(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-01-16
(45)【発行日】2023-01-24
(54)【発明の名称】レリーフ式の表面を有する2つの組成物を備える化粧品のスティック、このような化粧品のスティックを製造するための方法、およびデバイス
(51)【国際特許分類】
A45D 40/16 20060101AFI20230117BHJP
【FI】
A45D40/16 Z
(21)【出願番号】P 2019562389
(86)(22)【出願日】2018-05-03
(86)【国際出願番号】 FR2018051117
(87)【国際公開番号】W WO2018206883
(87)【国際公開日】2018-11-15
【審査請求日】2021-02-12
(32)【優先日】2017-05-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】500404605
【氏名又は名称】パフューム クリスチャン ディオール
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】ティエリー・シャルティエ
(72)【発明者】
【氏名】レミ・バロー
【審査官】長谷部 智寿
(56)【参考文献】
【文献】特表2013-522227(JP,A)
【文献】特開2002-336040(JP,A)
【文献】特開2000-300338(JP,A)
【文献】特開2000-290139(JP,A)
【文献】特表2014-516747(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 8/00- 8/99
A61Q 1/00-90/00
A45D 40/16
B29C 33/00-33/76
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
長手方向軸(X-X)に沿って延在した、2つの組成物AおよびBを含んだ化粧品のスティックを製造するための方法であって、前記スティックがレリーフ式の装飾的表面部分(S)を提示した側部表面(10C)を有し、
前記方法が:
レリーフ式の表面部分(S’)を有するカップ(22)内にコア(24)を配置するステップ(E4)と、
前記コア(24)と前記カップ(22)との間に組成物Aを注入または射出して、これにより第1の部材(14)を形成するステップ(E5)と、
前記カップ(22)から前記コア(24)を取り外すステップ(E8)と、
前記コア(24)により残された空間内に組成物Bを注入または射出して、これにより第2の部材(12)を形成し、それにより化粧品のスティック(10)を形成するステップ(E9)と、
前記カップ(22)を変形させて、これにより前記化粧品のスティック(10)を離型するステップ(E12)と、
を含んでいることを特徴とする、
化粧品のスティックを製造するための方法。
【請求項2】
前記化粧品は中央部分-シースのタイプであり、前記2つの組成物AおよびBが互いに関連して配置構成されて、前記長手方向軸(X-X)に沿ってシース(14)によって囲まれた中央部分(12)を形成し、前記シース(14)が前記レリーフ式の装飾的表面部分(S)を提示した側部表面(10C)を有し、
前記シース(14)がステップ(E5)において形成され、
ステップ(E9)において、前記シース(14)の中に組成物Bが注入または射出されて、これにより前記中央部分(12)を形成する、
ことを特徴とする、
請求項
1に記載の化粧品のスティックを製造するための方法。
【請求項3】
前記コア(24)を潤滑するステップ(E1)をさらに含んでいる、請求項
1または請求項
2に記載の化粧品のスティックを製造するための方法。
【請求項4】
前記化粧品のスティックはリップスティックである、請求項
1から
3のいずれか一項に記載の化粧品のスティックを製造するための方法。
【請求項5】
長手方向軸(X-X)に沿って延在した、2つの組成物AおよびBを含んだ化粧品のスティックを製造するためのデバイスであって、前記スティックがレリーフ式の装飾的表面部分(S)を提示した側部表面(10C)を有する、デバイスにおいて、
前記デバイスが:
ベース(18)内に形成されるキャビティ(20)を有するベース(18)と、
前記キャビティ(20)内に受けられる弾性カップ(22)であって、レリーフ式の表面(S’)を有する、弾性カップ(22)と、
コア(24)であって、前記コア(24)が前記カップ(22)内に配置されて、前記コア(24)が前記カップ(22)の底部に接触して、これにより前記コア(24)と前記カップ(22)との間に組成物Aを注入または射出することが可能となるところである挿入位置と、前記カップ(22)から前記コア(24)が後退させられて、これにより前記コア(24)により残された空間内に組成物Bを注入または射出することが可能となるところである後退位置と、の間で平行移動可能であるコア(24)と、
化粧品のスティック(10)を前記カップ(22)から抜き出すことを可能にするために、前記カップ(22)を変形させるための手段と、
を備えることを特徴とする、
デバイス。
【請求項6】
前記化粧品のスティックは、中央部分-シースのタイプであり、前記2つの組成物AおよびBが互いに関連して配置構成され、これにより前記長手方向軸(X-X)に沿ってシース(14)によって囲まれた中央部分(12)を形成し、前記シース(14)が前記レリーフ式の装飾的表面部分(S)を提示した側部表面(10C)を有する、請求項
5に記載のデバイス。
【請求項7】
前記カップ(22)が前記キャビティ(20)のサイズより小さいサイズを有し、これにより前記カップ(22)と前記キャビティ(20)との間に空間(E)を形成しており、
デバイスが、前記空間(E)内に負圧を発生させる手段(26)を備える、
請求項5または請求項
6に記載のデバイス。
【請求項8】
前記コア(24)が、前記カップ(22)の内側表面に接触した前記コア(24)の端部と、前記カップ(22)の中に前記コア(24)が挿入されたときに、前記カップ(22)の外側にある前記コア(24)の一部分と、の間をつないだ空気出口チャンネル(24’)を有する、請求項
5から
7のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項9】
前記カップ(22)内の前記コア(24)の圧力を調整するための圧力調整手段(25)をさらに備えている、請求項
5から
8のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項10】
前記圧力調整手段(25)がばね(34)を備えている、請求項
9に記載のデバイス。
【請求項11】
平行移動の案内のためのおよび前記カップ(22)内で前記コア(24)をセンタリングするための手段(36)をさらに備え、平行移動の案内のためのおよび前記カップ(22)内で前記コア(24)をセンタリングするための前記手段(36)は、前記ベース(18)内に設けられたハウジング(46)と係合するように適合されたセンタリングリング(44)を備える、請求項
5から
9のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項12】
前記平行移動の案内のためのおよびセンタリングのための手段(36)は格納可能である、請求項
11に記載のデバイス。
【請求項13】
前記コア(24)および前記平行移動の案内のためのおよびセンタリングのための手段(36)は、ブロック(28)上に設置されている、請求項
11または請求項
12に記載のデバイス。
【請求項14】
前記平行移動の案内のためのおよびセンタリングのための手段(36)を格納位置に維持するための磁化手段(48)をさらに備える、請求項
12または請求項
13に記載のデバイス。
【請求項15】
複数のキャビティ(20)と、レリーフ式の表面(S’)を各々が有する複数の弾性カップ(22)と、複数のコア(24)と、を備え、前記複数のキャビティ(20)が前記ベース(18)内に形成され、前記カップ(22)の各々が、各キャビティ(20)内に受けられ、前記コア(24)の各々は、前記コア(24)が前記カップ(22)内に配置されるところである挿入位置と、前記カップ(22)から前記コア(24)が後退させられるところである後退位置と、の間で平行移動可能である、請求項
5から
14のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項16】
前記化粧品のスティックはリップスティックである、請求項
5から
15のいずれか一項に記載のデバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は化粧品のスティックに関し、詳細には2つの組成物を備え、レリーフ式の装飾的表面部分を有する、リップスティックまたは顔の色艶のための製品に関する。
【0002】
より詳細には、本発明は、例えば中央部分およびシースを有するタイプの、2つの組成物を備える化粧品のスティックに関し、詳細にはレリーフ式の装飾的表面部分を有する、中央部分およびシースを有するリップスティックのスティックと、中央部分-シースのタイプ(central part-sheath type)の方式と、このような化粧品のスティックを製造するためのデバイスと、に関する。以下では、本発明が少なくとも2つの組成物を備える化粧品のスティックに関しており、つまりこの化粧品のスティックが2つ超の異なる組成物を備えることができることに留意されたい。
【背景技術】
【0003】
特許文献1が、中央部品-シースのタイプのリップスティックのスティックと、このようなリップスティックのスティックを製造するためのデバイスと、を開示している。
【0004】
しかし、特許文献1で説明されるリップスティックのスティックはレリーフ式の装飾的表面部分を有するものではなく、説明されるデバイスは、レリーフ式の装飾的表面部分を備える、中央部品-シースのタイプのリップスティックを製造するのを可能にするものではない。実際には、デバイスが、リップスティックのスティックをその中に注入または射出するところの剛体金型を備える。このような金型は、リップスティックのスティックのシース上にレリーフ式の装飾的表面部分を作るのを可能にするものではない。実際には、リップスティックのスティックを金型から外すとき、レリーフ式の装飾的表面部分が金型に接触することで擦り減ることになり、大幅に様変わりすることになる。
【0005】
文献特許文献2が、レリーフ式の装飾的表面部分を有するリップスティックのスティックと、このようなリップスティックのスティックを製造するためのデバイスと、を開示している。
【0006】
しかし、特許文献2で説明されるリップスティックのスティックは中央部分-シースのタイプのスティックではなく、説明されるデバイスは、レリーフ式の装飾的表面部分を有する、中央部分-シースのタイプのリップスティックのスティックを製造するのを可能にするものではない。実際には、デバイスが、リップスティックのスティックをその中に注入または射出するところの弾性金型を備える。このような金型は、中央部分を囲むシースを形成するために、2つの組成物を注入または射出するのを可能にするものではない。実際には、これを行うためには、金型の中にコアを導入することが必要であり、このコアが弾性金型を変形させることなく弾性金型の底部に当接される。特許文献2に説明されるデバイスはこのような当接を保証するのを可能にするものではない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】仏国特許出願公開第2417980号明細書
【文献】仏国特許出願公開第2823082号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、具体的には2つの組成物を備える化粧品のスティックを作ることを意図されており、このスティックがレリーフ式の装飾的表面部分を有する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この目的のために、本発明による化粧品のスティック、具体的にはリップスティックのスティックが、長手方向軸に沿って延在する2つの組成物AおよびBを備え、化粧品のスティックがレリーフ式の装飾的表面部分を提示する側部表面を有する。
【0010】
組成物AおよびBは異なるものであってもまたは等しいものであってもよく;同様に組成物AおよびBが異なる風合いであってもまたは等しい風合いであってもよく; 同様に組成物AおよびBが異なる色であってもまたは等しい色であってもよい。
【0011】
本発明の好適な実施形態では、以下のうちの1つまたは複数が同様に使用され得る:
【0012】
化粧品のスティックが中央部分-シースのタイプであり、2つの組成物AおよびBが互いに関連して配置構成され、それにより長手方向軸に沿ってシースによって囲まれた中央部分を形成し、シースがレリーフ式の装飾的表面部分を提示する側部表面を有する;
【0013】
化粧品のスティックが先端面取りされる自由端を有する;
【0014】
先端面取りされた自由端において、シースが中央部分の周りに一定の厚さを有する;
【0015】
先端面取りされた自由端において、中央部分がシースと同心である;
【0016】
レリーフ式の装飾的表面部分が凸形であるかまたは凹形である。
【0017】
別の態様によると、本発明が、長手方向軸に沿って延在する、2つの組成物AおよびBを備える、化粧品のスティック、具体的にはリップスティックのスティックを製造するための方法であって、このスティックがレリーフ式の装飾的表面部分を提示する側部表面を有する、方法において、この方法が:
- レリーフ式の表面部分を有するカップ内にコアを配置するステップと、
- 第1の部材を形成することを目的としてコアとカップとの間に組成物Aを注入または射出するステップと、
- カップからコアを取り外すステップと、
- 第2の部材を形成してそれにより化粧品のスティックを形成することを目的として、組成物Bを注入または射出するステップと、
- 化粧品のスティックをデモールドするためにカップを変形させるステップと、
を実施することを特徴とする、方法に関する。
【0018】
本方法はコアを潤滑するステップをさらに含むことができる。
【0019】
別の態様によると、本発明が、長手方向軸に沿って延在する2つの組成物AおよびBを備える、化粧品のスティック、具体的にはリップスティックのスティックを製造するためのデバイスにさらに関し、このスティックがレリーフ式の装飾的表面部分を提示する側部表面を有する。
【0020】
本発明によるデバイスが具体的には、長手方向軸に沿ってシースによって囲まれる中央部分を形成するように互いに関連して配置構成される2つの組成物AおよびBを備える、長手方向軸に沿って延在する、中央部分-シースのタイプの化粧品のスティック、具体的にはリップスティックのスティックを製造するのを可能にし、シースがレリーフ式の装飾的表面部分を提示する側部表面を有する。
【0021】
本発明の好適な実施形態では、以下のうちの1つまたは複数が同様に使用され得る:
- 化粧品のスティック、具体的にはリップスティックのスティックが、中央部分-シースのタイプであり、2つの組成物AおよびBが互いに関連として配置構成され、それにより長手方向軸に沿ってシースによって囲まれる中央部分を形成し、シースがレリーフ式の装飾的表面部分を提示する側部表面を有する;
- カップが、カップとキャビティとの間に空間を画定するためにキャビティのサイズより小さいサイズを有し、デバイスが空間内に負圧を発生させるための手段を備える;
- コアが、カップの先端面取りされる内側表面に接触するコアの端部と、上記カップの中にコアが挿入されるときにカップの外側にあるカップの一部分と、の間をつなぐ空気出口チャンネルを有する;
- デバイスが、カップ内のコアの圧力を調整するための圧力調整手段をさらに備え;圧力調整手段がばねを備えることができる;
- デバイスが、平行移動の案内のための(for guiding in translation)およびカップ内でのコアのセンタリングのための手段をさらに備え;平行移動の案内のためのおよびセンタリングのための手段が格納可能であってよい;
- コア、ならびに平行移動の案内のためのおよびセンタリングのための手段が、ブロック上に設置される;
- デバイスが、平行移動の案内のためのおよびセンタリングのための手段を格納位置で維持するための磁化手段をさらに備える;
- 平行移動の案内のためのおよびセンタリングのための手段が、ベース内に設けられるハウジングに係合されるように適合されるセンタリングリングを備える;
- デバイスが、複数のキャビティと、レリーフ式の表面を各々が有する複数の弾性カップと、複数のコアと、を備え、ここでは、複数のキャビティがベース内に形成され、カップの各々が各キャビティ内に受けられ、ここではコアの各々が、コアがカップ内に配置されるところの挿入位置と、カップからコアが後退させられるところの後退位置と、の間を平行移動可能である。
【0022】
これらの構成を用いることで、レリーフ式の装飾的表面部分を有する中央部分-シースのタイプの化粧品のスティック、具体的にはリップスティックのスティックを作ることが可能となり、このスティックが良好な品質を有する。
【0023】
この装飾的表面部分上のパターンが、具体的には、装飾的パターン、ロゴ、商標、個人の銘刻(personalized inscription)などの、装飾的なおよび/または説明的な要素を表すことができる。
【0024】
添付図面を参照しながら非限定の例として与えられるその実施形態のうちの1つの以下の説明から、本発明の他の特徴および利点が明らかとなる。多様な図において、同様の参照符号が等しいまたは同様の要素を示す。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図1A】本発明による化粧品のスティックを示す正面図である。
【
図2】本発明による方法を示している、本発明によるデバイスを示す分解斜視図である。
【
図3A】コアがカップの外側にある状態の、
図2のデバイスを示す斜視図である。
【
図3B】コアがカップ内に挿入されている状態の、
図2のデバイスを示す斜視図である。
【
図4A】より良好な視認性のためにコアが示されていない、平行移動の誘導のためのおよびセンタリングのための手段が格納されている状態の、線IV-IVに沿う
図3Bのデバイスを示す部分断面図である。
【
図4B】より良好な視認性のためにコアが示されていない、平行移動の誘導のためのおよびセンタリングのための手段が配備されて縮小プレートに接触している状態の、線IV-IVに沿う
図3Bのデバイスを示す部分断面図である。
【
図4C】より良好な視認性のためにコアが示されていない、平行移動の誘導のためのおよびセンタリングのための手段が配備されて縮小プレートから一定の距離のところにある状態の、線IV-IVに沿う
図3Bのデバイスを示す部分断面図である。
【
図5】線V-Vに沿う
図4のデバイスを示す断面図である。
【
図6A】シースがカップの中に注入された状態の、
図5のデバイスのベースを示す断面図である。
【
図6B】中央部分がシースの中に注入された状態の、
図5のデバイスのベースを示す断面図である。
【
図7】中央部分がシースの中に注入された状態の、
図5のデバイスのベースを示す断面図である。
【
図8】本発明による方法のステップを概略的に示すタイミング図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
図1Aおよび
図1Bが本発明による化粧品のスティック10を示している。化粧品のスティックが具体的にはリップスティックである。
【0027】
化粧品のスティック10が長手方向軸X-Xに沿って延在する。化粧品のスティック10が、長手方向軸X-Xに沿って延在する2つの組成物AおよびBを備える。化粧品のスティック10が、長手方向軸X-Xに沿ってシース14によって囲まれる中央部分12を形成するように互いに関連して配置構成される2つの組成物AおよびBを備える、中央部分-シースのタイプであってよい。以下で、中央部分-シースのタイプの化粧品のスティック10のための説明が与えられるが、本説明がこのタイプの化粧品のスティックのみに限定されず、2つの組成物AおよびBを備える任意のタイプの化粧品のスティック10に適用され得ることが理解されよう。
【0028】
組成物AおよびBが化粧品であり、組成物AおよびBが化粧品のスティックの組成物に含まれ、好適には視覚的に識別される。
【0029】
図1Aでより明瞭に見られ得るように、化粧品のスティック10のシース14が、化粧品のスティック10の側部表面10C上にレリーフ式の装飾的表面部分Sを有する。レリーフとは、化粧品のスティック10の軸に沿ってデモールドするときに少なくとも1つのアンダーカットを形成するために、装飾的表面部分Sが
図1Aおよび
図1Bに示されるような凸形または
図5から
図7に示されるような凹形であることを意味するものとしてここでは理解される。
【0030】
化粧品のスティック10が自由端10Aを有し、その反対側に、既知のタイプの計量分配機構16に固定される端部10Bを有する。端部10Aがノーズコーンの形状を有してよい。化粧品のスティック10が、
図1Bに最も良好に見られるように、自由端10Aのところで先端面取りされていてよい。この先端面取り部分はその中心がずれている。これは、化粧品のスティック10のノーズコーン端部がドーム形状であることが理由である。
【0031】
さらに、シース14が、先端面取りされる自由端10Aのところに、先端面取り部分の平面で測定される、中央部分12の周りにおける一定の厚さを有することができる。より具体的には、先端面取りされる自由端10Aのところで、シース14が中央部分12の全体の周りに一定の厚さ14’を有する。以下では、自由端10Aを先端面取りされた状態としながらこのような厚さの不変性を有するのを可能にする手法を説明する。
【0032】
スティックの断面は好適には円形であるが、任意の他の形状を有してもよい。
【0033】
同様に、中央部分の断面が好適には円形であるが、任意の他の形状を有してもよく、例えば楕円、水滴形状、多角形、具体的には星形状、を有してもよい。
【0034】
図2が、本発明による方法を実施するのを可能にする本発明によるデバイスの分解図を示す。
【0035】
本発明によるデバイスが、上述した化粧品のスティック10を製造するのを可能にする。したがって、デバイスが、長手方向軸(X-X)に沿って延在する、2つの組成物AおよびBを備える化粧品のスティック10を、具体的にはリップスティックのスティックを製造するのを可能にするが、さらには中央部分-シースのタイプの化粧品のスティックを、具体的にはリップスティックのスティックを製造するのを可能にする。以下では、本説明が中央部分-シースのタイプの化粧品のスティック10を製造するためのデバイスのための説明であるが、本説明がこのタイプの化粧品のスティックのみに限定されず、2つの組成物AおよびBを備える任意のタイプの化粧品のスティックにも適用され得ることを理解されたい。
【0036】
デバイスは、ベース18内に形成されるキャビティ20を備えるベース18を備える。好適には、ベース18が複数のキャビティ20を備え、それにより本発明による複数の化粧品のスティック10を同時に製造することを可能にする。この事例では、図に示されるように、ベース18が6つのキャビティ20を有するが、別の数(より少ないまたはより多い)を有してもよい。
【0037】
本発明によるデバイスが、キャビティ18内で受けられる弾性カップ22をさらに備える。異なる組成物AおよびBとの物理化学的適合性を理由として、カップ22が、好適には、化粧品のスティックを抜き出すことを目的とした変形のために必要な弾性を有しさらにはこれらの組成物との相互作用のリスクを有さないような、ゴムまたはシリコーンなどの、材料で形成される。
【0038】
カップ22が、シース14上に作られるレリーフ式の表面Sに対して相補的であるレリーフ式の表面(図示略)を有する。この事例では、図に示されるように、化粧品のスティック10のレリーフ式の表面Sが凸形である場合、カップ22のレリーフ式の表面S’が凹形である。逆に、化粧品のスティック10のレリーフ式の表面が凹形である場合、カップ22のレリーフ式の表面が凸形である。
【0039】
図に示されるように、本発明によるデバイスが、6つのキャビティ18のうちの1つの中で各々が受けられる6つの弾性カップ22を備えることができる。各々のカップ22が、シース14上に作られるレリーフ式の表面Sに対して相補的であるレリーフ式の表面S’を有する。
【0040】
本発明によるデバイスが、カップ22の中にコアが配置されるところの
図3Bに示される挿入位置と、カップ22からコアが後退させられる
図3Aに示される後退位置との間で長手方向軸X-Xに沿って平行移動可能であるコア24をさらに備える。コア24が、例えば陽極処理によって作られるコーティングを有することができる、例えば鋼またはアルミニウムなどの、金属で好適には作られる。この事例では、図に示されるように、本発明によるデバイスが、6つのカップ22のうちの1つの中に各々が受けられる6つのコア24を備える。
【0041】
デバイスが、レリーフ式の装飾的表面部分Sにダメージを与えることなく化粧品のスティックをカップから抜き出すことを可能にするために、カップ22を変形させるための手段26をさらに備える。この事例では、手段26が6つのカップ22の各々を変形させることを可能にする。
【0042】
各カップ22が、各々のカップ22と対応するキャビティ20との間に空間Eを画定するために、キャビティ20のサイズより小さいサイズを有する。手段26が空間E内に負圧を発生させて、それにより各々のカップ22を変形させることを可能にし、さらには
図7に示されるようにダメージを与えることなく、化粧品のスティック10を容易に離型することを可能にする。手段26が既知のタイプであってよく、真空ポンプと、パイプと、逆止弁と、を備えることができる。
【0043】
したがって、このようなデバイスにより、本発明による6つの化粧品のスティック10を同時に作ることが可能となる。
【0044】
以下では、本説明が、コア24を備えるキャビティ20内に配置構成されるカップ22のためのものであるが、本説明が、複数のコア24を備える複数のキャビティ20内に配置構成される複数のカップ22にも適用されることが理解されよう。
【0045】
自由端10Aのところでシース14によって囲まれる中央部分12の先端面取りされる表面10Aを作るために、コア24をカップ22の底部に接触させることが必要である。この目的のために、コア24が、化粧品のスティック10の先端面取りされる自由端10Aの形状と同等の形状の先端面取りされる自由端24Aを有する。同じことが、対応する先端面取りされる内側表面22Aをさらに有するカップ22の内部にも当てはまる。したがって、コア24がカップ22の中に挿入されるとき、コア24の自由端24Aがカップ22の先端面取りされる内側表面22Aに接触する。この接触により、シース14の組成物Aがコア24の自由端24Aとカップ22の先端面取りされる内側表面22Aとの間を通過することが防止される;接触しない場合は自由端10Aのところで中央部分12が可視とはならない。その理由はその最初の使用の前にシースによって完全に覆われることになるからである。
【0046】
さらに、自由端10Aのところで中央部分12の周りにおけるシース14の一定の厚さ14’を保証するために、
図5で最も良好に見ることができるように、コア24を長手方向軸X-Xからオフセットすることが必要である。この目的のために、長手方向軸X-Xと中央部分12の軸X12-X12との間にオフセット量Δが設けられ得る。中央部分12の軸X12-X12が、中央部分12の側壁12Cから等距離に化粧品のスティック10を通過する軸として画定される(
図1B)。したがって、この軸が傾斜表面10Aの領域の外側に画定される。
【0047】
挿入位置(
図3B)からその後退位置(
図3A)までコア24が移動するときにカップ22が吸引力によって引っ張られることを防止するためにカップ22が弾性であることから、コア24が、上記カップ22の中にコア24が挿入されるときに先端面取り部分上のコア24の自由端24Aとカップ22の外側のコア24の一部分との間をつなぐ空気出口チャンネル24’(または、通気孔)を有し、それによりコア24を通気状態にすることが可能となり、吸引効果が回避される。
【0048】
加えて、コア24の自由端24Aとカップ22の先端面取りされる内側表面22Aとの間の接触を保証するためにおよびコア24の過度の圧力によりカップ22が変形することを防止するためにカップ22が弾性であることから、デバイスがカップ22内でコア24の圧力を調整するための手段25を備える。
【0049】
この目的のために、コア24は、軸受30と棒32とを備える圧力調整手段25を介して、ブロック28上を摺動するように設置される;コア24の圧力調整手段25が軸受30に圧力を作用させて、それによりカップ22の底部内でコア24によって作用される圧力を制御するためのばね34をさらに備える。ばね34の特性は、コア24およびカップ22の寸法と、カップ22の弾性と、に従って選択される。ばね34の弾性は、ブロック28の移動が定位置までのその移動を継続している間において、コア24の変形前にコア24を基準としたピンの移動が停止されることになるように、適合される。ばね34は、好適には圧縮ばねである。
【0050】
コアの摺動移動は5mm未満であり、例えば2mmに等しい。コア24が適切にカップ22内の定位置にくると、圧力調整手段25が有利には実質的に中間ポイントのところにくる。
【0051】
各コア24は独立している。したがって、
図5を参照すると、2つの図示されたコア24は異なる高さのところにある。したがって、この事例では、図示された2つのコア24の間のより大きい値またはより小さい値であるかさらに可能性としてゼロである差δは、
図5で可視となる。この差δが、カップ22の先端面取りされる内側表面22Aに接触するコアの自由端24Aの間に存在する。この差は軸受30のところにも存在する。高さのこの差は2つのばね34の圧縮の違いに関連する。この違いは、例えばカップ22の間の違いを原因としていてよく、具体的にはカップ22の製造公差を原因としていてよい。
【0052】
デバイスは、フランジ
39および縮小プレート40をさらに備える。
図5から
図7で最も良好に見られるように、フランジ
39がカップ22を維持するためにベース18上に留まることを意図され、対して縮小プレート40が化粧品のスティック10を作った後で取り外されることを意図され、それにより化粧品のスティック10をカップ22
【0053】
フランジ39は、例えば磁化によりベース18に保持される。
【0054】
縮小プレート40が、縮小プレート40に固定されるセンタリングピン42によりフランジ
39上に配置構成されてセンタリングされ得る。この事例では、コア24およびカップ22の存在数と同数のセンタリングピン42が存在する。実際には、
図5で最も良好に見られるように、ピン42がフランジ
39を通してカップ22の中に挿入される。もちろん、ピン42がアクセス開口部42’を装備し、それによりコア24がピン42を通過すること、およびシース14を形成するために組成物Aで充填すること、を可能にする。
【0055】
縮小プレート40は、磁化によりフランジ39に保持され得る。
【0056】
カップ22内でコア24を適切に位置決めすることを保証するために、デバイス、また具体的にはブロック28が、平行移動の誘導のためのおよびカップ22内でのコア24のセンタリングのための手段36をさらに備えることができる。
【0057】
平行移動の案内のためのおよびセンタリングのための手段36は、フランジ39上に設けられるハウジング46の中に挿入されることを意図される、平行移動の案内のためのおよびセンタリングのための1つまたは複数のリング44を備える。この事例では、対応する2つのハウジング46の中に装着されることを意図された、平行移動の案内のためのおよびセンタリングのための2つのリング44が提供され得る。これらのリング44は、ベース18に対してブロック28をセンタリングすることを可能にする(フランジ39および縮小プレート40を介する)。平行移動の案内のためのおよびセンタリングのためのリング44が、わずかに円錐台形であるハウジング46の中に装着され、それにより案内およびセンタリングを容易にする。リング44が金属で作られ得、フランジ39上に配置されて縮小プレート40のハウジング46の方を向く磁石47を用いて、フランジ39によりベース18に保持され、したがってブロック28がベース18に対して堅固に保持される。
【0058】
平行移動の案内のためのおよびセンタリングのための手段36は、格納可能であってよく、それによりコア24の挿入位置(
図3B)と後退位置(
図3A)との間での格納を可能にする。
【0059】
さらに、リング44が磁性を有し、その結果、
図4Aで最も良好に見られるように、ブロック28の上に設けられる、ならびに/または平行移動の案内のためのおよびセンタリングのための手段36の上に設けられた磁石48を使用することによる磁気効果により、平行移動の誘導のためのおよびセンタリングのための手段36は、ブロック28を基準とした格納位置で保持され得る。
【0060】
コア24が後退位置から挿入位置まで移動するとき、ブロック28がベース18により接近し、この事例では縮小プレート40により接近し、その結果、各コア24が対応するカップ22の中に漸進的に挿入される。
【0061】
平行移動の案内のためのおよびセンタリングのための手段36が既に格納された状態において、リング44がハウジング46の中で入れ子状になると、コア24はカップ22内でのその挿入位置に到達している(
図4A)。
【0062】
この目的のために、平行移動の案内のためのおよびセンタリングのための手段36は、摺動組立体38を備えることができ、より具体的には一対の摺動組立体38を備えることができる。各摺動組立体が、ブロック28内に埋設されるガイド軸受38C内で平行移動する形で摺動するように設置される摺動棒38Aで形成され、これがスライド38Bあるいは他の軸受または玉軸受ケージによる。
【0063】
図4Aから
図4Cを参照すると、ブロック28はハウジング38Dを備え、ハウジング38D内にガイド軸受38Cが埋設され、ハウジング38Dを基準として棒38Aが長手方向軸X-Xに沿って摺動することができ;したがって、棒38Aが摺動することによりブロック28の中まで格納され得る。
【0064】
次いで、本発明による化粧品のスティック10を製造するための方法のステップを説明する。組成物AおよびBを運んで注入または射出するための手段は説明されない。これらの手段は既知のタイプである。したがって、この方法は、長手方向軸(X-X)に沿って延在する、2つの組成物AおよびBを備える、化粧品のスティック10、具体的にはリップスティックのスティックを、製造することを可能にするが、中央部分-シースのタイプの化粧品のスティック、具体的にはリップスティックのスティック、を製造することも可能にする。以下では、本説明が中央部分-シースのタイプの化粧品のスティック10を製造するための方法のための説明であるが、本説明がこのタイプの化粧品のスティックに限定されず、2つの組成物AおよびBを備える任意のタイプの化粧品のスティック10にも適用され得ることを理解されたい。
【0065】
ステップE1で、平行移動の案内のためのおよびセンタリングのための手段36が格納され、コア24が潤滑材料で予め潤滑されており、それにより組成物AおよびBがコア24に接着することが防止される。この目的のために、コア24がシリコーンで被覆される。コア24の自由端24Aとカップ22の先端面取りされる内側表面22Aとの間の接触を可能にするために、コアの自由端24Aがシリコーンで覆われていなくてよい。この被覆は噴霧によって達成され得る。
【0066】
ステップE2で、縮小プレート40(および、縮小プレート40に取り付けられるセンタリングピン42)がフランジ39上に配置され、フランジ39自体はベース18上に配置構成される。
【0067】
ステップE3で、ブロック28が、例えばロボットアーム(図示略)により、ベース18の上方まで送られ、この事例では縮小プレート40の上方まで送られる。
【0068】
ステップE4で、次いで、ブロック28は、ベース18の、この事例では縮小プレート40の、平行移動の案内のためのおよびセンタリングのための手段36に接近するように、長手方向軸X-Xに沿って降下させられ、各コア24が対応するカップ22の中に漸進的に挿入される。平行移動の誘導のためのおよびセンタリングのための手段36の平行移動の案内のためのおよびセンタリングのためのリング44がハウジング46内の定位置にくると、ブロック28がその接近を停止する。
【0069】
平行移動の案内のためのおよびセンタリングのためのリング44がハウジング46の中に挿入され、磁化によりフランジ
39に対して保持され、それによりブロック28がベース18に対して堅固に保持される。次いで、各コア24が、対応する圧力調整手段25により、カップを変形させることなく、カップ22の先端面取りされる内側表面22Aに接触する。ブロック28がその接近を停止する前に各コア24がカップ22の先端面取りされる内側表面22Aに接触する(
図3B、
図4A、および
図5)。
【0070】
コア24がカップ22の内部で定位置にくると、言い換えると挿入位置にくると、ステップE5で、充填ヘッド(図示略)がカップ22内に設けられたアクセス開口部42'に係合されるところにまで送られ、上記キャビティCの容積に実質的に対応する一定量の組成物Aの製品が、キャビティC(コア24とカップ22との間での利用可能な容積)の中に注入または射出される(
図5)。この注入ステップまたは射出ステップ中、組成物Aの製品がキャビティCの中に入り、初期状態においてその中に存在していた空気を排出し、カップ22のレリーフ式の表面S’に接触する。
【0071】
カップ22の予熱ステップまたは冷却ステップ(ステップE6)が可能性として実現されてよく、組成物Aを注入または射出するステップの前に実施されてよい。
【0072】
次いで、このようにして注入された組成物Aの冷却、および少なくとも部分的な固化のステップが行われる(ステップE7)。冷却および少なくとも部分的な固化の後、キャビティCの中に注入された化粧品が、カップ22の周囲壁および底部に接触することで、その充填領域内においてカップ22に接着する。ピン42内に設けられたアクセス開口部42’がわずかに円錐であって化粧品のスティック10の底部に向かってつまり化粧品のスティック10の端部10Bに向かって狭くなっていくことが実現されてよい。これにより、計量分配機構16上に装着されるために、化粧品のスティック10のスティックの直径が縮小し、本質的にこのことがコアの取り外し時にシースを保持する役割を有する。
【0073】
次いで、ブロック28が長手方向軸(X-X)に沿って持ち上げられ(ステップE8)、磁石48が、漸進的に広がっている、平行移動の案内のためのおよびセンタリングのための手段36から離れるように移動させられて、ここでは完全に配備されるようになるまで、コア24は依然としてカップ22内にあり、次いでコア24がカップ22から出る。平行移動の案内のためのおよびセンタリングのための手段36の完全な配備位置は、摺動組立体38の移動制限装置(travel limiter)によって画定される。この目的のため、デバイスはねじ37を備えてもよく、このねじは、ブロック28内に設けられた孔37’内を摺動して孔37’内に設けられた肩部37''に当接され、且つ平行移動の案内のためのおよびセンタリングのためのリング44にねじ込まれる。ねじ37が孔37’内の肩部37''に当接されるとき(
図4Bを参照)、平行移動の案内のためのおよびセンタリングのためのリング44が依然としてハウジング46内に収容されている。
【0074】
コア24がそれらの後退位置に到達するようになるまで、ブロック28がベース18(この事例では、縮小プレート10)の長手方向軸X-Xに沿って継続して離れるように移動することを理由として、ねじ37が当接されている状態において、平行移動の案内のためのおよびセンタリングのためのリング44がねじ37によりハウジング46から後退させられる(
図4Cを参照)。格納位置を維持する磁石48がハウジング46内でリング44を保持する磁石47より小さい磁力を有してよい。平行移動の誘導のためのおよびセンタリングのための手段36がコア24の直線方向の抜き出しを可能にし、それにより後退位置までにおいてシース14に損傷を与えることが回避される(
図3A、
図4C、および
図6A)。
【0075】
コア24がカップから後退させられるとき、コア24の自由端24Aに接触しているカップ22の先端面取りされる内側表面22Aが、吸引力によりコア24と共に引かれる可能性がある。この場合、コア24をそこから取り出すところのシース14の内部が損傷を受ける可能性がある。このような不利益を回避するために、コア24が、コア24の自由端24Aにまでつながっている空気出口チャンネル24’(または、通気孔)によって通気状態にされ得る。
【0076】
コア24が後退位置にくるとすぐに、ブロック28は、変位手段(図示略)によりベース18から離れるように移動させられる。次いで、シリコーンを用いる前述の被覆がコア24上で繰り返される(ステップE1)。次いで、平行移動の誘導のためのおよびセンタリングのための手段36が、格納手段(図示略)により格納位置まで格納される。
【0077】
コア24がカップ22から取り外されるとき(
図6Aを参照)、シース14の内部に形成されるキャビティC’が残される。このキャビティC’がアクセス開口部14''を有し、このアクセス開口部14''が組成物Bで充填され得る。
【0078】
次いで(ステップE9)、第2の充填ヘッド(図示略)がアクセス開口部14''に係合されるところまで送られ、上記第2のキャビティC’の容積に実質的に対応する一定量の第2の組成物製品Bが、第2のキャビティC’の中に注入または射出される。この注入ステップまたは射出ステップ中、第2の組成物製品Bが第2のキャビティC’の中に入り、それらの接触インターフェース(
図6Bを参照)のところでシース14(組成物A)に接着される。
【0079】
好適には、シース14の内部に注入される第2の化粧品(組成物B)が第1の化粧品(組成物A)の融点以下である融点を有する。これにより、シース14の内部に注入された第2の化粧品(組成物B)は、第1の化粧品(組成物A)を融解させることが防止される。この事例では、中央部分12とシース14との間での接着が、中央部分12とシース14との接触面のところでの、組成物AおよびBの間の摩擦または化学反応により達成され得る。
【0080】
別法として、シース14の内部に注入される第2の化粧品(組成物B)は、第1の化粧品(組成物A)よりわずかに高い融点を有することも考えられる。この手法では、第2の化粧品(組成物B)がシース14の内部に注入されるとき、第2の化粧品は第1の化粧品(組成物A)を局所的に融解させる。この事例では、中央部分12とシース14との間での接着が、中央部分12とシース14との接触面のところでの、組成物AおよびBの間の融解/混合により達成され得る。
【0081】
次いで、注入される第2の化粧品(組成物B)の冷却および固化(ステップE10)の新たなステップが続く。次いで、第2のキャビティCの中に注入された第2の化粧品(組成物B)は、第1のサイクル中に注入される第1の化粧品(組成物A)に接着され、それにより、第1のサイクル中に注入される上記化粧品(組成物A)との一体の組立体を形成し、つまり本発明による化粧品のスティック10を形成する。
【0082】
カップ22から化粧品のスティック10を離型する前に、縮小プレート40およびひいては縮小プレート40に固定されるセンタリングピン42が、ステップE11で、取り外され、それにより
図7に示されるように化粧品のスティック10を計量分配機構16に固定することを可能にする。縮小プレートの操作がロボットアーム(図には示されない)によって行われ得る。
【0083】
レリーフ式の装飾的表面部分Sに損傷を与えることなくカップ22から化粧品のスティック10を抜き出すことを可能にすることを目的として、カップ22を変形させるための手段26が作動され、それにより
図7に示されるように6つのカップ22の各々を変形させる(ステップE12)。空気を吸引することの効果により、カップ22とキャビティ20との間に存在する空間Eが縮小されて空間E’となり、カップ22がこの圧力の効果によりその弾性を理由として変形される。したがってさらに、カップ22のレリーフ式の表面S’が、化粧品のスティック10のシース14上に形成されるレリーフ式の表面Sから取り外される。
【0084】
カップ22が変形されるとすぐに、カップ22がシース14および中央部分12から離れるように移動させられ、化粧品のスティック10を離型することが、化粧品のスティック10に損傷を与えることなく、また具体的にはレリーフ式の表面Sに損傷を与えることなく、達成され得る。
【0085】
離型した後、レリーフ式の表面Sが、使用者に対して露出される得られた化粧品のスティック10の面上に、レリーフ式の装飾的パターンを形成する。
【0086】
次いで、製造サイクルが上述した方法の開始箇所に戻ることができる(ステップE1からステップE12)。
【0087】
回転テーブルを備える機械がこの方法を実施することに使用され得、ここでは各々のステップE1からE12を実施するためにベース18がステーションからステーションへと移動する。
【符号の説明】
【0088】
10 化粧品のスティック
10A 自由端
10B 端部
10C 側部表面
12 中央部分
12C 側壁
14 シース
14' 厚さ
14'' アクセス開口部
16 計量分配機構
18 ベース
20 キャビティ
22 弾性カップ
22A 内側表面
24 コア
24' 空気出口チャンネル
24A コアの自由端
25 圧力調整手段
26 カップを変形させるための手段
28 ブロック
30 軸受
32 棒
34 ばね
36 平行移動の誘導のためのおよびセンタリングのための手段
37 ねじ
37' 孔
37'' 肩部
39 フランジ
38 摺動組立体
38A 摺動棒
38B スライド
38C ガイド軸受
38D ハウジング
40 縮小プレート
42 センタリングピン
42' アクセス開口部
44 リング
46 ハウジング
47 磁石
48 磁石
A 組成物
B 組成物
C キャビティ
C' キャビティ
E' 空間
E1 ステップ
E2 ステップ
E3 ステップ
E4 ステップ
E5 ステップ
E6 ステップ
E7 ステップ
E8 ステップ
E9 ステップ
E10 ステップ
E11 ステップ
E12 ステップ
S 装飾的表面部分、レリーフ式の表面
S' レリーフ式の表面
δ 差
Δ オフセット量