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  • 特許-創傷治癒を改善するための方法及び装置 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-01-16
(45)【発行日】2023-01-24
(54)【発明の名称】創傷治癒を改善するための方法及び装置
(51)【国際特許分類】
   A61N 1/20 20060101AFI20230117BHJP
   A61F 13/02 20060101ALI20230117BHJP
   A61F 13/00 20060101ALI20230117BHJP
【FI】
A61N1/20
A61F13/02 345
A61F13/00 301Z
【請求項の数】 8
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2020134956
(22)【出願日】2020-08-07
(62)【分割の表示】P 2017532755の分割
【原出願日】2015-12-15
(65)【公開番号】P2020199271
(43)【公開日】2020-12-17
【審査請求日】2020-09-07
(31)【優先権主張番号】62/093,143
(32)【優先日】2014-12-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】516373214
【氏名又は名称】モートン エム.モワー
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100077517
【弁理士】
【氏名又は名称】石田 敬
(74)【代理人】
【識別番号】100087871
【弁理士】
【氏名又は名称】福本 積
(74)【代理人】
【識別番号】100087413
【弁理士】
【氏名又は名称】古賀 哲次
(74)【代理人】
【識別番号】100117019
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 陽一
(74)【代理人】
【識別番号】100141977
【弁理士】
【氏名又は名称】中島 勝
(74)【代理人】
【識別番号】100150810
【弁理士】
【氏名又は名称】武居 良太郎
(72)【発明者】
【氏名】モートン エム.モワー
【審査官】山口 賢一
(56)【参考文献】
【文献】実開平06-066701(JP,U)
【文献】特開2003-000727(JP,A)
【文献】特開平11-139922(JP,A)
【文献】特開昭63-229068(JP,A)
【文献】特開2004-344581(JP,A)
【文献】国際公開第2012/125941(WO,A1)
【文献】特開2008-044891(JP,A)
【文献】特開2004-262887(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61N 1/20
A61F 13/02
A61F 13/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気刺激による創傷治癒用パッドであって、
創傷上に配置されるように構成されたパッド;
前記創傷に接触するように前記パッド上に配置された少なくとも1つの陽極;及び
前記創傷に接触するように前記パッド上に配置された少なくとも1つの陰極であって、少なくとも1つの陽極とは別個に配置されている少なくとも1つの陰極
を含み、ここで、前記少なくとも1つの陽極と前記少なくとも1つの陰極は、前記創傷と接触して、前記少なくとも1つの陽極と前記少なくとも1つの陰極の別々の位置に基づいて創傷を通るように意図された方向で電流を提供し、
前記少なくとも1つの陽極と前記少なくとも1つの陰極が、2つ以上の異なる金属ワイヤを介して前記パッド内に織り込まれていて、
前記少なくとも1つの陽極と前記少なくとも1つの陰極は、2つ以上の別個の軟膏に別々に浸され(deposit)、
前記2つ以上の軟膏が、スルファジアジン銀クリーム及びカラミンローションを含み、
前記陽極が、カラミンローションに浸され、及び
前記陰極が、スルファジアジン銀クリームに浸されている、上記パッド。
【請求項2】
前記パッドが、ガーゼパッド及びガーゼロールのうちの少なくとも1つを含む、請求項1に記載の電気刺激による創傷治癒用パッド。
【請求項3】
前記スルファジアジン銀クリームが、1%スルファジアジン銀クリームを含む、請求項に記載の電気刺激による創傷治癒用パッド。
【請求項4】
前記カラミンローションが、所定量の酸化亜鉛及び所定量の酸化鉄を含む、請求項に記載の電気刺激による創傷治癒用パッド。
【請求項5】
電気刺激による創傷治癒用の粘着性包帯であって、
創傷上に配置されるように構成されたパッド;
前記創傷に接触するように前記パッド上に配置された少なくとも1つの陽極;及び
前記創傷に接触するように前記パッド上に配置された少なくとも1つの陰極であって、少なくとも1つの陽極とは別個に配置されている少なくとも1つの陰極;及び
前記パッドに取り付けられ、皮膚に接着するように構成された少なくとも1つの接着層
を含み、ここで、前記少なくとも1つの陽極と前記少なくとも1つの陰極は、前記創傷と接触して、前記少なくとも1つの陽極と前記少なくとも1つの陰極の別々の位置に基づいて創傷を通るように意図された方向で電流を提供し、
前記少なくとも1つの陽極と前記少なくとも1つの陰極が、2つ以上の異なる金属ワイヤを介して前記パッド内に織り込まれていて、
前記少なくとも1つの陽極と前記少なくとも1つの陰極が、2つ以上の別個の軟膏に別々に浸され
前記2つ以上の軟膏が、スルファジアジン銀クリーム及びカラミンローションを含み、
前記陽極が、カラミンローションに浸され、及び
前記陰極が、スルファジアジン銀クリームに浸されている、上記粘着性包帯。
【請求項6】
前記パッドが、ガーゼパッド及びガーゼロールのうちの少なくとも1つを含む、請求項に記載の電気刺激による創傷治癒用の粘着性包帯。
【請求項7】
前記スルファジアジン銀クリームが、1%スルファジアジン銀クリームを含む、請求項に記載の電気刺激による創傷治癒用の粘着性包帯。
【請求項8】
前記カラミンローションが、所定量の酸化亜鉛及び所定量の酸化鉄を含む、請求項に記載の電気刺激による創傷治癒用の粘着性包帯。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2014年12月17日に出願されたBUNDAGE FOR IMPROVED WOUND HEALINGと題する米国仮出願第62/093,143号に対する優先権を主張し、その全内容は参照により本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
本明細書において提供される「背景」の記載は、本開示の文脈を一般的に提示するためのものである。本願発明者の仕事は、この背景技術の項に記載されている限りにおいて、出願時の先行技術として認められなかった記述の態様と同様に、明示的にも黙示的にも本開示に対する従来技術として認められない。
【0003】
研磨性皮膚創傷、皮膚生検部位などのケアは、典型的には、その領域を過酸化物で洗浄すること、抗生物質軟膏を適用すること、および包帯で覆うことを含む。包帯は、ガーゼ部分によって分離された2つの接着部分を有するバンドアイド(BAND-AID)ブランドの包帯などの粘着性包帯であり得る。ケアの別の方法は、皮膚創傷に電流を印加することを含むことができる。
【0004】
皮膚創傷への電流の印加は、創傷の治癒を改善することができることが知られている。しかしながら、皮膚への電流の印加は、電池および接続ワイヤの使用を伴う場合がある。電池及び接続ワイヤを使用することは、特に外来患者などの患者に対して、創傷を治療する際に煩わしいことがある。
【発明の概要】
【0005】
例示的な態様において、電気刺激による創傷治癒用パッドであって、創傷上に配置されるように構成されたパッド、前記創傷に接触するように前記パッド上に配置された少なくとも1つの陽極、及び前記創傷に接触するように前記パッド上に配置された少なくとも1つの陰極であって、少なくとも1つの陽極とは別個に配置されている少なくとも1つの陰極を含む。上記パッドは、前記少なくとも1つの陽極と前記少なくとも1つの陰極は、前記創傷と接触して、前記少なくとも1つの陽極と前記少なくとも1つの陰極の別々の位置に基づいて創傷を通るように意図された方向で電流の流れを提供する。
【0006】
例示的な実施形態の前述の一般的な説明および以下の詳細な説明は、本開示の教示の例示的な態様に過ぎず、限定的ではない。
【0007】
本開示およびそれに付随する多くの利点のより完全な理解は、添付の図面に関連して考慮される場合、以下の詳細な説明を参照することによってよりよく理解されるように容易に得られるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、特定の態様による軟膏を含むパッドの例示的な図である。
図2図2は、ある態様による金属ワイヤを含むパッドの例示的な図である。
図3図3は、ある態様による軟膏を含む粘着性包帯の例示的な図である。
図4図4は、特定の態様による金属ワイヤを含む粘着性包帯の例示的な図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
図面において、同じ参照番号は、いくつかの図を通して同一または対応する部分を示す。さらに、本明細書で使用するとき、単語「1つの(a)」、「1つの(an)」および「その(the)」は、他に記載がない限り、一般的に「1つ以上」または「少なくとも1つ」の意味を有する。さらに、「約(approximately)」、「約(approximate)」、「約(about)」および類似の用語は、一般的に、20%、10%、または好ましくは5%のマージン内の特定された値およびそれらの間の任意の値を含む範囲を指す。
【0010】
図1は、特定の態様による軟膏を含むパッド100の例示的な図である。軟膏を含むパッド100は、パッド102、陽極104、及び陰極106を含む。パッド102は、パッド102に配置された1つ以上の陽極104および1つ以上の陰極106を含むことができる。パッド102は、皮膚創傷、皮膚生検などをカバーするために創傷に配置され得る。パッド102は、ガーゼ、メッシュ、スポンジ、目の粗い織物、および既知の外科用包帯の任意の組み合わせを含むことができる。本開示の特定の態様において、パッド102は、緩く織られた綿からなり、医療用包帯として使用されている。例えば、パッド102はガーゼパッドであってもよい。別の例では、パッド102は、ガーゼの所定の部分を有するガーゼのロールであり得て、ガーゼの各セクションは、1つ以上の陽極104および1つ以上の陰極106を含む。ガーゼのロールは、各所望のセクションの始めと終わりの視覚的補助を提供するためのミシン目を含むことができる。いくつかの態様では、パッド102は、創傷自体に付着しない創傷の包帯を提供する。
【0011】
陽極104および陰極106は、パッド102で別個の位置に配置される。陽極104は、1つ以上の陽極104であり得て、パッド102の特定の位置に固定され得る。陰極106は、1つ以上の陰極106であり得て、パッド102の特定の位置に固定され得る。陽極104および陰極106は、創傷に接触して配置されて、創傷を通るように意図された方向で電流の流れを提供することができる。電流の流れは、陽極104および陰極106の固定された別個の位置に基づいて導くことができる。電流は、創傷を通って陽極104と陰極106の間を流れることができる。創傷を通る電流の流れは、創傷の皮膚への電流の適用による創傷の改善された治癒を引き起こし得る。例えば、陽極104と陰極106の間の電流の流れによる創傷の電気刺激は、創傷の幹細胞を移動させ、より容易に分裂させ、より速い速度で分化させて、創傷の治癒を改善することができる。
【0012】
陽極104と陰極106は、それぞれ金属イオンを含むことができる。陽極104の金属イオンは、陰極106の金属イオンとは異なる。陽極104および陰極106は、それぞれ2つ以上の別個の局所薬剤の形態で金属塩としてそれぞれ別々に浸す(deposit)ことができる。局所薬物は、軟膏、ローション、クリーム、ゲルなどを含むことができる。本開示の特定の態様において、陽極104および陰極106は、2つの別個の軟膏に浸される。陽極104は、カラミンローションなどの軟膏に浸すことができる。カラミンローションは、酸化亜鉛および酸化鉄などの金属イオンを含むことができる。カラミンローションは、所定量の酸化亜鉛および所定量の酸化鉄を含むことができる。陰極106は、1%スルファジアジン銀クリーム(SSD)などの軟膏中に浸すことができる。SSDおよびカラミンローションを含む軟膏は、各軟膏中の電解質の存在の結果として、金属イオン間の電流の流れを促進するために利用される。カラミンローションおよびSSDのそれぞれに存在する電解質に起因して、電流は、カラミンローションおよびSSDが、パッド302の中間層によって分離されて互いに異なる位置に配置されるため、創傷を介してカラミンローションとSSDの間を流れることができる。
【0013】
陽極104および陰極106は、パッド102中の別個の軟膏を介して、パッド102上に、またはその両方を介して浸すことができる。別個の軟膏は、ランダムな、対称パターン、非対称パターンなどである位置でパッド102に浸すことができる。例えば、陽極104は、円形パターンでパッド102に第1の軟膏として浸すことができる。陰極106は、陽極104の内側境界内の円形パターンでパッドに第2の軟膏として浸すことができる。第1の軟膏および第2の軟膏は、パッド102の円形パターンによって分離することができ、そのため、第1の軟膏及び第2の軟膏は互いに分離される。別の例では、陽極104は、パッド102の第1の端部のラインに第1の軟膏として浸すことができる。陰極は、第1の端部と対向するパッド102の第2の端部のラインに第2の軟膏として浸すことができる。次に、第1の軟膏および第2の軟膏が創傷と接触すると、電流の流れが提供される。
【0014】
電流は、創傷滲出液を介して、第1の軟膏と第2の軟膏の間を流れることができる。いくつかの態様では、電流は、第1の軟膏を第2の軟膏に接続する金属ワイヤを介して、第1の軟膏と第2の軟膏の間を流れることができる。他の態様では、電流は、第2の軟膏に接触する第1の軟膏を介して、第1の軟膏と第2の軟膏の間を流れることができる。第1の軟膏の電解質、第2の軟膏の電解質、第1の軟膏の陽極104、第2の軟膏の陰極106、および創傷は、陽極104と陰極106の間に、創傷を通るように意図された方向で、創傷を介して電流を流れるようにする。
【0015】
図2は、特定の態様による金属ワイヤ200を含むパッドの例示的な図である。金属ワイヤ200を含むパッドは、パッド202、陽極204、及び陰極206を含む。パッド202は、パッド102に配置された1つ以上の陽極204及び1つ以上の陰極206を含むことができる。パッド202は、皮膚創傷、皮膚生検などをカバーするために創傷に配置することができる。パッド202は、ガーゼ、メッシュ、スポンジ、目の粗い織物、および既知の外科用包帯の任意の組み合わせを含むことができる。本開示の特定の態様において、パッド202は、緩く織られた綿からなり、医療用包帯として使用される。例えば、パッド202は、ガーゼパッドであってもよい。別の例では、パッド202は、ガーゼの所定の部分を有するガーゼのロールであってもよく、ガーゼの各部分は、1つ以上の陽極204及び1つ以上の陰極206を含む。ガーゼのロールはミシン目を含み、それぞれの所望の部分の最初と最後に視覚的補助を提供することができる。いくつかの態様では、パッド202は、創傷自体に接着しない創傷の包帯を提供する。
【0016】
陽極204および陰極206は、パッド202の別個の位置に配置される。陽極204は、1つ以上の陽極206であり得て、パッド202に特定の位置で固定され得る。陰極106は、1つ以上の陰極106であり得て、パッド202に特定の位置で固定され得る。陽極204および陰極206は、創傷に接触して配置されて、創傷を通るように意図された方向で電流の流れを提供することができる。電流の流れは、陽極204及び陰極206の固定された別個の位置に基づいて指向ことができる。電流は、創傷を介して陽極204と陰極206の間を流れることができる。創傷を通る電流の流れは、創傷の皮膚への電流の適用による創傷の改善された治癒を引き起こし得る。例えば、陽極204と陰極206の間の電流の流れによる創傷の電気刺激は、創傷の幹細胞を移動させ、より容易に分裂させ、より速い速度で分化させて、創傷の治癒を改善することができる。
【0017】
陽極204と陰極206は、それぞれ金属材料を含むことができる。陽極204の金属材料は、陰極206の金属材料とは異なる。陽極204と陰極206は、それぞれ、2つ以上の別個の種類の金属ワイヤに含まれることができる。本開示の特定の態様において、陽極204および陰極206は、パッド202の中間層によって分離される2つの別個の種類の金属ワイヤを介してパッド202に織り込まれる。創傷は、創傷の表面から滲出する流体を介して2つの別個の種類の金属ワイヤを接続することができる。創傷の表面から滲出する流体は、2つの別個の種類の金属ワイヤ間の回路を完成させることができ、陽極204(単数又は複数)を含む第1の種類の金属ワイヤと、陰極206(単数又は複数)を含む第2の種類の金属ワイヤの間に電流の流れを提供することができる。
【0018】
2つの種類の別個の金属ワイヤは、ランダムな、対称パターン、非対称パターンなどの位置でパッド202に織り込むことができる。例えば、陽極204は、円形パターンでパッド202に第1の種類の金属ワイヤとして提供され得る。陰極206は、陽極204の内側境界内の円形パターンでパッド202に第2の種類の金属線として提供され得る。第1の種類の金属ワイヤの各金属ワイヤは、パッド202の部分によって互いに分離され得る。したがって、各第1の種類の金属ワイヤは、他の第1の種類の金属ワイヤとは異なる位置に固定される。第2の種類の金属ワイヤの各金属ワイヤは、パッド202の部分によって互いに分離することができる。したがって、各第2の種類の金属ワイヤは、他の第2の種類の金属ワイヤとは異なる位置に固定される。さらに、第1の種類の金属ワイヤは、第2の種類の金属ワイヤに直接接触しない。
【0019】
別の例では、陽極204は、パッド202の第1の端部の長さに沿ったラインで、第1の種類の金属ワイヤとして提供することができる。陰極206は、第1の端部と対向する、パッド202の第2の端部の長さに沿ったラインで、第2の種類の金属ワイヤとして提供することができる。第1の種類の金属ワイヤの各金属ワイヤは、パッド202の部分によって互いに分離することができる。したがって、各第1の種類の金属ワイヤは、他の第1の種類の金属ワイヤとは異なる位置に固定される。第2の種類の金属ワイヤの各金属ワイヤは、パッド202の部分によって互いに分離することができる。したがって、各第2の種類の金属ワイヤは、他の第2のタイプの金属ワイヤとは異なる位置に固定される。第1の種類の金属ワイヤのラインは、パッド102の部分によって第2の種類の金属ワイヤのラインから分離される。次に、第1の種類の金属ワイヤと第2の種類の金属ワイヤが、両方とも、創傷から滲出する流体と接触しているが、互いに接触していない場合に、電流の流れが提供される。創傷から滲出する流体、陽極204(単数又は複数)を含む第1の種類の金属ワイヤ、および陰極206を含む第2の種類の金属ワイヤは、陽極204(単数又は複数)と陰極206(単数又は複数)の間の創傷を通るように意図された方向で創傷を通じて電流を流すことができる。
【0020】
図3は、特定の態様による軟膏300を含む粘着性包帯の例示的な図である。軟膏300を含む粘着性包帯は、パッド302、陽極304、陰極306、および接着剤層308を含む。パッド302は、パッド302に位置する1つ以上の陽極304および1つ以上の陰極306を含むことができる。パッド302は、少なくとも1つの接着剤層308に接着することができる。パッド302は、皮膚の創傷、皮膚生検などを覆うように創傷に配置することができる。パッド302は、接着剤剤層308を利用して、軟膏300を含む粘着性包帯を皮膚に接着させることができる。パッド302は、ガーゼ、メッシュ、スポンジ、目の粗い織物、および既知の外科用包帯の任意の組み合わせを含むことができる。本開示の特定の態様において、パッド302は、緩く織られた綿からなり、医療用包帯として使用される。例えば、パッド302は、ガーゼパッドであってもよい。別の例では、パッド302は、ガーゼの所定の部分を有するガーゼのロールとすることができ、ガーゼの各部分は、1つ以上の陽極304と1つ以上の陰極306を含む。ガーゼのロールは、各所望のセクションの始めと終わりの視覚的補助を提供するためのミシン目を含むことができる。パッド302は、創傷の包帯を提供し、創傷と直接接触する。
【0021】
陽極304および陰極306は、軟膏300を含む粘着性包帯のパッド302で別個の位置に配置される。陽極304は、1つ以上の陽極304であり得て、パッド302の特定の位置に固定され得る。陰極306は、1つ以上の陰極306であり得て、パッド302の特定の位置に固定され得る。陽極304および陰極306は、創傷に接触して配置されて、創傷を通るように意図された方向で電流の流れを提供することができる。電流の流れは、陽極304および陰極306の固定された別個の位置に基づいて導くことができる。電流は、創傷を通って陽極304と陰極306の間を流れることができる。創傷を通る電流の流れは、創傷の皮膚への電流の適用による創傷の改善された治癒を引き起こし得る。例えば、陽極304と陰極306の間の電流の流れによる創傷の電気刺激は、創傷の幹細胞を移動させ、より容易に分裂させ、より速い速度で分化させて、創傷の治癒を改善することができる。
【0022】
陽極304と陰極306は、それぞれ金属イオンを含むことができる。陽極304の金属イオンは、陰極306の金属イオンとは異なる。陽極104および陰極106は、それぞれ2つ以上の別個の局所薬剤の形態で金属塩としてそれぞれ別々に浸すことができる。局所薬物は、軟膏、ローション、クリーム、ゲルなどを含むことができる。本開示の特定の態様において、陽極304および陰極306は、2つの別個の軟膏に浸される。陽極304は、カラミンローションなどの軟膏に浸すことができる。カラミンローションは、酸化亜鉛および酸化鉄などの金属イオンを含むことができる。カラミンローションは、所定量の酸化亜鉛および所定量の酸化鉄を含むことができる。陰極106は、1%スルファジアジン銀クリーム(SSD)などの軟膏中に浸すことができる。SSDおよびカラミンローションを含む軟膏は、各軟膏中の電解質の存在を利用して、金属イオン間の電流の流れを促進する。カラミンローションおよびSSDのそれぞれに存在する電解質に起因して、電流は、カラミンローションおよびSSDが、パッド302の中間層によって分離されて互いに異なる位置に配置されるため、創傷を介してカラミンローションとSSDの間を流れることができる。
【0023】
陽極304および陰極306は、パッド302中の別個の軟膏を介して、パッド102上に、またはその両方を介して浸すことができる。別個の軟膏は、ランダムな、対称パターン、非対称パターンなどである位置で、軟膏300を含む粘着性包帯のパッド102に浸すことができる。例えば、陽極304は、円形パターンでパッド302に第1の軟膏として浸すことができる。陰極306は、陽極304の内側境界内の円形パターンでパッド302に第2の軟膏として浸すことができる。第1の軟膏および第2の軟膏は、パッド302の円形パターンによって分離することができ、そのため、第1の軟膏は第2の軟膏とは分離される。別の例では、陽極304は、パッド302の第1の端部のラインに第1の軟膏として浸すことができる。陰極は、第1の端部と対向するパッド302の第2の端部のラインに第2の軟膏として浸すことができる。次に、第1の軟膏および第2の軟膏が創傷と接触すると、電流の流れが提供される。
【0024】
電流は、創傷滲出液を介して、第1の軟膏と第2の軟膏の間を流れることができる。いくつかの態様では、電流は、第1の軟膏を第2の軟膏に接続する金属ワイヤを介して、第1の軟膏と第2の軟膏の間を流れることができる。他の態様では、電流は、第2の軟膏に接触する第1の軟膏を介して、第1の軟膏と第2の軟膏の間を流れることができる。第1の軟膏の電解質、第2の軟膏の電解質、第1の軟膏の陽極304、第2の軟膏の陰極306、および創傷は、陽極304と陰極306の間に、創傷を通るように意図された方向で、創傷を介して電流を流れるようにする。
【0025】
接着剤層308は、パッド302に取り付けられ、軟膏300を含む粘着性包帯を皮膚に接着することができる。接着剤層308は、シート及び接着剤を含むことができる。いくつかの態様では、接着剤層308の接着剤は、シートの一方側に配置される。他の態様では、接着剤は、シートの両側に配置される。接着剤は、アクリレートなどの材料を含むことができる。シートは、織物、プラスチック、ラテックスストリップなどを含むことができる。さらに、接着剤層308は、接着剤を含む接着剤層308の側面(単数又は複数)に取り外し可能な被覆を含むことができる。取り外し可能なカバーは、コート紙、プラスチックなどを含むことができる。
【0026】
本開示の特定の態様では、1を超える接着剤層308がパッド302に取り付けられる。例えば、第1の接着剤層308は、パッド302の第1の端部に取り付けられ、第2の接着剤層308は、第1の端部と対向するパッド302の第2の端部に接続される。1を超える接着剤層308を利用して、軟膏300を含む粘着性包帯の皮膚への接着安定性を促進することができる。
【0027】
図4は、特定の態様による金属ワイヤを含む粘着性包帯の例示的な図である。金属ワイヤ400を含む粘着性包帯は、パッド402、陽極404、陰極406、および接着剤層408を含む。パッド402は、パッド402に配置された1つ以上の陽極404および1つ以上の陰極406を含むことができる。パッド402は、少なくとも1つの接着剤層408に取り付けることができる。パッド402は、皮膚創傷、皮膚生検などを覆うように創傷に配置することができる。パッド402は、金属ワイヤ400を含む粘着性包帯を皮膚に接着させるために接着剤層408を利用することができる。パッド402は、ガーゼ、メッシュ、スポンジ、目の粗い織物、および既知の外科用包帯の任意の組み合わせを含むことができる。本開示の特定の態様において、パッド402は、緩く織られた綿からなり、医療用包帯として使用されている。例えば、パッド402はガーゼパッドであってもよい。別の例では、パッド402は、ガーゼの所定の部分を有するガーゼのロールであり得て、ガーゼの各セクションは、1つ以上の陽極404および1つ以上の陰極406を含む。ガーゼのロールは、各所望のセクションの始めと終わりの視覚的補助を提供するためのミシン目を含むことができる。パッド402は、創傷の包帯を提供し、創傷に付着する。
【0028】
陽極404および陰極406は、金属ワイヤ400を含む粘着性包帯のパッド402で別個の位置に配置される。陽極404は、1つ以上の陽極404であり得て、パッド402の特定の位置に固定され得る。陰極406は、1つ以上の陰極406であり得て、パッド402の特定の位置に固定され得る。陽極404および陰極406は、創傷に接触して配置されて、創傷を通るように意図された方向で電流の流れを提供することができる。電流の流れは、陽極404および陰極406の固定された別個の位置に基づいて導くことができる。電流は、創傷を通って陽極404と陰極406の間を流れることができる。創傷を通る電流の流れは、創傷の皮膚への電流の適用による創傷の改善された治癒を引き起こし得る。例えば、陽極404と陰極406の間の電流の流れによる創傷の電気刺激は、創傷の幹細胞を移動させ、より容易に分裂させ、より速い速度で分化させて、創傷の治癒を改善することができる。
【0029】
陽極204と陰極206は、それぞれ金属材料を含むことができる。陽極204の金属材料は、陰極206の金属材料とは異なる。本開示の特定の態様において、陽極404および陰極406は、パッド402の中間層によって分離される2つの別個の種類の金属ワイヤを介してパッド402に織り込まれる。創傷は、創傷の表面から滲出する流体を介して2つの別個の種類の金属ワイヤを接続することができる。創傷の表面から滲出する流体は、2つの別個の種類の金属ワイヤ間の回路を完成させることができ、陽極404(単数又は複数)を含む第1の種類の金属ワイヤと、陰極406(単数又は複数)を含む第2の種類の金属ワイヤの間に電流の流れを提供することができる。
【0030】
2つの種類の別個の金属ワイヤは、ランダムな、対称パターン、非対称パターンなどの位置でパッド202に織り込むことができる。例えば、陽極404は、円形パターンでパッド402に第1の種類の金属ワイヤとして提供され得る。陰極406は、陽極404の内側境界内の円形パターンでパッド402に第2の種類の金属線として提供され得る。第1の種類の金属ワイヤの各金属ワイヤは、パッド402の部分によって互いに分離され得る。したがって、各第1の種類の金属ワイヤは、他の第1の種類の金属ワイヤとは異なる位置に固定される。第2の種類の金属ワイヤの各金属ワイヤは、パッド402の部分によって互いに分離することができる。したがって、各第2の種類の金属ワイヤは、他の第2の種類の金属ワイヤとは異なる位置に固定される。さらに、第1の種類の金属ワイヤは、第2の種類の金属ワイヤに直接接触しない。
【0031】
別の例では、陽極404は、パッド402の第1の端部の長さに沿ったラインで、第1の種類の金属ワイヤとして提供することができる。陰極406は、第1の端部と対向する、パッド402の第2の端部の長さに沿ったラインで、第2の種類の金属ワイヤとして提供することができる。第1の種類の金属ワイヤの各金属ワイヤは、パッド402の部分によって互いに分離することができる。したがって、各第1の種類の金属ワイヤは、他の第1の種類の金属ワイヤとは異なる位置に固定される。第2の種類の金属ワイヤの各金属ワイヤは、パッド402の部分によって互いに分離することができる。したがって、各第2の種類の金属ワイヤは、他の第2のタイプの金属ワイヤとは異なる位置に固定される。第1の種類の金属ワイヤのラインは、パッド402の部分によって第2の種類の金属ワイヤのラインから分離される。次に、第1の種類の金属ワイヤと第2の種類の金属ワイヤが、両方とも、創傷から滲出する流体と接触しているが、互いに接触していない場合に、電流の流れが提供される。創傷から滲出する流体、陽極404(単数又は複数)を含む第1の種類の金属ワイヤ、および陰極406を含む第2の種類の金属ワイヤは、陽極404(単数又は複数)と陰極406(単数又は複数)の間の創傷を通るように意図された方向で創傷を通じて電流を流すことができる。
【0032】
接着剤層408は、パッド402に取り付けられ、軟膏400を含む粘着性包帯を皮膚に接着することができる。接着剤層408は、シート及び接着剤を含むことができる。いくつかの態様では、接着剤層408の接着剤は、シートの一方側に配置される。他の態様では、接着剤は、シートの両側に配置される。接着剤は、アクリレートなどの材料を含むことができる。シートは、織物、プラスチック、ラテックスストリップなどを含むことができる。さらに、接着剤層408は、接着剤を含む接着剤層408の側面(単数又は複数)に取り外し可能な被覆を含むことができる。取り外し可能なカバーは、コート紙、プラスチックなどを含むことができる。
【0033】
本開示の特定の態様では、1を超える接着剤層408がパッド402に取り付けられる。例えば、第1の接着剤層は、パッド402の第1の端部に取り付けられ、第2の接着剤層は、第1の端部と対向するパッド402の第2の端部に接続される。1を超える接着剤層408を利用して、軟膏400を含む粘着性包帯の皮膚への接着安定性を促進することができる。
【0034】
1つ以上の陽極104と1つ以上の陰極106を含むパッド102は、創傷に電流を印加して、創傷の治癒を改善する。パッド102は、接着剤層302を含むことができ、そのため、パッドは、粘着性包帯300として創傷に適用することができる。パッド102は、電池および接続ワイヤの不都合なく電気刺激の利点を提供する。したがって、パッド102は、電気刺激による創傷治癒の利用を妨げていた電池および接続ワイヤの不都合を否定する。異なる金属イオンの特性、ならびに創傷自体の特性を利用する際に、パッド102は、皮膚創傷、皮膚生検部位などを治療するために改善された創傷治癒を提供する。
【0035】
記載された構成要素は、限定されないが、本開示の例示的な態様に交換可能に置換され得る。したがって、パッド102は、交換可能に、パッド202、パッド302及び/又はパッド402であってもよい。陽極104は、陽極204、陽極304および/または陽極404と交換可能にすることができる。陰極106は、陰極206、306および/または陰極406と交換可能にすることができる。接着剤層308は、交換可能に接着剤層408とすることができる。
【0036】
多くの実施形態が説明されている。それにもかかわらず、本開示の精神および範囲から逸脱することなく、様々な変更がなされ得ることが理解される。例えば、開示された技術のステップが異なる順序で実施される場合、開示されたシステムの構成要素が異なる方法で組み合わせられた場合、または構成要素が他の構成要素によって置換若しくは補足された場合に好ましい結果が達成されることがある。したがって、他の実施態様は、請求され得る範囲内である。
【0037】
(1)電気刺激による創傷治癒用パッドであって、創傷上に配置されるように構成されたパッド;前記創傷に接触するように前記パッド上に配置された少なくとも1つの陽極;及び前記創傷に接触するように前記パッド上に配置された少なくとも1つの陰極であって、少なくとも1つの陽極とは別個に配置されている少なくとも1つの陰極を含み、ここで、前記少なくとも1つの陽極と前記少なくとも1つの陰極は、前記創傷と接触して、前記少なくとも1つの陽極と前記少なくとも1つの陰極の別々の位置に基づいて創傷を通るように意図された方向で電流を提供する上記パッド。
【0038】
(2)パッドが、ガーゼパッド及びガーゼロールのうちの少なくとも1つを含む、(1)に記載の電気刺激による創傷治癒用パッド。
【0039】
(3)前記少なくとも1つの陽極と前記少なくとも1つの陰極は、2つ以上の別個の軟膏に別々に浸される、(1)又は(2)に記載の電気刺激による創傷治癒用パッド。
【0040】
(4)2つ以上の軟膏が、スルファジアジン銀クリーム及びカラミンローションを含む、(1)~(3)のいずれかに記載の電気刺激による創傷治癒用パッド。
【0041】
(5)スルファジアジン銀クリームが、1%スルファジアジン銀クリームを含む、(1)~(4)のいずれかに記載の電気刺激による創傷治癒用パッド。
【0042】
カラミンローションが、所定量の酸化亜鉛及び所定量の酸化鉄を含む、(1)~(5)のいずれかに記載の電気刺激による創傷治癒用パッド。
【0043】
(7)少なくとも1つの陽極と前記少なくとも1つの陰極が、2つ以上の異なる金属ワイヤを介して前記パッド内に織り込まれている、(1)~(6)のいずれかに記載の電気刺激による創傷治癒用パッド。
【0044】
(8)電気刺激による創傷治癒用の粘着性包帯であって、創傷上に配置されるように構成されたパッド;前記創傷に接触するように前記パッド上に配置された少なくとも1つの陽極;前記創傷に接触するように前記パッド上に配置された少なくとも1つの陰極であって、少なくとも1つの陽極とは別個に配置されている少なくとも1つの陰極、ここで、前記少なくとも1つの陽極と前記少なくとも1つの陰極は、前記創傷と接触して、前記少なくとも1つの陽極と前記少なくとも1つの陰極の別々の位置に基づいて創傷を通るように意図された方向で電流を提供する;及び前記バッドに取り付けられ、皮膚に接着するように構成された少なくとも1つの接着層を含む。
【0045】
(9)前記パッドが、ガーゼパッド及びガーゼロールのうちの少なくとも1つを含む、(8)に記載の電気刺激による創傷治癒用の粘着性包帯。
【0046】
(10)前記少なくとも1つの陽極と前記少なくとも1つの陰極は、2つ以上の軟膏に別々に浸される、(8)または(9)のいずれかに記載の電気刺激による創傷治癒用の粘着性包帯。
【0047】
(11)前記2つ以上の軟膏が、スルファジアジン銀クリーム及びカラミンローションを含む、(8)~(10)のいずれか1つに記載の電気刺激による創傷治癒用の粘着性包帯。
【0048】
(12)前記スルファジアジン銀クリームが、1%スルファジアジン銀クリームを含む、(8)~(11)のいずれか1つに記載の電気刺激による創傷治癒用の粘着性包帯。
【0049】
(13)前記カラミンローションが、所定量の酸化亜鉛及び所定量の酸化鉄を含む、(8)~(11)のいずれか1つに記載の電気刺激による創傷治癒用の粘着性包帯。
【0050】
(14)前記少なくとも1つの陽極と前記少なくとも1つの陰極が、2つ以上の異なる金属ワイヤを介して前記パッド内に織り込まれている、(8)~(13)のいずれか1つに記載の電気刺激による創傷治癒用の粘着性包帯。
図1
図2
図3
図4