-AlGaAsSb層(p-Al0.3Ga0.7As0.51Sb0.49層)
31 アンテナ
32 電力変換器
33 昇圧器
34 二次電池
35 ダイオード
36 キャパシタ
37 インダクタ
38 アンテナ
39 ダイオード
40 インダクタ
41 SiO2膜
42 Au(Au触媒)
43 コンタクトホール