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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-01-16
(45)【発行日】2023-01-24
(54)【発明の名称】摩擦具
(51)【国際特許分類】
   B43L 19/00 20060101AFI20230117BHJP
   B43L 23/08 20060101ALI20230117BHJP
   B43K 23/10 20060101ALI20230117BHJP
【FI】
B43L19/00 Z
B43L23/08
B43K23/10
【請求項の数】 1
(21)【出願番号】P 2018206167
(22)【出願日】2018-10-31
(65)【公開番号】P2020069744
(43)【公開日】2020-05-07
【審査請求日】2021-08-06
(73)【特許権者】
【識別番号】303022891
【氏名又は名称】株式会社パイロットコーポレーション
(72)【発明者】
【氏名】大河原 由明
【審査官】藤井 達也
(56)【参考文献】
【文献】実開昭57-138690(JP,U)
【文献】実公昭31-000527(JP,Y1)
【文献】独国実用新案第202007010303(DE,U1)
【文献】登録実用新案第3089113(JP,U)
【文献】特開2015-051617(JP,A)
【文献】特開2015-051562(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2004/0154172(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B43L 1/00-12/02
B43L 15/00-27/04
B43K 3/00- 3/04
B43K 11/00-19/18
B43K 23/00-23/12
B43K 25/00-25/02
B43K 29/00-31/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱変色性固形筆記体により得られる熱変色性の筆跡を摩擦しその際に発生する摩擦熱により該筆跡を熱変色可能な摩擦具であって、
前記熱変色性固形筆記体の先端部を先細状に削るための芯削り部と、前記熱変色性固形筆記体の先端部に着脱可能なキャップ部と、前記熱変色性の筆跡を摩擦する摩擦部と、を備え、
前記芯削り部が、本体と、該本体に形成され前記熱変色性固形筆記体の先端部が挿入可能な先細状の挿入孔と、該挿入孔の一部に連通され且つ外方に開口されるスリットと、該スリットに露出するように前記本体に固定された切刃と、を備え、
前記キャップ部が前記芯削り部の挿入孔の開口側と反対側の本体の端部に設けられ、
前記摩擦部が前記キャップ部の外面に設けられ、
前記摩擦部が前記芯削り部のスリットの開口側と反対側のキャップ部の外面に設けられることを特徴とする摩擦具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、摩擦具に関する。詳細には、熱変色性固形筆記体により得られる熱変色性の筆跡を摩擦により熱変色可能な摩擦具に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、後端部に摩擦部材が固設された熱変色性固形筆記体が開示されている。
【0003】
特許文献2には、消しゴムと鉛筆削りのついた鉛筆用キャップが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2015-51615号
【文献】実開昭47-17732号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前記特許文献1の熱変色性固形筆記体は、各々の熱変色性固形筆記体の後端部に摩擦部材が固着されているため、熱変色性固形筆記体単体の製造コストが増加する。
【0006】
前記特許文献2のキャップは、消しゴム使用時、鉛筆の削りくずで消しゴム表面や紙面が汚れるおそれがある。
【0007】
本発明は、前記従来の問題点を解決するものであって、熱変色性固形筆記体単体の製造コストを安価に抑えることが可能な摩擦具を提供しようとするものである。
また、本発明は、摩擦操作時、熱変色性固形筆記体の削りくずによって摩擦部表面や紙面が汚れることを回避できる摩擦具を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本願の第1の発明は、熱変色性固形筆記体により得られる熱変色性の筆跡を摩擦しその際に発生する摩擦熱により該筆跡を熱変色可能な摩擦具であって、前記熱変色性固形筆記体の先端部を先細状に削るための芯削り部2と、前記熱変色性の筆跡を摩擦する摩擦部3と、を備え、前記芯削り部2が、本体21と、該本体21に形成され前記熱変色性固形筆記体の先端部が挿入可能な先細状の挿入孔22と、該挿入孔22の一部に連通され且つ外方に開口されるスリット23と、該スリット23に露出するように前記本体21に固定された切刃24と、を備え、前記本体21の外面に前記摩擦部3が設けられることを要件とする。
【0009】
前記第1の発明の摩擦具1は、前記構成により、各々の熱変色性固形筆記体に摩擦部3を設ける必要がなくなり、熱変色性固形筆記体単体の製造コストを安価に抑えることができる。
【0010】
本願の第2の発明は、前記第1の発明の摩擦具1において、前記摩擦部3が前記挿入孔22の開口側と反対側の本体21の外面に設けられることを要件とする。
【0011】
前記第2の発明の摩擦具1は、前記摩擦部3が前記挿入孔22の開口側と反対側の本体21の外面に設けられることにより、摩擦部3を用いて摩擦操作する際、熱変色性固形筆記体の削りくずが挿入孔22内より外部に落下することを抑止し、摩擦部3表面や紙面が汚れることを回避できる。
【0012】
本願の第3の発明は、前記第1または第2の発明の摩擦具1において、前記摩擦部3が前記芯削り部2のスリット23の開口側と反対側の本体21の外面に設けられることを要件とする。
【0013】
前記第3の発明の摩擦具1は、前記摩擦部3が前記芯削り部2のスリット23の開口側と反対側の本体21の外面に設けられることにより、摩擦部3を用いて摩擦操作する際、スリット23の上向き状態で使用でき、熱変色性固形筆記体の削りくずがスリット23より外部に落下することを抑止し、摩擦部3表面や紙面が汚れることを回避できる。
【0014】
本願の第4の発明は、熱変色性固形筆記体により得られる熱変色性の筆跡を摩擦しその際に発生する摩擦熱により該筆跡を熱変色可能な摩擦具であって、前記熱変色性固形筆記体の先端部を先細状に削るための芯削り部2と、熱変色性の筆跡を摩擦する摩擦部3と、を備え、前記芯削り部2が、本体21と、該本体21に形成され前記熱変色性固形筆記体の先端部が挿入可能な先細状の挿入孔22と、該挿入孔22の一部に連通され且つ外方に開口されるスリット23と、該スリット23に露出するように前記本体21に固定された切刃24と、を備え、前記芯削り部2の本体21を収容可能な削りくず収納用のケース4が設けられ、前記ケース4の開口部を塞ぐ蓋部5が着脱自在に設けられ、前記蓋部5の内面に芯削り部2の本体21が取り付けられ、前記蓋部5の外面または前記ケース4の外面に前記摩擦部3が設けられることを要件とする。
【0015】
前記第4の発明の摩擦具1は、前記構成により、各々の熱変色性固形筆記体に摩擦部3を設ける必要がなくなり、熱変色性固形筆記体単体の製造コストを安価に抑えることができる。
また、前記第4の発明の摩擦具1は、摩擦部3を用いて摩擦操作する際、熱変色性固形筆記体の削りくずがケース4内より外部に漏れ出すおそれがなく、摩擦部3表面や紙面が汚れることを回避できる。
【0016】
本願の第5の発明は、熱変色性固形筆記体により得られる熱変色性の筆跡を摩擦しその際に発生する摩擦熱により該筆跡を熱変色可能な摩擦具1であって、前記熱変色性固形筆記体の先端部を先細状に削るための芯削り部2と、前記熱変色性固形筆記体の先端部に着脱可能なキャップ部8と、前記熱変色性の筆跡を摩擦する摩擦部3と、を備え、前記芯削り部2が、本体21と、該本体21に形成され前記熱変色性固形筆記体の先端部が挿入可能な先細状の挿入孔22と、該挿入孔22の一部に連通され且つ外方に開口されるスリット23と、該スリット23に露出するように前記本体21に固定された切刃24と、を備え、前記キャップ部8が前記芯削り部2の挿入孔22の開口側と反対側の本体21の端部に設けられ、前記摩擦部3が前記キャップ部8の外面に設けられることを特徴とする。
【0017】
前記第5の発明の摩擦具1は、前記構成により、摩擦部3を用いて摩擦操作する際、熱変色性固形筆記体の削りくずが芯削り部2より外部に落下することを抑止し、摩擦部3表面や紙面が汚れることを回避できる。
【0018】
本願の第6の発明の摩擦具1は、前記第5の発明の摩擦具1において、前記摩擦部3が前記芯削り部2のスリット23の開口側と反対側のキャップ部8の外面に設けられることを要件とする。
【0019】
前記第6の発明の摩擦具1は、摩擦部3を用いて摩擦操作する際、スリット23の上向き状態で使用でき、熱変色性固形筆記体の削りくずがスリット23より外部に落下することを抑止し、摩擦部3表面や紙面が汚れることを回避できる。
【0020】
・摩擦部
本発明において、前記摩擦部3は、例えば、弾性を有する合成樹脂(ゴム、エラストマー)が挙げられ、例えば、シリコーン樹脂、SBS樹脂(スチレン-ブタジエン-スチレン共重合体)、SEBS樹脂(スチレン-エチレン-ブタジエン-スチレン共重合体)、フッ素系樹脂、クロロプレン樹脂、ニトリル樹脂、ポリエステル系樹脂、オレフィン系樹脂、エチレンプロピレンジエンゴム(EPDM)等が挙げられる。前記摩擦部3は、高摩耗性の弾性材料(例えば、消しゴム等)ではなく、摩擦時に摩耗屑が生じない低摩耗性の弾性材料からなる。
【発明の効果】
【0021】
本発明の摩擦具は、各々の熱変色性固形筆記体に摩擦部を設ける必要がなくなり、熱変色性固形筆記体単体の製造コストを安価に抑えることができる。
【0022】
本発明の摩擦具は、摩擦操作時、熱変色性固形筆記体の削りくずによって摩擦部表面や紙面が汚れることを回避できる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】本発明の第1の実施の形態の斜視図である。
図2図1の正面図である。
図3図1の背面図である。
図4】本発明の第2の実施の形態の斜視図である。
図5図4の背面図である。
図6】本発明の第3の実施の形態の挿入孔開口状態の斜視図である。
図7図6の挿入孔閉鎖状態のケース及び蓋部の断面図である。
図8】本発明の第4の実施の形態の挿入孔開口状態の斜視図である。
図9図8の挿入孔閉鎖状態のケース及び蓋部の断面図である。
図10】本発明の第5の実施の形態の斜視図である。
図11図10の一部断面図である。
図12図11のA-A線矢視断面図である。
図13】本発明の第6の実施の形態の一部断面図である。
図14図13のB-B線矢視断面図である。
図15】本発明の第7の実施の形態の一部断面図である。
図16図15のC-C線矢視断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
<第1の実施の形態>
本発明の第1の実施の形態を図1乃至図3に示す。
本実施の形態の摩擦具1は、芯削り部2と、摩擦部3とを備える。
【0025】
・芯削り部
芯削り部2は、本体21と、該本体21に形成され熱変色性固形筆記体の先端部が挿入可能な挿入孔22と、該本体21に形成され且つ該挿入孔22が外方に開放されるスリット23と、該スリット23に露出するように前記本体21に固定される切刃24と、を備える。芯削り部2により、熱変色性固形筆記体の先端部を削り、熱変色性固形筆記体の丸まった先端部を再度先鋭化することができる。
【0026】
芯削り部2の本体21は、合成樹脂(例えば、ポリアセタール、ポリスチレン、ポリカーボネイト、ポリプロピレン、ABS樹脂等)または金属(例えば、アルミニウム、黄銅等)から形成される。芯削り部2の本体21は全体が六面体からなる。芯削り部2の本体21は、天壁部26を上に向けた場合、底壁部28から天壁部26までの高さが、挿入孔22開口側から挿入孔22閉鎖側に向かって次第に高さが低くなるテーパ状に形成される。芯削り部2の本体21は、挿入孔22開口側の側壁部の面積より挿入孔22閉鎖側の側壁部の面積が小さい。なお、芯削り部2の本体21の形状は、直方体であってもよい。
【0027】
挿入孔22の内面は円錐面状に形成される。本体21外面に熱変色性固形筆記体挿入方向に延びるスリット23が形成され、スリット23により挿入孔22が本体21外面より外部に開口される。スリット23は本体2の天壁部26に形成される。スリット23は、本体21の天壁部26に形成される。
【0028】
切刃24は取付ネジ25により本体21の天壁部26に固定される。切刃24はその刃部がスリット23に沿ってスリット23に露出するよう配置される。
【0029】
・摩擦部
摩擦部3は本体21の外面に設けられる。摩擦部3は挿入孔22開口側と反対側の本体21端部、且つ、本体21のスリット23開口側と反対側の本体21端部(本体の底壁部28の端部)に設けられる。摩擦部3は、直線状に設けられ、本体21の4つの平面(3つの側壁部27と底壁部28)が交差して得られる2つ角部と、本体21の2つの平面(挿入孔22の反対側の側壁部27と底壁部28)が交差して得られる1つの稜線部とが一体に連設された形状を有する。
【0030】
摩擦部3は、弾性を有する合成樹脂(例えばSEBS樹脂)により形成される。摩擦部3は、芯削り部2の本体21に、嵌合、螺合、接着等により固定される構成、合成樹脂製の芯削り部2の本体21に2色成形により一体に固定される構成、芯削り部2の本体21に塗布により設ける構成、または芯削り部2の全体を摩擦部3と共通の材料で形成する構成が挙げられる。
【0031】
・把持部
芯削り部2の本体21の天壁部26の固形筆記体の挿入方向に延び且つ切刃24を跨ぐ対向する側壁部27外面には、摩擦操作時に把持可能な把持部29が形成される。把持部29は、指がフィットしやすいように、凹曲面状に形成することが好ましい。また、把持部29の表面は、滑り止めのために、微細な凹凸部を形成することもできるし、弾性材料により形成することもできる。
【0032】
本実施の形態の摩擦具1は、熱変色性固形筆記体の先端部を先細状に削るための芯削り部2と、熱変色性の筆跡を摩擦する摩擦部3と、を備え、芯削り部2が、本体21と、該本体21に形成され熱変色性固形筆記体の先端部が挿入可能な先細状の挿入孔22と、該挿入孔22の一部に連通され且つ外方に開口されるスリット23と、該スリット23に露出するように前記本体21に固定された切刃24と、を備え、本体21の外面に摩擦部3が設けられることにより、各々の熱変色性固形筆記体に摩擦部3を設ける必要がなくなり、熱変色性固形筆記体単体の製造コストを安価に抑えることができる。
【0033】
本実施の形態の摩擦具1は、摩擦部3が挿入孔22の開口側と反対側の本体21の外面に設けられることにより、摩擦部3を用いて摩擦操作する際、熱変色性固形筆記体の削りくずが挿入孔22内より外部に落下することを抑止し、摩擦部3表面や紙面が汚れることを回避できる。
【0034】
本実施の形態の摩擦具1は、摩擦部3が芯削り部2のスリット23の開口側と反対側の本体21の外面に設けられることにより、摩擦部3を用いて摩擦操作する際、スリット23の上向き状態で使用でき、熱変色性固形筆記体の削りくずがスリット23より外部に落下することを抑止し、摩擦部3表面や紙面が汚れることを回避できる。
【0035】
<第2の実施の形態>
本発明の第2の実施の形態を図4及び図5に示す。
本実施の形態の摩擦具1は、第1の実施の形態の変形例であり、第1の実施の形態と摩擦部3の構成が異なり、それ以外の構成及び作用効果は第1の実施の形態と共通である。
【0036】
・摩擦部
摩擦部3は本体21の外面に設けられる。摩擦部3は挿入孔22開口側と反対側の本体21端部、且つ、本体21のスリット23開口側と反対側の本体21端部に設けられる。摩擦部3は、本体21の4平面(3つの側壁部27と底壁部28)が交差して得られる2箇所の角部のみに形成される。それにより、摩擦部3の材料コストの増加を抑えることができる。
【0037】
また、摩擦部3の頂部(角部)は、凸曲面状に形成され、それにより、紙面との円滑な摩擦操作が可能となる。
【0038】
<第3の実施の形態>
本発明の第3の実施の形態を図6乃至図7に示す。
本実施の形態の摩擦具1は、芯削り部2と、ケース4と、蓋部5と、摩擦部3と、を備え、蓋部5を閉じた状態で、全体が直方体形状を有する。
【0039】
・芯削り部
芯削り部2は、本体21と、該本体21に形成され熱変色性固形筆記体の先端部が挿入可能な挿入孔22と、該本体21に形成され該挿入孔22が外方に開放されるスリット23と、該スリット23に露出するように前記本体21に固定される切刃24と、を備える。本体21は、第1の実施の形態と同様の形状を有し、天壁部26を上に向けた場合、底壁部28から天壁部21までの高さが、挿入孔22開口側から挿入孔22閉鎖側に向かって次第に高さが低くなるテーパ状に形成される。芯削り部2により、熱変色性固形筆記体の先端部を削り、熱変色性固形筆記体の丸まった先端部を再度先鋭化することができる。
【0040】
・ケース
ケース4は、一端が開口され且つ他端が閉鎖された断面四角形の箱型容器である。ケース4内に芯削り部2が収容されるとともに、熱変色性固形筆記体の先端部を削った際に発生する熱変色性固形筆記体の先端部の削りくずが収容可能である。ケース4は、透明の合成樹脂(例えばポリカーボネイト)からなり、それにより、ケース4内部を外部より視認可能となる。
【0041】
・蓋部
蓋部5は、弾性を有する合成樹脂(例えばSEBS樹脂)により一体に形成される。蓋部5は、内蓋6と外蓋7とがヒンジ51により一体に連設される。蓋部5は、内蓋6と外蓋7が組み立て状態において断面四角形を有する。蓋部5の外面(外蓋7の外面)が摩擦部3となる。
【0042】
・内蓋
内蓋6は、四角形の天壁部61と該天壁部61の周囲を覆うように連設された4つの側壁部62とを備える。内蓋6の天壁部61の内面に四角環状の内側突起63が形成され、該内側突起63の内面に芯削り部2の本体21外面が着脱自在に圧入嵌合される。内蓋6の天壁部61の外面に四角環状の外側突起64が形成され、該外側突起64の外面に外蓋7の側壁部62内面が着脱自在に嵌合される。内蓋6の側壁部62の内面が、ケース4の開口部外面に着脱自在に嵌合される。内蓋6の天壁部61に、芯削り部2の挿入孔22と連通する連通孔65が貫設される。
【0043】
・外蓋
外蓋7は、四角形の天壁部71と該天壁部71の周囲を覆うように連設された4つの側壁部72とを備える。外蓋7の側壁部72の内面が、内蓋6の天壁部61の外面の四角環状の外側突起64に着脱自在に嵌合される。外蓋7の天壁部71と4つの周壁部とが交差する4つの稜線部と、該4つの稜線部の交点の4つの角部とが凸曲面状に形成され、それにより、摩擦操作時、紙面との円滑な摩擦が可能となる。
【0044】
本実施の形態の摩擦具1は、熱変色性固形筆記体の先端部を先細状に削るための芯削り部2と、熱変色性の筆跡を摩擦する摩擦部3と、を備え、芯削り部2が、本体21と、該本体21に形成され熱変色性固形筆記体の先端部が挿入可能な先細状の挿入孔22と、該挿入孔22の一部に連通され且つ外方に開口されるスリット23と、該スリット23に露出するように本体21に固定された切刃24と、を備え、芯削り部2の本体21を収容可能な削りくず収納用のケース4が設けられ、ケース4の開口部を塞ぐ蓋部5が着脱自在に設けられ、蓋部5の内面に芯削り部2の本体21が内面に取り付けられ、蓋部5の外面に摩擦部3が設けられることにより、各々の熱変色性固形筆記体に摩擦部3を設ける必要がなくなり、熱変色性固形筆記体単体の製造コストを安価に抑えることができる。
【0045】
また、本実施の形態の摩擦具1は、挿入孔22を閉鎖した状態において、摩擦部3を用いて摩擦操作する際、熱変色性固形筆記体の削りくずがケース4内より外部に漏れ出すおそれがなく、摩擦部3表面や紙面が汚れることを回避できる。
【0046】
<第4の実施の形態>
本発明の第4の実施の形態を図8乃至図9に示す。
本実施の形態の摩擦具1は、第3の実施の形態の変形例であり、第3の実施の形態と摩擦部3の構成が異なり、それ以外の構成及び作用効果は第3の実施の形態と共通である。
【0047】
摩擦部3は、ケース4の底部(閉鎖端部)に設けられる。具体的には、ケース4において、底壁部と4つの側壁部とが接続される4つの稜線部と、該各々稜線部が交わる4つの角部に、摩擦部3が形成される。摩擦部3は、ケース4の底部の稜線部及び角部において、凸曲面状に形成され、それにより、紙面との円滑な摩擦操作が可能となる。摩擦部3は、弾性を有する合成樹脂(例えばSEBS樹脂)により形成される。摩擦部3は、ケース4に、嵌合、螺合、接着等により固定される構成、ケース4に2色成形により一体に固定される構成、ケース4に塗布により設ける構成、またはケース4の全体を摩擦部3と共通の材料で形成する構成が挙げられる。
【0048】
本実施の形態では、内蓋6は、合成樹脂(例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン等)から形成される。これ以外にも、内蓋6は、第3の実施の形態と同様、弾性を有する合成樹脂(例えばSEBS樹脂)から形成してもよい。
【0049】
本実施の形態の摩擦具1は、ケース4の底部に摩擦部3が設けられることにより、挿入孔22を開口した状態でも、挿入孔22の上向き状態で使用でき、挿入孔22内部の削りくずが外部に漏出することなく、摩擦部3を用いて摩擦操作をすることができる。その際、ケース4の側壁部が把持部となる。
【0050】
<第5の実施の形態>
本発明の第4の実施の形態を図10乃至図11に示す。
本実施の形態の摩擦具1は、芯削り部2と、キャップ部8と、摩擦部3と、を備える。
【0051】
・芯削り部
芯削り部2は、本体21と、該本体21に形成され熱変色性固形筆記体の先端部が挿入可能な挿入孔22と、該本体21に形成され該挿入孔22が外方に開放されるスリット23と、該スリット23に露出するように前記本体21に固定される切刃24と、を備える。本体21は、直方体形状を有する。
芯削り部2により、熱変色性固形筆記体の先端部を削り、熱変色性固形筆記体の丸まった先端部を再度先鋭化することができる。
【0052】
・キャップ部
キャップ部8は、一端が開口され且つ他端が閉鎖された円筒状の有底筒体からなる。キャップ部8の閉鎖側は芯削り部2の本体21に一体に連設される。キャップ部8の開口部は、挿入孔22の反対側に開口される。キャップ部8内面に、熱変色性固形筆記体の先端部が着脱自在に挿着される。キャップ部8の外面に摩擦部3が設けられる。キャップ部8の外面が、摩擦操作時の把持部81となる。
【0053】
・摩擦部
摩擦部3は、キャップ部8の開口端外面に、環状に形成される。摩擦部3の外面には、平面部または凹面部が、芯削り部2の側面と向きが一致する位置に形成される。また、摩擦部3は、芯削り部2の本体21の側面の延長面より外方に突出しないよう、本体21の側面の延長面と一致されるか、または本体21の側面の延長面より内方に位置される。それにより、摩擦具1の机上での安定した載置が可能となる。また、摩擦部3の表面は凸曲面状に形成され、それにより、紙面との円滑な摩擦操作が可能となる。
【0054】
摩擦部3は、弾性を有する合成樹脂(例えばSEBS樹脂)により形成される。摩擦部3は、キャップ部8に、嵌合、螺合、接着等により固定される構成、キャップ部8に2色成形により一体に固定される構成、キャップ部8に塗布により設ける構成、またはキャップ部8の全体を摩擦部3と共通の材料で形成する構成が挙げられる。
【0055】
本実施の形態の摩擦具1は、前記熱変色性固形筆記体の先端部を先細状に削るための芯削り部2と、前記熱変色性固形筆記体の先端部に着脱可能なキャップ部8と、前記熱変色性の筆跡を摩擦する摩擦部3と、を備え、前記芯削り部2が、本体21と、該本体21に形成され前記熱変色性固形筆記体の先端部が挿入可能な先細状の挿入孔22と、該挿入孔22の一部に連通され且つ外方に開口されるスリット23と、該スリット23に露出するように前記本体21に固定された切刃24と、を備え、前記キャップ部8が前記芯削り部2の挿入孔22の開口側と反対側の本体21の端部に設けられ、前記摩擦部3が前記キャップ部8の外面に設けられることにより、摩擦部3を用いて摩擦操作する際、熱変色性固形筆記体の削りくずが芯削り部2より外部に落下することを抑止し、摩擦部3表面や紙面が汚れることを回避できる。
【0056】
本実施の形態の摩擦具1は、摩擦部3が芯削り部2のスリット23の開口側と反対側のキャップ部8の外面に設けられることにより、摩擦部3を用いて摩擦操作する際、熱変色性固形筆記体の削りくずがスリット23より外部に落下することを抑止し、摩擦部3表面や紙面が汚れることを回避できる。
【0057】
<第6の実施の形態>
本発明の第6の実施の形態を図13乃至図14に示す。
本実施の形態の摩擦具1は、第5の実施の形態の変形例であり、第5の実施の形態と摩擦部3の形状が異なり、それ以外の構成及び作用効果は第5の実施の形態と共通である。
【0058】
摩擦部3は、摩擦部3が芯削り部2のスリット23の開口側と反対側のキャップ部8の外面に半周状に設けられる。
【0059】
<第7の実施の形態>
本発明の第7の実施の形態を図15乃至図16に示す。
本実施の形態の摩擦具1は、第5の実施の形態の変形例であり、第5の実施の形態と摩擦部3の形状が異なり、それ以外の構成及び作用効果は第5の実施の形態と共通である。
【0060】
摩擦部3は、芯削り部2のスリット23の開口側と反対側のキャップ部8の外面に、周方向長さがキャップ部8全周囲の1/6周状~1/2周状に設定される。
【符号の説明】
【0061】
1 摩擦具
2 芯削り部
21 本体
22 挿入孔
23 スリット
24 切刃
25 取付ネジ
26 天壁部
27 側壁部
28 底壁部
29 把持部
3 摩擦部
4 ケース
5 蓋部
51 ヒンジ
6 内蓋
61 天壁部
62 側壁部
63 内側突起
64 外側突起
65 連通孔
7 外蓋
71 天壁部
72 側壁部
8 キャップ部
81 把持部
9 熱変色性固形筆記体
図1
図2
図3
図4
図5
図6
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図15
図16