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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-01-16
(45)【発行日】2023-01-24
(54)【発明の名称】洗濯機
(51)【国際特許分類】
   D06F 39/08 20060101AFI20230117BHJP
【FI】
D06F39/08 301B
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2019006956
(22)【出願日】2019-01-18
(65)【公開番号】P2020115929
(43)【公開日】2020-08-06
【審査請求日】2021-09-08
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】503376518
【氏名又は名称】東芝ライフスタイル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000567
【氏名又は名称】弁理士法人サトー
(72)【発明者】
【氏名】加藤 瞬
(72)【発明者】
【氏名】内山 具典
(72)【発明者】
【氏名】本村 隆行
(72)【発明者】
【氏名】磯永 賢
(72)【発明者】
【氏名】温 召航
【審査官】村山 達也
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-023936(JP,A)
【文献】特開2017-032001(JP,A)
【文献】特開2018-126201(JP,A)
【文献】特開2017-113395(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
D06F 39/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
水槽と、
前記水槽内に水を供給する給水経路と、
前記給水経路に設けられ、内部を通過する水に微細気泡を含ませて微細気泡水を生成する微細気泡発生装置と、を備え、
前記微細気泡発生装置は、水が通過する流路の断面積を調整することにより、生成する前記微細気泡水の流量を前記給水経路に適した流量にするとともに、微細気泡の発生効率が低下する場合には前記微細気泡水の供給時間を調整するように構成され、
前記流路は、複数の突出部により十字形またはX字形のスリット状に形成されており、
前記流路の断面積の調整は、当該流路の径寸法、対向する2つの突出部の先端部間の寸法、隣接する2つの突出部が離間する間隔を、相似形状を維持しながら変更することにより行われている洗濯機。
【請求項2】
前記微細気泡発生装置は、内部を通過する水の水圧を水道水の水圧の少なくとも80パーセント以上の水圧にすることにより、生成する前記微細気泡水の流量を前記給水経路に適した流量にする請求項1に記載の洗濯機。
【請求項3】
前記給水経路は、給水弁を有し、
前記微細気泡発生装置は、前記給水経路において前記給水弁よりも上流に設けられている請求項1または2に記載の洗濯機。
【請求項4】
前記給水経路として、前記水槽内に洗剤を含む水を供給可能な洗剤側給水経路を備え、
前記微細気泡発生装置は、前記洗剤側給水経路に設けられている請求項1から3の何れか1項に記載の洗濯機。
【請求項5】
前記給水経路として、前記水槽内に柔軟剤を含む水を供給可能な柔軟剤側給水経路を備え、
前記微細気泡発生装置は、前記柔軟剤側給水経路に設けられており、前記水槽内に供給される柔軟剤を含む水の流量を、前記水槽内への柔軟剤の投入に適した流量にする請求項1から4の何れか1項に記載の洗濯機。
【請求項6】
前記柔軟剤側給水経路は、給水弁を有し、
前記微細気泡発生装置は、前記柔軟剤側給水経路において前記給水弁よりも下流に設けられている請求項5に記載の洗濯機。
【請求項7】
前記給水経路として、
前記水槽内に洗剤を含む水を供給可能な洗剤側給水経路と、
前記水槽内に柔軟剤を含む水を供給可能な柔軟剤側給水経路と、
を備え、
前記柔軟剤側給水経路による前記水槽内への給水を行う場合には、前記洗剤側給水経路による前記水槽内への給水を停止する請求項1から6の何れか1項に記載の洗濯機。
【請求項8】
前記給水経路として、
前記水槽内に洗剤を含む水を供給可能な洗剤側給水経路と、
前記水槽内に柔軟剤を含む水を供給可能な柔軟剤側給水経路と、
を備え、
前記柔軟剤側給水経路による前記水槽内への給水の後に、前記洗剤側給水経路による前記水槽内への給水を開始する請求項1から6の何れか1項に記載の洗濯機。
【請求項9】
前記給水経路として、
前記水槽内に洗剤を含む水を供給可能な洗剤側給水経路と、
前記水槽内に柔軟剤を含む水を供給可能な柔軟剤側給水経路と、
を備え、
前記柔軟剤側給水経路による前記水槽内への給水時に、前記洗剤側給水経路による前記水槽内への給水も行う請求項1から6の何れか1項に記載の洗濯機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、洗濯機に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、マイクロバブルやナノバブルと称される直径が数十nm~数μmサイズの微細気泡が注目されてきており、多数の微細気泡を含んだ微細気泡水を洗濯機に用いることが考えられている。しかしながら、この種の微細気泡水を生成する微細気泡発生装置は、いわゆるベンチュリ管の原理を利用して、内部を通過する水の圧力を急激に減圧することで、その水中に溶存している空気を析出させて微細気泡を発生させる構成となっている。そのため、給水経路を通して水槽内に供給される水の流速が微細気泡発生装置を通過する際に低下してしまい、給水動作の所要時間の増大、ひいては、運転全体の所要時間の増大を招くおそれがある。このような課題を解決するには、従来では、微細気泡発生装置を通さずに水道水を給水する給水態様を併用せざるを得なかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2017-113395号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
そこで、水槽内に微細気泡水を供給する場合に、その給水動作の所要時間の増大を抑制することができる洗濯機を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本実施形態の洗濯機は、水槽と、前記水槽内に水を供給する給水経路と、前記給水経路に設けられ、内部を通過する水に微細気泡を含ませて微細気泡水を生成する微細気泡発生装置と、を備えている。前記微細気泡発生装置は、水が通過する流路の断面積を調整することにより、生成する前記微細気泡水の流量や気泡の発生量を前記給水経路に適した流量に設定するとともに、微細気泡の発生効率が低下する場合には前記微細気泡水の供給時間を調整するように構成され、前記流路は、複数の突出部により十字形またはX字形のスリット状に形成されており、前記流路の断面積の調整は、当該流路の径寸法、対向する2つの突出部の先端部間の寸法、隣接する2つの突出部が離間する間隔を、相似形状を維持しながら変更することにより行われている
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】本開示に係る洗濯機の構成例を正面側から概略的に示す断面図(その1)
図2】本開示に係る洗濯機の構成例を正面側から概略的に示す断面図(その2)
図3】本開示に係る微細気泡発生装置の構成例を下流側から概略的に示す斜視図
図4】本開示に係る微細気泡発生装置の構成例を下流側から概略的に示す分解斜視図
図5】本開示に係る微細気泡発生装置の構成例を上流側から概略的に示す分解斜視図
図6】本開示に係る微細気泡発生装置の構成例を概略的に示す断面図
図7】本開示に係る微細気泡発生装置の構成例を概略的に示すものであって、図6のX7-X7線に沿う断面図
図8】本開示に係る微細気泡発生装置の流路の断面積の一例を示す図
図9】第1実施形態に係る注水装置の構成例を概略的に示す図
図10】第2実施形態に係る注水装置の構成例を概略的に示す図
図11】第3実施形態に係る注水装置の構成例を概略的に示す図
図12】第4実施形態に係る注水装置の構成例を概略的に示す図
図13】第5実施形態に係る注水装置の構成例を概略的に示す図
図14】第5実施形態に係る洗濯機による給水動作の一例を示す図
図15】第6実施形態に係る洗濯機による給水動作の一例を示す図
図16】第7実施形態に係る洗濯機による給水動作の一例を示す図
図17】第8実施形態に係る洗濯機による給水動作の一例を示す図
図18】第9実施形態に係る注水装置の構成例を概略的に示す図
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、洗濯機に係る複数の実施形態について図面を参照しながら説明する。なお、各実施形態で実質的に同一の要素には同一の符号を付し、説明を省略する。
【0008】
(洗濯機の基本構成について)
複数の実施形態の説明に入る前に、本開示に係る複数の洗濯機において共通の基本構成例について説明する。以下、洗濯機の設置面側つまり鉛直下側を洗濯機の下側とし、設置面とは反対側つまり鉛直上側を洗濯機の上側とする。また、図1および図2における左右方向を、洗濯機の左右方向とする。また、本開示に係る洗濯機は、回転槽の回転軸が鉛直方向を向いた、いわゆる縦軸型の洗濯機である。なお、本開示に係る洗濯機は、縦軸型の洗濯機に限られず、例えば、回転槽の回転軸が水平または後方へ向かって下降傾斜した、いわゆる横軸型のドラム式洗濯機であってもよい。
【0009】
図1に例示する洗濯機10Aは、2つの給水経路を備える洗濯機である。洗濯機10Aは、外箱11、トップカバー12、水槽13、回転槽14、パルセータ15、モータ16、注水装置20などを備えている。
【0010】
外箱11は、例えば鋼板によって全体として矩形箱状に構成されている。トップカバー12は、例えば合成樹脂製であって、外箱11の上部に設けられている。水槽13および回転槽14は、洗濯物を収容する洗濯槽および脱水槽として機能する。水槽13は、外箱11内に設けられている。水槽13および回転槽14は、上面が開口した容器状に構成されている。回転槽14は、複数の小孔を有しており、この小孔を通して、回転槽14と水槽13との間で水が行き来する。また、水槽13の底部には、図示しない排水口が形成されている。
【0011】
モータ16は、図示しないクラッチ機構を介して回転槽14に接続されている。図示しないクラッチ機構は、モータ16の回転を回転槽14に対して選択的に伝達する。また、モータ16は、パルセータ15に直接的に接続されている。モータ16の回転は、パルセータ15に対して連続的に伝達される。モータ16および図示しないクラッチ機構は、洗い動作時およびすすぎ動作時には、回転槽14の回転を停止させた状態でモータ16の駆動力をパルセータ15に伝達してパルセータ15を低速で直接正逆回転駆動する。一方、モータ16および図示しないクラッチ機構は、脱水動作時などにはモータ16の駆動力を回転槽14に伝達して、回転槽14およびパルセータ15を一方向に高速で回転駆動させる。
【0012】
注水装置20は、外箱11の上部にあってトップカバー12の内部に設けられている。注水装置20は、接続口21、注水口22、洗剤側給水弁23、柔軟剤側給水弁24、注水ケース30を有している。接続口21は、図示しないホースを介して例えば水道の蛇口などの外部の給水源に接続される。接続口21の下流側は、複数、この場合、2つの給水経路100,200に分岐して注水ケース30に接続されている。
【0013】
注水ケース30は、接続口21から供給された水を注水ケース30内に通して、注水口22から水槽13および回転槽14内へ注水する。注水ケース30は、ケース本体31、洗剤収容部32、柔軟剤収容部33を有している。ケース本体31は、例えば合成樹脂製の容器状に形成されている。ケース本体31の上流側は、接続口21に接続されて外部の給水源からの水が流入する。なお、外部の給水源は、水道に限られず、例えば浴槽などであってもよい。また、ケース本体31の下流側は、注水口22に接続されており、ケース本体31内に流入した水は、注水口22から水槽13内および回転槽14内に注水される。
【0014】
洗剤収容部32は、例えば上面が開口した容器状に形成されており、ケース本体31の内部に設けられている。洗剤収容部32は、ケース本体31に対して洗濯機10Aの前方側へ引き出し可能に構成されている。ユーザは、洗剤を使用する運転をする際、洗剤収容部32を引き出して、洗剤収容部32内に洗剤を投入する。
【0015】
柔軟剤収容部33は、例えば上面が開口した容器状に形成されており、ケース本体31の内部に設けられている。柔軟剤収容部33は、ケース本体31に対して洗濯機10Aの前方側へ引き出し可能に構成されている。また、柔軟剤収容部33は、図示しないサイフォン構造部を有している。ユーザは、柔軟剤を使用する洗濯運転を行う際、柔軟剤収容部33を引き出して柔軟剤収容部33内に柔軟剤を投入する。
【0016】
給水経路100は、外部の水源から接続口21に供給された水が、注水ケース30の洗剤収容部32を経て注水口22から注がれて、水槽13および回転槽14に至る経路として構成されている。また、給水経路200は、外部の水源から接続口21に供給された水が、注水ケース30の柔軟剤収容部33を経て注水口22から注がれて、水槽13および回転槽14に至る経路として構成されている。以下、給水経路100を、洗剤側給水経路100と称し、給水経路200を、柔軟剤側給水経路200と称する。洗剤側給水経路100と柔軟剤側給水経路200は、ケース本体31内において、洗剤収容部32および柔軟剤収容部33の下流側で合流している。
【0017】
洗剤側給水弁23および柔軟剤側給水弁24は、いずれも電磁的に開閉動作可能な液体用の開閉弁である。洗剤側給水弁23は、洗剤側給水経路100の途中部分であって、接続口21と洗剤収容部32との間に設けられており、洗剤側給水経路100を開閉する。柔軟剤側給水弁24は、柔軟剤側給水経路200の途中部分であって、接続口21と柔軟剤収容部33との間に設けられており、柔軟剤側給水経路200を開閉する。
【0018】
また、図2に例示する洗濯機10Bは、3つの給水経路を備える洗濯機である。この場合、洗濯機10Bは、2つの洗剤側給水経路300,400と、1つの柔軟剤側給水経路500を備えており、つまり、合計で3つの給水経路を備えている。洗剤側給水経路300,400は、何れも、外部の水源から接続口21に供給された水が、注水ケース30の洗剤収容部32を経て注水口22から注がれて、水槽13および回転槽14に至る経路として構成されている。以下、洗剤側給水経路300を洗剤側サブ給水経路300と称し、洗剤側給水経路400を洗剤側メイン給水経路400と称する。
【0019】
また、柔軟剤側給水経路500は、外部の水源から接続口21に供給された水が、注水ケース30の柔軟剤収容部33を経て注水口22から注がれて、水槽13および回転槽14に至る経路として構成されている。なお、洗濯機10Bのその他の構成例は、上述した洗濯機10Aの構成例と同様である。
【0020】
(調節器について)
後述する複数の実施形態において、洗濯機10Aあるいは洗濯機10Bは、給水経路に、適宜、調節器25を備えるようになっている。次に、この調節器25について、その概要を説明する。調節器25は、例えば、いわゆる節水コマで構成されており、接続口21から供給された水の流速および流量を低減させる機能を有している。調節器25が設けられている給水経路を介して供給される水は、この調節器25によって流速および流量が低減された状態で注水ケース30内に供給される。
【0021】
(微細気泡発生装置について)
後述する複数の実施形態において、洗濯機10Aあるいは洗濯機10Bは、給水経路に、適宜、微細気泡発生装置40を備えるようになっている。次に、この微細気泡発生装置40の構成例について説明する。微細気泡発生装置40は、内部を通過する水に微細気泡を含ませて微細気泡水を生成する構成要素である。
【0022】
本開示における「微細気泡」とは、いわゆるファインバブルと称されるものであり、例えば、直径が1μm以下のウルトラファインバブルを含んだ概念であり、また、直径が1μm~数百μm程度のマイクロバブルも含んだ概念である。そして、本開示における「微細気泡水」とは、微細気泡発生装置40を通過したことによって微細気泡を含んだ水、つまり、何ら処理していない通常の水道水に比べて、上述した微細気泡を多量に含んだ水をいう。特に本開示において、微細気泡を含んだ水とは、上述したファインバブルの中でもウルトラファインバブルを主体的に多く含んだ水を意味する。ウルトラファインバブルは、長時間、水中に滞留することができるとともに、その小ささから繊維の隙間の奥にまで入り込みやすい性質を有する。
【0023】
微細気泡発生装置40は、水などの液体が微細気泡発生装置40の内部を、図6に白抜き矢印で示す方向へ向かって通過する際に、ベンチュリ管の原理を利用してその液体の圧力を急激に減圧することで、その液体中に溶存している気体例えば空気を析出させて微細気泡を発生させるものである。本実施形態の微細気泡発生装置40は、特にウルトラファインバブルを多量に含む微細気泡を発生させることができる。
【0024】
図3図6に示すように、微細気泡発生装置40は、全体としてフランジを有する円筒形状に形成されている。図3図7にも示すように、微細気泡発生装置40は、例えば樹脂製であって、流路部材50,60と、衝突部70と、を備えている。図6に示すように、流路部材50,60は、それぞれ液体が通過可能な流路41,42を有している。流路41,42は、相互に接続されて連続する1本の流路を構成する。
【0025】
流路41,42を連続する1本の流路と見た場合、衝突部70は、その連続する流路41,42の内部に設けられている。衝突部70は、流路41,42の断面積を局所的に縮小することで、流路41,42を通過する液体中に微細気泡を発生させる。本開示においては、微細気泡発生装置40は、2つに分割されて別体に構成された流路部材50,60を組み合わせて構成されている。以下、流路部材50,60のうち、上流側の流路部材50を上流側流路部材50と称し、下流側の流路部材60を下流側流路部材60と称する。そして、2本の流路41,42のうち、上流側の流路41を上流側流路41と称し、下流側の流路42を下流側流路42と称する。
【0026】
図4図6に示すように、上流側流路部材50は、フランジ部51、中間部52、挿入部53を有している。フランジ部51は、上流側流路部材50における上流側部分を構成している。中間部52は、フランジ部51と挿入部53との間を接続する部分である。中間部52の外径寸法は、フランジ部51の外径寸法よりも小さい。挿入部53は、上流側流路部材50における下流側部分を構成している。挿入部53の外径寸法は、中間部52の外径寸法よりも小さい。
【0027】
図6に示すように、上流側流路部材50は、内部に上流側流路41を有している。上流側流路41は、絞り部411とストレート部412とを含んでいる。絞り部411は、上流側流路41の入口部分から下流側つまり衝突部70側へ向かって内径が縮小する形状に形成されている。即ち、絞り部411は、上流側流路41の断面積つまり液体の通過可能な面積が上流側から下流側へ向かって連続的に徐々に減少するような、いわゆる円錐形のテーパ管状に形成されている。ストレート部412は、絞り部411の下流側に設けられている。ストレート部412は、内径が変化しない形状、即ち、流路の断面積つまり液体の通過可能な面積が変化しない円筒形、いわゆるストレート管状に形成されている。
【0028】
衝突部70は、上流側流路部材50と一体に形成されている。この場合、衝突部70は、上流側流路部材50の下流側端部に設けられている。図6および図7に示すように、衝突部70は、複数の突出部71、この場合、4本の突出部71によって構成されている。複数の突出部71は、流路41の断面の周方向に向かって相互に等間隔に離間した状態で配置されている。なお、以下の説明において、流路41の断面とした場合には、流路41などの内部を流れる液体の流れ方向に対して直角方向に切断した場合の断面、即ち、図6のX7-X7線方向に切断した断面を意味するものとする。また、流路41の周方向とした場合には、流路41などの断面の中心に対する円周方向を意味するものとする。
【0029】
複数、この場合、4本の突出部71は、それぞれ、上流側流路部材50の内周面から、流路41の径方向の中心へ向かって突出した棒状または板状に形成されている。本実施形態では、複数の突出部71は、流路41の径方向の中心へ向かって先端部が尖った錐状で、且つ、付け根部分が半円柱形の棒状に形成されている。複数の突出部71は、錐状の先端部を相互に所定間隔だけ離間した状態で突き合わせて配置されている。これにより、微細気泡発生装置40における流路41,42の最小面積部分は、全体として十字形またはX字形のスリット状に形成されていて、このスリット部分の断面積を適宜設定することにより、生成する微細気泡の発生量を所望の量とすることができ、また、生成する微細気泡水を所望の流量や流速とすることができる。
【0030】
上流側流路41の下流側の端部は、衝突部70を構成する複数の突出部71の間、つまり、十字形またはX字形のスリットを通して、上流側流路41の外部に連通されている。また、衝突部70の下流側の端面、つまり、上流側流路部材50の下流側の端面54は、図4および図6に示すように、全体として平坦に構成されている。
【0031】
図3図5に示すように、下流側流路部材60は、全体として円筒形状に形成されており、図6などに示すように、内部に下流側流路42を有している。また、図6に示すように、下流側流路部材60の外径寸法は、中間部52の外径寸法にほぼ等しい。そして、図6および図7に示すように、下流側流路部材60は、内部に被挿入部61および変形部62を有している。
【0032】
図6に示すように、被挿入部61は、下流側流路部材60内において下流側流路42の上流側に設けられている。被挿入部61は、円筒形状に形成されている。図6などに示すように、被挿入部61の内径寸法は、上流側流路部材50の挿入部53の外径寸法よりも僅かに大きい。そのため、上流側流路部材50の挿入部53は、下流側流路部材60の被挿入部61内に挿入可能となっている。
【0033】
図5および図7に示すように、変形部62は、被挿入部61の内側面から下流側流路部材60の径方向の中心へ向かって突出するように設けられている。この場合、変形部62は、下流側流路42の流れ方向つまり下流側流路部材60の長手方向に沿って延びる細長い棒状、いわゆるリブ形状に構成されている。また、下流側流路部材60は、複数、この場合、4つの変形部62を有している。図7に示すように、変形部62は、被挿入部61の内周面の周方向に沿って等間隔に配置されている。
【0034】
図7に示すように、上流側流路部材50の挿入部53が、下流側流路部材60の被挿入部61内に挿入されると、変形部62は、被挿入部61の外周面に押し潰されて変形する。このため、挿入部53の周囲は、変形部62によって押圧される。これにより、上流側流路部材50と下流側流路部材60とは、挿入部53と被挿入部61とが相互に圧迫された状態で接続される。
【0035】
被挿入部61は、上流側から下流側へ向かって内径寸法が連続的に徐々に減少するような、いわゆる円錐形のテーパ管状に形成されている。即ち、被挿入部61における上流側の端部の内径寸法は、被挿入部61における下流側の端部の内径寸法よりも大きく、かつ、挿入部53の外径寸法よりも大きい。そして、複数の変形部62は、テーパ管状の被挿入部61の内側面に沿って、上流側から下流側へ向かって変形部62の距離が縮まるように傾斜させて配置されている。
【0036】
この場合、被挿入部61の入口側つまり上流側の端部の内径寸法は、挿入部53の外径寸法よりも大きいことから、挿入部53を被挿入部61内に挿入し易い。そして、挿入部53を被挿入部61内に押し込むと、挿入部53の外側面が、傾斜した変形部62に沿って移動するため、挿入部53の中心と被挿入部61の中心とが一致し易くなる。即ち、この場合、上流側流路41の径方向の中心と下流側流路42の径方向の中心とが一致し易くなる。これらの結果、挿入部53を被挿入部61に挿入する際の作業が容易になる。なお、変形部62に換えて、変形部62と同様の構成を挿入部53の外周部に設けてもよい。これによっても、変形部62と同様の作用効果が得られる。
【0037】
以上のように構成される微細気泡発生装置40は、さらに、その生成する微細気泡水の流量を、当該微細気泡発生装置40が設けられる給水経路に適した流量にするように構成されている。
【0038】
即ち、微細気泡発生装置40は、その内部を通過する水の水圧を水道水の水圧の少なくとも80パーセント以上の水圧にすることにより、生成する微細気泡水の流量を、当該微細気泡発生装置40が設けられる給水経路に適した流量にするように構成されている。具体的には、図8に例示するように、微細気泡発生装置40は、水が通過する流路の断面積、この場合、微細気泡発生装置40における流路41,42の最小面積部分である複数の突出部71により形成されるスリット状の部分の断面積を調整することにより、生成する微細気泡水の流量を、当該微細気泡発生装置40が設けられる給水経路に適した流量にするように構成されている。
【0039】
即ち、本出願人が従来から用いる微細気泡発生装置によれば、複数の突出部により形成されるスリット状の部分の断面積は、その径寸法L1aが概ね4mm、対向する2つの突出部の先端部間の寸法L2aが概ね0.7mm、隣接する2つの突出部が離間する間隔L3aが概ね0.5mm、となっている。
【0040】
これに対して、本開示に係る微細気泡発生装置40によれば、複数の突出部71により形成されるスリット状の部分の断面積は、その径寸法L1bが概ね6mm、対向する2つの突出部71の先端部間の寸法L2bが概ね1.1mm、隣接する2つの突出部71が離間する間隔L3bが概ね0.7mm、となっている。
【0041】
つまり、本開示に係る微細気泡発生装置40における最小面積部分の断面積は、本出願人が従来から用いる微細気泡発生装置における最小面積部分の断面積の概ね1.5倍程度の断面積となっている。また、本開示に係る微細気泡発生装置40における最小面積部分の形状は、本出願人が従来から用いる微細気泡発生装置における最小面積部分の形状と殆どあるいは完全に相似する形状となっている。
【0042】
なお、図8に例示する微細気泡発生装置40の流路の断面積は、当該微細気泡発生装置40が洗濯機10Aの洗剤側給水経路100、あるいは、洗濯機10Bの洗剤側サブ給水経路300に設けられた場合に、生成される微細気泡水の流量が、洗剤側給水経路100あるいは洗剤側サブ給水経路300に適した流量になる断面積となっている。そのため、微細気泡発生装置40を、例えば、柔軟剤側給水経路200、柔軟剤側給水経路500などの他の給水経路に設ける場合には、当該微細気泡発生装置40の流路の断面積を、その給水経路に適した流量で微細気泡水が生成されるように調整するとよい。
【0043】
以上のように構成される微細気泡発生装置40が給水経路の途中に設けられている場合、その給水経路を通る水は、微細気泡発生装置40によって、微細気泡を多量に含んだ微細気泡水となって供給される。
【0044】
ここで、洗剤の主成分である陰イオン(アニオン)界面活性剤および微細気泡水中の微細気泡は、それぞれ個別でも汚れを落とす洗浄能力を有している。しかし、例えば、微細気泡水に洗剤を溶解させるなどして濃縮洗剤水に微細気泡水を付与すると、疎水相互作用と称される分子間に働く引力的相互作用によって洗剤中の界面活性剤と微細気泡が吸着し、これにより、界面活性剤の凝集つまりミセルがほぐれて水中に分散し易くなる。その結果、界面活性剤が汚れと短時間で反応し易い状態となって洗浄能力が向上する。
【0045】
即ち、微細気泡水に洗剤を溶解させて洗濯液を生成することで、洗剤中の界面活性剤と微細気泡水中の微細気泡との相互作用が働き、その結果、水道水に洗剤を溶かしただけの単なる洗濯液または単なる微細気泡水と比べて、洗浄能力を格段に高めることができる。また、汚れが乳化されて水中に分散し易くなるため、衣類に汚れが再付着することを防ぐ効果も期待できる。このような理由により、本実施形態の洗濯液は、通常の水道水に洗剤を溶かした洗濯液よりも洗浄能力が高いものとなっている。
【0046】
また、柔軟剤の主成分である陽イオン(カチオン)界面活性剤を微細気泡水に溶解させると、洗剤と同様に、疎水相互作用によって溶液中の界面活性剤と微細気泡が吸着し、これにより、界面活性剤の凝集つまりミセルがほぐれて水中に分散し易くなる。その結果、界面活性剤が洗濯物に短時間で効率良く付着し易い状態となって柔軟効果が向上する。即ち、微細気泡水に柔軟剤を溶解させることで、柔軟剤中の界面活性剤と微細気泡水中の微細気泡との相互作用が働き、その結果、水道水に柔軟剤を溶かしただけのものと比べて、洗濯物に柔軟効果を高めて仕上げることができるとともに香り付けも効果的に行えるなど、柔軟剤の効果を格段に高めることができる。
【0047】
また、以上のように流路の断面積が調整されている微細気泡発生装置40が給水経路の途中に設けられている場合、微細気泡発生装置40の内部を通過する水の水圧を、水道水の水圧の少なくとも80パーセント以上の水圧にすることができる。換言すれば、本開示に係る微細気泡発生装置40は、その内部を通過する水の水圧が水道水の水圧の少なくとも80パーセント以上の水圧となるように、流路の断面積が調整されている。そのため、本出願人が従来から用いる微細気泡発生装置に比べ、微細気泡発生装置40の内部を水が通過する際の流速や流量の低下を抑えることができる。
【0048】
また、以上のように流路の断面積が調整されている微細気泡発生装置40が給水経路の途中に設けられている場合、微細気泡発生装置40が設けられている給水経路を介して供給される微細気泡水の流量を、その給水経路に適した流量に調整することができる。換言すれば、本開示に係る微細気泡発生装置40は、当該微細気泡発生装置40が設けられている給水経路を介して供給される微細気泡水の流量が、その給水経路に適した流量となるように、流路の断面積が調整されている。そのため、給水経路に微細気泡発生装置40を設けたとしても、その給水経路における流速や流量の低下を抑えて、その給水経路に適した流量を実現することができる。なお、給水経路に適した流量は、適宜変更して設定することができ、例えば、微細気泡発生装置40が備えられる給水経路の種類、要求される微細気泡水の必要量、要求される給水時間、水槽13の容量などの種々の要因に応じて最適な流量を設定するとよい。
【0049】
そして、本開示にかかる微細気泡発生装置40によれば、本出願人が従来から用いる微細気泡発生装置に比べ、流路の断面積が拡大されている。そのため、当該微細気泡発生装置40が設けられている給水経路を介した給水時において、供給される水の流速や流量が低下してしまうことを、少なくとも従来の微細気泡発生装置よりも抑制することができる。よって、水槽13内に微細気泡水を供給する場合に、その給水動作の所要時間が増大してしまうことを極力抑制することができる。
【0050】
なお、上述した通り、本開示にかかる微細気泡発生装置40によれば、本出願人が従来から用いる微細気泡発生装置に比べ、流路の断面積が拡大されている。そのため、内部を通過する水の圧縮が不足し、微細気泡の発生効率の低下が懸念される。そのため、微細気泡発生装置40を給水経路に設けた場合には、微細気泡水を供給する時間を従来よりも長くすることによって、微細気泡の発生効率の低下を補うようにするとよい。また、本開示にかかる微細気泡発生装置40によれば、従来必要であった給水形態、つまり、微細気泡発生装置を通さずに水道水を給水する給水形態の併用を不要化することができ、構成の簡素化を図ることができる。また、微細気泡水のみの給水を可能にすることで、微細気泡水が水道水で薄まることを抑制することができる。そのため、それによっても、微細気泡あるいは微細気泡水の発生効率の低下分を補うことができる。そして、これにより、従来と同程度の濃度の微細気泡水を供給することができる。
【0051】
次に、上述した微細気泡発生装置40を洗濯機10Aあるいは洗濯機10Bの給水経路に備える場合の複数の実施形態について順に説明する。
【0052】
(第1実施形態)
図9に例示する構成例は、2つの給水経路100,200を備える洗濯機10Aにおける注水装置20の構成例を示している。この場合、洗濯機10Aは、洗剤側給水経路100の途中部分に微細気泡発生装置40を備えている。また、洗濯機10Aは、柔軟剤側給水経路200の途中部分に流量を例えば3~5L/分に絞るための調節器25を備えており、柔軟剤収容部33からの水溢れを未然に防止するようになっている。この場合、微細気泡発生装置40は、洗剤側給水経路100において洗剤側給水弁23よりも下流側の部分に設けられている。また、調節器25は、柔軟剤側給水経路200において柔軟剤側給水弁24よりも下流側に設けられている。なお、洗剤側給水経路100の微細気泡発生装置40は、その流路の断面積が、洗剤側給水経路100に適した流量(本開示では水道水圧の例えば80%となる流量)で微細気泡水が生成されるように調整されている。
【0053】
第1実施形態によれば、洗剤側給水経路100の途中部分に微細気泡発生装置40を備えているから、洗剤側給水経路100を介して供給される微細気泡水の流量を、洗剤側給水経路100に適した流量にすることができる。よって、洗剤側給水経路100を介して水槽13内に微細気泡水を供給する場合に、その給水動作の所要時間の増大を抑制することができる。
【0054】
(第2実施形態)
図10に例示する構成例も、2つの給水経路100,200を備える洗濯機10Aにおける注水装置20の構成例を示している。この場合、洗濯機10Aは、洗剤側給水経路100の途中部分に微細気泡発生装置40を備え、柔軟剤側給水経路200の途中部分にも微細気泡発生装置40を備えている。この場合、微細気泡発生装置40は、洗剤側給水経路100において洗剤側給水弁23よりも下流側の部分に設けられており、また、柔軟剤側給水経路200において柔軟剤側給水弁24よりも下流側に設けられている。なお、洗剤側給水経路100の微細気泡発生装置40は、その流路の断面積が、洗剤側給水経路100に適した流量(本開示では水道水圧の例えば80%となる流量)で微細気泡水が生成されるように調整されている。また、柔軟剤側給水経路200の微細気泡発生装置40は、その流路の断面積が、柔軟剤側給水経路200に適した流量(本開示では例えば3~5L/分)で微細気泡水が生成されるように調整されている。
【0055】
第2実施形態によれば、洗剤側給水経路100の途中部分に微細気泡発生装置40を備えているから、洗剤側給水経路100を介して供給される微細気泡水の流量を、洗剤側給水経路100に適した流量にすることができる。よって、洗剤側給水経路100を介して水槽13内に微細気泡水を供給する場合に、その給水動作の所要時間の増大を抑制することができる。また、柔軟剤側給水経路200の途中部分に微細気泡発生装置40を備えているから、柔軟剤側給水経路200を介して供給される微細気泡水の流量を、柔軟剤側給水経路200に適した流量にすることができる。よって、柔軟剤側給水経路200を介して水槽13内に微細気泡水を供給する場合に、その給水動作の所要時間の増大を抑制することができる。
【0056】
また、柔軟剤側給水経路200においては、当該柔軟剤側給水経路200を介する水の流れを微細気泡発生装置40により絞ることができる。よって、この微細気泡発生装置40を調節器25の代わりとして機能させることで調節器25を不要とすることができる。即ち、調節器25を用いなくとも、柔軟剤収容部33からの水溢れを従来の節水コマと同様に防止することができる。また、柔軟剤側給水経路200に備えられる微細気泡発生装置40の流路の断面積を、洗剤側給水経路100の微細気泡発生装置40の流路の断面積よりも絞るように調整することで、柔軟剤側給水経路200側における微細気泡の発生量を増大でき、柔軟剤中の界面活性剤の凝集つまりミセルを一層ほぐして水中に分散し易くすることができる。
【0057】
(第3実施形態)
図11に例示する構成例も、2つの給水経路100,200を備える洗濯機10Aにおける注水装置20の構成例を示している。この場合、洗濯機10Aは、接続口21の下流側に微細気泡発生装置40を備えている。また、洗濯機10Aは、洗剤側給水経路100の洗剤側給水弁23よりも上流側であって、且つ、柔軟剤側給水経路200の柔軟剤側給水弁24よりも上流側に微細気泡発生装置40を備えている。
【0058】
第3実施形態によれば、洗剤側給水経路100および柔軟剤側給水経路200の双方に、微細気泡発生装置40が生成する微細気泡水を供給することができる。そのため、水槽13内に供給される洗剤を微細気泡水との相乗効果により有効に活用することができ、また、水槽13内に供給される柔軟剤を微細気泡水との相乗効果により有効に活用することができる。また、1つの微細気泡発生装置40により洗剤側給水経路100および柔軟剤側給水経路200を介して水槽13内に微細気泡水を供給することができ、複数の微細気泡発生装置40を備える構成に比べ、部品点数の増加や構造の複雑化を抑制することができる。
【0059】
(第4実施形態)
図12に例示する構成例も、2つの給水経路100,200を備える洗濯機10Aにおける注水装置20の構成例を示している。この場合、洗濯機10Aは、接続口21の下流側に微細気泡発生装置40を備えている。また、洗濯機10Aは、洗剤側給水経路100の洗剤側給水弁23よりも上流側であって、且つ、柔軟剤側給水経路200の柔軟剤側給水弁24よりも上流側に微細気泡発生装置40を備えている。また、洗濯機10Aは、柔軟剤側給水経路200において、前記図11の調節器25に代えて微細気泡発生装置40を備えている。
【0060】
第4実施形態によっても、洗剤側給水経路100および柔軟剤側給水経路200の双方に、微細気泡発生装置40が生成する微細気泡水を供給することができ、水槽13内に供給される洗剤や柔軟剤を微細気泡水との相乗効果により有効に活用することができる。また、微細気泡発生装置40の流路の断面積を例えば3~5L/分程度の流速を実現する大きさに絞るように設定することで、当該微細気泡発生装置40を調節器25の代わりとして機能させることができ、調節器25を不要とすることができる。さらに、柔軟剤側給水経路200においては、複数、この場合、2つの微細気泡発生装置40が直列に接続された構成を実現することができる。これにより、柔軟剤側給水経路200における微細気泡の発生量を一層増大させることができ、柔軟剤中の界面活性剤の凝集つまりミセルを一層効果的にほぐして水中に分散し易くすることができる。
【0061】
(第5実施形態)
図13に例示する構成例は、3つの給水経路300,400,500を備える洗濯機10Bにおける注水装置20の構成例を示している。この場合、洗濯機10Bは、洗剤側サブ給水経路300の途中部分に微細気泡発生装置40を備え、柔軟剤側給水経路500の途中部分にも微細気泡発生装置40を備えている。この場合、微細気泡発生装置40は、洗剤側サブ給水経路300において洗剤側給水弁23よりも下流側の部分に設けられており、また、柔軟剤側給水経路500において柔軟剤側給水弁24よりも下流側に設けられている。
【0062】
なお、洗剤側サブ給水経路300の微細気泡発生装置40は、その流路の断面積が、洗剤側サブ給水経路300に適した流量(本開示では水道水圧の例えば80%の流量)で微細気泡水が生成されるように調整されている。また、柔軟剤側給水経路500の微細気泡発生装置40は、その流路の断面積が、柔軟剤側給水経路500に適した流量(本開示では例えば3~5L/分)で微細気泡水が生成されるように調整されている。また、洗濯機10Bは、洗剤側メイン給水経路400には微細気泡発生装置40を備えていない。
【0063】
以上のように微細気泡発生装置40を備えた洗濯機10Bは、図14に例示するように、例えば、すすぎ行程における最終のすすぎ給水時などの給水動作において、柔軟剤側給水経路500による水槽13内への給水を行う場合には、洗剤側サブ給水経路300による水槽13内への給水を停止するように構成されている。また、洗濯機10Bは、洗剤側サブ給水経路300による水槽13内への給水を行う場合には、柔軟剤側給水経路500による水槽13内への給水を停止するように構成されている。なお、この場合、洗濯機10Bは、洗剤側サブ給水経路300による水槽13内への給水が行われているか否か、および、柔軟剤側給水経路500による水槽13内への給水が行われているか否か、に関わらず、洗剤側メイン給水経路400による水槽13内への給水を停止するように構成されている。
【0064】
第5実施形態によれば、柔軟剤側給水経路500による水槽13内への給水を行う場合には洗剤側サブ給水経路300による水槽13内への給水を停止し、洗剤側サブ給水経路300による水槽13内への給水を行う場合には柔軟剤側給水経路500による水槽13内への給水を停止する。つまり、微細気泡発生装置40を備える複数の給水経路を介した給水が同時に行われないようにしたので、それぞれの給水経路において微細気泡発生装置40を通過する水の圧力が低下してしまうことを抑制することができ、微細気泡の発生効率の低下を回避することができる。
【0065】
(第6実施形態)
この実施形態は、給水時における動作内容が上述の第5実施形態と異なる。即ち、図15に例示するように、洗濯機10Bは、例えば、すすぎ行程における最終のすすぎ給水時などの給水動作において、柔軟剤側給水経路500による水槽13内への給水を終了すると、洗剤側メイン給水経路400による水槽13内への給水を開始する。
【0066】
洗剤側メイン給水経路400には、微細気泡発生装置40が備えられていない。そのため、洗剤側メイン給水経路400を介する給水は、微細気泡発生装置40を備える洗剤側サブ給水経路300や柔軟剤側給水経路500を介する給水に比べ、その流量や流速が高くなっている。そのため、柔軟剤側給水経路500による水槽13内への給水によって水槽13内に柔軟剤が供給された後に、洗剤側メイン給水経路400を介する給水を行うことによって、水槽13内の水位を、より早く設定水位に到達させることができ、給水時間延いては洗濯所要時間の短縮を図ることができる。
【0067】
(第7実施形態)
この実施形態も、給水時における動作内容が上述の第5実施形態および第6実施形態と異なる。即ち、図16に例示するように、洗濯機10Bは、例えば、すすぎ行程における最終のすすぎ給水時などの給水動作において、柔軟剤側給水経路500による水槽13内への給水時に、洗剤側サブ給水経路300による水槽13内への給水も行う。なお、この場合も、洗濯機10Bは、洗剤側サブ給水経路300による水槽13内への給水が行われているか否か、および、柔軟剤側給水経路500による水槽13内への給水が行われているか否か、に関わらず、洗剤側メイン給水経路400による水槽13内への給水を停止するように構成されている。
【0068】
第7実施形態によれば、洗剤側サブ給水経路300および柔軟剤側給水経路500の双方を介して同時に水槽13内に水を供給することができる。そのため、水槽13内の水位を、より早く設定水位に到達させることができ、給水時間の短縮を図ることができる。また、必要な量の微細気泡水を水槽13内に一層早く供給することができる。
【0069】
(第8実施形態)
この実施形態も、給水時における動作内容が上述の第5実施形態および第6実施形態と異なる。即ち、図17に例示するように、洗濯機10Bは、例えば、すすぎ行程における最終のすすぎ給水時などの給水動作の全体にわたって、洗剤側サブ給水経路300による水槽13内への給水および柔軟剤側給水経路500による水槽13内への給水を継続する。なお、洗濯機10Bは、洗剤側メイン給水経路400による水槽13内への給水は停止するようになっている。
【0070】
第9実施形態によれば、給水時の全体にわたって複数、この場合、2つの給水経路300,500を介した給水を同時に行う。そのため、水槽13内の水位を、より早く設定水位に到達させることができ、給水時間の短縮を図ることができる。また、必要な量の微細気泡水を水槽13内に一層早く供給することができる。
【0071】
なお、洗濯機10Bは、全ての給水経路300,400,500を介した給水を給水動作の全体にわたって継続するようにしてもよい。これにより、給水時間の一層の短縮を図ることができ、また、必要な量の微細気泡水を水槽13内に一層早く供給することができる。
【0072】
(第9実施形態)
図18に例示する構成例は、3つの給水経路300,400,500を備える洗濯機10Bにおける注水装置20の構成例を示している。この場合、洗濯機10Bは、洗剤側サブ給水経路300の途中部分に微細気泡発生装置40を備え、洗剤側メイン給水経路400の途中部分に微細気泡発生装置40を備え、柔軟剤側給水経路500の途中部分にも微細気泡発生装置40を備えている。つまり、洗濯機10Bは、複数の給水経路300,400,500の全てに微細気泡発生装置40を備えている。
【0073】
第9実施形態によれば、何れの給水経路300,400,500を介した給水によっても、水槽13内に微細気泡水を供給することができる。そのため、給水時間の一層の短縮を図ることができ、また、必要な量の微細気泡水を水槽13内に一層早く供給することができる。また、複数の給水経路300,400,500から同時に給水を行うことによって、給水時間の一層の短縮を図ることができ、また、必要な量の微細気泡水を水槽13内に一層早く供給することができる。
【0074】
(その他の実施形態)
本実施形態は、上述した複数の実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々の変更や拡張を行うことができる。例えば、上述した複数の実施形態を適宜組み合わせて実施してもよい。また、洗濯機が備える給水経路の数は、適宜変更して実施することができる。また、複数の給水経路のうちどの給水経路に微細気泡発生装置40を設けるのかは、適宜変更して実施することができる。また、微細気泡発生装置40の流路の断面積は、本出願人が従来から用いる微細気泡発生装置の流路の断面積と殆どあるいは完全に相似する形状に限られるものではない。つまり、微細気泡発生装置40の流路の断面積は、本出願人が従来から用いる微細気泡発生装置の流路の全体を拡大あるいは縮小したものに限らず、例えば、その一部を拡大あるいは縮小したものであってもよい。また、微細気泡発生装置40の流路の断面積は、本出願人が従来から用いる微細気泡発生装置の流路の断面積ではなく、その他の微細気泡発生装置の流路の断面積を基準として、その全部あるいは一部を拡大あるいは縮小したものであってもよい。また、微細気泡発生装置が備える突出部の数は、4本に限られるものではなく、適宜変更して実施することができる。
【0075】
以上、本発明の複数の実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0076】
図面中、10A,10Bは洗濯機、13は水槽、23は洗剤側給水弁(給水弁)、24は柔軟剤側給水弁(給水弁)、40は微細気泡発生装置、100は洗剤側給水経路(給水経路)、200は柔軟剤側給水経路(給水経路)、300は洗剤サブ側給水経路(給水経路、洗剤側給水経路)、400は洗剤メイン側給水経路(給水経路、洗剤側給水経路)、500は柔軟剤側給水経路(給水経路)を示す。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18