(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-01-16
(45)【発行日】2023-01-24
(54)【発明の名称】抗MERTKアゴニスト抗体及びその使用
(51)【国際特許分類】
C12N 15/13 20060101AFI20230117BHJP
A61K 39/395 20060101ALI20230117BHJP
A61K 45/00 20060101ALI20230117BHJP
A61P 35/00 20060101ALI20230117BHJP
A61P 37/04 20060101ALI20230117BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20230117BHJP
C07K 16/40 20060101ALI20230117BHJP
C12N 1/15 20060101ALI20230117BHJP
C12N 1/19 20060101ALI20230117BHJP
C12N 1/21 20060101ALI20230117BHJP
C12N 5/10 20060101ALI20230117BHJP
C12P 21/08 20060101ALI20230117BHJP
【FI】
C12N15/13
A61K39/395 E
A61K39/395 T
A61K45/00
A61P35/00
A61P37/04
A61P43/00 111
C07K16/40 ZNA
C12N1/15
C12N1/19
C12N1/21
C12N5/10
C12P21/08
(21)【出願番号】P 2017533597
(86)(22)【出願日】2015-12-21
(86)【国際出願番号】 US2015067118
(87)【国際公開番号】W WO2016106221
(87)【国際公開日】2016-06-30
【審査請求日】2018-12-18
【審判番号】
【審判請求日】2021-02-04
(32)【優先日】2014-12-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】592054292
【氏名又は名称】ザ ロックフェラー ユニバーシティー
(74)【代理人】
【識別番号】110000671
【氏名又は名称】八田国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】タヴァゾイ,ソハイル
(72)【発明者】
【氏名】ハルバーグ,ニルス
(72)【発明者】
【氏名】タヴァゾイ,マスード
【合議体】
【審判長】上條 肇
【審判官】牧野 晃久
【審判官】高堀 栄二
(56)【参考文献】
【文献】AXELROD, H. et al.,Oncotarget,(11 Nov.2014),Vol.5, No.19, pp.8818-8852
【文献】GALLICCHIO, M. et al.,Blood,(2005),Vol.105,No.5,pp.1970-1976
【文献】特表2011-514881号公報
【文献】CHEN,J.et al.,Oncogene,(1997),Vol.14,pp.2033-2039
【文献】LINGER,R.M.A.et al.,Adv.Cancer Res.,(2008),Vol.100,pp.35-83
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C12N 15/00- 15/90
UniProt/GeneSeq
MEDLINE/CAPlus/BIOSIS/EMBASE/WPIDS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヒトMerチロシンキナーゼ(MERTK)に特異的に結合する抗体またはその抗原結合フラグメントであって、前記抗体は
、重鎖可変領域(VH)および軽鎖可変領域(VL
)を含み
、この際
(i)前記VHは、配列番号1の相補的決定領域(CDR)1、配列番号6のCDR2、及び配列番号11のCDR3を含み、前記VLは、配列番号15のCDR1、配列番号19のCDR2、及び配列番号22のCDR3を含む;
(ii)前記VHは、配列番号2のCDR1、配列番号7のCDR2、及び配列番号12のCDR3を含み、前記VLは、配列番号16のCDR1、配列番号20のCDR2、及び配列番号23のCDR3を含む;
(iii)前記VHは、配列番号3のCDR1、配列番号8のCDR2、及び配列番号11のCDR3を含み、前記VLは、配列番号15のCDR1、配列番号19のCDR2、及び配列番号22のCDR3を含む;
(iv)前記VHは、配列番号4のCDR1、配列番号9のCDR2、及び配列番号13のCDR3を含み、前記VLは、配列番号17のCDR1、配列番号21のCDR2、及び配列番号24のCDR3を含む;
(v)前記VHは、配列番号5のCDR1、配列番号10のCDR2、及び配列番号14のCDR3を含み、前記VLは、配列番号18のCDR1、配列番号20のCDR2、及び配列番号22のCDR3を含む;
(vi)前記VHは、配列番号25のCDR1、配列番号30のCDR2、及び配列番号35のCDR3を含み、前記VLは、配列番号39のCDR1、配列番号43のCDR2、及び配列番号46のCDR3を含む;
(vii)前記VHは、配列番号26のCDR1、配列番号31のCDR2、及び配列番号36のCDR3を含み、前記VLは、配列番号40のCDR1、配列番号44のCDR2、及び配列番号47のCDR3を含む;
(viii)前記VHは、配列番号27のCDR1、配列番号32のCDR2、及び配列番号35のCDR3を含み、前記VLは、配列番号39のCDR1、配列番号43のCDR2、及び配列番号46のCDR3を含む;
(ix)前記VHは、配列番号28のCDR1、配列番号33のCDR2、及び配列番号37のCDR3を含み、前記VLは、配列番号41のCDR1、配列番号45のCDR2、及び配列番号48のCDR3を含む;または
(x)前記VHは、配列番号29のCDR1、配列番号34のCDR2、及び配列番号38のCDR3を含み、前記VLは、配列番号42のCDR1、配列番号44のCDR2、及び配列番号46のCDR3を含む、抗体またはその抗原結合フラグメント。
【請求項2】
(i)前記VHは、配列番号1の相補的決定領域(CDR)1、配列番号6のCDR2、及び配列番号11のCDR3を含み、前記VLは、配列番号15のCDR1、配列番号19のCDR2、及び配列番号22のCDR3を含む;
(ii)前記VHは、配列番号2のCDR1、配列番号7のCDR2、及び配列番号12のCDR3を含み、前記VLは、配列番号16のCDR1、配列番号20のCDR2、及び配列番号23のCDR3を含む;
(iii)前記VHは、配列番号3のCDR1、配列番号8のCDR2、及び配列番号11のCDR3を含み、前記VLは、配列番号15のCDR1、配列番号19のCDR2、及び配列番号22のCDR3を含む;
(iv)前記VHは、配列番号4のCDR1、配列番号9のCDR2、及び配列番号13のCDR3を含み、前記VLは、配列番号17のCDR1、配列番号21のCDR2、及び配列番号24のCDR3を含む;または
(v)前記VHは、配列番号5のCDR1、配列番号10のCDR2、及び配列番号14のCDR3を含み、前記VLは、配列番号18のCDR1、配列番号20のCDR2、及び配列番号22のCDR3を含む、請求項1に記載の抗体またはその抗原結合フラグメント。
【請求項3】
(vi)前記VHは、配列番号25のCDR1、配列番号30のCDR2、及び配列番号35のCDR3を含み、前記VLは、配列番号39のCDR1、配列番号43のCDR2、及び配列番号46のCDR3を含む;
(vii)前記VHは、配列番号26のCDR1、配列番号31のCDR2、及び配列番号36のCDR3を含み、前記VLは、配列番号40のCDR1、配列番号44のCDR2、及び配列番号47のCDR3を含む;
(viii)前記VHは、配列番号27のCDR1、配列番号32のCDR2、及び配列番号35のCDR3を含み、前記VLは、配列番号39のCDR1、配列番号43のCDR2、及び配列番号46のCDR3を含む;
(ix)前記VHは、配列番号28のCDR1、配列番号33のCDR2、及び配列番号37のCDR3を含み、前記VLは、配列番号41のCDR1、配列番号45のCDR2、及び配列番号48のCDR3を含む;または
(x)前記VHは、配列番号29のCDR1、配列番号34のCDR2、及び配列番号38のCDR3を含み、前記VLは、配列番号42のCDR1、配列番号44のCDR2、及び配列番号46のCDR3を含む、請求項1に記載の抗体またはその抗原結合フラグメント。
【請求項4】
(A)(i)配列番号51のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域および(ii)配列番号52のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域;または
(B)(i)配列番号49のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域および(ii)配列番号50のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域、を含む、請求項1~3のいずれか1項に記載の抗体またはその抗原結合フラグメント。
【請求項5】
ヒト由来定常領域を含む、請求項1~4のいずれか1項に記載の抗体またはその抗原結合フラグメント。
【請求項6】
ヒト化されている、請求項1~3のいずれか1項に記載の抗体またはその抗原結合フラグメント。
【請求項7】
モノクローナル抗体またはその抗原結合断片である、請求項1~4のいずれかに記載の抗体またはその抗原結合フラグメント。
【請求項8】
精製されている、請求項1~7のいずれかに記載の抗体またはその抗原結合フラグメント。
【請求項9】
請求項1~8のいずれかに記載の抗体またはその抗原結合フラグメントをコードするポリヌクレオチドを含む、単離核酸。
【請求項10】
請求項1~8のいずれかに記載の抗体またはその抗原結合フラグメントをコードする1つ以上のポリヌクレオチドを含む、培養宿主細胞。
【請求項11】
前記1つ以上のポリヌクレオチドが前記培養宿主細胞によって発現して、前記抗体またはその抗原結合フラグメントを産生するような条件下で、請求項10に記載の培養宿主細胞を培養することを含む、抗体またはその抗原結合フラグメントを産生する方法。
【請求項12】
治療有効量の請求項1~8のいずれかに記載の抗体と、医薬的に許容される担体とを含む、医薬組成物。
【請求項13】
請求項1~8のいずれかに記載の抗体を含む、ヘテロ共役抗体。
【請求項14】
治療有効量の請求項13に記載のヘテロ共役抗体と、医薬的に許容される担体とを含む、医薬組成物。
【請求項15】
請求項1~8のいずれかに記載の抗体またはその抗原結合フラグメントの抱合体を含む、キット。
【請求項16】
請求項1~8のいずれかに記載の抗体または請求項13に記載のヘテロ共役抗体を含む、癌治療用医薬組成物。
【請求項17】
前記癌は、肺、胸、骨、卵巣、胃、膵臓、喉頭、食道、精巣、肝臓、耳下腺、胆道、結腸、直腸、頸、子宮、子宮内膜、腎臓、膀胱、前立腺、または甲状腺の癌である、請求項16に記載の医薬組成物。
【請求項18】
前記癌は、乳癌である、請求項16に記載の医薬組成物。
【請求項19】
前記癌は、トリプルネガティブ乳癌である、請求項16に記載の医薬組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
1.関連出願の相互参照
本願は、2014年12月22日出願の米国仮特許出願第62/095,325号の利益を主張し、その開示は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
2.分野
本開示は、Merチロシンキナーゼ(MERTK)(例えば、ヒトMERTK、またはヒト及びマウスMERTKの両方)に特異的に結合する抗体、及びそのような抗体を含む組成物を提供し、該抗体は、内皮細胞上でMERTKシグナル伝達を作動させる。本開示はまた、MERTKに特異的に結合し、内皮細胞上でMERTKシグナル伝達を作動させる、抗体を投与することによって、癌を治療するための方法を提供する。
【背景技術】
【0003】
3.背景
c-mer、MER、癌原遺伝子c-Mer、受容体型チロシンキナーゼMerTK、チロシンプロテインキナーゼMer、STKキナーゼ、RP38、またはMGC133349とも称されるMerチロシンキナーゼ(MERTK)は、AXL及びTYRO3キナーゼも含む受容体型チロシンキナーゼのTAMファミリーのメンバーである。MERTKは、リガンド、最も注目すべきは、可溶性タンパク質であるGas-6の結合による活性化を介して、細胞外間隙からのシグナルを変換する。MERTKへのGas-6結合は、その細胞内ドメイン上のMERTKの自己リン酸化反応を誘発し、下流シグナル活性化をもたらす(Cummings CT et al.,(2013)Clin Cancer Res 19:5275-5280、Verma A et al.,(2011)Mol Cancer Ther 10:1763-1773)。
【0004】
MERTK受容体は、膜結合性及び可溶性の両方の形態で存在する。細胞外ドメインは、可溶性Gas-6リガンドが膜結合性MERTKと結合する能力及び/または有用性を低減することによって、細胞上のMERTK受容体活性化を負に制御するためにデコイ受容体として作用すると仮定される、可溶性細胞外ドメインを生成するために開裂され得る(Sather S et al.,(2007)Blood 109:1026-1033)。結果として、MERTKは、癌の進行、血管新生、及び転移に関連した二重の役割を有する。一方で、内皮細胞上のMERTKのGas-6活性化は、共培養系における癌細胞による内皮細胞動員の阻害をもたらす。内皮動員は、腫瘍血管新生、腫瘍増殖、及び転移を可能にする癌細胞の主要な特徴である。しかしながら、一方で、MERTKは、癌細胞において反対の役割を果たし、その過剰発現は、恐らく、デコイ受容体として可溶性MERTK細胞外ドメインタンパク質を生成するために、開裂されたMERTKを放出することによって、転移の増加をもたらす。したがって、腫瘍細胞は、内皮細胞上でMERTKを活性化させ、最終的に内皮動員、血管新生、及び癌の進行をもたらす、可溶性Gas-6リガンドの能力(及び/または有用性)を低減するために、デコイ受容体として作用する、細胞外MERTK受容体の可溶性形態を分泌する(Png KJ et al.,(2012)Nature 481:190-194)。
【0005】
歴史的に、MERTKが単に癌遺伝子としての役割を果たすと考えられたため、癌の治療のために、MERTKの活性剤ではなく阻害剤を生成しようとする試みがあった(例えば、抗癌化合物として開発された強力な小分子MERTK阻害剤である、化合物UNC1062)(Liu J et al.,(2013)Eur J Med Chem 65:83-93、Cummings CT et al.,(2013)Clin Cancer Res 19:5275-5280、Verma A et al.,(2011)Mol Cancer Ther 10:1763-1773)。癌細胞及び内皮細胞におけるMERTKの二重の役割を所与として、概してMERTK活性化(例えば、内皮細胞及び癌細胞の両方の上での)をもたらす分子を用いた処置は、内皮細胞動員及び転移の増加をもたらす可能性がある。しかしながら、癌細胞ではなく内皮細胞上でMERTKシグナル伝達を活性化させる化合物は、潜在的に、腫瘍血管新生及び転移に対して魅力的な治療薬である。
【0006】
したがって、MERTKに特異的に結合し、内皮細胞上でMERTKシグナル伝達を作動させる抗体の必要性が存在する。
【発明の概要】
【0007】
4.概要
MERTK(例えば、ヒトMERTK、またはヒト及びマウスMERTKの両方)に特異的に結合し、内皮細胞でMERTKシグナル伝達を作動させる、抗体及びその抗原結合フラグメントが本明細書に開示される。具体的な実施形態では、本明細書に記載される抗MERTK抗体またはその抗原結合フラグメントは、ヒトMERTKの細胞外部分を特異的に認識する。別の具体的な実施形態では、本明細書に記載される抗MERTK抗体またはその抗原結合フラグメントは、マウスMERTKの細胞外部分を特異的に認識する。別の特定の実施形態では、本明細書に記載される抗MERTK抗体またはその抗原結合フラグメントは、MERTK(例えば、ヒトMERTK、またはヒト及びマウスMERTKの両方)と結合するために、Gas-6と競合する。特定の実施形態では、本明細書に記載される抗MERTK抗体または抗原結合フラグメントは、モノクローナルである。別の特定の実施形態では、本明細書に記載される抗MERTK抗体またはその抗原結合フラグメントは、2つの同一の軽鎖及び2つの同一の重鎖を含む免疫グロブリンである。
【0008】
特定の実施形態では、MERTK(例えば、ヒトMERTK、またはヒト及びマウスMERTKの両方)に特異的に結合し、内皮細胞上でMERTKシグナル伝達を作動させる、本明細書に記載される抗MERTK抗体またはその抗原結合フラグメントは、
(a)NYGMN(配列番号1)のVH CDR1、及び/または
(b)WINTYTGEPTYADDFKG(配列番号6)のVH CDR2、及び/または
(c)KSTVVSRYFDV(配列番号11)のVH CDR3、を含む、重鎖可変領域(VH)を含む。
【0009】
特定の実施形態では、MERTK(例えば、ヒトMERTK、またはヒト及びマウスMERTKの両方)に特異的に結合し、内皮細胞上でMERTKシグナル伝達を作動させる、本明細書に記載される抗MERTK抗体またはその抗原結合フラグメントは、
(a)GYTFTNY(配列番号2)のVH CDR1、及び/または
(b)(配列番号7)のVH CDR2、及び/または
(c)STVVSRYFD(配列番号12)のVH CDR3、を含む、重鎖可変領域(VH)を含む。
【0010】
特定の実施形態では、MERTK(例えば、ヒトMERTK、またはヒト及びマウスMERTKの両方)に特異的に結合し、内皮細胞上でMERTKシグナル伝達を作動させる、本明細書に記載される抗MERTK抗体またはその抗原結合フラグメントは、
(a)GYTFTNYGMN(配列番号3)のVH CDR1、及び/または
(b)WINTYTGEPT(配列番号8)のVH CDR2、及び/または
(c)KSTVVSRYFDV(配列番号11)のVH CDR3、を含む、重鎖可変領域(VH)を含む。
【0011】
特定の実施形態では、MERTK(例えば、ヒトMERTK、またはヒト及びマウスMERTKの両方)に特異的に結合し、内皮細胞上でMERTKシグナル伝達を作動させる、本明細書に記載される抗MERTK抗体またはその抗原結合フラグメントは、
(a)TNYGMN(配列番号4)のVH CDR1、及び/または
(b)WMGWINTYTGEPT(配列番号9)のVH CDR2、及び/または
(c)ARKSTVVSRYFDのVH CDR3(配列番号13)、を含む、重鎖可変領域(VH)を含む。
【0012】
特定の実施形態では、MERTK(例えば、ヒトMERTK、またはヒト及びマウスMERTKの両方)に特異的に結合し、内皮細胞上でMERTKシグナル伝達を作動させる、本明細書に記載される抗MERTK抗体またはその抗原結合フラグメントは、
(a)GYTFTNYG(配列番号5)のVH CDR1、及び/または
(b)INTYTGEP(配列番号10)のVH CDR2、及び/または
(c)ARKSTVVSRYFDV(配列番号14)のVH CDR3、を含む、重鎖可変領域(VH)を含む。
【0013】
特定の実施形態では、MERTK(例えば、ヒトMERTK、またはヒト及びマウスMERTKの両方)に特異的に結合し、内皮細胞上でMERTKシグナル伝達を作動させる、本明細書に記載される抗MERTK抗体またはその抗原結合フラグメントは、
(a)GYTFTNYGMN(配列番号3)のVH CDR1、及び/または
(b)WINTYTGEPTYADDFKG(配列番号6)のVH CDR2、及び/または
(c)KSTVVSRYFDV(配列番号11)のVH CDR3、を含む、重鎖可変領域(VH)を含む。
【0014】
別の実施形態では、MERTK(例えば、ヒトMERTK、またはヒト及びマウスMERTKの両方)に特異的に結合し、内皮細胞上でMERTKシグナル伝達を作動させる、本明細書に記載される抗MERTK抗体またはその抗原結合フラグメントは、
(a)KASQDVGDAVT(配列番号15)のVL CDR1、及び/または
(b)WASTRHT(配列番号19)のVL CDR2、及び/または
(c)QQYRSYPLT(配列番号22)のVL CDR3、を含む、軽鎖可変領域(VL)を含む。
【0015】
別の実施形態では、MERTK(例えば、ヒトMERTK、またはヒト及びマウスMERTKの両方)に特異的に結合し、内皮細胞上でMERTKシグナル伝達を作動させる、本明細書に記載される抗MERTK抗体またはその抗原結合フラグメントは、
(a)SQDVGDA(配列番号16)のVL CDR1、及び/または
(b)WAS(配列番号20)のVL CDR2、及び/または
(c)YRSYPL(配列番号23)のVL CDR3、を含む、軽鎖可変領域(VL)を含む。
【0016】
別の実施形態では、MERTK(例えば、ヒトMERTK、またはヒト及びマウスMERTKの両方)に特異的に結合し、内皮細胞上でMERTKシグナル伝達を作動させる、本明細書に記載される抗MERTK抗体またはその抗原結合フラグメントは、
(a)GDAVTWC(配列番号17)のVL CDR1、及び/または
(b)LLIYWASTRH(配列番号21)のVL CDR2、及び/または
(c)QQYRSYPL(配列番号24)のVL CDR3、を含む、軽鎖可変領域(VL)を含む。
【0017】
別の実施形態では、MERTK(例えば、ヒトMERTK、またはヒト及びマウスMERTKの両方)に特異的に結合し、内皮細胞上でMERTKシグナル伝達を作動させる、本明細書に記載される抗MERTK抗体またはその抗原結合フラグメントは、
(a)QDVGDA(配列番号18)のVL CDR1、及び/または
(b)WAS(配列番号20)のVL CDR2、及び/または
(c)QQYRSYPLT(配列番号22)のVL CDR3、を含む、軽鎖可変領域(VL)を含む。
【0018】
別の実施形態では、MERTK(例えば、ヒトMERTK、またはヒト及びマウスMERTKの両方)に特異的に結合し、内皮細胞上でMERTKシグナル伝達を作動させる、本明細書に記載される抗MERTK抗体またはその抗原結合フラグメントは、
(a)DYSMH(配列番号25)のVH CDR1、及び/または
(b)WINTDTGEPTYADDFKG(配列番号30)のVH CDR2、及び/または
(c)WFGAMDY(配列番号35)のVH CDR3、を含む、重鎖可変領域(VH)を含む。
【0019】
具体的な実施形態では、MERTK(例えば、ヒトMERTK、またはヒト及びマウスMERTKの両方)に特異的に結合し、内皮細胞上でMERTKシグナル伝達を作動させる、本明細書に記載される抗MERTK抗体またはその抗原結合フラグメントは、
(a)NYTFTDY(配列番号26)のVH CDR1、及び/または
(b)TDTG(配列番号31)のVH CDR2、及び/または
(c)FGAMD(配列番号36)のVH CDR3、を含む、重鎖可変領域(VH)を含む。
【0020】
具体的な実施形態では、MERTK(例えば、ヒトMERTK、またはヒト及びマウスMERTKの両方)に特異的に結合し、内皮細胞上でMERTKシグナル伝達を作動させる、本明細書に記載される抗MERTK抗体またはその抗原結合フラグメントは、
(a)NYTFTDYSMH(配列番号27)のVH CDR1、及び/または
(b)WINTDTGEPT(配列番号32)のVH CDR2、及び/または
(c)WFGAMDY(配列番号35)のVH CDR3、を含む、重鎖可変領域(VH)を含む。
【0021】
具体的な実施形態では、MERTK(例えば、ヒトMERTK、またはヒト及びマウスMERTKの両方)に特異的に結合し、内皮細胞上でMERTKシグナル伝達を作動させる、本明細書に記載される抗MERTK抗体またはその抗原結合フラグメントは、
(a)TDYSMH(配列番号28)のVH CDR1、及び/または
(b)WVGWINTDTGEPT(配列番号33)のVH CDR2、及び/または
(c)ARWFGAMD(配列番号37)のVH CDR3、を含む、重鎖可変領域(VH)を含む。
【0022】
具体的な実施形態では、MERTK(例えば、ヒトMERTK、またはヒト及びマウスMERTKの両方)に特異的に結合し、内皮細胞上でMERTKシグナル伝達を作動させる、本明細書に記載される抗MERTK抗体またはその抗原結合フラグメントは、
(a)NYTFTDYS(配列番号29)のVH CDR1、及び/または
(b)INTDTGEP(配列番号34)のVH CDR2、及び/または
(c)ARWFGAMDY(配列番号38)のVH CDR3、を含む、重鎖可変領域(VH)を含む。
【0023】
具体的な実施形態では、MERTK(例えば、ヒトMERTK、またはヒト及びマウスMERTKの両方)に特異的に結合し、内皮細胞上でMERTKシグナル伝達を作動させる、本明細書に記載される抗MERTK抗体またはその抗原結合フラグメントは、
(a)NYTFTDYSMH(配列番号27)のVH CDR1、及び/または
(b)WINTDTGEPTYADDFKG(配列番号30)のVH CDR2、及び/または
(c)WFGAMDY(配列番号35)のVH CDR3、を含む、重鎖可変領域(VH)を含む。
【0024】
具体的な実施形態では、MERTK(例えば、ヒトMERTK、またはヒト及びマウスMERTKの両方)に特異的に結合し、内皮細胞上でMERTKシグナル伝達を作動させる、本明細書に記載される抗MERTK抗体またはその抗原結合フラグメントは、
(a)KASQDVTNVVA(配列番号39)のVL CDR1、及び/または
(b)SASYRYT(配列番号43)のVL CDR2、及び/または
(c)QQYYRTPRT(配列番号46)のVL CDR3、を含む、軽鎖可変領域(VL)を含む。
【0025】
具体的な実施形態では、MERTK(例えば、ヒトMERTK、またはヒト及びマウスMERTKの両方)に特異的に結合し、内皮細胞上でMERTKシグナル伝達を作動させる、本明細書に記載される抗MERTK抗体またはその抗原結合フラグメントは、
(a)SQDVTNV(配列番号40)のVL CDR1、及び/または
(b)SAS(配列番号44)のVL CDR2、及び/または
(c)YYRTPR(配列番号47)のVL CDR3、を含む、軽鎖可変領域(VL)を含む。
【0026】
具体的な実施形態では、MERTK(例えば、ヒトMERTK、またはヒト及びマウスMERTKの両方)に特異的に結合し、内皮細胞上でMERTKシグナル伝達を作動させる、本明細書に記載される抗MERTK抗体またはその抗原結合フラグメントは、
(a)TNVVAWY(配列番号41)のVL CDR1、及び/または
(b)LLIYSASYRY(配列番号45)のVL CDR2、及び/または
(c)QQYYRTPR(配列番号48)のVL CDR3、を含む、軽鎖可変領域(VL)を含む。
【0027】
具体的な実施形態では、MERTK(例えば、ヒトMERTK、またはヒト及びマウスMERTKの両方)に特異的に結合し、内皮細胞上でMERTKシグナル伝達を作動させる、本明細書に記載される抗MERTK抗体またはその抗原結合フラグメントは、
(a)QDVTNV(配列番号42)のVL CDR1、及び/または
(b)SAS(配列番号44)のVL CDR2、及び/または
(c)QQYYRTPRT(配列番号46)のVL CDR3、を含む、軽鎖可変領域(VL)を含む。
【0028】
具体的な実施形態では、抗MERTK抗体またはその抗原結合フラグメントは、上記のVH CDRのうちの1つ、2つ、または3つ全部を含む。ある特定の実施形態では、抗体またはその抗原結合フラグメントは、表1または表3のVH CDR1を含む。いくつかの実施形態では、抗MERTK抗体またはその抗原結合フラグメントは、表1または表3のVH CDR2を含む。ある特定の実施形態では、抗MERTK抗体またはその抗原結合フラグメントは、表1または表3のVH CDR3を含む。ある特定の実施形態では、抗MERTK抗体またはその抗原結合フラグメントは、抗体M6のVH CDR1、VH CDR2、及びVH CDR3(表1)を含む。ある特定の実施形態では、抗MERTK抗体またはその抗原結合フラグメントは、抗体M19のVH CDR1、VH CDR2、及びVH CDR3(表3)を含む。
【0029】
具体的な実施形態では、抗MERTK抗体またはその抗原結合フラグメントは、上記のVL CDRのうちの1つ、2つ、または3つ全部を含む。ある特定の実施形態では、抗MERTK抗体またはその抗原結合フラグメントは、表2または表4のVL CDR1を含む。いくつかの実施形態では、抗MERTK抗体またはその抗原結合フラグメントは、表2または表4のVL CDR2を含む。ある特定の実施形態では、抗MERTK抗体またはその抗原結合フラグメントは、表2または表4のVL CDR3を含む。ある特定の実施形態では、抗MERTK抗体またはその抗原結合フラグメントは、抗体M6のVL CDR1、VL CDR2、及びVL CDR3(表2)を含む。ある特定の実施形態では、抗MERTK抗体またはその抗原結合フラグメントは、抗体M19のVL CDR1、VL CDR2、及びVL CDR3(表4)を含む。
【0030】
別の実施形態では、MERTK(例えば、ヒトMERTK、またはヒト及びマウスMERTKの両方)に特異的に結合し、内皮細胞上でMERTKシグナル伝達を作動させる、抗MERTK抗体またはその抗原結合フラグメントは、
(a)NYGMN(配列番号1)のVH CDR1、及び/または
(b)WINTYTGEPTYADDFKG(配列番号6)のVH CDR2、及び/または
(c)KSTVVSRYFDV(配列番号11)のVH CDR3、及び/または
(d)KASQDVGDAVT(配列番号15)のVL CDR1、及び/または
(e)WASTRHT(配列番号19)のVL CDR2、及び/または
(f)QQYRSYPLT(配列番号22)のVL CDR3、を含む。
【0031】
特定の実施形態では、MERTK(例えば、ヒトMERTK、またはヒト及びマウスMERTKの両方)に特異的に結合し、内皮細胞上でMERTKシグナル伝達を作動させる、抗MERTK抗体またはその抗原結合フラグメントは、
(a)GYTFTNY(配列番号2)のVH CDR1、及び/または
(b)(配列番号7)のVH CDR2、及び/または
(c)STVVSRYFD(配列番号12)のVH CDR3、及び/または
(d)SQDVGDA(配列番号16)のVL CDR1、及び/または
(e)WAS(配列番号20)のVL CDR2、及び/または
(f)YRSYPL(配列番号23)のVL CDR3、を含む。
【0032】
特定の実施形態では、MERTK(例えば、ヒトMERTK、またはヒト及びマウスMERTKの両方)に特異的に結合し、内皮細胞上でMERTKシグナル伝達を作動させる、抗MERTK抗体またはその抗原結合フラグメントは、
(a)GYTFTNYGMN(配列番号3)のVH CDR1、及び/または
(b)WINTYTGEPT(配列番号8)のVH CDR2、及び/または
(c)KSTVVSRYFDV(配列番号11)のVH CDR3、及び/または
(d)KASQDVGDAVT(配列番号15)のVL CDR1、及び/または
(e)WASTRHT(配列番号19)のVL CDR2、及び/または
(f)QQYRSYPLT(配列番号22)のVL CDR3、を含む。
【0033】
特定の実施形態では、MERTK(例えば、ヒトMERTK、またはヒト及びマウスMERTKの両方)に特異的に結合し、内皮細胞上でMERTKシグナル伝達を作動させる、抗MERTK抗体またはその抗原結合フラグメントは、
(a)TNYGMN(配列番号4)のVH CDR1、及び/または
(b)WMGWINTYTGEPT(配列番号9)のVH CDR2、及び/または
(c)ARKSTVVSRYFD(配列番号13)のVH CDR3、及び/または
(d)GDAVTWC(配列番号17)のVL CDR1、及び/または
(e)LLIYWASTRH(配列番号21)のVL CDR2、及び/または
(f)QQYRSYPL(配列番号24)のVL CDR3、を含む。
【0034】
特定の実施形態では、MERTK(例えば、ヒトMERTK、またはヒト及びマウスMERTKの両方)に特異的に結合し、内皮細胞上でMERTKシグナル伝達を作動させる、抗MERTK抗体またはその抗原結合フラグメントは、
(a)GYTFTNYG(配列番号5)のVH CDR1、及び/または
(b)INTYTGEP(配列番号10)のVH CDR2、及び/または
(c)ARKSTVVSRYFDV(配列番号14)のVH CDR3、及び/または
(d)QDVGDA(配列番号18)のVL CDR1、及び/または
(e)WAS(配列番号20)のVL CDR2、及び/または
(f)QQYRSYPLT(配列番号22)のVL CDR3、を含む。
【0035】
特定の実施形態では、MERTK(例えば、ヒトMERTK、またはヒト及びマウスMERTKの両方)に特異的に結合し、内皮細胞上でMERTKシグナル伝達を作動させる、抗MERTK抗体またはその抗原結合フラグメントは、
(a)GYTFTNYGMN(配列番号3)のVH CDR1、及び/または
(b)WINTYTGEPTYADDFKG(配列番号6)のVH CDR2、及び/または
(c)KSTVVSRYFDV(配列番号11)のVH CDR3、及び/または
(d)KASQDVGDAVT(配列番号15)のVL CDR1、及び/または
(e)WASTRHT(配列番号19)のVL CDR2、及び/または
(f)QQYRSYPLT(配列番号22)のVL CDR3、を含む。
【0036】
特定の実施形態では、MERTK(例えば、ヒトMERTK、またはヒト及びマウスMERTKの両方)に特異的に結合し、内皮細胞上でMERTKシグナル伝達を作動させる、抗MERTK抗体またはその抗原結合フラグメントは、
(a)DYSMH(配列番号25)のVH CDR1、及び/または
(b)WINTDTGEPTYADDFKG(配列番号30)のVH CDR2、及び/または
(c)WFGAMDY(配列番号35)のVH CDR3、及び/または
(d)KASQDVTNVVA(配列番号39)のVL CDR1、及び/または
(e)SASYRYT(配列番号43)のVL CDR2、及び/または
(f)QQYYRTPRT(配列番号46)のVL CDR3、を含む。
【0037】
特定の実施形態では、MERTK(例えば、ヒトMERTK、またはヒト及びマウスMERTKの両方)に特異的に結合し、内皮細胞上でMERTKシグナル伝達を作動させる、抗MERTK抗体またはその抗原結合フラグメントは、
(a)NYTFTDY(配列番号26)のVH CDR1、及び/または
(b)TDTG(配列番号31)のVH CDR2、及び/または
(c)FGAMD(配列番号36)のVH CDR3、及び/または
(d)SQDVTNV(配列番号40)のVL CDR1、及び/または
(e)SAS(配列番号44)のVL CDR2、及び/または
(f)YYRTPR(配列番号47)のVL CDR3、を含む。
【0038】
特定の実施形態では、MERTK(例えば、ヒトMERTK、またはヒト及びマウスMERTKの両方)に特異的に結合し、内皮細胞上でMERTKシグナル伝達を作動させる、抗MERTK抗体またはその抗原結合フラグメントは、
(a)NYTFTDYSMH(配列番号27)のVH CDR1、及び/または
(b)WINTDTGEPT(配列番号32)のVH CDR2、及び/または
(c)WFGAMDY(配列番号35)のVH CDR3、及び/または
(d)KASQDVTNVVA(配列番号39)のVL CDR1、及び/または
(e)SASYRYT(配列番号43)のVL CDR2、及び/または
(f)QQYYRTPRT(配列番号46)のVL CDR3、を含む。
【0039】
特定の実施形態では、MERTK(例えば、ヒトMERTK、またはヒト及びマウスMERTKの両方)に特異的に結合し、内皮細胞上でMERTKシグナル伝達を作動させる、抗MERTK抗体またはその抗原結合フラグメントは、
(a)TDYSMH(配列番号28)のVH CDR1、及び/または
(b)WVGWINTDTGEPT(配列番号33)のVH CDR2、及び/または
(c)ARWFGAMD(配列番号37)のVH CDR3、及び/または
(d)TNVVAWY(配列番号41)のVL CDR1、及び/または
(e)LLIYSASYRY(配列番号45)のVL CDR2、及び/または
(f)QQYYRTPR(配列番号48)のVL CDR3、を含む。
【0040】
特定の実施形態では、MERTK(例えば、ヒトMERTK、またはヒト及びマウスMERTKの両方)に特異的に結合し、内皮細胞上でMERTKシグナル伝達を作動させる、抗MERTK抗体またはその抗原結合フラグメントは、
(a)NYTFTDYS(配列番号29)のVH CDR1、及び/または
(b)INTDTGEP(配列番号34)のVH CDR2、及び/または
(c)ARWFGAMDY(配列番号38)のVH CDR3、及び/または
(d)QDVTNV(配列番号42)のVL CDR1、及び/または
(e)SAS(配列番号44)のVL CDR2、及び/または
(f)QQYYRTPRT(配列番号46)のVL CDR3、を含む。
【0041】
特定の実施形態では、MERTK(例えば、ヒトMERTK、またはヒト及びマウスMERTKの両方)に特異的に結合し、内皮細胞上でMERTKシグナル伝達を作動させる、抗MERTK抗体またはその抗原結合フラグメントは、
(a)NYTFTDYSMH(配列番号27)のVH CDR1、及び/または
(b)WINTDTGEPTYADDFKG(配列番号30)のVH CDR2、及び/または
(c)WFGAMDY(配列番号35)のVH CDR3、及び/または
(d)KASQDVTNVVA(配列番号39)のVL CDR1、及び/または
(e)SASYRYT(配列番号43)のVL CDR2、及び/または
(f)QQYYRTPRT(配列番号46)のVL CDR3、を含む。
【0042】
具体的な実施形態では、配列番号49のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域配列を含む、MERTK(例えば、ヒトMERTK、またはヒト及びマウスMERTKの両方)に特異的に結合し、内皮細胞上でMERTKシグナル伝達を作動させる、抗MERTK抗体またはその抗原結合フラグメントが本明細書で提供される。別の具体的な実施形態では、配列番号51のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域配列を含む、MERTK(例えば、ヒトMERTK、またはヒト及びマウスMERTKの両方)に特異的に結合し、内皮細胞上でMERTKシグナル伝達を作動させる、抗MERTK抗体またはその抗原結合フラグメントが本明細書で提供される。
【0043】
別の実施形態では、配列番号50のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域配列を含む、MERTK(例えば、ヒトMERTK、またはヒト及びマウスMERTKの両方)に特異的に結合し、内皮細胞上でMERTKシグナル伝達を作動させる、抗MERTK抗体またはその抗原結合フラグメントが本明細書で提供される。別の具体的な実施形態では、配列番号52のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域配列を含む、MERTK(例えば、ヒトMERTK、またはヒト及びマウスMERTKの両方)に特異的に結合し、内皮細胞上でMERTKシグナル伝達を作動させる、抗MERTK抗体またはその抗原結合フラグメントが本明細書で提供される。
【0044】
別の実施形態では、(a)配列番号49のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域と、(b)配列番号50のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域と、を含む、MERTK(例えば、ヒトMERTK、またはヒト及びマウスMERTKの両方)に特異的に結合し、内皮細胞上でMERTKシグナル伝達を作動させる、抗MERTK抗体またはその抗原結合フラグメントが本明細書で提供される。別の具体的な実施形態では、(a)配列番号51のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域と、(b)配列番号52のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域と、を含む、MERTK(例えば、ヒトMERTK、またはヒト及びマウスMERTKの両方)に特異的に結合し、内皮細胞上でMERTKシグナル伝達を作動させる、抗体またはそのフラグメントが本明細書で提供される。
【0045】
ある特定の実施形態では、MERTK(例えば、ヒトMERTK、またはヒト及びマウスMERTKの両方)に特異的に結合し、内皮細胞上でMERTKシグナル伝達を作動させる、本明細書で提供される抗体は、重鎖及び/または軽鎖定常領域を含む。いくつかの実施形態では、重鎖定常領域は、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgA1、及びIgA2からなるヒト免疫グロブリンの群から選択される。ある特定の実施形態では、軽鎖定常領域は、IgGκ及びIgGλからなるヒト免疫グロブリンの群から選択される。いくつかの実施形態では、抗体は、1つ以上のヒトFcガンマ受容体(複数可)に対する増加した結合親和性を有する定常領域を含む。いくつかの実施形態では、抗体は、1つ以上のヒトFcガンマ受容体(複数可)に対する減少した結合親和性を有する定常領域を含む。
【0046】
別の実施形態では、本明細書に記載される抗体と同じMERTK(例えば、ヒトMERTK、またはヒト及びマウスMERTKの両方)のエピトープに結合する、抗MERTK抗体またはその抗原結合フラグメントが本明細書で提供される。別の実施形態では、MERTK(例えば、ヒトMERTK、またはヒト及びマウスMERTKの両方)に結合するために、本明細書に記載される抗MERTK抗体またはその抗原結合フラグメントと競合する、抗MERTK抗体またはその抗原結合フラグメントが本明細書で提供される。別の具体的な実施形態では、MERTK(例えば、ヒトMERTK、またはヒト及びマウスMERTKの両方)に結合するために、本明細書に記載される抗MERTK抗体またはその抗原結合フラグメントと競合する、第1の抗MERTK抗体またはその抗原結合フラグメントが本明細書で提供され、競合は、本明細書に記載される抗MERTK抗体またはその抗原結合フラグメントの存在下で、80%超(例えば、85%、90%、95%、もしくは98%、または80%~85%、80%~90%、85%~90%、もしくは85%~95%)減少した、MERTK(例えば、ヒトMERTK、またはヒト及びマウスMERTKの両方)への第1の抗MERTK抗体またはその抗原結合フラグメントの結合として示される。
【0047】
具体的な実施形態では、MERTK(例えば、ヒトMERTK、またはヒト及びマウスMERTKの両方)に特異的に結合し、内皮細胞上でMERTKシグナル伝達を作動させる、本明細書で提供される抗体は、ヒト抗体、ヒト化抗体、マウス抗体、またはキメラ抗体である。ある特定の実施形態では、MERTK(例えば、ヒトMERTK、またはヒト及びマウスMERTKの両方)に特異的に結合し、内皮細胞上でMERTKシグナル伝達を作動させる、本明細書で提供される抗体は、約3pM~400pMの範囲内のKDで、MERTK(例えば、ヒトMERTK、またはヒト及びマウスMERTKの両方)に結合する。具体的な実施形態では、本明細書で提供される抗体は、単離される。具体的な実施形態では、本明細書で提供される抗体は、モノクローナル抗体である。
【0048】
別の実施形態では、重鎖可変領域及び/もしくは軽鎖可変領域、または本明細書に記載される抗MERTK抗体の重鎖及び/もしくは軽鎖をコードする核酸分子が本明細書で提供される。具体的な実施形態では、核酸分子は、配列番号53または配列番号55の核酸配列を含む、重鎖可変領域をコードする。別の具体的な実施形態では、核酸分子は、配列番号54または配列番号56の核酸配列を含む、軽鎖可変領域をコードする。具体的な実施形態では、核酸分子は、単離される。
【0049】
ある特定の実施形態では、ベクター(例えば、単離ベクター)は、重鎖可変領域及び/もしくは軽鎖可変領域、または本明細書に記載される抗MERTK抗体の重鎖及び/もしくは軽鎖をコードするポリヌクレオチドを含む。ある特定の実施形態では、宿主細胞は、ポリヌクレオチドまたはベクターを含む。宿主細胞の例としては、組織培養中のE.coli、Pseudomonas、Bacillus、Streptomyces、酵母、CHO、YB/20、NS0、PER-C6、HEK-293T、NIH-3T3、HeLa、BHK、Hep G2、SP2/0、R1.1、B-W、L-M、COS 1、COS 7、BSC1、BSC40、BMT10細胞、植物細胞、昆虫細胞、及びヒト細胞が挙げられる。具体的な実施形態では、ポリヌクレオチドが発現し、抗体が産生されるように、宿主細胞を培養することを含む、MERTK(例えば、ヒトMERTK、またはヒト及びマウスMERTKの両方)に特異的に結合し、内皮細胞上でMERTKシグナル伝達を作動させる、抗MERTK抗体またはその抗原結合フラグメントを産生する方法が本明細書で提供される。
【0050】
別の実施形態では、本明細書に記載される抗MERTK抗体もしくはその抗原結合フラグメント、ポリヌクレオチド、ベクター、または宿主細胞、及び医薬的に許容される担体を含む、医薬組成物が本明細書で提供される。医薬組成物は、癌を治療するために使用され得る。
【0051】
ある特定の実施形態では、有効量の本明細書に記載される抗MERTK抗体またはその抗原結合フラグメントを、対象に投与することを含む、対象における癌を治療する方法が本明細書で提供される。別の実施形態では、本明細書に記載される医薬組成物を対象に投与することを含む、対象における癌を治療するための方法が本明細書で提供される。ある特定の実施形態では、癌を治療する方法は、内皮細胞の遊走の阻害、血管新生の阻害、及び/または腫瘍進行の阻害をもたらす。
【0052】
ある特定の実施形態では、本明細書で提供される方法によって治療される癌は、肺、胸、骨、卵巣、胃、膵臓、喉頭、食道、精巣、肝臓、耳下腺、胆道、結腸、直腸、頸、子宮、子宮内膜、腎臓、膀胱、前立腺、または甲状腺の癌である。いくつかの実施形態では、治療される癌は、肉腫、扁平上皮細胞癌、黒色腫、神経膠腫、膠芽腫、神経芽腫、またはカポジ肉腫である。
【0053】
ある特定の実施形態では、本明細書で提供される方法によって治療される癌は、乳癌である。具体的な実施形態では、本明細書で提供される方法によって治療される癌は、トリプルネガティブ乳癌である。
【0054】
ある特定の実施形態では、癌を治療する方法はさらに、追加の治療薬を対象に投与することを含む。本明細書に記載される抗MERTK抗体もしくはその抗原結合フラグメントまたは本明細書に記載される医薬組成物と組み合わせて対象に投与され得る、追加の治療薬の例は、以下の第5.3節及び第5.4節に記載される。
【0055】
具体的な実施形態では、本明細書に記載される抗MERTK抗体またはその抗原結合フラグメントと組み合わせて対象に投与される追加の治療薬は、乳癌を治療するために使用される薬剤、黒色腫を治療するために使用される薬剤、免疫療法、または血管新生阻害剤である。
【0056】
具体的な実施形態では、追加の治療薬は、タモキシフェン、ラロキシフェン、パクリタキセル(TAXOL(登録商標))、シクロホスファミド、ドセタキセル、ビンブラスチン、フルオロウラシル、エベロリムス、トラスツズマブ、トラスツズマブ-エムタンシン、ペルツズマブ、及びラパチニブジトシラートからなる群から選択される、乳癌を治療するために使用される薬剤である。
【0057】
具体的な実施形態では、追加の治療薬は、BRAF阻害剤、MEK阻害剤、及びダカルバジンからなる群から選択される、黒色腫を治療するために使用される薬剤である。
【0058】
具体的な実施形態では、追加の治療薬は、CTLA-4阻害剤、PD-1阻害剤、またはPD-L1阻害剤である抗体である。
【0059】
具体的な実施形態では、追加の治療薬は、VEGF阻害剤、VEGFR2阻害剤、スニチニブ、及びソラフェニブからなる群から選択される血管新生阻害剤である。
【0060】
具体的な実施形態では、本明細書に記載される方法によって治療される対象は、ヒトである。
【0061】
一態様では、ヒトMerチロシンキナーゼ(MERTK)に特異的に結合する抗体またはその抗原結合フラグメントが本明細書で提供され、抗体は、内皮細胞のヒトMERTKシグナル伝達を作動させる。
【0062】
前述の態様の具体的な実施形態では、抗体またはその抗原結合フラグメントはさらに、マウスMERTKに特異的に結合する。
【0063】
前述の態様/実施形態のいずれかの具体的な実施形態では、抗体は、ヒトMERTKの細胞外ドメインを特異的に認識し、細胞外ドメインは、配列番号58のアミノ酸配列を含む。
【0064】
前述の態様/実施形態のいずれかの具体的な実施形態では、抗体は、ヒトMERTKに結合するために、Gas-6と競合する。
【0065】
前述の態様/実施形態のいずれかの具体的な実施形態では、抗体は、モノクローナル抗体である。
【0066】
前述の態様/実施形態のいずれかの具体的な実施形態では、抗体は、2つの同一の軽鎖及び2つの同一の重鎖を含む免疫グロブリンである。
【0067】
抗体が2つの同一の軽鎖及び2つの同一の重鎖を含む免疫グロブリンである実施形態の具体的な実施形態では、重鎖のそれぞれは、配列番号1の相補的決定領域(CDR)1、配列番号6のCDR2、及び配列番号11のCDR3を含む、可変領域(VH)を含む。そのような具体的な実施形態の1つのさらなる実施形態では、軽鎖のそれぞれは、配列番号15の相補的決定領域(CDR)1、配列番号19のCDR2、及び配列番号22のCDR3を含む、可変領域(VL)を含む。
【0068】
抗体が2つの同一の軽鎖及び2つの同一の重鎖を含む免疫グロブリンである実施形態の具体的な実施形態では、重鎖のそれぞれは、可変領域(VH)を含み、VHは、配列番号2のCDR1、配列番号7のCDR2、及び配列番号12のCDR3を含む。そのような具体的な実施形態の1つのさらなる実施形態では、軽鎖のそれぞれは、可変領域(VL)を含み、VLは、配列番号16のCDR1、配列番号20のCDR2、及び配列番号23のCDR3を含む。
【0069】
抗体が2つの同一の軽鎖及び2つの同一の重鎖を含む免疫グロブリンである実施形態の具体的な実施形態では、重鎖のそれぞれは、可変領域(VH)を含み、VHは、配列番号3のCDR1、配列番号8のCDR2、及び配列番号11のCDR3を含む。そのような具体的な実施形態の1つのさらなる実施形態では、軽鎖のそれぞれは、配列番号15の相補的決定領域(CDR)1、配列番号19のCDR2、及び配列番号22のCDR3を含む、可変領域(VL)を含む。
【0070】
抗体が2つの同一の軽鎖及び2つの同一の重鎖を含む免疫グロブリンである実施形態の具体的な実施形態では、重鎖のそれぞれは、可変領域(VH)を含み、VHは、配列番号4のCDR1、配列番号9のCDR2、及び配列番号13のCDR3を含む。そのような具体的な実施形態の1つのさらなる実施形態では、軽鎖のそれぞれは、可変領域(VL)を含み、VLは、配列番号17のCDR1、配列番号21のCDR2、及び配列番号24のCDR3を含む。
【0071】
抗体が2つの同一の軽鎖及び2つの同一の重鎖を含む免疫グロブリンである実施形態の具体的な実施形態では、重鎖のそれぞれは、可変領域(VH)を含み、VHは、配列番号5のCDR1、配列番号10のCDR2、及び配列番号14のCDR3を含む。そのような具体的な実施形態の1つのさらなる実施形態では、軽鎖のそれぞれは、可変領域(VL)を含み、VLは、配列番号18のCDR1、配列番号20のCDR2、及び配列番号22のCDR3を含む。
【0072】
抗体が2つの同一の軽鎖及び2つの同一の重鎖を含む免疫グロブリンである実施形態の具体的な実施形態では、重鎖のそれぞれは、可変領域(VH)を含み、VHは、配列番号3のCDR1、配列番号6のCDR2、及び配列番号11のCDR3を含む。そのような具体的な実施形態の1つのさらなる実施形態では、軽鎖のそれぞれは、配列番号15の相補的決定領域(CDR)1、配列番号19のCDR2、及び配列番号22のCDR3を含む、可変領域(VL)を含む。
【0073】
抗体が2つの同一の軽鎖及び2つの同一の重鎖を含む免疫グロブリンである実施形態の具体的な実施形態では、重鎖のそれぞれは、可変領域(VH)を含み、VHは、配列番号25のCDR1、配列番号30のCDR2、及び配列番号35のCDR3を含む。そのような具体的な実施形態の1つのさらなる実施形態では、軽鎖のそれぞれは、可変領域(VL)を含み、VLは、配列番号39のCDR1、配列番号43のCDR2、及び配列番号46のCDR3を含む。
【0074】
抗体が2つの同一の軽鎖及び2つの同一の重鎖を含む免疫グロブリンである実施形態の具体的な実施形態では、重鎖のそれぞれは、可変領域(VH)を含み、VHは、配列番号26のCDR1、配列番号31のCDR2、及び配列番号36のCDR3を含む。そのような具体的な実施形態の1つのさらなる実施形態では、軽鎖のそれぞれは、可変領域(VL)を含み、VLは、配列番号40のCDR1、配列番号44のCDR2、及び配列番号47のCDR3を含む。
【0075】
抗体が2つの同一の軽鎖及び2つの同一の重鎖を含む免疫グロブリンである実施形態の具体的な実施形態では、重鎖のそれぞれは、可変領域(VH)を含み、VHは、配列番号27のCDR1、配列番号32のCDR2、及び配列番号35のCDR3を含む。そのような具体的な実施形態の1つのさらなる実施形態では、軽鎖のそれぞれは、可変領域(VL)を含み、VLは、配列番号39のCDR1、配列番号43のCDR2、及び配列番号46のCDR3を含む。
【0076】
抗体が2つの同一の軽鎖及び2つの同一の重鎖を含む免疫グロブリンである実施形態の具体的な実施形態では、重鎖のそれぞれは、可変領域(VH)を含み、VHは、配列番号28のCDR1、配列番号33のCDR2、及び配列番号37のCDR3を含む。そのような具体的な実施形態の1つのさらなる実施形態では、軽鎖のそれぞれは、可変領域(VL)を含み、VLは、配列番号41のCDR1、配列番号45のCDR2、及び配列番号48のCDR3を含む。
【0077】
抗体が2つの同一の軽鎖及び2つの同一の重鎖を含む免疫グロブリンである実施形態の具体的な実施形態では、重鎖のそれぞれは、可変領域(VH)を含み、VHは、配列番号29のCDR1、配列番号34のCDR2、及び配列番号38のCDR3を含む。
【0078】
抗体が2つの同一の軽鎖及び2つの同一の重鎖を含む免疫グロブリンである実施形態の具体的な実施形態では、重鎖のそれぞれは、可変領域(VH)を含み、VHは、配列番号27のCDR1、配列番号30のCDR2、及び配列番号35のCDR3を含む。そのような具体的な実施形態の1つのさらなる実施形態では、軽鎖のそれぞれは、可変領域(VL)を含み、VLは、配列番号39のCDR1、配列番号43のCDR2、及び配列番号46のCDR3を含む。そのような具体的な実施形態の別のさらなる実施形態では、軽鎖のそれぞれは、可変領域(VL)を含み、VLは、配列番号42のCDR1、配列番号44のCDR2、及び配列番号46のCDR3を含む。
【0079】
抗体が2つの同一の軽鎖及び2つの同一の重鎖を含む免疫グロブリンである実施形態の具体的な実施形態では、軽鎖のそれぞれは、配列番号15の相補的決定領域(CDR)1、配列番号19のCDR2、及び配列番号22のCDR3を含む、可変領域(VL)を含む。
【0080】
抗体が2つの同一の軽鎖及び2つの同一の重鎖を含む免疫グロブリンである実施形態の具体的な実施形態では、軽鎖のそれぞれは、可変領域(VL)を含み、VLは、配列番号16のCDR1、配列番号20のCDR2、及び配列番号23のCDR3を含む。
【0081】
抗体が2つの同一の軽鎖及び2つの同一の重鎖を含む免疫グロブリンである実施形態の具体的な実施形態では、軽鎖のそれぞれは、可変領域(VL)を含み、VLは、配列番号17のCDR1、配列番号21のCDR2、及び配列番号24のCDR3を含む。
【0082】
抗体が2つの同一の軽鎖及び2つの同一の重鎖を含む免疫グロブリンである実施形態の具体的な実施形態では、軽鎖のそれぞれは、可変領域(VL)を含み、VLは、配列番号18のCDR1、配列番号20のCDR2、及び配列番号22のCDR3を含む。
【0083】
抗体が2つの同一の軽鎖及び2つの同一の重鎖を含む免疫グロブリンである実施形態の具体的な実施形態では、軽鎖のそれぞれは、可変領域(VL)を含み、VLは、配列番号39のCDR1、配列番号43のCDR2、及び配列番号46のCDR3を含む。
【0084】
抗体が2つの同一の軽鎖及び2つの同一の重鎖を含む免疫グロブリンである実施形態の具体的な実施形態では、軽鎖のそれぞれは、可変領域(VL)を含み、VLは、配列番号40のCDR1、配列番号44のCDR2、及び配列番号47のCDR3を含む。
【0085】
抗体が2つの同一の軽鎖及び2つの同一の重鎖を含む免疫グロブリンである実施形態の具体的な実施形態では、軽鎖のそれぞれは、可変領域(VL)を含み、VLは、配列番号41のCDR1、配列番号45のCDR2、及び配列番号48のCDR3を含む。
【0086】
抗体が2つの同一の軽鎖及び2つの同一の重鎖を含む免疫グロブリンである実施形態の具体的な実施形態では、軽鎖のそれぞれは、可変領域(VL)を含み、VLは、配列番号42のCDR1、配列番号44のCDR2、及び配列番号46のCDR3を含む。
【0087】
抗体が2つの同一の軽鎖及び2つの同一の重鎖を含む免疫グロブリンである実施形態の具体的な実施形態では、重鎖は、配列番号49を含む可変領域(VH)を含む。そのような具体的な実施形態の1つのさらなる実施形態では、軽鎖は、配列番号50を含む可変領域(VL)を含む。
【0088】
抗体が2つの同一の軽鎖及び2つの同一の重鎖を含む免疫グロブリンである実施形態の具体的な実施形態では、軽鎖は、配列番号50を含む可変領域(VL)を含む。
【0089】
抗体が2つの同一の軽鎖及び2つの同一の重鎖を含む免疫グロブリンである実施形態の具体的な実施形態では、重鎖は、配列番号51を含む可変領域(VH)を含む。そのような具体的な実施形態の1つのさらなる実施形態では、軽鎖は、配列番号52を含む可変領域(VL)を含む。
【0090】
抗体が2つの同一の軽鎖及び2つの同一の重鎖を含む免疫グロブリンである実施形態の具体的な実施形態では、軽鎖は、配列番号52を含む可変領域(VL)を含む。
【0091】
抗体が2つの同一の軽鎖及び2つの同一の重鎖を含む免疫グロブリンである前述の実施形態のいずれかの具体的な実施形態では、抗体またはその抗原結合フラグメントは、ヒト由来定常領域を含む。そのような具体的な実施形態の1つのさらなる実施形態では、重鎖定常領域は、ガンマ1、ガンマ2、ガンマ3、及びガンマ4からなる群から選択されるアイソタイプを有する。
【0092】
前述の態様/実施形態のいずれかの具体的な実施形態では、抗体またはその抗原結合フラグメントは、ヒト化される。
【0093】
前述の態様/実施形態のいずれかの具体的な実施形態では、抗体は、約3ピコモル(pM)~400pMの範囲内の解離定数(KD)でヒトMERTKと結合する。
【0094】
前述の態様/実施形態のいずれかの具体的な実施形態では、抗体は、約3pM~400pMの範囲内のKDでマウスMERTKと結合する。
【0095】
前述の態様/実施形態のいずれかの具体的な実施形態では、抗体または抗原結合フラグメントは、乳癌細胞の存在下で、インビトロでの内皮細胞の遊走を阻害し、遊走は、対照抗体で処置された内皮細胞と比較して30%超阻害される。
【0096】
前述の態様/実施形態のいずれかの具体的な実施形態では、抗体または抗原結合フラグメントは、インビトロでのヒト血管内皮細胞のMERTKのリン酸化反応を促進する。
【0097】
前述の態様/実施形態のいずれかの具体的な実施形態では、抗体または抗原結合フラグメントは、インビトロでの癌細胞上のMERTKのリン酸化反応を促進しない。
【0098】
前述の態様/実施形態のいずれかの具体的な実施形態では、抗体または抗原結合フラグメントは、インビボでの腫瘍血管新生を阻害する。
【0099】
前述の態様/実施形態のいずれかの具体的な実施形態では、抗体または抗原結合フラグメントは、内皮細胞の非存在下でのインビトロトランスウェル遊走アッセイにおいて、多形膠芽腫細胞株A172の遊走を阻害しない。
【0100】
前述の態様/実施形態のいずれかの具体的な実施形態では、抗体または抗原結合フラグメントは、多形膠芽腫細胞株A172上のMERTKの発現レベルを減少させない。
【0101】
別の態様では、重鎖可変領域(VH)を含む、ヒトMERTKに特異的に結合する抗体またはその抗原結合フラグメントが本明細書で提供され、VHは、配列番号1の相補的決定領域(CDR)1、配列番号6のCDR2、及び配列番号11のCDR3を含む。そのような態様の具体的な実施形態では、抗体またはその抗原結合フラグメントはさらに、軽鎖可変領域(VL)を含み、VLは、配列番号15の相補的決定領域(CDR)1、配列番号19のアミノ酸配列を含むCDR2、及び配列番号22のアミノ酸配列を含むCDR3を含む。
【0102】
別の態様では、重鎖可変領域(VH)を含む、ヒトMERTKに特異的に結合する抗体またはその抗原結合フラグメントが本明細書で提供され、VHは、配列番号2のCDR1、配列番号7のCDR2、及び配列番号12のCDR3を含む。そのような態様の具体的な実施形態では、抗体またはその抗原結合フラグメントはさらに、軽鎖可変領域(VL)をさらに含み、VLは、配列番号16のCDR1、配列番号20のCDR2、及び配列番号23のCDR3を含む。
【0103】
別の態様では、重鎖可変領域(VH)を含む、ヒトMERTKに特異的に結合する抗体またはその抗原結合フラグメントが本明細書で提供され、VHは、配列番号3のCDR1、配列番号8のCDR2、及び配列番号11のCDR3を含む。そのような態様の具体的な実施形態では、抗体またはその抗原結合フラグメントはさらに、軽鎖可変領域(VL)を含み、VLは、配列番号15の相補的決定領域(CDR)1、配列番号19のアミノ酸配列を含むCDR2、及び配列番号22のアミノ酸配列を含むCDR3を含む。
【0104】
別の態様では、重鎖可変領域(VH)を含む、ヒトMERTKに特異的に結合する抗体またはその抗原結合フラグメントが本明細書で提供され、VHは、配列番号4のCDR1、配列番号9のCDR2、及び配列番号13のCDR3を含む。そのような態様の具体的な実施形態では、抗体またはその抗原結合フラグメントはさらに、軽鎖可変領域(VL)をさらに含み、VLは、配列番号17のCDR1、配列番号21のCDR2、及び配列番号24のCDR3を含む。
【0105】
別の態様では、重鎖可変領域(VH)を含む、ヒトMERTKに特異的に結合する抗体またはその抗原結合フラグメントが本明細書で提供され、VHは、配列番号5のCDR1、配列番号10のCDR2、及び配列番号14のCDR3を含む。そのような態様の具体的な実施形態では、抗体またはその抗原結合フラグメントはさらに、軽鎖可変領域(VL)をさらに含み、VLは、配列番号18のCDR1、配列番号20のCDR2、及び配列番号22のCDR3を含む。
【0106】
別の態様では、重鎖可変領域(VH)を含む、ヒトMERTKに特異的に結合する抗体またはその抗原結合フラグメントが本明細書で提供され、VHは、配列番号3のCDR1、配列番号6のCDR2、及び配列番号11のCDR3を含む。そのような態様の具体的な実施形態では、抗体またはその抗原結合フラグメントはさらに、軽鎖可変領域(VL)を含み、VLは、配列番号15の相補的決定領域(CDR)1、配列番号19のアミノ酸配列を含むCDR2、及び配列番号22のアミノ酸配列を含むCDR3を含む。
【0107】
別の態様では、重鎖可変領域(VH)を含む、ヒトMERTKに特異的に結合する抗体またはその抗原結合フラグメントが本明細書で提供され、VHは、配列番号25のCDR1、配列番号30のCDR2、及び配列番号35のCDR3を含む。そのような態様の具体的な実施形態では、抗体またはその抗原結合フラグメントはさらに、軽鎖可変領域(VL)をさらに含み、VLは、配列番号39のCDR1、配列番号43のCDR2、及び配列番号46のCDR3を含む。
【0108】
別の態様では、重鎖可変領域(VH)を含む、ヒトMERTKに特異的に結合する抗体またはその抗原結合フラグメントが本明細書で提供され、VHは、配列番号26のCDR1、配列番号31のCDR2、及び配列番号36のCDR3を含む。そのような態様の具体的な実施形態では、抗体またはその抗原結合フラグメントはさらに、軽鎖可変領域(VL)をさらに含み、VLは、配列番号40のCDR1、配列番号44のCDR2、及び配列番号47のCDR3を含む。
【0109】
別の態様では、重鎖可変領域(VH)を含む、ヒトMERTKに特異的に結合する抗体またはその抗原結合フラグメントが本明細書で提供され、VHは、配列番号27のCDR1、配列番号32のCDR2、及び配列番号35のCDR3を含む。そのような態様の具体的な実施形態では、抗体またはその抗原結合フラグメントはさらに、軽鎖可変領域(VL)をさらに含み、VLは、配列番号39のCDR1、配列番号43のCDR2、及び配列番号46のCDR3を含む。
【0110】
別の態様では、重鎖可変領域(VH)を含む、ヒトMERTKに特異的に結合する抗体またはその抗原結合フラグメントが本明細書で提供され、VHは、配列番号28のCDR1、配列番号33のCDR2、及び配列番号37のCDR3を含む。そのような態様の具体的な実施形態では、抗体またはその抗原結合フラグメントはさらに、軽鎖可変領域(VL)をさらに含み、VLは、配列番号41のCDR1、配列番号45のCDR2、及び配列番号48のCDR3を含む。
【0111】
別の態様では、重鎖可変領域(VH)を含む、ヒトMERTKに特異的に結合する抗体またはその抗原結合フラグメントが本明細書で提供され、VHは、配列番号29のCDR1、配列番号34のCDR2、及び配列番号38のCDR3を含む。
【0112】
別の態様では、重鎖可変領域(VH)を含む、ヒトMERTKに特異的に結合する抗体またはその抗原結合フラグメントが本明細書で提供され、VHは、配列番号27のCDR1、配列番号30のCDR2、及び配列番号35のCDR3を含む。そのような態様の具体的な実施形態では、抗体またはその抗原結合フラグメントはさらに、軽鎖可変領域(VL)をさらに含み、VLは、配列番号39のCDR1、配列番号43のCDR2、及び配列番号46のCDR3を含む。そのような態様の別の具体的な実施形態では、抗体またはその抗原結合フラグメントはさらに、軽鎖可変領域(VL)をさらに含み、VLは、配列番号42のCDR1、配列番号44のCDR2、及び配列番号46のCDR3を含む。
【0113】
前述の態様の具体的な実施形態では、抗体は、免疫グロブリンであり、抗原結合フラグメントは、免疫グロブリンの一部分である。
【0114】
前述の態様の具体的な実施形態では、抗体またはその抗原結合フラグメントは、免疫グロブリンである。
【0115】
前述の態様/実施形態のいずれかの具体的な実施形態では、抗体またはその抗原結合フラグメントは、ヒト化される。
【0116】
前述の態様/実施形態のいずれかの具体的な実施形態では、抗体またはその抗原結合フラグメントは、ヒト由来定常領域を含む。そのような具体的な実施形態の1つのさらなる実施形態では、抗体またはその抗原結合フラグメントは、ヒト化免疫グロブリンである。
【0117】
抗体が2つの同一の軽鎖及び2つの同一の重鎖を含むモノクローナル抗体または免疫グロブリンではない前述の態様/実施形態のいずれかの具体的な実施形態では、抗体またはその抗原結合フラグメントは、二重特異性抗体である。
【0118】
別の態様では、(i)配列番号51のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域、及び(ii)配列番号52のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む、ヒトMERTKに特異的に結合する免疫グロブリンが本明細書で提供される。
【0119】
別の態様では、(i)配列番号49のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域、及び(ii)配列番号50のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む、ヒトMERTKに特異的に結合する免疫グロブリンが本明細書で提供される。
【0120】
別の態様では、
(A)(i)配列番号51のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域、及び(ii)配列番号52のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域、または
(B)(i)配列番号49のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域、及び(ii)配列番号50のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域、を含む、ヒトMERTKに特異的に結合する免疫グロブリンが本明細書で提供される。
【0121】
別の態様では、MERTKに結合するために、
(a)(i)配列番号51のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域、及び(ii)配列番号52のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む、第1の免疫グロブリン、ならびに
(b)(i)配列番号49のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域、及び(ii)配列番号50のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む、第2の免疫グロブリン、からなる群から選択される参照抗体と競合する、抗体が本明細書で提供される。
【0122】
別の態様では、配列番号1のVH CDR1、配列番号6のVH CDR2、及び配列番号11のVH CDR3を含む、抗体重鎖が本明細書で提供される。
【0123】
別の態様では、配列番号2のVH CDR1、配列番号7のVH CDR2、及び配列番号12のVH CDR3を含む、抗体重鎖が本明細書で提供される。
【0124】
別の態様では、配列番号3のVH CDR1、配列番号8のVH CDR2、及び配列番号11のVH CDR3を含む、抗体重鎖が本明細書で提供される。
【0125】
別の態様では、配列番号4のVH CDR1、配列番号9のVH CDR2、及び配列番号13のVH CDR3を含む、抗体重鎖が本明細書で提供される。
【0126】
別の態様では、配列番号5のVH CDR1、配列番号10のVH CDR2、及び配列番号14のVH CDR3を含む、抗体重鎖が本明細書で提供される。
【0127】
別の態様では、配列番号3のVH CDR1、配列番号6のVH CDR2、及び配列番号11のVH CDR3を含む、抗体重鎖が本明細書で提供される。
【0128】
別の態様では、配列番号25のVH CDR1、配列番号30のVH CDR2、及び配列番号35のVH CDR3を含む、抗体重鎖が本明細書で提供される。
【0129】
別の態様では、配列番号26のVH CDR1、配列番号31のVH CDR2、及び配列番号36のVH CDR3を含む、抗体重鎖が本明細書で提供される。
【0130】
別の態様では、配列番号27のVH CDR1、配列番号32のVH CDR2、及び配列番号35のVH CDR3を含む、抗体重鎖が本明細書で提供される。
【0131】
別の態様では、配列番号28のVH CDR1、配列番号33のVH CDR2、及び配列番号37のVH CDR3を含む、抗体重鎖が本明細書で提供される。
【0132】
別の態様では、配列番号29のVH CDR1、配列番号34のVH CDR2、及び配列番号38のVH CDR3を含む、抗体重鎖が本明細書で提供される。
【0133】
別の態様では、配列番号27のVH CDR1、配列番号30のVH CDR2、及び配列番号35のVH CDR3を含む、抗体重鎖が本明細書で提供される。
【0134】
別の態様では、
(A)配列番号1のVH CDR1、配列番号6のVH CDR2、及び配列番号11のVH CDR3、
(B)配列番号2のVH CDR1、配列番号7のVH CDR2、及び配列番号12のVH CDR3、
(C)配列番号3のVH CDR1、配列番号8のVH CDR2、及び配列番号11のVH CDR3、
(D)配列番号4のVH CDR1、配列番号9のVH CDR2、及び配列番号13のVH CDR3、
(E)配列番号5のVH CDR1、配列番号10のVH CDR2、及び配列番号14のVH CDR3、
(F)配列番号3のVH CDR1、配列番号6のVH CDR2、及び配列番号11のVH CDR3、
(G)配列番号25のVH CDR1、配列番号30のVH CDR2、及び配列番号35のVH CDR3、
(H)配列番号26のVH CDR1、配列番号31のVH CDR2、及び配列番号36のVH CDR3、
(I)配列番号27のVH CDR1、配列番号32のVH CDR2、及び配列番号35のVH CDR3、
(J)配列番号28のVH CDR1、配列番号33のVH CDR2、及び配列番号37のVH CDR3、
(K)配列番号29のVH CDR1、配列番号34のVH CDR2、及び配列番号38のVH CDR3、または
(L)配列番号27のVH CDR1、配列番号30のVH CDR2、及び配列番号35のVH CDR3、を含む、抗体重鎖が本明細書で提供される。
【0135】
別の態様では、配列番号15の軽鎖可変領域(VL)CDR1、配列番号19のVL CDR2、及び配列番号22のVL CDR3を含む、抗体軽鎖が本明細書で提供される。
【0136】
別の態様では、配列番号16のVL CDR1、配列番号20のVL CDR2、及び配列番号23のVL CDR3を含む、抗体軽鎖が本明細書で提供される。
【0137】
別の態様では、配列番号17のVL CDR1、配列番号21のVL CDR2、及び配列番号24のVL CDR3を含む、抗体軽鎖が本明細書で提供される。
【0138】
別の態様では、配列番号18のVL CDR1、配列番号20のVL CDR2、及び配列番号22のVL CDR3を含む、抗体軽鎖が本明細書で提供される。
【0139】
別の態様では、配列番号39のVL CDR1、配列番号43のVL CDR2、及び配列番号46のVL CDR3を含む、抗体軽鎖が本明細書で提供される。
【0140】
別の態様では、配列番号40のVL CDR1、配列番号44のVL CDR2、及び配列番号47のVL CDR3を含む、抗体軽鎖が本明細書で提供される。
【0141】
別の態様では、配列番号41のVL CDR1、配列番号45のVL CDR2、及び配列番号48のVL CDR3を含む、抗体軽鎖が本明細書で提供される。
【0142】
別の態様では、配列番号42のVL CDR1、配列番号44のVL CDR2、及び配列番号46のVL CDR3を含む、抗体軽鎖が本明細書で提供される。
【0143】
別の態様では、
(A)配列番号15の軽鎖可変領域(VL)CDR1、配列番号19のVL CDR2、及び配列番号22のVL CDR3、
(B)配列番号16のVL CDR1、配列番号20のVL CDR2、及び配列番号23のVL CDR3、
(C)配列番号17のVL CDR1、配列番号21のVL CDR2、及び配列番号24のVL CDR3、
(D)配列番号18のVL CDR1、配列番号20のVL CDR2、及び配列番号22のVL CDR3、
(E)配列番号39のVL CDR1、配列番号43のVL CDR2、及び配列番号46のVL CDR3、
(F)配列番号40のVL CDR1、配列番号44のVL CDR2、及び配列番号47のVL CDR3、
(G)配列番号41のVL CDR1、配列番号45のVL CDR2、及び配列番号48のVL CDR3、または
(H)配列番号42のVL CDR1、配列番号44のVL CDR2、及び配列番号46のVL CDR3、を含む、抗体軽鎖が本明細書で提供される。
【0144】
別の態様では、前述の態様のいずれかに記載される抗体重鎖をコードするポリヌクレオチドを含む、単離核酸が本明細書で提供される。
【0145】
別の態様では、前述の態様のいずれかに記載される抗体軽鎖をコードするポリヌクレオチドを含む、単離核酸が本明細書で提供される。
【0146】
別の態様では、前述の態様/実施形態のいずれかに記載される抗体もしくは抗原結合フラグメント、または前述の態様のいずれかに記載される免疫グロブリン、またはMERTKと結合するために、
(a)(i)配列番号51のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域、及び(ii)配列番号52のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む、第1の免疫グロブリン、ならびに
(b)(i)配列番号49のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域、及び(ii)配列番号50のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む、第2の免疫グロブリン、からなる群から選択される参照抗体と競合する抗体、をコードする1つ以上のポリヌクレオチドを含有する、エクスビボ細胞が本明細書で提供される。
【0147】
別の態様では、前述の態様のいずれかに記載される抗体重鎖をコードするポリヌクレオチドを含有する、エクスビボ細胞が本明細書で提供される。
【0148】
別の態様では、前述の態様のいずれかに記載される抗体軽鎖をコードするポリヌクレオチドを含有する、エクスビボ細胞が本明細書で提供される。
【0149】
別の態様では、抗体または抗原結合フラグメントを産生する方法が本明細書で提供され、1つ以上のポリヌクレオチドが細胞によって発現して、ポリヌクレオチドによってコードされた抗体、抗原結合フラグメント、または免疫グロブリンを産生するような条件下で、前述の態様/実施形態のいずれかに記載される抗体もしくは抗原結合フラグメント、または前述の態様のいずれかに記載される免疫グロブリン、またはMERTKと結合するために、
(a)(i)配列番号51のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域、及び(ii)配列番号52のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む、第1の免疫グロブリン、ならびに
(b)(i)配列番号49のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域、及び(ii)配列番号50のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む、第2の免疫グロブリン、からなる群から選択される参照抗体と競合する抗体、
をコードする1つ以上のポリヌクレオチドを含有する、エクスビボ細胞を培養することを含む。
【0150】
別の態様では、抗体重鎖を産生する方法が本明細書で提供され、ポリヌクレオチドが細胞によって発現して、ポリヌクレオチドによってコードされた抗体、抗原結合フラグメント、または免疫グロブリンを産生するような条件下で、前述の態様のいずれかに記載される抗体重鎖をコードするポリヌクレオチドを含有する、エクスビボ細胞を培養することを含む。
【0151】
別の態様では、抗体軽鎖を産生する方法が本明細書で提供され、ポリヌクレオチドが細胞によって発現して、ポリヌクレオチドによってコードされた抗体、抗原結合フラグメント、または免疫グロブリンを産生するような条件下で、前述の態様のいずれかに記載される抗体軽鎖をコードするポリヌクレオチドを含有する、エクスビボ細胞を培養することを含む。
【0152】
別の態様では、治療有効量の前述の態様/実施形態のいずれかに記載される抗体もしくは抗原結合フラグメント、または前述の態様のいずれかに記載される免疫グロブリン、またはMERTKと結合するために、
(a)(i)配列番号51のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域、及び(ii)配列番号52のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む、第1の免疫グロブリン、ならびに
(b)(i)配列番号49のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域、及び(ii)配列番号50のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む、第2の免疫グロブリン、からなる群から選択される参照抗体と競合する抗体、
ならびに医薬的に許容される担体と含む、医薬組成物が本明細書で提供される。
【0153】
別の態様では、癌の治療を必要としている対象にそれを行う方法が本明細書で提供され、前述の態様に記載される医薬組成物を該対象に投与することを含む。
【0154】
癌を治療する方法の前述の態様の具体的な実施形態では、癌は、肺、胸、骨、卵巣、胃、膵臓、喉頭、食道、精巣、肝臓、耳下腺、胆道、結腸、直腸、頸、子宮、子宮内膜、腎臓、膀胱、前立腺、または甲状腺の癌である。そのような具体的な実施形態のある特定の実施形態では、癌は、乳癌である。そのようなある特定の実施形態のさらなる実施形態では、癌は、トリプルネガティブ乳癌である。
【0155】
癌を治療する方法の前述の態様の具体的な実施形態では、癌は、肉腫、扁平上皮細胞癌、黒色腫、神経膠腫、膠芽腫、神経芽腫、またはカポジ肉腫である。
【0156】
癌を治療する方法の前述の態様/実施形態のいずれかの具体的な実施形態では、本方法はさらに、追加の治療薬を対象に投与することを含む。
【0157】
本方法がさらに追加の治療薬を対象に投与することを含む実施形態の具体的な実施形態では、追加の治療薬は、癌を治療するためのものである。
【0158】
追加の治療薬が癌を治療するためのものである実施形態の具体的な実施形態では、追加の治療薬は、乳癌を治療するために使用される薬剤、黒色腫を治療するために使用される薬剤、免疫療法、または血管新生阻害剤である。そのような具体的な実施形態の1つのさらなる実施形態では、追加の治療薬は、タモキシフェン、ラロキシフェン、パクリタキセル、シクロホスファミド、ドセタキセル、ビンブラスチン、フルオロウラシル、エベロリムス、トラスツズマブ、トラスツズマブ-エムタンシン、ペルツズマブ、及びラパチニブジトシラートからなる群から選択される、乳癌を治療するために使用される薬剤である。そのような具体的な実施形態の別のさらなる実施形態では、追加の治療薬は、BRAF阻害剤、MEK阻害剤、及びダカルバジンからなる群から選択される、黒色腫を治療するために使用される薬剤である。そのような具体的な実施形態の別のさらなる実施形態では、追加の治療薬は、CTLA-4阻害剤、PD-1阻害剤、またはPD-L1阻害剤である抗体である。そのような具体的な実施形態の別のさらなる実施形態では、追加の治療薬は、VEGF阻害剤、VEGFR2阻害剤、スニチニブ、及びソラフェニブからなる群から選択される血管新生阻害剤である。
【0159】
癌を治療する方法の前述の態様/実施形態のいずれかの具体的な実施形態では、対象は、ヒトである。
【0160】
5.図面の簡単な説明
【図面の簡単な説明】
【0161】
【
図1A】
図1A及び
図1B:MERTK配列。A)抗体の産生のためにマウスを免疫化するために使用される、組み換えMERTKペプチドの概略図。ペプチドは、MERTKの細胞外ドメイン(
図1Bを参照されたい)、短鎖リンカー、及びヒトIgG
1の一部分からなる。
【
図1B】
図1A及び
図1B:MERTK配列。B)
図1Aに記載される組み換えMERTKペプチドで使用されるMERTKの一部分(太字及び下線のある配列、配列番号58)を示す、完全長ヒトMERTKの配列(配列番号57)。
【
図2】
図2:MERTKモノクローナル抗体スクリーン。単一ハイブリドーマクローンから回収されたMERTK結合モノクローナル抗体の結合特性を特徴付けるために使用される、抗体捕捉ELISAアッセイからのデータを示す図。抗体クローンは、第1の縦列においてM1~M20に任意に指定される。MERTK結合モノクローナル抗体のうちのいくつかは、第2の縦列において大きい(>3.5)O.D.値によって示されるように、MERTKに対して高親和性結合を示した。これらの抗体のうちのいくつかはまた、第3の縦列において小さい(<2.5)遮断O.D.値によって示されるように、Gas-6に対するMERTKの結合を中和させた。
【
図3】
図3:MERTK結合抗体M19及びM6は、内皮動員を阻害する。モノクローナル抗体M6またはM19のいずれかの生理学的濃度が、転移性乳癌細胞による内皮動員を有意に阻害することが可能であることを示す図。2.5×10
4個のMDA-MB-231細胞を4連で播種した。癌細胞に向かう5×10
4個のHUVEC細胞のトランスウェル遊走を、スクリーンから単離した200ng/mLの対照抗体(IgG)またはMERTK結合抗体の存在下で評価した。トランスウェル挿入物を通じて遊走した細胞の画像を取得し、ImageJソフトウェアを使用して細胞を数えた。N=4。内皮細胞動員を有意に阻害したモノクローナル抗体(M6及びM19)はそれぞれ、赤色及び緑色で表示される。エラーバーは、標本平均の標準誤差を表す。
【
図4】
図4A-C:MERTK結合抗体M19は、内皮細胞上でMERTKを活性化する。A)活性化(リン酸化)MERTK(P-MERTK)ならびに合計レベルのMERTK及びAKTのウェスタンブロット解析の前に16時間にわたって、HUVEC細胞を、FBSなし+M19なし、10% FBS+M19なし、10% FBS+25μg/mLのM19、またはFBSなし+25μg/mLのM19のいずれかで処置した。示されるように、M19抗体を用いた処置は、活性化MERTKのレベルを増加させた。B)
図4AからのウェスタンブロットデータからのM19で処置された、及び未処置のHUVEC細胞から単離された、P-MERTK対MERTKのタンパク質発現レベルの比として計算された、M19抗体処置によるMERTK活性化の定量化。C)P-MERTKのウェスタンブロット解析の前に30分間にわたって、示されるように、HUVEC細胞を、増加する濃度のM19抗体で処置した。M19処置の用量の増加と共に、MERTKの活性化の増加が見られたことに留意されたい。
【
図5】
図5A及び
図5B:MERTK結合抗体M6は、内皮細胞上でMERTKを活性化する。A)活性化(リン酸化)MERTK(P-MERTK)ならびに合計レベルのMERTKのウェスタンブロット解析の前に16時間にわたって、HUVEC細胞を、FBSなし+M6なし、10% FBS+M6なし、10% FBS+25μg/mLのM6、またはFBSなし+25μg/mLのM6のいずれかで処置した。示されるように、M6抗体を用いた処置は、活性化MERTKのレベルを増加させた。B)
図5AからのウェスタンブロットデータからのM6で処置された、及び未処置のHUVEC細胞から単離された、P-MERTK対MERTKのタンパク質発現レベルの比として計算された、M6抗体処置によるMERTK活性化の定量化。
【
図6】
図6:MERTK結合抗体M19は、癌細胞上でMERTKを活性化しない。活性化MERTK(P-MERTK)ならびに合計レベルのMERTKのウェスタンブロット解析の前に16時間にわたって、LM2乳癌細胞を、FBSなし+M19抗体なし、10% FBS+M19抗体なし、10%FBS+25μg/mLのM19抗体、またはFBSなし+25μg/mL M19抗体のいずれかで処置した。示されるように、M19抗体で処置された癌細胞において、検出可能なレベルのP-MERTKは誘発されなかった。
【
図7】
図7:M19は、高親和性でヒトMERTKに結合する。バイオレイヤー干渉法を使用した、ヒトMERTK(hMer)に対するM19(Mer-M19)に関する抗体結合反応速度を示す図。溶液中の分析物に対する結合を試験するために、精製されたM19を、1マイクログラム/mLの濃度でAMQセンサ上に搭載した。全ての分析物を、合計で7つの濃度のために、2倍希釈系列を用いて5nMで調製した。各濃度に対するローカルフィット、ならびに全体的なグローバルフィットを用いて、1:1モデルを使用して、反応速度論的適合を計算した。ヒトMERTKへのM19結合に関する、全体的なグローバルフィットで計算された結合親和性(K
D)は、326ピコモルであった。
【
図8】
図8:M19は、高親和性でマウスMERTKに結合する。バイオレイヤー干渉法を使用した、マウスMERTK(msMer)に対するM19(Mer-M19)に関する抗体結合反応速度を示す図。溶液中の分析物に対する結合を試験するために、精製されたM19を、1マイクログラム/mLの濃度でAMQセンサ上に搭載した。全ての分析物を、合計で7つの濃度のために、2倍希釈系列を用いて5nMで調製した。各濃度に対するローカルフィット、ならびに全体的なグローバルフィットを用いて、1:1モデルを使用して、反応速度論的適合を計算した。マウスMERTKへのM19結合に関する、全体的な計算されたグローバルフィット結合親和性(K
D)は、305ピコモルであった。
【
図9】
図9:M19を用いた処理は、インビボでのトリプルネガティブ乳癌の原発腫瘍増殖及び転移を阻害する。A)250μgの対照抗体(IgG)またはM19抗体のいずれかで隔週処置された、マウスにおける2000個のMDA-MB-231または5000個のLm1a1乳癌細胞の乳房脂肪体腫瘍増殖。B)250μgの対照抗体(IgG)またはM19抗体のいずれかで隔週処理された、マウスにおける乳房脂肪体に、Lm1a1乳癌細胞を両側に注射した。98日後、肺を除去し、H&E染色のために処置し、転移性小節の数を数えた。N=4。エラーバーは、標本平均の標準誤差を表す。スチューデントのt検定を使用して、P値を得た(*p<0.05)。
【
図10】
図10:M19を用いた処置は、インビボでの血管新生を阻害する。58日間増殖し、250μgの対照抗体(IgG)またはM19抗体のいずれかで週2回処置された乳房脂肪体異種移植腫瘍を、DAPI及びCD31に対して二重染色した。閾値CD31シグナルを使用することによって、血管密度を定量化した。N=4。エラーバーは、標本平均の標準誤差を表す。スチューデントのt検定を使用して、P値を得た(*p<0.05)。
【
図11】
図11:M6は、高親和性でMERTKに結合する。M6は、高親和性でヒトMERTKに結合する。バイオレイヤー干渉法を使用した、ヒトMERTK(hMer)に対するM6(Mer-M6)に関する抗体結合反応速度を示す図。溶液中の分析物に対する結合を試験するために、精製されたM6を、1マイクログラム/mLの濃度でAMQセンサ上に搭載した。全ての分析物を、合計で7つの濃度のために、2倍希釈系列を用いて5nMで調製した。各濃度に対するローカルフィット、ならびに全体的なグローバルフィットを用いて、1:1モデルを使用して、反応速度論的適合を計算した。ヒトMERTKへのM6結合に関する、全体的な計算された結合親和性(K
D)は、4.6ピコモルであった。
【
図12】
図12:M6を用いた処理は、インビボでのトリプルネガティブ乳癌の原発腫瘍増殖を阻害する。250μgの対照抗体またはM6抗体のいずれかで21日間にわたって隔週処置された、マウスにおける2000個のMDA-MB-231による乳房脂肪体腫瘍増殖。N=4。エラーバーは、標本平均の標準誤差を表す。
【発明を実施するための形態】
【0162】
6.詳細な説明
MERTK(例えば、ヒトMERTK、またはヒト及びマウスMERTKの両方)に特異的に結合し、内皮細胞でMERTKシグナル伝達を作動させる、抗MERTK抗体(例えば、モノクローナル抗体)及びその抗原結合フラグメントが本明細書で提供される。ある特定の実施形態では、本明細書に記載される抗MERTK抗体またはその抗原結合フラグメントは、MERTK(例えば、ヒトMERTK、またはヒト及びマウスMERTKの両方)の細胞外ドメインを特異的に認識する。特定の実施形態では、本明細書に記載される抗MERTK抗体またはその抗原結合フラグメントは、Jurkat細胞内で発現する185キロダルトン(kD)MERTK糖型、単球細胞系U937内の205kD MERTK糖型、ヒト白血病細胞(例えば、ヒトT細胞急性リンパ芽球性白血病)内で発現する135~140kD MERTK糖型、またはヒト白血病細胞(例えば、ヒトT細胞急性リンパ芽球性白血病)内で発現する170~190kD MERTK糖型と結合しない。ある特定の実施形態では、本明細書に記載される抗MERTK抗体またはその抗原結合フラグメントは、癌細胞上のMERTKの発現レベルを減少させない。特定の実施形態では、本明細書に記載される抗MERTK抗体またはその抗原結合フラグメントは、多形膠芽腫細胞株A172上のMERTKの発現レベルを減少させない。具体的な実施形態では、本明細書に記載される抗MERTK抗体またはその抗原結合フラグメントは、単離される。具体的な実施形態では、本明細書に記載される抗MERTK抗体またはその抗原結合フラグメントは、配列番号57のアミノ酸配列を含むヒトMERTKタンパク質に特異的に結合する。別の具体的な実施形態では、本明細書に記載される抗MERTK抗体またはその抗原結合フラグメントは、配列番号58のアミノ酸配列を含むヒトMERTKの細胞外領域に特異的に結合する。別の具体的な実施形態では、本明細書に記載される抗MERTK抗体またはその抗原結合フラグメントは、配列番号58に特異的に結合する。具体的な実施形態では、本明細書に記載される抗MERTK抗体またはその抗原結合フラグメントは、MERTKに結合する2つの抗原結合部位を含み、特定の実施形態では、2つの抗原結合部位は、MERTK上の同じエピトープに結合し、特定の実施形態では、2つの抗原結合部位は、同一のCDRを含む。
【0163】
抗体としては、例えば、モノクローナル抗体、ポリクローナル抗体、組換えで産生された抗体、単一特異性抗体、多特異性抗体(二重特異性抗体を含む)、ヒト抗体、ヒト化抗体、キメラ抗体、免疫グロブリン、合成抗体、2つの重鎖及び2つの軽鎖分子を含む四量体抗体、抗体軽鎖モノマー、抗体重鎖モノマー、抗体軽鎖ダイマー、抗体重鎖ダイマー、抗体軽鎖-抗体重鎖の対、イントラボディ、ヘテロ共役抗体、単一ドメイン抗体、一価抗体、一本鎖抗体または一本鎖Fvs(scFv)、ラクダ化抗体、アフィボディ、ジスルフィド結合Fvs(sdFv)、及び抗イディオタイプ(抗Id)抗体(例えば、抗抗Id抗体を含む)が挙げられ得る。ある特定の実施形態では、本明細書に記載される抗体は、ポリクローナル抗体集団を指す。ある特定の実施形態では、本明細書に記載される抗体は、モノクローナル抗体集団を指す。抗体は、任意の種類(例えば、IgG、IgE、IgM、IgD、IgA、もしくはIgY)、任意のクラス(例えば、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgA1、もしくはIgA2)、または任意のサブクラス(例えば、IgG2aもしくはIgG2b)の免疫グロブリン分子を有してもよい。ある特定の実施形態では、本明細書に記載される抗体は、IgG抗体、またはそのクラスもしくはサブクラスである。具体的な実施形態では、抗体は、ヒト化モノクローナル抗体である。別の具体的な実施形態では、抗体は、好ましくは免疫グロブリンである、ヒトモノクローナル抗体である。
【0164】
本明細書で使用される場合、「抗原結合フラグメント」、「抗原結合領域」という用語、及び同様の用語は、抗体分子に、抗原に対するその特異性を与えるアミノ酸残基を含む、抗体分子の一部分を指す(例えば、相補的決定領域(CDR))。抗原結合領域は、げっ歯類(例えば、マウス、ラット、またはハムスター)及びヒトなどの任意の動物種に由来し得る。一例として、抗原結合フラグメントとしては、上記の抗体のいずれかのFabフラグメント、F(ab’)2フラグメント、及び抗原結合フラグメントが挙げられる。
【0165】
本明細書で使用される場合、「可変領域」または「可変ドメイン」という用語は、互換的に使用され、当該技術分野において一般的である。可変領域は、典型的には、抗体の一部分、概して、抗体間で配列が広範囲に異なり、その特定の抗原に対する特定の抗体の結合及び特異性で使用される、軽鎖または重鎖の一部分を指す。配列の変動性が相補的決定領域(CDR)と呼ばれる領域に集中される一方で、可変ドメイン内のより高度に保存された領域は、フレームワーク領域(FR)と呼ばれる。いかなる特定の機構または理論にも束縛されるものではないが、軽鎖及び重鎖のCDRが、抗原との抗体の相互作用及び特異性に主に関与すると考えられる。ある特定の実施形態では、可変領域は、ヒト可変領域である。ある特定の実施形態では、可変領域は、げっ歯類またはマウスCDR及びヒトフレームワーク領域(FR)を含む。特定の実施形態では、可変領域は、霊長類(例えば、非ヒト霊長類)可変領域である。ある特定の実施形態では、可変領域は、げっ歯類またはマウスCDR及び霊長類(例えば、非ヒト霊長類)フレームワーク領域(FR)を含む。
【0166】
CDRは、Kabat、Chothia、AbM、contact、IMGT、及びExemplary定義を含む、当該技術分野における様々な方法で定義される。Kabat定義は、配列変動性に基づき、CDR領域を予測するために最も一般的に使用される定義である(Kabat,Elvin A.et al.,Sequences of Proteins of Immunological Interest.Bethesda:National Institutes of Health,1983)。Chothia定義は、構造ループ領域の位置に基づく(Chothia et al.,(1987)J Mol Biol 196:901-917)。Kabat定義とChothia定義との間の妥協案であるAbM定義は、Oxford Molecular Groupによって作製された抗体構造モデリングのための統合プログラムスイートである(bioinf.org.uk/abs)(Martin ACR et al.,(1989)PNAS 86:9268-9272)。contact定義は、利用可能な複雑な結晶構造の分析に基づく(bioinf.org.uk/abs)(MacCallum RM et al.,(1996)J Mol Biol 5:732-745を参照されたい)。IMGT定義は、IMGTからのものである(”IMGT(登録商標)、国際ImMunoGeneTics情報システム(登録商標)ウェブサイトimgt.org、設立者及びディレクター:Marie-Paule Lefranc(Montpellier,France))。Exemplary定義は、AbM及びKabatの組み合わせである(Presta et al.,(1997)Cancer Res 57:4593-4599)。
【0167】
また、そのような抗MERTK抗体及びその抗原結合フラグメントをコードする、相補的DNA(cDNA)などの単離核酸(ポリヌクレオチド)が提供される。さらに、そのような抗MERTK抗体またはその抗原結合フラグメントをコードする核酸(ポリヌクレオチド)を含む、ベクター(例えば、発現ベクター)及び細胞(例えば、宿主細胞)が提供される。また、そのような抗体を作製する方法が提供される。他の態様では、有効量の抗MERTK抗体またはその抗原結合フラグメントを、対象に投与することを含む、対象における癌を治療する方法が本明細書で提供される。関連組成物(例えば、医薬組成物)及びキットもまた提供される。
【0168】
6.1.抗体
6.1.1.配列及び変異体
具体的な実施形態では、本明細書で提供される抗MERTK抗体またはその抗原結合フラグメントは、Kabat、Chothia、AbM、Contact、IMGT、またはExemplaryによって定義されるような、表1または3の抗体のVH CDR1を含む。いくつかの実施形態では、本明細書で提供される抗MERTK抗体またはその抗原結合フラグメントは、Kabat、Chothia、AbM、Contact、IMGT、またはExemplaryによって定義されるような、表1または3の抗体のVH CDR2を含む。いくつかの実施形態では、本明細書で提供される抗MERTK抗体またはその抗原結合フラグメントは、Kabat、Chothia、AbM、Contact、IMGT、またはExemplaryによって定義されるような、表1または3の抗体のVH CDR3を含む。いくつかの実施形態では、本明細書で提供される抗MERTK抗体またはその抗原結合フラグメントは、表1または3の抗体のVH CDRのうちの1つ、2つ、または3つ全部を含む(例えば、表1の1列のVH CDR、例えば、抗体M6に対してKabat VH CDRのうちの全部)。
【0169】
具体的な実施形態では、本明細書で提供される抗MERTK抗体またはその抗原結合フラグメントは、Kabat、Chothia、AbM、Contact、IMGT、またはExemplaryによって定義されるような、表2または4の抗体のVL CDR1を含む。いくつかの実施形態では、本明細書で提供される抗MERTK抗体またはその抗原結合フラグメントは、Kabat、Chothia、AbM、Contact、IMGT、またはExemplaryによって定義されるような、表2または4の抗体のVL CDR2を含む。いくつかの実施形態では、本明細書で提供される抗MERTK抗体またはその抗原結合フラグメントは、Kabat、Chothia、AbM、Contact、IMGT、またはExemplaryによって定義されるような、表2または4の抗体のVL CDR3を含む。いくつかの実施形態では、本明細書で提供される抗MERTK抗体またはその抗原結合フラグメントは、表2または4の抗体のVL CDRのうちの1つ、2つ、または3つ全部を含む(例えば、表1の1列のVH CDR、例えば、抗体M6に対してKabat VH CDRのうちの全部)。
【0170】
【0171】
【0172】
【0173】
【0174】
【0175】
【0176】
【0177】
【0178】
【0179】
特定の実施形態では、MERTK(例えば、ヒトMERTK、またはヒト及びマウスMERTKの両方)に特異的に結合し、内皮細胞上でMERTKシグナル伝達を作動させる、本明細書に記載される抗MERTK抗体またはその抗原結合フラグメントは、
(a)NYGMN(配列番号1)のVH CDR1、及び/または
(b)WINTYTGEPTYADDFKG(配列番号6)のVH CDR2、及び/または
(c)KSTVVSRYFDV(配列番号11)のVH CDR3、を含む、重鎖可変領域(VH)を含む。
【0180】
特定の実施形態では、MERTK(例えば、ヒトMERTK、またはヒト及びマウスMERTKの両方)に特異的に結合し、内皮細胞上でMERTKシグナル伝達を作動させる、本明細書に記載される抗MERTK抗体またはその抗原結合フラグメントは、
(a)GYTFTNY(配列番号2)のVH CDR1、及び/または
(b)TYTG(配列番号7)のVH CDR2、及び/または
(c)STVVSRYFD(配列番号12)のVH CDR3、を含む、重鎖可変領域(VH)を含む。
【0181】
特定の実施形態では、MERTK(例えば、ヒトMERTK、またはヒト及びマウスMERTKの両方)に特異的に結合し、内皮細胞上でMERTKシグナル伝達を作動させる、本明細書に記載される抗MERTK抗体またはその抗原結合フラグメントは、
(a)GYTFTNYGMN(配列番号3)のVH CDR1、及び/または
(b)WINTYTGEPT(配列番号8)のVH CDR2、及び/または
(c)KSTVVSRYFDV(配列番号11)のVH CDR3、を含む、重鎖可変領域(VH)を含む。
【0182】
特定の実施形態では、MERTK(例えば、ヒトMERTK、またはヒト及びマウスMERTKの両方)に特異的に結合し、内皮細胞上でMERTKシグナル伝達を作動させる、本明細書に記載される抗MERTK抗体またはその抗原結合フラグメントは、
(a)TNYGMN(配列番号4)のVH CDR1、及び/または
(b)WMGWINTYTGEPT(配列番号9)のVH CDR2、及び/または
(c)ARKSTVVSRYFDのVH CDR3(配列番号13)、を含む、重鎖可変領域(VH)を含む。
【0183】
特定の実施形態では、MERTK(例えば、ヒトMERTK、またはヒト及びマウスMERTKの両方)に特異的に結合し、内皮細胞上でMERTKシグナル伝達を作動させる、本明細書に記載される抗MERTK抗体またはその抗原結合フラグメントは、
(a)GYTFTNYG(配列番号5)のVH CDR1、及び/または
(b)INTYTGEP(配列番号10)のVH CDR2、及び/または
(c)ARKSTVVSRYFDV(配列番号14)のVH CDR3、を含む、重鎖可変領域(VH)を含む。
【0184】
特定の実施形態では、MERTK(例えば、ヒトMERTK、またはヒト及びマウスMERTKの両方)に特異的に結合し、内皮細胞上でMERTKシグナル伝達を作動させる、本明細書に記載される抗MERTK抗体またはその抗原結合フラグメントは、
(a)GYTFTNYGMN(配列番号3)のVH CDR1、及び/または
(b)WINTYTGEPTYADDFKG(配列番号6)のVH CDR2、及び/または
(c)KSTVVSRYFDV(配列番号11)のVH CDR3、を含む、重鎖可変領域(VH)を含む。
【0185】
別の実施形態では、MERTK(例えば、ヒトMERTK、またはヒト及びマウスMERTKの両方)に特異的に結合し、内皮細胞上でMERTKシグナル伝達を作動させる、本明細書に記載される抗MERTK抗体またはその抗原結合フラグメントは、
(a)KASQDVGDAVT(配列番号15)のVL CDR1、及び/または
(b)WASTRHT(配列番号19)のVL CDR2、及び/または
(c)QQYRSYPLT(配列番号22)のVL CDR3、を含む、軽鎖可変領域(VL)を含む。
【0186】
別の実施形態では、MERTK(例えば、ヒトMERTK、またはヒト及びマウスMERTKの両方)に特異的に結合し、内皮細胞上でMERTKシグナル伝達を作動させる、本明細書に記載される抗MERTK抗体またはその抗原結合フラグメントは、
(a)SQDVGDA(配列番号16)のVL CDR1、及び/または
(b)WAS(配列番号20)のVL CDR2、及び/または
(c)YRSYPL(配列番号23)のVL CDR3、を含む、軽鎖可変領域(VL)を含む。
【0187】
別の実施形態では、MERTK(例えば、ヒトMERTK、またはヒト及びマウスMERTKの両方)に特異的に結合し、内皮細胞上でMERTKシグナル伝達を作動させる、本明細書に記載される抗MERTK抗体またはその抗原結合フラグメントは、
(a)GDAVTWC(配列番号17)のVL CDR1、及び/または
(b)LLIYWASTRH(配列番号21)のVL CDR2、及び/または
(c)QQYRSYPL(配列番号24)のVL CDR3、を含む、軽鎖可変領域(VL)を含む。
【0188】
別の実施形態では、MERTK(例えば、ヒトMERTK、またはヒト及びマウスMERTKの両方)に特異的に結合し、内皮細胞上でMERTKシグナル伝達を作動させる、本明細書に記載される抗MERTK抗体またはその抗原結合フラグメントは、
(a)QDVGDA(配列番号18)のVL CDR1、及び/または
(b)WAS(配列番号20)のVL CDR2、及び/または
(c)QQYRSYPLT(配列番号22)のVL CDR3、を含む、軽鎖可変領域(VL)を含む。
【0189】
具体的な実施形態では、MERTK(例えば、ヒトMERTK、またはヒト及びマウスMERTKの両方)に特異的に結合し、内皮細胞上でMERTKシグナル伝達を作動させる、本明細書に記載される抗MERTK抗体またはその抗原結合フラグメントは、
(a)DYSMH(配列番号25)のVH CDR1、及び/または
(b)WINTDTGEPTYADDFKG(配列番号30)のVH CDR2、及び/または
(c)WFGAMDY(配列番号35)のVH CDR3、を含む、重鎖可変領域(VH)を含む。
【0190】
具体的な実施形態では、MERTK(例えば、ヒトMERTK、またはヒト及びマウスMERTKの両方)に特異的に結合し、内皮細胞上でMERTKシグナル伝達を作動させる、本明細書に記載される抗MERTK抗体またはその抗原結合フラグメントは、
(a)NYTFTDY(配列番号26)のVH CDR1、及び/または
(b)TDTG(配列番号31)のVH CDR2、及び/または
(c)FGAMD(配列番号36)のVH CDR3、を含む、重鎖可変領域(VH)を含む。
【0191】
具体的な実施形態では、MERTK(例えば、ヒトMERTK、またはヒト及びマウスMERTKの両方)に特異的に結合し、内皮細胞上でMERTKシグナル伝達を作動させる、本明細書に記載される抗MERTK抗体またはその抗原結合フラグメントは、
(a)NYTFTDYSMH(配列番号27)のVH CDR1、及び/または
(b)WINTDTGEPT(配列番号32)のVH CDR2、及び/または
(c)WFGAMDY(配列番号35)のVH CDR3、を含む、重鎖可変領域(VH)を含む。
【0192】
具体的な実施形態では、MERTK(例えば、ヒトMERTK、またはヒト及びマウスMERTKの両方)に特異的に結合し、内皮細胞上でMERTKシグナル伝達を作動させる、本明細書に記載される抗MERTK抗体またはその抗原結合フラグメントは、
(a)TDYSMH(配列番号28)のVH CDR1、及び/または
(b)WVGWINTDTGEPT(配列番号33)のVH CDR2、及び/または
(c)ARWFGAMD(配列番号37)のVH CDR3、を含む、重鎖可変領域(VH)を含む。
【0193】
具体的な実施形態では、MERTK(例えば、ヒトMERTK、またはヒト及びマウスMERTKの両方)に特異的に結合し、内皮細胞上でMERTKシグナル伝達を作動させる、本明細書に記載される抗MERTK抗体またはその抗原結合フラグメントは、
(a)NYTFTDYS(配列番号29)のVH CDR1、及び/または
(b)INTDTGEP(配列番号34)のVH CDR2、及び/または
(c)ARWFGAMDY(配列番号38)のVH CDR3、を含む、重鎖可変領域(VH)を含む。
【0194】
具体的な実施形態では、MERTK(例えば、ヒトMERTK、またはヒト及びマウスMERTKの両方)に特異的に結合し、内皮細胞上でMERTKシグナル伝達を作動させる、本明細書に記載される抗MERTK抗体またはその抗原結合フラグメントは、
(a)NYTFTDYSMH(配列番号27)のVH CDR1、及び/または
(b)WINTDTGEPTYADDFKG(配列番号30)のVH CDR2、及び/または
(c)WFGAMDY(配列番号35)のVH CDR3、を含む、重鎖可変領域(VH)を含む。
【0195】
具体的な実施形態では、MERTK(例えば、ヒトMERTK、またはヒト及びマウスMERTKの両方)に特異的に結合し、内皮細胞上でMERTKシグナル伝達を作動させる、本明細書に記載される抗MERTK抗体またはその抗原結合フラグメントは、
(a)KASQDVTNVVA(配列番号39)のVL CDR1、及び/または
(b)SASYRYT(配列番号43)のVL CDR2、及び/または
(c)QQYYRTPRT(配列番号46)のVL CDR3、を含む、軽鎖可変領域(VL)を含む。
【0196】
具体的な実施形態では、MERTK(例えば、ヒトMERTK、またはヒト及びマウスMERTKの両方)に特異的に結合し、内皮細胞上でMERTKシグナル伝達を作動させる、本明細書に記載される抗MERTK抗体またはその抗原結合フラグメントは、
(a)SQDVTNV(配列番号40)のVL CDR1、及び/または
(b)SAS(配列番号44)のVL CDR2、及び/または
(c)YYRTPR(配列番号47)のVL CDR3、を含む、軽鎖可変領域(VL)を含む。
【0197】
具体的な実施形態では、MERTK(例えば、ヒトMERTK、またはヒト及びマウスMERTKの両方)に特異的に結合し、内皮細胞上でMERTKシグナル伝達を作動させる、本明細書に記載される抗MERTK抗体またはその抗原結合フラグメントは、
(a)TNVVAWY(配列番号41)のVL CDR1、及び/または
(b)LLIYSASYRY(配列番号45)のVL CDR2、及び/または
(c)QQYYRTPR(配列番号48)のVL CDR3、を含む、軽鎖可変領域(VL)を含む。
【0198】
具体的な実施形態では、MERTK(例えば、ヒトMERTK、またはヒト及びマウスMERTKの両方)に特異的に結合し、内皮細胞上でMERTKシグナル伝達を作動させる、本明細書に記載される抗MERTK抗体またはその抗原結合フラグメントは、
(a)QDVTNV(配列番号42)のVL CDR1、及び/または
(b)SAS(配列番号44)のVL CDR2、及び/または
(c)QQYYRTPRT(配列番号46)のVL CDR3、を含む、軽鎖可変領域(VL)を含む。
【0199】
具体的な実施形態では、抗体またはその抗原結合フラグメントは、上記のVH CDRのうちの1つ、2つ、または3つ全部を含む。ある特定の実施形態では、抗体またはその抗原結合フラグメントは、表1または表3のVH CDR1を含む。いくつかの実施形態では、抗体またはその抗原結合フラグメントは、表1または表3のVH CDR2を含む。ある特定の実施形態では、抗体またはその抗原結合フラグメントは、表1または表3のVH CDR3を含む。ある特定の実施形態では、抗体またはその抗原結合フラグメントは、抗体M6のVH CDR1、VH CDR2、及びVH CDR3(表1)を含む。ある特定の実施形態では、抗体またはその抗原結合フラグメントは、抗体M19のVH CDR1、VH CDR2、及びVH CDR3(表3)を含む。
【0200】
具体的な実施形態では、抗体またはその抗原結合フラグメントは、上記のVL CDRのうちの1つ、2つ、または3つ全部を含む。ある特定の実施形態では、抗体またはその抗原結合フラグメントは、表2または表4のVL CDR1を含む。いくつかの実施形態では、抗体またはその抗原結合フラグメントは、表2または表4のVL CDR2を含む。ある特定の実施形態では、抗体またはその抗原結合フラグメントは、表2または表4のVL CDR3を含む。ある特定の実施形態では、抗体またはその抗原結合フラグメントは、抗体M6のVL CDR1、VL CDR2、及びVL CDR3(表2)を含む。ある特定の実施形態では、抗体またはその抗原結合フラグメントは、抗体M19のVL CDR1、VL CDR2、及びVL CDR3(表4)を含む。
【0201】
別の実施形態では、MERTK(例えば、ヒトMERTK、またはヒト及びマウスMERTKの両方)に特異的に結合し、内皮細胞上でMERTKシグナル伝達を作動させる、抗MERTK抗体またはその抗原結合フラグメントは、
(a)NYGMN(配列番号1)のVH CDR1、及び/または
(b)WINTYTGEPTYADDFKG(配列番号6)のVH CDR2、及び/または
(c)KSTVVSRYFDV(配列番号11)のVH CDR3、及び/または
(d)KASQDVGDAVT(配列番号15)のVL CDR1、及び/または
(e)WASTRHT(配列番号19)のVL CDR2、及び/または
(f)QQYRSYPLT(配列番号22)のVL CDR3、を含む。
【0202】
特定の実施形態では、MERTK(例えば、ヒトMERTK、またはヒト及びマウスMERTKの両方)に特異的に結合し、内皮細胞上でMERTKシグナル伝達を作動させる、抗MERTK抗体またはその抗原結合フラグメントは、
(a)GYTFTNY(配列番号2)のVH CDR1、及び/または
(b)TYTG(配列番号7)のVH CDR2、及び/または
(c)STVVSRYFD(配列番号12)のVH CDR3、及び/または
(d)SQDVGDA(配列番号16)のVL CDR1、及び/または
(e)WAS(配列番号20)のVL CDR2、及び/または
(f)YRSYPL(配列番号23)のVL CDR3、を含む。
【0203】
特定の実施形態では、MERTK(例えば、ヒトMERTK、またはヒト及びマウスMERTKの両方)に特異的に結合し、内皮細胞上でMERTKシグナル伝達を作動させる、抗MERTK抗体またはその抗原結合フラグメントは、
(a)GYTFTNYGMN(配列番号3)のVH CDR1、及び/または
(b)WINTYTGEPT(配列番号8)のVH CDR2、及び/または
(c)KSTVVSRYFDV(配列番号11)のVH CDR3、及び/または
(d)KASQDVGDAVT(配列番号15)のVL CDR1、及び/または
(e)WASTRHT(配列番号19)のVL CDR2、及び/または
(f)QQYRSYPLT(配列番号22)のVL CDR3、を含む。
【0204】
特定の実施形態では、MERTK(例えば、ヒトMERTK、またはヒト及びマウスMERTKの両方)に特異的に結合し、内皮細胞上でMERTKシグナル伝達を作動させる、抗MERTK抗体またはその抗原結合フラグメントは、
(a)TNYGMN(配列番号4)のVH CDR1、及び/または
(b)WMGWINTYTGEPT(配列番号9)のVH CDR2、及び/または
(c)ARKSTVVSRYFD(配列番号13)のVH CDR3、及び/または
(d)GDAVTWC(配列番号17)のVL CDR1、及び/または
(e)LLIYWASTRH(配列番号21)のVL CDR2、及び/または
(f)QQYRSYPL(配列番号24)のVL CDR3、を含む。
【0205】
特定の実施形態では、MERTK(例えば、ヒトMERTK、またはヒト及びマウスMERTKの両方)に特異的に結合し、内皮細胞上でMERTKシグナル伝達を作動させる、抗MERTK抗体またはその抗原結合フラグメントは、
(a)GYTFTNYG(配列番号5)のVH CDR1、及び/または
(b)INTYTGEP(配列番号10)のVH CDR2、及び/または
(c)ARKSTVVSRYFDV(配列番号14)のVH CDR3、及び/または
(d)QDVGDA(配列番号18)のVL CDR1、及び/または
(e)WAS(配列番号20)のVL CDR2、及び/または
(f)QQYRSYPLT(配列番号22)のVL CDR3、を含む。
【0206】
特定の実施形態では、MERTK(例えば、ヒトMERTK、またはヒト及びマウスMERTKの両方)に特異的に結合し、内皮細胞上でMERTKシグナル伝達を作動させる、抗MERTK抗体またはその抗原結合フラグメントは、
(a)GYTFTNYGMN(配列番号3)のVH CDR1、及び/または
(b)WINTYTGEPTYADDFKG(配列番号6)のVH CDR2、及び/または
(c)KSTVVSRYFDV(配列番号11)のVH CDR3、及び/または
(d)KASQDVGDAVT(配列番号15)のVL CDR1、及び/または
(e)WASTRHT(配列番号19)のVL CDR2、及び/または
(f)QQYRSYPLT(配列番号22)のVL CDR3、を含む。
【0207】
特定の実施形態では、MERTK(例えば、ヒトMERTK、またはヒト及びマウスMERTKの両方)に特異的に結合し、内皮細胞上でMERTKシグナル伝達を作動させる、抗MERTK抗体またはその抗原結合フラグメントは、
(a)DYSMH(配列番号25)のVH CDR1、及び/または
(b)WINTDTGEPTYADDFKG(配列番号30)のVH CDR2、及び/または
(c)WFGAMDY(配列番号35)のVH CDR3、及び/または
(d)KASQDVTNVVA(配列番号39)のVL CDR1、及び/または
(e)SASYRYT(配列番号43)のVL CDR2、及び/または
(f)QQYYRTPRT(配列番号46)のVL CDR3、を含む。
【0208】
特定の実施形態では、MERTK(例えば、ヒトMERTK、またはヒト及びマウスMERTKの両方)に特異的に結合し、内皮細胞上でMERTKシグナル伝達を作動させる、抗MERTK抗体またはその抗原結合フラグメントは、
(a)NYTFTDY(配列番号26)のVH CDR1、及び/または
(b)TDTG(配列番号31)のVH CDR2、及び/または
(c)FGAMD(配列番号36)のVH CDR3、及び/または
(d)SQDVTNV(配列番号40)のVL CDR1、及び/または
(e)SAS(配列番号44)のVL CDR2、及び/または
(f)YYRTPR(配列番号47)のVL CDR3、を含む。
【0209】
特定の実施形態では、MERTK(例えば、ヒトMERTK、またはヒト及びマウスMERTKの両方)に特異的に結合し、内皮細胞上でMERTKシグナル伝達を作動させる、抗MERTK抗体またはその抗原結合フラグメントは、
(a)NYTFTDYSMH(配列番号27)のVH CDR1、及び/または
(b)WINTDTGEPT(配列番号32)のVH CDR2、及び/または
(c)WFGAMDY(配列番号35)のVH CDR3、及び/または
(d)KASQDVTNVVA(配列番号39)のVL CDR1、及び/または
(e)SASYRYT(配列番号43)のVL CDR2、及び/または
(f)QQYYRTPRT(配列番号46)のVL CDR3、を含む。
【0210】
特定の実施形態では、MERTK(例えば、ヒトMERTK、またはヒト及びマウスMERTKの両方)に特異的に結合し、内皮細胞上でMERTKシグナル伝達を作動させる、抗MERTK抗体またはその抗原結合フラグメントは、
(a)TDYSMH(配列番号28)のVH CDR1、及び/または
(b)WVGWINTDTGEPT(配列番号33)のVH CDR2、及び/または
(c)ARWFGAMD(配列番号37)のVH CDR3、及び/または
(d)TNVVAWY(配列番号41)のVL CDR1、及び/または
(e)LLIYSASYRY(配列番号45)のVL CDR2、及び/または
(f)QQYYRTPR(配列番号48)のVL CDR3、を含む。
【0211】
特定の実施形態では、MERTK(例えば、ヒトMERTK、またはヒト及びマウスMERTKの両方)に特異的に結合し、内皮細胞上でMERTKシグナル伝達を作動させる、抗MERTK抗体またはその抗原結合フラグメントは、
(a)NYTFTDYS(配列番号29)のVH CDR1、及び/または
(b)INTDTGEP(配列番号34)のVH CDR2、及び/または
(c)ARWFGAMDY(配列番号38)のVH CDR3、及び/または
(d)QDVTNV(配列番号42)のVL CDR1、及び/または
(e)SAS(配列番号44)のVL CDR2、及び/または
(f)QQYYRTPRT(配列番号46)のVL CDR3、を含む。
【0212】
特定の実施形態では、MERTK(例えば、ヒトMERTK、またはヒト及びマウスMERTKの両方)に特異的に結合し、内皮細胞上でMERTKシグナル伝達を作動させる、抗MERTK抗体またはその抗原結合フラグメントは、
(a)NYTFTDYSMH(配列番号27)のVH CDR1、及び/または
(b)WINTDTGEPTYADDFKG(配列番号30)のVH CDR2、及び/または
(c)WFGAMDY(配列番号35)のVH CDR3、及び/または
(d)KASQDVTNVVA(配列番号39)のVL CDR1、及び/または
(e)SASYRYT(配列番号43)のVL CDR2、及び/または
(f)QQYYRTPRT(配列番号46)のVL CDR3、を含む。
【0213】
具体的な実施形態では、抗体またはその抗原結合フラグメントは、上記のCDRのうちの1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、または6つ全部を含む。ある特定の実施形態では、抗体またはその抗原結合フラグメントは、表1または表3のVH CDR1を含む。いくつかの実施形態では、抗体またはその抗原結合フラグメントは、表1または表3のVH CDR2を含む。ある特定の実施形態では、抗体またはその抗原結合フラグメントは、表1または表3のVH CDR3を含む。いくつかの実施形態では、抗体またはその抗原結合フラグメントは、表2または表4のVL CDR1を含む。いくつかの実施形態では、抗体またはその抗原結合フラグメントは、表2または表4のVL CDR2を含む。ある特定の実施形態では、抗体またはその抗原結合フラグメントは、表2または表4のVL CDR3を含む。いくつかの実施形態では、抗体またはその抗原結合フラグメントは、抗体M6のVH CDR1、VH CDR2、及びVH CDR3(表1)を含む。ある特定の実施形態では、抗体またはその抗原結合フラグメントは、抗体M19のVH CDR1、VH CDR2、及びVH CDR3(表3)を含む。ある特定の実施形態では、抗体またはその抗原結合フラグメントは、抗体M6のVL CDR1、VL CDR2、及びVL CDR3(表2)を含む。ある特定の実施形態では、抗体またはその抗原結合フラグメントは、抗体M19のVL CDR1、VL CDR2、及びVL CDR3(表4)を含む。ある特定の実施形態では、抗体またはその抗原結合フラグメントは、抗体M6のVL CDR1、VL CDR2、VL CDR3、VH CDR1、VH CDR2、及びVH CDR3(表1及び2)を含む。ある特定の実施形態では、抗体またはその抗原結合フラグメントは、抗体M19のVL CDR1、VL CDR2、VL CDR3、VH CDR1、VH CDR2、及びVH CDR3(表3及び4)を含む。
【0214】
別の実施形態では、MERTK(例えば、ヒトMERTK、またはヒト及びマウスMERTKの両方)に特異的に結合し、内皮細胞上でMERTKシグナル伝達を作動させる、抗MERTK抗体またはその抗原結合フラグメントは、重鎖可変領域(VH)と軽鎖可変領域(VL)とを含み、
(i)VHは、
(a)DYSMH(配列番号25)のVH CDR1、及び/または
(b)WINTDTGEPTYADDFKG(配列番号30)のVH CDR2、及び/または
(c)WFGAMDY(配列番号35)のVH CDR3、を含み、
(ii)VLは、
(a)KASQDVTNVVA(配列番号39)のVL CDR1、及び/または
(b)SASYRYT(配列番号43)のVL CDR2、及び/または
(c)QQYYRTPRT(配列番号46)のVL CDR3、を含む。
【0215】
別の実施形態では、MERTK(例えば、ヒトMERTK、またはヒト及びマウスMERTKの両方)に特異的に結合し、内皮細胞上でMERTKシグナル伝達を作動させる、抗MERTK抗体またはその抗原結合フラグメントは、重鎖可変領域(VH)と軽鎖可変領域(VL)とを含み、
(i)VHは、
(a)NYTFTDY(配列番号26)のVH CDR1、及び/または
(b)TDTG(配列番号31)のVH CDR2、及び/または
(c)FGAMD(配列番号36)のVH CDR3、を含み、
(ii)VLは、
(a)SQDVTNV(配列番号40)のVL CDR1、及び/または
(b)SAS(配列番号44)のVL CDR2、及び/または
(c)YYRTPR(配列番号47)のVL CDR3、を含む。
【0216】
別の実施形態では、MERTK(例えば、ヒトMERTK、またはヒト及びマウスMERTKの両方)に特異的に結合し、内皮細胞上でMERTKシグナル伝達を作動させる、抗MERTK抗体またはその抗原結合フラグメントは、重鎖可変領域(VH)と軽鎖可変領域(VL)とを含み、
(i)VHは、
(a)NYGMN(配列番号1)のVH CDR1、及び/または
(b)WINTYTGEPTYADDFKG(配列番号6)のVH CDR2、及び/または
(c)KSTVVSRYFDV(配列番号11)のVH CDR3、を含み、
(ii)VLは、
(a)KASQDVGDAVT(配列番号15)のVL CDR1、及び/または
(b)WASTRHT(配列番号19)のVL CDR2、及び/または
(c)QQYRSYPLT(配列番号22)のVL CDR3、を含む。
【0217】
別の実施形態では、MERTK(例えば、ヒトMERTK、またはヒト及びマウスMERTKの両方)に特異的に結合し、内皮細胞上でMERTKシグナル伝達を作動させる、抗MERTK抗体またはその抗原結合フラグメントは、重鎖可変領域(VH)と軽鎖可変領域(VL)とを含み、
(i)VHは、
(a)GYTFTNY(配列番号2)のVH CDR1、及び/または
(b)TYTG(配列番号7)のVH CDR2、及び/または
(c)STVVSRYFD(配列番号12)のVH CDR3、を含み、
(ii)VLは、
(a)SQDVGDA(配列番号16)のVL CDR1、及び/または
(b)WAS(配列番号20)のVL CDR2、及び/または
(c)YRSYPL(配列番号23)のVL CDR3、を含む。
【0218】
別の実施形態では、MERTK(例えば、ヒトMERTK、またはヒト及びマウスMERTKの両方)に特異的に結合し、内皮細胞上でMERTKシグナル伝達を作動させる、抗MERTK抗体またはその抗原結合フラグメントは、重鎖可変領域(VH)と軽鎖可変領域(VL)とを含み、
(i)VHは、
(a)GYTFTNYGMN(配列番号3)のVH CDR1、及び/または
(b)WINTYTGEPT(配列番号8)のVH CDR2、及び/または
(c)KSTVVSRYFDV(配列番号11)のVH CDR3、を含み、
(ii)VLは、
(a)KASQDVGDAVT(配列番号15)のVL CDR1、及び/または
(b)WASTRHT(配列番号19)のVL CDR2、及び/または
(c)QQYRSYPLT(配列番号22)のVL CDR3、を含む。
【0219】
別の実施形態では、MERTK(例えば、ヒトMERTK、またはヒト及びマウスMERTKの両方)に特異的に結合し、内皮細胞上でMERTKシグナル伝達を作動させる、抗MERTK抗体またはその抗原結合フラグメントは、重鎖可変領域(VH)と軽鎖可変領域(VL)とを含み、
(i)VHは、
(a)TNYGMN(配列番号4)のVH CDR1、及び/または
(b)WMGWINTYTGEPT(配列番号9)のVH CDR2、及び/または
(c)ARKSTVVSRYFD(配列番号13)のVH CDR3、を含み、
(ii)VLは、
(a)GDAVTWC(配列番号17)のVL CDR1、及び/または
(b)LLIYWASTRH(配列番号21)のVL CDR2、及び/または
(c)QQYRSYPL(配列番号24)のVL CDR3、を含む。
【0220】
別の実施形態では、MERTK(例えば、ヒトMERTK、またはヒト及びマウスMERTKの両方)に特異的に結合し、内皮細胞上でMERTKシグナル伝達を作動させる、抗MERTK抗体またはその抗原結合フラグメントは、重鎖可変領域(VH)と軽鎖可変領域(VL)とを含み、
(i)VHは、
(a)GYTFTNYG(配列番号5)のVH CDR1、及び/または
(b)INTYTGEP(配列番号10)のVH CDR2、及び/または
(c)ARKSTVVSRYFDV(配列番号14)のVH CDR3、を含み、
(ii)VLは、
(a)QDVGDA(配列番号18)のVL CDR1、及び/または
(b)WAS(配列番号20)のVL CDR2、及び/または
(c)QQYRSYPLT(配列番号22)のVL CDR3、を含む。
【0221】
別の実施形態では、MERTK(例えば、ヒトMERTK、またはヒト及びマウスMERTKの両方)に特異的に結合し、内皮細胞上でMERTKシグナル伝達を作動させる、抗MERTK抗体またはその抗原結合フラグメントは、重鎖可変領域(VH)と軽鎖可変領域(VL)とを含み、
(i)VHは、
(a)GYTFTNYGMN(配列番号3)のVH CDR1、及び/または
(b)WINTYTGEPTYADDFKG(配列番号6)のVH CDR2、及び/または
(c)KSTVVSRYFDV(配列番号11)のVH CDR3、を含み、
(ii)VLは、
(a)KASQDVGDAVT(配列番号15)のVL CDR1、及び/または
(b)WASTRHT(配列番号19)のVL CDR2、及び/または
(c)QQYRSYPLT(配列番号22)のVL CDR3、を含む。
【0222】
別の実施形態では、MERTK(例えば、ヒトMERTK、またはヒト及びマウスMERTKの両方)に特異的に結合し、内皮細胞上でMERTKシグナル伝達を作動させる、抗MERTK抗体またはその抗原結合フラグメントは、重鎖可変領域(VH)と軽鎖可変領域(VL)とを含み、
(i)VHは、
(a)NYTFTDYSMH(配列番号27)のVH CDR1、及び/または
(b)WINTDTGEPT(配列番号32)のVH CDR2、及び/または
(c)WFGAMDY(配列番号35)のVH CDR3、を含み、
(ii)VLは、
(a)KASQDVTNVVA(配列番号39)のVL CDR1、及び/または
(b)SASYRYT(配列番号43)のVL CDR2、及び/または
(c)QQYYRTPRT(配列番号46)のVL CDR3、を含む。
【0223】
別の実施形態では、MERTK(例えば、ヒトMERTK、またはヒト及びマウスMERTKの両方)に特異的に結合し、内皮細胞上でMERTKシグナル伝達を作動させる、抗MERTK抗体またはその抗原結合フラグメントは、重鎖可変領域(VH)と軽鎖可変領域(VL)とを含み、
(i)VHは、
(a)TDYSMH(配列番号28)のVH CDR1、及び/または
(b)WVGWINTDTGEPT(配列番号33)のVH CDR2、及び/または
(c)ARWFGAMD(配列番号37)のVH CDR3、を含み、
(ii)VLは、
(a)TNVVAWY(配列番号41)のVL CDR1、及び/または
(b)LLIYSASYRY(配列番号45)のVL CDR2、及び/または
(c)QQYYRTPR(配列番号48)のVL CDR3、を含む。
【0224】
別の実施形態では、MERTK(例えば、ヒトMERTK、またはヒト及びマウスMERTKの両方)に特異的に結合し、内皮細胞上でMERTKシグナル伝達を作動させる、抗MERTK抗体またはその抗原結合フラグメントは、重鎖可変領域(VH)と軽鎖可変領域(VL)とを含み、
(i)VHは、
(a)NYTFTDYS(配列番号29)のVH CDR1、及び/または
(b)INTDTGEP(配列番号34)のVH CDR2、及び/または
(c)ARWFGAMDY(配列番号38)のVH CDR3、を含み、
(ii)VLは、
(a)QDVTNV(配列番号42)のVL CDR1、及び/または
(b)SAS(配列番号44)のVL CDR2、及び/または
(c)QQYYRTPRT(配列番号46)のVL CDR3、を含む。
【0225】
別の実施形態では、MERTK(例えば、ヒトMERTK、またはヒト及びマウスMERTKの両方)に特異的に結合し、内皮細胞上でMERTKシグナル伝達を作動させる、抗MERTK抗体またはその抗原結合フラグメントは、重鎖可変領域(VH)と軽鎖可変領域(VL)とを含み、
(i)VHは、
(a)NYTFTDYSMH(配列番号27)のVH CDR1、及び/または
(b)WINTDTGEPTYADDFKG(配列番号30)のVH CDR2、及び/または
(c)WFGAMDY(配列番号35)のVH CDR3、を含み、
(ii)VLは、
(a)KASQDVTNVVA(配列番号39)のVL CDR1、及び/または
(b)SASYRYT(配列番号43)のVL CDR2、及び/または
(c)QQYYRTPRT(配列番号46)のVL CDR3、を含む。
【0226】
具体的な実施形態では、VHは、上記のVH CDRのうちの2つまたは3つ全部を含み、かつ/またはVLは、上記のVL CDRのうちの2つまたは3つ全部を含む。ある特定の実施形態では、VHは、表1または表3の抗体のうちの1つのVH CDR1を含む。いくつかの実施形態では、VHは、表1または表3の抗体のうちの1つのVH CDR2を含む。ある特定の実施形態では、VHは、表1または表3の抗体のうちの1つのVH CDR3を含む。いくつかの実施形態では、VLは、表2または表4の抗体のうちの1つのVL CDR1を含む。いくつかの実施形態では、VLは、表2または表4の抗体のうちの1つのVL CDR2を含む。ある特定の実施形態では、VLは、表2または表4の抗体のうちの1つのVL CDR3を含む。いくつかの実施形態では、VHは、抗体M6のVH CDR1、VH CDR2、及びVH CDR3(表1)を含む。ある特定の実施形態では、VHは、抗体M19のVH CDR1、VH CDR2、及びVH CDR3(表3)を含む。ある特定の実施形態では、VLは、抗体M6のVL CDR1、VL CDR2、及びVL CDR3(表2)を含む。ある特定の実施形態では、VLは、抗体M19のVL CDRのVL CDR1、VL CDR2、及びVL CDR3(表4)を含む。いくつかの実施形態では、抗MERTK抗体またはその抗原結合フラグメントは、VHとVLとを含み、VHは、抗体M19のVH CDR1、VH CDR2、及びVH CDR3(表3)を含み、VLは、抗体M19のVL CDR1、VL CDR2、及びVL CDR3(表4)を含む。いくつかの実施形態では、抗MERTK抗体またはその抗原結合フラグメントは、VHとVLとを含み、VHは、抗体M6のVH CDR1、VH CDR2、及びVH CDR3(表1)を含み、VLは、抗体M6のVL CDR1、VL CDR2、及びVL CDR3(表2)を含む。
【0227】
具体的な実施形態では、MERTK(例えば、ヒトMERTK、またはヒト及びマウスMERTKの両方)に特異的に結合し、内皮細胞上でMERTKシグナル伝達を作動させる、本明細書に記載される抗MERTK抗体またはその抗原結合フラグメントは、配列番号49のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域配列(表5)(例えば、抗体M6のVH)を含む。別の具体的な実施形態では、MERTK(例えば、ヒトMERTK、またはヒト及びマウスMERTKの両方)に特異的に結合し、内皮細胞上でMERTKシグナル伝達を作動させる、本明細書に記載される抗体またはその抗原結合フラグメントは、配列番号51のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域配列(表6)(例えば、抗体M19のVH)を含む。
【0228】
別の実施形態では、MERTK(例えば、ヒトMERTK、またはヒト及びマウスMERTKの両方)に特異的に結合し、内皮細胞上でMERTKシグナル伝達を作動させる、本明細書に記載される抗体またはその抗原結合フラグメントは、配列番号50のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域配列(表5)(例えば、抗体M6のVL)を含む。別の具体的な実施形態では、MERTK(例えば、ヒトMERTK、またはヒト及びマウスMERTKの両方)に特異的に結合し、内皮細胞上でMERTKシグナル伝達を作動させる、本明細書に記載される抗体またはその抗原結合フラグメントは、配列番号52のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域配列(表6)(例えば、抗体M19のVL)を含む。
【0229】
1つの具体的な実施形態では、MERTK(例えば、ヒトMERTK、またはヒト及びマウスMERTKの両方)に特異的に結合し、内皮細胞上でMERTKシグナル伝達を作動させる、本明細書に記載される抗体またはその抗原結合フラグメントは、(a)配列番号49のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域と、(b)配列番号50のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域と、を含む(例えば、抗体M6のVH及びVL)。別の具体的な実施形態では、MERTK(例えば、ヒトMERTK、またはヒト及びマウスMERTKの両方)に特異的に結合し、内皮細胞上でMERTKシグナル伝達を作動させる、本明細書に記載される抗体またはその抗原結合フラグメントは、(a)配列番号50のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域と、(b)配列番号52のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域と、を含む(例えば、抗体M19のVH及びVL)。
【0230】
ある特定の態様では、本明細書に記載される抗体は、そのVHドメイン単独もしくはそのVLドメイン単独によって、またはその3つのVH CDR単独もしくはその3つのVL CDR単独によって記載されてもよい。例えば、元の抗体の親和性と同じくらい高いか、またはそれよりも高い親和性を有するヒト化抗体変異体をもたらす、ヒト軽鎖または重鎖ライブラリから相補的軽鎖または重鎖のそれぞれを識別することによるマウス抗αvβ3抗体のヒト化を記載する、Rader C et al.,(1998)PNAS 95:8910-8915を参照されたく、それは、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。また、特異VHドメイン(またはVLドメイン)を使用し、相補的可変ドメインに関してライブラリをスクリーニングすることによって、特異抗原と結合する抗体を産生する方法を記載する、Clackson T et al.,(1991)Nature 352:624-628も参照されたく、それは、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。また、特異VHドメインを使用し、相補的VLドメインに関してライブラリ(例えば、ヒトVLライブラリ)をスクリーニングすることによって、特異抗原と結合する抗体を産生し、選択されたVLが追加の相補的(例えば、ヒト)VHドメインの選択を誘導するために使用され得る、方法を記載する、Kim SJ&Hong HJ,(2007)J Microbiol 45:572-577も参照されたく、それは、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0231】
具体的な実施形態では、本明細書に記載される抗体のVH(例えば、CDR1、CDR2、もしくはCDR3)及び/またはVL(例えば、CDR1、CDR2、もしくはCDR3)領域に沿った1つ以上のCDRの位置は、MERTK(例えば、ヒトMERTK、またはヒト及びマウスMERTKの両方)への免疫特異的結合が維持される(例えば、実質的に、例えば、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%維持される)限り、1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、または6つのアミノ酸位置によって異なってもよい。別の実施形態では、本明細書に記載される抗体のVH(例えば、CDR1、CDR2、もしくはCDR3)及び/またはVL(例えば、CDR1、CDR2、もしくはCDR3)領域に沿った1つ以上のCDRの長さは、MERTK(例えば、ヒトMERTK、またはヒト及びマウスMERTKの両方)への免疫特異的結合が維持される(例えば、実質的に、例えば、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%維持される)限り、1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、またはそれ以上のアミノ酸によって異なってもよい(例えば、より短いか、またはより長い)。別の実施形態では、本明細書に記載されるVH CDR1、VH CDR2、VH CDR3、VL CDR1、VL CDR2、及び/またはVL CDR3のアミノ末端及び/またはカルボキシ末端は、MERTK(例えば、ヒトMERTK、またはヒト及びマウスMERTKの両方)への免疫特異的結合が維持される(例えば、実質的に、例えば、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%維持される)限り、本明細書に記載されるCDRのうちの1つ以上と比較して、1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、またはそれ以上のアミノ酸によって延長または短縮されてもよい。本明細書で使用される場合、「免疫特異的に結合する」、「免疫特異的に認識する」、「特異的に結合する」、及び「特異的に認識する」という用語は、抗体との関連で類似の用語であり、当業者によって理解されるように、抗原結合部位を介して抗原(例えば、エピトープまたは免疫複合体)に結合する抗体及びその抗原結合フラグメントを指し、他の抗原との抗体または抗原結合フラグメントの交差反応性を除外しない。MERTK(例えば、ヒトMERTK、またはヒト及びマウスMERTKの両方)への免疫特異的結合が維持されるかどうかを確実にするために、当該技術分野において既知の任意の方法、例えば、本明細書で以下に提供される実施例4及び実施例7(第6節)に記載される結合アッセイ及び条件が使用され得る。
【0232】
具体的な態様では、抗体重鎖及び/または軽鎖、例えば、重鎖単独、軽鎖単独、または重鎖及び軽鎖の両方を含む、抗MERTK抗体またはその抗原結合フラグメントが本明細書で提供される。軽鎖に関して、具体的な実施形態では、本明細書に記載される抗MERTK抗体またはその抗原結合フラグメントの軽鎖は、カッパ軽鎖である。別の具体的な実施形態では、本明細書に記載される抗MERTK抗体またはその抗原結合フラグメントの軽鎖は、ラムダ軽鎖である。さらに別の具体的な実施形態では、本明細書に記載される抗MERTK抗体またはその抗原結合フラグメントの軽鎖は、ヒトカッパ軽鎖またはヒトラムダ軽鎖である。
【0233】
特定の実施形態では、MERTK(例えば、ヒトMERTK、またはヒト及びマウスMERTKの両方)に免疫特異的に結合する、本明細書に記載される抗MERTK抗体またはその抗原結合フラグメントは、軽鎖を含み、軽鎖の可変領域のアミノ酸配列は、抗体M6または抗体M19 VL CDRのアミノ酸配列を有するVL CDR1、VL CDR2、及びVL CDR3(すなわち、表2及び表4に列挙されるもの)を含み、軽鎖の定常領域は、カッパ軽鎖定常領域のアミノ酸配列を含む。別の特定の実施形態では、MERTK(例えば、ヒトMERTK、またはヒト及びマウスMERTKの両方)に免疫特異的に結合する、本明細書に記載される抗MERTK抗体またはその抗原結合フラグメントは、軽鎖を含み、軽鎖の可変領域のアミノ酸配列は、配列番号50または配列番号52のアミノ酸配列を含み、軽鎖の定常領域は、カッパ軽鎖定常領域のアミノ酸配列を含む。本明細書で使用される場合、「定常領域」または「定常ドメイン」という用語は、互換性があり、当該技術分野において一般的なその意味を有する。定常領域は、抗体部分、例えば、抗原への抗体の結合に直接関与しないが、Fc受容体との相互作用などの様々なエフェクタ機能を示し得る、軽鎖及び/または重鎖のカルボキシル末端部分である。免疫グロブリン分子の定常領域は、概して、免疫グロブリン可変ドメインと比較してより保存されたアミノ酸配列を有する。具体的な実施形態では、抗体またはその抗原結合フラグメントは、MERTKシグナル伝達を作動させる。
【0234】
別の特定の実施形態では、MERTK(例えば、ヒトMERTK、またはヒト及びマウスMERTKの両方)に免疫特異的に結合する、本明細書に記載される抗MERTK抗体またはその抗原結合フラグメントは、軽鎖を含み、軽鎖の可変領域のアミノ酸配列は、抗体M6または抗体M19 VL CDRのアミノ酸配列を有するVL CDR1、VL CDR2、及びVL CDR3(すなわち、表2及び表4に列挙されるもの)を含み、軽鎖の定常領域は、ラムダ軽鎖定常領域のアミノ酸配列を含む。別の特定の実施形態では、MERTK(例えば、ヒトMERTK、またはヒト及びマウスMERTKの両方)に免疫特異的に結合する、本明細書に記載される抗MERTK抗体またはその抗原結合フラグメントは、軽鎖を含み、軽鎖の可変領域のアミノ酸配列は、配列番号50または配列番号52のアミノ酸配列を含み、軽鎖の定常領域は、ラムダ軽鎖定常領域のアミノ酸配列を含む。具体的な実施形態では、抗体またはその抗原結合フラグメントは、MERTKシグナル伝達を作動させる。
【0235】
別の特定の実施形態では、MERTK(例えば、ヒトMERTK、またはヒト及びマウスMERTKの両方)に免疫特異的に結合する、本明細書に記載される抗MERTK抗体またはその抗原結合フラグメントは、軽鎖を含み、軽鎖の可変領域のアミノ酸配列は、抗体M6または抗体M19 VL CDRのアミノ酸配列を有するVL CDR1、VL CDR2、及びVL CDR3(すなわち、表2及び表4に列挙されるもの)を含み、軽鎖の定常領域は、ヒトカッパまたはラムダ軽鎖定常領域のアミノ酸配列を含む。具体的な実施形態では、MERTK(例えば、ヒトMERTK、またはヒト及びマウスMERTKの両方)に免疫特異的に結合する、本明細書に記載される抗MERTK抗体またはその抗原結合フラグメントは、軽鎖を含み、軽鎖の可変領域のアミノ酸は、配列番号50または配列番号52のアミノ酸配列を含み、軽鎖の定常領域は、ヒトカッパまたはラムダ軽鎖定常領域のアミノ酸配列を含む。具体的な実施形態では、抗体またはその抗原結合フラグメントは、MERTKシグナル伝達を作動させる。ヒト定常領域配列の非限定的な例は、当該技術分野において記載されており、例えば、Kabat EA et al.,(1991)を参照されたい。
【0236】
重鎖に関して、具体的な実施形態では、本明細書に記載される抗MERTK抗体またはその抗原結合フラグメントの重鎖は、アルファ(α)、デルタ(δ)、エプシロン(ε)、ガンマ(γ)、またはミュー(μ)重鎖であってもよい。別の具体的な実施形態では、記載される抗体の重鎖は、ヒトアルファ(α)、デルタ(δ)、エプシロン(ε)、ガンマ(γ)、またはミュー(μ)重鎖を含むことができる。
【0237】
特定の実施形態では、MERTK(例えば、ヒトMERTK、またはヒト及びマウスMERTKの両方)に免疫特異的に結合する、本明細書に記載される抗MERTK抗体またはその抗原結合フラグメントは、重鎖を含み、重鎖の可変領域のアミノ酸配列は、抗体M6または抗体M19 VH CDRのアミノ酸配列を有するVH CDR1、VH CDR2、及びVH CDR3(すなわち、表1及び表3に列挙されるもの)を含み、重鎖の定常領域は、ヒトガンマ(γ)重鎖定常領域のアミノ酸配列を含む。別の特定の実施形態では、MERTK(例えば、ヒトMERTK、またはヒト及びマウスMERTKの両方)に免疫特異的に結合する、本明細書に記載される抗MERTK抗体またはその抗原結合フラグメントは、重鎖を含み、重鎖の可変領域のアミノ酸配列は、配列番号49または配列番号51のアミノ酸配列を含み、重鎖の定常領域は、ヒトガンマ(γ)重鎖定常領域のアミノ酸配列を含む。具体的な実施形態では、抗体またはその抗原結合フラグメントは、MERTKシグナル伝達を作動させる。
【0238】
具体的な実施形態では、MERTK(例えば、ヒトMERTK、またはヒト及びマウスMERTKの両方)に免疫特異的に結合する、本明細書に記載される抗MERTK抗体またはその抗原結合フラグメントは、重鎖を含み、重鎖の可変領域のアミノ酸配列は、抗体M6または抗体M19 VH CDRのアミノ酸配列を有するVH CDR1、VH CDR2、及びVH CDR3(すなわち、表1及び表3に列挙されるもの)を含み、重鎖の定常領域は、本明細書に記載される、または当該技術分野において既知のヒト重鎖のアミノ酸を含む。具体的な実施形態では、MERTK(例えば、ヒトMERTK、またはヒト及びマウスMERTKの両方)に特異的に結合する、本明細書に記載される抗MERTK抗体またはその抗原結合フラグメントは、重鎖を含み、重鎖の可変領域のアミノ酸配列は、配列番号49または配列番号51のアミノ酸配列を含み、重鎖の定常領域は、本明細書に記載される、または当該技術分野において既知のヒト重鎖のアミノ酸を含む。具体的な実施形態では、抗体またはその抗原結合フラグメントは、MERTKシグナル伝達を作動させる。ヒト定常領域配列の非限定的な例は、当該技術分野において記載されており、例えば、上記のKabat EA et al.,(1991)を参照されたい。
【0239】
具体的な実施形態では、MERTK(例えば、ヒトMERTK、またはヒト及びマウスMERTKの両方)に免疫特異的に結合する、本明細書に記載される抗MERTK抗体またはその抗原結合フラグメントは、本明細書に記載される任意のアミノ酸配列を含む、重鎖可変領域(VH)と軽鎖可変領域(VL)とを含み、定常領域は、IgG、IgE、IgM、IgD、IgA、もしくはIgY免疫グロブリン分子、またはヒトIgG、IgE、IgM、IgD、IgA、もしくはIgY免疫グロブリン分子の定常領域のアミノ酸配列を含む。別の具体的な実施形態では、MERTK(例えば、ヒトMERTK、またはヒト及びマウスMERTKの両方)に免疫特異的に結合する、本明細書に記載される抗MERTK抗体またはその抗原結合フラグメントは、本明細書に記載される任意のアミノ酸配列を含む、VHとVLとを含み、定常領域は、IgG、IgE、IgM、IgD、IgA、もしくはIgY 免疫グロブリン分子、免疫グロブリン分子の任意のクラス(例えば、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgA1、及びIgA2)、または任意のサブクラス(例えば、IgG2a及びIgG2b)の定常領域のアミノ酸配列を含む。特定の実施形態では、定常領域は、ヒトIgG、IgE、IgM、IgD、IgA、もしくはIgY免疫グロブリン分子、免疫グロブリン分子の任意のクラス(例えば、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgA1、及びIgA2)、または任意のサブクラス(例えば、IgG2a及びIgG2b)の定常領域のアミノ酸配列を含む。
【0240】
ある特定の実施形態では、1つ、2つ、またはそれ以上の突然変異(例えば、アミノ酸置換)が、本明細書に記載される抗MERTK抗体またはその抗原結合フラグメントのFc領域に導入されて、抗体の1つ以上の機能特性を変化させる。
【0241】
いくつかの実施形態では、1つ、2つ、またはそれ以上の突然変異(例えば、アミノ酸置換)が、本明細書に記載される抗MERTK抗体またはその抗原結合フラグメントのFc領域(例えば、Kabat番号付けシステム(例えば、KabatのEUインデックス)に従った番号付けを用いた、CH2ドメイン(ヒトIgG1の残基231~340)、及び/またはCH3ドメイン(ヒトIgG1の残基341~447)、及び/またはヒンジ領域)に導入されて、エフェクタ細胞上のFc受容体(例えば、活性化Fc受容体)に対する抗体またはその抗原結合フラグメントの親和性を増加または減少させる。Fc受容体に対する抗体の親和性を減少または増加させる抗MERTK抗体またはその抗原結合フラグメントのFc領域における突然変異、及びFc受容体またはそのフラグメントにそのような突然変異を導入するための技術は、当業者に既知である。Fc受容体に対する抗体またはその抗原結合フラグメントの親和性を変化させるために行われ得る、抗MERTK抗体またはその抗原結合フラグメントのFc受容体における突然変異の例は、例えば、Smith P et al.,(2012)PNAS 109:6181-6186、米国特許第6,737,056号、ならびに国際公開第WO02/060919号、同第WO98/23289号、及び同第WO97/34631号に記載され、それらは、参照により本明細書に組み込まれる。
【0242】
いくつかの実施形態では、抗体またはその抗原結合フラグメントは、グリコシル化定常領域を含む。いくつかの実施形態では、抗体またはその抗原結合フラグメントは、非グリコシル化定常領域を含む。フコース含量が低減した抗体は、例えば、FcγRIIIaなどのFc受容体に対する増加した親和性を有することが報告されている。したがって、ある特定の実施形態では、本明細書に記載される抗体またはその抗原結合フラグメントは、フコース含量が低減しているか、またはフコース含量がない。そのような抗体またはその抗原結合フラグメントは、当業者に既知の技術を使用して産生され得る。例えば、抗体またはその抗原結合フラグメントは、フコシル化の能力が不十分であるか、または欠いている細胞内で発現し得る。具体的な例において、フコース含量が低減した抗体を産生するために、α1,6-フコシルトランスフェラーゼの両方の対立遺伝子のノックアウトを有する細胞株が使用され得る。Potelligent(登録商標)システム(Lonza)は、フコース含量が低減した抗体またはその抗原結合フラグメントを産生するために使用され得るようなシステムの一例である。あるいは、フコース含量が低減した、またはフコース含量がない抗体または抗原結合フラグメントは、例えば、(i)フコシル化を防止もしくは低減する条件下で、細胞を培養すること、(ii)フコースの翻訳後除去(例えば、フコシダーゼ酵素を用いた)、(iii)例えば、非グリコシル化糖タンパク質の組み換え発現後の、所望の炭水化物の翻訳後付加、または(iv)フコシル化されていない抗体またはその抗原結合フラグメントを選択するための糖タンパク質の精製、によって産生され得る。例えば、フコース含量がない、またはフコース含量が低減した抗体またはその抗原結合フラグメントを産生するための方法に関して、Longmore GD&Schachter H(1982)Carbohydr Res 100:365-92及びImai-Nishiya H et al.,(2007)BMC Biotechnol.7:84を参照されたい。
【0243】
別の特定の実施形態では、MERTK(例えば、ヒトMERTK、またはヒト及びマウスMERTKの両方)に免疫特異的に結合し、内皮細胞上でMERTKシグナル伝達を作動させる、本明細書に記載される抗MERTK抗体またはその抗原結合フラグメントは、重鎖及び/または軽鎖を含み、(i)重鎖は、(a)抗体M6もしくは抗体M19 VH CDRのアミノ酸配列を有するVH CDR1、VH CDR2、及びVH CDR3(すなわち、表1及び表3に列挙されるもの)を含む可変領域を含み、(b)ヒトIgG重鎖の定常ドメインのアミノ酸配列を含む定常重鎖ドメインを含み、かつ/または軽鎖は、(a)抗体M6もしくは抗体M19 VL CDRのアミノ酸配列を有するVL CDR1、VL CDR2、及びVL CDR3(すなわち、表2及び表4に列挙されるもの)を含む可変領域、及び(b)ヒトIgGの定常ドメインのアミノ酸配列を含む定常軽鎖ドメイン、を含む。
【0244】
MERTK(例えば、ヒトMERTK、またはヒト及びマウスMERTKの両方)に免疫特異的に結合し、内皮細胞上でMERTKシグナル伝達を作動させる、本明細書に記載される抗MERTK抗体またはその抗原結合フラグメントは、重鎖及び/または軽鎖を含み、(i)重鎖は、(a)配列番号49もしくは配列番号51のアミノ酸配列を含む可変領域、及び(b)ヒトIgGの定常ドメインのアミノ酸配列を含む定常重鎖ドメイン、を含み、かつ/または(ii)軽鎖は、配列番号50もしくは配列番号52のアミノ酸配列を含む可変領域、(b)ヒトカッパ軽鎖の定常ドメインのアミノ酸配列を含む定常軽鎖ドメイン、を含む。
【0245】
2つの配列(例えば、アミノ酸配列または核酸配列)間の同一性パーセントの決定もまた、数学的アルゴリズムを使用して達成され得る。2つの配列の比較のために利用される数学的アルゴリズムの具体的な非限定的な例は、Karlin S&Altschul SF(1993)PNAS 90:5873-5877にあるように修正された、Karlin S&Altschul SF(1990)PNAS 87:2264-2268のアルゴリズムである。そのようなアルゴリズムは、Altschul SF et al.,(1990)J Mol Biol 215:403のNBLAST及びXBLASTプログラムに組み込まれる。BLASTヌクレオチド検索は、本明細書に記載される核酸分子に相同のヌクレオチド配列を得るために、例えば、スコア=100、語長=12に設定されたNBLASTヌクレオチドプログラムパラメータを用いて実施され得る。BLASTタンパク質検索は、本明細書に記載されるタンパク質分子に相同のアミノ酸配列を得るために、例えば、スコア50、語長=3に設定されたXBLASTプログラムパラメータを用いて実施され得る。比較の目的でギャップ付きアライメントを得るために、Gapped BLASTが、Altschul SF et al.,(1997)Nuc Acids Res 25:3389 3402に記載されるように利用され得る。あるいは、PSI BLASTは、分子間の距離関係を検出する反復検索を実施するために使用され得る(同文献)。BLAST、Gapped BLAST、及びPSI Blastプログラムを利用するとき、対応するプログラムの(例えば、XBLAST及びNBLASTの)デフォルトパラメータが使用され得る(例えば、ワールドワイドウェブ上のNational Center for Biotechnology Information(NCBI)、ncbi.nlm.nih.govを参照されたい)。配列の比較のために利用される数学的アルゴリズムの別の具体的な非限定的な例は、Myers and Miller,1988,CABIOS 4:11 17のアルゴリズムである。そのようなアルゴリズムは、GCG配列アライメントソフトウェアパッケージの一部である、ALIGNプログラム(バージョン2.0)に組み込まれる。アミノ酸配列を比較するためにALIGNプログラムを利用するとき、PAM120重量残基表、12のギャップ長ペナルティ、及び4のギャップペナルティが使用され得る。
【0246】
2つの配列間の同一性パーセントは、ギャップを可能にするか、またはしないで、上記の技術と同様の技術を使用して決定され得る。同一性パーセントの計算において、典型的には、1つの正確な一致のみが計算される。
【0247】
ある特定の実施形態では、MERTK(例えば、ヒトMERTK、またはヒト及びマウスMERTKの両方)に免疫特異的に結合し、内皮細胞上でMERTKシグナル伝達を作動させる、抗MERTK抗体またはその抗原結合フラグメントは、配列番号49または配列番号51のVHのアミノ酸配列に対して、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、または少なくとも98%配列同一性を有するVHを含む。ある特定の実施形態では、MERTK(例えば、ヒトMERTK、またはヒト及びマウスMERTKの両方)に免疫特異的に結合し、内皮細胞上でMERTKシグナル伝達を作動させる、抗MERTK抗体またはその抗原結合フラグメントは、配列番号49または配列番号51のVHのアミノ酸配列に対して、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、または少なくとも98%配列同一性を有するVHドメインを含み、抗体または抗原結合フラグメントは、表1~4に記載されるCDR(例えば、VH CDR及び/またはVL CDR)に同一である、CDR(例えば、VH CDR及び/またはVL CDR)を含む。
【0248】
ある特定の実施形態では、MERTK(例えば、ヒトMERTK、またはヒト及びマウスMERTKの両方)に免疫特異的に結合し、内皮細胞上でMERTKシグナル伝達を作動させる、抗MERTK抗体またはその抗原結合フラグメントは、配列番号50または配列番号52のVLのアミノ酸配列に対して、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、または少なくとも98%配列同一性を有するVLを含む。ある特定の実施形態では、MERTK(例えば、ヒトMERTK、またはヒト及びマウスMERTKの両方)に免疫特異的に結合し、内皮細胞上でMERTKシグナル伝達を作動させる、抗MERTK抗体またはその抗原結合フラグメントは、配列番号50または配列番号52のVLのアミノ酸配列に対して、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、または少なくとも98%配列同一性を有するVLを含み、抗体または抗原結合フラグメントは、表1~4に記載されるCDR(例えば、VH CDR及び/またはVL CDR)に同一である、CDR(例えば、VH CDR及び/またはVL CDR)を含む。
【0249】
ある特定の実施形態では、MERTK(例えば、ヒトMERTK、またはヒト及びマウスMERTKの両方)に免疫特異的に結合し、内皮細胞上でMERTKシグナル伝達を作動させる、抗MERTK抗体またはその抗原結合フラグメントは、(i)配列番号49または配列番号51のVHドメインのアミノ酸配列に対して、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、または少なくとも98%配列同一性を有するVHドメイン、及び(ii)配列番号50または配列番号52のVLドメインのアミノ酸配列に対して、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、または少なくとも98%配列同一性を有するVLドメイン、を含む。ある特定の実施形態では、MERTK(例えば、ヒトMERTK、またはヒト及びマウスMERTKの両方)に免疫特異的に結合し、内皮細胞上でMERTKシグナル伝達を作動させる、抗MERTK抗体またはその抗原結合フラグメントは、(i)配列番号49または配列番号51のVHドメインのアミノ酸配列に対して、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、または少なくとも98%配列同一性を有するVHドメイン、及び(ii)配列番号50または配列番号52のVLドメインのアミノ酸配列に対して、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、または少なくとも98%配列同一性を有するVLドメイン、を含み、抗体または抗原結合フラグメントは、表1~4に記載されるCDR(例えば、VH CDR及び/またはVL CDR)に同一である、CDR(例えば、VH CDR及び/またはVL CDR)を含む。
【0250】
別の態様では、本明細書に記載される抗体(例えば、抗体M6またはM19)として、MERTKの同じまたは重複するエピトープ(例えば、ヒトMERTK、またはヒト及びマウスMERTKの両方のエピトープ)と結合する抗体が本明細書で提供される。本明細書で使用される場合、「エピトープ」は、当該技術分野における用語であり、抗体が特異的に結合し得る抗体の局所領域を指す。エピトープは、例えば、ポリペプチドの連続アミノ酸(直線状もしくは連続エピトープ)であってもよく、またはエピトープは、例えば、ポリペプチドもしくは複数のポリペプチドの2つまたはそれ以上の非連続領域から集合し得る(立体配座、非線形、不連続、または非連続エピトープ)。ある特定の実施形態では、抗体のエピトープは、例えば、NMR分光法、X線回折結晶学研究、ELISAアッセイ、質量分析法を伴った水素/重水素交換(例えば、MALDI質量分析法)、アレイベースのオリゴペプチドスキャニングアッセイ、及び/または突然変異誘発マッピング(例えば、部位特異的突然変異誘発マッピング)によって決定され得る。X線結晶学に関して、結晶化は、当該技術分野において既知の方法のいずれかを使用して達成され得る(例えば、Giege R et al.,(1994)Acta Crystallogr D Biol Crystallogr 50(Pt 4):339-350、McPherson A(1990)Eur J Biochem 189:1-23、Chayen NE(1997)Structure 5:1269-1274、McPherson A(1976)J Biol Chem 251:6300-6303)。抗体:抗原結晶は、周知のX線回折技術を使用して研究されてもよく、X-PLOR(Yale University,1992、Molecular Simulations,Inc.によって流通されている。例えば、Meth Enzymol(1985)volumes 114&115,eds Wyckoff HW et al.、米国特許出願第2004/0014194号を参照されたい)、及びBUSTER(Bricogne G(1993)Acta Crystallogr D Biol Crystallogr 49(Pt 1):37-60、Bricogne G(1997)Meth Enzymol 276A:361-423,ed Carter CW、Roversi P et al.,(2000)Acta Crystallogr D Biol Crystallogr 56(Pt 10):1316-1323)などのコンピュータソフトウェアを使用して精製されてもよい。突然変異誘発マッピング研究は、当業者に既知の任意の方法を使用して達成され得る。例えば、アラニンスキャニング突然変異誘発技術を含む、突然変異誘発技術の記載に関して、Champe M et al.,(1995)及びCunningham BC&Wells JA(1989)を参照されたい。加えて、MERTK(例えば、ヒトMERTK、またはヒト及びマウスMERTKの両方)の同じまたは重複するエピトープを認識し、かつそれに結合する抗体は、免疫学的検定などの常用技術を使用して、例えば、1つの抗体が別の抗体の標的抗原への結合を遮断する能力を示すこと、すなわち、競合結合アッセイによって、識別され得る。競合結合アッセイはまた、2つの抗体がエピトープに対して同様の結合特異性を有するかどうかを決定するために使用され得る。競合結合は、試験下の免疫グロブリンが、MERTKなどの共通の抗原への参照抗体の特異的結合を阻害するアッセイにおいて決定され得る。多くの種類の競合結合アッセイ、例えば、固相直接または間接ラジオイムノアッセイ(RIA)、固相直接または間接酵素イムノアッセイ(EIA)、サンドイッチ競合アッセイ(Stahli C et al.,(1983)Methods Enzymol 9:242-253を参照されたい)、固相直接ビオチン-アビジンEIA(Kirkland TN et al.,(1986)J Immunol 137:3614-9を参照されたい)、固相直接標識化アッセイ、固相直接標識化サンドイッチアッセイ(Harlow E&Lane D,(1988)Antibodies:A Laboratory Manual,Cold Spring Harbor Pressを参照されたい)、I-125標識を使用した固相直接標識RIA(Morel GA et al.,(1988)Mol Immunol 25(1):7-15を参照されたい)、固相直接ビオチン-アビジンEIA(Cheung RC et al.,(1990)Virology 176:546-52)、及び直接標識化RIA(Moldenhauer G et al.,(1990)Scand J Immunol 32:77-82)が既知である。典型的には、そのようなアッセイは、これらの非標識化試験免疫グロブリン及び標識化参照免疫グロブリンのうちのいずれかを有する固体表面または細胞に結合した精製抗原(例えば、ヒトMERTKなどのMERTK)の使用を伴う。競合阻害は、試験免疫グロブリンの存在下で固体表面または細胞に結合した標識の量を決定することによって測定され得る。通常、試験免疫グロブリンは、過剰に存在する。通常、競合している抗体が過剰に存在するとき、それは、共通の抗原への参照抗体の特異的結合を少なくとも50~55%、55~60%、60~65%、65~70% 70~75%、またはそれ以上阻害する。競合結合アッセイは、標識化抗原または標識化抗体のいずれかを使用して、多数の異なる形式で構成され得る。このアッセイの共通のバージョンにおいて、抗原は、96ウェルプレート上で固定化される。次いで、抗原への標識化抗体の結合を遮断する非標識化抗体の能力は、放射能または酵素標識を使用して測定される。さらなる詳細に関しては、例えば、Wagener C et al.,(1983)J Immunol 130:2308-2315、Wagener C et al.,(1984)J Immunol Methods 68:269-274、Kuroki M et al.,(1990)Cancer Res 50:4872-4879、Kuroki M et al.,(1992)Immunol Invest 21:523-538、Kuroki M et al.,(1992)Hybridoma 11:391-407、及びAntibodies:A Laboratory Manual,Ed Harlow E&Lane D editors(上記を参照),pp.386-389を参照されたい。
【0251】
ある特定の態様では、競合結合アッセイは、標識化抗原または標識化抗体のいずれかを使用して、全ての数の異なる形式で構成され得る、競合ELISAアッセイなどの競合結合アッセイにおいて、2つの抗体が同一のまたは立体的に重複するエピトープを認識するとき、抗体が、例えば、用量依存的な様式で、別の抗体によって競合的に遮断されるかどうか、例えば、抗体が参照抗体として本質的に同じエピトープまたは重複するエピトープと結合するかどうかを決定するために使用され得る。特定の実施形態では、抗体は、本明細書に記載される抗体(例えば、抗体M6またはM19)を用いた競合結合アッセイにおいて試験され得る。
【0252】
別の態様では、当業者に既知の、または本明細書に記載されるアッセイ(例えば、ELISA競合アッセイまたは表面プラズモン共鳴)を使用して決定されるように、MERTK(例えば、ヒトMERTK、またはヒト及びマウスMERTKの両方)に結合するために、本明細書に記載される抗体(例えば、抗体M6またはM19)と競合し(例えば、用量依存的な様式で)、内皮細胞上でMERTKシグナル伝達を作動させる、抗体が本明細書で提供される。別の態様では、当業者に既知の、または本明細書に記載されるアッセイ(例えば、ELISA競合アッセイ、またはサスペンションアレイ、または表面プラズモン共鳴)を使用して決定されるように、本明細書に記載される抗体(例えば、抗体M6またはM19)がMERTK(例えば、ヒトMERTK、またはヒト及びマウスMERTKの両方)に結合することを競合的に阻害する(例えば、用量依存的な様式で)、抗体が本明細書で提供される。
【0253】
ある特定の実施形態では、本明細書に記載される抗体がMERTK(例えば、ヒトMERTK、またはヒト及びマウスMERTKの両方)に結合するために自己競合するのと同じ程度まで、MERTK(例えば、ヒトMERTK、またはヒト及びマウスMERTKの両方)に結合するために、本明細書に記載される抗体と競合する、抗体が本明細書で提供される。ある特定の実施形態では、MERTK(例えば、ヒトMERTK、またはヒト及びマウスMERTKの両方)に結合するために、本明細書に記載される抗体と競合する、第1の抗体が本明細書で提供され、競合は、80%超(例えば、85%、90%、95%、もしくは98%、または80%~85%、80%~90%、85%~90%、もしくは85%~95%)低減した、MERTKへの第1の抗体の結合として示される。
【0254】
具体的な態様では、MERTK(例えば、ヒトMERTK、またはヒト及びマウスMERTKの両方)への特異的結合のために、配列番号49または配列番号51のアミノ酸配列を有するVHドメイン、及び配列番号50または配列番号52のアミノ酸配列を有するVLドメインを含む抗体と競合する(例えば、用量依存的な様式で)、抗体が本明細書で提供される。
【0255】
具体的な態様では、MERTK(例えば、ヒトMERTK、またはヒト及びマウスMERTKの両方)への特異的結合のために、(i)表1または表3に列挙される抗体のCDRのアミノ酸配列を有するVH CDR1、VH CDR2、及びVH CDR3を含むVHドメイン、ならびに(ii)表2または表4に列挙される抗体のVL CDRのアミノ酸配列を有するVL CDR1、VL CDR2、及びVL CDR3を含むVLドメイン、を含む抗体と競合する(例えば、用量依存的な様式で)、抗体が本明細書で提供される。
【0256】
特定の実施形態では、MERTK(例えば、ヒトMERTK、またはヒト及びマウスMERTKの両方)への特異的結合のために、抗体M6のVH及びVL CDR(表1及び表2)を含む抗体と競合する(例えば、用量依存的な様式で)、抗体が本明細書で提供される。
【0257】
特定の実施形態では、MERTK(例えば、ヒトMERTK、またはヒト及びマウスMERTKの両方)への特異的結合のために、抗体M19のVH及びVL CDR(表3及び表4)を含む抗体と競合する(例えば、用量依存的な様式で)、抗体が本明細書で提供される。
【0258】
別の具体的な実施形態では、本明細書に記載される抗MERTK抗体またはその抗原結合フラグメントは、(i)表1または表3に列挙される抗体のCDRのアミノ酸配列を有するVH CDR1、VH CDR2、及びVH CDR3を含むVHドメイン、ならびに(ii)表2または表4に列挙される抗体のCDRのアミノ酸配列を有するVL CDR1、VL CDR2、及びVL CDR3を含むVLドメイン、を含む抗体の同じまたは重複するエピトープに免疫特異的に結合する。
【0259】
具体的な実施形態では、本明細書に記載される抗MERTK抗体またはその抗原結合フラグメントは、配列番号49のアミノ酸配列を有するVHドメイン、及び配列番号50のアミノ酸配列を有するVLドメインを含む、抗体M6の同じまたは重複するエピトープに免疫特異的に結合する。別の具体的な実施形態では、本明細書に記載される抗MERTK抗体またはその抗原結合フラグメントは、配列番号51のアミノ酸配列を有するVHドメイン、及び配列番号52のアミノ酸配列を有するVLドメインを含む、抗体M19の同じまたは重複するエピトープに免疫特異的に結合する。2つの抗体が同じエピトープに結合するかを決定するために、当業者に既知の、または本明細書に記載されるアッセイ(例えば、X線結晶学、ELISAアッセイなど)が使用され得る。
【0260】
親和性は、平衡解離定数(KD)及び平衡会合定数(KA)が挙げられるがこれらに限定されない、当該技術分野において既知の多くの方法で測定及び/または表現され得る。KDは、バイオレイヤー干渉法などの当業者に既知の技術によって決定され得る。具体的な実施形態では、KDは、以下の第6節の実施例4または実施例7に記載されるように決定される。
【0261】
ある特定の実施形態では、本明細書に記載される抗MERTK抗体もしくはその抗原結合フラグメント、MERTKに結合するために本明細書に記載される抗体と競合する、抗MERTK抗体もしくはその抗原結合フラグメント、または本明細書に記載される抗体の同じもしくは重複するエピトープに結合する、抗MERTK抗体もしくはその抗原結合フラグメントは、7nM、6nM、5nM、4.5nM、4nM、3.5nM、3nM、2.5nM、2nM、1.5nM、1nM、0.75nM、0.5nM、0.25nM、0.1nM、0.05nM、0.025nM、0.01nM、または0.005nM未満のKDで、MERTK(例えば、ヒトMERTK、またはヒト及びマウスMERTKの両方)に結合する。いくつかの実施形態では、本明細書に記載される抗MERTK抗体もしくはその抗原結合フラグメント、MERTKに結合するために本明細書に記載される抗体と競合する、抗MERTK抗体もしくはその抗原結合フラグメント、または本明細書に記載される抗体の同じもしくは重複するエピトープに結合する、抗MERTK抗体もしくはその抗原結合フラグメントは、約7nM、6nM、5nM、4.5nM、4nM、3.5nM、3nM、2.5nM、2nM、1.5nM、1nM、0.75nM、0.5nM、0.25nM、0.1nM、0.05nM、0.025nM、0.01nM、または0.005nMのKDで、MERTK(例えば、ヒトMERTK、またはヒト及びマウスMERTKの両方)に結合する。いくつかの実施形態では、本明細書に記載される抗MERTK抗体もしくはその抗原結合フラグメント、MERTKに結合するために本明細書に記載される抗体と競合する、抗MERTK抗体もしくはその抗原結合フラグメント、または本明細書に記載される抗体の同じもしくは重複するエピトープに結合する、抗MERTK抗体もしくはその抗原結合フラグメントは、約3pM~400pMのKDで、MERTK(例えば、ヒトMERTK、またはヒト及びマウスMERTKの両方)に結合する。具体的な実施形態では、本明細書に記載される抗MERTK抗体またはその抗原結合フラグメントは、約0.3nMのKDでMERTK(例えば、ヒトMERTK、またはヒト及びマウスMERTKの両方)に結合する。別の具体的な実施形態では、本明細書に記載される抗MERTK抗体またはその抗原結合フラグメントは、約4.6pMのKDでMERTK(例えば、ヒトMERTK、またはヒト及びマウスMERTKの両方)に結合する。本明細書で使用される場合、数値または数値範囲を修正するために使用されるときの「約」という用語は、その値または範囲の5%~10%を超えるか、または5%~10%下回る偏差が、列挙された値または範囲の意図した意味の範囲内にとどまることを示す。
【0262】
ある特定の実施形態では、本明細書に記載される抗体のエピトープは、抗体を産生するための免疫原として使用される。例えば、抗体を産生するための方法に関して、以下の第5.2節を参照されたい。
【0263】
6.1.2.機能特性
いくつかの態様では、MERTK(例えば、ヒトMERTK、またはヒト及びマウスMERTKの両方)に免疫特異的に結合し、内皮細胞上でMERTKシグナル伝達を作動させる、本明細書に記載される抗MERTK抗体またはその抗原結合フラグメントは、内皮細胞上のMERTK(例えば、ヒトMERTK、またはヒト及びマウスMERTKの両方)活性を、少なくとも約2倍、3倍、4倍、5倍、6倍、7倍、8倍、9倍、10倍、15倍、20倍、30倍、40倍、50倍、60倍、70倍、80倍、90倍、または100倍増加させる。MERTK活性は、本明細書に記載される、または当業者に既知の方法によって、例えば、MERTKリン酸化反応の量を測定することによって評価され得る。別の具体的な実施形態では、MERTKのリン酸化反応の増加によって測定されるようなMERTK活性の増加は、いかなる抗体も用いない、または関係のない抗体(例えば、MERTKに免疫特異的に結合しない抗体)を用いた、内皮細胞上のMERTK活性(例えば、ヒトMERTK、またはヒト及びマウスMERTKの両方活性)と比較して、少なくとも3倍、4倍、5倍、6倍、7倍、8倍、9倍、10倍、15倍、20倍、または30倍である。具体的な実施形態では、MERTK活性の増加は、少なくとも50%、60%、70%、80%、90%、または100%である。具体的な実施形態では、MERTK活性の増加は、以下の実施例3に記載されるように評価される。
【0264】
ある特定の実施形態では、MERTK(例えば、ヒトMERTK、またはヒト及びマウスMERTKの両方)に免疫特異的に結合し、内皮細胞上でMERTKシグナル伝達を作動させる、本明細書に記載される抗MERTK抗体またはその抗原結合フラグメントは、MERTKに結合するために、Gas-6(例えば、ヒトGas-6)と競合する。いくつかの実施形態では、本明細書に記載される抗体またはその抗原結合フラグメントは、Gas-6がMERTK(例えば、ヒトMERTK、またはヒト及びマウスMERTKの両方)に結合することを阻害する(例えば、完全に阻害または一部分のみ阻害する)。いくつかの実施形態では、MERTK(例えば、ヒトMERTK、またはヒト及びマウスMERTKの両方)に免疫特異的に結合し、内皮細胞上でMERTKシグナル伝達を作動させる、本明細書に記載される抗MERTK抗体またはその抗原結合フラグメントは、当業者に既知の、または本明細書に記載されるアッセイによって評価されるように、85%、80%、75%、70%、65%、60%、55%、50%、45%、40%、35%、30%、25%、20%、または10%超、内皮細胞上でのMERTK(例えば、ヒトMERTK、またはヒト及びマウスMERTKの両方)へのGas-6(例えば、ヒトまたはマウスGas-6)の結合を阻害する。具体的な実施形態では、本明細書に記載される抗MERTK抗体またはその抗原結合フラグメントの存在下での、MERTK(例えば、ヒトMERTK、またはヒト及びマウスMERTKの両方)へのGas-6(例えば、ヒトGas-6)の結合の阻害を評価するために使用されるアッセイは、以下の実施例1に記載される抗体捕捉ELISAである。
【0265】
具体的な実施形態では、内皮細胞内のMERTKリン酸化反応のレベルは、以下の実施例3に記載されるホスホ-MERTK特異的ウェスタンブロット法によって測定される。
【0266】
具体的な実施形態では、内皮細胞上でMERTKリン酸化反応のレベルを促進する(すなわち、増加させる)、本明細書に記載される抗MERTK抗体またはその抗原結合フラグメントは、インビトロで、癌細胞(例えば、乳癌細胞)上でのMERTKリン酸化反応を促進しない(すなわち、増加させない)。具体的な実施形態では、癌細胞内のMERTKリン酸化反応のレベルは、以下の実施例3に記載されるホスホ-MERTK特異的ウェスタンブロット法によって測定される。
【0267】
ある特定の実施形態では、MERTK(例えば、ヒトMERTK、またはヒト及びマウスMERTKの両方)に免疫特異的に結合し、内皮細胞上でMERTKシグナル伝達を作動させる、本明細書に記載される抗MERTK抗体またはその抗原結合フラグメントは、癌細胞(例えば、乳癌細胞)の存在下で、インビトロで、MERTK発現内皮細胞の遊走を阻害する。いくつかの具体的な実施形態では、内皮細胞の遊走は、本明細書に記載される、かつ/または当業者に既知の方法によって評価されるように、少なくとも10%、20%、30%、35%、40%、50%、または60%阻害される。いくつかの具体的な実施形態では、内皮細胞の遊走は、本明細書に記載される、かつ/または当業者に既知の方法によって評価されるように、少なくとも40%、45%、50%、55%、または60%阻害される。遊走の程度は、本明細書に記載される、かつ/または当業者に既知の方法によって評価され得る。阻害は、いかなる抗体も用いない、または関係のない抗体(例えば、MERTKに免疫特異的に結合しない抗体)を用いた、MERTK発現内皮細胞の遊走の程度と比較され得る。具体的な実施形態では、内皮細胞遊走を評価するために使用されるアッセイは、以下の実施例2に記載されるようなトランスウェル遊走アッセイである。
【0268】
特定の実施形態では、MERTK(例えば、ヒトMERTK、またはヒト及びマウスMERTKの両方)に免疫特異的に結合し、内皮細胞上でMERTKシグナル伝達を作動させる、本明細書に記載される抗体またはその抗原結合フラグメントは、内皮細胞の非存在下で、インビトロのトランスウェル遊走アッセイにおいて、多形膠芽腫細胞株A172の遊走を阻害しない。
【0269】
具体的な実施形態では、MERTK(例えば、ヒトMERTK、またはヒト及びマウスMERTKの両方)に免疫特異的に結合し、内皮細胞上でMERTKシグナル伝達を作動させる、本明細書に記載される抗MERTK抗体またはその抗原結合フラグメントは、腫瘍内の血管新生を阻害する。いくつかの実施形態では、血管新生の阻害は、少なくとも10%、20%、30%、40%、50%、55、60%、65%、70%、または75%である。具体的な実施形態では、血管新生の阻害は、少なくとも50%、55%、60%、65%、または70%である。血管新生の阻害は、本明細書に記載される、かつまたは当業者に既知の方法によって評価され得る。阻害は、いかなる抗体も用いない、または関係のない抗体(例えば、MERTKに免疫特異的に結合しない抗体)を用いた、血管新生のレベルと比較され得る。具体的な実施形態では、インビボで血管新生を評価するために使用されるアッセイは、以下の実施例6に記載されるようなアッセイである。
【0270】
ある特定の実施形態では、MERTK(例えば、ヒトMERTK、またはヒト及びマウスMERTKの両方)に免疫特異的に結合し、内皮細胞上でMERTKシグナル伝達を作動させる、本明細書に記載される抗MERTK抗体またはその抗原結合フラグメントは、腫瘍(例えば、ヒト乳癌腫瘍)進行を阻害する。腫瘍進行の阻害は、少なくとも10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、または80%である。腫瘍進行は、本明細書に記載される、かつまたは当業者に既知の方法によって評価され得る。腫瘍進行は、いかなる抗体も用いない、または関係のない抗体(例えば、MERTKに免疫特異的に結合しない抗体)を用いた、癌の状態と比較され得る。具体的な実施形態では、腫瘍進行を評価するために使用されるアッセイは、以下の実施例5及び8に記載されるようなマウス腫瘍移植モデルである。
【0271】
6.2.抗体産生
6.2.1.抗体の産生及びスクリーニング
別の態様では、MERTK(例えば、ヒトMERTK、またはヒト及びマウスMERTKの両方)に特異的に結合し、内皮細胞でMERTKシグナル伝達を作動させる、抗体またはその抗原結合フラグメントを産生する方法が本明細書で提供される。
【0272】
本明細書に記載される抗体またはその抗原結合フラグメントは、抗体の合成のための技術分野において既知の任意の方法によって、例えば、化学合成によって、または組み換え発現技術によって産生され得る。本明細書に記載される方法は、別途記載のない限り、分子生物学、微生物学、遺伝子解析、組み換えDNA、有機化学、生化学、PCR、オリゴヌクレオチド合成及び修飾、核酸ハイブリダイゼーション、ならびに当業者が備えている技能の範囲内の関連分野における指示された、従来の技術を用いる。これらの技術は、例えば、本明細書に挙げられる参照文献に記載され、文献内で十分に説明される。例えば、Maniatis T et al.,(1982)Molecular Cloning:A Laboratory Manual,Cold Spring Harbor Laboratory Press、Sambrook J et al.,(1989),Molecular Cloning:A Laboratory Manual,Second Edition,Cold Spring Harbor Laboratory Press、Sambrook J et al.,(2001)Molecular Cloning:A Laboratory Manual,Cold Spring Harbor Laboratory Press,Cold Spring Harbor,NY、Ausubel FM et al.,Current Protocols in Molecular Biology,John Wiley&Sons(1987 and annual updates)、Current Protocols in Immunology,John Wiley&Sons(1987 and annual updates)Gait(ed.)(1984)Oligonucleotide Synthesis:A Practical Approach,IRL Press、Eckstein(ed.)(1991)Oligonucleotide and Analogues:A Practical Approach,IRL Press、Birren B et al.,(eds.)(1999)Genome Analysis:A Laboratory Manual,Cold Spring Harbor Laboratory Pressを参照されたい。
【0273】
具体的な実施形態では、本明細書に記載される抗体は、例えば、DNA配列の合成、遺伝子工学を介した作製を伴う任意の手段によって調製、作製、または単離される抗体(例えば、組み換え抗体)である。ある特定の実施形態では、そのような抗体は、インビボで、動物または哺乳動物(例えば、ヒト)の抗体生殖細胞系列レパートリー内に自然に存在しないDNA配列によってコードされる、配列を含む。具体的な実施形態では、本明細書に記載される抗体は、免疫原としてヒトMERTK(配列番号57)またはその細胞外ドメイン(配列番号58)を使用することを含む方法によって作製される。
【0274】
ある特定の態様では、本明細書に記載される細胞または宿主細胞を培養することを含む、MERTK(例えば、ヒトMERTK、またはヒト及びマウスMERTKの両方)に免疫特異的に結合し、内皮細胞上でMERTKシグナル伝達を作動させる、抗MERTK抗体またはその抗原結合フラグメントを作製する方法が本明細書で提供される。ある特定の態様では、本明細書に記載される細胞または宿主細胞(例えば、本明細書に記載される抗体をコードするポリヌクレオチドを含む細胞または宿主細胞を使用して、抗体またはその抗原結合フラグメントを発現させる(例えば、組み換え的に発現させる)ことを含む、MERTK(例えば、ヒトMERTK、またはヒト及びマウスMERTKの両方)に免疫特異的に結合し、内皮細胞上でMERTKシグナル伝達を作動させる、抗MERTK抗体またはその抗原結合フラグメントを作製する方法が本明細書で提供される。特定の実施形態では、細胞は、単離細胞である。特定の実施形態では、外因性ポリヌクレオチドが細胞に導入されている。特定の実施形態では、本方法はさらに、細胞または宿主細胞から得られた抗体またはその抗原結合フラグメントを精製するステップを含む。
【0275】
ポリクローナル抗体を産生するための方法は、当該技術分野において既知である(例えば、Short Protocols in Molecular Biology,(2002)5th Ed.,Ausubel FM et al.,eds.,John Wiley and Sons,New YorkのChapter 11を参照されたい)。
【0276】
本明細書で使用される場合、「モノクローナル抗体」という用語は、ハイブリドーマ技術を通じて産生された抗体に限定されない。モノクローナル抗体は、ハイブリドーマ、組み換え、及びファージディスプレイ技術、またはこれらの組み合わせの使用を含む、当該技術分野において既知の幅広い技術を使用して調製され得る。例えば、モノクローナル抗体は、本明細書に記載される抗体またはそのフラグメント、例えば、そのような抗体の軽鎖及び/または重鎖を外因的に発現させる宿主細胞から、組み換え的に産生され得る。クローン細胞株及びそれによって発現したモノクローナル抗体の調製のための方法は、当該技術分野において周知である(例えば、上記のShort Protocols in Molecular Biology,(2002)5th Ed.,Ausubel FM et al.のChapter 11を参照されたい)。例えば、モノクローナル抗体は、当該技術分野において既知であり、かつ例えば、Harlow E&Lane D,Antibodies:A Laboratory Manual,(Cold Spring Harbor Laboratory Press,2nd ed.1988)、Hammerling GJ et al.,Monoclonal Antibodies and T-Cell Hybridomas 563 681 (Elsevier,N.Y.,1981)、及びKohler G&Milstein C(1975)Nature 256:495で教示されるものを含む、ハイブリドーマ技術を使用して産生され得る。ハイブリドーマ技術を使用して特異性抗体を産生及びスクリーニングするための方法は、常用されており、当該技術分野において周知である。いくつかの実施形態では、マウス(またはラット、サル、ロバ、ブタ、ヒツジ、ハムスター、もしくはイヌなどの他の動物)が、抗原(例えば、MERTK(例えば、ヒトMERTK、またはヒト及びマウスMERTKの両方))で免疫化され、いったん免疫反応が検出されると、例えば、抗原に特異的な抗体がマウス血清中で検出されると、マウス脾臓は採取され、脾細胞が単離される。次いで、脾細胞は、周囲の技術によって任意の好適な骨髄腫細胞、例えば、American Type Culture Collection(ATCC(登録商標))(Manassas,VA)から入手可能な細胞株SP20由来の細胞と融合されて、ハイブリドーマを形成する。ハイブリドーマは選択され、限界希釈によってクローン化される。
【0277】
そのような調製されたハイブリドーマ細胞は、融合していない親骨髄腫細胞の増殖または生存を阻害する1つ以上の物質を好ましくは含有する、好適な培養培地中に播種され、増殖される。ハイブリドーマ細胞が増殖している培養培地は、MERTK(例えば、ヒトMERTK、またはヒト及びマウスMERTKの両方)に対するモノクローナル抗体の産生に関して分析される。所望の特異性、親和性、及び/または活性の抗体を産生するハイブリドーマ細胞が識別された後、クローンが標準的な方法によってサブクローン化、増殖、及び培養培地から単離されてもよい(Goding JW(Ed),Monoclonal Antibodies:Principles and Practice(上記を参照))。ハイブリドーマ細胞によって産生されたモノクローナル抗体の結合特異性は、当該技術分野において既知の方法、例えば、免疫沈降によって、またはラジオイムノアッセイ(RIA)もしくは酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)などのインビトロ結合アッセイによって決定される。
【0278】
具体的な実施形態では、単一細胞(例えば、組み換え抗体を産生するハイブリドーマまたは宿主細胞)によって産生されるモノクローナル抗体が本明細書に開示され、抗体は、例えば、当該技術分野において既知の、または本明細書で提供される実施例1に記載される、ELISAまたは他の抗原結合もしくは競合結合アッセイによって決定されるように、MERTK(例えば、ヒトMERTK、またはヒト及びマウスMERTKの両方)に免疫特異的に結合する。特定の実施形態では、モノクローナル抗体は、キメラ抗体またはヒト化抗体であってもよい。ある特定の実施形態では、モノクローナル抗体は、一価抗体または多価(例えば、二価)抗体である。特定の実施形態では、モノクローナル抗体は、単一特異性または多特異性抗体(例えば、二重特異性抗体)である。
【0279】
本明細書に記載される抗体は、MERTK(例えば、ヒトMERTK、またはヒト及びマウスMERTKの両方)を認識し、当業者に既知の任意の技術によって生成され得る、抗体フラグメントを含む。例えば、本明細書に記載されるFab及びF(ab’)2フラグメントは、パパイン(Fabフラグメントを産生するための)またはペプシン(F(ab’)2フラグメントを産生するための)などの酵素を使用して、免疫グロブリン分子のタンパク質分解開裂によって産生され得る。Fabフラグメントは、抗体分子の2つの同一のアームのうちの1つに対応し、重鎖のVH及びCH1ドメインと対になった完全軽鎖を含有する。F(ab’)2フラグメントは、ヒンジ領域内のジスルフィド結合によって結合した抗体分子の2つの抗原結合アームを含有する。
【0280】
さらに、本明細書に記載される抗体またはその抗原結合フラグメントはまた、当該技術分野において既知の様々なファージディスプレイ法を使用して生成され得る。ファージディスプレイ法において、機能的抗体ドメインが、それらをコードするポリヌクレオチド配列を担持するファージ粒子の表面上に提示される。具体的に、VH及びVLドメインをコードするDNA配列は、動物cDNAライブラリ(例えば、影響を受けた組織のヒトまたはマウスcDNAライブラリ)から増幅される。VH及びVLドメインをコードするDNAは、PCRによってscFvリンカーと一緒に組み換えられ、ファージミドベクターにクローン化される。ベクターは、E.coli内で電気穿孔され、E.coliは、ヘルパーファージに感染させられる。これらの方法で使用されるファージは、典型的には、fd及びM13を含む繊維状ファージであり、VH及びVLドメインは通常、ファージ遺伝子IIIまたは遺伝子VIIIのいずれかと組み換え的に融合される。特定の抗原に結合する抗原結合ドメインを発現させるファージは、抗原で、例えば、標識化抗原、または固体表面もしくはビーズに結合したか、もしくは補捉された抗原を使用して選択または識別され得る。本明細書に記載される抗体を作製するために使用され得るファージディスプレイ方法の例としては、Brinkman U et al.,(1995)J Immunol Methods 182:41-50、Ames RS et al.,(1995)J Immunol Methods 184:177-186、Kettleborough CA et al.,(1994)Eur J Immunol 24:952-958、Persic L et al.,(1997)Gene 187:9-18、Burton DR&Barbas CF(1994)Advan Immunol 57:191-280、PCT出願第PCT/GB91/001134号、国際公開第WO90/02809号、同第WO91/10737号、同第WO92/01047号、同第WO92/18619号、同第WO93/1 1236号、同第WO95/15982号、同第WO95/20401号、及び、同第WO97/13844、ならびに米国特許第5,698,426号、同第5,223,409号、同第5,403,484号、同第5,580,717号、同第5,427,908号、同第5,750,753号、同第5,821,047号、同第5,571,698号、同第5,427,908号、同第5,516,637号、同第5,780,225号、同第5,658,727号、同第5,733,743号、及び同第5,969,108号に開示される方法が挙げられる。
【0281】
上記の参考文献に記載されるように、ファージ選択後、ファージからの領域をコードする抗体は単離され、ヒト抗体または任意の他の所望の抗原結合フラグメントを含む、全抗体を生成するために使用され、かつ例えば、以下に記載されるような哺乳類細胞、昆虫細胞、植物細胞、酵母、及び細菌を含む、任意の所望の宿主内で発現し得る。Fab、Fab’、及びF(ab’)2フラグメントなどの抗体フラグメントを組み換え的に産生するための技術もまた、PCT公開第WO92/22324号、Mullinax RL et al.,(1992)BioTechniques 12(6):864-9、Sawai H et al.,(1995)Am J Reprod Immunol 34:26-34、及びBetter M et al.,(1988)Science 240:1041-1043に開示される方法など、当該技術分野において既知の方法を使用して用いられ得る。
【0282】
一態様では、全抗体を生成するために、VHまたはVLヌクレオチド配列、制限部位、及び制限部位を保護するための隣接配列を含むPCRプライマーが、テンプレート、例えば、scFvクローンからVHまたはVL配列を増幅させるために使用され得る。当業者に既知のクローン化技術を利用して、PCR増幅VHドメインは、VH定常領域を発現させるベクターにクローン化され得、PCR増幅VLドメインは、VL定常領域、例えば、ヒトカッパまたはラムダ定常領域を発現させるベクターにクローン化され得る。VH及びVLドメインはまた、必要な定常領域を発現させる1つのベクターにクローン化され得る。次いで、重鎖変換ベクター及び軽鎖変換ベクターは、当業者に既知の技術を使用して、細胞株に共トランスフェクトされて、完全長抗体、例えば、IgGを発現させる安定したまたは一過性の細胞株を生成する。
【0283】
キメラ抗体は、抗体の異なる部分が異なる免疫グロブリン分子に由来する分子である。例えば、キメラ抗体は、ヒト抗体の定常領域と融合したマウスまたはラットモノクローナル抗体の可変領域を含有することができる。キメラ抗体を産生するための方法は、当該技術分野において既知である。例えば、Morrison SL(1985)Science 229:1202-7、Oi VT&Morrison SL(1986)BioTechniques 4:214-221、Gillies SD et al.,(1989)J Immunol Methods 125:191-202、及び米国特許第5,807,715号、同第4,816,567号、同第4,816,397号、及び同第6,331,415号を参照されたい。
【0284】
ヒト化抗体は、所定の抗原に結合することができ、それは、実質的にヒト免疫グロブリンのアミノ酸配列を有するフレームワーク領域と、実質的に非ヒト免疫グロブリン(例えば、マウス免疫グロブリン)のアミノ酸配列を有するCDRとを含む。特定の実施形態では、ヒト化抗体はまた、免疫グロブリン定常領域(Fc)の少なくとも一部分、典型的にはヒト免疫グロブリンの少なくとも一部分を含む。抗体はまた、重鎖のCH1、ヒンジ、CH2、CH3、及びCH4領域を含むことができる。ヒト化抗体は、IgM、IgG、IgD、IgA、及びIgEを含む免疫グロブリンの任意のクラス、ならびにIgG1、IgG2、IgG3、及びIgG4を含む任意のアイソタイプから選択され得る。ヒト化抗体は、CDR-グラフト化(欧州特許第EP239400号、国際公開第WO91/09967号、ならびに米国特許第5,225,539号、同第5,530,101号、及び同第5,585,089号)、ベニアリングまたはリサーフェイシング(欧州特許第EP592106号及び同第EP519596号、Padlan EA(1991)Mol Immunol 28(4/5):489-498、Studnicka GM et al.,(1994)Prot Engineering 7(6):805-814、及びRoguska MA et al.,(1994)PNAS 91:969-973)、鎖シャッフリング(米国特許第5,565,332号)、ならびに例えば、米国特許第6,407,213号、米国特許第5,766,886号、国際公開第WO93/17105号、Tan P et al.,(2002)J Immunol 169:1119-25、Caldas C et al.,(2000)Protein Eng.13(5):353-60、Morea V et al.,(2000)Methods 20(3):267-79、Baca M et al.,(1997)J Biol Chem 272(16):10678-84、Roguska MA et al.,(1996)Protein Eng 9(10):895 904、Couto JR et al.,(1995)Cancer Res.55(23 Supp):5973s-5977s、Couto JR et al.,(1995)Cancer Res 55(8):1717-22、Sandhu JS(1994)Gene 150(2):409-10、及びPedersen JT et al.,(1994)J Mol Biol 235(3):959-73に開示される技術を含むがこれらに限定されない、当該技術分野において既知の様々な技術を使用して産生され得る。また、米国出願公開第2005/0042664 A1号(2005年2月24日)も参照されたく、それは参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0285】
多特異性(例えば、二重特異性抗体)を作製するための方法が記載されており、例えば、米国特許第7,951,917号、同第7,183,076号、同第8,227,577号、同第5,837,242号、同第5,989,830号、同第5,869,620号、同第6,132,992号、及び同第8,586,713号を参照されたい。
【0286】
単一ドメイン抗体、例えば、軽鎖を欠く抗体は、当該技術分野において周知の方法によって産生され得る。Riechmann L&Muyldermans S(1999)J Immunol 231:25-38、Nuttall SD et al.,(2000)Curr Pharm Biotechnol 1(3):253-263、Muyldermans S,(2001)J Biotechnol 74(4):277-302、米国特許第6,005,079号、ならびに国際公開第WO94/04678号、同第WO94/25591号、及び同第WO01/44301号を参照されたい。
【0287】
さらに、当業者に周知の技術を使用して、抗原を「模倣」する抗イディオタイプ抗体を生成するために、MERTK抗原に免疫特異的に結合する抗体が利用され得る。(例えば、Greenspan NS&Bona CA(1989)FASEB J 7(5):437-444、及びNissinoff A(1991)J Immunol 147(8):2429-2438を参照されたい)。
【0288】
特定の実施形態では、本明細書に記載されるMERTKアゴニスト抗体として、MERTK(例えば、ヒトMERTK、またはヒト及びマウスMERTKの両方)の同じまたは重複するエピトープに結合する、本明細書に記載される抗体は、ヒト抗MERTK抗体またはその抗原結合フラグメントである。特定の実施形態では、本明細書に記載される抗体のうちのいずれか1つ(例えば、M6またはM19)が、MERTK(例えば、ヒトMERTK、またはヒト及びマウスMERTKの両方)に結合することを競合的に遮断する(例えば、用量依存的な様式で)、本明細書に記載される抗体は、ヒト抗MERTK抗体またはその抗原結合フラグメントである。ヒト抗体は、当該技術分野において既知の任意の方法を使用して産生され得る。例えば、機能的内因性免疫グロブリンを発現させることが不可能であるが、ヒト免疫グロブリン遺伝子を発現させることができる、トランスジェニックマウスが使用され得る。具体的に、ヒト重鎖及び軽鎖免疫グロブリン遺伝子複合体は、ランダムに、またはマウス胚性幹細胞への相同組み換えによって導入され得る。あるいは、ヒト可変領域、定常領域、及び多様性領域が、ヒト重鎖及び軽鎖遺伝子に加えてマウス胚性幹細胞に導入され得る。マウス重鎖及び軽鎖免疫グロブリン遺伝子は、相同組み換えによるヒト免疫グロブリン遺伝子座の導入とは別にまたは同時に、非機能性な状態にされ得る。具体的に、JH領域のホモ接合欠失は、内因性抗体産生を阻止する。改変胚性幹細胞は拡大され、胚盤胞に微量注射されて、キメラマウスを産生する。次いで、キメラマウスは交配されて、ヒト抗体を発現させるホモ接合性子孫を産生する。トランスジェニックマウスは、選択された抗原、例えば、抗原(例えば、MERTK)の全てまたは一部分で、通常の方法で免疫化される。抗原に対するモノクローナル抗体は、従来のハイブリドーマ技術を使用して、免疫化されたトランスジェニックマウスから得られ得る。トランスジェニックマウスが有するヒト免疫グロブリン導入遺伝子は、B細胞分化中に再配置され、続いて、クラススイッチング及び体細胞突然変異を受ける。したがって、そのような技術を使用して、治療的に有効なIgG、IgA、IgM、及びIgE抗体を産生することが可能である。ヒト抗体を産生するためのこの技術の概要に関して、例えば、Lonberg N&Huszar D(1995)Int Rev Immunol 13:65-93を参照されたい。ヒト抗体及びヒトモノクローナル抗体を産生するためのこの技術の詳細な考察、ならびにそのような抗体を産生するためのプロトコルに関して、例えば、国際公開第WO98/24893号、同第WO96/34096号、及び同第WO96/33735号、ならびに米国特許第5,413,923号、同第5,625,126号、同第5,633,425号、同第5,569,825号、同第5,661,016号、同第5,545,806号、同第5,814,318号、及び同第5,939,598号を参照されたい。ヒト抗体を産生することが可能なマウスの例としては、Xenomouse(商標)(Abgenix,Inc.、米国特許第6,075,181号及び同第6,150,184号)、HuAb-Mouse(商標)(Mederex,Inc./Gen Pharm、米国特許第5,545,806号及び同第5,569, 825号)、Trans Chromo Mouse(商標)(Kirin)、ならびにKM Mouse(商標)(Medarex/Kirin)が挙げられる。
【0289】
MERTK(例えば、ヒトMERTK、またはヒト及びマウスMERTKの両方)に特異的に結合するヒト抗体は、ヒト免疫グロブリン配列由来の抗体ライブラリを使用して、上記のファージディスプレイ方法を含む当該技術分野において既知の様々な方法によって作製され得る。また、米国特許第4,444,887号、同第4,716,111号、及び同第5,885,793号、ならびに国際公開第WO98/46645号、同第WO98/50433号、同第WO98/24893号、同第WO98/16654号、同第WO96/34096号、同第WO96/33735号、及び同第WO91/10741号を参照されたい。
【0290】
いくつかの実施形態では、ヒト抗体は、マウス-ヒトハイブリドーマを使用して産生され得る。例えば、エプスタイン-バーウイスル(EBV)で形質転換されたヒト末梢血リンパ球は、マウス骨髄腫細胞と融合されて、ヒトモノクローナル抗体を分泌するマウス-ヒトハイブリドーマを産生することができ、これらのマウス-ヒトハイブリドーマは、標的抗原(例えば、MERTK(例えば、ヒトMERTK、またはヒト及びマウスMERTKの両方))に免疫特異的に結合するヒトモノクローナル抗体を分泌するものを決定するために、スクリーニングされ得る。そのような方法は、当該技術分野において既知であり、かつ記載され、例えば、Shinmoto H et al.,(2004)Cytotechnology 46:19-23、Naganawa Y et al.,(2005)Human Antibodies 14:27-31を参照されたい。
【0291】
具体的な実施形態では、MERTK(例えば、ヒトMERTK、またはヒト及びマウスMERTKの両方)に特異的に結合し、内皮細胞でMERTKシグナル伝達を作動させる、抗体またはその抗原結合フラグメントを産生する方法は、以下の実施例1に記載されるような方法である。
【0292】
具体的な実施形態では、MERTK(例えば、ヒトMERTK、またはヒト及びマウスMERTKの両方)に特異的に結合し、内皮細胞でMERTKシグナル伝達を作動させる、抗体またはその抗原結合フラグメントを選択する方法は、以下の実施例1に記載されるような方法である。
【0293】
いったん本明細書に記載される抗MERTK抗体またはその抗原結合フラグメントが産生されると、それは、免疫グロブリン分子の精製のための当該技術分野において既知の任意の方法によって、例えば、クロマトグラフィ(例えば、イオン交換、親和性、特にタンパク質Aの後の特異抗原に対する親和性、及びサイジングカラムクロマトグラフィ)、遠心分離、溶解度差によって、またはタンパク質の精製のための任意の他の標準的な技術によって精製され得る。さらに、本明細書に記載される抗体は、本明細書に記載される、または別様に精製を促進することが当該技術分野において既知の、異種ポリペプチド配列と融合され得る。
【0294】
具体的な実施形態では、本明細書に記載される抗MERTK抗体またはその抗原結合フラグメントは、単離または精製される。概して、単離抗体は、単離抗体とは異なる抗原特異性を有する他の抗体を実質的に含まない抗体である。例えば、特定の実施形態では、本明細書に記載される抗体の調製物は、細胞物質及び/または化学前駆体を実質的に含まない。「細胞物質を実質的に含まない」という用語は、抗体が、それが単離されるか、または組み換え的に産生される細胞の細胞成分から分離される、抗体の調製物を含む。したがって、細胞物質を実質的に含まない抗体は、約30%、20%、10%、5%、2%、1%、0.5%、もしくは0.1%(乾燥重量で)の異種タンパク質(本明細書において「混在タンパク質」とも称される)を有する抗体の調製物、及び/または抗体の変異体、例えば、異なる翻訳後の改変形態の抗体、もしくは他の異なる抗体の型(例えば、抗体フラグメント)を含む。抗体が組み換え的に産生されるとき、それはまた概して、培養培地を実質的に含まず、すなわち、培養培地は、タンパク質調製物の約20%、10%、2%、1%、0.5%、または0.1%未満の体積を表す。抗体が化学合成によって産生されるとき、それは概して、化学前駆体または他の化学物質を実質的に含まず、すなわち、それは、タンパク質の合成に関与する化学前駆体または他の化学物質から分離される。したがって、そのような抗体の調製物は、約30%、20%、10%、または5%未満(乾燥重量で)の、対象となる抗体以外の化学前駆体または化合物を有する。具体的な実施形態では、本明細書に記載される抗体は、単離または精製される。
【0295】
6.2.2.ポリヌクレオチド
ある特定の態様では、MERTK(例えば、ヒトMERTK、またはヒト及びマウスMERTKの両方)抗原に免疫特異的に結合する、本明細書に記載される抗体またはその抗原結合フラグメント(例えば、可変軽鎖領域及び/または可変重鎖領域)をコードするヌクレオチド配列を含む、ポリヌクレオチド、ならびにベクター、例えば、宿主細胞(例えば、E.coli及び哺乳類細胞)内のそれらの効率的な発現のためにそのようなポリヌクレオチドを含むベクターが本明細書で提供される。いくつかの実施形態では、ポリヌクレオチドは、単離または精製される。
【0296】
本明細書で使用される場合、「単離」ポリヌクレオチドまたは核酸分子は、核酸分子の天然源(例えば、マウスまたはヒト)中に存在する他の核酸分子から分離されるものである。さらに、cDNA分子などの「単離」核酸分子は、組み換え技術によって産生されたとき、他の細胞物質もしくは培養培地を実質的に含まなくてもよく、または化学的に合成されたとき、化学前駆体もしくは他の化学物質を実質的に含まなくてもよい。例えば、「実質的に含まない」という用語は、約15%、10%、5%、2%、1%、0.5%、または0.1%未満の他の物質、例えば、細胞物質、培養培地、他の核酸分子、化学前駆体、及び/または他の化学物質を有する、ポリヌクレオチドまたは核酸分子の調製物を含む。
【0297】
特定の態様では、MERTKポリペプチド(例えば、ヒトMERTK)に免疫特異的に結合し、本明細書に記載されるアミノ酸配列を含む、抗体またはその抗原結合フラグメント、ならびにMERTKポリペプチドに結合するために、そのような抗体と競合するか(例えば、用量依存的な様式で)、またはそのような抗体のものと同じまたは重複するエピトープに結合する抗体、をコードするヌクレオチド配列を含む、ポリヌクレオチドが本明細書で提供される。
【0298】
ある特定の態様では、本明細書に記載される抗体の軽鎖または重鎖をコードするヌクレオチド配列を含む、ポリヌクレオチドが本明細書で提供される。ポリヌクレオチドは、本明細書に記載されるVH CDRを含む重鎖をコードする、ヌクレオチド配列を含むことができる(例えば、表1及び3を参照されたい)。ポリヌクレオチドは、本明細書に記載されるVL CDRを含む軽鎖をコードする、ヌクレオチド配列を含むことができる(例えば、表2び4を参照されたい)。
【0299】
特定の実施形態では、例えば、表1または表3に記載されるVH CDR1、VH CDR2、及びVH CDR3を含有する、3つのVH鎖CDRを含む、MERTKアゴニスト抗体をコードする、ヌクレオチド配列を含む、ポリヌクレオチドが本明細書で提供される。具体的な実施形態では、例えば、表2または表4に記載されるVL CDR1、VL CDR2、及びVL CDR3を含有する、3つのVL鎖CDRを含む、MERTKアゴニスト抗体をコードする、ヌクレオチド配列を含む、ポリヌクレオチドが本明細書で提供される。具体的な実施形態では、例えば、表1または表3に記載されるVH CDR1、VH CDR2、及びVH CDR3を含有する、3つのVH鎖CDR、ならびに例えば、表2または表4に記載されるVL CDR1、VL CDR2、及びVL CDR3を含有する、3つのVL鎖CDRを含む、MERTKアゴニスト抗体をコードする、ヌクレオチド配列を含む、ポリヌクレオチドが本明細書で提供される。具体的な実施形態では、本明細書に記載されるポリヌクレオチドは、M6のVH CDR1、VH CDR2、及びVH CDR3(すなわち、配列番号1、6、及び11、配列番号2、7、及び12、配列番号3、8、及び11、配列番号4、9、及び13、配列番号5、10、及び14、または配列番号3、6、及び11)をコードする。具体的な実施形態では、本明細書に記載されるポリヌクレオチドは、M6のVL CDR1、VL CDR2、及びVL CDR3(すなわち、配列番号15、19、及び22、配列番号16、20、及び23、配列番号17、21、及び24、または配列番号18、20、及び22)をコードする。具体的な実施形態では、本明細書に記載されるポリヌクレオチドは、M6のVH CDR1、VH CDR2、及びVH CDR3(すなわち、配列番号1、6、及び11、配列番号2、7、及び12、配列番号3、8、及び11、配列番号4、9、及び13、配列番号5、10、もしくは14、または配列番号3、6、及び11)、ならびにM6の3つのVL CDR(すなわち、配列番号15、19、及び22、配列番号16、20、及び23、配列番号17、21、及び24、または配列番号18、20、及び22)をコードする。
【0300】
具体的な実施形態では、本明細書に記載されるポリヌクレオチドは、M19のVH CDR1、VH CDR2、及びVH CDR3(すなわち、配列番号25、30、及び35、配列番号26、31、及び36、配列番号27、32、及び35、配列番号28、33、及び37、配列番号29、34、及び38、または配列番号27、30、及び35)をコードする。具体的な実施形態では、本明細書に記載されるポリヌクレオチドは、M19のVL CDR1、VL CDR2、及びVL CDR3(例えば、配列番号39、43、及び46、配列番号40、44、及び47、配列番号41、45、及び48、または配列番号42、44、及び46)をコードする。具体的な実施形態では、本明細書に記載されるポリヌクレオチドは、M19の3つのVH CDR(すなわち、配列番号25、30、及び35、配列番号26、31、及び36、配列番号27、32、及び35、配列番号28、33、もしくは37、配列番号29、34、及び38、または配列番号27、30、及び35)、ならびにM19の3つのVL CDR(すなわち、配列番号39、43、及び46、配列番号40、44、及び47、配列番号41、45、及び48、または配列番号42、44、及び46)をコードする。
【0301】
ある特定の実施形態では、本明細書に記載されるポリヌクレオチドは、本明細書に記載されるアミノ酸配列(配列番号49または51)を含む重鎖可変領域を含む、本明細書に記載される抗MERTK抗体をコードする、ヌクレオチド配列を含み、抗体は、MERTK(例えば、ヒトMERTK、またはヒト及びマウスMERTKの両方)に免疫特異的に結合する。ある特定の実施形態では、本明細書に記載されるポリヌクレオチドは、本明細書に記載されるアミノ酸配列(配列番号50または52)を含む軽鎖可変領域を含む、本明細書に記載される抗MERTK抗体をコードする、ヌクレオチド配列を含み、抗体は、MERTK(例えば、ヒトMERTK、またはヒト及びマウスMERTKの両方)に免疫特異的に結合する。ある特定の実施形態では、本明細書に記載されるポリヌクレオチドは、配列番号49のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域、及び配列番号50のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む、本明細書に記載される抗MERTK抗体をコードする、ヌクレオチド配列を含み、抗体は、MERTK(例えば、ヒトMERTK、またはヒト及びマウスMERTKの両方)に免疫特異的に結合する。ある特定の実施形態では、本明細書に記載されるポリヌクレオチドは、配列番号51のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域、及び配列番号52のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む、本明細書に記載される抗MERTK抗体をコードする、ヌクレオチド配列を含み、抗体は、MERTK(例えば、ヒトMERTK、またはヒト及びマウスMERTKの両方)に免疫特異的に結合する。
【0302】
ある特定の実施形態では、本明細書に記載されるポリヌクレオチドは、配列番号53または配列番号55の核酸配列を含むVHをコードする。ある特定の実施形態では、本明細書に記載されるポリヌクレオチドは、配列番号54または配列番号56の核酸配列を含むVLをコードする。具体的な実施形態では、本明細書に記載されるポリヌクレオチドは、配列番号53の核酸配列を含むVH、及び配列番号54の核酸配列を含むVL(例えば、M6)をコードする。別の具体的な実施形態では、本明細書に記載されるポリヌクレオチドは、配列番号55の核酸配列を含むVH、及び配列番号56の核酸配列を含むVL(例えば、M19)をコードする。
【0303】
具体的な態様では、軽鎖及び重鎖、例えば、別個の軽鎖及び重鎖を含む抗体をコードするヌクレオチド配列を含む、ポリヌクレオチドが本明細書で提供される。軽鎖に関して、具体的な実施形態では、本明細書で提供されるポリヌクレオチドは、カッパ軽鎖をコードするヌクレオチド配列を含む。別の具体的な実施形態では、本明細書で提供されるポリヌクレオチドは、ラムダ軽鎖をコードするヌクレオチド配列を含む。さらに別の具体的な実施形態では、本明細書で提供されるポリヌクレオチドは、ヒトカッパ軽鎖またはヒトラムダ軽鎖を含む、本明細書に記載される抗体をコードする、ヌクレオチド配列を含む。特定の実施形態では、本明細書で提供されるポリヌクレオチドは、MERTK(例えば、ヒトMERTK、またはヒト及びマウスMERTKの両方)に免疫特異的に結合し、内皮細胞上でMERTKシグナル伝達を作動させる、本明細書に記載される抗体をコードする、ヌクレオチド配列を含み、抗体は、軽鎖を含み、軽鎖の可変領域のアミノ酸配列は、配列番号50または配列番号52の任意のアミノ酸配列を含み、軽鎖の定常領域は、ヒトカッパ軽鎖定常領域のアミノ酸配列を含む。別の特定の実施形態では、本明細書で提供されるポリヌクレオチドは、MERTK(例えば、ヒトMERTK、またはヒト及びマウスMERTKの両方)に免疫特異的に結合し、内皮細胞上でMERTKシグナル伝達を作動させる、本明細書に記載される抗体をコードする、ヌクレオチド配列を含み、軽鎖を含み、軽鎖の可変領域のアミノ酸配列は、配列番号50または配列番号52の任意のアミノ酸配列を含み、軽鎖の定常領域は、ヒトラムダ軽鎖定常領域のアミノ酸配列を含む。
【0304】
ある特定の実施形態では、本明細書に記載されるMERTKアゴニスト抗体またはその抗原結合フラグメント(例えば、VHドメイン及び/もしくはVLドメイン)をコードする、最適化されたポリヌクレオチド配列は、本明細書に記載されるMERTKアゴニスト抗体またはその抗原結合フラグメント(例えば、VHドメイン及び/もしくはVLドメイン)をコードする、最適化されていないポリヌクレオチド配列のアンチセンス(例えば、相補的)ポリヌクレオチドにハイブリダイズし得る。具体的な実施形態では、本明細書に記載されるMERTKアゴニスト抗体または抗原結合フラグメントをコードする、最適化されたヌクレオチド配列は、本明細書に記載されるMERTKアゴニスト抗体またはその抗原結合フラグメントをコードする、最適化されていないポリヌクレオチド配列のアンチセンスポリヌクレオチドに、高厳密性条件下でハイブリダイズする。具体的な実施形態では、本明細書に記載されるMERTKアゴニスト抗体またはその抗原結合フラグメントをコードする、最適化されたヌクレオチド配列は、本明細書に記載されるMERTKアゴニスト抗体またはその抗原結合フラグメントをコードする、最適化されていないポリヌクレオチド配列のアンチセンスポリヌクレオチドに、高厳密性、中程度またはより低い厳密性のハイブリダイゼーション条件下でハイブリダイズする。具体的な実施形態では、本明細書に記載されるポリヌクレオチドは、コドン最適化される。ハイブリダイゼーション条件に関する情報は記載されており、例えば、米国特許出願公開第US2005/0048549(例えば、段落72及び73)を参照されたく、それは、参照により本明細書に組み込まれる。
【0305】
ポリヌクレオチドが得られ得、ポリヌクレオチドのヌクレオチド配列は、当該技術分野において既知の任意の方法によって決定され得る。本明細書に記載される抗体及びこれらの抗体の改変型をコードするヌクレオチド配列は、当該技術分野において周知の方法を使用して決定され得、すなわち、特定のアミノ酸をコードすることが既知のヌクレオチドコドンは、抗体をコードする核酸を生成するような方法で収集される。抗体をコードするそのようなポリヌクレオチドは、化学的に合成されたオリゴヌクレオチドから収集され得(例えば、Kutmeier G et al.,(1994),BioTechniques 17:242-6に記載されるように)、それは、簡潔に、抗体をコードする配列の部分を含有する重複オリゴヌクレオチドの合成、それらのオリゴヌクレオチドのアニーリング及びライゲーション、ならびに次いで、PCRによるライゲーションされたオリゴヌクレオチドの増幅を伴う。
【0306】
あるいは、本明細書に記載される抗体をコードするポリヌクレオチドは、当該技術分野において周知の方法(例えば、PCR及び他の分子クローン化方法)を使用して、好適な源(例えば、ハイブリドーマ)由来の核酸から生成され得る。例えば、既知の配列の3’及び5’末端にハイブリダイズ可能な合成プライマーを使用したPCR増幅は、対象となる抗体を産生するハイブリドーマ細胞から得られたゲノムDNAを使用して、実施され得る。そのようなPCR増幅方法は、抗体の軽鎖及び/または重鎖をコードする配列を含む核酸を得るために使用され得る。そのようなPCR増幅方法は、抗体の可変軽鎖領域及び/または可変重鎖領域をコードする配列を含む核酸を得るために使用され得る。増幅核酸は、宿主細胞内の発現のために、かつ例えば、キメラ及びヒト化抗体を生成するためのさらなるクローン化のために、ベクターにクローン化され得る。
【0307】
特定の抗体をコードする核酸を含有するクローンが入手可能ではないが、抗体分子の配列が既知である場合、免疫グロブリンをコードする核酸が、配列の3’及び5’末端にハイブリダイズ可能な合成プライマーを使用したPCR増幅によって、または例えば、抗体をコードするcDNAライブラリからのcDNAクローンを識別するために特定の遺伝子配列に特異的なオリゴヌクレオチドプローブを使用したクローン化によって、好適な源(例えば、本明細書に記載される抗体を発現させるために選択されたハイブリドーマ細胞など、抗体を発現させる任意の組織または細胞から生成された抗体cDNAライブラリもしくはcDNAライブラリ、またはそれから単離された核酸、好ましくは、ポリA+RNA)から化学的に合成され得るか、または得られ得る。次いで、PCRによって生成された増幅核酸は、当該技術分野において周知の任意の方法を使用して、複製可能なクローニングベクターにクローン化され得る。
【0308】
本明細書に記載されるMERTKアゴニスト抗体をコードするDNAは、従来の手順を使用して容易に単離及び配列され得る(例えば、MERTKアゴニスト抗体の重鎖及び軽鎖をコードする遺伝子に特異的に結合することが可能であるオリゴヌクレオチドプローブを使用することによって)。ハイブリドーマ細胞は、そのようなDNAの源としての役割を果たし得る。いったん単離されると、DNAは、発現ベクターに配置され得、それは次いで、E.coli細胞、サルCOS細胞、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞(例えば、CHO GS System(商標)(Lonza)からのCHO細胞)、または別様に免疫グロブリンタンパク質を産生しない骨髄腫細胞などの宿主細胞にトランスフェクトされて、組み換え宿主細胞内のMERTKアゴニスト抗体の合成を得る。
【0309】
全抗体を生成するために、VHまたはVLヌクレオチド配列、制限部位、及び制限部位を保護するための隣接配列を含むPCRプライマーが、scFvクローン中のVHまたはVL配列を増幅させるために使用され得る。当業者に既知のクローン化技術を利用して、PCR増幅VHドメインは、重鎖定常領域、例えば、ヒトガンマ4定常領域を発現させるベクターにクローン化され得、PCR増幅VLドメインは、軽鎖定常領域、例えば、ヒトカッパまたはラムダ定常領域を発現させるベクターにクローン化され得る。ある特定の実施形態では、VHまたはVLドメインを発現させるためのベクターは、プロモーター、分泌シグナル、可変ドメインのためのクローン化部位、定常ドメイン、及び選択マーカーを含む。VH及びVLドメインはまた、必要な定常領域を発現させる1つのベクターにクローン化され得る。次いで、重鎖変換ベクター及び軽鎖変換ベクターは、当業者に既知の技術を使用して、細胞株に共トランスフェクトされて、完全長抗体、例えば、IgGを発現させる安定したまたは一過性の細胞株を生成する。
【0310】
DNAはまた、例えば、マウス配列の代わりにヒト重鎖及び軽鎖定常ドメインのためのコード配列を置換することによって、または非免疫グロブリンポリペプチドのための免疫グロブリンコード配列の全部もしくは一部に共有結合することによって、改変され得る。
【0311】
また、高厳密性、中程度またはより低い厳密性のハイブリダイゼーション条件下で、本明細書に記載される抗体をコードするポリヌクレオチドにハイブリダイズする、ポリヌクレオチドが提供される。具体的な実施形態では、本明細書に記載されるポリヌクレオチドは、高厳密性、中程度またはより低い厳密性のハイブリダイゼーション条件下で、本明細書で提供されるVH(配列番号49または51)及び/またはVL(配列番号50または52)をコードするポリヌクレオチドにハイブリダイズする。
【0312】
ハイブリダイゼーション条件は、当該技術分野において記載されており、かつ当業者に既知である。例えば、厳密な条件下でのハイブリダイゼーションは、約45℃での6×塩化ナトリウム/クエン酸ナトリウム(SSC)中のフィルター結合DNAへのハイブリダイゼーション、続いて、約50~65℃での0.2×SSC/0.1% SDS中の1回以上の洗浄を伴うことができ、高度に厳密な条件下でのハイブリダイゼーションは、約45℃での6×SSC中のフィルター結合核酸へのハイブリダイゼーション、続いて、約68℃での0.1×SSC/0.2% SDS中の1回以上の洗浄を伴うことができる。他の厳密なハイブリダイゼーション条件下でのハイブリダイゼーションは、当業者に既知であり、記載されており、例えば、Ausubel FM et al., eds.,(1989)Current Protocols in Molecular Biology,Vol.I,Green Publishing Associates, Inc.、ならびにJohn Wiley&Sons,Inc.,New York(ページ6.3.1~6.3.6及び2.10.3)を参照されたい。
【0313】
6.2.3.細胞及びベクター
ある特定の態様では、宿主細胞内、好ましくは哺乳類細胞内の組み換え発現のために、MERTKアゴニスト抗体またはその抗原結合フラグメントをコードするヌクレオチド配列を含むポリヌクレオチドを含む、ベクター(例えば、発現ベクター)が本明細書で提供される。また、本明細書に記載されるMERTKアゴニスト抗体またはその抗原結合フラグメント(例えば、ヒトまたはヒト化抗体)を組み換え的に発現させるためのそのようなベクターを含む、宿主細胞が本明細書で提供される。
【0314】
MERTK(例えば、ヒトMERTK、またはヒト及びマウスMERTKの両方)に特異的に結合する、本明細書に記載される抗体(例えば、本明細書に記載される完全長抗体、抗体の重鎖及び/もしくは軽鎖、または一本鎖抗体)の組み換え発現は、抗体をコードするポリヌクレオチドを含有する発現ベクターの構築を伴う。いったん本明細書に記載される抗体分子、抗体の重鎖及び/もしくは軽鎖、またはその抗原結合フラグメント(例えば、重鎖及び/もしくは軽鎖可変領域)をコードするポリヌクレオチドが得られると、抗体分子の産生のためのベクターは、当該技術分野において周知の技術を使用して、組み換えDNA技術によって産生され得る。したがって、ヌクレオチド配列をコードする、抗体または抗体フラグメント(例えば、軽鎖または重鎖)を含有するポリヌクレオチドを発現させることによって、タンパク質を調製するための方法が本明細書に記載される。当業者に周知である方法は、抗体または抗体フラグメント(例えば、軽鎖または重鎖)コード配列、ならびに適切な転写及び翻訳制御シグナルを含有する発現ベクターを構築するために使用され得る。これらの方法としては、例えば、インビトロ組み換えDNA技術、合成技術、及びインビボ遺伝子組み換えが挙げられる。また、プロモーターに作動可能に結合した、本明細書に記載される抗体分子、抗体の重鎖もしくは軽鎖、抗MERTK抗体もしくはその抗原結合フラグメントの重鎖もしくは軽鎖可変ドメイン、または重鎖もしくは軽鎖CDR、をコードするヌクレオチド配列を含む、複製可能なベクターが提供される。そのようなベクターは、例えば、抗体分子の定常領域をコードするヌクレオチド配列を含むことができ(例えば、国際公開第WO86/05807号及び同第WO89/01036号、ならびに米国特許第5,122,464号)、抗体の可変ドメインは、重鎖全体、軽鎖全体、または重鎖及び軽鎖全体の両方の発現のためのそのようなベクターにクローン化され得る。
【0315】
発現ベクターは、従来の技術によって細胞(例えば、宿主細胞)に移され得、次いで、得られる細胞は、本明細書に記載される抗体またはその抗原結合フラグメントを産生するために、従来の技術によって培養され得る。したがって、宿主細胞内のそのような配列の発現のためにプロモーターに作動可能に結合した、本明細書に記載される抗体もしくはその抗原結合フラグメント、またはその重鎖もしくは軽鎖、またはそのフラグメント、または本明細書に記載される一本鎖抗体をコードする、ポリヌクレオチドを含有する、宿主細胞が本明細書で提供される。本明細書で使用される場合、「宿主細胞」という用語は、任意のタイプの細胞、例えば、初代細胞、培地中の細胞、または細胞株由来の細胞であってもよい。具体的な実施形態では、「宿主細胞」という用語は、核酸分子でトランスフェクトされた細胞、ならびにそのような細胞の子孫または潜在的子孫を指す。そのような細胞の子孫は、例えば、継代において生じ得る突然変異もしくは環境の影響、または宿主細胞ゲノムへの核酸分子の組み込みによって、核酸分子でトランスフェクトされた親細胞に同一でない場合がある。
【0316】
様々な宿主発現ベクター系が、本明細書に記載される抗体分子を発現させるために利用され得る。そのような宿主発現系は、対象となるコード配列が産生され、続いて精製され得るビヒクルを表すが、適切なヌクレオチドコード配列で形質転換またはトランスフェクトされたときに、原位置で本明細書に記載される抗体分子を発現させることができる細胞も表す。これらとしては、抗体コード配列を含有する組み換えバクテリオファージDNA、プラスミドDNA、もしくはコスミドDNA発現ベクターで形質転換された細菌などの微生物(例えば、E.coli及びB.subtilis)、抗体コード配列を含有する組み換え酵母発現ベクターで形質転換された酵母(例えば、Saccharomyces Pichia)、抗体コード配列を含有する組み換えウイルス発現ベクター(例えば、バキュロウイルス)に感染した昆虫細胞系、組み換えウイルス発現ベクター(例えば、カリフラワーモザイクウイルス、CaMV、タバコモザイクウイルス、TMV)に感染したか、もしくは抗体コード配列を含有する組み換えプラスミド発現ベクター(例えば、Tiプラスミド)で形質転換された、植物細胞系(例えば、Chlamydomonas reinhardtiiなどの緑藻類)、または哺乳類細胞のゲノム由来(例えば、メタロチオネインプロモーター)もしくは哺乳類ウイルス由来(例えば、アデノウイルス後期プロモーター、ワクシニアウイルス7.5Kプロモーター)のプロモーターを含有する、組み換え発現構築物を有する、哺乳類細胞系(例えば、COS(例えば、COS1もしくはCOS)、CHO、BHK、MDCK、HEK 293、NS0、PER.C6、VERO、CRL7O3O、HsS78Bst、HeLa、及びNIH 3T3、HEK-293T、HepG2、SP210、R1.1、B-W、L-M、BSC1、BSC40、YB/20、及びBMT10細胞)が挙げられるがこれらに限定されない。具体的な実施形態では、本明細書に記載される抗体またはその抗原結合フラグメントを発現させるための細胞は、CHO細胞、例えば、CHO GS System(商標)(Lonza)からのCHO細胞である。特定の実施形態では、本明細書に記載される抗体を発現させるための細胞は、ヒト細胞、例えば、ヒト細胞株である。具体的な実施形態では、哺乳類発現ベクターは、pOptiVEC(商標)またはpcDNA3.3である。特定の実施形態では、特に全組み換え抗体分子の発現のための、E.coliなどの細菌細胞または真核細胞(例えば、哺乳類細胞)が、組み換え抗体分子の発現のために使用される。例えば、ヒトサイトメガロウイルス由来の主要中初期遺伝子プロモーターエレメントなどのベクターと併せた、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞などの哺乳類細胞は、抗体のための有効な発現系である(Foecking MK&Hofstetter H(1986)Gene 45:101-5、及びCockett MI et al.,(1990)Biotechnology 8(7):662-7)。ある特定の実施形態では、本明細書に記載される抗体は、CHO細胞またはNS0細胞によって産生される。具体的な実施形態では、MERTK(例えば、ヒトMERTK、またはヒト及びマウスMERTKの両方)に免疫特異的に結合し、内皮細胞上でMERTKシグナル伝達を作動させる、本明細書に記載される抗体をコードするヌクレオチド配列の発現は、構成的プロモーター、誘導性プロモーター、または組織特異的プロモーターによって調節される。
【0317】
細菌系において、発現している抗体分子を対象とした使用に応じて、多くの発現ベクターが有利に選択され得る。例えば、抗体分子の医薬組成物の生成のために、大量のそのような抗体が産生される予定であるとき、容易に精製される融合タンパク質生成物の高レベルの発現を誘導するベクターが、望ましくあり得る。そのようなベクターとしては、E.coli発現ベクターpUR278(Ruether U&Mueller-Hill B(1983)EMBO J 2:1791-1794)(融合タンパク質が産生されるように、抗体コード配列がlac Zコード領域を有するフレーム内のベクターに個々にライゲーションされ得る)、pINベクター(Inouye S&Inouye M(1985)Nuc Acids Res 13:3101-3109、Van Heeke G&Schuster SM(1989)J Biol Chem 24:5503-5509)などが挙げられるがこれらに限定されない。例えば、pGEXベクターはまた、グルタチオン5-トランスフェラーゼ(GST)を用いて、融合タンパク質として外来ポリペプチドを発現させるために使用され得る。概して、そのような融合タンパク質は可溶性であり、マトリクスグルタチオンアガロースビーズへの吸着及び結合、続く遊離グルタチオンの存在下での溶出によって、溶解細胞から容易に精製され得る。pGEXベクターは、クローン化標的遺伝子生成物がGST部分から放出され得るように、トロンビンまたは因子Xaプロテアーゼ開裂部位を含むように設計される。
【0318】
昆虫系において、例えば、Autographa californica核多角体病ウイルス(AcNPV)が、外来遺伝子を発現させるためのベクターとして使用され得る。ウイルスは、Spodoptera frugiperda細胞内で増殖する。抗体コード配列は、ウイルスの非必須領域(例えば、ポリヘドリン遺伝子)に個々にクローン化され、AcNPVプロモーター(例えば、ポリヘドリンプロモーター)の制御下に配置され得る。
【0319】
哺乳類宿主細胞において、多くのウイルスベースの発現系が利用され得る。アデノウイルスが発現ベクターとして使用される場合、対象となる抗体コード配列は、アデノウイルス転写/翻訳制御複合体、例えば、後期プロモーター及び三部分リーダー配列にライゲーションされ得る。させることができる。次いで、次いでこのキメラ遺伝子は、インビトロまたはインビボ組み換えによってアデノウイルスゲノムに挿入され得る。ウイルスゲノムの非必須領域(例えば、領域ElまたはE3)内の挿入は、生存能力があり、感染した宿主内で抗体分子を発現させることが可能である、組み換えウイルスをもたらす(例えば、Logan J&Shenk T(1984)PNAS 81(12):3655-9を参照されたい)。特異的な開始シグナルもまた、挿入された抗体コード配列の効率的な翻訳に必要とされ得る。これらのシグナルは、ATG開始コドン及び隣接配列を含む。さらに、開始コドンは、全挿入物の翻訳を確実にするために、所望のコード配列のリーディングフレームと一致していなければならない。これらの外因性翻訳制御シグナル及び開始コドンは、天然及び合成の両方の種々の起源を有し得る。発現の効率性は、適切な翻訳エンハンサー因子、転写ターミネーターなどを含むことによって強化され得る(例えば、Bitter G et al.,(1987)Methods Enzymol.153:516-544を参照されたい)。
【0320】
加えて、挿入された配列の発現を調節するか、または所望の特異的な様式で遺伝子生成物を改変及び処理する、宿主細胞株が選択され得る。タンパク質生成物のそのような改変(例えば、グリコシル化)及び処理(例えば、開裂)は、タンパク質の機能にとって重要であり得る。異なる宿主細胞は、タンパク質及び遺伝子生成物の翻訳後処理及び改変のための特徴的かつ特異的な機構を有する。発現した外来タンパク質の正確な改変及び処理を確実にするために、適切な細胞株または宿主系が選択され得る。この目的で、遺伝子生成物の一次転写産物の適切な処理、グリコシル化、及びリン酸化反応のための細胞機構を処理する、真核宿主細胞が使用され得る。そのような哺乳類宿主細胞としては、CHO、VERO、BHK、Hela、MDCK、HEK 293、NIH 3T3、W138、BT483、Hs578T、HTB2、BT2O、及びT47D、NS0(いかなる免疫グロブリン鎖も内因的に産生しないマウス骨髄腫細胞株)、CRL7O3O、COS(例えば、COS1またはCOS)、PER.C6、VERO、HsS78Bst、HEK-293T、HepG2、SP210、R1.1、B-W、L-M、BSC1、BSC40、YB/20、BMT10、ならびにHsS78Bst細胞が挙げられるがこれらに限定されない。ある特定の実施形態では、本明細書に記載されるMERTKアゴニスト抗体は、CHO細胞などの哺乳類細胞内で産生される。
【0321】
具体的な実施形態では、本明細書に記載される抗体またはその抗原結合フラグメントは、フコース含量が低減しているか、またはフコース含量がない。そのような抗体は、当業者に既知の技術を使用して産生され得る。例えば、抗体は、フコシル化の能力が不十分であるか、または欠いている細胞内で発現し得る。具体的な例において、フコース含量が低減した抗体またはその抗原結合フラグメントを産生するために、α1,6-フコシルトランスフェラーゼの両方の対立遺伝子のノックアウトを有する細胞株が使用され得る。Potelligent(登録商標)システム(Lonza)は、フコース含量が低減した抗体またはその抗原結合フラグメントを産生するために使用され得るようなシステムの一例である。
【0322】
組み換えタンパク質の長期高収率産生のために、安定した発現細胞が生成され得る。例えば、本明細書に記載されるMERTKアゴニスト抗体またはその抗原結合フラグメントを安定的に発現させる細胞株は、遺伝子操作され得る。具体的な実施形態では、本明細書で提供される細胞は、本明細書に記載される抗体またはその抗原結合フラグメントを形成するように会合する、軽鎖/軽鎖可変ドメイン及び重鎖/重鎖可変ドメインを安定的に発現させる。
【0323】
ある特定の態様では、ウイルス複製起点を含有する発現ベクターを使用するよりもむしろ、宿主細胞は、適切な発現制御因子(例えば、プロモーター、エンハンサー、配列、転写ターミネーター、ポリアデニル化部位など)、及び選択可能なマーカーによって制御されるDNAで形質転換され得る。外来DNA/ポリヌクレオチドの導入後、遺伝子操作された細胞は、強化培地中で1~2日間増殖することができ、次いで、選択培地に切り替えられる。組み換えプラスミド中の選択可能なマーカーは、選択に対する耐性を付与し、細胞がそれらの染色体にプラスミドを安定的に組み込み、増殖して病巣を形成することを可能にし、それは次いで、クローン化され、細胞株へと拡大され得る。この方法は、本明細書に記載されるMERTKアゴニスト抗体またはその抗原結合フラグメントを発現させる細胞株を遺伝子操作するために有利に使用され得る。そのような遺伝子操作された細胞株は、抗体分子と直接または間接的に相互作用する組成物のスクリーニング及び評価において特に有用であり得る。
【0324】
単純ヘルペスウイルス由来チミジンキナーゼ(Wigler M et al.,(1977)Cell 11(1):223-32)、ヒポキサンチングアニンホスホリボシルトランスフェラーゼ(Szybalska EH&Szybalski W(1962)PNAS 48(12):2026-2034)、及びアデニンホスホリボシルトランスフェラーゼ(Lowy I et al.,(1980)Cell 22(3):817-23)が挙げられるがこれらに限定されない、多くの選択系が使用され得、遺伝子はそれぞれ、tk-、hgprt-、またはaprt-細胞内で用いられ得る。また、代謝拮抗薬耐性が、以下の遺伝子の選択の基準として使用され得る。dhfr(メトトレキサートに対する耐性を付与する)(Wigler M et al.,(1980)PNAS 77(6):3567-70、O’Hare K et al.,(1981)PNAS 78:1527-31)、gpt(マイコフェノール酸に対する耐性を付与する)(Mulligan RC&Berg P(1981)PNAS 78(4):2072-6)、neo(アミノグリコシドG-418に対する耐性を付与する)(Wu GY&Wu CH(1991)Biotherapy 3:87-95、Tolstoshev P(1993)Ann Rev Pharmacol Toxicol 32:573-596、Mulligan RC(1993)Science 260:926-932、及びMorgan RA&Anderson WF(1993)Ann Rev Biochem 62:191-217、Nabel GJ&Felgner PL(1993)Trends Biotechnol 11(5):211-5)、ならびにhygro(ヒグロマイシンに対する耐性を付与する)(Santerre RF et al.,(1984)Gene 30(1-3):147-56)。組み換えDNA技術の分野において一般的に知られている方法が、所望の組み換えクローンを選択するために日常的に適用され得、そのような方法は、例えば、Ausubel FM et al.,(eds.),Current Protocols in Molecular Biology,John Wiley&Sons,NY(1993)、Kriegler M,Gene Transfer and Expression,A Laboratory Manual,Stockton Press,NY(1990)、及びDracopoli NC et al.,(eds.),Current Protocols in Human Genetics,John Wiley&Sons,NY(1994)のChapters 12及び13、Colbere-Garapin F et al.,(1981)J Mol Biol 150:1-14に記載され、それらは、参照によりそれらの全体が本明細書に組み込まれる。
【0325】
抗体分子の発現レベルは、ベクター増幅によって増加し得る(再考察のために、Bebbington CR&Hentschel CCG,The use of vectors based on gene amplification for the expression of cloned genes in mammalian cells in DNA cloning,Vol.3(Academic Press,New York,1987)を参照されたい)。抗体を発現させるベクター系中のマーカーが増幅可能であるとき、宿主細胞の培養物中の存在する阻害剤のレベルの増加は、マーカー遺伝子のコピー数を増加させる。増幅された領域が抗体遺伝子と関連付けられるため、抗体の産生もまた増加する(Crouse GF et al.,(1983)Mol Cell Biol 3:257-66)。
【0326】
宿主細胞は、本明細書に記載される2つまたはそれ以上の発現ベクター、重鎖由来ポリペプチドをコードする第1のベクター及び軽鎖由来ポリペプチドをコードする第2のベクターで共トランスフェクトされ得る。2つのベクターは、重鎖及び軽鎖ポリペプチドの等しい発現を可能にする、同一の選択可能なマーカーを含有することができる。宿主細胞は、異なる量の2つまたはそれ以上の発現ベクターで共トランスフェクトされ得る。例えば、宿主細胞は、第1の発現ベクター及び第2の発現ベクターの以下の比のうちのいずれか1つでトランスフェクトされ得る。1:1、1:2、1:3、1:4、1:5、1:6、1:7、1:8、1:9、1:10、1:12、1:15、1:20、1:25、1:30、1:35、1:40、1:45、または1:50。
【0327】
あるいは、重鎖及び軽鎖ポリペプチドの両方をコードし、かつそれらを発現させることが可能である、単一ベクターが使用され得る。そのような発現ベクターにおいて、両方の遺伝子の転写が共通のプロモーターによって引き起こされ得る一方で、第1の遺伝子由来のmRNAの翻訳は、cap依存的スキャニング機構によるものであり得、第2の遺伝子由来のmRNAの翻訳は、cap非依存的スキャニング機構によるもの、例えば、IRESによるものであり得る。
【0328】
6.3.医薬組成物
本明細書に記載される抗MERTK抗体またはその抗原結合フラグメントと、医薬的に許容される担体とを含む、医薬組成物が本明細書で提供される。具体的な実施形態では、抗体またはその抗原結合フラグメントは、精製される。具体的な実施形態では、抗体またはその抗原結合フラグメントは、治療有効量で医薬組成物中に存在する。賦形剤または安定剤であり得る許容できるキャリアは、用いられる投与量及び濃度において受容者に対して非毒性であり、リン酸塩、クエン酸塩、及び他の有機酸などの緩衝液;アスコルビン酸及びメチオニンを含む酸化防止剤;保存剤(オクタデシルジメチルベンジル塩化アンモニウム;塩化ヘキサメトニウム;塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム;フェノール、ブチル、もしくはベンジルアルコール;メチルもしくはプロピルパラベンなどのアルキルパラベン;カテコール;レゾルシノール;シクロヘキサノール;3-ペンタノール;及びm-クレゾールなど);低分子量(約10個未満の残基)ポリペプチド;血清アルブミン、ゼラチン、もしくは免疫グロブリンなどのタンパク質;ポリビニルピロリドンなどの親水性ポリマー;グリシン、グルタミン、アスパラギン、ヒスチジン、アルギニン、もしくはリシンなどのアミノ酸;モノサッカライド、ジサッカライド、及びグルコース、マンノース、もしくはデキストリンを含む他の炭水化物;EDTAなどのキレート剤;スクロース、マンニトール、トレハロース、もしくはソルビトールなどの糖類;ナトリウムなどの塩形成対イオン;金属複合体(例えば、Zn-タンパク質複合体);ならびに/またはTWEEN(商標)、PLURONICS(商標)、もしくはポリエチレングリコール(PEG)などの非イオン界面活性剤が挙げられるがこれらに限定されない。
【0329】
具体的な実施形態では、医薬組成物は、医薬的に許容される担体中に、本明細書に記載される抗MERTK抗体またはその抗原結合フラグメント、及び任意に1つ以上の追加の予防薬または治療薬を含む。具体的な実施形態では、医薬組成物は、医薬的に許容される担体中に、有効量の本明細書に記載される抗MERTK抗体またはその抗原結合フラグメント、及び任意に1つ以上の追加の予防薬または治療薬を含む。具体的な実施形態では、本明細書に記載される医薬組成物及び/または抗体もしくはその抗原結合フラグメントは、治療有効量の本明細書に記載される追加の治療薬のうちのいずれかと組み合わされ得る(以下の第5.4.2節を参照されたい)。
【0330】
いくつかの実施形態では、抗体は、医薬組成物中に含まれる唯一の活性成分である。
【0331】
本明細書に記載される医薬組成物は、癌を治療するために使用され得る。
【0332】
非経口調製物で使用される医薬的に許容される担体としては、水性ビヒクル、非水性ビヒクル、抗菌剤、等張剤、緩衝液、酸化防止剤、局部麻酔剤、懸濁化剤及び分散剤、乳化剤、封鎖剤またはキレート剤、ならびに他の医薬的に許容される物質が挙げられる。水性ビヒクルの例としては、塩化ナトリウム注射液、リンガー注射液、等張性デキストロース注射液、滅菌水注射液、デキストロース、及び乳酸加リンガー注射液が挙げられる。非水性非経口ビヒクルとしては、植物由来の凝固油、綿実油、トウモロコシ油、ゴマ油、及びピーナッツ油が挙げられる。静菌性または静真菌性濃度の抗菌薬は、多用量容器に充填される非経口調製物に添加され得、それは、フェノールまたはクレゾール、水銀剤、ベンジルアルコール、クロロブタノール、メチル及びプロピルp-ヒドロキシ安息香酸エステル、チメロサール、塩化ベンザルコニウム、ならびに塩化ベンゼトニウムを含む。等張剤としては、塩化ナトリウム及びデキストロースが挙げられる。緩衝液としては、リン酸塩及びクエン酸塩が挙げられる。酸化防止剤としては、重硫酸ナトリウムが挙げられる。局部麻酔剤としては、塩酸プロカインが挙げられる。懸濁剤及び分散剤としては、ナトリウムカルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、及びポリビニルピロリドンが挙げられる。乳化剤としては、ポリソルベート80(TWEEN(登録商標)80)が挙げられる。金属イオンの封鎖剤またはキレート化剤としては、EDTAが挙げられる。薬学的担体としてはまた、水混和性ビヒクルのためのエチルアルコール、ポリエチレングリコール、及びプロピレングリコール、ならびにpH調整のための水酸化ナトリウム、塩酸、クエン酸、または乳酸も挙げられる。
【0333】
医薬組成物は、対象への任意の投与経路のために製剤化され得る。投与経路の具体的な例としては、鼻腔内、経口、経肺、経皮、内皮、及び非経口が挙げられる。皮下、筋肉内、または静脈内注射のいずれかを特徴とする非経口投与もまた、本明細書において企図される。注射剤は、液体溶液もしくは懸濁液、注射前の液体中の溶液もしくは懸濁液に好適な固体形態として、または乳剤としてのいずれかの従来の形態で調製され得る。注射剤、溶液、及び乳剤はまた、1つ以上の賦形剤を含有する。好適な賦形剤は、例えば、水、食塩水、デキストロース、グリセロール、またはエタノールである。加えて、必要に応じて、投与される医薬組成物はまた、湿潤剤または乳化剤、pH緩衝剤、安定剤、溶解促進剤、ならびに例えば、酢酸ナトリウム、モノラウリン酸ソルビタン、トリエタノールアミン、オレイン酸塩、及びシクロデキストリンなどの他の薬剤などの少量の非毒性補助物質を含有することができる。
【0334】
抗体の非経口投与のための調製物としては、注射できる状態の滅菌溶液、滅菌乾燥可溶性生成物、皮下注射用錠剤を含む、使用直前に溶媒と混合される状態の凍結乾燥粉末、注射できる状態の滅菌懸濁液、使用直前にビヒクルと混合される状態の滅菌乾燥不溶性生成物、及び滅菌乳剤が挙げられる。溶液は水性または非水性のいずれかであってもよい。
【0335】
静脈内に投与される場合、好適な担体としては、生理食塩水またはリン酸緩衝生理食塩水(PBS)、ならびにグルコース、ポリエチレングリコール、及びポリプロピレングリコールなどの増粘剤及び可溶化剤を含有する溶液、ならびにこれらの混合物が挙げられる。
【0336】
抗体を含む局所混合物は、局所及び全身投与に関して記載されるように調製される。得られる混合物は、溶液、懸濁液、乳剤などであってもよく、クリーム、ゲル、軟膏、乳剤、溶液、エリキシル剤、ローション、懸濁液、チンキ剤、ペースト、発泡体、エアロゾル、洗浄液、スプレー、坐薬、包帯、皮膚パッチ、または局所投与に好適な任意の他の製剤として製剤化され得る。
【0337】
本明細書に記載される抗MERTK抗体またはその抗原結合フラグメントは、吸入などによる局所適用のためのエアロゾルとして製剤化され得る(例えば、炎症性疾患、特に喘息の治療に有効なステロイドの送達のためのエアロゾルを記載する、米国特許第4,044,126号、同第4,414,209号、及び同第4,364,923号を参照されたい)。気道への投与のためのこれらの製剤は、単独で、またはラクトースなどの不活性担体と組み合わせて、ネブライザー用のエアロゾルもしくは溶液の形態、または送気のための超微細粉末としての形態であってもよい。そのような場合、製剤の粒子は、一実施形態では50ミクロン未満の、一実施形態では10ミクロン未満の直径を有する。
【0338】
本明細書に記載される抗MERTK抗体またはその抗原結合フラグメントは、ゲル、クリーム、及びローションの形態で、皮膚及び眼などの粘膜への局所適用など、局部または局所適用のために、かつ眼への適用のために、または嚢内もしくは髄腔内適用のために製剤化され得る。局所投与は、経皮送達のために、かつ眼もしくは粘膜への投与のために、または吸入療法のために企図される。単独での、または他の医薬的に許容される賦形剤と組み合わせた点鼻液もまた投与され得る。
【0339】
イオン泳動及び電気泳動装置を含む経皮パッチは、当業者に周知であり、抗体を投与するために使用され得る。例えば、そのようなパッチは、米国特許第6,267,983号、同第6,261,595号、同第6,256,533号、同第6,167,301号、同第6,024,975号、同第6,010715号、同第5,985,317号、同第5,983,134号、同第5,948,433号、及び同第5,860,957号に開示される。
【0340】
ある特定の実施形態では、本明細書に記載される抗MERTK抗体またはその抗原結合フラグメントを含む医薬組成物は、溶液、乳剤、及び他の混合物としての投与のために再構成され得る、凍結乾燥粉末である。それはまた、固体またはゲルとしても再構成及び製剤化され得る。凍結乾燥粉末は、好適な溶媒中で、本明細書に記載される抗MERTK抗体もしくはその抗原結合フラグメント、またはその医薬的に許容される誘導体を溶解することによって調製される。いくつかの実施形態では、凍結乾燥粉末は無菌である。溶媒は、粉末または粉末から調製された再構成溶液の安定性または他の薬理学的成分を改善する賦形剤を含有してもよい。使用され得る賦形剤としては、デキストロース、ソルビトール、フルクトース、コーンシロップ、キシリトール、グリセリン、グルコース、スクロース、または他の好適な薬剤が挙げられるがこれらに限定されない。溶媒はまた、一実施形態ではほぼ中性のpHの、クエン酸塩、リン酸ナトリウムもしくはリン酸カリウム、または当業者に既知の他のそのような緩衝液などの緩衝液を含有してもよい。当業者に既知の標準的な条件下での溶液の後続の除菌濾過、続く凍結乾燥は、所望の製剤を提供する。一実施形態では、得られる溶液は、凍結乾燥のためのバイアル瓶に分配される。各バイアル瓶は、単回投与量または複数回投与量の化合物を含有する。凍結乾燥粉末は、約4℃~室温などの適切な条件下で保管され得る。
【0341】
注射のための水を用いたこの凍結乾燥粉末の再構成は、非経口投与で使用するための製剤を提供する。再構成のために、凍結乾燥粉末は、滅菌水または他の好適な担体に添加される。正確な量は、選択された化合物によって決まる。そのような量は、経験的に決定される。
【0342】
本明細書に記載される抗体またはその抗原結合フラグメント及び本明細書で提供される他の組成物はまた、治療される対象の身体の特定の組織、受容体、または他の範囲に標的化されるように製剤化され得る。多くのそのような標的化方法は、当業者に周知である。全てのそのような標的化方法は、本組成物で使用するために本明細書において企図される。標的化方法の非限定的な例に関して、例えば、米国特許第6,316,652号、同第6,274,552号、同第6,271,359号、同第6,253,872号、同第6,139,865号、同第6,131,570号、同第6,120,751号、同第6,071,495号、同第6,060,082号、同第6,048,736号、同第6,039,975号、同第6,004,534号、同第5,985,307号、同第5,972,366号、同第5,900,252号、同第5,840,674号、同第5,759,542号、及び同第5,709,874号を参照されたい。具体的な実施形態では、本明細書に記載される抗MERTK抗体またはその抗原結合フラグメントは、腫瘍に標的化される。
【0343】
インビボ投与のために使用される組成物は、無菌であり得る。これは、例えば、除菌濾過膜を通じた濾過によって容易に達成される。
【0344】
6.4.使用及び方法
6.4.1.治療上の使用及び方法
6.4.1.1.癌
一態様では、対象における癌を治療するための方法が本明細書に示され、それを必要としている対象に、本明細書に記載される抗MERTK抗体もしくはその抗原結合フラグメント、または明細書に記載される抗MERTK抗体もしくはその抗原結合フラグメントを含む医薬組成物を投与することを含む。具体的な実施形態では、対象における癌を治療するための方法が本明細書に示され、それを必要としている対象に、MERTK(例えば、ヒトMERTK、またはヒト及びマウスMERTKの両方)に特異的に結合し、内皮細胞上でMERTKシグナル伝達を作動させる、本明細書に記載される抗MERTK抗体またはその抗原結合フラグメントを含む医薬組成物を投与することを含む。特定の実施形態では、内皮細胞上でMERTKシグナル伝達を作動させること、例えば、血管新生を阻害することが望ましい癌を治療するための方法が本明細書に示され、それを必要としている対象に、MERTK(例えば、ヒトMERTK、またはヒト及びマウスMERTKの両方)に特異的に結合し、内皮細胞上でMERTKシグナル伝達を作動させる、抗MERTK抗体またはその抗原結合フラグメントを含む医薬組成物を投与することを含む。
【0345】
具体的な実施形態では、癌を患う対象への本明細書に記載される抗体もしくは抗原結合フラグメントまたは本明細書に記載される医薬組成物の投与は、以下の効果のうちの少なくとも1つ、2つ、3つ、4つ、またはそれ以上を達成する。(i)癌の1つ以上の症状の重症度の低減もしくは改善、(ii)癌と関連した1つ以上の症状の持続時間の低減、(iii)癌と関連した症状の再発の防止、(iv)対象の入院の低減、(v)入院の長さの低減、(vi)対象の生存率の増加、(vii)別の療法の治療効果の強化もしくは改善、(viii)癌と関連した1つ以上の症状の進行もしくは発症の阻害、(ix)癌と関連した症状の数の低減、(x)当該技術分野において周知の方法によって評価される生活の質の改善、(x)腫瘍の再発の阻害、(xi)腫瘍及び/もしくはそれと関連した1つ以上の症状の回帰、(xii)腫瘍及び/もしくはそれと関連した1つ以上の症状の進行の阻害、(xiii)腫瘍の増殖の低減、(xiv)腫瘍サイズ(例えば、体積もしくは直径)の減少、(xv)新しく形成された腫瘍の形成の低減、(xvi)原発、局所性、及び/もしくは転移性腫瘍の防止、根絶、除去、もしくは制御、(xvii)転移の数及びサイズの減少、(xviii)死亡率の低減、(xix)無再発生存率の増加、(xx)腫瘍のサイズが維持され、増加しないか、もしくは磁気共鳴画像法(MRI)、ダイナミックコントラスト増強MRI(DCE-MRI)、X線、及びコンピューター断層撮影(CT)スキャン、もしくは陽電子放射型断層撮影(PET)スキャンなど、当業者に利用可能な従来の方法によって測定されるように、標準的な療法の投与後の腫瘍の増加よりも小さく増加する、ならびに/または患者における寛解の長さの増加。
【0346】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載される方法に従って治療される癌は、肺、胸、骨、卵巣、胃、膵臓、喉頭、食道、精巣、肝臓、耳下腺、胆道、結腸、直腸、頸、子宮、子宮内膜、腎臓、膀胱、前立腺、または甲状腺の癌である。いくつかの実施形態では、癌は、肉腫、扁平上皮細胞癌、黒色腫、神経膠腫、膠芽腫、神経芽腫、またはカポジ肉腫である。いくつかの実施形態では、本発明に従って治療される癌は、転移性である。
【0347】
具体的な実施形態では、本明細書に記載される方法に従って治療される癌は、乳癌である。特定の実施形態では、本明細書に記載される方法に従って治療される癌は、トリプルネガティブ乳癌である。トリプルネガティブ乳癌は、遺伝子Her2(Neuとしても既知)、エストロゲン受容体(ERとしても既知)、またはプロゲステロン受容体(PRとしても既知)を発現させない乳房組織由来の、またはそこで増殖している任意の腫瘍または細胞を指す。
【0348】
本明細書で使用される場合、「対象」及び「患者」という用語は、互換的に使用される。いくつかの実施形態では、対象は、霊長類(例えば、サルまたはヒト)、最も好ましくはヒトなどの哺乳動物である。
【0349】
具体的な実施形態では、MERTK(例えば、ヒトMERTK、またはヒト及びマウスMERTKの両方)に特異的に結合する、抗MERTK抗体またはその抗原結合フラグメント(例えば、M6及びM19抗体)が、対象に投与される。ある特定の実施形態では、本明細書に記載される、MERTK(例えば、ヒトMERTK、またはヒト及びマウスMERTKの両方)に特異的に結合し、内皮細胞でMERTKシグナル伝達を作動させる、2つまたはそれ以上の異なる抗体またはその抗原結合フラグメントが、対象に投与される。いくつかの実施形態では、本明細書に記載される抗MERTK抗体またはその抗原結合フラグメントは、1つ以上の他の療法と組み合わせて対象に投与される(以下の第5.4.2節を参照されたい)。
【0350】
6.4.1.2.投与経路及び投与量
本明細書に記載される抗MERTK抗体もしくはその抗原結合フラグメント、または組成物は、様々な経路で対象に送達され得る。これらとしては、非経口、鼻腔内、気管内、経口、皮内、局部、筋肉内、腹腔内、経皮、静脈内、腫瘍内、結膜、及び皮下経路が挙げられるがこれらに限定されない。経肺投与もまた、例えば、吸入器またはネブライザー、及びスプレーとしての使用のためのエアロゾル剤を有する製剤の使用によって用いられ得る。一実施形態では、本明細書に記載される抗MERTK抗体もしくはその抗原結合フラグメント、または組成物は、対象に非経口的に投与される。具体的な実施形態では、該非経口投与は、静脈内、筋肉内、または皮下である。
【0351】
状態の治療及び/または予防に有効になる抗MERTK抗体もしくはその抗原結合フラグメント、または組成物の量は、疾病の性質によって決まり、標準的な臨床技術によって決定され得る。
【0352】
組成物中で用いられる正確な用量はまた、投与経路及び癌のタイプによって決まり、医師の判断及び各対象の状況に従って判断されるべきである。例えば、有効な用量はまた、投与手段、標的部位、患者の生理学的状態(年齢、体重、及び健康を含む)、患者がヒトであるか動物であるか、投与される他の医薬品、または処置が予防的であるか治療的であるかによって異なり得る。治療投与量は、安全性及び有効性を最適化するために、最適に滴定される。
【0353】
ある特定の実施形態では、最適な投与量の範囲を識別することを補助するために、インビトロアッセイが用いられる。有効な用量は、インビトロまたは動物モデル試験系から得られる用量応答曲線から外挿され得る。
【0354】
抗体(またはその抗原結合フラグメント)に対して、投与量は、患者の体重の約0.0001~100mg/kg、より一般的には0.01~15mg/kgの範囲である。例えば、投与量は、1mg/kg体重、10mg/kg体重、もしくは1~10mg/kgの範囲内、換言すれば、70kgの患者に対してそれぞれ、70mg、もしくは700mg、または70~700mgの範囲内であってもよい。いくつかの実施形態では、患者に投与される投与量は、患者の体重の約1mg/kg~約20mg/kgである。概して、ヒト抗体は、外来ポリペプチドへの免疫応答によって、ヒトの体内で、他の種からの抗体よりも長い半減期を有する。したがって、より低い投与量のヒト抗体及びあまり頻繁ではない投与が、多くの場合可能である。
【0355】
例示的な治療法は、1年の期間の、もしくは数年にわたる、または数年の間隔にわたる週間に1回、または1か月に1回、または3~6か月に1回の投与を伴う。いくつかの方法では、異なる結合特異性を有する2つまたはそれ以上の抗体またはその抗原結合フラグメントが、対象に同時に投与される。抗MERTK抗体またはその抗原結合フラグメントは通常、複数の場合に投与される。単回投与間の間隔は、週毎、月毎、3か月毎、6か月毎、または年毎であってもよい。
【0356】
6.4.2.併用療法
具体的な実施形態では、癌の治療を必要としている対象に、本明細書に記載される抗MERTK抗体またはその抗原結合フラグメントを含む医薬組成物を投与することを含む、対象における癌を治療するための本明細書で提供される方法はさらに、対象に1つ以上の追加の治療薬を投与することを含む。具体的な実施形態では、追加の治療薬は、癌を治療するためのものである。具体的な実施形態では、追加の治療薬は、本明細書に記載されるMERTK抗体またはその抗原結合フラグメントを用いた治療のいかなる副作用も治療するためのものである。
【0357】
具体的な実施形態では、追加の薬剤は、乳癌を治療するために使用される薬剤、黒色腫を治療するために使用される薬剤、免疫療法、または血管新生阻害剤である。
【0358】
具体的な実施形態では、追加の治療薬は、タモキシフェン、ラロキシフェン、パクリタキセル(TAXOL(登録商標))、シクロホスファミド、ドセタキセル、ビンブラスチン、フルオロウラシル、エベロリムス、トラスツズマブ、トラスツズマブ-エムタンシン、ペルツズマブ、及びラパチニブジトシラートからなる群から選択される、乳癌を治療するために使用される薬剤である。
【0359】
具体的な実施形態では、追加の治療薬は、BRAF阻害剤、MEK阻害剤、及びダカルバジンからなる群から選択される、黒色腫を治療するために使用される薬剤である。
【0360】
具体的な実施形態では、追加の治療薬は、CTLA-4阻害剤、PD-1阻害剤、またはPD-L1阻害剤である抗体である。
【0361】
具体的な実施形態では、追加の治療薬は、VEGF阻害剤、VEGFR2阻害剤、スニチニブ、及びソラフェニブからなる群から選択される血管新生阻害剤である。
【0362】
他の実施形態では、追加の治療薬は、表10に列挙される薬剤である。
【0363】
【0364】
【0365】
【0366】
【0367】
【0368】
【0369】
本明細書に記載される抗MERTK抗体またはその抗原結合フラグメントは、同時に、または順次に(前及び/もしくは後に)追加の治療薬と投与され得る。抗体またはその抗原結合フラグメント及び追加の治療薬は、同じまたは異なる組成物中で、かつ同じまたは異なる投与経路によって投与され得る。第1の療法(本明細書に記載される抗MERTK抗体もしくはその抗原結合フラグメント、または追加の治療薬である)は、癌を患う対象への第2の療法(本明細書に記載される抗MERTK抗体もしくはその抗原結合フラグメント、または追加の治療薬)の投与の前に(例えば、5分、15分、30分、45分、1時間、2時間、4時間、6時間、12時間、24時間、48時間、72時間、96時間、1週間、2週間、3週間、4週間、5週間、6週間、8週間、もしくは12週間前に)、同時に、または後に(例えば、5分、15分、30分、45分、1時間、2時間、4時間、6時間、12時間、24時間、48時間、72時間、96時間、1週間、2週間、3週間、4週間、5週間、6週間、8週間、もしくは12週間後に)投与され得る。ある特定の実施形態では、抗MERTK抗体またはその抗原結合フラグメントと組み合わせて対象に投与される追加の治療薬は、同じ組成物(医薬組成物)中で投与される。他の実施形態では、抗MERTK抗体またはその抗原結合フラグメントと組み合わせて投与される追加の治療薬は、抗MERTK抗体またはその抗原結合フラグメントとは異なる組成物中で対象に投与される(例えば、2つまたはそれ以上の医薬組成物が使用される)。
【0370】
6.5.キット
また、本明細書に記載される1つ以上の抗体もしくはその抗原結合フラグメント、またはその抱合体を含むキットが本明細書で提供される。具体的な実施形態では、本明細書に記載される1つ以上の抗体またはその抗原結合フラグメントなど、本明細書に記載される医薬組成物の成分のうちの1つ以上で充填された、1つ以上の容器を備える、薬学的パックまたはキットが本明細書で提供される。いくつかの実施形態では、キットは、本明細書に記載される医薬組成物及び予防薬または治療薬を含む。
【0371】
医薬品もしくは生物学的生成物の製造、使用、もしくは販売を規制する政府機関によって規定された形態の通知、剤形、及び/またはその使用のための説明書が、そのような容器(複数可)と任意に関連付けられる。ある特定の実施形態では、キットと共に含まれる説明書は、医薬組成物(複数可)の投与のための投与量及び/または投与レジメンに関する指導を提供する。
【0372】
薬学的包装材料の例としては、選択された医薬組成物、ならびに投与及び治療の意図する形式に好適なブリスターパック、瓶、パケット、小袋、チューブ、吸入器、ポンプ、バッグ、バイアル瓶、容器、注射器、及び任意の包装材料が挙げられるがこれらに限定されない。
【0373】
本明細書で提供されるキットはさらに、活性成分を投与するために使用されるデバイスを含むことができる。そのようなデバイスの例としては、注射器、無針注射器、ドリップバッグ、パチ、及び吸入器が挙げられるがこれらに限定されない。
【0374】
本明細書で提供されるキットはさらに、成分を投与するために使用され得る、医薬的に許容されるビヒクルを含むことができる。例えば、成分が非経口投与のために再構成されなければならない固体形態で提供される場合、キットは、成分が、非経口投与に好適であるか、または経口投与のために懸濁液として再構成され得る、微粒子を含まない滅菌溶液を形成するために溶解され得る、好適なビヒクルの密閉容器を備えることができる。医薬的に許容されるビヒクルの例としては、注射用水USP、塩化ナトリウム注射液、リンガー注射液、デキストロース注射液、デキストロース及び塩化ナトリウム注射液、及び乳酸加リンガー注射液が挙げられるがこれらに限定されない、水性ビヒクル、エチルアルコール、ポリエチレングリコール、及びポリプロピレングリコールが挙げられるがこれらに限定されない、水混和性ビヒクル、ならびにトウモロコシ油、綿実油、ピーナッツ油、ゴマ油、オレイン酸エチル、ミリスチン酸イソプロピル、及び安息香酸ベンジルが挙げられるがこれらに限定されない、非水性ビヒクルが挙げられるがこれらに限定されない。
【実施例】
【0375】
以下の例は、制限目的ではなく例示目的で提供される。
【0376】
7.実施例
7.1.実施例1:高親和性MERTK結合モノクローナル抗体の生成
本実施例は、MERTKに結合し、かつそのリン酸化反応を活性化することによって、転移性乳癌細胞による内皮動員を阻害する、モノクローナル抗体を記載する。本実施例に記載される抗体を生成するためにマウスを免疫化するために使用されるペプチド抗原を、R&D systems(Recombinant Human Mer Fc Chimera,#CF891-MR-100)から購入した。これは、間の小型リンカー(IEGRMD)を用いて、ヒトIgG
1タンパク質(Pro100-Lys330)のFc領域の一部分と融合した、MERTKの細胞外ドメインの大きな部分(Arg26~Ala499、配列番号58)からなるキメラペプチドである。キメラペプチドの概略図に関して
図1Aを参照されたい。マウスをキメラペプチドで免疫化した後、骨髄腫細胞株への免疫化マウスから単離したB細胞の融合によって、ハイブリドーマライブラリを生成した。次いで、これらのハイブリドーマからの上清を単離して、以下の第6.1.1節に記載されるように、抗体捕捉競合ELISAアッセイ(
図2)を使用して、MERTKと結合する抗体を生成するハイブリドーマ細胞を識別した。いったん識別されると、MERTKに対して高親和性を有する抗体を生成するハイブリドーマをスクリーニングして、以下の第6.1.2節に記載されるように、抗体捕捉競合ELISAアッセイ(
図2)を使用して、MERTKがGas-6と結合することを阻害することが可能な抗体を生成したハイブリドーマを識別した。単一クローン(モノクローナル)ハイブリドーマ細胞を単離するために、ハイブリドーマライブラリに分離及びスクリーニングを実施した。960個の単一ハイブリドーマクローン(モノクローナル)をこのライブラリからスクリーニングして、Gas-6結合を中和するために、高親和性でMERTKに結合したモノクローナル抗体を生成したハイブリドーマクローンを識別した。
【0377】
7.1.1.MERTK結合に対するELISA捕捉アッセイ
MERTKに結合するモノクローナル抗体を識別するために、ELISA抗体捕捉アッセイを使用して、組み換えMERTKタンパク質で免疫化したマウスから生成した各ハイブリドーマクローンから生成した分泌抗体をスクリーニングした。第一に、ポリスチレンプレートをコーティング抗体(ヤギ抗マウスIgG(Fc)、ロット番号Jackson 98959、10ug/mLの抗体濃度)でコーティングした。次いで、各モノクローナルハイブリドーマクローンからの一次抗体を含有する上清をプレート内の各ウェルに添加した。次に、標識抗原(組み換えヒトMer-Fc、RnD systems #891-MR、ロット番号CXK0211051、濃度300ng/mL)を各ウェルに添加した。次いで、検出抗体(西洋ワサビペルオキシダーゼ[HRP]共役ヤギ抗ヒトIgG(Fc)、ロット番号Jackson 86954、希釈:1/5000)を各ウェルに添加した。これに続いて、HRP基質を添加し、続いて、停止液を添加して反応を完了した。分光光度計を使用して、各ウェルからのシグナル(O.D.)を読み取った。試験した960個の全てのハイブリドーマクローンのうち、20個が、>1のO.D.値を示し、ヒトMERTKに対する有意な結合親和性を示した。1のO.D.読み取り値は、0.22のO.D.値を有した陰性対照(抗体なしの空の培地)で観察されたシグナルの少なくとも4倍を示す。これらの20個のクローンを任意にM1~M20と名付け、
図2に列挙した。
図2の第2の縦列(「Mer」という見出し付き)は、各クローンに対するO.D.読み取り値(結合親和性を示す)を示す。
【0378】
7.1.2.競合Gas-6結合ELISAアッセイ
次いで、MERTKへのGas-6結合を阻害する抗体を識別するために、20個のMERTK結合抗体(M1~M20)に、Gas-6競合結合ELISAアッセイを実施した。第一に、ポリスチレンプレートを組み換えヒトGAS-6(RnD systems rhGas6 #885-GS-050、濃度7ug/mL)でコーティングした。次に、各モノクローナルハイブリドーマクローンからの一次抗体を含有する上清をプレート内の各ウェルに添加した。同時に、組み換えヒトMERTK(Mer-Fc RnD systems #891-MR、ロット番号CXK0211051、濃度300ng/mL)を各ウェルに添加した。次いで、検出抗体(西洋ワサビペルオキシダーゼ[HRP]共役ヤギ抗ヒトIgG(Fc)、ロット番号Jackson 86954、希釈:1/5000)を各ウェルに添加した。これに続いて、HRP基質及び停止液を添加して反応を完了した。分光光度計を使用して、シグナル(O.D.)を各プレートから測定した。このアッセイにおいて試験した全てのハイブリドーマクローンのうち、11個が<2.4のO.D.値を示し、それは、それらがMERTKへの Gas-6結合を阻害したことを示した。陰性対照(抗体なしの空の培地)で観察されたシグナルが2.43であったため、2.4のO.D.読み取り値は、MERTKへのGas-6結合の阻害を示す。これらの20個のクローンは、
図2に列挙される。
図2の第3の縦列(「(Mer+クローン)」という見出し付き)は、各クローンに対するO.D.読み取り値(Gas-6結合の阻害の量を示す)を示す。
【0379】
2つのモノクローナル抗体M6及びM19をさらなる研究(トランスウェル内皮遊走アッセイを使用して、それらが転移細胞による内皮動員を阻害し得るかどうかを含む)のために選択した。
【0380】
7.2.実施例2:M19及びM6抗体は、インビトロでのトリプルネガティブ乳癌細胞による内皮細胞動員を阻害することが可能である。
【0381】
MERTKの活性化による内皮動員を阻害し得るモノクローナル抗体を識別するために、上記の実施例1に記載されるスクリーンで生成した、高親和性Gas-6競合モノクローナル抗体を、トランスウェルを使用したインビトロ内皮動員アッセイで試験した。転移性MDA-MB-231ヒト乳癌細胞をボイデンチャンバの底部に配置し、多孔質トランスウェル挿入物を通じてHUVECSを動員するそれらの能力が分析され得た。我々のスクリーンからのMERTK結合抗体(高親和性及び低親和性抗体の両方を含む)を、生理学的濃度で個々にトランスウェルに添加した。試験した全ての抗体のうち、M19及びM6は、陰性対照抗体IgGと比較して、HUVEC細胞の動員(移動した細胞/領域)を有意に阻害することが最も可能であった(移動した細胞の50%の低減)(
図3)。これは、ヒト転移性癌細胞によるヒト内皮細胞動員を阻害するモノクローナル抗体M19及びM6の能力を示す(
図3)。
【0382】
7.3.実施例3:M19及びM6抗体は、内皮細胞でMERTKリン酸化反応を活性化する。
【0383】
M19及びM6が実際にMERTK活性化抗体であることを確実にするために、ウェスタンブロット解析を実施して、M19またはM6抗体処置の存在または非存在下で、内皮細胞(HUVEC)によって発現したリン酸化(活性化)MERTKのレベルを定量化した。(
図4、
図5)。
【0384】
ウェスタンブロット解析を実施するために、HUVEC細胞(またはLM2乳癌細胞)を、10%FBSを含有するEGM-2培地(Lonza、カタログ番号CC-3162)内で80%コンフルエンスまで増殖させた。所与の条件下での16時間のインキュベーションの後、細胞をPBS中で洗浄し、プロテアーゼ及びホスファターゼ阻害剤(Roche、それぞれ、カタログ番号11 836 170 001及び04 906 845 001)を含有する1mL RIPA緩衝液(G-Biosceince、カタログ番号786-490)で洗い流した。次いで、細胞溶解液からのタンパク質をSDS-PAGE上で分離し、PVDF膜に移した。タンパク質の検出のために、以下の一次抗体を使用した。リン酸化MERTK(FabGennix、カタログ番号PMKT-140AP)、MERTK(Abcam、カタログ番号ab52968)、リン酸化Akt(Santa Cruz Biotechnology、カタログ番号sc-7985R)、及びAkt(Santa Cruz Biotechnology、カタログ番号sc-1618)。適切なHRP共役二次抗体(Life Technologies)を使用して、一次抗体を検出した。
【0385】
指定された抗体で処置した培養細胞は、慢性(16時間)及び急性(30分間)の抗体処置の両方の最中に、用量依存的な様式で、内皮細胞上でのMERTKの活性化の増加をもたらした(
図4、
図5)。興味深いことに、M19抗体処置は、LM2乳癌細胞上でMERTKの活性化を増加させなかった(
図6)。
【0386】
7.4.実施例4:M19は、ヒト及びマウスMERTKの両方に高親和性で結合する。
【0387】
本実施例は、M19抗体がヒト及びマウスMERTKの両方に高親和性(約0.3nMのK
D)で結合することを示す。組み換えヒト及びマウスMERTKに対するM19抗体の結合親和性を特徴付けるために、バイオレイヤー干渉法を使用して、生体分子間相互作用解析を実施した(
図7及び
図8)。M19とマウス及びヒトMERTKの両方との間で結合を観察した。ヒト及びマウスMERTKへのM19結合に関する、全体的なグローバルフィットで計算された結合親和性(K
D)は、同様であった(K
D=約0.3nM)(
図7、
図8)。
【0388】
7.5.実施例5:M19の治療的投与は、インビボでヒト乳癌の腫瘍進行を阻害する。
【0389】
本実施例は、MERTK活性化抗体M19がヒト乳癌のマウスモデルにおいて、インビボで腫瘍進行及び腫瘍転移を阻害することが可能であることを示す。モノクローナル抗体M19がインビボで腫瘍負荷を低減し、腫瘍進行を阻害することが可能であったかどうかを試験するために、2000個のMDA-MB-231または5000個のLm1a1細胞を、増殖因子低減マトリゲルと1:1の比で混合し、NOD-SCIDマウスの乳房脂肪体に、両側に注射した。M19抗体または対照IgG抗体のいずれかの250μgの腹腔内注射を、手術後及び続いて1週間に2回注射した。触知可能な腫瘍の腫瘍サイズを、キャリバーを使用して週毎に測定した。M19抗体での処置は、インビボで、トリプルネガティブ乳癌の原発腫瘍増殖(
図9A)及び転移(
図9B)の両方の有意な治療的阻害を示した。
【0390】
7.6.実施例6:M19は、インビボで腫瘍血管新生を阻害する。
【0391】
M19抗体での治療的処置がインビボで血管新生をもたらすかどうかを調査するために、M19で処置されたマウス及び処置されていないマウスの腫瘍内の血管密度を定量化した。2000個のMDA-MB-231を、NOD-SCIDマウスの乳房脂肪体に、両側に注射した。250μgのM19抗体または対照IgG抗体のいずれかでの58日間の処置の後、腫瘍を切除し、血管密度を定量化した(
図10)。実際に、M19抗体での治療的処置は、インビボで血管新生の有意な阻害(>50%)をもたらした(
図10)。
【0392】
7.7.実施例7:M6は、ヒトMERTKの両方に高親和性で結合する。
【0393】
本実施例は、M6抗体が組み換えヒトMERTKに高親和性(約4.6ピコモルのK
D)で結合することを示す。M6抗体の結合親和性を特徴付けるために、バイオレイヤー干渉法を使用して、生体分子間相互作用解析を実施した(
図11)。M6とヒトMERTKとの間で結合を観察した。ヒトMERTKへのM6結合に関する、全体的なグローバルフィットで計算された結合親和性(K
D)は、約4.6ピコモルであった(
図11)。
【0394】
7.8.実施例8:M6の治療的投与は、インビボでヒト乳癌の腫瘍進行を阻害する。
【0395】
本実施例は、MERTK活性化抗体M6がヒト乳癌のマウスモデルにおいて、インビボで腫瘍進行を阻害することが可能であることを示す。モノクローナル抗体M6がインビボで腫瘍負荷を低減し、腫瘍進行を阻害することが可能であったかどうかを試験するために、2000個のMDA-MB-231乳癌細胞を、増殖因子低減マトリゲル(BD Biosciences)と1:1の比で混合し、NOD-SCIDマウスの乳房脂肪体に、両側に注射した。M6抗体または対照IgG抗体のいずれかの250μgの腹腔内注射を、手術後及び続いて1週間に2回注射した。触知可能な腫瘍の腫瘍サイズを、キャリバーを使用して週毎に測定した。実際に、1週間に2回のM6抗体での処置は、腫瘍サイズの有意な低減をもたらした(
図12)。
【0396】
7.9.実施例9:M6及びM19に対する抗体配列
M19及びM6をさらに特徴付けるために、これらの抗体の重鎖及び軽鎖可変領域を配列した。M6の重鎖及び軽鎖可変領域の両方のアミノ酸配列は、表5に示される。M6の重鎖及び軽鎖可変領域の両方の核酸酸配列は、表7に示される。M6のCDRのアミノ酸配列は、表1(VHに関して)及び表2(VLに関して)に示される。
【0397】
M19の重鎖及び軽鎖可変領域の両方のアミノ酸配列は、表6に示される。M6の重鎖及び軽鎖可変領域の両方の核酸配列は、表8に示される。M19のCDRのアミノ酸配列は、
表3(VHに関して)及び表4(VLに関して)に示される。
【0398】
本発明は、本明細書に記載される具体的な実施形態によって範囲が制限されないものとする。実際に、記載されるものに加えて、本発明の様々な修正形態が、上記の記載及び添付の図面から当業者に明らかとなるであろう。そのような修正形態は、添付の請求項の範囲内に入るよう意図される。
【0399】
本明細書に列挙される全ての参考文献(例えば、出版物または特許または特許出願)は、各個々の参考文献(例えば、出版物または特許または特許出願)が、あらゆる目的のためにその全体が参照により組み込まれるように具体的かつ個々に示された場合と同じ程度まで、それらの全体が、かつあらゆる目的のために、参照により本明細書に組み込まれる。
【配列表】