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<図1>
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-01-16
(45)【発行日】2023-01-24
(54)【発明の名称】締結装置
(51)【国際特許分類】
   B65H 75/38 20060101AFI20230117BHJP
【FI】
B65H75/38 N
B65H75/38 S
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2020551358
(86)(22)【出願日】2019-07-08
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-11-18
(86)【国際出願番号】 CN2019095128
(87)【国際公開番号】W WO2020087975
(87)【国際公開日】2020-05-07
【審査請求日】2021-01-12
(31)【優先権主張番号】201811275410.1
(32)【優先日】2018-10-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】510299178
【氏名又は名称】陳 金柱
【氏名又は名称原語表記】CHEN,Chin-Chu
【住所又は居所原語表記】No.11-1,Lane 188,Gougye Rd.,Zhonghe Village,Longjing District Taichung,Taiwan
(74)【代理人】
【識別番号】110003214
【氏名又は名称】弁理士法人服部国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】陳 金柱
【審査官】松林 芳輝
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2018/086068(WO,A1)
【文献】独国実用新案第202011101828(DE,U1)
【文献】登録実用新案第3159620(JP,U)
【文献】登録実用新案第3202821(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65H 75/38
A43B 1/00-23/30
A43C 1/00-19/00
A43D 1/00-999/00
B29D 35/00-35/14
A44B 99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
軸方向を有し且つ複数の係合歯を含むハウジングユニットと、
前記軸方向に沿って前記ハウジングユニットに覆設されるノブと、
前記ノブに結合され且つ係止部及びクリック式係合アームを含む制動ユニットと、
ひもを巻き取るためのコイルとを備え、
前記係合歯は内部空間に向かうように前記制動ユニットの環状壁に位置しており、
前記制動ユニットは前記軸方向を回転軸としたときの軸方向に沿って第1の位置及び第2の位置のどちらかに切り替えられており、
前記制動ユニットは、前記第1の位置にある場合、前記係止部が少なくとも1つの前記係合歯と係合していない間、前記クリック式係合アームが少なくとも1つの前記係合歯に係合されて前記コイルによる前記ひもの放出を阻止するが、前記第2の位置にある場合、前記係止部が少なくとも1つの前記係合歯に係合され、前記コイルによる前記ひもの放出を阻止しないことを特徴とする締結装置。
【請求項2】
前記制動ユニットは、少なくとも1つの前記係合歯に選択的に係合されるクリック式係合アームを更に含み、前記係止部は、前記クリック式係合アームから前記ハウジングユニットの径方向に沿って外方へ突出することを特徴とする請求項1に記載の締結装置。
【請求項3】
前記クリック式係合アームは第1の高さH1を有し、前記係止部は第2の高さH2を有し、前記第1の高さH1及び前記第2の高さH2は、H2≦(H1/2)の関係を満たすことを特徴とする請求項2に記載の締結装置。
【請求項4】
前記クリック式係合アームは高さ中心線を有し、前記高さ中心線からみて前記ハウジングユニットのある側を下側とするとき、前記係止部は前記高さ中心線と同じ位置又は前記高さ中心線より下側に位置することを特徴とする請求項2に記載の締結装置。
【請求項5】
前記制動ユニットは環状本体を更に含み、前記クリック式係合アームは、前記環状本体に接続する近位端と、前記近位端から伸び出た遠位端と、を含み、前記近位端と前記遠位端との間に第1の距離D1を有し、前記係止部と前記近位端との間に第2の距離D2を有し、前記第1の距離D1及び前記第2の距離D2は、D2≦(2D1/3)の関係を満たすことを特徴とする請求項2に記載の締結装置。
【請求項6】
前記第1の距離D1及び前記第2の距離D2は、D2=(D1/2)の関係を満たすことを特徴とする請求項5に記載の締結装置。
【請求項7】
軸方向を有するハウジングユニットと、
前記軸方向に沿って前記ハウジングユニットに覆設されるノブと、
前記ノブに結合され且つ係止部及びクリック式係合アームを含む制動ユニットと、
ひもが結合されるコイルとを備え、
前記ノブ又は前記ハウジングユニットが複数の係合歯を含み、前記制動ユニットは前記軸方向を回転軸としたときの軸方向に沿って第1の位置及び第2の位置のどちらかに切り替えられており、
前記制動ユニットは、前記第1の位置にある場合、前記係止部が少なくとも1つの前記係合歯と係合していない間、前記クリック式係合アームが少なくとも1つの前記係合歯に係合されて前記コイルによる前記ひもの放出を阻止するが、前記第2の位置にある場合、前記係止部が少なくとも1つの前記係合歯に係合され、前記コイルによる前記ひもの放出を阻止しないことを特徴とする締結装置。
【請求項8】
前記制動ユニットは、少なくとも1つの前記係合歯に選択的に係合されるクリック式係合アームを更に含み、前記係止部は、前記クリック式係合アームから前記ハウジングユニットの径方向に沿って外方へ突出することを特徴とする請求項7に記載の締結装置。
【請求項9】
前記クリック式係合アームは第1の高さH1を有し、前記係止部は第2の高さH2を有し、前記第1の高さH1及び前記第2の高さH2は、H2≦(H1/2)の関係を満たすことを特徴とする請求項8に記載の締結装置。
【請求項10】
前記クリック式係合アームは高さ中心線を有し、前記高さ中心線からみて前記ハウジングユニットのある側を下とするとき、前記係止部は前記高さ中心線と同じ位置又は前記高さ中心線より下側に位置することを特徴とする請求項9に記載の締結装置。
【請求項11】
前記制動ユニットは環状本体を更に含み、前記クリック式係合アームは、前記環状本体に接続する近位端と、前記近位端から伸び出た遠位端と、を含み、前記近位端と前記遠位端との間に第1の距離D1を有し、前記係止部と前記近位端との間に第2の距離D2を有し、前記第1の距離D1及び前記第2の距離D2は、D2≦(2D1/3)の関係を満たすことを特徴とする請求項10に記載の締結装置。
【請求項12】
前記第1の距離D1及び前記第2の距離D2は、D2=(D1/2)の関係を満たすことを特徴とする請求項11に記載の締結装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は締結装置に関し、特にひもを回収・放出可能な締結装置に関する。
【背景技術】
【0002】
日常生活においてはよくひもやベルト等の線状物によって物品を締結するが、最もよく見られる締結手段として、例えばひも靴等のように物品の穴から線状物を往復して通り抜けさせ、また結び目を作って固定する手段がある。しかしながら、この締結手段は、外力要因により結び目が緩みやすく、結び目を再び結ばなければならず、物品をしっかりと締結することができない。これが大きな不便さをもたらす。
【0003】
この問題を解決するため、当業者により、線状物を通過させるための貫通穴を有するケースと、制動ユニットと、バネとを備え、バネと制動ユニットとの間の作用力によって、線状物を制動ユニットとケースとの間に挟み込んで締結効果を達成し、またバネを押圧して制動ユニットの位置を変えることで、使用者が線状物を引けばその長さを変えることができる線状物の巻き戻し簡易装置が開発されている。この線状物の巻き戻し装置はバネの復帰力によって締結力を提供するものである。しかしながら依然として振動や外力要因により、線状物が緩みやすい。しかも、このような線状物の巻き戻し装置には線状物を収納する空間がないため、線状物が露出するため、より危険をもたらしやすい。
【0004】
このため、他の当業者により、ベルトを巻き戻しさせるように締結して固定することのできる別の留め具が開発されている。この留め具は、留め具の内部にベルトを容置することができ、且つ内部の部材の機械力が干渉することによってベルトの長さを調整可能にすると共に、締結の締め付け度を調整するものである。しかしながら、この留め具は構造が複雑なため、製造コストが向上する。また、組み立てやメンテナンスが困難であるという問題もある。
【0005】
そのため、当業者は絶えず留め具の内部の構造に調整や改善を加える開発を続けており、そのいずれも、構造を単純化する前提のもと、留め具の締結能力を保持し、構造の信頼度を向上させ、留め具の短命化を避けるようにしている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
これらに鑑み、いかに留め具等の締結装置の構造を効果的に改善するかが当業者の努力目標となっている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、制動ユニットに係止部を配置することで、構造の信頼度が向上し、短命化が避けられる締結装置を提供することを目的とする。
【0008】
(第一実施形態)
本発明の一態様による第一実施形態は、軸方向を有し且つ複数の係合歯を含むハウジングユニットと、軸方向に沿ってハウジングユニットに覆設されるノブと、ノブに結合され且つ係止部及びクリック式係合アームを含む制動ユニットと、ひもを巻き取るためのコイルとを備える締結装置である。制動ユニットは軸方向を回転軸としたときの軸方向に沿って第1の位置及び第2の位置のどちらかに切り替えられている。係合歯は内部空間に向かうように制動ユニットの環状壁に位置している。制動ユニットは、第1の位置にある場合、係止部が少なくとも1つの係合歯と係合していない間、クリック式係合アームが少なくとも1つの係合歯に係合されてコイルによるひもの放出を阻止するが、第2の位置にある場合、係止部が少なくとも1つの係合歯に係合され、コイルによるひもの放出を阻止しない。
【0009】
よって、制動ユニットが第2の位置にある場合に係止部が少なくとも1つの係合歯に係合される構造は、制動ユニットが第2の位置から第1の位置に順調に切り替えられることに寄与し、構造の信頼度を向上させる。
【0010】
好ましくは、係止部は、クリック式係合アームからハウジングユニットの径方向に沿って外方へ突出するように形成されている。または好ましくは、クリック式係合アームは第1の高さHを有し、係止部は第2の高さHを有し、第1の高さHと第2の高さHは、H≦(H/2)の関係を満たしてよい。または好ましくは、クリック式係合アームは高さ中心線を有し、高さ中心線からみてハウジングユニットのある側を下側とするとき、係止部は高さ中心線と同じ位置又は前記高さ中心線より下側に位置することであってもよい。
【0011】
好ましくは、制動ユニットは環状本体を含んでいてもよく、このときクリック式係合アームは、環状本体に接続する近位端と、近位端から伸び出た遠位端と、を含み、近位端と遠位端との間に第1の距離D1を有し、係止部と近位端との間に第2の距離D2を有し、第1の距離D1及び第2の距離D2は、D2≦(2D1/3)の関係を満たしていてもよい。または好ましくは、第1の距離D1及び第2の距離D2は、D2=(D1/2)の関係を満たしていてもよい。
【0012】
(第二実施形態)
本発明の一態様による第二実施形態は、軸方向を有するハウジングユニットと、軸方向に沿ってハウジングユニットに覆設されるノブと、ノブに結合され且つ係止部及びクリック式係合アームを含む制動ユニットと、ひもが結合されるコイルとを備える締結装置である。ノブまたはハウジングユニットが複数の係合歯を含み、制動ユニットは軸方向を回転軸としたときの軸方向に沿って第1の位置及び第2の位置のどちらかに切り替えられており、制動ユニットは、第1の位置にある場合、係止部が少なくとも1つの係合歯と係合していない間、クリック式係合アームが少なくとも1つの係合歯に係合されてコイルによるひもの放出を阻止するが、第2の位置にある場合、係止部が少なくとも1つの係合歯に係合され、コイルによるひもの放出を阻止しない。
【0013】
好ましくは、係止部は、クリック式係合アームからハウジングユニットの径方向に沿って外方へ突出するように形成されている。または好ましくは、クリック式係合アームは第1の高さHを有し、係止部は第2の高さHを有し、第1の高さH及び第2の高さHは、H≦(H/2)の関係を満たしてもよい。または、クリック式係合アームは高さ中心線を有し、係止部は高さ中心線と同じ位置又は前記高さ中心線より下側に位置することであってよい。
【0014】
前記の締結装置の複数の実施例によると、制動ユニットは環状本体を更に含んでよく、クリック式係合アームは、環状本体に接続される近位端と、近位端から伸び出た遠位端と、を含み、近位端と遠位端との間に第1の距離D1を有し、係止部と近位端との間に第2の距離D2を有し、第1の高さH1及び第2の高さH2は、D2≦(2D1/3)の関係を満たしていてもよい。または好ましくは、第1の距離D1及び第2の距離D2とは、D2=(D1/2)の関係を満たしていてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の第一実施例による締結装置を模式的に示す斜視図である。
図2図1の締結装置を模式的に示す分解斜視図である。
図3図1の締結装置を模式的に示す別の分解斜視図である。
図4図1の締結装置を模式的に示す断面図である。
図5図1の締結装置を模式的に示す別の断面図である。
図6図4の締結装置を切断面線6-6に沿って切った断面を模式的に示す断面図である。
図7図5の締結装置を切断面線7-7に沿って切った断面を模式的に示す断面図である。
図8図4の締結装置を切断面線8-8に沿って切った断面を模式的に示す断面図である。
図9】本発明の第二実施例による締結装置を模式的に示す斜視図である。
図10図9の締結装置を模式的に示す分解斜視図である。
図11図9の締結装置を模式的に示す別の分解斜視図である。
図12図9の締結装置を模式的に示す断面図である。
図13図9の締結装置を模式的に示す別の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、添付図面に合わせて、本発明の実施例を説明する。明確に説明するため、多くの実際的な細部を、以下説明する。しかしながら、これらの実際的な細部は本発明を限定するためのものではない。つまり本発明の実施形態の一部において、これらの実際的な細部は必ずしも必要とされない。また図面を簡略化するため、従来技術の構造および素子は、図面において簡単に模式的に示す。また、繰り返し登場する素子については、同一または類似の番号で示すことがある。
【0017】
また本明細書において、ある素子(または機構やモジュール等)が別の素子に「接続」、「設置」または「結合」される場合、前記素子が別の素子に直接接続、直接設置または直接結合されることを指してもよいし、ある素子が別の素子に間接接続、間接設置または間接結合されることを指してもよい。つまり他の素子が前記素子と別の素子との間に介在することがあり、またある素子が別の素子に「直接接続」、「直接設置」または「直接結合」されることが明示される場合以外に他の素子が前記素子と別の素子との間に介在することはないことを表す。「第1の」、「第2の」、「第3の」等の用語は、単に異なる素子や成分を記述するためのものであり、素子/成分そのものを制限するものではないため、第1の素子/成分は、第2の素子/成分と言い換えられてもよい。さらに、本明細書における素子/成分/機構/モジュールの組み合わせは、この分野において、一般に周知の、常識的な、または既知の組み合わせではない。素子/成分/機構/モジュールそのものが既知であるか否かによって、その組合せ関係が当業者により容易に想到されるか否かをを判定することはできない。
【0018】
(第一実施例)
図1図2図3図4図5図6図7および図8を参照されたい。図1は本発明の第一実施例による締結装置100を模式的に示す斜視図であり、図2図1の締結装置100を模式的に示す分解斜視図であり、図3図1の締結装置100を模式的に示す別の分解斜視図であり、図4図1の締結装置100を模式的に示す断面図であり、図5図1の締結装置100を模式的に示す別の断面図であり、図6図4の締結装置100を6-6線に沿って切った断面を模式的に示す断面図であり、図7図5の締結装置100を7-7線に沿って切った断面を模式的に示す断面図であり、図8図4の締結装置100を8-8線に沿って切った断面を模式的に示す断面図である。締結装置100は、ハウジングユニット200と、ノブ500と、制動ユニット400と、コイル300と、を備える。
【0019】
ハウジングユニット200は軸方向I1を有し且つ複数の係合歯230を含み、ノブ500は軸方向I1に沿ってハウジングユニット200に覆設され、制動ユニット400はノブ500に結合され且つ係止部460を含み、コイル300はひも(図示せず)により巻き取られる。ノブ500の回転によって制動ユニット400が軸方向I1に沿って第1の位置と第2の位置とで切り替えられるように回転され、制動ユニット400は、第1の位置にある場合、コイル300のひもの放出を阻止する。つまり、コイル300の第1の方向A1への回転を阻止するが、第2の位置にある場合、係止部460が少なくとも1つの係合歯230に係合され、コイル300のひもの放出を阻止しない。つまり、コイル300の第1の方向A1への回転を阻止しない。
【0020】
よって、制動ユニット400が第2の位置にある場合、係止部460が少なくとも1つの係合歯230に係合する構造は、制動ユニット400が順調に第2の位置から第1の位置に切り替えられることに寄与し、構造の信頼度を向上させる。以下、締結装置100の細部構造を詳しく説明する。
【0021】
ハウジングユニット200は、径方向を有し、また内部空間240を取り囲む環状壁220と、環状壁220を設けるためのベース210と、を含み、且つ環状壁220は係合するようにベース210に設けられてよい。複数の係合歯230は、内部空間240に向かうように環状壁220に位置し、且つ環状壁220の上端に位置する。
【0022】
コイル300は、ひもを巻き取るための環状軌道310と、制動ユニット400に選択的に結合される複数の嵌合歯部320と、を含み、中空環状となり、内部空間240に位置する。コイル300が回転されると、ひもは、コイル300につれて異なる方向へ回転して回収または放出することができる。
【0023】
ノブ500は、ノブ500の内壁に設けられる案内軌道510と、軸方向I1に沿って内部空間240へ突出するボス520と、径方向に沿ってボス520の外側に対称に設けられる2つの位置決めブロック540と、を含む。
【0024】
制動ユニット400は、環状本体440と、2つの保持部410、420、3つの案内部430と、3つのクリック式係合アーム450と、3つの係止部460と、複数の嵌合係合歯470と、中心孔(図示せず)と、2つのバンプ491、492と、を含む。中心孔は環状本体440の中央に位置し、案内部430は環状本体440から外向きに突出する傾斜した歯構造であり且つノブ500に結合されることに用いられる。2つの保持部410、420は、環状本体440から内側に突出し且つ互いに対称に設けられ、各々自由端411、421を含み、自由端411、421が力を受けると径方向に沿って移動することができ、外力が解放された後で復帰することができる。2つのバンプ491、492は、環状本体440から内側に突出し、且つ2つの自由端411、421との間に間隔を有する。嵌合係合歯470は、環状本体440の下方に位置し、コイル300の嵌合歯部320に選択的に噛み合うことができる。
【0025】
各クリック式係合アーム450は、環状本体440の外面に接続される近位端451と、係合歯230に分離可能に噛み合うための遠位端452と、を含み、少なくとも1つの係合歯230に選択的に係合される。3つの係止部460は、径方向に沿って外方へ突出するようにクリック式係合アーム450に位置し、且つ単歯構造を有する。好ましくは、クリック式係合アーム450は第1の高さH1を有し、係止部460が第2の高さH2を有し、H2≦(H1/2)の関係を満たす。より好ましくは、クリック式係合アーム450は高さ中心線L1を有し、係止部460は高さ中心線L1と同じ位置又は前記高さ中心線より下側に位置することであるが、図4の実施例において、係止部460は高さ中心線L1よりも低い。ここで特に説明すべきなのは、上記の第1の高さH1とはクリック式係合アーム450の軸方向I1に沿った最大の高さであるため、クリック式係合アーム450の各部位の高さが異なる場合、最大の高さを第1の高さH1とする。
【0026】
図4および図6に示すように、制動ユニット400が第1の位置にあり、その嵌合係合歯470がコイル300の嵌合歯部320に噛み合う条件が満たされる場合、クリック式係合アーム450の遠位端452(図2参照)は、第1の方向A1(図2参照)において係合歯230に噛み合うが、第2の方向A2(図2参照)において係合歯230から絶えずに分離し、係止部460は、位置が係合歯230よりも相対的に低いので、係合歯230に噛み合わない。そのため、第2の方向A2へノブ500を回転させることで、制動ユニット400を回転させてコイル300が糸を回収するように連動させることができるが、且つノブ500が作動しない場合、クリック式係合アーム450の遠位端452は、コイル300の第1の方向A1への回転を防止するように係合歯230に当接し、ひもが放出されることを防止することができる。
【0027】
また、ノブ500の第1の方向A1への回転によって、制動ユニット400が軸方向I1に沿って上昇するように回転させて、制動ユニット400とコイル300とを分離させることができる。より詳しくは、制動ユニット400が第1の位置にある場合、案内部430とノブ500の案内軌道510とは噛み合い、且つ図8に示すように、その一方の位置決めブロック540は保持部410の自由端411とバンプ491との間に位置するが、他方の位置決めブロック540は保持部420の自由端421とバンプ492との間に位置する。ノブ500が第1の方向A1へ回転する場合、制動ユニット400は、クリック式係合アーム450と係合歯230との噛み合い関係により制限され、共に回転できないため、2つの位置決めブロック540がそれぞれ2つの自由端411、421に押し付けられ、2つの自由端411、421が径方向に沿って変形することで、ノブ500は、制動ユニット400に対して回転できるようになり、案内部430は、案内軌道510により案内されて案内軌道510に対して軸方向I1に沿って上昇し、制動ユニット400が第2の位置にあるように切り替える。この場合、前記その一方の位置決めブロック540は保持部410の自由端411とバンプ492との間に位置するようになり、前記他方の位置決めブロック540は保持部420の自由端421とバンプ491との間に位置するようになる。
【0028】
図5に示すように、制動ユニット400が第2の位置にあり、その嵌合係合歯470がコイル300の嵌合歯部320から分離するため、この場合、コイル300は、制動ユニット400により影響されず、第1の方向A1(図2参照)へ回転することができ、ひもを引くことでひもを放出することができる。
【0029】
図7に示すように、制動ユニット400が軸方向I1に沿って上昇した後で、係止部460は、係合歯230との相対的位置が変えられ、係合歯230に噛み合うようになる。ベルトを再び固定または締結しようとする場合、ノブ500を第2の方向A2へ回転させ、2つの位置決めブロック540がそれぞれ2つの自由端411、421に押し付けられ、2つの自由端411、421が径方向に沿って変形するようにすることで、ノブ500を制動ユニット400に対して回転させて、前記その一方の位置決めブロック540を保持部410の自由端411とバンプ491との間に復帰させ、前記他方の位置決めブロック540を保持部420の自由端421とバンプ492との間に復帰させるだけでよい。
【0030】
一般的には、同じ力が与えられる場合、クリック式係合アーム450が力を受けて径方向に沿って変形する能力は、保持部410、420が力を受けて径方向に沿って変形する能力よりも小さい。そのため、第2の方向A2へノブ500を回転させる場合、クリック式係合アーム450は、容易に変形せず、且つ制動ユニット400がノブ500につれて回転しないように、その係合歯230との摩擦力が保持部410、420の耐えられ得る圧力よりも大きいので、2つの保持部410、420の2つの自由端411、421は、径方向に沿って変形するように押し付けられ、制動ユニット400の位置を切り替える目的を達成することができる。
【0031】
しかしながら、制動ユニット400のクリック式係合アーム450は、長期的に曲げられた状態にあるため、定型化されやすい。従って、制動ユニット400が第2の位置にあり、且つ第2の方向A2へノブ500を回転させることで制動ユニット400が第1の位置に戻すように切り替える場合、係止部460による補助がなければ、クリック式係合アーム450と係合歯230との間は、定型の要因により、摩擦力が不足になり、第2の方向A2へノブ500を回転させる場合に、クリック式係合アーム450が係合歯230から絶えずに緩み、更に2つの位置決めブロック540は2つの自由端411、421が変形するように押し付けることができず、最終に制動ユニット400が位置を切り替えない状況になる。
【0032】
係止部460が設けられる場合、係止部460が係合歯230に噛み合うので、第2の方向A2へノブ500を回転させる場合、クリック式係合アーム450が係合歯230から緩むことができず、2つの位置決めブロック540は2つの自由端411、421に力を加えて変形させ、更に位置を切り替える目的を達成する。
【0033】
好ましくは、近位端451と遠位端452との間に第1の距離D1を有し、係止部460と近位端451との間に第2の距離D2を有し、D2≦(2D1/3)の関係を満たす。より好ましくは、第1の距離D1と第2の距離D2とは、D2=(D1/2)の関係を満たす。クリック式係合アーム450が係合歯230に係合される場合、近位端451の変形量が遠位端452の変形量よりも小さいため、長期間にわたる使用で、定型化される影響も小さいので、係止部460の設置が上記関係に該当する場合、構造の安定性の向上に寄与する。他の実施例において、係止部は、案内部の下方に位置するように環状本体に設けられてもよい。しかし、これに限定されない。
【0034】
ここで特に説明すべきこととして、図1図7の実施例において、クリック式係合アーム450の遠位端452は、制動ユニット400が第2の位置にある場合に依然として係合歯230に係合されるが、他の実施例において、クリック式係合アームの遠位端は、制動ユニットが第2の位置にある場合、係止部のみが係合歯に噛み合うように、係合歯への噛み合いから完全に係脱してもよいということがある。しかし、以上の開示に限定されない。
【0035】
他の実施例において、係合歯は、ノブに位置してもよい。つまり、ノブまたはハウジングユニットの中の1つが複数の係合歯を含んでよい。しかし、添付図面の開示に限定されない。
【0036】
(第二実施例)
図9図10図11図12および図13を参照されたい。図9は本発明の第二実施例による締結装置100aを模式的に示す斜視図であり、図10図9の締結装置100aを模式的に示す分解斜視図であり、図11図9の締結装置100aを模式的に示す別の分解斜視図であり、図12図9の締結装置100aを模式的に示す断面図であり、図13図9の締結装置100aを模式的に示す別の断面図である。締結装置100aは、ハウジングユニット200aと、ノブ500aと、制動ユニット400aと、コイル300aと、を備える。締結装置100aの作動原理は、図1の締結装置100と類似であり、下記のように説明する。
【0037】
ハウジングユニット200aは、環状壁220aと、コイル空間250aを封止するようにベース210aに覆設されるケース270aと、ベース210aと、ベース210aに位置するコイル空間250aと、ケース270aに位置する内部空間240aと、内部空間240aの下方に位置するようにケース270aに位置し、内部空間240aと連通する連通空間260aと、複数の係合歯230aと、を含む。環状壁220aは内部空間240aに位置し、係合歯230aは内部空間240aに向かうように環状壁220aに設けられる。
【0038】
制動ユニット400aは、環状本体(図示せず)、2つの駆動ブロック490a、3つの案内部430a、3つの保持部410a、3つのクリック式係合アーム450a、3つの係止部460aおよび複数の嵌合係合歯470aを含み、3つの案内部430a、3つの保持部410aおよび3つのクリック式係合アーム450aが環状本体の外面に凸設され、2つの駆動ブロック490aが環状本体の内面に凸設され、3つの係止部460aがそれぞれ3つのクリック式係合アーム450aに位置し、且つ係止部460aが二歯構造を有し、更に、構造の安定性の向上に寄与することができる。
【0039】
ノブ500aは、ボス(図示せず)、案内軌道510a、2つの位置決めブロック540aおよび3つの押付ブロック530aを含み、案内軌道510aおよび3つの押付ブロック530aがノブ500aの内壁に設けられ、ボスと2つの位置決めブロック540aとの関係は、図3のボス520および2つの位置決めブロック540の構造と類似である。
【0040】
ノブ500aが第1の方向A1へ回転する場合、各押付ブロック530aは、各保持部410aが変形するように押し付けて、ノブ500aが制動ユニット400aに対して回転できるようにし、案内部430aが案内軌道510aにより案内されて案内軌道510aに対して軸方向に沿って上昇し、制動ユニット400aが第2の位置にあるように切り替える。それに対して、ノブ500aが第2の方向A2へ回転する場合、各押付ブロック530aは、各保持部410aが変形するように押し付け、ノブ500aが制動ユニット400aに対して回転できるようにし、案内部430aが案内軌道510aにより案内されて案内軌道510aに対して軸方向に沿って降下し、制動ユニット400aが第1の位置にあるように切り替える。
【0041】
締結装置100aは、更に、上歯部611aおよび下歯部612aを含む第1の伝達歯車610aと、外歯部622aおよび内歯部621aを含む第2の伝達歯車620aと、を含む。
【0042】
コイル300aは、コイル空間250aに収容され且つ嵌合歯部320aを含むが、第2の伝達歯車620aは、コイル300aの上方に設けられ、且つ内歯部621aが嵌合歯部320aに噛み合う。第1の伝達歯車610aが連通空間260aに設けられ、制動ユニット400aが内部空間240aに設けられ、第1の伝達歯車610aの上歯部611aが制動ユニット400aの嵌合係合歯470aに噛み合い、第1の伝達歯車610aの下歯部612aが第2の伝達歯車620aの外歯部622aに分離可能に噛み合う。
【0043】
図12に示すように、制動ユニット400aが第1の位置にあり、第1の伝達歯車610aの下歯部612aが第2の伝達歯車620aに噛み合う条件が満たされる場合、クリック式係合アーム450aの遠位端(図示せず)は、第1の方向A1において係合歯230aに噛み合うが、第2の方向A2において係合歯230aから絶えずに分離し、係止部460aは、位置が係合歯230aよりも相対的に低いので、係合歯230aに噛み合わない。そのため、第2の方向A2へノブ500aを回転させることで、制動ユニット400aを回転させてコイル300aが第1の方向A1へ回転して糸を回収するように連動させることができるが、ノブ500aが作動しない場合、クリック式係合アーム450aの遠位端は、コイル300aの回転を防止するように係合歯230aに当接し、ひもが放出されることを防止することができる。
【0044】
ノブ500を回転させることで案内部430aを案内軌道510aに沿って上昇させ、制動ユニット400aが第1の位置から第2の位置まで切り替えられるようにする。そのため、図13に示すように制動ユニット400aによって第1の伝達歯車610aが上昇するように回転させ、第1の伝達歯車610aの下歯部612aが第2の伝達歯車620aから分離する。この場合、コイル300aは、制動ユニット400aにより影響されず、第2の方向A2へ回転することができ、ひもを引くことでひもを放出することができる。この場合、制動ユニット400aが軸方向に沿って上昇することで、係止部460aと係合歯230aとの相対的位置が変えられ、係止部460aが係合歯230aに噛み合うようになる。
【0045】
本発明の実施例を前述の通りに開示したが、本発明はそれらに限定されず、当業者であれば、本発明の精神と範囲から逸脱しない限り、多様な変更や修飾を加えてもよい。従って本発明の保護範囲は、特許請求の範囲で指定した内容を基準とする。
【符号の説明】
【0046】
6、7、8 切断面線
100、100a 締結装置
200、200a ハウジングユニット
210、210a ベース
220、220a 環状壁
230、230a 係合歯
240、240a 内部空間
250a コイル空間
260a 連通空間
270a ケース
300、300a コイル
310 環状軌道
320、320a 嵌合歯部
400、400a 制動ユニット
410、410a、420 保持部
411、421 自由端
430、430a 案内部
440 環状本体
450、450a クリック式係合アーム
451 近位端
452 遠位端
460、460a 係止部
470、470a 嵌合係合歯
490a 駆動ブロック
491、492 バンプ
500、500a ノブ
510、510a 案内軌道
520 ボス
530a 押付ブロック
540、540a 位置決めブロック
610a 第1の伝達歯車
611a 上歯部
612a 下歯部
620a 第2の伝達歯車
621a 内歯部
622a 外歯部
A1 第1の方向
A2 第2の方向
1 第1の高さ
2 第2の高さ
L1 高さ中心線
1 第1の距離
2 第2の距離
I1 軸方向
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13