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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-01-16
(45)【発行日】2023-01-24
(54)【発明の名称】洗濯機
(51)【国際特許分類】
   D06F 39/00 20200101AFI20230117BHJP
   D06F 37/24 20060101ALI20230117BHJP
【FI】
D06F39/00 Z
D06F37/24 B
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2019170374
(22)【出願日】2019-09-19
(62)【分割の表示】P 2015089360の分割
【原出願日】2015-04-24
(65)【公開番号】P2019209190
(43)【公開日】2019-12-12
【審査請求日】2019-09-19
【審判番号】
【審判請求日】2021-12-09
(73)【特許権者】
【識別番号】503376518
【氏名又は名称】東芝ライフスタイル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000567
【氏名又は名称】弁理士法人サトー
(72)【発明者】
【氏名】福村 太希
(72)【発明者】
【氏名】寺西 政弘
(72)【発明者】
【氏名】臼井 良典
【合議体】
【審判長】柿崎 拓
【審判官】窪田 治彦
【審判官】田合 弘幸
(56)【参考文献】
【文献】実開昭50-118779(JP,U)
【文献】実開昭57-90082(JP,U)
【文献】特開平9-276587(JP,A)
【文献】特開平11-346430(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
D06F39/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
上面から見て四角形状をなす外箱と、
前記外箱内に弾性吊持機構を介して設けられた水槽と、
前記水槽の下部に設けられ洗濯機モータを含んで構成される駆動機構部と、
前記駆動機構部から引出され、前記外箱側に設けられた回路部に電気的に接続されるリード線とを備え、
前記駆動機構部から引出されたリード線は、前記外箱内の一つのコーナー部分に設けられた外箱側固定部に保持された上で前記回路部へ延びるように構成され、
前記駆動機構部のリード線引出部は、前記水槽の前記コーナー部分に対向する位置に設けられ、前記リード線は、該リード線引出部と前記外箱側固定部との間で水平方向の屈曲部がない状態で配置され、
前記リード線は、前記リード線引出部から引出されて下方に垂れ下がった後、U字状をなすように上方に延びて前記外箱側固定部に至るように設けられ、
前記リード線の最下点と前記リード線引出部との間の高さ方向の距離よりも、前記リード線の最下点と前記外箱側固定部との間の高さ方向の距離の方が大きく構成され、
前記外箱側固定部は、前記弾性吊持機構の下端より下方に位置していることを特徴とする洗濯機。
【請求項2】
上面から見て四角形状をなす外箱と、
前記外箱内に弾性吊持機構を介して設けられた水槽と、
前記水槽の下部に設けられ洗濯機モータを含んで構成される駆動機構部と、
前記駆動機構部から引出され、前記外箱側に設けられた回路部に電気的に接続されるリード線とを備え、
前記駆動機構部から引出されたリード線は、前記外箱内の一つのコーナー部分に設けられた外箱側固定部に保持された上で前記回路部へ延びるように構成され、
前記駆動機構部のリード線引出部は、前記水槽の前記コーナー部分に対向する位置に設けられ、前記リード線は、該リード線引出部と前記外箱側固定部との間で水平方向の屈曲部がない状態で配置され、
前記リード線は、前記リード線引出部から引出されて下方に垂れ下がった後、U字状をなすように上方に延びて前記外箱側固定部に至るように設けられ、
前記リード線の最下点と前記リード線引出部との間の高さ方向の距離よりも、前記リード線の最下点と前記外箱側固定部との間の高さ方向の距離の方が大きく構成され、
前記リード線の垂れ下がった下端部と洗濯機設置面との間の距離が、前記駆動機構部と該洗濯機設置面との間の距離よりも小さく構成されていることを特徴とする洗濯機。
【請求項3】
前記リード線は、前記水槽内に定格負荷が収容される場合においても、下方に垂れ下がった状態に保持される請求項1又は2に記載の洗濯機。
【請求項4】
前記弾性吊持機構は、前記外箱のコーナー部に一端側が支持された吊り棒を有して構成され、
前記リード線引出部と前記外箱側固定部とを直線的につなぐ第2仮想線は、上面から見て、前記吊り棒と交差する又は重なるように配置されていることを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の洗濯機。
【請求項5】
前記リード線には、前記リード線引出部から前記外箱側固定部までの間の最下点を除いた少なくとも1個所に、結束部が設けられていることを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載の洗濯機。
【請求項6】
前記外箱側固定部は、前記リード線を上下方向に延びるように保持することを特徴とする請求項1から5のいずれか一項に記載の洗濯機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、洗濯機に関する。
【背景技術】
【0002】
洗濯機、いわゆる縦軸型の全自動洗濯機は、外箱内に、水槽が弾性吊持機構を介して支持され、水槽内に、回転槽を備えている。回転槽の内底部には、パルセータが設けられている。水槽の外底部には、洗濯機モータやクラッチ機構などを備えた駆動機構部が設けられ、この駆動機構部により、回転槽やパルセータが回転駆動されるようになっている。この種の洗濯機においては、前記駆動機構部(洗濯機モータ)を駆動する回路部を、外箱上部(トップカバー内)に設け、駆動機構部から導出されるリード線を、外箱内面に沿って延びるように配設して回路部に接続することが行われる(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開平9-285685号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のような駆動機構部(洗濯機モータ)を水槽の底部に配設したものでは、運転時に、駆動機構部が水槽と共に揺動(振動)する事情があるため、リード線に対し引張りや屈曲等のストレスがかかり易く、リード線が傷付いたりする虞がある。そのため、リード線の長さに余裕を持たせて、ストレスを発生させないようにしているが、リード線のたわみが大きくなるため、運転時にそのたわみ部分が水槽の外面や外箱の内面等に接触することが起こる。上記特許文献1では、リード線を保護カバーにより保護することが考えられているが、構成が複雑となってコスト高となる等の問題がある。
【0005】
そこで、水槽の底部の駆動機構部から導出されるリード線を、過度なストレスがかかることなく適切に配置することができる洗濯機を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
実施形態の洗濯機は、上面から見て四角形状をなす外箱と、前記外箱内に弾性吊持機構を介して設けられた水槽と、前記水槽の下部に設けられ洗濯機モータを含んで構成される駆動機構部と、前記駆動機構部から引出され、前記外箱側に設けられた回路部に電気的に接続されるリード線とを備え、前記駆動機構部から引出されたリード線は、前記外箱内の一つのコーナー部分に設けられた外箱側固定部に保持された上で前記回路部へ延びるように構成され、前記駆動機構部のリード線引出部は、前記水槽の前記コーナー部分に対向する位置に設けられ、前記リード線は、該リード線引出部と前記外箱側固定部との間で水平方向の屈曲部がない状態で配置され、前記リード線は、前記リード線引出部から引出されて下方に垂れ下がった後、U字状をなすように上方に延びて前記外箱側固定部に至るように設けられ、前記リード線の最下点と前記リード線引出部との間の高さ方向の距離よりも、前記リード線の最下点と前記外箱側固定部との間の高さ方向の距離の方が大きく構成され、前記外箱側固定部は、前記弾性吊持機構の下端より下方に位置しているところに特徴を有する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】第1の実施形態を示すもので、洗濯機の全体構成を概略的に示す縦断右側面図
図2】水槽、リード線、外箱側固定部、吊り棒の高さ方向の位置関係を示す概略的縦断面図
図3】外箱、水槽、リード線の上面から見た位置関係を示す概略的平面図
図4】外箱側固定部部分の構成を概略的に示す斜視図
図5】第2の実施形態を示す図3相当図
図6】第3の実施形態を示す図3相当図
図7】第4の実施形態を示す図3相当図
【発明を実施するための形態】
【0008】
(1)第1の実施形態
以下、縦軸形の全自動洗濯機に適用した第1の実施形態について、図1から図4を参照しながら説明する。まず、図1は、本実施形態に係る洗濯機(全自動洗濯機)1の構成を概略的に示している。ここで、洗濯機1は、例えば鋼板を衰退として構成され全体として矩形箱状をなす外箱2を備えている。図3に示すように、外箱2は、上面から見て四角形状とされている。この外箱2の底部には、4個の脚部3を有する台板4が設けられている。また、図1に示すように、外箱2の背面板には、矩形状の点検口2aが設けられ、通常時にはこの点検口2aは蓋板5により塞がれている。
【0009】
前記外箱2内には、図2図3にも示すように、洗濯水を溜める水槽6が、弾性吊持機構7により弾性的に支持(吊り下げ支持)されて設けられている。図1図2に一部示すように、前記弾性吊持機構7は、例えば前記外箱2の四隅部に設けられた4本の吊り棒7a、各吊り棒7aの下端部に配置されたスプリング7b等を有した周知構成を備えている。前記水槽6の底部には、排水口8が形成されており、この排水口8には、電子制御式の排水弁9を備えた排水路10が接続されている。
【0010】
前記水槽6内には、ほぼ有底円筒状をなす縦軸型の回転槽11が回転可能に設けられている。この回転槽11の上端部には、例えば液体封入形の回転バランサ12が取付けられている。また、この回転槽11の周壁部には、脱水孔11aが形成されている。この回転槽11の内底部には、撹拌体(パルセータ)13が配設されている。回転槽11内には、図示しない洗濯物が収容されるようになっており、その洗濯物の洗い、すすぎ、脱水、乾燥が行われる。
【0011】
前記水槽6の上部には、水槽カバー14が装着されている。この水槽カバー14には、ほぼ中央部に洗濯物出し入れ用の開口部14aが設けられていると共に、その開口部14aを開閉する内蓋15が取付けられている。水槽カバー14の上面における後部には、給水用の給水口16が設けられていると共に、図示はしないが、温風供給装置から供給される温風を水槽6内に供給する温風吹出口等が設けられている。
【0012】
また、図2図3にも示すように、前記水槽6の下部(外底部)には、駆動機構部17が配設されている。詳しい説明は省略するが、図1に一部示すように、この駆動機構部17は、アウタロータ形のDC三相ブラシレスモータからなる洗濯機モータ、中空の槽軸18、該槽軸18を貫通する撹拌軸19、前記洗濯機モータの回転駆動力をそれら軸18,19に選択的に伝達するクラッチ機構等を備えている。前記槽軸18の上端には、前記回転槽11が連結されており、前記撹拌軸19の上端には、前記撹拌体13が連結されている。
【0013】
前記クラッチ機構は、前記排水弁9に連動して動作し、洗い時及びすすぎ時(洗い行程)には回転槽11の固定(停止)状態で、洗濯機モータの駆動力を撹拌軸19を介して撹拌体13に伝達して撹拌体13を低速で直接正逆回転駆動する。また、脱水時(脱水行程)には、槽軸18と撹拌軸19との連結状態で、洗濯機モータの駆動力を槽軸18を介して回転槽11に伝達し、回転槽11(及び撹拌体13)を一方向に高速で直接回転駆動するようになっている。尚、駆動機構部17には、上記以外にも、排水弁9駆動用のモータ、洗濯機モータの各相の電流を検出する電流センサ、洗濯機モータのロータの回転位置を検出するセンサ、クラッチの位置を検出するセンサ等の電装品が配設されている。
【0014】
一方、図1に示すように、前記外箱2の上部には薄形の中空箱状をなす合成樹脂製のトップカバー20が装着されている。このトップカバー20の上面中央には、前記回転槽11の上方に位置して、ほぼ円形の洗濯物出入口20aが形成され、その洗濯物出入口20aを開閉するための二つ折りタイプの蓋21が設けられている。このトップカバー10の前部上面部には、ユーザが洗濯運転のコースの選択や、運転開始を指示するための操作パネル22が設けられている。更に、操作パネル22の裏面側には、コンピュータを含んで構成され操作パネル22の操作信号の処理や表示制御などを行う操作ユニット23が設けられている。
【0015】
このトップカバー20の後部には、水槽6内への給水を行うための給水機構24が設けられている。給水機構24は、給水弁25、注水ケース26と、可撓性を有する給水ホース27を備えており、給水ホース27の先端部が前記給水口16に接続されている。給水弁25は給水受け口25aを備えていて、その給水受け口25aには、図示しない水道の蛇口に接続された接続ホースの先端部が接続される。給水弁25が開放されると、水道から供給される水が、注水ケース26及び給水ホース27を介して給水口16から回転槽11内及び水槽6内に供給される。尚、トップカバー20の後部には、水槽6の異常な振動(揺動)を検知する安全レバースイッチ装置28も設けられている。
【0016】
そして、本実施形態では、前記トップカバー20内、例えば操作ユニット23の下部に位置して、回路部としての電子ユニット30が設けられている。詳しく図示はしないが、この電子ユニット30は、薄型のケース内に、電源回路、洗濯機モータ駆動用のインバータ回路、コンピュータを主体として構成され洗濯機1全体を制御する制御装置等を備えて構成されている。このとき、前記駆動機構部17の側部からは、通電線や信号線等が束になった形態のリード線31(図2図4参照)が引出され、外箱2内面に沿って引き回され、前記電子ユニット30に電気的に接続されるようになっている。リード線31の配置(保持構造)については、後に詳述する。
【0017】
尚、図示はしないが、前記操作ユニット23も電子ユニット30に電気的に接続されている。詳しい説明は省略するが、前記電子ユニット30内の制御装置は、操作パネル22(操作ユニット23)からの操作信号や各種センサからの信号に基づいて、給水弁25や排水弁9を制御すると共に、インバータ回路を介して洗濯機モータを制御し、洗い(すすぎ)行程や脱水行程等からなる洗濯運転を実行する。更には、温風供給装置を制御して乾燥行程を実行するようになっている。
【0018】
さて、本実施形態における、前記リード線31の配置構成について、図2から図4を参照して述べる。図2に示すように、前記リード線31は、前記駆動機構部17の外周の水槽6底部部分に設けられるリード線引出部32から引出されて下方に垂れ下がった後、U字状をなすように上方に向けて延び、外箱2の内壁面に設けられた外箱側固定部33に保持された上で、上方に延びるように配置されている。
【0019】
このとき、図3に示すように、前記外箱側固定部33は、外箱2の背面板のうち、外箱2の一つのコーナーC部分、この場合左後のコーナーCの近傍に位置し、図2に示すように、水槽6の底部よりもやや上方の高さ位置に設けられている。この外箱側固定部33は、前記リード線31を外箱2の背面板に沿って上下方向に延びるように保持する。
【0020】
具体的には、図4に示すように、外箱2の背面板の内面には、左右2個のねじ孔を有する取付部34が設けられている。その取付部34の前面にリード線31を上下に延びるように配置した状態で、中間部が半円状とされた保持金具35により前方から押えるようにし、保持金具35の左右両端部をねじ36により前記取付部34に固定することにより、リード線31が保持される。
【0021】
そして、図3に示すように、前記リード線引出部32の位置は、上面から見て、前記水槽6の水槽中心Oと、前記一つのコーナーCとを直線でつなぐ第1仮想線L1に対し、前記水槽中心Oを中心として両側に夫々15°の角度範囲内(図3に便宜上ハッチングを付して示す)に配置されている。更にこのとき、外箱2の上面から見て、それらリード線引出部32と外箱側固定部33とを直線的につなぐ第2仮想線L2が、外箱側固定部33を有する外箱2の一辺(背面板)の延びる方向(左右方向)に対してなす角度θ1が、30°~60°の角度、この場合約60°となるように配置されている。
【0022】
この状態では、図2に示すように、リード線31の最下点と前記リード線引出部32との間の高さ方向の距離Aよりも、前記リード線31の最下点と前記外箱側固定部33との間の高さ方向の距離Bの方が大きく構成されている。また、外箱側固定部33の位置は、前記吊り棒7aの下端よりも下方に位置している。これにて、リード線31は、リード線引出部32と外箱側固定部33との間で、上下方向にはたるみを有しており、水平方向には屈曲部がない状態、このケースでは、上面から見てほぼ直線状態とされている。
【0023】
尚、図示はしないが、水槽6内に定格負荷が収容されて水槽6が最低の位置まで下がった場合でも、リード線31は、下方に垂れ下がった状態に保持されるようになっている。またこのとき、リード線31が水平方向に屈曲部がない状態とは、リード線引出部32から外箱側固定部33方向に向く方向に対し、リード線引出部32の引出し直後にリード線31が延びる方向が、水平方向に見て(上方から見て)、角度45°以内にある状態をいう。
【0024】
更に本実施形態では、前記リード線31のうち、前記リード線引出部32から外箱側固定部33までの間の最下点を除いた少なくとも1個所に、結束部37が設けられる。この実施形態では、例えば3箇所に位置して結束部37が設けられている。これら結束部37は、リード線31を構成する通電線及び信号線等が束になった状態で、バンドやテープ等で縛られることにより設けられている。
【0025】
次に、上記構成の作用、効果について述べる。上記構成においては、水槽6内の負荷(洗濯物や洗濯水の量)に応じて駆動機構部17が上下に変位すると共に、洗濯運転時に水槽6と共に上下或いは横方向に振動するため、それに伴い、リード線31に対し、引張りや屈曲などのストレスがかかる虞がある。ところが、本実施形態では、リード線31のリード線引出部32から外箱側固定部33までの間の部分が、たわんだ(ゆるく垂れ下がった)状態とされることにより、リード線31に対して作用する引張りや屈曲等のストレスを抑えることができる。
【0026】
そして、リード線31のたわみ部分が、外箱2や水槽6等の他の部分に接触する(当たる)ことがあると、リード線31が擦れて傷付いたり異音が発生したりすることが考えられる。ここで、もし、駆動機構部17のリード線引出部32が、外箱2の上面から見た辺の中央寄り部分に位置していると、リード線31が、水槽6と外箱2とに挟まれた狭い部分を通ることになり、それらに接触しやすくなる。
【0027】
これに対し、本実施形態では、駆動機構部17のリード線引出部32が、上面から見て、水槽6の水槽中心Oと、外箱2の一つのコーナーCとを直線でつなぐ第1仮想線L0に対し、水槽中心Oを中心として両側に夫々15°の角度範囲内に配置されている。これにより、リード線31を外箱2のコーナーC近傍の比較的広いスペースに配置することができ、水槽6や外箱2に接触することを効果的に防止することができるのである。
【0028】
さらに、外箱側固定部33についても、外箱2の上面から見て、辺の中央寄りに位置することは、リード線31が狭いスペースに配置されることから、好ましくない。本実施形態では、上記したリード線引出部32の位置に対し、外箱2の一辺に設けられる外箱側固定部33についても、第2仮想線L2が一辺の延びる方向に対し、約60°の角度θ1をなすように設けられている。これにより、リード線31を外箱2のコーナーC部分の広いスペースに配置することができ、水槽6や外箱2に接触することを効果的に防止することができる。本発明者等の研究によれば、第2仮想線L2が30°~60°の角度をなすように設けることが望ましいことが確認されている。
【0029】
また、リード線31の最下点と前記リード線引出部32との間の高さ方向の距離Aよりも、前記リード線31の最下点と前記外箱側固定部33との間の高さ方向の距離Bの方が大きくなるように構成した。このとき、リード線31のストレスを抑える観点から、リード線31を十分なたわみを有した状態に設けることが望ましいが、リード線引出部32は、外箱2の底部(台板4)に対し十分に上方に位置させることができないので、リード線31の最下点とリード線引出部32との間の高さ方向の距離Aを、さほど大きくすることはできない。これに対し、リード線31の最下点と外箱側固定部33との間の高さ方向の距離Bを大きくすることにより、リード線31の十分なたるみを確保することができ、ストレスの抑制に効果的となる。
【0030】
本実施形態では、リード線31のリード線引出部32から外箱側固定部33までの間の最下点を除いた位置に、結束部37を設けるようにした。リード線31の適宜な位置に結束部37を設けることにより、リード線31を構成する複数の線が分離状に広がって他の部材などに接触することを防止することができる。このとき、リード線31の最下部に結束部37を設けると、その最下部がいわばリンクの節になってストレスが掛かる虞があるが、結束部37は最下点を除いた位置とされているので、そのようなストレスを防止することができる。
【0031】
本実施形態では、外箱側固定部33を、リード線31を上下方向に延びるように保持する構成としたので、外箱側固定部33部分において、リード線31にストレスがかかることなく保持することができる。リード線31は、リード線引出部32と外箱側固定部33との間で、上下方向にはたるみを有しており、水平方向には非屈曲状態とされている。もしリード線31が水平方向に屈曲状態、つまり上面から見てS字状や、くの字状であると、その分、水槽6や外箱2に接触しやすくなるが、リード線31を、水平方向に非屈曲状態とすることにより、水槽6や外箱2に接触しにくい状態で配置することができる。
【0032】
このように本実施形態によれば、駆動機構部17のリード線引出部32から引出されたリード線31の、外箱2内の下部側における所定の配置を得るように構成した。これにより、リード線31に対するストレスを抑制しつつ、リード線31のたわみ部分が、水槽6や外箱2に接触することを極力防止することができ、リード線31を適切に配置することができるという優れた効果を奏する。
【0033】
(2)第2~第4の実施形態、その他の実施形態
図5図7は、順に第2~第4の実施形態を示すものである。これら第2~第4の実施形態では、駆動機構部17から引出されるリード線31の、水槽6底部のリード線引出部(及び外箱側固定部)の位置が、上記第1の実施形態とは異なっている。上記第1の実施形態と共通する部分については、同一符号を付して詳しい説明を省略し、以下、上記第1の実施形態(図3の構成)と異なる点について述べる。
【0034】
図5は、第2の実施形態を示している。この第2の実施形態においては、駆動機構部17からリード線31が引出されるリード線引出部41は、やはり、上面から見て、前記水槽6の水槽中心Oと、外箱2の一つ(左後)のコーナーCとを直線でつなぐ第1仮想線L1に対し、水槽中心Oを中心として両側に夫々15°の角度範囲内(図5に便宜上ハッチングを付して示す)に配置されている。
【0035】
一方、外箱2の背面板には、外箱側固定部42が、左後部のコーナーCの近傍に位置して設けられている。詳しく図示はしないが、この外箱側固定部42は、水槽6内が無負荷状態のリード線引出部41よりも上方に位置して設けられ、リード線31を上下方向に延びるように保持する。また、リード線31は、リード線引出部41と外箱側固定部42との間で、上下方向にはたるみを有しており、水平方向には屈曲部のない状態とされている。
【0036】
このとき、外箱2の上面から見て、それらリード線引出部41と外箱側固定部42とを直線的につなぐ第2仮想線L2は、外箱側固定部42を有する外箱2の一辺(背面板)の延びる方向に対してなす角度θ2が、30°~60°の角度、この場合約60°となるように配置されている。更にこのとき、前記第2仮想線L2は、上面から見て、吊り棒7aと交差するように配置されている。尚、吊り棒7aは、リード線31よりも上方に離間して位置されている。
【0037】
このような第2の実施形態によれば、上記第1の実施例と同様に、リード線31に対するストレスを抑制しつつ、リード線31のたわみ部分が、水槽6や外箱2に接触することを極力防止することができ、リード線31を適切に配置することができるという優れた効果を奏する。そして、第2仮想線L2が、上面から見て、吊り棒7aと交差する(又は重なる)ように配置されていることは、リード線31が水槽6と外箱2のコーナーC部分との間の広いスペースに配置されていることであり、リード線31の水槽6や外箱2に対する接触防止の効果に優れたものとなる。リード線31が、吊り棒7aに接触することがないことは勿論である。
【0038】
尚、第2仮想線L2が、上面から見て、吊り棒7aと重なるように配置するようにしても良く、上記第2の実施形態と同様の作用、効果を得ることができる。
【0039】
図6は、第3の実施形態を示している。この第3の実施形態では、リード線引出部51は、上面から見て、水槽6の水槽中心Oと、外箱2の左後のコーナーCとを直線でつなぐ第1仮想線L1に対し、水槽中心Oを中心として両側に夫々15°の角度範囲内(便宜上ハッチングを付して示す)のうち、その範囲の端部、つまり第1仮想線L1から時計回り方向にほぼ15°の位置に配置されている。
【0040】
一方、外箱2の背面板のコーナーCの近傍に位置して、外箱側固定部52が設けられている。このとき、外箱2の上面から見て、それらリード線引出部51と外箱側固定部52とを直線的につなぐ第2仮想線L2は、外箱側固定部52を有する外箱2の一辺(背面板)の延びる方向に対してなす角度θ3が、30°~60°の角度、この場合約45°となるように配置されている。
【0041】
図7は、第4の実施形態を示している。この第4の実施形態では、リード線引出部71は、上面から見て、第1仮想線L1に対し水槽中心Oを中心として両側に夫々15°の角度範囲内(便宜上ハッチングを付して示す)に設けられている。これに対し、外箱側固定部72は、外箱2の左側面板のうち、左後のコーナーCの近傍部分に設けられる。この場合も、外箱2の上面から見て、それらリード線引出部71と外箱側固定部72とを直線的につなぐ第2仮想線L2は、外箱側固定部72を有する外箱2の一辺(左側面板)の延びる方向(前後方向)に対してなす角度θ5が、30°~60°の角度、この場合約45°となるように配置されている。
【0042】
以上のような第3~第4の実施形態によっても、リード線引出部51,71及び外箱側固定部52,72の配置により、上記第1の実施例と同様に、リード線31に対するストレスを抑制しつつ、リード線31のたわみ部分が、水槽6や外箱2に接触することを極力防止することができ、リード線31を適切に配置することができるという優れた効果を得ることができる。
【0043】
尚、上記各実施形態では、リード線31を外箱2のうち、左後部のコーナーC部分に沿って上下方向に延びるように配置する構成としたが、外箱のうちの右後部のコーナー部や前部の左右のコーナー部にリード線を配置する構成であっても良い。リード線31を外箱2に保持する構成として、外箱側固定部のみを説明したが、外箱側固定部よりもさらに上方に位置して、同様のリード線31の保持部を、外箱内やトップカバー内の複数個所に設けるようにしても良い。また、上記実施形態では、リード線31が接続される電子ユニット30を、トップカバー20内に設けるようにしたが、外箱2内部(背面板の内面の点検口の近傍等)に設ける構成であっても良い。
【0044】
更には、上記実施形態では、水槽6の外底部に洗濯機モータや伝達機構を一体化した駆動機構部17を設けるようにしたが、そのような駆動機構部に代えて、減速機構部と洗濯機モータとを別体に並べて設けて、洗濯機モータの駆動力をベルト伝達機構によって減速機構部に伝達する構成であっても良く、駆動機構部の形状や構造についても種々の変更が可能である、その他、洗濯機全体の具体的構成や、リード線引出部及び外箱側固定部の位置や保持形態、結束部を設ける位置や個数等についても、様々な変形が可能であるなど、要旨を逸脱しない範囲内で適宜変更して実施し得るものである。
【0045】
本明細書では、特許請求の範囲に記載された構成に加えて、次の構成1~構成3が記載されている。
(構成1)
前記駆動機構部のリード線引出部は、上面から見て、前記水槽の水槽中心と、前記一つのコーナーとを直線でつなぐ第1仮想線に対し、前記水槽中心を中心として両側に夫々15°の角度範囲内に配置されている構成。
(構成2)
前記駆動機構部は、水槽の外底部に設けられ洗濯機モータや伝達機構を一体化した駆動機構部である構成。
(構成3)
前記リード線引出部及び前記外箱側固定部は、前記外箱の上面から見て、それらリード線引出部と外箱側固定部とを直線的につなぐ第2仮想線が、前記外箱側固定部を有する外箱の一辺の延びる方向に対し、30°~60°の角度をなすように配置されている構成。
【符号の説明】
【0046】
図面中、1は洗濯機、2は外箱、6は水槽、7は弾性吊持機構、7aは吊り棒、17は駆動機構部、30は電子ユニット、31はリード線、32,41,51,71はリード線引出部、33,42,52,72は外箱側固定部、37は結束部、Cはコーナー、Oは水槽中心、L1は第1仮想線、L2は第2仮想線を示す。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7