IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社GSユアサの特許一覧

<>
  • 特許-蓄電素子 図1
  • 特許-蓄電素子 図2
  • 特許-蓄電素子 図3
  • 特許-蓄電素子 図4
  • 特許-蓄電素子 図5
  • 特許-蓄電素子 図6
  • 特許-蓄電素子 図7
  • 特許-蓄電素子 図8
  • 特許-蓄電素子 図9
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-01-16
(45)【発行日】2023-01-24
(54)【発明の名称】蓄電素子
(51)【国際特許分類】
   H01M 4/131 20100101AFI20230117BHJP
   H01M 4/505 20100101ALI20230117BHJP
   H01M 4/525 20100101ALI20230117BHJP
   H01M 10/0587 20100101ALI20230117BHJP
   H01G 11/24 20130101ALI20230117BHJP
   H01G 11/30 20130101ALI20230117BHJP
   H01M 10/052 20100101ALN20230117BHJP
【FI】
H01M4/131
H01M4/505
H01M4/525
H01M10/0587
H01G11/24
H01G11/30
H01M10/052
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2020189542
(22)【出願日】2020-11-13
(62)【分割の表示】P 2015070823の分割
【原出願日】2015-03-31
(65)【公開番号】P2021044250
(43)【公開日】2021-03-18
【審査請求日】2020-12-10
(73)【特許権者】
【識別番号】507151526
【氏名又は名称】株式会社GSユアサ
(72)【発明者】
【氏名】十河 保宏
(72)【発明者】
【氏名】久保 隆寛
(72)【発明者】
【氏名】井口 隆明
【審査官】川口 陽己
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-323895(JP,A)
【文献】特開2012-004491(JP,A)
【文献】特開2014-132563(JP,A)
【文献】特開2014-123529(JP,A)
【文献】国際公開第2014/192759(WO,A1)
【文献】特開2009-277596(JP,A)
【文献】特開2012-178252(JP,A)
【文献】国際公開第2014/069117(WO,A1)
【文献】特開2014-186955(JP,A)
【文献】国際公開第2012/121407(WO,A1)
【文献】特開2013-234102(JP,A)
【文献】国際公開第2014/034859(WO,A1)
【文献】特開2014-143108(JP,A)
【文献】特開2013-201077(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 4/00-4/62
H01M 10/05-10/0587
H01G 11/00-11/86
H01M 6/00-6/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
箔状の電極基材と、該電極基材に重ねられ且つ粒子状の活物質を含む活物質層と、を有する電極を備え、
前記活物質の粒径D50と粒径D90とは、0.39≦粒径D50/(粒径D50+粒径D90)≦0.43の関係式を満たし(式中、粒径D50は、粒度分布にて体積積算が50%となる粒径であり、粒径D90は、粒度分布にて体積積算が90%となる粒径である。)、
前記電極は、前記電極基材に前記活物質層が重なることによって前記電極基材が覆われた被覆部と、前記電極基材に前記活物質層が重ならず前記電極基材が露出した露出部とを有し、
前記電極基材は帯状であり、前記露出部は前記電極基材の短手方向の少なくとも一端部に、長手方向の全体にわたって設けられている蓄電素子。
【請求項2】
前記電極は、正極である、請求項1に記載の蓄電素子。
【請求項3】
前記活物質は、LiNiMnCoの化学組成で表されるリチウム金属複合酸化物(ただし、0<v≦1.3であり、w+x+y=1であり、0<w<1であり、0<x<1であり、0<y<1であり、1.7≦z≦2.3である)である、請求項2に記載の蓄電素子。
【請求項4】
前記電極が厚み方向に積み重なっている、請求項1乃至3のいずれか1項に記載の蓄電素子。
【請求項5】
前記活物質の粒径D10は1μm以上5μm以下であり、前記活物質の粒径D50は2μm以上10μm以下であり、前記活物質の粒径D90は3μm以上15μm以下であり、粒径D10は、粒度分布にて体積算が10%となる粒径である請求項1乃至4のいずれか1項に記載の蓄電素子。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、蓄電素子に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、正極及び負極を電極として備え、電極が、箔状の電極基材と、粒子状の活物質を含み且つ電極基材に重ねられた活物質層とを有する非水電解質二次電池が知られている。
【0003】
この種の非水電解質二次電池に使用され得る正極の活物質としては、特定の組成及び特定の粒径を有する粒子状のニッケルコバルト複合水酸化物から得られる活物質が考えられる(例えば、特許文献1)。特許文献1には、斯かる複合水酸化物を粒度測定し10%、50%、90%の体積積算値となる粒径をD10、D50、D90としたとき、(D50-D10)/D50≦0.25、及び、(D90-D10)/D50≦0.25が満たされることが記載されている。
【0004】
ところが、上記のように得られた活物質を電極に含む電池では、例えば製造時に、電極がプレスされることによって、電極が曲がる場合がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2014-144894号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、電極がプレスによって曲がることが抑制された蓄電素子を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の蓄電素子は、箔状の電極基材と、該電極基材に重ねられ且つ粒子状の活物質を含む活物質層と、を有する電極を備え、
活物質の粒径D50と粒径D90とは、0.39≦粒径D50/(粒径D50+粒径D90)≦0.43 の関係式を満たす(式中、粒径D50は、粒度分布にて体積積算が50%となる粒径であり、粒径D90は、粒度分布にて体積積算が90%となる粒径である。)。
当該関係式を満たすことにより、プレスにより曲がることが抑制された電極が得られるメカニズムは必ずしも明らかではないが、以下の通りと推測される。すなわち、斯かる構成の蓄電素子によれば、活物質の粒径が上記の関係式を満たすため、電極がプレスされても、活物質層において、より大きい粒子の間により小さい粒子が適度に入り込む。小さい粒子が大きい粒子の間に入り込む分、厚み方向の圧縮力が活物質層の面方向に分散される。従って、電極基材の一部に圧縮力が集中することが抑えられる。これにより、活物質層が電極基材に比較的均等な力で押し付けられる。電極基材に対して比較的均等に力が加わることから、不均一な圧縮力で電極基材が伸びることが抑えられる。従って、厚み方向に波打つように電極が曲がることを抑制できる。また、例えば、矩形状の電極基材の一辺に沿って電極基材が露出した電極の場合、プレスされると、露出した側を内側にして電極が湾曲しやすい。しかしながら、電極基材が不均一に伸びることが上記のごとく抑えられる分、電極が湾曲することを抑制できる。このように、斯かる構成の蓄電素子によれば、電極が曲がることを抑制できる。
【0008】
上記の蓄電素子では、電極は、正極であってもよい。正極の活物質は、LiNiMnCoの化学組成で表されるリチウム金属複合酸化物(ただし、0<v≦1.3であり、w+x+y=1であり、0<w<1であり、0<x<1であり、0<y<1であり、1.7≦z≦2.3である)であってもよい。
【0009】
上記の蓄電素子では、電極は、電極基材に活物質層が重なることによって電極基材が覆われた被覆部と、電極基材に活物質層が重ならず電極基材が露出した露出部とを有してもよい。被覆部と露出部とを有する電極がプレスされると、活物質層の厚み分、より強い力が被覆部に加わる。しかしながら、電極が被覆部と露出部とを有しても、被覆部から電極基材へ比較的均等に力が加わる分、電極がプレスによって曲がることを抑制できる。
【0010】
上記の蓄電素子では、上記の電極が厚み方向に積み重なっていてもよい。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、電極がプレスによって曲がることを抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1図1は、本実施形態に係る蓄電素子の斜視図である。
図2図2は、同実施形態に係る蓄電素子の正面図である。
図3図3は、図1のIII-III線位置の断面図である。
図4図4は、図1のIV-IV線位置の断面図である。
図5図5は、同実施形態に係る蓄電素子の一部を組み立てた状態の斜視図であって、注液栓、電極体、集電体、及び外部端子を蓋板に組み付けた状態の斜視図である。
図6図6は、同実施形態に係る蓄電素子の電極体の構成を説明するための図である。
図7図7は、図6のVII-VII線位置の断面図である。
図8図8は、同実施形態に係る蓄電素子を含む蓄電装置の斜視図である。
図9図9は、正極の湾曲値を表すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明に係る蓄電素子の一実施形態について、図1図7を参照しつつ説明する。蓄電素子には、二次電池、キャパシタ等がある。本実施形態では、蓄電素子の一例として、充放電可能な二次電池について説明する。尚、本実施形態の各構成部材(各構成要素)の名称は、本実施形態におけるものであり、背景技術における各構成部材(各構成要素)の名称と異なる場合がある。
【0014】
本実施形態の蓄電素子1は、非水電解質二次電池である。より詳しくは、蓄電素子1は、リチウムイオンの移動に伴って生じる電子移動を利用したリチウムイオン二次電池である。この種の蓄電素子1は、電気エネルギーを供給する。蓄電素子1は、単一又は複数で使用される。具体的に、蓄電素子1は、要求される出力及び要求される電圧が小さいときには、単一で使用される。一方、蓄電素子1は、要求される出力及び要求される電圧の少なくとも一方が大きいときには、他の蓄電素子1と組み合わされて蓄電装置100に用いられる。前記蓄電装置100では、該蓄電装置100に用いられる蓄電素子1が電気エネルギーを供給する。
【0015】
蓄電素子1は、図1図7に示すように、正極11と負極12とを電極として含む電極体2と、電極体2を収容するケース3と、ケース3の外側に配置される外部端子7であって電極体2と導通する外部端子7と、を備える。また、蓄電素子1は、電極体2、ケース3、及び外部端子7の他に、電極体2と外部端子7とを導通させる集電体5等を有する。
【0016】
電極体2は、正極11と負極12とがセパレータ4によって互いに絶縁された状態で積層された積層体22が巻回されることによって形成される。
【0017】
正極11は、金属箔111(正極基材)と、金属箔111に重ねられ且つ活物質を含む正極活物質層112と、を有する。本実施形態では、正極活物質層112は、金属箔111の両面にそれぞれ重ねられる。正極11の厚みは、通常、40μm以上200μm以下である。金属箔111は帯状である。本実施形態の正極の金属箔111は、例えば、アルミニウム箔である。
【0018】
正極活物質層112は、活物質と、バインダと、を含む。詳しくは、正極活物質層112は、活物質を85質量%以上95質量%以下含み、バインダを2質量%以上10質量%以下含む。正極活物質層112の厚みは、通常、10μm以上100μm以下である。正極活物質層112の目付量は、通常、5.0mg/cm以上15.0mg/cm以下である。正極活物質層112は、プレスされることによって、通常、1g/cm以上4g/cm以下の充填密度を有する。
【0019】
正極11の活物質は、リチウムイオンを吸蔵放出可能な化合物である。正極11の活物質は、粒子状である。
【0020】
正極11の活物質の粒径D50と粒径D90とは、0.39≦粒径D50/(粒径D50+粒径D90)≦0.43 の関係式を満たす(式中、粒径D50は、粒度分布にて体積積算が50%となる粒径であり、粒径D90は、粒度分布にて体積積算が90%となる粒径である。)。即ち、正極11の活物質の粒度分布において、体積積算が50%となる粒径D50と、体積積算が90%となる粒径D90とは、上記関係式を満たす。
【0021】
粒径D50は、通常、2μm以上10μm以下である。粒径D50は、3μm以上8μm以下であってもよい。
【0022】
粒径D90は、通常、3μm以上15μm以下である。粒径D90は、4μm以上11μm以下であってもよい。
【0023】
上記の粒径D50は、粒径の粒度分布において小径側から体積累積分布を描き、体積累積頻度が50%となる平均粒径(メディアン径とも呼ばれる)である。粒径D50は、レーザ回折・散乱式の粒度分布測定装置によって測定することにより求めたD50の値である。上記の粒径D90は、体積累積頻度が90%となる粒径である点以外は、粒径D50と同様である。粒径D50及び粒径D90の測定条件については、実施例において詳しく説明する。
【0024】
なお、上記と同様にして測定した粒径であって体積積算が10%となる粒径D10は、通常、1μm以上5μm以下である。
【0025】
正極11の活物質は、例えば、リチウム金属酸化物である。具体的に、正極の活物質は、例えば、LiMeO(Meは、1又は2以上の遷移金属を表す)によって表される複合酸化物(LiCo、LiNi、LiMn、LiNiCoMn等)、又は、LiMe(XO(Meは、1又は2以上の遷移金属を表し、Xは例えばP、Si、B、Vを表す)によって表されるポリアニオン化合物(LiFePO、LiMnPO、LiMnSiO、LiCoPOF等)である。
【0026】
本実施形態では、正極11の活物質は、LiNiMnCoの化学組成で表されるリチウム金属複合酸化物(ただし、0<v≦1.3であり、w+x+y=1であり、0<w<1であり、0<x<1であり、0<y<1であり、1.7≦z≦2.3である)である。上記のごときLiNiMnCoの化学組成で表されるリチウム金属複合酸化物は、例えば、LiNi1/3Co1/3Mn1/3 、LiNi1/6Co2/3Mn1/6 などである。
【0027】
正極活物質層112に用いられるバインダは、例えば、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)、エチレンとビニルアルコールとの共重合体、ポリメタクリル酸メチル、ポリエチレンオキサイド、ポリプロピレンオキサイド、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、スチレンブタジエンゴム(SBR)である。本実施形態のバインダは、ポリフッ化ビニリデンである。
【0028】
正極活物質層112は、ケッチェンブラック(登録商標)、アセチレンブラック、黒鉛等の導電助剤をさらに有してもよい。本実施形態の正極活物質層112は、導電助剤としてアセチレンブラックを有する。
【0029】
負極12は、金属箔121(負極基材)と、金属箔121に重ねられ且つ活物質を含む負極活物質層122と、を有する。本実施形態では、負極活物質層122は、金属箔121の両面にそれぞれ重ねられる。金属箔121は帯状である。本実施形態の負極の金属箔121は、銅箔である。負極12の厚みは、通常、40μm以上200μm以下である。
【0030】
負極活物質層122は、活物質と、バインダと、を有する。負極活物質層122は、セパレータ4を介して正極11と向き合うように配置される。負極活物質層122の厚みは、通常、10μm以上100μm以下である。
【0031】
負極12の活物質は、負極12において充電反応及び放電反応の電極反応に寄与し得るものである。負極12の活物質は、粒子状である。本実施形態の負極の活物質は、難黒鉛化炭素である。
【0032】
負極12の活物質の粒径D50(正極11の活物質の粒径D50と同様)は、通常、2μm以上10μm以下である。斯かる粒径D50は、2μm以上8μm以下であってもよい。
【0033】
負極活物質層122に用いられるバインダは、正極活物質層112に用いられたバインダと同様のものである。本実施形態のバインダは、ポリフッ化ビニリデンである。
【0034】
負極活物質層122は、ケッチェンブラック(登録商標)、アセチレンブラック、黒鉛等の導電助剤をさらに有してもよい。本実施形態の負極活物質層122は、導電助剤を有していない。
【0035】
セパレータ4は、絶縁性を有する部材である。セパレータ4は、帯状である。セパレータ4は、正極11と負極12との間に配置される。これにより、電極体2(詳しくは、積層体22)において、正極11と負極12とが互いに絶縁される。また、セパレータ4は、ケース3内において、電解液を保持する。これにより、蓄電素子1の充放電時において、リチウムイオンが、セパレータ4を挟んで交互に積層される正極11と負極12との間を移動する。
【0036】
セパレータ4は、例えば、織物、不織布、又は多孔膜によって多孔質に構成される。セパレータ4の材質としては、高分子化合物、ガラス、セラミックなどが挙げられる。高分子化合物としては、例えば、ポリアクリロニトリル(PAN)、ポリアミド(PA)、ポリエチレンテレフタレート(PET)などのポリエステル、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)などのポリオレフィン(PO)、又は、セルロースが挙げられる。
【0037】
セパレータ4の幅(帯形状の短手方向の寸法)は、負極活物質層122の幅より僅かに大きい。セパレータ4は、正極活物質層112及び負極活物質層122が重なるように幅方向に位置ずれした状態で重ね合わされた正極11と負極12との間に配置される。
【0038】
本実施形態の電極体2では、以上のように構成される正極11と負極12とがセパレータ4によって絶縁された状態で巻回される。即ち、本実施形態の電極体2では、正極11、負極12、及びセパレータ4の積層体22が巻回される。
【0039】
正極11及び負極12は、それぞれ、金属箔(電極基材)に活物質層が重なることによって金属箔(電極基材)が覆われた被覆部104と、金属箔(電極基材)に活物質層が重ならず金属箔(電極基材)が露出した露出部105とを有する。露出部105は、帯状の金属箔(電極基材)の幅方向における一方の端縁に沿って形成される。
【0040】
正極11と負極12とが積層された状態で、図6に示すように、正極11の露出部105と負極12の露出部105とは重なっていない。即ち、正極11の露出部105が、正極11と負極12との重なる領域から幅方向に突出し、且つ、負極12の露出部105が、正極11と負極12との重なる領域から幅方向(正極11の露出部105の突出方向と反対の方向)に突出する。積層された状態の正極11、負極12、及びセパレータ4、即ち、積層体22が巻回されることによって、電極体2が形成される。正極11の露出部105又は負極12の露出部105のみが積層された部位によって、電極体2における露出積層部26が構成される。このように、正極11は、負極12及びセパレータ4を介して厚み方向に積み重なっている。負極12は、正極11及びセパレータ4を介して厚み方向に積み重なっている。
【0041】
露出積層部26は、電極体2における集電体5と導通される部位である。露出積層部26は、巻回された正極11、負極12、及びセパレータ4の巻回中心方向視において、中空部27(図6参照)を挟んで二つの部位(二分された露出積層部)261に区分けされる。
【0042】
以上のように構成される露出積層部26は、電極体2の各極に設けられる。即ち、正極11の露出部105のみが積層された露出積層部26が電極体2における正極11の露出積層部を構成し、負極12の露出部105のみが積層された露出積層部26が電極体2における負極12の露出積層部を構成する。
【0043】
ケース3は、開口を有するケース本体31と、ケース本体31の開口を塞ぐ(閉じる)蓋板32と、を有する。ケース3は、電極体2及び集電体5等と共に、電解液を内部空間に収容する。ケース3は、電解液に耐性を有する金属によって形成される。ケース3は、例えば、アルミニウム、又は、アルミニウム合金等のアルミニウム系金属材料によって形成される。ケース3は、ステンレス鋼及びニッケル等の金属材料、又は、アルミニウムにナイロン等の樹脂を接着した複合材料等によって形成されてもよい。
【0044】
電解液は、非水溶液系電解液である。電解液は、有機溶媒に電解質塩を溶解させることによって得られる。有機溶媒は、例えば、プロピレンカーボネート及びエチレンカーボネートなどの環状炭酸エステル類、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、及びエチルメチルカーボネートなどの鎖状カーボネート類である。電解質塩は、LiClO、LiBF、及びLiPF等である。
【0045】
電解液は、例えば、プロピレンカーボネート、ジメチルカーボネート、及びエチルメチルカーボネートを所定の容積割合で混合した混合溶媒に、0.5~1.5mol/LのLiPFを溶解させたものである。
【0046】
ケース3は、ケース本体31の開口周縁部と、長方形状の蓋板32の周縁部とを重ね合わせた状態で接合することによって形成される。また、ケース3は、ケース本体31と蓋板32とによって画定される内部空間を有する。本実施形態では、ケース本体31の開口周縁部と蓋板32の周縁部とは、溶接によって接合される。
【0047】
以下では、図1に示すように、蓋板32の長辺方向をX軸方向とし、蓋板32の短辺方向をY軸方向とし、蓋板32の法線方向をZ軸方向とする。
【0048】
ケース本体31は、開口方向(Z軸方向)における一方の端部が塞がれた角筒形状(即ち、有底角筒形状)を有する。
【0049】
蓋板32は、ケース本体31の開口を塞ぐ板状の部材である。具体的に、蓋板32は、ケース本体31の開口を塞ぐようにケース本体31に当接する。より具体的には、蓋板32が開口を塞ぐように、蓋板32の周縁部がケース本体31の開口周縁部に重ねられる。開口周縁部と蓋板32とが重ねられた状態で、蓋板32とケース本体31との境界部が溶接される。これにより、ケース3が構成される。
【0050】
蓋板32は、Z軸方向視において、ケース本体31の開口周縁部に対応した輪郭形状を有する。即ち、蓋板32は、Z軸方向視において、X軸方向に長い矩形状の板材である。また、蓋板32の四隅は、円弧状である。
【0051】
蓋板32は、ケース3内のガスを外部に排出可能なガス排出弁321を有する。ガス排出弁321は、ケース3の内部圧力が所定の圧力まで上昇したときに、該ケース3内から外部にガスを排出する。ガス排出弁321は、X軸方向における蓋板32の中央部に設けられる。
【0052】
ケース3には、電解液を注入するための注液孔が設けられる。注液孔は、ケース3の内部と外部とを連通する。注液孔は、蓋板32に設けられる。
【0053】
注液孔は、注液栓326によって密閉される(塞がれる)。注液栓326は、溶接によってケース3(本実施形態の例では蓋板32)に固定される。
【0054】
外部端子7は、他の蓄電素子1の外部端子7又は外部機器等と電気的に接続される部位である。外部端子7は、導電性を有する部材によって形成される。例えば、外部端子7は、アルミニウム又はアルミニウム合金等のアルミニウム系金属材料、銅又は銅合金等の銅系金属材料等の溶接性の高い金属材料によって形成される。
【0055】
外部端子7は、バスバ等が溶接可能な面71を有する。面71は、平面である。外部端子7は、蓋板32に沿って拡がる板状である。詳しくは、外部端子7は、Z軸方向視において矩形状の板状である。
【0056】
集電体5は、ケース3内に配置され、電極体2と通電可能に直接又は間接に接続される。本実施形態の集電体5は、クリップ部材50を介して電極体2と通電可能に接続される。即ち、蓄電素子1は、電極体2と集電体5とを通電可能に接続するクリップ部材50を備える。
【0057】
集電体5は、導電性を有する部材によって形成される。図3に示すように、集電体5は、ケース3の内面に沿って配置される。
【0058】
集電体5は、蓄電素子1の正極11と負極12とにそれぞれ配置される。本実施形態の蓄電素子1では、ケース3内において、電極体2の正極11の露出積層部26と、負極12の露出積層部26とにそれぞれ配置される。
【0059】
正極11の集電体5と負極12の集電体5とは、異なる材料によって形成される。具体的に、正極11の集電体5は、例えば、アルミニウム又はアルミニウム合金によって形成され、負極12の集電体5は、例えば、銅又は銅合金によって形成される。
【0060】
本実施形態の蓄電素子1では、袋状の絶縁カバー6に収容された状態の電極体2(詳しくは、電極体2及び集電体5)がケース3内に収容される。
【0061】
次に、上記実施形態の蓄電素子の製造方法について説明する。
【0062】
蓄電素子1の製造方法では、金属箔(電極基材)に活物質を含む合剤を塗布し、活物質層を形成し、電極(正極11及び負極12)を作製する。次に、正極11、セパレータ4、及び負極12を重ね合わせて電極体2を形成する。続いて、電極体2をケース3に入れ、ケース3に電解液を入れることによって蓄電素子1を組み立てる。
【0063】
電極(正極11)の作製では、金属箔の両面に、活物質とバインダと溶媒とを含む合剤をそれぞれ塗布することによって活物質層(正極活物質層112)を形成する。金属箔に合剤を塗布するときには、帯状の金属箔における幅方向の一方の端部を合剤で覆わないように合剤を塗布する。これにより、電極(正極11)は、金属箔に活物質層が重なることによって金属箔が覆われた被覆部104と、金属箔に活物質層が重ならず金属箔が露出した露出部105とを有することとなる。活物質層を形成するための塗布方法としては、一般的な方法が採用される。負極も同様にして作製する。続いて、電極(正極11)をロールでプレスする。プレス圧は、通常、1000N/cm以上24000N/cm以下である。活物質層の厚み分、被覆部104には、露出部105よりもプレスによってより大きい力が加わる。被覆部104における金属箔がより強く圧縮されることによって、被覆部104における金属箔の厚みが、露出部105における金属箔の厚みよりも薄くなり、金属箔の厚みのばらつきによって、電極が曲がり得る。
【0064】
電極体2の形成では、正極11と負極12との間にセパレータ4を挟み込んだ積層体22を巻回することにより、電極体2を形成する。詳しくは、正極活物質層112と負極活物質層122とがセパレータ4を介して互いに向き合うように、正極11とセパレータ4と負極12とを重ね合わせ、積層体22を作る。続いて、積層体22を巻回して、電極体2を形成する。
【0065】
蓄電素子1の組み立てでは、ケース3のケース本体31に電極体2を入れ、ケース本体31の開口を蓋板32で塞ぎ、電解液をケース3内に注入する。ケース本体31の開口を蓋板32で塞ぐときには、ケース本体31の内部に電極体2を入れ、正極11と一方の外部端子7とを導通させ、且つ、負極12と他方の外部端子7とを導通させた状態で、ケース本体31の開口を蓋板32で塞ぐ。電解液をケース3内へ注入するときには、ケース3の蓋板32の注入孔から電解液をケース3内に注入する。
【0066】
上記のように構成された本実施形態の蓄電素子1では、正極11の活物質の粒径D50と粒径D90とは、0.39≦粒径D50/(粒径D50+粒径D90)≦0.43 の関係式を満たす。当該関係式を満たすことにより、プレスにより曲がることが抑制された電極が得られるメカニズムは必ずしも明らかではないが、以下の通りと推測される。すなわち、正極11の活物質の粒径が上記関係式を満たすため、正極11がプレスされても、正極活物質層112において、より大きい粒子の間により小さい粒子が適度に入り込む。小さい粒子が大きい粒子の間に入り込む分、厚み方向の圧縮力が正極活物質層112の面方向に分散される。従って、正極基材(金属箔111)の一部に圧縮力が集中することが抑えられる。これにより、正極活物質層112が正極基材(金属箔111)に比較的均等な力で押し付けられる。正極基材(金属箔111)に対して比較的均等に力が加わることから、不均一な圧縮力で正極基材(金属箔111)が伸びることが抑えられる。従って、厚み方向に波打つように正極11が曲がることを抑制できる。また、正極基材(金属箔111)の一部が活物質と重ならず露出した正極11が、湾曲して曲がることを抑制できる。即ち、矩形状の正極基材(金属箔111)の一辺に沿って正極基材(金属箔111)が露出した正極11は、露出した側を内側にして湾曲することが抑制される。このように、本実施形態の蓄電素子1によれば、正極11が曲がることを抑制できる。
【0067】
上記の蓄電素子1では、正極11が被覆部104と露出部105とを有する。被覆部104と露出部105とを有する正極11が厚み方向にプレスされると、正極活物質層112の厚み分、より強い力が被覆部104に加わる。しかしながら、正極11が被覆部と露出部とを有しても、被覆部から正極基材(金属箔111)へ比較的均等に力が加わる分、正極11がプレスによって曲がることをより確実に抑制できる。
【0068】
上記の蓄電素子1では、正極11が厚み方向に積み重なっている。負極12も厚み方向に積み重なっている。具体的には、積層体22にて、正極11と負極12とが積層され、積層体22が巻回されることによって電極体2が形成される。上記のごとく、正極11が波打ったり湾曲したりして曲がることが抑えられていることから、電極体2において、電極間の距離をより均一に近づけることができる。
【0069】
上記の蓄電素子1では、正極活物質層112に含まれる活物質の粒径D50が2μm以上10μm以下であることにより、活物質の粒径が比較的小さいことから、蓄電素子1(電池)が十分な出力を有することができる。
【0070】
尚、本発明の蓄電素子は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。例えば、ある実施形態の構成に他の実施形態の構成を追加することができ、また、ある実施形態の構成の一部を他の実施形態の構成に置き換えることができる。さらに、ある実施形態の構成の一部を削除することができる。
【0071】
上記の実施形態では、活物質を含む層が金属箔に直接接した電極(正極及び負極)について詳しく説明したが、本発明では、正極及び負極の少なくともいずれか一方が、バインダと導電助剤とを含む導電層を有してもよい。正極活物質層112及び負極活物質層122の少なくともいずれか一方が導電層を有し、活物質層における電極基材(金属箔)と接する面の方に、導電層が配置されてもよい。
【0072】
上記実施形態では、活物質層が各電極の金属箔の両面側にそれぞれ配置された電極について説明したが、本発明の蓄電素子では、正極11又は負極12は、活物質層を金属箔の片面側にのみ備えてもよい。
【0073】
上記実施形態では、上記の関係式を満たす活物質を含む電極が正極である蓄電素子について説明したが、本発明の蓄電素子では、上記の関係式を満たす活物質を含む電極が負極であってもよい。
【0074】
上記実施形態では、積層体22が巻回されてなる電極体2を備えた蓄電素子1について詳しく説明したが、本発明の蓄電素子は、巻回されない積層体22を備えてもよい。詳しくは、それぞれ矩形状に形成された正極、セパレータ、負極、及びセパレータが、この順序で複数回積み重ねられてなる電極体を蓄電素子が備えてもよい。
【0075】
上記実施形態では、蓄電素子1が充放電可能な非水電解質二次電池(例えばリチウムイオン二次電池)として用いられる場合について説明したが、蓄電素子1の種類や大きさ(容量)は任意である。また、上記実施形態では、蓄電素子1の一例として、リチウムイオン二次電池について説明したが、これに限定されるものではない。例えば、本発明は、種々の二次電池、その他、電気二重層キャパシタ等のキャパシタの蓄電素子にも適用可能である。
【0076】
上記実施形態では、露出部は、帯状の金属箔の短手方向の一端部に設けられているが、本発明は、このような形態に限られない。すなわち、露出部は、金属箔の2辺以上の端部に設けられていてもよい。具体的には、露出部は、帯状の金属箔の短手方向の両端部に沿って設けられていてもよい。なお、上記実施形態のように、電極において、金属箔の短手方向の一方の端部に沿って露出部が設けられていると、プレスの際に、金属箔(具体的には、被覆部及び露出部)へ非対称に力が加わるため、電極が湾曲しやすい。しかしながら、このような電極であっても、湾曲が抑制されるという効果が顕著に発揮される。
【0077】
蓄電素子1(例えば電池)は、図8に示すような蓄電装置100(蓄電素子が電池の場合は電池モジュール)に用いられてもよい。蓄電装置100は、少なくとも二つの蓄電素子1と、二つの(異なる)蓄電素子1同士を電気的に接続するバスバ部材91と、を有する。この場合、本発明の技術が少なくとも一つの蓄電素子に適用されていればよい。
【実施例
【0078】
以下に示すようにして、非水電解質二次電池(リチウムイオン二次電池)を製造した。
【0079】
(実施例1)
(1)正極の作製
所定の粒度分布を有する活物質(LiNi1/3Co1/3Mn1/3)を用意した。粒度分布から求めた活物質の粒径D50は、3.8μmであり、粒径D90は、5.0μmであった。溶剤としてN-メチル-2-ピロリドン(NMP)と、導電助剤(アセチレンブラック)と、バインダ(PVdF)と、活物質とを、混合し、混練することで、正極用の合剤を調製した。導電助剤、バインダ、活物質の配合量は、それぞれ4.5質量%、4.5質量%、91質量%とした。調製した正極用の合剤をアルミニウム箔(15μm厚み)の両面に、乾燥後の塗布量(目付量)が17.2mg/cmとなるようにそれぞれ塗布した。乾燥後、ロールプレスを行った。ロールプレスは、活物質層の充填密度が2.7g/cmとなるように行った。その後、真空乾燥して、水分を除去した。活物質層(1層分)の厚みは、32μmであった。
正極の活物質の粒度分布は、レーザ回折・散乱式の粒度分布測定装置を用いて測定した。そして、粒度分布から、粒径D50及び粒径D90を求めた。なお、粒径D10についても同様にして求めた。測定条件の詳細は、下記の通りである。
・装置名、型式、メーカー名
メーカー:マイクロトラック・ベル社
装置 :レーザー回折・散乱式 粒度分布測定装置
型式 :MT3000EXII
・前処理
分散媒:蒸留水
分散剤:製品名「エキストランMA02 ニュートラル」(メルク社) 0.5% (蒸留水に0.5%のエキストランMA02 ニュートラルを希釈させた溶液を溶媒と
して使用した)
・サンプリング
循環器(SDC(SampleDelivery Controller))のバスに
前処理で調整した溶液を循環させ、透過率が0.85±0.05になるように少量ずつサンプル(活物質の粉体)を投入した。
・分散
分散条件:循環器(SDC(SampleDelivery Controller)
)にサンプル(活物質)を投入後、流速24mL/secで循環させながら、超音波を40Wの出力で120sec照射した。
・測定条件
分散後、測定時間10secで5回測定を行い、5回の結果を平均した。
【0080】
(2)負極の作製
活物質としては、粒径D50が4μmの粒子状の難黒鉛化炭素を用いた。また、バインダとしては、PVdFを用いた。負極用の合剤は、溶剤としてNMPと、バインダと、活物質とを混合、混練することで調製した。バインダは、7質量%となるように配合し、活物質は、93質量%となるように配合した。調製した負極用の合剤を、乾燥後の塗布量(目付量)が7.9mg/cmとなるように、銅箔(10μm厚み)の両面にそれぞれ塗布した。乾燥後、ロールプレスを行い、真空乾燥して、水分を除去した。活物質層(1層分)の厚みは、35μmであった。
【0081】
(3)セパレータ
セパレータとして厚みが22μmのポリエチレン製微多孔膜を用いた。ポリエチレン製微多孔膜の透気度は、100秒/100ccであった。
【0082】
(4)電解液の調製
電解液としては、以下の方法で調製したものを用いた。非水溶媒として、プロピレンカーボネート、ジメチルカーボネート、エチルメチルカーボネートを、いずれも1容量部ずつ混合した溶媒を用い、この非水溶媒に、塩濃度が1mol/LとなるようにLiPFを溶解させ、電解液を調製した。
【0083】
(5)ケース内への電極体の配置
上記の正極、上記の負極、上記の電解液、セパレータ、及びケースを用いて、一般的な方法によって電池を製造した。
まず、セパレータが上記の正極および負極の間に配されて積層されてなるシート状物を巻回した。次に、巻回されてなる電極体を、ケースとしてのアルミニウム製の角形電槽缶のケース本体内に配置した。続いて、正極及び負極を2つの外部端子それぞれに電気的に接続させた。さらに、ケース本体に蓋板を取り付けた。上記の電解液を、ケースの蓋板に形成された注液口からケース内に注入した。最後に、ケースの注液口を封止することにより、ケースを密閉した。
【0084】
(実施例2)
正極の作製において、粒径D50が3.9μmであり且つ粒径D90が5.7μmである活物質を用いた点以外は、実施例1と同様にしてリチウムイオン二次電池を製造した。
【0085】
(実施例3)
正極の作製において、粒径D50が5.6μmであり且つ粒径D90が8.8μmである活物質を用いた点以外は、実施例1と同様にしてリチウムイオン二次電池を製造した。
【0086】
(実施例4)
正極の作製において、粒径D50が6.0μmであり且つ粒径D90が9.0μmであり、組成がLiNi1/6Co2/3Mn1/6である活物質を用いた点以外は、実施例1と同様にしてリチウムイオン二次電池を製造した。
【0087】
(比較例1)
正極の作製において、粒径D50が5.1μmであり且つ粒径D90が8.2μmである活物質を用いた点以外は、実施例1と同様にしてリチウムイオン二次電池を製造した。
【0088】
(比較例2)
正極の作製において、粒径D50が5.5μmであり且つ粒径D90が8.8μmである活物質を用いた点以外は、実施例1と同様にしてリチウムイオン二次電池を製造した。
【0089】
(比較例3)
正極の作製において、粒径D50が5.7μmであり且つ粒径D90が7.3μmである活物質を用いた点以外は、実施例1と同様にしてリチウムイオン二次電池を製造した。
【0090】
<プレスによる正極の曲がり(湾曲)の評価>
正極の湾曲値を次のようにして測定した。まず、正極を真空乾燥させ、真空乾燥後の正極を2mの長さで切り取った。次に、5mのまっすぐな金尺の長手方向と、正極の長手方向とが概ね平行となるように、切り取った正極を配置した。露出部の長手方向の一方の端部(角部)、および、他方の端部(角部)を金尺に接地させた。露出部の長手方向の一方の端から1m部分(すなわち、正極の長手方向中央部)において、露出部の端縁から金尺までの隙間の距離を測定した。測定では、最小単位0.1mmのスケールルーペを用い、測定値を湾曲値(mm)とした。
【0091】
各実施例及び各比較例の電池における正極の曲がり(湾曲)について評価した結果を表1及び図9に示す。表1及び図9から把握されるように、比較例の電池と比べて、上記の関係式を満たす実施例の電池では、電極が曲がることを抑制できた。特に、0.40≦粒径D50/(粒径D50+粒径D90)≦0.41の場合には、湾曲値をより小さくできることが分かった。
【0092】
【表1】
【符号の説明】
【0093】
1:蓄電素子(非水電解質二次電池)、
2:電極体、
26:露出積層部、
3:ケース、 31:ケース本体、 32:蓋板、
4:セパレータ、
5:集電体、 50:クリップ部材、 6:絶縁カバー、
7:外部端子、 71:面、
11:正極、
111:正極の金属箔(正極基材)、 112:正極活物質層、
12:負極、
121:負極の金属箔(負極基材)、 122:負極活物質層、
104:被覆部、 105:露出部、
91:バスバ部材、
100:蓄電装置。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9