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特許7212017情報処理装置、システム、学習装置、情報処理方法、およびプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-01-16
(45)【発行日】2023-01-24
(54)【発明の名称】情報処理装置、システム、学習装置、情報処理方法、およびプログラム
(51)【国際特許分類】
   H04L 51/00 20220101AFI20230117BHJP
   G06F 16/35 20190101ALI20230117BHJP
【FI】
H04L51/00
G06F16/35
【請求項の数】 1
(21)【出願番号】P 2020157721
(22)【出願日】2020-09-18
(65)【公開番号】P2022051305
(43)【公開日】2022-03-31
【審査請求日】2021-03-16
【審判番号】
【審判請求日】2022-01-21
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】319013263
【氏名又は名称】ヤフー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100154852
【弁理士】
【氏名又は名称】酒井 太一
(74)【代理人】
【識別番号】100181124
【弁理士】
【氏名又は名称】沖田 壮男
(74)【代理人】
【識別番号】100194087
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 伸一
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 捷人
(72)【発明者】
【氏名】陳 才
(72)【発明者】
【氏名】市原 直人
【合議体】
【審判長】▲吉▼田 耕一
【審判官】野崎 大進
【審判官】石井 則之
(56)【参考文献】
【文献】特表2008-529105(JP,A)
【文献】国際公開第2019/053844(WO,A1)
【文献】特開2011-90442(JP,A)
【文献】特開2019-121352(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04L 51/00
G06F 16/35
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子メールに関する複数の項目のデータを含むメールデータを取得する取得部と、
前記取得した複数の項目のデータを、前記複数の項目のデータを入力すると前記メールデータに係る電子メールが所定属性の電子メールであるか否かを示す分類結果を出力するように学習された分類器に入力することで、前記メールデータに係る電子メールが前記所定属性の電子メールであるか否かを示す分類結果を得る属性分類部と、を備え、
前記分類器は、前記複数の項目のデータの各々が入力されると項目ごと特徴量を出力する項目ごと子分類器と、それぞれの前記項目ごと特徴量が入力されると前記分類結果を出力する統合分類器とを含み、
前記項目ごと子分類器は、前記複数の項目のデータの各々に対応して設けられる情報処理装置と、
前記電子メールの送受信を管理し、前記情報処理装置に前記メールデータを提供するメールサーバと、
を備えるシステムであって、
前記所定属性は、商品、サービス、または事業者のプロモーションを目的として送信された電子メールを示すものであり、
前記メールサーバは、
前記属性分類部によって前記所定属性を持つものと分類された電子メールのジャンルを分類するジャンル分類部と、
前記ジャンルごと、及びユーザごとに、受信された前記電子メールの総数を、開封された前記電子メールの数で除算することによって得られる開封率を算出する算出部と、
前記ジャンル分類部による分類結果と、前記算出部による算出結果とに基づいて、前記電子メールを受信した情報端末に所定の通知を送信する通知部と、
を備える、システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置、システム、学習装置、情報処理方法、およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
ユーザが快適に電子メールを閲覧できるように、広告や宣伝などの迷惑メールを特定する技術が知られている。例えば、特許文献1には、電子メールのヘッダ情報に基づいて、当該電子メールを正常メールか迷惑メールかに分類する技術が開示されている。当技術は、電子メールのヘッダ情報から特徴ベクトルを取得し、取得した特徴ベクトルと分類ルールとを比較することで、迷惑メールを特定するものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2011-90442号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の技術における特徴ベクトルは、アドレス帳における送信者の登録有無など、ヘッダ情報に関するメタ情報を離散値で表現しただけのものであり、ヘッダ情報の内容そのものを表現したものではない。また、ヘッダ情報の内容を特徴ベクトルで表現する際には、テキストの用例を集積したコーパスを用いてヘッダ情報が分散表現に変換されることが考えられる。その場合、ヘッダ情報には複数の項目があるにも関わらず、全ての項目に共通した単一のコーパスを用いて分散表現に変換されてしまう。その結果、変換の精度が低く、また、情報量が少ない項目(例えば、mime_typeなど)も、ワンホットベクトルから特徴ベクトルに変換される際に、ベクトルの次元が必要以上に高くなり、メモリが過剰に消費されるという課題が想定される。このように、従来の技術では、メモリやCPU負荷などのリソース消費が高かったり、分類対象の分類精度が十分でない場合があった。
【0005】
本発明は、このような事情を考慮してなされたものであり、リソース消費を抑制しつつ分類精度を高めることができる、情報処理装置、システム、学習装置、情報処理方法、およびプログラムを提供することを目的の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様である情報処理装置は、電子メールに関する複数の項目のデータを含むメールデータを取得する取得部と、前記取得した複数の項目のデータを、前記複数の項目のデータを入力すると前記メールデータに係る電子メールが所定属性の電子メールであるか否かを示す分類結果を出力するように学習された分類器に入力することで、前記メールデータに係る電子メールが前記所定属性の電子メールであるか否かを示す分類結果を得る属性分類部と、を備え、前記分類器は、前記複数の項目のデータの各々が入力されると項目ごと特徴量を出力する項目ごと子分類器と、それぞれの前記項目ごと特徴量が入力されると前記分類結果を出力する統合分類器とを含むものである。
【発明の効果】
【0007】
本発明の一態様によれば、分類器が、複数の項目のデータの各々が入力されると項目ごと特徴量を出力する項目ごと子分類器を含むことにより、リソース消費を抑制しつつ分類精度を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の実施形態に係るシステム1の構成の例を示すブロック図である。
図2】属性分類部130による分類処理について説明するための図である。
図3】分類器生成部150による生成処理について説明するための図である。
図4】端末装置10、メールサーバ50、及び情報処理装置100が行う処理の流れの一例を示すシーケンス図である。
図5】端末装置10による電子メール53Aの振り分けとフィードバック情報の入力の一例を説明するための図である。
図6】第1変形例に係るメールサーバ50Aの構成の例を示すブロック図である。
図7】プロモーション通知部55によるプッシュ通知の一例を説明するための図である。
図8】第2変形例に係る端末装置10Aの構成の例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照し、本発明の実施形態に係る情報処理装置、システム、学習装置、情報処理方法、およびプログラムについて説明する。
【0010】
<実施形態>
[システム構成]
図1は、本発明の実施形態に係るシステム1の構成の例を示すブロック図である。システム1は、例えば、メールサーバ50と、情報処理装置100と、を備える。メールサーバ50は、ネットワークNWを介して端末装置10と通信する。ネットワークNWは、インターネットやLAN(Local Area Network)、WAN(Wide Area Network)、セルラー網などを含む。
【0011】
端末装置10は、例えば、パーソナルコンピュータや業務用コンピュータ、スマートフォン、タブレット端末などの通信機能を有するコンピュータ装置である。端末装置10では、メール送受信用のアプリケーションプログラムやブラウザが動作し、メールサーバ50から自身宛ての電子メール53Aをダウンロードしたり、メールサーバ50に電子メール53Aの他のメールサーバへの送信を依頼したりする。
【0012】
端末装置10は、さらに、電子メール53Aと合わせて、当該電子メール53Aがプロモーションメールであるか否かを示す分類結果をメールサーバ50から受信し、分類結果の内容に応じて、電子メール53Aをメインメールフォルダ30又はプロモーションメールフォルダ40に振り分ける。具体的には、端末装置10は、分類結果がメインメールを示している場合には、電子メール53Aをメインメールフォルダ30に振り分ける一方、分類結果がプロモーションメールを示している場合には、電子メール53Aをプロモーションメールフォルダ40に振り分ける。以下、分類結果をフラグ情報とも称する。
【0013】
メールサーバ50は、例えば、端末装置10によって送受信される電子メール53Aの振り分けや転送を行う装置である。メールサーバ50は、例えば、通信部51と、送受信制御部52と、記憶部53とを備える。通信部51は、例えば、NIC等の通信インターフェースを含み、図示しない他のメールサーバ、端末装置10、及び情報処理装置100と通信する。
【0014】
送受信制御部52は、通信部51を用いて、他のメールサーバから受信した電子メール53Aを自身が管轄する端末装置10に送信したり、端末装置10から依頼された宛先に対応するメールサーバに電子メール53Aを送信したりする。送受信制御部52は、送受信される電子メール53Aを記憶部53に格納する。記憶部53は、HDDやフラッシュメモリ、RAM(Random Access Memory)などの記憶装置により実現される。
【0015】
送受信制御部52は、さらに、他のメールサーバから受信した電子メール53Aに関する複数の項目のデータを含むメールデータ180Aを情報処理装置100に送信し、メールデータ180Aに係る電子メール53Aの分類を依頼する。送受信制御部52は、依頼に応じて返信される、当該電子メール53Aがプロモーションメールであるか否かを示すフラグ情報を情報処理装置100から受信する。送受信制御部52は、電子メール53Aと当該フラグ情報とを合わせて端末装置10に送信する。メールデータ180Aとは、例えば、電子メール53Aの送信者の名前を示す「表示名」、タイトルを示す「件名」、及びファイルの形式を示す「mime_type」などの素性を含むものである(「複数の項目のデータ」の一例である)。メールデータ180Aは、電子メール53Aそのものであってもよい。
【0016】
情報処理装置100は、例えば、メールサーバ50からの依頼に応じて、ユーザに宛てられた電子メール53Aに係るメールデータ180Aをメールサーバ50から受信し、当該メールデータ180Aに係る電子メール53Aを、例えばメインメール又はプロモーションメール(「所定属性」の一例である)のいずれかに分類し、分類結果を示すフラグ情報をメールサーバ50に送信する。
【0017】
情報処理装置100は、例えば、通信部110と、メールデータ取得部120と、属性分類部130と、フラグ情報送信部140と、分類器生成部150と、フィードバック情報受付部160と、再学習指示部170と、記憶部180と、を備える。
【0018】
送受信制御部52、メールデータ取得部120、属性分類部130、フラグ情報送信部140、分類器生成部150、フィードバック情報受付部160、及び再学習指示部170のそれぞれは、例えば、CPU(Central Processing Unit)などのハードウェアプロセッサがプログラム(ソフトウェア)を実行することにより実現される。これらの構成要素のうち一部または全部は、LSI(Large Scale Integration)やASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field-Programmable Gate Array)、GPU(Graphics Processing Unit)などのハードウェア(回路部;circuitryを含む)によって実現されてもよいし、ソフトウェアとハードウェアの協働によって実現されてもよい。プログラムは、予めHDD(Hard Disk Drive)やフラッシュメモリなどの記憶装置(非一過性の記憶媒体を備える記憶装置)に格納されていてもよいし、DVDやCD-ROMなどの着脱可能な記憶媒体(非一過性の記憶媒体)に格納されており、記憶媒体がドライブ装置に装着されることでインストールされてもよい。
【0019】
通信部110は、例えば、NIC等の通信インターフェースを含む。通信部110は、メールサーバ50から、メールデータ180Aを受信する。さらに、通信部110は、後述する属性分類部130が得たフラグ情報をメールサーバ50に送信する。メールサーバ50と情報処理装置100が通信するネットワークは、ネットワークNWの一部であってもよい。
【0020】
[推論段階]
以下、分類器180Bを用いた推論段階の処理について説明する。メールデータ取得部120は、通信部110が受信したメールデータ180Aを取得し、記憶部180に格納する。記憶部180は、HDDやフラッシュメモリ、RAMなどの記憶装置により実現される。
【0021】
属性分類部130は、後述する分類器生成部150によって生成される分類器180Bにメールデータ180Aを入力することで、当該メールデータ180Aに係る電子メール53Aがプロモーションメールであるか否かを示す分類結果、すなわち、フラグ情報を得る。
【0022】
ここで、属性分類部130による分類器180Bを用いた分類処理の詳細について説明する。図2は、属性分類部130による分類処理について説明するための図である。
【0023】
属性分類部130は、メールデータ180Aのうち、表示名、件名、及びmime_typeを分類器180Bに入力する。ここで、表示名、件名、mime_typeのそれぞれは、規定の単語数を規定の長さとして入力される。具体的な一例として、表示名は13単語、件名は44単語、mime_typeは1単語を規定の長さとして入力される。各項目の規定の単語数は、ベクトル変換の精度を低めないように適宜設定されれば良い。例えば、規定の単語数は、教師データとして記憶部180に格納されている複数のメールデータ180Aのうち、所定割合(例えば95%)以上のデータが収まるように設定されれば良く、その場合、設定単語数を超過したデータの単語列は切り捨てても良い。規定の単語数および所定割合として、任意の数値が設定されて良い。
【0024】
属性分類部130は、入力された表示名、件名、及びmime_typeをワンホットベクトルに変換する。ある対象データのワンホットベクトルとは、事前に登録された単語の各々について、当該単語が対象データに含まれる場合には1、含まれない場合には0を成分とするベクトルのことである。なお、表示名および件名は自然言語で表現されていると考えられるため、属性分類部130は、表示名および件名に形態素解析を施して単語に分割した後に、数字などの要素を除外した対象ワードに基づいて、ワンホットベクトルを生成する。
【0025】
属性分類部130は、ワンホットベクトル化によって得られた表示名のワンホットベクトルを表示名用の辞書に入力することで、表示名ベクトルを得る。同様に、属性分類部130は、件名のワンホットベクトルを件名用の辞書に入力することで、件名ベクトルを得る。同様に、属性分類部130は、mime_typeのワンホットベクトルをmime_type用の辞書に入力することで、mime_typeベクトルを得る。表示名用の辞書、件名用の辞書、及びmime_type用の辞書のそれぞれは、項目ごと子分類器の一例である。表示名ベクトル、件名ベクトル、およびmime_typeベクトルのそれぞれは、項目ごと特徴量の一例である。
【0026】
ここで、辞書とは、ワンホットベクトルから、ワンホットベクトルよりも低次元で、ベクトル成分が所定範囲内の連続値をとる特徴ベクトルへの変換を定義するルールないしアルゴリズムを意味し、各項目の用例を集積したコーパスから機械学習により生成される。このような特徴ベクトルには、例えば、分散表現ベクトルが含まれる。全ての項目に共通したコーパス及び辞書を用いるのではなく、項目ごとにコーパス及び辞書を用意することで、ベクトル変換時の次元を削減してリソース消費を低減し、更に分類精度を向上させることができる。
【0027】
ここで、形態素解析の結果、複数の対象ワードが発生した場合について説明する。この場合、複数のワンホットベクトルが生成され、それに対応する表示名ベクトルまたは件名ベクトル(以下、特徴量ベクトル)が複数生成されることになるが、属性分類部130は、例えば複数の特徴量ベクトルの平均を分類器180Bへの入力データとする。これに代えて、属性分類部130は、複数の対象ワードのそれぞれに対応する要素を1とした一つのワンホットベクトルを生成してもよい。
【0028】
属性分類部130は、変換によって得られた表示名ベクトル、件名ベクトル、及びmime_typeベクトルを統合するニューラルネットワーク(「統合分類器」の一例である)に入力し、出力として、メールデータ180Aに係る電子メール53Aがプロモーションメールであるか否かを示すフラグ情報を得る。これにより、属性分類部130は、電子メール53Aがプロモーションメールであるか否かを特定することができる。
【0029】
フラグ情報送信部140は、通信部110を用いて、属性分類部130が得たフラグ情報をメールサーバ50に送信する。
【0030】
[学習段階]
以下、分類器180Bの学習段階の処理について説明する。学習段階の処理に当たって、記憶部180は、メールデータ180Aの一部又は全てについて、当該メールデータ180Aに係る電子メール53Aがプロモーションメールであるか否かを示すフラグ情報をラベルとして記憶しておく。ラベルはフラグ情報と同等の情報であり、例えば人によって電子メール53Aを分類した結果がラベルとして与えられる。
【0031】
図3は、分類器生成部150による生成処理について説明するための図である。図3に示す通り、分類器生成部150は、記憶部180によって事前に記憶されたメールデータ180Aを学習データとし、学習データに付与されたラベルを教師データとして、例えば、誤差逆伝播法を用いて、機械学習を実行し、分類器180Bを生成する。分類器生成部150は、学習モデルに対して学習データを入力した結果が教師データに近づくように、学習モデルのパラメータを調整する。そして、予定された回数のパラメータ調整が終了すると、その時点の学習モデルが学習済みモデル、すなわち分類器180Bとなる。誤差逆伝播法において用いられる損失関数は、例えば、二乗和誤差や交差エントロピーなどの任意の関数である。分類器生成部150は、生成した分類器180Bを記憶部180に格納する。
【0032】
なお、本実施形態において、情報処理装置100は分類器生成部150を備え、記憶部180は、分類器生成部150が生成した分類器180Bを格納している。しかし、代替的に、情報処理装置100はこれらの機能部を備えず、分類器生成部150と、分類器生成部150が生成した分類器180Bと、を備える他の装置(学習装置)が存在しても良い。
【0033】
フィードバック情報受付部160は、属性分類部130による分類結果が正しかったかどうかを利用者が判断した結果である(正誤を示す)フィードバック情報を、当該分類結果に係る電子メール53Aを受信した端末装置10から受け付ける。フィードバック情報の詳細については、図5を参照して後述する。
【0034】
再学習指示部170は、フィードバック情報受付部160が受け付けたフィードバック情報に基づいて、分類器生成部150に、当該フィードバック情報を用いた再学習または強化学習を実行させる。再学習については、分類器生成部150が分類器180Bを生成する手法(例えば誤差逆伝播法)と同様の手法で行えば良く、強化学習については、任意のアルゴリズムを用いて良い。
【0035】
[処理シーケンス]
次に、図4を参照して、端末装置10、メールサーバ50、及び情報処理装置100によって実行される一連の処理について説明する。図4は、端末装置10、メールサーバ50、及び情報処理装置100が行う処理の流れの一例を示すシーケンス図である。なお、本図では、メールサーバ50から情報処理装置100に電子メール53Aの全部が送信されるものとしている。
【0036】
まず、メールサーバ50は、端末装置10のユーザ宛てに送られた電子メール53Aを他のメールサーバから受信する(S1)。次に、メールサーバ50は、受信した電子メール53Aを情報処理装置100に送信する(S2)。
【0037】
情報処理装置100は、メールサーバ50から電子メール53Aを受信すると、電子メール53Aからメールデータ180Aを抽出する(S3)。次に、情報処理装置100は、属性分類部130を用いて、メールデータ180Aを分類器180Bに入力することで、メールデータ180Aに係る電子メール53Aがプロモーションメールであるか否かを示すフラグ情報を取得する(S4)。次に、情報処理装置100は、取得したフラグ情報をメールサーバ50に送信する(S5)。
【0038】
メールサーバ50は、フラグ情報を受信すると、電子メール53Aと当該フラグ情報とを合わせて端末装置10に送信する(S6)。本ステップにおける電子メール53Aの送信は、端末装置10からのダウンロード要求、HTTPリクエスト等に応じて行われてもよい。
【0039】
端末装置10は、電子メール53Aとフラグ情報を受信すると、フラグ情報の内容に応じて、電子メール53Aをメインメールフォルダ30又はプロモーションメールフォルダ40に振り分けて表示する(S7)。次に、端末装置10は、振り分けに対する正誤を示すフィードバック情報の入力をユーザから受け付け、受け付けたフィードバック情報を情報処理装置100に送信する(S8)。
【0040】
情報処理装置100は、フィードバック情報を受け付けると、分類器生成部150に、当該フィードバック情報に基づいた再学習を指示する(S9)。これにより、処理が終了する。
【0041】
次に、S7に係る電子メール53Aの振り分けと、S8に係るフィードバック情報の入力について説明する。図5は、端末装置10による電子メール53Aの振り分けとフィードバック情報の入力の一例を説明するための図である。
【0042】
図5に示す通り、端末装置10のメール受信箱は、メインメールフォルダ30とプロモーションメールフォルダ40とを含む。端末装置10は、メールサーバ50から受け付けたフラグ情報がメインメールを示している場合には、電子メール53Aをメインメールフォルダ30に振り分ける。一方、フラグ情報がプロモーションメールを示している場合には、電子メール53Aをプロモーションメールフォルダ40に振り分ける。端末装置10のユーザは、それぞれのフォルダの電子メール53Aを閲覧し、フォルダに応じたフィードバック情報を入力することができる。具体的には、ユーザは、メインメールフォルダ30に格納された電子メール53Aについては、「プロモーション報告」を選択することができる。一方、プロモーションメールフォルダ40に格納された電子メール53Aについては、「プロモーションではないと報告」を選択することができる。ユーザによって入力されたフィードバック情報は、メールサーバ50を介して、情報処理装置100に送信され、分類器生成部150によって、再学習に利用される。
【0043】
以上説明した実施形態によれば、情報処理装置100は、複数の項目のデータの各々が入力されると項目ごと特徴量を出力する項目ごと子分類器と、それぞれの項目ごと特徴量が入力されると分類結果を出力する統合分類器とを含む分類器を用いて、電子メール53Aがプロモーションメールであるか否かを示すフラグ情報を取得し、端末装置10は、当該フラグ情報に基づいて、電子メール53Aを振り分ける。その際、項目ごと子分類器は、各項目に共通した辞書ではなく、項目ごとの辞書を用いて、項目ごと特徴量を出力する。これにより、情報処理装置100は、リソース消費を抑制しつつ分類精度を高めることができる。
【0044】
<第1変形例>
次に、図6を参照しつつ、第1変形例のメールサーバについて説明する。本変形例は、メインメールとプロモーションメールとの分類を実行しつつ、ユーザに対してプロモーションのリマインド通知を送信することによって、効果的なプロモーションを行うことを目的とする。
【0045】
図6は、第1変形例に係るメールサーバ50Aの構成の例を示すブロック図である。図1に示す構成に加えて、メールサーバ50Aは、プロモーションデータ収集部54と、プロモーション通知部55と、ジャンル分類部56と、開封率算出部57と、を備える。
【0046】
プロモーションデータ収集部54は、端末装置10に送信されるプロモーションメール、具体的には、プロモーションメールであることを示すフラグ情報が付けられた電子メール53Aの本文を解析し、キャンペーン期限などのプロモーションデータ53Bを収集する。プロモーションデータ収集部54は、収集したデータをプロモーションデータ53Bとして記憶部53に格納する。
【0047】
プロモーション通知部55は、記憶部53に格納されるプロモーションデータ53Bを一定間隔(例えば、一日ごと)で参照し、キャンペーン期限が近いプロモーションデータ53Bを特定し、特定したプロモーションデータ53Bに関するプロモーションの期限が近いことを示すリマインド通知を端末装置10に送信する(第1案)。この際、プロモーション通知部55は、キャンペーン期限の一日前など、ユーザがキャンペーンに注目しやすいと考えられる任意のタイミングでリマインド通知を送信して良い。さらに、プロモーション通知部55は、期限が近い全てのプロモーションデータ53Bではなく、後述の開封率算出部57によって計算された、開封率の高いジャンルのプロモーションデータ53Bについてのみ、リマインド通知を送信しても良い(第2案)。プロモーション通知部55は、リマインド通知として、例えば、プッシュ通知を送信しても良いし、メール通知を送信しても良い。図7は、プロモーション通知部55によるプッシュ通知の一例を説明するための図である。図7に示す通り、プロモーション通知部55は、キャンペーン期限が近いプロモーションメールについて、端末装置10にプッシュ通知を送信する。
【0048】
ジャンル分類部56は、端末装置10に送信されるプロモーションメール、具体的には、プロモーションメールであることを示すフラグ情報が付けられた電子メール53Aの本文を解析し、既知のクラスタリングなどの手法を用いてジャンル分類を行う。ジャンル分類部56は、各プロモーションメールについて分類したジャンルをプロモーションデータ53Bの追加情報として記憶部53に格納する。分類するジャンルは、例えば、食品、ファッション、コスメ、旅行、書籍など任意のジャンルであって良い。
【0049】
開封率算出部57は、ジャンル分類部56によって分類されたジャンルごと、かつユーザごとに、受信された電子メール53Aの総数を、開封された電子メール53Aの数で除算することによって得られる開封率を算出する。開封率算出部57は、算出した開封率をプロモーションデータ53Bの追加情報として記憶部53に格納する。
【0050】
以上説明した第1変形例によれば、第1案において、キャンペーン期限が近いプロモーションデータ53Bに関するリマインド通知を送信することによって、メインメールとプロモーションメールとの分類を実行しつつ、効果的なプロモーションを行うことができる。また、第1変形例によれば、第2案において、ジャンル分類部56及び開封率算出部57を用いて、各ユーザの関心が高いジャンルについてのみリマインド通知を送信することによって、パーソナライズされた、より効果的なプロモーションを行うことができる。
【0051】
<第2変形例>
以上説明した実施形態または第1変形例では、メインメールとプロモーションメールの分類、及びプロモーションのリマインド通知は、情報処理装置100とメールサーバ50とがサーバ側で実行するものであった。代替的に、これらの機能は、端末装置10がアプリとして実装しても良い。
【0052】
図8は、第2変形例に係る端末装置10Aの構成の例を示すブロック図である。図8に示す通り、端末装置10Aは、NIC又は無線通信機等の通信インターフェースを含む通信部12と、ディスプレイ等の表示部14と、タッチパネル、キーボード、マウス等の入力部16と、メールデータ取得部18と、属性分類部20と、プロモーションデータ収集部22と、プロモーション通知部24と、を備える。
【0053】
メールデータ取得部18、属性分類部20、プロモーションデータ収集部22、及びプロモーション通知部24の基本的な機能は、メールデータ取得部120、属性分類部130、プロモーションデータ収集部54、及びプロモーション通知部55の機能とそれぞれ同様である。なお、メールデータ取得部120は、メールサーバ50からメールデータ180Aを受信するのに対して、メールデータ取得部18は、メールサーバ50から電子メール53Aを受信し、当該電子メール53Aからメールデータ180Aを抽出することで取得する。また、プロモーション通知部55によるプロモーションの通知は、メールサーバ50と端末装置10との協調動作によって実現されるが、プロモーション通知部24によるプロモーションの通知は、端末装置10のみの動作によって実現される。
【0054】
以上説明した第2変形例によれば、サーバ側で通知機能を実装する必要なく、端末側で簡易的に通知を実現することができる。
【0055】
以上、本発明を実施するための形態について実施形態を用いて説明したが、本発明はこうした実施形態に何等限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々の変形及び置換を加えることができる。
【符号の説明】
【0056】
10、10A 端末装置
12 通信部
14 表示部
16 入力部
18 メールデータ取得部
20 属性分類部
22 プロモーションデータ収集部
24 プロモーション通知部
30 メインメールフォルダ
40 プロモーションメールフォルダ
50、50A メールサーバ
51 通信部
52 送受信制御部
53 記憶部
53A 電子メール
53B プロモーションデータ
54 プロモーションデータ収集部
55 プロモーション通知部
56 ジャンル分類部
57 開封率算出部
100 情報処理装置
110 通信部
120 メールデータ取得部
130 属性分類部
140 フラグ情報送信部
150 分類器生成部
160 フィードバック情報受付部
170 再学習指示部
180 記憶部
180A メールデータ
180B 分類器
図1
図2
図3
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図5
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図7
図8