(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-01-16
(45)【発行日】2023-01-24
(54)【発明の名称】透明または部分的に透明な容器における液位を検出するための装置及び方法
(51)【国際特許分類】
G01N 21/41 20060101AFI20230117BHJP
G01N 21/55 20140101ALI20230117BHJP
A61M 16/00 20060101ALI20230117BHJP
【FI】
G01N21/41 Z
G01N21/55
A61M16/00 380
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2021013045
(22)【出願日】2021-01-29
(62)【分割の表示】P 2018557927の分割
【原出願日】2017-03-16
【審査請求日】2021-01-29
(32)【優先日】2016-05-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】516160429
【氏名又は名称】マリンクロット ホスピタル プロダクツ アイピー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100107489
【氏名又は名称】大塩 竹志
(72)【発明者】
【氏名】スコット アイ. ビバ
【審査官】横尾 雅一
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-305134(JP,A)
【文献】特開2008-006293(JP,A)
【文献】特開平10-318819(JP,A)
【文献】特開2011-172941(JP,A)
【文献】米国特許第05826575(US,A)
【文献】米国特許出願公開第2010/0134303(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 21/00 - G01N 21/61
A61M 16/00
G01F 13/00
G01F 23/14 - G01F 23/296
A62B 23/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
フィルタトラップ装置であって、
フィルタからの液滴を液体内容物として蓄積するように構成されているトラップボウルであって、前記トラップボウルは、垂直方向に延びている部分と、透明な垂直プリズムとを含み、前記透明な垂直プリズムは、前記部分の内容物に対して面する垂直透明表面を形成する面を含み、前記面は、前記部分の内容物がガスであるときに第1の全反射角を有し、前記面は、前記部分の内容物が前記液体内容物であるときに第2の全反射角を有する、トラップボウルと、
45度以下の入射角で前記面に入射する光ビームを放出するように構成されている光源と、
第1の光受信器であって、前記第1の光受信器は、受光器であり、前記面が前記第1の全反射角を有するとき、前記入射角によって前記光ビームの反射が生じて前記第1の光受信器に当たり、前記面が前記第2の全反射角を有するとき、前記入射角によって前記光ビームの屈折が生じて前記第1の光受信器を外す、第1の光受信器と、
第2の光受信器であって、前記第2の光受信器は、前記第1の光受信器からのオフセット光受信器である、第2の光受信器と、
第3の光受信器であって、前記第3の光受信器は、前記第1の光受信器から直径方向に対向する光受信器である、第3の光受信器と
を含む、フィルタトラップ装置。
【請求項2】
前記第1の光受信器は、光放出器/受信器の受信器要素であり、前記光源は、前記光放出器/受信器の放出器要素である、請求項1に記載のフィルタトラップ装置。
【請求項3】
前記フィルタトラップ装置は、調整可能な放出器/受信器支持部をさらに含み、前記調整可能な放出器/受信器支持部は、前記光放出器/受信器に取り付けられるように構成されている支持部要素と、選択的に駆動される上昇支持部とを含み、前記選択的に駆動される上昇支持部は、選択的な高さにおいて前記光放出器/受信器を前記垂直方向に支持する、請求項2に記載のフィルタトラップ装置。
【請求項4】
前記面は、第1の面であり、前記垂直透明表面は、第1の垂直透明表面であり、
前記透明な垂直プリズムは、第2の面をさらに含み、
前記第2の面は、前記部分の前記内容物に対して面する第2の垂直透明表面を形成し、前記第2の面は、前記部分の前記内容物が前記ガスであるときに前記第1の全反射角を有し、前記第2の面は、前記部分の前記内容物が前記液体内容物であるときに前記第2の全反射角を有する、請求項1に記載のフィルタトラップ装置。
【請求項5】
前記第1の面および前記第2の面は、頂点で交差し、前記頂点は、垂直であり、
前記夾角は、前記頂点から外側に半径方向に延びている基準二等分線の周りに対称的に配置されている、請求項4に記載のフィルタトラップ装置。
【請求項6】
前記光源は、前記光ビームをコリメート光ビームとして放出することと、前記コリメート光ビームを前記基準二等分線にほぼ平行な方向に放出することとを行うように構成されている、請求項5に記載のフィルタトラップ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、米国特許出願第62/331,117号(2016年5月3日に出願)、発明の名称「APPARATUS AND METHOD FOR DETECTING LIQUID LEVEL IN A CLEAR OR PARTIALLY CLEAR CONTAINER」に対して優先権を主張する。なおこの文献の内容は、本明細書において参照によりその全体において取り入れられている。
【0002】
本開示は全般的に、人工呼吸器及び/または治療ガス送達システム(たとえば、吸入一酸化窒素ガス送達システム)に付属する患者呼吸回路のサンプリングした吸気ガス流から、液体粒子を除去(たとえば、フィルタリング)して容器に収集するかまたはトラップすることに関する。
【背景技術】
【0003】
多くの患者にとって、治療ガス(たとえば、一酸化窒素ガス)を吸気ガス流内で受け取ることは有用であり得る。治療ガスは、たとえば、人工呼吸器(たとえば、一定流量人工呼吸器、可変流量人工呼吸器、高周波人工呼吸器、二層性気道陽圧人工呼吸器、またはBiPAP人工呼吸器など)に付属する呼吸回路から送出することができる。動作時には、治療ガスを、人工呼吸器装置の呼吸回路を流れる吸気ガス内に注入する場合がある。この吸入する治療ガスは多くの場合に、治療ガス送達システムを介して一定濃度で供給され、これは呼吸ガスに対する治療ガスの比例送出に基づいて与えられる。さらに、サンプリングシステム(たとえば、治療ガス送達システムに付属する)が、吸気ガス流を連続的に吸い込んで、少なくとも、吸気ガス流中の所望の投与量の治療ガスが患者に送出されていることを確認する場合がある。動作例には、サンプルポンプが吸気流を(たとえば、患者の近くで)引いて、所望の治療ガス濃度が実際に患者に送出されていることを確認することを含めることができる。
【0004】
このような治療ガスの1つは、一酸化窒素(iNO)の吸入であり、患者に血管拡張効果をもたらす治療ガスとして用いることができる。吸入されると、iNOは肺の血管を広げて、血液の酸素供給を向上させるとともに、たとえば肺の高血圧を下げる作用がある。したがって、一酸化窒素が、種々の肺病理学(たとえば、限定することなく、低酸素性呼吸不全(HRF)及び遷延性肺高血圧(PPH))を伴う患者に対して吸気ガス内に供給される。実際のiNO投与は一般的に、他の通常の吸入ガスと一緒にガスとして患者内に導入することによって行われる。たとえば、iNOを、iNO送達システムから、人工呼吸器に付属する患者呼吸回路の吸気流内に導入することができる。
【0005】
iNOとは別個に及び/またはそれとともに、患者は、液体粒子(たとえば、噴霧された医療溶液及び懸濁液、加湿空気からの水分など)及び/または他の粒子を含む吸気ガス流を受け取る場合がある。しかし、前述のように、iNO送達システムは、患者に送出されているiNOの投与を確認するサンプリングシステムを含む場合がある。吸気流中の液体粒子は、患者にさらなる利益を提供し得るが、サンプリングシステム(たとえば、ガス分析器)を汚染する場合がある。したがって、時によって、ガスサンプリングシステムの汚染を軽減するなどの目的で、サンプリングされた吸気ガス流から液体粒子及び/または他の粒子をフィルタリングする必要が生じる。
【0006】
吸気流から液体粒子をフィルタリングすることに関連して、除去された液体粒子をトラップすることが求められている。このようなトラップの種々の構成、及びトラップ内の流体レベルの検出を目的とした種々の技術が知られている。レベル検出のさらなる望ましい特徴として、トラップの種々の方向に対する許容性、トラップの適切な取り付けを検出する能力、単純さ、及び異なる容量のトラップに対する素早い適合性が挙げられ得る。したがって、必要とする患者に供給されている吸気ガス流からフィルタリングした液体粒子をトラップし、その蓄積レベルを検出する装置及び方法の改善が求められている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
概して言えば、本開示の態様は、湿度、水蒸気、噴霧された液体または他の液体成分を含むガス流から液体粒子を除去するろ過装置及び方法に関する。また粒子を除去してもよい。より具体的には、本開示の態様は、人工呼吸器及び/または治療ガス送達システム(たとえば、吸入一酸化窒素ガス送達システム)に付属する患者呼吸回路のサンプリングした吸気ガス流から、液体粒子及び/または粒子を除去するためのろ過装置及び方法に関する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
1つ以上の開示した実施形態は、フィルタトラップ装置であって、態様において、フィルタからの液滴を液体内容物として蓄積するように構成されたトラップボウルを含むことができ、付随する透明な円周プリズムを有するかまたは提供することができるフィルタトラップ装置に関する。面は、一態様では、トラップボウルの円周内面を形成することができる。面は、1つ以上の実施態様によれば、ガスが円周内面と接触しているときに第1の全反射角を提供し、液体内容物が円周内面と接触しているときに第2の全反射角を提供することができる。一態様では、フィルタトラップ装置はまた、面に入射角で入射する光ビームを放出するように構成することができる光源を含むことができ、受光器を含むことができる。一態様では、透明な円周プリズムの光屈折率を、面が第1の全反射角を有するときに入射角によって光ビームの反射が生じて受光器に当たるように、また面が第2の全反射角を有するときに光ビームの屈折が生じて受光器を外すことができるように、選択することができる。
【0009】
一態様では、フィルタトラップ装置はさらにフィルタを含むことができる。さらなる態様によれば、フィルタは進入通路、退出通路、及び中間通路を含むことができる。1つ以上の実施態様において、フィルタを、進入通路において治療ガスのサンプルを受け取って、治療ガスから液滴を除去してフィルタリング済み治療ガスを形成し、中間通路を通して液滴を送出し、ガス退出通路からフィルタリング済み治療ガスを出力するように構成することができる。
【0010】
一態様では、面は上面とすることができ、トラップボウルの円周内面は上部円周内面とすることができるか、または上部円周内面を形成することができる。透明な円周プリズムは、1つ以上のさらなる態様によれば、下面を含むこともでき、下面はトラップボウルの下部円周内面を形成することができる。1つ以上の実施態様において、上面及び下面は、一態様ではトラップボウルの周りで円周に外側に開くことができる夾角を形成することができる。さらなる態様では、上面及び下面は、トラップボウルの周りで円周となり得る頂点で交差することができる。典型的な態様では、角度は基準二等分線の周りに対称的に配置することができる。基準二等分線それ自体は、頂点から外側に延びることができる。
【0011】
1つ以上の実施態様によれば、光源を、光ビームをコリメート光ビームとして放出するように構成することができ、またコリメート光ビームを基準二等分線にほぼ平行な方向に放出することができる。一態様では、トラップボウルの回転配向とは関係なく、入射角によって、面が第1の全反射角を有するときに光ビームの反射が生じて受光器に当たり、面が第2の全反射角を有するときに光ビームの屈折が生じて受光器を外す。一態様では、基準二等分線は、トラップボウルの周りに円周で頂点を含む基準円錐内で延びることができる。1つ以上の実施態様に加えて、夾角は約90度とすることができる。また、1つ以上の実施態様において、入射角は約45度とすることができる。
【0012】
一態様では、透明な円周プリズムはさらに光ビーム受光面を含むことができる。1つの関連する態様では、コリメート光ビームは光ビーム受光面に入射点で入射することができ、この場合、光ビーム受光面に対して入射点において接線方向にある基準面がコリメート光ビームに垂直である。光ビーム受光面は、1つ以上の実施態様において、トラップボウルの外面の周りで円周に延びる斜面とすることができる。
【0013】
1つ以上の開示されるさらなる実施形態はまた、一態様では、フィルタからの液滴を液体内容物として蓄積するように構成されたトラップボウルを含むことができるフィルタトラップ装置に関する。一態様では、トラップボウルは垂直に延びる部分を含むことができ、また透明な垂直プリズムを含むことができる。透明な垂直プリズムは、一態様によれば、部分の内容物に対して面する垂直透明表面を形成することができる面を含むことができる。さらなる態様では、面を、部分の内容物がガスであるときに第1の全反射角を提供し、部分の内容物が液体内容物であるときに第2の全反射角を提供するように構成することができる。1つまたは実施態様による典型的なフィルタトラップ装置はまた、面に入射角で入射する光ビームを放出するように構成された光源と、受光器とを含むことができる。一態様では、入射角とともに光屈折率のある関係または比によって、面が第1の全反射角を有するときに光ビームの反射が生じて受光器に当たり、面が第2の全反射角を有するときに光ビームの屈折が生じて受光器を外す。
【0014】
1つ以上の実施態様において、フィルタトラップ装置はまた、光放出器/受信器に取り付けられるように構成された支持部要素を含むことができる調整可能な放出器/受信器支持部を含むことができる。一態様では、調整可能な放出器/受信器支持部はまた、光放出器/受信器を垂直方向の選択的高さで支持する選択的に駆動される上昇支持部を含むことができる。
【0015】
一態様では、面は第1の面とすることができ、また垂直透明表面は第1の垂直透明表面とすることができる。さらなる態様によれば、透明な垂直プリズムはさらに第2の面を含むことができ、第2の面は、部分の内容物に対して面する第2の垂直透明表面を形成することができる。一態様では、第2の面はまた、部分の内容物がガスであるときに第1の全反射角を提供し、部分の内容物が液体内容物であるときに第2の全反射角を提供することができる。
【0016】
1つ以上の開示する実施形態は、態様では、フィルタからの液滴を液体内容物として蓄積するように構成されたトラップボウルを含むことができるフィルタトラップ装置に関する。一態様では、トラップボウルは、垂直に延びることができる透明な円形部分を含むことができる。透明な円形部分は、1つ以上の態様によれば、光学屈折率を有する材料で形成することができる。1つの実施態様では、フィルタトラップ装置は、透明な円形部分の外面に入射する光ビームを放出するように構成されたオフセット光源を含むことができる。一態様では、入射点において、光ビームは、入射点において接線方向にある基準線に平行なベクトル成分とともに、入射点において基準線に垂直なベクトル成分を含むことができる。1つ以上の実施態様によれば、フィルタトラップ装置はオフセット受光器を含むことができる。前述のように、1つ以上の態様において、透明な円形部分に対する材料を、特に選択された光学屈折率を有する材料で形成することができる。このような態様は、光学屈折率の選択を、ガス内容物が透明な部分に接触するときに光ビームは第1の経路に沿って屈折され、液体内容物が透明な部分に接触するときに光ビームは第2の経路に沿って屈折されるように行うことを含むことができる。第1の経路は受光器に入射し、第2の経路は受光器を外す。
【0017】
本開示の他の特長及び態様は、以下の詳細な説明、図面、及び請求項から明らかである。
例えば、本願は以下の項目を提供する。
(項目1)
フィルタトラップ装置であって、
フィルタからの液滴を液体内容物として蓄積するように構成されたトラップボウルであって、透明な円周プリズムを含み、前記円周プリズムは、前記トラップボウルの円周内面を形成する面を有し、前記面は、ガスが前記円周内面に接触するときに第1の全反射角を有し、前記液体内容物が前記円周内面に接触するときに第2の全反射角を有する、前記トラップボウルと、
前記面に入射角で入射する光ビームを放出するように構成された光源と、
受光器であって、前記入射角によって、前記面が前記第1の全反射角を有するときに前記光ビームの反射が生じて前記受光器に当たり、前記面が前記第2の全反射角を有するときに前記光ビームの屈折が生じて前記受光器を外す、前記受光器と、を含む前記フィルタトラップ装置。
(項目2)
さらに前記フィルタを含み、
前記フィルタは進入通路、退出通路、及び中間通路を含み、
前記フィルタは、前記進入通路において治療ガスのサンプルを受け取り、前記治療ガスから前記液滴を除去して、フィルタリング済み治療ガスを形成し、前記中間通路を通して前記液滴を送出し、前記フィルタリング済み治療ガスを前記ガス退出通路から出力するように構成されている、項目1に記載のフィルタトラップ装置。
(項目3)
前記面は上面であり、
前記トラップボウルの前記円周内面は上部円周内面であり、
前記透明な円周プリズムはさらに下面を含み、
前記下面は前記トラップボウルの下部円周内面を形成し、
前記上面と前記下面とは、前記トラップボウルの周りで円周に外側に開く夾角を形成する、項目1に記載のフィルタトラップ装置。
(項目4)
前記上面と前記下面とは頂点で交差し、前記頂点は前記トラップボウルの周りに円周であり、
前記夾角は、前記頂点から外側に延びる基準二等分線の周りに対称的に配置される、請求項3に記載のフィルタトラップ装置。
(項目5)
前記光源は、前記光ビームをコリメート光ビームとして放出し、前記コリメート光ビームを前記基準二等分線にほぼ平行な方向に放出するように構成されている、項目4に記載のフィルタトラップ装置。
(項目6)
前記トラップボウルの回転配向とは関係なく、前記入射角によって、前記面が前記第1の全反射角を有するときに前記光ビームの反射が生じて前記受光器に当たり、前記面が前記第2の全反射角を有するときに前記光ビームの屈折が生じて前記受光器を外す、項目5に記載のフィルタトラップ装置。
(項目7)
前記基準二等分線は、前記トラップボウルの周りに円周で前記頂点を含む基準円錐内で延びる、項目5に記載のフィルタトラップ装置。
(項目8)
前記夾角は約90度である項目5に記載のフィルタトラップ装置。
(項目9)
前記入射角は約45度である項目8に記載のフィルタトラップ装置。
(項目10)
前記透明な円周プリズムはさらに光ビーム受光面を含み、
前記コリメート光ビームは前記光ビーム受光面に入射点で入射し、
前記光ビーム受光面に対して前記入射点において接線方向にある基準面が、前記コリメート光ビームに垂直である、項目5に記載の基準トラップ装置。
(項目11)
前記夾角は約90度であり、前記入射角は約45度であり、
前記光ビーム受光面は、前記トラップボウルの外面の周りで円周に延びる斜面である、項目10に記載のフィルタトラップ装置。
(項目12)
さらに前記フィルタを含み、
前記フィルタは、進入通路、退出通路、及び中間通路を含み、
前記フィルタは、前記進入通路において治療ガスのサンプルを受け取り、前記治療ガスから前記液滴を除去して、フィルタリング済み治療ガスを形成し、前記中間通路を通して前記液滴を送出し、前記フィルタリング済み治療ガスを前記ガス退出通路から出力するように構成されている、項目1に記載のフィルタトラップ装置。
(項目13)
フィルタトラップ装置であって、
フィルタからの液滴を液体内容物として蓄積するように構成されたトラップボウルであって、前記トラップボウルは、垂直に延びる部分と、透明な垂直プリズムとを含み、前記透明な垂直プリズムは、前記部分の内容物に対して面する垂直透明表面を形成する面を含み、前記面は、前記部分の内容物がガスであるときに第1の全反射角を有し、前記前記部分の内容物が前記液体内容物であるときに第2の全反射角を有する、前記トラップボウルと、
前記面に入射角で入射する光ビームを放出するように構成された光源と、
受光器であって、前記入射角によって、前記面が前記第1の全反射角を有するときに前記光ビームの反射が生じて前記受光器に当たり、前記面が前記第2の全反射角を有するときに前記光ビームの屈折が生じて前記受光器を外す、前記受光器と、を含む前記フィルタトラップ装置。
(項目14)
前記受光器は光放出器/受信器の受信器要素であり、前記光源は前記光放出器/受信器の放出器要素である、項目13に記載のフィルタトラップ装置。
(項目15)
調整可能な放出器/受信器支持部をさらに含み、前記調整可能な放出器/受信器支持部は、前記光放出器/受信器に取り付けられるように構成された支持部要素と、前記光放出器/受信器を前記垂直方向の選択的高さに支持する選択的に駆動される上昇支持部と、を含む項目14に記載のフィルタトラップ装置。
(項目16)
前記面は第1の面であり、前記垂直透明表面は第1の垂直透明表面であり、
前記透明な垂直プリズムはさらに第2の面を含み、
前記第2の面は、前記部分の前記内容物に対して面する第2の垂直透明表面を形成し、前記第2の面は、前記部分の前記内容物が前記ガスであるときに前記第1の全反射角を有し、前記部分の前記内容物が前記液体内容物であるときに前記第2の全反射角を有する、項目13に記載のフィルタトラップ装置。
(項目17)
前記第1の面と前記第2の面とは頂点で交差し、前記頂点は垂直であり、
前記夾角は、前記頂点から外側に半径方向に延びる基準二等分線の周りに対称的に配置される、項目16に記載のフィルタトラップ装置。
(項目18)
前記光源は、前記光ビームをコリメート光ビームとして放出し、前記コリメート光ビームを前記基準二等分線にほぼ平行な方向に放出するように構成されている、項目17に記載のフィルタトラップ装置。
(項目19)
フィルタトラップ装置であって、
フィルタからの液滴を液体内容物として蓄積するように構成されたトラップボウルであって、前記トラップボウルは、垂直に延びる透明な円形部分を含み、前記透明な円形部分は、光学屈折率を有する材料で形成されている、前記トラップボウルと、
前記透明な円形部分の外面に入射点で入射する光ビームを放出するように構成されたオフセット光源であって、前記光ビームは、前記入射点において接線方向にある基準線に平行なベクトル成分を有し、前記入射点における前記基準線に垂直なベクトル成分を有する、前記オフセット光源と、
オフセット受光器であって、
前記光学屈折率の選択は、ガス内容物が前記透明な部分に接触するときに前記光ビームは第1の経路に沿って屈折され、前記液体内容物が前記透明な部分に接触するときに前記光ビームは第2の経路に沿って屈折されるように行われ、
前記第1の経路は前記受光器に入射し、前記第2の経路は前記受光器を外す、前記オフセット受光器と、を含む前記フィルタトラップ装置。
(項目20)
治療ガス吸入治療のための方法であって、
治療ガス送達システムを電源オンにし、それに応じて、トラップボウルが適切に取り付けられているか否かを、第1の光学センサ出力に基づいて判定することと、
前記トラップボウルが適切に取り付けられていると判定したら、前記トラップボウルに残存容量があるか否かを、少なくとも部分的に第2の光学センサ出力に基づいて判定することと、
前記トラップボウルが適切に取り付けられていると判定し、それととともに、前記トラップボウルに残存容量があると判定したら、サンプルガスを受け取り、前記サンプルガスから液体をフィルタリングし、前記フィルタリングの結果を前記フィルタリングの出力によって送出することと、を含む前記方法。
【0018】
本開示の特長及び優位点は、以下の詳細な説明を添付の図とともに参照することでより十分に理解される。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1A】1つ以上の実施形態により、円周プリズムと斜めの光ビーム放出器/検出器とを含むフィルタ及び充填レベル検出トラップアセンブリの1つの実施態様と、動作充填レベルに応じた円周プリズムによる戻り反射の態様例との正面断面図である。
【
図1B】
図1Aのトラップボウルの一部の、
図1Aの切断面投影2-2から見た正面図であり、1つ以上の実施形態による典型的な円周プリズムの上部プリズム面を示す図である。
【
図1C】
図1Aのフィルタ及び充填レベル検出トラップアセンブリを例示する図であり、1つ以上の実施形態により、トラップボウル内の流体の最大を超える充填レベル例と、斜めの光ビームの屈折した非戻りにより結果として生じる検出とを伴う図である。
【
図2】
図1Aのフィルタハウジングから分離された、1つ以上の実施形態による円周プリズムを含むトラップボウルの分離例を、
図1Aと同じ投影から見た部分分解図により例示する図である。
【
図3】1つ以上の実施形態による1つの典型的なトラップボウル取付構造の
図1Aの切断面投影1-1から見た正面図である。
【
図4】1つ以上の実施形態による患者に治療ガスを送出するための方法において、トラップボウル取り付けと充填レベルとを検証することを含む、患者にガス治療を施すプロセスにおける典型的な動作のブロック表現を示す図である。
【
図5】1つ以上の実施形態による垂直プリズム及び光ビームによる充填レベル及びトラップボウル位置合わせ検出を含むフィルタ及びトラップアセンブリの1つの実施態様、ならびに動作充填レベル及び適切に取り付けられたトラップボウルに応じた光ビームの戻り反射例のある特徴の正面断面図である。
【
図6】1つ以上の実施形態による、
図5に示すフィルタ及びトラップボウルアセンブリの垂直プリズムを伴う典型的なトラップボウルの1つの斜視図を示す図である。
【
図7】
図5の投影3-3から見た断面図であり、光ビームの表現がない図である。
【
図8】
図5の投影3-3から見た断面図であって、光ビームの表現がなく、動作充填レベル及び適切に取り付けられたトラップボウルに応じた光ビームの戻り反射の
図5に示す態様例の図である。
【
図9】1つ以上の典型的な実施形態による過充填状態例と光ビームの対応する屈折した非戻りの部分とを
図5と同じ正面断面図から見た図である。
【
図10】
図9の投影4-4から見た投影図であって、1つ以上の対応する実施形態による適切に取り付けられたトラップボウルの過充填状態例に応じた光ビームの屈折した非戻りの図である。
【
図11】Aは、1つ以上の実施形態による充填レベル及びトラップボウル取り付けの検出に向けられた、オフセット光検出器を含むフィルタ及び垂直プリズムトラップボウルアセンブリの一実施態様例の
図5の投影3-3から見た投影図である。B及びCは、Aと同じ投影から、オフセット光検出器によって得ることができるさらなる能力を例示する図である。
【
図12】1つ以上の実施形態により屈折ベースの充填レベル検出が得られるオフセット放出器ビームとオフセット検出器とを含むフィルタ及びトラップアセンブリの別の実施態様の
図5の投影3-3から見た投影図である。
【
図13】1つ以上の実施形態による患者に治療ガスを送出するための方法において、トラップボウル充填状態例を検出する
図11A、11B、11C、及び
図12の実施態様の1つ以上で行うプロセスにおける典型的な動作のブロックフロー表現を示す図である。
【
図14】1つ以上の実施形態による呼吸ガス供給装置におけるフィルタ及びレベル検出トラップアセンブリの1つの典型的な実施態様の様相を例示的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本開示は全般的に、専用のろ過によって除去されてトラップ容器に収集されると集まって液体状態となるガス中に浮遊するかまたは他の方法で保持された特定の材料をトラップすることに関する。除去してトラップ容器に収集すべき特定の材料としては、たとえば、水蒸気、蒸気状態の他の液体、他の噴霧された液体、噴霧された医療溶液及び懸濁液などが挙げられる。いくつかの実施態様では、材料の除去及びトラッピングは、患者に治療ガスを送出する状況(たとえば、患者が人工呼吸器回路から呼吸ガス(硝酸及び他の治療ガスを含むことができる)を受け取る)で行なうことができる。たとえば、実施態様には、吸気リムを通過している呼吸ガスのサンプルからのこのような特定の材料の除去を、サンプリング装置にサンプルを通す前に行うことを含むことができる。サンプリング装置は、少なくとも投与(たとえば、一酸化窒素濃度など)、ならびに他のパラメータ(たとえば、二酸化窒素濃度、酸素濃度など)を連続的に確認するように構成することができる。呼吸ガス源とサンプリング装置との間に取り付けることができ、その結果、汚染を減らして、たとえば、サンプリング装置の動作及び/または寿命を向上させ得る。
【0021】
サンプルガスがサンプリング装置に達する前に、浮遊または連行水蒸気または他の液体成分をフィルタリングする考え方は、時によって「水分トラップ」または「フィルタトラップ」と言う場合がある。しかし、本開示は、水分のみではなくそれ以上(たとえば、種々の噴霧された投薬など)を除去することができるいくつかの実施態様に関する。
【0022】
液体粒子及び/または粒子という用語は、本明細書ではその最も広い意味で用いて、ありとあらゆる粒子、液体または固体、有機または無機を包含する。これらは、ガス流、たとえば、限定することなく、噴霧された医療溶液及び懸濁液、エアロゾル、加湿空気からの水分、または他の汚染物質であって、呼吸回路を介して送出される処置からもたらされる患者呼吸回路内に存在するものであり得る。時によって、液体粒子、粒子、物質という用語などを別個に用いるか、または除去すべき材料の共通グループを指すために用いる。
【0023】
「フィルタ」及び「ろ過」という用語は、本明細書ではその最も広い意味で用いて、ガスからの液体のありとあらゆる種々のタイプ及び程度の除去または分離を包含する場合があり、また場合によっては、存在するならば他の非液体粒子の除去を含んでいてもよい。
【0024】
図1Aに、1つ以上の実施形態による円周プリズム及び光ビーム放出器/検出器を含むフィルタ及び充填レベル検出トラップアセンブリ100の1つの実施態様の正面断面図を例示する。
図1Aにさらに、動作充填レベルに応じた1つ以上の実施形態による円周プリズムによる戻り反射の態様例を例示する。
【0025】
図1Aを参照すると、フィルタ及び充填レベル検出トラップアセンブリ100は、トラップボウル106の上方に配置されたフィルタ(たとえば、フィルタ例104)を保持するように成形及び寸法取りされたフィルタハウジング102を含むことができる。フィルタ104の動作には、フィルタ進入通路108を通して治療ガスのサンプルを受け取り、その後に、サンプルから液体を液滴LDとして除去し、それをトラップボウル106内に堆積させ、その後に、フィルタリング済みサンプルガスをフィルタ退出通路110から放出することを含むことができる。フィルタ104は、トラップボウル内に液体液滴LDを入れることができるフィルタの第1の中間通路112と、トラップボウル108からサンプルガスを通過させてフィルタ退出通路110を通して外へ出すためのフィルタの第2の中間通路114とを含むことができる。フィルタ104を通るサンプルガスの流れ例、及びトラップボウル106の液滴LDによる関連する充填については、後でより詳細に説明する。しかし、フィルタ104の内部構造のさらなる詳細な説明は、1つ以上の実施形態を用いる例を当業者が作って用いるのに十分な開示の考え方の理解に達するのに必要ではなく、したがって省略する。
【0026】
図1Aに例示したフィルタハウジング102及びフィルタ104の形状及び相対寸法は単に例を目的としており、本開示の範囲またはその考え方により実施するための実施態様を意図していないことが理解されよう。
【0027】
図1Aを参照すると、1つ以上の実施態様において、トラップボウル106は円周プリズム116を含むことができる。関連する態様において、少なくとも、円周プリズム116を形成するトラップボウル106のこのような部分を、透明とすることができる。
【0028】
トラップボウル106の状況における「透明な」は、肉眼に対する「透視型」可視性に限定されないことが理解されよう。たとえば、当業者であれば分かるように、「透明な」の意味の範囲内である透過率は、少なくとも部分的に、係数、たとえばコリメート光ビームCBの強度、光路の長さ(少なくとも部分的にはトラップボウル106の厚さ及びサイズによって決定される)、円周プリズム116の断面寸法、及び光送受信器118の光検出器部分の感度に依存する可能性がある。
【0029】
1つの実施態様では、円周プリズム116はトラップボウル106の一部をなすことができ、たとえば、
図1Aに示すように、トラップボウル106の外面の特定の構成として一部をなすことができる。他の実施態様(その例について、本開示において後でより詳細に説明する)では、円周プリズム116を別個に形成して、トラップボウル106に取り付けることができる。
【0030】
一態様では、円周プリズム116は、上部プリズム面116Uと下部プリズム面116Lとを含むことができる。これらは、断面で見たときに、V字形配置の円周面を形成することができる。この円周面は、頂点120Vから、二等分線BLの周りで対称的に外側方向に開く夾角θ1を形成する。
【0031】
図1Bに例示するのは、
図1Aトラップボウル106の一部の、
図1Aの切断面投影2-2から見た正面図であり、上部プリズム面116U及び頂点116Vの円周構成を示す図である。
図1Aの切断面投影2-2から見ると、下部プリズム面116L(はっきりと示してはいないが)は上部プリズム面116Uの下方にあり、これと位置合わせされている。
【0032】
図1Aを参照すると、フィルタ及び充填レベル検出トラップアセンブリ100は、光送受信器118を含むことができる。光送受信器118は、たとえば、コリメート光ビーム(以下に「CB」)を放出することと、このような光の受信を検出することとの両方を行うように構成することができる。一態様では、光送受信器118を、上部プリズム面116Uと下部プリズム面116Lとの間の夾角θ1の二等分線BLに平行またはほぼ平行な方向にCBを放出するように構成及び配置することができる。一態様では、トラップボウル106は、光送信/受信器118の放出器からCBを受け取るための外部の光ビーム受光面106Aを有することができる。外部の光ビーム受光面106Aは、たとえば、円周斜面とすることができる。円周斜面は二等分線BLに対して垂直に構成することができる。CBは二等分線BLに平行またはほぼ平行であるため、CBは外部の光ビーム受光面106A(すなわち、円周斜面)に垂直入射で当たり、その結果、CBの屈折が回避される。したがって、コリメートビームCBは進んで、上部プリズム面116Uに、夾角θ1の約1/2である入射角θ2で当たる。
【0033】
円周プリズム116の上方へ上昇する上面TSLの検出を行うためにCBが通過するトラップボウル106の透明部分を形成する材料に対する光屈折率の選択例(「N1」と言う)について、次に説明する。
【0034】
図1Aを参照すると、トラップした液体TLの上面TSLが上部プリズム面116Uに達するまで、その上部プリズム面116Uに接触するトラップボウル106内の物質は、実質的な含水量を伴わない空気(または別のガス)である。乾燥空気または乾燥ガスの光屈折率を「N2」と言う。この説明の目的上、N2を整数1と見積もる。トラップした液体TLの表面TSLが上部プリズム面116Uに達すると、水に類似した光屈折率(「N3」と言う)を有する水または別の液体が、上部プリズム面に接触する。この説明の目的上、トラップした液体TLは水であると想定し、N3を1.5と見積もることができる。
【0035】
スネルの法則によれば、上部プリズム面116Uに対するCBの入射角θ2が、下式(1)で規定される全反射角度「TFA」を満足するかまたは超えた場合、CBは上部プリズム面116Uから全反射されて、第1の全反射光ビーム(以下に「CBF」)として離れる。
【0036】
TFA=Sin-1(N3/N1)方程式(1)
【0037】
説明の目的上、θ1値例として約90度を想定し、たとえば、上部プリズム面116Uは下部プリズム面116Lに対してほぼ垂直である。そのため、CBは二等分線BLと位置が合っていると想定すると、入射角θ2はθ1の1/2(すなわち、約45度)である。
【0038】
CBの全反射(θ2は約45度であるという想定で)となるN3の必要な値を、45度及びN1=1を方程式(1)に入れることによって、以下のように解くことができる。
【0039】
45=Sin-1(1/N3)→Sin(45)=1/N3→N3=1/Sin(45)≒1/.707、または1.41
【0040】
したがって、CBが上部プリズム面116Uに当たるときに通過するトラップボウル108の透明材料の屈折率が1.41よりも大きい場合、CBは上部プリズム面116Uから全反射される。
【0041】
説明の目的上、透明なポリカーボネート(光学屈折率は約1.6)を、CBが上部プリズム面116Uに当たるときに通過するトラップボウル106の透明材料例として用いる。1.6は1.41よりも大きいため、CBは上部プリズム面116Uによって全反射される。実際には、N3=1.6及びN1=1を方程式(1)に入れて、全反射角度TFAに対して以下の値が得られる。
【0042】
Sin-1(1/1.6)≒38.5度
【0043】
前述のように、上部プリズム面116UからのCBFの離脱角はθ2と同じであり、約45度である。
図1A例では、上部プリズム面116Lと下部プリズム面116Uとが垂直であるため、CBFは下部プリズム面116Lにθ2と同じ入射角(すなわち、約45度)で当たる。トラップした液体TLの上面TSLが下部プリズム面116Lに達していないと想定すると、したがって、CBFは下部プリズム面116Lによって全反射されて、第2の全反射光ビーム(以下に「CBS」)として離れる。CBSに対する離脱角(示してはいるが、別個に標示してはいない)はθ2と同じ(すなわち、約45度)である。したがって、CBSは戻って光送受信器118の光受信器(
図1Aに別個に示してはいない)に当たる。
【0044】
図1Cに例示するのは、
図1Aのフィルタ及び充填レベル検出トラップアセンブリであり、トラップボウル106内の流体TLの最大を超える充填レベル例と、結果として生じるCBの屈折した経路とを伴う図である。
図1Cを参照すると、図示した最大を超える充填状態では、上部プリズム面116Uに接触するTLの物質は、水または類似の特性の流体(屈折率N2が約1.5)である。引き続き、ポリカーボネート(N3が約1.6)がトラップボウル110の透明領域を形成する材料であるとして、N2をN1に代入して、方程式(1)によって、
図1Cの最大を超える状態におけるCBの全反射角度に対して以下の値が得られる。
【0045】
全反射(過充填状態)=Sin-1(1.5/1.6)≒70度
【0046】
45度は70度よりも小さいため、CBは上部プリズム面116Uから全反射されず、その代わりに、屈折ビーム(以下、図に標示するように「CRB」)として流体TL内に進み続ける。したがって、光送受信器118の光受信器に戻る光ビームはない。
【0047】
一態様では、円周プリズム116を有するトラップボウル106をフィルタハウジング102から選択的に取り外して、サービスまたは交換に備えることができる。
図2に、フィルタ及び充填レベル検出トラップアセンブリ100の部分分解図により、フィルタハウジング102からのトラップボウル106の取り外しを例示する。一態様では、フィルタハウジング102へのトラップボウル106の選択的な取り付け及びそれからの取り外しを、たとえば、トラップハウジング102のトラップボウル取付け特徴部とトラップボウル106の上部取り付け部分との機械的協同によって行うことができる。
【0048】
フィルタハウジング102のトラップボウル取付け特徴部に対する一構造例について、
図1A、1B、及び3を参照して説明する。
図1Cは、
図1Aの切断面投影2-2から見た正面図を例示する。
図1A及び3を参照すると、一態様では、トラップボウル取り付け部材120をフィルタハウジング102の下部に設けることができる。トラップボウル取り付け部材120の1つの実施態様は、円形外壁122(中心がCRにある)を含むことができる。円形外壁122は、
図1Aで分かるように、方向DRに距離D1だけ突き出ることができ、中心CRから半径方向に延びる半径R1を有することができる。方向DRは、たとえば、「下方」(すなわち、地面に向けて)とすることができる。
【0049】
図1A及び1Bを参照すると、一態様では、トラップボウル106は上部取り付け部分106Aを含むことができる。上部取り付け部分106Aは、半径R2及び深さD2を有する円形容器106Sを形成することができる。一態様では、円形容器106Sと円形外壁122との機械的協同を、半径R2をR1よりもわずかに大きく設定して、外側ネジ山(図でははっきりと示してはいない)を円形外壁122上に構成して、対応する内側ネジ山を円形容器106S上に構成することによってもたらすことができる。便宜上、円形外壁122上の外側ネジ山、及び円形容器表面106S上の対応する内側ネジ山を、「トラップボウル取り付けネジ山」(図でははっきりと示してはいない)として一括して参照することができる。トラップボウル取り付けネジ山が「左回り」であるか「右回り」であるかは、応用例に特有とすることができ、少なくとも部分的にはデザイン上の選択であってもよい。
【0050】
一態様では、
図2に示すようにトラップボウル106を取り外すかまたは分離することが、トラップボウル106を第1の回転方向(すなわち反時計回りかまたは時計回り)に、フィルタハウジング102から離れるまで回転させることによって可能である。トラップボウル106を交換することが、円形外壁122を円形容器106Sと位置合わせし、トラップボウル取り付けネジ山を嵌合させて、トラップボウル106を反対または第2の回転方向(すなわち、時計回りかまたは反時計回り)に回転させることによって行うことができる。
【0051】
図1Aを参照すると、1つの実施態様では、少なくとも1つのシール受け取り溝(たとえば典型例のシール溝124)を円形外壁122、または円形容器106S、または両方に形成することができる。シール溝124または同等物を、対応する液密シール部材(たとえば、典型例の液密シール部材126)に対する支持部となるように成形及び寸法取りすることができる。液密シール部材126の一実施態様例には従来の「Oリング」を含むことができる。
【0052】
前述のように、フィルタ104を、フィルタ進入通路108、フィルタの第1の中間通路112、フィルタの第2の中間通路114、及びフィルタ退出通路110を用いて構成することができる。1つ以上の実施態様において、フィルタハウジング102はフィルタハウジング進入通路128とフィルタハウジング退出通路130とを含むことができる。一態様では、フィルタハウジング102及びフィルタ104を、フィルタハウジング進入通路128がフィルタ進入通路108と実質的に位置が合い、フィルタハウジング退出通路130がフィルタ退出通路110と実質的に位置が合うように、構成することができる。
【0053】
図1Aを参照すると、フィルタ104の動作例、及び結果として生じるトラップボウル106の充填について説明する。便宜上、
図1Aは治療ガス流が重なった図を有しており、部分に分けて「GF」、「GI」、及び「GT」として標示している。また説明の便宜上、ガス流部分GFを「未フィルタリングのガスGF」と言い、ガス流部分GIを「中間のフィルタリング済みガスGI」と言い、ガス流部分GTを「最終のフィルタリング済みガスGT」と言う。動作には、未フィルタリングのガスGFがフィルタハウジング進入通路128に入って、フィルタ進入通路108内に進むことを含めることができ、その際、フィルタ104の第1の動作(
図1Aでははっきり示していない構造及び動作によって行なうことができる)によって、治療ガスから液体粒子の一部または全部を除去することができる。結果として生じた中間のフィルタリング済みガスGIは次に、フィルタの第1の中間通路112を通って出て、トラップボウル106内の残存容量スペースRCに入ることができる。フィルタの第1の中間通路112を通って下方に落ちて上面TSL上まで行くのは、液滴LDとなることができる。液滴LDは未フィルタリングのガスGFから除去されて、中間のフィルタリング済みガスGIが得られる。中間のフィルタリング済みガスGIを残存容量スペースRC内に強制する圧力によって促されて、中間のフィルタリング済みガスGIはフィルタの第2の中間通路114に入ることができる。一態様では、中間のフィルタリング済みガスGIは次に、フィルタ104内のさらなるフィルタリング構造(
図1Aには示されていない)を通って、最終のフィルタリング済みガスGTを実現することができる。これは、フィルタ退出通路110及びフィルタハウジング退出通路130を通って出る。1つの代替的な実施態様では、フィルタ104のすべてまたは実質的にすべての液体除去機能を、中間のフィルタリング済みガスGIがフィルタの第1の中間通路112を出る前に行うことができる。
【0054】
図4に示すのは、1つ以上の実施形態による、患者に治療ガスを送出するための方法におけるトラップボウル取り付け及び液位を検証するプロセスにおける典型的な動作を表すブロックフロー400である。便宜上、フロー400におけるある特定の動作の性能例について、
図1A~1Dを参照して説明する。
図4を参照すると、フロー400における動作は開始イベント402で開始し、それから判定ブロック404に進むことができる。開始イベントの例として、治療ガス送達システム(たとえば、本開示において後で
図14を参照して説明するシステム例1400)を電源オンすることが挙げられる。一態様では、開始イベント402における動作として、たとえば、送信/受信器118にパワーを印加してコリメートビームCBを放出することが挙げられる。
【0055】
フロー400は、判定ブロック404から、反射光ビームを受信したか否かにより進むことができる。404におけるすべての説明、動作は、
図1Aの光送信/受信器118が反射CBSビームを受信したか否かの判定を含むことができる。「YES」は、トラップボウルたとえばトラップボウル106が取り付けられて、流体(たとえば、流体TL)の動作レベル(たとえば、空から最大充填直前までのどこか)を有することを示す。フロー400は次に406に進んで、サンプルガスを、たとえば患者に送出されている治療ガスから受け取る動作を行い、次に408に進んで、反射光ビームを依然として受信しているか否かを判定することができる。408における応答が「YES」である場合、フローは一巡して406に戻ることができる。ブロック406及び408のループ配置は、必ずしも順次ループを意味しないことが理解されよう。たとえば、ブロック406及び408は「まで続ける」プロセスを表すことができる。たとえば、中断(たとえば、反射光ビームの受信の停止による)までサンプルガスを受け続けることである。408において「NO」を受け取るかまたは肯定的に検出すると、フロー400は410に進んで、ユーザまたは付添人にトラップ容器を空にすること(たとえば、トラップボウル106を取り外して、空にして、それを再び取り付けること)を通知することができる。次にフロー400は404に戻ることができ、前述の動作の繰り返しが想定される。
【0056】
前述した動作例では、判定ブロック404において「YES」を想定している。404において「NO」の場合、反射光ビームを受信しないことを示し、たとえば、光送信/受信器118がCBSビームを受信しなかった。一解決プロセス例では、フローは412に進んで、ユーザまたはそれぞれに対する付添人に、トラップボウルが取り付けられたか否かを通知することができる。ユーザまたは付添人が、トラップボウルが取り付けられていないことを観察した場合、フロー400は414に進んで、トラップボウルが取り付けられたという指示(たとえば、ユーザインターフェースボタンを押すこと)を待ち、取り付けられたら、フロー400は404に戻ることができる。ユーザまたは付添人が、412において、トラップボウルが取り付けられていること(または少なくともそのように見えること)を観察した場合、フロー400は416に進んで、ユーザまたは付添人にトラップボウルレベルが高すぎないか否かをチェックすることを通知する。たとえば、ユーザまたは付添人は、前述したトラップボウル透明部分が視覚的に透明であるか否かを視覚的にチェックしてもよい。ユーザまたは付添人がトラップボウルが過充填状態であると観察した場合、フロー400は418に進んで、トラップボウルを空にして再び取り付けたという指示(たとえば、別のユーザインターフェースボタンを押す)を待つことができ、そうなればフロー400は404に戻ることができる。416において、ユーザまたは付添人がトラップボウルが過充填状態ではないことを観察するかまたは他の方法で判定した場合、ユーザまたは付添人からこのような観察を受け取る(たとえば、別のユーザインターフェースボタンを押す)と、フロー400は418に進んで、サービスチェックに対する通知を生成してもよい。
【0057】
図5に例示するのは、1つ以上の実施形態による垂直プリズム504を伴うトラップボウル502と別の光放出器/受信器506とを含むフィルタ及びトラップアセンブリ500の1つの実施態様の正面断面図である。また
図5には、入射及び反射光ビームの重ね図(「LB1」と標示される)によって、動作充填レベル及び適切に取り付けられたトラップボウルの両方の垂直プリズム検出の1つ以上の実施形態による態様例を部分的に例示する。
図6に、1つ以上の実施形態による
図5に示すフィルタ及びトラップボウルアセンブリの典型的な垂直プリズム504を伴うトラップボウル502の1つの斜視図を示す。
図7に例示するのは、
図5の投影4-4から見た、垂直プリズム504を伴う典型的なトラップボウル502の断面図であり、光放出器/受信器506からの光ビームの可視的表現を省略した図である。
図8に例示するのは、
図7の図に、光放出器/受信器506によって発生したコリメート光ビーム例CLB、ならびに光放出器/受信器506に戻る後続の反射の図式表現を重ねたものである。これについては後でより詳細に説明する。
【0058】
フィルタ及び充填レベル検出トラップアセンブリ100から離れて示す態様及び特徴に焦点を当てるために、
図1A~3を参照して説明したものと同じフィルタハウジング102及びフィルタ104を想定して、フィルタ及びトラップアセンブリ500について説明する。同様に、垂直プリズム504を伴うトラップボウル502が、円形容器106Sに匹敵する構造(たとえば、前述のように、内側ネジ山(
図5でははっきり示していない)がネジ山と協同するように構成されている)を、円形外壁(
図5に部分的に示しているが、別個に標示してはいない)上に有するかもたらすことができることを、想定することができる。
【0059】
一態様では、フィルタ及びトラップアセンブリ500は、調整可能な放出器/受信器支持部508を含むことができる。放出器/受信器支持部508は、光放出器/受信器506に取り付けられるように構成された支持部要素510を含むことができる。1つの実施態様では、調整可能な放出器/受信器支持部508は主ネジ510を含むことができ、支持部要素510は、光放出器/受信器506に固定されたネジ付きスリーブ(
図5でははっきり示していない)とすることができる。主ネジ510はネジ付きスリーブを通って螺合することができる。一態様では、調整可能な放出器/受信器支持部508は、選択的に駆動される上昇支持部(
図5でははっきり示していない)を含むことができる。選択的に駆動される上昇支持部は、たとえば、サーボモーター(
図5Aでははっきり示していない)、または手動の駆動メカニズム(
図5Aでははっきり示していない)、または両方とすることができ、主ネジ510を選択的に回転させる(方向矢印ARによって示す)ように構成することができる。調整可能な放出器/受信器支持部508の典型的な動作を、光放出器/受信器506の下方に位置する想像図(506’と標示)によって示す。
【0060】
図6を参照すると、一態様では、垂直プリズム504はトラップボウル502の一部をなすことができ、たとえば、射出成型において一緒に鋳造することができる。別の態様では、トラップボウル502を順次に、垂直プリズム504を伴わない一時的なトラップボウルとして形成し、それに続いて、垂直プリズム504を、たとえば透明接着剤(
図5でははっきり示していない)によって、一時的なトラップボウルの内面(
図6に部分的に示されているが、別個に番号付けされてはいない)に取り付けることができる。
【0061】
図7を参照すると、垂直プリズム504を、第1の垂直プリズム面504L、及び第2の垂直プリズム面504Rを用いて構成することができる。これらは、互いに平行に、またトラップボウル502の垂直に延びる中心軸CVXに平行に、垂直に延びることができる。一態様では、第1の垂直プリズム面504Lと第2の垂直プリズム面504Rとを、夾角θ5(垂直に延びる頂点504Vから外側に開く)を形成するように配置することができる。説明の目的上、夾角θ5の値例を約90度と選択する。一態様では、第1の垂直プリズム面504Lと第2の垂直プリズム面504Rとを、夾角θ5が垂直プリズム二等分線BVLの周りに対称的となるように構成することができる。加えて、第1の垂直プリズム面504Lと第2の垂直プリズム面504Rとを、垂直プリズム二等分線BVLが、トラップボウル502の垂直に延びる中心軸CVXから半径方向に延びるように構成することができる。
【0062】
図8を参照すると、関連する態様では、光放出器/受信器506を、垂直プリズム二等分線BVLに平行またはほぼ平行に位置合わせされたコリメート光ビームCLBを送信するように構成及び配置することができる。さらに、
図5を参照すると、光放出器/受信器506を、垂直に延びる中心軸CVXに垂直な平面(
図5~8でははっきり示していない)においてコリメート光ビーム(以下に「CLB」)を送信するように配置することができる。
【0063】
続いて
図8を参照すると、一態様では、透明材料によって少なくとも、CLBが進んで第1の垂直プリズム面504Lに当たるときに通るトラップボウル502の領域、ならびにFLR及びSLRが進むときに通るトラップボウル502の領域を形成する。これについては、後の段落でさらに説明する。代替的に、トラップボウル全体502を透明材料で形成することができる。
【0064】
態様によれば、光放出器/受信器506を、コリメート光ビームCLBがトラップボウル502の外面に、その点において外面に対して接線方向にある平面(図でははっきりと示してはいない)に垂直な方向に当たるように配置することができる。そのため、夾角θ5が約90度であると想定すると(例を目的として)、CLBは第1の垂直プリズム面504Lに45度の入射角(
図8に示しているが、別個に標示してはいない)で当たる。これは、CBが上部プリズム面116Uに当たる入射角度θ2(すなわち、角度θ2は45度)と実質的に同じである。
【0065】
図5では、液体充填TLの上面TLSが、CLBが第1の垂直プリズム面504Lに当たる高さよりも下方であることを示す。説明を目的として、前述した例に対して想定した通り、少なくともトラップボウル502及びその垂直プリズム504の透明領域はポリカーボネートで形成されていると想定する。やはり前述したように、ポリカーボネートの光屈折率を1.6と見積もることができる。したがって、値1.6を全反射のスネルの法則の方程式(1)例に入れ、入射角例45度を用いて、CLBは第1の垂直プリズム面504Lによって内部全反射される。これにより、結果として、第1の横方向反射ビームFLR、それに続いて第2の横方向反射ビームSLRが確立される。これは戻って、光放出器/受信器506に当たる。
【0066】
図9に例示するのは、液体充填TLの上面TLSが、第1の垂直プリズム面504LにCLBが当たる点にあるかまたはその上方にあることに応じて、1つ以上の典型的な実施形態による動作を
図5と同じ投影から見た図である。ポリカーボネート材料(N1が約1.6に等しい)を想定し、方程式(1)を参照すると、液体充填TLの上面TLSが、CLBが第1の垂直プリズム面504Lに当たる点に達すると、全反射角度はSin
-1(1.5/1.6)となり、これは約70度である。角度入射(すなわち、45度)は70度より小さい。したがって、CLBは第1の垂直プリズム面504Lから全反射されない。その代わりに、CLBの実質的な部分が流体TL内に、屈折ビーム(以下、図に標示するように「RFR」)として進み続ける。したがって、送受信器506の光受信器に戻る当初のCLBのどの部分も(もしあったとして)、戻りとしては検出されない。
【0067】
図10に例示するのは、
図9の投影5-5から見た、垂直プリズム504を伴う典型的なトラップボウル502の断面図であり、コリメート光ビーム例CLB及び屈折光ビームRFRの別の図式表現である。
【0068】
図11Aに、フィルタ及び垂直プリズムトラップボウルアセンブリ1100例の
図5の投影3-3から見た投影図を例示する。フィルタ及び垂直プリズムトラップボウルアセンブリ1100は、フィルタ及び垂直プリズムトラップボウルアセンブリ500を、オフセット光受信器1102(「S2」とも標示される)及び直径方向に対向する光受信器1104(「S3」とも標示される)と組み合わせて構成したものを含むことができる。動作例を説明するために、光送受信器506の受信器要素を代替的に「第1の光受信器506」と言うことができ、オフセット光受信器1102を代替的に「第2の光受信器1102」と言うことができ、直径方向に対向する光受信器1104を代替的に「第3の光受信器1104」と参照することができる。種々の態様によれば、第2の光受信器1102と第3の光受信器1104とによって、さらなる状態検出能力を得ることができる。第1の能力例を
図11Aに例示する。これは、
図7及び8を参照して前述の能力と同様である。すなわち、適切に取り付けられたトラップボウル502(すなわち、CLBが垂直プリズム504の垂直プリズム二等分線BVLと位置合わせされている)が、動作充填レベルにある(すなわち、液体内容物TLの上面TLSがCLBよりも低い)。第2の能力例を
図11Bに例示する。すなわち、適切に取り付けられているが、過充填されたトラップボウル502である。第3の能力例は、2つの状態まで検出及び解明することができる。すなわち、不適切に取り付けられた(たとえば、回転した)トラップボウル502及び外したトラップボウル502である。
【0069】
図11Aを参照すると、
図5及び8を参照して前述のような値例を想定して、放出されたコリメートビームCLBは、第1の垂直プリズム面504Lに45度の入射角で当たる。垂直プリズム504に対する光屈折率例(約1.6)を想定すると、全反射角は約38度である。したがって、
図5及び8を参照して説明した反射によって、CLBは、実質的な部分において、光放出器/受信器506に戻る。
【0070】
図11Bを参照し、また引き続き、想定垂直プリズム504の光屈折率(たとえば、1.6)が水(たとえば、1.5)の光屈折率に十分に近いと想定すると、入射角45度は全反射角よりも実質的に小さい。したがって、CLBの大部分は、トラップボウル502の内容物内に、第1の屈折したビームRF1として、屈折角θ7で進み続ける。第1の屈折したビームRF1が、点IFPにおいて、トラップボウル点の内容物材料とトラップボウル502の材料との境界面に当たると、再び屈折角θ8だけ屈折して、第2の屈折したビームRF2として続く。正しく設定されたオフセットθ6を想定すると、第2の屈折したビームRF2はオフセット(または第2の)光学センサ1102に当たる。
【0071】
図11Cを参照すると、前述のように、トラップボウル502が正しく取り付けられていると、光送受信器506はCLBを垂直プリズム二等分線BVLと合わせる。そのため、トラップボウル502を
図11Cに示すように回転させると、CLBはトラップボウル502の外面に、その外面に実質的に垂直な方向で当たる。したがって、異なる光屈折率の境界面とは関係なく、CLBは中心軸CVXを通過し、したがって第3の光学センサ1104に当たる。しかし、状態検出に曖昧さが存在する場合がある。たとえば、トラップボウル502が無くても(
図11A~11Cには明示しない)、CLBはやはりその当初の開始方向に進み続けて、第3の光学センサ1104に当たる。
【0072】
図12に例示するのは、フィルタ及びトラップアセンブリの別の実施態様(「オフセットビーム、屈折ベースのフィルタ及びトラップアセンブリ1200」と言う)の、
図5の投影3-3から見た投影図である。オフセットビーム、屈折ベースのフィルタ及びトラップアセンブリ1200の典型的な実施態様には、透明なトラップボウル1202(
図12に部分的に示す)、オフセット光放出器1204、及びオフセット光検出器1206を含めることができる。
【0073】
一態様では、オフセット光放出器1204を、オフセットコリメート光ビームOCLを、外面(
図12に断面で見える)に初期入射点IP1で入射すべき方向に放出するように構成することができる。トラップボウルの光屈折率がたとえば、約1.6であると想定すると、コリメート光ビームは屈折して、透明なトラップボウル1202とその内容物との間の境界面に当たるまで、RFAとして進み続ける。たとえば、トラップボウル1202の内容物が、境界面において、光屈折率が約1の空気または別のガスであることが想定される。そのため、屈折ビームRFAはRFBとして再び屈折して、IP2(トラップボウル1202の内容物からトラップボウル1202までの境界面)に当たるまで進み続ける。次にビームは、屈折を通してRFC及びRFDとして、オフセット光受信器1206に当たるまで進むことができる。
【0074】
屈折セグメントRFA、RFB、RFC、及びRFDの前述の順序は、「非充填光路」と言うことができる。光ビームが横断するときに通るトラップボウル1202の内容物が水ならば、各屈折は小さくなる。結果として生じるセグメント(RXA、RXB、及びRXCと標示される)は、オフセット光受信器1206を外すビームとなる。説明したセグメントRXA、RXB、及びRXCは、「最大を超える充填状態光路」と言うことができる。
【0075】
図12を参照すると、OCLの態様は、その初期入射点IP1においてトラップボウル1202の外面に垂直ではないことが理解されよう。言い換えれば、OCLは、初期入射点IP1における接線に平行なベクトル成分(「VX」と標示される)と、接線に垂直なベクトル成分(「VY」と標示される)とを有することができる。
【0076】
図13に示すブロックフロー1300では、1つ以上の実施形態による患者に治療ガスを送出するための方法において、トラップボウル充填状態例を検出するプロセス(たとえば
図11A~11C実施態様上で(または
図12実施態様に対する変更を伴って)行われる)における典型的な動作を表している。
図13を参照すると、フロー1300における動作を開始イベント1302で開始して、そして判定ブロック1304に進むことができる。開始イベントの例としては、治療ガス送達システム(たとえば
図14を参照して説明するシステム例1400)を電源オンすることが挙げられる。一態様では、開始イベント1302における動作として、たとえば、光送受信器506にパワーを印加してビームCLBを放出することが挙げられる。フロー1300は、判定ブロック1304から、いずれかの光学センサが信号を受信したか否かにより進むことができる。
図11A~11Cを参照すると、第1の光学センサ506、第2の光学センサ1102、または第3の光学センサ1304のいずれでも信号を受け取らなかったら、システム障害を示している可能性がある。したがって、判定ブロック1304で「NO」を受け取ると、フロー1300は1306に進んで、ユーザまたは付添人にサービスの必要性を通知することができる。
【0077】
図13を参照して、判定ブロック1304において「YES」を想定すると、フロー1300は判定ブロック1308に進むことができる。一態様では、判定ブロック1308における動作として、光学センサのうちの2つ以上が光ビームの受信を示すか否かをチェックすることが挙げられる。たとえば、セット光学センサが第1の光学センサ506、第2の光学センサ1102、及び第3の光学センサ1104であると想定すると、動作は、セットのうちの2つ以上が光ビームの受信を示すか否かを判定するためにチェックすることを含むことができる。1308における応答が「YES」であるならば、フロー1300は1306に進んで、たとえば、ユーザまたは付添人にサービスの必要性を通知することができる。1308における応答が「NO」である場合、フロー1300は1310に進むことができる。ここでは、動作は第1の光学センサ(たとえば、光送受信器506)が光ビームを受信したか否かを判定することができる。
図11A~11Bを参照すると、1301における応答が「YES」であるならば、フロー1300は、トラップボウル(たとえば、トラップボウル502)が適切に取り付けられていて動作充填レベルにある(すなわち、液滴LDを受け取る残存容量がある)ことを効果的に判定している。それに応じて、フロー1300は1312に進んで、サンプルガスを、たとえば患者に送出されている治療ガスから受け取る動作を行い、次に1310に戻って、反射光ビームを依然として(たとえば、第1の光学センサ506によって)受信しているか否かを判定することができる。
【0078】
続けて
図13を参照すると、1310~1312ループを任意に繰り返す間に1310における応答における初期応答が「NO」であるかまたは「NO」になったら、フロー1300は判定ブロック1314に進む。1314における動作としては、第2の光学センサ(たとえば、第2の光学センサ1102)が光ビームを受け取っているか否かを判定することが挙げられる。
図11Bを参照すると、1314における応答が「YES」であるならば、フロー1300は、トラップボウル(たとえば、トラップボウル502)が適切に取り付けられているが、最大を超える充填状態であると判定したことになる。したがって、フロー1300は1316に進んで、ユーザまたは付添人にトラップ容器を空にする(たとえば、トラップボウル502を取り外して、空にして、再び取り付ける)ように通知することができる。フロー1300は次に1304に戻って、前述の動作を繰り返すことができる。
【0079】
しかし、1314における応答が「NO」である場合、フロー1300は1318に進んで、光ビームが第3の光学センサ(たとえば、第3の光学センサ1104)で受信されているか否かを判定する。
図11Cを参照すると、1318における応答が「YES」であるならば、フロー1300は、トラップボウル(たとえば、トラップボウル502)が外れているか、または不適切に取り付けられている(たとえば、
図11Cに示すように回転している)かを判定している。したがって、フロー1300は1320に進んで、ユーザまたは付添人に、トラップ=ボウル(たとえば、トラップボウル502)が無いかまたは不適切に取り付けられていると通知する。フロー1300は、たとえば、1320において、トラップボウルが適切に取り付けられたという指示を待つ(たとえば、ユーザまたは付添人が境界面ボタンを押すことを検出する)ことができ、フロー300は1304に戻ることができる。
【0080】
図14に例示的に示すのは、1つ以上の実施形態による呼吸ガス供給装置におけるフィルタ及びレベル検出トラップアセンブリの1つの典型的な実施態様の様相である。この典型的な実施態様は呼吸装置に関し、本開示によるフィルタアセンブリの他の種々の実施態様を限定するものではない。
図14を参照すると、装置1400を人工呼吸器1410とともに用いる。補足または添加ガス(たとえばNO)の供給源1412は、導管1414に供給を与え、バルブ1416につながっている。バルブ1416は人工呼吸器1410に接続されていてもよい。呼吸ガス供給の任意の段階において、他のさらなる呼吸物質(たとえば、噴霧された薬)を、導管1420を介して進む流れ内に提供してもよい。コントローラ1418によってバルブを駆動して、導管1420内のNO及び噴霧された薬と混合ガスとの比を制御してもよい。患者は、吸気リムと考えてもよい導管1420の内容物を吸入する。患者の呼気または過剰ガスは、呼気リム導管1422と考えてもよい。
【0081】
この例では、導管1424は吸気リムと流体連絡しており、サンプルガスラインと言ってもよい。フィルタ及びトラップアセンブリ1426は、サンプルガスの一部または全部を受け取る。一態様では、フィルタトラップアセンブリ1426は、フィルタ及びトラップアセンブリ1100(たとえば、前述のもの)に対応してもよい。フィルタトラップアセンブリ1326によってフィルタリングした後で、ガスをガスサンプリングシステム1428に通して、排気口1430を介して排気してもよい。
【0082】
前述の詳細な説明は、開示した主題を任意の当業者が作って用いることができるように与えられている。説明の目的上、十分な理解が得られるように特定の専門用語について述べている。しかし当業者には明らかなように、開示した主題を実施するためにはこれらの具体的な詳細は必要ではない。具体的な応用例の説明は単に典型例として与えられている。開示した実施態様に対する種々の変更が当業者には容易に明らかであり、本明細書で規定した一般的な原理を、本開示の範囲から逸脱することなく、他の実施態様及び応用例に適用してもよい。本明細書で説明した動作の順序は単に例であり、動作の順序は本明細書で述べたものに限定されず、変えてもよいことは当業者には明らかである。ただし、ある順番で必然的に起こる動作は例外である。また、当業者に良く知られている機能及び構造の説明は、明瞭さ及び簡潔さを高めるために省略している場合がある。本開示は、示した実施態様に限定されることは意図されておらず、本明細書で開示した原理及び特長に整合するできるだけ広い範囲が与えられるべきである。
【0083】
当業者には明らかであるように、本説明の方法及びシステムに対して、説明の趣旨及び範囲から逸脱することなく、種々の変更及び変形を形成することができる。したがって、本説明には添付の請求項及びその均等物の範囲にある変更及び変形が含まれることが意図されている。
【0084】
説明したステップのいずれも、本発明の範囲から逸脱することなく、並べ替えて、分離して、及び/または組み合わせることができることが理解されよう。簡単にするために、時によって、ステップを順次に示している。これは、単に簡単にするためであり、決して限定が意図されているわけではない。さらに、説明した本発明の要素及び/または実施形態のいずれも、本発明の範囲から逸脱することなく、並べ替えて、分離して、及び/または組み合わせることができることが理解されよう。簡単にするために、種々の要素を、時によって、別個に説明している。これは、単に簡単にするためであり、決して限定が意図されているわけではない。
【0085】
前述した例における種々のシステム構成要素の分離を、すべての例においてこのような分離が必要であると理解してはならず、説明した構成要素及びシステムを全般的に互いに統合して単一パッケージにして、複数のシステム及び/または複合部品に入れることができると理解すべきである。種々の変更を施してもよく、本明細書で開示する主題は種々の形態及び例で具体化してもよく、教示を多くの応用例において適用してもよく、そのうちの一部についてのみ本明細書で説明したことが理解される。特に明記しない限り、本明細書で述べた測定値、値、等級付け、位置、大きさ、サイズ、及び他の仕様はすべて、以下の請求項も含めて、概算であり、正確ではない。それらは、それらが関係する機能であって、それらが関係する技術分野において慣例である機能と整合する妥当な範囲を有することが意図されている。
【0086】
本明細書における本発明を特定の実施形態を参照して説明しているが、これらの実施形態は単に本発明の原理及び応用例を例示しているにすぎないことが理解されるものである。当業者には明らかなように、本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく、本発明の本方法及び装置に対して種々の変更及び変形を行うことができる。したがって、本発明には添付の請求項及びその均等物の範囲にある変更及び変形が含まれることが意図されている