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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-01-16
(45)【発行日】2023-01-24
(54)【発明の名称】歯車ユニット及びその組立て方法
(51)【国際特許分類】
   F16H 1/32 20060101AFI20230117BHJP
   F16H 55/17 20060101ALI20230117BHJP
【FI】
F16H1/32 A
F16H55/17 A
【請求項の数】 18
(21)【出願番号】P 2018192165
(22)【出願日】2018-10-10
(65)【公開番号】P2019105366
(43)【公開日】2019-06-27
【審査請求日】2021-09-10
(31)【優先権主張番号】P 2017236352
(32)【優先日】2017-12-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】503405689
【氏名又は名称】ナブテスコ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100126572
【弁理士】
【氏名又は名称】村越 智史
(72)【発明者】
【氏名】紀平 誠人
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼橋 昌宏
【審査官】畔津 圭介
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-052743(JP,A)
【文献】特表2015-508138(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16H 1/32
F16H 55/17
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の歯車と、該第1の歯車と位相の異なる第2の歯車と、とを含む第1の歯車群と、
前記第1の歯車群が固定される第1の歯車群用軸と、
該第1の歯車と噛合う第3の歯車と、該第2の歯車と噛合うと共に該第3の歯車と位相の異なる第4の歯車と、を含む第2の歯車群と、
前記第2の歯車群が固定され、前記第3の歯車及び前記第4の歯車とともに回転する第2の歯車群用軸と、
前記第1の歯車と噛合う第5の歯車と、前記第2の歯車と噛合うと共に該第5の歯車と位相の異なる第6の歯車と、を含む第3の歯車群と、
前記第3の歯車群が固定され、前記第5の歯車及び前記第6の歯車とともに回転する第3の歯車群用軸と、
を備えたことを特徴とする歯車ユニット。
【請求項2】
前記第3の歯車の位相と、前記第5の歯車の位相とが同じであり、前記第4の歯車の位相と、前記第6の歯車の位相とが同じである、請求項1に記載の歯車ユニット。
【請求項3】
第1の歯車と、該第1の歯車と位相の異なる第2の歯車と、とを含む第1の歯車群と、
該第1の歯車群が固定される第1の歯車群用軸と、
該第1の歯車と噛合う第3の歯車と、該第2の歯車と噛合うと共に該第3の歯車と位相の異なる第4の歯車と、を含む第2の歯車群と、
該第2の歯車群が固定され、前記第3の歯車及び前記第4の歯車とともに回転する第2の歯車群用軸と、
前記第1の歯車と噛合う第5の歯車と、前記第2の歯車と噛合うと共に該第5の歯車と位相の異なる第6の歯車と、を含む第3の歯車群と、
該第3の歯車群が固定され、前記第5の歯車及び前記第6の歯車とともに回転する第3の歯車群用軸と、を備える歯車ユニットの組立て方法であって、
前記第1の歯車を前記第1の歯車群用軸に固定する第1のステップと、
前記第1のステップの後に、前記第3の歯車を前記第2の歯車群用軸に固定し、前記第5の歯車を前記第3の歯車群用軸に固定する第2のステップと、
前記第2のステップの後に、前記第2の歯車を前記第1の歯車群用軸に固定し、前記第4の歯車を前記第2の歯車群用軸に固定し、かつ前記第6の歯車を前記第3の歯車群用軸に固定する第3のステップと、を備えることを特徴とする歯車ユニットの組立て方法。
【請求項4】
第1の歯車と、該第1の歯車と位相の異なる第2の歯車と、とを含む第1の歯車群と、
該第1の歯車群が固定される第1の歯車群用軸と、
該第1の歯車と噛合う第3の歯車と、該第2の歯車と噛合うと共に該第3の歯車と位相の異なる第4の歯車と、を含む第2の歯車群と、
該第2の歯車群が固定され、前記第3の歯車及び前記第4の歯車とともに回転する第2の歯車群用軸と、
前記第1の歯車と噛合う第5の歯車と、前記第2の歯車と噛合うと共に該第5の歯車と位相の異なる第6の歯車と、を含む第3の歯車群と、
該第3の歯車群が固定され、前記第5の歯車及び前記第6の歯車とともに回転する第3の歯車群用軸と、を備える歯車ユニットの組立て方法であって、
前記第1の歯車を前記第1の歯車群用軸に固定する第1のステップと、
前記第1のステップの後に、前記第3の歯車と、前記第4の歯車と、を前記第2の歯車群用軸に固定し、前記第5の歯車と、前記第6の歯車と、を前記第3の歯車群用軸に固定する第2のステップと、
前記第2のステップの後に、前記第2の歯車を前記第1の歯車群用軸に固定する第3のステップと、を備えることを特徴とする歯車ユニットの組立て方法。
【請求項5】
第1の歯車と、該第1の歯車と位相の異なる第2の歯車と、とを含む第1の歯車群と、
該第1の歯車群が固定される第1の歯車群用軸と、
該第1の歯車と噛合う第3の歯車と、該第2の歯車と噛合うと共に該第3の歯車と位相の異なる第4の歯車と、を含む第2の歯車群と、
該第2の歯車群が固定され、前記第3の歯車及び前記第4の歯車とともに回転する第2の歯車群用軸と、
前記第1の歯車と噛合う第5の歯車と、前記第2の歯車と噛合うと共に該第5の歯車と位相の異なる第6の歯車と、を含む第3の歯車群と、
該第3の歯車群が固定され、前記第5の歯車及び前記第6の歯車とともに回転する第3の歯車群用軸と、を備える歯車ユニットの組立て方法であって、
前記第3の歯車を前記第2の歯車群用軸に固定し、前記第5の歯車を前記第3の歯車群用軸に固定する第1のステップと、
前記第1のステップの後に、前記第1の歯車を前記第1の歯車群用軸に固定する第2のステップと、
前記第2のステップの後に、前記第2の歯車を前記第1の歯車群用軸に固定し、前記第4の歯車を前記第2の歯車群用軸に固定し、前記第6の歯車を前記第3の歯車群用軸に固定する第3のステップと、を備えることを特徴とする歯車ユニットの組立て方法。
【請求項6】
第1の歯車と、該第1の歯車と位相の異なる第2の歯車と、とを含む第1の歯車群と、
該第1の歯車群が固定される第1の歯車群用軸と、
該第1の歯車と噛合う第3の歯車と、該第2の歯車と噛合うと共に該第3の歯車と位相の異なる第4の歯車と、を含む第2の歯車群と、
該第2の歯車群が固定され、前記第3の歯車及び前記第4の歯車とともに回転する第2の歯車群用軸と、
前記第1の歯車と噛合う第5の歯車と、前記第2の歯車と噛合うと共に該第5の歯車と位相の異なる第6の歯車と、を含む第3の歯車群と、
該第3の歯車群が固定され、前記第5の歯車及び前記第6の歯車とともに回転する第3の歯車群用軸と、を備える歯車ユニットの組立て方法であって、
前記第3の歯車を前記第2の歯車群用軸に固定し、前記第5の歯車を前記第3の歯車群用軸に固定する第1のステップと、
前記第1のステップの後に、前記第1の歯車と、前記第2の歯車と、を前記第1の歯車群用軸に固定し、前記第4の歯車を前記第2の歯車群用軸に固定し、前記第6の歯車を前記第3の歯車群用軸に固定する第2のステップと、を備えることを特徴とする歯車ユニットの組立て方法。
【請求項7】
第1の歯車と、該第1の歯車と位相の異なる第2の歯車と、とを含む第1の歯車群と、
該第1の歯車群が固定される第1の歯車群用軸と、
該第1の歯車と噛合う第3の歯車と、該第2の歯車と噛合うと共に該第3の歯車と位相の異なる第4の歯車と、を含む第2の歯車群と、
該第2の歯車群が固定され、前記第3の歯車及び前記第4の歯車とともに回転する第2の歯車群用軸と、
前記第1の歯車と噛合う第5の歯車と、前記第2の歯車と噛合うと共に該第5の歯車と位相の異なる第6の歯車と、を含む第3の歯車群と、
該第3の歯車群が固定され、前記第5の歯車及び前記第6の歯車とともに回転する第3の歯車群用軸と、を備える歯車ユニットの組立て方法であって、
前記第3の歯車を前記第2の歯車群用軸に固定し、前記第5の歯車を前記第3の歯車群用軸に固定する第1のステップと、
前記第1のステップの後に、前記第1の歯車を前記第3の歯車又は前記第5の歯車に噛合い状態で保持させる第2のステップと、
前記第4の歯車を前記第2の歯車群用軸に固定し、前記第6の歯車を前記第3の歯車群用軸に固定する第3のステップと、を備えることを特徴とする歯車ユニットの組立て方法。
【請求項8】
第1の歯車と、該第1の歯車と位相の異なる第2の歯車と、とを含む第1の歯車群と、
該第1の歯車群が固定される第1の歯車群用軸と、
該第1の歯車と噛合う第3の歯車と、該第2の歯車と噛合うと共に該第3の歯車と位相の異なる第4の歯車と、を含む第2の歯車群と、
該第2の歯車群が固定され、前記第3の歯車及び前記第4の歯車とともに回転する第2の歯車群用軸と、
前記第1の歯車と噛合う第5の歯車と、前記第2の歯車と噛合うと共に該第5の歯車と位相の異なる第6の歯車と、を含む第3の歯車群と、
該第3の歯車群が固定され、前記第5の歯車及び前記第6の歯車とともに回転する第3の歯車群用軸と、を備える歯車ユニットの組立て方法であって、
前記第3の歯車を前記第2の歯車群用軸に固定し、前記第5の歯車を前記第3の歯車群用軸に固定する第1のステップと、
前記第1のステップの後に、前記第の歯車を前記第3の歯車又は前記第5の歯車に噛合い状態で保持させる第2のステップと、
前記第2のステップの後に、前記第4の歯車を前記第2の歯車群用軸に固定し、前記第6の歯車を前記第3の歯車群用軸に固定する第3のステップと、
前記第3のステップの後に、前記第2の歯車を前記第4の歯車又は前記第6の歯車に噛合い状態で保持させる第4のステップと、を備えることを特徴とする歯車ユニットの組立て方法。
【請求項9】
前記歯車ユニットは、前記第1の歯車と噛合う第7の歯車と、該第2の歯車と噛合うと共に該第7の歯車と位相の異なる第8の歯車と、を含む第4の歯車群をさらに備える、請求項1に記載の歯車ユニット。
【請求項10】
前記歯車ユニットは、前記第1の歯車と噛合う第7の歯車と、該第2の歯車と噛合うと共に該第7の歯車と位相の異なる第8の歯車と、を含む第4の歯車群と、
前記第1の歯車と噛合う第9の歯車と、前記第2の歯車と噛合うと共に該第9の歯車と位相の異なる第10の歯車と、を含む第5の歯車群と、をさらに備える、請求項1に記載の歯車ユニット。
【請求項11】
前記第1の歯車群用軸を、前記歯車ユニットに取り付けられるモータの入力軸と入れ替えるステップをさらに備える、請求項3から8までのいずれか1項に記載の歯車ユニットの組立て方法。
【請求項12】
前記第2の歯車群用軸を、前記歯車ユニットに取り付けられる減速機のクランク軸と入れ替えるステップをさらに備える、請求項3から8までのいずれか1項に記載の歯車ユニットの組立て方法。
【請求項13】
前記第1の歯車群用軸は、減速機に回転自在に保持される、請求項3から8までのいずれか1項に記載の歯車ユニットの組立て方法。
【請求項14】
前記第1の歯車と前記第2の歯車は、これらの歯車の歯幅よりも大きい間隔を隔てて配置されている、請求項1に記載の歯車ユニット。
【請求項15】
前記第2の歯車群用軸は、前記第2の歯車群用軸の軸芯の周りで偏心回転する偏心部を有する、
請求項1に記載の歯車ユニット。
【請求項16】
前記偏心部により駆動されることで揺動回転し、外歯を有する外歯歯車をさらに備える、請求項15に記載の歯車ユニット。
【請求項17】
前記外歯歯車の前記外歯と噛み合う内歯ピンを有する外筒をさらに備える、請求項16に記載の歯車ユニット。
【請求項18】
前記外筒内に設けられ、前記外歯歯車により駆動されることで回転するキャリアをさらに備える、請求項17に記載の歯車ユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、歯車ユニット及びその組立て方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、駆動力を伝達する装置、例えば、減速機とモータとの間に使用される様々な歯車機構が知られている。
【0003】
このような歯車機構として、特許文献1は、一体成形が可能で、駆動力の伝達損失を最小限に抑えて噛合い率を向上させることができる2段式の駆動歯車を開示しています。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開平7-83314号公報
【文献】特開2013-35475号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、このような2段式の駆動歯車を、特許文献2に開示の揺動内接式遊星歯車装置に適用する場合、周囲を歯車(スパーギヤ)で包囲されているため、横方向から中央の歯車(インプットギヤ)を組み込むことはできず、また、当該駆動歯車の位相がずれているため、歯車の歯の間を別の歯車が塞ぐ状態となることから、モータ側から中央の歯車(インプットギヤ)を組み込むことができないという問題があった。
【0006】
本発明は上記の事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、中央の歯車(インプットギヤ)が歯車(スパーギヤ)に包囲される構成を採る揺動内接式遊星歯車装置において、噛合い率が高められ駆動音が低減された、中央の歯車(インプットギヤ)が組み込まれた歯車ユニット及びその組立て方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一実施形態に係る歯車ユニットは、第1の歯車と、該第1の歯車と位相の異なる第2の歯車と、とを含む第1の歯車群と、該第1の歯車と噛合う第3の歯車と、該第2の歯車と噛合うと共に該第3の歯車と位相の異なる第4の歯車と、を含む第2の歯車群と、前記第1の歯車と噛合う第5の歯車と、前記第2の歯車と噛合うと共に該第5の歯車と位相の異なる第6の歯車と、を含む第3の歯車群とを備える。
【0008】
本発明の一実施形態に係る歯車ユニットは、前記第3の歯車の位相と、前記第5の歯車の位相とが同じであり、前記第4の歯車の位相と、前記第6の歯車の位相とが同じである。
【0009】
本発明の一実施形態に係る歯車ユニットの組立て方法は、第1の歯車と、該第1の歯車と位相の異なる第2の歯車と、とを含む第1の歯車群と、該第1の歯車群が固定される第1の歯車群用軸と、該第1の歯車と噛合う第3の歯車と、該第2の歯車と噛合うと共に該第3の歯車と位相の異なる第4の歯車と、を含む第2の歯車群と、該第2の歯車群が固定される第2の歯車群用軸と、前記第1の歯車と噛合う第5の歯車と、前記第2の歯車と噛合うと共に該第5の歯車と位相の異なる第6の歯車と、を含む第3の歯車群と、該第3の歯車群が固定される第3の歯車群用軸と、を備え、前記第1の歯車を前記第1の歯車群用軸に固定するステップと、前記第3の歯車を前記第2の歯車群用軸に固定し、前記第5の
歯車を前記第3の歯車群用軸に固定するステップと、前記第2の歯車を前記第1の歯車群用軸に固定し、前記第4の歯車を前記第2の歯車群用軸に固定し、かつ前記第6の歯車を前記第3の歯車群用軸に固定するステップとを備える。
【0010】
本発明の一実施形態に係る歯車ユニットの組立て方法は、第1の歯車と、該第1の歯車と位相の異なる第2の歯車と、とを含む第1の歯車群と、該第1の歯車群が固定される第1の歯車群用軸と、該第1の歯車と噛合う第3の歯車と、該第2の歯車と噛合うと共に該第3の歯車と位相の異なる第4の歯車と、を含む第2の歯車群と、該第2の歯車群が固定される第2の歯車群用軸と、前記第1の歯車と噛合う第5の歯車と、前記第2の歯車と噛合うと共に該第5の歯車と位相の異なる第6の歯車と、を含む第3の歯車群と、該第3の歯車群が固定される第3の歯車群用軸と、を備え、前記第1の歯車を前記第1の歯車群用軸に固定するステップと、前記第3の歯車と、前記第4の歯車と、を前記第2の歯車群用軸に固定し、前記第5の歯車と、前記第6の歯車と、を前記第3の歯車群用軸に固定するステップと、前記第2の歯車を前記第1の歯車群用軸に固定するステップとを備える。
【0011】
本発明の一実施形態に係る歯車ユニットの組立て方法は、第1の歯車と、該第1の歯車と位相の異なる第2の歯車と、とを含む第1の歯車群と、該第1の歯車群が固定される第1の歯車群用軸と、該第1の歯車と噛合う第3の歯車と、該第2の歯車と噛合うと共に該第3の歯車と位相の異なる第4の歯車と、を含む第2の歯車群と、該第2の歯車群が固定される第2の歯車群用軸と、前記第1の歯車と噛合う第5の歯車と、前記第2の歯車と噛合うと共に該第5の歯車と位相の異なる第6の歯車と、を含む第3の歯車群と、該第3の歯車群が固定される第3の歯車群用軸と、を備え、前記第3の歯車を前記第2の歯車群用軸に固定し、前記第5の歯車を前記第3の歯車群用軸に固定するステップと、前記第1の歯車を前記第1の歯車群用軸に固定するステップと、前記第2の歯車を前記第1の歯車群用軸に固定し、前記第4の歯車を前記第2の歯車群用軸に固定し、前記第6の歯車を前記第3の歯車群用軸に固定するステップとを備える。
【0012】
本発明の一実施形態に係る歯車ユニットの組立て方法は、第1の歯車と、該第1の歯車と位相の異なる第2の歯車と、とを含む第1の歯車群と、該第1の歯車群が固定される第1の歯車群用軸と、該第1の歯車と噛合う第3の歯車と、該第2の歯車と噛合うと共に該第3の歯車と位相の異なる第4の歯車と、を含む第2の歯車群と、該第2の歯車群が固定される第2の歯車群用軸と、前記第1の歯車と噛合う第5の歯車と、前記第2の歯車と噛合うと共に該第5の歯車と位相の異なる第6の歯車と、を含む第3の歯車群と、該第3の歯車群が固定される第3の歯車群用軸と、を備え、前記第3の歯車を前記第2の歯車群用軸に固定し、前記第5の歯車を前記第3の歯車群用軸に固定するステップと、前記第1の歯車と、前記第2の歯車と、を前記第1の歯車群用軸に固定し、前記第4の歯車を前記第2の歯車群用軸に固定し、前記第6の歯車を前記第3の歯車群用軸に固定するステップとを備える。
【0013】
本発明の一実施形態に係る歯車ユニットの組立て方法は、第1の歯車と、該第1の歯車と位相の異なる第2の歯車と、とを含む第1の歯車群と、該第1の歯車群が固定される第1の歯車群用軸と、該第1の歯車と噛合う第3の歯車と、該第2の歯車と噛合うと共に該第3の歯車と位相の異なる第4の歯車と、を含む第2の歯車群と、該第2の歯車群が固定される第2の歯車群用軸と、前記第1の歯車と噛合う第5の歯車と、前記第2の歯車と噛合うと共に該第5の歯車と位相の異なる第6の歯車と、を含む第3の歯車群と、該第3の歯車群が固定される第3の歯車群用軸と、を備え、前記第3の歯車を前記第2の歯車群用軸に固定し、前記第5の歯車を前記第3の歯車群用軸に固定するステップと、前記第1の歯車を前記第3の歯車又は前記第5の歯車に噛合い状態で保持させるステップと、前記第4の歯車を前記第2の歯車群用軸に固定し、前記第6の歯車を前記第3の歯車群用軸に固定するステップと、を備える。
【0014】
本発明の一実施形態に係る歯車ユニットの組立て方法は、第1の歯車と、該第1の歯車と位相の異なる第2の歯車と、とを含む第1の歯車群と、該第1の歯車群が固定される第1の歯車群用軸と、該第1の歯車と噛合う第3の歯車と、該第2の歯車と噛合うと共に該第3の歯車と位相の異なる第4の歯車と、を含む第2の歯車群と、該第2の歯車群が固定される第2の歯車群用軸と、前記第1の歯車と噛合う第5の歯車と、前記第2の歯車と噛合うと共に該第5の歯車と位相の異なる第6の歯車と、を含む第3の歯車群と、該第3の歯車群が固定される第3の歯車群用軸と、を備え、前記第3の歯車を前記第2の歯車群用軸に固定し、前記第5の歯車を前記第3の歯車群用軸に固定するステップと、前記第1の歯車を前記第3の歯車又は前記第5の歯車に噛合い状態で保持させるステップと、前記第4の歯車を前記第2の歯車群用軸に固定し、前記第6の歯車を前記第3の歯車群用軸に固定するステップと、前記第2の歯車を前記第4の歯車又は前記第6の歯車に噛合い状態で保持させるステップとを備える。
【0015】
本発明の一実施形態に係る歯車ユニットは、前記第1の歯車と噛合う第7の歯車と、該第2の歯車と噛合うと共に該第7の歯車と位相の異なる第8の歯車と、を含む第4の歯車群をさらに備える。
【0016】
本発明の一実施形態に係る歯車ユニットは、前記第1の歯車と噛合う第7の歯車と、該第2の歯車と噛合うと共に該第7の歯車と位相の異なる第8の歯車と、を含む第4の歯車群と、前記第1の歯車と噛合う第9の歯車と、前記第2の歯車と噛合うと共に該第9の歯車と位相の異なる第10の歯車と、を含む第5の歯車群と、をさらに備える。
【0017】
本発明の一実施形態に係る歯車ユニットの組立て方法は、前記第1の歯車群用軸を、前記歯車ユニットに取り付けられるモータの入力軸と入れ替えるステップをさらに備える。
【0018】
本発明の一実施形態に係る歯車ユニットの組立て方法は、前記第2の歯車群用軸を、前記歯車ユニットに取り付けられる減速機のクランク軸と入れ替えるステップをさらに備える。
【0019】
本発明の一実施形態に係る歯車ユニットの組立て方法において、前記第1の歯車群用軸は、減速機に回転自在に保持される。
【0020】
本発明の一実施形態に係る歯車ユニットにおいて、前記第1の歯車と前記第2の歯車はこれらの歯車の歯幅よりも大きい間隔を隔てて配置されている。
【0021】
本発明の一実施形態に係る歯車装置は、歯車ユニットと、前記第1の歯車と前記第2の歯車との間に設けられた歯車部材と、前記第1の歯車と前記第2の歯車との間に設けられた駆動機構とを備えるよう構成される。
【0022】
本発明の一実施形態に係る歯車装置は、歯車ユニットと、前記第6の歯車に接続される駆動機構と、前記駆動機構を保持し前記第6の歯車と前記第1の歯車又は前記第2の歯車の歯幅よりも大きい間隔を隔てて設けられたキャリアとを備えるよう構成される。
【発明の効果】
【0023】
本発明の一実施形態によれば、中央の歯車(インプットギヤ)が歯車(スパーギヤ)に包囲される構成を採る揺動内接式遊星歯車装置において、中央の歯車(インプットギヤ)が組み込まれた歯車ユニット及びその組立て方法を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1a】本発明の一実施形態の歯車ユニットの概略図である。
図1b】本発明の一実施形態に係る歯車ユニットの拡大図である。
図2】本発明の一実施形態に係る歯車ユニットを備える装置の断面図である。
図3】本発明の一実施形態に係る揺動内接式遊星歯車装置の概略図である。
図4図3の揺動内接式遊星歯車装置の概略的な断面図である。
図5】本発明の別の実施形態に係る揺動内接式遊星歯車装置の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら説明する。
【0026】
図1aは、本発明の一実施形態に係る歯車ユニット100の概略図である。
【0027】
本発明の一実施形態に係る歯車ユニット100は、第1の歯車1と、当該第1の歯車1と位相の異なる第2の歯車2と、とを含む第1の歯車群11と、当該第1の歯車1と噛合う第3の歯車3と、当該第2の歯車2と噛合うと共に当該第3の歯車3と位相の異なる第4の歯車4と、を含む第2の歯車群21と、当該第1の歯車1と噛合う第5の歯車5と、当該第2の歯車2と噛合うと共に当該第5の歯車5と位相の異なる第6の歯車6と、を含む第3の歯車群31とを含む。
【0028】
図示の歯車ユニット100は、第1の歯車群11が固定される第1の歯車群用軸10と、第2の歯車群21が固定される第2の歯車群用軸20と、第3の歯車31が固定される第3の歯車群用軸30と、をさらに含む。本発明の一実施形態に係る歯車ユニット100は、第3の歯車3の位相と、第5の歯車5の位相とが同じであり、第4の歯車4の位相と、第6の歯車6の位相とが同じであるように構成されてもよい。
【0029】
また、図示の例では、歯車ユニット100は、さらに、当該第1の歯車1と噛合う第7の歯車7と、当該第2の歯車2と噛合うと共に当該第7の歯車7と位相の異なる第8の歯車8と、を含む第4の歯車群41とを含むように構成される。この場合、歯車ユニット100は、第4の歯車群41が固定される第4の歯車群用軸40をさらに含むように構成される。
【0030】
若しくは、本発明の一実施形態に係る歯車ユニットは、第1の歯車と噛合う第7の歯車と、該第2の歯車と噛合うと共に該第7の歯車と位相の異なる第8の歯車と、を含む第4の歯車群と、前記第1の歯車と噛合う第9の歯車と、前記第2の歯車と噛合うと共に該第9の歯車と位相の異なる第10の歯車と、を含む第5の歯車群と、をさらに備えるように構成してもよい。この場合、歯車ユニット100は、第4の歯車群41が固定される第4の歯車群用軸40と、第5の歯車群51が固定される第5の歯車群用軸50と、をさらに含むように構成される。
【0031】
図1bは、図1aの歯車ユニット100の第1の歯車群11と噛合う第4の歯車群41の拡大図を示すものである。図1a及び図1bに示すように、第4の歯車群41の第7の歯車7は、第8の歯車8と半位相ずれるように第4の歯車群用軸40に固定される。また、第1の歯車群11の第1の歯車1は、第2の歯車と半位相ずれるように第1の歯車群用軸10に固定される。このようにして両歯車群を噛み合わせることで、噛合い率を2倍に向上させることができるため、歯車ユニットの作動時に発生する駆動音を低減することができる。
【0032】
図1bでは、図1の歯車ユニット100の第4の歯車群41を例に説明したが、第2の歯車群21、第3の歯車群31も同様に構成される。このようにして、噛合い率が向上さされた歯車群の組み合わせを複数セット形成することが可能となり、歯車ユニットの作動
時に発生する駆動音を低減することができる。上述の例では、位相のずれを半位相分として説明したが、これに限定されず、適宜変更可能である。
【0033】
次に、図2に本発明の一実施形態に係る歯車ユニット100を備える装置の断面図を示す。当該歯車ユニット100は、図1aにおける歯車ユニット100のA-A断面図である。
【0034】
図示の装置は、モータ110と、減速機120と、モータ110の駆動力を減速機120に入力するためにこれらの間に介在する歯車ユニット100とで構成される。より正確には、当該歯車ユニット100は、モータ110と減速機120の双方に含まれる各歯車機構の集合体として構成される歯車ユニットを指すが、必ずしもこれに限定されることを意図するものではない。
【0035】
図示の歯車ユニット100は、第1の歯車(インプットギヤ)1と、該第1の歯車(インプットギヤ)1と位相の異なる第2の歯車(インプットギヤ)2と、とを含む第1の歯車群11と、該第1の歯車群11が固定される第1の歯車群用軸(インプットシャフト)10と、を備え、第1の歯車群用軸(インプットシャフト)10は、モータ110から上方に延伸し、減速機120内に達する。モータ110との結合には、スプラインを用いることができ、2つのインプットギヤを当該スプラインに挿入するようにしても構わない。また、当該2つのインプットギヤの間には、互いの衝突を防止するためのカラー(緩衝部材)を設けてもよい。
【0036】
図示の歯車ユニット100は、減速機120内に、さらに、第1の歯車(インプットギヤ)1と噛合う第3の歯車(スパーギヤ)3と、該第2の歯車(インプットギヤ)2と噛合うと共に該第3の歯車(スパーギヤ)3と位相の異なる第4の歯車(スパーギヤ)4と、を含む第2の歯車群21と、該第2の歯車群21が固定される第2の歯車群用軸(クランクシャフト)20とを備える。このようにして、モータ110の駆動力が歯車ユニット100を介して減速機120に伝達され、減速機120で減速されて出力される。このようにして両歯車群を噛み合わせることで、噛合い率を2倍に向上させることができるため、歯車ユニット100の作動時に発生する駆動音を低減することができる。なお、各スパーギヤの軸への結合方法はボルトに限定されるものではなく、各スパーギアを軸にスプライン係合するようにしても良い。
【0037】
図2では示されていないが、歯車ユニット100は、減速機120内に、さらに、第1の歯車(インプットギヤ)1と噛合う第5の歯車(スパーギヤ)5と、第2の歯車(インプットギヤ)2と噛合うと共に第5の歯車(スパーギヤ)5と位相の異なる第6の歯車(スパーギヤ)6と、を含む第3の歯車群31と、該第3の歯車群31が固定される第3の歯車群用軸(クランクシャフト)30とを備える。
【0038】
このようにして、噛合い率が向上された歯車群の組み合わせを複数セット形成することが可能となり、歯車ユニットの作動時に発生する駆動音を低減することができる。
【0039】
他方で、このような歯車ユニット100をモータ110と減速機120の間に配置する場合、インプットギヤの周囲がスパーギヤで包囲される構成となるため、横方向からインプットギヤを組込むことができないという問題がある。また、このような歯車ユニット100の各歯車群は、位相の異なる2つの歯車を備えるため、モータ側からインプットギヤを組込むことができないという問題もある。
【0040】
そこで、本発明の一実施形態に係る歯車ユニット100は、次のような方法で組み立てられる。まず、減速機120内部で第1の歯車群用軸(インプットシャフト)10が保持
された状態を形成する。
【0041】
(歯車ユニットの組立て方法A)
本発明の一実施形態に係る歯車ユニット100の組立て方法は、
(1)前記第1の歯車1を前記第1の歯車群用軸10に固定するステップと、
(2)前記第3の歯車3を前記第2の歯車群用軸20に固定し、前記第5の歯車5を前記第3の歯車群用軸30に固定するステップと、
(3)前記第2の歯車2を前記第1の歯車群用軸10に固定し、前記第4の歯車4を前記第2の歯車群用軸20に固定し、かつ前記第6の歯車6を前記第3の歯車群用軸30に固定するステップとを備える。
【0042】
本発明の一実施形態の組立て方法によれば、中央の歯車(インプットギヤ)が歯車(スパーギヤ)に包囲される構成を採る揺動内接式遊星歯車装置において、中央の歯車(インプットギヤ)が組み込まれた歯車ユニットを提供することが可能となる。
【0043】
ここで、上記組立て方法Aにおいて、(2)のステップにおける第3の歯車3の第2の歯車群用軸20への固定、第5の歯車5を前記第3の歯車群用軸30に固定は必ずしも厳密に同時になされることを意味するものではなく、(1)のステップよりも後であり、かつ(3)のステップよりも前であれば構わない。これは以下の組立て方法についても同様に当て嵌まる。
【0044】
(歯車ユニットの組立て方法B)
本発明の一実施形態に係る歯車ユニット100の組立て方法は、
(1)第1の歯車1を前記第1の歯車群用軸10に固定するステップと、
(2)第3の歯車3と、前記第4の歯車4とを第2の歯車群用軸20に固定し、第5の歯車5と、第6の歯車6とを第3の歯車群用軸30に固定するステップと、
(3)第2の歯車2を第1の歯車群用軸10に固定するステップとを備える。
【0045】
(歯車ユニットの組立て方法C)
本発明の一実施形態に係る歯車ユニット100の組立て方法は、
(1)第3の歯車3を前記第2の歯車群用軸20に固定し、前記第5の歯車5を前記第3の歯車群用軸20に固定するステップと、
(2)第1の歯車1を前記第1の歯車群用軸10に固定するステップと、
(3)第2の歯車2を前記第1の歯車群用軸10に固定し、前記第4の歯車4を前記第2の歯車群用軸20に固定し、前記第6の歯車6を前記第3の歯車群用軸30に固定するステップとを備える。
【0046】
(歯車ユニットの組立て方法D)
本発明の一実施形態に係る歯車ユニット100の組立て方法は、
(1)第3の歯車3を前記第2の歯車群用軸20に固定し、前記第5の歯車5を前記第3の歯車群用軸30に固定するステップと、
(2)第1の歯車1と、前記第2の歯車2と、を前記第1の歯車群用軸10に固定し、前記第4の歯車4を前記第2の歯車群用軸20に固定し、前記第6の歯車6を前記第3の歯車群用軸30に固定するステップとを備える。
【0047】
(歯車ユニットの組立て方法E)
本発明の一実施形態に係る歯車ユニット100の組立て方法は、
(1)第3の歯車3を前記第2の歯車群用軸20に固定し、前記第5の歯車5を前記第3の歯車群用軸30に固定するステップと、
(2)第1の歯車1を前記第3の歯車3又は前記第5の歯車5に噛合い状態で保持させる
ステップと、
(3)第4の歯車4を前記第2の歯車群用軸20に固定し、前記第6の歯車6を前記第3の歯車群用軸30に固定するステップとを備える。
【0048】
(歯車ユニットの組立て方法F)
本発明の一実施形態に係る歯車ユニット100の組立て方法は、
(1)第3の歯車3を前記第2の歯車群用軸20に固定し、前記第5の歯車5を前記第3の歯車群用軸30に固定するステップと、
(2)第1の歯車1を前記第3の歯車3又は前記第5の歯車5に噛合い状態で保持させるステップと、
(3)第4の歯車4を前記第2の歯車群用軸20に固定し、前記第6の歯車6を前記第3の歯車群用軸30に固定するステップと、
(4)第2の歯車2を前記第4の歯車4又は前記第6の歯車6に噛合い状態で保持させるステップとを備える。
【0049】
本発明の一実施形態の上記組立て方法によれば、中央の歯車(インプットギヤ)が歯車(スパーギヤ)に包囲される構成を採る揺動内接式遊星歯車装置において、中央の歯車(インプットギヤ)が組み込まれた歯車ユニットを提供することが可能となる。
【0050】
本発明の一実施形態に係る歯車ユニット100の組立て方法において、第1の歯車群用軸10は、減速機に回転自在に保持されるように構成される。また、本発明の一実施形態に係る歯車ユニット100の組立て方法は、第1の歯車群用軸10を、歯車ユニット100に取り付けられるモータ110のインプットシャフト(入力軸)と入れ替えるステップを備えるよう構成してもよい。また、本発明の一実施形態に係る歯車ユニット100の組立て方法は、第2の歯車群用軸20を、歯車ユニットに取り付けられる減速機のクランク軸と入れ替えるステップを備えるように構成してもよい。
【0051】
ここで、第1の歯車1と第2の歯車2とは近傍に配置することができる。これらと噛合う第3の歯車3、第4の歯車4、第5の歯車5、第6の歯車の歯車同士も近傍に配置することができる。また、第1の歯車1、第2の歯車2、第3の歯車3、第4の歯車4、第5の歯車5、第6の歯車6の近傍には、異なる部材を配置することができる。当該異なる部材として、例えば、駆動機構800やキャリア600、その他の部材が考えられる。
【0052】
ここで、第3の歯車3、第4の歯車4、第5の歯車5、第6の歯車6を組み付けた後では、第2の歯車2を組み付けることはできない。すなわち、第3の歯車3、第4の歯車4、第5の歯車5、第6の歯車6は近傍に配置されているため、第3の歯車3と第4の歯車4との間の隙間若しくは第5の歯車5と第6の歯車6との間の隙間からは組み付けられない。また、第6の歯車6と駆動機構800の隙間からも第2の歯車2は、第4の歯車4と第6の歯車6との間に組み付けられない。
【0053】
しかしながら、本発明の組み付け方法によれば、第2の歯車2を第4の歯車4と第6の歯車6とのの間に組み付けることが可能となる。また、第1の歯車1、第2の歯車2、第3の歯車3、第4の歯車4、第5の歯車5、第6の歯車6を噛み合わせた状態としたため、この状態で出荷でき、出荷先(顧客等)での組立性も向上させることが可能となる。また、第1の歯車1、第2の歯車2、第3の歯車3、第4の歯車4、第5の歯車5、第6の歯車6及び既述の異なる部材を近傍に配置できるため、回転軸方向の長さが長くなることを防止することができる。
【0054】
次に、図3は、減速機(偏心揺動減速機)110、モータ120、歯車ユニット100とで構成される装置の概略的な断面図である。当該装置は、取付筒400を備え、取付筒
400は、モータ120を減速機110に取り付けるために用いられる。
【0055】
モータ120は、筐体210と、モータシャフト220と、を含む。筐体210内には、一般的なモータに用いられる様々な部品(たとえば、コイルやステータコア)が配置される。本実施形態の原理は、筐体210内の特定の構造に限定されない。
【0056】
モータ110のインプットシャフト220は、減速機110に向けて延出する。インプットシャフト220の先端には、歯車部221、222が形成される。歯車部221、222は、減速機5と噛み合う。この結果、モータ4が生成したトルクは、減速機5へ伝達される。
【0057】
図3に示すように、減速機110は、外筒500と、キャリア600と、歯車部700と、3つの駆動機構800(図3は、3つの駆動機構800のうち1つを示す)と、2つの主軸受900(図示しない)と、を備える。
【0058】
図4に、図3に示す減速機110のA-A断面図を示す。図4に示すように、外筒500は、略円筒状のケース510と、複数の内歯ピン520と、を含む。ケース510は、キャリア600、歯車部700及び駆動機構800が収容される円筒状の内部空間を規定する。複数の内歯ピン520は、ケース510の内周面に沿って環状に並べられ、内歯環を形成する。本実施形態において、内歯は、内歯ピン520によって例示される。
【0059】
図4は、キャリア600及びモータシャフト220の回転中心軸RCXを示す。内歯ピン520それぞれは、回転中心軸RCXの延出方向に延びる円柱状の部材である。内歯ピン520それぞれは、ケース510の内壁に形成された溝部に嵌入される。したがって、内歯ピン520それぞれは、ケース510によって適切に保持される。
【0060】
図4に示すように、複数の内歯ピン520は、回転中心軸RCX周りに略一定間隔で配置される。内歯ピン520それぞれの半周面は、ケース510の内壁から回転中心軸RCXに向けて突出する。したがって、複数の内歯ピン520は、歯車部700と噛み合う内歯として機能する。
【0061】
図3に示すように、キャリア600は、基部610と、端板部620と、を含む。端板部620は、基部610とモータ4との間に配置される。キャリア600は、全体的に、円筒状である。キャリア600は、外筒50内で回転中心軸RCX周りに回転する。
【0062】
基部610は、基板部611(図3を参照)と、3つのシャフト部612(図4を参照)と、を含む。3つのシャフト部612それぞれは、基板部611から端板部620に向けて延びる。端板部620は、3つのシャフト部612それぞれの先端面に接続される。端板部620は、リーマボルト、位置決めピンや他の態様によって、3つのシャフト部612それぞれの先端面に接続されてもよい。
【0063】
図3に示すように、歯車部700は、基板部611と端板部620との間に配置される。3つのシャフト部612は、歯車部700を貫通し、端板部620に接続される。
【0064】
図3に示すように、歯車部700は、第1トロコイド歯車710と、第2トロコイド歯車720と、を含む。第1トロコイド歯車710は、基板部611と第2トロコイド歯車720との間に配置される。第2トロコイド歯車720は、端板部620と第1トロコイド歯車710との間に配置される。図4に示すように、第1トロコイド歯車710の複数の外歯の一部は、複数の内歯ピン520によって形成された内歯環と噛み合う。
【0065】
モータシャフト220の回転は、駆動機構800により、第1トロコイド歯車710及び第2トロコイド歯車720へ伝達される。この結果、第1トロコイド歯車710及び第2トロコイド歯車720の揺動回転が引き起こされる。
【0066】
図3は、第1トロコイド歯車710の中心軸CX1と、第2トロコイド歯車720の中心軸CX2と、を示す。中心軸CX1,CX2は、キャリア600の回転中心軸RCXと略平行に延びる。図4は、第1トロコイド歯車720の中心軸CX1を示す。上述の揺動回転の間、中心軸CX1,CX2は、キャリア600の回転中心軸RCX周りを周回する。したがって、第1トロコイド歯車710及び第2トロコイド歯車720は、内歯ピン520に噛み合いながら、ケース510内を周回移動する。この間、第1トロコイド歯車710及び第2トロコイド歯車720は、キャリア600の3つのシャフト部612に接触し、キャリア600を回転中心軸RCX周りに回転させる。
【0067】
第2トロコイド歯車720の中心軸CX2は、第1トロコイド歯車710の中心軸CX1とは異なる位相で、キャリア600の回転中心軸RCX周りを周回してもよい。
【0068】
減速機110の基部610には、モータ120からの駆動力が出力として伝達される。
【0069】
図3に示すように、3つの駆動機構800それぞれは、2つの入力歯車810、811と、クランク軸820と、2つのジャーナル軸受830と、2つのクランク軸受840と、を含む。2つの入力歯車810、811は、モータの120のインプットシャフト220の2つの歯車部221、222に噛み合い、モータ110からトルクを受け取る。第1トロコイド歯車710及び第2トロコイド歯車720とは異なり、入力歯車810、811は、平歯車である。代替的に、入力歯車810、811として、他の種類の歯車部品が用いられてもよい。本実施形態の原理は、入力歯車810、811として用いられる特定の種類の歯車部品に限定されない。
【0070】
入力歯車810、811とモータ110のインプットシャフト220の歯車部221、222とによって決定される減速比は、上述の内歯環と歯車部700とによって決定される減速比よりも小さくてもよい。本発明の一実施形態において、第1減速比は、入力歯車810、811とモータ110のインプットシャフト220の歯車部221、222とによって決定される減速比によって説明される。また、第2減速比は、内歯環と歯車部700とによって決定される減速比によって説明される。
【0071】
入力歯車810、811が回転すると、クランク軸820は、回転する。この結果、第1偏心部823及び第2偏心部824は、偏心回転する。この間、クランク軸受840を介して第1偏心部823に接続された第1トロコイド歯車710は、複数の内歯ピン520と噛み合いながら、外筒500内で周回移動することができる。同様に、クランク軸受840を介して第2偏心部824に接続された第2トロコイド歯車720は、複数の内歯ピン520と噛み合いながら、外筒500内で周回移動することができる。この結果、第1トロコイド歯車710及び第2トロコイド歯車720それぞれは、外筒500内で、揺動回転を行うことができる。本実施形態において、クランク機構は、クランク軸820及び2つのクランク軸受840によって説明される。
【0072】
図3に示すクランク軸820は、第1ジャーナル821と、第2ジャーナル822と、第1偏心部823と、第2偏心部824と、を含む。第1ジャーナル821は、キャリア600の基板部611によって取り囲まれる。第2ジャーナル822は、キャリア600の端板部620によって取り囲まれる。2つのジャーナル軸受830のうち一方は、第1ジャーナル821と基板部611との間に配置される。2つのジャーナル軸受830のうち他方は、第2ジャーナル822と端板部620との間に配置される。加えて、上述の入
力歯車810、811は、第2ジャーナル822に取り付けられる。
【0073】
次に、図5を参照して、本発明の別の実施形態に係る揺動内接式遊星歯車装置について説明する。図示のように、本発明の別の実施形態に係る歯車装置は、減速機(偏心揺動減速機)110、モータ120、歯車ユニット100とで構成される。当該装置は、取付筒400を備え、取付筒400は、モータ120を減速機110に取り付けるために用いられる。
【0074】
モータ120は、筐体210と、モータシャフト220と、を含む。筐体210内には、一般的なモータに用いられる様々な部品(たとえば、コイルやステータコア)が配置される。本実施形態の原理は、筐体210内の特定の構造に限定されない。また、減速機110は、外筒500と、キャリア600と、歯車部700と、3つの駆動機構800(図3は、3つの駆動機構800のうち1つを示す)と、2つの主軸受900(図示しない)とを備える。
【0075】
モータ110のインプットシャフト220は、減速機110に向けて延出する。インプットシャフト220の先端には、歯車部221、222が形成される。歯車部221、222は、減速機5と噛み合う。この結果、モータ4が生成したトルクは、減速機5へ伝達される。図3における場合と異なり、図5に示す例では、本発明の別の実施形態に係る歯車ユニットにおいて、歯車部(第1の歯車に対応)221と歯車部(第2の歯車に対応)222はこれらの歯車の歯幅よりも大きい間隔を隔てて配置されている。このようにして、歯車ユニットの歯車間に必要に応じて歯車部材700や駆動800などの異なる部材を配置することが可能となる。
【0076】
本発明の別の実施形態に係る歯車装置は、歯車ユニット100と、歯車部(第1の歯車に対応)221と歯車部(第2の歯車に対応)222との間に設けられた歯車部材700と、第1の歯車221と第2の歯車222との間に設けられた駆動機構800とを備えるよう構成される。
【0077】
本発明の別の実施形態に係る歯車装置は、歯車ユニット100と、入力歯車(第6の歯車に対応)811に接続される駆動機構800と、当該駆動機構800を保持し当該第6の歯車811と第1の歯車221又は第2の歯車222の歯幅よりも大きい間隔を隔てて設けられたキャリア600とを備えるよう構成される。
【0078】
以上が本発明の例示的な実施形態の説明である。上述の様々な実施形態は、上記に説明したものに限定されず、様々な操舵装置に適用可能である。上述の様々な実施形態のうち1つに関連して説明された様々な特徴のうち一部が、他のもう1つの実施形態に関連して説明された操舵装置に適用されてもよい。
【符号の説明】
【0079】
1 第1の歯車
2 第2の歯車
3 第3の歯車
4 第4の歯車
5 第5の歯車
6 第6の歯車
7 第7の歯車
8 第8の歯車
10 第1の歯車群用軸
11 第1の歯車群
20 第2の歯車群用軸
21 第2の歯車群
30 第3の歯車群用軸
31 第3の歯車群
100 歯車ユニット
110 減速機
120 モータ
図1a
図1b
図2
図3
図4
図5