IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 富士機械製造株式会社の特許一覧

<>
  • 特許-作業機 図1
  • 特許-作業機 図2
  • 特許-作業機 図3
  • 特許-作業機 図4
  • 特許-作業機 図5
  • 特許-作業機 図6
  • 特許-作業機 図7
  • 特許-作業機 図8
  • 特許-作業機 図9
  • 特許-作業機 図10
  • 特許-作業機 図11
  • 特許-作業機 図12
  • 特許-作業機 図13
  • 特許-作業機 図14
  • 特許-作業機 図15
  • 特許-作業機 図16
  • 特許-作業機 図17
  • 特許-作業機 図18
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-01-16
(45)【発行日】2023-01-24
(54)【発明の名称】作業機
(51)【国際特許分類】
   H05K 13/04 20060101AFI20230117BHJP
   H05K 13/08 20060101ALI20230117BHJP
【FI】
H05K13/04 C
H05K13/08 Q
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2020549894
(86)(22)【出願日】2018-10-11
(86)【国際出願番号】 JP2018037879
(87)【国際公開番号】W WO2020075256
(87)【国際公開日】2020-04-16
【審査請求日】2020-09-23
【審判番号】
【審判請求日】2021-10-28
(73)【特許権者】
【識別番号】000237271
【氏名又は名称】株式会社FUJI
(74)【代理人】
【識別番号】110000992
【氏名又は名称】弁理士法人ネクスト
(72)【発明者】
【氏名】村田 崇
【合議体】
【審判長】平田 信勝
【審判官】尾崎 和寛
【審判官】内田 博之
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-280799(JP,A)
【文献】国際公開第2016/147332(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 13/00-13/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の貫通穴を備える回路基材を水平の方向に搬送するとともに、所定の位置において固定的に保持する基材搬送保持装置と、
部品本体と、反ったり曲がったりしてはおらず前記部品本体の一面に対して直交する方向に前記一面から直線的に延び出しており、各々が同じ長さであって、かつ各々の距離が一定に保たれた複数のリード端子を有する電気部品を保持する作業ヘッドと、
前記作業ヘッドを上下方向に移動可能な移動装置と、
前記作業ヘッドにより保持された前記電気部品を、側方から光を照射した状態で撮像する撮像装置と、
前記作業ヘッドと前記移動装置との作動を制御する制御装置と
を備え、
前記制御装置が、
前記作業ヘッドを前記移動装置によって上下方向に移動させた状態で、前記撮像装置によって撮像された前記作業ヘッドにより保持された前記電気部品が有する複数のリード端子の撮像データに基づいて、前記作業ヘッドに保持された前記電気部品の左右方向に対する傾きと当該電気部品のリード端子の上下方向に対する傾きとの少なくとも一方を演算し、演算された傾きを考慮して、前記作業ヘッドにより保持された前記電気部品が有する複数のリード端子を前記基材搬送保持装置によって固定的に保持された前記回路基材が備える複数の貫通穴に挿入することで、前記電気部品の装着作業を行う作業機であって、
前記制御装置が演算した前記作業ヘッドに保持された前記電気部品の左右方向に対する傾きと当該電気部品のリード端子の上下方向に対する傾きとの少なくとも一方の傾きがある場合には、前記作業ヘッドが保持した前記傾きがあると演算された電気部品を傾きのない状態に載置し、載置した電気部品を前記作業ヘッドが再度保持して、前記制御装置が演算した前記電気部品の傾きを傾きの無い状態に修正したのちに、前記作業ヘッドが傾きのない状態で再度保持した前記電気部品の装着作業を行う作業機。
【請求項2】
前記制御装置が、
前記作業ヘッドを前記移動装置によって上下方向に移動させた状態で、前記撮像装置によって複数回、撮像された前記電気部品のリード端子の複数の撮像データに基づいて、前記作業ヘッドに保持された前記電気部品の左右方向に対する傾きと当該電気部品のリード端子の上下方向に対する傾きとの少なくとも一方を演算する請求項1に記載の作業機。
【請求項3】
前記制御装置が、
撮像データが示す前記電気部品のリード端子の数が変化したタイミングで撮像された撮像データに基づいて、前記作業ヘッドに保持された前記電気部品の左右方向に対する傾きと当該電気部品のリード端子の上下方向に対する傾きとの少なくとも一方を演算する請求項1または請求項2に記載の作業機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数のリード端子を有する電気部品の装着作業を行う作業機に関する。
【背景技術】
【0002】
作業機には、下記特許文献に記載されているように、複数のリード端子を有する電気部品の装着作業を行うものがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2008-153458号公報
【文献】特開2011-228583号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、複数のリード端子を有する電気部品の装着作業を適切に行うことを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するために、本明細書は、複数の貫通穴を備える回路基材を水平の方向に搬送するとともに、所定の位置において固定的に保持する基材搬送保持装置と、部品本体と、反ったり曲がったりしてはおらず前記部品本体の一面に対して直交する方向に前記一面から直線的に延び出しており、各々が同じ長さであって、かつ各々の距離が一定に保たれた複数のリード端子を有する電気部品を保持する作業ヘッドと、前記作業ヘッドを上下方向に移動可能な移動装置と、前記作業ヘッドにより保持された前記電気部品を、側方から光を照射した状態で撮像する撮像装置と、前記作業ヘッドと前記移動装置との作動を制御する制御装置とを備え、前記制御装置が、前記作業ヘッドを前記移動装置によって上下方向に移動させた状態で、前記撮像装置によって撮像された前記作業ヘッドにより保持された前記電気部品が有する複数のリード端子の撮像データに基づいて、前記作業ヘッドに保持された前記電気部品の左右方向に対する傾きと当該電気部品のリード端子の上下方向に対する傾きとの少なくとも一方を演算し、演算された傾きを考慮して、前記作業ヘッドにより保持された前記電気部品が有する複数のリード端子を前記基材搬送保持装置によって固定的に保持された前記回路基材が備える複数の貫通穴に挿入することで、前記電気部品の装着作業を行う作業機であって、前記制御装置が演算した前記作業ヘッドに保持された前記電気部品の左右方向に対する傾きと当該電気部品のリード端子の上下方向に対する傾きとの少なくとも一方の傾きがある場合には、前記作業ヘッドが保持した前記傾きがあると演算された電気部品を傾きのない状態に載置し、載置した電気部品を前記作業ヘッドが再度保持して、前記制御装置が演算した前記電気部品の傾きを傾きの無い状態に修正したのちに、前記作業ヘッドが傾きのない状態で再度保持した前記電気部品の装着作業を行う作業機を開示する。
【発明の効果】
【0006】
本開示によれば、作業ヘッドを上下方向に移動させた状態で、撮像装置によって撮像された電気部品のリード端子の撮像データに基づいて、作業ヘッドに保持された電気部品の傾きが演算され、演算された傾きを考慮して、電気部品の装着作業が行われる。これにより、複数のリード端子を有する電気部品の装着作業を適切に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】部品実装機を示す斜視図である。
図2】部品実装機の部品装着装置を示す斜視図である。
図3】作業ヘッドを示す概略図である。
図4】パーツカメラを示す概略図である。
図5】制御装置を示すブロック図である。
図6】トレイに載置された状態のリード部品を示す図である。
図7】コネクタ部品に装着される際のリード部品を示す概念図である。
図8】パーツカメラによる撮像時のリード部品及び、撮像による撮像データが示す画像を示す図である。
図9】コネクタ部品に装着される際のリード部品を示す概念図である。
図10】パーツカメラによる撮像時のリード部品及び、撮像による撮像データが示す画像を示す図である。
図11】パーツカメラによる撮像時のリード部品及び、撮像による撮像データが示す画像を示す図である。
図12】パーツカメラによる撮像時のリード部品及び、撮像による撮像データが示す画像を示す図である。
図13】パーツカメラによる撮像時のリード部品及び、撮像による撮像データが示す画像を示す図である。
図14】リード部品の傾斜角度の演算手法を概念的に示す図である。
図15】リード部品の傾斜角度の演算手法を概念的に示す図である。
図16】トレイに載置された状態のリード部品を示す図である。
図17】リード部品の傾きにより生じるリードのXY方向のズレ量の演算手法を概念的に示す図である。
図18】コネクタ部品に装着される際のリード部品を示す概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明を実施するための形態として、本発明の実施例を、図を参照しつつ詳しく説明する。
【0009】
(A)部品実装機の構成
図1に、部品実装機10を示す。部品実装機10は、回路基材12に対する部品の実装作業を実行するための装置である。部品実装機10は、装置本体20、基材搬送保持装置22、部品装着装置24、マークカメラ26、パーツカメラ28、部品供給装置30、ばら部品供給装置32、制御装置(図5参照)36を備えている。なお、回路基材12として、回路基板、三次元構造の基材等が挙げられ、回路基板として、プリント配線板、プリント回路板等が挙げられる。
【0010】
装置本体20は、フレーム部40と、そのフレーム部40に上架されたビーム部42とによって構成されている。基材搬送保持装置22は、フレーム部40の前後方向の中央に配設されており、搬送装置50とクランプ装置52とを有している。搬送装置50は、回路基材12を搬送する装置であり、クランプ装置52は、回路基材12を保持する装置である。これにより、基材搬送保持装置22は、回路基材12を搬送するとともに、所定の位置において、回路基材12を固定的に保持する。なお、以下の説明において、回路基材12の搬送方向をX方向と称し、その方向に直角な水平の方向をY方向と称し、鉛直方向をZ方向と称する。つまり、部品実装機10の幅方向は、X方向であり、前後方向は、Y方向である。
【0011】
部品装着装置24は、ビーム部42に配設されており、2台の作業ヘッド56,58と作業ヘッド移動装置62とを有している。作業ヘッド移動装置62は、図2に示すように、X方向移動装置63とY方向移動装置64とZ方向移動装置65とによって構成されている。X方向移動装置63及びY方向移動装置64は、それぞれ、電磁モータ(図5参照)66,68を有しており、各電磁モータ66,68の作動により、2台の作業ヘッド56,58が、一体的にフレーム部40上の任意の位置に移動する。また、Z方向移動装置65は、電磁モータ(図5参照)70,72を有しており、各電磁モータ70,72の作動により、スライダ74,76が個別に上下方向に移動する。そして、そのスライダ74,76に作業ヘッド56,58が着脱可能に装着されている。これにより、作業ヘッド56,58は、Z方向移動装置65によって、個別に上下方向に移動する。
【0012】
また、各作業ヘッド56,58は、回路基材12に部品を装着するものであり、図3に示すように、ヘッド本体80と吸着ノズル82とノズル旋回装置84とノズル回転装置86とを含む。なお、図3では、カバー(図示省略)が取り外された状態の作業ヘッド56,58が図示されている。ヘッド本体80は、スライダ74,76に着脱可能に装着される。吸着ノズル82は、ホルダ88の下端部に着脱可能に装着されており、負圧エア,正圧エア通路を介して、正負圧供給装置(図5参照)90に通じている。そして、吸着ノズル82は、負圧によって電子部品を吸着保持し、保持した電子部品を正圧によって離脱する。ホルダ88は、支持軸92において屈曲可能とされており、ノズル旋回装置84の作動により、ホルダ88が上方向に90度屈曲する。これにより、ホルダ88の下端部に装着されている吸着ノズル82は、90度旋回し、旋回位置に位置する。つまり、吸着ノズル82は、ノズル旋回装置84の作動により、非旋回位置と旋回位置との間で旋回する。もちろん、非旋回位置と旋回位置との間の角度で位置決め停止させることも可能である。また、ノズル回転装置86は、吸着ノズル82をそれの軸心周りに回転させる。
【0013】
また、マークカメラ26は、図2に示すように、下方を向いた状態でスライダ74に取り付けられており、作業ヘッド56とともに、X方向,Y方向およびZ方向に移動する。これにより、マークカメラ26は、作業ヘッド移動装置62の作動により任意の位置に移動し、フレーム部40上の任意の位置を撮像する。
【0014】
また、パーツカメラ28は、図1に示すように、フレーム部40上の基材搬送保持装置22と部品供給装置30との間に、上を向いた状態で配設されている。これにより、部品を保持する作業ヘッド56,58が、作業ヘッド移動装置62の作動によりパーツカメラ28の上方に移動することで、パーツカメラ28が、吸着ノズル82に保持された部品を撮像する。詳しくは、パーツカメラ28は、図4に示すように、撮像装置100と、レンズ102と、レーザー照明104とを備えている。撮像装置100は、撮像素子(図示省略)を有しており、受光面を上方に向けて配設されている。レンズ102は、撮像装置100の受光面側、つまり、図4での上面側に固定されており、レンズ102の上に、箱型部材105などを介して、レーザー照明104が設けられている。レーザー照明104は、4個のレーザー照射装置(図では2個のレーザー照射装置のみが記されている)106によって構成されている。4個のレーザー照射装置106は、吸着ノズル82に保持された部品を周囲から囲むように、4等配の位置に配設されている。そして、4個のレーザー照射装置106は、吸着ノズル82に保持された部品に向かって、側方の4箇所からレーザー光を照射する。これにより、吸着ノズル82に保持された部品が、撮像装置100により撮像される。
【0015】
また、部品供給装置30は、図1に示すように、フレーム部40の前後方向での一方側の端部に配設されている。部品供給装置30は、トレイ型部品供給装置110とフィーダ型部品供給装置(図5参照)112とを有している。トレイ型部品供給装置110は、トレイ(図6参照)116の上に載置された状態の部品を供給する装置である。フィーダ型部品供給装置112は、テープフィーダ、スティックフィーダ(図示省略)によって部品を供給する装置である。
【0016】
ばら部品供給装置32は、フレーム部40の前後方向での他方側の端部に配設されている。ばら部品供給装置32は、ばらばらに散在された状態の複数の部品を整列させて、整列させた状態で部品を供給する装置である。つまり、任意の姿勢の複数の部品を、所定の姿勢に整列させて、所定の姿勢の部品を供給する装置である。
【0017】
制御装置36は、図5に示すように、コントローラ120、複数の駆動回路122、画像処理装置126を備えている。複数の駆動回路122は、上記搬送装置50、クランプ装置52、電磁モータ66,68,70,72、正負圧供給装置90、トレイ型部品供給装置110、フィーダ型部品供給装置112、ばら部品供給装置32に接続されている。コントローラ120は、CPU,ROM,RAM等を備え、コンピュータを主体とするものであり、複数の駆動回路122に接続されている。これにより、基材搬送保持装置22、部品装着装置24等の作動が、コントローラ120によって制御される。また、コントローラ120は、画像処理装置126にも接続されている。画像処理装置126は、マークカメラ26およびパーツカメラ28によって得られた画像データを処理するものであり、コントローラ120は、画像データから各種情報を取得する。
【0018】
(B)部品実装機の作動
部品実装機10では、上述した構成によって、基材搬送保持装置22に保持された回路基材12に対して部品の装着作業が行われる。部品実装機10では、種々の部品の装着作業を行うことが可能であるが、リード部品150の装着作業について、以下に説明する。なお、リード部品150は、図6に示すように、ブロック状の部品本体152と、部品本体152の底面から突出する7本のリード154とから構成されている。ちなみに、7本のリード154の長さ寸法は、全て同じとされている。
【0019】
また、部品実装機10では、搬入された回路基材12に対して部品の装着作業が行われるが、部品実装機10には、コネクタ部品(図7参照)160が既に装着された回路基材12が搬入される。コネクタ部品160には、図7に示すように、7個の挿入穴162が形成されており、そられ7個の挿入穴162に、リード部品150の7本のリード154が挿入されることで、リード部品150がコネクタ部品160に装着される。
【0020】
具体的には、コネクタ部品160が装着された回路基材12が部品実装機10に搬入されると、その回路基材12が、作業位置まで搬送され、その位置において、クランプ装置52によって固定的に保持される。次に、マークカメラ26が、回路基材12の上方に移動し、回路基材12を撮像する。そして、コントローラ120は、その撮像データに基づいて、クランプ装置52による回路基材12の保持位置の誤差,回路基材12に装着されているコネクタ部品160の挿入穴162の位置などを演算する。
【0021】
また、部品供給装置30のトレイ型部品供給装置110では、図6に示すように、リード部品150がトレイ116の上に載置された状態で供給されている。なお、リード部品150は、リード154が延び出す部品本体152の底面をトレイ116の上面と直行させ、部品本体152の側面を上方に向けるとともに、リード154をトレイ116の上面と平行に延び出させた状態で、トレイ116の上に載置されている。そして、トレイ116の上に載置されたリード部品150の上方に、作業ヘッド56,58の何れかが、作業ヘッド移動装置62の作動により移動し、吸着ノズル82によってリード部品150の部品本体152の側面が吸着保持される。なお、吸着ノズル82によってリード部品150が吸着保持される際には、図3に示すように、吸着ノズル82は、鉛直下向き方向である非旋回位置に位置している。このため、非旋回位置の吸着ノズル82により保持されたリード部品150は、部品本体152の側面を上方に向けるとともに、リード154を側方に向かって延び出させた姿勢とされている。
【0022】
そして、リード部品150が吸着ノズル82によって保持されると、吸着ノズル82は、ノズル旋回装置84の作動により、水平方向である旋回位置に旋回する。この際、旋回位置の吸着ノズル82に保持されたリード部品150のリード154が、鉛直方向での下方を向くように、吸着ノズル82は、リード部品150を保持する前に、ノズル回転装置86の作動により、調整されている。つまり、吸着ノズル82の旋回方向と、トレイ116に載置されたリード部品150のリード154の延び出し方向とが一致するように、吸着ノズル82がリード部品150を保持する前に、ノズル回転装置86の作動により、吸着ノズル82の旋回する角度は調整されている。これにより、旋回位置の吸着ノズル82により保持されたリード部品150は、リード154を鉛直方向での下方に向かって延び出させた姿勢とされる。
【0023】
次に、吸着ノズル82が旋回位置に旋回すると、作業ヘッド56,58がパーツカメラ28の上方に移動し、吸着ノズル82により保持されたリード部品150のリード154が、パーツカメラ28によって撮像される。詳しくは、パーツカメラ28の上方に移動した作業ヘッド56,58が下降することで、吸着ノズル82により保持されたリード部品150の全てのリード154、つまり、7本のリードに、図8に示すように、パーツカメラ28のレーザー照射装置106から照射されたレーザー光が側方から照射される。この際、レーザー照射装置106から照射された光は、吸着ノズル82に保持されたリード部品150のリード154によって反射し、その反射光がレンズ102に入射する。そして、レンズ102に入射した光が、撮像装置100に入射し、撮像装置100の撮像素子により検出される。これにより、吸着ノズル82に保持されたリード部品150のリード154の撮像データが得られる。図8に示す画像166は、撮像装置100の撮像データにより示される7本のリード154の画像であり、その撮像データとともに、その撮像タイミングや撮像高さなどがコントローラ120において解析されることで、リード部品150の全てのリード154の位置が演算される。
【0024】
次に、リード部品150のリード154の先端部のXY方向での座標と、コネクタ部品160の挿入穴162のXY方向での座標とが一致するように、X方向移動装置63及びY方向移動装置64の作動が制御される。これにより、作業ヘッド56,58が、XY方向に沿って移動することで、リード部品150のリード154の先端部の位置と、コネクタ部品160の挿入穴162の位置とが上下方向に重なった状態となる。そして、Z方向移動装置65の作動により、作業ヘッド56,58が下降することで、吸着ノズル82に保持されたリード部品150のリード154が、図7に示すように、コネクタ部品160の挿入穴162に挿入される。これにより、リード部品150が、回路基材12に装着済のコネクタ部品160の上に装着される。
【0025】
このように、部品実装機10では、リード部品150のリード154が、コネクタ部品160の挿入穴162に挿入されることで、リード部品150がコネクタ部品160に装着される。ただし、吸着ノズル82に保持されたリード部品150が、図9に示すように、傾いていると、コネクタ部品160の挿入穴162にリード154が挿入される際に、リード154がコネクタ部品160の上面にある挿入穴以外の面,あるいは挿入穴162の内壁面などに当接し、リード154を挿入穴162に挿入できない虞がある。また、リード154が屈曲し、リード部品150が破損する虞がある。
【0026】
そこで、部品実装機10では、パーツカメラ28によるリード部品150のリード154の撮像データに基づいて、吸着ノズル82に保持されたリード部品150の傾きが演算され、その傾きを考慮した装着作業が実行される。つまり、演算された傾きを補正して、リード部品150のリード154がコネクタ部品160の挿入穴162に挿入される。
【0027】
具体的には、吸着ノズル82によりリード部品150が保持され、吸着ノズル82が旋回位置に旋回された後に、作業ヘッド56,58がX方向移動装置63及びY方向移動装置64の作動によりパーツカメラ28の上方に移動し、Z方向移動装置65の作動により下降する。この際、図10に示すように、リード部品150の全てのリード154にレーザー照射装置106によりレーザー光が照射される位置まで、作業ヘッド56,58が下降する。そして、パーツカメラ28によりリード154が撮像されると、その撮像された撮像データに基づく画像170では、リード部品150の全てのリード154、つまり、7本のリード154が撮像される。
【0028】
そして、作業ヘッド56,58を左右方向に移動させることなく、上昇させた状態で、所定距離、上昇させる毎に、リード154が撮像される。つまり、作業ヘッド56,58を、X方向移動装置63及びY方向移動装置64を作動させることなく、Z方向移動装置65のみの作動により一定速度で上昇させた状態で、所定の時間が経過する毎に、リード154が撮像される。そして、リード154が撮像される毎に、撮像データが解析され、撮像データが示すリード154の数(詳しくは、リード先端部である端面の数)が変化した際の撮像データの撮像時の作業ヘッド56,58に保持されたリード部品150の高さ寸法及び、その時のリードの数が記憶される。
【0029】
例えば、作業ヘッド56,58を図10に示す位置から図11に示す位置に上昇させると、作業ヘッド56,58が図11に示す位置においては、レーザー照射装置106から照射されるレーザー光は、リード部品150の全てのリード154、つまり、7本のリードのうちの1本のリードには照射されず、6本のリードに照射される。この際、パーツカメラ28によりリード154が撮像されると、その撮像された撮像データに基づく画像172では、リード部品150の7本のリード154のうちの6本のリード154に照射したレーザー光が反射し、その光が入光することで、像として6本のリードがパーツカメラに撮像される。つまり、作業ヘッド56,58が上昇することで、撮像データが示すリード154の数が7本から6本に減少する。このため、撮像されたリード先端部の数が変化した撮像時における作業ヘッド56,58の高さ寸法(H1)と、撮像されたリードの数の変化数(1)とが記憶される。
【0030】
続いて、作業ヘッド56,58を更に上昇させると、図12に示すように、レーザー照射装置106から照射されるレーザー光は、リード部品150の7本のリードのうちの3本のリードには照射されず、4本のリードに照射される。この際、パーツカメラ28によりリード154が撮像されると、その撮像された撮像データに基づく画像174では、リード部品150の7本のリード154のうちの4本のリード154が撮像される。つまり、作業ヘッド56,58が上昇することで、撮像データが示すリード154の数が7本から4本に減少する。このため、その撮像時における作業ヘッド56,58の高さ寸法(H2)と、リードの変化数(3)とが記憶される。
【0031】
そして、作業ヘッド56,58を更に上昇させると、図13に示すように、レーザー照射装置106から照射されるレーザー光は、リード部品150の7本のリードのうちの5本のリードには照射されず、2本のリードに照射される。この際、パーツカメラ28によりリード154が撮像されると、その撮像された撮像データに基づく画像176では、リード部品150の7本のリード154のうちの2本のリード154が撮像される。つまり、作業ヘッド56,58が上昇することで、撮像データが示すリード154の数が7本から2本に減少する。このため、その撮像時における作業ヘッド56,58の高さ寸法(H3)と、リードの変化数(5)とが記憶される。
【0032】
このように、作業ヘッド56,58を上昇させた状態でリード154が複数回、撮像されると、それら複数回の撮像により得られた複数の撮像データに基づいて、リード部品150の傾きが演算される。つまり、撮像データが示すリード154の数が変化したタイミングで撮像された撮像データに基づいて、リード部品150の傾きが演算される。
【0033】
詳しくは、作業ヘッド56,58の高さ寸法がH1の際に撮像された撮像データ(図11参照)では、リード変化数は1であり、作業ヘッド56,58の高さ寸法がH2の際に撮像された撮像データ(図12参照)では、リード変化数は3である。つまり、作業ヘッド56,58の上下方向の位置がH1からH2に上昇する間に、2本のリード154がレーザー光の照射位置より上方に上昇している。このため、図14に示すように、リード間距離がWである場合に下記の式が成立する。なお、リード間距離Wは、リード154の先端部である端面の中心と、そのリード154の隣に位置するリード154の先端部である端面の中心との間の距離である。
sinθ=(H2-H1)/2W
これにより、リード部品150の傾斜角度θが演算される。なお、リード部品150の傾斜角度θは、リード部品150の上下方向の傾きを示す角度であり、左右方向、厳密に言えば、水平方向に対する傾斜角度である。また、別の言い方をすれば、リード154の左右方向の傾きを示す角度であり、上下方向、厳密に言えば、鉛直方向に対するリード154の延び出す方向の傾斜角度である。これらは、リード部品150のリード154が、部品本体152のリードが伸び出す面に対して直交する方向に、かつ直線的に伸びている場合であって、それらリード154が反ったり曲がったりしていない状態であることが前提となる。
【0034】
また、作業ヘッド56,58の高さ寸法がH1の際に撮像された撮像データ(図11参照)では、リード変化数は1であり、作業ヘッド56,58の高さ寸法がH3の際に撮像された撮像データ(図13参照)では、リード変化数は5である。つまり、作業ヘッド56,58がH1からH3に上昇する間に、4本のリード154がレーザー光の照射位置より上方に上昇している。このため、図15に示すように、リード間距離がWである場合に下記の式が成立する。
sinθ=(H3-H1)/4W
これにより、リード部品150の傾斜角度θが演算される。
【0035】
なお、上記2式に従って演算された値の平均値が、リード部品150の傾斜角度θとされる。そして、リード部品150の傾斜角度θが演算されると、その傾斜角度θを考慮した装着作業が実行される。まず、吸着ノズル82により保持されたリード部品150に傾きが生じる要因としては、1つの例として、吸着ノズル82により保持される前にリード部品150がトレイ116で傾いた状態で載置されていることが考えられる。つまり、図16に示すように、図での上方に図示されたリード部品150が傾きの無い状態でトレイ116に載置されているとした場合に、図での下方に図示されたリード部品150は所定の角度θ、傾いた状態でトレイ116に載置されている。このような場合に、その傾いた状態で載置されているリード部品150が吸着ノズル82により保持されると、吸着ノズル82に保持されたリード部品150は、その所定の角度θ、傾く虞がある。
【0036】
このようなことに鑑みて、前述のように、リード部品150の傾斜角度θが演算されると、傾きの無い状態でトレイ116の上に載置されるように、吸着ノズル82により保持されたリード部品150が、トレイ116の上に戻される。詳しくは、リード部品150の傾斜角度θが演算されると、まず、吸着ノズル82がリード部品を保持した状態である旋回位置から非旋回位置に旋回される。次に、非旋回位置において、演算された傾斜角度θを加算、若しくは減算して、その演算された角度に相当する角度、吸着ノズル82を、垂直軸周りに自転させる。そして、作業ヘッド56,58がトレイ116の上方に移動し、吸着ノズル82に保持されたリード部品150がトレイ116の上に載置される。これにより、吸着ノズル82によって傾いた状態で保持されていたリード部品150、つまり、吸着ノズル82に保持される前に傾いた状態でトレイ116の上に載置されていたリード部品150が、図6に示すように、傾斜角度θの傾きが補正されることで、傾きの無い状態でトレイ116の上にリード部品150は載置される。
【0037】
そして、吸着ノズル82により保持されたリード部品150がトレイ116の上に戻されると、そのリード部品150が再度、吸着ノズル82により保持される。なお、吸着ノズル82によるリード部品150の保持は、先に説明した手法と同じ手法により行われる。これにより、リード部品150を傾きの無い状態で吸着ノズル82により保持することができる。そして、吸着ノズル82により傾きの無い状態で保持されたリード部品150がコネクタ部品160の上に装着される。このように、部品実装機10では、上方に向けて撮像するパーツカメラ28によるリード部品150のリード154の撮像データに基づいて、吸着ノズル82に保持されたリード部品150の傾きが演算され、その傾きを考慮した装着作業が実行される。これにより、リード部品150の装着作業を適切に行うことができる。
【0038】
また、部品実装機10では、上記手法と異なる手法、つまり、演算されたリード部品150の傾斜角度θを利用して吸着ノズル82に保持されたリード部品150をトレイ116に戻す手法と異なる手法に従って、リード部品150の傾きを考慮した装着作業が実行される。詳しくは、演算されたリード部品150の傾斜角度θに基づいて、リード154の部品本体152の側の端部、つまり、リード154の基端のXY方向での座標と、リード154の先端のXY方向での座標とのズレ量ΔXYを演算する。
【0039】
具体的には、上述したように、リード部品150の傾斜角度θは、鉛直方向に対する部品本体152の側の端部からリード154の延び出す方向の傾斜角度とも言えるため、図17に示すように、リード154の長さ寸法がLである場合に、下記の式が成立する。
sinθ=L/ΔXY
これにより、リード154の基端のXY方向での座標と、リード154の先端のXY方向での座標とのズレ量ΔXYが演算される。
【0040】
そして、演算されたXY方向でのズレ量ΔXYと、リード部品150のリード154をコネクタ部品160の挿入穴162に挿入するために必要な作業ヘッド56,58のZ方向での下降量とを合成させて、作業ヘッド移動装置62の作動が制御される。つまり、図18に示すように、X方向移動装置63及びY方向移動装置64による左右方向の移動と、Z方向移動装置65による上下方向の移動とが合成されて、作業ヘッド移動装置62の作動が制御される。これにより、作業ヘッド56,58が下降しながら、左右方向に移動することで、リード部品150の傾斜角度θに関わらず、傾いた状態のリード部品150のリード154を、コネクタ部品160の挿入穴162に適切に挿入することができる。つまり、左右方向の移動と、上下方向の移動とが協動するように制御されることで、傾いた状態のリード部品150のリード154を、コネクタ部品160の挿入穴162に適切に挿入することができる。なお、上下方向において、リード154の先端が挿入穴162に挿入されてから、リードの基端が挿入穴162に挿入されるまでの区間において、左右方向の移動と上下方向の移動とが協動して制御され、作業ヘッド56,58の下降開始からリード154の先端が挿入穴162に挿入されるまでの区間は、左右方向の移動と協動して制御されず、直線的に制御する場合に比べて、協動して制御させることで、挿入穴に沿うようにしてリードが挿入されるときに、リードが挿入穴と接触することで生じるリードの反りが発生し難くなり、延いては、リード部品への負荷が軽減される。このような負荷は作業ヘッドを動作させる移動装置の移動トルクで検出することが可能である。その負荷が閾値以上である場合には、リード先端部から部品本体の底辺までの間で、リードの反り、あるいは曲がりがある部品、すなわち不適部品であると判断される。
【0041】
ただし、リード部品150の傾斜角度θが大き過ぎると、作業ヘッド56,58の左右方向の移動と上下方向の移動とを合成してリード154を挿入穴162に挿入しようとしても、適切にリード154を挿入穴162に挿入できない虞がある。このため、演算されたリード部品150の傾斜角度θが閾値より大きい場合には、吸着ノズル82に保持されたリード部品150は、ピッキングエラーとして、廃棄ボックス(図示省略)に廃棄される。
【0042】
また、吸着ノズル82により保持されたリード部品150が傾く要因としては、トレイ116で載置されているリード部品150の姿勢だけでなく、作業ヘッド56,58の構造に起因する場合がある。具体的には、例えば、ホルダ88による吸着ノズル82の保持角度のズレ,ホルダ88での支持軸92のズレ,ノズル旋回装置84による吸着ノズル82の旋回角度のズレ等に起因して、吸着ノズル82により保持されたリード部品150が傾く場合がある。このため、部品実装機10では、装着作業が実行される前に、リード部品150のマスター部品を用いて、そのマスター部品の傾斜角度が演算される。
【0043】
詳しくは、マスター部品として、寸法精度の高いリード部品150が用いられる。つまり、リード154の長さ寸法,リード154の部品本体152からの延び出し方向,部品本体152の各面の平坦度などに、許容される公差より相当小さい誤差が設定され、その誤差の範囲内で製造されたリード部品150が、マスター部品として用いられる。そして、吸着ノズル82により保持されたマスター部品の傾斜角度が、装着作業に用いられるリード部品150と同じ手法に従って演算される。この際、演算されたマスター部品の傾斜角度は、作業ヘッド56,58の構造に起因するものと考えられる。このため、作業ヘッドがマスター部品を保持し、その保持したマスター部品をリード部品と同様に撮像し、その撮像データに基づき演算された傾斜角度が閾値より大きい場合には、その演算されたデータが作業ヘッド56,58に起因したものであると特定され、たとえば、その旨が操作パネルなどを通して作業者に報知され、その報知された作業ヘッドや、作業ヘッドが備える保持具、あるいは作業ヘッドを構成する部品などの交換,点検,修理などが行われる。一方、作業ヘッドがマスター部品を保持し、その保持したマスター部品の撮像データに基づき演算されたマスター部品の傾斜角度が閾値以下である場合には、そのマスター部品を保持した作業ヘッドの固有値として、装着作業時に、リード部品150の傾斜角度θに、マスター部品の傾斜角度を加味して、装着作業が実行される。これにより、作業ヘッド56,58の構造に起因して、吸着ノズル82に保持されたリード部品150が傾く場合であっても、適切なリード部品150の装着作業を担保することができる。
【0044】
なお、部品実装機10は、作業機の一例である。パーツカメラ28は、撮像装置の一例である。制御装置36は、制御装置の一例である。作業ヘッド56,58は、作業ヘッドの一例である。作業ヘッド移動装置62は、移動装置の一例である。リード部品150は、電気部品の一例である。リード154は、リード端子の一例である。
【0045】
また、本発明は、上記実施例に限定されるものではなく、当業者の知識に基づいて種々の変更、改良を施した種々の態様で実施することが可能である。具体的には、例えば、上記実施例では、リード部品150のリード154の撮像データに基づいて部品の傾きが演算されているが、ピン,端子,バンプなどのリード端子の撮像データに基づいて部品の傾きが演算されてもよい。つまり、挿入穴,貫通孔,凹部,引っ掛け部,位置決め部などにより位置決めされる各種のリード端子を本発明に適用することが可能である。また、本実施例では、リード部品150のリード154をコネクタ部品160の挿入穴162に挿入するために、部品の傾きを、複数のリード154を撮像して、その傾きを演算することで取得しており、リード154が実質的な位置決め部であることからも現実的な手法である。一方で、複数のリード154の全てが、部品本体152からリード154が伸び出す面に対して直交する方向から所定の方向に曲がっている場合においても、その各々のリード間距離が保たれている場合には、コネクタへの装着が可能である。
【0046】
また、上記実施例では、撮像時に作業ヘッド56,58を上昇させてリード154が撮像されているが、撮像時に作業ヘッド56,58を下降させてリード154が撮像されてもよい。また、上下動を繰り返しながらリード154が撮像されてもよい。なお、ここでの上下方向は、Z方向、厳密に言えば、鉛直方向に限られず、斜め上方,斜め下方も含む概念である。
【0047】
また、上記実施例では、リード部品150は、回路基材12に装着されたコネクタ部品160の上に装着されている。つまり、リード部品150は、コネクタ部品160を介して回路基材12に間接的に装着されている。一方、リード部品150は、回路基材12に直接的に装着されてもよい。つまり、リード部品150のリード154が、回路基材12に形成された貫通穴などに挿入されることで、リード部品150が回路基材12に装着されてもよい。
【0048】
また、上記実施例では、リード部品150が、部品本体152からリード154が伸び出す面以外の面を載置面としてトレイの上に載置されているものの、リードが伸び出す面、つまりリードの先端部を載置面としてもよい。このような姿勢で部品が載置されている場合には、ノズル旋回装置84の作動、あるいは、ノズル旋回装置84そのものが必要ない。しかしながら、そのような姿勢で部品が載置されている場合には、上方からの撮像ではリード154の位置が撮像することも出来ないという課題もある。また、本実施例のように、実際に装着する姿勢で保持された状態の部品の傾斜角度を取得できるとともに、部品を保持する作業ヘッド側に原因が起因するものと推定できることもあることから、同様の手法が適用される。
【0049】
また、リード部品150が、リード154が伸び出す面、つまりリード154の先端部を載置面としてトレイの上に載置された場合において、上述したように、上方からの撮像ではリード154の位置を撮像することができない。このため、そのような姿勢でリード部品150が載置されている場合には、上方からの撮像による撮像データでは、部品の傾斜角度を演算することができない。また、リード部品150が、部品本体152からリード154が伸び出す面以外の面を載置面としてトレイの上に載置された場合であっても、その載置面がトレイの上面、つまり、水平面に対して上下方向に傾斜していても、その傾斜角度は、上方からの撮像による撮像データでは演算することができない。一方で、そのような場合において、本発明を適用することで、部品の3次元的な傾斜角度を演算することができる。つまり、リード部品150を作業ヘッド56,58によって、リード154が下方を向く姿勢で保持し、作業ヘッド56,58に保持されたリード部品150を下方から撮像することで、その撮像データに基づいて部品の3次元的な傾斜角度を演算することができる。
【0050】
また、上記実施例では、リード部品150の上下方向での傾きが演算されているが、部品の左右方向の傾き,所定の軸心の軸周り方向の傾き,所定の平面に対する傾きなど種々の傾きが演算されてもよい。
【0051】
また、上記実施例では、部品の傾斜角度に基づいて、吸着ノズル82により保持された部品がトレイ116に戻されたり、作業ヘッド56,58の左右方向の移動と上下方向の移動とが協動して制御されることで、部品の傾斜角度を補正する装着作業が実行されている。このような手法だけでなく、他の手法により傾斜角度を補正する装着作業が実行されてもよい。例えば、部品の傾斜角度に相当する角度を、吸着ノズル82をノズル旋回装置84により旋回させることで、吸着ノズルに保持した部品の傾斜角度を補正して装着作業が実行されてもよい。このような場合には、作業ヘッドに保持したリード部品をZ軸方向にのみ下降させることでトレイに戻す、あるいは装着される。
【0052】
また、上記実施例では、作業ヘッド56,58を移動させる移動装置として、XYZ型のロボットが採用されているが、XY型のロボットが採用されてもよい。ただし、XY型のロボットが採用される場合は、吸着ノズル82の昇降させる昇降装置等を含む装置が移動装置となる。また、移動装置として、多関節型ロボットアームも採用することが可能である。多関節型ロボットアームは、各軸が協動して動作することで全方位に可動するため、多関節型ロボットアームを採用することで、作業ヘッド56,58の左右方向の移動と上下方向の移動とを利用して好適に制御することができる。
【0053】
また、上記実施例では、作業ヘッド56,58を上昇させた状態でリード154が複数回、撮像されているが、リード154が連続的に1回撮像されてもよい。つまり、露光時間を長くすることで、作業ヘッド56,58を上昇させた状態でリード154が連続的に撮像してもよい。
【0054】
また、上記実施例では、撮像データが示すリード部品150のリード154の数が変化したタイミングで撮像された撮像データに基づいて、リード部品150の傾きが演算されているが、そのタイミングは、リード154の数が変化してから所定の時間を経過するまでの間を含む概念である。
【0055】
また、上記実施例では、マスター部品として、寸法精度の高いリード部品150が用いられているが、リードを精度高く再現可能なものであれば、種々のものを採用することが可能である。例えば、ブロック状の部品の所定の面に、印刷などにより光を反射するようなリード154に準じた形象を形成し、その形成された形象の撮像データに基づいて部品の傾きが演算されてもよい。
【0056】
また、リードの撮像時に照射する側射光はレーザー光に限定されない。リード先端部の位置を正確に把握するためにも、拡散光ではなく平行光が望ましく、かつ、その照射する光の幅は制限することがより望ましい。
【0057】
また、上記実施例では、部品を保持する保持具として、吸着ノズル82が採用されているが、複数の把持爪を有するチャック等が採用されてもよい。
【符号の説明】
【0058】
10:部品実装機(作業機) 28:パーツカメラ(撮像装置) 36:制御装置 56:作業ヘッド 58:作業ヘッド 62:作業ヘッド移動装置(移動装置) 150:リード部品(電気部品) 154:リード(リード端子)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18