(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-01-16
(45)【発行日】2023-01-24
(54)【発明の名称】特にミルクの泡用の出口を有する装置およびコーヒーマシン
(51)【国際特許分類】
A47J 31/44 20060101AFI20230117BHJP
A47J 31/46 20060101ALI20230117BHJP
【FI】
A47J31/44 410
A47J31/44 430
A47J31/46
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2018128887
(22)【出願日】2018-07-06
【審査請求日】2021-06-08
(32)【優先日】2017-07-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CH
(73)【特許権者】
【識別番号】504237533
【氏名又は名称】シュタイナー・アーゲー・ウェギス
(74)【代理人】
【識別番号】100098394
【氏名又は名称】山川 茂樹
(74)【代理人】
【識別番号】100064621
【氏名又は名称】山川 政樹
(72)【発明者】
【氏名】シュタイナー,アドリアン
【審査官】杉浦 貴之
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第05931080(US,A)
【文献】特開2015-142699(JP,A)
【文献】特表2009-502300(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47J 31/44-31/60
A23F 5/24-5/42
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ミルクの泡用の出口を有し、前記出口(233)を空間的に2軸または3軸の座標方向(x、y、z)に移動させることのできる制御ユニットを有し、結果として流体を供給する際に、容器内に供給される
飲料の表面上に図形模様が自動的に作成され得る装置であって、前記装置は、旋回可能におよび/または変位可能に収容されたガイドスリーブ(22)、および少なくとも1つのホース要素(23)を特徴とし、前記ホース要素(23)をミルクの泡が通過し、前記ホース要素(23)は前記ガイドスリーブ内で変位可能であり、前記ホース要素(23)は前記出口(233)を有し、前記出口(233)は2つの座標方向(x、y)の少なくとも1つの平面内で、前記容器の上方の前記制御ユニットによって制御された形で、前記ホース要素(23)および前記ガイドスリーブ(22)と共に移動可能であり、そうすることにより、
前記ミルクの泡が前記容器の中に供給され得る、装置。
【請求項2】
前記ガイドスリーブ(22)は、およそ90度の角度が付いた少なくとも1つのスリーブ部品(222)を有し、前記スリーブ部品(222)は回転軸(225)の周りに回転可能に収容され、前記制御ユニットによって制御されるモータードライブ(4)によって制御された形で回転させることができる、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記ホース要素(23)は、前記ガイドスリーブ(22)および
前記ガイドスリーブ(22)が有するおよそ90度の角度が付いたスリーブ部品(222)を通って延び、前記制御ユニットによって、前記ガイドスリーブ(22)の長手方向の延長部に沿った変位のために制御される駆動ユニット(5、51、52)によって結合されている、請求項1または2に記載の装置。
【請求項4】
前記ガイドスリーブ(22)は長手スロット(224)を有し、前記長手スロット(224)を通って、前記ガイドスリーブ(22)の端部に割り当てられた前記出口(233)が延び、前記ガイドスリーブ(22)内で導かれ、前記出口(233)が前記出口(233)の下方に置かれ得る前記容器のおよそ直径全体の範囲にわたって移動できるほどに、前記ガイドスリーブ(22)または前記長手スロット(224)、および前記ホース要素(23)の変位経路が十分に長いことを特徴とする、請求項1~3のいずれか一項に記載の装置。
【請求項5】
前記ガイドスリーブ(22)は、前記ガイドスリーブ(22)が旋回できる平面に直角な並進移動方向に変位できることを特徴とする、請求項1に記載の装置。
【請求項6】
前面壁(11’)を有するハウジング(11)を有し、前記ハウジング(11)の前面に、メイン飲料出口(21)、および、しずく受け(14)の
支持表面が、前記
メイン飲料出口(21)の下方に配置され、前記支持表面上に容器が配置され充填される、請求項1~5のいずれか一項に記載の装置を有するコーヒーマシンであって、制御された移動中に、前記ガイドスリーブ(22)は前記メイン飲料出口(21)の下方に位置して模様を作成し、アイドル状態では旋回して前記前面壁(11’)に戻って、前記メイン飲料出口(21)の下方の空間が空き、
コーヒーが前記容器の中に妨害無く供給されるように、前記出口(233)を有する前記ガイドスリーブ(22)が配置されている、コーヒーマシン。
【請求項7】
前記ガイドスリーブ(22)は、アイドル状態において前記前面壁(11’)の直接前で略平行に位置しているか、もしくは旋回して前記前面壁(11’)内の凹部の中にあることを特徴とする、請求項6に記載のコーヒーマシン。
【請求項8】
請求項1~5のいずれか一項に記載の装置、または、請求項6又は7に記載のコーヒーマシンを使用して飲料を調製する方法であって、前記方法は、第1の飲料構成要素を調製することと、第2の飲料構成要素を調製しながら前記第1の飲料構成要素をメイン飲料出口(21)を通して供給することと、前記第2の飲料構成要素を第2の出口(233)を通して供給することと、を含み、前記第2の出口(233)は、前記第2の飲料構成要素を供給する際に平面内を制御可能な形で移動し、
前記第2の出口(233)を回転軸(225)の周りの円の接線方向に旋回させるか、または前記第2の出口(233)を前記回転軸(225)に対して半径方向に移動させるか、または示された移動動作の組み合わせか、の少なくとも1つの移動動作が実施される、方法。
【請求項9】
ミルク泡立て器は、前記ミルク泡立て器によって生成された
ミルクの泡の稠度を変更可能に設定できるように設計されていることを特徴とする、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記ミルクの泡の前記稠度が供給空気の量を制御することによって設定できることを特徴とする、請求項9に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1または6のプリアンブルによる、特にミルクの泡用の出口を有する装置、およびそのような装置を有するコーヒーマシンに関する。
【背景技術】
【0002】
コーヒーマシンでコーヒーを調製するとき、特にミルクの泡が、淹れられたコーヒーにジャグなどから手で加えられ、「ラテアート」の名前で知られる図形模様がコーヒー上に現れる。その模様のデザインと配置は、その作業を行っている人の創造性と技能によって決定される。このタイプの調製は時間を要し、人が所望のモチーフを魅力的に作成できるまでには多くの練習を必要とする。
【0003】
これを基に、欧州特許第2893857号による、ミルクの泡を注入するための方法および装置では、そのようなモチーフを機械で作成することが開示されている。このようにして、自動制御により、コーヒーで満たされたカップの表面の上方にミルクの泡用の出口が導かれる。出口を移動するための装置はロボットとして設計されている。従って、ミルクの泡は、空間的に2軸または3軸の座標方向(x、y、z)で制御される装置を用いて自動的に供給することができ、模様を作成することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、模様の自動作成のための簡略化された設計および小型構造を実現する装置を開発することであり、その装置では、所定表面内の任意の場所に意図した通りに流体を注入することができるという、所望の目的に必要とされる機能が維持されることを意図している。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明によると、この目的は請求項1の特徴により実現される。
【0007】
特に、第1の飲料構成要素の表面上への第2の飲料構成要素、例えばコーヒー表面へのミルクの泡、の目標を定めた適用のための、流体注入用の記載された装置は、その小型構造を特徴とする。旋回可能なガイドスリーブと、その中に含まれるミルクの泡用のホースとを有する設計は、極めて細くほとんど空間を必要としない。結果として得られる小型構造ゆえに、装置はコーヒーマシンの飲料出口の中に一体化することもできる。
【0008】
メイン飲料出口はコーヒー用の調製ユニットに接続され、ホース要素は特にコーヒーマシン内のミルク泡立て器に接続される。
【0009】
第2の飲料出口の制御された移動手順により、飲料出口は接線方向に回転軸周りに旋回しかつ回転軸とは別々に半径方向に移動するか、または示された移動手順の制御された組合わせが行われる。この目的のために、第2の飲料出口を備えるホース要素がガイドスリーブ内で延びるか、および/またはガイドスリーブ内のホース要素がガイドスリーブの長手方向の延長部に沿って並進運動してシフトするか、もしくは示された移動手順の組合せが実施される。特に、ホース要素の一部のみがガイドスリーブの内部で長手方向の延長部に沿って延びる。この図形模様は、第2の飲料出口の移動を制御することにより、例えば描写的または装飾的な表現の形で作成することができる。
【0010】
特定の模様を作成するためのプログラムは制御装置内であらかじめ定めることができ、プログラムは、この制御された移動を伴って、第2の飲料出口の接線方向および半径方向の移動のための駆動ユニットを作動させ、これにより、この飲料出口の半径方向および接線方向への同期した移動が好都合にもたらされる。
【0011】
記載された方法はまた、ガイドスリーブが旋回する表面に直角な、第2の飲料出口の並進移動を含むことができる。従って、例えば、第2の飲料構成要素が適用される表面の上方での第2の飲料出口の高さは規定可能な距離に調整することができる。
【0012】
本発明および本発明の追加の利点を、図面を参照し実施形態の例を用いて更に詳細に以下に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】コーヒーマシンの一部としての本発明による装置の長手方向部分の一部の図である。
【
図2】
図1による装置を有するコーヒーマシンの前面の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
図1はコーヒーマシン1の一部を、
図2はコーヒーマシン1の前面を示し、コーヒーマシンはハウジング11、前面壁11’、および壁上に配置された装置12を有する。コーヒー用の調製ユニットおよびミルク用の調製ユニット、好ましくはミルク泡立て器などの、通常の構成要素を装備したコーヒーマシン1は、従って更に詳細には説明しない。
【0015】
図2において、ディスプレイを有する操作および制御ユニット15、2つのコーヒー豆容器16、メイン飲料出口21、およびしずく受け14がコーヒーマシン1上に見える。
【0016】
流体、特にミルクの泡または類似の飲料のための出口233を有する装置12には、出口233を空間的に2軸または3軸の座標方向x、y、zに移動することができる制御ユニットが設けられており、それにより流体が供給されている時に、容器の中に供給された飲料、好ましくはコーヒーの表面上に図形模様を自動的に作成することができる。特に、ミルクの泡が供給されカプチーノまたは類似の飲料が調製される。しかし、これはクリーム状の流体でもあり得る。
【0017】
装置12の垂直位置は、スピンドル31を有する駆動部3によって、ハウジング11内でz方向に調整することができる。このようにして、装置を様々な大きさの容器に適した、コーヒーマシンの適用表面の上方の位置に持ってくることができ、それにより装置上に異なる大きさのカップまたは容器を置くことが可能になる。動作中、装置はカップの縁の上方の好都合な位置に設定することができる。これもまた、容器の高さが一体化された計測要素によって決定され得る場合には、z位置を自動的に設定することにより実施できる。
【0018】
本発明によると、旋回可能なスリーブ22、および内部を流体が通過し、ガイドスリーブ内をシフトすることのできる、変位可能なホース要素23には、出口ヘッドとして形成された出口233が設けられる。従って、この出口233は、ホース要素およびガイドスリーブと共に、これら2つの座標方向xおよびy内の平面内で制御ユニットにより制御された形で移動させることができ、ミルクの泡が容器の上方で供給され得る。
【0019】
好都合にも、ガイドスリーブ22は、およそ90度の角度が付いたスリーブ部品222によって保持されており、スリーブ部品は回転軸225の周りで回転可能に収容され、制御ユニットによって制御されるモータードライブ4によって回転させることができる。この可撓性を有するホース要素23は、図示されていない一端でミルク用の調製ユニットに流体的に結合し、湾曲したスリーブ部品222の中に延びている。湾曲したスリーブ22はホース要素23のためのガイドスリーブとして機能する。スリーブ部品222は、垂直回転軸225の周りに回転可能に収容されるセグメント221を備える。ガイドスリーブ22が回転軸225の周りに回転する場合、これはメイン飲料出口21の下方にある、円形リング形状の表面、または円形リング形状のセグメントの表面を述べている。
【0020】
出口233のキャップ232の口は、長手スロット224を通って突出しており、従って長手スロット内を導かれる。可撓性を有するホース要素23の領域234内のホース要素の長手方向に張力または圧力を加えることにより、ホース要素の端部にある出口233はガイドスリーブの長手方向に沿って移動することができる。
【0021】
その上、出口233は、ガイドスリーブを回転軸225の周りで接線方向に旋回させることにより調整することができる。従って、出口233は制御された形で、円形リングの内部または円形リングのセグメントの内部の任意の点に配置することができ、円形リングまたはそのセグメントは、回転軸225に対する長手スロット224の延長部および位置、ならびにガイドスリーブの旋回範囲によって指定される。動作中、長手スロットの旋回範囲、ならびに長さおよび半径方向の配置は、出口233が、装置下で支持表面上に意図通りに置かれた容器の表面全体にわたって、および/または出口の下部に配置され得る容器の直径全体の範囲のおよそ上方で、移動できるように選択される。
【0022】
ガイドスリーブ22およびホース要素23を備える、流体を輸送するための記載した装置は、更に出口233の方法および位置決めが、示された表面の内部で自動的かつ制御された形で実施できるように装備されている。この目的のために、出口233の位置の接線方向での調整のため、および/またはガイドスリーブの垂直回転軸225の周りの回転または旋回のための駆動ユニット4が装置12上に配置される。この目的のために、例えば、ピニオン41がモーターの軸上に配置され、そのピニオンはその歯部で、歯付き要素42の歯部と係合し、歯付き要素は次いで、回転方向に固定した形で、回転軸に平行なガイドスリーブの近位セグメント221と結合している。駆動ユニット4は垂直回転軸225の周りのガイドスリーブ22の旋回、従って供給用開口部233の接線方向の変位を生む。
【0023】
追加の駆動ユニット5がねじ付きスピンドル51と結合して、その長手方向軸の周りに回転させる。ナット52が、ねじ付きスピンドル51の長手方向軸の周りの回転を防止するために支柱53に支持されて、ねじ付きスピンドルに結合している。ねじ付きスピンドル51が回転運動を受けたときに、ナット52の軸方向移動が生じる。ナット52は可撓性を有するホース要素23のセグメント234に結合しており、従ってセグメント234は駆動ユニット5によって長手方向に移動し、その結果、供給用開口部233が回転軸225に対して半径方向へ運動する。
【0024】
駆動ユニット4および5は制御ユニットによって、交互にまたは同時に、および出口233に対して接線方向と半径方向で異なる速度で操作することができ、それにより出口233はメイン飲料出口21の下方の水平面上の規定された経路をたどる。
【0025】
出口233の移動中に、飲料構成要素、特にミルクの泡が連続的にまたは断続的にホース要素を通して出口233に導入されると、この飲料構成要素からの模様が出口下方の表面上に作成される。従って、最初に例えばコーヒーがメイン飲料出口からカップに供給され、次いでミルクの泡が、特定の経路で制御された形で移動できる出口233によって供給される場合、コーヒーの表面上に任意の審美的に魅力的なミルクの泡の模様を自動的にかつ正確に作成することができる。
【0026】
このミルク泡立て器は、模様が常に最適な形で生成可能なように、ミルクの泡の稠度が可変的に調整可能に設計されていると有益である。例えば、この稠度は供給空気の量を制御することで変更および設定することができる。
【0027】
長手スロット224を有するガイドスリーブ22のハウジング部分226は除去することができ、除去可能であり、出口233を形成するキャップ232も可撓性を有するホース要素23に着脱可能に接続される。従って、ホース洗浄を容易に行うことができ、衛生が改善できる。
【0028】
ミルクの泡が特定の模様を作成するように供給開口部を調整するように駆動ユニット4および5がプログラムされた後は、作成される模様を選択する以外には、装置はユーザによる追加操作を必要としない。
【0029】
図2に示すように、ガイドスリーブ22は出口233を伴って配置され、アイドル状態では旋回して前面壁11’に戻り、メイン飲料出口21の下方の空間は空いており、それによりコーヒーなどを妨害無く容器の中に供給することができる。動作中、ガイドスリーブは前面壁11’に略平行に整列している。ガイドスリーブが旋回して中に入ることができる、閉じることができる凹みを壁内に設けることもできる。
【0030】
本発明は他の変形形態によっても示すことができる。従って、回転軸の周りに旋回可能である代わりに、ガイドスリーブは理論上はまた、少なくとも一方向に調整可能に、更に変位可能に、または追加的に変位可能に配置され得るが、更に詳細には示されない。ガイドスリーブがコーヒーマシンの壁にあるアイドル位置から好都合に開始する場合、ガイドスリーブは水平面内で壁から離れるように制御可能で変更可能なストロークで変位し、その結果、ガイドスリーブ、およびその中で長手方向に移動し得る出口が、このような模様を容器内容物の上に生成することができる。
【0031】
変形形態として、各々が出口を有する2つ以上のそのようなホース要素を、ガイドスリーブの長手方向に変位可能となるように、ガイドスリーブ内で互いに隣接して配置することができる。従って、淹れられたコーヒーの広い表面を、ミルクの泡で同時に覆うことができ、または異なる2つの流体、例えばミルクの泡とチョコレートクリーム等を、互いに独立に供給することもできる。
【符号の説明】
【0032】
1 コーヒーマシン
3 駆動部
4 駆動ユニット
5 駆動ユニット
11 ハウジング
11’ 前面壁
12 装置
14 しずく受け
15 制御ユニット
16 コーヒー豆容器
21 メイン飲料出口
22 ガイドスリーブ
23 ホース要素
31 スピンドル
41 ピニオン
42 歯付き要素
51 ねじ付きスピンドル
52 ナット
53 支柱
221 セグメント
222 スリーブ部品
224 長手スロット
225 回転軸
226 ハウジング部分
232 キャップ
233 供給用開口部
233 出口
234 領域
234 セグメント