(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-01-16
(45)【発行日】2023-01-24
(54)【発明の名称】遮熱兼熱交換装置
(51)【国際特許分類】
F24S 10/75 20180101AFI20230117BHJP
E04D 13/18 20180101ALI20230117BHJP
F24S 50/00 20180101ALI20230117BHJP
F24S 20/69 20180101ALI20230117BHJP
F24S 20/70 20180101ALN20230117BHJP
【FI】
F24S10/75
E04D13/18
F24S50/00
F24S20/69
F24S20/70
(21)【出願番号】P 2018206380
(22)【出願日】2018-11-01
【審査請求日】2021-08-17
(73)【特許権者】
【識別番号】511270756
【氏名又は名称】前田 俊明
(74)【代理人】
【識別番号】110000556
【氏名又は名称】弁理士法人有古特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】前田 俊明
【審査官】伊藤 紀史
(56)【参考文献】
【文献】実開昭55-177168(JP,U)
【文献】特開平08-219557(JP,A)
【文献】特開2002-039632(JP,A)
【文献】特開2012-041809(JP,A)
【文献】特開昭54-015540(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第101737956(CN,A)
【文献】実開昭48-048249(JP,U)
【文献】特開2015-004469(JP,A)
【文献】仏国特許出願公開第02427558(FR,A1)
【文献】中国特許出願公開第101353923(CN,A)
【文献】国際公開第2010/100663(WO,A2)
【文献】特表2006-504063(JP,A)
【文献】中国実用新案第2589890(CN,Y)
【文献】中国特許出願公開第101126263(CN,A)
【文献】国際公開第2010/028647(WO,A2)
【文献】米国特許第4377199(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24S
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
設置面の遮熱と熱交換とをする遮熱兼熱交換装置であって、
前記設置面に並べられて取り付けられる複数のユニットと、
前記設置面との間に空間を形成した状態で前記ユニットを前記設置面に取り付ける取付具と、を備えており、
前記ユニットが、熱交換をする流体が流れるユニット本体と、隣合う他のユニットとの間の前記設置面を覆う庇と、を備え、
前記庇が前記他のユニットと上下方向において空間を形成して重なっている、遮熱兼熱交換装置。
【請求項2】
前記庇と前記他のユニットとの間の空間と、前記ユニットと前記設置面との間に形成された空間とが、連通している、請求項1に記載の遮熱兼熱交換装置。
【請求項3】
前記ユニットから排出される前記流体が流入する貯留槽と、前記貯留槽から前記ユニットに前記流体を供給するポンプと、を備える請求項1又は2に記載の遮熱兼熱交換装置。
【請求項4】
複数のユニットのそれぞれに供給する前記流体の量を調整する流量調整器を備えている、請求項1から3のいずれかに記載の遮熱兼熱交換装置。
【請求項5】
前記ユニットの流路が上流から下流に向かって蛇行している、請求項1から4のいずれかに記載の遮熱兼熱交換装置。
【請求項6】
前記ユニットが、流体注入口が形成された注入端部と、流体が流れる流路を形成する流路片と、流体排出口が形成された排出端部と、を備えており、
前記注入端部が前記流路片に取り付けられる注入接続部を備えており、
前記排出端部が前記流路片に取り付けられる排出接続部を備えている、請求項1から5のいずれかに記載の遮熱兼熱交換装置。
【請求項7】
前記ユニットが、流体注入口が形成された注入端部と、流体が流れる流路を形成する複数の流路片と、流体排出口が形成された排出端部と、を備えており、
前記注入端部が前記流路片に取り付けられる注入接続部を備えており、
前記排出端部が前記流路片に取り付けられる排出接続部を備えており、
それぞれの流路片が、その上流側に位置する他の流路片又は前記注入端部に取り付けられる流入接続部と、その下流側に位置する更に他の流路片又は前記排出雌部に取り付けられる流出接続部と、を備えている、請求項1から5のいずれかに記載の遮熱兼熱交換装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遮熱兼熱交換装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1(特開2012-42187)には、太陽熱温水器が開示されている。この太陽熱温水器の集熱器及び貯湯槽は発砲スチロールで形成されている。この太陽熱温水器では、集熱器及び貯湯槽の軽量化が図られている。この太陽熱温水器は、屋根に作用する荷重を軽減している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
この集熱器及び貯湯槽には、集熱のため、水が流れ貯められる。この水が流れ貯められることで、屋根には大きな荷重が作用する。この荷重は、屋根の一部に、局所的に作用する。この屋根は、この局所的に作用する荷重に耐えうる強度が要求される。この局所的に作用する荷重に対して、屋根の補強が必要とされることがある。
【0005】
また、この集熱器及び貯湯槽は、屋根の一部に設置される。この屋根において、集熱器が位置しない部分は、太陽光によって暖められる。この集熱器では、屋根の遮熱効果は期待できない。一方で、遮熱のために屋根全体を覆う集熱器は、非常に大型化してしまう。この様に大型化された集熱器は、運搬及び設置作業を非常に困難にする。また、屋根の全体を覆う集熱器では、種々の設置面形状に合わせて、その形状を変更する必要が生じる。
【0006】
本発明の目的は、設置面に作用する荷重を軽減させると共に遮熱に優れる遮熱兼熱交換装置の提供にある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る遮熱兼熱交換装置は、設置面の遮熱と熱交換とをする。この遮熱兼熱交換装置は、前記設置面に並べられて取り付けられる複数のユニットと、前記設置面との間に空間を形成した状態で前記ユニットを前記設置面に取り付ける取付具と、を備えている。前記ユニットは、熱交換をする流体が流れるユニット本体と、隣合う他のユニットとの間の前記設置面を覆う庇と、を備えている。
【0008】
好ましくは、前記庇は、前記他のユニットと上下方向において空間を形成して重なっている。前記庇と前記他のユニットとの間の空間と、前記ユニットと前記設置面との間に形成された空間とは、連通している。
【0009】
好ましくは、この遮熱兼熱交換装置は、前記ユニットから排出される前記流体が流入する貯留槽と、前記貯留槽から前記ユニットに前記流体を供給するポンプと、を備えている。
【0010】
好ましくは、この遮熱兼熱交換装置は、複数のユニットのそれぞれに供給する前記流体の量を調整する流量調整器を備えている。
【0011】
好ましくは、この遮熱兼熱交換装置では、前記ユニットの流路は上流から下流に向かって蛇行している。
【0012】
好ましくは、前記ユニットは、流体注入口が形成された注入端部と、流体が流れる流路を形成する流路片と、流体排出口が形成された排出端部と、を備えている。前記注入端部は、前記流路片に取り付けられる注入接続部を備えている。前記排出端部は、前記流路片に取り付けられる排出接続部を備えている。
【0013】
好ましくは、前記ユニットは、流体注入口が形成された注入端部と、流体が流れる流路を形成する複数の流路片と、流体排出口が形成された排出端部と、を備えている。前記注入端部は、前記流路片に取り付けられる注入接続部を備えている。前記排出端部は、前記流路片に取り付けられる排出接続部を備えている。それぞれの流路片は、その上流側に位置する他の流路片又は前記注入端部に取り付けられる流入接続部と、その下流側に位置する更に他の流路片又は前記排出雌部に取り付けられる流出接続部と、を備えている。
【発明の効果】
【0014】
本発明に係る遮熱兼熱交換装置では、複数のユニットが設置面に並べられて取り付けられる。これにより、設置面に局所的な荷重が作用することが抑制されている。また、それぞれのユニットは、取付具によって、設置面との間に空間を形成した状態で取り付けられる。これにより、ユニットと設置面との間で遮熱されている。更に、庇は、隣合うユニットと間の設置面を覆う。これにより、複数のユニットからなっているにも関わらず、広範囲に隙間なく設置面を遮熱しうる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】
図1は、本発明の一実施形態に係る遮熱兼熱交換装置が示された概念図である。
【
図3】
図3は、
図2の線分III-IIIに沿った分解断面図である。
【
図5】
図5は、本発明の他の実施形態に係る遮熱兼熱交換装置が示された断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、適宜図面が参照されつつ、好ましい実施形態に基づいて本発明が詳細に説明される。
【0017】
図1に示された遮熱兼熱交換装置2は、複数のユニット4、複数の取付具6、貯留槽8、ポンプユニット10及び流量調整器12を備えている。
図1の矢印Zは、遮熱兼熱交換装置2の上下方向上向きを表している。
【0018】
複数のユニット4は、設置面の一例としての、建物の屋根14の表面に並べられている。この複数のユニット4は、屋根14に代えて、建屋の屋上、地面、水面に浮かぶ設置板上等に並べられてもよい。ここでいう設置面は、複数のユニット4を並べて設置可能であり、遮熱兼熱交換装置2が遮熱する機能と熱交換する機能とを発揮できるものであればよい。この屋根14では、流量調整器12側から貯留槽8側に向かって下向きに緩やかに傾斜している。この傾斜角度は、例えば2°である。この傾斜角度は、一般的に5°以下である。
【0019】
それぞれのユニット4は、その内部を流体が流れるユニット本体16と、ユニット本体16から隣合う他のユニット4に向かって延びる庇18と、を備えている。ここでは、流体として水を例に説明がされる。しかし、この流体は熱交換可能なものであればよい。それぞれのユニット本体16は、互いに間隔を開けて並べられている。このユニット本体16の間隔は、庇18によって覆われている。
【0020】
取付具6は、上下方向において、ユニット本体16と屋根14との間に位置している。それぞれのユニット本体16は、複数の取付具6によって、屋根14に設置されている。この取付具6は、ユニット本体16と屋根14との間に空間S1を形成した状態でユニット本体16を屋根14に取り付けている。この取付具6は、その上端部をユニット本体16に固定され、その下端部を屋根14に例えばネジ止めされて固定されている。この取付具6は、空間S1を形成して屋根14に取り付けられればよい。この取付具6は、ネジ止め以外の方法で取り付けられてもよく、取付具6が屋根14に載置されるだけでもよい。
【0021】
貯留槽8は、流体としての水を一時的に蓄える機能を備えている。貯留槽8は、複数のユニット4と例えば配管で接続されている。それぞれのユニット4から流出した水は、貯留槽8に蓄えられる。
【0022】
ポンプユニット10は、ポンプタンク10a及びポンプ10bを備えている。ポンプタンク10aは、例えば配管で貯留槽8に接続されている。貯留槽8に蓄えられた水はポンプタンク10aに流入する。ポンプ10bは、ポンプタンク10aに取り付けられている。ポンプ10bは、例えば配管で流量調整器12に接続されている。ポンプ10bは、ポンプタンク10aから流量調整器12に水を送る機能を備えている。このポンプタンク10aは、貯留槽8と一体で形成されてもよい。
【0023】
流量調整器12は、ぞれぞれのユニット4に、例えば配管で接続されている。図示されないが、流量調整器12は、複数の流量調整弁を備えている。それぞれの流量調整弁は、ユニット4に接続される配管を流れる水の量を制御する機能を備えている。この流量調整器12は、それぞれのユニット4に供給される水の量を制御する機能を備えている。この流量調整器12は、それぞれのユニット4に供給される水の量が均等化される様に、水の量を制御している。
【0024】
図2には、ユニット4の断面が示されている。ユニット4のユニット本体16の内側に、水が流れる流路20が形成されている。
図2に示される様に、この遮熱兼熱交換装置2では、ユニット本体16から延びる庇18は、隣合うユニット本体16の上方まで延びている。前述の様に、ユニット本体16と屋根14との間には、空間S1が形成されている。隣合うユニット本体16の間には空間S2が形成されている。上下方向において、庇18の先端部18aと隣合うユニット本体16との間には、空間S3が形成されている。この空間S1と空間S2と空間S3とが連通している。
【0025】
図3では、ユニット4を分解した断面が取付具6と共に示されている。
図3に示される様に、このユニット4は、注入端部22、2つの流路片24及び排出端部26を備えている。
【0026】
注入端部22は、流体注入口22aと、注入接続部としての注入雄部22bと、を備えている。流体注入口22aに、流量調整器12から延びる配管が接続される。注入雄部22bによって、注入端部22は、2つの流路片24のうちの一方の流路片24に取り付けられる。
【0027】
一方の流路片24は、流路本体24aと、流入接続部としての流路雌部24bと、流出接続部としての流路雄部24cと、流路庇部24dと、複数の仕切壁24eと、を備えている。流路雌部24bは流路本体24aの一端から延びている。流路雄部24cは流路本体24aの他端から延びている。流路雌部24bには、勘合孔24fが形成されている。流路本体24a及び流路雄部24cには、勘合孔24fから流路雄部24cの端まで貫通する貫通孔24gが形成されている。流路庇部24dは、流路本体24aと流路雌部24bとから延びている。
【0028】
他方の流路片24は、一方の流路片24と同じ形状を備えている。一方の流路片24の流路雄部24cと他方の流路片24の流路雌部24bとによって、一方の流路片24と他方の流路片24とが接続される。
【0029】
排出端部26は、流体排出口26aと、排出接続部としての排出雌部26bと、排出庇部26cとを備えている。流体排出口26aに、貯留槽8に延びる配管が接続される。排出雌部26bによって、排出端部26は、2つの流路片24のうちの他方の流路片24に取り付けられる。
【0030】
図3及び
図4に示される様に、この流路本体24aは、底板24h、一対の側板24j及び天板24kを備えている。
図3には底板24h及び天板24kが示されている。天板24kは、底板24hに上下方向において対向して、底板24hに沿って延在する。
図4には一対の側板24jが示されている。一対の側板24jは、底板24hの幅方向端部と天板24kの幅方向端部とに接続している。この底板24h、一対の側板24j及び天板24kに囲われて、貫通孔24gが成形されている。
【0031】
この底板24h、一対の側板24j及び天板24kの材料は特に限定されないが、軽量化及び製造コストの観点から、樹脂からなることが好ましい。この天板24kは水を目視確認できる様に、透明なガラスや透明な樹脂からなることが好ましい。底板24h及び一対の側板24jは、熱を吸収し易い様に、黒色の耐熱性樹脂からなることが好ましい。また、内部の水を暖める観点から、底板24h及び一対の側板24jの内壁に、アルミ等の反射板が張り付けられてもよい。
【0032】
図3に示される様に、遮熱兼熱交換装置2では、注入端部22、2つの流路片24及び排出端部26が接続されて、ユニット4を形成している。一方の流路片24の流路庇部24dと、他方の流路片24の流路庇部24dと、排出庇部26cとが、庇18を形成している。注入端部22の内部と、一方の流路片24の貫通孔24gと、他方の流路片24の貫通孔24gとが、流路20を形成している。
【0033】
図4に示される様に、それぞれの仕切壁24eは、貫通孔24gの内壁から貫通孔24gを部分的に仕切っている。複数の仕切壁24eによって、貫通孔24gには、流路雌部24bから流路雄部24cまで蛇行して延びる流路20の一部が形成されている。一方の流路片24の複数の仕切壁24eと、他方の流路片24の複数の仕切壁24eとによって、
図3の流路20の全体が蛇行している。
【0034】
この遮熱兼熱交換装置2では、流量調整器12から各ユニット4に、水が送られる。流量調整器12は、それぞれのユニット4に送る水の量を均一化している。ユニット4の流路20に沿って水が蛇行して流れる。この流路20を流れることで、水は温められる。暖められた水は貯留槽8に貯められる。この水は、更に貯留槽8からポンプユニット10に送られ、ポンプユニット10から流量調整器12に送られる。この遮熱兼熱交換装置2では、この様にして、水が循環させられる。所定の温度以上にされた水は、貯留槽8又はポンプユニット10から、温水を利用する設備に送られる。この遮熱兼熱交換装置2には、水が補充される。
【0035】
図1に示される様に、この遮熱兼熱交換装置2は、屋根14に並べられる複数のユニット4を備えている。複数のユニット4を並べることで、種々の大きさで種々の形状の設置面に設置できる。この遮熱兼熱交換装置2は、種々の大きさの種々の形状に対応して、屋根14を覆うことできる。
【0036】
このユニット4は、そのユニット本体16と隣合う他のユニット4との間の屋根14を覆う庇18を備えている。この庇18は、隣合うユニット本体16の間を覆っている。この庇18がユニット本体16の間に露出する屋根14を覆う。この遮熱兼熱交換装置2は、複数のユニット4に分割されているにも関わらず、ユニット4の間に屋根14を露出することなく、屋根14を遮熱できる。
【0037】
この遮熱兼熱交換装置2は、屋根14との間に空間S1を形成した状態でユニット4を屋根14に取り付ける取付具6を備えている。これにより、ユニット4と屋根14との間で熱の伝導が低減されている。ユニット4と屋根14と間に空気が流れることで、屋根14の温度上昇が一層抑制される。
【0038】
更に、この遮熱兼熱交換装置2では、庇18は隣合う他のユニット4と上下方向において空間S3を形成して重なっている。庇18と隣合う他のユニット4との間の空間S3と、この庇18を備えるユニット4と屋根14との間に形成された空間S1とは連通している。これにより、ユニット4と屋根14と間の空気は、庇18と隣合う他のユニット4との間を通って流出し易い。また、ユニット4と屋根14と間に、空気が流入し易い。この遮熱兼熱交換装置2では、ユニット4と屋根14と間に、一層空気が流れ易くなっている。
【0039】
ユニット4は熱交換をする流体が流れるユニット本体16を備えている。このユニット本体16は、この流体によってユニット4の温度上昇を抑制する。これにより、この遮熱兼熱交換装置2は、遮熱性に一層優れている。
【0040】
この遮熱兼熱交換装置2では、複数のユニット4を、種々の大きさで種々の形状の設置面に合わせた形状に配置できる。これにより、一体の遮熱兼熱交換装置を設置する場合に比べて、この遮熱兼熱交換装置2は運搬及び設置作業が容易にできる。また、屋根14の一部に局所的に、荷重が負荷されることが抑制できる。
【0041】
この遮熱兼熱交換装置2は、ユニット4から排出される水が流入する貯留槽8と、貯留槽8からユニット4に水を供給するポンプ10と、を備えている。これにより、ユニット4を流れる水は循環される。ユニット4に水が貯留されないので、屋根14に作用する荷重が低減される。軽量化されているので、この遮熱兼熱交換装置2は、屋根14に金属製の枠や架台を設置する必要がない。これにより、この遮熱兼熱交換装置2は、一層軽量化されている。この軽量化の観点から、ユニット4が屋根14に設置され、貯留槽8及びポンプユニット10が別途設けられる地上又は屋根14以外に支持される架台に設置されることが好ましい。この観点から、流量調整器12も別途設けられる架台又は地上に設置されることが好ましい。また、この遮熱兼熱交換装置2では、水が流れることで、軽量化を達成しつつ、効率的に熱交換ができる。
【0042】
この遮熱兼熱交換装置2は、複数のユニット4のそれぞれに供給する水の量を調整する流量調整器12を備えている。この流量調整器12は、それぞれのユニット4を流れる水の量を均一化しうる。これにより、効率的に熱交換ができる。また、流量調整器12は、屋根14に作用する荷重の軽減及び分散に寄与する。
【0043】
この遮熱兼熱交換装置2では、仕切壁24eによって、ユニット4の流路20が上流から下流に向かって蛇行している。蛇行することで、流路20の全体に水が流れる。蛇行することで、熱交換する水が流れる距離が長くなっている。これにより、効率的に熱交換ができる。ここでは、仕切壁24eを用いたが、溝によって水を蛇行させてもよい。
【0044】
ユニット4は、流体注入口22aが形成された注入端部22と、水が流れる流路20を形成する流路片24と、流体排出口26aが形成された排出端部26と、を備えている。注入端部22は、流路片24に取り付けられる注入雄部22bを備えている。排出端部26は、流路片24に取り付けられる排出雌部26bを備えている。このユニット4は、流路片24に注入端部22と排出端部26とを取り付けることで、形成されている。この流路片24の長さを変更することで、種々の長さのユニット4を形成される。屋根14の形状に合わせて、このユニット4の長さは、現場においても、容易に変更しうる。
【0045】
この遮熱兼熱交換装置2では、2つの流路片24を備えている。2つの流路片24の他方の流路片24の流路雌部24bに一方の流路片24の流路雄部24cが取り付けられる。このユニット4は、2つの流路片24を組み合わせることで、その全長を更に長くできる。2つ以上の複数の流路片24を組み合わせることで、現地において長尺のユニット4を容易に形成しうる。このユニット4は、更に種々の長さのユニット4を形成される。複数の流路片24として運搬することで、長尺のユニット4を長さの制約を受けることなく、容易に運搬できる。
【0046】
この遮熱兼熱交換装置2では、長さが異なる複数の流路片24を備えることで、更に、種々の長さのユニット4を容易に形成しうる。例えば、0.5m、1m、2m及び3mの流路片24を準備することで、現場において、流路片24を切断等の加工をすることなく、容易に種々の長さのユニット4を形成しうる。
【0047】
ここでは、遮熱兼熱交換装置2は、集熱装置として使用されているが、放熱装置として使用されてもよい。例えば、遮熱兼熱交換装置2を、工場の屋根14に設置する。工場内で発生する廃熱が、遮熱兼熱交換装置2によって、放熱されてもよい。この遮熱兼熱交換装置2は、融雪装置として使用されてもよい。
【0048】
ここでは、熱交換に用いる流体として、水を例に説明がされたが、これに限られない。この流体は液体に限らず気体であってもよい。この流体として蒸気等の媒体が用いられてもよい。
【0049】
更には、遮熱兼熱交換装置2では、熱交換の媒体として、不凍液が循環されてもよい。気温が低い屋外等の雰囲気で放熱して冷やされた不凍液を循環させて、遮熱兼熱交換装置2は、冷却装置の熱交換装置として使用されてもよい。例えば、氷点下の雰囲気で冷やされた不凍液を循環させて、遮熱兼熱交換装置2は、冷凍装置、冷蔵装置等の熱交換装置として使用されてもよい。
【0050】
図示されないが、遮熱兼熱交換装置2に、フィルム型太陽光発電シートが設置されてもよい。例えば、流路片24の天板24k及び流路庇部24dに、フィルム型太陽光発電シートが設置されうる。これにより、遮熱兼熱交換装置2は、熱交換装置として機能すると共に、太陽光発電装置として機能しうる。
【0051】
図5には、本発明に係る他の遮熱兼熱交換装置32が示されている。ここでは、前述の遮熱兼熱交換装置2と異なる構成について説明がされる。遮熱兼熱交換装置2と同様の構成については、その説明が省略される。また、ここでは、遮熱兼熱交換装置2と同様の構成については、同じ符号を用いて説明がされる。
【0052】
この遮熱兼熱交換装置32は、複数のユニット34及び複数の取付具36を備えている。図示されないが、遮熱兼熱交換装置32は、更に、貯留槽8、ポンプユニット10及び流量調整器12を備えている。複数のユニット34は、建物の折板屋根38に並べられている。
図5に示される様に、この折板屋根38は、台形状に繰り返し凹凸形状が形成されている。この折板屋根38は、建屋の鉄骨40に固定されている。
【0053】
それぞれユニット34は、ユニット本体42、庇44及び鍔部46を備えている。ユニット本体42は、その内部を流体が流れる流路48が形成されている。庇44は、ユニット本体42から一方に隣合う他のユニット34に向かって延びている。鍔部46は、他方に隣合う更に他のユニット34に向かって延びている。
【0054】
それぞれの取付具36は、支柱としてのボルト50と、支持板52と、カラー54と、カラー56と、留め具としてナット58とを備えている。ボルト50は、鉄骨40に固定されている。このボルト50は、鉄骨40から上方に延びている。支持板52がボルト50に固定されている。この支持板52に、折板屋根38が支持されている。この折板屋根38から上方に延びるボルト50に、円筒形状のカラー54が通されている。このカラー54に、鍔部46が支持されている。この鍔部46から上方にのびるボルト50に、円筒形状のカラー56が通されている。このカラー56に庇44が支持されている。ナット58がボルト50と螺合している。折板屋根38、カラー54、鍔部46、カラー56、庇44は、支持板52とナット58との挟時されて、固定されている。
【0055】
この遮熱兼熱交換装置32では、それぞれのユニット34で、庇44は、上下方向において、隣合う他のユニット34の鍔部46に重なっている。カラー56によって、上下方向において、庇44と鍔部46との間に空間が形成されている。カラー54によって、上下方向において、鍔部46と折板屋根38との間に空間が形成されている。
【0056】
この遮熱兼熱交換装置32では、この取付具36によって、ユニット34は、折板屋根38との間に空間を形成した状態で、折板屋根38に取り付けられている。ユニット34のユニット本体42及び鍔部46と折板屋根38との間の空間と、ユニット34の庇44と隣合うユニット34の鍔部46との間の空間と、連通している。
【0057】
このユニット34では、ユニット本体42及び鍔部46とは、折板屋根38の波形の凹凸形状に対応した形状にされている。複数のユニット34が折板屋根38の波形の凹凸形状に合わせて設置されている。この遮熱兼熱交換装置32は、折板屋根38に調和し、美観に優れている。
【0058】
ここでは、説明は省略されるが、このユニット34は、ユニット4と同様に、注入端部、1又は複数の流路片、排出端部を備えている。これにより、折板屋根38に対応して、ユニット34の長さは調整可能である。
【産業上の利用可能性】
【0059】
以上説明された遮熱兼熱交換装置は、遮熱及び熱交換をする装置として、広く適用されうる。
【符号の説明】
【0060】
2、32・・・遮熱兼熱交換装置
4、34・・・ユニット
6・・・取付具
8・・・貯留槽
10・・・ポンプユニット
10b・・・ポンプ
12・・・流量調整器
14・・・屋根
16、42・・・ユニット本体
18、44・・・庇
20、48・・・流路
22・・・注入端部
22a・・・流体注入口
24・・・流路片
24b・・・流路雌部
24c・・・流路雄部
26・・・排出端部
26a・・・流体排出口
38・・・折板屋根