(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-01-16
(45)【発行日】2023-01-24
(54)【発明の名称】画像形成装置、制御プログラムおよび制御方法
(51)【国際特許分類】
G03G 15/00 20060101AFI20230117BHJP
B41J 29/38 20060101ALI20230117BHJP
G03G 15/04 20060101ALI20230117BHJP
H04N 1/00 20060101ALI20230117BHJP
G01N 21/17 20060101ALI20230117BHJP
【FI】
G03G15/00 303
B41J29/38 202
G03G15/04 111
H04N1/00 567Z
G01N21/17 A
(21)【出願番号】P 2018232306
(22)【出願日】2018-12-12
【審査請求日】2021-09-22
(73)【特許権者】
【識別番号】000005049
【氏名又は名称】シャープ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100168217
【氏名又は名称】大村 和史
(72)【発明者】
【氏名】臼井 孝
【審査官】三橋 健二
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-261835(JP,A)
【文献】特開2018-104838(JP,A)
【文献】特開2011-002304(JP,A)
【文献】特開2004-053578(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03G 15/00
B41J 29/38
G03G 15/04
H04N 1/00
G01N 21/17
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の搬送経路を搬送される記録媒体に画像を形成する画像形成部、
前記搬送経路を搬送される前記記録媒体に所定のパターン像を照射する光照射部、
前記搬送経路を挟んで前記光照射部に対向する位置に設けられ、前記パターン像が前記記録媒体を透過して現れる透過像を含む算出用画像を取得する取得部、
前記算出用画像
から前記パターン像に応じた輝度領域を着目領域として抽出し、少なくとも前記着目領域の1つのエッジを跨ぐように設定した直線状の対象領域に含まれる画素の画素値に基づいて、前記パターン像に対する前記透過像の拡がり量またはぼけ量として現れる前記記録媒体の特性値を算出する算出部、および
前記算出部によって算出された前記特性値に応じて、前記画像形成部における画像形成条件を調整する調整部を備える、画像形成装置。
【請求項2】
前記画像形成部は、前記記録媒体に対してトナー像を転写する転写部および当該記録媒体上のトナー像を加熱定着させる定着部、および
前記定着部において前記記録媒体が受ける熱量を調整する調整部を備える、請求項1記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記調整部は、前記特性値に応じて、前記定着部における定着温度を調整する、請求項2記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記調整部は、前記特性値に応じて、前記記録媒体が前記定着部を通過する際の当該記録媒体の搬送速度を調整する、請求項2または3記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記パターン像は、点状の像である、請求項1ないし4のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記パターン像は、線状の像である、請求項1ないし4のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記パターン像は、直線状の境界を有する所定の形状の像である、請求項1ないし4のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記光照射部と前記取得部の間であって、前記搬送経路よりも前記光照射部側に設けられ、前記搬送経路を搬送される前記記録媒体に対して
、前記記録媒体に対面する面内において、所定の角度で傾斜するように配置されるシリンドリカルレンズをさらに備える、請求項1ないし7のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項9】
前記算出用画像は、1つ以上の静止画像を含む、請求項1ないし8のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項10】
前記算出用画像は、複数の静止画像を含み、
前記算出部は、前記複数の静止画像を平均化した画像に基づいて、前記特性値を算出する、請求項9記載の画像形成装置。
【請求項11】
所定の搬送経路を搬送される記録媒体に画像を形成する画像形成部を備える、画像形成装置の制御プログラムであって、
前記画像形成装置のプロセッサに、
前記搬送経路を搬送される前記記録媒体に所定のパターン像を照射する光照射ステップと、
前記パターン像が前記記録媒体を透過して現れる透過像を含む算出用画像を取得する取得ステップと、
前記算出用画像
から前記パターン像に応じた輝度領域を着目領域として抽出し、少なくとも前記着目領域の1つのエッジを跨ぐように設定した直線状の対象領域に含まれる画素の画素値に基づいて、前記パターン像に対する前記透過像の拡がり量またはぼけ量として現れる前記記録媒体の特性値を算出する算出ステップと、
前記特性値に応じて、前記画像形成部における画像形成条件を調整する調整ステップを実行させる、制御プログラム。
【請求項12】
所定の搬送経路を搬送される記録媒体に画像を形成する画像形成部を備える、画像形成装置の制御方法であって、
(a)前記搬送経路を搬送される前記記録媒体に所定のパターン像を照射するステップと、
(b)前記パターン像が前記記録媒体を透過して現れる透過像を含む算出用画像を取得するステップと、
(c)前記算出用画像
から前記パターン像に応じた輝度領域を着目領域として抽出し、少なくとも前記着目領域の1つのエッジを跨ぐように設定した直線状の対象領域に含まれる画素の画素値に基づいて、前記パターン像に対する前記透過像の拡がり量またはぼけ量として現れる前記記録媒体の特性値を算出するステップと、
(d)前記特性値に応じて、前記画像形成部における画像形成条件を調整するステップを含む、制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は画像形成装置、制御プログラムおよび制御方法に関し、特にたとえば、光学センサの出力に応じて記録媒体の特性を取得する、画像形成装置、制御プログラムおよび制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、背景技術の画像形成装置の一例が開示される。背景技術の画像形成装置は、用紙に光を照射して、用紙に反射した反射光および用紙を透過した透過光を撮像し、反射光量および透過光量の解析結果に応じて用紙の種類を判別し、判別した用紙の種類に合わせて画像形成条件を設定する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、背景技術の画像形成装置では、コート紙、片面コート紙、着色紙等では反射光量および透過光量が変化し、用紙の種類を正確に判別することが難しいという問題がある。
【0005】
それゆえに、この発明の主たる目的は、新規な、画像形成装置、制御プログラムおよび制御方法を提供することである。
【0006】
この発明の他の目的は、適切に記録材の特性を判別し、印刷条件を適切に調整することができる、画像形成装置、制御プログラムおよび制御方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
第1の発明は、画像形成部、光照射部、取得部、算出部および調整部を備える画像形成装置である。画像形成部は、所定の搬送経路を搬送される記録媒体に画像を形成する。光照射部は、搬送経路を搬送される記録媒体に所定のパターン像を照射する。取得部は、搬送経路を挟んで光照射部に対向する位置に設けられ、パターン像が記録媒体を透過して現れる透過像を含む算出用画像を取得する。算出部は、算出用画像からパターン像に応じた輝度領域を着目領域として抽出し、少なくとも着目領域の1つのエッジを跨ぐように設定した直線状の対象領域に含まれる画素の画素値に基づいて、パターン像に対する透過像の拡がり量またはぼけ量として現れる記録媒体の特性値を算出する。調整部は、算出部によって算出された特性値に応じて、画像形成部における画像形成条件を調整する。
【0008】
第2の発明は、第1の発明に従属する画像形成装置であって、画像形成部は、記録媒体に対してトナー像を転写する転写部および当該記録媒体上のトナー像を加熱定着させる定着部、および定着部において記録媒体が受ける熱量を調整する調整部を備える。
【0009】
第3の発明は、第2の発明に従属する画像形成装置であって、調整部は、特性値に応じて、定着部における定着温度を調整する。
【0010】
第4の発明は、第2または第3の発明に従属する画像形成装置であって、調整部は、特性値に応じて、記録媒体が定着部を通過する際の当該記録媒体の搬送速度を調整する。
【0011】
第5の発明は、第1ないし第4のいずれかの発明に従属する画像形成装置であって、パターン像は、点状の像である。
【0012】
第6の発明は、第1ないし第4のいずれかの発明に従属する画像形成装置であって、パターン像は、線状の像である。
【0013】
第7の発明は、第1ないし第4のいずれかの発明に従属する画像形成装置であって、パターン像は、直線状の境界を有する所定の形状の像である。
【0014】
第8の発明は、第1ないし第7のいずれかの発明に従属する画像形成装置であって、光照射部と取得部の間であって、搬送経路よりも光照射部側に設けられ、搬送経路を搬送される記録媒体に対して、記録媒体に対面する面内において、所定の角度で傾斜するように配置されるシリンドリカルレンズをさらに備える。
【0015】
第9の発明は、第1ないし第8のいずれかの発明に従属する画像形成装置であって、算出用画像は、1つ以上の静止画像を含む。
【0016】
第10の発明は、第9の発明に従属する画像形成装置であって、算出用画像は、複数の静止画像を含み、算出部は、複数の静止画像を平均化した画像に基づいて、特性値を算出する。
【0017】
第11の発明は、所定の搬送経路を搬送される記録媒体に画像を形成する画像形成部を備える、画像形成装置の制御プログラムであって、画像形成装置のプロセッサに、搬送経路を搬送される記録媒体に所定のパターン像を照射する光照射ステップと、パターン像が記録媒体を透過して現れる透過像を含む算出用画像を取得する取得ステップと、算出用画像からパターン像に応じた輝度領域を着目領域として抽出し、少なくとも着目領域の1つのエッジを跨ぐように設定した直線状の対象領域に含まれる画素の画素値に基づいて、パターン像に対する透過像の拡がり量またはぼけ量として現れる記録媒体の特性値を算出する算出ステップと、特性値に応じて、画像形成部における画像形成条件を調整する調整ステップを実行させる。
【0018】
第12の発明は、所定の搬送経路を搬送される記録媒体に画像を形成する画像形成部を備える、画像形成装置の制御方法であって、(a)搬送経路を搬送される記録媒体に所定のパターン像を照射するステップと、(b)パターン像が記録媒体を透過して現れる透過像を含む算出用画像を取得するステップと、(c)算出用画像からパターン像に応じた輝度領域を着目領域として抽出し、少なくとも着目領域の1つのエッジを跨ぐように設定した直線状の対象領域に含まれる画素の画素値に基づいて、パターン像に対する透過像の拡がり量またはぼけ量として現れる記録媒体の特性値を算出するステップと、(d)特性値に応じて、画像形成部における画像形成条件を調整するステップを含む、制御方法である。
【発明の効果】
【0019】
この発明によれば、適切に記録材の特性を判別し、印刷条件を適切に調整することができる。
【0020】
この発明の上述の目的,その他の目的,特徴および利点は、図面を参照して行う以下の実施例の詳細な説明から一層明らかとなろう。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】
図1はこの発明の第1実施例である画像形成装置を正面から見た場合の概略構成を示す図解図である。
【
図2】
図2は
図1の画像形成装置の電気的な構成を示すブロック図である。
【
図3】
図3は検出センサの概略構成を示す図解図である。
【
図4】
図4(A)は、或る厚みの用紙における光が透過する際の像の拡がりを示す図解図である。
図4(B)は、他の厚みの用紙における光が透過する際の像の拡がりを示す図解図である。
【
図5】
図5は互いに異なる坪量の用紙についての算出用画像の一例である。
【
図6】
図6は或る算出用画像における着目領域および対象領域の一例である。
【
図7】
図7は
図5に示す互いに異なる坪量の用紙についての算出用画像のそれぞれにおいて設定された対象領域に含まれる各画素の画素値のデータを示すグラフの一例である。
【
図8】
図8は
図7に示す互いに異なる坪量の用紙についての対象領域に含まれる各画素の画素値のデータを並べ替えたグラフの一例である。
【
図9】
図9は
図7に示す画素値のデータに基づいた勾配係数と坪量との関係を示すグラフの一例である。
【
図10】
図10は
図7に示す画素値のデータに基づいた勾配係数と坪量との関係を示すグラフの一例である。
【
図11】
図11は
図5に示す互いに異なる坪量の用紙についての算出用画像のそれぞれにおいて設定された対象領域に含まれる各画素の画素値のデータを示す表の一例である。
【
図12】
図12は
図11に示す画素値のデータに基づいた標準偏差と坪量との関係を示すグラフの一例である。
【
図13】
図13は
図11に示す画素値のデータに基づいた分散と坪量との関係を示すグラフの一例である。
【
図15】
図15は画像形成装置のCPUの調整処理の一例を示すフロー図である。
【
図16】
図16は第2実施例におけるパターン像を示す図解図である。
【
図17】
図17は第3実施例における検出センサの概略構成を示す図解図である。
【
図18】
図18は第4実施例におけるパターン像を示す図解図である。
【
図19】
図19は第5実施例における調整処理の一例を示すフロー図である。
【
図20】
図20は第6実施例における調整処理の一例を示すフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
[第1実施例]
図1を参照して、この発明の一実施例である画像形成装置10は、両面印刷機能を有する電子写真方式の画像形成装置であって、帯電、露光、現像、転写および熱定着というプロセスを経ることによって、用紙(記録媒体)の表面上および裏面上に多色の画像(カラー画像)または単色の画像を形成(印刷)する。
【0023】
この第1実施例では、画像形成装置10は、複写機能、プリンタ機能、スキャナ機能およびファクシミリ機能などを有する複合機(MFP:Multifunction Peripheral)である。ただし、画像形成装置10は、複合機に限定される必要はなく、複写機、プリンタおよびファクシミリのいずれかであっても良い。
【0024】
先ず、画像形成装置10の基本構成について概略的に説明する。
図1に示すように、画像形成装置10は、画像形成部30等を備える装置本体12、およびその上方に配置される画像読取装置14を含む。
【0025】
画像読取装置14は、透明材によって形成される原稿載置台16を備える。原稿載置台16の上方には、ヒンジ等を介して原稿押えカバー18が開閉自在に取り付けられる。この原稿押えカバー18には、原稿載置トレイ20に載置された原稿を画像読取位置22に対して1枚ずつ自動的に給紙する自動原稿送り装置(ADF:Auto Document Feeder)24が設けられる。また、原稿載置台16の前面側には、ユーザによる印刷開始指示等の入力操作を受け付けるタッチパネルおよび操作ボタン等を含む操作部(図示せず)が設けられる。
【0026】
また、画像読取装置14には、光源、複数のミラー、結像レンズおよびラインセンサ等を備える画像読取部26が内蔵される。画像読取部26は、原稿表面を光源によって露光し、原稿表面から反射した反射光を複数のミラーによって結像レンズに導く。そして、結像レンズによって反射光をラインセンサの受光素子に結像させる。ラインセンサでは、受光素子に結像した反射光の輝度や色度が検出され、原稿表面の画像に基づく画像データが生成される。ラインセンサとしては、CCD(Charge Coupled Device)やCIS(Contact Image Sensor)等が用いられる。
【0027】
図1に示すように、画像形成部30は、露光装置32、現像器34、感光体ドラム36、感光体クリーナユニット38、帯電器40、転写ユニット42および定着ユニット46等を備え、給紙トレイ48または手差し給紙トレイ50から搬送される用紙上に画像を形成し、画像形成済みの用紙を排紙トレイ52に排出する。用紙上に画像を形成するための画像のデータとしては、画像読取部26で読み取った画像データまたは外部コンピュータから送信された画像データ等が利用される。
【0028】
なお、画像形成装置10において扱われる画像データは、ブラック(K)、シアン(C)、マゼンタ(M)およびイエロー(Y)の4色のカラー画像に応じたものである。このため、現像器34、感光体ドラム36、感光体クリーナユニット38および帯電器40のそれぞれは、各色に応じた4種類のトナー像を個別に形成するように4個ずつ設けられ、これらによって4つの画像ステーションが構成される。
図2に示すように、4つの画像ステーションは、それぞれ独立して設けられ、この第1実施例では、中間転写ベルト54の周回移動方向の上流側から順に、イエロー(Y)用の画像ステーション、マゼンタ(M)用の画像ステーション、シアン(C)用の画像ステーションおよびブラック(K)用の画像ステーションが設けられる。
【0029】
感光体ドラム36は、導電性を有する円筒状の基体の表面に感光層が形成された像担持体であり、帯電器40は、この感光体ドラム36の表面を所定の電位に帯電させる部材である。また、露光装置32は、レーザダイオード(LD)およびポリゴンミラー等を備えたレーザスキャニングユニットとして構成され、感光体ドラム36の下方に配置される。露光装置32は、帯電された感光体ドラム36の表面を露光することによって、画像データに応じた静電潜像を感光体ドラム36の表面に形成する。現像器34は、感光体ドラム36上に形成された静電潜像を4色(YMCK)のトナーによって顕像化するものである。また、感光体クリーナユニット38は、現像および画像転写後における感光体ドラム36の表面に残留したトナーを除去する。
【0030】
転写ユニット42は、中間転写ベルト54、駆動ローラ56、従動ローラ58、4つの中間転写ローラ60および2次転写ローラ44などを備え、各画像ステーションの感光体ドラム36の上方に配置される。
【0031】
中間転写ベルト54は、可撓性を有する無端状のベルトであって、カーボンブラック等の導電性材料を適宜配合した合成樹脂またはゴム等によって形成される。中間転写ベルト54は、駆動ローラ56および従動ローラ58によって懸架され、その外周面が感光体ドラム36の外周面に当接するように配置される。そして、中間転写ベルト54は、駆動ローラ56の回転駆動に伴い、所定方向(
図1では反時計回り)に周回移動する。
【0032】
駆動ローラ56は、図示しない駆動部によってその軸線回りに回転可能に設けられる。従動ローラ58は、中間転写ベルト54の周回移動に伴って回転すると共に、中間転写ベルト54に一定の張力を与えて中間転写ベルト54の弛みを防止する。
【0033】
中間転写ローラ60は、中間転写ベルト54を挟んで各感光体ドラム36と対向する位置のそれぞれに配置される。画像形成時には、中間転写ローラ60に所定の電圧(1次転写電圧)が印加されることによって、感光体ドラム36と中間転写ベルト54との間に転写電界が形成される。そして、この転写電界の作用によって、各画像ステーションの感光体ドラム36の外周面に形成されたトナー像が中間転写ベルト54の外周面に転写される。
【0034】
2次転写ローラ44は、駆動ローラ56との間で中間転写ベルト54を押圧するように設けられる。画像形成時には、2次転写ローラ44に所定の電圧(2次転写電圧)が印加されることによって、中間転写ベルト54と2次転写ローラ44との間に転写電界が形成される。そして、この転写電界の作用によって、中間転写ベルト54と2次転写ローラ44との間の転写ニップ域を用紙が通過する間に、中間転写ベルト54の外周面に形成されたトナー像が用紙に転写(2次転写)される。
【0035】
定着ユニット46は、ヒートローラ62および加圧ローラ64を備え、2次転写ローラ44の上方に配置される。ヒートローラ62は、所定の定着温度となるように設定されており、ヒートローラ62と加圧ローラ64との間のニップ域を用紙が通過することによって、用紙に転写されたトナー像が加熱および圧接されて、用紙に対してトナー像が熱定着される。
【0036】
このような装置本体12内には、給紙トレイ48または手差し給紙トレイ50からの用紙をレジストローラ68、2次転写ローラ44および定着ユニット46を経由させて排紙トレイ52に送るための第1用紙搬送路L1が形成される。また、用紙に対して両面印刷を行う際に、表面側の印刷が終了して定着ユニット46を通過した後の用紙を、2次転写ローラ44の用紙搬送方向の上流側において第1用紙搬送路L1に戻すための第2用紙搬送路L2が形成される。この第1用紙搬送路L1および第2用紙搬送路L2には、用紙に対して補助的に推進力を与えるための複数の搬送ローラ66が適宜設けられる。
【0037】
レジストローラ68は、ペーパーストップローラ(PSローラ)とも呼ばれ、画像形成部30が用紙の画像形成を行うプロセススピードと等しい速度で、用紙を搬送する。たとえば、レジストローラ68は、搬送ローラ66によって搬送された用紙を挟持した状態で待機(一旦停止)し、転写ユニット42と同期させて用紙の搬送を開始する。このとき、レジストローラ68は、中間転写ベルト54の周速度と等しい周速度で回転される。
【0038】
画像形成装置10において片面印刷を行う際には、用紙は、給紙トレイ48または手差し給紙トレイ50から1枚ずつ第1用紙搬送路L1に導かれ、搬送ローラ66によってレジストローラ68まで搬送される。そして、レジストローラ68によって、用紙の先端と中間転写ベルト54上の画像情報の先端とが整合するタイミングで用紙が2次転写ローラ44(2次転写ニップ部)に搬送され、用紙上にトナー像が転写される。その後、定着ユニット46(定着ニップ部)を通過することによって用紙上の未定着トナーが熱定着されて、排紙トレイ52上に用紙が排出される。
【0039】
一方、両面印刷を行う際には、表面側の印刷が終了して定着ユニット46を通過した用紙の後端部が排紙トレイ52近傍の搬送ローラ66まで到達したとき、この搬送ローラ66を逆回転させることによって、用紙が逆走して第2用紙搬送路L2に導かれる。第2用紙搬送路L2に導かれた用紙は、搬送ローラ66によって第2用紙搬送路L2を搬送されて、レジストローラ68の用紙搬送方向の上流側において第1用紙搬送路L1に導かれる。この時点で用紙の表裏は反転されるので、その後、レジストローラ68を経て、2次転写ローラ44および定着ユニット46を用紙が通過することによって、用紙の裏面側に印刷が行われる。
【0040】
図2は
図1に示す画像形成装置10の電気的な構成の一例を示すブロック図である。
図2に示すように、画像形成装置10はCPU80を含み、CPU80には、バス82を介して、RAM84、記憶部86、画像読取部26、画像形成部30および検出センサ88などが接続される。また、図示は省略するが、操作部等の各コンポーネントもバス82を介してCPU80に接続される。
【0041】
CPU80は、画像形成装置10の全体的な制御を司り、上述した画像形成装置10の各コンポーネントの動作を統括的に制御する。RAM84は、CPU80のワーク領域およびバッファ領域として使用される。記憶部86は、たとえばHDDであり、CPU80が画像形成装置10の各コンポーネントの動作を制御するための制御プログラムおよび後述する調整値データ304dなどを記憶する画像形成装置10の主記憶装置である。ただし、HDDに代えて、またはHDDとともに、SSD、フラッシュメモリ、EEPROMなどの他の不揮発性メモリが用いられてもよい。
【0042】
検出センサ88は、第1用紙搬送路L1に配置され、用紙(記録媒体)の特性を示す特性値を検出するためのセンサである。この検出センサ88は、少なくとも第1用紙搬送路L1および第2用紙搬送路L2の合流点P1から第1用紙搬送路L1および第2用紙搬送路L2の分岐点P2までの間に配置される(
図1参照)。ただし、検出センサ88は、定着ユニット46(定着ニップ部)よりも用紙搬送方向の上流側に配置されるのが好ましい。また、検出センサ88は、2次転写ローラ44(2次転写ニップ部)よりも用紙搬送方向の上流側に配置されるのがより好ましい。この第1実施例では、第1用紙搬送路L1および第2用紙搬送路L2の合流点P1と、レジストローラ68との間に配置される。
【0043】
図3に示すように、検出センサ88は、照射部880および取得部882を含む。
図3に示すように、照射部880と、取得部882とは、第1用紙搬送路L1を挟んで互いに対向するように配置される。
【0044】
照射部880は、発光ダイオードなどの発光素子を含み、用紙が検出センサ88を通過するときに、第1用紙搬送路L1を搬送される用紙に向かって所定のパターン像を照射(投影)する。
【0045】
取得部882は、受光素子を含み、照射部880から照射されたパターン像が用紙を透過して現れる像(透過像)を含む算出用画像を撮像(取得)する。この第1実施例では、取得部882は、マトリクス状(2軸方向)に配置された受光素子を含む撮像センサであり、2次元の算出用画像に基づく画像データを生成する。また、取得部882は、用紙が検出センサ88を通過するとき、すなわち照射部880からパターン像が用紙に照射されるときに駆動され、透過像を含む算出用画像を取得する。ただし、第1実施例では、算出用画像とは、1つの静止画像である。
【0046】
この第1実施例では、照射部880から、点状のパターン像が用紙に照射される。たとえば、低輝度領域に囲まれた点状の高輝度像(以下、「輝点」ということがある。)が用紙に照射される。ただし、高輝度領域に囲まれた点状の低輝度像(以下、「黒点」ということがある。)が用紙に照射されるようにしても良い。
【0047】
パターン像が輝点であれば、透過像は、低輝度領域に囲まれた点状の高輝度像となる。一方、パターン像が黒点であれば、透過像は、高輝度領域に囲まれた点状の低輝度像となる。すなわち、点状のパターン像が用紙に照射されると、用紙の取得部882側の面には、そのパターン像に応じた点状の透過像が現れる。
【0048】
なお、
図2に示す画像形成装置10の電気的な構成は単なる一例であり、これに限定される必要はない。図示は省略するが、画像形成装置10には、第1用紙搬送路L1および第2用紙搬送路L2を搬送される用紙の位置を検出するための位置検出センサ等も設けられる。CPU80は、位置検出センサの出力に応じて、第1用紙搬送路L1および第2用紙搬送路L2を搬送される用紙の位置を検出する。
【0049】
図4(A)は、或る厚みの用紙における光が透過する際の拡がりを示す図解図である。
図4(B)は、他の厚みの用紙における光が透過する際の拡がりを示す図解図である。
図4(A)および
図4(B)に示すように、用紙に照射された光は、内部散乱を繰り返して拡がる。このため、用紙の取得部882側の面に現れる透過像は、用紙の照射部880側の面に照射されるパターン像が拡がったような像となる。すなわち、用紙に照射されるパターン像は、用紙を透過する際に鮮鋭度が低下する。そして、この光の拡がり度合い(像の拡がり度合い)αは、用紙の厚みt(または坪量)が大きくなるにつれて大きくなる。つまり、像の拡がり度合いは、用紙の特性の1つである坪量によって変動するので、用紙の特性値と言うこともできる。
【0050】
このように、取得部882で取得される算出用画像から得られる用紙の像の拡がり度合い、すなわち用紙の特性値と、用紙の坪量とは相関があり、用紙の特性値に応じて、用紙の特性の1つである坪量が推定される。たとえば、像の拡がり度合いが大きければ、坪量が大きい用紙であると推定され、像の拡がり度合いが小さければ、坪量が小さい用紙であると推定される。
【0051】
具体的には、算出用画像から算出される用紙の特性値とは、用紙の取得部882側の面に現れる透過像における、像の拡がり量若しくは像のぼけ量、またはこれらに応じた用紙の坪量である。以下、用紙の特性値の算出方法の例について説明する。
【0052】
(算出用画像における対象領域の設定方法)
まず、
図5に示すように、複数種類の坪量の用紙についてのそれぞれの算出用画像を取得する。
図5に示す例は、63gsm(g/m
2:Grams per Square Meter)、80gsm、120gsm、200gsmの4種類の坪量の用紙についてのそれぞれの算出用画像である。また、
図5に示す例では、パターン像としては、黒点が用いられている。ただし、この実施例では、黒点は、高輝度領域に囲まれた線状の低輝度像(黒線)の一部を切り出した像である。なお、参考のため、用紙が無い場合、すなわち像の拡がり等が無い場合の画像も示してある。以下、用紙が無い場合の画像におけるパターン像のエッジ位置(パターン像が存在する像領域と、パターン像が存在しない非像領域との境界位置)のことを、理論上のエッジ位置ということがある。
【0053】
次に、
図6に示すように、それぞれの算出用画像からパターン像に応じた輝度領域(着目領域)が抽出される。具体的には、パターン像が輝点であれば、算出用画像のうちの高輝度領域を着目領域として抽出し、パターン像が黒点であれば、算出用画像のうちの低輝度領域を着目領域として抽出する。ここで、透過像は、パターン像に応じた像として現れるので、パターン像が輝点であれば高輝度領域によって構成され、パターン像が黒点であれば低輝度領域によって構成される。したがって、着目領域は、透過像に含まれる領域となる。
【0054】
次に、抽出された着目領域を含むように直線状の領域(対象領域)を設定する。ただし、対象領域は、少なくとも着目領域の1つのエッジを跨ぐように、すなわち、理論上のエッジ位置の一方を含むように設定される。なお、対象領域は、着目領域のエッジを跨ぐように、すなわち、理論上のエッジ位置の両方を含むように設定されるのが好ましい。
【0055】
また、対象領域の幅(短手方向の長さ)が1画素分だけだと、紙質(用紙を構成する繊維等の粗密等)の影響によって各画素の輝度(画素値)が変動し、誤差が大きくなるため、対象領域の幅は、少なくとも2画素以上であることが好ましい。
【0056】
図7は、
図5に示す算出用画像のそれぞれにおいて設定された対象領域に含まれる各画素の画素値のデータを示すグラフである。ただし、画素値とは、画素の輝度を示す値であり、この実施例では256段階の数値で表される。また、
図7に示す例では、対象領域に含まれる画素の数は43200個であり、各画素の位置は、対象領域の長手方向の位置に対応している。上述したように、
図5に示す例では、パターン像として黒点が用いられているので、対象領域の長手方向の中央付近、すなわち着目領域に相当する領域は、パターン像に対応する領域であるので、低輝度領域となる。一方、対象領域の長手方向の端部付近は、パターン像以外の部分に対応する領域であるので、高輝度領域となる。そして、対象領域に含まれる全画素の画素値のデータが得られると、以下の3つの方法のいずれかによって、用紙の特性値が算出される。
【0057】
(第1の算出方法)
第1の算出方法では、像の拡がり量に応じた用紙の坪量が算出される。この第1の算出方法では、像の拡がり量を算出するにあたり、
図8に示すように、対象領域に含まれる画素毎の画素値のデータが、算出用画像における画素の位置に関わらず、画素値の大小に応じて画素の順位(画素順位)を設定し、この画素順位に従って並べ替えられる。
図8に示すグラフは、対象領域に含まれる画素毎の画素値のデータを、画素値の小さい画素から順に並べ替えたものである。
【0058】
次に、理論上のエッジ位置に相当する順位(画素順位)の画素Pa(
図8に示す例では、画素値が低い(輝度が低い)方から10800個目の画素)における画素値の変化勾配(勾配係数)に基づいて、
図9に示すように、4種類の坪量の用紙における画素Paの勾配係数と坪量との関係に基づいた第1の計算式(1次式)が導出される。第1の計算式が導出された後は、或る用紙の像の拡がり量が算出される場合には、その用紙についての対象領域に含まれる画素毎の画素値のデータが画素値の小さい画素から順に並べ替えられ、理論上のエッジ位置に相当する順位の画素Paの画素値の勾配係数が算出され、第1の計算式に従って、像の拡がり量に応じた用紙の坪量が算出される。
【0059】
(第2の算出方法)
第2の算出方法では、第1の算出方法と同様に、像の拡がり量に応じた用紙の坪量が算出される。まず、第1の算出方法と同様に、対象領域に含まれる画素毎の画素値のデータが画素順位に従って並べ替えられる。次に、平均画素値に相当する順位の画素Pb(
図8に示す例では、平均画素値が128となる画素)における画素値の勾配係数に基づいて、
図10に示すように、4種類の坪量の用紙における画素Pbの勾配係数と坪量との関係に基づいた第2の計算式(2次式)が導出される。第2の計算式が導出された後、或る用紙の像の拡がり量が算出される場合には、その用紙についての対象領域に含まれる画素毎の画素値のデータが画素値の小さい画素から順に並べ替えられ、平均画素値に相当する順位の画素Pbの画素値の勾配係数が算出され、第2の計算式に従って、像の拡がり量に応じた用紙の坪量が算出される。
【0060】
(第3の算出方法)
第1の算出方法では、像のぼけ量に応じた用紙の坪量が算出される。第3の算出方法では、上述したようなデータの並べ替えを行わずに、対象領域に含まれる全画素の画素値の標準偏差または分散を算出する。
図11は
図5に示す4種類の坪量の用紙の算出用画像のそれぞれにおける対象領域に含まれる各画素の画素値のデータを示す表の一例である。4種類の坪量の用紙における対象領域に含まれる全画素の画素値の標準偏差が算出されると、
図12に示すような標準偏差と坪量との関係に基づいた第3の計算式が導出される。また、4種類の坪量の用紙における対象領域に含まれる全画素の画素値の分散が算出されると、
図13に示すような分散と坪量との関係に基づいた第4の計算式が導出される。第3の算出方法では、或る用紙の坪量を推定する場合には、その用紙についての対象領域に含まれる全画素の画素値の標準偏差または分散が算出され、第3の計算式または第4の計算式に従って、像のぼけ量に応じた用紙の坪量が算出される。
【0061】
そして、この第1実施例では、用紙の坪量(用紙の特性値)に応じて、印刷条件が調整される。なお、像の拡がり量または像のぼけ量を用紙の坪量に換算せずに、像の拡がり量または像のぼけ量に応じて印刷条件が調整されるようにしても良い。
【0062】
ここで、用紙の特性値に応じて調整される印刷条件とは、定着温度(ヒートローラ62の温度)および用紙が定着ユニット46(定着ニップ部)を通過する際の用紙の搬送速度である。すなわち、定着ユニット46において用紙が受ける熱量が調整される。
【0063】
より具体的には、用紙の坪量が大きいほど(像の拡がり量または像のぼけ量が大きいほど)、定着温度が高くなるように調整される、また、用紙の坪量が大きいほど、定着ニップ部通過時の用紙の搬送速度が遅くなるように調整される。ただし、定着温度および定着ニップ部通過時の用紙の搬送速度の両方が調整されても良いし、いずれか一方が調整されても良い。
【0064】
このようにするのは、用紙の坪量が大きい場合には、用紙の熱吸収性、遮熱性および断熱性が増大するため、用紙上の未定着トナーを定着させるために必要な熱量が大きくなるからである。
【0065】
なお、坪量に関係なく、用紙を構成する繊維の粗さが大きい場合、または、繊維の均一性(均質性)が低い場合に、像の拡がり量または像のぼけ量が大きくなることがある。このような場合には、用紙中に空気を多く含むことから、用紙の伝熱抵抗が大きくなる。したがって、用紙上の未定着トナーを定着させるために必要な熱量が大きくなるので、上述した調整方法をそのまま用いることができる。
【0066】
また、上記の算出方法に代えて、各画素のコントラスト(非像領域の画素値-像領域の画素値/非像領域の画素値)に基づいて用紙の特性値を算出しても良い。
【0067】
さらに、パターン像と透過像との差異量が検出可能な場合には、上記の算出方法に代えて、パターン像と透過像との差異量に応じて印刷条件が調整されるようにしても良い。パターン像と透過像との差異量とは、たとえば、パターン像と透過像との、直径、周囲長、形状、鮮鋭度、SN比、周波数成分等の差異量のことである。
【0068】
画像形成装置10の上記のような動作は、CPU80がRAM84に記憶された制御プログラムを実行することによって実現される。具体的な処理については、後でフロー図を用いて説明する。
【0069】
図14は
図2に示したRAM84のメモリマップ300の一例を示す図解図である。
図14に示すように、RAM84は、プログラム記憶領域302およびデータ記憶領域304を含む。RAM84のプログラム記憶領域302には、上述したように、画像形成装置10の制御プログラムが記憶される。制御プログラムは、光照射プログラム302a、算出用画像取得プログラム302b、特性値算出プログラム302c、調整値設定プログラム302d、画像形成プログラム302eおよび画像読取プログラム302fを含む。
【0070】
光照射プログラム302aは、照射部880を制御して、用紙が検出センサ88を通過するときに、所定のパターン像を用紙に照射するためのプログラムである。
【0071】
算出用画像取得プログラム302bは、取得部882を制御して、用紙が検出センサ88を通過するとき(照射部880からパターン像が用紙に照射されるとき)に、算出用画像を取得するためのプログラムである。
【0072】
特性値算出プログラム302cは、取得部882で取得される算出用画像に応じて、用紙の特性値(像の拡がり量若しくは像のぼけ量またはこれらに応じた用紙の坪量)を算出するためのプログラムである。
【0073】
調整値設定プログラム302dは、特性値算出プログラム302cに従って算出された用紙の特性値に応じて、定着温度および/または定着ニップ部通過時の用紙の搬送速度を調整する調整値を設定するためのプログラムである。すなわち、調整値設定プログラム302dは、定着温度を調整するための定着温度調整プログラムおよび搬送速度を調整する搬送速度調整プログラムを含む。
【0074】
画像形成プログラム302eは、印刷ジョブが実行される際に、画像形成部30を制御して、印刷画像に応じて多色または単色の印刷画像を用紙に印刷するためのプログラムである。ただし、画像形成プログラム302eは、調整値設定プログラム302dに従って設定された調整値に応じて、定着温度を予め設定された温度(設定温度)から変更したり、定着ニップ部通過時の用紙の搬送速度を予め設定された速度(設定速度)から変更したりするためのプログラムでもある。
【0075】
画像読取プログラム302fは、画像読取部26を制御して、原稿の画像を読み取り、読み取った画像に対応する画像信号(画像データ)を出力するためのプログラムである。
【0076】
なお、図示は省略するが、プログラム記憶領域302には、位置検出センサの出力に応じて、第1用紙搬送路L1および第2用紙搬送路L2を搬送される用紙の位置を検出するためのプログラム、画像形成装置10の各種の機能を選択および実行するためのプログラムなども記憶される。
【0077】
RAM84のデータ記憶領域304には、パターン像データ304a、算出用画像データ304b、特性値データ304cおよび調整値データ304dなどが記憶される。
【0078】
パターン像データ304aは、照射部880から照射されるパターン像についてのデータであり、たとえば、パターン像の直径、周囲長または形状等についてのデータおよび理論上のエッジ位置についてのデータである。算出用画像データ304bは、取得部882で取得された算出用画像についてのデータである。特性値データ304cは、算出用画像から得られる用紙の特性値を示すデータである。調整値データ304dは、定着温度を調整するための調整値を示すデータおよび定着ニップ部通過時の用紙の搬送速度を調整するための調整値を示すデータである。
【0079】
なお、図示は省略するが、データ記憶領域304には、定着温度の設定温度についてのデータおよび定着ニップ部通過時の用紙の搬送速度の設定速度についてのデータが記憶されたり、その他の制御プログラムの実行に必要なレジスタが設けられたり、制御プログラムの実行に必要な他のデータが記憶されたりする。
【0080】
図15は画像形成装置のCPUの調整処理の一例を示すフロー図である。この調整処理は、用紙上に画像を形成するための画像形成処理と並行して実行する。調整処理は、画像形成処理が開始されるときに開始される。
図15に示すように、CPU80は、調整処理を開始すると、ステップS1で、用紙が第1用紙搬送路L1上の検出位置、すなわち検出センサ88の位置に到達したかどうかを判断する。この第1実施例では、第1用紙搬送路L1を搬送される用紙の先端が、レジストローラ68に到達した場合に、用紙が検出位置に到達したと判断する。
【0081】
ステップS1で“NO”であれば、つまり、用紙が検出位置に到達していない場合は、ステップS1に戻る。一方、ステップS1で“YES”であれば、つまり、用紙が検出位置に到達した場合は、ステップS3で、照射部880から用紙にパターン像を照射して、ステップS5で、取得部882を駆動させて、算出用画像を取得して、ステップS7で、算出用画像から着目領域を抽出し、ステップS9で、算出用画像において、着目領域を含む対象領域を設定し、ステップS11で、対象領域から用紙の特性値を算出し、ステップS13で、算出された用紙の特性値に応じて、定着温度および/または定着ニップ部通過時の用紙の搬送速度を調整する調整値を設定し、調整処理を終了する。なお、画像形成処理では、この調整処理で設定された調整値が適用され、定着温度および/または定着ニップ部通過時の用紙の搬送速度が調整される。
【0082】
この第1実施例によれば、パターン像に応じた透過像を含む算出用画像から、用紙の特性値を算出し、用紙の特性を適切に判別することができる。したがって、用紙の特性に応じて、印刷条件を適切に調整することができる。
【0083】
また、第1実施例によれば、用紙の特性値に応じて、定着温度を調整するので、用紙上の未定着トナーを定着させるために必要な熱量を確保するようにして、定着性能を向上させることができる。
【0084】
さらに、第1実施例によれば、用紙の特性値に応じて、定着ニップ部通過時の用紙の搬送速度を調整するので、用紙上の未定着トナーを定着させるために必要な熱量を確保するようにして、定着性能を向上させることができる。
【0085】
なお、照射部880がレーザ発振器を有し、照射部880から照射される光が、レーザ光であることが好ましい。第1用紙搬送路L1を搬送される用紙が、浮き上がり等によって、想定位置(理想的な搬送位置)とは異なる位置を搬送されることがある。このように用紙の搬送位置ずれが発生すると、照射部880から照射されたパターン像の焦点が用紙表面と合わずに、用紙の坪量と関係なく、像のぼけを生じることがある。この問題に対し、指向性の高いレーザ光を用いることによって、用紙の搬送位置ずれに起因する像のぼけを防止することができ、用紙の特性を適切に判別することができる。
[第2実施例]
第2実施例の画像形成装置10は、照射部880から照射されるパターン像の形状が異なる以外は、第1実施例の画像形成装置10と同じであるため、第1実施例と異なる内容について説明し、重複した説明については省略することにする。
【0086】
図16は第2実施例におけるパターン像を示す図解図である。
図16に示すように、第2実施例では、照射部880と、第1用紙搬送路L1との間に遮蔽部材884が設けられており、遮蔽部材884には、線状のスリットが形成される。照射部880から照射された光のうちの一部は、遮蔽部材884によって遮蔽され、照射部880から照射された光のうちスリットを通った光のみが用紙に到達する。したがって、用紙には、線状のパターン像が照射される。つまり、
図16に示す構成では、低輝度領域に囲まれた線状の高輝度像(以下、「輝線」ということがある。)が用紙に照射される。ただし、遮蔽部材884の構成を変更して、高輝度領域に囲まれた線状の低輝度像(以下、「黒線」ということがある。)が用紙に照射されるようにしても良い。
【0087】
このように、線状のパターン像が用紙に照射されると、用紙の取得部882側の面には、パターン像に応じた線状の透過像が現れる。
【0088】
ただし、遮蔽部材884に形成されたスリットは、用紙搬送方向に対して所定の角度で傾斜するように形成される。遮蔽部材884に形成されたスリットは、好ましくは、用紙搬送方向に対して直交するように形成される。したがって、用紙には用紙搬送方向に対して所定の角度で傾斜する線状のパターン像が照射され、用紙の取得部882側の面には、このパターン像に応じて、用紙搬送方向に対して所定の角度で傾斜する線状の透過像が現れる。
【0089】
第2実施例では、線状のパターン像に対応する線状の透過像を含む算出用画像から、用紙の特性値が算出される。ただし、対象領域は、線状の透過像に交差するように、好ましくは線状の透過像に直交するように設定される。たとえば、対象領域は、用紙搬送方向に延びるように設定される。なお、対象領域を設定した後の、用紙の特性値の算出方法および印刷条件の調整方法については、第1実施例と同じであるので説明を省略する。
【0090】
この第2実施例によれば、線状のパターン像を用いて、対象領域を線状の透過像に交差するように設定するので、点状のパターン像を用いる場合よりも、対象領域の幅を大きくすることができ、紙質の影響によって画素値が変動することを抑制できる。したがって、用紙の特性値を算出する際の安定性および精度を向上させることができる。
【0091】
なお、第2実施例においては、取得部882として、2軸方向に受光画素が配置される撮像センサに代えて、1軸上に受光画素が配置される1次元のラインセンサを用いることもできる。第1実施例のように点状のパターン像を用いる場合には、用紙の搬送位置ずれに対応するために、2軸方向に受光画素が配置される撮像センサを用いる必要があった。これに対し、用紙搬送方向に対して所定の角度で傾斜する線状のパターン像を用いる場合であれば、1次元のラインセンサであっても透過像を含む算出用画像を取得することができる。なお、1次元のラインセンサを用いる場合、ラインセンサで取得される算出用画像の全体を対象領域として設定しても良いし、算出用画像の一部を対象領域として設定しても良い。このように、取得部882として1次元のラインセンサを用いれば、取得部882の構成を簡単にすることができるとともに、用紙の特性値を算出する処理を簡素化することができる。
[第3実施例]
第3実施例の画像形成装置10は、検出センサ88の構成が異なる以外は、第2実施例の画像形成装置10と同じであるため、第2実施例と異なる内容について説明し、重複した説明については省略することにする。
【0092】
図17は第3実施例における検出センサ88の概略構成を示す図解図である。
図17に示すように、第3実施例では、遮蔽部材884と、第1用紙搬送路L1との間にシリンドリカルレンズ886が設けられる。シリンドリカルレンズ886は、その長手方向が遮蔽部材884のスリットの長手方向に沿うように配置されている。すなわち、シリンドリカルレンズ886は、線状のパターン像に沿うように配置されている。
【0093】
ただし、シリンドリカルレンズ886は、第1用紙搬送路L1を搬送される用紙に対して所定の角度(たとえば10°未満)で傾斜するように配置される。
【0094】
この第3実施例では、照射部880から照射された光のうちスリットを通過した光は、シリンドリカルレンズ886を通って用紙に照射される。ただし、シリンドリカルレンズ886は、用紙に対して所定の角度で傾斜しているので、用紙上のいずれかの位置において、パターン像の焦点が合うようになる。このため、用紙の搬送位置ずれが生じた場合であっても、用紙に照射された線状のパターン像には、像の拡がりまたは像のぼけが生じない領域が存在する。
【0095】
この第3実施例では、算出用画像における着目領域を抽出するにあたり、算出用画像に含まれる透過像のうち、最も細い領域、すなわち、透過像のうち、用紙上でパターン像の焦点が合っている領域に対応する領域を探索し、透過像のうち最も細い領域を着目領域として抽出する。そして、その着目領域(透過像のうち最も細い領域)を含むように対象領域が設定される。なお、対象領域を設定した後の、用紙の特性値の算出方法および印刷条件の調整方法については、第1実施例と同じであるので説明を省略する。
【0096】
この第3実施例によれば、遮蔽部材884と、第1用紙搬送路L1との間に、用紙に対して所定の角度で傾斜するシリンドリカルレンズ886を設けたので、用紙に照射された線状のパターン像のいずれかの位置において、パターン像の焦点が合うようになる。このため、透過像のうち、用紙上でパターン像の焦点が合っている領域に対応する領域を含む領域から像の拡がり量または像のぼけ量を算出するようにすれば、用紙の搬送位置ずれが発生した場合であっても、用紙の特性値を算出する際の安定性および精度を向上させることができる。
[第4実施例]
第4実施例の画像形成装置10は、照射部880から照射されるパターン像の形状が異なる以外は、第1実施例の画像形成装置10と同じであるため、第1実施例と異なる内容について説明し、重複した説明については省略することにする。
【0097】
図18は第4実施例におけるパターン像を示す図解図である。
図18に示すように、第4実施例では、照射部880と、第1用紙搬送路L1との間に遮蔽部材888が設けられており、遮蔽部材888には、独立して配置される複数のスリットが形成される。
【0098】
したがって、用紙には、遮蔽部材888のスリットの形状に応じた独立して配置される複数の要素によって構成される所定のパターン像が照射される。
図18に示す例では、パターン像は、複数の点および複数の直線によって構成される。なお、パターン像を構成する要素の形状は、点および直線に限定されず、曲線、円または多角形等であっても良い。また、パターン像における複数の要素に対応する部分は、高輝度像であっても良いし、低輝度像であっても良い。このような複数の要素を含むパターン像が用紙に照射されると、用紙の取得部882側の面には、パターン像に対応する、複数の要素を含む透過像が現れる。つまり、透過像は、パターン像を構成する複数の要素のそれぞれに応じた、複数の要素によって構成される。
【0099】
第4実施例では、このパターン像に対応する透過像を含む算出用画像から、用紙の特性値が算出される。ただし、対象領域は、透過像を構成する複数の要素を取り込むように設定される。好ましくは、対象領域は、透過像を構成する複数の要素の全てを取り込むように設定される。なお、対象領域を設定した後の、用紙の特性値の算出方法および印刷条件の調整方法については、第1実施例と同じであるので説明を省略する。
【0100】
この第4実施例によれば、それぞれ独立して配置される複数の要素によって構成されるパターン像を用いるので、対象領域に含まれる像のエッジの数が増え、用紙の特性値を算出する際の安定性および精度を向上させることができる。
【0101】
なお、第4実施例においては、第2実施例と同様に、取得部882として、1次元のラインセンサを用いることもできる。
[第5実施例]
第5実施例の画像形成装置10は、同じ用紙に対して、2以上の算出用画像を取得して、用紙の特性値を算出するようにした以外は、第1実施例の画像形成装置10と同じであるため、第1実施例と異なる内容について説明し、重複した説明については省略することにする。
【0102】
第5実施例では、取得部882は、同じ用紙に対して、2以上の(複数の)算出用画像を取得する。複数の算出用画像は、用紙が検出センサ88を通過する間に、それぞれ異なるタイミングで取得されたものである。なお、同じ用紙に対して取得される算出用画像の数は、予め設定されており、適宜変更可能である。
【0103】
そして、複数の算出用画像が取得されると、複数の算出用画像を平均化した画像(平均化画像)が生成され、この平均化画像から、用紙の特性値が算出される。すなわち、平均化画像から着目領域が抽出され、平均化画像において対象領域が設定され、その対象領域から用紙の特性値が算出される。なお、対象領域を設定した後の、用紙の特性値の算出方法および印刷条件の調整方法については、第1実施例と同じであるので説明を省略する。
【0104】
また、第5実施例では、上述したような動作を実現するために、画像形成装置10のRAM84のプログラム記憶領域302に記憶される制御プログラムには、複数の算出用画像を平均化するための画像処理(平均化)プログラム等が含まれる。また、データ記憶領域304には、平均化画像についてのデータが記憶され、特性値算出プログラム302cは、平均化画像から用紙の特性値を算出するためのプログラムでもある。
【0105】
以下、フロー図を用いて、第5実施例における画像形成装置10の調整処理について説明するが、第1実施例で説明した調整処理と同じ処理については同じ参照符号を付し、重複した内容については、説明を省略するまたは簡単に説明することにする。
【0106】
図19は第5実施例における調整処理の一例を示すフロー図である。
図19に示すように、CPU80は、調整処理を開始すると、ステップS1で“YES”であれば、ステップS31で、変数nに初期値を設定して(n=1)ステップS3に進む。変数nは、算出用画像の数をカウントするための変数である。続いて、ステップS5で、算出用画像を取得して、ステップS33で、変数nが最大値であるか、すなわち、予め設定された、同じ用紙に対して取得される算出用画像の数に達したかどうかを判断する。ステップS33で“NO”であれば、つまり、変数nが最大値でなければ、ステップS35で、変数nを1加算して(n=n+1)、ステップS3に戻る。一方、ステップS33で“YES”であれば、つまり、変数nが最大値であれば、ステップS37で、平均化画像を生成して、ステップS39で、平均化画像から着目領域を抽出し、ステップS41で、平均化画像において、着目領域を含む対象領域を設定し、ステップS11に進む。
【0107】
なお、ステップS11以降の処理の内容については、第1実施例と同じであるので説明を省略する。
【0108】
この第5実施例によれば、複数の算出用画像を平均化した平均化画像に基づいて、用紙の特性値を算出するので、用紙の粗密や用紙中の空隙による用紙の不均一性の影響を抑制することができ、用紙の特性値を算出する際の安定性および精度を向上させることができる。
【0109】
なお、第5実施例に示した態様は、第2実施例~第4実施例にも組み合わせて採用することが可能である。
[第6実施例]
第6実施例の画像形成装置10は、検出センサ88における読み取りを常時行うようにした以外は、第1実施例の画像形成装置10と同じであるため、第1実施例と異なる内容について説明し、重複した説明については省略することにする。
【0110】
第6実施例では、照射部880は、常に所定のパターン像を照射し、取得部882は、常に画像を取得する。ここで、用紙が検出センサ88を通過するときには、用紙によって取得部882の撮像領域が遮蔽され、照射部880から照射される光が遮られるのに対し、用紙が検出センサ88を通過しないときは、取得部882の撮像領域が遮蔽されず、照射部880から照射される光がそのまま取得部882に到達する。
【0111】
このため、用紙が検出センサ88を通過するときに取得部882で取得される画像の光量は、用紙の先端が検出センサ88の位置に到達したときに小さくなり(光量落ち)、用紙の後端が検出センサ88の位置を通過したときに大きくなる(光量上昇)。つまり、光量落ちが生じてからから光量上昇が生じるまでの間は、用紙が検出センサ88の位置に存在することになる。
【0112】
したがって、この第6実施例では、光量落ちから光量上昇までの間に取得部882で取得された画像を、算出用画像とする。ただし、光量落ちから光量上昇までの間に取得部882で取得された算出用画像は、動画像であっても良いし、所定のタイミングで取得された複数の静止画像であっても良い。なお、光量落ちまでの間に取得部882で取得された画像および光量上昇後に取得部882で取得された画像は、主に光量を判断するために用いられるので、光量判断用の画像と言うこともできる。
【0113】
そして、算出用画像が取得されると、複数の算出用画像を平均化した平均化画像が生成され、この平均化画像から用紙の特性値が算出される。なお、平均化画像から対象領域を設定する方法は、第5実施例と同じであるので説明を省略する。また、対象領域を設定した後の、用紙の特性値の算出方法および印刷条件の調整方法については、第1実施例と同じであるので説明を省略する。
【0114】
また、第6実施例では、上述したような動作を実現するために、画像形成装置10のRAM84のプログラム記憶領域302に記憶される制御プログラムには、取得部882で取得される画像の光量を検出するための光量検出プログラムおよび取得部882で取得される画像(光量判断用の画像および算出用画像を含む)の光量が所定の光量よりも大きいかどうか(小さいかどうか)を判断するための光量判断プログラム等が含まれる。また、データ記憶領域304には、平均化画像についてのデータが記憶され、特性値算出プログラム302cは、平均化画像から用紙の特性値を算出するためのプログラムでもある。
【0115】
以下、フロー図を用いて、第6実施例における画像形成装置10の調整処理について説明するが、第1実施例で説明した調整処理と同じ処理については同じ参照符号を付し、重複した内容については、説明を省略するまたは簡単に説明することにする。
【0116】
図20は第5実施例における調整処理の一例を示すフロー図である。
図20に示すように、CPU80は、調整処理を開始すると、ステップS51で、照射部880から用紙にパターン像を照射して、ステップS53で、ステップS5で、取得部882を駆動させて、光量判断用の画像を取得して、ステップS55で、光量判断用の画像の光量が所定の光量よりも小さくなったかどうか、すなわち光量落ちがあったかどうかを判断する。
【0117】
ステップS55で“NO”であれば、つまり、光量落ちが無いと判断した場合は、同じステップS55に戻る。一方、ステップS55で“YES”であれば、つまり、光量落ちがあると判断した場合は、ステップS57で、算出用画像を取得して、ステップS59で、算出用画像の光量が所定の光量よりも大きくなったかどうか、すなわち光量上昇があったかどうかを判断する。
【0118】
ステップS59で“NO”であれば、つまり、光量上昇が無いと判断した場合は、ステップS57に戻る。一方、ステップS59で“YES”であれば、つまり、光量上昇があると判断した場合は、ステップS61で、平均化画像を生成して、ステップS63で、平均化画像から着目領域を抽出し、ステップS65で、平均化画像において、着目領域を含む対象領域を設定し、ステップS11に進む。
【0119】
なお、ステップS11以降の処理の内容については、第1実施例と同じであるので説明を省略する。
【0120】
この第6実施例によれば、光量落ちから光量上昇までの間に取得された算出用画像を平均化した平均化画像に基づいて、用紙の特性値を算出するので、用紙の粗密や用紙中の空隙による用紙の不均一性の影響を抑制することができ、用紙の特性値を算出する際の安定性および精度を向上させることができる。
【0121】
なお、第6実施例に示した態様は、第2実施例~第5実施例にも組み合わせて採用することが可能である。
【0122】
また、上述の実施例で挙げた具体的な数値、構成等は一例であり、実際の製品に応じて適宜変更することが可能である。
【符号の説明】
【0123】
10 …画像形成装置
14 …画像読取部
30 …画像読取部
36 …感光体ドラム
46 …定着ユニット
88 …検出センサ
880…照射部
882…取得部
L1 …第1用紙搬送路