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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-01-16
(45)【発行日】2023-01-24
(54)【発明の名称】ビデ洗浄リング
(51)【国際特許分類】
   E03D 9/08 20060101AFI20230117BHJP
   A47K 13/30 20060101ALI20230117BHJP
   B64D 11/02 20060101ALI20230117BHJP
【FI】
E03D9/08 B
A47K13/30 Z
B64D11/02
【請求項の数】 19
(21)【出願番号】P 2019544808
(86)(22)【出願日】2018-02-21
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-03-26
(86)【国際出願番号】 US2018018932
(87)【国際公開番号】W WO2018156566
(87)【国際公開日】2018-08-30
【審査請求日】2021-02-05
(31)【優先権主張番号】62/461,446
(32)【優先日】2017-02-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】511158649
【氏名又は名称】エムエージー エアロスペイス インダストリーズ, エルエルシィ
(74)【代理人】
【識別番号】100099793
【弁理士】
【氏名又は名称】川北 喜十郎
(72)【発明者】
【氏名】ポメロイ, ジェームズ ダブリュ.
(72)【発明者】
【氏名】ウィルバンクス, ロジャー マイケル
(72)【発明者】
【氏名】ゲッシェル,クリストフ
(72)【発明者】
【氏名】スタコウスキ,ジューグ
【審査官】広瀬 杏奈
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-038387(JP,A)
【文献】特開平07-003857(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0137318(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2014/0208498(US,A1)
【文献】欧州特許出願公開第01491693(EP,A2)
【文献】特開2010-084353(JP,A)
【文献】特開2008-095460(JP,A)
【文献】特開2004-308230(JP,A)
【文献】特開2010-101166(JP,A)
【文献】特開2008-285837(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E03D 9/00-9/16
A47K 13/00-17/02
A47K 11/00-11/12
E03D 1/00- 7/00
B64D 11/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
便器ビデシステムであって、便器フレームと協働するように構成されたビデ洗浄リングを含み、前記ビデ洗浄リングがワンドと、ワンドハウジングと、ワンド支持体とを含み、
前記ビデ洗浄リングは、真空式便器のビデ機能を備えない洗浄リングと取り替え可能である、便器ビデシステム。
【請求項2】
前記ワンドハウジングは、内部ガレージスペースを画定する請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
更に、ワンド除菌システムを含む請求項1又は2に記載のシステム。
【請求項4】
前記除菌システムは、前記ワンドハウジング内に位置する1つ以上のUV LEDを含む請求項3に記載のシステム。
【請求項5】
前記ワンドハウジングは、前記ワンド用の内部ガレージスペースを画定するように構成されたフランジを含む請求項1からのいずれか一項に記載のシステム。
【請求項6】
前記ワンドハウジングは、開閉蓋又は扉を含む請求項1からのいずれか一項に記載のシステム。
【請求項7】
前記ワンドハウジングは、1つ以上の洗浄噴射孔、1つ以上の個別洗浄噴射孔、又はその組合せを含む洗浄バーを含む請求項1からのいずれか一項に記載のシステム。
【請求項8】
更に、前記ワンドの動きを始動させるように構成された駆動システムを含む請求項1からのいずれか一項に記載のシステム。
【請求項9】
前記駆動システムは、歯付きタイミングベルトと、モータワンドギヤとを含む請求項8に記載のシステム。
【請求項10】
前記駆動システムは、前記ワンドの拡張部と協働する突起を有する月ギヤ機構を含む請求項8に記載のシステム。
【請求項11】
更に、前記ビデ洗浄リングを介した水送達を制御するように構成された1つ以上のマイクロ弁を含む請求項1から10のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項12】
更に、ビデ洗浄リングサイフォン防止弁を含む請求項1から11のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項13】
更に、加熱装置を含む請求項1から12のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項14】
前記加熱装置は、1つ以上の給水管に沿って配管される請求項13に記載のシステム。
【請求項15】
更に、ドライヤー機構を含む請求項1から14のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項16】
更に、前記ビデ洗浄リングを介して送達される洗浄水の温度、圧力、方向、量、又はそれらの組合せをカスタマイズするように構成されたユーザー制御を備えるユーザー操作パネルを含む請求項1から15のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項17】
前記システムは、乗客輸送機器用の便器ビデシステムであって、
前記ワンドは、1つ以上のワンド噴射孔を含み、前記1つ以上のワンド噴射孔を介して洗浄水を送達するように構成された1つ以上の送水管と流体的に協働可能であ
前記送達される洗浄水の温度、圧力、方向、量、又はそれらの組合せをカスタマイズするように構成されたユーザー制御を備えるユーザー操作パネルをさらに含む請求項1に記載のシステム。
【請求項18】
前記乗客輸送機器は、航空機を含む請求項17に記載のシステム。
【請求項19】
航空機便器を便器ビデシステムに改造する方法であって、
前記航空機便器のビデ機能を備えない洗浄リングを、請求項1から18のいずれか一項に記載の前記ビデ洗浄リングに取り替えることと、
前記ワンドに送水管を接続することと、
前記航空機便器の近くにユーザー操作パネルを設置することとを含む方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、2017年2月21日に出願された『ビデ洗浄リング』と題する米国仮出願第62/461,446号の優先権を主張し、その開示内容全体を援用して本文の記載の一部とする。
【0002】
本開示の実施形態は、一般に、乗客輸送機器上で使用するための便器ビデシステムに関する。具体的には、独立型便器を、便器とビデを組み合わせたシステムに変換するビデ洗浄リングが記載される。デザインは、航空機のような乗客輸送機器に搭載されて特に使用される。このようなシステムは、効率的なスペース管理から恩恵を受け、一般に、別個の便器とビデとをサポートすることはできない。本書に記載されるビデ洗浄リングは、工場で便器に取り付けることができる。他の例では、既存の便器を改造するために、標準的な洗浄リングを本ビデ洗浄リングに取り替えることができる。
【背景技術】
【0003】
航空機や他の乗客輸送機器の内装の技術者及び設計者は、乗客に快適で楽しい体験を提供しつつ、効率的なスペース管理に対応しなければならない。航空機や他の乗客輸送機器の洗面所は、とりわけ小さい。これは、高級な、あるいは個人所有の輸送機器の場合であっても同様であろう。
【0004】
いろいろな国の出身のいろいろな経歴を有する乗客が世界中で航空機や他の輸送機器で旅をする。ビデの使用は、米国では広く一般に標準となってはいないが、ビデは、多くの他の国々では極めてありふれたものである。したがって、航空機や他の輸送機器の洗面所において、ビデという選択肢が提供されるのは望ましいであろう。この場合、完全に別個のビデを提供するスペースを要することなく、洗面所を使用する乗客を洗浄するシステムを提供するのが望ましい。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
便器とビデの組合せシステムは、家庭(又は地上)用として設計されてきた。これらのシステムは、一般に、便器フレーム内にケーシング又はハウジングを提供し、このケーシング又はハウジングが制水や他の機能のサポートも行う。しかし、これらの便器とビデのシステムは、航空機(又は他の輸送機器)の真空式便器に組み込むことができない機能をたくさん組み込んでいる。航空機用に設計された他の組合せシステムは、便座自体を、1つ以上のビデ機能を有するように改変しようとした。改良が望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
したがって、本書に記載される本発明の実施形態は、便器フレームと協働するように構成され、ワンド(wand)ハウジングとワンド支持体とを含むビデ洗浄リングを有する便器ビデシステムのシステムと方法を提供する。ビデ洗浄リングは、真空式便器の標準的な洗浄リングに取って代わることができる。便器ビデシステムは、洗浄水をユーザーに送達するように設計されたワンド噴射孔を有するビデワンドを備える。
【0007】
使用していないとき、ワンドは、内部ガレージスペースを画定するワンドハウジング内に格納され得る。便器ビデシステムの内部ガレージスペース又は他の領域は、ワンド除菌システムを提供し得る。そのような除菌システムの一例は、ワンドハウジング内に位置する1つ以上の紫外線発光ダイオード(UV LED)であり得る。内部ガレージスペースは、更に、1つ以上の洗浄噴射孔、又は1つ以上の個別洗浄噴射孔、又はその組合せを含む洗浄バーを特徴とし得る。駆動システムは、ワンドの動きを始動させるように構成される。マイクロ弁は、ビデ洗浄リングを介した水送達を制御するように構成される。
【0008】
加熱装置を介してユーザーに送達される水の温度を制御することができる。加熱装置は、1つ以上の給水管に沿って配管することができる。ドライヤー機構を提供することも可能である。便器ビデシステムは、ビデ洗浄リングを介して送達される洗浄水の温度、圧力、方向、量、又はそれらの組合せをカスタマイズするように構成されたユーザー制御を備える操作パネルを介してユーザーがカスタマイズすることができる。
【0009】
また、乗客輸送機器用の便器ビデシステムが提供され、この便器ビデシステムは、ワンドハウジングを含むビデ洗浄リングと、1つ以上のワンド噴射孔を含み、1つ以上のワンド噴射孔を介して洗浄水を送達するように構成された1つ以上の送水管と流体的に協働可能なワンドと、送達される洗浄水の温度、圧力、方向、量、又はそれらの組合せをカスタマイズするように構成されたユーザー制御を備える操作パネルとを含む。実施形態は、航空機に搭載して特に使用される。
【0010】
更に、航空機便器を便器ビデシステムに改造する方法が提供され、この方法は、航空機便器の標準的な洗浄リングを本書に記載されるビデ洗浄リングに取り替え、送水管をワンドに接続し、航空機便器の近くにユーザー操作パネルを設置することを含む。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】標準的な洗浄リングの取り外しとビデ洗浄リングへの取り替えを例示する、便器ビデシステムの分解斜視図を示す。
【0012】
図2】(ワンドとの組み立て前に)ビデ洗浄リングを適切な位置に置いた、図1の便器ビデシステムの正面斜視図を示す。
【0013】
図3】ワンドが格納位置にある便器ビデシステムを例示する。
【0014】
図4】ワンドが展開位置にある便器ビデシステムを例示する。
【0015】
図5】ワンドが格納位置にある内部ガレージスペースの背面斜視図を例示する。
【0016】
図6】開閉蓋又は扉を有する内部ガレージスペースの上面斜視図を例示する。
【0017】
図7A図6の透明図を例示する。
【0018】
図7B】ガレージ開閉装置を取り除いた図6の図を例示する。
【0019】
図7C】ワンド噴射孔の一実施形態とワンドの拡大図を例示する。
【0020】
図8A】ワンドの動きを始動させる駆動システムの一実施形態の背面斜視図を例示する。
【0021】
図8B】ワンドトラックを示す図8Aの背面図を例示する。
【0022】
図9】ワンドが格納位置にある図8の実施形態を例示する。
【0023】
図10】ワンドが展開位置にある図8の実施形態を例示する。
【0024】
図11A】ワンドが格納位置にある図8の実施形態を例示し、拡大されたギヤード駆動システムを例示する。
【0025】
図11B】ワンドの動きを始動させるギヤード駆動システムを伴う図11Aの実施形態を例示する。
【0026】
図11C】ワンドが展開位置にある図11Aの実施形態を例示する。
【0027】
図12】ワンドに水を送達する水系システムの一実施形態の背面斜視図を例示する。
【0028】
図13】ワンドに水を送達する水系システムの代替実施形態の背面斜視図を例示する。
【0029】
図14】便器ビデシステムに関連して使用するためのサイフォン防止弁と加熱装置の拡大図を示す。
【0030】
図15】便器ビデシステムに関連して使用するためのドライヤー機構の上面斜視図を例示する
【0031】
図16】便器ビデシステムに関連して使用するための操作パネルの一実施形態を例示する。
【0032】
図17】便器ビデシステムに関連して使用するための操作パネルの代替実施形態を例示する。
【発明を実施するための形態】
【0033】
本発明の実施形態は、便器ビデシステム10を提供する。このシステム10は、便器フレーム14及び/又は便器ボウル16と協働するように構成されたビデ洗浄リング12を備える。ビデ洗浄リング12は、真空式便器と共に現在使用されている標準的な洗浄リング18の代わりに使用し得る。図1は、便器フレーム14を、その中に位置する便器ボウル16と共に例示する。標準的な洗浄リング18を取り除いて、ビデ洗浄リング12に取り替ているところである。図2は、ビデ洗浄リング12を適切な位置に取り付けた便器ビデシステム10を例示する。
【0034】
さて、図1のビデ洗浄リング12を参照すると、このリング12には、ワンドガレージ又はハウジング100と、ワンド支持体102とが設けられている。以下に更に記載するように、このハウジング100は、ユーザーにビデ水を送達するための1つ以上のワンドを収納する若しくは取り囲む。ワンド支持体102は、ハウジング100からの支持された出口を提供する。ワンド支持体102は、ハウジング100と協働し、ビデ洗浄リング12の後壁を貫通して延びる。使用中、ワンドの後部は、ワンドを介して流体を送達するように構成された1つ以上の送水管に流体的に接続される。ビデ洗浄リング12は、標準的な洗浄リング18の多くの特徴を有し、そのような特徴は、公知であり本書には記載されない。例えば、ビデ洗浄リングは、同様の便器縁協働システム、内部洗浄水送達リング若しくはシステム、及び/又は他の関連する機能を有し得る。これらの機能に加えて、ビデ洗浄リング12は、本書に記載されるワンド及びビデ機能を備える。
【0035】
さて、図3及び図4を参照すると、ビデ洗浄リング12には、1つ以上のワンド20が設けられている。画像は単一のワンド20を示すが、所望するならば、2つ以上のワンドを使用してよいと理解されるべきである。図3は、収納位置にあるワンド20を例示する。図4は、拡張/使用位置にあるワンド20を例示する。収納される場合は、ワンドは、ワンドハウジング22内に格納され得る。示される例では、ワンドハウジング22は、ビデリング円周24に略連続して形成される。ワンドハウジング22は、2つの下方に延びるフランジ26と天井30とによって画定され、これらがまとまって内部ガレージスペース28を画定する。内部ガレージスペース28は、便器ボウル内部に開口し得る。例えば、図5に例示されるように、ワンド20は、内部ガレージスペース28内に支持されているが、下からアクセス可能である。内部ガレージスペース28は、更に、1つ以上の洗浄噴射孔及び/又は殺菌用の1つ以上のUV LED42を収納し得る。一例では、1つ以上の洗浄噴射孔が内部ガレージスペース28内に設けられ、収納時にワンドを洗浄するために使用され得る。洗浄噴射孔は、ガレージの後部に沿って位置し得る。それら洗浄噴射孔は、ユーザーに送達するためにワンドに洗浄水を供給するのと同じ水源と流体連通し得る。ある代替例では、洗浄噴射孔は、図7Bに例示されるように、洗浄バー36に沿って位置し得る。
【0036】
1つ以上のUV LED42は、設置された場合は、ワンド20全体を使用前及び/又は後に殺菌するために使用し得る。また、UV LEDが、安全のため及び/又は美的な目的のために所望の照明機能をシステムに付加することもできる。加えて、あるいはそれに代えて、代替殺菌手段を設けてもよい。いくつかの例では、ワンドを洗浄するために、酸化銀ナノ粒子を使用し得る。内部ガレージスペース28内に殺菌システムを配置すると、乗客が不正操作するのを防ぐのに役立つだけでなく、(例えば、ガレージ天井30の存在により、UV光がユーザーの目に届くのを阻止することによって)乗客に安全を提供するのに役立ち得る。
【0037】
代替例では、内部ガレージスペース28には、そのスペース28を略取り囲む蓋又は扉32が設けられ得る。この例では、ワンド20が起動されると、その動きが蓋又は扉32を押して開ける。この実施形態は、図6及び図7Aに例示される。
【0038】
ワンド20は、内部ガレージスペース28内においてワンド支持体102によって支持される。ワンド支持体は、ビデ洗浄リング12を適切な位置へ固定するのを助けるために使用され得る受金具34を特徴とし得る。例示されるように、ワンド支持体102は、ワンドの外形を略たどる形状を有する。例示される例では、この形状は円形であるが、代替形状(例えば、正方形、長方形、楕円形、丸みを帯びた三角形、三角形、又はその他の選択肢)が可能であって本開示の範囲内と見なされる。
【0039】
図7Bは、ワンドガレージ又はハウジング100が取り除かれて、洗浄バー36と協働して使用されるワンド20を例示する。上記のように、洗浄バー36は、使用と使用の間にワンドを洗浄するための洗浄水又は流体を送達し得る。洗浄バー36を水源/洗浄流体源に流体接続する流体管38が示されている。洗浄バー36を使用しないで、個別洗浄噴射孔又は複数の洗浄噴射孔を同様の場所に沿って設けてもよい。ワンド20には、更に、使用するユーザーに洗浄水を直接送達するための1つ以上のワンド噴射孔64が設けられる。図7Cは、ワンド噴射孔64を備えるワンド20の一実施形態を例示する。示されるように、ワンド噴射孔64は、ユーザーに送達される洗浄水に任意の角度をもたせるために、ワンド20の屈曲アーム部65に位置し得る。
【0040】
ワンド20の機械的動作は、駆動システム46を介して制御され得る。駆動システム46は、ワンド20を拡張及び格納するように構成された適切なシステムであり得る。図8Aに例示される例では、駆動システム46は、歯付きタイミングベルト48、ベルトテンショナ50、及びステッパモータワンド駆動部52を特徴とする。歯付きタイミングベルト48は、モータ52をワンド20に接続し、ベルトテンショナ50は、歯付きタイミングベルトをきつく張った状態に保つ。ワンドは、ワンドトラック44に案内され、便器フレーム上の後部ビデ取付台の後部から延び得る。この一例が図8Bに例示されている。
【0041】
他の駆動システムが可能であり、本開示の範囲内と見なされる。例えば、図9から図11に例示される代替駆動システムは、ギヤシステム54を含む。ギヤシステム54は、回転ギヤ56及びモータ52を介して、ワンド20をその格納位置(図9)とその拡張位置(図10)との間で操作するように作動し得る。例示される例では、回転ギヤ56は、月ギヤ(即ち、半月状の形状)である。更に例示されているように、ワンド20は、ギヤ機構62と協働するように構成された拡張部60を有し得る。図11Aに示されるように、ワンド20が格納位置にあるとき、拡張部60とギヤ機構62が第1の外側位置を画定する。回転ギヤ56が動くにつれ、ギヤ機構62(ワンド20の細長い拡張部60によって受容されるギヤの起立突起として例示される)が、ギヤ機構62の拡張部60に対する移動を介して、ワンド20をその拡張位置の方へ押す。図11Bは、扉32を介して内部ガレージスペース28から出始めるワンド20を例示する。図11Cは、拡張位置にあるワンド20を例示する。ガレージ扉32は、任意の特徴であって、機能するために設ける必要はないことを理解されるべきである。
【0042】
これらの画像は、更に、1つ以上のワンド噴射孔64が存在することを例示する。ワンド噴射孔64は、流体が沿って流れることができるワンド20の1つ以上の開口として設計されている。図11C及び図12に例示されるように、ワンドの後部66は、1つ以上のワンド噴射用送水管68と協働する。ワンド噴射用送水管68は、更に、各種送水機能を調整する手助けをすることができるマイクロ弁70と協働する。マイクロ弁70は、主要給水管72と協働する。主要給水管72は、ビデ洗浄水を送達するために許容できる適切な水源と流体的に協働し得る。
【0043】
代替例では、マイクロ弁は、図13及び図14に例示されるマイクロ電磁弁であり得る。これらの弁70は、洗浄水の送り先であるワンド噴射孔64と洗浄噴射孔及び/又は洗浄バー36との間を切り替えることができる。流体マニホールドボード76は、各種構成部品の間で水を向かわせる手助けをし得る。図13に例示されるように、このボード76は、1つ以上のワンド噴射用送水管68と協働し得る。これらの図は、更に、(便器サイフォン防止弁98に加えて)ビデサイフォン防止弁78を例示する。ビデサイフォン防止弁78は、ビデ洗浄システム内の水が、携帯用水源であり得る水源に戻るのを阻止して汚染防止に役立ち得る。
【0044】
加熱装置80も設置し得る。加熱装置80は、オンデマンド水加熱器であり得る。これによって、送達される水の迅速な温度変更が可能となり、多量の水を加熱する必要をなくして省エネに役立つ。特定の例では、加熱装置80は、送水システムに沿って設けられる。
【0045】
図15は、ドライヤー機構82を例示する。ドライヤー機構82は、温風を吹きかけるように設計され、便器ビデシステム10を使用したユーザーを乾かすことができる。
【0046】
ユーザーは、様々な送水機能を制御することができるであろう。限定されない例は、水温、水圧、ワンド位置、噴射の量と範囲、乾燥、又はその他機能を含む。操作パネル90は、便器ビデシステムの設置場所の近くに取り付けられ得る。一例では、操作パネルは、洗面所の壁又はキャビネット上であって、使用中のユーザーの手の届く範囲に取り付けられる。例示的な操作パネルが図16図17に例示されている。ワンドが起動された時点で、ユーザーは、所望の体験をカスタマイズするために各種機能を調整することができる。代替のデザインが可能であって、本開示の範囲内と見なされることを理解すべきである。
【0047】
ビデ洗浄水は、新鮮な水源から引かれると一般に思い描く。これは、輸送機器に搭載される新鮮な水/携帯型水タンクであることが多い。しかし、最近の技術は、グレイウォーター(手洗い又はその他活動から生じる使用後の流し台水を指すために使用される用語)を、便器洗浄用途に十分なレベルにまでろ過するろ過を可能にした。技術は、グレイウォーターを、ビデ洗浄に関して使用するために十分にろ過して殺菌する時点まで進化し得ると想定される。
【0048】
ワンドは、自動排水機能を有するように設けることもでき、それによって、一度目の使用に係る全ての水が二度目の使用前にワンドから抜かれる。これは、ワンド内の溜まり水が、次のユーザーにとって冷たくなり過ぎるのを防ぐのに役立つことができる。これは、更に、航空機が使用されないときに、ワンド内の溜まり水が凍るのを防ぐことができる。(これは、コーヒーメーカー、スチームオーブンなどのような他の航空機システムで使用される排水管を介して達成し得る。限定されない例は、重力排水管及びエアマスト排水管を含む。)
【0049】
回転弁を使用する家庭用ビデに対し、本書に記載される便器ビデシステムの弁は、航空宇宙級のソレノイド又はマイクロソレノイドであるべきである。航空機及び他の乗客輸送機器は、家庭又は地上のビデシステムでは体験されない振動及び起こり得る衝撃にさらされる。したがって、本書に記載される便器ビデシステムに関して使用される弁及び制御装置は、航空宇宙級であって、現行の連邦規制及び要件を満たすよう試験されるべきである。
【0050】
本書に記載されるビデ洗浄リング12は、工場から配送される時に、製造済み便器に取り付けることができる。他の例では、便器を本書に記載される便器ビデシステムに変換するために、標準的な洗浄リング18をビデ洗浄リング12に取り替えることができる。この変換は、翌日仕上がりのサービスで成し遂げることができる。ビデ洗浄リングが位置付けられた時点で、ワンドを設置して送水管を接続する。ユーザー操作パネルは、洗浄水の温度、圧力、送達方向、送達水量、又はこれらの組合せなどの多様な水質のユーザー制御を可能にするために、便器の近く設置し得る。
【0051】
本書に記載される便器ビデシステムは、従来の家庭又は地上のビデシステムより使用頻度がはるかに高いため、本書に記載される各種特徴、特にワンドに1つ以上の抗菌コーティングをすることは可能である。ワンドは、更に、特定回数使用後に新鮮な水がワンドに流されるように、自己洗浄に設計することもできる。上記に記載のUV殺菌光又は酸化銀ナノ粒子も、実施し得る可能な洗浄選択肢である。
【0052】
上記に記載され図面に示される構造及び方法に対し、本開示又は以下の請求項の範囲又は趣旨から逸脱しない範囲で変更及び改変、付加及び削除がなされ得る。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7A
図7B
図7C
図8A
図8B
図9
図10
図11A
図11B
図11C
図12
図13
図14
図15
図16
図17