(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-01-16
(45)【発行日】2023-01-24
(54)【発明の名称】撮像用の培養プレート
(51)【国際特許分類】
C12N 5/07 20100101AFI20230117BHJP
C12M 1/00 20060101ALI20230117BHJP
C12M 1/34 20060101ALI20230117BHJP
C12M 3/00 20060101ALI20230117BHJP
【FI】
C12N5/07
C12M1/00 Z
C12M1/34 Z
C12M3/00 Z
(21)【出願番号】P 2020501460
(86)(22)【出願日】2018-07-13
(86)【国際出願番号】 US2018041995
(87)【国際公開番号】W WO2019014541
(87)【国際公開日】2019-01-17
【審査請求日】2021-04-08
(32)【優先日】2017-07-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】518371814
【氏名又は名称】グライナー バイオ‐ワン ノース アメリカ,インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110002572
【氏名又は名称】弁理士法人平木国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ソウザ,グラウコ,アール.
【審査官】小金井 悟
(56)【参考文献】
【文献】特表2014-521347(JP,A)
【文献】特表2000-513819(JP,A)
【文献】特表2011-501689(JP,A)
【文献】特表2013-504041(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0032229(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2013/0037059(US,A1)
【文献】国際公開第2016/069892(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C12M 1/00- 3/10
C12N 1/00- 7/08
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
細胞培養物を撮像する方法であって、
a)
マルチウェル培養プレートの一つ以上のウェル内(各ウェルは透明の平坦な基部を有する)の培地内で一つ以上の細胞型を培養することと、
b)前記
マルチウェル培養プレートを傾斜させることと、
c)前記
マルチウェル培養プレートを振動させることと、
d)前記傾斜させた
マルチウェル培養プレートの前記一つ以上のウェルの最も低い場所にすべての細胞を集めることと、
e)前記傾斜及び前記振動を止めることと、
f)前記透明の平坦な基部を通して前記細胞を撮像することとを含む方法。
【請求項2】
前記一つ以上のウェルが、少なくとも一つの頂点を有する三角形又は正方形又はV字形の断面を有し、前記傾斜が、前記頂点に細胞が集まることを可能にする、請求項
1に記載の方法。
【請求項3】
前記頂点が丸い角部を有する、請求項
2に記載の方法。
【請求項4】
前記培養プレートが、一つ以上のウェルを有し、各ウェルが、前記ウェルの壁より短い一つ以上のジグザグ形の細胞選別壁を有し、各ジグザグ形の細胞選別壁が、複数の頂点を有し、前記傾斜が、前記複数の頂点に細胞が集まることを可能にする、請求項
2に記載の方法。
【請求項5】
前記複数の頂点が丸い角部を有する、請求項
4に記載の方法。
【請求項6】
i)長辺及び短辺を有する長方形のプレートを備え、
ii)前記プレートが、複数のウェルを有し、
iii)前記複数のウェルがそれぞれ、前記ウェルの基部にV字形の断面を有し、前記V字形の断面が、頂点並びに第1の脚部及び第2の脚部を有し、
iv)単一の列内の各ウェルの前記第1の脚部が、前記プレートの頂面付近に連結され、したがって前記列内のすべてのウェルを連結するチャネルを形成し、
v)各基部が平坦な透明基部である、
マルチウェル培養プレート。
【請求項7】
前記チャネルがそれぞれ、同じ端部チャネルに連結し、前記マルチウェル培養プレートのすべての列内のすべての細胞が集まることを可能にする、請求項
6に記載のマルチウェル培養プレート。
【請求項8】
細胞培養物を撮像する方法であって、
a)請求項
6に記載のマルチウェル培養プレートの一つ以上のウェル内の培地内で一つ以上の細胞型を培養することと、
b)前記マルチウェル培養プレートを傾斜させることと、
c)前記マルチウェル培養プレートを振動させることと、
d)前記傾斜させたマルチウェル培養プレート内の各ウェルの前記頂点にすべての細胞を集めることと、
e)前記傾斜及び前記振動を止めることと、
f)前記透明の平坦な基部を通して前記細胞を撮像することとを含む方法。
【請求項9】
前記頂点の反対の端部への前記傾斜が、1列のウェルからの細胞がともに集まることを可能にする、請求項
8に記載の方法。
【請求項10】
a)請求項
6に記載のマルチウェル培養プレートと、
b)長方形のキャップであって、その外周にリップを有し、前記プレートの上又は下に嵌るような形状である長方形のキャップと、
c)前記プレートを傾斜させる手段と
を備えるマルチウェル培養プレートシステム。
【請求項11】
前記マルチウェル培養プレートが、請求項
10に記載のマルチウェル培養プレートシステムのマルチウェル培養プレートである、請求項
1に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
従来の関連出願
本出願は、あらゆる目的で全体として参照により組み込まれている、2017年7月13日出願の米国特許出願第62/532,031号に対する優先権を主張する。
【0002】
本発明は、細胞を成長、操作、及び撮像する様々なデバイス及び方法に関し、これは生物学的な研究及び応用において重要である。より詳細には、本発明は、細胞を培養及び撮像するための簡単で耐久性のある安価な容器、並びにその作製又は使用方法に関する。
【背景技術】
【0003】
細胞の培養とは、人工的な生体外環境で細胞を成長させることであり、生命科学の研究及び開発において極めて重要な技法である。理想的な細胞培養環境は、健康な細胞の急速且つ頑健な成長を促すものであり、細胞の形態及び機能は、人工培養環境の特性による影響を受けるのではなく、他の細胞との細胞間相互作用、細胞特有の信号伝達、及び/又は実験の制御変数によって左右される。
【0004】
多くの場合、細胞の遺伝子発現、分化した細胞の機能的特徴、形態論、分布、及び組織化、並びに細胞外マトリックスの形成を含めて、生体内で成長した細胞によく似ている細胞を成長させることが望ましい。製作のコスト及びスケーラビリティもまた、そのような技術の適用可能性にとって重要な問題である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
したがって、3D培養技法は、より自然な環境で細胞を調査する可能性を提供し、一群の細胞の3次元構造は、生体内環境を忠実に模倣する可能性を提供する。本発明者らは、磁場内での細胞の3D培養を可能にする複数の材料、並びにそれらの細胞を操作するハードウェアを開発した。本出願は、ハードウェア、この場合は3D培養物の高スループット撮像のためのハードウェアの開発を継続する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、細胞及び3D細胞培養物を高スループットに培養及び撮像するデバイスに関する。概して、本発明は、複数のウェルを有するマイクロタイタープレートを備え、これらのウェルは、上面から見て断面に少なくとも一つの頂点を有する三角形又は他の形状を有するが、平坦な光学的に透き通った基部を有する。
【0007】
米国特許第5,225,164号は、平坦な基部を有する正方形のウェルを記載しているが、これらのウェルの内部は、中の流体の混合を可能にするように設計されたバッフルを備える。さらに、これらのプレートは透明ではない。したがって、これらのプレートを撮像に使用することはできない。
【0008】
本発明のプレートでは、あらゆる他のマイクロタイタープレートと同様に、培養物を成長させることができる。培養物はまた、磁場及びナノシャトル(NanoShuttle)(登録商標)などの細胞磁化材料を使用して、3D培養で成長させることができる。別法として、他の方法によって懸濁液若しくはゲル/足場タイプの材料において3Dで細胞を成長させることができ、又は成長後にプレートに加えることができる。
【0009】
プレートは、細胞がウェルの頂点へ落ちるように、手動又は専用のスタンド若しくは機械によって傾斜させられる。プレートが再びゆっくりと慎重に水平にされたとき、3D培養物はその頂点に留まり、重力又は磁場によってプレートの底部へ沈下しており、次いでプレートの底部を通して3D細胞培養物を撮像することができる。したがって細胞は、プレートの底部角部の既知の場所にあり、プレートは、撮像機械に対して平坦に位置決めされ、撮像機械によるプレートのより急速なスループットで改善された撮像を可能にする。すべての細胞が同じ被写界深度にあり、単一の画像で複数のウェル及びさらには複数のプレートを捕捉することを可能にすることが重要である。
【0010】
最善の撮像のために透き通った平坦な底部を有し、好ましくは標準的なマイクロタイタープレートのサイズである透明のプレートが特に好ましい。プレートは、温度サイクルが予期されるかどうか、及び必要とされる撮像品質に応じて、一つ以上の部分から作製することができる。所望される場合、プレートの底部は、最善の撮像のために透き通った透明の光ガラスとすることができるが、多くの目的で、典型的な薄いウェルのポリプロピレン、ポリプロピレン、ポリオレフィン、ガラス繊維入りポリプロピレン、アクリルブタジエンスチレン(ABS)、ポリアミド(PA)、ポリカーボネート(PC)、ポリスチレン(PS)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリプロピレン(PP)、又はスチレンアクリロニトリル(SAN)などで十分である。好適な透明ポリマーの例には、透き通ったポリスチレン、ポリアクリロニトリル、ポリカーボネート、ポリエステル、ポリメチルペンテン、及びアクリル材料が挙げられるが、透明ポリマーには多くの変形例が存在する。
【0011】
細胞培養プレートは、当技術分野で知られている任意の方法によって製造することができ、たとえば米国特許第5,002,582号、米国特許第5,457,527号、米国特許第6,503,456号、米国特許第6,340,589号、米国特許出願公開第20050170498号、米国特許第8,512,652号、米国特許第8,636,965号、米国特許第9,168,532号などを参照されたい。
【0012】
自動化された機器に対するプレートの適合性は、高スループット方法で使用されるプレートの形状及び構造に対するおそらく最も厳格な制約の一つである。多くの研究所が、自動化された分注/吸引システムを使用した試料ウェルからの少量の反応混合物の堆積及び除去など、様々な手順ステップ又は段階を自動化している。さらに、そのような手順の自動化を容易にすることを助けるために、プレート取扱い機器が使用されることが多い。したがって、ロボット機器による使用の助けとなり、ロボットの把持及び操作に耐えることができるマルチウェルプレートを使用することが望ましい。SLASマイクロプレート標準諮問委員会(Microplate Standards Advisory Committee)によってslas.org/resources/information/industry-standards/に標準的な寸法が推奨されており、したがってこれが好ましい実施形態である。
【0013】
任意の撮像システムを使用して、プレートを撮像することができ、好ましくは一つ以上のプレートを一度に撮像することができる。米国特許第7,599,055号、米国特許第7,265,829号、米国特許出願公開第20110286102号、米国特許第6,130,745号などは例示であるが、本発明者らは、米国特許出願公開第20150091233号によるスマートフォン及び簡単なカメラスタンドを使用したプレートの撮像に成功した。しかし、最大のスループットのために、いくつかのプレートを同時に迅速に撮像するための専用のシステムが提供されることが考えられる。
【0014】
本明細書では、「容器」又は「プレート」は、ペトリ皿、フラスコ、マイクロ流体チップ、マイクロ流体デバイス、マルチウェル培養プレート、試験管など、細胞を培養するための任意の入れ物を指す。標準的なマイクロタイタープレートが現在は好ましいが、将来はマイクロ流体デバイスがより頑健になって標準化され、そのための取扱い機器も普及するため、技術はそのようなデバイスに移ることが予期される。
【0015】
本明細書では、「頂点」とは、多角形、多面体、又は他の図形の角点である。たとえば、三角形は三つの頂点を有し、V字形のウェルは三つの頂点を有し、正方形は四つの頂点を有する。本明細書では少なくとも一つの頂点を必要とするが、残りの形状は、
図10に涙形によって示すように、多角形である必要はない。
【0016】
本明細書では、「V字形」のウェルは、「V」の文字と同様に一つの点又は頂点で交わる二つの脚部を有するウェルの断面を説明している。V字形のウェルは、特定の応用例で非常に有益であり、V字の一方の脚部に細胞を集めることができ、他方の脚部を使用して培地を変化させ、したがって細胞へのあらゆる破壊を最小にすることができる。二つの異なる細胞型を脚部の異なる端部で培養することもでき、次いで後に二つの脚部の頂点で一つにまとめて、したがって二つの細胞型を含む分析を可能にすることができる。
【0017】
「丸い頂点」は、多角形又は部分的な多角形の二本の直線が交わる点が平滑な曲線でわずかに切り取られていることを意味する。丸い頂点は、細胞のより大きい集塊が頂点に蓄積することを可能にする。
【0018】
「前記ウェルの上」によって、本発明者らは、磁石の使用中に磁性蓋及び磁石が培養培地に入り込まず、培養培地の上、下、又は横に位置することを意味する。デバイスはまた、プレート全体の下に位置することができ、その向きで培地に接触しない。
【0019】
「マイクロプレート」又は「マイクロタイタープレート又は「マイクロタイター容器」によって意味するところは、その時点で最新の業界標準マイクロプレートである。ANSI-SLASは、ロボット工学及びマルチピペッタに対する相互運用性を確実にするために、マイクロタイタープレートに対する標準サイズを公開しており、これらはslas.org/resources/information/industry-standards/で見ることができることに留意されたい。
【0020】
「磁石」とは、磁場及び磁場形状をもたらす任意の材料を指し、永久磁石又は電磁石とすることができる。
【0021】
本明細書では、「磁性ドライバ」とは、培養プレートの上又は下に嵌ることができる蓋又はカバー又は底部であり、培養プレートに恒久的又は可逆的に付着する磁石を有し、したがって磁性ドライバをプレートとともに使用して、プレート内で培養されている細胞を浮上及び/又はパターン形成/印刷することができる。
【0022】
キャップの「下」面を参照するときはリップに関連し、下面はリップ又は縁部を同じ側に有する。
【0023】
本明細書では、「培養プレートシステム」は、全体として、本明細書に記載するもののいずれかなどの培養プレートと、キャップであって、その外周にリップを有し、前記培養プレートの上又は下に嵌るような形状であるキャップと、前記培養プレートを傾斜又は回転させる手段とを含むシステムを指す。特に、この用語は、プレートを傾斜させるマイクロタイタープレートと、整合蓋、磁性蓋、又はドライバと、くさびとを含むシステムを指す。傾斜手段はまた、プレートを傾斜させるように特別に設計されたロッカプレート又は任意のデバイスとすることができる。細胞を回転させる手段は、任意の回転プラットホームとすることができる。
【0024】
本明細書では、「選別壁」とは、ウェルの外壁より下に位置する壁であり、したがって培地が選別壁の上へ流れることができる。これらの壁は、複数の頂点を有し、細胞が各頂点に集まることを可能にする。そのような選別壁は、最も簡単であるため、好ましくはジグザグ形であるが(Vに交互の方向を向いている)、複数の頂点を有する任意の線を使用することもできる(たとえば、片側が開いた四角形又は片側が開いた五角形が交互の方向を向く)。
【0025】
本発明は、以下の実施形態のいずれか一つ以上を、それらの任意の組合せで含む。
【0026】
【0027】
特有の実施形態
特有の実施形態では、本発明は、以下にさらに属する。
【0028】
● 第1及び第2の長辺並びに第1及び第2の短辺を有する長方形のプレートであって、前記プレートが、複数のウェルを有し、前記複数のウェルがそれぞれ、上面から見て少なくとも一つの頂点を有する円形でない断面を有し、前記ウェルがそれぞれ、いかなる障害物もない平坦な透明基部を有し、したがってウェルの内容物全体を基部の下から撮像することができる、プレートと、
● 長方形のキャップであって、その外周にリップを有し、前記プレートの上又は下に嵌るような形状である長方形のキャップと、
● 前記プレートを傾斜させる手段と
を備えるマルチウェル培養プレートシステム。
【0029】
● 第1及び第2の長辺並びに第1及び第2の短辺を有する長方形のプレートであって、前記プレートが、複数のウェルを有し、前記複数のウェルがそれぞれ、上面から見てV字形の断面を有し、前記V字形の断面が頂点を有し、前記ウェルがそれぞれ、平坦な基部、特に平坦な透明基部を有する、プレートと、
● 長方形のキャップであって、その外周にリップを有し、前記プレートの上又は下に嵌るような形状である長方形のキャップと、
● 前記プレートを傾斜させる手段と
を備えるマルチウェル培養プレートシステム。
【0030】
● 第1及び第2の長辺並びに第1及び第2の短辺を有する長方形のプレートであって、前記プレートが、複数のウェルを有し、前記複数のウェルがそれぞれ、上面から見て三角形の断面を有し、前記三角形の断面が頂点を有し、前記ウェルがそれぞれ、平坦な透明基部を有する、プレートと、
● 長方形のキャップであって、その外周にリップを有し、前記プレートの上又は下に嵌るような形状である長方形のキャップと、
● 前記プレートを傾斜させる手段と
を備えるマルチウェル培養プレートシステム。
【0031】
前記断面形状が、三角形、二等辺三角形、正方形、長方形、V字形、平行四辺形、又は涙形の形状であり、ゼロ、一つ以上の丸い角部(すなわち頂点)をさらに有する、本明細書のいずれかのマルチウェル培養プレートシステム。
【0032】
前記頂点が前記第1の長辺の方に向けられている、本明細書のいずれかのマルチウェル培養プレートシステム。
【0033】
前記頂点が前記第1の短辺の方に向けられている、本明細書のいずれかのマルチウェル培養プレートシステム。
【0034】
長方形のマルチウェル培養プレートを傾斜させる前記手段が、前記長方形のマルチウェル培養プレートの下に嵌り、したがって長方形のマルチウェル培養プレートの短辺又は長辺を15~45°持ち上げる長方形のくさびである、本明細書のいずれかのマルチウェル培養プレートシステム。
【0035】
前記頂点が丸い角部を有する、本明細書のいずれかのマルチウェル培養プレートシステム。
【0036】
長方形のキャップであって、その外周にリップを有し、前記長方形のマルチウェル培養プレートの上又は下に嵌るような形状である長方形のキャップをさらに備え、前記キャップに複数の磁石が取り付けられており、したがって前記キャップが前記マルチウェル培養プレートの上又は下で定位置にあるとき、前記ウェルのそれぞれの上に前記磁石を保持し、隣接する磁石がそれぞれ、反対の極性である、本明細書のいずれかのマルチウェル培養プレートシステム。
【0037】
前記磁石がそれぞれ、前記頂点のそれぞれの上に位置する、本明細書のいずれかのマルチウェル培養プレートシステム。
【0038】
前記磁石がそれぞれ、各ウェルの中心の上に位置する、本明細書のいずれかのマルチウェル培養プレートシステム。
【0039】
6個、12個、24個、96個、384個、1536個、3072個、又は6144個のウェルを有する、本明細書のいずれかのマルチウェル培養プレートシステム。
【0040】
細胞培養物を撮像する方法であって、
a)本明細書のマルチウェルプレートシステムのプレートの一つ以上のウェル内の培地内で一つ以上の細胞型を培養することと、
b)前記頂点に細胞が集まるように前記プレートを傾斜させることと、
c)場合により、前記プレートを振動させることと、
d)前記頂点にすべての細胞が集まるときに前記傾斜を解除することと、
e)前記平坦な基部、特に前記平坦な透明基部を通して前記細胞を撮像することとを含む方法。
【0041】
細胞培養物を撮像する方法であって、
a)本明細書のマルチウェルプレートシステムのプレートの一つ以上のウェル内の培地内で一つ以上の細胞型を培養することと、
b)前記プレートの下にくさびを嵌めることと、
c)場合により、前記プレートを振動させることと、
d)前記頂点にすべての細胞が集まるときに前記くさびを除去することと、
e)前記平坦な基部、特に前記平坦な透明基部を通して前記細胞を撮像することとを含む方法。
【0042】
前記振動ステップが実行される、本明細書のいずれかの方法。
【0043】
細胞培養物を撮像する方法であって、
a)本明細書のマルチウェルプレートシステムのプレートの一つ以上のウェル内(各ウェルは平坦な透明基部を有する)の培地内で一つ以上の細胞型を培養することと、
b)マルチウェルプレートシステムの前記プレートを傾斜させることと、
c)マルチウェルプレートシステムの前記プレートを振動させることと、
d)マルチウェルプレートシステムの前記傾斜させたプレートの前記一つ以上のウェルの最も低い場所にすべての細胞を集めることと、
e)前記傾斜及び前記振動を止めることと、
f)前記平坦な透明基部を通して前記細胞を撮像することとを含む方法。
【0044】
前記一つ以上のウェルが、少なくとも一つの頂点を有する三角形又は正方形又はV字形の断面を有し、前記傾斜が、細胞が前記頂点に集まることを可能にする、本明細書のいずれかの方法。
【0045】
前記頂点が丸い角部を有する、本明細書のいずれかの方法。
【0046】
● 長辺及び短辺を有する長方形のプレートであって、前記プレートが、複数のウェルを有し、前記複数のウェルがそれぞれ、前記ウェルの基部にV字形の断面を有し、前記V字形の断面が、頂点並びに第1及び第2の脚部を有し、単一の列内の各ウェルの前記第1の脚部が、前記プレートの頂面付近に連結され、したがって前記列内のすべてのウェルを連結するチャネルを形成し、各基部が平坦な透明基部を有する、プレートと、
● 長方形のキャップであって、その外周にリップを有し、前記プレートの上又は下に嵌るような形状である長方形のキャップと、
● 前記プレートを傾斜させる手段と
を備えるマルチウェル培養プレートシステム。
【0047】
さらなる変形例では、V字形のウェルの列を連結するチャネルは、すべての列を連結する端部チャネルに連結することができる。
【0048】
細胞培養物を撮像する方法であって、
a)本明細書のマルチウェル培養プレートシステムのV字形のプレートの一つ以上のウェル内の培地内で一つ以上の細胞型を培養することと、
b)マルチウェル培養プレートシステムのプレートを傾斜させることと、
c)マルチウェル培養プレートシステムの前記プレートを振動させることと、
d)マルチウェル培養プレートシステムの前記傾斜させたプレート内の各ウェルの前記頂点にすべての細胞を集めることと、
e)前記傾斜及び前記振動を止めることと、
f)前記平坦な透明基部を通して前記細胞を撮像することとを含む方法。
【0049】
この方法では、前記頂点の反対の端部への前記傾斜が、1列のウェルからの細胞がともに集まることを可能にし、これは特定の分析で有益となりうる。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【
図1A】磁性蓋、通常の蓋、及びくさびを有する6つのウェルを含むプレートの斜視図である。各ウェルが、上面から見て三角形の断面を有する。
【
図1B】組み立てられた6つのウェルを含むプレートを示し、その下で定位置にくさびが位置し、したがってプレートを傾斜させている図である。
【
図1C】見やすいように三角形の頂点に細胞が集められた6つのウェルを含むプレートの上面図である。
【
図2】持上げ機構、振動機構、及び持上げ位置でプレートを支持する枠を有する試作品の単一のプレートスタンドの斜視図である。バイブレータ(V)及び持上げ機構(L)は文字ラベルによって示されている。
【
図3】ウェル及び傾斜を進んで頂点に静止する細胞の側面図及び上面図である。沈下速度は、穏やかな振動(0.1~400Hz、好ましくは1~120Hz、0.05~4N、好ましくは0.1~0.5N)によって支援される。
【
図4】プレートが両方の軸で傾斜させられる試作品のスタンドの別の実施形態の図である。バイブレータ(V)及び持上げ機構(L)は文字ラベルによって示されている。
【
図5】振動及び二つの傾斜を使用してプレートの各ウェルの底部に集められた細胞の実際の例の図である。
【
図6】頂点の下に配置された磁石を有する磁性蓋、及びマイクロタイタープレートとともにスタンドを示す図である。バイブレータ(V)及び持上げ機構(L)は文字ラベルによって示されている。
【
図7】頂点に配置された磁石を有する磁性蓋、及び丸い角部を有する正方形のウェルを有するマイクロタイタープレートとともにスタンドを示す図である(角部のみを示す)。
【
図8】細胞及び培地の操作で使用される傾斜したスタンド及び磁石(小さい長方形)の一例を示す図である。
【
図9A】傾斜の応用例で使用するための磁石に対する好ましい位置の側面図である。傾斜以外の応用例の場合、磁石はウェルの上又は下に直接位置決めされるが、傾斜した応用例の場合、磁石はウェルの一つの頂点、その付近、又はその側に位置するべきである。
【
図9B】三角形のウェル及び磁性蓋を有し、一方の側に余分の空間(W)を有し、蓋の縁部がプレートの縁部に押し付けられているかどうかに応じて、磁石を中心に位置合わせされた箇所又はウェルの一方の側へ動かすことを可能にする、プレートの断面図である。
【
図12】V字形のウェルに対する様々な応用例の図である。
【
図13】V字形のウェルに対する共培養の応用例の図である。
【
図14】磁石を有するV字形のウェルの応用例の図である。
【
図15】磁石を有するV字形のウェルにおける共培養の図である。
【
図16】矢印が適当な側を持ち上げることによって引き起こされる細胞塊の動きを示すマルチチャネルウェル及び応用例の図である。
【
図17】チャネルがすべて端部チャネルに組み合わされている、マルチチャネルウェルの別の実施形態の図である。
【
図18】枠が上方へ続き、プレートが位置するためのレッジ(ledge)が設けられている、マルチプレートスタッカの図である。この実施形態は、単一のレッジのみを示すが、複数のレッジを設けることができる。
【
図19A】下にカメラ又は他の撮像モダリティを有し、所望される場合、すべてのプレートの撮影又は個々のウェルの撮像が可能である、単一レベルのマルチプレート傾斜スタンド(A)及び持ち上げられた状態(B)の図である。
【
図19B】下にカメラ又は他の撮像モダリティを有し、所望される場合、すべてのプレートの撮影又は個々のウェルの撮像が可能である、単一レベルのマルチプレート傾斜スタンド(A)及び持ち上げられた状態(B)の図である。
【
図20A】単一の大きいウェル内に複数の頂点を有するように設計され、各頂点に一つずつ多くの3D培養物を形成することを可能にするプレートの斜視図である。
図20Aは、空のプレートを示し、
図20Bは、より短い選別壁にわたって培地を前後に流す揺動運動によってジグザグ形の選別壁の各頂点にいくつかの細胞を集めたプレートを示す。細胞選別壁は、外壁の約2分の1の高さであり、外壁の0.5~50%のいずれかとすることができ、培地の動揺を保持するためにはより大きい高さが必要とされる。
図20Cで、揺動は止まり、細胞は集塊に成長している。
【
図20B】単一の大きいウェル内に複数の頂点を有するように設計され、各頂点に一つずつ多くの3D培養物を形成することを可能にするプレートの斜視図である。
図20Aは、空のプレートを示し、
図20Bは、より短い選別壁にわたって培地を前後に流す揺動運動によってジグザグ形の選別壁の各頂点にいくつかの細胞を集めたプレートを示す。細胞選別壁は、外壁の約2分の1の高さであり、外壁の0.5~50%のいずれかとすることができ、培地の動揺を保持するためにはより大きい高さが必要とされる。
図20Cで、揺動は止まり、細胞は集塊に成長している。
【
図20C】単一の大きいウェル内に複数の頂点を有するように設計され、各頂点に一つずつ多くの3D培養物を形成することを可能にするプレートの斜視図である。
図20Aは、空のプレートを示し、
図20Bは、より短い選別壁にわたって培地を前後に流す揺動運動によってジグザグ形の選別壁の各頂点にいくつかの細胞を集めたプレートを示す。細胞選別壁は、外壁の約2分の1の高さであり、外壁の0.5~50%のいずれかとすることができ、培地の動揺を保持するためにはより大きい高さが必要とされる。
図20Cで、揺動は止まり、細胞は集塊に成長している。
【
図21A】より大きいウェルが円形であり、プレートが回転している、
図20の概念に関するさらに別の変形例を示す図である。細胞は当然ながら、回転中に求心力によってプレートの縁部へ誘導されるが、湾曲した壁が細胞をプレートの中心へ戻る方に再び誘導し、細胞は再び頂点に集められる。
【
図21B】より大きいウェルが円形であり、プレートが回転している、
図20の概念に関するさらに別の変形例を示す図である。細胞は当然ながら、回転中に求心力によってプレートの縁部へ誘導されるが、湾曲した壁が細胞をプレートの中心へ戻る方に再び誘導し、細胞は再び頂点に集められる。
【
図22】プレートを回転させることによって生じる求心力の利点をより良好に得るために、同心円状のジグザグ形の選別壁を有する別の実施形態を示す図である。ここで細胞は、プレート/回転軸の中心へ開いたV字内に集まる。
【
図23】径方向のジグザグ形の選別壁を有するさらに別の実施形態を示す図である。
【
図24】384個のウェルを有するプレートの上面図(A)、側面図(B、C)、断面図(D)、及び拡大図(E)であり、384個のウェルを有するプレートの各ウェルが三角形の断面を有する図である。
【
図25A】傾斜の応用例に対してプレートスタンド内に384個のウェルを有するプレートの簡単な3次元印刷の高い斜視図(A)、低い斜視図(B)、及び上面図(C)であり、384個のウェルを有するプレートの各ウェルが三角形の断面を有する図である。
【
図25B】傾斜の応用例に対してプレートスタンド内に384個のウェルを有するプレートの簡単な3次元印刷の高い斜視図(A)、低い斜視図(B)、及び上面図(C)であり、384個のウェルを有するプレートの各ウェルが三角形の断面を有する図である。
【
図25C】傾斜の応用例に対してプレートスタンド内に384個のウェルを有するプレートの簡単な3次元印刷の高い斜視図(A)、低い斜視図(B)、及び上面図(C)であり、384個のウェルを有するプレートの各ウェルが三角形の断面を有する図である。
【発明を実施するための形態】
【0051】
図1Aで、マイクロタイタープレートと、整合蓋、磁性蓋、又はドライバと、プレートを傾斜させるためのくさびとを含むマルチウェル培養プレートシステムの一実施形態を示す。磁性蓋10は、本発明者らの以前の特許に記載されているように、磁気培養で使用されるとき、プレートの上又は下で使用することができる。第2の蓋18は典型的な蓋であり、磁性蓋10が細胞の下で使用されるとき、細胞の上で使用するために設けられる。磁性蓋10は、プレートの上又は下に嵌るようなサイズの蓋を一周する縁部又はリム12を有する。この場合、蓋の内面は支柱14を有し、各支柱14は、プレートの上又は下で定位置にあるときに対応するウェルの上で中心に位置合わせされるように配置される。支柱14の上にリング磁石16が嵌められ、好ましくは各磁石は、その最も近い磁石に対して反対の極性になるように向けられる。しかし、これらの支柱は、磁石を取り付ける単なる一つの方法であり、磁石が嵌るへこみを含む任意の他の方法を使用することができ、又は磁石を蓋に接着することもできる。
【0052】
第2の蓋18も示されており、第2の蓋18もまた、プレートの上に嵌るようなサイズの、蓋を一周する縁部又はリムを有する。
【0053】
基部20は、6個の三角形のウェル22を有し、ウェル22は、平坦な辺26とは反対側に頂点24を有する。この場合、平坦な辺26は長方形のプレートの長辺の一つに向けられ、頂点24は反対側の長い縁部を指すが、他の向きも可能であり、くさびはそれに応じて適合される。くさび28は、プレートに類似の寸法を有するようなサイズであるが、一方の側でより厚く、これは基部の下へ滑り込ませたとき、15~45°、好ましくは約30~35°の持上げを提供し、三角形のウェルの一つの頂点で沈下するように細胞を誘導する。この結果、重力の向きが変化し、その結果、細胞は三角形のウェルの頂点24に沿って沈下し、したがって再び水平方向に配置されたとき、細胞は基部上でその頂点に沈下していることになる。
【0054】
図1Bは、基部20の下のくさび28が平坦な面で基部20を持ち上げ、細胞30が頂点24へ沈下している斜視図である。
図1Cは、頂点24に沈下している細胞30をはっきりと示す基部20の上面図である。プレートが撮像装置、たとえばカメラ上に慎重に設置されたとき、プレートの底部を通して細胞を撮影することができ、細胞はすべて同じ頂点にほぼ同じ深さで集められる。これにより、撮像がより速くなり、より高い品質が提供され、細胞はすべて、ほぼ同じ深さ及び同じ近似位置にある。
【0055】
図1は、6個のウェルを有するプレートを示すが、12個、24個、48個、96個、384個、及び1,536個、3,072個、6,144個のウェルを有する形式でも同じ原理を使用することができ、以下同様である。
【0056】
図2は、傾斜の応用例に対する試作品の単一のプレートスタンドを示し、枠がプレートを保持し、簡単な機構がプレートを持ち上げ、別の機構がプレートを振動させる。
図18は類似しているが、枠が追加のプレートを保持するために追加の棚(この場合は1)を有する。棚は、完全な傾斜を可能にするように十分に分離される。
図4は、二つの軸で傾斜させられた試作品の単一のプレートを示す。
図6及び
図8は、異なる頂点形状を有するスタンド及びマイクロタイタープレートを示し、
図10~
図11は、さらなる例示的なウェル形状を示す。
図17は、すべてのチャネルを組み合わせることを可能にするマルチチャネル構成を示す。
【0057】
図3は、細胞が側面を通って頂点内へ進むときのウェルの上面図及び側面図を示す。
図5及び
図7は、集められた細胞の実際の例を示す。
【0058】
図13は、「V字形」のウェルの断面を示す。V字形のウェルは、培地の交換及び異なる細胞型の共培養などの特定の応用例において非常に有益となりうる。
図12及び
図14~
図15は、そのようなウェルの様々な応用例を示す。V字の脚部のそれぞれに、異なる型の細胞を配置することができ、したがってこれらの細胞を同じ培液内で直接の接触なしに培養することを可能にする。さらに、ウェルの最も低い点が「V」字の「底部」になり、V字の脚部が一緒になるように、プレートを傾斜させることによって、異なる細胞型をまとめて直接接触させて共培養することができる。これは、それだけに限定されるものではないが、幹細胞、免疫細胞、循環腫瘍細胞、液体及び固体の生検標本からの細胞、細菌細胞の培養を含む様々な細胞型及び応用例で望ましい可能性がある。
【0059】
使用の際、磁性ドライバは、細胞培養プレートとともに細胞を浮上させるために使用される。細胞はまず、たとえばナノシャトル(NanoShuttle)(商標)(Nano3D BioSciences、TX)を使用して磁化される。ナノシャトル(NanoShuttle)(商標)は、金、酸化鉄、及びポリ-L-リシンからなるナノ粒子アセンブリ(約50nm)である。ポリ-L-リシンは、静電相互作用を介して細胞膜に非特異的に結合する。ナノシャトル(NanoShuttle)(商標)-PLは、細胞によって約8日間保持され、その後細胞外空間へ放出される。3Dの場合、ナノシャトル(NanoShuttle)(商標)-PLは細胞外マトリックスへ放出され、3D培養物がその磁気特性を保持する。これらの磁化された細胞は、細胞を傷つけずに集めるのに十分なだけ強い磁力(30pN)を必要とする。さらにナノシャトル(NanoShuttle)(商標)は、細胞の増殖、生存性、代謝、炎症又は酸化ストレス応答、表現型、及び他のマクロ細胞機能に影響しないことが実証されている。
【0060】
細胞は、70~80%集密している細胞のフラスコにナノシャトル(NanoShuttle)(商標)-PLを直接加えて一晩培養することによって磁化される。典型的には、ナノシャトル(NanoShuttle)(商標)-PLは、10,000個の細胞につき1μLの濃度で加えられる。翌日、処理された細胞は、トリプシンによって酵素的に切り離され、好適な培地に再懸濁される。細胞は、懸濁液中で磁化することもできる。簡単に言うと、懸濁細胞は、穏やかに回転するオービタルシェーカーでナノシャトル(NanoShuttle)(商標)-PLと約30分間混合することによって磁化される。細胞はたとえば遠心分離によって集められ、好適な培地で再懸濁され、すぐに使用できる状態になる。
【0061】
細胞は、磁場内で浮上するために十分であるが細胞の正常な代謝を妨害しない程度に磁性ナノ粒子を吸収する必要がある。一つの細胞につき約30~150pgのレベル、又は約50pgの磁性酸化鉄が典型的である。
【0062】
磁化された後、プレート、好ましくは本明細書に記載する三角形の断面を有するが最大浮上効率のために底部が平坦な超低接着プレートに、磁化された細胞を加えることによって、細胞を集合のために浮上させることができる。次いで、本明細書に記載する磁性ドライブが、細胞培養プレートの下に配置される。細胞集合は典型的に、数分で始まり、数時間で完了するが、異なる細胞型は異なる時間を必要とし、これは典型的に、実験が開始される前に最適化される。所望される場合、細胞が集合して安定した3D培養物になった後でも、磁性ドライブを定位置に残すことができる。しかし典型的に、ドライブは除去され、細胞はさらに調査される。典型的に細胞は、磁場内で約4~8時間安定化させられた後、3D構造を保持する。
【0063】
3D培養物に一つ以上の薬物又は他の薬剤を加えることができ、次いで磁石を除去し、プレートを傾斜させて3D培養物を頂点に集めることによって、3D培養物を撮像することができる。次いでくさびが慎重に除去され、プレートが基部を通して撮影される。細胞は既知の場所及び深さにあり、単一のカメラショットでプレート内のすべてのウェルを同時に視覚化することができるため、写真又は他の撮像はより速くより確実である。
【0064】
所望される場合、磁性ドライブはまた、細胞の収集及び/又は培地の交換のために使用することができ、その場合、可変ドライブが、ウェルの中心ではなく頂点の上/下に位置決めされた磁石を備える。
図9Aを参照されたい。これら二つの目的で、異なる磁性蓋を作製することができ、又は一方の縁部にわずかな量の追加の空間(ウェル幅の1/2~1倍)を有する単一の蓋を作製することができ、次いで磁石は中心に位置決めされ、又は蓋の位置を一方の側若しくは他方の側へずらすことによって、ウェルの一方の側に位置決めされる。これはまた、個々のウェルが視覚化される走査顕微鏡の一部として組み込むことができる。
【0065】
これは、三角形のウェル91のプレート90の断面を示す
図9Bに示されている。その上には、磁石95を有する蓋93の断面が示されている。蓋91は、一方の側に余分の空間Wを有し、空間Wの幅はウェル91の0.5~1倍である。したがって、蓋を右へ押すことで磁石95がウェル91の上で中心に位置合わせされ、蓋を左へ押しことで磁石95を中心からウェル幅の約0.5~1倍ずらす。どちらの側がプレートの縁部に位置するべきかを示すために、蓋にラベル(図示せず)を付けることもできる。蓋のリムがプレートの側面に当たり、動きが停止するため、プレートはそれ以上左へは動かない。
【0066】
本発明者らは、細胞を傾斜させるために使用される簡単なくさびを示しており、これには非常に安価であるという利点がある。しかし、より高度な機構を同様に使用することもできる。たとえば、プレートは、複数のプレートを保持するスタンドに設置することができ(
図19)、スタンド全体が傾斜することができ、すべてのプレートを同時に傾斜させることができる。これは、一つ以上のねじ足、延長若しくは伸縮する一つ以上の脚部、レバーによって行うことができ、又はスタンドのリフトをモータ駆動式にすることができる。プレートを傾斜させて垂直に積み重ねなるときにプレートの積み重ねを容易にするために、改変された蓋を使用する/組み合わせることもできる。
【0067】
モータ駆動式のスタンドは、最小レベルの培地の動揺又は細胞の動きで、安定した低速の持上げ及び復帰を可能にするため、高スループットの応用例にとって好ましいはずである。スタンドはまた、カメラ又は他の撮像手段が写真のためにプレートの下に嵌ることを可能にし、したがってプレートの運動を最小にするようなサイズにすることができる。理論上、スタンドは、米国特許出願公開第20150091233号に記載されているように、プレート内で摺動する棚を有し、撮像装置はその下に嵌り、複数のプレートを一度に撮影することができる。
【0068】
マルチプレート自動化傾斜装置が、
図19Aに提供されている。マルチプレート電動傾斜装置スタンドが、ハウジング213の上に基部200を有し、ハウジング213は、モータ205及び209を収容し、コントローラパネル211を提供する。基部は単なる枠組みであり、プレートが滑り落ちるのを防止するための壁201と、プレートを支持するためのレッジ又は棚203とを有する。ハウジング213内には、モータ205が、持上げ機構207を介して機械式リフトを提供する。ハウジングの中心には、基部200の下側に振動モータ209を取り付けることができ、振動モータ209は、基部へ振動を伝え、それによって基部上に位置決めされたプレートへ振動を伝える。しかし、振動モータ209は、撮像装置又はカメラ300に干渉しない限り、他の場所、たとえば外縁部に取り付けることもできる。
図19Bは、モータ205を介して持ち上げられた後のデバイスを示す。
【0069】
本発明者らは、非常に大きいスタンドを作製することを可能にし、スタンドの両方の角部で持上げを提供するため、1対のモータと、それに対する1対のハウジングとを示している。しかし、より小さいスタンドは単一のモータセットのみを必要とする。二つの持上げ装置が設けられる場合、これらは典型的に、同じ回路によって制御され、したがって製造コストが節約される。しかしこれは必須ではなく、二つの回路であれば上述した2軸傾斜を可能にするはずである。
【0070】
図20Aは、研究使用のために多数の細胞集塊又はスフェロイドを生じさせることができるプレートの別の変形例を示す。単一の大きいウェルが存在し、この場合は長方形であり、好ましくは標準的なマイクロタイタープレートと同じサイズ及び寸法である。外壁2001内には、より短いジグザグ形の細胞選別壁2003を任意のパターンで配置することができるが、ここでは細胞選別壁2003は平行な線で配置され、一方の側から他方の側へ横断しているところが示されている。選別壁2003は外壁2001より短いため、細胞2050を含む培地が選別壁2003より大きい深さまで加えられ、プレートがロッカ2030上で前後に揺動されたとき、そのような力によって細胞2020は頂点に集まり始める。
図20Bを参照されたい。集まった後、揺動をやめることができ、培養時間とともに、頂点内の細胞2020はそれぞれ成長し、3Dスフェロイド又は集塊を生じさせる。
図20Cを参照されたい。
【0071】
図21は、この概念に関する別の変形例を有し、ウェルは円形であり、この場合もより高い外壁2101と、複数のジグザグ形の円形の壁2103とを有している。また、外壁2101から延びてウェルの直径内へ短く突出する湾曲した壁2105が含まれる。これらの湾曲した壁2105は、培地及び細胞2150をプレートの中心へ戻すように誘導し、したがってすべての細胞が最も外側の縁部に集まることを防止する。前述したように、回転を停止させると、細胞が成長し、集塊が形成される(図示せず)。
【0072】
図22は、さらに別の変形例を有し、ジグザグ形の選別壁2203が、プレートの中心の周りに同心円状のリングで配置されている。これにより、求心力の最大に有益な使用が可能になる。湾曲した壁2205及び外壁2201は、
図21と同じ機能を有する。
【0073】
図23は、さらに別の変形例を有し、ジグザグ形の選別壁2303が、プレートの中心から放射状に配置されている。湾曲した壁2305及び外壁2301は、
図21と同じ機能を有する。
【0074】
図24A~
図24Eは、本発明による384個のウェルを有するプレートの上面図及び側面図、並びに断面図を示し、384個のウェルを有するプレートの各ウェルは、上面から見て三角形の断面を有する。さらに、個々の各ウェルの頂点がプレートの短辺の方に向けられた丸い角部を有することを示すプレートの拡大図が示されている。
【0075】
【0076】
本発明は、以下の態様にさらに属する。
【0077】
1. 第1及び第2の長辺並びに第1及び第2の短辺を有する長方形のプレートを備え、前記プレートが、複数のウェルを有し、前記複数のウェルがそれぞれ、上面から見て少なくとも一つの頂点を有する円形でない断面を有し、前記ウェルがそれぞれ、いかなる障害物もない平坦な透明基部を有し、したがってウェルの内容物全体を基部の下から撮像することができる、マルチウェル培養プレート。
【0078】
2. 前記頂点が前記第1の長辺の方に向けられている、態様1に記載のマルチウェル培養プレート。
【0079】
3. 前記長方形の細胞培養容器の下に嵌り、したがって前記第2の長辺を15~45°持ち上げる長方形のくさびをさらに備える、態様2に記載のマルチウェル培養プレート。
【0080】
4. 前記頂点が前記第1の短辺の方に向けられている、態様1に記載のマルチウェル培養プレート。
【0081】
5. 前記長方形の細胞培養容器の下に嵌り、したがって前記第2の短辺を15~45°持ち上げる長方形のくさびをさらに備える、態様4に記載のマルチウェル培養プレート。
【0082】
6. 前記頂点が丸い角部を有する、態様1~5に記載のマルチウェル培養プレート。
【0083】
7. 長方形のキャップであって、その外周にリップを有し、前記マルチウェル培養プレートの上又は下に嵌るような形状である長方形のキャップをさらに備える、態様1に記載のマルチウェル培養プレート。
【0084】
8. 長方形のキャップであって、その外周にリップを有し、前記マルチウェル培養プレートの上又は下に嵌るような形状である長方形のキャップをさらに備え、前記キャップに複数の磁石が取り付けられており、したがって前記キャップが前記マルチウェル培養プレートの上又は下で定位置にあるとき、前記ウェルのそれぞれの上に前記磁石を保持する、態様1に記載のマルチウェル培養プレート。
【0085】
9. 長方形のキャップであって、その外周にリップを有し、前記マルチウェル培養プレートの上又は下に嵌るような形状である長方形のキャップをさらに備え、前記キャップに複数の磁石が取り付けられており、したがって前記キャップが前記マルチウェル培養プレートの上又は下で定位置にあるとき、前記ウェルのそれぞれの上に前記磁石を保持し、隣接する磁石がそれぞれ、反対の極性である、態様1に記載のマルチウェル培養プレート。
【0086】
10. 前記磁石がそれぞれ、前記頂点のそれぞれの上に位置する、態様8~9に記載のマルチウェル培養プレート。
【0087】
11. 前記磁石がそれぞれ、各ウェルの中心の上に位置する、態様8~9に記載のマルチウェル培養プレート。
【0088】
12. 6個のウェルを有する、態様1~11に記載のマルチウェル培養プレート。
【0089】
13. 24個のウェルを有する、態様1~11に記載のマルチウェル培養プレート。
【0090】
14. 96個のウェルを有する、態様1~11に記載のマルチウェル培養プレート。
【0091】
15. 384個のウェルを有する、態様1~11に記載のマルチウェル培養プレート。
【0092】
16. 1536個のウェルを有する、態様1~11に記載のマルチウェル培養プレート。
【0093】
17. 3072個のウェルを有する、態様1~11に記載のマルチウェル培養プレート。
【0094】
18. 6144個のウェルを有する、態様1~11に記載のマルチウェル培養プレート。
【0095】
19. 細胞培養物を撮像する方法であって、態様1に記載のマルチウェル培養プレートの一つ以上のウェル内の培地内で一つ以上の細胞型を培養することと、前記頂点に細胞が集まるように前記マルチウェル培養プレートを傾斜させることと、場合により、前記プレートを振動させることと、前記頂点にすべての細胞が集まるときに前記傾斜を解除することと、前記平坦な基部を通して前記細胞を撮像することとを含む方法。
【0096】
20. 細胞培養物を撮像する方法であって、態様3に記載のマルチウェル培養プレートの一つ以上のウェル内の培地内で一つ以上の細胞型を培養することと、前記マルチウェル培養プレートの下に前記くさびを嵌めることと、場合により、前記プレートを振動させることと、前記頂点にすべての細胞が集まるときに前記くさびを除去することと、前記平坦な基部を通して前記細胞を撮像することとを含む方法。
【0097】
21. 前記振動ステップが実行される、態様19又は20に記載の方法。
【0098】
22. 長辺及び短辺を有する長方形のプレートを備え、前記プレートが、複数のウェルを有し、前記複数のウェルがそれぞれ、上面から見てV字形の断面を有し、前記V字形の断面が頂点を有し、前記ウェルがそれぞれ、平坦な基部を有する、マルチウェル培養プレート。
【0099】
23. 長辺及び短辺を有する長方形のプレートを備え、前記プレートが、複数のウェルを有し、前記複数のウェルがそれぞれ、上面から見て三角形の断面を有し、前記三角形の断面が頂点を有し、前記ウェルがそれぞれ、透明の平坦な基部を有する、マルチウェル培養プレート。
【0100】
24. 細胞培養物を撮像する方法であって、マルチウェル培養プレートの一つ以上のウェル内(各ウェルは透明の平坦な基部を有する)の培地内で一つ以上の細胞型を培養することと、前記マルチウェル培養プレートを傾斜させることと、前記マルチウェル培養プレートを振動させることと、前記傾斜させたマルチウェル培養プレートの前記一つ以上のウェルの最も低い場所にすべての細胞を集めることと、前記傾斜及び前記振動を止めることと、前記透明の平坦な基部を通して前記細胞を撮像することとを含む方法。
【0101】
25. 前記一つ以上のウェルが、少なくとも一つの頂点を有する三角形又は正方形又はV字形の断面を有し、前記傾斜が、前記頂点に細胞が集まることを可能にする、態様24に記載の方法。
【0102】
26. 前記頂点が丸い角部を有する、態様25に記載の方法。
【0103】
27. 長辺及び短辺を有する長方形のプレートを備え、前記プレートが、複数のウェルを有し、前記複数のウェルがそれぞれ、前記ウェルの基部にV字形の断面を有し、前記V字形の断面が、頂点並びに第1の脚部及び第2の脚部を有し、単一の列内の各ウェルの前記第1の脚部が、前記プレートの頂面付近に連結され、したがって前記列内のすべてのウェルを連結するチャネルを形成し、各基部が平坦な透明基部である、マルチウェル培養プレート。
【0104】
28. 前記チャネルがそれぞれ、同じ端部チャネルに連結し、前記マルチウェル培養プレートのすべての列内のすべての細胞が集まることを可能にする、態様27に記載のマルチウェル培養プレート。
【0105】
29. 細胞培養物を撮像する方法であって、態様28に記載のマルチウェル培養プレートの一つ以上のウェル内の培地内で一つ以上の細胞型を培養することと、前記マルチウェル培養プレートを傾斜させることと、前記マルチウェル培養プレートを振動させることと、前記傾斜させたマルチウェル培養プレート内の各ウェルの前記頂点にすべての細胞を集めることと、前記傾斜及び前記振動を止めることと、前記透明の平坦な基部を通して前記細胞を撮像することとを含む方法。
【0106】
30. 前記頂点の反対の端部への前記傾斜が、1列のウェルからの細胞がともに集まることを可能にする、態様29に記載の方法。
【0107】
上記の説明は例示のみを目的としており、添付の特許請求の範囲に定義される本発明を不必要に限定することを意図したものではない。
【0108】
以下は、あらゆる目的で全体として参照により本明細書に組み込まれている。
【0109】
ANSI SLAS 1-2004 (R2012): Footprint Dimensions
【0110】
ANSI SLAS 2-2004 (R2012): Height Dimensions
【0111】
ANSI SLAS 3-2004 (R2012): Bottom Outside Flange Dimensions
【0112】
ANSI SLAS 4-2004 (R2012): Well Positions
【0113】
ANSI SLAS 4-2012: Well Bottom Elevation
【0114】
2010年8月10日出願のWO2013019212、米国特許出願公開第20140220672号、及び米国特許出願第61/372,164号
【0115】
2009年9月25日出願の米国特許出願公開第20120171744号、米国特許第8,883,471号、米国特許出願公開第20150104844号、及び米国特許出願第61/245,846号、「Materials for magnetizing cells and magnetic manipulation」
【0116】
米国特許出願公開第20150091233号、「PHONE CAMERA AND SAMPLE STAND」
【0117】
2008年9月25日出願の米国特許出願公開第20110286975号、米国特許第8,815,231号、米国特許出願公開第20140322784号、及び米国特許出願第61/099,966号、「Systems and methods for magnetic guidance and patterning of materials」
【0118】
米国特許第5,225,164号、「Microplate laboratory tray with rectilinear wells」
【0119】
米国特許第5,002,582号、「Preparation of polymeric surfaces via covalently attaching polymers」
【0120】
米国特許第5,457,527号、「Microplate forming wells with transparent bottom walls for assays using light measurements」
【0121】
米国特許第6,503,456号、「Microplate with transparent base」
【0122】
米国特許第6,340,589号、「Thin-well microplate and methods of making same」
【0123】
米国特許出願公開第20050170498号、「Multiwell plate and method for making multiwell plate using a low cytotoxicity photocurable adhesive」
【0124】
米国特許第8,512,652号、「Multiwell microplate with transparent bottom having a thickness less than 200 micrometers」
【0125】
米国特許第7,599,055号、「Swept wavelength imaging optical interrogation system and method for using same」
【0126】
米国特許第7,265,829号、「Reflective optic system for imaging microplate readers」
【0127】
米国特許出願公開第20110286102号、「Optical Adaptor」
【0128】
米国特許第6,130,745号、「Optical autofocus for use with microtiter plates」
【0129】
米国特許第8,636,965号、「Microtitration plate」
【0130】
米国特許第9,168,532号、「Microwell plate」
【0131】
カストロ-チャベス、エフ(Castro-Chavez, F.)ら、「Effect of lyso-phosphatidylcholine and Schnurri-3 on osteogenic transdifferentiation of vascular smooth muscle cells to calcifying vascular cells in 3D culture」、Biochim. Biophys. Acta 1830、3828-34(2013)。
【0132】
デサイ、ピー、ケー(Desai P.K.)ら、「Assembly of Hepatocyte Spheroids Using Magnetic 3D Cell Culture for CYP450 Inhibition/Induction」、Int J Mol Sci、In Press、2017。
【0133】
フェレイラ、ジェイ、エヌ(Ferreira J.N.)ら、「Three-dimensional Bioprinting Nanotechnologies Towards Clinical Application of Stem Cells and their Secretome in Salivary Gland Regeneration」、Stem Cells Int、7564689(2016)。
【0134】
ヘイスラー、ダブル、エル(Haisler W.L.)ら、「Three-dimensional cell culturing by magnetic levitation」、Nat Protoc、8:1940-9(2013)。
【0135】
スーザ、ジー、アール(Souza G.R.)ら、「Magnetically bioprinted human myometrial 3D cell rings as a model for uterine contractility」、Int J Mol Sci、In Press(2017)。
【0136】
スーザ、ジー、アール(Souza G.R.)ら、「Three-dimensional tissue culture based on magnetic cell levitation」、Nat. Nanotechnol. 5、291-6 (2010)。
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ティム、ディー、エム(Timm, D.M.)ら、「A high-throughput three-dimensional cell migration assay for toxicity screening with mobile device-based macroscopic image analysis」、Sci. Rep. 3、3000(2013)。
【0138】
ツェン、エイチ(Tseng H.)ら、「A high-throughput in vitro ring assay for vasoactivity using magnetic 3D」、Sci Rep、6:30640、2016。
【0139】
ツェン、エイチ(Tseng H.)ら、「A spheroid toxicity assay using magnetic 3D bioprinting and real-time mobile device-based imaging」、Sci Rep、5:13987、2015。
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ツェン、エイチ(Tseng H.)ら、「Assembly of a three-dimensional multitype bronchiole coculture model using magnetic levitation」. Tissue Eng. Part C. Methods 19、665-75(2013)。
【0141】
ツェン、エイチ(Tseng H.)ら、「A three-dimensional co-culture model of the aortic valve using magnetic levitation」、Acta Biomater. 10、173-82(2014)。
本発明は、以下の実施形態を包含する。
(実施形態1)
i)第1及び第2の長辺並びに第1及び第2の短辺を有する長方形のプレートを備え、
ii)前記プレートが、複数のウェルを有し、
iii)前記複数のウェルがそれぞれ、上面から見て少なくとも一つの頂点を有する円形でない断面を有し、
iv)前記ウェルがそれぞれ、いかなる障害物もない平坦な透明基部を有し、したがって前記ウェルの内容物全体を前記基部の下から撮像することができる、
マルチウェル培養プレート。
(実施形態2)
i)第1及び第2の長辺並びに第1及び第2の短辺を有する長方形のプレートを備え、
ii)前記プレートが、複数のウェルを有し、
iii)前記複数のウェルがそれぞれ、上面から見てV字形の断面を有し、前記V字形の断面が頂点を有し、
iv)前記ウェルがそれぞれ、平坦な透明基部を有する、
マルチウェル培養プレート。
(実施形態3)
i)第1及び第2の長辺並びに第1及び第2の短辺を有する長方形のプレートを備え、
ii)前記プレートが、複数のウェルを有し、
iii)前記複数のウェルがそれぞれ、上面から見て三角形の断面を有し、前記三角形の断面が頂点を有し、
iv)前記ウェルがそれぞれ、平坦な透明基部を有する、
マルチウェル培養プレート。
(実施形態4)
前記頂点が、前記第1の長辺又は前記第1の短辺の方に向けられている、実施形態1、2、又は3に記載のマルチウェル培養プレート。
(実施形態5)
前記長方形の細胞培養容器の下に嵌り、したがって前記第2の長辺又は前記第2の短辺を15~45°持ち上げる長方形のくさびをさらに備える、実施形態1、2、又は3に記載のマルチウェル培養プレート。
(実施形態6)
前記頂点が丸い角部を有する、実施形態1、2、又は3に記載のマルチウェル培養プレート。
(実施形態7)
長方形のキャップであって、その外周にリップを有し、前記マルチウェル培養プレートの上又は下に嵌るような形状である長方形のキャップをさらに備える、実施形態1、2、又は3に記載のマルチウェル培養プレート。
(実施形態8)
長方形のキャップであって、その外周にリップを有し、前記マルチウェル培養プレートの上又は下に嵌るような形状である長方形のキャップをさらに備え、前記キャップに複数の磁石が取り付けられており、したがって前記キャップが前記マルチウェル培養プレートの上又は下で定位置にあるとき、前記ウェルのそれぞれの上に前記磁石を保持する、実施形態1、2、又は3に記載のマルチウェル培養プレート。
(実施形態9)
長方形のキャップであって、その外周にリップを有し、前記マルチウェル培養プレートの上又は下に嵌るような形状である長方形のキャップをさらに備え、前記キャップに複数の磁石が取り付けられており、したがって前記キャップが前記マルチウェル培養プレートの上又は下で定位置にあるとき、前記ウェルのそれぞれの上に前記磁石を保持し、隣接する磁石がそれぞれ、反対の極性である、実施形態1、2、又は3に記載のマルチウェル培養プレート。
(実施形態10)
前記磁石がそれぞれ、前記頂点のそれぞれの上に位置する、実施形態9に記載のマルチウェル培養プレート。
(実施形態11)
前記磁石がそれぞれ、各ウェルの中心の上に位置する、実施形態9に記載のマルチウェル培養プレート。
(実施形態12)
6個、24個、96個、384個、1536個、3072個、又は6144個のウェルを有する、実施形態1、2、又は3に記載のマルチウェル培養プレート。
(実施形態13)
細胞培養物を撮像する方法であって、
a)実施形態1、2、又は3に記載のマルチウェル培養プレートの一つ以上のウェル内の培地内で一つ以上の細胞型を培養することと、
b)前記頂点に細胞が集まるように前記マルチウェル培養プレートを傾斜させることと、 c)場合により、前記プレートを振動させることと、
d)前記頂点にすべての細胞が集まるときに前記傾斜を解除することと、
e)前記平坦な透明基部を通して前記細胞を撮像することとを含む方法。
(実施形態14)
細胞培養物を撮像する方法であって、
a)実施形態1、2、又は3に記載のマルチウェル培養プレートの一つ以上のウェル内の培地内で一つ以上の細胞型を培養することと、
b)前記マルチウェル培養プレートの下にくさびを嵌めることと、
c)場合により、前記プレートを振動させることと、
d)前記頂点にすべての細胞が集まるときに前記くさびを除去することと、
e)前記平坦な透明基部を通して前記細胞を撮像することとを含む方法。
(実施形態15)
細胞培養物を撮像する方法であって、
a)培養プレートの一つ以上のウェル内(各ウェルは透明の平坦な基部を有する)の培地内で一つ以上の細胞型を培養することと、
b)前記培養プレートを傾斜させることと、
c)前記培養プレートを振動させることと、
d)前記傾斜させた培養プレートの前記一つ以上のウェルの最も低い場所にすべての細胞を集めることと、
e)前記傾斜及び前記振動を止めることと、
f)前記透明の平坦な基部を通して前記細胞を撮像することとを含む方法。
(実施形態16)
前記一つ以上のウェルが、少なくとも一つの頂点を有する三角形又は正方形又はV字形の断面を有し、前記傾斜が、前記頂点に細胞が集まることを可能にする、実施形態15に記載の方法。
(実施形態17)
前記頂点が丸い角部を有する、実施形態16に記載の方法。
(実施形態18)
前記培養プレートが、一つ以上のウェルを有し、各ウェルが、前記ウェルの壁より短い一つ以上のジグザグ形の細胞選別壁を有し、各ジグザグ形の細胞選別壁が、複数の頂点を有し、前記傾斜が、前記複数の頂点に細胞が集まることを可能にする、実施形態16に記載の方法。
(実施形態19)
前記複数の頂点が丸い角部を有する、実施形態18に記載の方法。
(実施形態20)
i)長辺及び短辺を有する長方形のプレートを備え、
ii)前記プレートが、複数のウェルを有し、
iii)前記複数のウェルがそれぞれ、前記ウェルの基部にV字形の断面を有し、前記V字形の断面が、頂点並びに第1の脚部及び第2の脚部を有し、
iv)単一の列内の各ウェルの前記第1の脚部が、前記プレートの頂面付近に連結され、したがって前記列内のすべてのウェルを連結するチャネルを形成し、
v)各基部が平坦な透明基部である、
マルチウェル培養プレート。
(実施形態21)
前記チャネルがそれぞれ、同じ端部チャネルに連結し、前記マルチウェル培養プレートのすべての列内のすべての細胞が集まることを可能にする、実施形態20に記載のマルチウェル培養プレート。
(実施形態22)
細胞培養物を撮像する方法であって、
a)実施形態20に記載のマルチウェル培養プレートの一つ以上のウェル内の培地内で一つ以上の細胞型を培養することと、
b)前記マルチウェル培養プレートを傾斜させることと、
c)前記マルチウェル培養プレートを振動させることと、
d)前記傾斜させたマルチウェル培養プレート内の各ウェルの前記頂点にすべての細胞を集めることと、
e)前記傾斜及び前記振動を止めることと、
f)前記透明の平坦な基部を通して前記細胞を撮像することとを含む方法。
(実施形態23)
前記頂点の反対の端部への前記傾斜が、1列のウェルからの細胞がともに集まることを可能にする、実施形態22に記載の方法。
(実施形態24)
i)高さHの壁及び平坦な透明基部を有する一つ以上の大きいウェルを備え、
ii)前記大きいウェルがそれぞれ、複数の頂点を有する複数の選別壁を有し、前記選別壁の高さがHより小さい、
培養プレート。
(実施形態25)
前記選別壁がジグザグ形の選別壁である、実施形態24に記載の培養プレート。
(実施形態26)
前記培養プレートが、単一の長方形のウェルを有し、前記複数のジグザグ形の選別壁が、互いに平行に配置され、前記長方形のウェルの一方の側から前記長方形のウェルの他方の側へ横断する、実施形態24に記載の培養プレート。
(実施形態27)
前記培養プレートが、単一の円形のウェルを有し、前記複数のジグザグ形の選別壁が、互いに平行に配置され、前記円形のウェルの一方の側から前記長方形のウェルの他方の側へ横断する、実施形態24に記載の培養プレート。
(実施形態28)
前記培養プレートが、単一の円形のウェルを有し、前記複数のジグザグ形の選別壁が、前記円形のウェルの中心を中心として互いに同心円に配置される、実施形態24に記載の培養プレート。
(実施形態29)
前記培養プレートが、単一の円形のウェルを有し、前記複数のジグザグ形の選別壁が、前記円形のウェルの中心から放射状に配置される、実施形態24に記載の培養プレート。
(実施形態30)
細胞培養物を撮像する方法であって、
a)実施形態25に記載の培養プレート内の培地内に一つ以上の細胞型を培養することと、
b)前記培養プレートを傾斜又は回転させることと、
c)前記培養プレートを振動させることと、
d)前記複数の頂点に細胞を集めることと、
e)前記傾斜又は回転及び前記振動を一定期間にわたって止めることと、
f)前記透明の平坦な基部を通して前記細胞を撮像することとを含む方法。
(実施形態31)
a)実施形態1、2、又は3に記載のマルチウェル培養プレートと、
b)長方形のキャップであって、その外周にリップを有し、前記プレートの上又は下に嵌るような形状である長方形のキャップと、
c)前記プレートを傾斜させる手段と
を備えるマルチウェル培養プレートシステム。
(実施形態32)
a)実施形態20に記載のマルチウェル培養プレートと、
b)長方形のキャップであって、その外周にリップを有し、前記プレートの上又は下に嵌るような形状である長方形のキャップと、
c)前記プレートを傾斜させる手段と
を備えるマルチウェル培養プレートシステム。
(実施形態33)
前記マルチウェル培養プレートが、実施形態31に記載のマルチウェル培養プレートシステムのマルチウェル培養プレートである、実施形態13に記載の方法。
(実施形態34)
前記マルチウェル培養プレートが、実施形態22に記載のマルチウェル培養プレートシステムのマルチウェル培養プレートであり、前記くさびが、実施形態31に記載の前記マルチウェル培養プレートを傾斜させる前記手段である、実施形態14に記載の方法。
(実施形態35)
前記マルチウェル培養プレートが、実施形態31に記載のマルチウェル培養プレートシステムのマルチウェル培養プレートである、実施形態15に記載の方法。
(実施形態36)
a)実施形態24に記載の培養プレートと、
b)キャップであって、その外周にリップを有し、前記培養プレートの上又は下に嵌るような形状であるキャップと、
c)前記プレートを傾斜させる手段又は前記プレートを回転させる手段と
を備える培養プレートシステム。