(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-01-16
(45)【発行日】2023-01-24
(54)【発明の名称】引裂またはシワ不良を防止できる電解銅箔、それを含む電極、それを含む二次電池、およびその製造方法
(51)【国際特許分類】
C25D 1/04 20060101AFI20230117BHJP
C25D 1/00 20060101ALI20230117BHJP
C23C 26/00 20060101ALI20230117BHJP
H01M 4/66 20060101ALI20230117BHJP
【FI】
C25D1/04 311
C25D1/00 311
C25D1/00 Z
C23C26/00 A
H01M4/66 A
(21)【出願番号】P 2021551986
(86)(22)【出願日】2020-11-13
(86)【国際出願番号】 KR2020015965
(87)【国際公開番号】W WO2021101176
(87)【国際公開日】2021-05-27
【審査請求日】2021-09-01
(31)【優先権主張番号】10-2019-0150514
(32)【優先日】2019-11-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】518133500
【氏名又は名称】エスケー ネクシリス カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100120857
【氏名又は名称】渡邉 聡
(72)【発明者】
【氏名】キム スン ミン
(72)【発明者】
【氏名】ジュン イン ス
(72)【発明者】
【氏名】キム ヨン テ
(72)【発明者】
【氏名】ジュン サン ヒュン
【審査官】國方 康伸
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-111882(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2019/0003066(US,A1)
【文献】特開2018-032624(JP,A)
【文献】国際公開第2019/027174(WO,A1)
【文献】特表2001-505955(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C25D 1/00- 7/12
H01M 4/64- 4/84
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
銅層を含み、
0.8~12.5の谷平均粗さ(Valley Mean Roughness)、
0.49~1.28の(220)面集合組織係数[TC(220)]、
25~51kgf/mm
2の引張強度、および
3%以下の幅方向の重量偏差を有する、電解銅箔;
前記幅方向の重量偏差は下記の式1で算出され、
前記谷平均粗さ(Valley Mean Roughness)は下記の式2で算出される。
[式1]
幅方向の重量偏差(%)=(重量の標準偏差/重量の算術平均)×100
[式2]
谷平均粗さ(VMR)=[粗さプロファイルの最大谷深さ(Rv)]/[表面粗さ(Ra)]
【請求項2】
2.5μm以下の表面粗さ
(Rz)を有する、請求項1に記載の電解銅箔。
【請求項3】
両面の表面粗さ
(Rz)の差は0.65μm以下である、請求項1に記載の電解銅箔。
【請求項4】
4~30μmの厚さを有する、請求項1に記載の電解銅箔。
【請求項5】
前記銅層に配置された保護層を含む、請求項1に記載の電解銅箔。
【請求項6】
前記保護層はクロム(Cr)、シラン化合物および窒素化合物のうち少なくとも一つを含む、請求項5に記載の電解銅箔。
【請求項7】
電解銅箔;および
前記電解銅箔上に配置された活物質層を含むものの、
前記電解銅箔は銅層を含み;
0.8~12.5の谷平均粗さ(Valley Mean Roughness);
0.49~1.28の(220)面集合組織係数[TC(220)];
25~51kgf/mm
2の引張強度;および
3%以下の幅方向の重量偏差;を有する、二次電池用電極;
前記幅方向の重量偏差は下記の式1で算出され、
前記谷平均粗さ(Valley Mean Roughness)は下記の式2で算出される。
[式1]
幅方向の重量偏差(%)=(重量の標準偏差/重量の算術平均)×100
[式2]
谷平均粗さ(VMR)=[粗さプロファイルの最大谷深さ(Rv)]/[表面粗さ(Ra)]
【請求項8】
前記電解銅箔は2.5μm以下の表面粗さ
(Rz)を有する、請求項7に記載の二次電池用電極。
【請求項9】
前記電解銅箔は両面の表面粗さ
(Rz)の差が0.65μm以下である、請求項7に記載の二次電池用電極。
【請求項10】
前記電解銅箔は4~30μmの厚さを有する、請求項7に記載の二次電池用電極。
【請求項11】
前記電解銅箔は、前記銅層に配置された保護層を含む、請求項7に記載の二次電池用電極。
【請求項12】
前記保護層はクロム(Cr)、シラン化合物および窒素化合物のうち少なくとも一つを含む、請求項11に記載の二次電池用電極。
【請求項13】
前記活物質層は、
炭素;
Si、Ge、Sn、Li、Zn、Mg、Cd、Ce、NiまたはFeの金属;
前記金属を含む合金;
前記金属の酸化物;および
前記金属と炭素の複合体からなる群から選択される一つ以上の活物質を含む、請求項7に記載の二次電池用電極。
【請求項14】
正極(cathode);
請求項7~請求項13のいずれか一項に記載された二次電池用電極で構成された負極(anode);
前記正極と負極の間でリチウムイオンが移動できる環境を提供する電解質(electrolyte);および
前記正極と前記負極を電気的に絶縁させる分離膜(separator)を含むことを特徴とする、二次電池。
【請求項15】
電解液を準備する段階;および
前記電解液を利用して電気メッキを遂行して銅層を形成する段階を含み、
前記電解液は、
70~90g/Lの銅イオン、
50~150g/Lの硫酸、
5~45mg/Lのヒ素(As)、
5~25mg/Lのアセトアミド(Acetamide)、および
5~20mg/Lのポリプロピレングリコール(Polypropyleneglycol、PPG)を含み、
前記銅層を形成する段階は、前記電解液内に互いに離隔するように配置された電極板および回転ドラムの間に40~80A/dm
2の電流密度を加える段階を含
み、
前記銅層を形成する段階で、
前記電解液は単位分当り5%以下の流量偏差で供給される電解銅箔製造方法;
前記単位分当りの流量偏差は下記の式4で算出される。
[式4]
電解液の単位分当りの流量偏差(%)=[(分当り流量の最大値-分当り流量の最小値)/分当り流量の平均値]×100
【請求項16】
前記銅層上に保護層を形成する段階をさらに含む、請求項15に記載の電解銅箔製造方法。
【請求項17】
前記保護層を形成する段階は、クロム(Cr)、シラン化合物、および窒素化合物のうち少なくとも一つを利用して前記銅層の表面を防錆処理する段階を含む、請求項
16に記載の電解銅箔製造方法。
【請求項18】
前記保護層を形成する段階は、0.5~1.5g/Lのクロム(Cr)を含む防錆液内に前記銅層を浸漬させる段階を含む、請求項
16に記載の電解銅箔製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は引裂またはシワ不良を防止するために、谷平均粗さ(Valley Mean Roughness、VMR)が最適化された電解銅箔、それを含む電極、それを含む二次電池、およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
二次電池は電気エネルギーを化学エネルギーに変えて貯蔵してから、電気が必要な時に化学エネルギーを再び電気エネルギーに変換させることによって電気を発生させるエネルギー変換機器の一種であり、携帯電話、ノートパソコンなどのような携帯用家電はもちろん、電気自動車のエネルギー源として利用されている。二次電池は再充電が可能であるという点で充電式電池(rechargeable battery)とも呼ばれる。
【0003】
使い捨ての一次電池に比べ、経済的にそして環境的に利点を有している二次電池としては、鉛蓄電池、ニッケルカドミウム二次電池、ニッケル水素二次電池、リチウム二次電池などがある。
【0004】
特に、リチウム二次電池は他の二次電池に比べて大きさおよび重量対比相対的に多くのエネルギーを貯蔵することができる。したがって、携帯性および移動性が重要な情報通信機器分野の場合、リチウム二次電池が好まれており、ハイブリッド自動車および電気自動車のエネルギー貯蔵装置にもその応用範囲が拡大している。
【0005】
リチウム二次電池は充電と放電を一つの周期として繰り返し使われる。完全に充電されたリチウム二次電池で何らかの機器を稼動させる時、前記機器の稼動時間を増やすためには前記リチウムイオン二次電池が高い充電/放電容量を有さなければならない。したがって、リチウム二次電池の充電/放電容量に対する需要者の日々高まる期待値(needs)を満足させるための研究が持続的に要求されている。
【0006】
このような二次電池は銅箔からなる負極集電体を含むが、銅箔のうち、電解銅箔が二次電池の負極集電体として広く使われている。二次電池に対する需要の増加とともに、高容量、高効率および高品質の二次電池に対する需要が増加するにつれ、二次電池の特性を向上させ得る電解銅箔が要求されている。特に、二次電池の高容量化および安定した容量維持を担保できる電解銅箔が要求されている。
【0007】
電解銅箔の厚さが薄いほど同一空間に含まれ得る活物質の量が増加し、集電体数が増加し得るため、二次電池の容量が増加し得る。しかし、電解銅箔が薄いほどカール(curl)が発生し、電解銅箔の巻き取り時にエッジ(edge)部のカールによる電解銅箔の引裂(tear)またはシワ(wrinkle)のような不良が発生するため、極薄膜(very thin film)形態の電解銅箔を製造および使用するのに困難がある。したがって、非常に薄い厚さを有する電解銅箔の製造のために、電解銅箔のカール(curl)が防止されなければならない。
【0008】
また、電解銅箔の製造過程だけでなく、電解銅箔を利用した二次電池用電極または二次電池の製造過程時に電解銅箔での引裂またはシワが発生してはならない。特に、ロール-ツー-ロール(Roll to Roll、RTR)工程による電解銅箔または電解銅箔を利用した二次電池用電極の製造過程で、巻き取り過程または活物質のコーティング過程において電解銅箔の角が引き裂かれるなどの不良が発生してはならない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
したがって、本発明は前記のような関連技術の制限および要求を満足できる電解銅箔、それを含む電極、それを含む二次電池、および電解銅箔の製造方法に関する。
【0010】
本発明の一実施形態は薄い厚さを有しても、製造過程でカール、シワまたは引裂が発生しない電解銅箔を提供しようとする。また、本発明の一実施形態は、電解銅箔を利用した二次電池用電極または二次電池の製造過程でカール、シワまたは引裂が発生しない電解銅箔を提供しようとする。
【0011】
本発明の他の一実施形態は、このような電解銅箔を含む二次電池用電極、およびこのような二次電池用電極を含む二次電池を提供しようとする。
【0012】
本発明のさらに他の一実施形態は、カール、シワまたは引裂の発生が防止された電解銅箔の製造方法を提供しようとする。
【0013】
前述した本発明の観点の他にも、本発明の他の特徴および利点が以下で説明されるか、そのような説明から本発明が属する技術分野で通常の知識を有する者に明確に理解され得るであろう。
【課題を解決するための手段】
【0014】
前記のような本発明の一観点により、銅層を含み、0.8~12.5の谷平均粗さ(Valley Mean Roughness)、0.49~1.28の(220)面集合組織係数[TC(220)]、25~51kgf/mm2の引張強度、および3%以下の幅方向重量偏差を有する電解銅箔が提供され、前記幅方向重量偏差は下記の式1で算出され、前記谷平均粗さ(Valley Mean Roughness)は下記の式2で算出される。
【0015】
[式1]
幅方向重量偏差(%)=(重量の標準偏差/重量の算術平均)×100
【0016】
[式2]
谷平均粗さVMR=[粗さプロファイルの最大谷深さRv]/[表面粗さRa]
【0017】
前記電解銅箔は2.5μm以下の表面粗さを有することができる。
【0018】
前記電解銅箔は両面の表面粗さの差が0.65μm以下であり得る。
【0019】
前記電解銅箔は4~30μmの厚さを有することができる。
【0020】
前記電解銅箔は前記銅層に配置された保護層を含むことができる。
【0021】
前記保護層はクロム(Cr)、シラン化合物および窒素化合物のうち少なくとも一つを含むことができる。
【0022】
本発明の他の観点により、電解銅箔;および前記電解銅箔上に配置された活物質層を含むものの、前記電解銅箔は銅層を含み;0.8~12.5の谷平均粗さ(Valley Mean Roughness);0.49~1.28の(220)面集合組織係数[TC(220)];25~51kgf/mm2の引張強度;および3%以下の幅方向重量偏差;を有する二次電池用電極が提供され、前記幅方向重量偏差は下記の式1で算出され、前記谷平均粗さ(Valley Mean Roughness)は下記の式2で算出される。
【0023】
[式1]
幅方向重量偏差(%)=(重量の標準偏差/重量の算術平均)×100
【0024】
[式2]
谷平均粗さVMR=[粗さプロファイルの最大谷深さRv]/[表面粗さRa]
【0025】
前記二次電池用電極の電解銅箔は2.5μm以下の表面粗さを有することができる。
【0026】
前記二次電池用電極の電解銅箔は両面の表面粗さの差が0.65μm以下であり得る。
【0027】
前記二次電池用電極の電解銅箔は4~30μmの厚さを有することができる。
【0028】
前記二次電池用電極の電解銅箔は前記銅層に配置された保護層を含むことができる。
【0029】
前記二次電池用電極の保護層はクロム(Cr)、シラン化合物および窒素化合物のうち少なくとも一つを含むことができる。
【0030】
前記活物質層は、炭素;Si、Ge、Sn、Li、Zn、Mg、Cd、Ce、NiまたはFeの金属;前記金属を含む合金;前記金属の酸化物;および前記金属と炭素の複合体からなる群から選択される一つ以上の活物質を含むことができる。
【0031】
本発明のさらに他の観点により、正極(cathode);前記二次電池用電極で構成された負極(anode);前記正極と負極の間でリチウムイオンが移動できる環境を提供する電解質(electrolyte);および前記正極と前記負極を電気的に絶縁させる分離膜(separator)を含むことを特徴とする、二次電池が提供される。
【0032】
本発明のさらに他の観点により、電解液を準備する段階;および前記電解液を利用して電気メッキを遂行して銅層を形成する段階を含み、前記電解液は、70~90g/Lの銅イオン、50~150g/Lの硫酸、5~45mg/Lのヒ素(As)、5~25mg/Lのアセトアミド(Acetamide)、および5~20mg/Lのポリプロピレングリコール(Polypropyleneglycol、PPG)を含み、前記銅層を形成する段階は、前記電解液内に互いに離隔するように配置された電極板および回転ドラムの間に40~80A/dm2の電流密度を加える段階を含む電解銅箔製造方法が提供される。
【0033】
前記銅層を形成する段階で、前記電解液は単位分当り5%以下の流量偏差で供給され得、前記単位分当りの流量偏差は下記の式4で算出される。
【0034】
[式4]
電解液の単位分当りの流量偏差(%)=[(分当り流量の最大値-分当り流量の最小値)/分当り流量の平均値]×100
【0035】
前記電解銅箔製造方法は、前記銅層上に保護層を形成する段階をさらに含むことができる。
【0036】
前記保護層を形成する段階は、クロム(Cr)、シラン化合物および窒素化合物のうち少なくとも一つを利用して前記銅層の表面を防錆処理する段階を含むことができる。
【0037】
前記保護層を形成する段階は、0.5~1.5g/Lのクロム(Cr)を含む防錆液内に前記銅層を浸漬させる段階を含むことができる。
【0038】
前記のような本発明に対する一般的な叙述は本発明を例示または説明するためのものに過ぎず、本発明の権利範囲を制限しない。
【発明の効果】
【0039】
本発明の一実施形態によると、電解銅箔の製造過程でカール、シワまたは引裂の発生が防止される。そして、充放電サイクルの反復にもかかわらず高い充放電容量を長期間維持できる長寿名の二次電池が製造され得る。また、このような電解銅箔が使われる場合、二次電池用電極または二次電池の製造過程で電解銅箔のカール、シワまたは引裂が防止される。
【図面の簡単な説明】
【0040】
添付された図面は本発明の理解を助け、本明細書の一部を構成するためのものであり、本発明の実施形態を例示し、発明の詳細な説明と共に本発明の原理を説明する。
【
図1】本発明の一実施形態に係る電解銅箔の概略的な断面図である。
【
図2】JIS B 0601:2001規格に基づく「粗さプロファイルの最大谷深さ(maximum valley depth of roughness profile:Rv)」を説明するための粗さプロファイルの例示である。
【
図3】電解銅箔のXRDグラフに対する例示である。
【
図4】本発明の他の一実施形態に係る電解銅箔の概略的な断面図である。
【
図5】本発明のさらに他の一実施形態に係る二次電池用電極の概略的な断面図である。
【
図6】本発明のさらに他の一実施形態に係る二次電池用電極の概略的な断面図である。
【
図7】本発明のさらに他の一実施形態に係る二次電池の概略的な断面図である。
【
図8】
図4に図示された銅箔の製造工程に対する概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0041】
以下、添付された図面を参照して本発明の実施形態を詳細に説明する。
【0042】
本発明の技術的思想および範囲を逸脱しない範囲内で本発明の多様な変更および変形が可能であることは当業者に自明であろう。したがって、本発明は特許請求の範囲に記載された発明およびその均等物の範囲内の変更と変形をすべて含む。
【0043】
本発明の実施形態を説明するために図面に開示された形状、大きさ、比率、角度、個数等は例示的なものであるので、本発明が図面に図示された事項によって限定されるものではない。明細書全体に亘って同一構成要素は同一参照符号で指称され得る。
【0044】
本明細書で言及された「含む」、「有する」、」なる」等が使われる場合、「~のみ」という表現が使われない限り、他の部分が追加され得る。構成要素が単数で表現された場合、特に明示的な記載事項がない限り複数を含む。また、構成要素の解釈において、別途の明示的な記載がなくても誤差範囲を含むものと解釈される。
【0045】
位置関係に対する説明の場合、例えば、「~上に」、「~上部に」、「~下部に」、「~そばに」等で二つの部分の位置関係が説明される場合、「すぐに」または「直接」という表現が使われない限り、二つの部分間に一つ以上の他の部分が位置することができる。
【0046】
時間関係に対する説明の場合、例えば、「~後に」、「~に引き続き」、「~次に」、「~前に」等で時間的な前後関係が説明される場合、「すぐに」または「直接」という表現が使われない限り、連続的ではない場合が含まれ得る。
【0047】
多様な構成要素を叙述するために、「第1」、「第2」などのような表現が使われるが、これら構成要素はこのような用語によって制限されない。このような用語は単に一つの構成要素を他の構成要素と区別するために使うものである。したがって、以下で言及される第1構成要素は本発明の技術的思想内で第2構成要素であってもよい。
【0048】
「少なくとも一つ」の用語は一つ以上の関連項目から提示可能なすべての組み合わせを含むものと理解されるべきである。
【0049】
本発明の多様な実施形態のそれぞれの特徴が部分的にまたは全体的に互いに結合または組み合わせ可能であり、技術的に多様な連動および駆動が可能であり、各実施形態が互いに対して独立的に実施可能であってもよく、関連関係で共に実施されてもよい。
【0050】
図1は、本発明の一実施形態に係る電解銅箔101の概略的な断面図である。
【0051】
図1に図示された通り、本発明の電解銅箔101は銅層111を含む。銅層111はマット面(matte surface)MSおよびその反対側のシャイニー面(shiny surface)SSを有する。
【0052】
銅層111は、例えば、電気メッキを通じて回転負極ドラム上に形成され得る(
図8参照)。この時、シャイニー面SSは電気メッキ過程で回転負極ドラムと接触した面を指称し、マット面MSはシャイニー面SSの反対側面を指称する。
【0053】
電解銅箔101は銅層111を基準としてマット面MS方向の表面である第1面S1およびシャイニー面SS方向の表面である第2面S2を有する。
図1を参照すると、電解銅箔101の第1面S1は第1保護層112aの表面であり、第2面S2はシャイニー面SSである。本発明の一実施形態によると、第1保護層112aは省略されてもよく、第1保護層112aが省略される場合、銅層111のマット面MSが電解銅箔101の第1面S1となる。
【0054】
一般的に第2面は第1面に比べて低い表面粗さRzを有する。しかし、本発明の一実施形態はこれに限定されるものではなく、第2面の表面粗さRzが第1面の表面粗さRzと同一であるかさらに高くてもよい。例えば、銅層111の製造に使われる回転負極ドラム12(
図8参照)の研磨の程度により、第2面の表面粗さは第1面の表面粗さRzより低くてもよく、高くてもよい。回転負極ドラム12の表面は#800~#3000の粒度(Grit)を有する研磨ブラシによって研磨され得る。
【0055】
図1を参照すると、電解銅箔101は銅層111のマット面MS上に配置された第1保護層112aを含む。第1保護層112aは省略されてもよい。
【0056】
保護層112は銅層111のマット面MSおよびシャイニー面SSのうち少なくとも一つに配置され得る。
図1を参照すると、第1保護層112aがマット面MSに配置される。しかし、本発明の一実施形態はこれに限定されるものではなく、第1保護層112aがシャイニー面SSにのみ配置されてもよく、マット面MSとシャイニー面SSの両方に配置されてもよい。
【0057】
保護層112は銅層111を保護して、保存または流通過程で銅層111が酸化し、変質することを防止することができる。したがって、保護層112を防錆膜とも言う。
【0058】
本発明の一実施形態によると、保護層112はクロム(Cr)、シラン化合物および窒素化合物のうち少なくとも一つを含むことができる。
【0059】
例えば、クロム(Cr)を含む防錆液、すなわち、クロム酸化合物を含む防錆液によって保護層112が作られ得る。
【0060】
本発明の電解銅箔101は常温(25±15℃)で25~51kgf/mm2の引張強度を有することができる。
【0061】
前記引張強度は万能試験機(UTM)を利用して測定するが、この時、サンプルを135℃で10分の間熱処理後に測定する。この時、サンプルの幅は12.7mmであり、Grip間の距離は50mmであり、テスト速度は50mm/minである。
【0062】
電解銅箔101の引張強度が25kgf/mm2未満であると、電極製造過程および/または二次電池製造過程のロール-ツー-ロール工程で加えられる力によって電解銅箔101が容易に変形されて引裂および/またはシワが発生する危険がある。その反面、電解銅箔101の引張強度が51kgf/mm2を超過すると、電解銅箔101が製造過程で力(tension)を受けると引き裂かれる危険が高くなり、二次電池製造工程の作業性が低下する。
【0063】
本発明の電解銅箔101の幅方向の重量偏差は3%以下であり得る。前記幅方向の重量偏差は次のように求められ得る。
【0064】
まず、電解銅箔101の幅方向に沿って位置する左側地点、中央地点、および右側地点から5cm×5cmの大きさのサンプルをそれぞれ取った後、この3個のサンプルの重量をそれぞれ測定する。引き続き、前記測定値の算術平均および標準偏差を求め、下記の式1によって幅方向の重量偏差を算出する。
【0065】
[式1]
幅方向の重量偏差(%)=(重量の標準偏差/重量の算術平均)×100
【0066】
電解銅箔101の幅方向の重量偏差が3%を超過すると、電池製造ロール-ツー-ロール工程で重量偏差3%超過の部分でシワが発生し、これによって不良率が上昇することになる。
【0067】
一方、本発明の一実施形態によると、二次電池の充放電が繰り返されるにつれて、活物質層120a、120bの収縮および膨張が交互に発生し、これは前記活物質層120a、120bと前記電解銅箔101の分離を誘発して二次電池の容量を減少させる。したがって、電極が一定水準以上の容量維持率および寿命を確保するためには(すなわち、二次電池の容量減少を抑制するためには)、前記電解銅箔101が前記活物質に対して優秀なコーティング性を有することによって前記電解銅箔101と活物質層120a、120bの間の接着強度が高くなければならない。
【0068】
一般的に、前記電解銅箔101の表面粗さRzの制御を通じて電解銅箔101と活物質層120a、120bの間の接着強度を向上できると知られている。前記表面粗さRzは十点平均粗さとも言う。表面粗さRzは表面粗さプロファイルにおいて、サンプル区間の中心線から上側に最も遠く離れた5ヶ所の距離の和(絶対値)と、下側に最も遠く離れた5ヶ所の距離の和(絶対値)を足して5で割った値に決定される。前記表面粗さRzはJIS B 0601:2001規格によりMahr社のMahrsurf M300粗さ計を利用して測定され得る。
【0069】
本発明の一実施形態によると、前記電解銅箔101の第1および第2面S1、S2それぞれの表面粗さRz1、Rz2は2.5μm以下であり得る。前記表面粗さRz1、Rz2が2.5μmを超過する場合には、電解銅箔101の第1および第2面S1、S2が過度に不均一であるため負極活物質のコーティング均一性が低下し、これによって電解銅箔101と第1および第2活物質層120a、120bの間の密着力が顕著に低下する。
【0070】
本発明の一実施形態によると、前記第1面の表面粗さRz1と前記第2面の表面粗さRz2の差(|Rz1 - Rz2|)は0.65μm以下であり得る。前記第1および第2面の表面粗さの差が0.65を超過すると、前記第1および第2面S1、S2の表面粗さRzの差によって活物質が前記第1および第2面S1、S2の両面で均等にコーティングされない。そのため、二次電池の充放電時に両面S1、S2の電気的および物理的特性の差が発生し得、これによって二次電池の容量維持率および寿命が低下し得る。例えば、活物質コーティング後に第1および第2面で第1および第2活物質層120a、120bと電解銅箔101の間の密着力の差が発生する。したがって、これによって、電極製造後に密着力が大きい方向に電極が曲がることになって不良率が上昇することになる。
【0071】
しかし、実際には、表面粗さRzが適切に調整された(例えば、2.5μm以下に調整された)電解銅箔101が仕様で要求される電解銅箔101と活物質層120a、120b間の接着力を必ずしも満足させるものではない。すなわち、2.5μm以下の表面粗さRzを有する電解銅箔101が業界で要求される83%以上の二次電池容量維持率(500回充放電後)をいつも担保できるものではない。
【0072】
特に、二次電池の高容量化のために前記活物質層120a、120bがSiを含む場合、電解銅箔101の表面粗さRzと二次電池の容量維持率の間の関連性がさらに低いものと示された。
【0073】
本発明の一実施形態によると、83%以上の二次電池容量維持率を担保できる程度に十分に大きな電解銅箔101と活物質層120a、120bの間の接着力を確保するにおいて、電解銅箔101の「谷平均粗さ(Valley Mean RoughnessVMR)」が表面粗さRzより重要な因子であることが発見された。
【0074】
以下では、
図2を参照して電解銅箔101の「谷平均粗さVMR」を具体的に説明する。
【0075】
前記「谷平均粗さVMR」は電解銅箔101の「粗さプロファイルの最大谷深さRv」および「表面粗さRa」をそれぞれ測定し、前記「粗さプロファイルの最大谷深さRv」および「表面粗さRa」の測定値を下記の式2により計算して算出され得る。
【0076】
[式2]
谷平均粗さVMR=[粗さプロファイルの最大谷深さRv]/[表面粗さRa]
【0077】
JIS B 0601:2001規格に定義された前記「粗さプロファイルの最大谷深さRv」は、
図2に例示された通り、表面粗さプロファイル(サンプリング長さ:4mm)で最も深い谷(deepest valley)の平均線(mean line)からの深さを意味する。
【0078】
JIS B 0601:2001規格に定義された前記「表面粗さRa」は算術平均粗さともいう。表面粗さRaは表面粗さプロファイルにおいて、測定区間(基準長さ)の中心線で上側と下側の全体面積の和を求め、その和を測定区間の長さで割った値で決定される。
【0079】
前記「粗さプロファイルの最大谷深さRv」および「表面粗さRa」は、表面の任意の3個の地点でMitutoyo社の粗さ計を利用して、JIS B 0601:2001規格により「粗さプロファイルの最大谷深さRv」および「表面粗さRa」をそれぞれ測定[サンプリング長さ(sampling length):4mm、スタイラスチップ(stylus tip)の半径:2μm、スタイラスチップのテーパー角(taper angle):60°、測定力(measuring force):0.75mN]した後、これらの平均値を算出することによってそれぞれ求めることができる。粗さプロファイルは電解銅箔の表面に対するものである。
【0080】
本発明の一実施形態によると、前記第1および第2面S1、S2の粗さプロファイルの谷平均粗さVMRが0.8~12.5である。
【0081】
前記第1および第2面S1、S2の粗さプロファイルの谷平均粗さVMRが0.8未満であると、電解銅箔101を製造するためのロール-ツー-ロール工程で、ロールで銅箔の滑りが発生して銅箔に張力が不均一に印加されて引裂が発生する。
【0082】
反面、前記第1および第2面S1、S2の粗さプロファイルの谷平均粗さVMRが12.5を超過すると、二次電池製造工程で谷平均粗さVMRが高い部分はノッチ(notch)として作用して引裂が発生する。
【0083】
本発明の一実施形態によると、銅層111のマット面MSおよびシャイニー面SSは結晶面を有し、前記銅層111のマット面MSおよびシャイニー面SSそれぞれの(220)面集合組織係数[TC(220)]は0.49~1.28である。
【0084】
より具体的には、銅層111は複数の結晶面を有し、結晶面はミラー指数(Miller Index)を利用して表現され得る。具体的には、銅層111の結晶面は(hkl)面で表示され得る。このような結晶面はそれぞれ集合組織係数(texture coefficient)(TC)を有し、結晶面の集合組織係数(TC)X線回折(XRD)を利用して測定または計算され得る。
【0085】
以下、
図3を参照して、電解銅箔101を構成する銅層111の結晶面の集合組織係数(TC)を測定および算出する方法を説明する。
【0086】
図3は、電解銅箔のXRDグラフに対する例示である。より具体的には、
図3は電解銅箔101を構成する銅層111のXRDグラフである。
図3のピークはそれぞれ結晶面に対応する。
【0087】
前記(220)面集合組織係数[TC(220)]は次のように求められ得る。
【0088】
30°~95°の回折角(2θ)の範囲でX線回折法(XRD)[Target:Copper K alpha 1、2θinterval:0.01°、2θscan speed:3°/min]を実施することによって、n個の結晶面に対応するピークを有するXRDグラフ[例えば、
図3に例示された通り、(111)面、(200)面、(220)面、および(311)面に該当するピーク(n=4)が現れたXRDグラフ]を得、このグラフから各結晶面(hkl)のXRD回折強度[I(hkl)]を求める。また、JCPDS(Joint Committee on Powder Diffraction Standards)により規定された標準銅粉末の前記n個の結晶面それぞれに対するXRD回折強度[I
0(hkl)]を求める。引き続き、前記n個の結晶面のI(hkl)/I
0(hkl)の算術平均値を求めた後、前記算術平均値で(220)面のI(220)/I
0(220)を割ることによって(220)面集合組織係数[TC(220)]を算出する。すなわち、(220)面集合組織係数[TC(220)]は下記の式3に基づいて算出される。
【0089】
【0090】
前記(220)面集合組織係数[TC(220)]が高いほど銅層111がより緻密な結晶構造を有することを意味する。マット面MSおよびシャイニー面SSそれぞれの(220)面集合組織係数[TC(220)]は0.49以上であることが好ましい。前記(220)面集合組織係数[TC(220)]が0.49未満であると電解銅箔101の結晶構造が緻密でないため、電解銅箔101が製造過程で引き裂かれる危険が大きい。本発明の一実施形態によると、銅層111のマット面MSまたはシャイニー面SSの(220)面集合組織係数を電解銅箔101の(220)面集合組織係数[TC(220)]ともいう。また、本発明の一実施形態によると、銅層111の結晶構造を電解銅箔101の結晶構造とも言える。
【0091】
反面、(220)面集合組織係数[TC(220)]が1.28を超過すると、銅層111の結晶構造が過度に緻密であるため延伸率が3%未満に低下することになって製造過程で容易に引き裂かれる。また、負極活物質が安定的に接触できる活性面積が足りないため、電解銅箔101と負極活物質の間に十分な接着力が確保され得ない。したがって、二次電池が充放電される時に電解銅箔101が第1および第2活物質層120a、120bと共に膨張および収縮しないため電解銅箔101から第1および第2活物質層120a、120bが分離される危険が高くなり、その結果、前記二次電池の容量維持率が低下して安定した製品を製造できなくなる。
【0092】
本発明の一実施形態によると、電解銅箔101は4~30μmの厚さを有することができる。
【0093】
電解銅箔101が二次電池において電極の集電体として使われる時、電解銅箔101の厚さが薄いほど同一空間内により多くの集電体が収容され得るため、二次電池の高容量化に有利である。しかし、電解銅箔101の厚さが4μm未満である場合、電解銅箔101を利用した二次電池用電極および二次電池の製造過程で作業性が顕著に低下する。
【0094】
反面、電解銅箔101の厚さが30μmを超過する場合には、電解銅箔101を利用した二次電池用電極の厚さが大きくなり、このような厚さによって二次電池の高容量の具現に困難が発生し得る。
【0095】
図4は、本発明の他の一実施形態に係る電解銅箔102の概略的な断面図である。以下、重複を避けるためにすでに説明された構成要素に対する説明は省略する。
【0096】
図4を参照すると、本発明の他の一実施形態に係る電解銅箔102は、銅層111および銅層111のマット面MSとシャイニー面SSにそれぞれ配置された第1および第2保護層112a、112bを含む。
図1に図示された電解銅箔101と比べ、
図4に図示された電解銅箔102は銅層111のシャイニー面SSに配置された保護層112bをさらに含む。
【0097】
説明の便宜のために、二つの保護層112a、112bのうち銅層111のマット面MSに配置された保護層112aを第1保護層といい、シャイニー面SSに配置された保護層112bを第2保護層ともいう。
【0098】
また、
図4に図示された電解銅箔102は、銅層111を基準として、マット面MS方向の表面である第1面S1とシャイニー面SS方向の表面である第2面S2を有する。ここで、電解銅箔102の第1面S1はマット面MSに配置された第1保護層112aの表面であり、第2面S2はシャイニー面SSに配置された第2保護層112bの表面である。
【0099】
本発明の他の一実施形態によると、二つの保護層112a、112bはそれぞれクロム(Cr)、シラン化合物および窒素化合物のうち少なくとも一つを含むことができる。
【0100】
図4に図示された電解銅箔102の第1および第2面S1、S2の粗さプロファイルの谷平均粗さVMRは0.8~12.5である。
【0101】
電解銅箔102は、マット面MSおよびシャイニー面SSそれぞれの(220)面集合組織係数[TC(220)]は0.49~1.28であり得る。
【0102】
電解銅箔102は常温(25±15℃)で25~51kgf/mm2の引張強度を有することができる。
【0103】
電解銅箔102の幅方向の重量偏差は3%以下であり得る。
【0104】
図4に図示された電解銅箔102の第1および第2面S1、S2それぞれの表面粗さRz1、Rz2は2.5μm以下であり、前記第1面の表面粗さRz1と前記第2面の表面粗さRz2の差(|Rz1 - Rz2|)は0.65μm以下であり得る。
【0105】
図4の電解銅箔102は4~30μmの厚さを有する。
【0106】
図5は、本発明のさらに他の一実施形態に係る二次電池用電極103の概略的な断面図である。
図5に図示された二次電池用電極103は、例えば、
図7に図示された二次電池105に適用され得る。
【0107】
図5を参照すると、本発明のさらに他の一実施形態に係る二次電池用電極103は電解銅箔101および電解銅箔101上に配置された活物質層120aを含む。ここで、電解銅箔101は銅層111および銅層111上に配置された第1保護層112aを含み、電流集電体として使われる。
【0108】
具体的には、電解銅箔101は第1面S1と第2面S2を有し、活物質層120aは電解銅箔101の第1面S1と第2面S2のうち少なくとも一つに配置される。活物質層120aは第1保護層112a上に配置され得る。
【0109】
図5に、電流集電体として
図1の電解銅箔101が利用された例が図示されている。しかし、本発明のさらに他の一実施形態はこれに限定されるものではなく、
図4に図示された銅箔102が二次電池用電極103の集電体として使われてもよい。
【0110】
また、電解銅箔101の第1面S1にのみ第1活物質層120aが配置された構造が
図5に図示されているが、本発明のさらに他の一実施形態はこれに限定されるものではなく、電解銅箔101の第1面S1と第2面S2の双方に第1および第2活物質層120a、120bがそれぞれ配置され得る。また、活物質層120は電解銅箔101の第2面S2にのみ配置されてもよい。
【0111】
図5に図示された第1活物質層120aは電極活物質からなり、特に負極活物質からなり得る。すなわち、
図5に図示された二次電池用電極103は負極として使われ得る。
【0112】
活物質層120は、炭素;金属;金属を含む合金;金属の酸化物;および金属と炭素の複合体のうち少なくとも一つを負極活物質として含むことができる。金属として、Si、Ge、Sn、Li、Zn、Mg、Cd、Ce、NiおよびFeのうち少なくとも一つが使われ得る。具体的には、二次電池の充放電容量を増加させるために、前記金属はシリコン(Si)を含むことが好ましい。
【0113】
二次電池の充放電が繰り返されることによって活物質層120の収縮および膨張が交互に発生し、これは活物質層120と銅箔101の分離を誘発して二次電池の充放電効率を低下させる。特に、シリコン(Si)を含む活物質層120は膨張と収縮の程度が大きい。
【0114】
本発明のさらに他の一実施形態によると、集電体として使われた電解銅箔101が活物質層120の収縮および膨張に対応して収縮および膨張し得るため、活物質層120が収縮および膨張しても、これによって電解銅箔101が変形され、引き裂かれない。それにより、電解銅箔101と活物質層120aの間から分離が発生しない。したがって、このような二次電池用電極103を含む二次電池は優秀な充放電効率および優秀な容量維持率を有する。
【0115】
図6は、本発明のさらに他の一実施形態に係る二次電池用電極104の概略的な断面図である。
【0116】
本発明のさらに他の一実施形態に係る二次電池用電極104は、電解銅箔102および電解銅箔102上に配置された第1および第2活物質層120a、120bを含む。電解銅箔102は銅層111および銅層111の両面に配置された第1および第2保護層112a、112bを含む。しかし、本発明の一実施形態はこれに限定されるものではなく、第1活物質層120aおよび第2活物質層120bのうちいずれか一つは省略されてもよい。
【0117】
具体的には、
図6に図示された二次電池用電極104は電解銅箔102の第1面S1と第2面S2にそれぞれ配置された二つの第1および第2活物質層120a、120bを含む。ここで、電解銅箔102の第1面S1上に配置された活物質層120aを第1活物質層といい、電解銅箔102の第2面S2に配置された活物質層120bを第2活物質層ともいう。
【0118】
二つの第1および第2活物質層120a、120bは、互いに同一の材料によって同一の方法で作られてもよく、異なる材料または異なる方法で作られてもよい。
【0119】
図7は、本発明のさらに他の一実施形態に係る二次電池105の概略的な断面図である。
図7に図示された二次電池105は、例えば、リチウム二次電池である。
【0120】
図7を参照すると、二次電池105は、正極(cathode)370、負極(anode)340、正極370と負極340の間に配置されてイオンが移動できる環境を提供する電解質(electrolyte)350、および正極370と負極340を電気的に絶縁させる分離膜(separator)360を含む。ここで、正極370と負極340の間で移動するイオンは、例えば、リチウムイオンである。分離膜360は、一つの電極で発生した電荷が二次電池105の内部を通じて他の電極に移動することによって無益に消耗することを防止するために正極370と負極340を分離する。
図7を参照すると、分離膜360は電解質350内に配置される。
【0121】
正極370は正極集電体371および正極活物質層372を含み、正極集電体371としてアルミホイル(foil)が使われ得る。
【0122】
負極340は負極集電体341および負極活物質層342を含み、負極集電体341として電解銅箔が使われ得る。
【0123】
本発明の一実施形態によると、負極集電体341として
図1または
図4に開示された電解銅箔101、102が使われ得る。また、
図5または
図6に図示された二次電池用電極103、104が
図7に図示された二次電池105の負極340として使われ得る。
【0124】
以下では、
図8を参照して、本発明の一実施形態に係る電解銅箔102の製造方法を具体的に説明する。
【0125】
図8は、
図4に図示された電解銅箔102の製造方法に対する概略図である。
【0126】
本発明の電解銅箔102製造方法は、電解液11を準備する段階;および電解液11を利用して電気メッキを遂行して銅層111を形成する段階;を含む。
【0127】
具体的には、電解液11を準備する段階は、まず銅イオンを含む電解液11が製造される。電解液11は電解槽10に収容される。
【0128】
引き続き、前記電解液11を利用して電気メッキを遂行して銅層111を形成する段階は、電解液11内に互いに離隔するように配置された正極板13および回転負極ドラム12を40~80ASD(A/dm2)の電流密度で通電させて電気メッキを遂行することによって前記銅層111を前記回転負極ドラム12上に形成させる。銅層111は電気メッキの原理によって形成される。
【0129】
正極板13と回転負極ドラム12の間に印加される電流密度が40ASD未満の場合、銅層111の結晶粒の生成が増加し、80ASDを超過する場合、結晶粒の微細化が加速化する。より具体的には、電流密度は50ASD以上に調整され得る。
【0130】
銅層111のシャイニー面SSの表面特性は、回転負極ドラム12の表面のバフ研磨または研磨の程度により変わり得る。シャイニー面SS方向の表面特性の調整のために、例えば、#800~#3000の粒度(Grit)を有する研磨ブラシで回転負極ドラム12の表面が研磨され得る。
【0131】
銅層111形成段階で、電解液11は50~65℃の温度に維持され、電解液11が供給される流量の偏差は単位分当り5%以下に維持される。この時、電解液11の組成が調整されることによって銅層111の物理的、化学的および電気的特性が制御され得る。
【0132】
本発明の一実施形態によると、電解液11は70~90g/Lの銅イオン、50~150g/Lの硫酸、5~45mg/Lのヒ素(As)、5~25mg/Lのアセトアミド(Acetamide)および5~20mg/Lのポリプロピレングリコール(Polypropyleneglycol(PPG))を含む。
【0133】
銅の電着による銅層111の形成が円滑となるようにするために、電解液11内の銅イオンの濃度と硫酸の濃度はそれぞれ70~90g/Lおよび50~150g/Lに調整される。より具体的には、電解液11内の硫酸の濃度は70~120g/Lに調整することが好ましい。
【0134】
電解液11内でヒ素(As)の濃度は5~45mg/Lに管理される。しかし、本発明の一実施形態はこれに限定されるものではない。
【0135】
ヒ素は一定濃度の区間では銅(Cu)の還元反応を促進する加速剤の役割をする。ヒ素の濃度が5mg/L未満である場合、銅層111形成過程で銅層111の表面が平坦にメッキされて電解銅箔102の第1および第2面それぞれの谷平均粗さVMRが0.8未満となる。
【0136】
反面、ヒ素の濃度が45mg/Lを超過する場合、銅イオンであるCu2+またはCu1+が銅(Cu)に還元する時に不溶性化合物が形成されて不純物が銅層111に共に電着(共析)され得る。したがって、銅層111が粉状にメッキされて谷(valley)の深さが急激に増加し、それにより電解銅箔102の第1および第2面それぞれの谷平均粗さVMRが12.5を超過することになる。また、ヒ素の濃度が高い場合、銅層111形成過程で結晶面基準として(311)面、(111)面および(100)面が先に成長し、(220)面の成長が抑制され得る。
【0137】
したがって、銅層111の結晶構造において(220)面の集合組織係数[TC(220)]が0.49~1.28となるようにし、電解銅箔102の第1および第2面それぞれの谷平均粗さVMRが0.8~12.5となるようにするために、電解液11内のヒ素の濃度は5~45mg/L以下に調整される。
【0138】
前記アセトアミド(Acetamide)は電解液11内の銅メッキ粒子の大きさを制御するために電解液11に添加される物質である。銅メッキ粒子の大きさが過度に小さいと電解銅箔102の引張強度が増加することになり、その反対に、銅メッキ粒子の大きさが過度に大きいと電解銅箔102の引張強度が減少することになる。
【0139】
電解液11内で前記アセトアミドの濃度は5~25mg/Lに管理される。しかし、本発明の一実施形態はこれに限定されるものではない。
【0140】
前記アセトアミドの濃度が25mg/L超過する場合、銅メッキ粒子が超微細にメッキされて電解銅箔102の熱処理後の引張強度が51kgf/mm2を超過することになる。
【0141】
反面、前記アセトアミドの濃度が5mg/L未満である場合、銅メッキ粒子が粗大にメッキされて電解銅箔102の熱処理後の引張強度が25kgf/mm2未満となる。
【0142】
前記ポリプロピレングリコール(PPG)は銅メッキの結晶構造を制御するために前記電解液に添加される物質である。
【0143】
前記電解液内のポリプロピレングリコール(PPG)の濃度が高いほど電解銅箔102の結晶構造が緻密であるため(220)面集合組織係数がさらに大きくなり、前記電解液内のポリプロピレングリコール(PPG)の濃度が低いほど電解銅箔102の結晶構造が緻密でないため、(220)面集合組織係数がさらに小さくなる。
【0144】
本発明によると、前記電解液内のポリプロピレングリコール(PPG)の濃度は5~20mg/Lである。
【0145】
前記電解液内のポリプロピレングリコール(PPG)の濃度が5mg/L未満であると、前記電解銅箔102の結晶構造が十分に発達できないため(220)面集合組織係数が0.49未満となる。前述した通り、(220)面集合組織係数が0.49未満であると、電解銅箔102の結晶構造が緻密でないため電解銅箔102が製造過程で引き裂かれる危険が大きい。
【0146】
反面、前記電解液内のポリプロピレングリコール(PPG)の濃度が20mg/Lを超過すると、前記電解銅箔102の結晶構造が過度に緻密であるため(220)面集合組織係数が1.28超過することになる。前述した通り、(220)面集合組織係数が1.28を超過すると、延伸率が3%未満に低下して製造過程で容易に引き裂かれる。また、負極活物質が安定的に接触できる活性面積が足りないため、電解銅箔102と負極活物質の間に十分な接着力が確保され得ない。
【0147】
銅層111形成段階で、電解液11が供給される流量の偏差は単位分当り5%以下に維持する。電解液11が供給される流量の偏差は電解銅箔102の幅方向の重量偏差を調整するためのものである。前記流量の偏差は次のように求められ得る。
【0148】
まず、1分の間電解液11が供給される流量を少なくとも2回以上測定する。測定された単位分当りの流量値を利用して分当り流量の平均値、分当り流量の最大値および分当り流量の最小値をそれぞれ求め、下記の式4によって電解液が供給される流量の偏差を算出することができる。
【0149】
[式4]
電解液の単位分当りの流量偏差(%)=[(分当り流量の最大値-分当り流量の最小値)/分当り流量の平均値]×100
【0150】
電解銅箔102の幅方向の重量偏差を3%以下となるようにするために、電解液11が供給される流量の偏差を単位分当り5%以下に維持する。電解液11が供給される流量の偏差が5%を超過すると、電解銅箔102の幅方向の電解液11供給流速の偏差が発生する。これによって、幅方向に銅メッキするにおいて効率の差が発生し、それにより電解銅箔102の重量偏差が3%を超過することになる。
【0151】
このように製造された銅層111は洗浄槽20で洗浄され得る。
【0152】
例えば、銅層111の表面上の不純物、例えば、樹脂成分または自然酸化膜(natural oxide)等を除去するための酸洗浄(acid cleaning)および酸洗浄に使われた酸性溶液の除去のための水洗浄(water cleaning)が順次遂行され得る。洗浄工程は省略されてもよい。
【0153】
本発明の一実施形態によると、追加で前記銅層111上に第1および第2保護層112a、112bを形成する段階;をさらに含むことができる。
【0154】
保護層112形成段階では、前記のように製造された銅層111上に第1および第2保護層112a、112bが形成される。
【0155】
図8を参照すると、防錆組30に入っている防錆液31内に銅層111を浸漬して銅層111上に第1および第2保護層112a、112bを形成することができる。
【0156】
前記防錆液31はクロム(Cr)、シラン化合物および窒素化合物のうち少なくとも一つを含むことができる。
【0157】
具体的には、前記防錆液31はクロム(Cr)を含むことができ、クロム(Cr)は防錆液31内でイオン状態で存在することができる。
【0158】
前記防錆液31は0.5~1.5g/Lのクロムを含むことができる。第1および第2保護層112a、112b形成のために、防錆液31の温度は20~40℃に維持され得る。銅層111は防錆液31内に1~30秒程度浸漬され得る。
【0159】
具体的には、製造された銅層111を0.5~1.5g/Lのクロム(Cr)を含む防錆液内に浸漬(例えば、常温に2~20秒の間)させた後に乾燥させることによって、前記銅層111上に第1および第2保護層112a、112bをそれぞれ形成させる。
【0160】
前記防錆液はシラン化合物と窒素化合物のうち少なくとも1種以上をさらに含むことができる。例えば、前記防錆液は0.5~1.5g/Lのクロム(Cr)および0.5~1.5g/Lのシラン化合物を含むことができる。
【0161】
このような保護層112の形成によって電解銅箔102が作られる。
【0162】
次に、電解銅箔102が洗浄槽40で洗浄される。このような洗浄工程は省略され得る。
【0163】
このように製造された本発明の電解銅箔102上に負極活物質をコーティングすることによって、本発明の二次電池用電極(すなわち、負極)が製造され得る。
【0164】
前記負極活物質は、炭素;Si、Ge、Sn、Li、Zn、Mg、Cd、Ce、NiまたはFeの金属;前記金属を含む合金;前記金属の酸化物;および前記金属と炭素の複合体からなる群から選択され得る。
【0165】
例えば、100重量部の負極活物質用炭素に1~3重量部のスチレンブタジエン ゴム(SBR)および1~3重量部のカルボキシメチルセルロース(CMC)を混合した後、蒸溜水を溶剤として使ってスラリーを調製する。引き続き、ドクターブレードを利用して前記電解銅箔102上に20~100μm厚さで前記スラリーを塗布し、110~130℃で0.5~1.5ton/cm2の圧力でプレスする。
【0166】
以上の方法で製造された本発明の二次電池用電極(負極)と共に通常の正極、電解質、および分離膜を利用してリチウム二次電池を製造することができる。
【0167】
以下では、実施形態および比較例を通じて本発明を具体的に説明する。ただし、下記の実施形態および比較例は本発明の理解を助けるためのものに過ぎず、本発明の権利範囲は実施形態または比較例によって限定されない。
【0168】
実施形態1~7および比較例1~7
【0169】
電解液11内に互いに離隔するように配置された正極板13および回転負極ドラム12を含む製箔機で60ASDの電気密度を通電させて電気メッキを遂行することによって銅層111を製造した。電解液11は硫酸銅溶液である。電解液11内の銅イオン濃度は75g/L、硫酸の濃度は100g/L、電解液の温度は55℃、電流密度は60ASDに設定された。電気メッキを遂行する間、循環ポンプで42m3/hrの流量でメッキ液を供給槽とメッキ槽の間に循環させ、メッキ液内の微細不純物は供給槽とメッキ槽の間のCartridg Filterで除去した。
【0170】
また、電解液11に含まれたヒ素(As)の濃度、アセトアミド(Acetamide)の濃度、ポリプロピレングリコール(PPG)の濃度およびメッキが進行される間電解液が供給される流量の偏差は下記の表1の通りである。
【0171】
回転負極ドラム12と正極板13の間に50ASDの電流密度で電流を印加して銅層111を製造した。次に、銅層111を防錆液に約2秒間浸漬させて銅層111の表面にクロメート処理をして第1および第2保護層112a、112bを形成することによって電解銅箔102を製造した。防錆液としてクロム酸を主成分とする防錆液が使われ、クロム酸の濃度は1.0g/Lであった。前記電気メッキを通じて形成された銅層を防錆液に浸漬させた後に乾燥させることによって電解銅箔を完成した。
【0172】
その結果、実施形態1~7および比較例1~7の電解銅箔が製造された。
【0173】
【0174】
このように製造された実施形態1~7および比較例1~7の電解銅箔に対して、(i)谷平均粗さVMR(ii)引張強度(iii)(220)面集合組織係数[TC(220)](iv)重量偏差(v)第1および第2面の表面粗さRzを測定した。
【0175】
また、電解銅箔を利用して二次電池を製造し、二次電池に対して充放電を実施した後、(vi)二次電池を解体して電解銅箔の引裂およびシワ発生の有無を観察した。
【0176】
(i)谷平均粗さVMR測定
電解銅箔表面の任意の3個の地点でMitutoyo社の粗さ計を利用して、JIS B 0601:2001規格により「粗さプロファイルの最大谷深さRv」および「表面粗さRa」をそれぞれ測定[サンプリング長さ(sampling length):4mm、スタイラスチップ(stylus tip)の半径:2μm、スタイラスチップのテーパー角(taper angle):60°、測定力(measuring force):0.75mN]した後、これらの平均値を算出し、算出した「粗さプロファイルの最大谷深さRv」および「表面粗さRa」の測定値を下記の式2により計算して「谷平均粗さVMR」を算出することができる。
【0177】
[式2]
谷平均粗さVMR=[粗さプロファイルの最大谷深さRv]/[表面粗さRa]
【0178】
(ii)印章強度測定
引張強度は万能試験機(UTM)を利用して測定するが、この時、サンプルを135℃で10分の間熱処理後に測定する。この時、サンプルの幅は12.7mmであり、Grip間の距離は50mmであり、テスト速度は50mm/minである。
【0179】
(iii)(220)面集合組織係数[TC(220)]測定
30°~95°の回折角(2θ)範囲でX線回折法(XRD)[Target:Copper K alpha 1、2θinterval:0.01°、2θscan speed:3°/min]を実施することによって、n個の結晶面に対応するピークを有するXRDグラフ[例えば、
図3に例示された通り(111)面、(200)面、(220)面、および(311)面に該当するピーク(n=4)が現れたXRDグラフ]を得、このグラフから各結晶面(hkl)のXRD回折強度[I(hkl)]を求める。また、JCPDS(Joint Committee on Powder Diffraction Standards)により規定された標準銅粉末の前記n個の結晶面それぞれに対するXRD回折強度[I
0(hkl)を求める。引き続き、前記n個の結晶面のI(hkl)/I
0(hkl)の算術平均値を求めた後、前記算術平均値で(220)面のI(220)/I
0(220)を割ることによって(220)面集合組織係数[TC(220)]を算出する。すなわち、(220)面集合組織係数[TC(220)]は下記の式3に基づいて算出される。
【0180】
【0181】
(iv)幅方向の重量偏差測定
電解銅箔102の幅方向に沿って位置する左側地点、中央地点、および右側地点から5cm×5cmの大きさのサンプルをそれぞれ取った後、この3個のサンプルの重量をそれぞれ測定する。引き続き、前記測定値の算術平均および標準偏差を求め、下記の式1によって幅方向の重量偏差を算出する。
【0182】
[式1]
幅方向の重量偏差(%)=(重量の標準偏差/重量の算術平均)×100
【0183】
(v)第1および第2面の表面粗さRz1、Rz2およびその差(|Rz1 - Rz2|)
【0184】
JIS B 0601-2001規格により表面粗さ測定機(M300、Mahr)を利用して、実施形態1~7および比較例1~7で製造された電解銅箔102の第1面S1と第2面S2の表面粗さRz1、Rz2をそれぞれ測定した。測定結果を利用して、電解銅箔の第1面S1と第2面S2の表面粗さの差(|Rz1 - Rz2|)を計算した。
【0185】
(vi)シワおよび引裂発生の観察
【0186】
1)負極の製造
商業的に利用可能な負極活物質用シリコン/カーボン複合負極材100重量部に2重量部のスチレンブタジエンゴム(SBR)および2重量部のカルボキシメチルセルロース(CMC)を混合し、蒸溜水を溶剤として利用して負極活物質用スラリーを調製した。ドクターブレードを利用して10cm幅を有する実施形態1~7および比較例1~7の電解銅箔上に40μm厚さで負極活物質用スラリーを塗布し、これを120℃で乾燥し、1ton/cm2の圧力を加えて二次電池用負極を製造した。
【0187】
2)電解液製造
エチレンカーボネート(EC)およびエチルメチルカーボネート(EMC)を1:2の割合で混合した非水性有機溶媒に溶質であるLiPF6を1Mの濃度で溶解して基本電解液を製造した。99.5重量%の基本電解液と0.5重量%の琥珀酸無水物(Succinic anhydride)を混合して非水電解液を製造した。
【0188】
3)正極製造
Li1.1Mn1.85Al0.05O4であるリチウムマンガン酸化物とo-LiMnO2であるorthorhombic結晶構造のリチウムマンガン酸化物を90:10(重量比)の比で混合して正極活物質を製造した。正極活物質、カーボンブラック、および結着剤であるPVDF[Poly(vinylidenefluoride)]を85:10:5(重量比)で混合して、これを有機溶媒であるNMPと混合してスラリーを製造した。このように製造されたスラリーを厚さ20μmのAl箔(foil)の両面に塗布した後、乾燥して正極を製造した。
【0189】
4)試験用リチウム二次電池製造
アルミニウム缶の内部に、アルミニウム缶と絶縁されるように正極と負極を配置し、その間に非水電解液および分離膜を配置し、コイン形態のリチウム二次電池を製造した。使われた分離膜はポリプロピレン(Celgard 2325;厚さ25μm、average pore sizeφ28 nm、porosity 40%)であった。
【0190】
5)二次電池の充放電
このように製造されたリチウム二次電池を利用して、4.3V充電電圧および3.4V放電電圧で電池を駆動し、50℃の高温で0.2C率(current rate、C-rate)で100回の充/放電を遂行した。
【0191】
6)シワまたは引裂発生の有無
100回の充放電後に二次電池を分解して銅箔にシワまたは引裂が発生するか否かを観察した。銅箔にシワまたは引裂が発行した場合を「発生」で表示し、発生しなかった場合を「なし」で表記した。
【0192】
以上の試験結果は表2の通りである。
【0193】
【0194】
表1および表2を参照すると、次のような結果を確認することができる。
【0195】
ヒ素(As)を少量で含む電解液によって製造された比較例1の電解銅箔はVMRが0.7であって基準値より小さく、引裂が発生した。また、ヒ素(As)を過量に含む電解液によって製造された比較例2の電解銅箔はVMRが12.7であって基準値より大きく、両面の表面粗さの差(|Rz1 - Rz2|)も0.66であって基準値より大きく、引裂が発生した。
【0196】
アセトアミド(Acetamide)を少量で含む電解液によって製造された比較例3の電解銅箔は引張強度が基準値より低い値を有し、引裂が発生した。その反面、アセトアミド(Acetamide)を過量に含む電解液によって製造された比較例4の電解銅箔は引張強度が基準値より高い値を有し、引裂が発生するものと示された。
【0197】
ポリプロピレングリコール(PPG)を少量で含む電解液によって製造された比較例5の電解銅箔は(220)面集合組織係数[TC(220)]が基準値より低く、引裂が発生した。その反面、ポリプロピレングリコール(PPG)を過量に含む電解液によって製造された比較例6の電解銅箔は(220)面集合組織係数[TC(220)]が基準値より高く、引裂が発生した。
【0198】
電解液11が供給される流量の偏差が、単位分当り5.3%に高く供給して製造された比較例7の電解銅箔は重量偏差が基準値より高く、引裂が発生しない代わりに、シワが発生した。
【0199】
反面、本発明に係る実施形態1~7の銅箔ではすべての数値が基準値以内であり、シワと引裂が発生しなかった。
【0200】
以上で説明された本発明は前述した実施形態および添付された図面によって限定されるものではなく、本発明の技術的事項を逸脱しない範囲内で多様な置換、変形および変更が可能であることが本発明が属する技術分野で通常の知識を有する者に自明である。したがって、本発明の範囲は後述する特許請求の範囲によって表現され、特許請求の範囲の意味、範囲そしてその等価概念から導き出されるすべての変更または変形された形態も本発明の範囲に含まれるものと解釈されるべきである。
【符号の説明】
【0201】
101、102:銅箔
112a、112b:第1および第2保護層
120a、120b:第1および第2活物質層
103、104:二次電池用電極
MS:マット面
SS:シャイニー面