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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-01-16
(45)【発行日】2023-01-24
(54)【発明の名称】膝用エアバッグアセンブリ
(51)【国際特許分類】
   B60R 21/206 20110101AFI20230117BHJP
   B60R 21/231 20110101ALI20230117BHJP
【FI】
B60R21/206
B60R21/231
【請求項の数】 24
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2018106117
(22)【出願日】2018-06-01
(65)【公開番号】P2018203248
(43)【公開日】2018-12-27
【審査請求日】2021-05-19
(31)【優先権主張番号】15/610,954
(32)【優先日】2017-06-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】505236506
【氏名又は名称】オートリヴ エイエスピー インコーポレイテッド
(73)【特許権者】
【識別番号】000005326
【氏名又は名称】本田技研工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【弁護士】
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100179947
【弁理士】
【氏名又は名称】坂本 晃太郎
(72)【発明者】
【氏名】マシュー リー マンシー
(72)【発明者】
【氏名】トラヴィス ブレント ヘス
(72)【発明者】
【氏名】ガーヴィン フランコム アナイ
(72)【発明者】
【氏名】エリック エム ハイトカンプ
【審査官】田邉 学
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2016/085168(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2016/0052476(US,A1)
【文献】特開2003-306116(JP,A)
【文献】特開2005-145111(JP,A)
【文献】特開2005-186886(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60R 21/206
B60R 21/231
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
エアバッグアセンブリであって、
車両内に搭載されたハウジングと、
前記ハウジング内のパッケージされた状態の膨張可能膝用エアバッグであって、膨張ガスを受容して前記ハウジングから展開された状態に拡張及び展開するエアバッグであって、
車両対面パネルと、
前記車両対面パネルに結合されて、前記車両の乗員の複数の下肢にクッション保護ゾーンを提供する1つの主膨張可能チャンバを形成する、乗員対面パネルと、
前記主膨張可能チャンバの外部の前記乗員対面パネルの後面に結合されて、前記乗員に対面する1つの外部膨張可能チャンバを形成する、1つの外部チャンバパネルと、
前記主膨張可能チャンバと前記外部膨張可能チャンバとの間の流体連通を提供するように、かつ膨張可能ガスを前記主膨張可能チャンバから前記外部膨張可能チャンバに連通させるように、前記乗員対面パネルを貫通して配置される1つ以上の通気孔と、を備える、エアバッグと、を備え、
前記1つ以上の通気孔が、前記外部膨張可能チャンバの膨張のタイミングを制御して、前記主膨張可能チャンバを膨張させて、前記車両と前記乗員の前記複数の前記下肢との間の空間を満たし、
前記1つ以上の通気孔が、前記外部膨張可能チャンバの膨張のタイミングを制御して、前記外部膨張可能チャンバを前記乗員の前記複数の前記下肢の両側方で膨張させて、前記複数の前記下肢の前記車両に対する側方移動を制限する、エアバッグアセンブリ。
【請求項2】
前記1つ以上の通気孔が、前記外部膨張可能チャンバの膨張のタイミングを制御して、前記外部膨張可能チャンバが前記乗員の前記下肢の前方部分に適合するように、前記乗員の前記複数の前記下肢が前記膨張可能膝用エアバッグに衝突し始めるときに前記外部膨張可能チャンバの膨張を開始させる、請求項1に記載のエアバッグアセンブリ。
【請求項3】
前記外部チャンバパネルが、単一の主膨張可能チャンバのみと重なるように前記乗員対面パネル上に位置付けられる、請求項1に記載のエアバッグアセンブリ。
【請求項4】
前記外部チャンバパネルが、前記乗員対面パネルの第1の側方縁部から前記乗員対面パネルの第2の側方縁部まで水平方向に延在する、請求項1に記載のエアバッグアセンブリ。
【請求項5】
前記外部チャンバパネルが、一緒に取り付けられた複数のセクションを備え、前記複数のセクションのうちの複数の第1のセクションが、当該複数の第1のセクションの隣接部分よりも遠くへ後方に延在するように構成されている、請求項1に記載のエアバッグアセンブリ。
【請求項6】
前記複数の第1のセクションのうちの少なくとも1つの前記第1のセクションが、ヴェシカ・ピシス形状セクションを備える、請求項5に記載のエアバッグアセンブリ。
【請求項7】
前記ヴェシカ・ピシス形状セクションが、前記外部チャンバパネルの前記複数のセクションのうちの2つの側方セクションの間に配置され、かつそれらに取り付けられる、請求項6に記載のエアバッグアセンブリ。
【請求項8】
前記外部チャンバパネルの前記複数のセクションが、複数のヴェシカ・ピシス形状セクションを含む、請求項5に記載のエアバッグアセンブリ。
【請求項9】
前記外部チャンバパネルが、前記乗員対面パネルに沿って垂直方向に延在して前記乗員の前記複数の前記下肢の間に配置される、請求項1に記載のエアバッグアセンブリ。
【請求項10】
前記外部チャンバパネルが、展開された状態の前記外部チャンバパネルの膨張時に、前記外部チャンバパネルの後面に後方突出部を形成するように拡張するように構成された複数のバブルを備える、請求項1に記載のエアバッグアセンブリ。
【請求項11】
車両着座位置の膝位置より下の位置で車両の構成要素から展開するように構成された膨張可能膝用エアバッグであって、
前記車両着座位置に対面して位置付けられるように展開する乗員対面パネルと、
前記車両着座位置とは反対側に面し、かつ前記車両の前記構成要素の方向に位置付けられるように展開する車両対面パネルであって、前記膨張可能膝用エアバッグの1つの主膨張可能チャンバを画定するように、前記乗員対面パネルに結合される、車両対面パネルと、
補助膨張可能チャンバを形成するように前記乗員対面パネルの外面に結合された1つの外部パネルと、
前記主膨張可能チャンバから前記補助膨張可能チャンバへ膨張ガスを連通させるように、前記乗員対面パネルを貫通して配置された1つ以上の通気孔と、を備え、
前記1つ以上の通気孔は、乗員が前記膨張可能膝用エアバッグに衝突する前に、前記主膨張可能チャンバを膨張させて、前記車両と乗員の複数の下肢との間の空間を満たすように、及び前記補助膨張可能チャンバを膨張させて、前記乗員の前記複数の前記下肢の一部の周囲に形成するように、膨張ガスの連通のタイミングを制御するように構成されている、膨張可能膝用エアバッグ。
【請求項12】
前記1つ以上の通気孔は、前記補助膨張可能チャンバの膨張のタイミングを制御して、前記複数の前記下肢が前記膨張可能膝用エアバッグと衝突し始めるときに、前記補助膨張可能チャンバの前記膨張を開始させる、請求項11に記載の膨張可能膝用エアバッグ。
【請求項13】
前記外部パネルが、単一の主膨張可能チャンバのみと重なるように前記乗員対面パネル上に位置付けられる、請求項11に記載の膨張可能膝用エアバッグ。
【請求項14】
前記主膨張可能チャンバが、前記車両の乗員にクッション保護ゾーンを提供するものであり、前記クッション保護ゾーンが、前記乗員の前記複数の下肢のために一次クッション保護ゾーンを提供するものであり、前記補助膨張可能チャンバが、前記車両に対する前記複数の前記下肢の側方移動を制限するものである、請求項11に記載の膨張可能膝用エアバッグ。
【請求項15】
前記外部パネルが、単一の主膨張可能チャンバ少なくとも一部にのみ、重畳されるように、前記乗員対面パネル上に位置付けられる、請求項11に記載の膨張可能膝用エアバッグ。
【請求項16】
前記外部パネルが、一緒に取り付けられた複数の別個のセクションを備え、前記複数のセクションのうちの複数の第1のセクションが、当該複数の第1のセクションの隣接部分よりも前記乗員対面パネルからより遠くに離れて後方に延在するように構成されている、請求項11に記載の膨張可能膝用エアバッグ。
【請求項17】
前記外部パネルの前記複数のセクションのうちの少なくとも1つの前記第1のセクションが、ヴェシカ・ピシス形状セクションを備える、請求項16に記載の膨張可能膝用エアバッグ。
【請求項18】
前記ヴェシカ・ピシス形状セクションが、前記外部パネルの前記複数のセクションのうちの2つの対向する側方セクションの間に配置され、かつそれらに取り付けられる、請求項17に記載の膨張可能膝用エアバッグ。
【請求項19】
前記2つの対向する側方セクションが、前記ヴィシカ・ピシズヴェシカ・ピシス形状セクションの対応する側面の周囲の長さに類似する長さを有する第1の側面を各々含み、前記側方セクションの各々の前記第1の側面が、前記ヴィシカ・ピシズヴェシカ・ピシス形状セクションの前記対応する側面の前記周囲に沿って取り付けられる、請求項18に記載の膨張可能膝用エアバッグ。
【請求項20】
前記外部パネルが、複数のバブルであって、前記複数のバブルに隣接する前記外部パネルの部分よりも遠くに後方に延在するように、膨張時に拡張するように構成された複数のバブルを備える、請求項11に記載の膨張可能膝用エアバッグ。
【請求項21】
車両着座位置の膝位置より下の位置で車両の構成要素から展開するように構成された膨張可能膝用エアバッグであって、
前記車両着座位置に面して位置付けられるように展開する第1のパネルと、
前記車両着座位置とは反対側に面し、かつ前記車両の前記構成要素の方向に位置付けられるように車両に搭載されたハウジングから展開される第2のパネルであって、前記膨張可能膝用エアバッグの主膨張可能チャンバを画定するように、前記第1のパネルに結合される、第2のパネルと、
第1の位置及び前記第1の位置から前記第1のパネルに沿って垂直方向に変位した第1の位置及び第2の位置で前記第のパネルの内面に結合された内部パネルであって、前記内部パネルが、前記第1のパネルと一緒に補助膨張可能チャンバを形成するために前記第のパネルの一部分を構成するブリッジセグメントを含み、前記補助膨張可能チャンバが、前記第1のパネルの隣接する部分よりも遠くに前記車両着座位置に向かって突出するように膨張するように構成されている、内部パネルと、を備える、膨張可能膝用エアバッグ。
【請求項22】
前記主膨張可能チャンバから前記補助膨張可能チャンバへ膨張ガスを連通させるために、前記内部パネルを貫通して配置された1つ以上の通気孔を更に備える、請求項21に記載の膨張可能膝用エアバッグ。
【請求項23】
前記1つ以上の通気孔は、乗員が前記膨張可能膝用エアバッグに衝突する前に、前記主膨張可能チャンバを膨張させて、前記車両と乗員の複数の下肢との間の空間を満たすように、及び前記補助膨張可能チャンバを膨張させて、前記乗員の前記複数の前記下肢の一部の周囲に形成するように、膨張ガスの連通のタイミングを制御するように構成されている、請求項22に記載の膨張可能膝用エアバッグ。
【請求項24】
前記主膨張可能チャンバが、前記車両の乗員にクッション保護ゾーンを提供するものであり、前記クッション保護ゾーンが、前記乗員の複数の下肢のために一次クッション保護ゾーンを提供するものであり、前記補助膨張可能チャンバが、前記車両に対する前記複数の前記下肢の側方移動を制限するものである、請求項21に記載の膨張可能膝用エアバッグ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、概して、車両乗員のための保護システムの分野に関する。より具体的には、
本開示は、1つ以上の補助外部チャンバを有する膨張可能膝用エアバッグアセンブリのよ
うなエアバッグアセンブリに関する。
【背景技術】
【0002】
保護システムは、衝突事象中に乗員を保護するために、車両に設置されている。いくつ
かの保護システムには、膨張可能膝用エアバッグが含まれる。いくつかの保護システムは
、1つ以上の欠点に悩まされているか、又は1つ以上の点で最適には機能しない可能性が
ある。本明細書で開示される特定の実施形態は、これらの問題点のうちの1つ以上に対処
し得るものである。
【図面の簡単な説明】
【0003】
本明細書における書面による開示は、非限定的かつ非網羅的な、例示的実施形態を説明
するものである。以下の図に示される、そのような例示的実施形態のうちの特定のものを
参照する。
図1A】膨張可能膝用エアバッグアセンブリがパッケージされた状態にある車両内の車両着座位置の側面図である。
図1B図1Aの膨張可能膝用エアバッグアセンブリが展開された状態にある、車両着座位置の側面図である。
図1C図1Aの膨張可能膝用エアバッグアセンブリが展開された状態にあり、補助チャンバが少なくとも部分的に膨張している、車両着座位置の側面図である。
図1D】エアバッグクッションが部分的に展開されている、図1Aのエアバッグアセンブリのエアバッグクッションの傾斜上面図である。
図1E】エアバッグクッションが部分的に展開されており、補助チャンバが少なくとも部分的に膨張している、図1Aのエアバッグアセンブリのエアバッグクッションの部分的傾斜上面図である。
図2】一実施形態による、膝用エアバッグアセンブリの事前設置エアバッグクッションの上面図である。
図3】一実施形態による膝用エアバッグアセンブリのエアバッグクッションの部分分解直交図である。
図4A】エアバッグクッションが展開され、かつ少なくとも部分的に膨張されている、一実施形態による、エアバッグアセンブリの破断側面図である。
図4B】エアバッグクッションが展開され、かつ少なくとも部分的に膨張しており、補助チャンバの別の実施形態を示す、一実施形態によるエアバッグアセンブリの破断側面図である。
図4C】エアバッグクッションが展開され、かつ少なくとも部分的に膨張しており、補助チャンバの更に別の実施形態を示す、一実施形態によるエアバッグアセンブリの破断側面図である。
図4D】エアバッグクッションが展開され、かつ少なくとも部分的に膨張しており、補助チャンバの別の実施形態を示す、一実施形態によるエアバッグアセンブリの破断側面図である。
図5A】別の実施形態による、エアバッグアセンブリのエアバッグクッションの上面図である。
図5B】エアバッグクッションが部分的に展開されており、補助チャンバ及び中央バブルが少なくとも部分的に膨張している、図5Aのエアバッグクッションの傾斜上面図である。
図5C図5Aのエアバッグアセンブリの外部チャンバパネルの部分分解直交図である。
図5D図5Aのエアバッグクッションの組み立てられた、事前設置された外部チャンバパネルの直交図である。
図5E】組み立てられた外部チャンバパネルを有する図5Aのエアバッグクッションの部分分解直交図である。
図6A】別の実施形態による、複数のバブルパネルを含む、事前設置エアバッグクッションの上面図である。
図6B】エアバッグクッションが部分的に展開されており、補助チャンバ及びクッションバブルが少なくとも部分的に膨張している、図6Aのエアバッグクッションの傾斜上面図である。
図7A】別の実施形態による、複数のプリーツバブルを含む、エアバッグアセンブリの事前設置エアバッグクッションの上面図である。
図7B】エアバッグクッションが膨張していない、事前設置された状態にある、図7Aの傾斜上面図である。
図7C】エアバッグクッションが展開され、かつ少なくとも部分的に膨張しており、補助チャンバ及びプリーツバブルが少なくとも部分的に膨張している、図7Aのエアバッグクッションの傾斜上面図である。
図8】別の実施形態による、かつ乗員対面パネルに結合された垂直方向に配向された外部チャンバパネルを含む、エアバッグアセンブリの事前設置エアバッグクッションの上面図である。
図9A】エアバッグクッションが展開され、かつ少なくとも部分的に膨張しており、補助チャンバが少なくとも部分的に膨張している、図8のエアバッグクッションの傾斜上面図である。
図9B】エアバッグクッションが展開され、かつ少なくとも部分的に膨張しており、補助チャンバが少なくとも部分的に膨張している、別の実施形態によるエアバッグアセンブリのエアバッグクッションの別の実施形態の傾斜上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0004】
エアバッグアセンブリのような乗員保護システムは、衝突事象中の乗員の傷害を低減又
は最小限に抑えるために、車両内の様々な場所に設置することができる。以下の開示では
、車両着座位置に着座した乗員の膝区域の方向内に展開するように設計されたエアバッグ
アセンブリを具体的に参照するが、本明細書で論じる原理は、乗員の他の部分をクッショ
ンするように設計された他のタイプのエアバッグアセンブリに適用可能である。
【0005】
エアバッグアセンブリは、一般に、エアバッグクッションを含む。エアバッグクッショ
ンは、典型的には、パッケージされた状態(例えば、巻かれ、折り畳まれ、及び/又は別
様に圧縮された)でハウジング内に配置され、カバーの後ろにパッケージされた状態で保
持され得る。衝突事象中、エアバッグクッションを急速に膨張ガスで満たしているインフ
レータがトリガされてもよい。膨張ガスは、エアバッグクッションをコンパクトなパッケ
ージされた状態(すなわち展開されていない状態)から拡張状態又は展開された状態へと
迅速に移行させることができる。いくつかの実施形態では、拡張するエアバッグクッショ
ンは、ハウジングを出るためにエアバッグカバーを開く(例えば、引き裂きシームを裂く
か、又はドア状構造を開くことによって)。インフレータは、任意の好適な装置又はシス
テムによってトリガされてもよく、トリガは、1つ以上の車両センサに応答してもよく、
及び/又は影響を受けてもよい。
【0006】
エアバッグアセンブリはまた、衝突事象中に乗員の膝及び/又は下肢を保護するための
膝束縛物又は膝用エアバッグを含むことができる。このような膝束縛物は、衝突事象中に
乗員の衝撃エネルギーの少なくとも一部を吸収し得る。いくつかの実施形態では、膝束縛
物は、衝突事象中に乗員の膝に接触しクッションするエアバッグクッションを備えること
ができる。
【0007】
本明細書で開示されるエアバッグアセンブリのいくつかの実施形態は、車両の前部座席
に着座した乗員を保護するために有用であり得る。本明細書で開示されるエアバッグアセ
ンブリの他の実施形態は、車両の前部座席の後方に着座する乗員を保護するのに特に有用
であり得る。
【0008】
例えば、いくつかの実施形態では、エアバッグアセンブリは、比較的低い位置で乗員の
正面の位置から展開されるエアバッグクッションを含む。例えば、エアバッグクッション
は、後部座席に着座している乗員の膝の位置と同じかそれより低い位置に計器パネル又は
シートバックから展開することができる。
【0009】
本明細書の図において全般的に説明され、図示されるような実施形態の構成要素は、多
種多様な異なる構成で、配置及び設計することができる。それゆえ、それらの図に表され
るような、以下の様々な実施形態のより詳細な説明は、本開示の範囲を限定することを意
図するものではなく、単に様々な実施形態を代表するものに過ぎない。実施形態の様々な
態様が図面に提示されるが、この図面は、特に示されない限り、必ずしも縮尺通りに描か
れていない。
【0010】
エアバッグアセンブリは、主チャンバから補助チャンバへのような膨張ガスをエアバッ
グアセンブリ内の様々な領域に連通させるための内部連通通気孔を含むことができる。エ
アバッグクッションはまた、膨張ガスをエアバッグクッションから大気に排出するための
外部排気通気孔を有してもよい。これらの通気孔は、内部排気通気孔又は外部排気通気孔
のいずれかで、「通気容量」を有しており、これは、膨張ガスが通気孔(複数を含む)を
通過する速度、又は膨張ガスが通気孔(複数を含む)を通過するタイミング、又はタイミ
ング及び速度の両方を制限、限定、又は制御する要因に依存し得る。
【0011】
通気孔の「通気容量」は、通気孔が膨張ガスを通気孔から又は通気孔を貫通して通過さ
せる程度を示すことができる。通気容量は、膨張ガスが通気孔(内部で領域から領域へ、
又は外部の通気)を通過することを可能にするタイミングを制御するか、さもなければ影
響を及ぼし得る。例えば、膨大な量の膨張ガスがほとんど妨げられない方式で通過又は排
出することができるように通気孔が構成されている場合、そのような通気孔は、比較的大
きな通気容量を有することができる。反対に、膨張ガスの通過をより完全に妨げることが
できる通気孔は、比較的低い通気容量を有することができる。
【0012】
「接続する」及び「に結合される」という用語は、通常の意味で使用され、機械的及び
流体的相互作用を含む、2つ以上の実体間の任意の好適な結合又は他の形態の相互作用を
指すのに十分広い。2つの構成要素は、それらが互いに直接接触していないとしても、互
いに結合されている場合がある。「に取り付けられる」という句は、互いに直接的に接触
し、かつ/又は任意の好適な種類の締結具(例えば、取り付け用ハードウェア若しくは接
着剤)によってのみ互いに分離されている2つ以上の実体間の相互作用を指す。「流体連
通」という句は、その通常の意味に用いられ、各要素が互いに流体連通であるとき、流体
(例えば、ガス又は液体)が、一方の要素から他方の要素へと流れることができる配置を
指す程度に広義である。
【0013】
本明細書では、「前方」及び「後方」という用語は、関連する車両の前面及び背面を参
照して使用される。例えば、後方方向に展開するエアバッグクッションは、車両の後方に
向けて展開する。
【0014】
「近位」及び「遠位」という方向を示す用語は、本明細書では、エアバッグクッション
とは反対側の場所を指すために使用される。エアバッグクッションの近位端部は、エアバ
ッグクッションが完全に膨張したときにインフレータに最も近いエアバッグクッションの
端部である。エアバッグクッションの遠位端部は、エアバッグクッションの近位端部とは
反対側の端部である。換言すれば、「近位」及び「遠位」という用語は、エアバッグアセ
ンブリハウジングにおけるエアバッグクッションの取り付け点及びエアバッグが展開され
るエアバッグアセンブリのシートバックへの取り付け点のような取り付け点を指す。具体
的には、「近位」は、そのような取り付け点に向かって置かれ、「遠位」は、そのような
取り付け点から離れて置かれる。
【0015】
本明細書で使用される「後部座席」という用語は、座席が車両の最も後方の座席である
かどうかにかかわらず、車両の前部座席(複数を含む)の後方に配置される任意の座席を
指す。「後部座席」という用語はまた、他の後部座席の後方に配置される任意の座席を指
す。
【0016】
「車両着座位置」は、車両の座席(例えば、助手席、前部座席、後部座席)によって画
定されてもよい。車両着座位置は、車両の座席に着座したときに乗員が概ね位置付けられ
る位置であってもよい。車両着座位置はまた、衝突事象の前及び/若しくは衝突中に乗員
が着座する位置、又は車両及び/若しくは座席が乗員を輸送するように設計された位置で
あってもよい。
【0017】
「車両」という用語は、自動車、トラック、バス、飛行機などの任意の車両を指すこと
ができる。
【0018】
「乗員」という用語は、一般に車両内の人物を指す。「乗員」という用語は、車両内の
衝突試験ダミーを含むこともできる。
【0019】
図1Aは、パッケージされた状態の膨張可能膝用エアバッグアセンブリ100を有する
車両(図示せず)内の車両着座位置50の部分側面図である。乗員70は、乗員座席54
の直立位置に着座して示されている。乗員の下肢72が示されている。膨張可能膝用エア
バッグアセンブリ100は、車両着座位置50の膝位置より下の位置に車両構成要素(又
は車両構造52)から展開するように構成されている。車両構造52は、計器パネル(若
しくはダッシュボード)の一部であってもよく、又は、後部座席の場合には、所与の後部
座席の前方の別の座席であってもよい。膨張可能膝用エアバッグアセンブリ100(エア
バッグアセンブリ)は、少なくともハウジング102と、インフレータ104と、カバー
106と、膨張可能エアバッグクッション110と、を含む。ハウジング102は、車両
に、より具体的には、車両着座位置50の直前の車両構造52の下部部分に搭載されてい
る。図1Aに示すように、膨張可能エアバッグクッション110は、ハウジング102内
にパッケージされた状態にあり、膨張ガスを受容して膨張してハウジング102から展開
された状態に拡張及び展開するように構成されている。ハウジング102は、車両に取り
付けられ、インフレータ104及びエアバッグクッション110を含み(又は少なくとも
部分的に収容する)、かつ支持するエアバッグアセンブリ100の構成要素である。ハウ
ジング102は、カバー106によって覆われてもよい。インフレータ104は、膨張ガ
スを生成する化学薬品(複数を含む)又はシステムのための容器(図示せず)、並びに膨
張ガスをエアバッグクッション110に連通するための任意のダクト又は配管、並びに膨
張ガスの生成及びエアバッグクッション110への送達に関係する任意の他の構成要素を
含むことができる。インフレータ104は、ハウジング102内に完全に収容されてもよ
く、ハウジング102内に部分的にのみ収容されてもよく、又はハウジング102の外部
全体に設けられてもよい。カバー106は、ハウジング102の構成要素であってもよい
し、ハウジング102が搭載される車両構造52の構成要素であってもよいエアバッグア
センブリ100の特徴である。カバー106は、バーストシーム、引き裂きシーム、パネ
ル(1つの縁でヒンジ式にされてもよい)、又は任意の他の好適な手段を含むことができ
る。エアバッグクッション110は、その圧縮され、かつパッケージされた状態で、カバ
ー106の後ろのハウジング102内に収容されている。エアバッグクッション110に
ついては、以下で更に説明する。
【0020】
膝用エアバッグアセンブリ100は、衝突などの任意の所定の事象において、1つ以上
のセンサ(図示せず)によってトリガ又は作動されてもよい。膝用エアバッグアセンブリ
100がトリガされると、インフレータ104が作動して膨張ガスを生成して送達し、エ
アバッグクッション110を拡張させて、ハウジング102から展開された状態に展開す
る。カバー106は、エアバッグクッション110が展開することを可能にするように開
くようにトリガされてもよく、又は展開時にエアバッグクッション110の拡張によって
カバー106が開かれてもよい。換言すれば、いくつかの実施形態では、カバー106は
、トリガされたときにカバーを開かせる機構を備えることができ、他の実施形態では、カ
バー106は、インフレータ104からエアバッグクッション110に流入する膨張ガス
の結果、拡張し始めるときにエアバッグクッション110によって強制的に開かれ得る。
【0021】
図1Bは、図1Aの膨張可能膝用エアバッグアセンブリ100が展開された状態にある
、車両着座位置50の側面図である。エアバッグクッション110は、インフレータ10
4の作用によってハウジング102から少なくとも部分的に展開されている。エアバッグ
クッション110は、車両対面パネル122及び乗員対面パネル124を含み、乗員対面
パネル124は、主チャンバ結合(図示しないが、例えば図1Dの123を参照されたい
)で、車両対面パネル122に結合されて主膨張可能チャンバ120(主チャンバ)を形
成する。乗員対面パネル124は、車両着座位置50に面して、より具体的には乗員座席
54に面して位置付けられるように展開してもよい。車両対面パネル122は、車両着座
位置50とは反対側に、かつ車両構造52の方向に展開することができる。
【0022】
いくつかの実施形態では、乗員対面パネル124及び車両対面パネル122は、主チャ
ンバ120を形成するためにシームで一緒に結合された分離した別個のパネルであっても
よい。他の実施形態では、乗員対面パネル124及び車両対面パネル122は、主チャン
バ120を形成するために、適切な切断、シームなどを伴って、布帛の単一の一体片から
製造されてもよい。シームは、縫合、接着、テーピング、高周波(RF)、溶接、又は他
の適切な手段によって形成されてもよい。シームは、特定のシームの用途に応じて、気密
性であってもよく、又はガス透過性であってもよい。主チャンバ結合(図示しないが、例
えば図1Dの123を参照されたい)は、シームであってもよい。
【0023】
エアバッグクッション110の主チャンバ120は、乗員70の下肢(複数を含む)7
2に一次クッション保護ゾーンを提供する。換言すれば、展開された主チャンバ120は
、乗員座席54と乗員座席54のすぐ前方の車両構造52との間に配置されて、下肢(複
数を含む)72が車両構造52に衝突するのをクッションし、それによって下肢(複数を
含む)72の負傷を軽減することができる。エアバッグクッション110は、補助チャン
バ130も含む。
【0024】
補助チャンバ130は、外部チャンバパネル132を乗員対面パネル124の外面に結
合することによって形成することができる。図1Bにおいて、外部チャンバパネル132
は、主チャンバ結合(図示しないが、例えば図1Dの123を参照されたい)において乗
員対面パネル124に結合する。他の実施形態では、外部チャンバパネル132は、他の
場所で乗員対面パネル124に結合することができる。
【0025】
乗員対面パネル124内の1つ以上の通気孔(複数を含む)126は、主チャンバ12
0と補助チャンバ130との間の流体連通を提供することができる。通気孔(複数を含む
)126は、主チャンバ120が乗員70の下肢(複数を含む)72と車両構造52との
間の空間を満たすか又は実質的に満たすまで、通気孔126が補助チャンバ130に膨張
ガスを導入しないように、補助チャンバ130への膨張ガスの連通のタイミングを制御す
ることができる。換言すれば、いくつかの実施形態では、通気孔(複数を含む)126は
、通気孔(複数を含む)126が開かないか、さもなければ、主チャンバ120において
最小圧力が達成されるまで膨張ガスが補助チャンバ130に入ることを可能にするように
構成されてもよい。主チャンバ120の最小膨張圧力は、インフレータ104からの膨張
ガスの導入によって達成され得る。主チャンバ120の最小膨張圧力は、(例えば、別様
に最小圧力が達成される前に)エアバッグクッション110に係合している下肢(複数を
含む)72によって、及びエアバッグクッション110の内部加圧を上昇させるエアバッ
グクッション110に力を加えることによって、達成されてもよい。換言すれば、下肢(
複数を含む)72が主チャンバ120内の公称最小圧力に達する前にエアバッグクッショ
ン110に衝突すると、下肢72の衝撃が主チャンバ120を変形させ、主チャンバ12
0内の圧力を上昇させ得、そのため、通気孔(複数を含む)126が開くか、さもなけれ
ば膨張ガスを補助チャンバ130に流入させる。少なくともいくつかの実施形態では、通
気孔126(複数を含む)は、補助チャンバ130が、乗員70の下肢(複数を含む)7
2の前方部分に適合するように、乗員70の下肢(複数を含む)72がエアバッグクッシ
ョン110に係合し始めるまで、補助チャンバ130の膨張のタイミングを制御するよう
に設計されてもよい。
【0026】
代替的に、又は付加的に、通気孔126は、主チャンバに対する補助チャンバ130の
膨張のタイミングを制御するか、又はさもなければそれに影響を及ぼす通気容量を有する
ことができる。所与の通気孔126の通気容量は、エアバッグアセンブリ100の所与の
用途、所望の主チャンバ位置と車両着座位置50との間の距離、主チャンバ120の所望
の加圧、主チャンバ120のサイズ、及び/又はインフレータからの膨張ガスの送達速度
に基づいて構成することができる。
【0027】
図1Cは、図1Aの膨張可能膝用エアバッグアセンブリ100が展開された状態にあり
、補助チャンバ130が少なくとも部分的に膨張している、車両着座位置50の部分側面
図である。図1Cに示すように、インフレータ104は、主チャンバ120に膨張ガスを
供給し続けている。主チャンバ120は、膨張状態に達して、通気孔(複数を含む)12
6に、膨張ガスを補助チャンバ130に連通させるか、連通することを可能にする。代替
的に、補助チャンバ130の膨張は、本明細書の他の箇所に記載されているように、下肢
(複数を含む)72とエアバッグクッション110との係合によって開始されてもよい。
補助チャンバ130は少なくとも部分的に膨張している。補助チャンバ130は、下肢(
複数を含む)72の側方側面に膨張して、乗員70の下肢(複数を含む)72の側方移動
を制限することができる。補助チャンバ130が膨張するときに下肢72が互いに分離さ
れる場合、補助チャンバ130は乗員70の下肢72間で膨張することもできる。補助チ
ャンバ130は、乗員70の下肢72の側方側面に、及び下肢72の間で膨張することに
より、下肢(複数を含む)72の側方移動を制限することができる。別の言い方をすれば
、補助チャンバ130の膨張の遅延タイミングは、補助チャンバ130を膨張させて乗員
70の下肢(複数を含む)72の周りに形成させて、下肢72(複数を含む)を側方移動
に対して安定させることができる。下肢(複数を含む)72の側方移動を制限することに
より、下肢(複数を含む)72が車両構造52、又は車両の他の構成要素(若しくは互い
に衝突する下肢72から)に衝突するのを防止することにより、下肢(複数を含む)72
の損傷(例えば、回転、捻挫、若しくは足首損傷)を減少又は排除することができる。斜
めの衝突クラッシュは、下肢72を側方に突然動かす力を導入する傾向があるので、下肢
72の側方移動を制限することは、斜めの衝撃クラッシュにおいて特に有益であり得る。
【0028】
図1Dは、図1Bに示される展開された状態と同様に、エアバッグクッション110が
部分的に展開されている、図1Aのエアバッグアセンブリのエアバッグクッション110
の傾斜上面図である。図1Dの画角は、図1Bに示され、1D-1Dと標識されている。
乗員70の下肢72は、まだエアバッグクッション110に係合していない。エアバッグ
クッション110は、主チャンバ120が乗員の下肢72と乗員70の前方の車両構造5
2との間の空間を少なくとも部分的に膨張させ実質的に満たしているように部分的に展開
されている。補助チャンバ130はまだ膨張していない。車両対面パネル122は、車両
構造52に近く、乗員対面パネル124は、下肢72により近接している。図1Dの実施
形態では、2つのパネル122、124は、主チャンバ結合123を形成するシームで結
合される。補助チャンバ130を形成する外部チャンバパネル132は、主チャンバ結合
123において主チャンバ120の乗員対面パネル124に結合される。通気孔(複数を
含む)126は、主チャンバ120内で最小圧力が達成されるまで、閉じられたままかさ
もなければ膨張ガスが補助チャンバ130に入るのを制限するように構成することができ
る。
【0029】
図1Eは、図1Cに示す展開された状態と同様に、エアバッグクッション110が少な
くとも部分的に展開されており、補助チャンバ130が少なくとも部分的に膨張している
図1Aのエアバッグアセンブリ100のエアバッグクッション110の傾斜上面図であ
る。図1Eの画角は、図1Cに示され、1E-1Eと標識されている。エアバッグクッシ
ョン110の主チャンバ120は、少なくとも部分的に膨張される。補助チャンバ130
はまた、少なくとも部分的に膨張される。図1Eでは、補助チャンバ130は、主チャン
バ結合123において乗員対面パネル124に結合された外部チャンバパネル132によ
って画定される。下肢72及び補助チャンバ130は、互いに係合している。いくつかの
例では、主チャンバ120の公称最小膨張圧力に達した後に、膨張ガスが補助チャンバ1
30に入ることを可能にする通気孔126のタイミング制御の結果として、補助チャンバ
130が膨張を開始することができる。通気孔(複数を含む)126は、補助チャンバ1
30の膨張のタイミングを制御することができる。他の例では、下肢72がエアバッグク
ッション110に係合する結果として、補助チャンバ130が膨張を開始してもよい。補
助チャンバ130は、下肢72の両方の方側面に対して、かつ下肢72の間で少なくとも
部分的に膨張している。換言すれば、補助チャンバ130は、下肢72の側方移動を制限
するために、下肢72の前方部分に適合するように少なくとも部分的に膨張されている。
補助チャンバ130は、斜めのクラッシュ状態で発生する可能性があるような、下肢72
の突然の側方移動によって引き起こされる、足、足首、及び膝(例えば、下肢(複数を含
む)72)への損傷を防止するか、さもなければ制限するように、側方移動に対する下肢
72を安定化させ得る。安定しない場合を考えると、斜めクラッシュ状態の間に乗員70
の足が車両の床に固定されたままである間に、下肢72が側方方向に激しく変化すること
がある。下肢(複数を含む)72の上部部分と比較して足の動きの不一致は、傷害を引き
起こす可能性がある。開示された実施形態、具体的には補助チャンバ130は、これらの
種類の傷害を制限及び/又は防止することができる。
【0030】
図1Eの実施形態では、3つの通気孔126が示されている。他の構成は、本明細書で
説明するタイミング制御を含む、補助チャンバ130の膨張を達成することが可能である
。いくつかの他の構成では、通気孔126の数が異なってもよい。任意の所与の構成で使
用される通気孔126は、全て同じサイズ及び形状であってもよく、又はサイズ、形状、
若しくはその両方が変化してもよい。通気孔126はまた、乗員対面パネル124の配置
によって変化してもよい。通気孔126のこのような他の構成は、本開示によって予期さ
れる。
【0031】
図2は、例えば図1Aの膝用エアバッグアセンブリの事前設置エアバッグクッション1
10の上面図である。エアバッグクッション110は、例えば、卓上又は床などの平坦な
面上に置かれているかのように見える。乗員対面パネル124は、補助チャンバ130が
そこに結合された状態で示されている。主チャンバ120は、エアバッグクッション11
0の遠位端部114の近くに少なくとも1つのテザー結合129を、エアバッグクッショ
ン110の近位端部112の近くに少なくとも1つのテザー結合129を含むことができ
る。(テザー(内部テザー)は図3で議論される)各テザー結合129は、好適な構造の
シームであってもよく、又はそれを含んでもよい。図2の実施形態では、乗員対面パネル
124及び車両対面パネル122は、遠位端部114において折り畳み又は折り返しを伴
って、好適な布帛の単一の一体片から形成され、乗員対面パネル124の第1の側方縁部
125a及び第2の側方縁部125b、並びに車両対面パネル122は、主チャンバ結合
123で結合されて、主チャンバ120の膨張可能チャンバを形成する。エアバッグクッ
ション110の主チャンバ120を形成する他の好適な構成も可能であり、本開示によっ
て予期される(例えば、図3を参照して別の可能な構成について)。
【0032】
図2に示すように、外部チャンバパネル132は、乗員対面パネル124の第1の側方
縁部125aから乗員対面パネル124の第2の側方縁部125bまで水平方向に延在す
る。外部チャンバパネル132は、単一の主膨張可能チャンバ120のみに少なくとも部
分的に重なる、又は拡がるように(若しくは重畳されるように)乗員対面パネル124上
に位置付けられ、複数の主膨張可能チャンバに重なる、又は拡がることはない)。外部チ
ャンバパネル132は、2つの隣接する内部テザーによって画定される主チャンバ120
の領域を少なくとも部分的に重なるように乗員対面パネル124の外部に位置付けられる
図2に示すように、テザー結合129と同一場所)。換言すれば、外部チャンバパネル
132は、乗員対面パネル124の第1の側方縁部125aから乗員対面パネル124の
第2の側方縁部125bまで水平方向に延在してもよく、単一の主膨張可能チャンバ12
0のみの周囲内の乗員対面パネル124に沿って垂直方向に延在してもよく、複数の主膨
張可能チャンバに拡がることはない。
【0033】
外部チャンバパネル132は、近位結合134、遠位結合136、及び側方結合138
において、乗員対面パネル124に結合する。図2の実施形態では、外部チャンバパネル
132の側方結合138は、乗員対面パネル124のいずれかの側の主チャンバ結合12
3と一致する。他の実施形態では、外部チャンバパネル132の側方結合138は、乗員
対面パネル124上の他の好適な位置に位置してもよい。結合134、136、及び13
8は、それぞれ好適な構造のシームであってもよい。
【0034】
図3は、図1Aのエアバッグクッション110の部分分解直交図である。図3の実施形
態では、エアバッグクッション110の遠位部分は、エアバッグクッションの近位端部1
12に折り畳み又は折り返しを伴って、好適な材料の第1の片によって形成され、車両対
面パネル122及び乗員対面パネル124は、エアバッグクッション110の遠位端部1
14に折り畳み又は折り返しを伴って、好適な材料の第2の片から形成される。材料の第
1及び第2の片は、例えばステッチングによって互いに結合される。他の実施形態では、
車両対面パネル及び乗員対面パネルは、近位端部に折り畳み又は折り返しを伴って、好適
な材料の単一の一体片によって形成されてもよい(例えば、図5Eを参照されたい)。更
に他の実施形態では、車両対面パネル及び乗員対面パネルは、遠位端部に折り畳み又は折
り返しを伴って、好適な材料の単一の一体片によって形成されてもよい。
【0035】
外部チャンバパネル132は、膨張したときにそうであり得るように、一般的なUの形
状を有するように示されている。外部チャンバパネル132は、側方結合(例えば、図2
の138を参照されたい)なしに、簡略図で示されている。図3の実施形態では、外部チ
ャンバパネル132の各々の側方端部は、外部パネル端部キャップ137と結合し、外部
パネル端部キャップ137は、いずれの側方結合(図示しないが、例えば図2の138を
参照されたい)でも結合する。他の実施形態では、外部チャンバパネル132の側方端部
は、側方結合を収容するために適切な折り畳み、プリーツなどで形成されてもよい。
【0036】
図4Aは、エアバッグクッション110が展開され、かつ少なくとも部分的に膨張して
いる、図1Aエアバッグアセンブリ100の破断側面図である。図4Aの実施形態では、
主チャンバ120は、4つの内部テザー140を囲む。各々の内部テザー140は、車両
対面パネル122と乗員対面パネル124の両方の内側面のテザー結合129で結合する
。各々の内部テザー140は、主チャンバ120を成形し画定するのを助け、主チャンバ
120の膨張(一般に、車両に対して前後に)を制限することができる。例えば、内部テ
ザー140は、主チャンバ120の厚さを制限することができる。
【0037】
エアバッグクッション110の主チャンバ120は、少なくとも1つの内部テザー14
0を取り囲むことができる。なお、図3では、2つの内部テザー140が示されているが
、適切なように、より少ない又はより多くの内部テザー140を主チャンバ120内に含
めることができる。各々の内部テザー140は、エアバッグクッション110の主チャン
バ120全体にわたって膨張ガスの流体連通を容易にするために、1つ以上のアパーチャ
(複数を含む)142を含むことができる。内部テザー140は、図示されるように、乗
員対面パネル124に対して直角に配向されてもよい。他の実施形態では、内部テザー1
40は、乗員対面パネル124及び車両対面パネル122に対して任意の好適な角度に配
向され得る。各々の内部テザー140は、テザー結合(図示しないが、例えば図2の12
9を参照されたい)で乗員対面パネル124と車両対面パネル122の両方の内側面で結
合する。例示目的で、エアバッグクッション110の主チャンバ120は、乗員対面パネ
ル124及び車両対面パネル122が平行であり、均一な面を提供するように直線で示さ
れている。例えば、図1B図1C図4A図4B、及び図4Cを参照されたい。理解
されるように、加圧されたクッションは、内部テザー140の間のパネル124、122
の膨らみをもたらし、湾曲した、くぼんだ、又はそうでなければ不均一な面を呈する場合
がある。
【0038】
外部チャンバパネル132は、主チャンバ120の第1及び第2側方縁部(図示しない
が、例えば図2の125a及び125bを参照されたい)又はその近傍、並びに近位結合
134及び遠位結合136で乗員対面パネル124の外面に結合する。外部チャンバパネ
ル132は、補助チャンバ130を少なくとも部分的に画定する。図4Aの実施形態では
、補助チャンバ130は、乗員対面パネル124の外面に沿って、乗員対面パネル124
の周囲内に垂直方向に延在する。換言すれば、図4Aの実施形態では、補助チャンバ13
0は、2つの内部テザー140を重なることができる。4つ以上の内部テザー140を有
する実施形態では、補助チャンバ130は2つ以上の内部テザー140に重なることがで
きる。言い換えると、4つ以上の内部テザー140を有する実施形態では、補助チャンバ
130は、最も遠位及び最も近位の内部テザー140を除いて、全ての内部テザー140
に重なることができる。
【0039】
乗員対面パネル124は、膨張ガスの補助チャンバ130への流体連通を容易にする少
なくとも1つの通気孔126を含む。補助チャンバ130が複数の内部テザー140と重
なる実施形態では、乗員対面パネル124に複数の通気孔126が存在してもよい。
【0040】
図4Bは、エアバッグクッション110が展開され、かつ少なくとも部分的に膨張して
おり、補助チャンバ130の別の実施形態を示す、別の実施形態による図1Aのエアバッ
グアセンブリ100の破断側面図である。図4Bの実施形態では、外部チャンバパネル1
32の遠位結合136は、補助チャンバ130が主チャンバ120の内部セクションの周
囲内で垂直方向に延在するように、テザー結合129cと同一場所に配置することができ
る。図4Bでは、遠位結合136は、テザー結合129cと同一場所にあり、近位結合1
34は、近位に隣接するテザー結合129aと次の近位に隣接するテザー結合129bと
の間に位置する。別の実施形態では、近位結合134は、遠位結合136が遠位に隣接す
るテザー結合129の間に位置する状態で、テザー結合129と同一場所にあってもよい
図4Bのいずれの実施形態でも、主チャンバ120から補助チャンバ130への膨張ガ
スの流体連通を最も良くするために、通気孔(複数を含む)126を乗員対面パネル12
4の密閉領域内に位置付けることができる。
【0041】
図4Cは、エアバッグクッション110が展開され、かつ少なくとも部分的に膨張して
おり、補助チャンバ130の別の実施形態を示す、別の実施形態による図1Aのエアバッ
グアセンブリ100の破断側面図である。図4Cの実施形態では、補助チャンバ130は
、乗員対面パネル124に沿って、乗員対面パネル124の周囲内に垂直方向に延在する
か、又は重なる。図4Cの示された実施形態では、補助チャンバ130はまた、隣接する
内部テザー140によって形成される周囲内にある。近位結合134は、テザー結合12
9bと同一場所に、又はその近くにあり得る。遠位結合136は、テザー結合129cと
同一場所に、又はその近くにあり得る。通気孔(複数を含む)126は、補助チャンバ1
30によって重ねられた乗員対面パネル124の部分に位置してもよい。
【0042】
図4Dは、エアバッグクッション110が展開され、かつ少なくとも部分的に膨張して
おり、補助チャンバ130の別の実施形態を示す、別の実施形態による図1Aのエアバッ
グアセンブリ100の破断側面図である。図4Dの実施形態では、外部チャンバパネル(
図4Cの132を参照されたい)は省略され、補助チャンバ130は、主チャンバ120
のブリッジ内部テザー144で達成される乗員対面パネル124の構成によって形成する
ことができる。ブリッジ内部テザー144は、第1の位置(ブリッジセグメント結合14
9a)及び第1の位置から垂直方向に変位された第2の位置(ブリッジセグメント結合1
49b)で乗員対面パネル124の内面に結合することができる内部パネル(ブリッジ内
部テザー144)を含むことができる。ブリッジ内部テザー144、より具体的にはブリ
ッジセグメント146は、補助チャンバ130を含む概ねU字形のチャネルを形成するた
めに乗員対面パネル124の一部を構成することができる。換言すれば、ブリッジ内部テ
ザー144は、ブリッジセグメント146を含むことができる。ブリッジセグメント14
6は、近位ブリッジセグメント結合149a及び遠位ブリッジセグメント結合149bに
おいて、乗員対面パネル124の内面に結合されてもよい。ブリッジセグメント146は
、ブリッジセグメント結合149a及び149bによって画定された乗員対面パネル12
4の対応する領域よりも垂直方向に短い。ブリッジ内部テザー144のブリッジセグメン
ト146は、主チャンバ120から補助チャンバ130への膨張ガスの流体連通を可能に
する通気孔(複数を含む)(図示しないが、例えば図4Cの126を参照されたい)を含
むことができる。補助チャンバ130は、乗員対面パネル124の隣接部分よりも遠い車
両着座位置(図示しないが、例えば図1Cの50を参照されたい)に向かって遠くへ後方
に延在するように構成されている。
【0043】
ブリッジセグメント146の通気孔(複数を含む)は、他の実施形態の通気孔(複数を
含む)(例えば、図1Eの126を参照されたい)と同様に、膨張ガスの補助チャンバ1
30への連通のタイミングを制御するように構成することができ補助チャンバ130を乗
員の下肢の側方側面で膨張させて車両に対する下肢の側方移動を制限する。通気孔(複数
を含む)は、補助チャンバ130の膨張のタイミングを制御することができる。
【0044】
図5A図5Eは、特定の点で上述したエアバッグアセンブリ100に類似するエアバ
ッグアセンブリ500の実施形態を示す。したがって、同様の特徴は同様の参照番号で示
され、先頭の数字は「5」に増加する。例えば、図5Aに示される実施形態は、いくつか
の点で、上述したエアバッグクッション110に類似し得るエアバッグクッション510
を含む。それゆえ、同様に識別される特徴に関して上述された、関連性のある開示は、以
降では繰り返されない場合がある。更に、図1A図4Cに示されるエアバッグアセンブ
リ100及び関連する構成要素の特定の特徴は、図面中の参照番号によって図示若しくは
識別されていないか、又は以下の記述された説明において具体的に論じられていない場合
がある。しかしながら、そのような特徴は、他の実施形態で示される特徴、及び/又は、
そのような実施形態に関して説明される特徴と、明白に同じもの、あるいは実質的に同じ
ものとすることができる。したがって、そのような特徴の関連する説明は、図5A及び以
下の項目に示されるエアバッグアセンブリ及び関連する構成要素の特徴に等しく適用され
る。エアバッグアセンブリ100に関して及び図1A図4Cに示す関連構成要素に関し
て説明した特徴の任意の好適な組み合わせ及びその変形例は、エアバッグアセンブリ50
0及び図5Aの関連構成要素と共に使用することができ、その逆も可能である。この開示
のパターンは、後続の図に示され、かつ以降で説明される、更なる実施形態にも等しく適
用されるものであり、先頭の桁を更に増分することができる。
【0045】
図5Aは、別の実施形態による、エアバッグアセンブリ500のエアバッグクッション
510の上面図である。エアバッグクッション510は、例えば、卓上又は床などの平坦
な面上に置かれているかのように見える。エアバッグクッション510は、乗員対面パネ
ル524と、外部チャンバパネル532とを含む。乗員対面パネル524は、主膨張可能
チャンバを少なくとも部分的に形成し、外部チャンバパネル532は、主膨張可能チャン
バの乗員対面パネル524の後面から乗員に向かって後方に突出するか、さもなければ後
方に延在する、外部膨張可能チャンバ(又は補助チャンバ)を形成する。図5Aには、ま
た、エアバッグクッション近位端部512、エアバッグクッション遠位端部514、及び
複数のテザー結合529が示されている。外部チャンバパネル532は、展開された状態
の補助チャンバの膨張時に拡張して、補助チャンバの背面に後方突出部を形成するように
構成されたバブルパネル552を含む(図5Bの530を参照されたい)。
【0046】
図5Aの実施形態では、外部チャンバパネル532は、外部チャンバ第1の側方パネル
532a、外部チャンバ第2の側方パネル532b、及び外部チャンバ中央バブルパネル
552を含む、互いに取り付けられた複数の別個のセクションを含む。外部チャンバ中央
バブルパネル552は、長球面の垂直方向断面、換言すれば、アーモンド状又はフットボ
ール状(アメリカ式)の一般的な2次元形状の形状を有してもよい。本開示において使用
される場合、「アーモンド」は、ヴェシカ・ピシス(vesicapiscis)を指す。外部チャン
バ中央バブルパネル552の主軸は、エアバッグクッション510の中心と整列されても
よいし、中心付近に整列されてもよい。換言すれば、外部チャンバ中央バブルパネル55
2の長球面形状の主軸は、エアバッグクッション510の側方中心に、又はその近くに配
置される。更に別の方法では、外部チャンバ中央バブルパネル552は、エアバッグクッ
ション510の側方縁部からほぼ等距離にある。外部チャンバ中央バブルパネル552は
、複数の外部チャンババブルパネル結合556において、外部チャンバ第1の側方パネル
532a及び外部チャンバ第2の側方パネル532bに結合することができる。外部チャ
ンババブルパネル結合556は、各々、ステッチング、超音波溶接、又は任意の好適な方
法によって形成されたシームであってもよい。
【0047】
外部チャンバ第1の側方パネル532a及び外部チャンバ第2の側方パネル532bは
、各々、外部チャンバ中央バブルパネル552の対応する第1の側面の周囲の長さに類似
する長さを有する第1の側面を有する長方形状のセクションであり得る。長方形状のセク
ションの第1の側面は、外部チャンバ中央バブルパネル552のアーモンド形状の第1の
側面に沿って、外部チャンバ中央バブルパネル552に取り付けられる。アーモンド形状
の外部チャンバ中央バブルパネル552は、外部チャンバパネル532の複数のセクショ
ンの2つの対向する側方セクション、すなわち外部チャンバ第1の側方パネル532aと
外部チャンバ第2の側方パネル532bとの間に配置され、それらに取り付けられる。2
つの側方セクション、すなわち、外部チャンバ第1の側方パネル532a及び外部チャン
バ第2の側方パネル532bは各々、アーモンド形状の外部チャンバ中央バブルパネル5
52の対応する側面の周囲の長さに類似する長さを有する第1の側面を含む。側方パネル
532a、532bの各々の第1の側面は、アーモンド形状の外部チャンバ中央バブルパ
ネル552の対応する側面の周囲に沿って取り付けられている。
【0048】
図5Bは、エアバッグクッション510が少なくとも部分的に展開されており、補助チ
ャンバ530(中央バブル550を含む)が少なくとも部分的に膨張している、図5A
エアバッグクッション510の傾斜上面図である。図5Bの画角は、図1Eと同じか、又
はそれに類似している。車両対面パネル522は、参考のために示されている。外部チャ
ンバパネル532は、複数のセクションのうちの少なくとも1つのセクション(例えば、
外部チャンバ中央バブルパネル552)が、複数のセクションのうちの別のパネル532
a、532bの隣接する部分よりも遠くへ後方に延在するように構成されるように、一緒
に取り付けられた複数のパネル、532a、532b、552を含む。換言すれば、補助
チャンバ530は、外部チャンバ第1の側方パネル532a、外部チャンバ第2の側方パ
ネル532b、及び外部チャンバ中央バブルパネル552によって形成される。外部チャ
ンバ中央バブルパネル552は、外部チャンババブルパネル結合556で、各々外部チャ
ンバ側方パネル532a及び532bに結合される。中央バブル550は、外部チャンバ
第1の側方パネル532a又は外部チャンバ第2の側方パネル532bよりも遠くへ後方
に延在することができる。より簡単に述べると、補助チャンバの中央バブル550は、補
助チャンバ530の隣接する部分が延在するよりも更に遠くへ後方に延在することができ
る。中央バブル550の後方のより遠い延長部は、下肢72の互いに対する衝撃を生じさ
せる側方移動又は足首過度の回転を含む衝突事象中の乗員の下肢72の側方運動を排除又
は減少させることを助けることができ、それによって斜め衝撃衝突事象と頻繁に関連する
下肢傷害のタイプを含めて、乗員の傷害を軽減又は防止することができる。
【0049】
図5Cは、図5A及び図5Bのエアバッグアセンブリ500の外部チャンバパネル53
2の部分分解直交図である。外部チャンバパネル532は、第1の側方パネル532a、
第2の側方パネル532b、及び外部チャンババブルパネル552を含む。外部チャンバ
バブルパネル552は、長球面又はアーモンド形状を有する。アーモンド形状の外部チャ
ンババブルパネル552は、外部チャンバパネル532を形成する複数のセクションの2
つの対向する側方パネル532a、532bの間に配置され、それらに取り付けられる。
【0050】
外部チャンバ中央バブルパネル552は、外部チャンバ中央バブルパネル結合(図示し
ないが、例えば図5A及び図5Dの556を参照されたい)で各々の側方パネル532a
、532bに結合する。第1の側方パネル532aは、対応する側面の周囲の長さに類似
する長さを有する第1の側面若しくは中位縁部533a、又はアーモンド形状の外部中央
バブルパネル552の第1の側方縁部553aを有する長方形形状のセクションであって
もよい。中位縁部533aは、外部チャンバ中央バブルパネル552の第1の側方縁部5
53aに結合するように構成されている。同様に、第2の側方パネル532bは、第1の
側方パネル532aを全体的に鏡映する。換言すれば、第2の側方パネル532bもまた
、長方形の形状であり、外部チャンバ中央バブルパネル552の第2の側方縁部553b
の周囲に類似する長さを有する中位縁部533bを有し、中位縁部533bは、外部チャ
ンバ中央バブルパネル552の第2の側方縁部553bに結合するように構成されている
。第1の側方パネル532aはまた、側方縁部533cを含む。第2の側方パネル532
bはまた、側方縁部533dを含む。
【0051】
図5Dは、図5A図5Cのエアバッグアセンブリ500の組み立てられた、事前設置
された外部チャンバパネル532の直交図である。外部チャンバ中央バブルパネル552
は、2つの側方パネル532a及び532bの間に配置される。外部チャンバ中央バブル
パネル552は、外部チャンババブルパネル結合556で2つの外部チャンバ側方パネル
532a及び532bに結合される。外部チャンバ中央バブルパネル552のアーモンド
形状は、側方パネル532a、532bのいずれかの中位縁部533a、533bの近く
に複数のプリーツ又は折り畳み560を形成することを可能にするか、又は形成させる。
プリーツ又は折り畳み560は、外部チャンバ中央バブルパネル552を、外部チャンバ
パネル532の他のセクションよりも遠くへ後方に延在させるか、又は延在することを可
能にして、中央バブル(図示しないが、例えば図5Bの550を参照されたい)を形成す
る。
【0052】
図5Eは、組み立てられた外部チャンバパネル532を有する図5A図5Dのエアバ
ッグクッション510の部分分解直交図である。エアバッグクッション近位端部512及
びエアバッグクッション遠位端部514と同様に、車両対面パネル522及び乗員対面パ
ネル524が参照のために示されている。図5Eの実施形態では、組み立てられた外部チ
ャンバパネル532は、外部チャンバパネル532の各々の側方端部で外部チャンバパネ
ル端部キャップ537を結合する。図5Eの実施形態では、外部チャンバパネル端部キャ
ップ537は、外部チャンバパネル532のいずれかの側方端部及び側方結合(図示しな
いが、例えば図2の138を参照されたい)に結合する。参考のために、2つの内部テザ
ー540が示されている。
【0053】
図6Aは、別の実施形態による、複数のバブルパネル652、656a、656bを含
む、エアバッグクッション610の上面図である。エアバッグクッション610は、例え
ば、卓上又は床などの平坦な面上に置かれているかのように見える。エアバッグクッショ
ン近位端部612は、図6Aの図面の底部に向かって示され、エアバッグクッション遠位
端部614は、図6Aの図面の上部に向かって示されている。図6Aの実施形態では、外
部チャンバパネル632の複数のセクションは、アーモンド形状セクション、又はバブル
パネル652、656a、656bを含む。中央バブルパネル652は、外部チャンバパ
ネル632の側方中心に、又はその近くに位置する。側方バブルパネル656a、656
bは、外部チャンバパネル632のいずれかの側方端部の近くに位置する。
【0054】
第1の外部チャンバ遠位側方パネル632aは、第1の側方バブルパネル656aの側
方方向外側に位置する。第1の外部チャンバ中位側方パネル632bは、第1の側方バブ
ルパネル656aと中央バブルパネル652との間に位置する。第2の外部チャンバ中位
側方パネル632cは、中央バブルパネル652と第2の側方バブルパネル656bとの
間に位置する。第2の外部チャンバ遠位側方パネル632dは、第2の側方バブルパネル
656bの側方外側に位置する。各々のバブルパネル652、656a、656bは、図
5A~図5Dを参照して上述したものと同様の方法で、関連する外部チャンバサブパネル
632a、632b、632c、632dの対応する縁部に結合する。
【0055】
図6Bは、エアバッグクッション610が部分的に展開されており、補助チャンバ63
0及び複数のクッションバブル650、654が、少なくとも部分的に膨張している、図
6Aのエアバッグアセンブリのエアバッグクッション610の傾斜上面図である。図6B
の画角は、図1Eと同じか、又はそれに類似している。車両対面パネル622及び乗員対
面パネル624は、参考のために示されている。補助チャンバ630は、中央バブル65
0と2つの側方バブル654とを含む。バブル650、654は、中央バブルパネル65
2及び側方バブルパネル656a、656bによって形成される。バブル650、654
は、衝突事象中、特に斜め衝撃衝突事象中に、乗員70の下肢72(又は膝)の側方移動
を防止又は低減するように位置付けられ、かつ構成され得、それにより下肢72の傷害を
軽減又は防止する。換言すれば、中央バブル650は、下肢72の互いに対する衝撃を防
止又は制限することができ、側方バブル654は、様々な車両構成要素による下肢72の
衝撃を防止又は制限して、乗員70の下肢72の障害を低減又は防止することができる。
【0056】
図7Aは、別の実施形態によるエアバッグアセンブリの事前設置エアバッグクッション
710の上面図であり、拡張されたときにプリーツバブルを形成する複数のプリーツ折り
畳み752、756a、756bを含む。エアバッグクッション710は、乗員対面パネ
ル724が上を向くように、例えば卓上又は床のような平坦な面上に置かれているように
見える。エアバッグクッション710の近位端部712は、図7Aの図面の下部近くに示
され、エアバッグクッション710の遠位端部714は、図7Aの図面の上部付近にある
図7Aの実施形態では、外部チャンバパネル732の材料のプリーツ折り畳み752は
、外部チャンバパネル732の側方中心の近くに位置する。また、図7Aに示すように、
側方プリーツ折り畳み756a、756bは、外部チャンバパネル732のいずれかの側
方端部の近くに位置する。図7Aの実施形態では、プリーツ折り畳み752、756a、
756bの各々は、外部チャンバパネル732を形成する材料の側方延長部として形成す
ることができる。換言すれば、外部チャンバパネル732を形成する布帛パネルは、プリ
ーツ折り畳み752、756a、756bの各々を折り畳み、かつプリーツすることを可
能にするのに十分な展開され膨張したエアバッグクッション710の幅よりも側方に幅が
広い。各々のプリーツ折り畳み752、756a、756bは、補助チャンバ730の膨
張中にプリーツ折り畳み752、756a、756bが後方に(車両に対して)拡張し得
るように、外部チャンバパネル732を形成する布帛パネルを適切に折り畳むことによっ
て形成されてもよい。
【0057】
図7Bは、エアバッグクッション710が膨張していない、事前設置された状態にある
図7Aのエアバッグクッション710の傾斜上面図である。図7Bの画角は、図1D
ものと類似である(図1B上で1D-1Dとして識別されている)。車両対面パネル72
2及び乗員対面パネル724は、参考のために示されている。図7Bは、外部チャンバパ
ネル732に対するプリーツ折り畳み752、756a及び756bの各々についての1
つの可能な折り畳み構成を示す。他の折り畳み構成も可能である。例えば、図7Bは、一
方向に折り畳まれた中央プリーツ折り畳み752を示し、中央プリーツ折り畳み752は
、別の方向に折り畳むことができ、又は複数の方向に折り畳むことができる。同様に、い
ずれの側方プリーツ折り畳み756a、756bも、図示されていない方向又は複数の方
向に折り畳むことができる。なお、図7Bは、各々が外部チャンバパネル732の単一の
折り畳みとしてのプリーツ折り畳み752、756a及び756bを示しているが、各々
のプリーツ折り畳み752、756a、756bは、複数の折り畳み又はプリーツで形成
されてもよい。
【0058】
図7Cは、エアバッグクッション710が展開され、かつ少なくとも部分的に膨張して
おり、補助チャンバ730及びプリーツバブル750、754が少なくとも部分的に膨張
している、図7Aのエアバッグクッション710の傾斜上面図である。車両対面パネル7
22及び乗員対面パネル724は、参考のために示されている。図7A図7B及び図7
Cの実施形態では、プリーツ折り畳み752、756a、756bは、外部チャンバパネ
ル732に隣接する材料で形成される。補助チャンバ730が膨張するにつれて、プリー
ツバブル750、754は同時に膨張し得、プリーツバブル750、754が図6B)の
バブル650、654と同様の方法で更に後方に延在する。プリーツバブル750、75
4は、衝突事象中、特に斜めの衝突事象中に、乗員70の下肢72若しくは膝の側方移動
、又は足首の回転を防止又は制限することができる。
【0059】
また、図7A図7B及び図7Cは、3つのプリーツバブル750、754を有する実
施形態を示しているが、別の実施形態では、側方プリーツバブル754を省略してもよい
。プリーツバブルの他の配置も可能である。
【0060】
図8は、別の実施形態によるエアバッグアセンブリの事前設置エアバッグクッション8
10の上面図であり、乗員対面パネル824に結合された垂直方向の外部チャンバパネル
862を含む。エアバッグクッション810は、例えば、卓上又は床などの平坦な面上に
置かれているかのように見える。エアバッグクッション810の近位端部812は、図8
の図面の下部近くに示され、エアバッグクッション810の遠位端部814は、図8の図
面の上部付近にある。エアバッグクッション810は、1つ以上の内部テザー(複数のテ
ザー結合829と同一場所にある)を囲むことができる。内部テザー(複数を含む)は、
テザー結合(複数を含む)829において乗員対面パネル824の内面に結合する。
【0061】
外部チャンバパネル862は、長球面、すなわち、アーモンド又はフットボール(アメ
リカ式)の一般的な形状の形状を有することができる。外部チャンバパネル862は、外
部チャンバパネル結合858において乗員対面パネル824の外面に結合する。外部チャ
ンバパネル862は、エアバッグクッション810の側方中心に、又はその近くに配置さ
れる。外部チャンバパネル862は、1つ以上のテザー結合(複数を含む)829の一部
に重ねることができる。外部チャンバパネル862は、乗員対面パネル824の隣接領域
図9A及び図9Bの830を参照されたい)よりも更に後方(車両に対して)に延在す
るように構成されている。
【0062】
図9Aは、エアバッグクッション810が展開され、かつ少なくとも部分的に膨張して
おり、補助チャンバ830が少なくとも部分的に膨張している、図8のエアバッグクッシ
ョン810の傾斜上面図である。図9Aの画角は、図1Dのものと類似である(図1B
で1D-1Dとして識別されている)。1つ以上の内部テザー(複数を含む)840は、
本明細書の他の箇所に記載されているように、車両対面パネル822と乗員対面パネル8
24との間に配置されてもよい。内部テザー(複数を含む)840は、エアバッグクッシ
ョン810を車両構造と乗員70の下肢(複数を含む)72との間の空間に適合させるの
を助けることができる。図9Aの実施形態では、内部テザー(複数を含む)840は、内
部テザー(複数を含む)840の側方幅全体に沿って、複数のテザー結合(複数を含む)
829で乗員対面パネル824の内側面に結合することができる。
【0063】
補助チャンバ830は、外部チャンバパネル862によって形成される。外部チャンバ
パネル862は、外部チャンバパネル結合858で乗員対面パネル824に結合する。乗
員対面パネル824が外部チャンバパネル862によって重ねられる領域内で、乗員対面
パネル824は、膨張ガスの補助チャンバ830への流体連通を提供するための1つ以上
の通気孔(複数を含む)826を含み得る。乗員対面パネル824の通気孔(複数を含む
)は、本明細書の他の箇所に開示されているように、補助チャンバ830の膨張のタイミ
ングを制御することができる。補助チャンバ830は、乗員対面パネル824に沿って垂
直方向に延在し、乗員70の下肢72の間に位置付けられ、かつ構成されている。補助チ
ャンバ830は、衝突事象中、特に斜めの衝突事象中に、乗員70の下肢(複数を含む)
72の側方移動、足首の回転を防止又は制限し、それにより、下肢(複数を含む)72及
び乗員70の傷害を軽減又は防止し得る。
【0064】
図9Bは、エアバッグクッション810が展開され、かつ少なくとも部分的に膨張して
おり、補助チャンバ830が少なくとも部分的に膨張している、図8のエアバッグクッシ
ョン810の傾斜上面図である。図9Bの画角は、図1Dのものと類似である(図1B
で1D-1Dと表示されている)。補助チャンバ830は、外部チャンバパネル862に
よって形成される。外部チャンバパネル862は、外部チャンバパネル結合858で乗員
対面パネル824に結合する。図9Bの実施形態では、乗員対面パネル824は、膨張ガ
スを補助チャンバ830に連通させるための通気孔(複数を含む)を実装するのではなく
、外部チャンバパネル862によって重ねられる乗員対面パネル824の全(又は実質的
に全)領域の下にあるアパーチャ又は開口部を有することができる。換言すれば、外部チ
ャンバパネル結合858によって外接される乗員対面パネル824の領域は、乗員対面パ
ネル824(図9Aの外部チャンバパネル結合858を参照されたい)内に開口部を含む
ことができる。
【0065】
内部テザー(複数を含む)840は、テザー結合(複数を含む)829において乗員対
面パネル824の内面に結合する。図9Bの実施形態では、外部チャンバパネル862に
よって部分的に重ねられるテザー結合(複数を含む)829は、内部テザー(複数を含む
)840の側方幅にわたって連続していなくてもよいが、外部チャンバパネル862によ
って重ねられ、外部チャンバパネル結合858によって外接される乗員対面パネル824
内の開口部に適合する不連続部829a又は間隙を含むことができる。図9Bの実施形態
では、補助チャンバ830は、エアバッグクッション810の主チャンバ820とほぼ同
時に膨張してもよい。
【0066】
本明細書で開示されるいずれの方法も、説明されている方法を実行するための、1つ以
上の工程又は行為を含む。それらの方法の工程及び/又は行為は、互いに入れ替えること
ができる。換言すれば、実施形態の適切な動作に関して、特定の工程又は行為の順序が必
要とされない限り、それら特定の工程及び/若しくは行為の順序並びに/又は操作を、変
更することができる。更には、本明細書で説明されている方法のサブルーチン又は一部分
のみを、本開示の範囲内の別個の方法とすることもできる。換言すれば、一部の方法は、
より詳細な方法で説明されている工程の、一部分のみを含み得る。
【0067】
本明細書の全体にわたる、「ある実施形態」又は「その実施形態」への言及は、その実
施形態に関連して説明されている特定の特徴、構造、又は特性が、少なくとも1つの実施
形態に含まれていることを意味する。それゆえ、引用される句又はその変形は、本明細書
の全体にわたって記載されている場合、必ずしも全てが、同じ実施形態に言及するものと
は限らない。
【0068】
同様に、本開示の恩恵を受けることにより、当業者には、上記の実施形態の説明におい
て、開示の効率化の目的上、様々な特徴が単一の実施形態、図、又はそれらの説明に集約
されている場合がある点を理解されたい。しかしながら、本開示の方法は、いずれの請求
項も、その請求項で明示的に記載された特徴よりも多くの特徴を必要とするという意図を
反映するものとして、解釈されるべきではない。むしろ、以下の請求項が反映するように
、発明の態様は、上記で開示された任意の単一の実施形態の全ての特徴よりも、少ない特
徴の組み合わせにある。それゆえ、この「発明を実施するための形態」に続く請求項は、
この「発明を実施するための形態」に明示的に組み込まれるものであり、各請求項は、そ
れ自体が別個の実施形態として独立している。本開示は、独立請求項とそれらの従属請求
項の、あらゆる並べ替えを含む。
【0069】
ある特徴又は要素に関する、請求項における「第1の」という用語の記載は、必ずしも
、第2の若しくは追加的な、そのような特徴又は要素の存在を示唆するものではない。
【0070】
本開示の根本的な原理から逸脱することなく、上述の実施形態の詳細に変更を加えるこ
とができる点が、当業者には明らかとなるであろう。排他的な所有権又は特権が請求され
る本開示の実施形態は、以下のように定義される。
図1A
図1B
図1C
図1D
図1E
図2
図3
図4A
図4B
図4C
図4D
図5A
図5B
図5C
図5D
図5E
図6A
図6B
図7A
図7B
図7C
図8
図9A
図9B