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特許7211967リサイクルドコンテンツを高量含む高性能アスファルト組成物における化合物のリジュベネート処理
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-01-16
(45)【発行日】2023-01-24
(54)【発明の名称】リサイクルドコンテンツを高量含む高性能アスファルト組成物における化合物のリジュベネート処理
(51)【国際特許分類】
   C08L 95/00 20060101AFI20230117BHJP
   C08K 3/013 20180101ALI20230117BHJP
   C08L 91/00 20060101ALI20230117BHJP
   E01C 7/26 20060101ALN20230117BHJP
【FI】
C08L95/00
C08K3/013
C08L91/00
E01C7/26
【請求項の数】 53
(21)【出願番号】P 2019555952
(86)(22)【出願日】2018-04-12
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-06-11
(86)【国際出願番号】 US2018027309
(87)【国際公開番号】W WO2018191501
(87)【国際公開日】2018-10-18
【審査請求日】2021-02-22
(31)【優先権主張番号】62/484,526
(32)【優先日】2017-04-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/597,678
(32)【優先日】2017-12-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】397058666
【氏名又は名称】カーギル インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100106518
【弁理士】
【氏名又は名称】松谷 道子
(74)【代理人】
【識別番号】100132263
【弁理士】
【氏名又は名称】江間 晴彦
(72)【発明者】
【氏名】トッド・クルト
(72)【発明者】
【氏名】スコット・ニヴンズ
(72)【発明者】
【氏名】クリストファー・スティーバーマー
(72)【発明者】
【氏名】アンソニー・ジョセフ・シルヴェスター
(72)【発明者】
【氏名】ハッサン・タバタバイー
【審査官】岡部 佐知子
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2016/138390(WO,A1)
【文献】国際公開第2016/138384(WO,A1)
【文献】特表2016-537497(JP,A)
【文献】特表2015-514859(JP,A)
【文献】国際公開第2016/149102(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08L 95/00
C08K 3/013
C08L 91/00
E01C 7/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
リジュベネート剤、歴青及び骨材を混合してアスファルト混合物を得ることを含む方法であって、
前記リジュベネート剤が、前記歴青の重量基準で1~3wt%の範囲内の量で存在し、
少なくとも35wt%の前記歴青が、リサイクルドアスファルトコンテンツから誘導され
前記アスファルト混合物が、ハンブルグホイールトラッキング試験基準により判定されるように、12.5mm未満のわだち掘れを達成し、且つ
前記リジュベネート剤が重合オイルである、前記方法。
【請求項2】
リジュベネート剤、歴青及び骨材を混合してアスファルト混合物を得ることを含む方法であって、
前記リジュベネート剤が、前記歴青の重量基準で1~3wt%の範囲内の量で存在し、
少なくとも35wt%の前記歴青がリサイクルドアスファルトコンテンツから誘導され
前記アスファルト混合物が、ディスクコンパクト引張試験基準により判定されるように400J/m超の亀裂抵抗を達成し、且つハンブルグホイールトラッキング試験基準により判定されるように12.5mm未満のわだち掘れを達成し、且つ
前記リジュベネート剤が重合オイルである、前記方法。
【請求項3】
リジュベネート剤、歴青及び骨材を混合してアスファルト混合物を得ることを含む方法であって、
前記リジュベネート剤が、前記歴青の重量基準で1~3wt%の範囲内の量で存在し、
少なくとも35wt%の前記歴青が、リサイクルドアスファルトコンテンツから誘導され
前記アスファルト混合物が、NEN-EN12697-25試験基準により判定されるように0.6um/m/サイクル未満のわだち掘れを達成し、NEN-EN12697-12により判定されるように80%超の引張強度比を達成し、且つNEN-EN12697-24により判定されるように4点ビーム疲労εが90μm/m超を達成、且つ
前記リジュベネート剤が重合オイルである、前記方法。
【請求項4】
リジュベネート剤、歴青及び骨材を混合してアスファルト混合物を得ることを含む方法であって、
前記リジュベネート剤が、前記歴青の重量基準で1~3wt%を構成し、
少なくとも35wt%の前記歴青が、リサイクルドアスファルトコンテンツから誘導され
前記アスファルト混合物が、APA試験基準で判定された7mm未満のわだち掘れ、少なくとも100サイクルの耐亀裂性を達成し、且つ
前記リジュベネート剤が重合オイルである、前記方法。
【請求項5】
リジュベネート剤、歴青及び骨材を混合してアスファルト混合物を得ることを含む方法であって、
前記リジュベネート剤が、前記歴青の重量基準で1~3wt%を構成し、
少なくとも35wt%の前記歴青が、リサイクルドアスファルトコンテンツから誘導され
前記アスファルト混合物が、-20℃にて少なくとも200J/m、または0℃にて少なくとも250J/m、または25℃にて少なくとも300J/mの破壊エネルギーを達成し、且つ
前記リジュベネート剤が重合オイルである、前記方法。
【請求項6】
リジュベネート剤、歴青及び骨材を混合してアスファルト混合物を得ることを含む方法であって、
前記リジュベネート剤が、前記歴青の重量基準で1~3wt%を構成し、
少なくとも35wt%の前記歴青が、リサイクルドアスファルトコンテンツから誘導され
前記アスファルト混合物が、0℃以下の混合物Tgを達成し、且つ
前記リジュベネート剤が重合オイルである、前記方法
【請求項7】
前記重合オイルが生物再生可能オイル供給源から誘導される、請求項1~6に記載の方法。
【請求項8】
前記重合オイルが、硫化技術を用いて重合される、請求項1~6に記載の方法。
【請求項9】
前記歴青がバージン歴青を更に含む、請求項1~6に記載の方法。
【請求項10】
前記歴青がポリマー改質歴青である、請求項1~6に記載の方法。
【請求項11】
前記リサイクルドアスファルトコンテンツが1回を超えてリサイクルされている、請求項1~6に記載の方法。
【請求項12】
少なくとも50wt%の歴青がリサイクルドアスファルトコンテンツから誘導される、請求項1~6に記載の方法。
【請求項13】
少なくとも60wt%の歴青が、リサイクルドアスファルトコンテンツから誘導される、請求項1~6に記載の方法。
【請求項14】
少なくとも70wt%の歴青が、リサイクルドアスファルトコンテンツから誘導される、請求項1~6に記載の方法。
【請求項15】
少なくとも80wt%の歴青が、リサイクルドアスファルトコンテンツから誘導される、請求項1~6に記載の方法。
【請求項16】
少なくとも85wt%の歴青が、リサイクルドアスファルトコンテンツから誘導される、請求項1~6に記載の方法。
【請求項17】
少なくとも90wt%の歴青が、リサイクルドアスファルトコンテンツから誘導される、請求項1~6に記載の方法。
【請求項18】
少なくとも95wt%の歴青が、リサイクルドアスファルトコンテンツから誘導される、請求項1~6に記載の方法。
【請求項19】
100wt%の歴青が、リサイクルドアスファルトコンテンツから誘導される、請求項1~6に記載の方法。
【請求項20】
前記リサイクルドアスファルトコンテンツが、リサイクルドアスファルト舗装、またはリサイクルドアスファルト屋根板、または溶剤脱アスファルト処理プロセスの結果として得られたアスファルトのいずれかである、請求項1~6に記載の方法。
【請求項21】
前記リサイクルドアスファルトコンテンツが、リサイクルドポリマー改質アスファルト舗装である、請求項1~6に記載の方法。
【請求項22】
前記リサイクルドアスファルトコンテンツがリサイクルドワックス改質アスファルト舗装である、請求項1~6に記載の方法。
【請求項23】
前記リサイクルドアスファルトコンテンツが、リサイクルド多孔質アスファルト舗装である、請求項1~6に記載の方法。
【請求項24】
前記リサイクルドアスファルトコンテンツが、温暖ミックス、剥離防止剤、乳化剤、及び/またはワックス添加剤で処理された舗装からのものである、請求項1~6に記載の方法。
【請求項25】
前記リジュベネート剤及び歴青を前記アスファルト混合物中にエマルジョンの形態で組み込むことが可能である、請求項1~6に記載の方法。
【請求項26】
前記リジュベネート剤を前記アスファルト混合物中にエマルジョンの形態で組み込むことが可能である、請求項1~6に記載の方法。
【請求項27】
道路用途向けに、請求項1~6に従って製造された前記アスファルト混合物の使用。
【請求項28】
屋根ふき用途向けに、請求項1~6に従って製造された前記アスファルト混合物の使用。
【請求項29】
リジュベネート剤と歴青と骨材とを含む、リジュベネート処理済アスファルトであって、
前記リジュベネート剤が、前記歴青の重量基準で1~3wt%の範囲内の量で存在し、
少なくとも35wt%の前記歴青がリサイクルドアスファルトコンテンツから誘導され、且つ
前記リジュベネート剤が重合オイルである、前記リジュベネート処理済アスファルト
【請求項30】
前記リジュベネート剤が、生物再生可能オイル供給源から誘導される、請求項29に記載のアスファルト。
【請求項31】
前記重合オイルが、硫化技術を用いて重合される、請求項29に記載のアスファルト。
【請求項32】
前記歴青がバージン歴青を更に含む、請求項29に記載のアスファルト。
【請求項33】
前記歴青がポリマー改質歴青である、請求項29に記載の方法。
【請求項34】
少なくとも50wt%の歴青がリサイクルドアスファルトコンテンツから誘導される、請求項29に記載のアスファルト。
【請求項35】
少なくとも60wt%の歴青がリサイクルドアスファルトコンテンツから誘導される、請求項29に記載のアスファルト。
【請求項36】
少なくとも70wt%の歴青がリサイクルドアスファルトコンテンツから誘導される、請求項29に記載のアスファルト。
【請求項37】
少なくとも80wt%の歴青がリサイクルドアスファルトコンテンツから誘導される、請求項29に記載のアスファルト。
【請求項38】
少なくとも85wt%の歴青がリサイクルドアスファルトコンテンツから誘導される、請求項29に記載のアスファルト。
【請求項39】
少なくとも90wt%の歴青が、リサイクルドアスファルトコンテンツから誘導される、請求項29に記載のアスファルト。
【請求項40】
少なくとも95wt%の歴青がリサイクルドアスファルトコンテンツから誘導される、請求項29に記載のアスファルト。
【請求項41】
100wt%の歴青がリサイクルドアスファルトコンテンツから誘導される、請求項29に記載のアスファルト。
【請求項42】
前記リジュベネート剤のヒルデブラント溶解度パラメーターが6~12の範囲内である、請求項29に記載のアスファルト。
【請求項43】
前記リジュベネート剤が、リサイクルドアスファルトコンテンツに由来する歴青の樹脂画分を補充する、請求項29に記載のアスファルト。
【請求項44】
前記リジュベネート剤の酸化誘導時間が130℃にて15分以上である、請求項29に記載のアスファルト。
【請求項45】
前記リジュベネート剤が、空気圧2.1MPa、100℃にて加圧劣化試験で20時間経年劣化させた後の、60℃での粘度増分が経年劣化前のリジュベネート剤と比べて300%以下である、請求項29に記載のアスファルト。
【請求項46】
前記リジュベネート剤が前記樹脂画分を補充し、酸化誘導時間は130℃で15分以上である、請求項29に記載のアスファルト。
【請求項47】
前記リジュベネート剤が前記樹脂画分を補充し、空気圧2.1MPa、100℃にて加圧劣化試験で20時間経年劣化させた後の、60℃での粘度増分が経年劣化前のリジュベネート剤と比べて300%以下である、請求項29に記載のアスファルト。
【請求項48】
前記リジュベネート剤のヒルデブラント溶解度パラメーターが6~12であり、且つ酸化誘導時間は130℃で15分以上である、請求項29に記載のアスファルト。
【請求項49】
前記リジュベネート剤のヒルデブラント溶解度パラメーターが6~12であり、且つ空気圧2.1MPa、100℃にて加圧劣化試験で20時間経年劣化させた後の、60℃での粘度増分が経年劣化前のリジュベネート剤と比べて300%以下である、請求項29に記載のアスファルト。
【請求項50】
前記リジュベネート剤が重合オイルからなり、前記樹脂画分を補充し、且つ酸化誘導時間は130℃にて15分以上である、請求項29に記載のアスファルト。
【請求項51】
前記リジュベネート剤が重合オイルからなり、前記樹脂画分を補充し、空気圧2.1MPa、100℃にて加圧劣化試験で20時間経年劣化させた後の、60℃での粘度増分が経年劣化前のリジュベネート剤と比べて300%以下である、請求項29に記載のアスファルト。
【請求項52】
前記リジュベネート剤が重合オイルからなり、ヒルデブラント溶解度パラメーターが6~12であり、且つ酸化誘導時間は130℃で15分以上である、請求項29に記載のアスファルト。
【請求項53】
前記リジュベネート剤が重合オイルからなり、ヒルデブラント溶解度パラメーターが6~12であり、且つ空気圧2.1MPa、100℃にて加圧劣化試験で20時間経年劣化させた後の、60℃での粘度増分が経年劣化前リジュベネート剤と比べて300%以下である、請求項29に記載のアスファルト。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、生物再生可能オイル供給源から得られたリジュベネート剤を利用し、リサイクルド及び/または経年劣化後歴青材料をリジュベネート処理して全体的な性能を向上させる方法に関する。
【背景技術】
【0002】
最近になって、技術的課題に直面したアスファルト業界は、農業ベースの製品の導入によってアスファルトの全体的な性能を向上させる機会を創出してきた。このような性能の強化としては、経年劣化後アスファルトに対するリジュベネート処理を挙げることができる。
【発明の概要】
【0003】
リジュベネート剤、歴青及び骨材を混合することを含む、アスファルトをリジュベネート処理してアスファルト混合物を得る方法であって、リジュベネート剤は歴青の重量基準で約0.1~40wt%の範囲内の量にて存在し、歴青の少なくとも35wt%がリサイクルドアスファルトコンテンツから誘導される該方法が、本明細書に記載されている。本明細書に記載のアスファルト混合物は、所望の性能を提供する。本明細書には更に、リジュベネート剤、歴青、骨材を含む高性能なリジュベネート処理済アスファルトであって、リジュベネート剤は歴青の重量基準で約0.1~40wt%の範囲内の量にて存在し、歴青の少なくとも35wt%がリサイクルドアスファルトコンテンツから誘導される、該リジュベネート処理済アスファルトが記載されている。
【図面の簡単な説明】
【0004】
図1】破壊エネルギーの概略図を図示する。
図2】膨張ガラス転移温度の定義を図示する。
図3】経年劣化及びリジュベネート処理の複数サイクルの傾向によって、高温性能グレード及び低温性能グレードの両方において改善が施された、独自且つ革新的な結合剤が得られた。
図4】経年劣化及びリジュベネート処理の複数サイクルにわたって有用な温度間隔が顕著に強化されたことを示す。
【発明を実施するための形態】
【0005】
本明細書中に用いられている「アスファルト」、「アスファルト結合剤」、「結合剤」及び「歴青」とは、アスファルト舗装の結合剤相を指す。本結合剤は、アスファルト製造精製所、フラックス、精製所真空塔底部、ピッチ及び真空塔底部の処理の他の残留物、ならびにリサイクルド歴青材料由来の酸化及び経年劣化後アスファルト(再生アスファルト舗装(RAP)及びリサイクルドアスファルト屋根板(RAS)等)であり得る。更に、結合剤は、ポリマー添加剤を既に含有している(リサイクルド歴青材料に既に含有されているか、アスファルト混合物に組み込まれる前に、リサイクルド歴青材料に直接追加された可能性のある)ポリマー改質結合剤、例えば、スチレン、ジビニルベンゼン、インデン、スチレン-ブタジエン-スチレン、及びポリオレフィンとしてもよい。
【0006】
本明細書中に用いられている「骨材」とは、結合剤で一体的に結合されたアスファルト舗装の岩相を指す。骨材は、RAP及びRASの供給源から取得された材料としてもよいし、及び/または以前にアスファルト用途に用いられていなかったバージン材料としてもよい。
【0007】
本明細書中に用いられている「アスファルト混合物」とは、リジュベネート剤、歴青、骨材の組み合わせを指し、道路及び屋根ふきの用途に適用可能な製品である。
【0008】
本明細書中に用いられている「リジュベネート剤」は、経年劣化後リサイクルドアスファルトコンテンツの樹脂画分に寄与もしくはそれを補充する、成分または組成物を指す。本発明の態様において、リジュベネート剤は、生物再生可能オイル供給源から誘導することが可能であり、好ましい態様において、生物再生可能オイル供給源に由来する重合オイルである。
【0009】
本明細書中に用いられている「リサイクルドアスファルトコンテンツ」としては、溶剤脱アスファルト処理プロセスから生じるRAP、RASまたはアスファルトが挙げられる。そのようなリサイクルドアスファルトコンテンツには、初めてリサイクルされたもの、及び複数回にわたってリサイクルされたものが包含される。
【0010】
アスファルトは、主に、酸化及び揮発のメカニズムの組み合わせによって「経年劣化」する。経年劣化によって、アスファルトモジュラスが増加し、粘性散逸及び応力緩和が低減し、且つより低い性能温度にて脆性が増大する。その結果、アスファルトに亀裂及び損傷が累積されやすくなる。再生アスファルト舗装(RAP)及びリサイクルドアスファルト屋根板(RAS)のような供給源からの高度に経年劣化したアスファルト結合剤を含有する、リサイクルド及び再生歴青材料の使用が増加するにつれて、経年劣化後アスファルトのレオロジー特性及び破壊特性を部分的または完全に回復できる「リジュベネート剤」に対するニーズが生じてきた。
【0011】
特定の理論に束縛されるものではないが、歴青の化学構造及び経年劣化のメカニズムに関しては以下の記述が提供されている。アスファルトは、分子量、機能性、極性、ヘテロ原子コンテンツのスペクトルを網羅する化合物の、複雑な連続体を含む。結果として、アスファルトは、多くの場合、所定の溶媒セットを用いて、反応性及び溶解性に関して便宜的に分画される。研究者は、コロイドモデルのような幾つかのモデルを使用して、画定された画分同士の間の相互作用について記載してきた〔1、2、3、4〕。コロイドモデルにおいて、中相または連続相は、比較的低極性のナフテン系芳香族化合物(または「溶媒相」)と、結晶画分からなり得るパラフィン系化合物と、を主成分とするものであると定義されている。連続媒体中の分子間会合の様々なレベルにて高極性ミセルが分散されると、アスファルトの機械的及びレオロジー特性の多くが提供される。ミセルの構成成分は、多くの場合、中性芳香族画分及び極性アスファルテン画分の両方に対し高親和性を有する低極性の「樹脂」(「極性芳香族」という呼称でも知られる)画分により囲繞された、高極性且つ高分子量の「アスファルテン」画分として定義される〔1、5〕。
【0012】
画分間の平衡、とりわけ「樹脂」画分と「アスファルテン」画分との間の平衡は、耐久性及びレオロジー性能が良好で、しかも相溶性且つ安定な歴青を維持するうえで不可欠である。この平衡は、歴青の「経年劣化」により中断される。アスファルトの機械的特性及び損傷抵抗特性に対するこのような酸化経年劣化の影響に関する最も有用な記述のうちの1つは恐らく、Petersen〔1〕によって提供された「酸化経年劣化中に、極性官能基の濃度が、分子間会合によって過剰数の分子が固定化される程度に十分に高まった場合、分子または分子凝集体は、十分な移動性を失い、熱的もしくは機械的応力下で相互に流れ過ぎるようになる。結果として、アスファルトは脆化し、破損または亀裂を受けやすくなると共に、癒着に対し抗するようになる」という記述である。
【0013】
本明細書中に記載されているリジュベネート剤は、歴青の「樹脂」画分の機能に類似していることから、本書に記載のリジュベネート剤を使用することは、RAP及びRASの用途において特に有用である。この画分は、歴青画分の相溶化剤として機能するだけでなく、とりわけ、リサイクルドアスファルト舗装からの歴青のような、経年劣化及び酸化を経た歴青中の関連極性(アスファルテン)画分の破壊剤としても機能し、その結果、性能及び耐久性が回復され且つ平衡の取れた安定なアスファルト結合剤が得られる。
【0014】
本明細書中には、再生アスファルト舗装(RAP)及び/またはリサイクルドアスファルト屋根板(RAS)のような、リサイクルドアスファルト含有率の高いアスファルト混合物に対し、生物再生可能リソースに由来する、特別に定義されたリジュベネート剤を適用することによって、道路及び屋根ふき用途向けの高性能アスファルト混合物を生成する方法が提供されている。
【0015】
経年劣化リサイクルドアスファルト製品をリジュベネートする能力は、リジュベネート剤の特性のなかでも予期されていない特性である。特定の理論に束縛されるものではないが、リジュベネート剤は、リサイクルドアスファルトコンテンツの樹脂成分を補充できると考えられている。故に、本明細書に記載されているリジュベネート剤は、生物再生可能オイル供給源から誘導される任意の材料とすることができる。この生物再生可能オイル供給源は、n-ペンタンを用い、歴青を分画する目的でASTM D4142で規定されている原理を適応し、ASTM D3279で定義されているようなn-ヘプタン不溶物としてのアスファルテンの測定値と、n-ヘプタン可溶性画分を分画するためのIatroscan MK-6S薄層クロマトグラフィー法と、の組み合わせによって測定された経年劣化後リサイクルドアスファルトコンテンツの「樹脂」画分を寄与または補充することにより、「飽和物」及びトルエンとクロロホルムの90:10ブレンドを溶出して、「環状」または「芳香族」画分を溶出したものとされる。保持時間範囲0.01~0.250のピーク領域を「飽和物」画分に割り当て、0.251~0.400のピーク領域を「環状」画分に割り当て、残部(0.401~0.510)のピーク領域を「樹脂」画分に割り当てることによって、データが解釈された。
【0016】
リジュベネート剤のヒルデブランド溶解度パラメーターは、リジュベネート剤と歴青の樹脂画分との類似性を表し得るだけでなく、リジュベネート剤が歴青の樹脂画分として挙動する能力も示唆し得る、パラメーターである。本明細書中に記載のリジュベネート剤のヒルデブランド溶解度パラメーターは、約6~約12の範囲に及ぶ。
【0017】
生物再生可能オイルの例としては、植物、動物、藻類、及び石油化学原料から単離されたオイルを挙げることができる。
【0018】
植物ベースのオイルの例としては、限定されるものではないが、ダイズオイル、亜麻仁オイル、キャノーラオイル、菜種オイル、ヒマシオイル、トールオイル、綿実オイル、ヒマワリオイル、パームオイル、ピーナツオイル、ベニバナオイル、コーンオイル、コーン蒸留廃オイル、レシチン(リン脂質)、ならびにそれらの組み合わせ及びそれらの原油を挙げることができる。
【0019】
動物ベースのオイルの例としては、限定されるものではないが、動物性脂肪(例えばラード、獣脂)及びレシチン(リン脂質)、ならびにそれらの組み合わせ及びそれらの原油を挙げることができる。石油化学ベースのオイルには、化石ベース起源の回収オイル及び精製オイルから得られ、且つ粗出発物質を生成するのに数百万年を要するという点で再生不能と考えられている、種々の様々な化学組成物を有する、広範な炭化水素ベースの組成物と精製石油製品とが含まれる。
【0020】
また、生物再生可能オイルとしては、部分的に水素化されたオイル類、共役結合を持つオイル類及びボディードオイル類で但しヘテロ原子が導入されないオイル類、例えば、限定されるものではないが、ジアシルグリセリド、モノアシルグリセリド、遊離脂肪酸、脂肪酸のアルキルエステル(メチル、エチル、プロピル及びブチルエステル等)、ジオール及びトリオールエステル(エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、トリメチロールプロパン等)、ならびにそれらの混合物も挙げることができる。生物再生可能オイルの例は、廃食用オイルまたは他の使用済みオイルであり得る。
【0021】
また、生物再生可能オイルとしては、以前に改質または官能化されたオイルも挙げることができる。以前に改質されたオイルとは、他の重合技術を用いて以前に加硫または重合されたオイル類、例えば、無水マレイン酸またはアクリル酸改質、水素化、ジシクロペンタジエンによる改質、ヨウ素との反応による共役、エステル交換、あるいは、酸価、ヒドロキシル価もしくはその他の特性を改質するための処理を施されたオイル類を言う。以前に改質されたオイルの例を幾つか挙げれば、ポリオールエステル類、例えばポリグリセロールエステルもしくはヒマシ油エステル、またはエストライド類がある。そのような改質オイル類を、未改質の植物ベースのオイル類もしくは動物ベースのオイル類、脂肪酸、グリセリン、及び/またはレシチンとブレンドしてもよい。ヘテロ原子(酸素、窒素、硫黄、及びリン)が導入されたオイル類は、官能化オイル類の例である。
【0022】
そのようなオイルは、例えば、国際特許出願WO2016/138377号、WO2016/138384号、WO2016/138407号、及びWO2016/138390号に記載されている硫化;米国特許出願公開第2016/0369203号及び国際特許出願WO2016/149102号に記載されているようなブローイング及びストリッピング;ならびに国際特許出願PCT/US17/019445号に記載されているようなポリオールエステル合成によるもの等、様々な手法を使用して改質できる。そのような重合オイルは、リジュベネート剤の好ましい態様である。
【0023】
アスファルト混合物は、リジュベネート剤と歴青と骨材とを含む。リジュベネート剤は、典型的に、アスファルト混合物中に、歴青の重量基準で約0.1~40wt%の範囲内の量で存在する。或る特定の態様において、リジュベネート剤は、アスファルト混合物中に約0.1~30wt%、幾つかの態様では約0.1~20wt%、幾つかの態様では約0.1~15wt%、幾つかの態様では約0.1~10wt%、幾つかの態様では約0.1~5wt%の範囲内の量で存在し、且つ他の態様では0.5~5wt%の範囲内の量で存在する。
【0024】
アスファルト混合物は、典型的に、約3~7wt%の歴青、及び幾つかの態様では4~6wt%の歴青を含む。
【0025】
アスファルト混合物中の残留残部には、リサイクルドアスファルトコンテンツ及び/またはバージン骨材から供給された骨材が含まれるほか、アスファルト用途に繁用されている他の添加剤、例えば、熱可塑性エラストマー及びプラストマーポリマー(スチレン-ブタジエン-スチレン、エチレン酢酸ビニル、官能化ポリオレフィン等)、ポリリン酸、ストリッピング防止添加剤(アミンベース、リン酸塩ベース等)、2~3の例を挙げれば、温暖ミックス添加剤、乳化剤及び/または繊維も含まれ得る。
【0026】
アスファルト混合物は、リサイクルドコンテンツを高量含み、その所望の性能特性は、主にリジュベネート剤に起因し得ることが実証されている。高リサイクルドアスファルトコンテンツとは、典型的に、歴青コンテンツが、少なくとも約35wt%のリサイクルドアスファルトコンテンツから誘導されたものである、アスファルト混合物を指す。本発明の態様において、歴青コンテンツは、少なくとも約40wt%、少なくとも約45wt%、または少なくとも約50wt%のリサイクルドアスファルトコンテンツから誘導される。好ましい態様において、歴青コンテンツは、少なくとも約55wt%、少なくとも約60wt%、少なくとも約65wt%、少なくとも約70wt%、少なくとも約75wt、少なくとも約80wt%、少なくとも約85wt%、少なくとも約90wt%、または少なくとも約95wt%から誘導される。
【0027】
また、当然のことながら、本明細書に記載のアスファルト混合物の態様は、「100%のリサイクルドアスファルトコンテンツ」混合物であり得る。この態様は、(1)歴青及び骨材の両方が約100%のリサイクルドアスファルトコンテンツから誘導されるか、または歴青コンテンツが約100%のリサイクルドアスファルトコンテンツから誘導されるか、または骨材コンテンツが約100%のリサイクルドアスファルトコンテンツ(ならびに本態様では、歴青が少なくとも約35wt%のリサイクルドアスファルトコンテンツから誘導される)態様を記述することを意図したものである。
【0028】
また、本明細書には、リジュベネート処理済アスファルト混合物の製造方法も記載されている。本方法は、リジュベネート剤、歴青及び骨材を混合してリジュベネート処理済アスファルト混合物を得ることを含み、本方法において、リジュベネート剤は歴青の重量基準で約0.1~40wt%の範囲内の量にて存在し、且つ歴青は少なくとも35wt%のリサイクルドアスファルトコンテンツから誘導される。
【0029】
アスファルト混合物は、多様な製造構成で製造できる。例えば、本明細書に記載のアスファルト混合物の場合、通常は130~190℃の範囲の多くの温度で製造することが可能であり、アスファルト塗布プロジェクト部位にて通常110~150℃の温度で圧縮することが可能である。この温度範囲内の特定の範囲は、一般的に、「高熱ミックス」温度及び「温暖ミックス」温度と呼ばれる。加えて、適切なデザインにより、アスファルト混合物は、周囲温度ないし約100℃の温度にて生成され、周囲温度付近のアスファルト塗布プロジェクト部位にて圧縮される。そのような温度は一般的に、「冷温ミックス」温度と呼ばれる。
【0030】
本明細書中に記載のリジュベネート剤は、アスファルト混合物の製造中に様々な方法及び様々な時点で追加することができる。例えば、アスファルト混合物製造中に、様々な時点で、バージンまたはリサイクルド、あるいはその両方にて、リジュベネート剤を歴青に直接的に添加することもできるし、歴青と骨材との混合物全体に添加することもできる。
【0031】
リジュベネート剤と歴青との混合を初めて(骨材及び他の成分の導入前に)行う場合、「リジュベネート処理用組成物」(リジュベネート剤と歴青の両方を含む)をそのまま提供してもよいし、またはエマルジョンとして提供してもよい。
【0032】
一態様において、アスファルト混合物は、連続ドラムプロセスで製造可能であり、本プロセスにおいて、リサイクルドアスファルトコンテンツ、バージン骨材、及び/またはバージン歴青が、ドラムに連続的に追加される。
【0033】
別の態様において、アスファルト混合物は、バッチプロセスで製造可能であり、本プロセスにおいて、リサイクルドアスファルトコンテンツ、バージン骨材、及び/またはバージン歴青を個別に計量し、ドラムに追加して、アスファルト混合物の個々のバッチを混合し生成する。
【0034】
別の態様では、アスファルト混合物をパグミルで生産し、リサイクルドアスファルトコンテンツを、リジュベネート剤で処理されたパグミルビンに導入することが可能である。この方法は、冷温ミックスアスファルトの生産に使用されるのが、最も一般的である。
【0035】
別の態様において、アスファルト混合物は、未加熱の未粉砕のリサイクルドアスファルトコンテンツにリジュベネート剤を組み込むことにより、その場で生産される「冷温ミックス」であり得る。この方法は、一般的に「冷温インプレースリサイクル」と呼ばれる。
【0036】
別の態様において、アスファルト混合物は、加熱済の未粉砕のリサイクルドアスファルトコンテンツにリジュベネート剤を組み込むことにより、その場で生産される「高熱ミックス」であり得る。この方法は、一般的に「高熱インプレースリサイクル」と呼ばれる。
【0037】
様々な態様において、リジュベネート剤は、多様なセットアップで組み込むことができる。例えば、キャリブレーションされたアプリケーションシステム(スプレーバーまたは注入システム等)を、プラントデザインの既存のシュート上の任意の地点にインストールすることが可能である。別の例として、キャリブレーションされたアプリケーションシステムは、リサイクルドアスファルトコンテンツのプラントへの輸送システムの任意の地点、例えばコンベアベルト上にインストールすることも可能である。別の例として、キャリブレーションされたアプリケーションシステムを、パグミル混合チャンバー(使用されている場合)上にインストールにすることも可能である。別の例として、キャリブレーションされたアプリケーションシステムのインストールは、当該インラインによって、アスファルトタンクとプラントの間の歴青輸送ラインにリジュベネート剤がブレンドされるように為される。インラインブレンドは、静的ブレンドを使用するかまたは液体のインラインブレンドに用いられる他のメカニズムを使用して、達成することが可能である。
【0038】
リサイクルドアスファルトコンテンツは加熱せずに、または加熱室を使用して、組み込むことが可能である。一実施例では、間接加熱を使用して、リサイクルドアスファルトコンテンツが加熱される。独自の熱安定性リジュベネート剤を使用することにより、加熱プロセスの前または後のいずれかに、リジュベネート剤をリサイクルドアスファルトコンテンツに組み込むことができる。リジュベネート剤を間接加熱室から出された直後にリサイクルドアスファルトコンテンツに注入することによって、リジュベネート剤の取り込みを便宜的に達成できる。
【0039】
様々なプロセスで得られるアスファルト混合物は、亀裂、湿気による損傷、酸化経年劣化、熱劣化、及びわだち掘れに強いという点で、高性能を実証する。所望の性能特性が米国の州及び世界の管轄区域ごとに異なることは、当業者に理解されるであろう。更に、そのような特性を測定し判定するための好ましい方法を各管轄区域が有することは、当業者に理解されるであろう。
【0040】
本明細書において、「破壊エネルギー」Gは、Linear Elastic Fracture Mechanics〔6〕に定義されているモードI破壊エネルギー(GICパラメーター)のような、任意の特定の定義の代わりとして言及されている。ガラス転移温度(T)に近い温度においてさえ、アスファルトは粘弾性挙動を呈する可能性があることから、結合剤の特性、及び各結合剤のTからの試験温度の距離に応じて、破壊作業の一部は、新しい表面の形成(亀裂の伝播)により散逸する弾性エネルギーに該当し、その残部は様々なメカニズム、特に粘性散逸によって散逸するものと予期される。本明細書において「破壊エネルギー」は、式(1)及び図1に示すように、荷重たわみ(P-u)曲線全体下総面積を、未破断部の面積で除算した値として定義される。式中、Uは破壊作業、Gは破壊エネルギー、P及びuは荷重及び変位、Aligは未破断部の領域である。
【0041】
【数1】
【0042】
本明細書に記載のアスファルト混合物等の粘弾性材料の破損特性は、負荷率及び温度に依存するため、本書中に用いられている「破壊エネルギー」パラメーターを適切に記述するためには、標準の条件セットを定義しておく必要がある。このため、たわみ率(du/dt)は50mm/分であると想定され、「u」は印加された荷重Pの方向のバルクたわみとして定義される。図1に示すように、破壊エネルギーは、ピーク前及びピーク後の両方の挙動を含むP-u曲線全体で測定される。
【0043】
本明細書に記載のアスファルト混合物は、-20℃にて破壊エネルギーが少なくとも200J/mであり、0℃にて破壊エネルギーが少なくとも250J/mである場合もあれば、また、25℃にて破壊エネルギーが少なくとも300J/mである場合もある。
【0044】
歴青の亀裂抵抗は、AASHTO TP101準拠のDynamic Shear Rheometerを用いた線形振幅スイープ等の実験室試験を使用して評価してもよいし、AASHTO T361に続く歴青結合強度試験を用い歴青の耐湿損傷性を測定してもよい。歴青用の加圧劣化試験(ASTM D6521)及びローリング薄膜オーブン(ASTM D2872)を使用して、酸化経年劣化の評価を行ってもよいし、様々な温度及び期間にて混合物のオーブン経年劣化を実施した後、他の性能試験を用いた試験を実施し、経年劣化による性能低下の評価を行ってもよい。Dynamic Shear Rheometery、例えば、AASHTO M315及びAASHTO M332を使用した様々な動的クリープ試験を使用して、わだち掘れを測定してもよい。一般的なレオロジー特性及び粘弾性特性は、Superpave Performance Grading(AASHTO M320)、Penetration(ASTM D5)、Ring&Ball grading(ASTM D36)等のグレーディング標準及びその地域の同等物を使用して測定できる。他の方法としては、ASTM D7175の原則に従いDynamic Shear Rheometerを用いた「マスターカーブ」の生成が挙げられる。ASTM D3418、ASTM D4419、ASTM E1858、または膨張計システムの原理による示差走査熱量計(DSC)を使用して測定を行った場合、歴青の亀裂、ならびに低温での延性及び脆性挙動も、ガラス転移温度の影響を受ける。
【0045】
例えば、アスファルト混合物の亀裂抵抗の評価には、実験室での亀裂、損傷、及び破壊試験、例えばTexas オーバーレイテスター(Tex-248-F、NJDOT B-10、またはASTM WK26816)、半円形曲げ試験(SCB)の各種方法(AASHTO TP-124,ASTM E1820,TR 330)、ディスクコンパクト引張試験(DCT)(ASTM D7313)、4点曲げビーム疲労(AASHTO T321,ASTM D7460,NEN-EN12697-24)、ならびに、(AASHTO TP107)を使用したアスファルト混合物性能試験機(AMPT)を使用した直接引張繰返し疲労等、亀裂及び損傷抵抗の評価用に開発されたその他の性能試験が用いられる場合もある。低温側、熱応力及び歪み、ならびに特別な設定では、ガラス転移温度の測定に、熱応力拘束ひずみ試験(TSRSTまたはUTSST)(AASHTO TP10)のほか、間接引張(IDT)試験による強度及びコンプライアンスの測定(AASHTO 6931、AASHTO T322)が用いられる場合もある。
【0046】
上記の損傷抵抗試験は、SCB、DCT、及びIDTの場合と同様、幾つかの事例において、様々な試験温度における破壊エネルギーに関連し得る。他の事例において、損傷伝播の速度または破壊強度は、4点ビーム疲労、TSRST、直接引張繰返し疲労の場合と同様、測定された試験特性に間接的に関連し得る。故に、破壊エネルギーは、様々な亀裂及び耐久性試験方法を統一する、重要な基本概念及びパラメーターである。亀裂性能は、リサイクルドコンテンツを高量含むアスファルト混合物の性能の成否を決定する重要な態様である。そのため、破壊エネルギーは、アスファルト混合物に「高性能」を割り当てる際に重要な意味を持つ有意尺度として信頼し得る。
【0047】
低い運転温度にて歴青及びアスファルト混合物の延性及び脆性の挙動に密接に関連する、もう1つの材料特性が、ガラス転移温度である。文献に記載されているように〔7、8〕、このパラメーターはDSCまたは膨張計法を使用して測定できる。低いガラス転移温度では、低い温度に達するまでの非脆性挙動が見られる。経年劣化は典型的に、ガラス転移温度を上昇させるので、高性能のミックスを作成するための効果的なリジュベネート処理には、低いガラス転移温度を達成することが必要となる。本書の目的に合わせて、「混合物Tg」は、液体とガラス様熱容量平衡線(ΔT/V対T)との交点として定義される。式中、Tは温度、Vはサンプル容量、Vは10℃/分の一定冷却速度で測定した25℃での初期容量である。
【0048】
本明細書に記載のアスファルト混合物は、ガラス転移温度が0℃以下であり、且つ混合物のガラス転移温度が-5℃以下である場合もあれば、ガラス転移温度が-10℃以下である場合もあれば、ガラス転移温度が-15℃以下である場合もある。
【0049】
水分損傷は、引張強度比(AASHTO T263、NEN-EN12697-12)、ハンブルグホイールトラッカー(AASHTO T324)、及び沸騰試験(ASTM D3625)を用いて評価できる。酸化経年劣化を、試験前に異なる温度及び期間にて混合物のオーブン経年劣化を取り入れた様々な方法、例えば、AASHTO R30に記載されている短期及び長期経年劣化のための方法にて実施し、他の性能試験を用いて経年劣化に起因する性能低下を評価してもよい。長時間わたって高温に曝したことによる結果が、熱劣化である。この熱劣化は、歴青または混合物のいずれかを高温で長期保管したことに起因する。標準の試験方法は存在しないが、高温オーブンコンディショニングでは、明確な効果を見ることができる。わだち掘れは、多様な動的及び静的クリープ試験(フロー番号及びフロー時間)(AASHTO TP62、AASHTO TP79、NEN-EN12697-25)、ハンブルグホイールトラッカー(AASHTO T324)、及びアスファルト舗装アナライザー(AASHTO T340)を用いて測定できる。他の方法としては、Asphalt Mixture Performance Tester(AMPT)等の専用の特殊機器または改造型Universal Testing Machinesのいずれかを用い、複素モジュラス試験(AASHTO T342)を使用した「マスターカーブ」の生成が挙げられる。この実施例では、管轄区域ごとの各種の試験基準にハイライトを当てたうえで、アスファルト混合物によって、管轄区域全体で望ましい性能が達成されることを概ね実証する。
【0050】
高性能アスファルト混合物は、製造中の作業性及び圧縮性に優れるだけでなく、耐亀裂性、ならびに湿気及び経年劣化に対する耐久性を達成すると同時に、わだち掘れに対する良好な耐性を維持するものとして定義できる。本発明に記載されるアスファルト混合物は、35%以上のリサイクルドアスファルトコンテンツを取り入れながら、「平衡の取れたミックスデザイン」とも呼ばれる性能ベース仕様の基準を満たし、且つそれを超えるように製造できる。これらの基準は、地域の機関が前述の試験方法を用いて指定する。これらの試験方法は、フォームに応じて異なる場合があるが、記述されるシステムは、基本的に同様である。例えば、本明細書に記載のアスファルト混合物は、米国中北部(ウィスコンシン州、イリノイ州、シカゴの管轄区域等)及び米国北東部(ニューヨーク州及びニューヨーク市等)でよく用いられるSCBまたはDCT試験基準のいずれかを用いることにより、ハンブルグまたはAPAホイールトラッカー試験で判定されるような、12.5mm未満のわだち掘れを達成しながら、400J/mを超える破壊エネルギー(耐亀裂性)を達成することが可能である。別の実施例として、アスファルト混合物は、米国北東部及び南部で使用されるアスファルト舗装アナライザー(APA)試験基準(例えば、ニュージャージー及びテキサス)で判定されるように、オーバーレイテスター標準及び7mm未満のわだち掘れを用いて100サイクルを超える亀裂抵抗を達成することが可能である。別の例として、アスファルト混合物は、NEN-EN12697-12で判定されるような80%を超える引張強度比、ならびにNEN-EN12697-24で判定されるようなεが>100μm/mであるビーム疲労抵抗を達成しながら、欧州の管轄区域(オランダ等)でよく使用されるNEN-EN12697-25試験基準で判定されるような、わだち掘りを0.6um/m/サイクル未満に維持することが可能である。
【0051】
リサイクリングの複数サイクル: 本明細書に記載されているリジュベネート剤を使用することにより、複数の経年劣化及び再利用サイクルでRAPを再利用することも可能であるし、連続した経年劣化及びリジュベネート処理の各サイクルを用いて処理された材料を更に改善することも可能である。最終的には、元のアスファルト結合剤よりも性能に優れると考えられる材料であると考えられる。これは、適切に操作されたリジュベネート処理用組成物による、経年劣化後歴青画分の再平衡化に直接的に関係する、本明細書に記載のリジュベネート剤の革新的な特徴である。
【0052】
通説では、RAPは、使用及び経年劣化の各サイクルで更に悪化し、それにより、RAP使用の複数サイクルが、自己制限されることになる。この結果、ドイツ及びフランス等の一部の国において、RAP材料の経年劣化が過度になり、「使用不能」なRAPの大量備蓄が形成されるに至った。本明細書に記載のリジュベネート剤は、この制限を排除し、それにより、1つ以上のサイクル中に本明細書に記載のリジュベネート剤を用いてリジュベネート処理を行い、RAPを複数回にわたって再利用することを可能にする。
【0053】
更にその上、そのような経年劣化後及びリジュベネート処理済歴青材料を使用した場合、複数の経年劣化後及びリジュベネート処理済RAPは、独自な高品質且つ高性能の歴青供給源となり、品質や経済性に優れた舗装を構築する目的に利用できる。そのようなミックスは、革新的な且つ高性能な歴青舗装組成物であるとして記載することができる。
【0054】
ポリマー改質歴青及び舗装からのRAPの使用
近年になって、PMBまたはPMA(ポリマー改質アスファルト)としばしば呼ばれるポリマー改質歴青を用いた構築された舗装のシェアが、増加しつつある。そのようなポリマーとしては、限定されるものではないが、スチレンブタジエンスチレン(SBS)等の熱可塑性エラストマー、または他のスチレンベースのポリマー及びブロックコポリマー、ラテックス、Elvaloy(登録商標)等の反応性ターポリマー、ポリエチレン及び酸化ポリエチレン等のワックス、ならびに粉砕タイヤまたは天然ゴム源由来のゴム改質物を挙げることができる。更にその上、歴青は、エチレンビスステアロルアミド及びトリステアルアミド(tristearamide)等のポリアミドワックス類、Montanワックス、ならびにFischer-Tropschワックス、例えばSasolが製造し、Sasobit(登録商標)として販売されているものを含有し得る。
【0055】
前述のような、ポリマー改質歴青を元々含有されている舗装から生じるRAPの量は、2~3年で増加するのではないかと予測されている。更にその上、一般的な理念では、RAPによって寄与される歴青がPMB歴青を本質的に「希釈」し、歴青及び舗装の性能を全体的に劣下させてしまうことが懸念されることから、ポリマー改質舗装は、RAPコンテンツを顕著な含有率で含有できない(多くの場合、全ミックスの10重量%未満)。
【0056】
RAPはまた、リサイクルド多孔質アスファルト舗装からのものであってもよいし、あるいは温暖ミックス、剥離防止剤、乳化剤、及び/またはワックス添加剤で処理されたアスファルト舗装からのものであってもよい。
【0057】
但し、(本明細書中に記載されているような)RAPの適切なリジュベネート、特にPMB舗装から供給されるRAPを使用すると、元のPMB歴青の弾性特性の多くを回復でき、したがって、RAPを高含有率に組み込んだ、独自且つ革新的な高性能ポリマー改質舗装の調製が可能になる。これに関しては、実施例13において特に焦点を当てている。
【実施例
【0058】
これらの実施例に用いられている重合オイルリジュベネート剤は、硫化技術を用いて重合されたCargill Anova(登録商標)製品(例えば、Anova1815)である。
【0059】
実施例1:36.7%RAP結合剤交換用表面コース
米国中北部において36.7%RAP結合剤交換用ベースコースが実施され、重合オイルリジュベネート剤を使用して、混合物中に用いるためのポリマー改質PG58-40結合剤が調製された。使用された公称最大骨材サイズ(NMAS)は、12.5mmである。本混合物は、300万の等価単車輪荷重(ESAL)に準じてデザインされたものである。
【0060】
ミックスデザインに用いられるミックスに対し結合剤及び混合物の性能試験を実施し、現場の性能要件に準拠しているかどうかを判定した。混合物をAASHTO R30に準じて長期経年劣化させた後、ディスクコンパクト引張(DCT)テストを用いた試験を-24℃にて実施し、400J/mの最小しきい値と比較した。本混合物は、顕著に高い破壊エネルギーを呈したため、要件を容易に満たした。
【0061】
高温端にて、AASHTO R30短期経年劣化後に、5000サイクルで最大許容深さ12.5mmのわだち掘れに対し、50℃でハンブルグホイールトラッキング試験を実施した。観察された永久変形は、比較的些細なものだけに限られていたため、本混合物はマージンが健全であり合格した。混合物及び結合剤の性能試験の結果を、表1に示す。
【0062】
【表1】
【0063】
実施例2:45%RAPミックスデザイン(表面コース用)
表面コースミックスデザインを、重合オイルリジュベネート剤、及びバージンPen40/60歴青を使用して生成した。ミックスは、混合物の総重量の45重量%のRAPを含み、RAPの33%(全ミックスの15%)は多孔質アスファルトから供給され、残りのRAPは高密度傾斜高熱ミックスアスファルトRAPから供給された。多孔質アスファルトRAPは、高度に経年劣化及び酸化を経た歴青を含有しているので、表面コースでは再利用されないのがごく一般的である。
【0064】
結合剤の総含有率がミックスの6.0重量%に対して、重合オイルリジュベネート剤の用量は、総歴青の2.5重量%、または混合物の総重量の0.15重量%であった。Pen40/60バージン歴青は全ミックスの3.80重量%を占めた。
【0065】
この混合物から圧縮プレート、ビーム及びシリンダーを作製した。試験は道路建設資材の欧州規格に適合している。混合物の試験に使用された標準仕様は、以下のとおりである。
・ NEN-EN 12697-12とNEN-EN 12697-23との併用:
歴青混合物の円筒形試験片の間接引張強度及び感水性の判定:耐湿性
・ NEN-EN 12697-25:
歴青混合物の円筒状試験片の永久変形に対する耐性の判定:わだち掘れ
・ NEN-EN 12697-26:
角柱試験片に対する4点曲げ試験:剛性
・ NEN-EN 12697-24:
角柱試験片に対する4点曲げ試験:疲労
【0066】
前述の試験の結果を、表2に示す。結果を、オランダの「2015 RAW標準」の要件と比較し、AC表面コースDL-A、B及びC(自転車、都市道路及び高速道路)において準拠していることが、見出された。これらの所見がかなり興味深いものであった理由は、高度に経年劣化した多孔質アスファルトRAPの含有率が並外れて高いことから、その使用及びリジュベネート処理が正常に為され、結果として、高性能アスファルト舗装の表面コースが実現されたことにある。
【0067】
【表2】
【0068】
実施例3:45%RAP表面コース
高RAP表面コース舗装は、米国北東部において重合オイルリジュベネート剤を使用して実施された。本ミックスには、ミックスの総重量の45重量%RAPが含有されていた。結合剤相は、0.11%のAnova1815と5.19%のPG64~22バージン歴青とで構成されていた。結合剤の総含有率は、混合物の総重量の5.3重量%であった。使用された公称最大骨材サイズ(NMAS)は、9.5mmであった。
【0069】
同様なデザインの対照断面(ミックスの45重量%RAPと5.3%のバージンPG64-22結合剤のみを含有し、但しリジュベネート剤を含有しないもの)を作製した。この断面をコア採取して、わだち掘れ用のアスファルト舗装アナライザー(APA)を使用し、亀裂抵抗測定用のオーバーレイテスター(OT)を使用して、試験を実施した。
【0070】
表3の試験結果から明らかなように、リジュベネート剤を用いなかった断面は亀裂に対する抵抗性が見られなかったのに対して、リジュベネート剤を添加することによって亀裂破損までのサイクル数が顕著に改善され、結果として、性能面の合格が達成された。他方、わだち掘れに対しては、リジュベネート剤を使用したことによる顕著な影響は及ばなかった。結果から明らかなように、記載されているリジュベネート処理済システムの独自機能によって達成される標的性能特性は、典型的なリサイクルドコンテンツよりも高いものであった。
【0071】
【表3】
【0072】
実施例4:45.9%RAP結合剤交換用ベースコース
米国中北部において45.9%RAP結合剤交換用ベースコースが実施され、重合オイルリジュベネート剤を使用して、混合物中に用いるためのポリマー改質PG58-40結合剤が調製された。使用された公称最大骨材サイズ(NMAS)は、19mmである。本混合物は、300万の等価単車輪荷重(ESAL)に準じてデザインされたものである。
【0073】
ミックスデザインに用いられるミックスに対し結合剤及び混合物の性能試験を実施し、現場の性能要件に準拠しているかどうかを判定した。混合物をAASHTO R30に準じて長期経年劣化させた後、ディスクコンパクト引張(DCT)テストを用いた試験を-24℃にて実施し、400J/mの最小しきい値と比較した。本混合物は、顕著に高い破壊エネルギーを呈したため、要件を容易に満たした。
【0074】
高温端にて、AASHTO R30短期経年劣化後に、5000サイクルで最大許容深さ12.5mmのわだち掘れに対し、50℃でハンブルグホイールトラッキング試験を実施した。観察された永久変形は、比較的小さなものだけに限られていたため、本混合物はマージンが健全であり合格した。混合物及び結合剤の性能試験の結果を、表4に示す。
【0075】
【表4】
【0076】
実施例5:45%RAP+5%RAS表面コース
高RAP及びRAS表面コース舗装は、米国北東部において重合オイルリジュベネート剤を使用して実施された。本ミックスには、ミックスの総重量の45重量%RAPが含有されていた。結合剤相は、0.42%のAnova1815と4.88%のPG64~22バージン歴青とで構成されていた。結合剤の総含有率は、混合物の総重量の5.3重量%であった。使用された公称最大骨材サイズ(NMAS)は、9.5mmであった。このデザインにおいて特筆すべき点は、リサイクルド屋根板アスファルトの大量使用である。高度に酸化し且つ更に経年劣化させたRAS歴青には、かなりの舗装亀裂性能を示す点で大きな課題を含む。
【0077】
同様なデザインの対照断面(ミックスの45重量%のRAPと5.3%のバージンPG64~22結合剤のみを含有し、但しリジュベネート剤を含有しないもの)を作製した。この断面をコア採取して、わだち掘れ用のアスファルト舗装アナライザー(APA)を使用し、亀裂抵抗測定用のオーバーレイテスター(OT)を使用して、試験を実施した。
【0078】
表5の試験結果から明らかなように、リジュベネート剤を用いなかった断面は亀裂に対する抵抗性が見られなかったのに対して、リジュベネート剤を添加することによって亀裂破損までのサイクル数が顕著に改善されるため、性能面の合格が達成された。他方、わだち掘れに対しては、リジュベネート剤を使用したことによる有意な影響は及ばなかった。結果から明らかなように、記載されているリジュベネート処理済システムの独自機能によって達成される標的性能特性は、典型的なリサイクルドコンテンツよりも高いものであった。
【0079】
【表5】
【0080】
実施例6:67%RAPミックスデザイン(ベースコース用)
ベースコースミックスデザインを、重合オイルリジュベネート剤、及びバージンPen70/100歴青を使用して生成した。ミックスは、混合物の総重量の67重量%のRAPを含み、RAPの33%(全ミックスの29%)は多孔質アスファルトから供給され、残りのRAPは高密度傾斜高熱ミックスアスファルトRAPから供給された。多孔質アスファルトRAPは、高度に経年劣化及び酸化を経た歴青を含有しているので、表面コースでは再利用されないのがごく一般的である。
【0081】
結合剤の総含有率がミックスの4.3重量%に対して、リジュベネート剤の用量は、総歴青の5.0重量%、または混合物の総重量の0.21重量%であった。Pen40/60バージン歴青は全ミックスの0.84重量%を占めた。
【0082】
この混合物を、参照組成物(リジュベネート剤とPen70/100歴青のリジュベネート処理済の組み合わせが、リジュベネート処理していないソフトPen160~220バージン歴青に置換されたもの)と比較した。リジュベネート処理済歴青組成物及びバージンソフト歴青は、浸透グレードが類似していた。
【0083】
この混合物から圧縮プレート、ビーム及びシリンダーを作製した。試験は道路建設資材の欧州規格に適合している。混合物の試験に使用された標準仕様は、以下のとおりである。
・ NEN-EN 12697-12とNEN-EN 12697-23との併用:
歴青混合物の円筒形試験片の間接引張強度及び感水性の判定:耐湿性
・ NEN-EN 12697-25:
歴青混合物の円筒状試験片の永久変形に対する耐性の判定:わだち掘れ
・ NEN-EN 12697-26:
角柱試験片に対する4点曲げ試験:剛性
・ NEN-EN 12697-24:
角柱試験片に対する4点曲げ試験:疲労
【0084】
前述の試験の結果を、表6に示す。結果を、オランダの「2015 RAW標準」の要件と比較し、ACベースコースDL-A、B、C及びIB(自転車、都市道路、高速道路及び産業道路)において準拠していることが、見出された。これらの所見がかなり興味深いものであった理由は、リサイクルド歴青の含有率(とりわけ、高度に経年劣化した多孔質アスファルトRAPの含有率)が並外れて高いことから、その使用及びリジュベネート処理が正常に為され、結果として、高性能アスファルト舗装の表面コースが実現されたことにある。
【0085】
更にその上、リジュベネート処理していないソフトバージン歴青含有のミックスの結果から分かるように、この組成物は、マージンが比較的狭幅であるため疲労要件を満たした反面、混合物の軟化が過度なため「わだち掘れ」要件を満たすことができなかった。他方、リジュベネート剤を用いた混合物は、マージンが広幅であるという点で、疲労及びわだち掘れの要件を両方とも満たした。
【0086】
【表6】
【0087】
実施例7:76%RAP及びリサイクルド骨材ベースコース
ベースコースミックスデザインを、重合オイルリジュベネート剤、及びバージンPen70/100歴青を使用して生成した。ミックス中に用いられた骨材の100%は、以下のようなリサイクル材料から供給された。
・混合物の総重量の76.43重量%は、様々なRAP材料で構成されており、全ミックスの28.68%が多孔質アスファルトRAPから供給され、残りのRAPは高密度傾斜高熱ミックスアスファルトRAPから供給された。
・ミックスの総重量の22.95重量%は、路床の線路から供給される鉱物骨材(「Rebeasグリット」)と、焼却炉タールのアスファルト由来のグリット及び砂(「Ecogrit」及び「Ecosand」)とのブレンドで構成されたものであった。
【0088】
結合剤の総含有率がミックスの4.3重量%に対して、リジュベネート剤の用量は、総歴青の5.0重量%、または混合物の総重量の0.24重量%であった。Pen70/100バージン歴青は全ミックスの0.38重量%を占めた。
【0089】
この混合物から圧縮プレート、ビーム及びシリンダーを作製した。試験は道路建設資材の欧州規格に適合している。混合物の試験に使用された標準仕様は、以下のとおりである。
・ NEN-EN 12697-12とNEN-EN 12697-23との併用:
歴青混合物の円筒状試験片の間接引張強度及び感水性の判定:耐湿性
・ NEN-EN 12697-25:
歴青混合物の円筒状試験片の永久変形に対する耐性の判定:わだち掘れ
・ NEN-EN 12697-26:
角柱試験片に対する4点曲げ試験:剛性
・ NEN-EN 12697-24: 角柱試験片に対する4点曲げ試験:疲労
【0090】
前述の試験の結果を、表7に示す。結果を、オランダの「2015 RAW標準」の要件と比較し、ACベースコースDL-A、B、C及びIB(自転車、都市道路、高速道路及び産業道路)において準拠していることが、見出された。これらの所見がかなり興味深いものであった理由は、リサイクルド歴青及びリサイクルド骨材の含有率(とりわけ、高度に経年劣化した多孔質アスファルトRAPの含有率)が並外れて高いことから、その使用及びリジュベネート処理が正常に為され、結果として、高性能アスファルト舗装の表面コースが実現されたことにある。
【0091】
【表7】
【0092】
実施例8:100%RAP表面コース
100%RAPプロジェクトは、重合オイルリジュベネート剤で実施された。混合物は、分画されたRAPと、(混合物の重量基準で)約0.27%のAnova1815リジュベネート剤と、から構成されていた。リジュベネート剤は、ドラムから出された際に加熱済RAPに塗布され、更なる滞留時間なしに現場に運搬された。
【0093】
プロジェクト完了後数日以内に、舗装をコア採取して、NYC舗装仕様に準拠した混合物性能試験用に、試料を送付した。表8に示すように、本混合物が亀裂(半円形曲げ試験)及びわだち掘れ(ハンブルグホイールトラッキング)要件の両方に合格したことが、結果から分かる。
【0094】
【表8】
【0095】
実施例9:改質オイルブレンド#1のリジュベネート剤分画
リジュベネート剤の試験及び分画は、前述の分画方法を用いてASTM D3279に規定されているようにn-ヘプタン不溶物としてのアスファルテンを測定し、Iatroscan MK-6S薄層クロマトグラフィー法を用いてn-ヘプタン可溶性画分を分画することにより行った。
本リジュベネート剤には以下が含まれた:
・ 59.0重量%の改質済の生物再生可能オイル(オリゴマー70.8%)
・ 41.0重量%のストレートダイズオイル
・ リジュベネート処理用組成物は、全体的なオリゴマー含有率が46.31%で、ヒルデブラント溶解度が8.69であった。
【0096】
分画結果から明らかなように、主要歴青画分を判定するのに用いられたのと同じ分画方法が、「樹脂」画分に対応する大きな画分にも用いられている。
【0097】
[表]
【0098】
実施例10:改質オイルブレンド#2のリジュベネート剤分画
以下のリジュベネート剤の試験及び分画は、前述の分画方法を用いてASTM D3279に規定されているようにn-ヘプタン不溶物としてのアスファルテンを測定し、Iatroscan MK-6S薄層クロマトグラフィー法を用いてn-ヘプタン可溶性画分を分画することにより行った。
本リジュベネート剤には以下が含まれた:
・ 14.5重量%の改質済の生物再生可能オイル(オリゴマー70.8%)。
・ 85.5重量%のストレートダイズオイル
・ リジュベネート処理用組成物は、全体的なオリゴマー含有率が16.59%で、ヒルデブラント溶解度が約8.60であった。
【0099】
分画結果から明らかなように、主要な歴青画分を判定するのに用いられたのと同じ分画方法が、「樹脂」画分に対応する大きな画分にも用いられている。
【0100】
[表]
【0101】
実施例11:改質オイルブレンド#3のリジュベネート剤分画
以下のリジュベネート剤の試験及び分画は、前述の分画方法を用いてASTM D3279に規定されているようにn-ヘプタン不溶物としてのアスファルテンを測定し、Iatroscan MK-6S薄層クロマトグラフィー法を用いてn-ヘプタン可溶性画分を分画することにより行った。リジュベネート剤は、改質済の生物再生可能オイル(オリゴマー含有率17.7%、及びヒルデブラント溶解度約8.57に合成されたもの)から構成されていた。
【0102】
分画結果から明らかなように、主要な歴青画分を判定するのに用いられたのと同じ分画方法が、「樹脂」画分に対応する大きな画分にも用いられている。
【0103】
[表]
【0104】
実施例12:リサイクリングの複数サイクル
本実施例では、一般的な舗装グレードの歴青を複数回にわたって経年劣化及びリジュベネート処理するサイクルを実証したうえで、各サイクルで性能グレード及びレオロジー特性に優れた歴青が実現されるしくみを示す。
【0105】
本実施例に用いられている定義は、以下のとおりである:UTI:AASHTO M320を使用して判定された、高温性能グレードと低温性能グレードとの差分として有用な温度間隔。HT-PG:ASTM D7175及びAASHTO M320に準拠したDynamic Shear Rheometer(DSR)を使用して、各経年劣化条件にて高い運転温度で|G|/sinδパラメーターを制御することにより測定された、アスファルト結合剤の高温性能グレード。I-PG:ASTM D7175及びAASHTO M320に準拠したDynamic Shear Rheometer(DSR)を使用して、各経年劣化条件にて中間運転温度で|G|/sinδパラメーターを制御することにより測定された、アスファルト結合剤の中間温度性能グレード。Sグレード:ASTM D6648及びAASHTO M320のガイダンスに従い、液体窒素冷却システムを用いた4mmスピンドルDSRセットアップを使用して測定されたクリープ剛性パラメーター(「S」)によって制御される、低温性能グレード。mグレード:ASTM D6648及びAASHTO M320のガイダンスに従い、液体窒素冷却システムを用いた4mmスピンドルDSRセットアップを使用して測定されたクリープ速度パラメーター(「m」値)によって制御される、低温性能グレード。
【0106】
Flint Hills製油所から供給されたPG64-22バージン歴青を使用して、複数回にわたる経年劣化及びリジュベネート処理が一般的な舗装グレードの歴青に対して及ぼす効果を実証した。歴青を、最初にローリング薄膜オーブン(RTFO)を用いてAASHTO M320及び関連規格に準じて経年劣化させた後、加圧劣化試験(PAV)で2.1MPaの空気圧下、100℃にて20時間経年劣化させて、7~10年間にわたる現場性能についてシミュレートを行った。この段階で、その歴青を、1サイクルの使用後に典型的RAP歴青の代表例であると見なして、グレード付けした。次いで、歴青を、実施例#10に記載されている3重量%のリジュベネート剤(改質オイルブレンド#2、またはMOB2)で処理し、再びグレード付けしてから、更に20時間かけてPAV経年劣化を行い、引き続きグレード付けした。もう一度、歴青を、リジュベネート処理及びグレード付けした後、第3サイクル(PAV経年劣化及びリジュベネート処理)に供した。
【0107】
結果を下表に示す。図3に、経年劣化及びリジュベネート処理の複数サイクルの傾向によって、高温性能グレード及び低温性能グレードの両方において改善が施された、独自且つ革新的な結合剤が得られた。また、この性能グレード改善については、図4に示すように各サイクルでUTIが顕著に増強したことによっても、実証されている。最終的なブレンドが、適用可能な性能及び許容温度範囲の顕著な改善を示している。
【0108】
[表]
【0109】
実施例13:ポリマーが既に組み込まれているRAPの使用 ポリマー改質アスファルトの性能は、現今では、動的せん断レオメーターを用いた多重応力クリープ及び回復試験(MSCR)を使用して、ベンチマークされているのが一般的である。試験手順は、AASHTO T350に記載されており、一連の短いクリープ負荷期間と、それに続く長い「回復」期間とから構成される。性能の評価には複数のパラメーターを使用した。なかでも最も際立ったパラメーターが、歴青において確立されるポリマー網目構造の弾力性による「回復率」である。
【0110】
本実施例では、米国北東部から供給されたSBS改質PMA(ポリマー改質アスファルト)を使用して、ポリマー改質アスファルト舗装から供給された経年劣化後RAPをリジュベネート処理したことによる影響を実証した。PMAを、AASHTO M332に準拠してPG64V-22としてグレード付けした。
【0111】
試料をRTFOでコンディショニングし、25℃、58℃、64℃及び70℃にてAASHTO T350に準じて試験した。これらの各条件にて、高温性能グレード(HT-PG)も同様に、測定し報告した。次に、試料を2.1MPaの空気圧で20時間のPAV経年劣化に供し、7~10年にわたる現場経年劣化をシミュレートして100℃にてRAP歴青の状態を表示した後、実施例#10(MOB2)に記載されている2用量のリジュベネート剤で処理した。
【0112】
下表に示す結果が示唆するように、リジュベネート処理済の経年劣化後PMAは、シミュレートされた現場経年劣化を通過する前に、元のPMAにおいてその弾性を維持(及び超える)することができた。
【0113】
これらの結果は、HT-PGが増加したことからも推測されるように、試験温度にて経年劣化後PMAの剛性が増大したことに単に起因するものでることを、当業者であれば論ずると思われる。そのような問題を解決するために、「等粘度」温度を表す状態それぞれを内挿することによってもまた、回復率(%)を予測した。等粘度温度を、64℃でのRTFO-経年劣化後対照の性能に相当するものとして選択した。結果から示唆されるように、元のPMAよりも改善されたことが明らかであり、PMAから供給されたリジュベネート処理済RAPからのPMA寄与が優勢であることが示唆された。そのような結果は、経済的に大きな重要性を持つ。なぜなら、本発明を利用して、リジュベネート処理済PMA RAPを高含有率にて舗装に組み込むことによって促進される、顕著な経済的節約及び性能向上が達成される可能性のあることが示唆されるからである。これは、ポリマー改質または性能が通常、低RAP PMA舗装に関連付けられていることを明示している。
【0114】
[表]
【0115】
実施例14:高含量のリサイクルドアスファルト屋根板の歴青の処理
リサイクルドアスファルト屋根板(RAS)は、当業界において多様なレベルで使用されているリサイクルド歴青の供給源とされている。屋根ふき歴青は、屋根板に用いられる前に、極端なレベルの空気を吹き付けるため、そのような歴青供給源を舗装に過度に使用した場合、早期の亀裂及び耐久性の問題が懸念されるようになり、結果として、多くの管轄区域において使用が制限されることになる。性能ベースのデザイン及び仕様の出現に伴って、舗装におけるRAS使用量の許容レベルを示す性能ベース基準を見出すための努力が為されてきた。そのようなパラメーターの1つが、ΔTcである。このΔTcは、AASHTO M320で定義されているように、20時間または40時間のPAV経年劣化後の最終歴青のSグレードとmグレードとの差分として定義される。より負のΔTc値は、互換性が低下して、早期の耐久性の問題が発生する可能性の高いことを示唆するものであると理解されている。
【0116】
本発明において記載されているリジュベネート処理用化合物は、高レベルのRAS歴青を含む結合剤のΔTc値を改善する能力を有すると同時に、本実施例において実証されているように、特に低温性能及び緩和の点で、結果として得られる歴青の全体的な性能もまた向上させるものである。Flint Hills製油所から供給されたPG64-22バージン結合剤を、25重量%の抽出済RAS歴青とブレンドした。次に、実施例#10(MOB2)に記載のリジュベネート剤を、より高用量にて連続投与することによって、ブレンドを処理した。下表に示す結果から示唆されるように、低温性能、特にmグレードにおける改善が明らかであると共に、MOB2用量の増加に伴って改善の傾向も見られた。
【0117】
更にその上、リジュベネート処理済RAS含有歴青のUTIもまた増加し、独自の高性能リジュベネート処理用の経年劣化後歴青ブレンドが、PG64-28結合剤の要件(出発材料として用いられるPG64-22バージン結合剤と比べてプレミアムグレードと見なされる要件)を満たすものであることも、実証された。この独自且つ高性能なリジュベネート処理済リサイクルド歴青ブレンドは、歴青組成物を利用する様々な業界において用いられる高価値な歴青供給源を提供できるという、本発明の独自機能のもう1つの例として挙げられている。
【0118】
[表]
【0119】
実施例15:リジュベネート処理用オイルの経年劣化耐性
先に考察したように、本発明において記載される好適なリジュベネート剤は、経年劣化後歴青の画分を補充する。したがって、リジュベネート処理用オイルが、許容可能なものであること、ならびに歴青及びアスファルトが生産及び運用中に曝されるのと同じ熱的条件及び酸化条件の下で機能することを予期するのは合理的である。これらの条件を、AASHTO M320で規定されたフレームワークに準じて、実験室で標準的にシミュレートし試験する。すなわち、歴青を、163℃にて85分間、ローリング薄膜オーブン(RTFO)を使用して短期経年劣化させる一方、加圧劣化試験(PAV)で2.1MPaの空気圧下、90~110℃にて20時間の経年劣化を経て長期経年劣化させる。また、歴青の短期経年劣化を、ASTM D1754に準じて、163℃にて5時間、薄膜オーブン(TFO)経年劣化を用いて試験した。RTFO試験手順は、TFO手順とほぼ同等になるようにデザインされた。
【0120】
本実施例では、ASTM D6521に準じて、加圧劣化試験(PAV)で2.1MPaの空気圧下、100℃にて20時間経年劣化させる。ASTM D4402に準拠したブルックフィールド粘度計を使用して、オイルの粘度を60℃にて試験した。更にその上、試料を、TA DSC 2920を使用して酸素パージ下で130℃に保持し、酸化誘導時間(OIT)を測定することにより、圧力示差走査熱量測定試験に供した。開始時間が長いほど、酸化に対する耐性が強いことを示す。
【0121】
[表]
【0122】
結果から明らかにされるように、硫化を使用して重合した植物オイルブレンド(MOB2及びMOB3)は、PAV経年劣化プロセスの結果として粘度の増加が最も少ないことを示す一方、未改質植物オイル及び試験済の市販アスファルト添加剤に影響が及んだことで、粘度が1~3桁の範囲で増加した。また、この傾向は、PDCを用い、MOB2オイルは他の試験済オイルシステムと比較して酸化誘導時間が顕著に長くなることに関して実証されており、更には、酸化安定性に関しても実証されている。この酸化安定性は、リジュベネート処理用オイルがリジュベネート処理済歴青組成物の性能に対して及ぼす影響の期限が長いことを示唆するものであることから、リジュベネート剤用途においては不可欠である。
【0123】
実施例16:抗酸化剤の使用による、植物オイルアスファルト添加剤の経年劣化耐性の向上
本発明の目的のために、適正な用量及び種類を使用することを前提とした場合、時効硬化に対し同等な耐性を達成するに際し、抗酸化剤の使用が有益であり得ることも想定された。抗酸化剤の用量が植物オイルの1~2重量%を超えると、溶解度の低下が観察される。それ故、好ましい実施形態では、オイルに対する溶解度を維持しながら、60℃での粘度増分を200%に低下をさせるのを達成するうえで十分な抗酸化剤が使用される。
【0124】
実施例#15と同様、ASTM D6521に準じて、加圧劣化試験(PAV)で2.1MPaの空気圧下、100℃にて20時間、オイルを経年劣化させた。ASTM D4402に準拠したブルックフィールド粘度計を使用して、オイルの粘度を60℃にて試験した。更にその上、試料を、TA DSC 2920を使用して酸素パージ下で130℃に保持し、酸化誘導時間を測定することにより、圧力示差走査熱量測定試験に供した。
【0125】
下表には、3種類の抗酸化剤と回収コーンオイルとが組み合わせて用いられている。他の改質済及び未改質の生物再生可能物については、本実施例中に用いられているものを含むがそれらに限定されない抗酸化剤を使用して、同様な方式で最適化してもよい。
【0126】
[表]
【0127】
参照文献
〔1〕C.Petersen,“A Review of the Fundamentals of Asphalt Oxidation:Chemical,Physicochemical,Physical Property,and Durability Relationships,”Transportation Research Board,Washington D.C.,2009.
〔2〕C.Petersen and R.Glaser,“Asphalt Oxidation Mechanisms and the Role of Oxidation Products on Age Hardening Revisited,”Road Materials and Pavement Design,vol.12,pp.795-819,2011.
〔3〕S.Priyanto,G.Mansoori and A.Suwono,”Measurement of property relationships of nano-structure micelles and coacervates of asphaltene in a pure solvent,”Chemical Engineering Science,vol.56,p.6933-6939,2001.
〔4〕D.Christensen and D.Anderson,“Chemical-Physical Property Relationships for Asphalt Cements and the Dispersed Fluid Model,”in Proceedings of the Trasportation Research Board,Washington D.C.,1992.
〔5〕T.Yeh,”Colloidal Aspect of a Macrostructure of Petroleum Asphalt,”FUEL SCIENCE & TECHNOLOGY INTERNATIONAL,vol.10,no.4,pp.723-733,1992.
〔6〕H.Tabatabaee and H.Bahia,“Establishing Use of Binder Cracking Tests for Prevention of Pavement Cracking,”Submitted to the Journal of the Association of Asphalt Paving Technologists,2014.
〔7〕H.Tabatabaee,R.Velasquez and H.Bahia,“Predicting Low Temperature Physical Hardening in Asphalt Binders,”Submitted for publication in the Journal of Construction and Building Materials,2012.
〔8〕H.Bahia,H.Tabatabaee and R.Velasquez,“Asphalt Thermal Cracking Analyzer,”in 7th International Conference on Cracking in Pavements,Netherlands,2012.
図1
図2
図3
図4