(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-01-16
(45)【発行日】2023-01-24
(54)【発明の名称】冷凍アブレーションカテーテル及びシステム
(51)【国際特許分類】
A61B 18/02 20060101AFI20230117BHJP
【FI】
A61B18/02
(21)【出願番号】P 2020535287
(86)(22)【出願日】2018-08-30
(86)【国際出願番号】 CN2018103237
(87)【国際公開番号】W WO2019052342
(87)【国際公開日】2019-03-21
【審査請求日】2020-03-11
(31)【優先権主張番号】201710816282.6
(32)【優先日】2017-09-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】520085419
【氏名又は名称】康▲豊▼生物科技(上海)有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】110001807
【氏名又は名称】弁理士法人磯野国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】▲ディアオ▼ 月鵬
(72)【発明者】
【氏名】▲楊▼ ▲東▼▲輝▼
(72)【発明者】
【氏名】李 攀
【審査官】二階堂 恭弘
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2010/0100087(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2002/0045893(US,A1)
【文献】特表2004-504098(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2002/0007180(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2015/0250991(US,A1)
【文献】特開2013-132364(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0358137(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2015/0250525(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 18/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
カテーテル本体(5)であって、その軸方向に沿って延伸する冷源吸気室(51)と冷源還気室(52)とを含むカテーテル本体(5)と、
前記カテーテル本体(5)の遠位端部に設置されている冷凍ユニット(3)であって、前記冷源吸気室(51)及び前記冷源還気室(52)と流体連通されている第1のバルーン本体(31)、及び前記第1のバルーン本体(31)外に設置されている第2のバルーン本体(32)を含み、前記第1のバルーン本体(31)の長さが前記第2のバルーン本体(32)の長さよりも小さく、
前記第1のバルーン本体(31)と前記第2のバルーン本体(32)との間の領域が密閉空間であり、前記密
閉空間は、凍結療法の前に予め真空引きされており、
前記第1のバルーン本体(31)及び前記第2のバルーン本体(32)のバルーン壁の一部が貼り合わせ状態にあり、前記第1のバルーン本体(31)及び前記第2のバルーン本体(32)のバルーン壁の貼り合わせ部分が冷凍エネルギーを治療部位へ伝導する通路である冷凍ユニット(3)と、
を含み、
前記第1のバルーン本体(31)及び前記第2のバルーン本体(32)が拡張すると、前記第1のバルーン本体(31)と前記第2のバルーン本体(32)との間にエネルギー伝導隔離用チャンバ(6)が形成され、前記チャンバ(6)に対応する領域への前記冷凍ユニット(3)のエネルギー伝導を阻止するのを実現することを特徴とする、冷凍アブレーションカテーテル。
【請求項2】
前記第1のバルーン本体(31)と第2のバルーン本体(32)との間に支持構造(33)が設置されており、前記第1のバルーン本体(31)及び前記第2のバルーン本体(32)が拡張すると、前記支持構造(33)は、前記第1のバルーン本体(31)と前記第2のバルーン本体(32)との間に形成されたエネルギー伝導隔離用チャンバ(6)を支持することができることを特徴とする、請求項1に記載の冷凍アブレーションカテーテル。
【請求項3】
前記支持構造(33)がバルーン(331)であり、前記カテーテル本体(5)はその
軸方向に沿って延伸するバルーン充満室をさらに含み、前記バルーン充満室が前記バルーン(331)と流体連通されていることを特徴とする、請求項2に記載の冷凍アブレーションカテーテル。
【請求項4】
前記支持構造(33)は、所定形状を有する1本又は複数本の記憶合金ワイヤ(332)で作製され、前記記憶合金ワイヤ(332)が前記第1のバルーン本体(31)と前記第2のバルーン本体(32)との間に設置されていることを特徴とする、請求項2に記載の冷凍アブレーションカテーテル。
【請求項5】
前記支持構造(33)は、前記第1のバルーン本体(31)上に設置されている突起(333)であることを特徴とする、請求項2に記載の冷凍アブレーションカテーテル。
【請求項6】
前記支持構造(33)は、前記第1のバルーン本体(31)の近位端及び/又は遠位端に設置されているシワ(334)であることを特徴とする、請求項2に記載の冷凍アブレーションカテーテル。
【請求項7】
前記シワ(334)は、前記第1のバルーン本体(31)を直接に積み重ねてなることを特徴とする、請求項6に記載の冷凍アブレーションカテーテル。
【請求項8】
前記支持構造(33)は、複数本の帯状又はワイヤ状の構造(335)からなり、前記帯状又はワイヤ状の構造(335)の両端がそれぞれ前記第2のバルーン本体(32)の両端と固定接続されており、前記第1のバルーン本体(31)及び前記第2のバルーン本体(32)が膨張すると、前記帯状又はワイヤ状の構造(335)が強く張られ、これにより、前記第1のバルーン本体(31)と前記第2のバルーン本体(32)との間にエネルギー伝導隔離用チャンバ(6)が形成されることを特徴とする、請求項2に記載の冷凍アブレーションカテーテル。
【請求項9】
冷凍アブレーションシステムであって、
カテーテル本体(5)と、前記カテーテル本体(5)の遠位端部に設置されている冷凍ユニット(3)とを含み、前記カテーテル本体(5)は、その軸方向に沿って延伸する冷源吸気室(51)、冷源還気室(52)及び注入吸引室(53)を含み、前記冷凍ユニット(3)は、前記冷源吸気室(51)及び前記冷源還気室(52)と流体連通されている第1のバルーン本体(31)と、前記第1のバルーン本体(31)外に設置されている第2のバルーン本体(32)と、を含み、前記第2のバルーン本体(32)が前記注入吸引室(53)と連通されており、前記第1のバルーン本体(31)の長さが前記第2のバルーン本体(32)の長さより短く、前記第1のバルーン本体(31)及び前記第2のバルーン本体(32)のバルーン壁の一部が貼り合わせ状態にあり、前記第1のバルーン本体(31)及び前記第2のバルーン本体(32)のバルーン壁の貼り合わせ部分が冷凍エネルギーを治療部位に伝導する通路である冷凍アブレーションカテーテルと、
前記注入吸引室(53)とそれぞれ連通されている断熱モジュール(101)及び第2の温度回復モジュール(102’)と、前記冷源吸気室(51)及び前記冷源還気室(52)と連通されている冷凍モジュール(103)と、前記冷源吸気室(51)と連通されている第1の温度回復モジュール(102)と、前記断熱モジュール(101)、前記冷凍モジュール(103)、前記第1の温度回復モジュール(102)及び第2の温度回復モジュール(102’)のパラメータを制御する制御システム(104)とを含む冷凍アブレーションデバイスと、
を含み、
冷凍アブレーション段階において、前記冷凍モジュール(103)における冷凍エネルギーが冷源吸気室(51)を通じて前記第1のバルーン本体(31)内へ輸送され、前記第1のバルーン本体(31)及び前記第2のバルーン本体(32)を拡張させ、前記冷凍
アブレーションシステムは、前記断熱モジュール(101)によって前記第2のバルーン本体(32)に対して断熱媒体の充填又は吸引を行い、前記第1のバルーン本体(31)と前記第2のバルーン本体(32)との間に形成されたエネルギー伝導隔離用チャンバ(6)を負圧引き状態にし、これにより冷凍エネルギーが前記チャンバ(6)を通じて伝導するのを阻止し、
温度回復段階において、前記第1の温度回復モジュール(102)及び前記第2の温度回復モジュール(102’)はそれぞれ前記冷源吸気室(51)及び前記注入吸引室(53)を通じて前記第1のバルーン本体(31)及び前記第2のバルーン本体(32)に温度回復流体を注入し、これにより前記冷凍ユニット(3)は迅速に解凍することができる
ことを特徴とする、冷凍アブレーションシステム。
【請求項10】
前記断熱モジュール(101)が充填ポンプであることを特徴とする、請求項9に記載の冷凍アブレーションカテーテル。
【請求項11】
前記断熱モジュール(101)が真空ポンプであることを特徴とする、請求項9に記載の冷凍アブレーションカテーテル。
【請求項12】
前記第1のバルーン本体(31)と第2のバルーン本体(32)との間に支持構造(33)が設けられており、前記第1のバルーン本体(31)が拡張すると、前記支持構造(33)は前記エネルギー伝導隔離用チャンバ(6)を支持することで、前記エネルギー伝導隔離用チャンバ(6)の形態を安定させて確実にすることができることを特徴とする、請求項11に記載の冷凍アブレーションカテーテル。
【請求項13】
前記支持構造(33)がバルーン(331)であり、前記カテーテル本体(5)はその軸方向に沿って延伸するバルーン充満室をさらに含み、前記バルーン充満室が前記バルーン(331)と流体連通されていることを特徴とする、請求項12に記載の冷凍アブレーションカテーテル。
【請求項14】
前記支持構造(33)は所定形状を有する1本又は複数本の記憶合金ワイヤ(332)で作製され、前記支持構造(33)の一端がプッシュハンドルと接続されており、前記第1のバルーン本体(31)が病変部位へ輸送されると、前記支持構造(33)が前記プッシュハンドルを通じて前記第1のバルーン本体(31)と前記第2のバルーン本体(32)との間へプッシュされることを特徴とする、請求項12に記載の冷凍アブレーションカテーテル。
【請求項15】
前記支持構造(33)は、複数本の帯状又はワイヤ状の構造(335)からなり、前記帯状又はワイヤ状の構造(335)の両端がそれぞれ前記第2のバルーン本体(32)の両端と固定接続されており、前記第1のバルーン本体(31)及び前記第2のバルーン本体(32)が膨張すると、前記帯状又はワイヤ状の構造(335)が強く張られ、これにより前記第1のバルーン本体(31)と前記第2のバルーン本体(32)との間にエネルギー伝導隔離用チャンバ(6)が形成されることを特徴とする、請求項12に記載の冷凍アブレーションカテーテル。
【請求項16】
前記支持構造(33)は、前記第1のバルーン本体(31)の近位端及び/又は遠位端に設置されているシワ(334)であることを特徴とする、請求項12に記載の冷凍アブレーションカテーテル。
【発明の詳細な説明】
【関連出願】
【0001】
本願は、2017年09月12日に出願された、出願番号が201710816282.6、名称が「冷凍アブレーションカテーテル及びシステム」である中国特許出願の優先権を主張し、ここで参照のためにその全文を援用する。
【技術分野】
【0002】
本願は、冷凍アブレーション医療機器の分野に属し、具体的には冷凍アブレーションカテーテル及びシステムに関する。
【背景技術】
【0003】
冷凍アブレーション(Cryoablation)は、低温により細胞内外に氷球を形成させることにより細胞を破壊することである。冷凍アブレーション時に、冷凍プローブを組織の表面に置き、冷凍により低温を発生させ、プローブ周囲の細胞内外に氷球を形成させる。温度が低下するにつれて、氷球内の細胞に不可逆的な損傷を引き起こす。冷凍アブレーションによる損傷過程は、(1)冷凍/温度回復期、(2)出血及び炎症期、(3)線維形成期の3つの段階に分けられる。
【0004】
冷凍アブレーション術は、カテーテルに基づいた幅広いインターベンション手術において有用な治療法である。例えば、冷凍アブレーションは、肺静脈前庭をアブレーションし、肺静脈の電気的隔離を発生させることにより、心房細動を治療することに利用可能である。冷凍アブレーションは、腎動脈交感神経をアブレーションすることにより、難治性高血圧を治療することに利用可能であり、この技術が既に臨床試験に用いられている。冷凍アブレーション術は、さらに腫瘍のアブレーション、動脈血管狭窄の治療等に利用可能である。これらの冷凍治療過程において、冷凍アブレーション術は、人体管腔を介して拡張可能なバルーンをプッシュすることで冷媒を送達することができる。これらのバルーンは、体外操縦部品(例えば、冷却剤源)に操作可能に接続されている。外科介入用冷凍治療への使用が広がり続けるにつれて、関連装置、システム及び方法の革新(例えば、効能、安全性、効率及び/又は信頼性について)が必要となっている。このような革新は、患者の健康を改善するツールとしての冷凍治療の作用をさらに広げる可能性がある。従来の冷凍アブレーションカテーテルは、カテーテル遠位端の冷凍ユニットを治療位置に輸送して、冷凍を施すことが多い。
【0005】
冷凍バルーンカテーテルの代表として、メドトロニック社のArctic Front製品及びその後続改良品は、とっくに2013年に中国市場に進出した。該製品は、充満したバルーンによって肺静脈口に寄りかかり、液体冷却剤(N2O)がバルーン中に噴射されて気化すると、大量の熱を吸収し、標的アブレーション部位の温度を低下させてアブレーションを実現する。臨床データによると、メドトロニックの製品の有効性が明らかであり、1年の手術成功率が69.9%であることが示されているが、しかし、第1のバルーン本体と第2のバルーン本体との間にエネルギー伝導隔離用チャンバがないため、冷凍エネルギーが周囲へ拡散することができ、標的位置(例えば肺静脈前庭)をアブレーションする以外、周辺の組織、例えば横隔神経、迷走神経、食道、気管支等にも影響を及ぼしている。冷凍エネルギーの周辺組織に対する作用により、関連する合併症、例えば横隔神経麻痺、迷走神経損傷、食道瘻等が引き起こされてしまう。関連報道によると、メドトロニックのArctic Front Advanceを用いて肺静脈アブレーションを行う場合、横隔神経麻痺の発生率が13.5%と高いことが示されている。
【0006】
中国特許CN201710096224.0には、冷凍バルーンカテーテルを用いて肺静脈を冷凍アブレーションする過程において食道を保護する保温装置が開示されており、バルーン内にバルーン壁熱電対、バルーン内熱電対、熱循環保温装置が設けられており、かつ、バルーン壁熱電対及びバルーン内熱電対がそれぞれバルーンの内外壁上に付着され、リアルタイムでの温度測定を実現し、熱循環保温装置が保温モジュールに接続されており、温度制御モジュールがバルーン壁熱電対、バルーン内熱電対、及び保温モジュールに接続されており、バルーン温度を制御及びフィードバックし、熱循環保温装置の冷熱をスマートマッチングして制御し、肺静脈のアブレーション領域に近い食道の温度を20~30℃に保持するためである。このような保温装置は、食道の自然管腔を通じて冷凍アブレーション領域に導入することができ、肺静脈の冷凍アブレーション時に保温バルーンを同時に使用することで、肺静脈の冷凍アブレーション領域に近い食道を保護し、食道に冷凍アブレーションにより食道瘻等のひどい損傷が発生するのを防止し、冷凍バルーンカテーテルのよる肺静脈アブレーションの心房細動治療への制限を消失させ、冷凍バルーンアブレーションカテーテルによる肺静脈アブレーションへの普及及び促進に有利である。しかし、このような保温装置には構造が複雑な部品が非常に多く増設されており、特定の標的組織への治療のみに適用され、費用が高い。
【0007】
従来の冷凍アブレーションカテーテルは、内外2層のバルーンをそれぞれカテーテルロッド上に固定し、内側バルーン中へ冷却剤を注入することで冷凍の目的を達成するが、有効な断熱チャンバがないので、形成された氷球が治療位置周辺の領域を被覆し、周辺の組織に損傷を与え、合併症の発生を引き起こしてしまう場合が多い。
【発明の概要】
【0008】
従来技術の上記欠陥に鑑み、本願が解決しようとする技術課題は、断熱チャンバを有する冷凍アブレーションカテーテル及びシステムを提供することであり、該カテーテル及びシステムは、冷凍エネルギー放出領域を有効に制限することによって合併症発生の確率を低下させることができ、適用範囲が広い。
【0009】
本願は、その技術課題を解決するために用いる1つの技術的解決手段が以下のとおりである。尚、本願明細書において、[室]という用語は[管]の意味で使用している。例えば、冷源吸気室51、冷源還気室52、注入吸引室53、バルーン充満室54は、冷源吸気管51、冷源還気管52、注入吸引管53、バルーン充満管54の意味である。
【0010】
カテーテル本体であって、その軸方向に沿って延伸する冷源吸気室と、冷源還気室とを含むカテーテル本体と、
前記カテーテル本体の遠位端部に設置されている冷凍ユニットであって、前記冷源吸気室及び前記冷源還気室と流体連通されている第1のバルーン本体と、前記第1のバルーン本体外に設置されている第2のバルーン本体とを含み、前記第1のバルーン本体の長さが前記第2のバルーン本体の長さよりも小さく、前記第1のバルーン本体と前記第2のバルーン本体との間の領域が密閉空間であり、前記第1のバルーン本体及び前記第2のバルーン本体のバルーン壁の一部が貼り合わせ状態にあり、前記第1のバルーン本体及び前記第2のバルーン本体のバルーン壁の貼り合わせ部分が冷凍エネルギーを治療部位へ伝導する通路である冷凍ユニットと、
を含み、
前記第1のバルーン本体及び前記第2のバルーン本体が拡張すると、前記第1のバルーン本体と前記第2のバルーン本体との間にエネルギー伝導隔離用チャンバが形成され、前記チャンバに対応する領域への前記冷凍ユニットのエネルギー伝導を阻止するのを実現する、冷凍アブレーションカテーテル。
【0011】
本願は、その技術課題を解決するために用いる更なる技術的解決手段が以下のとおりである。
【0012】
1つの実施形態において、チャンバ内のエネルギー伝導を遮断するように前記チャンバ内には断熱流体が予め注入されている。
【0013】
1つの実施形態において、前記第1のバルーン本体と第2のバルーン本体との間に支持構造が設置されており、前記第1のバルーン本体及び前記第2のバルーン本体が拡張すると、前記支持構造は、前記第1のバルーン本体と前記第2のバルーン本体との間に形成されたエネルギー伝導隔離用チャンバを支持することにより、前記エネルギー伝導隔離用チャンバの形態を安定させて確実にすることができる。
【0014】
1つの好ましい実施形態において、前記支持構造がバルーンであり、前記カテーテル本体は、その軸方向に沿って延伸するバルーン充満室をさらに含み、前記バルーン充満室が前記バルーンと流体連通されている。
【0015】
1つの好ましい実施形態において、前記支持構造は、所定形状を有する1本又は複数本の記憶合金ワイヤで作製され、前記記憶合金ワイヤが前記第1のバルーン本体と前記第2のバルーン本体との間に設置されている。
【0016】
1つの好ましい実施形態において、前記支持構造は、前記第1のバルーン本体上に設置されている突起である。
【0017】
1つの好ましい実施形態において、前記支持構造は、前記第1のバルーン本体の近位端及び/又は遠位端に設置されているシワである。
【0018】
1つの好ましい実施形態において、前記シワは、前記第1のバルーン本体を直接に積み重ねてなる。
【0019】
1つの好ましい実施形態において、前記支持構造は、複数本の帯状又はワイヤ状の構造からなり、前記帯状又はワイヤ状の構造の両端がそれぞれ前記第2のバルーン本体の両端と固定接続されており、前記第1のバルーン本体及び前記第2のバルーン本体が膨張すると、前記帯状又はワイヤ状の構造が強く張られ、これにより前記第1のバルーン本体と前記第2のバルーン本体との間にエネルギー伝導隔離用チャンバが形成される。
【0020】
1つの好ましい実施形態において、前記チャンバが予め負圧引きされ、前記チャンバ内の気体が希薄となり、これによりエネルギーの伝導を阻止する。
【0021】
本願はその技術課題を解決するために用いるもう1つの技術的解決手段は以下のとおりである。
【0022】
冷凍アブレーションシステムであって、
カテーテル本体と、前記カテーテル本体の遠位端部に設置されている冷凍ユニットとを含み、前記カテーテル本体は、その軸方向に沿って延伸する冷源吸気室、冷源還気室及び注入吸引室を含み、前記冷凍ユニットは、前記冷源吸気室及び前記冷源還気室と流体連通されている第1のバルーン本体と、前記第1のバルーン本体外に設置されている第2のバルーン本体とを含み、前記第2のバルーン本体が前記注入吸引室と連通されており、前記第1のバルーン本体の長さが前記第2のバルーン本体の長さより短く、前記第1のバルーン本体及び前記第2のバルーン本体のバルーン壁の一部が貼り合わせ状態にあり、前記第1のバルーン本体及び前記第2のバルーン本体のバルーン壁の貼り合わせ部分が冷凍エネルギーを治療部位へ伝導する通路である冷凍アブレーションカテーテルと、
前記注入吸引室とそれぞれ連通されている断熱モジュール及び第2の温度回復モジュールと、前記冷源吸気室及び前記冷源還気室と連通されている冷凍モジュールと、前記冷源吸気室と連通されている第1の温度回復モジュールと、前記断熱モジュール、前記冷凍モジュール、前記第1の温度回復モジュール及び第2の温度回復モジュールのパラメータを制御する制御システムとを含む冷凍アブレーションデバイスと、
を含み、
冷凍アブレーション段階において、前記冷凍モジュールにおける冷凍エネルギーが冷源吸気室を通じて前記第1のバルーン本体内へ輸送され、前記第1のバルーン本体及び前記第2のバルーン本体を拡張させ、前記冷凍アブレーションシステムは、前記断熱モジュールによって前記第2のバルーン本体に対して断熱媒体の充填又は吸引を行い、前記第1のバルーン本体と前記第2のバルーン本体との間に形成されたエネルギー伝導隔離用チャンバに、断熱媒体を充満させるか又は負圧引き状態にし、これにより冷凍エネルギーが前記チャンバを通じて伝導するのを阻止し、
温度回復段階において、前記第1の温度回復モジュール及び前記第2の温度回復モジュールはそれぞれ前記冷源吸気室及び前記注入吸引室を通じて前記第1のバルーン本体及び前記第2のバルーン本体に温度回復流体を注入し、これにより前記冷凍ユニットは迅速に解凍することができる。
【0023】
本願がその技術課題を解決するために用いる更なる技術的解決手段は以下のとおりである。
【0024】
1つの実施形態において、前記断熱モジュールが充填ポンプである。
【0025】
1つの実施形態において、前記断熱モジュールが真空ポンプである。
【0026】
1つの好ましい実施形態において、前記第1のバルーン本体と第2のバルーン本体との間に支持構造が設置されており、前記第1のバルーン本体が拡張すると、前記支持構造は、前記エネルギー伝導隔離用チャンバを支持することで、前記エネルギー伝導隔離用チャンバの形態を安定させて確実にすることができる。
【0027】
1つの好ましい実施形態において、前記支持構造がバルーンであり、前記カテーテル本体は、その軸方向に沿って延伸するバルーン充満室をさらに含み、前記バルーン充満室が前記バルーンと流体連通されている。
【0028】
1つの好ましい実施形態において、前記支持構造は、所定形状を有する1本又は複数本の記憶合金ワイヤで作製され、前記支持構造の一端がプッシュハンドルと接続され、前記第1のバルーン本体が病変部位へ輸送されると、前記支持構造は、前記プッシュハンドルによって前記第1のバルーン本体と前記第2のバルーン本体との間へプッシュされる。
【0029】
1つのより好ましい実施形態において、前記所定形状は、螺旋状、籠状又は傘状を含む。
【0030】
1つの好ましい実施形態において、前記支持構造は、複数本の帯状又はワイヤ状の構造からなり、前記帯状又はワイヤ状の構造の両端がそれぞれ前記第2のバルーン本体の両端と固定接続されており、前記第1のバルーン本体及び前記第2のバルーン本体が膨張すると、前記帯状又はワイヤ状の構造が強く張られ、これにより前記第1のバルーン本体と前記第2のバルーン本体との間にエネルギー伝導隔離用チャンバが形成される。
【0031】
1つの好ましい実施形態において、前記支持構造は、前記第1のバルーン本体の近位端及び/又は遠位端に設置されているシワである。
【0032】
1つの実施形態において、前記冷凍アブレーションシステムは、温度回復時に注入吸引室に注入された温度回復流体の温度が0~42℃である。
【0033】
上記の実施形態において、前記カテーテル本体の近位端には操縦ハンドルがさらに設置されており、前記操縦ハンドルがフレキシブル接続パイプによって冷源コネクタと接続されており、前記冷凍モジュールにおける冷凍エネルギーが前記冷源コネクタ、前記フレキシブル接続パイプ、及び前記カテーテル本体内に設置されている前記冷源吸気室を通じて前記第1のバルーン本体内へ輸送され、前記第1のバルーン本体を拡張する。
【0034】
1つの好ましい実施形態において、前記冷源コネクタの近位端には少なくとも1つの接続プラグが設置されており、前記冷源コネクタの遠位端が前記フレキシブル接続パイプによって前記操縦ハンドルの近位端と接続されている。
【0035】
上記の実施形態において、前記カテーテル本体の最も遠位端にはカテーテルヘッドが設置されている。好ましくは、前記カテーテルヘッドはポリマーホースである。
【0036】
上記の実施形態において、前記カテーテル本体内にはガイドワイヤールーメンがさらに設置されており、前記第1のバルーン本体の遠位端が前記ガイドワイヤールーメンと固定接続されている。
【0037】
1つの好ましい実施形態において、前記操縦ハンドルは、湾曲調整ユニットと、ガイドワイヤールーメン操縦ユニットとを含み、前記湾曲調整ユニットは、前記カテーテルヘッドの遠位端の動きを制御し、前記ガイドワイヤールーメン操縦ユニットは、液体注入口を含み、前記液体注入口が前記ガイドワイヤールーメンの管腔と連通されている。
【0038】
上記の実施形態において、前記カテーテル本体の外に前記カテーテル本体の軸方向に沿って第2の真空室が設置されている。
【0039】
従来技術と比べて、本願は下記のメリット及び進歩を有する。
【0040】
1.本願に係る冷凍アブレーションカテーテルは、冷凍ユニットの予期しないエネルギー伝導部位に断熱チャンバが設置されているので、エネルギーの伝導を隔離することができ、熱移動を阻止することができ、したがって、冷凍エネルギーの放出領域を制限し、合併症発生の確率を低下させ、治療コストを節約することができる。しかも、本願は、異なる手術において異なる冷凍アブレーション領域の周囲組織を保護する具体的な要求に応じて、冷凍ユニットの近位端又は遠位端又はいずれか一方側又は両側に1つ又は複数のエネルギー伝導隔離用チャンバを設置することができる。本願は、異なる手術の断熱要求に応じて、チャンバ内に対して断熱媒体を充填又は吸引し、断熱効果を強化することで、手術において冷凍エネルギーの周辺組織への損傷をさらに低減することができる。
2.本願に係る冷凍アブレーションカテーテルは、支持構造が設置されているので、より確実で安定的なエネルギー伝導隔離用チャンバを形成することができ、負圧の作用により第2のバルーン本体が第1のバルーン本体上に貼り付けることにより、断熱が失効することはない。
3.本願に係る冷凍アブレーションシステムは、冷凍過程において注入吸引室によって冷凍ユニットの予期しないエネルギー伝導部位に対して断熱チャンバを形成することにより、エネルギーの伝導を隔離することができ、熱移動を阻止することができるので、冷凍エネルギーの放出領域を制限し、合併症発生の確率を低下させ、治療コストを節約することができる。同時に、本願に係る冷凍アブレーションシステムは、温度回復過程において温度回復の速度を上げることができる。
4.本願は、2つの温度回復モジュールが設置されており、温度回復段階において、前記第1の温度回復モジュール及び前記第2の温度回復モジュールがそれぞれ前記冷源吸気室及び前記注入吸引室によって前記第1のバルーン本体及び前記第2のバルーン本体に温度回復流体を注入し、これにより前記冷凍ユニットは迅速に解凍することができる。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【
図1】
図1は本願に係る冷凍アブレーションカテーテルの全体構造模式図である。
【
図2】
図2は本願に係る、支持構造を有する冷凍アブレーションカテーテルの第1実施形態の模式図である。
【
図3】
図3は本願に係る、支持構造を有する冷凍アブレーションカテーテルの第2実施形態の模式図である。
【
図4】
図4は本願に係る、支持構造を有する冷凍アブレーションカテーテルの第3実施形態の模式図である。
【
図5】
図5は本願に係る、支持構造を有する冷凍アブレーションカテーテルの第4実施形態の模式図である。
【
図6A】
図6Aは本願に係る、支持構造を有する冷凍アブレーションカテーテルの第5実施形態の模式図である。
【
図7A】
図7Aは本願に係る、支持構造を有する冷凍アブレーションカテーテルの第6実施形態の模式図である。
【
図8A】
図8Aは本願に係る、支持構造を有する冷凍アブレーションカテーテルの第7実施形態の模式図である。
【
図9A】
図9Aは本願に係る、注入吸引室を有する冷凍アブレーションカテーテルの全体構造模式図である。
【
図10】
図10は本願に係る冷凍アブレーションシステムの全体構造模式図である。
【
図11】
図11は本願に係る、支持構造を有する冷凍アブレーションカテーテルの第1実施形態の模式図である。
【
図12A】
図12Aは本願に係る、支持構造を有する冷凍アブレーションカテーテルの第2実施形態の模式図である。
【
図13A】
図13Aは本願に係る、支持構造を有する冷凍アブレーションカテーテルの第3実施形態の模式図である。
【
図14A】
図14Aは本願に係る、支持構造を有する冷凍アブレーションカテーテルの第4実施形態の模式図である。
【
図15】
図15は本願に係る、支持構造を有する冷凍アブレーションカテーテルの第5実施形態の模式図である。
【
図16】
図16は本願に係る冷凍アブレーションカテーテルの、所定形状が傘状である支持構造の模式図である。
【0042】
図中、1は冷源コネクタ、2は操縦ハンドル、3は冷凍ユニット、4はフレキシブル接続パイプ、5はカテーテル本体、6はエネルギー伝導隔離用チャンバ、21は湾曲調整ユニット、22はガイドワイヤールーメン操縦ユニット、23はバルーン充満ポート、31は第1のバルーン本体、32は第2のバルーン本体、33は支持構造、331はバルーン、332は記憶合金ワイヤ、333は突起、334はシワ、335は帯状又はワイヤ状の構造、51は冷源吸気室、52は冷源還気室、53は注入吸引室、54はバルーン充満室、55はカテーテルヘッド、56はガイドワイヤールーメン、57は第2の真空室、58はプッシュロッド、531は注入吸引室のポート、101は断熱モジュール、102は第1の温度回復モジュール、102’は第2の温度回復モジュール、103は冷凍モジュール、104は制御システムである。
【発明を実施するための形態】
【0043】
本願の目的、技術的解決手段及びメリットをより明らかにするために、以下、図面を参照して実施例を挙げて本願を詳しく説明する。
【0044】
本願に係る近位端とは、手術者に近接する端を指し、前記遠位端とは、手術者から離れる端を指す。
【0045】
実施例一
図1に示すように、本願に係る冷凍アブレーションカテーテルは、冷源コネクタ1、操縦ハンドル2、冷凍ユニット3、フレキシブル接続パイプ4及びカテーテル本体5を含み、遠位端及び近位端を有するカテーテル本体5は、その軸方向に沿って延伸する冷源吸気室51と、冷源還気室52とを含み、前記冷凍ユニット3は、カテーテル本体5の遠位端部に設置されており、前記冷源吸気室51及び前記冷源還気室52と流体連通されている第1のバルーン本体31と、前記第1のバルーン本体31外に設置されている第2のバルーン本体32とを含み、前記第2のバルーン本体32が前記第1のバルーン本体31につれて拡張する。前記第1のバルーン本体31の長さが前記第2のバルーン本体32より短い。前記第1のバルーン本体31及び前記第2のバルーン本体32のバルーン壁の一部が貼り合わせ状態にあり、前記第1のバルーン本体31及び前記第2のバルーン本体32のバルーン壁の貼り合わせ部分が冷凍エネルギーを治療部位へ伝導する通路であり、前記第1のバルーン本体31と前記第2のバルーン本体32との間の領域が密閉空間であり、かつ、予め真空引き状態とされているか又は適量の断熱媒体を注入している。前記第1のバルーン本体31及び前記第2のバルーン本体32が拡張すると、前記第1のバルーン本体31と前記第2のバルーン本体32との間にエネルギー伝導隔離用チャンバ6が形成され、前記チャンバ6に対応する領域への前記冷凍ユニット3のエネルギー伝導を阻止するのを実現する。
【0046】
例えば、肺静脈電気的隔離術は、心房細動の治療によく見られる手術法であり、冷凍アブレーションカテーテルの誕生により、肺静脈電気的隔離術がより簡単で便利となっている。しかし、左心房の空間が有限であり、かつ、冷凍アブレーションの位置が肺静脈前庭のみに限られるので、冷凍エネルギーをバルーンの前半球に集中することが望まれている。したがって、前記エネルギー伝導隔離用チャンバ6が前記第1のバルーン本体31の近位端に設置されている。治療過程において、まず、冷凍ユニット3を左心房にプッシュし、第1のバルーン本体31内へ適量の冷却剤を注入し、第1のバルーン本体31を膨張させ、さらに第2のバルーン本体32の膨張を動かす。前記第1のバルーン本体31及び前記第2のバルーン本体32のバルーン壁の一部が貼り合わせ状態にあり、前記第1のバルーン本体31及び前記第2のバルーン本体32のバルーン壁の貼り合わせ部分が冷凍エネルギーを治療部位へ伝導する通路である。第1のバルーン本体31及び第2のバルーン本体32の外形及びサイズが異なっているので、第1のバルーン本体31と第2のバルーン本体32との間にエネルギー伝導隔離用チャンバ6が形成され、冷凍エネルギーの冷凍ユニット3近位端への伝導を阻止する。その後、冷凍ユニット3を、アブレーションすべき肺静脈口と貼り合うようプッシュし、冷凍アブレーション治療を開始して、第1のバルーン本体31内へ冷却剤を注入し、これにより治療領域の熱を吸収して、冷凍アブレーションの結果を達成する。
【0047】
前記操縦ハンドル2は前記カテーテル本体5の近位端に設置されており、操縦ハンドル2はフレキシブル接続パイプ4によって冷源コネクタ1と接続されており、冷源が前記冷源コネクタ1と、前記フレキシブル接続パイプ4と、前記カテーテル本体5内に設置されている前記冷源吸気室51とを通じて前記第1のバルーン本体31内へ輸送され、前記第1のバルーン本体31を拡張させる。1つの実施形態において、前記冷源コネクタ1の近位端には少なくとも1つの接続プラグが設置されており、前記接続プラグが冷凍デバイスと接続されており、前記冷源コネクタ1の遠位端は前記フレキシブル接続パイプ4によって前記操縦ハンドル2の近位端と接続されており、冷凍デバイスは冷源コネクタ1を通じて冷凍アブレーションカテーテルへ冷却剤を提供する。
【0048】
1つの実施形態において、前記カテーテル本体5の最も遠位端にはカテーテルヘッド55が設置されている。好ましくは、前記カテーテルヘッド55がポリマーホースである。前記カテーテル本体5内にはガイドワイヤールーメン56がさらに設置されており、カテーテルヘッド55は接着又は溶接プロセスによってガイドワイヤールーメン56の遠位端と固定接続されており、これにより冷凍アブレーションカテーテルが輸送過程において血管又は組織を損傷するのを防止する。第1のバルーン本体31の遠位端は、接着又は溶接等のプロセスによって前記ガイドワイヤールーメン56と固定接続されており、前記第1のバルーン本体31の近位端は接着又は溶接等のプロセスによって冷源回路と固定接続されており、前記冷源回路は、冷源吸気室51及び冷源還気室52を含む。前記冷源回路は、冷源コネクタ1によって冷凍デバイスと接続することができる。
【0049】
前記操縦ハンドル2は、湾曲調整ユニット21と、ガイドワイヤールーメン操縦ユニット22とをさらに含み、前記湾曲調整ユニット21は前記カテーテルヘッド55の遠位端の動きを制御し、前記カテーテルヘッド55の遠位端の湾曲形状を制御することにより、冷凍ユニット3が治療部位に到達しやすくなる。ガイドワイヤールーメン操縦ユニット22がガイドワイヤールーメン56の近位端と固定接続されており、ガイドワイヤールーメン操縦ユニット22は、前記ガイドワイヤールーメン56の管腔と連通する液体注入口を含み、必要に応じて該液体注入口を通じて生理食塩水、造影剤又はその他の液体を注入することができる。
【0050】
本願に係る冷凍アブレーションカテーテルの作用方式は以下のとおりである。冷凍アブレーションカテーテルの冷凍ユニット3を標的組織領域に入るようプッシュし、第1のバルーン本体31を十分に充満させ、第2のバルーン本体32が第1のバルーン本体31の膨張に伴って膨張する。第1のバルーン本体31と第2のバルーン本体32との間にエネルギー伝導隔離用チャンバ6が形成される。冷凍アブレーションカテーテル全体をプッシュして、湾曲調整ユニット21を操作し、冷凍ユニット3を標的組織と接触可能にする。上記のステップを完成した後、冷凍デバイスを操作することにより、第1のバルーン本体31内へ液体冷却剤を輸送し、標的組織の冷凍を実施する。第1のバルーン本体31と第2のバルーン本体32との間にエネルギー伝導を隔離可能なチャンバ6が形成されているので、該領域に断熱保護を形成し、周辺組織が冷凍エネルギーにより誤って損傷されるのを防止する。
【0051】
従来の冷凍アブレーション手術において、冷凍エネルギーの伝導により、標的組織周辺の領域が冷凍されてしまうことがよくある。本願に係る冷凍アブレーションカテーテルの作用原理は以下のとおりである。第1のバルーン本体31と第2のバルーン本体32との間にエネルギー伝導隔離用チャンバ6を形成し、冷凍エネルギーが周辺領域に作用できなくなり、これにより断熱保護を形成する。異なる手術において異なる冷凍アブレーション領域の周囲組織を保護する具体的な要求に応じて、前記チャンバ6が前記第1のバルーン本体31の遠位端、あるいは、第1のバルーン本体31の両端、あるいは、第1のバルーン本体31の一方側に設置されてもよい。例えば、心房細動冷凍アブレーション手術において、冷凍アブレーションの標的組織が肺静脈前庭であり、標的組織の先端が横隔神経に近く、横隔神経が冷凍されたら横隔神経麻痺を引き起こしてしまうので、冷凍ユニット3の遠位端にエネルギー伝導隔離用チャンバ6を設置することができる。腎動脈交感神経の冷凍アブレーション手術において、冷凍アブレーションの標的組織が腎動脈の中遠位端であり、標的組織遠位端が腎盂に近く、腎盂が冷凍されたら機能的インポテンスが引き起こされ、標的組織の近位端が大動脈に近く、大動脈が不適切に冷凍されたら関連合併症も引き起こされるので、冷凍ユニット3の遠位端及び近位端の両方にもエネルギー伝導隔離用チャンバ6を設置することができる。したがって、前記エネルギー伝導隔離用チャンバ6の位置の設置が手術のタイプ及び保護しようとする組織により決められる。本願に係る冷凍アブレーションカテーテルは、構造が簡単で、エネルギー伝導隔離用チャンバ6の設置により、冷凍エネルギーが該箇所で伝導できなくなり、断熱効果が良好であるので、冷凍エネルギーの放出領域を制限し、合併症発生の確率を低下させ、治療コストを節約することができる。しかも、本願は、異なる手術において異なる冷凍アブレーション領域の周囲組織を保護する具体的な要求に応じて、1つ又は複数のエネルギー伝導隔離用チャンバ6を設置し、手術において冷凍エネルギーの周辺組織への損傷を低減することができ、適用範囲が広い。
【0052】
実施例二
本実施例と実施例一との相違点は以下の通りである。前記第1のバルーン本体31と前記第2のバルーン本体32との間に、非治療部位に近い領域には支持構造が設置されており、前記第1のバルーン本体31及び前記第2のバルーン本体32が拡張すると、前記支持構造が前記第1のバルーン本体31と前記第2のバルーン本体32との間に形成されたエネルギー伝導隔離用チャンバ6を支持することができ、これによりエネルギー伝導隔離用チャンバ6の形態の安定性及び確実性を確保する。
【0053】
1つの実施形態において、前記支持構造33は前記第1のバルーン本体31の近位端に設置されているバルーン331である。
図2に示すように、前記カテーテル本体5はその軸方向に沿って延伸するバルーン充満室54をさらに含み、前記バルーン充満室54が前記バルーン331と流体連通されている。治療過程において、まず第1のバルーン本体31内へ適量の冷却剤を注入し、第1のバルーン本体31及び第2のバルーン本体32を膨張させる。バルーン充満室54を通じて液体/気体を注入して、前記バルーン331を充満させることができ、バルーン331の膨張が支持の役割を果たすため、真空断熱チャンバを安定させて確実にし、チャンバ6内が予め真空引きされているか、又は断熱媒体を注入しているので、冷凍エネルギーの冷凍ユニット3の近位端への伝導を防止することができる。その後、冷凍アブレーション治療を開始して、第1のバルーン本体31内へ冷却剤を注入することにより、治療領域の熱を吸収して、冷凍アブレーションの結果を達成することができる。
【0054】
実施例三
本実施例と実施例二との相違点は以下の通りである。
図3に示すように、支持構造33が所定形状を有する1本又は複数本の記憶合金ワイヤ332で作製することができ、前記支持構造33、第1のバルーン本体31及び第2のバルーン本体32が病変部位に到達する前に圧縮状態である。前記第1のバルーン本体31が病変部位へ輸送されると、前記支持構造33は所定形状に復帰することにより、支持が可能となる。その後、冷凍アブレーション治療を開始して、第1のバルーン本体31内へ冷却剤を注入し、これにより治療領域の熱を吸収して、冷凍アブレーションの効果を達成することができる。前記記憶合金ワイヤは、ニチノールワイヤであることが好ましい。好適な実施形態において、前記所定形状は、螺旋状(
図12Aに示すように)、籠状(
図3に示すように)又は傘状(
図16に示すように)を含む。前記記憶合金ワイヤは、熱処理によって螺旋状、籠状又は傘状等の形状に定型化されている。
【0055】
実施例四
本実施例と実施例二との相違点は以下の通りである。前記支持構造33は、前記第1のバルーン本体31上に設置されている突起333である。前記突起333が非治療領域に隣接し、支持の役割を果たすことができ、前記チャンバの形成に有利である。
図4に示すように、前記突起333が乳様突起状であり、あるいは、
図5に示すように、前記突起333が螺紋状である。前記突起333が第1のバルーン本体31の近位端部に設置されて前記第1のバルーン本体31と一体化した構造である。前記第1のバルーン本体31が膨張すると、前記突起333は、第1のバルーン本体31の近位端部と第2のバルーン本体32の近位端部とを隔たることにより、前記第1のバルーン本体31と前記第2のバルーン本体32との間にエネルギー伝導隔離用チャンバ6が形成される。第1のバルーン本体31と第2のバルーン本体31との間は予め真空引きされているか、又は断熱媒体を注入しており、この場合、第1のバルーン31の近位端に断熱空間が形成され、冷凍エネルギーの冷凍ユニット3の近位端への伝導が防止される。冷凍ユニット3がアブレーションすべき位置に到達すると、第1のバルーン本体31内へ冷却剤を注入し、これにより治療領域の熱を吸収して、冷凍アブレーションの効果を達成することができる。
【0056】
実施例五
本実施例と実施例二との相違点は以下の通りである。前記支持構造33の構造が前記第1のバルーン本体31の近位端及び/又は遠位端に設置されているシワ334である。前記シワ334は、第1のバルーン本体31それ自体が折り畳んで径変化により形成したものである。
図6A及び6Bに示すように、該シワは、前記第1のバルーン本体31の近位端部が直接に積み重ねてなる。第1のバルーン本体31が径変化により規則的に折り畳むと、一定の高さのシワを形成する。これらのシワ334は支持の役割を果たし、第2のバルーン本体32が第1のバルーン本体31上に貼り付けるのを防止し、エネルギー伝導隔離用チャンバ6を形成する。第1のバルーン本体31と第2のバルーン本体31との間は予め真空引きされているか、又は断熱媒体を注入しており、エネルギー伝導隔離用チャンバ6は冷凍エネルギーの冷凍ユニット3の近位端への伝導を防止する。冷凍ユニット3がアブレーションすべき位置に到達すると、第1のバルーン本体31内へ冷却剤を注入し、これにより治療領域の熱を吸収して、冷凍アブレーションの効果を達成する。もちろん、異なる治療部位に応じて、シワは、第1のバルーン本体31の遠位端に設置されてもよい。
【0057】
実施例六
本実施例と実施例二との相違点は以下の通りである。前記支持構造が複数本の帯状又はワイヤ状の構造335からなり、前記帯状又はワイヤ状の構造335の両端がそれぞれ前記第2のバルーン本体32の両端と固定接続されており、前記第1のバルーン本体31及び前記第2のバルーン本体32が膨張すると、前記帯状又はワイヤ状の構造335が強く張られて支持を形成し、これにより、前記第1のバルーン本体31と前記第2のバルーン本体32との間にエネルギー伝導隔離用チャンバ6が形成される。
【0058】
図7A及び7Bに示すように、前記支持構造33が扁平のポリマー帯状物であり、その一方端が第2のバルーン本体32の遠位端に固定されており、他方端が第2のバルーン本体32の近位端に固定されており、両端がいずれも第2のバルーン本体32の内部に位置している。第1のバルーン本体31及び第2のバルーン本体32が膨張した後、該帯状物がまっすぐ伸ばされ、これにより一定の支持能力を持つようになっている。この時、第1のバルーン本体31と第2のバルーン本体31との間は予め真空引きされているか、又は断熱媒体を注入しているため、チャンバ6はエネルギーの伝導を阻止することができる。その後、冷凍アブレーション治療を開始して、第1のバルーン本体31内へ冷却剤を注入し、これにより治療領域の熱を吸収して、冷凍アブレーションの効果を達成することができる。
【0059】
図8A及び8Bに示すように、前記支持構造が蚕糸であり、その一方端が第2のバルーン本体32の遠位端に固定されており、他方端が第2のバルーン本体32の近位端に固定されており、両端がいずれも第2のバルーン本体32の内部に位置している。第1のバルーン本体31及び第2のバルーン本体32が膨張した後、該蚕糸がまっすぐ伸ばされ、これにより一定の支持能力を持つようになっている。この時、第1のバルーン本体31と第2のバルーン本体31との間は予め真空引きされているか、又は断熱媒体を注入しており、チャンバ6はエネルギーの伝導を阻止することができる。その後、冷凍アブレーション治療を開始して、第1のバルーン本体31内へ冷却剤を注入し、これにより治療領域の熱を吸収して、冷凍アブレーションの効果を達成することができる。
【0060】
実施例七
図9A及び9Bに示すように、本願に係る冷凍アブレーションカテーテルは、冷源コネクタ1、操縦ハンドル2、冷凍ユニット3、フレキシブル接続パイプ4及びカテーテル本体5を含み、遠位端及び近位端を有するカテーテル本体5は、その軸方向に沿って延伸する冷源吸気室51、冷源還気室52及び注入吸引室53を含み、前記注入吸引室53の遠位端には注入吸引ポート531が設置されており、前記冷凍ユニット3は、カテーテル本体5の遠位端部に設置されており、前記冷源吸気室51及び前記冷源還気室52と流体連通されている第1のバルーン本体31、及び前記第1のバルーン本体31外に設置されている第2のバルーン本体32を含み、前記第2のバルーン本体32が前記注入吸引室53と流体連通されており、前記第1のバルーン本体31が拡張し、及び第2のバルーン本体32が前記注入吸引室53によって真空引きされているか、又は断熱媒体を注入している場合、前記第1のバルーン本体31と前記第2のバルーン本体32との間にエネルギー伝導隔離用の断熱チャンバ6が形成される。前記第1のバルーン本体31の長さが前記第2のバルーン本体32より短く、前記第1のバルーン本体31及び前記第2のバルーン本体32のバルーン壁の一部が貼り合わせ状態にあり、前記第1のバルーン本体31及び前記第2のバルーン本体32のバルーン壁の貼り合わせ部分が冷凍エネルギーを治療部位を伝導する通路である。
【0061】
1つの実施形態において、前記第1のバルーン本体31と第2のバルーン本体32との間にさらに支持構造が設置されており、前記第1のバルーン本体31及び前記第2のバルーン本体32が拡張すると、前記支持構造は、1のバルーン31と前記第2のバルーン本体32との間に形成されたエネルギー伝導隔離用チャンバ6を支持できるようになり、第2のバルーン本体32が注入吸引室53によって真空引きされた場合、前記支持構造は、第2のバルーン本体32が凹まないよう確保し、前記エネルギー伝導隔離用チャンバ6の形態を安定させて確実にすることができる。
【0062】
実施例八
図10に示すように、本願に係る冷凍アブレーションシステムは、冷凍アブレーションカテーテル及び冷凍アブレーションデバイスを含む。前記冷凍アブレーションカテーテルは、実施例7に記載されているような構造を有する。前記冷凍アブレーションデバイスは、断熱モジュール101、第1の温度回復モジュール102、第2の温度回復モジュール102’、冷凍モジュール103及び制御システム104を含む。前記断熱モジュール101及び第2の温度回復モジュール102’がそれぞれ注入吸引室53と互いに連通されており、第2の温度回復モジュール102’が断熱モジュール101と互いにロックしており、両者のうち一方のみが動作可能な状態ある。前記冷凍モジュール103が前記冷源吸気室51及び前記冷源還気室52と連通されており、第1の温度回復モジュール102が冷源吸気室51と互いに連通されており、冷凍モジュール103が第1の温度回復モジュール102と互いにロックしており、両者のうち一方のみが動作可能な状態にある。制御システム104は、前記断熱モジュール101、前記冷凍モジュール103、前記第1の温度回復モジュール102及び第2の温度回復モジュール102’のパラメータを制御する。
【0063】
冷凍アブレーション段階において、前記冷凍モジュール103における前記冷凍エネルギーが冷源吸気室51を通じて1のバルーン31内へ輸送され、前記第1のバルーン本体31及び前記第2のバルーン本体32を拡張させる。前記冷凍アブレーションシステムが前記断熱モジュール101を通じて前記第2のバルーン本体32に断熱媒体を注入するか、又は真空引きを行い、前記第1のバルーン本体31と前記第2のバルーン本体32との間に形成されたエネルギー伝導隔離用チャンバ6に断熱媒体を注入するか、又は負圧引き状態にする。これにより冷凍エネルギーが前記チャンバ6を通じて伝導するのを阻止する。
【0064】
温度回復段階において、前記第1の温度回復モジュール102及び前記第2の温度回復モジュール102’がそれぞれ前記冷源吸気室51及び前記注入吸引室53を通じて前記第1のバルーン本体31及び前記第2のバルーン本体32に温度回復流体を注入し、前記冷凍ユニット3が迅速に解凍できるようになる。前記温度回復流体の温度が0~45℃間である。
【0065】
1つの実施形態において、前記断熱モジュール101が注入吸引室53を通じて、第2のバルーン本体32を真空引きし、これにより断熱機能を実現する。前記断熱モジュール101が真空ポンプである。
【0066】
もう1つの実施形態において、前記断熱モジュール101が注入吸引室53を通じて、第2のバルーン本体32に断熱媒体を注入し、これにより断熱機能を実現し、前記断熱モジュール101が充填ポンプである。
【0067】
実施例九
本実施例と実施例八との相違点は以下の通りである。
図11に示すように、前記支持構造33は、前記第1のバルーン本体31の近位端に設置されているバルーン331である。前記カテーテル本体5は、その軸方向に沿って延伸するバルーン充満室54をさらに含み、前記バルーン充満室54が前記バルーン331と流体連通されている。治療過程において、まず、第1のバルーン本体31内に適量の冷却剤を注入し、第1のバルーン本体31及び第2のバルーン本体32を膨張させる。バルーン充満室54を通じて液体/気体を注入し、前記バルーン331を充満させ、断熱ユニット101が注入吸引室53及び注入吸引ポート531を通じて、第1のバルーン本体31と第2のバルーン本体32との間の空間に対して負圧引きするか、又は断熱媒体を注入し、バルーン331の膨張が支持の役割を果たすので、断熱用チャンバ6を安定させて確実にし、冷凍エネルギーの冷凍ユニット3の近位端への伝導を防止する。その後、冷凍アブレーション治療を開始して、第1のバルーン本体31内へ冷却剤を注入し、これにより治療領域の熱を吸収して、冷凍アブレーションの結果を達成する。温度回復段階において、第2の温度回復ユニット102’が吸引ポート531を通じて前記第2のバルーン本体32内に温度回復流体を注入し、同時に、第1の温度回復ユニット102が冷源吸気室51を通じて前記第1のバルーン本体31内に温度回復流体を注入し、冷凍ユニット3の温度回復の速度を上げる。
【0068】
実施例十
本実施例と実施例八との相違点は以下の通りである。
図12Aに示すように、支持構造33は、所定形状を有する1本又は複数本の記憶合金ワイヤ332で作製することができ、前記支持構造33の一端がプッシュロッド58と接続されており、前記第1のバルーン本体31が病変部位へ輸送されると、前記支持構造33が前記プッシュロッド58によって前記第1のバルーン本体31の近位端にプッシュされ、第1のバルーン本体31と第2のバルーン本体32との間に位置して、その所定形状に復帰し、これにより支持を行う。
図12Bは、
図12Aにおけるカテーテル本体5の横断面模式図であり、
図12Bに示すように、洗浄室53の注入吸引ポート531によって第1のバルーン本体31と第2のバルーン本体32との間のチャンバ6に対して負圧引きするか、又は断熱媒体を注入し、エネルギー遮断を実現する。その後、冷凍アブレーション治療を開始して、第1のバルーン本体31内へ冷却剤を注入し、これにより治療領域の熱を吸収して、冷凍アブレーションの効果を達成することができる。温度回復段階において、第2の温度回復ユニット102’は注入吸引室53の吸引ポート531を通じて前記第2のバルーン本体32内に温度回復流体を注入し、同時に第1の温度回復ユニット102は冷源吸気室51を通じて前記第1のバルーン本体31内に温度回復流体を注入し、冷凍ユニット3の温度回復の速度を上げる。前記記憶合金ワイヤは、ニチノールワイヤであることが好ましい。好適な実施形態において、前記所定形状は、螺旋状、籠状又は傘状を含む。前記記憶合金ワイヤは、熱処理によって螺旋状、籠状又は傘状等の形状に定型化され、前記冷凍アブレーションカテーテルが病変部位へ輸送される過程において、前記支持構造33が前記カテーテル本体5内に圧縮され、プッシュハンドルによって支持構造33を第1のバルーン本体31と第2のバルーン本体32との間へプッシュすると、記憶合金ワイヤ332で作製された支持構造33が、熱処理後の形状に復帰する。
【0069】
実施例十一
本実施例と実施例八との相違点は以下の通りである。前記支持構造が複数本の帯状又はワイヤ状の構造335からなり、前記帯状又はワイヤ状の構造335の両端がそれぞれ前記第2のバルーン本体32の両端と固定接続されており、前記第1のバルーン本体31が膨張すると、記帯状又はワイヤ状の構造335が強く張られて支持を形成し、これにより前記第1のバルーン本体31と前記第2のバルーン本体32との間にエネルギー伝導隔離用チャンバ6を形成する。
【0070】
図13A及び13Bに示すように、前記支持構造33が扁平なポリマー帯状物であり、その一方端が第2のバルーン本体32の遠位端に固定され、他方端が第2のバルーン本体32の近位端に固定されており、両端がいずれも第2のバルーン本体32の内部に位置している。第1のバルーン本体31及び第2のバルーン本体32が膨張した後、該帯状物がまっすぐ伸ばされ、これにより一定の支持能力を持つようになっている。この場合、該領域に対して負圧引きを行うか、又は断熱媒体を充填すれば、エネルギー遮断を形成する。その後、冷凍アブレーション治療を開始して、第1のバルーン本体31内へ冷却剤を注入し、これにより治療領域の熱を吸収して、冷凍アブレーションの効果を達成する。温度回復段階において、第2の温度回復ユニット102’が吸引ポート531を通じて前記第2のバルーン本体32内に温度回復流体を注入し、同時に第1の温度回復ユニット102が冷源吸気室51を通じて前記第1のバルーン本体31内に温度回復流体を注入し、冷凍ユニット3の温度回復の速度を上げる。
【0071】
図14A及び14Bに示すように、前記支持構造が蚕糸であり、その一方端が第2のバルーン本体32の遠位端に固定され、他方端が第2のバルーン本体32の近位端に固定されており、両端がいずれも第2のバルーン本体32の内部に位置している。第1のバルーン本体31及び第2のバルーン本体32が膨張した後、該蚕糸がまっすぐ伸ばされ、これにより一定の支持能力を持つようになっている。この場合、該領域に対して負圧引きを行うか、又は断熱媒体を注入し、エネルギー遮断を形成する。その後、冷凍アブレーション治療を開始して、第1のバルーン本体31内へ冷却剤を注入し、これにより治療領域の熱を吸収して、冷凍アブレーションの効果を達成することができる。
【0072】
図15に示すように、前記支持構造33が扁平なポリマー帯状物335であり、その一方端が第2のバルーン本体32の遠位端に固定され、他方端が第2のバルーン本体32の近位端に固定されており、両端がいずれも第2のバルーン本体32の内部に位置している。第1のバルーン本体31及び第2のバルーン本体32が膨張した後、該帯状物がまっすぐ伸ばされ、これにより一定の支持能力を持つようになっている。第1のバルーン本体31の遠位端及び近位端の両方にもエネルギー伝導隔離用チャンバ6が形成される。この場合、該領域に対して負圧引きを行うか、又は断熱媒体を注入し、冷凍エネルギーの冷凍ユニット3の両端への伝導を防止する。その後、冷凍アブレーション治療を開始して、第1のバルーン本体31内へ冷却剤を注入し、これにより治療領域の熱を吸収して、冷凍アブレーションの効果を達成することができる。
【0073】
最後に説明すべきことに、上述した内容は、本願の好適な実施例に過ぎず、本願を制限するためではなく、本願の趣旨及び原則内でなされた如何なる変更、等価置換及び改進等は、いずれも本願の保護範囲内に含まれるべきである。