(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-01-16
(45)【発行日】2023-01-24
(54)【発明の名称】遠心圧縮機
(51)【国際特許分類】
F04D 29/46 20060101AFI20230117BHJP
F04D 29/66 20060101ALI20230117BHJP
【FI】
F04D29/46 C
F04D29/66 H
(21)【出願番号】P 2021551667
(86)(22)【出願日】2020-10-06
(86)【国際出願番号】 JP2020037894
(87)【国際公開番号】W WO2021070826
(87)【国際公開日】2021-04-15
【審査請求日】2021-11-29
(31)【優先権主張番号】P 2019185786
(32)【優先日】2019-10-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000000099
【氏名又は名称】株式会社IHI
(74)【代理人】
【識別番号】110000936
【氏名又は名称】弁理士法人青海国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】崎坂 亮太
(72)【発明者】
【氏名】藤原 隆
(72)【発明者】
【氏名】米村 淳
(72)【発明者】
【氏名】馬場 隆弘
【審査官】大瀬 円
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2018/106620(WO,A1)
【文献】国際公開第2012/161283(WO,A1)
【文献】国際公開第2020/031507(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F04D 29/46
F04D 29/66
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
吸気流路が形成されるハウジングと、
前記吸気流路に配されるコンプレッサインペラと、
前記ハウジングのうち前記コンプレッサインペラよりも吸気の上流側に形成される収容室と、
前記収容室に配され、前記吸気流路から退避する退避位置と、前記収容室から前記吸気流路内に突出し、前記退避位置よりも前記吸気流路側に位置する突出位置とに移動可能に構成された可動部材と、
前記収容室のうち前記可動部材より前記上流側の収容室対向面に設けられ、前記可動部材と当接可能な当接部および前記可動部材と当接不能な非当接部と、
を備える遠心圧縮機。
【請求項3】
前記非当接部は、前記吸気流路と連通する請求項1または2に記載の遠心圧縮機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、遠心圧縮機に関する。本出願は2019年10月9日に提出された日本特許出願第2019-185786号に基づく優先権の利益を主張するものであり、その内容は本出願に援用される。
【背景技術】
【0002】
遠心圧縮機は、吸気流路が形成されたコンプレッサハウジングを備える。吸気流路には、コンプレッサインペラが配される。コンプレッサインペラに流入する空気の流量が減少すると、コンプレッサインペラで圧縮された空気が吸気流路を逆流し、サージングと呼ばれる現象が発生する。
【0003】
特許文献1には、コンプレッサハウジングに絞り機構を設ける遠心圧縮機について開示がある。絞り機構は、可動部材を備える。可動部材は、吸気流路内に突出する突出位置と、吸気流路から退避する退避位置とに移動可能に構成される。絞り機構は、可動部材を吸気流路内に突出させることで、吸気流路の流路断面積を小さくする。可動部材が吸気流路内に突出すると、吸気流路内を逆流する空気は、可動部材により堰き止められる。吸気流路内を逆流する空気が堰き止められることで、サージングが抑制される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
可動部材は、吸気流路内を逆流する空気により、吸気の上流側のコンプレッサハウジングの壁面に押し付けられる。このとき、コンプレッサハウジングの壁面と可動部材との間で摩擦力が増大する。その結果、絞り機構は、可動部材を駆動する際の負荷が増大する。
【0006】
本開示の目的は、可動部材を駆動する際の負荷を低減することが可能な遠心圧縮機を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本開示の一態様に係る遠心圧縮機は、吸気流路が形成されるハウジングと、吸気流路に配されるコンプレッサインペラと、ハウジングのうちコンプレッサインペラよりも吸気の上流側に形成される収容室と、収容室に配される可動部材と、収容室のうち可動部材より上流側の収容室対向面に設けられた当接部および非当接部と、を備える。
【0008】
当接部は、収容室対向面の最も径方向内側に配されてもよい。
【0009】
非当接部は、吸気流路と連通してもよい。
【発明の効果】
【0010】
本開示によれば、可動部材を駆動する際の負荷を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図3】
図3は、リンク機構を構成する部材の分解斜視図である。
【
図5】
図5は、本実施形態における第1ハウジング部材の壁面の構成を示す図である。
【
図6】
図6は、リンク機構(絞り機構)の動作を説明するための第1の図である。
【
図7】
図7は、リンク機構の動作を説明するための第2の図である。
【
図8】
図8は、リンク機構の動作を説明するための第3の図である。
【
図9】
図9は、変形例における第1ハウジング部材の壁面の構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に添付図面を参照しながら、本開示の一実施形態について詳細に説明する。実施形態に示す寸法、材料、その他具体的な数値等は、理解を容易とするための例示にすぎず、特に断る場合を除き、本開示を限定するものではない。なお、本明細書および図面において、実質的に同一の機能、構成を有する要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。また本開示に直接関係のない要素は図示を省略する。
【0013】
図1は、過給機TCの概略断面図である。
図1に示す矢印L方向を過給機TCの左側として説明する。
図1に示す矢印R方向を過給機TCの右側として説明する。過給機TCのうち、後述するコンプレッサハウジング100側は、遠心圧縮機CCとして機能する。以下では、遠心圧縮機CCは、後述するタービンインペラ8により駆動されるものとして説明する。ただし、これに限定されず、遠心圧縮機CCは、不図示のエンジンにより駆動されてもよいし、不図示の電動機(モータ)により駆動されてもよい。このように、遠心圧縮機CCは、過給機TC以外の装置に組み込まれてもよいし、単体であってもよい。
【0014】
図1に示すように、過給機TCは、過給機本体1を備える。過給機本体1は、ベアリングハウジング2と、タービンハウジング4と、コンプレッサハウジング(ハウジング)100と、リンク機構200とを含んで構成される。リンク機構200の詳細については、後述する。ベアリングハウジング2の左側には、締結ボルト3によってタービンハウジング4が連結される。ベアリングハウジング2の右側には、締結ボルト5によってコンプレッサハウジング100が連結される。
【0015】
ベアリングハウジング2には、収容孔2aが形成される。収容孔2aは、過給機TCの左右方向に貫通する。収容孔2aには、軸受6が配される。
図1では、軸受6の一例としてフルフローティング軸受を示す。ただし、軸受6は、セミフローティング軸受や転がり軸受など、他のラジアル軸受であってもよい。収容孔2aには、シャフト7の一部が配される。シャフト7は、軸受6によって回転自在に軸支される。シャフト7の左端部には、タービンインペラ8が設けられる。タービンインペラ8は、タービンハウジング4内に回転自在に収容される。シャフト7の右端部には、コンプレッサインペラ9が設けられる。コンプレッサインペラ9は、コンプレッサハウジング100内に回転自在に収容される。
【0016】
コンプレッサハウジング100には、吸気口10が形成される。吸気口10は、過給機TCの右側に開口する。吸気口10は、不図示のエアクリーナに接続される。ベアリングハウジング2とコンプレッサハウジング100の間には、ディフューザ流路11が形成される。ディフューザ流路11は、空気を昇圧する。ディフューザ流路11は、シャフト7(コンプレッサインペラ9)の径方向(以下、単に径方向という)の内側から外側に向けて環状に形成される。ディフューザ流路11は、径方向の内側において、コンプレッサインペラ9を介して吸気口10に連通している。
【0017】
コンプレッサハウジング100には、コンプレッサスクロール流路12が形成される。コンプレッサスクロール流路12は、環状に形成される。コンプレッサスクロール流路12は、例えば、コンプレッサインペラ9よりも径方向の外側に位置する。コンプレッサスクロール流路12は、不図示のエンジンの吸気口、および、ディフューザ流路11と連通している。コンプレッサインペラ9が回転すると、吸気口10からコンプレッサハウジング100内に空気が吸気される。吸気された空気は、コンプレッサインペラ9の翼間を流通する過程において、加圧加速される。加圧加速された空気は、ディフューザ流路11およびコンプレッサスクロール流路12で昇圧される。昇圧された空気は、不図示の吐出口から流出し、エンジンの吸気口に導かれる。
【0018】
このように、過給機TCは、遠心圧縮機(コンプレッサ)CCを備える。遠心圧縮機CCは、コンプレッサハウジング100と、コンプレッサインペラ9と、コンプレッサスクロール流路12と、後述するリンク機構200とを含む。
【0019】
タービンハウジング4には、排気口13が形成される。排気口13は、過給機TCの左側に開口する。排気口13は、不図示の排気ガス浄化装置に接続される。タービンハウジング4には、連通流路14と、タービンスクロール流路15とが形成される。タービンスクロール流路15は、タービンインペラ8よりも径方向の外側に位置する。連通流路14は、タービンインペラ8とタービンスクロール流路15との間に位置する。
【0020】
タービンスクロール流路15は、不図示のガス流入口と連通する。ガス流入口には、不図示のエンジンの排気マニホールドから排出される排気ガスが導かれる。連通流路14は、タービンスクロール流路15と排気口13とを連通させる。ガス流入口からタービンスクロール流路15に導かれた排気ガスは、連通流路14およびタービンインペラ8の翼間を介して排気口13に導かれる。排気ガスは、その流通過程においてタービンインペラ8を回転させる。
【0021】
タービンインペラ8の回転力は、シャフト7を介してコンプレッサインペラ9に伝達される。上記のとおりに、空気は、コンプレッサインペラ9の回転力によって昇圧されて、エンジンの吸気口に導かれる。
【0022】
図2は、
図1の破線部分の抽出図である。
図2に示すように、コンプレッサハウジング100は、第1ハウジング部材110と、第2ハウジング部材120とを含む。第1ハウジング部材110は、第2ハウジング部材120よりも、
図2中、右側(ベアリングハウジング2から離隔する側)に位置する。第2ハウジング部材120は、ベアリングハウジング2に接続される。第1ハウジング部材110は、第2ハウジング部材120に接続される。
【0023】
第1ハウジング部材110は、大凡円筒形状である。第1ハウジング部材110には、貫通孔111が形成される。第1ハウジング部材110は、第2ハウジング部材120と近接(接続)する側に端面112を有する。第1ハウジング部材110は、第2ハウジング部材120から離隔する側に端面113を有する。端面113には、吸気口10が形成される。貫通孔111は、シャフト7(コンプレッサインペラ9)の回転軸方向(以下、単に回転軸方向という)に沿って、端面112から端面113まで延在する。貫通孔111は、第1ハウジング部材110を回転軸方向に貫通している。貫通孔111は、端面113において吸気口10を有する。
【0024】
貫通孔111は、平行部111aと、縮径部111bとを有する。平行部111aは、縮径部111bよりも端面113側に位置する。平行部111aの内径は、回転軸方向に亘って大凡一定である。縮径部111bは、平行部111aよりも端面112側に位置する。縮径部111bは、平行部111aと連続する。縮径部111bは、平行部111aと連続する部位の内径が、平行部111aの内径と大凡等しい。縮径部111bの内径は、平行部111aから離隔するほど(端面112に近づくほど)、小さくなる。
【0025】
端面112には、切り欠き部112aが形成される。切り欠き部112aは、端面112から端面113側に窪む。切り欠き部112aは、端面112の外周部に形成される。切り欠き部112aは、回転軸方向から見たとき、例えば大凡環状である。
【0026】
端面112には、収容室ACが形成される。収容室ACは、第1ハウジング部材110のうちコンプレッサインペラ9の羽根の前縁端(リーディングエッジ)LEよりも吸気口10側に形成される。収容室ACは、後述する収容溝112b、軸受穴112d、収容穴115を含む。
【0027】
収容溝112bは、端面112に形成される。収容溝112bは、切り欠き部112aと貫通孔111との間に位置する。収容溝112bは、端面112から端面113側に窪む。収容溝112bは、回転軸方向から見たとき、例えば大凡環状である。収容溝112bは、径方向内側において貫通孔111と連通する。
【0028】
収容溝112bのうち端面113側の壁面(収容室対向面)112cには、軸受穴112dが形成される。軸受穴112dは、壁面112cから端面113側に向かって回転軸方向に延在する。軸受穴112dは、シャフト7(コンプレッサインペラ9)の回転方向(以下、単に回転方向、周方向という)に離隔して2つ設けられる。2つの軸受穴112dは、回転方向に180度ずれた位置に配されている。
【0029】
第2ハウジング部材120には、貫通孔121が形成される。第2ハウジング部材120は、第1ハウジング部材110と近接(接続)する側に端面122を有する。また、第2ハウジング部材120は、第1ハウジング部材110から離隔する側(ベアリングハウジング2と接続する側)に端面123を有する。貫通孔121は、回転軸方向に沿って、端面122から端面123まで延在する。貫通孔121は、第2ハウジング部材120を回転軸方向に貫通する。
【0030】
貫通孔121のうち端面122側の端部の内径は、貫通孔111のうち端面112側の端部の内径と大凡等しい。貫通孔121の内壁には、シュラウド部121aが形成される。シュラウド部121aは、コンプレッサインペラ9に対して径方向の外側から対向する。コンプレッサインペラ9の外径は、コンプレッサインペラ9のリーディングエッジLEから離隔するほど大きくなる。シュラウド部121aの内径は、端面122から離隔するほど(端面123に近接するほど)大きくなる。
【0031】
端面122には、収容溝122aが形成される。収容溝122aは、端面122から端面123側に窪む。収容溝122aは、回転軸方向から見たとき、例えば大凡環状である。収容溝122aには、第1ハウジング部材110が挿入される。収容溝122aのうち端面123側には、壁面122bが形成される。壁面122bには、第1ハウジング部材110の端面112が当接する。このとき、第1ハウジング部材110(壁面112c)と第2ハウジング部材120(壁面122b)との間には、収容室ACが形成される。
【0032】
第1ハウジング部材110の貫通孔111と、第2ハウジング部材120の貫通孔121によって、吸気流路130が形成される。このように、コンプレッサハウジング100には、吸気流路130が形成される。吸気流路130は、不図示のエアクリーナから吸気口10を介してディフューザ流路11まで連通する。吸気流路130のエアクリーナ側(吸気口10側)を吸気の上流側とし、吸気流路130のディフューザ流路11側を吸気の下流側とする。
【0033】
コンプレッサインペラ9は、吸気流路130に配される。吸気流路130(貫通孔111、121)は、回転軸方向に垂直な断面形状が、例えば、コンプレッサインペラ9の回転軸を中心とする円形である。ただし、吸気流路130の断面形状は、これに限定されず、例えば、楕円形状であってもよい。
【0034】
第1ハウジング部材110の切り欠き部112aには、不図示のシール材が配される。シール材により、第1ハウジング部材110と第2ハウジング部材120との隙間を流通する空気の流量が抑制される。ただし、切り欠き部112aおよびシール材の構成は、必須ではない。
【0035】
図3は、リンク機構200を構成する部材の分解斜視図である。
図3では、コンプレッサハウジング100のうち、第1ハウジング部材110のみが示される。
図3に示すように、リンク機構200は、第1ハウジング部材110、第1可動部材210、第2可動部材220、連結部材230、ロッド240を含む。リンク機構200は、回転軸方向において、コンプレッサインペラ9より吸気流路130の吸気口10側(上流側)に配される。
【0036】
第1可動部材210は、収容溝112b(収容室AC)に配される。具体的には、第1可動部材210は、回転軸方向において、収容溝112bの壁面112cと、収容溝122aの壁面122b(
図2参照)との間に配される。第1可動部材210は、収容溝112bの壁面112cと対向する対向面(可動部材対向面)S1を有する。第1可動部材210は、収容溝122aの壁面122bと対向する対向面S2を有する。第1可動部材210は、本体部B1を有する。本体部B1は、湾曲部211と、アーム部212とを含む。
【0037】
湾曲部211は、コンプレッサインペラ9の周方向に延在する。湾曲部211は、大凡半円弧形状である。湾曲部211のうち、周方向の一端面211aおよび他端面211bは、径方向および回転軸方向に平行に延在する。ただし、一端面211aおよび他端面211bは、径方向および回転軸方向に対し、傾斜していてもよい。
【0038】
湾曲部211の一端面211a側には、アーム部212が設けられる。アーム部212は、湾曲部211の外周面211cから径方向の外側に延在する。アーム部212は、径方向に対して傾斜する方向(第2可動部材220側)に延在する。
【0039】
第2可動部材220は、収容溝112b(収容室AC)に配される。具体的には、第2可動部材220は、回転軸方向において、収容溝112bの壁面112cと、収容溝122aの壁面122b(
図2参照)との間に配される。第2可動部材220は、収容溝112bの壁面112cと対向する対向面(可動部材対向面)S1を有する。第2可動部材220は、収容溝122aの壁面122bと対向する対向面S2を有する。第2可動部材220は、本体部B2を有する。本体部B2は、湾曲部221と、アーム部222とを含む。
【0040】
湾曲部221は、コンプレッサインペラ9の周方向に延在する。湾曲部221は、大凡半円弧形状である。湾曲部221のうち、周方向の一端面221aおよび他端面221bは、径方向および回転軸方向に平行に延在する。ただし、一端面221aおよび他端面221bは、径方向および回転軸方向に対し、傾斜していてもよい。
【0041】
湾曲部221の一端面221a側には、アーム部222が設けられる。アーム部222は、湾曲部221の外周面221cから径方向の外側に延在する。アーム部222は、径方向に対して傾斜する方向(第1可動部材210側)に延在する。
【0042】
湾曲部211は、湾曲部221とコンプレッサインペラ9の回転中心(吸気流路130)を挟んで対向する。湾曲部211の一端面211aは、湾曲部221の他端面221bと周方向に対向する。湾曲部211の他端面211bは、湾曲部221の一端面221aと周方向に対向する。第1可動部材210および第2可動部材220は、詳しくは後述するように、湾曲部211、221が径方向に移動可能に構成される。
【0043】
連結部材230は、第1可動部材210および第2可動部材220と連結する。連結部材230は、第1可動部材210、第2可動部材220よりも吸気口10側に位置する。連結部材230は、大凡円弧形状である。連結部材230は、周方向における一端側に第1軸受穴231が形成され、他端側に第2軸受穴232が形成される。第1軸受穴231および第2軸受穴232は、連結部材230のうち、第1可動部材210、第2可動部材220側の端面233に開口する。第1軸受穴231および第2軸受穴232は、回転軸方向に窪む。ここでは、第1軸受穴231および第2軸受穴232は、非貫通の穴で構成される。ただし、第1軸受穴231および第2軸受穴232は、連結部材230を回転軸方向に貫通してもよい。
【0044】
連結部材230は、第1軸受穴231と第2軸受穴232の間に、ロッド接続部234が形成される。ロッド接続部234は、連結部材230のうち、第1可動部材210、第2可動部材220と反対側の端面235に形成される。ロッド接続部234は、端面235から回転軸方向に突出する。ロッド接続部234は、例えば、大凡円柱形状である。
【0045】
ロッド240は、大凡円柱形状である。ロッド240は、一端部に平面部241が形成され、他端部に連結部243が形成される。平面部241は、回転軸方向に大凡垂直な面方向に延在する。平面部241には、軸受穴242が開口する。軸受穴242は、回転軸方向に延在する。連結部243は、連結孔243aを有する。連結部243(連結孔243a)には、後述するアクチュエータが連結される。軸受穴242は、例えば、回転軸方向およびロッド240の軸方向に垂直な方向(後述する
図6中、左右方向)の長さが、ロッド240の軸方向の長さよりも長い長穴であってもよい。
【0046】
ロッド240は、平面部241と連結部243の間に、ロッド大径部244と、2つのロッド小径部245とが形成される。ロッド大径部244は、2つのロッド小径部245の間に配される。2つのロッド小径部245のうち平面部241側のロッド小径部245は、ロッド大径部244と平面部241とを接続する。2つのロッド小径部245のうち連結部243側のロッド小径部245は、ロッド大径部244と連結部243とを接続する。ロッド大径部244の外径は、2つのロッド小径部245の外径よりも大きい。
【0047】
第1ハウジング部材110には、挿通穴114が形成される。挿通穴114の一端114aは、第1ハウジング部材110の外部に開口する。挿通穴114は、例えば、回転軸方向に垂直な面方向に延在する。挿通穴114は、貫通孔111(吸気流路130)よりも径方向の外側に位置する。挿通穴114には、ロッド240の平面部241側が挿通される。ロッド大径部244は、挿通穴114の内壁面によってガイドされる。ロッド240は、挿通穴114の中心軸方向(ロッド240の中心軸方向)以外の移動が規制される。
【0048】
第1ハウジング部材110には、収容穴115が形成される。収容穴115は、収容溝112bの壁面112cに開口する。収容穴115は、壁面112cから吸気口10側に窪む。収容穴115は、挿通穴114よりも吸気口10から離隔する側(第2ハウジング部材120側)に位置する。収容穴115は、回転軸方向から見たとき、大凡円弧形状である。収容穴115は、連結部材230よりも周方向に長く延在する。収容穴115は、軸受穴112dから周方向に離隔する。
【0049】
第1ハウジング部材110には、連通孔116が形成される。連通孔116は、挿通穴114と収容穴115とを連通させる。連通孔116は、収容穴115のうち、周方向の大凡中間部分に位置する。連通孔116は、例えば、挿通穴114の延在方向に大凡平行に延在する長孔である。連通孔116は、長手方向(延在方向)の幅が、短手方向(延在方向と垂直な方向)の幅よりも大きい。挿通穴114の短手方向の幅は、連結部材230のロッド接続部234の外径よりも大きい。
【0050】
連結部材230は、収容穴115(収容室AC)に収容される。第1可動部材210、第2可動部材220、連結部材230は、第1ハウジング部材110に形成された収容室AC内に配される。収容穴115は、連結部材230よりも周方向の長さが長く、径方向の幅も大きい。そのため、連結部材230は、収容穴115の内部で、回転軸方向に垂直な面方向への移動が許容される。
【0051】
ロッド接続部234は、連通孔116から挿通穴114に挿通される。挿通穴114には、ロッド240の平面部241が挿通されている。平面部241の軸受穴242は、連通孔116に対向している。ロッド接続部234は、軸受穴242に挿通される(接続される)。ロッド接続部234は、軸受穴242に軸支される。
【0052】
図4は、
図2のIV-IV線断面図である。
図4に破線で示すように、第1可動部材210は、連結軸部213および回転軸部214を有する。連結軸部213および回転軸部214は、第1可動部材210のうち、壁面112cと対向する対向面S1(
図2参照)から、回転軸方向に突出する。連結軸部213および回転軸部214は、
図4中、紙面奥側に延在する。回転軸部214は、連結軸部213と平行に延在する。連結軸部213および回転軸部214は、大凡円柱形状である。
【0053】
連結軸部213の外径は、連結部材230の第1軸受穴231の内径よりも小さい。連結軸部213は、第1軸受穴231に挿通される。連結軸部213は、第1軸受穴231に回転自在に軸支される。回転軸部214の外径は、第1ハウジング部材110の軸受穴112dの内径よりも小さい。回転軸部214は、2つの軸受穴112dのうち鉛直上側(ロッド240に近接する側)の軸受穴112dに挿通される。回転軸部214は、軸受穴112dに回転自在に軸支される。回転軸部214は、第1可動部材210と、第1可動部材210に対して回転軸方向に対向する壁面112cとを接続する。
【0054】
第2可動部材220は、連結軸部223および回転軸部224を有する。連結軸部223および回転軸部224は、第2可動部材220のうち、壁面112cと対向する対向面S1(
図2参照)から、回転軸方向に突出する。連結軸部223および回転軸部224は、
図4中、紙面奥側に延在する。回転軸部224は、連結軸部223と平行に延在する。連結軸部223および回転軸部224は、大凡円柱形状である。
【0055】
連結軸部223の外径は、連結部材230の第2軸受穴232の内径よりも小さい。連結軸部223は、第2軸受穴232に挿通される。連結軸部223は、第2軸受穴232に回転自在に軸支される。回転軸部224の外径は、第1ハウジング部材110の軸受穴112dの内径よりも小さい。回転軸部224は、2つの軸受穴112dのうち鉛直下側(ロッド240から離隔する側)の軸受穴112dに挿通される。回転軸部224は、軸受穴112dに回転自在に軸支される。回転軸部224は、第2可動部材220と、第2可動部材220に対して回転軸方向に対向する壁面112cとを接続する。
【0056】
このように、リンク機構200は、4節リンク機構により構成される。4つのリンク(節)は、第1可動部材210、第2可動部材220、第1ハウジング部材110、連結部材230である。リンク機構200が、4節リンク機構により構成されることから、限定連鎖となり1自由度であって制御が容易である。
【0057】
図5は、本実施形態における第1ハウジング部材110の壁面112cの構成を示す図である。
図5では、第2ハウジング部材120側から見た、第1ハウジング部材110の壁面112cを示している。
【0058】
図5に示すように、壁面112cには、非当接部140と、当接部142とが設けられる。非当接部140は、壁面112cから吸気口10側(
図3参照)に窪む窪み部である。非当接部140は、壁面112cのうち、第1可動部材210および第2可動部材220と当接不能な部位である。
【0059】
非当接部140は、径方向に沿って放射状(直線状)に延在する。ただし、非当接部140は、径方向から傾斜して延在してもよいし、曲線状に延在してもよい。非当接部140は、周方向に沿って壁面112cに複数形成される。ただし、非当接部140は、壁面112cに1つだけ(単数)形成されてもよい。
【0060】
非当接部140は、貫通孔111(吸気流路130)よりも径方向外側に形成される。非当接部140は、貫通孔111(吸気流路130)よりも径方向外側に離隔した位置に形成される。非当接部140は、貫通孔111(吸気流路130)よりも径方向外側に離隔した位置から、壁面112cの外周縁まで延在する。
【0061】
当接部142は、壁面112cのうち、第1可動部材210および第2可動部材220と当接可能な部位である。当接部142は、壁面112cのうち非当接部140が形成される領域と異なる領域に形成される。当接部142は、複数の非当接部140の間に形成される。
【0062】
当接部142の一部は、非当接部140と貫通孔111(吸気流路130)との間に形成される。換言すれば、当接部142の一部は、非当接部140よりも径方向内側に形成される。当接部142の一部は、壁面112cのうち最も径方向内側に配される。
【0063】
非当接部140よりも径方向内側の当接部142は、周方向において、壁面112cの全周に亘って形成される。本実施形態では、非当接部140は、貫通孔111(吸気流路130)と連通しないように構成される。
【0064】
図6は、リンク機構200の動作を説明するための第1の図である。以下の
図6、
図7、
図8では、リンク機構200を吸気口10側から見た図が示される。
図6に示すように、ロッド240の連結部243には、アクチュエータ250の駆動シャフト251の一端部が連結される。
【0065】
図6に示す配置では、第1可動部材210と第2可動部材220は、互いに当接する。このとき、
図2、
図4に示すように、第1可動部材210のうち、径方向の内側の部位である突出部215は、吸気流路130内に突出(露出)する。第2可動部材220のうち、径方向の内側の部位である突出部225は、吸気流路130内に突出(露出)する。このときの第1可動部材210、第2可動部材220の位置を、突出位置(あるいは絞り位置)という。
【0066】
図6に示すように、突出位置では、突出部215のうち、周方向の端部215a、215bと、突出部225のうち、周方向の端部225a、225bとが当接する。突出部215と突出部225によって環状孔260が形成される。環状孔260の内径は、吸気流路130のうち、突出部215、225が突出する部位の内径よりも小さい。環状孔260の内径は、例えば、吸気流路130のいずれの部位の内径よりも小さい。
【0067】
図7は、リンク機構200の動作を説明するための第2の図である。
図8は、リンク機構200の動作を説明するための第3の図である。アクチュエータ250は、回転軸方向と交差する方向(
図7、
図8中、上下方向)にロッド240を直動させる。ロッド240は、
図6に示す状態から上側に移動する。
図7の配置よりも
図8の配置の方が、
図6の配置に対するロッド240の移動量が大きい。
【0068】
ロッド240が移動すると、連結部材230は、ロッド接続部234を介して、
図7、
図8中、上側に移動する。このとき、連結部材230は、ロッド接続部234を回転中心とする回転が許容される。また、ロッド接続部234の外径に対し、ロッド240の軸受穴242の内径に僅かに遊びがある。そのため、連結部材230は、回転軸方向に垂直な面方向の移動が僅かに許容される。
【0069】
上記のように、リンク機構200は、4節リンク機構である。連結部材230、第1可動部材210および第2可動部材220は、第1ハウジング部材110に対して、1自由度の挙動を示す。具体的には、連結部材230は、上記の許容範囲内で、
図7、
図8中、反時計回りに僅かに回転しつつ、左右方向に僅かに揺れ動く。
【0070】
第1可動部材210のうち、回転軸部214は、第1ハウジング部材110に軸支される。回転軸部214は、回転軸方向に垂直な面方向の移動が規制される。連結軸部213は、連結部材230に軸支される。連結部材230の移動が許容されることから、連結軸部213は、回転軸方向に垂直な面方向に移動可能に設けられる。その結果、連結部材230の移動に伴って、第1可動部材210は、回転軸部214を回転中心として、
図7、
図8中、時計回り方向に回転する。
【0071】
同様に、第2可動部材220のうち、回転軸部224は、第1ハウジング部材110に軸支される。回転軸部224は、回転軸方向に垂直な面方向の移動が規制される。連結軸部223は、連結部材230に軸支される。連結部材230の移動が許容されることから、連結軸部223は、回転軸方向に垂直な面方向へ移動可能に設けられる。その結果、連結部材230の移動に伴って、第2可動部材220は、回転軸部224を回転中心として、
図7、
図8中、時計回り方向に回転する。
【0072】
こうして、第1可動部材210と第2可動部材220は、
図7、
図8の順に、互いに離隔する方向に移動する。突出部215、225は、突出位置よりも径方向の外側に移動する。突出部215、225は、吸気流路130(
図2参照)よりも径方向の外側に移動する。このときの第1可動部材210、第2可動部材220の位置を、退避位置という。退避位置では、例えば、突出部215、225は、吸気流路130の内壁面と面一となるか、吸気流路130の内壁面よりも径方向の外側に位置する。退避位置から突出位置に移動するときは、
図8、
図7、
図6の順に、第1可動部材210と第2可動部材220が互いに近づいて当接する。このように、第1可動部材210、第2可動部材220は、回転軸部214、224を回転中心とする回転角度に応じて、突出位置と退避位置とに切り替わる。
【0073】
このように、第1可動部材210および第2可動部材220は、吸気流路130内に突出する突出位置と、吸気流路130内に露出(突出)しない退避位置とに移動可能に構成される。本実施形態では、第1可動部材210および第2可動部材220は、コンプレッサインペラ9の径方向に移動する。ただし、これに限定されず、第1可動部材210および第2可動部材220は、コンプレッサインペラ9の回転軸周り(周方向)に回転してもよい。例えば、第1可動部材210および第2可動部材220は、2以上の羽根を有するシャッター羽根であってもよい。
【0074】
第1可動部材210および第2可動部材220は、退避位置に位置するとき(以下、退避位置状態ともいう)、吸気流路130内に突出しないため、吸気流路130を流れる吸気(空気)の圧損を小さくすることができる。
【0075】
また、
図2に示すように、第1可動部材210および第2可動部材220は、突出位置において、突出部215、225が吸気流路130内に配される。第1可動部材210および第2可動部材220が突出位置に位置すると、吸気流路130の流路断面積が小さくなる。
【0076】
ここで、コンプレッサインペラ9に流入する空気の流量が減少するに従い、コンプレッサインペラ9で圧縮された空気が吸気流路130を逆流する(すなわち、下流側から上流側に向かって空気が流れる)場合がある。
【0077】
図2に示すように、第1可動部材210および第2可動部材220が突出位置に位置するとき(以下、突出位置状態ともいう)、突出部215、225は、コンプレッサインペラ9のリーディングエッジLEの最外径端よりも径方向内側に位置する。これにより、吸気流路130内を逆流する空気は、突出部215、225に堰き止められる。したがって、第1可動部材210および第2可動部材220は、吸気流路130内の空気の逆流を抑制することができる。
【0078】
また、吸気流路130の流路断面積が小さくなることから、コンプレッサインペラ9に流入する空気の流速が増大する。その結果、遠心圧縮機CCのサージングの発生を抑制することができる。つまり、本実施形態の遠心圧縮機CCは、突出位置状態を形成することにより、遠心圧縮機CCの作動領域を小流量側に拡大することができる。
【0079】
このように、第1可動部材210および第2可動部材220は、吸気流路130を絞る絞り部材として構成される。本実施形態において、リンク機構200は、吸気流路130を絞る絞り機構として構成される。第1可動部材210および第2可動部材220は、リンク機構200が駆動されることで、吸気流路130の流路断面積を変化させることができる。
【0080】
ところで、第1可動部材210および第2可動部材220は、突出位置に位置するとき、吸気流路130内を逆流する空気により、吸気の上流側に向かって壁面112c(コンプレッサハウジング100)に押し付けられる。このとき、壁面112cと、第1可動部材210および第2可動部材220との間で摩擦力が増大する。
【0081】
また、第1可動部材210および第2可動部材220が壁面112cに押し付けられると、第1可動部材210および第2可動部材220の対向面S2(
図2参照)と、第2ハウジング部材120の壁面122b(
図2参照)との間には、空隙が生じる。吸気流路130内を逆流する空気は、第1可動部材210および第2可動部材220の対向面S2と、壁面122bとの間の空隙を通って、収容室AC内に流入する。収容室AC内に流入した空気は、収容室AC内に滞留する。
【0082】
このとき、第1可動部材210および第2可動部材220より径方向外側の収容室AC内の圧力は、第1可動部材210および第2可動部材220より径方向内側の吸気流路130内の圧力より大きくなる。そのため、リンク機構200は、第1可動部材210および第2可動部材220を径方向外側に移動し難くなる。
【0083】
このように、リンク機構200は、突出位置状態において、第1可動部材210および第2可動部材220を駆動する際の負荷が増大する。
【0084】
そこで、本実施形態のコンプレッサハウジング100は、収容室ACのうち第1可動部材210および第2可動部材220より吸気の上流側の壁面112cに、非当接部140および当接部142を有する。
【0085】
吸気流路130内を逆流し、収容室AC内に流入した空気は、収容室ACの壁面112cに形成された非当接部140に流入する。非当接部140に流入した空気は、第1可動部材210および第2可動部材220のうち、壁面112cと対向する対向面(可動部材対向面)S1を押圧する。非当接部140に流入した空気は、第1可動部材210および第2可動部材220(対向面S1)を、壁面112cから離隔する方向に押圧する。
【0086】
これにより、壁面112cと、第1可動部材210および第2可動部材220の対向面S1との間の摩擦力が低減する。その結果、リンク機構200は、突出位置状態において第1可動部材210および第2可動部材220を駆動する際の負荷を低減することができる。
【0087】
また、当接部142の一部は、壁面112cのうち最も径方向内側に配される。つまり、当接部142は、非当接部140と貫通孔111(吸気流路130)との間に配される。当接部142では、壁面112cと第1可動部材210および第2可動部材220が当接している。当接部142は、非当接部140に流入した空気が吸気流路130に流出することを抑制する。したがって、非当接部140に流入した空気は、第1可動部材210および第2可動部材220(対向面S1)を、壁面112cから離隔する方向に十分押圧することができる。
【0088】
(変形例)
図9は、変形例における第1ハウジング部材110の壁面112cの構成を示す図である。上記実施形態の遠心圧縮機CCと実質的に等しい構成要素については、同一符号を付して説明を省略する。本変形例の遠心圧縮機CCは、壁面112cに形成される非当接部340および当接部342の形状が、上記実施形態の非当接部140および当接部142の形状と異なっている。
【0089】
図9に示すように、本変形例の壁面112cには、非当接部340と、当接部342とが設けられる。非当接部340は、壁面112cから吸気口10側(
図3参照)に窪む窪み部である。非当接部340は、壁面112cのうち、第1可動部材210および第2可動部材220と当接不能な部位である。
【0090】
非当接部340は、軸受穴112dの中心軸を中心とした円弧状(曲線状)に延在する。非当接部340は、軸受穴112dの周囲を囲うように略円環状に形成される。略円環状の非当接部340は、軸受穴112dの中心軸を中心として壁面112cに複数形成される。
【0091】
本変形例では、壁面112cには、軸受穴112dが2つ形成される。略円環状の非当接部340は、2つの軸受穴112dのそれぞれの周囲を囲うように形成される。そのため、略円環状の非当接部340は、壁面112cに少なくとも2つ形成される。ただし、略円環状の非当接部340は、2つの軸受穴112dのうち一方の周囲を囲うように、壁面112cに少なくとも1つ形成されてもよい。
【0092】
非当接部340は、少なくとも第1可動部材210および第2可動部材220の可動範囲に形成される。非当接部340は、第1可動部材210および第2可動部材220の角部(例えば、
図3に示す一端面211a、221aの外径端および内径端や、他端面211b、221bの外径端および内径端等)の移動軌跡上に形成される。
【0093】
2つの軸受穴112dのそれぞれの周囲を囲う略円環状の非当接部340は、互いに同じ内径を有する。ただし、2つの軸受穴112dのそれぞれを囲う略円環状の非当接部340は、互いに異なる内径を有してもよい。
【0094】
非当接部340は、貫通孔111(吸気流路130)よりも径方向外側に形成される。つまり、非当接部340は、貫通孔111(吸気流路130)よりも径方向外側に離隔した位置に形成される。非当接部340は、貫通孔111(吸気流路130)よりも径方向外側に離隔した位置から、壁面112cの外周縁まで延在する。
【0095】
当接部342は、壁面112cのうち非当接部340が形成される領域と異なる領域に形成される。当接部342は、複数の非当接部340の間に形成される。当接部342の一部は、非当接部340と貫通孔111(吸気流路130)との間に形成される。当接部342の一部は、壁面112cのうち最も径方向内側に配される。本変形例では、非当接部340は、貫通孔111(吸気流路130)と連通しないように構成される。
【0096】
このように、本変形例によれば、コンプレッサハウジング100は、収容室ACのうち第1可動部材210および第2可動部材220より吸気の上流側の壁面112cに、非当接部340および当接部342を有する。したがって、上記実施形態と同様の作用および効果を奏することができる。
【0097】
また、本変形例によれば、非当接部340は、軸受穴112dの中心軸周りに延在している。そのため、第1可動部材210および第2可動部材220は、軸受穴112d(回転軸部214、224(
図4参照))の中心軸周りに回転する際、非当接部340および当接部342の境界部において、引っ掛かり難くなる。その結果、リンク機構200は、突出位置状態において第1可動部材210および第2可動部材220を駆動する際の負荷を低減することができる。
【0098】
以上、添付図面を参照しながら本開示の一実施形態について説明したが、本開示はかかる実施形態に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本開示の技術的範囲に属するものと了解される。
【0099】
上記実施形態および変形例では、当接部142、342が壁面112cのうち最も径方向内側に配される例について説明した。しかし、これに限定されず、当接部142、342は、壁面112cのうち最も径方向内側に配されなくてもよい。
【0100】
上記実施形態および変形例では、非当接部140、340と吸気流路130との間に当接部142、342が配される例について説明した。しかし、これに限定されず、非当接部140、340と吸気流路130との間の少なくとも一部には、当接部142、342が配されなくてもよい。例えば、非当接部140、340と吸気流路130との間には、当接部142、342が配されなくてもよい。また、当接部142、342には、非当接部140、340と吸気流路130とを連通させる連通孔が設けられてもよい。このように、非当接部140、340は、吸気流路130と連通してもよい。非当接部140、340が吸気流路130と連通することで、第1可動部材210および第2可動部材220より径方向外側の収容室AC内の高圧の空気を、第1可動部材210および第2可動部材220より径方向内側の吸気流路130内に流出させることができる。その結果、リンク機構200は、第1可動部材210および第2可動部材220を径方向外側に移動し易くすることができる。したがって、リンク機構200は、突出位置状態における第1可動部材210および第2可動部材220を駆動する際の負荷を低減することができる。反対に、非当接部140、340と吸気流路130との間に当接部142、342が配された場合、非当接部140、340から吸気流路130に空気が流出し難くなる。そのため、収容室AC内の空気が吸気流路130を流通する空気と混合し難くなり、混合損失を低減できる(ひいては、コンプレッサ効率の低下を抑制できる)。
【0101】
また、第1可動部材210および第2可動部材220は、本体部B1、B2を径方向に貫通する貫通孔を備えてもよい。これにより、第1可動部材210および第2可動部材220より径方向外側の収容室AC内の高圧の空気を、第1可動部材210および第2可動部材220より径方向内側の吸気流路130内に流出させることができる。その結果、リンク機構200は、第1可動部材210および第2可動部材220を径方向外側に移動し易くすることができる。したがって、リンク機構200は、突出位置状態における第1可動部材210および第2可動部材220を駆動する際の負荷を低減することができる。
【産業上の利用可能性】
【0102】
本開示は、遠心圧縮機に利用することができる。
【符号の説明】
【0103】
9:コンプレッサインペラ 100:コンプレッサハウジング(ハウジング) 130:吸気流路 140:非当接部 142:当接部 210:第1可動部材(可動部材) 220:第2可動部材(可動部材) 340:非当接部 342:当接部 AC:収容室 CC:遠心圧縮機