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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-01-16
(45)【発行日】2023-01-24
(54)【発明の名称】キャンドモータポンプ
(51)【国際特許分類】
   F04D 13/06 20060101AFI20230117BHJP
【FI】
F04D13/06 F
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2021099019
(22)【出願日】2021-06-14
(65)【公開番号】P2022190611
(43)【公開日】2022-12-26
【審査請求日】2021-06-14
(73)【特許権者】
【識別番号】514084060
【氏名又は名称】日益電機股▲ふん▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】ZI YI ELECTRICAL ENGINEERING CO., LTD.
【住所又は居所原語表記】No.20, Jingke S. Rd., Nantun Dist., Taichung City, TAIWAN,
(74)【代理人】
【識別番号】100091487
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 行孝
(74)【代理人】
【識別番号】100120031
【弁理士】
【氏名又は名称】宮嶋 学
(74)【代理人】
【識別番号】100127465
【弁理士】
【氏名又は名称】堀田 幸裕
(74)【代理人】
【識別番号】100196047
【弁理士】
【氏名又は名称】柳本 陽征
(72)【発明者】
【氏名】▲黄▼ 丁財
【審査官】中村 大輔
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-207513(JP,A)
【文献】特開2011-166944(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F04D 13/06
H02K 5/128
H02K 7/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
モータ手段と、該モータ手段を外から囲んで保持する保持手段とを備えるキャンドモータポンプであって、
前記モータ手段は、所定の軸線に沿って前後に延伸する回転軸を有し、該軸線を中心として回転するロータと、
前記ロータを囲んで保持する略筒状のケース本体部及び該ケース本体部の前端部から前記軸線の外側へ張り出すフランジ部を有するように形成されているロータ保持ケースと、
前記ロータ保持ケースのケース本体部と前記保持手段との間に介在するように、前記保持手段により保持固定されるステータと、
前記ロータの前端側に取り付けられて前記ロータにより回転駆動される羽根車と、を有しており、
該キャンドモータポンプは、前記ロータ保持ケースと前記ステータとの間に介在するモータカバーを更に備えており、
前記モータカバーは、前記ロータ保持ケースの前記フランジ部の後側の端面に当接する環状の当接リング部と、前記当接リング部の内周縁から後方へ延伸して前記ロータ保持ケースの前記ケース本体部の外側を包む管状部と、前記管状部の後端が開口しないように該後端を覆う底部と、を有する上、前記底部の前記ロータ保持ケースに面する内側端面において凹陥する環状の環状溝と、前記環状溝に連通するように該内側端面において凹陥する収容穴と、前記ロータ保持ケースに向かって開口するように凹陥し、且つ、前記環状溝に連通するように前記管状部の前記ロータ保持ケースに面する内周面から、前記底部の前記内側端面まで延伸する案内溝と、が形成され、
前記モータカバーの前記底部の前記ロータ保持ケースに面しない外側端面には、漏れ感知センサが配置されており、該漏れ感知センサは、前記収容穴と該漏れ感知センサ自体との静電容量の変化を感知することを特徴とするキャンドモータポンプ。
【請求項2】
前記モータカバーの前記底部の前記ロータ保持ケースに面しない外側端面には、位置が前記収容穴に対応する突起エリアが形成されており、
前記漏れ感知センサは、該突起エリアに取り付けられていることを特徴とする請求項1に記載のキャンドモータポンプ。
【請求項3】
前記モータカバーの前記底部は、外周縁が前記管状部の後端に接する円環状部分と、前記円環状部分の内側の周縁から後側へ突起し、且つ、前記軸線が通過する中央突起部分と、を有しており、
前記モータカバーの前記底部の前記内側端面には、前記中央突起部分に対応する凹陥穴部が形成され、前記収容穴と前記案内溝は、前記凹陥穴部に連通することを特徴とする請求項2に記載のキャンドモータポンプ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はキャンドモータポンプに関し、特に、漏れ感知機能を有するキャンドモータポンプに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、ベースユニット及び該ベースユニットの内側に固定されているモータユニットを備え、該モータユニットのロータが収容される収容空間を画成する第1の殻部と、該第1の殻部の後端部にある第1の側壁を、前記収容空間と反対する外側から覆う第2の側壁を有する第2の殻部と、を有し、前記第1の側壁と前記第2の側壁とは、両者の間に介在する液体収集空間が画成される構成になっているキャンドモータポンプが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】台湾実用新案登録第M600801号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のような従来のキャンドモータポンプは、該キャンドモータポンプが輸送する液体が第1の殻部及び第2の殻部の間に漏れても、第1の側壁と第2の側壁との間に介在する液体収集空間に貯めこまれるようになり、そして漏れ感知センサの感知モジュールにより液体収集空間と自体との静電容量の変化を検知することで該液体の漏れを素早く確認することが可能な効果が得られる。
【0005】
しかし、この構成では、第1の殻部及び第2の殻部の間に漏れる液体の量が少量である場合では、液体収集空間に上手く案内されないために検知されない可能性があるため、更に改善する余地が残されている。
【0006】
よって、本発明は上記問題点に鑑みて、輸送する液体の漏れをより確実に感知することできるキャンドモータポンプを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成すべく、本発明はモータ手段と、該モータ手段を外から囲んで保持する保持手段とを備えるキャンドモータポンプであって、前記モータ手段は、所定の軸線に沿って前後に延伸する回転軸を有し、該軸線を中心として回転するロータと、前記ロータを囲んで保持する略筒状のケース本体部及び該ケース本体部の前端部から前記軸線の外側へ張り出すフランジ部を有するように形成されているロータ保持ケースと、前記ロータ保持ケースの前端側において、前記保持手段により保持固定されるステータと、前記ロータの前端側に取り付けられて前記ロータにより回転駆動される羽根車と、を有しており、該キャンドモータポンプは、前記ロータ保持ケースと前記ステータとの間に介在するモータカバーを更に備えており、前記モータカバーは、前記ロータ保持ケースの前記フランジ部の後側の端面に当接する環状の当接リング部と、前記当接リング部内周縁から後方へ延伸して前記ロータ保持ケースの前記ケース本体部の外側を包む管状部と、前記管状部の後端が開口しないように該後端を覆う底部と、を有する上、前記底部の前記ロータ保持ケースに面する内側端面において凹陥する環状の環状溝と、前記環状溝に連通するように該内側端面において凹陥する収容穴と、前記ロータ保持ケース向かって開口するように凹陥し、且つ、前記環状溝に連通するように前記管状部の前記ロータ保持ケースに面する内周面から、前記底部の前記ロータ保持ケースに面する内側端面まで延伸する案内溝と、が形成され、前記モータカバーの前記底部の前記ロータ保持ケースに面しない外側端面には、前記収容穴と自体との静電容量の変化を感知する漏れ感知センサが配置されていることを特徴とするキャンドモータポンプを提供する。
【発明の効果】
【0008】
上記のように、本発明のキャンドモータポンプは、モータカバーに、底部のロータ保持ケースに面する内側端面において凹陥する環状の環状溝と、環状溝に連通する収容穴と、環状溝に連通するように管状部のロータ保持ケースに面する内周面から、底部のロータ保持ケースに面する内側端面まで延伸する案内溝と、が形成されているので、ロータ保持ケースとモータカバーとの間に漏れる液体の量が少量である場合であっても、前記案内溝と前記環状溝とが形成されているので、この少量な液体を収容穴に案内することにより、該収容穴と漏れ感知センサとの静電容量の変化から、液体漏れの発生を感知することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明のキャンドモータポンプの一実施形態の構成が示される分解斜視図である。
図2】本発明のキャンドモータポンプの一実施形態の構成が示される断面図である。
図3】本発明のキャンドモータポンプの一実施形態におけるモータカバーの構成が示される斜視図である。
図4図3とは異なった視角で同モータカバーの構成が示される斜視図である。
図5図2におけるV‐V線に沿った断面の構成が示される断面図である。
図6】本発明のキャンドモータポンプの一実施形態の構成が示される要部拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明に係るキャンドモータポンプの実施形態について、図面を参照して説明する。
【0011】
図1は本発明のキャンドモータポンプの一実施形態の構成が示される分解斜視図であり、図2は同実施形態の構成が示される断面図であり、図3は同実施形態におけるモータカバーの構成が示される斜視図であり、図4図3とは異なった視角で同モータカバーの構成が示される斜視図であり、図5図2におけるV‐V線に沿った断面の構成が示される断面図であり、図6は同実施形態の構成が示される要部拡大断面図である。
【0012】
図1に示されるように、該キャンドモータポンプは、大まかにモータ手段30と、該モータ手段30を外から囲んで保持する保持手段10と、モータカバー40と、漏れ感知センサ50と、を備える。
【0013】
図2及び図6に示されるように、モータ手段30は、所定の軸線Lに沿って前後方向Xに延伸する回転軸35を有し、該軸線Lを中心として回転するロータ32と、ロータ32を囲んで保持する略筒状のケース本体部311及び該ケース本体部311の前端部から軸線Lの外側へ張り出すフランジ部312を有するように形成されているロータ保持ケース31と、ロータ保持ケース31のケース本体部311と保持手段10との間に介在するように、保持手段10により保持固定されるステータ33と、ロータ32の前端側に取り付けられてロータ32により回転駆動される羽根車34と、を有している。
【0014】
また、図2及び図5に示されるように、保持手段10は、モータ手段30のロータ保持ケース31のフランジ部312を囲んで保持するプラスチック材料の第1の保持枠11と、モータ手段30のステータ33を受け入れて保持すると共に、第1の保持枠11により保持されている金属材料の第2の保持枠12と、モータ手段30の前端側に配置されて、モータ手段30のロータ保持ケース31のフランジ部312及び羽根車34を覆うように第1の保持枠11に取り付けられているフロントカバー13と、を有している。
【0015】
第1の保持枠11の構成に使用できるプラスチック材料としては、耐薬品性の強い材料を用いることが好ましく、例えば、ポリプロピレン、ガラス繊維強化ポリプロピレン(GRFPP)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、カーボン繊維強化ETFE(CFR-ETFE)などが挙げられる。
【0016】
そして金属材料の第2の保持枠12は、例えばアルミニウム合金を用いて形成することができる。
【0017】
この実施形態において、ロータ保持ケース31は、フランジ部312が第1の保持枠11と係合することにより保持手段10に固定され、そして略筒状のケース本体部311の後端には、略板状の回転軸保持部313が形成されている。回転軸保持部313には、回転軸35の後端部を受け入れると共に、回転軸35の後端部を回転可能に保持する回転軸受入穴315が形成されている。
【0018】
図2に示されるように、モータカバー40は、モータ手段30のロータ保持ケース31とステータ33との間に介在する。その具体的形状については、図3及び図4に示されている。
【0019】
図2図4に示されているように、モータカバー40は、ロータ保持ケース31のフランジ部312の後側の端面に当接する環状の当接リング部42と、当接リング部42の内周縁から後方へ延伸してロータ保持ケース31のケース本体部311の外側を包む管状部41と、管状部41の後端が開口しないように該後端を覆う底部44と、を有して略カップ状に形成されている。また、モータカバー40の底部44は、外周縁が管状部41の後端に接する円環状部分442と、円環状部分442の内側の周縁から後側へ突起し、且つ、軸線Lが通過する中央突起部分445と、を有するように形成されている。そして、モータカバー40の底部44のロータ保持ケース31側に面する内側端面43には、中央突起部分445に対応する凹陥穴部432が形成されている。
【0020】
更に、図3及び図6に示されているように、底部44のロータ保持ケース31側に面する内側端面43において凹陥する環状の環状溝46と、環状溝46に連通するように該内側端面43において凹陥する収容穴47と、ロータ保持ケース31に向かって開口するように凹陥し、且つ、環状溝46に連通するように管状部41のロータ保持ケース31に面する内周面から、底部44のロータ保持ケース31側に面する内側端面43にまで延伸する案内溝48と、が形成されている。即ち、この実施形態において、案内溝48は管状部41のロータ保持ケース31に面する内周面において延伸する第1の溝部481と、底部44のロータ保持ケース31側に面する内側端面43において延伸する第2の溝部482と、を有している。そしてこの実施形態において、収容穴47と案内溝48は、凹陥穴部432に連通するように形成されている。
【0021】
また、モータカバー40の底部44のロータ保持ケース31に面しない外側端面には、位置が収容穴47に対応する突起エリア443が形成されており、該突起エリア443に、漏れ感知センサ50が取り付けられている。
【0022】
この実施形態において、漏れ感知センサ50として、収容穴47と自体との静電容量の変化を感知する静電容量式近接スイッチが用いられている。
【0023】
本実施形態のキャンドモータポンプは、モータカバー40に、底部44のロータ保持ケース31に面する内側端面43において凹陥する環状の環状溝46と、環状溝46に連通する収容穴47と、環状溝46に連通するように管状部41のロータ保持ケース31に面する内周面から、底部44のロータ保持ケース31に面する内側端面43まで延伸する案内溝48と、が形成されているので、ロータ保持ケース31とモータカバー40との間に漏れる液体の量が少量である場合であっても、案内溝48と環状溝46とが形成されているため、この少量の液体は案内溝48と環状溝46とにより収容穴47に案内されるので、該収容穴47と漏れ感知センサ50との静電容量の変化から、液体漏れの発生を検知することで、該液体の漏れを素早く確認することが可能となり、パーツの取り替えなどの早期対応によりキャンドモータポンプの他の部分の故障を防ぐことが期待できる。
【0024】
以上、本発明の実施形態を説明したが、本発明はこれらに限定されるものではなく、最も広い解釈の精神および範囲内に含まれる様々な構成として、全ての修飾および均等な構成を包含するものとする。
【産業上の利用可能性】
【0025】
上記のように、本発明のキャンドモータポンプは、ロータ保持ケースとモータカバーとの間に漏れる液体の量が少量である場合であっても、液体漏れの発生を感知することができ、故障の発生が未然に防がれる可能性が高くなる。
【符号の説明】
【0026】
10 保持手段
11 第1の保持枠
12 第2の保持枠
13 フロントカバー
30 モータ手段
31 ロータ保持ケース
311 ケース本体部
312 フランジ部
313 回転軸保持部
315 回転軸受入穴
32 ロータ
33 ステータ
34 羽根車
35 回転軸
40 モータカバー
41 管状部
42 当接リング部
43 内側端面
432 凹陥穴部
44 底部
442 円環状部分
443 突起エリア
445 中央突起部分
46 環状溝
47 収容穴
48 案内溝
481 第1の溝部
482 第2の溝部
50 漏れ感知センサ
図1
図2
図3
図4
図5
図6