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特許7211614乳児の脳のT1強調核磁気共鳴画像の最適化のための方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-01-16
(45)【発行日】2023-01-24
(54)【発明の名称】乳児の脳のT1強調核磁気共鳴画像の最適化のための方法
(51)【国際特許分類】
   A61B 5/055 20060101AFI20230117BHJP
【FI】
A61B5/055 370
A61B5/055 ZDM
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2021540600
(86)(22)【出願日】2020-05-12
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-03-15
(86)【国際出願番号】 CN2020089882
(87)【国際公開番号】W WO2020238620
(87)【国際公開日】2020-12-03
【審査請求日】2021-07-13
(31)【優先権主張番号】201910448340.3
(32)【優先日】2019-05-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】505072650
【氏名又は名称】浙江大学
【氏名又は名称原語表記】ZHEJIANG UNIVERSITY
(74)【代理人】
【識別番号】100128347
【弁理士】
【氏名又は名称】西内 盛二
(72)【発明者】
【氏名】▲呉▼ 丹
(72)【発明者】
【氏名】▲張▼ ▲イー▼
(72)【発明者】
【氏名】▲劉▼ ▲ティン▼▲ティン▼
(72)【発明者】
【氏名】▲張▼ 洪▲錫▼
【審査官】永田 浩司
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-034514(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2011/0181283(US,A1)
【文献】米国特許第5560360(US,A)
【文献】米国特許第6564080(US,B1)
【文献】米国特許第7369887(US,B2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 5/055
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
乳児の脳のT1強調核磁気共鳴画像の最適化のための方法であって、
0-12月齢のうち異なる月齢について、それぞれ一つ以上の乳児の脳のT1マッピングとPDマッピングとをサンプルとして採取し、各乳児の脳に対する、大脳白質領域の平均T1値及び平均PD値と、大脳灰白質領域平均T1値及び平均PD値とを取得する、ステップS1と、
各サンプルにおける乳児の脳の白質と灰白質とのT1値の関係特徴に基づいて、乳児の月齢を三つの月齢グループに分ける、ステップS2と、
異なる月齢グループにおける乳児の脳の大脳白質領域の平均T1値及び平均PD値大脳灰白質領域の平均T1値及び平均PD値に基づいて、Blochシミュレーションにより、3D T1強調MPRAGEシーケンスによって生成された乳児の脳の白質領域と灰白質領域の理論信号の強さをそれぞれ算出しており、白質と灰白質とのコントラストに基づいて、各月齢グループの理論上の最適なTI最適化計画をそれぞれ特定する、ステップS3と、
前記理論上の最適なTI最適化計画により、対象物とする乳児の脳に対して3D T1強調核磁気共鳴画像を作成する、ステップS4と、を含む、ことを特徴とする乳児の脳のT1強調核磁気共鳴画像の最適化のための方法。
【請求項2】
前記ステップS1における平均T1値と平均PD値の算出方法は、
0-12月齢のうち異なる月齢について、それぞれ一つ以上の乳児の脳のT1マッピングとPDマッピングとを採取する、ステップS101と、
脳皮質灰白質と脳皮質下白質との関心領域をスケッチする、ステップS102と、
各乳児の脳について、脳皮質下白質の平均T1値を乳児の脳の白質の平均T1値として、脳皮質下白質の平均PD値を乳児の脳の白質の平均PD値として、脳皮質灰白質の平均T1値を乳児の脳の灰白質の平均T1値として、脳皮質灰白質の平均PD値を乳児の脳の灰白質の平均PD値として、それぞれ算出する、ステップS103と、を含む、ことを特徴とする請求項1に記載の乳児の脳のT1強調核磁気共鳴画像の最適化のための方法。
【請求項3】
前記ステップS2における乳児の月齢グループ化方法は、異なる月齢帯の乳児の脳の白質と灰白質とのT1値の関係特徴に基づいて、乳児を三つの月齢グループに分けることであり、
ここで、三つのグループの前記関係特徴は、それぞれ次のとおりであり、
第一グループでは、当該月齢帯の乳児の脳の白質のT1値が乳児の脳の灰白質のT1値よりも高く、
第二グループでは、当該月齢帯の乳児の脳の白質のT1値が乳児の脳の灰白質のT1値と近く、
第三グループでは、当該月齢帯の乳児の脳の白質のT1値が乳児の脳の灰白質のT1値よりも低い、ことを特徴とする請求項1に記載の乳児の脳のT1強調核磁気共鳴画像の最適化のための方法。
【請求項4】
前記三つの月齢グループは、それぞれ、0-3月齢、3-7月齢、及び、7-12月齢である、ことを特徴とする請求項1に記載の乳児の脳のT1強調核磁気共鳴画像の最適化のための方法。
【請求項5】
前記ステップS3における理論上の最適なTI最適化計画の特定方法は、
各月齢グループにおける乳児の脳に対する、大脳白質領域の平均T1値及び平均PD値と、大脳灰白質領域の平均T1値及び平均PD値について、Blochにより、3D T1強調MPRAGEシーケンスをシミュレートし、シミュレートする際に、MPRAGEシーケンスにおける反転パルスのフリップ角α、励起パルス数N、励起パルスのフリップ角θ、エコー間隔τ、遅延時間TDを一定にし、反転時間TIを変化させ、ボクセル内の一番目の読み出しパルスの信号強さsを算出し、前記信号強さs1の計算式は次のとおりであり、
【数1】
ここで、
【数2】
式中に、Mが初期磁気化ベクトルであり、Nがレイヤー選択エンコーディング方向に沿う一回励起の回数であり、
であり、T1が算出対象とする月齢グループにおけるすべてのサンプルの大脳白質或いは大脳灰白質の平均T1値であり、TR=TI+N・τ+TDである、ステップS301と、
ステップS2で設定された異なる月齢グループについて、異なるTIにおける画像コントラストをそれぞれ算出し、
ここで、絶対コントラスト=|SWM|-|SGM|となり、相対コントラスト=(|SWM|-|SGM|)/(|SWM|+|SGM|)となり、
式中に、SWMがステップS301の式により算出された白質のボクセルの平均信号強さであり、SGMがステップS301の式により算出された灰白質のボクセルの平均信号強さである、ステップS302と、
異なるTIにおける異なる月齢グループの画像コントラストに基づいて、各月齢グループの理論上の最適なTI最適化計画をそれぞれ特定し、そのうち、
第一グループ及び第三グループの月齢グループについて、θ及びTRが変化しない場合の異なるTIにおける画像コントラストを対比して、各グループについて相対コントラストが最適に表現されると共に絶対コントラストが比較的高いと表現される時に対応するTIをそれぞれ特定し、
第二グループの月齢グループについて、TI反転点の両側において、絶対コントラストが最も高くかつ白質と灰白質とのコントラストが逆と表現される二つのグループの異なるTI画像を採取し、二つのグループの画像を減算する方法により、画像コントラストを向上させる、ステップS303と、を含む、ことを特徴とする請求項4に記載の乳児の脳のT1強調核磁気共鳴画像の最適化のための方法。
【請求項6】
前記ステップS4で採用された理論上の最適なTI最適化計画は、
3D T1強調核磁気共鳴画像のパラメータをθ=10°、TR=2000msとし、
0-3月齢を第一グループに分け、3D T1強調核磁気共鳴画像を作成する時にTIを700-800msとし、
3-7月齢を第二グループに分け、3D T1強調核磁気共鳴画像を作成する時に、TIをそれぞれ400-500ms及び600-700msとし、二つのグループのTIで得られた画像を減算することでコントラストが最適化された画像を取得し、
7-12月齢を第三グループに分け、3D T1強調核磁気共鳴画像を作成する時に、TIを600-700msとする、ことを特徴とする請求項1に記載の乳児の脳のT1強調核磁気共鳴画像の最適化のための方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、脳の核磁気共鳴画像の最適化の分野に関し、特に、乳児の脳のT1強調画像の最適化に関する。
【背景技術】
【0002】
乳児の脳の核磁気共鳴画像法(magnetic resonance imaging、MRI)は、乳児の脳について、その構成、機能、及び、早期発育過程中の疾病を検査するための安全かつ汎用的な方法の一つである。しかしながら、乳児の脳の画像コントラストが悪く、しかも、生後第一年内大脳が急速に発達するため、画像コントラストもそれに伴って、迅速に変化している。これらは、乳児の脳の画像に対して解剖学的境界と自動画像分析を実行することが困難である理由を構成している。出生時に白質(white matter、WM)ミエリンの未成熟な発達により、T1緩和時間が延長され、新生児(≦1ヶ月)の大脳のT1強調(T1-weighted、T1w)画像における白質と灰白質(gray matter、GM)とのコントラストが成人の大脳での表現の反対である。一方、やや年上の乳児は、そのコントラストが成人のコントラストよりも近い。このような逆転が発生する前に、ある時期において、WMとGMとの信号が近く表現されており、一般的に、この時期が3-6ヶ月に発生する。
【0003】
現在、幾つかの研究は、新生児の脳のT1w画像を最適化することが既に実現されている。しかしながら、実際には、新生児の大脳のWM/GMコントラストが非常に低く、理論的に、3T MRIスキャナーを用いてT1w画像を生成すると、新生児のWM/GMのコントラストが最高で成人の1/3しか達しておらず、他の時期(1-12月齢)において、WM/GMコントラストが、生後1ヶ月よりも悪く複雑であり、1-12月齢の乳児の脳に対して、最適化するように画像を生成する研究が、現在に、ほとんど存在していない。
【0004】
ちなみに、6ヶ月程度の乳児の脳のWMとGM信号がほぼ等しいため、当該時期の乳児の脳の画像を分割することが依然として大きな課題である。幾つかの研究は、スキャン時間の延長、マルチモーダルデータの統合、ディープラーニングネットワークなどの方法により、分割の結果を、ある程度改善することができる。ただし、先進的な画像処理アルゴリズムの開発に加えて、採取過程において、画像コントラストを向上させることにより、その後の分析にも大きなメリットがある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、全乳児期(0-12月)に渡ってT1w画像を最適化するという空白を埋めるように、乳児の脳のT1w核磁気共鳴画像を最適化する方法を提供する。この方法は、まず、0-12ヶ月の乳児の脳のT1マップピングとプロトン密度(proton density、PD)マップピングを採取して、乳児の脳のWMとGMの平均T1、PD値をそれぞれ取得し、乳児の脳のWM T1値とGM T1値との関係特徴に従って、乳児を、異なる月齢グループに分ける。次に、Blochシミュレーションにより、異なる反転時間(inversion time、TI)におけるWMとGMとの信号を算出する。次に、各月齢グループの理論上の最適なTI最適化計画を特定する。最後、当該理論上の最適なTI最適化計画を、対象物とする乳児の脳に対して3D T1w核磁気共鳴画像を生成することに用いる。本発明によれば、全乳児期に渡って大脳T1強調画像の最適化という空白を埋めながら、乳児の脳の白質と灰白質とのT1値の関係特徴に従って、乳児を三つの月齢グループに分け、異なる月齢グループの最適なTI最適化計画をそれぞれ見出すことにより、乳児の脳のT1強調画像コントラストが著しく向上する。このような方法の実現は、乳児の脳の解剖学的境界と疾患の検出に役立ち、しかも、その方法が簡便であり、日常の臨床検査に応用されやすい。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、前記の目的を実現するために、以下の技術手段により実現される。
乳児の脳のT1強調核磁気共鳴画像の最適化のための方法であって、
0-12月齢のうち異なる月齢について、それぞれ一つ以上の乳児の脳のT1マップピングとPDマップピングとをサンプルとして採取し、各乳児の脳の大脳白質と灰白質領域との平均T1値及び平均PD値を取得する、ステップS1と、
各サンプルにおける乳児の脳の白質と灰白質とのT1値の関係特徴に基づいて、乳児の月齢を三つの月齢グループに分ける、ステップS2と、
異なる月齢グループにおける乳児の脳の大脳白質と灰白質領域の平均T1値及び平均PD値に基づいて、Blochシミュレーションにより、3D T1強調MPRAGEシーケンスによって生成された乳児の脳の白質と灰白質領域の理論信号の強さをそれぞれ算出しており、白質と灰白質とのコントラストに基づいて、各月齢グループの理論上の最適なTI最適化計画をそれぞれ特定する、ステップS3と、
前記理論上の最適なTI最適化計画により、対象物とする乳児の脳に対して3D T1強調核磁気共鳴画像を作成する、ステップS4と、を含む、ことを特徴とする乳児の脳のT1強調核磁気共鳴画像の最適化のための方法。
【0007】
各ステップは、当該技術手段に基づいて、さらに以下の好ましい実施形態を提供することができる。なお、各好ましい形態に係る技術的特徴については、矛盾しない限り、互いに組み合わせてもよい。もちろん、これらの好ましい形態は、限定されておらず、同じ技術的効果を実現できる他の形態によって実現されても構わない。
【0008】
好ましくは、前記ステップS1における平均T1値と平均PD値との算出方法は、
0-12月齢のうち異なる月齢について、それぞれ一つ以上の乳児の脳のT1マッピングとPDマッピングとを採取する、ステップS101と、
脳皮質灰白質と脳皮質下白質との関心領域をスケッチする、ステップS102と、
各乳児の脳について、脳皮質下白質の平均T1値を乳児の脳の白質の平均T1値として、脳皮質下白質の平均PD値を乳児の脳の白質の平均PD値として、脳皮質灰白質の平均T1値を乳児の脳の灰白質の平均T1値として、脳皮質灰白質の平均PD値を乳児の脳の灰白質の平均PD値として、それぞれ算出する、ステップS103と、を含む。
【0009】
好ましくは、前記ステップS2における乳児の月齢グループ化方法は、異なる月齢帯の乳児の脳の白質と灰白質とのT1値の関係特徴に基づいて、乳児を三つの月齢グループに分けることであり、
ここで、三つのグループの前記関係特徴は、それぞれ次のとおりであり、
第一グループでは、当該月齢帯の乳児の脳の白質のT1値が乳児の脳の灰白質のT1値よりも高く、
第二グループでは、当該月齢帯の乳児の脳の白質のT1値が乳児の脳の灰白質のT1値と近く、
第三グループでは、当該月齢帯の乳児の脳の白質のT1値が乳児の脳の灰白質のT1値よりも低い。
【0010】
好ましくは、前記三つの月齢グループは、それぞれ、0-3月齢(即ち、生後0~90日)、3-7月齢(即ち、生後91~210日)、及び、7-12月齢(即ち、生後211~360日)である。
【0011】
好ましくは、前記ステップS3における理論上の最適なTI最適化計画の特定方法は、
各月齢グループにおける乳児の脳の大脳白質と灰白質領域の平均T1値及び平均PD値について、Blochにより、3D T1強調MPRAGEシーケンスをシミュレートし、シミュレートする際に、MPRAGEシーケンスにおける反転パルスα、励起パルス数N、励起パルスのフリップ角θ、エコー間隔τ、遅延時間TDを一定にし、反転時間TIを変化させ、ボクセル内の一番目の読み出しパルスの信号強さsを算出し、前記信号強さs1の計算式は次のとおりであり、
【数1】
ここで、
【数2】
式中に、Mが初期磁気化ベクトルであり、Nがレイヤー選択エンコーディング方向に沿う一回励起の回数であり、
であり、T1が算出対象とする月齢グループにおけるすべてのサンプルの大脳白質或いは大脳灰白質の平均T1値であり、TR=TI+N・τ+TDである、ステップS301と、
ステップS2で設定された異なる月齢グループについて、異なるTIにおける画像コントラストをそれぞれ算出し、
ここで、絶対コントラスト=|SWM|-|SGM|となり、相対コントラスト=(|SWM|-|SGM|)/(|SWM|+|SGM|)となり、
式中に、SWMがステップS301の式により算出された白質のボクセルの平均信号強さであり、SGMがステップS301の式により算出された灰白質のボクセルの平均信号強さである、ステップS302と、
異なるTIにおける異なる月齢グループの画像コントラストに基づいて、各月齢グループの理論上の最適なTI最適化計画をそれぞれ特定し、そのうち、
第一グループ及び第三グループの月齢グループについて、θ及びTRが変化しない場合の異なるTIにおける画像コントラストを対比して、各グループについて相対コントラストが最適に表現されると共に絶対コントラストが比較的高いと表現される時に対応するTIをそれぞれ特定し、
第二グループの月齢グループについて、TI反転点の両側において、絶対コントラストが最も高くかつ白質と灰白質とのコントラストが逆と表現される二つのグループの異なるTI画像を採取し、二つのグループの画像を減算する方法により、画像コントラストを向上させる、ステップS303と、を含む。
【0012】
好ましくは、前記ステップS4で採用された理論上の最適なTI最適化計画は、以下のとおりであり、
3D T1強調核磁気共鳴画像のパラメータをθ=10°、TR=2000msとし、
0-3月齢を第一グループに分け、3D T1強調核磁気共鳴画像を作成する時にTIを700-800msとし、
3-7月齢を第二グループに分け、3D T1強調核磁気共鳴画像を作成する時に、TIをそれぞれ400-500ms及び600-700msとし、二つのグループのTIで得られた画像を減算することでコントラストが最適化された画像を取得し、
7-12月齢を第三グループに分け、3D T1強調核磁気共鳴画像を作成する時に、TIを600-700msとする。
【0013】
本発明の別の目的は、実際の使用において、乳児の脳のT1強調核磁気共鳴画像を最適化する方法を提供することである。上記の方法の具体的なステップは以下のとおりである。
1)乳児の現在の月齢に基づいて、対応する理論上の最適なTI最適化計画を選択する。具体的には、月齢が0-3月齢(即ち、生後0~90日)である場合に、3D T1強調核磁気共鳴画像を作成する時にTIを700-800msに設置する。月齢が3-7月齢(即ち、生後91~210日)である場合に、3D T1強調核磁気共鳴画像を作成する時にTIをそれぞれ、400-500ms及び600-700msに設置し、二つのグループのTIで得られた画像を減算することで、コントラストが最適化された画像を取得する。月齢が7-12月齢(即ち、生後211~360日)である場合に、3D T1強調核磁気共鳴画像を作成する時にTIを600-700msに設置する。
2)3D T1強調核磁気共鳴画像を作成する時に他のパラメータについてθ=10°、TR=2000msのように設置する。次に、特定されたパラメータに従って、対象物とする乳児の脳に対して3D T1強調核磁気共鳴画像を作成する。そして、共鳴画像への最適化が完了する。
【発明の効果】
【0014】
本発明は、従来技術に比べると、以下の特徴を有している。本発明は、初めで、全乳児期の脳のT1w画像を最適化することを実現する。まず、本発明は、乳児の脳の白質と灰白質とのT1値の関係特徴に従って、乳児期を、三つの月齢グループに分けて、TIを変更することにより、異なる年齢段階の乳児の脳に対する画像の最適化を実現することに焦点を合わせている。該方法は、実現しやすく、採取時間が短く、等方性分解能が高いという利点があり、臨床ルーチンスキャンに適している。
【0015】
次に、本発明は、コントラストが最も悪い3-6月齢の乳児の脳に対して、TI反転点の両側でコントラストが逆となる二つのグループの画像を採取し、二つのグループの画像を減算することで、画像コントラストを向上する目的を達成するデュアルTIsスキャン方法が提案されている。
【0016】
次に、本発明は、他の方法に用いられるAC又はAC派生物ではなく、RCを画像コントラストの主な評価基準として利用する。ACの大きさが画像自体の信号強さに依存し、RCが画像コントラストをより真実に反映できることが定義からわかるためである。
【0017】
最後に、本発明は、非線形エンコードではなく、鏡面対称のk空間軌跡を使用する。これは、線形位相エンコードにより生じたT1wコントラストが位相エンコードのステップ数及び局所フーリエ係数に依存するので、汎用性が悪いためである。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】乳児の脳のT1w核磁気共鳴画像を最適化する方法のフローチャートである。
図2】Blochシミュレーションにより三つの月齢グループの乳児の脳のWMとGMとのT1緩和時間及びWM/GMコントラストをそれぞれ算出することを示す図である。
図3】新生児の脳の3D T1w画像を最適化する結果を示す図である。
図4】3-7月齢の乳児の脳の3D T1w画像を最適化する結果を示す図である。
図5】7-12月齢の乳児の脳の3D T1w画像を最適化する結果を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下には、当業者が本発明の趣旨をよく理解できるように、本発明の提供する方法に基づいて、実施例を参照しながら、その具体的な技術効果を説明する。
【0020】
本発明の好ましい実施形態においては、図1に示されるように、乳児の脳のT1強調核磁気共鳴画像を最適化する方法は、そのステップが以下の通りである。
【0021】
ステップS1では、3T MRIスキャナーにより、0-12月齢のうち異なる月齢について、それぞれ複数の乳児の脳のT1マッピングとPDマッピングとをサンプルとして採取する。これらのサンプルは、T1wのコントラストを変化させることが知られている場合や、MRI画像に異常が発見された受験者を排除する必要がある。サンプルは、誤差を減らすように、0-12月齢のうち異なる月齢帯において、できるだけ均一に分布すべきである。そして、各乳児の脳の大脳白質(WM)と灰白質(GM)領域の平均T1値及び平均PD値を算出する。この算出方法は、具体的に、以下の通りである。
【0022】
まず、サンプル画像については、脳皮質灰白質と脳皮質下白質との関心領域(ROIs)をスケッチする。次に、各乳児の脳のサンプルについては、脳皮質下白質の平均T1値を乳児の脳の白質の平均T1値として、脳皮質下白質の平均PD値を乳児の脳の白質の平均PD値として、脳皮質灰白質の平均T1値を乳児の脳の灰白質の平均T1値として、脳皮質灰白質の平均PD値を乳児の脳の灰白質の平均PD値として、それぞれ算出する。
【0023】
ステップS2では、各サンプルにおける乳児の脳の白質と灰白質とのT1値の関係特徴に従って、乳児の月齢を三つの月齢グループに分ける。出生後一年には大脳が急速に発達し、画像コントラストもそれに伴って迅速に変化している。乳児脳部の発育に伴い、異なる月齢帯の乳児の脳の白質と灰白質とのT1値の関係が異なる特徴を形成し、これらの大脳白質と灰白質とのT1値の異なる関係特徴により、最終的な画像効果に影響を与えてしまうことから、それらを区別することが必要となる。本発明では、異なる関係特徴に従って、乳児を三つの月齢グループに分けることができ。そのうち、三つのグループの関係特徴は、それぞれ、以下の通りである。
第一グループでは、当該月齢帯の乳児の脳の白質のT1値が明らかに乳児の脳の灰白質のT1値よりも高い。
第二グループでは、当該月齢帯の乳児の脳の白質のT1値が乳児の脳の灰白質のT1値と近い。
第三グループでは、当該月齢帯の乳児の脳の白質のT1値が明らかに乳児の脳の灰白質のT1値よりも低い。
【0024】
以下の実施例によれば、本発明に係る三つの月齢グループについて、その一つの好ましい分け方は、以下の通りである。
生後0~90日の乳児を第一グループ、つまり0-3月齢に分ける。
生後91~210日の乳児を第二グループ、つまり3-7月齢に分ける。
生後211~360日の乳児を第三グループ、つまり7-12月齢に分ける。
【0025】
前記の三つの月齢グループの乳児の脳は、異なる特徴を持っているため、三つのグループの月齢グループごとに、対応する最適なTI最適化を行う必要があり、各月齢グループの乳児の脳のT1強調画像コントラストを著しく向上させる。
【0026】
月齢グループを分割した後に、各月齢グループに含まれているサンプルの大脳白質と灰白質領域の平均T1値及び平均PD値から算術平均を行って、当該月齢グループの乳児の脳の大脳白質と灰白質領域の平均T1及びPD値とする必要がある。
【0027】
いずれの月齢グループについては、当該月齢グループの乳児の脳の大脳白質の平均T1値が当該月齢グループのすべてのサンプルの乳児の脳の白質の平均T1値の算術平均値であり、当該月齢グループの乳児の脳の大脳白質の平均PD値が当該月齢グループのすべてのサンプルの乳児の脳の白質の平均PD値の算術平均値であり、当該月齢グループの乳児の脳の大脳灰白質の平均T1値が当該月齢グループのすべてのサンプルの乳児の脳の灰白質の平均T1値の算術平均値であり、当該月齢グループの乳児の脳の大脳灰白質の平均PD値が該月齢グループのすべてのサンプルの乳児の脳の灰白質の平均PD値の算術平均値である。
【0028】
ステップS3では、異なる月齢グループの乳児の脳の大脳白質と灰白質領域の平均T1値及び平均PD値に基づいて、Blochシミュレーションにより、3D T1強調MPRAGEシーケンスによって生成された乳児の脳の白質と灰白質領域の理論信号の強さをそれぞれ算出し、白質と灰白質とのコントラストに基づいて、各月齢グループの理論上の最適なTI最適化計画をそれぞれ特定する。ここで、理論上の最適なTI最適化計画の具体的な特定方法は、以下の通りである。
【0029】
ステップS301では、各月齢グループの平均T1値及び平均PD値について、Blochにより、3D T1強調MPRAGEシーケンスをシミュレートし、シミュレートする際に、MPRAGEシーケンスにおける反転パルスα、励起パルス数N、励起パルスのフリップ角θ、エコー間隔τ、遅延時間TDを一定にし、反転時間TIを変化させて、異なるTIにおける信号強さを算出する。また、画像コントラストは、一番目の読み出し信号により確定される。
【0030】
i番目の読み出しパルスの横方向信号は、以下の通りである。
【数3】
ここで、パラメータは、Meq以下の通りである。
【数4】
式中に、Mが初期磁気化ベクトル(Mが前記算出されたWMとGMの平均PD値に関連する。)であり、Nがレイヤー選択エンコーディング方向に沿う一回励起の回数であり、λ、φ、δ、ρ、μがいずれも中間パラメータであり、
であり、総繰り返し時間TR=TI+N・τ+TDである。T1は、算出対象とする月齢グループの乳児の脳の大脳白質或いは大脳灰白質の平均T1値(前記ステップS2に記載された方法により特定される。)である。
【0031】
空間エンコーディングは鏡像対称の採取方法を採用し、画像コントラストが一番目の読み出し信号により確定されることから、方程式(1)を方程式(3)に簡単化して、以下の式のように、ボクセル内の一番目の読み出しパルスの信号強さsを算出することができる。
【数5】
【0032】
なお、前記の算出方程式(3)については、異なる信号値を算出する時に、T1の値も異なる。
【0033】
詳しくすると、いずれの月齢グループについては、当該月齢グループの白質のボクセルの平均信号SWMを算出する時に、T1の値が当該月齢グループの乳児の脳の大脳白質の平均T1値であり、SWMは、この時に、方程式(3)により算出された信号強さsとなり、当該月齢グループの灰白質のボクセルの平均信号SGMを算出する時に、T1の値が当該月齢グループの乳児の脳の大脳灰白質の平均T1値であり、SGMは、この時に、方程式(3)により算出された信号強さsとなる。
【0034】
ステップS302では、ステップS2で設定された異なる月齢グループについて、異なるTIにおける画像コントラストを、それぞれ算出する。画像コントラストは、絶対コントラスト及び相対コントラストに分けられる。
絶対コントラスト(absolute contract、AC)=|SWM|-|SGM
相対コントラスト(relative contract、RC)=(|SWM|-|SGM|)/(|SWM|+|SGM|)
【0035】
ステップS303では、異なるTIにおける異なる月齢グループの画像コントラストに基づいて、白質/灰白質コントラストを基準として、各月齢グループの理論上の最適なTI最適化計画をそれぞれ特定する。ACに比べると、RCが画像自体の信号強さに影響される度合いが比較小さいということに鑑み、本発明では、RCを、主な評価基準として用いる。また、ACがSN比(信号対ノイズ比)に関係するので、本発明では、ACを支援評価基準として用いる。
具体的な特定方法は、三つのグループの月齢グループに対していずれも異なる。
【0036】
第一グループ及び第三グループの月齢グループについて、θ及びTRが変化しない場合の異なるTIにおける画像コントラストを対比して、各グループについて相対コントラストが最適に表現されると共に絶対コントラストが比較的高いと表現される時のTIをそれぞれ特定する。ここで、絶対コントラストが比較的高いと表現されることは、絶対コントラストが最適でないとしても構わないが、低すぎることができず、一定の閾値よりも大きくなければならないということを意味している(この閾値は、実際のニーズに応じて設定してもよい。)。
【0037】
第二グループの月齢グループについては、大脳白質と灰白質との信号が近いから、TI反転点の両側で相対コントラストが最も高く、且つ白質/灰白質(WM/GM)コントラストが逆と表現される二つのグループの異なるTI画像を採取し、二つのグループ画像を減算する方法により、画像コントラストを向上させる。
【0038】
本発明では、下記の実施例によれば、三つの月齢グループについて最終に特定された理論上の最適なTI最適化計画の一つの好ましい形態は、以下の通りである。
3D T1強調核磁気共鳴画像のパラメータをθ=10°、TR=2000msとする。
0-3月齢(生後0~90日)を第一グループに分け、3D T1強調核磁気共鳴画像を生成する時にTIを700-800msに設置する。
3-7月齢(生後91~210日)を第二グループに分け、3D T1強調核磁気共鳴画像を生成する時にTIをそれぞれ400-500ms及び600-700msに設置し、二つのグループのTIで得られた画像を減算することで(TI=600-700msである場合に得られた画像からTI=400-500msである場合に得られた画像を引いたもの、つまり、TI600-700ms-TI400-500ms)、コントラストが最適化された画像を取得する。
7-12月齢(生後211~360日)を第三グループに分け、3D T1強調核磁気共鳴画像を生成する時にTIを600-700msに設置する。
【0039】
ステップS4では、前記特定された理論上の最適なTI最適化計画を用いて、対象物とする乳児の脳について3D T1強調核磁気共鳴画像を作成する。
【0040】
以下に、当業者が本発明の趣旨をよく理解できるように、上記の方法に基づいて、実施例を参照しながら、その技術的効果を説明する。
実施例
【0041】
上記の乳児の脳のT1強調核磁気共鳴画像の最適化のための方法をテストする。まず、フィリップス(登録商標)3T MRIスキャナー(Achieva;Philips Healthcare、 Best、 The Netherlands)により、57人の正常に発育した乳児の脳の「MIX」シーケンスの画像を採取し、比値及び最小二乘法を用いてスピンエコー(spin-echo、SE)と反転回復(inversion recovery、IR)信号方程式を解き、T1とPD mapsをそれぞれ取得し、側脳室PD値を基準として大脳PD値を正規化する。
【0042】
T1 mapsには、脳皮質灰白質(GM)と脳皮質下白質(WM)を含む関心領域(regions of interest、ROI)を手動でスケッチし、各乳児の脳について、脳皮質下白質の平均T1値を乳児の脳の白質の平均T1値として、脳皮質下白質の平均PD値を乳児の脳の白質の平均PD値として、脳皮質灰白質の平均T1値を乳児の脳の灰白質の平均T1値として、脳皮質灰白質の平均PD値を乳児の脳の灰白質の平均PD値として、それぞれ算出する。
【0043】
T1計測の結果(図2A)により、三ヶ月まで、皮質下のWMのT1値が皮質のGMよりも高い。3-7ヶ月で、WMとGMとのT1値が近接する。六ヶ月後に、WMのT1値がGMよりも小さい。このような規律を基に、乳児を、0-3月齢グループ(即ち、生後0~90日)、3-7月齢グループ(即ち、生後91~210日)、及び、7-12月齢グループ(即ち、生後211~360日)に分けることができる。各月齢グループにおけるすべてのサンプルの大脳白質と灰白質領域の平均T1値及び平均PD値により算術平均を行い、当該月齢グループの乳児の脳の大脳白質/灰白質領域の平均T1とPD値を算出し、Blochシミュレーションにより、各月齢グループの乳児の脳の大脳WMとGMの理論信号の強さを算出し、結果が以下の通りである。
【0044】
1)0-3月齢グループの乳児の脳は、TI=602ms程度にRCコントラストの反転が現れ(図2B)、反転点両側に明らかな正負コントラストが現れると表現する。また、コントラストの反転点のところに、ACがゼロに近く、これは、反転点がT1のゼロ点(WM=610ms、GM=596ms)に近いから、信号全体がゼロに近いためである。従って、最適なTIの選択は、高いRCのみならず、AC(信号対ノイズ比を反映する)も考慮すべきである。例えば、TI=800ms(図2Bの縦破線)時に、RC≒-0.1であり、ACが最大ACの半分程度である。
【0045】
2)3-7月齢グループの乳児の脳のWMとGMのT1緩和時間が非常に類似しているため(1342±104msと1354±55ms)、当該グループのRCとACがいずれも他のグループよりも小さい(図2C、y軸の比例が図2B及び図2Dと異なることに留意されたい)。この段階では、コントラストの反転点の両側でデュアルTIs画像を採取することを選択する。例えば、TI=500msと700msである場合に、コントラストが逆となり、RCとACが比較的高い二つの画像を取得することができる。この二つの画像を減算することにより、WMとGMとの間の相違を向上させることができる。
【0046】
3)7-12月齢グループの乳児の脳のRC、AC曲線が0-3月齢グループとは逆となり(図2D)、しかも、コントラスト反転点が低TI方向に移行する。同様に、最適なTIの選択は、RCとACとを同時に考慮すべきである。例えば、TI=700ms時に、RC≒0.1であり、ACが最大ACの約三分の二である。
【0047】
また、一つのグループの0-12月齢の乳児の脳の3D MPRAGE画像を採取し、その視野が180mmx180mmx120mm、アキシャルスキャン、マトリックスが180x180x120、TR/TE=2000/3.7ms、τ=8ms、空間エンコーディングは鏡像対称の採取方法を採用し、反転回復パルス、α=180°、θ=10°、N=120(レイヤー選択エンコーディング方向に沿う一回励起の回数)、二倍のSENSE(加速度と位相エンコードの方向とが一致する)、スキャン時間が3.07分とされる。Blochシミュレーションによる結果(図2)に基づいて、それぞれ、以下のテストを行った。
1)TI=500、800と1000msのように設定して、6人の足月新生児の脳をそれぞれスキャンする。
2)TI=500と700msのように設定し、それぞれ、7人の3-7月齢の乳児の脳をスキャンする。
3)TI=700、800と1000msのように設定し、それぞれ、5人の7-12月齢の乳児の脳をスキャンする。
【0048】
図3Aに示されるように、新生児の脳では、T1w画像コントラストは、TI=500msからTI=1000msの範囲で変化し、例えば、TI500msが正の低コントラスト(SWM>SGM)と表現され、TI700msが低いSN比と表現され、TI800ms及びTI1000msが負の中間コントラスト(SWM>SGM)と表現され、これは、シミュレーションの結果と一致している。TI800ms及びTI1000msについてマルチアトラスに基づく画像分割を行い、肉眼でもTI800ms画像の分割の正確度合いがTI1000msよりも高いと見出し、皮質下WMと皮質GMとの間の分割が特に明確に表現される(図3Bにおける矢印及び枠)。TI800ms画像のGMとWMの分割結果を基に、TI500ms、TI800msとTI1000ms画像のRCとACが統計学的相違を表している。Post-hoc t検定では、TI800msのRCがTI1000ms画像のRCよりも高く(p<0.001、n=6)、ACが統計学的相違がない(図3C)ことを証明した。
【0049】
3-7月齢の乳児グループには、TI500ms画像とTI700ms画像とのコントラストが逆になり、画像(TI700ms-TI500ms)を減算することにより、画像コントラストを向上させることができる。これも、シミュレーションの結果と一致している。図4に示されるように、前脳のRCが低く、しかも、5.7-5.8ヶ月の期間に信号が変化した一方、後脳のRCは低いが正のコントラストと表現され、しかも、5.7ヶ月後にコントラストが向上した。単一のTI画像に比べると、画像の減算(TI700ms-TI500ms)の方法により、WM/GMコントラストを向上させることができる。
【0050】
7-12月齢の乳児については、T1w画像のコントラストが成人のコントラストに近く、その他の二つのグループよりも明らかに高い。当該グループについては、それぞれ、TIが700、800及び1000msである場合に試験を行った。同様に、前・後皮質GMと皮質下WMのROIをスケッチすることにより、画像コントラストを算出する。図5に示されるように、TI800ms及びTI1000msと比較して、TI700ms画像のRCが高い。これは、シミュレーションの結果と一致しており、しかも、前後の脳領域のコントラストがいずれも年齢の増大に伴って増大している。
【0051】
以上より、本実施例に係る構成の結果に基づいて、乳児の脳のT1強調核磁気共鳴画像を最適化する方法を提供することができる。その手段は、以下の通りである。
【0052】
乳児の現在の月齢に基づいて、以下のように、対応する理論上の最適なTI最適化計画を選択する。
月齢が0-3月齢(即ち、生後0~90日)である場合に、3D T1強調核磁気共鳴画像を作成する時にTIを700-800msに設置する。月齢が3-7月齢(即ち、生後91~210日)である場合に、3D T1強調核磁気共鳴画像を作成する時にTIをそれぞれ400-500ms及び600-700msに設置する。二つのグループのTIにおける画像を減算して(TI600-700ms-TI400-500ms)、コントラストが最適化された画像を取得する。月齢が7-12月齢(即ち、生後211~360日)である場合に、3D T1強調核磁気共鳴画像を作成する時にTIを600-700msに設置する。3D T1強調核磁気共鳴画像を作成する時に、他のパラメータを、θ=10°、TR=2000msのように設置する。特定されたパラメータに基づいて、対象物とする乳児の脳に対して3D T1強調核磁気共鳴画像を作成するする。そして、共鳴画像への最適化が完了する。
【0053】
なお、前記の実施例は、本発明の好ましい技術手段に過ぎなく、本発明を限定することを意図するものではない。当業者であれば、本発明の趣旨や範囲を逸脱しない限り、様々な変更や変形を行うことができる。従って、均等置換や均等変換などの形態により得られた技術手段は、いずれも、本発明の保護範囲に含まれている。
図1
図2
図3
図4
図5