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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-01-16
(45)【発行日】2023-01-24
(54)【発明の名称】液体から重金属を除去する方法
(51)【国際特許分類】
   C02F 1/28 20230101AFI20230117BHJP
   B01J 20/20 20060101ALI20230117BHJP
【FI】
C02F1/28 B
C02F1/28 C
C02F1/28 J
C02F1/28 P
C02F1/28 D
B01J20/20 D
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2020547329
(86)(22)【出願日】2018-09-28
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-07-29
(86)【国際出願番号】 EP2018076407
(87)【国際公開番号】W WO2019063765
(87)【国際公開日】2019-04-04
【審査請求日】2021-08-17
(31)【優先権主張番号】100464
(32)【優先日】2017-09-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】LU
(73)【特許権者】
【識別番号】514114493
【氏名又は名称】セペペウ カーボン プロセス アンド プラント エンジニアリング エス アー
【氏名又は名称原語表記】CPPE CARBON PROCESS & PLANT ENGINEERING S.A.
(74)【代理人】
【識別番号】100110319
【弁理士】
【氏名又は名称】根本 恵司
(74)【代理人】
【識別番号】100099472
【弁理士】
【氏名又は名称】杉山 猛
(74)【代理人】
【識別番号】100150773
【弁理士】
【氏名又は名称】加治 信貴
(72)【発明者】
【氏名】ストリックロス、アラン
【審査官】河野 隆一朗
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2017/174365(WO,A1)
【文献】特開2013-126661(JP,A)
【文献】米国特許第07722843(US,B1)
【文献】米国特許第08727007(US,B1)
【文献】特開平11-090230(JP,A)
【文献】特表2010-520046(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C02F 1/28
C02F 1/62 - 1/64
B01J 20/20
B01J 21/00 - 38/74
B01D 53/34 - 53/85
B01D 53/92
B01D 53/96
B01J 8/00 - 8/46
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
重金属を含む液体から重金属を除去する方法であって、
塩酸を液体に添加し、固定床吸着器内で、硫黄を含浸させた30%vol.と60%vol.の間の活性炭触媒、鉄を含浸させた30%vol.と60%vol.の間の活性炭触媒、及び、5%vol.と40%vol.の間のプラスチック、アルミナ、又は、セラミック材料、又は、それらの混合物からなるフィラー材料を含む混合物に液体と塩酸を接触させ、液体を混合物に接触させた状態で、重金属の量が低下した液体を得るために重金属を混合物に吸着させ、重金属の量が低下した液体を混合物から排出する方法。
【請求項2】
請求項1に記載された方法において、
塩酸が、溶液として添加される方法。
【請求項3】
請求項2に記載された方法において、
溶液中の塩酸の濃度が、5%と38% w/wの間である方法。
【請求項4】
請求項2に記載された方法において、
液体中の塩酸の濃度が、1と10% w/wの間である方法。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか1つに記載された方法において、
液体が、リン酸を含む方法。
【請求項6】
請求項5に記載された方法において、
液体中のリン酸の濃度が、20%と55% w/wの間である方法。
【請求項7】
請求項5又は6に記載された方法において、
液体中の塩酸の濃度が、液体中のリン酸の1/40と1/20の間である方法。
【請求項8】
請求項1から7のいずれか1つに記載された方法において、
液体が、少なくとも40mg/lの重金属を含む方法。
【請求項9】
請求項1から8のいずれか1つに記載された方法において、
混合物が、硫黄を含浸させた40%vol.と50%vol.の間の活性炭触媒を含む
方法。
【請求項10】
請求項1から9のいずれか1つに記載された方法において、
硫黄を含浸させた活性炭触媒が、5%重量と20%重量の間の硫黄を含む方法。
【請求項11】
請求項1から10のいずれか1つに記載された方法において、
混合物が、鉄を含浸させた40%vol.と50%vol.の間の活性炭触媒を含む方法。
【請求項12】
請求項1から11のいずれか1つに記載された方法において、
鉄を含浸させた活性炭触媒が、10%重量と30%重量の間の鉄を含む方法。
【請求項13】
請求項1から12のいずれか1つに記載された方法において、
フィラー材料が、50%vol.と97%vol.の空隙率を含む方法。
【請求項14】
請求項1から13のいずれか1つに記載された方法において、
フィラー材料が、5から15%vol.までの量で存在する方法。
【請求項15】
請求項1から14のいずれか1つに記載された方法において、
フィラー材料が、サドル形状、リング形状、球形状、円環形状、又は、プリズム形状の中から選択された形状である方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概して液体からの重金属の除去に関し、特に、固定床反応器(fixed bed reactor)における液体から重金属を除去する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
活性炭触媒は、気体及び液体からの重金属の除去を含む様々な用途に広く用いられている。しかしながら、活性体触媒の性能をさらに向上できることが分かった。
【0003】
米国特許第7,722,843号は、燃焼排ガスから酸性ガスを除去するために水性液体(aqueous liquid)を用いる燃焼排気スクラバーシステムを含む燃焼排ガス浄化機構(scheme)において燃焼排ガス流から水銀を除去する方法を開示している。この方法は、粉末水銀吸着剤を提供すること、スクラバーシステムの水性液体に粉末水銀吸着剤を導入すること、及び、水銀吸着剤を水性液体に導入した後、水銀吸着剤の少なくとも一部を水性液体から分離することを含む。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、改良された活性を有する活性炭触媒組成物(composition)、並びに、液体から重金属を除去するためのより効率的な方法を提供することである。
【0005】
この目的は、請求項1に記載された重金属を含む液体から重金属を除去する方法によって達成される。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の目的は、塩酸を液体に添加し、硫黄を含浸させた30%vol.と60%vol.の間の活性炭触媒、鉄を含浸させた30%vol.と60%vol.の間の活性炭触媒、及び、5%vol.と40%vol.の間のフィラー材料(filler material)を含み、これら3つの成分の合計が100%vol.である混合物(mixture)に液体と塩酸を接触させ、液体を混合物に接触させた状態で、重金属の量(level)が低下(depleted)した液体を得るために重金属を混合物に吸着させ、重金属の量が低下した液体を混合物から排出する、重金属を含む液体から重金属を除去する方法によって達成される。
【0007】
驚くべきことに、硫黄を含浸させた活性炭触媒と鉄を含浸させた活性炭触媒とフィラー材料との混合物を使用すると、液体から重金属を除去する方法がより効率的であることが分かった。また、5と40%vol.の間のフィラー材料を使用すると、触媒活性がより容易に再生されることも分かった。この実証例として、コンビソーボン(Kombisorbon)(登録商標)ユニット(活性炭触媒のみを使用(即ち、フィラー材料なし))は、工業用地において定期的(1年に2-4回)に再生される。活性炭だけの場合と比較して、活性炭(80%)/フィラー材料(20%)の混合物を有する反応器床(reactor bed)の場合には、この再生期間後の乾燥時間は、40%以上(48時間の代わりに28時間)短縮される。
【0008】
驚くべきことに、硫黄を含浸させた30%vol.と60%vol.の間の活性炭触媒、鉄を含浸させた30%vol.と60%vol.の間の活性炭触媒、及び、5%vol.と40%vol.の間のフィラー材料を含む混合物に接触させる前に、塩酸を液体に添加すると、液体からの重金属の除去がさらに効率的であることが分かった。
【0009】
塩酸は、好ましくは水溶液の形態で添加される。この溶液中の塩酸の濃度は、好ましくは5%と38% w/wの間である。
【0010】
好ましくは、15ml/lから60ml/lの間の塩酸溶液を添加する。
【0011】
液体中の塩酸の濃度は、好ましくは1と10% w/wの間である。
【0012】
液体は、好ましくは水性液体である。
【0013】
液体は、好ましくはリン酸を含む。液体中のリン酸の濃度は、好ましくは10w%と90w%の間であり、より好ましくは20%と55% w/wの間である。液体中の塩酸の濃度は、好ましくは液体中のリン酸の1/40と1/20の間である。
【0014】
概して、リン酸溶液の通常の初期濃度が10w%と90w%の間であるのに対し、リン酸溶液の最終濃度(塩酸溶液の添加後)は、塩酸溶液の添加量に応じて、9w%と85w%の間である。
【0015】
この方法は、肥料の製造中に得られるリン酸から重金属を除去するのに特によく適していることが分かった。実際、リン鉱石(PR)は、市場に出回るほとんどの市販のリン酸肥料の製造の原料として使用されている。弱リン酸(40-55%)は、湿式法を用いて、PRと硫酸の反応から製造される。得られたリン酸は、その後、一連の液体又は固体肥料の製造に使用される。PRと硫酸の反応中に、PRに含まれる重金属は、溶解してリン酸に入る。
【0016】
また、セメント産業、石油精製、化学品製造、金属表面処理、プリント回路製造、オイル及びガス抽出、及び、有害廃棄物に由来する産業廃水から重金属を除去するために使用することができる。
【0017】
重金属との用語は、比較的高い密度を有し、低濃度で有毒又は有害な金属の化学元素を意味する。重金属の例には、水銀(Hg)、カドミウム(Cd)、ヒ素(As)、クロム(Cr)、タリウム(Tl)、及び、鉛(Pb)が含まれる。有毒な重金属は、特に環境状況において、その潜在的な毒性について言及されている比較的密度が高い金属又は半金属である。この用語は、世界保健機関の主要な社会的関心のある10の化学物質のリストに全て示されているカドミウム、水銀、鉛、及び、ヒ素に特に適用される。他の例として、マンガン(Mn)、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)、銅(Cu)、亜鉛(Zn)、セレン(Se)、銀(Ag)、及び、アンチモン(Sb)が含まれる。
【0018】
種々の実施形態によれば、混合物は、少なくとも30%vol.、31%vol.、32%vol.、33%vol.、34%vol.、35%vol.、36%vol.、37%vol.、38%vol.、39%vol.、40%vol.、41%vol.、42%vol.、43%vol.、44%vol.、45%vol.、46%vol.、47%vol.、48%vol.、49%vol.、50%vol.、51%vol.、52%vol.、53%vol.、54%vol.、55%vol.、56%vol.、57%vol.、58%vol.、又は、59%vol.の、硫黄を含浸させた活性炭触媒を含む。
【0019】
種々の実施形態によれば、混合物は、多くとも60%vol.、59%vol.、58%vol.、57%vol.、56%vol.、55%vol.、54%vol.、53%vol.、52%vol.、51%vol.、50%vol.、49%vol.、48%vol.、47%vol.、46%vol.、45%vol.、44%vol.、43%vol.、42%vol.、41%vol.、40%vol.、39%vol.、38%vol.、37%vol.、36%vol.、35%vol.、34%vol.、33%vol.、32%vol.、又は、31%vol.の、硫黄を含浸させた活性炭触媒を含む。
【0020】
好ましい実施形態では、混合物は、硫黄を含浸させた40%vol.と50%vol.の間の活性炭触媒を含む。
【0021】
好ましくは、硫黄を含浸させた活性炭触媒は、5%重量と20%重量の間の硫黄を含む。
【0022】
種々の実施形態によれば、混合物は、少なくとも30%vol.、31%vol.、32%vol.、33%vol.、34%vol.、35%vol.、36%vol.、37%vol.、38%vol.、39%vol.、40%vol.、41%vol.、42%vol.、43%vol.、44%vol.、45%vol.、46%vol.、47%vol.、48%vol.、49%vol.、50%vol.、51%vol.、52%vol.、53%vol.、54%vol.、55%vol.、56%vol.、57%vol.、58%vol.、又は、59%vol.の、鉄を含浸させた活性炭触媒を含む。
【0023】
種々の実施形態によれば、混合物は、多くとも60%vol.、59%vol.、58%vol.、57%vol.、56%vol.、55%vol.、54%vol.、53%vol.、52%vol.、51%vol.、50%vol.、49%vol.、48%vol.、47%vol.、46%vol.、45%vol.、44%vol.、43%vol.、42%vol.、41%vol.、40%vol.、39%vol.、38%vol.、37%vol.、36%vol.、35%vol.、34%vol.、33%vol.、32%vol.、又は、31%vol.の、鉄を含浸させた活性炭触媒を含む。
【0024】
好ましい実施形態では、混合物は、鉄を含浸させた40%vol.と50%vol.の間の活性炭触媒を含む。
【0025】
好ましくは、鉄を含浸させた活性炭触媒は、10%重量と30%重量の間の鉄を含む。
【0026】
活性炭触媒は、好ましくは押し出し成形されて、0.80-130mmの粒径(grain size)を有する。活性炭触媒は、好ましくは造粒されて、0.30から4.75mmの粒径を有する。従って、活性炭触媒は、粉末状ではない。
【0027】
一実施形態では、活性炭触媒は、好ましくは造粒及び押し出し成形された触媒の混合物である。
【0028】
炭素触媒は、褐炭及び瀝青炭、果実の核(pits)、ココナッツの殻、亜炭、泥炭、木材、おが屑/鋸屑、石油コークス、骨屑及び製紙工場の廃棄物(リグニン)、PVCのような合成高分子、レーヨン、ビスコース、ポリアクリロニトリル、又は、フェノールから製造することができる。
【0029】
炭素触媒は、
・物理的処理:熱、蒸気、酸素、CO、空気
・化学的処理:酸、強塩基(strong base)、又は、塩類(例えば、硫酸、塩酸(chlorhydric acid)又はリン酸、水酸化カリウム又は水酸化ナトリウム、塩化カルシウム又は塩化亜鉛)の含浸
・物理的及び化学的処理の組み合わせ
によって活性化される。
【0030】
活性炭触媒は、400から1800m/gまでの比表面積(specific surface area)(BET)と、酸性又はアルカリ性のpHを有することができる。
【0031】
種々の実施形態によれば、混合物は、少なくとも5%vol.、6%vol.、7%vol.、8%vol.、9%vol.、10%vol.、11%vol.、12%vol.、13%vol.、14%vol.、15%vol.、16%vol.、17%vol.、18%vol.、19%vol.、20%vol.、21%vol.、22%vol.、23%vol.、24%vol.、25%vol.、26%vol.、27%vol.、28%vol.、29%vol.、30%vol.、31%vol.、32%vol.、33%vol.、34%vol.、35%vol.、36%vol.、37%vol.、38%vol.、又は、39%vol.のフィラー材料を含む。
【0032】
種々の実施形態によれば、混合物は、多くとも40%vol.、39%vol.、38%vol.、37%vol.、36%vol.、35%vol.、34%vol.、33%vol.、32%vol.、31%vol.、30%vol.、29%vol.、28%vol.、27%vol.、26%vol.、25%vol.、24%vol.、23%vol.、22%vol.、21%vol.、20%vol.、19%vol.、18%vol.、17%vol.、16%vol.、15%vol.、14%vol.、13%vol.、12%vol.、11%vol.、10%vol.、9%vol.、8%vol.、7%vol.、又は、6%vol.のフィラー材料を含む。
【0033】
好ましい実施形態では、フィラー材料は、5から15%vol.までの量で存在する。
【0034】
好ましくは、フィラー材料は、プラスチック、金属、アルミナ、セラミック材料、又は、それらの混合物からなる。
【0035】
種々の実施形態によれば、フィラー材料は、サドル(saddle)(鞍)形状、リング形状、球形状、円環(torus)形状、プリズム形状、又は、不規則な形状の中から選択された形状である。
【0036】
特に、50-79%の空隙率(free volume)(即ち、セラミック材料によって占められていない体積)を有する、セラミック材料で作られたフィラー材料を使用することができる。
i.Novalox(登録商標)サドル(Saddle):12.7-76.2mm
ii.バールサドル(Berl saddle):4-50mm
iii.円筒状リング(Cylindrical ring):5-200mm
iv.Pall(登録商標)リング(ring):25-100mm
v.移行性の格子ライニング(Transitional grid lining)
vi.1つの棒(bar)又は1つの十字形(cross)を有する円筒状リング:80-200mm
vii.格子ブロック(Grid block):215×145×90mm
【0037】
特に、95-98%の空隙率を有する、金属で作られたフィラー材料を使用することができる。
i.円筒状リング:15-50mm
ii.Pall(登録商標)リング:15-90mm
iii.VSP(登録商標):25-50mm
iv.Top-Pak(登録商標):15mm
v.Novalox(登録商標)-M:15-70mm
vi.Twin-Pak(登録商標):10-15mm
vii.Interpak(登録商標):10-20mm
【0038】
特に、87-97%の空隙率を有する、プラスチックで作られたフィラー材料を使用することができる。
i.Novalox(登録商標)サドル:12.7-50.8mm
ii.Pall(登録商標)リング:15-90mm
iii.VSP(登録商標):25-90mm
iv.Igel(登録商標):40mm
v.Netball(登録商標):45-90mm
【0039】
従って、フィラー材料は、混合された材料のいくつかの特性を改良、向上するために活性炭触媒に添加される別個の独特な粒子から構成される。フィラー材料の粒子は、一般に、4mmを超える平均粒径(mean particle size)(粒子の平均最大寸法(個数による(by number))に基づく)を有する。通常、それらの平均粒径(粒子の平均最大寸法(個数による)に基づく)は、200mmよりも小さい。
【0040】
一実施形態では、硫黄を含浸させた活性炭触媒、鉄を含浸させた活性炭触媒、及び、フィラー材料の混合物は、活性炭触媒とフィラー材料以外の固体成分を含まない。従って、これら3つの成分の合計は、混合物の100%vol.となる。混合物は、その成分が異なる粒径と異なる密度等を有するので、異成分からなる混合物であることは言うまでもない。混合物は、好ましくは、フィラーの分離した別個の粒子と活性炭触媒の分離した別個の粒子の混合物によって構成される。これにより、活性炭触媒を交換する必要があるときに、活性炭触媒をフィラーから分離するのが容易になる。
【0041】
好ましくは、液体は、少なくとも1時間、2時間、3時間、又は、10時間、触媒の構成物(catalyst composition)と接触した状態に置かれる。好ましくは、液体は、20時間、15時間、12時間、又は、10時間未満の間、触媒の構成物と接触した状態に置かれる。
【0042】
種々の実施形態によれば、液体は、少なくとも50mg/lの重金属、好ましくは少なくとも45mg/l、より好ましくは少なくとも40mg/lの重金属を含む。
【発明を実施するための形態】
【0043】
本発明の更なる細部又は利点は、以下のいくつかの非限定的な実施形態の詳細な説明から明らかとなるであろう。
【0044】
フィラーの存在は、注入煙道ガス(inlet flue gas)からの水蒸気で、SOx(硫黄酸化物)とNOx(窒素酸化物)の反応による硫酸塩を除去して、より効率的な活性炭の洗浄を可能にした。
【0045】
フィラーの存在は、水流による再生後、より迅速な乾燥工程を可能にした。
【0046】
試験1-液体からの除去-実験室規模(Laboratory scale)-単一パス(single pass)(フィラーを使用、及び、HCl(塩酸)を使用)
【0047】
硫黄を含浸させた45%の活性炭、ウォッチ-ウォーター(Watch-Water)から供給され、鉄を含浸させた45%の活性炭、及び、10%のプラスチックフィラー材料からなる500cmの混合物が、この試験の間に使用された。
【0048】
試験の開始前に、50w%の濃度のリン酸溶液の体積の30分の1に相当する割合で、25w%の塩酸溶液を添加した。添加後、リン酸溶液の最終濃度は、48w%である。リン酸溶液中の重金属の量(level)は、著しく低下した。カドミウム及び水銀で90%除去され、ヒ素で75%除去された。初期濃度は、カドミウムで39ppm、水銀で0.1ppm、ヒ素で23ppmであった。
【0049】
フィラー材料の存在は、活性炭床(bed)の内部におけるリン酸媒体に由来するシリカによる目詰まりの減少を可能にした。
【0050】
フィラー材料の存在は、より容易にシリカを除去して、より効率的な活性炭の洗浄を可能にした。
【0051】
塩酸の存在は、重金属の除去効率を高めた。
【0052】
試験2b-比較例:液体からの除去-実験室規模-単一パス(フィラーを使用、HClなし)
【0053】
塩酸を添加しないことを除いて、同じ材料と条件を用いた。
【0054】
リン酸溶液中の重金属の量は、低下した。カドミウム及び水銀で75%除去され、ヒ素で65%除去された。
【0055】
従って、重金属を含有する液体への塩酸の添加は、重金属の除去の増大を可能にした。カドミウム及び水銀で90%除去(75%除去に代えて)され、ヒ素で75%除去(65%除去に代えて)された。
【0056】
試験2c-比較例-液体からの除去-実験室規模-単一パス(含浸した触媒、フィラーなし、HClなし)
【0057】
ジャコビカーボンズ(Jacobi Carbons)から供給され、硫黄を含浸させた100%の活性炭の500cmが、この試験の間に使用された。
【0058】
リン酸溶液中の重金属の量(As:23ppm、Hg:0.1ppm、及び、Cd:39ppm)は、低下した。カドミウムと水銀で20%の除去率のみ、ヒ素で35%の除去率のみが達成された。
【0059】
試験2d-比較例-液体からの除去-実験室規模-単一パス(含浸した触媒、フィラーなし、HClなし)
【0060】
ウォッチ-ウォーターから供給され、鉄を含浸させた100%の活性炭触媒の500cmが、この試験の間に使用された。
【0061】
リン酸溶液中の重金属の量(As:23ppm、Hg:0.1ppm、及び、Cd:39ppm)は、低下した。カドミウムと水銀で50%の除去率のみ、ヒ素で15%の除去率のみが達成された。
【0062】
試験2e-液体からの除去-実験室規模-単一パス(フィラーなし、HClなし)
【0063】
カドミウム39ppm、水銀0.1ppm、及び、ヒ素23ppmの初期濃度を有する500cmの水性のリン酸溶液、ジャコビカーボンズから供給され、硫黄を含浸させた30%の活性炭触媒、ウォッチ-ウォーターから供給され、鉄を含浸させた30%の活性炭、40%のプラスチックフィラー材料が、この試験の間に使用された。
【0064】
リン酸溶液中の重金属の量は、かなり低下した。カドミウムと水銀で20%の除去率、ヒ素で35%の除去率であった。
【0065】
説明した実験は、50w%のリン酸の溶液を用いて行った。
【0066】
上記試験で使用した活性炭は、(Br、Cu、Fe、S、OH...のような)含浸を伴う大きな触媒比表面積(BET 少なくとも700m/g)を有する。
【0067】
活性炭は、異なる形状(円筒、球、「サドル体」、...)と異なる材料(プラスチック、アルミナ、セラミック、...)の様々なタイプのフィラー材料と、様々な比率(1/5;1/3;1/10;...)で混合された。ジャコビ(Jacobi)、キャボットカーボン(Cabot Carbon)、ケムバイロン(Chemviron)、デソテック(Desotec)、カーボテック(Carbotech)、及び、エイテック(ATEC)のような企業向けの活性炭触媒の異なる供給者(suppliers)が試験された。
【0068】
上記のように、活性炭触媒をフィラー材料と混合したときに、水溶液からの重金属の除去が著しく増大することが分かった。
【0069】
上記のように、活性炭触媒をフィラー材料と混合し、かつ、触媒とフィラー材料の混合物と接触させる前に塩酸を液体に添加したときに、水溶液からの重金属の除去がより一層増大することが更に分かった。
【0070】
活性炭触媒は、
a.ヨウ素、臭素、又は、それらの化合物
b.撥水剤(water repellent)
c.白金、パラジウム、ロジウム等のような触媒活性金属、又は、
d.白金、パラジウム、ロジウム等のような金属をベースとする有機/触媒活性金属錯体(organic/ catalytically active metal complexes)
を含まないことに留意しなければならない。
【0071】
活性炭触媒は、ポリテトラフルオロエチレン、ポリイソブチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン、又は、ポリトリクロルフルオロエチレン(polytrichlorfluorethylen)のような疎水性の高分子化合物によって疎水化されていない。
【0072】
本発明は、その特定の好ましい態様(versions)を参照して、かなり詳細に説明したが、他の態様も可能である。従って、添付する請求項(claims)の趣旨及び範囲は、ここに含まれる好ましい態様の説明に限定されるべきではない。
【0073】
この明細書(添付の請求項、要約、及び、図面を含む)に開示された全ての特徴(features)は、明示的に別段の定めをした場合を除き、同一、同等、又は、類似の目的にかなう代替の特徴に置き換えてもよい。従って、明示的に別段の定めをした場合を除き、開示された各特徴は、同等又は類似の一連の包括的な特徴の一例に過ぎない。