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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-01-16
(45)【発行日】2023-01-24
(54)【発明の名称】診断装置及び診断方法
(51)【国際特許分類】
   G01R 31/64 20200101AFI20230117BHJP
   H01M 10/48 20060101ALI20230117BHJP
   H02J 7/00 20060101ALI20230117BHJP
   H02J 7/02 20160101ALI20230117BHJP
【FI】
G01R31/64
H01M10/48 P
H02J7/00 Q
H02J7/02 H
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2019016395
(22)【出願日】2019-01-31
(65)【公開番号】P2019184577
(43)【公開日】2019-10-24
【審査請求日】2021-10-20
(31)【優先権主張番号】P 2018071107
(32)【優先日】2018-04-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000004765
【氏名又は名称】マレリ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【弁護士】
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100169823
【弁理士】
【氏名又は名称】吉澤 雄郎
(72)【発明者】
【氏名】島▲崎▼ 正直
(72)【発明者】
【氏名】菊地 義行
(72)【発明者】
【氏名】田中 順也
【審査官】島▲崎▼ 純一
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-072711(JP,A)
【文献】特開2002-281681(JP,A)
【文献】特開2008-089323(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01R 31/36
G01R 31/50
H01M 10/48
H02J 7/00
H02J 7/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
直列接続された複数の第1電池の各第1電池に並列に接続可能なキャパシタと、
前記複数の第1電池と前記キャパシタとの接続状態を切り替える複数の第1スイッチと、
ADコンバータを有し、前記キャパシタの両端子間の電位差を検出する検出回路と、
前記キャパシタと前記検出回路との接続状態を切り替える第2スイッチと、
前記第1スイッチの前記第1電池に接続されていない側の端子と、前記検出回路とを、前記第2スイッチをバイパスして接続可能な第3スイッチと、
前記第1電池とは異なる第2電池と前記キャパシタとの接続状態を切り替える切替スイッチと、
前記第1スイッチ、前記第2スイッチ、前記第3スイッチ及び前記切替スイッチを制御する制御部と、を備え、
前記制御部は、
前記第2スイッチをオフにし、且つ、前記第3スイッチをオンにした状態で、前記第1スイッチをオン又はオフしたときの前記検出回路の検出結果に基づいて、前記第1スイッチを診断し、
前記第1スイッチの診断の後に前記第3スイッチをオフし、前記第2スイッチをオフからオンにし、前記切替スイッチをオンして前記第2電池から前記キャパシタに電圧を印加した後に、前記検出回路の検出結果に基づいて、前記キャパシタ及び前記第2スイッチを診断する、診断装置。
【請求項2】
直列接続された複数の第1電池の各第1電池に並列に接続可能なキャパシタと、
前記複数の第1電池と前記キャパシタとの接続状態を切り替える複数の第1スイッチと、
前記キャパシタの両端子間の電位差を検出する第1検出回路と、
前記キャパシタと前記第1検出回路との接続状態を切り替える第2スイッチと、
前記第1スイッチの前記第1電池に接続されていない側の端子の電圧を、前記第2スイッチをバイパスして検出可能な第2検出回路と、
前記第1スイッチと前記第2検出回路との接続状態を切り替える第3スイッチと、
前記第1電池とは異なる第2電池と前記キャパシタとの接続状態を切り替える切替スイッチと、
前記第1スイッチ、前記第2スイッチ、前記第3スイッチ及び前記切替スイッチを制御する制御部と、を備え、
前記制御部は、
前記第2スイッチをオフにし、且つ、前記第3スイッチをオンにした状態で、前記第1スイッチをオン又はオフしたときの前記第2検出回路の検出結果に基づいて、前記第1スイッチを診断し、
前記第1スイッチの診断の後に前記第3スイッチをオフし、前記第2スイッチをオフからオンにし、前記切替スイッチをオンして前記第2電池から前記キャパシタに電圧を印加した後に、前記第1検出回路の検出結果に基づいて、前記キャパシタ及び前記第2スイッチを診断する、診断装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の診断装置において、
前記制御部は、前記第1スイッチのショート故障を検出した場合、前記第2スイッチをオフにした状態を維持し、前記キャパシタ及び前記第2スイッチの診断を中止する、診断装置。
【請求項4】
請求項1に記載の診断装置において、
前記検出回路は、前記ADコンバータに出力する増幅回路を有し、前記増幅回路への入力に基づいて前記キャパシタの両端子間の電位差を検出し、
前記第3スイッチは、前記第1スイッチの前記第1電池に接続されていない側の端子と前記ADコンバータとを、前記増幅回路をバイパスして接続可能であり、
前記制御部は、前記第2スイッチをオフにし、且つ、前記第3スイッチをオンにした状態で、前記第1スイッチをオン又はオフしたときの前記ADコンバータの検出結果に基づいて、前記第1スイッチを診断する、診断装置。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか一項に記載の診断装置において、
前記第2電池から定電圧を生成して、前記切替スイッチを介して前記キャパシタに定電圧を出力可能な定電圧回路をさらに備えた、診断装置。
【請求項6】
請求項5に記載の診断装置において、
前記定電圧は、直列接続された複数の前記第1電池が供給可能な最大電圧より小さい、診断装置。
【請求項7】
請求項5又は6に記載の診断装置において、
前記定電圧は、前記第1電池が供給可能な最大電圧より大きい、診断装置。
【請求項8】
請求項1から7のいずれか一項に記載の診断装置において、
前記第1電池は、リチウムイオン電池又はニッケル水素電池である、診断装置。
【請求項9】
請求項1から8のいずれか一項に記載の診断装置において、
前記第2電池は、鉛蓄電池又はリチウムイオン電池又はニッケル水素電池である、診断装置。
【請求項10】
直列接続された複数の第1電池の各第1電池に並列に接続可能なキャパシタと、前記複数の第1電池と前記キャパシタとの接続状態を切り替える複数の第1スイッチと、ADコンバータを有し、前記キャパシタの両端子間の電位差を検出する検出回路と、前記キャパシタと前記検出回路との接続状態を切り替える第2スイッチと、前記第1スイッチの前記第1電池に接続されていない側の端子と、前記検出回路とを前記第2スイッチをバイパスして接続可能な第3スイッチと、前記第1電池とは異なる第2電池と前記キャパシタとの接続状態を切り替える切替スイッチと、を備える診断装置における診断方法であって、
前記第2スイッチをオフにし、且つ、前記第3スイッチをオンにした状態で、前記第1スイッチをオン又はオフしたときの前記検出回路の検出結果に基づいて、前記第1スイッチを診断するステップと、
前記第1スイッチの診断の後に前記第3スイッチをオフし、前記第2スイッチをオフからオンにし、前記切替スイッチをオンして前記第2電池から前記キャパシタに電圧を印加した後に、前記検出回路の検出結果に基づいて、前記キャパシタ及び前記第2スイッチを診断するステップと、を含む診断方法。
【請求項11】
直列接続された複数の第1電池の各第1電池に並列に接続可能なキャパシタと、前記複数の第1電池と前記キャパシタとの接続状態を切り替える複数の第1スイッチと、前記キャパシタの両端子間の電位差を検出する第1検出回路と、前記キャパシタと前記第1検出回路との接続状態を切り替える第2スイッチと、前記第1スイッチの前記第1電池に接続されていない側の端子の電圧を、前記第2スイッチをバイパスして検出可能な第2検出回路と、前記第1スイッチと前記第2検出回路との接続状態を切り替える第3スイッチと、前記第1電池とは異なる第2電池と前記キャパシタとの接続状態を切り替える切替スイッチと、を備える診断装置における診断方法であって、
前記第2スイッチをオフにし、且つ、前記第3スイッチをオンにした状態で、前記第1スイッチをオン又はオフしたときの前記第2検出回路の検出結果に基づいて、前記第1スイッチを診断するステップと、
前記第1スイッチの診断の後に前記第3スイッチをオフし、前記第2スイッチをオフからオンにし、前記切替スイッチをオンして前記第2電池から前記キャパシタに電圧を印加した後に、前記第1検出回路の検出結果に基づいて、前記キャパシタ及び前記第2スイッチを診断するステップと、を含む診断方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、診断装置及び診断方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電池の電圧をキャパシタに充電させた後、電池をキャパシタから切り離し、その状態でキャパシタの電圧を電圧検出回路によって検出することで、間接的に電池の電圧を測定するフライングキャパシタ方式の電池監視装置が知られている。
【0003】
上記のようなフライングキャパシタ方式の電池監視装置において、キャパシタと電圧検出回路との接続を切り替えるスイッチの故障診断を行うことが知られている。例えば、特許文献1では、キャパシタと電圧検出回路との接続を切り替えるスイッチにオフ指令をしているにも関わらず電圧検出回路が電圧を検出した場合は、スイッチがショート故障していると判断する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2014-182089号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
フライングキャパシタ方式の電池監視装置においては、キャパシタと電圧検出回路との接続を切り替えるスイッチの故障診断だけでなく、電池とキャパシタとの接続を切り替えるスイッチ、及び、キャパシタの故障診断もすることが望ましい。しかしながら、特許文献1においては、電池とキャパシタとの接続を切り替えるスイッチ、及び、キャパシタの故障診断について検討されていない。
【0006】
かかる観点に鑑みてなされた本発明の目的は、フライングキャパシタ方式を採用した構成において必要とされる故障診断を総合的に行うことができる診断装置及び診断方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、第1の観点に係る診断装置は、
直列接続された複数の第1電池の各第1電池に並列に接続可能なキャパシタと、
前記複数の第1電池と前記キャパシタとの接続状態を切り替える複数の第1スイッチと、
ADコンバータを有し、前記キャパシタの両端子間の電位差を検出する検出回路と、
前記キャパシタと前記検出回路との接続状態を切り替える第2スイッチと、
前記第1スイッチの前記第1電池に接続されていない側の端子と、前記検出回路又は他のADコンバータの一方とを、前記第2スイッチをバイパスして接続可能な第3スイッチと、
前記第1スイッチ、前記第2スイッチ及び前記第3スイッチを制御する制御部と、を備え、
前記制御部は、
前記第2スイッチをオフにし、且つ、前記第3スイッチをオンにした状態で、前記第1スイッチをオン又はオフしたときの前記検出回路又は前記他のADコンバータの一方の検出結果に基づいて、前記第1スイッチを診断し、
前記第1スイッチの診断の後に前記第3スイッチをオフし、前記第2スイッチをオフからオンにし、前記キャパシタ及び前記第2スイッチを診断する。
【0008】
上記課題を解決するために、第2の観点に係る診断方法は、
直列接続された複数の第1電池の各第1電池に並列に接続可能なキャパシタと、前記複数の第1電池と前記キャパシタとの接続状態を切り替える複数の第1スイッチと、ADコンバータを有し、前記キャパシタの両端子間の電位差を検出する検出回路と、前記キャパシタと前記検出回路との接続状態を切り替える第2スイッチと、前記第1スイッチの前記第1電池に接続されていない側の端子と前記検出回路又は他のADコンバータの一方とを前記第2スイッチをバイパスして接続可能な第3スイッチと、を備える診断装置における診断方法であって、
前記第2スイッチをオフにし、且つ、前記第3スイッチをオンにした状態で、前記第1スイッチをオン又はオフしたときの前記検出回路又は前記他のADコンバータの一方の検出結果に基づいて、前記第1スイッチを診断するステップと、
前記第1スイッチの診断の後に前記第3スイッチをオフし、前記第2スイッチをオフからオンにし、前記キャパシタ及び前記第2スイッチを診断するステップと、を含む。
【0009】
上記課題を解決するために、第3の観点に係る診断装置は、
直列接続された複数の第1電池の各第1電池に並列に接続可能なキャパシタと、
前記複数の第1電池と前記キャパシタとの接続状態を切り替える複数の第1スイッチと、
前記キャパシタの両端子間の電位差を検出する第1検出回路と、
前記キャパシタと前記第1検出回路との接続状態を切り替える第2スイッチと、
前記第1スイッチの前記第1電池に接続されていない側の端子の電圧を、前記第2スイッチをバイパスして検出可能な第2検出回路と、
前記第1スイッチと前記第2検出回路との接続状態を切り替える第3スイッチと、
前記第1スイッチ、前記第2スイッチ及び前記第3スイッチを制御する制御部と、を備え、
前記制御部は、
前記第2スイッチをオフにし、且つ、前記第3スイッチをオンにした状態で、前記第1スイッチをオン又はオフしたときの前記第2検出回路の検出結果に基づいて、前記第1スイッチを診断し、
前記第1スイッチの診断の後に前記第3スイッチをオフし、前記第2スイッチをオフからオンにし、前記第1検出回路の検出結果に基づいて、前記キャパシタ及び前記第2スイッチを診断する。
【発明の効果】
【0010】
第1の観点に係る診断装置によれば、フライングキャパシタ方式を採用した構成において必要とされる故障診断を総合的に行いうる。
【0011】
第2の観点に係る診断方法によれば、フライングキャパシタ方式を採用した構成において必要とされる故障診断を総合的に行いうる。
【0012】
第3の観点に係る診断装置によれば、フライングキャパシタ方式を採用した構成において必要とされる故障診断を総合的に行いうる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】一実施形態に係る診断装置の構成例を示すブロック図である。
図2図1の定電圧回路の構成の一例を示すブロック図である。
図3】一実施形態に係る診断装置による診断方法の手順の一例を示すフローチャートである。
図4】診断1-1を説明するためのブロック図である。
図5】診断1-2を説明するためのブロック図である。
図6】診断1-2のタイミングチャートを示す図である。
図7】診断2を説明するためのブロック図である。
図8】診断2のタイミングチャートを示す図である。
図9】診断3-1を説明するためのブロック図である。
図10】診断3-1のタイミングチャートを示す図である。
図11】診断3-2を説明するためのブロック図である。
図12】診断3-2のタイミングチャートを示す図である。
図13】診断3-3を説明するためのブロック図である。
図14】診断3-3のタイミングチャートを示す図である。
図15】診断3-4を説明するためのブロック図である。
図16】診断3-4のタイミングチャートを示す図である。
図17】診断3-5を説明するためのブロック図である。
図18】診断3-5のタイミングチャートを示す図である。
図19】診断3-6を説明するためのブロック図である。
図20】診断3-6のタイミングチャートを示す図である。
図21】診断3-7を説明するためのブロック図である。
図22】診断3-7のタイミングチャートを示す図である。
図23】診断4を説明するためのブロック図である。
図24】診断4のタイミングチャートを示す図である。
図25図3のステップS3及びステップS4の詳細な手順の一例を示すフローチャートである。
図26図3のステップS3及びステップS4の詳細な手順の一例を示すフローチャートである。
図27図3のステップS3及びステップS4の詳細な手順の一例を示すフローチャートである。
図28】変形例に係る診断装置の構成例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本開示の実施形態について、図面を参照して説明する。
【0015】
図1に示すように、一実施形態に係る診断装置100は、第1電池200A~200Eと接続する。診断装置100及び第1電池200A~200Eは、ガソリンエンジン若しくはディーゼルエンジン等の内燃機関を備えた車両、又は内燃機関と電動機との双方の動力で走行可能なハイブリッド車両等の車両に搭載されてよい。
【0016】
第1電池200A~200Eは、電池パックに含まれてよい。電池パックは、診断装置100を含んでよい。電池パックは、BMS(Battery Management System)を含んでよい。診断装置100は、BMSとして機能してもよいし、BMSに含まれてもよい。
【0017】
図1に示す例では、第1電池200A、第1電池200B、第1電池200C、第1電池200D及び第1電池200Eが直列に接続している。以後、第1電池200A~200Eについて、特に区別する必要がない場合は、第1電池200と総称する場合がある。
【0018】
図1に示す例では、5つの第1電池200が直列に接続されているが、第1電池200の個数はこれに限定されない。第1電池200は、任意の複数の個数が直列に接続されていてよい。
【0019】
第1電池200は、SOC(State Of Charge)のバンド幅が広い二次電池であってよい。第1電池200のSOCのバンド幅は、例えば10~90%であってよい。第1電池200は、例えば、リチウムイオン電池又はニッケル水素電池等であるが、これらに限られず、他の二次電池であってよい。
【0020】
診断装置100は、第1スイッチ1A~1Kと、第2スイッチ2A及び2Bと、第4スイッチ4と、キャパシタ10と、抵抗11と、検出回路20と、定電圧回路30と、キャパシタ電圧検出回路40と、サブ検出回路50と、制御部60と、記憶部70とを備える。
【0021】
キャパシタ10は、第1スイッチ1A~1Kを介して、第1電池200A~200Eに並列に接続しうる。キャパシタ10は、第1電池200から供給される電力によって充電しうる。検出回路20は、第1電池200によって充電されたキャパシタ10の両端子間の電位差を検出しうる。すなわち、キャパシタ10は、フライングキャパシタ方式の電圧測定におけるフライングキャパシタとして機能する。
【0022】
第1スイッチ1A~1Kは、制御部60からの指令に応じて、第1電池200とキャパシタ10との接続状態を切り替える。第1スイッチ1A~1Kは、オンに制御されると、その両端が導通する。第1スイッチ1A~1Kは、オフに制御されると、その両端が絶縁する。なお、図1においては、可読性を高めるため、制御部60から第1スイッチ1A~1Kへの制御線の記載を省略している。
【0023】
第1スイッチ1A、第1スイッチ1C、第1スイッチ1E、第1スイッチ1G及び第1スイッチ1Jは、それぞれ、第1電池200A、第1電池200B、第1電池200C、第1電池200D及び第1電池200Eの正極と、第1節点10Aとの接続状態を切り替える。第1節点10Aは、キャパシタ10の一端に接続される節点である。
【0024】
第1スイッチ1B、第1スイッチ1D、第1スイッチ1F、第1スイッチ1H及び第1スイッチ1Kは、それぞれ、第1電池200A、第1電池200B、第1電池200C、第1電池200D及び第1電池200Eの負極と、第2節点10Bとの接続状態を切り替える。第2節点10Bは、キャパシタ10の他端に接続される節点である。
【0025】
以後、第1スイッチ1A~1Kについて、特に区別する必要がない場合は、第1スイッチ1と総称する場合がある。第1スイッチ1は、可動部を有する機械的なスイッチであってよい。第1スイッチ1は、接点を有し、接点を開閉することによって、導通状態と絶縁状態とを切り替えるように構成されてよい。第1スイッチ1は、例えば、電磁式のリレーであってよい。
【0026】
第2スイッチ2A及び2Bは、制御部60からの指令に応じて、キャパシタ10と、検出回路20及びサブ検出回路50との接続状態を切り替える。第2スイッチ2A及び2Bは、オンに制御されると、その両端が導通する。第2スイッチ2A及び2Bは、オフに制御されると、その両端が絶縁する。なお、図1においては、可読性を高めるため、制御部60から第2スイッチ2A及び2Bへの制御線の記載を省略している。
【0027】
第2スイッチ2Aは、第1節点10Aと、検出回路20及びサブ検出回路50との接続状態を切り替える。第2スイッチ2Bは、第2節点10Bとグランドとの接続状態を切り替える。第2スイッチ2Aは、上側第2スイッチとも称する。第2スイッチ2Bは、下側第2スイッチとも称する。
【0028】
以後、第2スイッチ2A及び2Bについて、特に区別する必要がない場合は、第2スイッチ2と総称する場合がある。第2スイッチ2は、可動部を有する機械的なスイッチであってよい。第2スイッチ2は、接点を有し、接点を開閉することによって、導通状態と絶縁状態とを切り替えるように構成されてよい。第2スイッチ2は、例えば、電磁式のリレーであってよい。
【0029】
第4スイッチ4は、制御部60からの指令に応じて、第1節点10Aと抵抗11との接続状態を切り替える。第4スイッチ4は、オンに制御されると、その両端が導通する。第4スイッチ4は、オフに制御されると、その両端が絶縁する。第4スイッチ4は、可動部を有する機械的なスイッチであってよい。第4スイッチ4は、接点を有し、接点を開閉することによって、導通状態と絶縁状態とを切り替えるように構成されてよい。第4スイッチ4は、例えば、電磁式のリレーであってよい。なお、図1においては、可読性を高めるため、制御部60から第4スイッチ4への制御線の記載を省略している。
【0030】
抵抗11は、一端で第4スイッチ4と接続し、他端で接地されている。第4スイッチ4は、通常時は、オフとなるように制御されている。第4スイッチ4がオンすると、キャパシタ10は、抵抗11を介して放電する。すなわち、第4スイッチ4及び抵抗11は、キャパシタ10に充電されている電荷を放電するための放電回路を構成する。
【0031】
検出回路20は、第2スイッチ2がオンしている状態において、キャパシタ10の両端子間の電位差を検出しうる。検出回路20は、オペアンプ21と、ADコンバータ22とを備える。検出回路20は、オペアンプ21への入力に基づいて、キャパシタ10の両端子間の電位差を検出しうる。
【0032】
オペアンプ21は、負側の入力端子と出力端子とが接続されてボルテージフォロアを構成する。オペアンプ21を含んで構成されるボルテージフォロアは、バッファとして機能し、検出回路20に入力された電圧をADコンバータ22に出力する。
【0033】
なお、ADコンバータ22の前段にオペアンプ21で構成されるボルテージフォロアが配置されているのは一例であり、検出回路20の構成はこれに限定されない。ボルテージフォロアの代わりに、1倍とは異なる増幅率を有する増幅器がADコンバータ22の前段に配置されていてもよい。すなわち、増幅率が1倍のボルテージフォロア、又は、増幅率が1倍とは異なる増幅器など、任意の増幅率を有する増幅回路がADコンバータ22の前段に配置されていてよい。
【0034】
ADコンバータ22は、AD入力端子22Aを有する。ADコンバータ22は、オペアンプ21で構成されるボルテージフォロアからAD入力端子22Aに入力されたアナログ電圧を、当該アナログ電圧に応じたデジタル信号に変換して制御部60に出力する。
【0035】
ADコンバータ22は、さらにAD入力端子22B及び22Cを有する。AD入力端子22Bは、第1節点10Aに、第3スイッチ3A及び抵抗41を介して接続されている。また、AD入力端子22Bは、抵抗42を介して接地されている。AD入力端子22Cは、第2節点10Bに、第3スイッチ3B及び抵抗43を介して接続されている。また、AD入力端子22Cは、抵抗44を介して接地されている。
【0036】
ADコンバータ22は、AD入力端子22Bに入力されたアナログ電圧を、当該アナログ電圧に応じたデジタル信号に変換して制御部60に出力する。ADコンバータ22は、AD入力端子22Cに入力されたアナログ電圧を、当該アナログ電圧に応じたデジタル信号に変換して制御部60に出力する。
【0037】
定電圧回路30は、制御端子30A及び出力端子30Bを有する。定電圧回路30は、制御部60から制御端子30Aに入力される制御信号に応じて、出力端子30Bから定電圧を出力する。定電圧回路30は、キャパシタ10に定電圧を出力しうる。本実施形態においては、定電圧回路30は、制御部60から制御端子30Aに、ハイ信号を入力されると定電圧を出力し、ロー信号を入力されると定電圧の出力を停止するものとする。
【0038】
図2に、定電圧回路30の構成の一例を示す。定電圧回路30は、制御端子30A及び出力端子30Bに加えて、図1では図示を省略している電源端子30Cを有する。
【0039】
定電圧回路30は、電源端子30Cから電源電圧の供給を受ける。図2に示すように、定電圧回路30は、例えば、第2電池300から電圧変換回路400を介して電源端子30Cに電源電圧の供給を受ける。
【0040】
第2電池300は、第1電池200とは異なる電池である。第2電池300は、第1電池200よりもSOCのバンド幅が狭い二次電池であってよい。第2電池300は、例えば、鉛蓄電池であるが、これに限られず、他の二次電池であってよい。また、特に図示しないが、第2電池300は、第1電池200と並列に接続され、車両の補機類に電力を供給している。
【0041】
電圧変換回路400は、第2電池300から供給される電圧を変換して定電圧回路30の電源端子30Cに供給する。電圧変換回路400は、例えば、第2電池300から供給される12Vの電圧を5Vに降圧して、定電圧回路30の電源端子30Cに供給する。
【0042】
定電圧回路30は、図2に示すように、NPNトランジスタ31と、PNPトランジスタ32と、キャパシタ33と、抵抗34~38と、ダイオード39とを備える。
【0043】
定電圧回路30の制御端子30Aに、制御部60からハイ信号を受けると、NPNトランジスタ31のベース電圧が上昇し、NPNトランジスタ31がオンする。NPNトランジスタ31がオンすると、PNPトランジスタ32のベース電圧が低下し、PNPトランジスタ32がオンする。PNPトランジスタ32がオンすると、出力端子30Bから第1節点10Aに電流を供給しうる。例えば図1に示す第2スイッチ2Bがオンしている場合、定電圧回路30の出力端子30Bから供給される電流によってキャパシタ10が充電されうる。この際、定電圧回路30の出力端子30Bには、電源端子30Cに入力されている電源電圧から、抵抗34及びPNPトランジスタ32による電圧降下分だけ下がった定電圧が供給される。このように、PNPトランジスタ32は、制御部60からの指令に応じて第2電池300とキャパシタ10との接続状態を切り替える切替スイッチとして機能しうる。PNPトランジスタ32がオンすると、第2電池300からの電圧をキャパシタ10に印加しうる。ダイオード39は、第1電池200から電流が逆流すること防ぐように、カソードが第1電池200側に接続されている。
【0044】
定電圧回路30は、このように、SOCのバンド幅が狭い二次電池、例えば鉛蓄電池である第2電池300から供給される電源電圧に基づいて定電圧を生成する。これにより、定電圧回路30は、所定の大きさ以上の定電圧を安定して生成することができる。
【0045】
定電圧回路30が出力する定電圧は、直列接続された第1電池200A~200Eが供給可能な最大電圧、すなわち、第1電池200Aの正極側の端子と第1電池200Eの負極側の端子との間の電圧より小さい電圧としうる。例えば、各第1電池200の供給可能な最大電圧が2.4Vである場合、直列接続された第1電池200A~200Eが供給可能な最大電圧は12Vである。この場合、定電圧回路30が出力する定電圧は、12Vより小さくしうる。これにより、定電圧回路30が出力する定電圧が検出回路20のオペアンプ21に入力された際に、オペアンプ21が故障するおそれを低減しうる。
【0046】
定電圧回路30が出力する定電圧は、各第1電池200が供給可能な最大電圧より大きくしうる。例えば、各第1電池200の供給可能な最大電圧が2.4Vである場合、定電圧回路30が出力する定電圧は、2.4Vより大きくしうる。これにより、制御部60は、診断処理において定電圧回路30からキャパシタ10に充電された電圧を検出する場合、当該電圧が第1電池200から供給された電圧でないことを確認しうる。
【0047】
診断装置100は、定電圧回路30が出力する定電圧を用いて故障診断を実施しうる。仮に、診断装置100が故障診断を実施する際に、参照電圧として検出対象である第1電池200の電圧を用いるとすると、第1電池200の電池容量が減っている場合に、キャパシタ10、第1スイッチ1及び第2スイッチ2などの故障を正しく検出できないことが起こりうる。しかしながら、本実施形態に係る診断装置100は、定電圧回路30が出力する定電圧を用いて故障診断を実施するため、第1電池200に依存せずに、キャパシタ10、第1スイッチ1及び第2スイッチ2などの状態を診断しうる。
【0048】
再び図1を参照して説明する。
【0049】
キャパシタ電圧検出回路40は、キャパシタ10の両端子の電圧、すなわち、第1節点10A及び第2節点10Bの電圧を、検出回路20のオペアンプ21を用いずに検出するための回路である。
【0050】
キャパシタ電圧検出回路40は、第3スイッチ3A及び3Bと、抵抗41と、抵抗42と、抵抗43と、抵抗44とを備える。
【0051】
第3スイッチ3Aは、制御部60からの指令に応じて、第1節点10Aと抵抗41との接続状態を切り替える。第3スイッチ3Bは、制御部60からの指令に応じて、第2節点10Bと抵抗43との接続状態を切り替える。第3スイッチ3A及び3Bは、オンに制御されると、その両端が導通する。第3スイッチ3A及び3Bは、オフに制御されると、その両端が絶縁する。なお、図1においては、可読性を高めるため、制御部60から第3スイッチ3A及び3Bへの制御線の記載を省略している。
【0052】
第3スイッチ3Aは、オンに制御されることで、第1節点10AとAD入力端子22Bとを、オペアンプ21をバイパスして接続しうる。第3スイッチ3Bは、オンに制御されることで、第2節点10BとAD入力端子22Cとを、オペアンプ21をバイパスして接続しうる。第1節点10Aは、第1スイッチ1A、第1スイッチ1C、第1スイッチ1E、第1スイッチ1G及び第1スイッチ1Jの第1電池200に接続されていない側の端子と接続されている。第2節点10Bは、第1スイッチ1B、第1スイッチ1D、第1スイッチ1F、第1スイッチ1H及び第1スイッチ1Kの第1電池200に接続されていない側の端子と接続されている。
【0053】
以後、第3スイッチ3A及び3Bについて、特に区別する必要がない場合は、第3スイッチ3と総称する場合がある。第3スイッチ3は、可動部を有する機械的なスイッチであってよい。第3スイッチ3は、接点を有し、接点を開閉することによって、導通状態と絶縁状態とを切り替えるように構成されてよい。第3スイッチ3は、例えば、電磁式のリレーであってよい。
【0054】
抵抗41は、一端で第3スイッチ3Aを介して第1節点10Aに接続する。抵抗41は、他端でADコンバータ22のAD入力端子22B、及び抵抗42に接続する。
【0055】
抵抗42は、一端でADコンバータ22のAD入力端子22B及び抵抗41に接続する。抵抗42は、他端で接地されている。
【0056】
抵抗43は、一端で第3スイッチ3Bを介して第2節点10Bに接続する。抵抗43は、他端でADコンバータ22のAD入力端子22C、及び抵抗44に接続する。
【0057】
抵抗44は、一端でADコンバータ22のAD入力端子22C及び抵抗43に接続する。抵抗44は、他端で接地されている。
【0058】
定電圧回路30がオフ、且つ、第3スイッチ3Aがオンである場合において、第1スイッチ1A、第1スイッチ1C、第1スイッチ1E、第1スイッチ1G及び第1スイッチ1Jのいずれかがオンしていると、オンしている第1スイッチ1に接続されている第1電池200の正極側の電圧が抵抗41と抵抗42で分圧され、ADコンバータ22のAD入力端子22Bに供給される。
【0059】
定電圧回路30がオフ、且つ、第3スイッチ3Aがオンである場合において、第1スイッチ1A、第1スイッチ1C、第1スイッチ1E、第1スイッチ1G及び第1スイッチ1Jが全てオフしていると、接地されている抵抗42を介して0VがADコンバータ22のAD入力端子22Bに供給される。
【0060】
定電圧回路30がオフ、且つ、第3スイッチ3Bがオンである場合において、第1スイッチ1B、第1スイッチ1D、第1スイッチ1F及び第1スイッチ1Hのいずれかがオンしていると、オンしている第1スイッチ1に接続されている第1電池200の負極側の電圧が抵抗43と抵抗44で分圧され、ADコンバータ22のAD入力端子22Cに供給される。
【0061】
定電圧回路30がオフ、且つ、第3スイッチ3Bがオンである場合において、第1スイッチ1B、第1スイッチ1D、第1スイッチ1F及び第1スイッチ1Hが全てオフしていると、接地されている抵抗44を介して0VがADコンバータ22のAD入力端子22Cに供給される。
【0062】
第3スイッチ3Aがオフしている場合は、接地されている抵抗42を介して0VがADコンバータ22のAD入力端子22Bに供給される。第3スイッチ3Bがオフしている場合は、接地されている抵抗44を介して0VがADコンバータ22のAD入力端子22Cに供給される。
【0063】
サブ検出回路50は、第2スイッチ2がオンしている状態において、キャパシタ10の両端子間の電位差を検出しうる。サブ検出回路50は、検出回路20のオペアンプ21が正常に動作しているか否かを診断するための回路である。サブ検出回路50は、検出回路20が動作する際に、共に動作している。
【0064】
サブ検出回路50は、オペアンプ51と、ADコンバータ52とを備える。
【0065】
オペアンプ51は、負側の入力端子と出力端子とが接続されてボルテージフォロアを構成する。オペアンプ51を含んで構成されるボルテージフォロアは、バッファとして機能し、サブ検出回路50に入力された電圧をADコンバータ52に出力する。
【0066】
ADコンバータ52は、オペアンプ51で構成されるボルテージフォロアから入力されたアナログ電圧を、当該アナログ電圧に応じたデジタル信号に変換して制御部60に出力する。
【0067】
図1には、ADコンバータ52がADコンバータ22とは異なるADコンバータである構成を示している。
【0068】
制御部60は、診断装置100の各構成部に有線又は無線の通信によって通信可能に接続する。制御部60は、各構成部に対して制御指示を出力したり、各構成部から情報を取得したりしてよい。
【0069】
制御部60は、第1スイッチ1、第2スイッチ2、第3スイッチ3及び第4スイッチ4のオン/オフを制御する。制御部60は、定電圧回路30のオン/オフを制御する。制御部60が定電圧回路30をオンすると、定電圧回路30は、第1節点10Aに定電圧を供給しうる。
【0070】
制御部60は、検出回路20のADコンバータ22から、AD入力端子22A、22B及び22Cに入力されたアナログ電圧に応じたデジタル信号を取得しうる。制御部60は、サブ検出回路50のADコンバータ52から、サブ検出回路50に入力されたアナログ電圧に応じたデジタル信号を取得しうる。
【0071】
制御部60は、制御手順を規定したプログラムを実行するCPU(Central Processing Unit)等のプロセッサで構成されてよい。診断装置100が車両に搭載される場合、制御部60は、車両のECU(Electric Control Unit又はEngine Control Unit)として構成されてよい。
【0072】
記憶部70は、制御部60に接続され、制御部60から取得した情報を格納する。記憶部70は、制御部60のワーキングメモリとして機能してよい。記憶部70は、制御部60で実行されるプログラムを格納してよい。記憶部70は、例えば、半導体メモリで構成されるが、これには限られず、磁気記憶媒体で構成されてよいし、他の記憶媒体で構成されてよい。記憶部70は、制御部60の一部として含まれてよい。
【0073】
本実施形態において、第1スイッチ1、キャパシタ10及び第2スイッチ2Aは、第1電池200を検出回路20に接続可能とするための検出用接続回路として機能しうる。また、定電圧回路30は、第2電池300を検出用接続回路に接続可能とするための診断用接続回路として機能しうる。
【0074】
診断装置100の制御部60は、図3のフローチャートに示す手順に沿って、診断装置100内の構成要素を診断しうる。制御部60は、第1スイッチ1、第2スイッチ2、キャパシタ10、及びオペアンプ21について故障が発生しているか否かを診断しうる。
【0075】
制御部60は、最初に、キャパシタ電圧検出回路40を主に用いた診断を行う(ステップS1)。制御部60は、ステップS1において、グランドと接続する最下段の第1スイッチ1である第1スイッチ1K以外の第1スイッチ1、すなわち第1スイッチ1A~1Jについて診断を行う。以後、制御部60のステップS1における診断を「診断1」と称する。
【0076】
制御部60は、続いて、検出回路20を主に用いた診断を行う(ステップS2)。制御部60は、ステップS2において、最下段の第1スイッチ1Kについて診断を行う。以後、制御部60のステップS2における診断を「診断2」と称する。
【0077】
制御部60は、続いて、定電圧回路30を主に用いた診断を行う(ステップS3)。制御部60は、ステップS3において、キャパシタ10、第2スイッチ2、オペアンプ21、及び最下段の第1スイッチ1Kについて診断を行う。以後、制御部60のステップS3における診断を「診断3」と称する。
【0078】
制御部60は、続いて、サブ検出回路50を主に用いた診断を行う(ステップS4)。制御部60は、ステップS4において、オペアンプ21について診断を行う。以後、制御部60のステップS4における診断を「診断4」と称する。
【0079】
制御部60は、診断1~診断4のいずれかの段階において、診断装置100の構成要素のいずれかに故障が発生していると判定した場合、故障フラグを立てて、その後の診断処理を停止してよい。
【0080】
本実施形態においては、制御部60が、第1スイッチ1、第2スイッチ2、第3スイッチ3、第4スイッチ4及び定電圧回路30のオン/オフの制御、並びに、第1スイッチ1、第2スイッチ2、キャパシタ10、及びオペアンプ21についての診断の双方を行うものとして説明するが、この構成に限定されない。例えば、プロセッサは、制御部60と診断部とを有してよい。この場合、制御部60が、第1スイッチ1、第2スイッチ2、第3スイッチ3、第4スイッチ4及び定電圧回路30のオン/オフの制御等を実行し、診断部が、第1スイッチ1、第2スイッチ2、キャパシタ10、及びオペアンプ21についての診断等を実行してよい。
【0081】
以後、診断1~診断4の詳細について説明する。
【0082】
[診断1]
診断1は、以下の2つの診断を含む。
・診断1-1:第1スイッチ1A~1Jのショート故障診断
・診断1-2:第1スイッチ1A~1Jのオープン故障診断
【0083】
(診断1-1)
診断1-1は、最下段の第1スイッチ1K以外の第1スイッチ1A~1Jのショート故障診断である。図4に示すブロック図を参照して、診断1-1について説明する。なお、図4においては、図1に示した診断装置100の構成要素の一部を適宜省略して簡略化して示している。
【0084】
診断1-1において、制御部60は、第1スイッチ1をオフ、第2スイッチ2をオフ、第3スイッチ3をオンに制御している。また、制御部60は、図1に示す定電圧回路30をオフに制御している。
【0085】
この際、第1スイッチ1A~1Jのうちのいずれかがショート故障していると、ADコンバータ22は、AD入力端子22B又は22Cのいずれかにおいて、ショート故障している第1スイッチ1に接続している第1電池200の電圧を検出する。
【0086】
図4は、想定故障部位として、第1スイッチ1Aがショート故障している場合の様子を示している。この場合、第1スイッチ1Aはオフに制御されてもショートしたままであるため、ADコンバータ22のAD入力端子22Bは、第1電池200Aの正極側の電圧を検出する。
【0087】
第1スイッチ1A~1Jのいずれもショート故障していない場合、ADコンバータ22は、AD入力端子22B及び22Cの双方において0Vを検出する。
【0088】
すなわち、制御部60は、第1スイッチ1をオフ、第2スイッチ2をオフ、第3スイッチ3をオン、定電圧回路30をオフに制御した状態で、0V以外の電圧を検出すると、第1スイッチ1A~1Jのいずれかがショート故障している可能性があると判定しうる。制御部60は、所定の閾値以上の電圧を検出した場合に、0V以外の電圧を検出したと判定してよい。
【0089】
本実施形態では、診断装置100は、最初の診断として診断1-1を実行し、第1スイッチ1A~1Jにショート故障がないかを確認する。これは、第1スイッチ1A~1Jのいずれかがショート故障していると、第2スイッチ2をオンしたときにオペアンプ21に比較的高い電圧が印加され、オペアンプ21が故障するおそれがあるためである。
【0090】
制御部60は、第2スイッチ2をオンする処理を実行する前に診断1-1を実行し、第1スイッチ1A~1Jのいずれかにショート故障があると判定した場合は、第2スイッチ2をオフにした状態を維持し、その後の診断処理を停止する。これにより、診断装置100は、比較的高い電圧が印加されることに起因するオペアンプ21の故障のおそれを低減しうる。
【0091】
(診断1-2)
診断1-2は、最下段の第1スイッチ1K以外の第1スイッチ1A~1Jのオープン故障診断である。図5に示すブロック図及び図6に示すタイミングチャートを参照して、診断1-2について説明する。なお、図5においては、図1に示した診断装置100の構成要素の一部を適宜省略して簡略化して示している。
【0092】
診断1-2において、制御部60は、第2スイッチ2をオフ、第3スイッチ3をオンに制御している。また、制御部60は、図1に示す定電圧回路30をオフに制御している。
【0093】
制御部60は、第1電池200の電位の低い側から高い側に向かって、第1電池200の両端子に接続されている第1スイッチ1を順番にオン/オフしていく。すなわち、制御部60は、第1スイッチ1が全てオフである状態において、最初に、第1スイッチ1J及び1Kをオン/オフする。続いて、制御部60は、第1スイッチ1G及び1Hをオン/オフする。制御部60は、第1スイッチ1A及び1Bをオン/オフさせるまで、この処理を続ける。
【0094】
制御部60は、第1電池200の電位の低い側から高い側ではなく、電位の高い側から低い側に向かって、第1電池200の両端子に接続されている第1スイッチ1を順番にオン/オフしてもよい。
【0095】
図6は、制御部60が第1スイッチ1A及び1Bをオン/オフする際のタイミングチャートを示す。制御部60は、第1スイッチ1A及び1Bをオンさせると、所定の測定タイミングt1及びt2でAD入力端子22B及び22Cに入力される電圧を測定する。制御部60は、その後、第1スイッチ1A及び1Bをオフする。制御部60は、t1及びt2で測定した電圧の平均値を算出して、電圧の検出値としてよい。
【0096】
図6に示す例では、制御部60は、t1及びt2の2つのタイミングで電圧を測定しているが、測定タイミングはこれに限定されない。制御部60は、1つのタイミングで電圧を測定してもよいし、3つ以上のタイミングで電圧を測定してもよい。制御部60は、複数のタイミングで電圧を測定した場合、平均値を算出して、電圧の検出値としてよい。測定タイミングの回数及び平均値の算出に関しては、診断2以後についても同様の考え方であるため、診断2以後の説明においては、測定タイミングの回数及び平均値の算出に関する説明を省略する。
【0097】
この際、第1スイッチ1A~1Jのうちのいずれかがオープン故障していると、ADコンバータ22は、オープン故障している第1スイッチ1をオンさせた際に、当該第1スイッチ1が接続しているAD入力端子22B又は22Cにおいて0Vを検出する。
【0098】
図5は、想定故障部位として、第1スイッチ1Aがオープン故障している場合に、第1スイッチ1A及び1Bをオンにしたときの様子を示している。この場合、第1スイッチ1Aはオンに制御されてもオープンしたままであるため、ADコンバータ22のAD入力端子22Bは、0Vを検出する。また、第1スイッチ1Bは正常にオンしているため、ADコンバータ22のAD入力端子22Cは、抵抗43と抵抗44で分圧された第1電池200Aの負極側の電圧を検出する。
【0099】
図6のタイミングチャートには、第1スイッチ1Aが正常である場合と、オープン故障している場合との2つの様子を示している。図6に示すように、第1スイッチ1Aが正常である場合、ADコンバータ22のAD入力端子22Bは、抵抗41と抵抗42で分圧された第1電池200Aの正極側の電圧を検出する。第1スイッチ1Aがオープン故障している場合、ADコンバータ22のAD入力端子22Bは、0Vを検出する。
【0100】
すなわち、制御部60は、第2スイッチ2をオフ、第3スイッチ3をオン、定電圧回路30をオフに制御した状態で、第1スイッチ1を順番にオン/オフしていった場合に、第1スイッチ1A~1Jのいずれかをオンさせた状態で0Vを検出すると、当該第1スイッチ1がオープン故障している可能性があると判定しうる。制御部60は、所定の閾値以下の電圧を検出した場合に、0Vを検出したと判定してよい。
【0101】
[診断2]
診断2は、第1スイッチ1の最下段のスイッチである第1スイッチ1Kのオープン故障診断である。図7に示すブロック図及び図8に示すタイミングチャートを参照して、診断2について説明する。なお、図7においては、図1に示した診断装置100の構成要素の一部を適宜省略して簡略化して示している。
【0102】
診断2において、制御部60は、図1に示す第3スイッチ3及び定電圧回路30をオフに制御している。また、診断2の開始前、制御部60は、第1スイッチ1及び第2スイッチ2を全てオフしている。
【0103】
図8に、診断2におけるタイミングチャートを示す。制御部60は、第1電池200のうち最も電位の低い側の電池である第1電池200Eの両端子に接続されている第1スイッチ1J及び1Kをオン/オフする。その後、制御部60は、第2スイッチ2をオンさせると、所定の測定タイミングt1~t4で、ADコンバータ22のAD入力端子22Aに入力される電圧を測定する。制御部60は、その後、第2スイッチ2をオフする。制御部60は、t1~t4で測定した電圧の平均値を算出して、電圧の検出値としてよい。
【0104】
制御部60が第1スイッチ1J及び1Kをオンすると、第1スイッチ1J及び1Kが正常である場合、キャパシタ10の両端子間の電位差は、図8に示すように、第1電池200Eの電圧まで上昇する。その後、制御部60が第1スイッチ1J及び1Kをオフしても、キャパシタ10の両端子間は、当該電位差を維持する。この場合、制御部60は、第2スイッチをオンさせた後、所定の測定タイミングt1~t4において、第1電池200Eの電圧に相当する電圧を検出する。
【0105】
図7は、想定故障部位として、第1スイッチ1Kがオープン故障している場合の様子を示している。この場合、第1スイッチ1J及び1Kがオンに制御されても、第1スイッチ1Kがオープンしたままであるため、キャパシタ10は充電されず、キャパシタ10の両端子間の電位差は、図8に示すように0Vのままである。この場合、制御部60は、第2スイッチをオンさせた後、所定の測定タイミングt1~t4において、0Vを検出する。
【0106】
なお、第1スイッチ1Kではなく第1スイッチ1Jがオープン故障していても、キャパシタ10は充電されない。しかしながら、第1スイッチ1Jがオープン故障している場合は、診断1-2においてオープン故障が検出され、その時点で診断処理が停止している。したがって、診断2が実行されて、所定の測定タイミングt1~t4において0Vを検出すると、制御部60は、第1スイッチ1Kがオープン故障している可能性があると判定しうる。
【0107】
また、図8に示すタイミングチャートに基づくシーケンスは、通常の処理において制御部60が第1電池200の電圧を検出する際のシーケンスと同様のシーケンスである。したがって、制御部60は、通常の第1電池200の電圧検出シーケンスと同様のシーケンスで、診断2を実行しうる。
【0108】
[診断3]
診断3は、以下の7つの診断を含む。
・診断3-1:キャパシタ10のリーク又はショート故障診断
・診断3-2:第2スイッチ2のオープン故障診断
・診断3-3:オペアンプ21の出力電圧張り付き診断(0V)
・診断3-4:第2スイッチ2Aのショート故障診断
・診断3-5:第2スイッチ2Bのショート故障診断
・診断3-6:第1スイッチ1Kのショート故障診断
・診断3-7:オペアンプ21の出力電圧張り付き診断(5V)
【0109】
(診断3-1)
診断3-1は、キャパシタ10のリーク故障又はショート故障を診断する。図9に示すブロック図及び図10に示すタイミングチャートを参照して、診断3-1について説明する。図9に示すように、診断3-1の故障診断対象は、キャパシタ10である。なお、図9においては、図1に示した診断装置100の構成要素の一部を適宜省略して簡略化して示している。
【0110】
診断3-1において、制御部60は、第1スイッチ1をオフに制御している。また、制御部60は、図1に示す第3スイッチ3をオフに制御している。また、診断3-1の開始前、制御部60は、定電圧回路30及び第2スイッチ2をオフしている。
【0111】
図10に、診断3-1におけるタイミングチャートを示す。制御部60は、制御端子30Aにハイ信号を出力し定電圧回路30をオンさせ、また、第2スイッチ2をオンする。制御部60は、定電圧回路30及び第2スイッチ2をオンさせると、所定の測定タイミングt1~t4で、ADコンバータ22のAD入力端子22Aに入力される電圧を測定する。以後、所定の測定タイミングt1~t4における測定を「測定1」とも称する。
【0112】
制御部60は、その後、制御端子30Aにロー信号を出力し定電圧回路30をオフさせる。制御部60は、定電圧回路30をオフさせると、所定の測定タイミングt5~t8で、ADコンバータ22のAD入力端子22Aに入力される電圧を測定する。以後、所定の測定タイミングt5~t8における測定を「測定2」とも称する。
【0113】
制御部60は、所定の測定タイミングt1~t4及びt5~t8の条件を、通常処理において第1電池200の電圧を検出する際の測定タイミングの条件にできるだけ合わせてよい。制御部60は、例えば、通常処理における測定回数が4回で、4回の測定値を平均している場合、測定1においてもt1~t4のタイミングで4回測定し、4回の測定値を平均してよい。また、制御部60は、測定2においてもt5~t8のタイミングで4回測定し、4回の測定値を平均してよい。また、制御部60は、例えば、第2スイッチ2をオンしてから測定2を開始するまでの遅延時間を、通常処理における第2スイッチ2をオンしてから測定を開始するまでの遅延時間と同じ時間としてもよい。このように、診断3-1における測定タイミングt1~t4及びt5~t8の条件を、通常処理において第1電池200の電圧を検出する際の測定タイミングの条件にできるだけ合わせることにより、制御部60は、少ない誤差で測定1及び測定2を実行しうる。図12図14図16図18図20図22及び図24に示す測定1~6についても、測定タイミングの条件を、通常処理において第1電池200の電圧を検出する際の測定タイミングの条件にできるだけ合わせてよい。
【0114】
制御部60が定電圧回路30及び第2スイッチ2をオンすると、キャパシタ10が正常である場合、定電圧回路30から供給される定電圧によってキャパシタ10は充電される。この場合、測定1において、制御部60は、定電圧回路30によって供給される定電圧に相当する電圧を検出する。また、キャパシタ10にリーク故障がある場合も、定電圧回路30から供給される定電圧によってキャパシタ10は充電されうる。この場合、測定1において、制御部60は、定電圧回路30によって供給される定電圧に相当する電圧を検出しうる。また、キャパシタ10にショート故障がある場合は、定電圧回路30から定電圧が供給されてもキャパシタ10は充電されない。この場合、測定1において、制御部60は、0Vを検出する。
【0115】
続いて、制御部60が定電圧回路30をオフすると、キャパシタ10が正常である場合、キャパシタ10は充電状態を維持する。この場合、測定2において、制御部60は、定電圧回路30によって供給される定電圧に相当する電圧を検出する。また、キャパシタ10にリーク故障がある場合は、キャパシタ10に充電されている電荷は、リークにより減少する。この場合、測定2において、制御部60は、測定1で検出した電圧よりも小さい電圧を検出する。また、キャパシタ10にショート故障がある場合は、測定2において、制御部60は、引き続き0Vを検出する。
【0116】
制御部60は、測定1で検出した電圧が0Vである場合、キャパシタ10にショート故障の可能性があると判定しうる。制御部60は、所定の閾値以下の電圧を検出した場合に、0Vを検出したと判定してよい。
【0117】
制御部60は、測定1で検出した電圧から測定2で検出した電圧を引いた差分が、所定の閾値より大きい場合、キャパシタ10がリークしている可能性があると判定しうる。所定の閾値は、電圧の読み取り誤差、及びノイズ等を考慮して適切な値に設定してよい。
【0118】
このように、制御部60は、キャパシタ10にリーク故障が発生している可能性があることを判定しうる。これにより、制御部60は、キャパシタ10のリーク故障に起因して通常処理において第1電池200の電圧を低めに読み違え、第1電池200を過充電させてしまうおそれを低減しうる。
【0119】
(診断3-2)
診断3-2は、第2スイッチ2のオープン故障診断である。図11に示すブロック図及び図12に示すタイミングチャートを参照して、診断3-2について説明する。図11に示すように、診断3-2の故障診断対象は、第2スイッチ2A及び2Bである。なお、図11においては、図1に示した診断装置100の構成要素の一部を適宜省略して簡略化して示している。
【0120】
診断3-2において、制御部60は、第1スイッチ1をオフに制御している。また、制御部60は、図1に示す第3スイッチ3をオフに制御している。また、診断3-2の開始前、制御部60は、定電圧回路30及び第2スイッチ2をオフしている。
【0121】
図12に、診断3-2におけるタイミングチャートを示す。制御部60は、図10に示したタイミングチャートと同様のタイミングで、定電圧回路30のオン/オフ、及び第2スイッチ2のオン/オフを制御する。また、制御部60は、図10に示したタイミングチャートと同様の測定タイミングt1~t4において測定1を行う。また、制御部60は、図10に示したタイミングチャートと同様の測定タイミングt5~t8において測定2を行う。
【0122】
制御部60が定電圧回路30及び第2スイッチ2をオンすると、第2スイッチ2Bが正常である場合、定電圧回路30から供給される定電圧によってキャパシタ10は充電される。この状態において、第2スイッチ2Aが正常である場合、測定1において、制御部60は、定電圧回路30によって供給される定電圧に相当する電圧を検出しうる。また、定電圧回路30をオフしても、キャパシタ10は充電状態を維持するため、制御部60は、測定2においても、定電圧回路30によって供給される定電圧に相当する電圧を検出しうる。
【0123】
制御部60が定電圧回路30及び第2スイッチ2をオンしたとき、第2スイッチ2Bがオープン故障していると、キャパシタ10は、定電圧回路30によって充電されない。この場合、制御部60は、測定1及び測定2において、0Vを検出する。
【0124】
制御部60が定電圧回路30及び第2スイッチ2をオンしたとき、第2スイッチ2Aがオープン故障していると、ADコンバータ22のAD入力端子22Aには、第1節点10Aの電圧が印加されない。この場合、オペアンプ21の正側の入力端子は、周辺回路の回り込み等により、数キロオーム程度の抵抗成分を介してグランドに接地されているため、制御部60は、測定1及び測定2において、0Vを検出する。
【0125】
制御部60は、測定1及び測定2で検出した電圧が0Vである場合、第2スイッチ2にオープン故障の可能性があると判定しうる。制御部60は、所定の閾値以下の電圧を検出した場合に、0Vを検出したと判定してよい。
【0126】
(診断3-3)
診断3-3は、オペアンプ21の出力電圧が0Vに張り付いているかを診断する。図13に示すブロック図及び図14に示すタイミングチャートを参照して、診断3-3について説明する。図13に示すように、診断3-3の故障診断対象は、オペアンプ21である。なお、図13においては、図1に示した診断装置100の構成要素の一部を適宜省略して簡略化して示している。
【0127】
診断3-3において、制御部60は、第1スイッチ1をオフに制御している。また、制御部60は、図1に示す第3スイッチ3をオフに制御している。また、診断3-3の開始前、制御部60は、定電圧回路30及び第2スイッチ2をオフしている。
【0128】
図14に、診断3-3におけるタイミングチャートを示す。制御部60は、図10に示したタイミングチャートと同様のタイミングで、定電圧回路30のオン/オフ、及び第2スイッチ2のオン/オフを制御する。また、制御部60は、図10に示したタイミングチャートと同様の測定タイミングt1~t4において測定1を行う。また、制御部60は、図10に示したタイミングチャートと同様の測定タイミングt5~t8において測定2を行う。
【0129】
制御部60が定電圧回路30及び第2スイッチ2をオンすると、定電圧回路30から供給される定電圧によってキャパシタ10は充電される。この状態において、オペアンプ21が正常である場合、オペアンプ21は、定電圧回路30によって供給される定電圧に相当する電圧をADコンバータ22のAD入力端子22Aに出力する。したがって、制御部60は、測定1において、定電圧回路30によって供給される定電圧に相当する電圧を検出しうる。また、定電圧回路30をオフしても、キャパシタ10は充電状態を維持するため、制御部60は、測定2においても、定電圧回路30によって供給される定電圧に相当する電圧を検出しうる。
【0130】
オペアンプ21の出力が0Vに張り付いていると、オペアンプ21は、定電圧回路30によって供給される定電圧に相当する電圧を入力されても、0Vを出力する。したがって、オペアンプ21の出力が0Vに張り付いている場合、制御部60は、測定1及び測定2において、0Vを検出する。オペアンプ21の出力が0Vに張り付くと、検出回路20の出力も0Vに張り付く。
【0131】
制御部60は、測定1及び測定2で検出した電圧が0Vである場合、オペアンプ21の出力が0Vに張り付いている可能性があると判定しうる。制御部60は、所定の閾値以下の電圧を検出した場合に、0Vを検出したと判定してよい。
【0132】
(診断3-4)
診断3-4は、第2スイッチ2Aのショート故障診断である。図15に示すブロック図及び図16に示すタイミングチャートを参照して、診断3-4について説明する。図15に示すように、診断3-4の故障診断対象は、第2スイッチ2Aである。なお、図15においては、図1に示した診断装置100の構成要素の一部を適宜省略して簡略化して示している。
【0133】
診断3-4において、制御部60は、第1スイッチ1をオフに制御している。また、制御部60は、図1に示す第3スイッチ3をオフに制御している。また、診断3-4の開始前、制御部60は、定電圧回路30及び第2スイッチ2をオフしている。
【0134】
図16に、診断3-4におけるタイミングチャートを示す。制御部60は、図10に示したタイミングチャートと同様のタイミングで、定電圧回路30のオン/オフ、及び第2スイッチ2のオン/オフを制御する。また、制御部60は、図10に示したタイミングチャートと同様の測定タイミングt1~t4において測定1を行う。また、制御部60は、図10に示したタイミングチャートと同様の測定タイミングt5~t8において測定2を行う。
【0135】
制御部60は、第2スイッチ2をオフさせると、所定の測定タイミングt9~t12で、ADコンバータ22のAD入力端子22Aに入力される電圧を測定する。以後、所定の測定タイミングt9~t12における測定を「測定3」とも称する。
【0136】
オペアンプ21の正側の入力端子は、周辺回路の回り込み等により、数キロオーム程度の抵抗成分を介してグランドに接地されている。そのため、制御部60が第2スイッチをオフすると、第2スイッチ2Aが正常である場合、オペアンプ21の入力電圧は、当該抵抗成分を介して電流がリークすることにより、徐々に低下していく。この場合、制御部60は、測定3において、測定2で検出した電圧よりも小さい電圧を検出する。
【0137】
第2スイッチ2Aがショート故障していると、制御部60が第2スイッチ2をオフする制御をしても、第2スイッチ2Aはショートしたままである。この場合、オペアンプ21の入力電圧は、制御部60が第2スイッチ2をオフする制御をしても変わらない。したがって、制御部60は、測定3において、測定2で検出した電圧と同等の電圧を検出する。
【0138】
制御部60は、測定1又は測定2で検出した電圧から測定3で検出した電圧を引いた差分がゼロである場合、第2スイッチ2Aにショート故障の可能性があると判定しうる。制御部60は、測定1又は測定2で検出した電圧から測定3で検出した電圧を引いた差分が所定の閾値以下である場合、差分がゼロであると判定してよい。
【0139】
(診断3-5)
診断3-5は、第2スイッチ2Bのショート故障診断である。図17に示すブロック図及び図18に示すタイミングチャートを参照して、診断3-5について説明する。図17に示すように、診断3-5の故障診断対象は、第2スイッチ2Bである。なお、図17においては、図1に示した診断装置100の構成要素の一部を適宜省略して簡略化して示している。
【0140】
診断3-5において、制御部60は、第1スイッチ1をオフに制御している。また、制御部60は、図1に示す第3スイッチ3をオフに制御している。また、診断3-5の開始前、制御部60は、定電圧回路30及び第2スイッチ2をオフしている。
【0141】
図18に、診断3-5におけるタイミングチャートを示す。制御部60は、制御端子30Aにハイ信号を出力し定電圧回路30をオンさせ、所定時間経過すると、制御端子30Aにロー信号を出力し定電圧回路30をオフさせる。制御部60は、定電圧回路30をオフさせた後、第2スイッチ2をオンさせ、その後、第2スイッチ2をオフする。制御部60は、第2スイッチ2をオンさせると、所定の測定タイミングt13~t16で、ADコンバータ22のAD入力端子22Aに入力される電圧を測定する。以後、所定の測定タイミングt13~t16における測定を「測定4」とも称する。
【0142】
制御部60が、第2スイッチ2をオフさせた状態で、定電圧回路30をオンすると、キャパシタ10は充電されない。これは、第2スイッチ2Bが正常である場合、第2節点10Bが接地されていないためである。そのため、その後、制御部60が定電圧回路30をオフさせた後、第2スイッチ2をオンすると、制御部60は0Vを検出する。
【0143】
第2スイッチ2Bがショート故障している場合、制御部60が、第2スイッチ2をオフさせた状態で、定電圧回路30をオンすると、キャパシタ10は充電される。これは、第2スイッチ2Bがショート故障している場合、第2節点10Bが接地されてしまっているためである。そのため、その後、制御部60が定電圧回路30をオフさせた後、第2スイッチ2をオンすると、制御部60は、定電圧回路30によって供給される定電圧に相当する電圧を検出する。
【0144】
制御部60は、測定4で検出した電圧が0Vでない場合、第2スイッチ2Bにショート故障の可能性があると判定しうる。制御部60は、所定の閾値以上の電圧を検出した場合に、0Vでない電圧を検出したと判定してよい。
【0145】
(診断3-6)
診断3-6は、第1スイッチ1の最下段のスイッチである第1スイッチ1Kのショート故障診断である。図19に示すブロック図及び図20に示すタイミングチャートを参照して、診断3-6について説明する。図19に示すように、診断3-6の故障診断対象は、第1スイッチ1Kである。なお、図19においては、図1に示した診断装置100の構成要素の一部を適宜省略して簡略化して示している。
【0146】
診断3-6において、制御部60は、第1スイッチ1をオフに制御している。また、制御部60は、図1に示す第3スイッチ3をオフに制御している。また、診断3-6の開始前、制御部60は、定電圧回路30及び第2スイッチ2をオフしている。
【0147】
図20に、診断3-6におけるタイミングチャートを示す。制御部60は、図18に示したタイミングチャートと同様のタイミングで、定電圧回路30のオン/オフ、及び第2スイッチ2のオン/オフを制御する。また、制御部60は、図18に示したタイミングチャートと同様の測定タイミングt13~t16において測定4を行う。
【0148】
制御部60が、第2スイッチ2をオフさせた状態で、定電圧回路30をオンすると、キャパシタ10は充電されない。これは、第1スイッチ1Kが正常である場合、第2節点10Bが接地されていないためである。そのため、その後、制御部60が定電圧回路30をオフさせた後、第2スイッチ2をオンすると、制御部60は0Vを検出する。
【0149】
第1スイッチ1Kがショート故障している場合、制御部60が、第2スイッチ2をオフさせた状態で、定電圧回路30をオンすると、キャパシタ10は充電される。これは、第1スイッチ1Kがショート故障している場合、第2節点10Bが接地されてしまっているためである。そのため、その後、制御部60が定電圧回路30をオフさせた後、第2スイッチ2をオンすると、制御部60は、定電圧回路30によって供給される定電圧に相当する電圧を検出する。
【0150】
制御部60は、測定4で検出した電圧が0Vでない場合、第1スイッチ1Kにショート故障の可能性があると判定しうる。制御部60は、所定の閾値以上の電圧を検出した場合に、0Vでない電圧を検出したと判定してよい。
【0151】
(診断3-7)
診断3-7は、オペアンプ21の出力電圧が電源電圧(例えば5V)に張り付いているかを診断する。図21に示すブロック図及び図22に示すタイミングチャートを参照して、診断3-7について説明する。図21に示すように、診断3-7の故障診断対象は、オペアンプ21である。なお、図21においては、図1に示した診断装置100の構成要素の一部を適宜省略して簡略化して示している。
【0152】
診断3-7において、制御部60は、第1スイッチ1をオフに制御している。また、制御部60は、図1に示す第3スイッチ3をオフに制御している。
【0153】
図22に、診断3-7におけるタイミングチャートを示す。制御部60は、定電圧回路30及び第2スイッチ2をオンする前の所定の測定タイミングt17~t20で、ADコンバータ22のAD入力端子22Aに入力される電圧を測定する。以後、所定の測定タイミングt17~t20における測定を「測定5」とも称する。
【0154】
制御部60が定電圧回路30及び第2スイッチ2をオンする前は、キャパシタ10は充電されていない。この状態において、オペアンプ21が正常である場合、オペアンプ21は、0VをADコンバータ22のAD入力端子22Aに出力する。したがって、制御部60は、測定5において、0Vを検出しうる。
【0155】
オペアンプ21の出力が電源電圧(例えば5V)に張り付いていると、オペアンプ21は、オペアンプ21に0Vが入力されていても、5Vを出力する。したがって、オペアンプ21の出力が5Vに張り付いている場合、制御部60は、測定5において、5Vを検出する。オペアンプ21の出力が5Vに張り付くと、検出回路20の出力も5Vに張り付く。
【0156】
制御部60は、測定5で検出した電圧がオペアンプ21の電源電圧(例えば5V)である場合、オペアンプ21の出力が5Vに張り付いている可能性があると判定しうる。制御部60は、5Vとの差分が所定の閾値以下の電圧を検出した場合に、5Vを検出したと判定してよい。
【0157】
[診断4]
診断4は、オペアンプ21の故障診断である。図23に示すブロック図及び図24に示すタイミングチャートを参照して、診断4について説明する。なお、図23においては、図1に示した診断装置100の構成要素の一部を適宜省略して簡略化して示している。
【0158】
診断4において、制御部60は、図1に示す第3スイッチ3及び定電圧回路30をオフに制御している。また、診断4の開始前、制御部60は、第1スイッチ1及び第2スイッチ2を全てオフしている。
【0159】
図24に、診断4におけるタイミングチャートを示す。制御部60は、制御端子30Aにハイ信号を出力し定電圧回路30をオンさせ、また、第2スイッチ2をオンする。制御部60は、定電圧回路30及び第2スイッチ2をオンさせると、所定の測定タイミングt21~t24で、ADコンバータ22のAD入力端子22Aに入力される電圧を測定する。また、診断4においては、制御部60は、定電圧回路30及び第2スイッチ2をオンさせると、測定タイミングt21~t24で、サブ検出回路50のADコンバータ52のAD入力端子に入力される電圧も測定する。以後、所定の測定タイミングt21~t24における測定を「測定6」とも称する。
【0160】
制御部60が定電圧回路30及び第2スイッチ2をオンすると、定電圧回路30から供給される定電圧によってキャパシタ10は充電される。この場合、測定6において、制御部60は、オペアンプ21が正常である場合、検出回路20とサブ検出回路50の双方から、定電圧回路30によって供給される定電圧に相当する電圧を検出する。オペアンプ21に異常がある場合、制御部60は、測定6において、検出回路20とサブ検出回路50から、異なる電圧を検出する。
【0161】
制御部60は、測定6において、検出回路20から取得した電圧と、サブ検出回路50から取得した電圧との差分が、所定の閾値より大きい場合、オペアンプ21が故障している可能性があると判定しうる。
【0162】
[診断3及び診断4の手順]
図25図27に示すフローチャートを参照して、図3に示したステップS3(診断3)及びステップS4(診断4)の詳細な手順の一例について説明する。
【0163】
診断装置100の制御部60は、第1スイッチ1、第2スイッチ2、第3スイッチ3、及び定電圧回路30をオフに制御している状態から、図25図27に示すフローを開始する。
【0164】
制御部60は、例えば図10に示すタイミングチャートのように、第2スイッチ2をオンし(ステップS101)、定電圧回路30をオンする(ステップS102)。制御部60は、ステップS101とステップS102を同時に実行してよい。制御部60は、ステップS101の前にステップS102を実行してよい。
【0165】
制御部60は、測定1を実行する(ステップS103)。制御部60は、定電圧回路30をオフする(ステップS104)。制御部60は、測定2を実行する(ステップS105)。
【0166】
制御部60は、測定1及び測定2の結果に基づいて、診断3-1、診断3-2又は診断3-3の故障を検出したか判定する(ステップS106)。
【0167】
制御部60は、測定1で検出した電圧が0Vである場合、以下のいずれかの故障の可能性があると判定しうる。制御部60は、所定の閾値以下の電圧を検出した場合に、0Vを検出したと判定してよい。
・キャパシタ10のショート故障(診断3-1)
・第2スイッチ2のオープン故障(診断3-2)
・オペアンプ21の出力の0Vへの張り付き(診断3-3)
【0168】
制御部60は、測定1で検出した電圧から測定2で検出した電圧を引いた差分が、所定の閾値より大きい場合、キャパシタ10がリークしている可能性があると判定しうる(診断3-1)。
【0169】
診断3-1、診断3-2又は診断3-3の故障を検出した場合(ステップS106のYes)、制御部60は、故障フラグを立てて(ステップS107)、診断処理を終了する。
【0170】
診断3-1、診断3-2又は診断3-3の故障を検出しなかった場合(ステップS106のNo)、制御部60は、ステップS108に進む。
【0171】
制御部60は、例えば図16に示すタイミングチャートのように、第2スイッチ2をオフし(ステップS108)、測定3を実行する(ステップS109)。
【0172】
制御部60は、測定1~測定3の結果に基づいて、診断3-4の故障を検出したか判定する(ステップS110)。
【0173】
制御部60は、測定1又は測定2で検出した電圧から測定3で検出した電圧を引いた差分がゼロである場合、第2スイッチ2Aにショート故障の可能性があると判定しうる(診断3-4)。制御部60は、測定1又は測定2で検出した電圧から測定3で検出した電圧を引いた差分が所定の閾値以下である場合、差分がゼロであると判定してよい。
【0174】
診断3-4の故障を検出した場合(ステップS110のYes)、制御部60は、故障フラグを立てて(ステップS111)、診断処理を終了する。
【0175】
診断3-4の故障を検出しなかった場合(ステップS110のNo)、制御部60は、ステップS112に進む。
【0176】
制御部60は、第4スイッチ4をオンし、キャパシタ10を放電させる(ステップS112)。
【0177】
制御部60は、例えば図18に示すタイミングチャートのように、定電圧回路30をオンさせてからオフし(ステップS113)、第2スイッチ2をオンする(ステップS114)。制御部60は、測定4を実行する(ステップS115)。
【0178】
制御部60は、測定4の結果に基づいて、診断3-5又は診断3-6の故障を検出したか判定する(ステップS116)。
【0179】
制御部60は、測定4で検出した電圧が0Vでない場合、以下のいずれかの故障の可能性があると判定しうる。制御部60は、所定の閾値以上の電圧を検出した場合に、0Vでない電圧を検出したと判定してよい。
・第2スイッチ2Bのショート故障(診断3-5)
・第1スイッチ1Kのショート故障(診断3-6)
【0180】
診断3-5又は診断3-6の故障を検出した場合(ステップS116のYes)、制御部60は、故障フラグを立てて(ステップS117)、診断処理を終了する。
【0181】
診断3-5又は診断3-6の故障を検出しなかった場合(ステップS116のNo)、制御部60は、ステップS118に進む。
【0182】
制御部60は、第2スイッチ2をオフする(ステップS118)。
【0183】
制御部60は、第4スイッチ4をオンし、キャパシタ10を放電させる(ステップS119)。診断3-5又は診断3-6の故障が発生していない場合、キャパシタ10には電荷が充電されていないため、ステップS119は省略しうる。
【0184】
制御部60は、例えば図22に示すタイミングチャートのように、定電圧回路30及び第2スイッチ2がオフの状態で、測定5を実行する(ステップS120)。
【0185】
制御部60は、例えば図24に示すタイミングチャートのように、定電圧回路30をオンし(ステップS121)、第2スイッチ2をオンする(ステップS122)。制御部60は、ステップS121とステップS122を同時に実行してよい。制御部60は、ステップS121の前にステップS122を実行してよい。
【0186】
制御部60は、測定6を実行する(ステップS123)。
【0187】
制御部60は、測定5及び測定6の結果に基づいて、診断3-7又は診断4の故障を検出したか判定する(ステップS124)。
【0188】
制御部60は、測定5で検出した電圧がオペアンプ21の電源電圧(例えば5V)である場合、オペアンプ21の出力が5Vに張り付いている可能性があると判定しうる(診断3-7)。制御部60は、5Vとの差分が所定の閾値以下の電圧を検出した場合に、5Vを検出したと判定してよい。
【0189】
制御部60は、測定6において、検出回路20から取得した電圧と、サブ検出回路50から取得した電圧との差分が、所定の閾値より大きい場合、オペアンプ21が故障している可能性があると判定しうる(診断4)。
【0190】
診断3-7又は診断4の故障を検出した場合(ステップS124のYes)、制御部60は、故障フラグを立てて(ステップS125)、診断処理を終了する。
【0191】
診断3-7又は診断4の故障を検出しなかった場合(ステップS124のNo)、制御部60は、診断処理を終了する。
【0192】
制御部60は、ステップS107、ステップS111、ステップS117又はステップS125において故障フラグを立てて診断処理を終了する際、以後の第1電池200の使用を停止するよう制御してよい。
【0193】
ステップS106、ステップS110、ステップS116及びステップS124における故障判定のタイミングは一例であり、これに限定されない。
【0194】
例えば、ステップS106における、以下の故障判定は、ステップS103において測定1を実行した段階で実行してよい。
・キャパシタ10のショート故障(診断3-1)
・第2スイッチ2のオープン故障(診断3-2)
・オペアンプ21の出力の0Vへの張り付き(診断3-3)
【0195】
例えば、ステップS106における故障判定は、ステップS109において測定3を実行した後に、ステップS110の故障判定と併せて実行してよい。
【0196】
例えば、ステップS124における、診断3-7の故障判定は、ステップS120において測定5を実行した段階で実行してよい。
【0197】
本実施形態においては、検出回路20は、キャパシタ10の両端子間の電位差を検出するものとして説明したが、検出回路20は、キャパシタ10からの放電電流を検出してもよい。
【0198】
本実施形態に係る診断装置100によれば、診断装置100は、フライングキャパシタとして機能するキャパシタ10と、第1電池200とキャパシタ10との接続状態を切り替える第1スイッチ1と、キャパシタ10と検出回路20との接続状態を切り替える第2スイッチ2とを診断する。これにより、本実施形態に係る診断装置100は、フライングキャパシタ方式を採用した構成において必要とされる故障診断を総合的に行いうる。
【0199】
また、本実施形態に係る診断装置100によれば、診断装置100は、第1スイッチ1のショート故障を検出した場合、第2スイッチ2をオフにした状態を維持して、キャパシタ10及び第2スイッチ2の診断を中止しうる。これにより、第1スイッチ1のショート故障に伴って、検出回路20のオペアンプ21に高い電圧が印加されてオペアンプ21が故障するおそれを低減しうる。
【0200】
また、本実施形態に係る診断装置100によれば、診断装置100は、第1電池200とは異なる第2電池300からキャパシタ10に電圧を印加しうる。また、検出回路20は、制御部60がPNPトランジスタ32をオンして、第2電池300からキャパシタ10に電圧を印加した後に、電位差又は放電電流を検出する。そして、制御部60は、キャパシタ10、第1スイッチ1K及び第2スイッチ2の少なくとも1つを診断する。これにより、本実施形態に係る診断装置100は、電圧検出対象である第1電池200に依存せずに、キャパシタ10、第1スイッチ1K及び第2スイッチ2の状態を診断しうる。
【0201】
また、本実施形態に係る診断装置100によれば、故障診断の際に、定電圧回路30からキャパシタ10に定電圧を供給しうるため、故障か否かを判定するための閾値を容易に設定しうる。
【0202】
(診断装置の構成の変形例)
図28に変形例に係る診断装置110の構成を示す。変形例に係る診断装置110は、図1に示した診断装置100とは、検出回路20に加えて検出回路23を備える点で相違する。変形例に係る診断装置110については、図1に示した診断装置100との相違点について主に説明する。
【0203】
検出回路23は、ADコンバータ24を備える。ADコンバータ24は、AD入力端子24A及び24Bを有する。ADコンバータ24は、AD入力端子24Aに入力されたアナログ電圧を、当該アナログ電圧に応じたデジタル信号に変換して制御部60に出力する。ADコンバータ24は、AD入力端子24Bに入力されたアナログ電圧を、当該アナログ電圧に応じたデジタル信号に変換して制御部60に出力する。
【0204】
変形例に係る診断装置110において、検出回路20及び検出回路23は、それぞれ、第1検出回路及び第2検出回路として機能してよい。ADコンバータ22及びADコンバータ24は、それぞれ、第1ADコンバータ及び第2ADコンバータとして機能してよい。
【0205】
変形例に係る診断装置110においては、第3スイッチ3Aは、抵抗41を介してADコンバータ24のAD入力端子24Aに接続されている。第3スイッチ3Bは、抵抗43を介してADコンバータ24のAD入力端子24Bに接続されている。
【0206】
変形例に係る診断装置110の構成であっても、図1に示した診断装置100と同様の効果を有しうる。
【0207】
本開示に係る一実施形態について、諸図面及び実施例に基づき説明してきたが、当業者であれば本開示に基づき種々の変形又は修正を行うことが容易であることに注意されたい。従って、これらの変形又は修正は本開示の範囲に含まれることに留意されたい。例えば、各手段に含まれる機能等は論理的に矛盾しないように再配置可能であり、複数の手段等を1つに組み合わせたり、あるいは分割したりすることが可能である。
【符号の説明】
【0208】
100、110 診断装置
1、1A~1K 第1スイッチ
2、2A、2B 第2スイッチ
3、3A、3B 第3スイッチ
4 第4スイッチ
10 キャパシタ(フライングキャパシタ)
10A 第1節点
10B 第2節点
11 抵抗
20 検出回路
21 オペアンプ
22 ADコンバータ
22A~22C AD入力端子
23 検出回路
24 ADコンバータ
24A~24B AD入力端子
30 定電圧回路
30A 制御端子
30B 出力端子
30C 電源端子
31 NPNトランジスタ
32 PNPトランジスタ
33 キャパシタ
34、35、36、37、38 抵抗
39 ダイオード
40 キャパシタ電圧検出回路
41、42、43、44 抵抗
50 サブ検出回路
51 オペアンプ
52 ADコンバータ
60 制御部
70 記憶部
200、200A~200E 第1電池
300 第2電池
400 電圧変換回路
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