(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-01-16
(45)【発行日】2023-01-24
(54)【発明の名称】チタン及びチタン合金構造体をエポキシ含有化合物に接合するための方法及び装置
(51)【国際特許分類】
B32B 37/12 20060101AFI20230117BHJP
B32B 15/08 20060101ALI20230117BHJP
B62D 29/04 20060101ALI20230117BHJP
B64C 1/00 20060101ALI20230117BHJP
B63B 35/00 20200101ALI20230117BHJP
【FI】
B32B37/12
B32B15/08 M
B62D29/04 A
B64C1/00 B
B63B35/00 Z
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2018059349
(22)【出願日】2018-03-27
【審査請求日】2021-03-26
(32)【優先日】2017-03-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】500520743
【氏名又は名称】ザ・ボーイング・カンパニー
【氏名又は名称原語表記】The Boeing Company
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】ゴエット, グレゴリー エー.
【審査官】大村 博一
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第05869140(US,A)
【文献】特表2007-521995(JP,A)
【文献】特開2016-016044(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2003/0211330(US,A1)
【文献】特開2003-342753(JP,A)
【文献】特開2004-338207(JP,A)
【文献】特表2007-524529(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第105269811(CN,A)
【文献】特開2015-223841(JP,A)
【文献】米国特許第05849110(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B32B 1/00-43/00
B29B 11/16;15/08-15/14
C08J 5/04-5/10;5/24
B29C 39/00-39/44
B29C 43/00-43/58
B29C 70/00-70/88
B60R 13/01-13/04,13/08
B62D 29/04
B63B 1/00-69/00
B63J 1/00-99/00
B64B 1/00- 1/70
B64C 1/00-99/00
B64D 1/00-47/08
B64F 1/00- 5/60
B64G 1/00-99/00
C23C 24/00-30/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
多層構造を形成するために、チタン構造体を複合構造体に結合する方法であって、
第1のチタン構造体表面を含む第1のチタン構造体(21a)(31a)(41)(62a)を位置付けするステップ(81)であって、前記第1のチタン構造体表面が第1のゾル‐ゲル層(22a)(32a)(42)を含む、ステップ(81)、
複合構造体(26)(36)(46)を位置付けするステップ(85)であって、前記複合構造体が、複合構造体第1表面及び複合構造体第2表面を含み、前記複合構造体第1表面が、前記第1のチタン構造体表面の近傍に且つ前記第1のチタン構造体表面から所定の距離離れて位置付けされている、ステップ(85)、
所定量のエポキシ含有化合物(25a)(35a)(45)を前記第1のチタン構造体表面上の前記第1のゾル‐ゲル層と前記複合構造体第1表面との間に位置付けするステップ(86)であって、前記エポキシ含有化合物が成形可能なプラスチックシムを形成するステップ、
前記多層構造(20a)(20b)(30)(40)を形成するために、前記エポキシ含有化合物を前記第1のチタン構造体表面及び前記複合構造体第1表面に結合するステップを含む方法。
【請求項2】
第1のチタン構造体を位置付けする前記ステップの前に、第1のゾル‐ゲル層を前記第1のチタン構造体表面に施すステップ(83)をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
複合構造体を位置付けする前記ステップの前に、プライマーコーティング(23a)を前記第1のチタン構造体表面上の前記第1のゾル‐ゲル層に施すステップ(102)をさらに含む、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
複合構造体を前記第1のチタン構造体表面の近傍に且つ前記第1のチタン構造体表面から所定の距離離して位置付けする前記ステップでは、前記複合構造体が、炭素繊維、ガラス繊維、ボロン繊維、アラミド繊維、ポリオレフィン繊維、セラミック繊維、又はこれらの組み合わせを含み、
複合構造体を前記第1のチタン構造体表面の近傍に且つ前記第1のチタン構造体表面から所定の距離離して位置付けする前記ステップでは、前記複合構造体がエポキシ樹脂を含み、且つ
第1のチタン構造体表面を含む第1のチタン構造体を位置付けする前記ステップでは、前記第1のチタン構造体がスプライスプレート部材を含む、請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
第1のチタン構造体を位置付けする前記ステップの後、
第2のチタン構造体表面を含む第2のチタン構造体(21b)(31b)(62b)を位置付けするステップ(82)であって、前記第2のチタン構造体表面が第2のゾル‐ゲル層(22b)(32b)を含む、ステップ(82)、
複合構造体(85)(85a)を位置付けするステップであって、前記複合構造体が、複合構造体第1表面及び複合構造体第2表面を含み、前記複合構造体第1表面が、前記第1のチタン構造体表面の近傍に且つ前記第1のチタン構造体表面から所定の距離離れて位置付けされ、前記複合構造体第2表面が、前記第2のチタン構造体表面の近傍に且つ前記第2のチタン構造体表面から所定の距離離れて位置付けされている、ステップ、
所定量のエポキシ含有化合物(25b)(35b)を前記第2のチタン構造体表面上の前記第2のゾル‐ゲル層と前記複合構造体第2表面との間に位置付けするステップ(87)、及び
多層構造を形成するために、前記第1のチタン構造体と前記第2のチタン構造体との間で前記複合構造体を結合するステップ
をさらに含む、請求項1から4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
第2のチタン構造体を位置付けする前記ステップの前に、ゾル‐ゲル層を前記第2のチタン構造体表面に施すステップ(84)をさらに含む、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記第1及び第2のチタン構造体を位置付けする前記ステップでは、前記第1及び第2のチタン構造体が、チタン、チタン合金、又はこれらの組み合わせを含む、請求項5又は6に記載の方法。
【請求項8】
第1のチタン構造体表面を含む第1のチタン構造体(21a)(31a)(41)(62a)、
前記第1のチタン構造体表面に施されたゾル‐ゲル層(22a)(32a)(42)、
複合構造体第1表面及び複合構造体第2表面を含む複合構造体であって、前記複合構造体第1表面が、前記第1のチタン構造体表面の近傍に且つ前記第1のチタン構造体表面から所定の距離離れて位置付けされている、複合構造体(26)(36)(46)、並びに
前記第1のチタン構造体表面に施された前記ゾル‐ゲル層と前記複合構造体第1表面との間に位置付けされたエポキシ含有化合物(25a)(35a)(45)
を含み、前記エポキシ含有化合物が成形可能なプラスチックシムを形成する、アセンブリ。
【請求項9】
前記ゾル‐ゲル層と前記複合構造体第1表面との間に位置付けされた前記エポキシ含有化合物が、前記第1のチタン構造体に結合する、請求項8に記載のアセンブリ。
【請求項10】
前記第1のチタン構造体が、スプライスプレートを含む、請求項8又は9に記載のアセンブリ。
【請求項11】
前記複合構造体が、炭素繊維、ガラス繊維、ボロン繊維、アラミド繊維、ポリオレフィン繊維、セラミック繊維、又はこれらの組み合わせを含み、前記複合構造体が、エポキシ樹脂を含む、請求項8から10のいずれか一項に記載のアセンブリ。
【請求項12】
第2のチタン構造体表面を含む第2のチタン構造体(21b)(31b)(62b)、
前記第2のチタン構造体表面の近傍に且つ前記第2のチタン構造体表面から所定の距離離れて位置付けされた前記複合構造体第2表面、及び
前記第2のチタン構造体表面に施された前記ゾル‐ゲル層と前記複合構造体第2表面との間に位置付けされたエポキシ含有化合物(25b)(35b)
をさらに含む、請求項8から11のいずれか一項に記載のアセンブリ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、概して、金属を非金属に結合させる分野に関する。より具体的には、本開示は、チタン及びチタン合金構造体をエポキシ含有化合物に接合するための方法、システム、及び装置を対象としている。さらにより具体的には、本開示は、ゾル‐ゲル層をチタン又はチタン合金構造体表面に堆積することを含む、チタン及びチタン合金構造体をエポキシ含有化合物に接合するための方法、システム、及び装置に関する。
【背景技術】
【0002】
構造体の高荷重位置において金属構造体表面を複合構造体表面及びエポキシ含有表面に接合することは、様々な課題を有する。これは特に、ある金属が、例えば非金属基板への接着を困難にする特性をもつことが知られている場合に当てはまる。このように耐高荷重用途のために他の金属及び非金属表面(例えば、エポキシ含有材料を含む複合構造体表面)に適切に接着することが典型的に困難である金属には、チタン及びチタン合金が含まれる。 このような課題の様々な解決には、複合構造体表面と金属構造体表面との両方が接合し得る中間材料層を含めることが関わってきた。このような方法は、成功してきた。しかし、様々な高荷重位置、例えば、限定しないが、水平安定板アセンブリを含む航空機の諸位置において、金属構造体表面を複合材表面に接合することは、重大な意味をもっており、例えば、数十年を越える長年のライフサイクルに耐えなければならない。修理のためにこのような構造体の稼働を止めることは、時間と費用がかかる。さらに、チタン及びチタン合金を、例えば、複合材料に結合することを促進するために中間材料を導入することは、航空機、宇宙船、回転翼航空機等を含む特定の構造体に対して、望ましくない重量を加える場合がある。
【0003】
金属表面における樹脂材料のために適切な界面を得ることは、多くの研究がなされた関心分野であった。標準的な金属表面処理は、樹脂材料において通常利用可能な結合部位と親和性のある部位が相当欠けている表面をもたらす。このような結合部位は、通常、共有結合、水素結合、又はファンデルワールス力を通して結合した。樹脂及び金属のためのカップリング剤は、接着性の改善を必要することが多かった。
【発明の概要】
【0004】
本開示の態様は、金属表面とエポキシ樹脂との間の界面でゾル‐ゲル膜を生成することにより、金属表面(例えば、チタン表面及びチタン合金表面)の、エポキシ樹脂への付着を改善することを含む。有機金属系カップリング剤の単層を通して、金属-樹脂の勾配が生じる。
【0005】
本開示のさらなる態様は、チタン構造体を複合構造体に接合する方法であって、第1のチタン構造体表面を含む第1のチタン構造体を位置付けするステップであって、前記第1のチタン構造体表面が第1のゾル‐ゲル層を含む、ステップ、複合構造体を位置付けするステップであって、前記複合構造体が、複合構造体第1表面及び複合構造体第2表面を含み、前記複合構造体第1表面が、前記第1のチタン構造体表面の近傍に且つ前記第1のチタン構造体表面から所定の距離離れて位置付けされている、ステップ、所定量のエポキシ含有化合物をゾル‐ゲル層と複合構造体第1表面との間に位置付けするステップ、エポキシ含有化合物を第1のチタン構造体表面に結合するステップ、及び多層構造を形成するために、第1のチタン構造体を複合構造体に接合するステップを含む方法を対象としている。
【0006】
別の態様では、所定量のエポキシ含有化合物を第1のゾル‐ゲル層と複合構造体第1表面との間に位置付けするステップの後、エポキシ含有化合物を硬化することがさらに含まれる。
【0007】
本開示のさらなる態様は、チタン構造体を複合構造体に接合する方法であって、第1のチタン構造体表面を含む第1のチタン構造体を位置付けするステップであって、前記第1のチタン構造体表面が第1のゾル‐ゲル層を含む、ステップ、第2のチタン構造体表面を含む第2のチタン構造体を位置付けするステップであって、前記第2のチタン構造体表面が第2のゾル‐ゲル層を含む、ステップ、複合構造体を位置付けするステップであって、前記複合構造体が、複合構造体第1表面及び複合構造体第2表面を含み、前記複合構造体第1表面が、前記第1のチタン構造体表面の近傍に且つ前記第1のチタン構造体表面から所定の距離離れて位置付けされ、前記複合構造体第2表面が、前記第2のチタン構造体表面の近傍に且つ前記第2のチタン構造体表面から所定の距離離れて位置付けされている、ステップ、所定量のエポキシ含有化合物を第1のゾル‐ゲル層と複合構造体第1表面との間に位置付けするステップ、及び所定量のエポキシ含有化合物を第2のゾル‐ゲル層と複合構造体第2表面との間に位置付けするステップを含み、多層構造を形成するために、第1のチタン構造体及び第2のチタン構造体が複合構造体に接合される、方法を対象としている。
【0008】
別の態様では、所定量のエポキシ含有化合物を第1のゾル‐ゲル層と複合構造体第1表面との間に位置付けするステップ、及び所定量のエポキシ含有化合物を第2のゾル‐ゲル層と複合構造体第2表面との間に位置付けするステップの後、エポキシ含有化合物を硬化することがさらに含まれる。
【0009】
さらなる態様では、複合構造体を位置付けするステップの前に、ゾル‐ゲル層を少なくとも第1のチタン構造体表面に施すステップをさらに含むことが考えられている。
【0010】
さらなる態様では、複合構造体を位置付けするステップの前に、コーティングを少なくとも第1のチタン構造体表面上のゾル‐ゲル層に施すステップをさらに含むことが考えられている。
【0011】
さらなる態様では、複合構造体を位置付けするステップの前に、ゾル‐ゲル層を第2のチタン構造体表面に施すステップをさらに含むことが考えられている。
【0012】
さらなる態様では、複合構造体を位置付けするステップの前に、コーティングを第2のチタン構造体表面上のゾル‐ゲル層に施すステップをさらに含むことが考えられている。
【0013】
別の態様では、所定量のエポキシ含有化合物を第1のゾル‐ゲル層と複合構造体第1表面との間に位置付けするステップの後、エポキシ含有化合物を硬化することがさらに含まれる。
【0014】
別の態様では、少なくとも第1のチタン構造体を露出するステップでは、チタンは、チタン、チタン合金、又はこれらの組み合わせを含む。
【0015】
さらなる態様では、少なくとも第1のチタン構造体を露出するステップでは、チタン合金は、Ti-6Al-4V、Ti-15V-3Cr-3Sn-3Al、Ti-15Mo-3Al-3Nb等、又はこれらの組み合わせを含む。
【0016】
別の態様では、考えられている方法は、多層構造体を硬化することをさらに含む。
【0017】
別の態様では、第1のチタン構造体表面を含む少なくとも第1のチタン構造体を位置付けするステップでは、チタン構造体は、スプライスプレート部材を含む。
【0018】
別の態様では、ゾル‐ゲル層を少なくとも第1のチタン構造体表面に施すステップでは、ゾル‐ゲル層は、チタン構造体表面に金属‐有機界面を形成するために、アルコキシジルコニウム(alkoxyzirconium)を通して、第1のチタン構造体及び第2のチタン構造体に共有結合するための、アルコールを含まないアルコキシジルコニウムの希薄水性混合物、混合物内で溶解した有機シランカップリング剤、アルコキシジルコニウムの加水分解速度の触媒及び安定剤としての有機酸触媒、並びに他の状況では形成されるZ‐アセタート錯体を破壊する所定量のアンモニア又は水酸化アンモニウムを含む。
【0019】
さらなる態様では、複合構造体を第1のチタン構造体表面の近傍に且つ第1のチタン構造体表面から所定の距離離して位置付けするステップでは、複合構造体は、炭素繊維、ガラス繊維、ボロン繊維、アラミド繊維、ポリオレフィン繊維、セラミック繊維、又はこれらの組み合わせを含む。
【0020】
別の態様では、所定量のエポキシ含有化合物を第1のゾル‐ゲル層と複合構造体第1表面との間に施すステップでは、エポキシ含有化合物は、グレード120のエポキシ系又はグレード190のエポキシ系を含む。
【0021】
別の態様では、所定量のエポキシ含有化合物を第1のゾル‐ゲル層と複合構造体第1表面との間に位置付けするステップ、及び所定量のエポキシ含有化合物を第2のゾル‐ゲル層と複合構造体第2表面との間に位置付けするステップでは、エポキシ含有化合物は、成形可能なプラスチックシムを形成する。
【0022】
さらなる態様では、多層構造を硬化するステップでは、硬化は、約120°Fから約140°Fの範囲内の温度で行われる。
【0023】
本開示のさらなる態様では、第1のチタン構造体表面を含む第1のチタン構造体を位置付けするステップであって、前記第1のチタン構造体表面がゾル‐ゲル層を含む、ステップ、複合構造体を位置付けするステップであって、前記複合構造体が、複合構造体第1表面及び複合構造体第2表面を含み、前記複合構造体第1表面が、前記第1のチタン構造体表面の近傍に且つ前記第1のチタン構造体表面から所定の距離離れて位置付けされている、ステップ、所定量のエポキシ含有化合物をゾル‐ゲル層と複合構造体第1表面との間に位置付けするステップ、エポキシ含有化合物を第1のチタン構造体表面に結合するステップ、及び多層構造を形成するために、第1のチタン構造体を複合構造体に接合するステップを含む、チタン構造体を複合構造体に接合する方法に従って製作された、接合された構造体を対象としている。
【0024】
別の態様では、コーティングを第1のチタン構造体表面に施すステップでは、コーティングは、エポキシ含有化合物を含む。
【0025】
さらなる態様では、複合構造体を少なくとも第1のチタン構造体表面の近傍に且つ少なくとも第1のチタン構造体表面から所定の距離離して位置付けするステップでは、複合構造体はエポキシ樹脂を含む。
【0026】
本開示のさらなる態様は、少なくとも第1のチタン構造体表面を含む第1のチタン構造体、第1のチタン構造体表面に施されたゾル‐ゲル層、複合構造体第1表面及び複合構造体第2表面を含む複合構造体であって、前記複合構造体第1表面が、前記第1のチタン構造体表面の近傍に且つ前記第1のチタン構造体表面から所定の距離離れて位置付けされている、複合構造体、並びに第1のチタン構造体表面に施されたゾル‐ゲル層と複合構造体第1表面との間に位置付けされた、所定量のエポキシ含有化合物を含むアセンブリを対象としている。
【0027】
さらなる態様では、第1のチタン構造体表面に施されたゾル‐ゲル層と複合構造体第1表面との間に位置付けされた、所定量のエポキシ含有化合物が第1のチタン表面に結合する。
【0028】
別の態様では、当該アセンブリは、第2のゾル‐ゲル層が施され、且つ第2の複合構造体表面が近傍に且つ所定の距離離れて位置付けされた第2のチタン構造体表面を含む第2のチタン構造体、並びに第2のチタン構造体表面に施された第2のゾル‐ゲル層と複合構造体第2表面との間に位置付けされた、所定量のエポキシ含有化合物を含む。
【0029】
別の態様では、当該アセンブリでは、ゾル‐ゲル層間に位置付けされた所定量のエポキシ含有化合物が、第2のチタン構造体表面及び/又は複合構造体第2表面に施される。
【0030】
別の態様では、少なくとも第1のチタン構造体は、ファスナ部材を形成するように構成されている。
【0031】
さらなる態様では、少なくとも第1のチタン構造体は、スプライスプレート部材を含む。
【0032】
さらなる態様では、少なくとも第1のチタン構造体は、チタン、チタン合金、又はこれらの組み合わせを含む。
【0033】
別の態様では、少なくとも第1のチタン構造体は、Ti-6Al-4V、Ti-15V-3Cr-3Sn-3Al、Ti-15Mo-3Al-3Nb等、又はこれらの組み合わせを含むチタン合金を含む。
【0034】
別の態様では、複合構造体は、炭素繊維、ガラス繊維、ボロン繊維、アラミド繊維、ポリオレフィン繊維、セラミック繊維、又はこれらの組み合わせを含む。
【0035】
さらなる態様では、複合構造体は、エポキシ樹脂を含む。
【0036】
別の態様では、エポキシ含有化合物は、グレード120のエポキシ系又はグレード190のエポキシ系を含む。
【0037】
別の態様では、エポキシ含有化合物は、成形可能なプラスチックシムを形成する。
【0038】
さらなる態様では、当該アセンブリは、ゾル‐ゲル層をコーティングするように構成されたコーティングをさらに含む。
【0039】
別の態様では、コーティングはプライマーを含む。
【0040】
本開示のさらなる態様では、上述のアセンブリのいずれかを含む接合表面及び/又はジョイント、上述のアセンブリを含む静止物体、並びに上述のアセンブリのいずれかを含むビークルが考えられており、ビークルは、有人航空機、無人航空機、有人宇宙船、無人宇宙船、有人回転翼航空機、無人回転翼航空機、ミサイル、ロケット、有人地上ビークル、無人地上ビークル、有人水上輸送ビークル、無人水上輸送ビークル、有人水面下輸送ビークル、及び無人水面下輸送ビークルからなる群から選択される。
【0041】
別の態様では、ゾル‐ゲル層は、チタン構造体表面に金属‐有機界面を形成するために、アルコキシジルコニウムを通して、第1のチタン構造体及び第2のチタン構造体に共有結合するための、アルコールを含まないアルコキシジルコニウムの希薄水性混合物、混合物内で溶解した有機シランカップリング剤、アルコキシジルコニウムの加水分解速度の触媒及び安定剤としての有機酸触媒、並びに他の状況では形成されるZ‐アセタート錯体を破壊する所定量のアンモニア又は水酸化アンモニウムを含むゾル‐ゲルを含む。
【0042】
さらなる態様では、ゾル‐ゲルは、
3‐アミノプロピルトリエトキシシラン(3-amino propyltriethoxysilane)、
3‐グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(3-glycidoxypropyltrimethoxysilane)、
p‐アミノフェニルシラン(p-aminophenylsilane)、
アリルトリメトキシシラン(allyltrimethoxysilane)、
N‐(2‐アミノエチル)‐3‐アミノプロピルトリメトキシシラン、
3‐アミノプロピルトリエトキシシラン、
3‐アミノプロピルトリメトキシシラン、
3‐グリシジルプロピルジイソプロピルエトキシシラン(3-glycidylpropyldiisopropylethoxysilane)、
(3‐グリシドキシプロピル)メチルジエトキシシラン((3-glycidoxypropyl)methyldiethoxysilane)、
3‐グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(3-glycidoxypropyltrimethyoxysilane)、
3‐メルカプトプロピルトリメトキシシラン(3-mercaptopropyltrimethyoxysilane)、
3‐メルカプトプロピルトリエトキシシラン(3-mercaptopropyltriethyoxysilane)、
3‐メタクリルオキシプロピルメチルジエトキシシラン(3-methacryloxypropylmethyldiethoxysilane)、
3‐メタクリルオキシプロピルメチルジメトキシシラン(3-methacryloxypropylmethyldimethoxysilane)、
3‐メタクリルオキシプロピルトリメトキシシラン(3-methacryloxypropyltrimethoxysilane)、
n‐フェニルアミノプロピルトリメトキシシラン(n-phenylaminopropyltrimethoxysilane)、
ビニルメチルジエトキシシラン(vinylmethyldiethoxysilane)、
ビニルトリエトキシシラン(vinyltriethoxysilane)、及び
ビニルトリメトキシシラン(vinyltrimethoxysilane)
からなる群から選択された有機シランを含む。
【0043】
別の態様では、ゾル‐ゲルは、チタンに結合するための、所定量のセリウム‐、イットリウム‐、チタン‐、又はランタン‐有機金属を含み、有機金属は、アルコキシジルコニウムと共に存在するか、又は代わりとなる。
【0044】
別の態様では、ゾル‐ゲルでは、アルコキシジルコニウムは、(R‐O)4‐Zrであり、Rは、2から5の炭素原子を有する低級脂肪族、脂環、又はアリールである。
【0045】
別の態様では、アルコキシジルコニウムは、ゾル‐ゲルの約1体積%を占める。
【0046】
さらなる態様では、ゾルは、
3‐アミノプロピルトリエトキシシラン、
3‐グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、
p‐アミノフェニルシラン、
アリルトリメトキシシラン、
N‐(2‐アミノエチル)‐3‐アミノプロピルトリメトキシシラン、
3‐アミノプロピルトリエトキシシラン、
3‐アミノプロピルトリメトキシシラン、
3‐グリシジルプロピルジイソプロピルエトキシシラン、
(3‐グリシドキシプロピル)メチルジエトキシシラン、
3‐グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、
3‐メルカプトプロピルトリメトキシシラン、
3‐メルカプトプロピルトリエトキシシラン、
3‐メタクリルオキシプロピルメチルジエトキシシラン、
3‐メタクリルオキシプロピルメチルジメトキシシラン、
3‐メタクリルオキシプロピルトリメトキシシラン、
n‐フェニルアミノプロピルトリメトキシシラン、
ビニルメチルジエトキシシラン、
ビニルトリエトキシシラン、及び
ビニルトリメトキシシラン
からなる有機シランを含む。
【0047】
別の態様では、ゾル‐ゲル内のアルコキシジルコニウム対有機シランの体積の比率は、アルコキシジルコニウムが約1、有機シランが約2であり、有機酸は酢酸である。
【0048】
別の態様では、ゾル‐ゲル内のアルコキシジルコニウム対有機シランの体積の比率は、アルコキシジルコニウムが約1、有機シランが約3.4であり、有機酸は酢酸である。
【0049】
さらなる態様では、アセンブリは、有機シランを含むゾル‐ゲルを含み、有機シランは、グリシドキシプロピルトリメトキシシランを含む。
【0050】
さらなる態様では、当該アセンブリは、アルコキシジルコニウムの希薄水性混合物を含むゾル‐ゲルを含み、アルコキシジルコニウムは、テトラ‐n‐プロポキシジルコニウムを含む。
【0051】
本開示のさらなる態様は、少なくとも第1のチタン構造体表面を含む第1のチタン構造体、第1のチタン構造体表面に施されたゾル‐ゲル層、複合構造体第1表面及び複合構造体第2表面を含む複合構造体であって、前記複合構造体第1表面が、前記第1のチタン構造体表面の近傍に且つ前記第1のチタン構造体表面から所定の距離離れて位置付けされている、複合構造体、並びに第1のチタン構造体表面に施されたゾル‐ゲル層と複合構造体第1表面との間に位置付けされた、所定量のエポキシ含有化合物を含むアセンブリを含む接合された表面が考えられている。
【0052】
別の態様では、接合された表面は、第2のチタン構造体表面を含む第2のチタン構造体を含む。
【0053】
別の態様では、接合された表面は、第2のチタン構造体表面に施されたゾル‐ゲル層を含む。
【0054】
別の態様では、接合された表面では、複合構造体第2表面は、第2のチタン構造体表面の近傍に且つ第2のチタン構造体表面から所定の距離離れて位置付けされている。
【0055】
別の態様では、接合された表面は、第2のチタン構造体表面及び/又は複合構造体第2表面に施された、ゾル‐ゲル層間に位置付けされた所定量のエポキシ含有化合物を含む。
【0056】
別の態様では、接合された表面は、第2のチタン構造体表面に施されたゾル‐ゲル層を含む。
【0057】
さらなる態様では、接合された表面は、第2のチタン構造体表面の近傍に且つ第2のチタン構造体表面から所定の距離離して位置付けされた複合構造体第2表面を含む。
【0058】
さらなる態様では、接合された表面は、ゾル‐ゲル層及び/又は複合構造体第2表面に施された、ゾル‐ゲル層と複合構造体第2表面との間に位置付けされた所定量のエポキシ含有化合物を含む。
【0059】
さらなる態様は、アセンブリを含む水平安定板を対象としており、当該アセンブリは、少なくとも第1のチタン構造体表面を含む少なくとも第1のチタン構造体、第1のチタン構造体表面に施されたゾル‐ゲル層、複合構造体第1表面及び複合構造体第2表面を含む複合構造体であって、前記複合構造体第1表面が、前記第1のチタン構造体表面の近傍に且つ前記第1のチタン構造体表面から所定の距離離れて位置付けされている、複合構造体、並びに第1のチタン構造体表面に施されたゾル‐ゲル層と複合構造体第1表面との間で配向されたエポキシ含有化合物を含む。
【0060】
別の態様では、水平安定板は、第2のチタン構造体表面を含む第2のチタン構造体を含む。
【0061】
さらなる態様では、水平安定板は、第2のチタン構造体表面に施された少なくとも1つのゾル‐ゲル層を含む。
【0062】
別の態様では、水平安定板において、複合構造体第2表面は、第2のチタン構造体表面の近傍に且つ第2のチタン構造体表面から所定の距離離れて位置付けされている。
【0063】
別の態様では、水平安定板において、ゾル‐ゲル層間に位置付けされた所定量のエポキシ含有化合物が、第2のチタン構造体表面及び/又は複合構造体表面に施される。
【0064】
別の態様では、水平安定板において、少なくとも第1のチタン構造体は、ファスナ部材を形成するように構成されている。
【0065】
さらなる態様では、水平安定板において、少なくとも第1のチタン構造体は、スプライスプレート部材を含む。
【0066】
別の態様では、第1及び第2のチタン構造体は、ジョイントを形成するように接合される。
【0067】
さらなる態様では、水平安定板において、少なくとも第1のチタン構造体は、チタン、チタン合金、又はこれらの組み合わせを含む。
【0068】
別の態様では、水平安定板において、少なくとも第1のチタン構造体は、Ti-6Al-4V、Ti-15V-3Cr-3Sn-3Al、Ti-15Mo-3Al-3Nb等、又はこれらの組み合わせを含むチタン、チタン合金を含む。
【0069】
別の態様では、水平安定板において、複合構造体は、炭素繊維、ガラス繊維、ボロン繊維、アラミド繊維、ポリオレフィン繊維、セラミック繊維、又はこれらの組み合わせを含む。
【0070】
さらなる態様では、水平安定板において、複合構造体はエポキシ樹脂を含む。
【0071】
別の態様では、水平安定板において、エポキシ含有化合物は、グレード120のエポキシ系又はグレード190のエポキシ系を含む。
【0072】
別の態様では、水平アセンブリにおいて、エポキシ含有化合物は、成形可能なプラスチックシムを形成する。
【0073】
さらなる態様では、水平安定板は、ゾル‐ゲル層をコーティングするように構成されたコーティングをさらに含む。
【0074】
別の態様では、コーティングはプライマーを含む。
【0075】
さらなる態様は、アセンブリを含む物体を対象としており、当該アセンブリは、少なくとも第1のチタン構造体表面を含む少なくとも第1のチタン構造体、第1のチタン構造体表面に施されたゾル‐ゲル層、複合構造体第1表面及び複合構造体第2表面を含む複合構造体であって、前記複合構造体第1表面が、前記第1のチタン構造体表面の近傍に且つ前記第1のチタン構造体表面から所定の距離離れて位置付けされている、複合構造体、並びに第1のチタン構造体表面に施されたゾル‐ゲル層と複合構造体第1表面との間に位置付けされた所定量のエポキシ含有化合物を含む。
【0076】
さらなる態様では、当該物体は、静止物体である。
【0077】
別の態様では、当該物体は、ビークルである。
【0078】
さらなる態様では、当該物体はビークルであり、ビークルは、有人航空機、無人航空機、有人宇宙船、無人宇宙船、有人回転翼航空機、無人回転翼航空機、ミサイル、ロケット、有人地上ビークル、無人地上ビークル、有人水上輸送ビークル、無人水上輸送ビークル、有人水面下輸送ビークル、及び無人水面下輸送ビークルからなる群から選択される。
【図面の簡単な説明】
【0079】
本開示の変形例について一般的な用語で説明してきたが、これから添付の図面をこれから参照する。これらは必ずしも正寸で描かれている訳ではない。
【0080】
【
図1A】先行技術の接合されたアセンブリの透視図及び分解側面図である。
【
図1B】先行技術の水平安定板アセンブリの透視図及び側面図である。
【
図2A】本開示の態様に係る、接合されたアセンブリの透視図及び分解側面図である。
【
図2B】本開示の態様に係る、水平安定板アセンブリの透視側面図である。
【
図3】本開示の態様に係る、接合されたアセンブリの透視側面図である。
【
図4】本開示の態様に係る、接合されたアセンブリの透視側面図である。
【
図5】本開示の態様に係る、接合されたアセンブリを含む航空機を例示する。
【
図6】
図5に示された、本開示の態様に係る接合されたアセンブリの拡大図である。
【
図7】
図6に示された接合されたアセンブリの拡大図である。
【
図8A】本開示の態様に係る方法を概説するフロー図である。
【
図8B】本開示の態様に係る方法を概説するフロー図である。
【
図9A】本開示の態様に係る方法を概説するフロー図である。
【
図9B】本開示の態様に係る方法を概説するフロー図である。
【
図10A】本開示の態様に係る方法を概説するフロー図である。
【
図10B】本開示の態様に係る方法を概説するフロー図である。
【
図11A】本開示の態様に係る方法を概説するフロー図である。
【
図11B】本開示の態様に係る方法を概説するフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0081】
航空機アセンブリでは、典型的に、様々なファスナ及び金属構成部品の使用を通して、複合構造体が金属構造体に接合される。具体的には、水平安定板アセンブリは、典型的に、様々な締結部品(その多くが金属ファスナを含む)の使用を通して、複合外板(例えば、水平安定板)を航空機フレームに接合する。
【0082】
上述のように、本開示の態様は、金属とエポキシ樹脂との間の界面でゾル‐ゲル膜を生成することにより、金属表面(例えば、チタン及びチタン合金表面)の、エポキシ樹脂への付着を改善することを含む。有機金属系カップリング剤の単層を通して、金属‐樹脂の勾配が生じる。
【0083】
したがって、本開示では、金属/エポキシ樹脂表面においてゾル‐ゲル層を生成することにより、金属表面(例えば、チタン及びチタン合金)の、エポキシ樹脂への付着を改善することが考えられており、ゾル‐ゲルは、アルコキシジルコニウムとグリシドキシシラン(glycidoxysilane)カップリング剤との混合物を含む。有機金属化合物は、金属表面及び界面のエポキシ樹脂の両方と反応するか、それらと接合する。表面の多孔性及び微細構造により、幾らかの機械的相互作用も生じ得る。概して、ジルコニウム成分は、金属と共有結合的に接合するが、グリシドキシシラン(glycidoxysilane)はエポキシと接合する。したがって、ゾル‐ゲル工程によって、表面上に金属‐エポキシの勾配を有するゾルコーティングが配向される。
【0084】
本開示に係る、コーティングと金属表面との間で形成されるZr‐O接合は、Ti‐O接合より強力であるので、ジルコン酸塩‐ケイ酸塩ゾルコーティング(zirconate-silicate sol coating)は、長期の湿熱環境下で有用である。Zr‐O接合とTi‐O接合は両方ともSi‐O接合より強力である。より高い結合強度が酸化層の溶解を防ぎ、ゾルコーティング内のZr成分は酸素拡散障壁として機能する。したがって、Zr及びSiを有するハイブリッドコーティングが生じ、構造的接着結合部の優れた接着に必要とされる所望の金属‐エポキシの勾配が生成される。ハイブリッドコーティングは、Zr(又はその代替物)の酸素拡散障壁機能を優れた結合性能にとって望ましいケイ酸塩ネットワークと統合する。
【0085】
エポキシ樹脂に接合される金属表面(例えば、チタン及びチタン合金)に対して考えられている表面処理には、金属表面に付着したゾル‐ゲル膜が含まれ、金属とエポキシ材料との間の付着を改善する界面として適した金属表面コーティングが生成される。ゾル‐ゲル膜又はゾルコーティングは、金属表面においてハイブリッド有機金属系カップリング剤を通して付着を促進する。ゾル‐ゲル膜の生成に使用される、考慮対象のゾルは、安定化したアルコキシジルコニウム有機金属塩(例えば、テトラ‐イソ‐プロポキシジルコニウム又はテトラ‐n‐プロポキシジルコニウム)及び水性製剤のための酢酸触媒を有する有機シランカップリング剤(例えば、3‐グリシドキシプロピルトリメトキシシラン)の希釈溶液を含む。ゾル‐ゲル膜を施すには、リンスすることなく、金属をゾル中に浸漬するか、ゾルで噴霧する。ゾル‐ゲル膜の鍵は、金属との結合部位、及び樹脂と接合する又は(他の状況では)合体する別の部位である。ゾル‐ゲル膜は、金属の特性からエポキシ樹脂含有化合物の特性へと変化する勾配を生じさせる。適切な配向の有機金属系カップリング剤を含むゾルコーティングを有する、汚れのない活性化した金属表面によって、優れた付着が実現する。施された後、ゾルコーティングは、周囲温度で乾燥させられるか、又はより一般的には、周囲温度と250°Fとの間の温度に加熱され、ゾル‐ゲル膜の形成が完成する。
【0086】
理想的には、ゾル中で金属表面とジルコニウム化合物との間で共有結合が起きる。結合が成功するには、汚れがない、化学的に活性化した金属表面が必要である。ゾルコーティングの強度及び耐久性は、例えば、金属の多孔性及び微細構造、並びに再水和に対するゾルコーティングの感受性を含む、表面における化学的且つ微小機械的な相互作用に左右される。1つの好適なゾルコーティングは、接着結合の安定性をもたらす。
【0087】
本開示の態様によると、有用なゾルは、シラン触媒及びジルコニウム安定剤としての有機酸と共にある水又はアルコールキャリア中のアルコキシジルコニウムとグリシドキシシランとのハイブリッド混合物である。ゾルがチタン又はチタン合金表面に施され、ジルコニウムが表面と共有結合し、ゾルを表面上で乾燥させることによってゾルゲルが形成される。グリシドキシシランは、エポキシ樹脂含有材料と共有結合するが、それはエポキシ材料が活性エポキシ官能性(active epoxy functionality)を有するからである。
【0088】
金属のゾルコーティングは、化学結合(共有結合、水素結合、又はファンデルワールス力)を介して、樹脂と基板との結合を達成するが、高希釈された有害金属の従来の使用による環境への影響を最小限に抑える。金属上にゾルコーティング(ゾル-ゲル膜とも呼ばれる)を形成するのに好ましいゾルは、Zrを介して金属に共有結合する有機ジルコニウム化合物(例えば、テトラ‐n‐プロポキシジルコニウム)、及びエポキシ接着剤(触媒としての水性配合物中の酢酸触媒及び加水分解安定剤のZr率を有する)に共有結合する有機シラン(3‐グリシドキシプロピルトリメトキシシラン)を含む。
【0089】
成功した表面処理では、湿熱環境における接着結合した試験片の典型的な破壊モードは、有機接着層における凝集破壊である。その場合、接着結合ができるだけ強いように、ゾルゲル膜はバルク接着剤よりも強い。
【0090】
本開示の態様によると、ゾル‐ゲル化学は、金属表面から、ハイブリッド有機金属ゾル‐ゲル膜を介して、接着剤までの勾配を生じさせる約20nmから500nmの範囲内の厚さのバインダーコーティングを実現する。好適なゾルコーティングの結合強度及び耐久性は、有機シラン及び有機ジルコニウム化合物を含めることにより向上する。有機シランは、エポキシ接着剤と共有結合するか、さもなければエポキシ接着剤に関連付けられる。理想的には、共有結合は、ゾル‐ゲルと金属表面との間の界面でも起きる。ゾルコーティングの設計(すなわち、多孔性、微細構造)に応じて、機械的相互作用も役割を果たし得る。湿潤条件でのゾル‐ゲル膜の耐久性は、膜が再水和するかどうかに左右される。膜が厚すぎると、ガラス状になる。
【0091】
「ゾル‐ゲル」という用語、すなわち、溶液の収縮‐ゲル化は、可溶性の金属種(通常、金属アルコキシド又は金属塩)が加水分解され、金属水酸化物が形成される一連の反応のことを指している。可溶性の金属種は、通常、接着構造内の樹脂に対応するように適合された有機配位子を含む。金属水酸化物は、溶液中で凝縮(解膠)して、ハイブリッド有機/無機ポリマーを形成する。反応条件に応じて、金属ポリマーは、濃縮されてコロイド粒子となるか、又は、成長してネットワークゲルが形成される。ポリマーマトリクス内の有機対無機の比率が制御されて、特定用途のための性能が最大化される。
【0092】
多くの金属は、ゾル‐ゲル反応を起こすことが知られている。ケイ素とアルミニウムのゾル‐ゲル系は、広く研究されてきた。ケイ素を例とする代表的なゾル-ゲル加水分解及び縮合反応は、式(1)及び(2)で示される。
Si(OEt)4+2H2O→Si(OH)4+4EtOH 加水分解(1)
Si(OH)4→SiO2+2H2O 縮合(2)
Etは、CH3CH2--である。加水分解及び縮合反応が完了して、金属酸化物又は含水金属水酸化物に完全に転化することができる。それらは部分的であり得、完成したゲル中にアルコキシド官能性をより多く残す。反応条件に応じて、反応(1)及び(2)は、ナノスケール粒子の合成において実証されるように、別個の酸化物微粒子を生成することができ、又は、膜形成において利用され得るネットワークゲルを形成することができる。得られるゲルの溶媒への溶解度は、粒子の大きさ及びネットワーク形成の程度に左右される。
【0093】
ゾルからのゾル‐ゲル膜を結合するための、汚れがない、化学的に活性化した金属表面は、噴霧又は浸漬により実現した。優れた接着性を得るためには、洗浄は重要な要素である。表面が汚い場合、結合は、汚れによって遮断されるか、又は、ゾルと表面との間ではなく、ゾルと汚れとの間で起こる。化学的に活性化した表面を得ることは、些細なことではない。チタンは、受動酸化物表面を生成する。裸で純粋なチタン表面は、直ちに空気中又は乾燥酸素中で酸化されて、約2nmから約4nm(すなわち、約20から40Å)の範囲内の厚さのバリアチタン酸化膜(barrier titanium oxide film)が形成される。チタン表面酸化物は、活性金属水酸化物を形成するために、アルミニウム表面酸化物ほど容易には加水分解しない。しかしながら、水は酸化チタンの表面上に化学吸着する。アルミニウムは、空気中で同じように迅速に又はより迅速に酸化する。
【0094】
チタン合金のHNO3‐HFエッチングは、TiO2アルファケースを除去するが、結合が困難な滑らかな表面をつくりだす。TURCO5578やOAKITE160のような従来のアルカリ性エッチングは、接着結合により適した粗面をつくりだすが、粘り強いスマット層(smut layer)をつくりだす。スマットは接着を劇的に減少させる。アルカリ性エッチングの後、高温HNO3中で長い間浸漬しても、依然としてスマットが幾らか残った。一工程では、表面は、リンスされ、HNO3‐Hfでエッチングされ、再びリンスされて、その後アルカリ性エッチングされる。もう一度リンスされた後、表面は、BOECLENEで一回又は複数段階においてスマット除去され、それにより、本発明のゾルコーティングを介した接着結合に適した、汚れがなく活性化された表面が生成される。
【0095】
本開示の態様によると、チタン上でのゾルゲル膜の形成には、酸化チタン表面を有するゾル中の加水分解されたジルコニウムアルコキシド、有機シラン、又はその両方のルイス酸/塩基相互作用が関わる。任意の特定の理論に縛られるわけではないが、この相互作用は、化学吸着水によって補助される可能性があり、それにより、結合したZr-O-Ti又はSi-O-Ti結合及び表面上の新しいTi-OH結合の形成が引き起される。アルミニウムについても同様の反応が起こる。任意の特定の理論に縛られるわけではないが、金属表面と共有結合する金属アルコキシドの能力は、アルミニウムよりもチタンの場合においてより多くのエネルギーを要する可能性が最も高い。チタン合金との完全な結合及び共有結合の形成は、接着剤の硬化中に通常起こるような、部品が高温に達するまで起こらないことがある。
【0096】
ゾル‐ゲル化学は非常に用途が広い。反応条件(例えば、試剤の濃度又は触媒の種類)は、加水分解及び縮合反応の相対速度を制御する。薄い膜を容易に形成するか、又は微細なコロイド粒子に凝縮するゾルゲル溶液を調製することができる。出発材料及び反応条件は、陽極酸化及びエッチングプロセスで達成される表面コーティングと同様の形態を有する膜を生成することができる。密度、多孔性、及び微細構造は、ゾルの化学的性質を制御することによって調整することができる。
【0097】
ゾル‐ゲル縮合反応は、金属/酸化物表面の酸‐塩基特性の影響を受ける。チタンの等電点(IEP、表面pHの尺度)は、アルミニウム表面(IEP=9.2)よりも酸性(IEP=6.0)であり、ゾルで金属の表面の化学的性質を変化させる。
【0098】
水性洗浄剤で表面を脱脂することによって最初に調製された6インチ×6インチ×0.50インチのサイズのチタン‐6Al‐4V(Ti‐6‐4)合金の試験パネルに対して、スクリーニング研究が行われた。次に、パネルは、#180グリットアルミナ(#180 grit alumina)でグリットブラストされた後、最終的に水性洗剤を用いて洗浄され、HNO3‐Hf浸漬タンク中でゆるく付着したグリット又はエッチングされた酸の存在が最小限に抑えられた。これらの試験のためのゾルは、酢酸触媒と共に3‐グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(GTMS)とテトラ‐n‐プロポキシジルコニウム(TPOZ)との希薄水性混合物から構成されたものである。典型的に、パネルは、10分間の浸漬時間にわたって浸漬コーティングされ、15から30分間かけて周囲条件下で保持され、15から30分間かけて230°Fのオーブンで乾燥させられた。ゾルコーティングが完成すると、試験片は、プライマー、次いでエポキシ接着剤を受け入れる準備ができている。さらに、アルコールをキャリア又は溶媒として用いて、対応する配合物が試験された。これらのエポキシゾルは、典型的に約4~5のpHを有する。
【0099】
試験片は、BMS5‐89クロメート接着プライマー(chromated adhesive primer)(American Cyanamid BR127)で下塗りされた。次に、BMS5‐101タイプIIグレード(Dexter-Hysol EA 9628)250℃硬化エポキシ接着剤を用いて、オートクレーブ内で接着重ね継手を形成するために、2つのゾルコーティングパネルが共に結合された。
【0100】
スクリーニングレベル試験では、ASTM D3762くさび試験が用いられ、接着強度を試験するために、140℃及び95%を越える相対湿度に曝露された。結合したパネルは、5つの1”×6”の細片状の試験片に切断され、くさびがボンドラインに押し込まれた。くさびを最初に押し込んだ後、且つ、140℃及び95%を越える相対湿度に1時間、24時間、一週間、及びそれより長い期間にわたって曝露された後、ボンドラインに沿った亀裂の進行が測定された。サンプルは、湿度チャンバ内で2500時間を超える総曝露時間にわたってモニタリングされた。典型的な試験結果は、従来のクロム酸陽極処理(CAA)と比較された。
【0101】
さらに、優れたくさび亀裂スクリーニング特性を示したパネルに対して重ね剪断試験が実施された。フィンガーパネルは、下塗りされて、5-101接着剤で重ね結合(lap bond)された。測定は、-65°F、室温、及び165°Fで行なわれた。
【0102】
ゾルがアルコール系である場合、水性系は、プロセスに伴う可燃性、安全性、毒性、及び環境上の懸念の多くを緩和する。溶液中での安定性、及び一般的な航空宇宙エポキシ又はウレタン(シアン酸エステル)接着剤と架橋する能力の故に、グリシドキシシラン(エポキシ)が選択された。シランは、酸‐塩基中性(ph≒7.0)であるので、そのゾル混合物中の存在は、アルコキシドの相対加水分解及び縮合率を増加させない。有機シランを含むソルは、調製が比較的容易であり、再現性のある結果を適用するのが比較的容易である。
【0103】
有機シランカップリング剤の選択は、BMSエポキシ結合系の高温/湿潤安定性を改善する重要な要因であった。GTMSは、結合プライマーと反応することができる活性エポキシ基を含んでいた。GTMSは、水和酸化チタン基材と強いルイス酸‐塩基相互作用を形成しなかった。GTMSを使用した場合、酸化チタン表面は、ジルコニウム有機金属により接近可能であり、シランカップリング剤のエポキシ基が(又は場合によっては、ジルコニウム化合物さえも)プライマーに向けて配向された状態で、実質的に単層でのゾル‐ゲル膜の所望の層状化を可能にした。理想的な濃度は、用途のモードに左右される。噴霧又は浸漬の用途には、より高い濃度が好ましいことがある。この配向により、チタン基材とジルコニアとシリカ(すなわち、M-O-M結合)との間で強い共有結合が生じることが可能となり、GTMSのエポキシ部分とエポキシ接着剤との間の結合が最大化された。
【0104】
シランカップリング剤の物理的なサイズも接着に影響する。アルミニウムの研究によると、カップリング剤としてGTMSの代わりにエポキシシクロヘキシルプロピルトリメトキシシラン(epoxycydohexylpropyltrimethoxysilane)を使用すると、初期の接着性と加水分解性の両方の安定性が低下することが明らかになった。性能の違いは、有機官能性のサイズの違いに起因し得る。任意の特定の理論に縛られるわけではないが、このサイズの効果は、ケイ素に直接付着した、かさばったアルキル基による加水分解及び縮合反応の両方の物理的干渉の結果である可能性が最も高い。加水分解が不完全となり、水酸化ケイ素がアルミニウム表面と効果的に縮合することができなかった。これらの結果は、噴霧又は浸漬コーティング用途のための最も有効なカップリング剤は、加水分解及び縮合反応を立体的に妨げないように、より小さくなることを示唆している。
【0105】
ゾル中の反応物の濃度は、概して、体積百分率として判断された。スクリーニング試験では、2体積%のGTMS及び1体積%のTPOZを使用した。この濃度は、シリコン対ジルコニウムのモル比3.7:1に相当する。関連する研究は、反応物の濃度がわずかにより高いと、すなわち、(Si+Zr)=4.4体積%であると、より優れた結果をもたらすことができることを示唆するので、最適な性能(最強の表面付着性)を得るためにGTMSとTPOZの比をさらに調整することが必要かもしれない。より化学的に活性なZrの故に、混合した(Zr+Si)ゾルで高い接着力が生じることになる。
【0106】
有機ジルコニウム化合物は、表面への酸素の拡散を最小限にし、金属‐樹脂界面を安定化させる働きをする。ゾルコーティングプロセスの変形例として、ゾル‐ゲル膜を形成するためにハイブリッド有機金属ゾルを塗布する前に、安定剤を表面に塗布して、バリヤ膜を形成してもよい。
【0107】
アルコール系ゾルは、加水分解の量を厳密に制御することを可能にする。しかしながら、同様のアルコール系コーティングと水系コーティングとの比較によって実証されるように、水性系の最適化は、実際には、アルコール系よりも優れた高温/湿潤耐久性をもたらす。
【0108】
ゾルのエイジング(すなわち、「誘導時間」)は、本開示の態様に従ってゾルを使用する上でもう一つの重要な要素である。ゾル‐ゲル膜中の有機金属の完全な加水分解及び縮合は、金属中で加水分解的に安定した金属酸化物膜を発達させる上で重要であるとみなされた。ゾル‐ゲル膜中の加水分解性アルコキシドの存在は、2つの悪影響を有する。第1に、すべての残留アルコキシドは、金属とカップリング剤との間の不完全な縮合部位を表す。したがって、不完全な縮合は、ゾル‐ゲル膜の最終的な結合強度を低下させる。第2に、湿気の多い環境では、これらのアルコキシド残基は加水分解することができる。加水分解に伴う構造変化は、ゾル‐ゲル膜内で応力を引き起こし、これにより、ゾル‐ゲル膜内で又は界面のうちの1つ(金属/膜、或いは、膜/プライマー又は接着剤)において、欠陥を発生させると考えられている。
【0109】
エイジングは、ジルコニウムアルコキシド及び有機シランの加水分解反応の速度の関数である。テトラ‐n‐プロポキシジルコニウムは、シランよりも水又は他の活性水素とより迅速に反応する。ジルコン酸塩は、周囲の水分を用いて急速に加水分解し、ジルコン酸塩自体と又はチタン表面上の吸収水と縮合する。適切に制御しないと、このジルコン酸塩加水分解自己縮合反応は、不溶性ジルコニウムオキシ水酸化物を生成する場合があり、これは沈殿して非反応性になる。
【0110】
しかしながら、調製された後、短時間しか経ってないままゾルが塗布されると、有機シランが完全に加水分解しないことがある。ゾルが古くなると、加水分解されたケイ素及びジルコニウム成分は互いに縮合し、オリゴマー及びネットワークを形成することがある。これらのネットワークは、やがて肉眼で見えるようになり、不溶性になる。理想的な溶液の寿命は、ジルコニウム及びケイ素が十分に加水分解され、ジルコニウム及びケイ素が金属表面と反応する時点である。概して、この時点で幾つかの金属ポリマー及びネットワークがゾル中で形成されており、ゾル‐ゲル膜に何らかの構造が与えられる。
【0111】
ジルコニウムアルコキシドを氷酢酸と混合することにより、ジルコニウムとケイ素成分を同様の時間スケールで加水分解させ、速やかに反応する4配位ジルコニウム酸塩の中心(four-coordinate zirconate center)を安定化させ、水性系を可能にした。この混合は、ジルコニウム成分の幾何学的且つ電子的性質を効果的に変化させた。ジルコニウム‐酢酸錯体を形成するのに必要な最小量の酢酸を使用した。クエン酸、グリコール、エトキシエタノール、H2N--CH2--CH2--OHなどの他の有機酸を酢酸に置き換えることができる。
【0112】
X線吸収端近傍構造(XANES)の解析に用いられた拡張X線微細構造(EXAFS)分析は、末端アルコキシ基がアセチル基で置換されたゾル中のジルコニウムポリマーを同定した。架橋アルコキシド基は、6重配位でZr原子を配置する平衡状態で存在した。ジルコニウムは、その後、よりゆっくりと加水分解され、好ましい有機シランと同様の加水分解時間スケールに置かれた。IR測定は、アセテート配位が一座配位であることを示した。
【0113】
ゾルコーティング工程に関係する加水分解及び縮合反応の相対速度は、触媒のタイプ(酸又は塩基)、反応における試剤の濃度、選択された金属アルコキシド、及び加水分解に利用可能な水によって制御される。酸性触媒は縮合反応よりも加水分解反応を促進したが、塩基触媒は逆の反応を示した。酢酸及び硝酸などの各種酸性触媒や水酸化アンモニウムやトリエチルアミンなどの塩基性触媒の影響を調べた。これらの配合物の場合、塩基触媒は、縮合反応をあまりにも激しく促進し、溶液のポットライフを短くした。ゾルが混合された後、コロイド状ジルコン酸塩-ケイ酸塩粒子は未熟なまま沈殿した。硝酸は触媒として有効であったが、酢酸中の酢酸イオンのような配位配位子を介してジルコン酸塩を安定化させなかったので、ゾルのエイジングは異なる予測できない結果となった。したがって、酢酸は触媒として選択された。ゾルは調製後すぐに使用しなければならないが、ゾルを希釈して自己縮合反応を制御することにより、ポットライフを延長した。
【0114】
酢酸は、加水分解用の触媒及びジルコニウム錯体用の安定剤としても機能するので、酢酸の量はゾルにおいても重要な役割を果たす。概して、スクリーニング試験を通して、有機シランを有機ジルコニウムに組み合わせる前に、0.13モルの氷酢酸が0.091モルの有機シランに添加された。酢酸の量を0.26モルに倍増することにより、結合性能が改善されたが、添加量を3倍にして0.39モルにしても結合性能は改善されなかった。傷つきやすい航空機部品やコンポーネントの製造に用いられる配合には、酢酸の量がより少ない方が最適であると考えられている。
【0115】
金属表面は、液状とペースト状の両方のHNO3‐HFでブラスト処理又は酸エッチングを用いて洗浄された。ゾルは、基材表面の化学的部分と直接反応するので、接着は表面の前洗浄に敏感である。汚れ及びスマットは、比較的緩く表面に付着するので、洗浄プロセスから生じる残渣(汚れ)又はスマットは、接着結合性能に対して劇的に影響を及ぼすことがある。
【0116】
図1Aは、代表的な先行技術の水平安定板アセンブリジョイント10Aの側方断面の概略斜視図を示す。第1及び第2のチタン構造体11a及び11bは、様々なコーティングが施されているように示されている。図示の第1及び第2のチタン構造体11a、11bは、それぞれの外表面が、プライマーコーティング12a、12bによって覆われている。プライマーコーティング12a、12bは、接着コーティング13a、13bによって覆われているように示されている。繊維ガラス層14a、14bは、それぞれ接着層13a、13bに付着しているように示されている。複合材料外板16は、第1の成形可能なプラスチックシム(MPS)15aと第2の成形可能なプラスチックシム15bとの間で挟持されているように示されている。MPS15a、15bは、それぞれ、繊維ガラス層14aと繊維ガラス層14bとの間に挟持されているように示されている。したがって、アセンブリ10Aにおいては、複合材料外板は、第1のチタン構造体11aと第2のチタン構造体11bとの間で、それらの間に繊維ガラス層14a、14bと共に成形可能なプラスチックシム15a、15bが置かれた状態で固定され、それにより、所望の且つ所定の度合で複合材料外板を第1及び第2のチタン構造体にしっかりと固定することを試みる。図示するように、チタン構造体は、
図1Aでは図示されない追加のファスナ(例えば、ボルト)を介して共に接合されたスプライスプレートであってもよい。
【0117】
図1Bは、代表的な先行技術の水平安定板アセンブリジョイント10Bの側方断面の概略斜視図を示す。第1及び第2のチタン構造体11a及び11bは、様々なコーティングが施されているように示されている。図示の第1及び第2のチタン構造体11a、11bは、それぞれの外表面が、プライマーコーティング12a、12bによって覆われている。プライマーコーティング12a、12bは、接着コーティング13a、13bによって覆われているように示されている。繊維ガラス層14a、14bは、それぞれ接着層13a、13bに付着しているように示されている。複合材料外板16は、第1の成形可能なプラスチックシム(MPS)15aと第2の成形可能なプラスチックシム15bとの間で挟持されているように示されている。MPS15a、15bは、それぞれ、繊維ガラス層14aと繊維ガラス層14bとの間に挟持されているように示されている。したがって、アセンブリ10Bにおいては、複合材料外板は、第1のチタン構造体11aと第2のチタン構造体11bとの間で、それらの間に繊維ガラス層14a、14bと共に成形可能なプラスチックシム15a、15bが置かれた状態で固定され、それにより、所望の且つ所定の度合で複合材料外板を第1及び第2のチタン構造体にしっかりと固定することを試みる。図示するように、チタン構造体は、
図1Bでは図示されない追加のファスナ(例えば、ボルト)を介して共に接合されたスプライスプレートであってもよい。
【0118】
図2Aは、本開示の態様に係る、代表的な水平安定板アセンブリジョイント20Aの側方断面の概略斜視図を示す。第1及び第2のチタン構造体21a及び21bは、様々なコーティングが施されているように示されている。図示の第1及び第2のチタン構造体21a、21bは、それぞれの外表面が、ゾル‐ゲルコーティング22a、22b(ゾル‐ゲル層22a、22bとも呼ばれる)によって覆われている。ゾル‐ゲル層又はコーティング22a、22bは、プライマーコーティング23a、23bによってそれぞれ覆われているように示されている。
図2Aで示すように、複合材料外板26(本明細書で複合材料構造体26とも呼ばれる)は、第1の成形可能なプラスチックシム(MPS)25aと第2の成形可能なプラスチックシム25bとの間で挟持されているように示されている。これらのMPS25a、25bを形成するために、所定量のエポキシ含有化合物25a、25bが硬化される。したがって、アセンブリジョイント20Aにおいては、複合材料外板26は、第1のチタン構造体21aと第2のチタン構造体21bとの間で、それらの間に成形可能なプラスチックシム25a、25bが置かれた状態で固定される。
図1A及び
図1Bに示すような中間繊維ガラス層を使用せずに、
図2Aで示すように、複合材料外板を第1及び第2のチタン構造体にしっかりと固定するための所望の且つ所定の度合が達成される。
図2Aで示すように、第1及び第2のチタン構造体21a、21bは、
図2Aでは図示されない追加のファスナ(例えば、ボルト)を介して共に接合されたスプライスプレートであってもよい。
【0119】
図2Bは、代表的な水平安定板アセンブリジョイント20Bの側方断面の概略斜視図を示す。第1及び第2のチタン構造体21a及び21bは、様々なコーティングが施されているように示されている。図示の第1及び第2のチタン構造体21a、21bは、それぞれの外表面が、ゾル‐ゲルコーティング22a、22bによって覆われている。複合材料外板26は、第1の成形可能なプラスチックシム(MPS)25aと第2の成形可能なプラスチックシム25bとの間で挟持されているように示されている。したがって、アセンブリジョイント20Bにおいては、複合材料外板26は、第1のチタン構造体21aと第2のチタン構造体21bとの間で、それらの間に成形可能なプラスチックシム25a、25bが置かれた状態で固定され、それにより、所望の且つ所定の度合で複合材料外板を第1及び第2のチタン構造体にしっかりと固定することを試みる。図示するように、第1及び第2のチタン構造体21a、21bは、
図2Bでは図示されない追加のファスナ(例えば、ボルト)を介して共に接合されたスプライスプレートであってもよい。
【0120】
図3は、代表的な水平安定板アセンブリジョイント30の一部の側方断面の概略斜視図を示す。第1及び第2のチタン構造体31a及び31bは、様々なコーティングが施されているように示されている。図示の第1及び第2のチタン構造体31a、31bは、それぞれの外表面が、ゾル‐ゲルコーティング32a、32bによって覆われている。複合材料外板36(本明細書で複合材料構造体36とも呼ばれる)は、第1の成形可能なプラスチックシム(MPS)35aと第2の成形可能なプラスチックシム35bとの間で挟持されているように示されている。これらのMPS35a、35bを形成するために、所定量のエポキシ含有化合物35a、35bが硬化される。したがって、アセンブリ30においては、複合材料外板36は、第1のチタン構造体31aと第2のチタン構造体31bとの間で、それらの間に成形可能なプラスチックシム35a、35bが置かれた状態で固定され、それにより、所望の且つ所定の度合で複合材料外板を第1及び第2のチタン構造体にしっかりと固定することを試みる。図示するように、第1及び第2のチタン構造体3
1a、3
1bは、ボルトアセンブリ37を介して共に接合されたスプライスプレートであってもよい。
【0121】
図4は、さらに考慮された代表的な水平安定板アセンブリジョイント40の一部の側方断面の概略斜視図を示す。第1のチタン構造体41は、様々なコーティングが施されているように示されている。図示の第1のチタン構造体41は、ゾル‐ゲルコーティング42によって覆われている1つの表面を有する。したがって、アセンブリジョイント40では、複合材料外版46(ここでは複合材料構造体46とも呼ばれる)は、それらの間に成形可能なプラスチックシム45が置かれた状態で固定され、それにより、所望の且つ所定の度合で複合材料外板46を第1のチタン構造体41にしっかりと固定することを試みる。MPS45を形成するために、所定量のエポキシ含有化合物45が硬化される。図示のように、チタン構造体41は、図示のボルトアセンブリ47などのファスナを介して、複合材料(例えば、複合外板コンポーネント)を航空機フレームに固定するスプライスプレート又はその他の構造体であってもよい。したがって、本明細書の
図3及び他の図で示されているような、第1の金属コンポーネントと第2の金属コンポーネントとの間の「挟持された」接合配向に対して、
図4は、複合材料外板46などの複合コンポーネントが、ジョイントアセンブリでゾル‐ゲルコーティング及び単一の成形可能なプラスチックシムを有する単一の金属(例えば、チタン、チタン合金)コンポーネントに固定される本開示の態様を示す。
【0122】
図5は、水平安定板アセンブリの領域52を強調するボックス52を有する航空機50の代表的な実例である。
【0123】
図6は、水平安定板アセンブリ60の一部の拡大図であり、外部スプライス-上方パネル(プレート)62aに接合された前桁64、外部スプライスプレート-下方スプライスパネル(プレート)62b、及び「A」外部スプライス後桁を示す。
【0124】
図7は、
図5及び
図6に示された水平安定板アセンブリ60の露出部分のさらなる拡大図である。
図7は、外部スプライス-上方パネル(プレート)62a及び外部スプライスプレート-下方パネル(プレート)62bに接合された前桁64、並びに「A」外部スプライス後桁の接合を示す。
【0125】
図8A、8B、9A、9B、10A、10B、11A、及び11Bは、本開示の態様に係る方法を概説するフロー図である。一態様によると、
図8Aは、第1のチタン構造体表面を露出するステップ(81)、ゾル‐ゲル層を第1のチタン構造体表面に施すステップ(83)、複合構造体第1表面を第1のゾル‐ゲル層を含む第1のチタン構造体表面の近傍に且つ第1のチタン構造体表面から所定の距離離して位置付けするステップ(85)、及び所定量のエポキシ含有化合物を第1のチタン構造体表面上のゾル‐ゲル層と複合構造体第1表面との間に位置付けするステップ(86)を含む、チタン構造体を複合構造体に接合する方法80aを概説する。
図8A、9A、10A、11Aの各図について、本開示では、複合構造体第1表面をゾル‐ゲル層を含む第1のチタン構造体表面の近傍に且つ第1のチタン構造体表面から所定の距離離して位置付けするステップ(85)の前に、それと同時に、又はその後に、エポキシ含有化合物の所定の層をチタン構造体表面上のゾル‐ゲル層に施し、位置付けすることが考えられている。つまり、複合構造体表面をチタン構造体表面上のゾル‐ゲル層の近傍に且つゾル‐ゲル層から所定の距離離して位置付けする前に、エポキシ含有化合物が、ゾル‐ゲル層にわたって広がる場合があり、又は、ステップ85の後、エポキシ含有化合物が、ゾル‐ゲルでコーティングされたチタン構造体と複合構造体との間に位置付け(例えば、注入)される場合がある。
【0126】
図8Bは、本開示のさらなる態様を概説する。一態様によると、
図8Bでは、第1のチタン構造体表面を露出するステップ(81)、第2のチタン構造体表面を露出するステップ(82)、第1のゾル‐ゲル層を第1のチタン構造体表面に施すステップ(83)、ゾル‐ゲル層を第2のチタン構造体表面に施すステップ(84)、複合構造体第1表面を第1のゾル‐ゲル層を含む第1のチタン構造体表面の近傍に且つ第1のチタン構造体表面から所定の距離離して位置付けするステップ(85)、複合構造体第2表面をゾル‐ゲル層を含む第2のチタン構造体表面の近傍に且つ第2のチタン構造体表面から所定の距離離して位置付けするステップ(85a)、所定量のエポキシ含有化合物を第1のチタン構造体表面上のゾル‐ゲル層と複合構造体第1表面との間に位置付けするステップ(86)、及び所定量のエポキシ含有化合物をゾル‐ゲル層と複合構造体第2表面との間に位置付けするステップ(87)を含む方法80bを概説する。
図8A及び
図8Bで概説された方法では、ゾル‐ゲルコーティングが既に施された状態で第1及び第2のチタン構造体を設けるように、ステップ81と83を組み合わせ、ステップ82と84を組み合わせることが考えられ、且つ含まれていると理解されている。
図8B、9B、10B、11Bの各図について、本開示では、複合構造体の第1及び第2の表面をゾル‐ゲル層を含む第1及び第2のチタン構造体表面の近傍に且つ第1及び第2のチタン構造体表面から所定の距離離してそれぞれ位置付けするステップ(85、85a)の前に、それと同時に、又はその後に、エポキシ含有化合物の所定の層をチタン構造体表面上のゾル‐ゲル層に施し、位置付けすることが考えられている。つまり、複合構造体の第1及び第2の表面を第1及び第2のチタン構造体表面上のゾル‐ゲル層の近傍に且つゾル‐ゲル層から所定の距離離して位置付けする前に、エポキシ含有化合物が、ゾル‐ゲル層にわたって広がる場合があり、又は、(例えば、ステップ85、85aの後)、エポキシ含有化合物が、ゾル‐ゲルでコーティングされた第1及び第2のチタン構造体と第1及び第2の複合構造体表面との間に位置付け(例えば、注入)される場合がある。
【0127】
一態様によると、
図9Aは、第1のチタン構造体表面を露出するステップ(81)、ゾル‐ゲル層を第1のチタン構造体表面に施すステップ(83)、複合構造体第1表面を第1のゾル‐ゲル層を含む第1のチタン構造体表面の近傍に且つ第1のチタン構造体表面から所定の距離離して位置付けするステップ(85)、所定量のエポキシ含有化合物を第1のチタン構造体表面上のゾル‐ゲル層と複合構造体第1表面との間に位置付けするステップ(86)、及びエポキシ含有化合物を硬化するステップ(92)を含む、チタン構造体を複合構造体に接合する方法90aを概説する。
【0128】
図9Bは、本開示のさらなる態様を概説し、方法90bは、第1のチタン構造体表面を露出するステップ(81)、第2のチタン構造体を露出するステップ(82)、第1のゾル‐ゲル層を第1のチタン構造体表面に施すステップ(83)、ゾル‐ゲル層を第2のチタン構造体表面に施すステップ(84)、複合構造体第1表面を第1のゾル‐ゲル層を含む第1のチタン構造体表面の近傍に且つ第1のチタン構造体表面から所定の距離離して位置付けするステップ(85)、複合構造体第2表面をゾル‐ゲル層を含む第2のチタン構造体表面の近傍に且つ第2のチタン構造体表面から所定の距離離して位置付けするステップ(85a)、所定量のエポキシ含有化合物を第1のチタン構造体表面上のゾル‐ゲル層と複合構造体第1表面との間に位置付けするステップ(86)、及び所定量のエポキシ含有化合物をゾル‐ゲル層と複合構造体第2表面との間に位置付けするステップ(87)、及びエポキシ含有化合物を硬化するステップ(92)を含む。
図9A及び
図9Bで概説された方法では、ゾル‐ゲルコーティングが既に施された状態で第1及び第2のチタン構造体を設けるように、ステップ81と83を組み合わせ、ステップ82と84を組み合わせることが考えられ、且つ含まれていると理解されている。
【0129】
別の態様によると、
図10Aは、第1のチタン構造体表面を露出するステップ(81)、ゾル‐ゲル層を第1のチタン構造体表面に施すステップ(83)、コーティングを第1のチタン基板表面上のゾル‐ゲル層に施すステップ(102)、複合構造体第1表面をゾル‐ゲル層を含む第1のチタン構造体表面の近傍に且つ第1のチタン構造体表面から所定の距離離して位置付けするステップ(85)、及び所定量のエポキシ含有化合物を第1のチタン構造体表面上のゾル‐ゲル層と複合構造体第1表面との間に位置付けするステップ(86)を含む、チタン構造体を複合構造体に接合する方法100aを概説する。
【0130】
図10Bは、第1のチタン構造体表面を露出するステップ(81)、第2のチタン構造体表面を露出するステップ(82)、第1のゾル‐ゲル層を第1のチタン構造体表面に施すステップ(83)、ゾル‐ゲル層を第2のチタン構造体表面に施すステップ(84)、コーティングを第1のチタン基板表面上のゾル‐ゲル層に施すステップ(102)、コーティングを第2のチタン基板表面上のゾル‐ゲル層に施すステップ(104)、複合構造体第1表面を第1のゾル‐ゲル層を含む第1のチタン構造体表面の近傍に且つ第1のチタン構造体表面から所定の距離離して位置付けするステップ(85)、複合構造体第2表面をゾル‐ゲル層を含む第2のチタン構造体表面の近傍に且つ第2のチタン構造体表面から所定の距離離して位置付けするステップ(85a)、所定量のエポキシ含有化合物を第1のチタン構造体表面上のゾル‐ゲル層と複合構造体第1表面との間に位置付けするステップ(86)、及び所定量のエポキシ含有化合物をゾル‐ゲル層と複合構造体第2表面との間に位置付けするステップ(87)を含む方法100bを概説する。
図10A及び
図10Bで概説された方法では、ゾル‐ゲル層及び/又はコーティング(例えば、プライマーコーティング)のいずれか又は両方が既に施された状態で第1及び第2のチタン構造体を設けるように、ステップ81と83を組み合わせ、ステップ82と84を組み合わせることが考えられ、且つ含まれていると理解されている。
【0131】
図11Aは、第1のチタン構造体表面を露出するステップ(81)、ゾル‐ゲル層を第1のチタン構造体表面に施すステップ(83)、コーティングを第1のチタン基板表面上のゾル‐ゲル層に施すステップ(102)、複合構造体第1表面をゾル‐ゲル層を含む第1のチタン構造体表面の近傍に且つ第1のチタン構造体表面から所定の距離離して位置付けするステップ(85)、所定量のエポキシ含有化合物を第1のチタン構造体表面上のゾル‐ゲル層と複合構造体第1表面との間に位置付けするステップ(86)、及びエポキシ含有化合物を硬化するステップ(92)を含む、チタン構造体を複合構造体に接合する方法110aを概説する。
【0132】
図11Bは、本開示のさらなる態様を概説し、方法1
10bは、第1のチタン構造体表面を露出するステップ(81)、第2のチタン構造体表面を露出するステップ(82)、第1のゾル‐ゲル層を第1のチタン構造体表面に施すステップ(83)、ゾル‐ゲル層を第2のチタン構造体表面に施すステップ(84)、コーティングを第1のチタン基板表面上のゾル‐ゲル層に施すステップ(102)、コーティングを第2のチタン基板表面上のゾル‐ゲル層に施すステップ(104)、複合構造体第1表面を第1のゾル‐ゲル層を含む第1のチタン構造体表面の近傍に且つ第1のチタン構造体表面から所定の距離離して位置付けするステップ(85)、複合構造体第2表面をゾル‐ゲル層を含む第2のチタン構造体表面の近傍に且つ第2のチタン構造体表面から所定の距離離して位置付けするステップ(85a)、所定量のエポキシ含有化合物を第1のチタン構造体表面上のゾル‐ゲル層と複合構造体第1表面との間に位置付けするステップ(86)、所定量のエポキシ含有化合物をゾル‐ゲル層と複合構造体第2表面との間に位置付けするステップ(87)、及びエポキシ含有化合物を硬化するステップ(92)を含む。
図11A及び
図11Bで概説された方法では、ゾル‐ゲル層及び/又はコーティング(例えば、プライマーコーティング)のいずれか又は両方が既に施された状態で第1及び第2のチタン構造体を設けるように、ステップ81と83を組み合わせ、ステップ82と84を組み合わせることが考えられ、且つ含まれていると理解されている。
【0133】
本開示の態様が有用であるアセンブリの幾つかは、限定しないが、航空機、宇宙船、回転翼航空機、ミサイル、衛星、地上ビークル、水上ビークル等を含むビークル上の耐高荷重アセンブリを含む。このように考えられた耐荷重アセンブリには、限定しないが、航空機用の水平安定板アセンブリが含まれる。このようなアセンブリでは、例えば、エポキシ含有樹脂のようなエポキシ含有材料の層が、複合外板などの複合コンポーネントが高強度金属締結アセンブリ(例えば、チタン製スプライスプレート)に(例えば、機械的に)接合される領域で生じ得る任意の潜在的な間隙を充填するように導入される。このような間隙は、このようなアセンブリの許容可能な製造誤差によって制限されると考えられている。本開示の態様によると、複合外板とファスナとの間で生じる間隙(エポキシ含有材料を含む成形可能なプラスチックシムが使用される領域)に対する許容誤差は、約0.040”未満である。したがって、水平安定板アセンブリで使用される成形可能なプラスチックシムは、約0.000”から約0.040”の範囲内の厚さであると考えられている。
【0134】
本開示の態様に係る成形可能なプラスチックシムとして有用性が見出される代表的なエポキシ材料には、限定しないが、Dexter EA9377、EA9394、EA9394S(Henkel Corp.)等として市販されている、グレード120及びグレード190のエポキシ系によって覆われたエポキシが含まれる。以上で列挙されたエポキシのような、接合部品のシミングに有用性が見出されるエポキシは、典型的に、二液型エポキシ樹脂系である。このような二液型系は、例えば、「Part A」樹脂及び「Part B」硬化剤を含み得る。このような樹脂系は、正確な混合比率に従って混合され得、且つ、放出された塩基及び触媒成分が互いに接触し、成形可能なプラスチックシムを形成するためにやがて硬化される状態で、塩基及び触媒の容器(又は、例えば、単一の容器内で隔膜によって分離される別のチャンバ)内で事前包装されてもよい。成形可能なプラスチックシム材料として使用するこのようなエポキシ化合物は、周囲条件(硬化時間は、所望の又は要求される硬度に応じて、約4から約16時間の範囲内である)で硬化することができ、又は、約120°Fから約190°Fの範囲内の熱を供給することにより、その硬化時間が促進され得る(硬化時間は、選択されるエポキシ材料のグレードに応じて、約1から約3時間に範囲内である)。
【0135】
本開示の態様に従って耐高荷重用途で有用な高強度コンポーネントとして有用な金属コンポーネントには、限定しないが、チタン及びチタン合金を含む、コーティング又は処理がしばしば困難である金属が含まれる。このような金属コンポーネントには、例えば、複合コンポーネントを航空機フレームに直接的又は間接的に接合する航空機サブアセンブリ(例えば、水平安定板アセンブリ)で使用されるチタン及びチタン合金製のスプライスプレートが含まれる。したがって、本開示では、本開示の態様と関連する有用な金属として、限定しないが、Ti-6Al-4V、Ti-15V-3Cr-3Sn-3Al、Ti-15Mo-3Al-3Nb等を含むチタン金属及びチタン合金が考えられている。
【0136】
本開示の態様によると、複合外板として有用な複合材料は、繊維成分及びエポキシ樹脂成分を含むエポキシ樹脂含有材料を含み、これらの材料は、型押し及び硬化を通して成形され、仕上がり状態の複合材料が形成される。複合外板材料に組み込まれる考慮対象の繊維には、限定しないが、炭素繊維、ボロン繊維、アラミド繊維、ポリオレフィン繊維、セラミック繊維等が含まれる。
【0137】
さらなる態様によると、開示された接合方法、及びその方法に従って接合されたコンポーネントは、例えば、限定せずに、プライマーを含む追加のコーティング材を含み得る。金属部品の、例えば、複合外板材料などの基材への接着を改善するため、開示されたゾル‐ゲルコーティングで処理された金属を保護することが望ましい場合、このようなゾル‐ゲル層のプライマー保護は、金属部品の複合外板部品への接着に悪影響を与えないことが見出されたと理解されている。考慮対象のプライマーには、限定しないが、例えば、溶液型クロメートCytec BR127(Cytec Solvay Group)、非クロメート水性Cytec XBR6757等のエポキシ含有成分を含むプライマーが含まれる。このようなプライマーは、例えば、腐食抑制等の所望の属性を付与することが望まれる場合がある。
【0138】
実施例
水平安定板ジョイントにおける成形可能なプラスチックシム(MPS)として用いられるエポキシ含有化合物用の結合剤としてチタン表面(スプライスプレート)に施されたゾル‐ゲルを用いる効果を判断するために、試験が実施された。以下の2つの構成を表すためにサンプルが集められた。(1)MPSに直接結合したゾル‐ゲル、及び(2)ゾル‐ゲルとMPSとの間で配向された接着プライマー層。これらのサンプルは、高温及び低温条件下の疲労荷重のためにゾル‐ゲルジョイントで結合したMPSに対するものであった。すべての試験片は、ジョイントに熱応力をかけるためにケブラーサイクルにかけられた。試験は、500000サイクルまで行なわれた。サンプルは、航空機ジョイント(すなわち、29700ポンドの最大引張)を表す、チタンスプライスプレートの応力レベル17ksiで処理された。試験中、サンプルは、取り付けられたボルトの使用を通して予荷重を失う可能性があるかどうかが評価された。
【0139】
サンプルは、疲労試験の前に、ケブラーサイクリングを介して調節された。サンプルは、2000サイクルで-65°Fから160°Fまでのサイクルに曝された。チャンバは、HPデータ取得ユニットモデル34970A及び34901A、並びに圧力変換器8530C‐50を備えたサーモトロン(Thermotron)チャンバとして用いられた。-65°Fから160°Fの温度を循環しながら、サンプルは、3500ポンド張力の荷重を有する疲労がかかった。疲労計は、MTS FlexTest熱電対(ミネソタ州エデン・プレイリーのMTS)を備えたMTS810テストフレームであった。使用された熱電対は、Doric400熱電対(カリフォルニア州サンディエゴのDoric Instruments)及びOmega650熱電対(Omega Engineering)であった。サーモスコントローラは、FlexTest40用のMTS793エコシステムサーモスコントローラであった。
【0140】
ボルトにかかる荷重は、ケブラーサイクリングの後、且つ疲労試験の後、試験片が製作されたときにSchatz1ボルト超音波荷重測定システム(ミシガン州ホーリーのSchatz USA)で測定された。試験の過程を通して、端部のファスナは、内部のファスナよりも多くのクランプアップ(clamp-up)を失った。ベースライン、MPS190/ゾル‐ゲル/Ti、及びMPS120/ゾル‐ゲル/Tiサンプルの間で大きな違いはなかった。
【0141】
ボルトの荷重が測定された後、サンプルが解体されて検査された。MPSは、亀裂が走ったり、砕けたりすると予想された。これは、未熟なジョイントの欠陥となり得る。しかしながら、亀裂や解体は見られなかった。したがって、ケブラーサイクリング及び疲労試験の後、すべてのサンプル、MPS/ゾル‐ゲル/Ti、及びMPS/プライマー/ゾル‐ゲル/Tiが、欠陥がない状態で合格した。
【0142】
本開示の変形例及び代替例は、例えば、任意の寸法の複合材料コンポーネントなどのコンポーネント及び部品の製造及び使用に関し、それには、より大きな部品及び構造体の製作におけるコンポーネント及び部品の製造及び使用が含まれる。このようなデバイスには、限定しないが、静止物体の外側又は内側に配置されるように設計されたコンポーネント及び部品を含まれるが、それには、限定しないが、橋トラス、支柱、支持構造物、一般的な構築物等が含まれる。さらなる構造体及び物体は、限定しないが、航空機、衛星、ロケット、ミサイル等のビークルを含み、したがって、有人及び無人航空機、有人及び無人宇宙船、有人及び無人回転翼航空機、有人及び無人地上ビークル、有人及び無人非地上ビークル、有人及び無人水上輸送ビークル、有人及び無人水面下輸送ビークル、物体、及び構造体をさらに含む。具体的に考えられているコンポーネントには、航空機ストリンガ、スパー、リブ、並びに航空機のコンポーネント及び部品等の製造に使用される他の平面形状及び非平面形状を含むコンポーネントが含まれる。
【0143】
本開示の好ましい変形例及び代替例が例示且つ記載されたが、本開示の精神及び範囲から逸脱することなく、その中で様々な変更及び代用を行うことができると理解される。したがって、本開示の範囲は、添付の特許請求の範囲及びその均等物によってのみ限定されるべきである。本開示の要素又はその実施例の例示的態様を紹介する際、冠詞「1つの(「a」「an」)」、「その(「the」)」、及び「前記(「said」)」は、要素が1つ又は複数が存在することを意味することが意図されている。用語「備える(「comprising」)」、「含む(「including」)」、及び「有する(「having」)」は、包括的であり、列挙された要素以外に追加的要素が存在し得ることを意味することが意図されている。本開示は特定の実施例に関連して記載されてきたが、これらの実施例の詳細は、限定と解釈されるべきではない。本開示の好ましい変形例及び代替例が例示且つ記載されたが、本開示の精神及び範囲から逸脱することなく、その中で様々な変更及び代用を行うことができると理解される。
【0144】
さらに、本開示は下記の条項に係る実施例を含む。
【0145】
条項1
多層構造を形成するために、チタン構造体を複合構造体に接合する方法であって、
第1のチタン構造体表面を含む第1のチタン構造体を位置付けするステップであって、前記第1のチタン構造体表面が第1のゾル‐ゲル層を含む、ステップ、
複合構造体を位置付けするステップであって、前記複合構造体が、複合構造体第1表面及び複合構造体第2表面を含み、前記複合構造体第1表面が、前記第1のチタン構造体表面の近傍に且つ前記第1のチタン構造体表面から所定の距離離れて位置付けされている、ステップ、
所定量のエポキシ含有化合物を前記第1のチタン構造体表面上の前記第1のゾル‐ゲル層と前記複合構造体第1表面との間に位置付けするステップ、
前記エポキシ含有化合物を前記第1のチタン構造体表面に結合するステップ、及び
前記多層構造を形成するために、前記第1のチタン構造体を前記複合構造体第1表面に接合するステップ
を含む方法。
【0146】
条項2
第1のチタン構造体を位置付けする前記ステップの前に、第1のゾル‐ゲル層を前記第1のチタン構造体表面に施すステップをさらに含む、条項1に記載の方法。
【0147】
条項3
複合構造体を位置付けする前記ステップの前に、コーティングを前記第1のチタン構造体表面上の前記第1のゾル‐ゲル層に施すステップをさらに含む、条項1に記載の方法。
【0148】
条項4
前記エポキシ含有化合物を硬化することをさらに含む、条項1に記載の方法。
【0149】
条項5
複合構造体を前記第1のチタン構造体表面の近傍に且つ前記第1のチタン構造体表面から所定の距離離して位置付けする前記ステップでは、前記複合構造体が、炭素繊維、ガラス繊維、ボロン繊維、アラミド繊維、ポリオレフィン繊維、セラミック繊維、又はこれらの組み合わせを含む、条項1に記載の方法。
【0150】
条項6
所定量のエポキシ含有化合物を前記第1のゾル‐ゲル層と前記複合構造体第1表面との間に位置付けする前記ステップでは、前記エポキシ含有化合物が、グレード120のエポキシ系又はグレード190のエポキシ系を含む、条項1に記載の方法。
【0151】
条項7
所定量のエポキシ含有化合物を前記第1のゾル‐ゲル層と前記複合構造体第1表面との間に位置付けする前記ステップでは、前記エポキシ含有化合物が、成形可能なプラスチックシムを形成する、条項1に記載の方法。
【0152】
条項8
複合構造体を前記第1のチタン構造体表面の近傍に且つ前記第1のチタン構造体表面から所定の距離離して位置付けする前記ステップでは、前記複合構造体が、エポキシ樹脂を含む、条項1に記載の方法。
【0153】
条項9
第1のチタン構造体表面を含む第1のチタン構造体を位置付けする前記ステップでは、前記第1のチタン構造体が、スプライスプレート部材を含む、条項1に記載の方法。
【0154】
条項10
条項1に記載の方法に従って製作された、接合された構造体。
【0155】
条項11
第1のチタン構造体を位置付けする前記ステップの後、
第2のチタン構造体表面を含む第2のチタン構造体を位置付けするステップであって、前記第2のチタン構造体表面が第2のゾル‐ゲル層を含む、ステップ、
複合構造体を位置付けするステップであって、前記複合構造体が、複合構造体第1表面及び複合構造体第2表面を含み、前記複合構造体第1表面が、前記第1のチタン構造体表面の近傍に且つ前記第1のチタン構造体表面から所定の距離離れて位置付けされ、前記複合構造体第2表面が、前記第2のチタン構造体表面の近傍に且つ前記第2のチタン構造体表面から所定の距離離れて位置付けされている、ステップ、
所定量のエポキシ含有化合物を前記第2のチタン構造体表面上の前記第2のゾル‐ゲル層と前記複合構造体第2表面との間に位置付けするステップ、及び
多層構造を形成するために、前記第1のチタン構造体と前記第2のチタン構造体との間で前記複合構造体を接合するステップ
を含む、条項1に記載の方法。
【0156】
条項12
第1及び第2のチタン構造体表面を含む第1及び第2のチタン構造体を位置付けする前記ステップでは、前記第1のチタン構造体表面が第1のゾル‐ゲル層を含み、前記第2のチタン構造体表面が第2のゾル‐ゲル層を含み、前記第1及び第2のゾル‐ゲル層が、
前記第1及び第2のチタン構造体表面に金属‐有機界面を形成するために、アルコキシジルコニウムを通して、前記第1のチタン構造体及び前記第2のチタン構造体に共有結合するための、アルコールを含まない前記アルコキシジルコニウムの希薄水性混合物、
前記水性混合物内で溶解した有機シランカップリング剤、
有機酸触媒、並びに
所定量のアンモニア又は水酸化アンモニウム
を含む、条項11に記載の方法。
【0157】
条項13
コーティングを前記ゾル‐ゲル層に施す前記ステップでは、前記コーティングがエポキシ含有化合物を含む、条項3に記載の方法。
【0158】
条項14
前記多層構造を硬化する前記ステップでは、前記硬化が、約120°Fから約140°Fの範囲内の温度で行われる、条項4に記載の方法。
【0159】
条項15
第2のチタン構造体を位置付けする前記ステップの前に、ゾル‐ゲル層を前記第2のチタン構造体表面に施すステップをさらに含む、条項11に記載の方法。
【0160】
条項16
前記エポキシ含有化合物を硬化するステップをさらに含む、条項11に記載の方法。
【0161】
条項17
前記第1及び第2のチタン構造体を位置付けする前記ステップでは、前記第1及び第2のチタン構造体が、チタン、チタン合金、又はこれらの組み合わせを含む、条項11に記載の方法。
【0162】
条項18
第1のチタン構造体表面を含む第1のチタン構造体、
前記第1のチタン構造体表面に施されたゾル‐ゲル層、
複合構造体第1表面及び複合構造体第2表面を含む複合構造体であって、前記複合構造体第1表面が、前記第1のチタン構造体表面の近傍に且つ前記第1のチタン構造体表面から所定の距離離れて位置付けされている、複合構造体、並びに
前記第1のチタン構造体表面に施された前記ゾル‐ゲル層と前記複合構造体第1表面との間に位置付けされた、所定量のエポキシ含有化合物
を含むアセンブリ。
【0163】
条項19
前記ゾル‐ゲル層と前記複合構造体第1表面との間に位置付けされた前記所定量のエポキシ含有化合物が、前記第1のチタン構造体に結合する、条項18に記載のアセンブリ。
【0164】
条項20
前記第1のチタン構造体は、スプライスプレートを含む、条項18に記載のアセンブリ。
【0165】
条項21
前記第1のチタン構造体が、チタン、チタン合金、又はこれらの組み合わせを含む、条項18に記載のアセンブリ。
【0166】
条項22
前記複合構造体が、炭素繊維、ガラス繊維、ボロン繊維、アラミド繊維、ポリオレフィン繊維、セラミック繊維、又はこれらの組み合わせを含む、条項18に記載のアセンブリ。
【0167】
条項23
前記複合構造体がエポキシ樹脂を含む、条項18に記載のアセンブリ。
【0168】
条項24
前記エポキシ含有化合物が、グレード120のエポキシ系又はグレード190のエポキシ系を含む、条項18に記載のアセンブリ。
【0169】
条項25
前記エポキシ含有化合物が、成形可能なプラスチックシムを形成するように構成されている、条項18に記載のアセンブリ。
【0170】
条項26
前記ゾル‐ゲル層をコーティングするように構成されたコーティングをさらに含む、条項18に記載のアセンブリ。
【0171】
条項27
第2のチタン構造体表面を含む第2のチタン構造体、
前記第2のチタン構造体表面の近傍に且つ前記第2のチタン構造体表面から所定の距離離れて位置付けされた前記複合構造体第2表面、及び
前記第2のチタン構造体表面に施された前記ゾル‐ゲル層と前記複合構造体第2表面との間に位置付けされた、所定量のエポキシ含有化合物
をさらに含む、条項18に記載のアセンブリ。
【0172】
条項28
前記ゾル‐ゲル層が、
前記第1及び第2のチタン構造体表面に金属‐有機界面を形成するために、アルコキシジルコニウムを通して、前記第1のチタン構造体及び前記第2のチタン構造体に共有結合するための、アルコールを含まない前記アルコキシジルコニウムの希薄水性混合物、
前記水性混合物内で溶解した有機シランカップリング剤、
有機酸触媒、並びに
所定量のアンモニア又は水酸化アンモニウム
を含む、条項27に記載のアセンブリ。
【0173】
条項29
条項18に記載のアセンブリを含む、接合された表面。
【0174】
条項30
条項18に記載のアセンブリを含む、静止物体。
【0175】
条項31
条項18に記載のアセンブリを含む、ビークル。
【0176】
条項32
前記コーティングがプライマーを含む、条項26に記載のアセンブリ。
【0177】
条項33
前記第1のチタン構造体及び前記第2のチタン構造体が、スプライスプレートを含む、条項27に記載のアセンブリ。
【0178】
条項34
条項31に記載のビークルであって、有人航空機、無人航空機、有人宇宙船、無人宇宙船、有人回転翼航空機、無人回転翼航空機、ミサイル、ロケット、有人地上ビークル、無人地上ビークル、有人水上輸送ビークル、無人水上輸送ビークル、有人水面下輸送ビークル、及び無人水面下輸送ビークルからなる群から選択される、ビークル。
【0179】
条項35
第1のチタン構造体表面を含むチタン構造体、
前記第1のチタン構造体表面に付着した少なくとも1つのゾル‐ゲル層、
前記第1のチタン構造体表面の近傍にあり且つ前記第1のチタン構造体表面から所定の距離離れた複合構造体、及び
前記ゾル‐ゲル層と前記複合構造体との間で配向されたエポキシ含有化合物
を含む、水平安定板アセンブリ。
【0180】
条項36
前記第1のチタン構造体が、スプライスプレート部材を含む、条項35に記載の水平安定板アセンブリ。
【0181】
条項37
前記複合構造体が、炭素繊維、ガラス繊維、ボロン繊維、アラミド繊維、ポリオレフィン繊維、セラミック繊維、又はこれらの組み合わせを含む、条項35に記載の水平安定板アセンブリ。
【0182】
条項38
前記複合構造体がエポキシ樹脂を含む、条項35に記載の水平安定板アセンブリ。
【0183】
条項39
前記エポキシ含有化合物が、グレード120のエポキシ系又はグレード190のエポキシ系を含む、条項35に記載の水平安定板アセンブリ。
【0184】
条項40
前記エポキシ含有化合物が、成形可能なプラスチックシムを形成するように構成されている、条項35に記載の水平安定板アセンブリ。
【0185】
条項41
前記ゾル‐ゲル層をコーティングするように構成されたコーティングをさらに含む、条項35に記載の水平安定板アセンブリ。
【0186】
条項42
第2のチタン構造体表面を含む第2のチタン構造体、
前記第2のチタン構造体表面に付着した少なくとも1つのゾル‐ゲル層、
前記第2のチタン構造体の近傍にあり且つ前記第2のチタン構造体から所定の距離離れた複合構造体、及び
前記第2のチタン構造体表面に付着した前記ゾル‐ゲル層と前記複合構造体との間で配向されたエポキシ含有化合物
をさらに含む、条項35に記載の水平安定板アセンブリ。
【0187】
条項43
前記第1のチタン構造体及び前記第2のチタン構造体が、ジョイントを形成するように接合される、条項42に記載の水平安定板アセンブリ。
【0188】
条項44
前記ゾル‐ゲル層に付着したコーティングをさらに含む、条項42に記載の水平安定板アセンブリ。
【0189】
条項45
前記ゾル‐ゲル層に付着した前記コーティングがプライマーを含む、条項44に記載の水平安定板アセンブリ。
【0190】
本発明は、当然ながら、本発明の本質的な特徴から逸脱しない限り、本明細書に具体的に提示された方法よりも他の方法で実施することが可能である。本明細書の実施例は、あらゆる点で、すべて例示的且つ非限定的であるとみなすべきであり、特許請求の範囲の意味及び均等性の範囲内に入るすべての変更は、特許請求の範囲に包含されることが意図されている。