IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ヤフー株式会社の特許一覧

特許7212103情報処理装置、情報処理方法及び情報処理プログラム
<>
  • 特許-情報処理装置、情報処理方法及び情報処理プログラム 図1
  • 特許-情報処理装置、情報処理方法及び情報処理プログラム 図2
  • 特許-情報処理装置、情報処理方法及び情報処理プログラム 図3
  • 特許-情報処理装置、情報処理方法及び情報処理プログラム 図4
  • 特許-情報処理装置、情報処理方法及び情報処理プログラム 図5
  • 特許-情報処理装置、情報処理方法及び情報処理プログラム 図6
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-01-16
(45)【発行日】2023-01-24
(54)【発明の名称】情報処理装置、情報処理方法及び情報処理プログラム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 30/0203 20230101AFI20230117BHJP
   G06F 21/62 20130101ALI20230117BHJP
【FI】
G06Q30/02 312
G06F21/62 345
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2021085600
(22)【出願日】2021-05-20
(65)【公開番号】P2022178650
(43)【公開日】2022-12-02
【審査請求日】2021-11-18
【早期審査対象出願】
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】319013263
【氏名又は名称】ヤフー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 潔
(72)【発明者】
【氏名】西川 嘉人
(72)【発明者】
【氏名】田島 玲
(72)【発明者】
【氏名】石川 貴大
(72)【発明者】
【氏名】塚本 浩司
(72)【発明者】
【氏名】中村 征良
(72)【発明者】
【氏名】中山 一紀
【審査官】鈴木 和樹
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-086782(JP,A)
【文献】特表2006-505858(JP,A)
【文献】国際公開第2015/186574(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00 - 99/00
G06F 21/62
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
クライアント側の事業者のユーザのうち、所定条件を満たす第1ユーザ群の統計情報が示す前記第1ユーザ群の属性と対応するラベルを取得する取得部と、
前記第1ユーザ群の統計情報が示す前記第1ユーザ群の属性と対応するラベルおよびホスト側の事業者のユーザの属性情報に基づいて、前記ホスト側の事業者のユーザの中から、前記第1ユーザ群の統計情報が示す前記第1ユーザ群の属性と対応するラベルがあらかじめ付与された特徴ユーザ、および、前記第1ユーザ群の統計情報が示す前記第1ユーザ群の属性と対応しないラベルがあらかじめ付与された非特徴ユーザをそれぞれ抽出し、抽出された前記特徴ユーザの情報および前記非特徴ユーザの情報に基づいて、前記ホスト側の事業者のユーザのうち、前記第1ユーザ群の統計情報が示す前記第1ユーザ群の属性を有する第2ユーザを判定する判定モデルを学習する生成部と、
前記判定モデルによって前記第1ユーザ群の属性を有すると判定された第2ユーザ群の統計情報を前記クライアント側の事業者に提供する提供部と、
を備え、
前記取得部は、
前記第2ユーザ群の統計情報に基づいて更新された前記第1ユーザ群の統計情報を取得し、
前記生成部は、
更新された前記第1ユーザ群の統計情報が示す更新された前記第1ユーザ群の属性と対応するラベルおよび前記ホスト側の事業者のユーザの属性情報に基づいて、前記判定モデルを再学習する、
ことを特徴とする情報処理装置。
【請求項2】
前記取得部は、
前記第1ユーザ群の統計情報が示す前記第1ユーザ群の属性と対応するラベルとして、所定人数に収まるように分類された前記第1ユーザ群の各クラスタに属する前記第1ユーザの属性と対応する第1ラベルを取得し、
前記生成部は、
前記ホスト側の事業者のユーザの中から、前記第1ラベルがあらかじめ付与された前記特徴ユーザ、および、前記第1ラベルとは異なるラベルがあらかじめ付与された前記非特徴ユーザをそれぞれ抽出し、抽出された前記特徴ユーザの情報および前記非特徴ユーザの情報に基づいて、前記第1ラベルと対応する前記第1ユーザの属性を有する第2ユーザを判定する判定モデルを学習し、
前記提供部は、
前記第2ユーザ群の統計情報として、前記所定人数に収まるように分類された前記第2ユーザ群の各クラスタに属する前記第2ユーザの属性と対応する第2ラベルを提供する、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記提供部は、
前記第2ラベルとして、前記第2ユーザ群の各クラスタに属する第2ユーザが所定の行動を行う確率を示すスコアを取得する、
請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記提供部は、
前記第2ラベルとして、前記第2ユーザが特定の商品を購入する確率を示すスコア、前記第2ユーザが特定の検索クエリを検索する確率を示すスコア、前記第2ユーザが特定のコンテンツを閲覧する確率を示すスコア、前記第2ユーザが特定のSNS(Social networking service)に投稿する確率を示すスコア、前記第2ユーザが所定の場所に位置する確率を示すスコア、または前記第2ユーザが特定のサービスを利用する確率を示すスコアを取得する、
請求項2または3に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記提供部は、
前記第2ラベルとして、前記第2ユーザ群の各クラスタに属する第2ユーザが第1の行動を行う確率を示す第1スコアと前記第2ユーザが第2の行動を行う確率を示す第2スコアを組み合わせた複合スコアを取得する、
請求項2~4のいずれか1つに記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記提供部は、
前記第2ラベルとして、前記第2ユーザのデモグラフィック属性、サイコグラフィック属性、ジオグラフィック属性、またはベヘイビオラル属性の共通性、傾向、または割合を示す情報を取得する、
請求項2~5のいずれか1つに記載の情報処理装置。
【請求項7】
コンピュータが実行する情報処理方法であって、
クライアント側の事業者のユーザのうち、所定条件を満たす第1ユーザ群の統計情報が示す前記第1ユーザ群の属性と対応するラベルを取得する取得工程と、
前記第1ユーザ群の統計情報が示す前記第1ユーザ群の属性と対応するラベルおよびホスト側の事業者のユーザの属性情報に基づいて、前記ホスト側の事業者のユーザの中から、前記第1ユーザ群の統計情報が示す前記第1ユーザ群の属性と対応するラベルがあらかじめ付与された特徴ユーザ、および、前記第1ユーザ群の統計情報が示す前記第1ユーザ群の属性と対応しないラベルがあらかじめ付与された非特徴ユーザをそれぞれ抽出し、抽出された前記特徴ユーザの情報および前記非特徴ユーザの情報に基づいて、前記ホスト側の事業者のユーザのうち、前記第1ユーザ群の統計情報が示す前記第1ユーザ群の属性を有する第2ユーザを判定する判定モデルを学習する生成工程と、
前記判定モデルによって前記第1ユーザ群の属性を有すると判定された第2ユーザ群の統計情報を前記クライアント側の事業者に提供する提供工程と、
を備え、
前記取得工程は、
前記第2ユーザ群の統計情報に基づいて更新された前記第1ユーザ群の統計情報を取得し、
前記生成工程は、
更新された前記第1ユーザ群の統計情報が示す更新された前記第1ユーザ群の属性と対応するラベルおよび前記ホスト側の事業者のユーザの属性情報に基づいて、前記判定モデルを再学習する、
を含む情報処理方法。
【請求項8】
クライアント側の事業者のユーザのうち、所定条件を満たす第1ユーザ群の統計情報が示す前記第1ユーザ群の属性と対応するラベルを取得する取得手順と、
前記第1ユーザ群の統計情報が示す前記第1ユーザ群の属性と対応するラベルおよびホスト側の事業者のユーザの属性情報に基づいて、前記ホスト側の事業者のユーザの中から、前記第1ユーザ群の統計情報が示す前記第1ユーザ群の属性と対応するラベルがあらかじめ付与された特徴ユーザ、および、前記第1ユーザ群の統計情報が示す前記第1ユーザ群の属性と対応しないラベルがあらかじめ付与された非特徴ユーザをそれぞれ抽出し、抽出された前記特徴ユーザの情報および前記非特徴ユーザの情報に基づいて、前記ホスト側の事業者のユーザのうち、前記第1ユーザ群の統計情報が示す前記第1ユーザ群の属性を有する第2ユーザを判定する判定モデルを学習する生成手順と、
前記判定モデルによって前記第1ユーザ群の属性を有すると判定された第2ユーザ群の統計情報を前記クライアント側の事業者に提供する提供手順と、
を備え、
前記取得手順は、
前記第2ユーザ群の統計情報に基づいて更新された前記第1ユーザ群の統計情報を取得し、
前記生成手順は、
更新された前記第1ユーザ群の統計情報が示す更新された前記第1ユーザ群の属性と対応するラベルおよび前記ホスト側の事業者のユーザの属性情報に基づいて、前記判定モデルを再学習する、
をコンピュータに実行させる情報処理プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置、情報処理方法及び情報処理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
データ共有システムにおいて、各社が保有するデータの内容を他社に開示することなく、安全に活用する技術が開示されている。当該技術では、データ共有システムに参加する組織等から提供される機微データを、所定の暗号方式(暗号化状態のまま、検索や分析等を含む演算を行うことができる暗号方式)で暗号化してデータ処理する一方、暗号化及び復号に用いる鍵は、当該機微データを提供した各組織において管理する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特許第6803598号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記の従来技術では、各社が保有するデータの内容を他社に開示することは考慮されていないため、個人情報を保護しつつ、企業間でユーザから収集した情報を活用するような事例には適していない。例えば、ある企業がユーザから収集した情報を、他の企業がユーザから収集した情報を用いて補完することはできない。
【0005】
本願は、上記に鑑みてなされたものであって、企業間でユーザから収集した情報を活用することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本願に係る情報処理装置は、クライアント側の事業者のユーザのうち、所定条件を満たす第1ユーザ群の統計情報を取得する取得部と、前記第1ユーザ群の統計情報およびホスト側の事業者のユーザの属性情報に基づいて、前記ホスト側の事業者のユーザのうち、前記第1ユーザ群の統計情報が示す特徴を有する第2ユーザを判定する判定モデルを学習する生成部と、前記判定モデルによって前記特徴を有すると判定された第2ユーザ群の統計情報を前記クライアント側の事業者に提供する提供部と、を備え、前記取得部は、前記第2ユーザ群の統計情報に基づいて更新された前記第1ユーザ群の統計情報を取得し、前記生成部は、更新された前記第1ユーザ群の統計情報および前記ホスト側の事業者のユーザの属性情報に基づいて、前記判定モデルを再学習する、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
実施形態の一態様によれば、企業間でユーザから収集した情報を活用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、実施形態に係る情報処理の概要を示す図である。
図2図2は、実施形態に係る情報処理装置の構成例を示す図である。
図3図3は、ユーザ情報記憶部の一例を示す図である。
図4図4は、履歴情報記憶部の一例を示す図である。
図5図5は、モデル情報記憶部の一例を示す図である。
図6図6は、ハードウェア構成の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に、本願に係る情報処理装置、情報処理方法及び情報処理プログラムを実施するための形態(以下、「実施形態」と記載する)について図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、この実施形態により本願に係る情報処理装置、情報処理方法及び情報処理プログラムが限定されるものではない。また、以下の実施形態において同一の部位には同一の符号を付し、重複する説明は省略される。
【0010】
〔1.情報処理方法の概要〕
まず、図1を参照し、実施形態に係る情報処理装置が行う情報処理方法の概要について説明する。図1は、実施形態に係る情報処理方法の概要を示す説明図である。
【0011】
図1に示すように、情報処理システム1は、クライアント装置50と情報処理装置100を含む。クライアント装置50と情報処理装置100は、それぞれネットワークN(図示略)を介して有線又は無線で互いに通信可能に接続される。ネットワークNは、例えば、LAN(Local Area Network)や、インターネット等のWAN(Wide Area Network)である。なお、情報処理システム1は、各ユーザにより使用されるスマートフォンやタブレット等の端末装置10(図示略)をさらに含んでもよい。
【0012】
また、図1に示す情報処理システム1に含まれる各装置の数は図示したものに限られない。例えば、図1では、図示の簡略化のため、クライアント装置50及び情報処理装置100をそれぞれ1台ずつ示したが、これはあくまでも例示であって限定されるものではなく、それぞれ2台以上であってもよい。
【0013】
情報処理装置100及びクライアント装置50は、各ユーザの端末装置10(図示略)に対して、オンラインで何らかのWebサービスを提供するとともに、各ユーザの端末装置10から、ユーザに関する情報を取得する情報処理装置であり、サーバ装置やクラウドシステム等により実現される。
【0014】
例えば、情報処理装置100及びクライアント装置50は、Webサービスとして、インターネット接続、検索サービス、SNS(Social Networking Service)、電子商取引、電子決済、オンラインゲーム、オンラインバンキング、オンライントレーディング、宿泊・チケット予約、動画・音楽配信、ニュース、地図、ルート検索、経路案内、路線情報、運行情報、天気予報等のサービスを提供する。実際には、情報処理装置100及びクライアント装置50は、上記のようなWebサービスを提供する各種サーバと連携し、Webサービスを仲介してもよいし、Webサービスの処理を担当してもよい。
【0015】
あるいは、情報処理装置100及びクライアント装置50は、各ユーザの端末装置10と連携し、各ユーザの端末装置10に対して、各種アプリケーション(以下、アプリ)等に対するAPI(Application Programming Interface)サービス等と、各種データを提供する。
【0016】
また、情報処理装置100及びクライアント装置50は、ユーザの属性情報を取得可能である。例えば、情報処理装置100及びクライアント装置50は、ユーザUの性別、年代、居住地域といったユーザの属性に関する情報を取得する。そして、情報処理装置100及びクライアント装置50は、ユーザを示す識別情報(ユーザID等)とともにユーザの属性に関する情報を記憶して管理する。なお、情報処理装置100は、クライアント装置50よりも多くの詳細なユーザ情報を取得可能である。
【0017】
さらに、情報処理装置100は、ユーザの端末装置10から、あるいはユーザID等に基づいて各種サーバ等から、ユーザの行動を示す各種の履歴情報(ログデータ)を取得する。例えば、情報処理装置100は、ユーザの位置や日時の履歴である位置履歴を端末装置10から取得する。また、情報処理装置100は、ユーザが入力した検索クエリの履歴である検索履歴を検索サーバ(検索エンジン)から取得する。また、情報処理装置100は、ユーザが閲覧したコンテンツの履歴である閲覧履歴をコンテンツサーバから取得する。また、情報処理装置100は、ユーザの商品購入や決済処理の履歴である購入履歴(決済履歴)を電子商取引サーバや決済処理サーバから取得する。また、情報処理装置100は、ユーザのマーケットプレイスへの出品の履歴である出品履歴や販売履歴を電子商取引サーバや決済サーバから取得してもよい。また、情報処理装置100は、ユーザの投稿の履歴である投稿履歴を口コミの投稿サービスを提供する投稿サーバやSNSサーバから取得する。
【0018】
本実施形態では、情報処理装置100は、ホスト側の事業者のサーバであり、クライアント装置50に情報を提供する。また、クライアント装置50は、クライアント側事業者のサーバであり、情報処理装置100から情報の提供を受けて、自身が保有する情報と、提供された情報とを活用する。例えば、情報処理装置100は、回線接続事業者(プロバイダー)やポータルサイト運営会社等の大規模なサービス(又は各種のサービス)を提供する事業者により運営され、膨大な数のユーザに関するビッグデータを有するサーバである。また、クライアント装置50は、所定のサービスを提供するクライアント企業により運営され、当該サービスのユーザに関するデータを有するサーバである。
【0019】
ホスト側の事業者もクライアント側の事業者も独自に自社のユーザの統計情報を取得する。具体的には、クライアント装置50または情報処理装置100は、それぞれ自社のユーザの属性を示す属性情報をベクトル化するモデルを生成し、それぞれ自社のユーザをベクトル空間上にマッピングする。続いて、クライアント装置50または情報処理装置100は、ベクトル空間上にマッピングしたユーザの属性情報をラベル無しでクラスタリングする。ここで、ユーザの属性は、年齢や性別といった属性以外にも、〇〇したユーザや、〇〇を検索クエリとして入力したユーザ等、ユーザと関連性を有する任意の事象であってよい。例えば、ユーザの属性情報には、ユーザの行動履歴を示す履歴情報が含まれてよい。
【0020】
例えば、クライアント装置50または情報処理装置100は、各クラスタに分類されるユーザが所定の人数n(nは自然数)が所定の範囲内に収まるようにユーザの属性情報をクラスタリングする。例えば、クライアント装置50または情報処理装置100は、nが10を下回らないようにユーザの属性情報をクラスタリングする。nには、上限があってもよい。例えば、クライアント装置50または情報処理装置100は、各クラスタに分類されるユーザが10人以上20人以下等、所定の人数に収まるようにユーザの属性情報をクラスタリングする。
【0021】
続いて、クライアント装置50または情報処理装置100は、各クラスタに属するユーザの属性情報の共通性、傾向、割合(例えば、男性が多い、男性6割に対して女性4割等)を示す統計情報(ラベルともいう)を取得する。例えば、クライアント装置50または情報処理装置100は、統計情報の一例として、各クラスタに属するユーザが特定の商品(例えば、冷蔵庫など)を購入する可能性のスコアや特定の検索クエリを検索する可能性のスコアを取得する。また、例えば、クライアント装置50または情報処理装置100は、統計情報の一例として、各クラスタに属するユーザの属性情報の組合せを取得する。例えば、クライアント装置50または情報処理装置100は、統計情報の一例として、各クラスタに属するユーザの商品の購入傾向とジオグラフィック属性を組み合わせた属性の共通性、傾向、割合を示す統計情報を取得してよい。このように、クライアント装置50または情報処理装置100は、統計情報の一例として、ユーザのデモグラフィック属性(人口統計学的属性)、サイコグラフィック属性(心理学的属性)、ジオグラフィック属性(地理学的属性)、ベヘイビオラル属性(行動学的属性)等の属性、またはこれらの複数の属性を組み合わせた属性の共通性、傾向、割合を示す統計情報を取得する。
【0022】
上述したように、クライアント装置50または情報処理装置100は、ユーザが10人以上20人以下等、所定の人数に収まるようにユーザの属性情報をクラスタリングしたうえで、各クラスタのラベル(統計情報)を取得する。続いて、クライアント装置50または情報処理装置100は、取得した各クラスタのラベル(統計情報)を相手方の事業者に対して提供する。これにより、クライアント装置50または情報処理装置100は、ユーザ個人の属性データやユーザの数が少ないクラスタ(10人以下等)の統計情報などの個人情報や個人を特定される可能性がある情報をやり取りすることなく、企業間でユーザから収集した情報を相互に提供可能とすることができる。
【0023】
図1に示す例では、クライアント装置50は、クライアント側の事業者のユーザのうち、得意客(お得意さん、またはヘビーユーザともいう)である第1ユーザ群の統計情報を取得する。クライアント装置50は、第1ユーザ群の統計情報を取得すると、取得した第1ユーザ群の統計情報を情報処理装置100に送信する。情報処理装置100は、クライアント装置50から第1ユーザ群の統計情報を取得する(ステップS1)。例えば、情報処理装置100は、第1ユーザ群の統計情報として、所定の人数に収まるように分類された第1ユーザ群の各クラスタのラベルを取得する。
【0024】
続いて、情報処理装置100は、第1ユーザ群の統計情報を取得すると、ホスト側の事業者のユーザの属性情報に基づいて、ホスト側の事業者のユーザのうち、第1ユーザ群の統計情報が示す特徴を有する第2ユーザを判定する判定モデルを学習する(ステップS2)。例えば、情報処理装置100は、ホスト側の事業者のユーザのうち、第1ユーザ群の各クラスタのラベルに当てはまる特徴を有する第2ユーザを判定する判定モデルを学習する。
【0025】
続いて、情報処理装置100は、判定モデルを学習すると、学習した判定モデルを用いて、ホスト側の事業者のユーザのうち、第1ユーザ群の統計情報が示す特徴を有する第2ユーザを判定する(ステップS3)。例えば、情報処理装置100は、学習した判定モデルを用いて、ホスト側の事業者のユーザのうち、第1ユーザ群の各クラスタのラベルに当てはまる特徴を有する第2ユーザを判定する。
【0026】
続いて、情報処理装置100は、第2ユーザを判定すると、判定モデルによって各クラスタのラベルに当てはまる特徴を有すると判定された第2ユーザ群の統計情報をクライアント側の事業者に提供する(ステップS4)。例えば、情報処理装置100は、第2ユーザ群の統計情報として、所定の人数に収まるように分類された第2ユーザ群の各クラスタのラベルを提供する。
【0027】
クライアント装置50は、情報処理装置100から第2ユーザ群の統計情報を取得する。例えば、クライアント装置50は、第2ユーザ群の統計情報として、所定の人数に収まるように分類された第2ユーザ群の各クラスタのラベルを取得する。続いて、クライアント装置50は、取得した第2ユーザ群の統計情報に基づいて、ターゲティングを行う(ステップS5)。例えば、クライアント装置50は、クライアント側の事業者のユーザのうち、得意客とまでは言えないユーザ(ライトユーザともいう)であって、第2ユーザ群の各クラスタのラベルに当てはまる特徴を有するユーザに対してターゲティングを行う。このようにして、クライアント側の事業者は、ホスト側の事業者から取得した統計情報に基づいて、自社の得意客となる見込みのある見込み顧客に対してターゲティングを行うことができる。
【0028】
続いて、クライアント装置50は、ターゲティングの結果に基づいて、第1ユーザ群の統計情報を更新する(ステップS6)。例えば、クライアント装置50は、ターゲティングの結果、コンバージョンに至ったユーザの属性情報を取得する。続いて、クライアント装置50は、クライアント側の事業者のユーザのうち、ターゲティングの結果、コンバージョンに至ったユーザを含めた得意客である第1ユーザ群の統計情報を更新する。クライアント装置50は、第1ユーザ群の統計情報を更新すると、更新された第1ユーザ群の統計情報を情報処理装置100に送信する。
【0029】
情報処理装置100は、クライアント装置50から更新された第1ユーザ群の統計情報を取得する(ステップS7)。情報処理装置100は、更新された第1ユーザ群の統計情報を取得すると、更新された第1ユーザ群の統計情報に基づいて、判定モデルを再学習する(ステップS8)。
【0030】
上述したように、情報処理装置100は、クライアント側の事業者のユーザのうち、所定条件を満たす第1ユーザ群の統計情報を取得する。続いて、情報処理装置100は、第1ユーザ群の統計情報およびホスト側の事業者のユーザの属性情報に基づいて、ホスト側の事業者のユーザのうち、第1ユーザ群の統計情報が示す特徴を有する第2ユーザを判定する判定モデルを学習する。続いて、情報処理装置100は、判定モデルによって第1ユーザ群の統計情報が示す特徴を有すると判定された第2ユーザ群の統計情報をクライアント側の事業者に提供する。また、情報処理装置100は、第2ユーザ群の統計情報に基づいて更新された第1ユーザ群の統計情報を取得する。続いて、情報処理装置100は、更新された第1ユーザ群の統計情報およびホスト側の事業者のユーザの属性情報に基づいて、判定モデルを再学習する。
【0031】
このように、情報処理装置100は、クライアント側の事業者からユーザの統計情報を取得し、クライアント側の事業者に対してユーザの統計情報を提供することにより、ユーザ個人の属性データなどの個人情報をやり取りすることなく企業間でユーザから収集した情報を相互に提供可能とすることができる。また、情報処理装置100は、判定モデルを用いることで、ホスト側の事業者のユーザのうち、第1ユーザ群の統計情報が示す特徴を有する第2ユーザを適切に抽出することができる。また、情報処理装置100は、第2ユーザを適切に抽出することができるので、第2ユーザ群の統計情報を適切に抽出することができる。これにより、情報処理装置100は、クライアント側の事業者に対して、クライアント側の事業者の得意客が有する特徴であって、クライアント側の事業者が自社の情報のみでは知り得なかった新たな特徴に関する統計情報を提供することができる。すなわち、クライアント側の事業者は、ホスト側の事業者から取得した新たな特徴に関する統計情報に基づいて、自社の得意客となる見込みのある見込み顧客に対してターゲティングを行うことができる。つまり、クライアント側の事業者は、自社の得意客となる見込みのある見込み顧客を開拓することができる。したがって、情報処理装置100は、クライアント側の事業者に対して有用な情報を提供することができる。
【0032】
〔2.情報処理装置の構成〕
次に、図2を用いて、実施形態に係る情報処理装置の構成について説明する。図2は、実施形態に係る情報処理装置の構成例を示す図である。図2に示すように、情報処理装置100は、通信部110と、記憶部120と、制御部130とを有する。
【0033】
(通信部110)
通信部110は、例えば、NIC(Network Interface Card)、モデムチップ及びアンテナモジュール等によって実現される。また、通信部110は、ネットワークN(図示略)と有線又は無線で接続される。
【0034】
(記憶部120)
記憶部120は、例えば、RAM(Random Access Memory)、フラッシュメモリ等の半導体メモリ素子、又は、ハードディスク、光ディスク等の記憶装置によって実現される。図2に示すように、記憶部120は、ユーザ情報記憶部121と、履歴情報記憶部122と、モデル情報記憶部123とを有する。
【0035】
(ユーザ情報記憶部121)
ユーザ情報記憶部121は、ユーザの属性情報を記憶する。例えば、ユーザ情報記憶部121は、ユーザの属性等の種々の情報を記憶する。図3は、ユーザ情報記憶部121の一例を示す図である。図3に示した例では、ユーザ情報記憶部121は、「ユーザID(Identifier)」、「年齢」、「性別」、「自宅」、「勤務地」、「興味」といった項目を有する。
【0036】
また、「年齢」は、ユーザIDにより識別されるユーザの年齢を示す。なお、「年齢」は、ユーザの具体的な年齢(例えば35歳など)を示す情報であってもよいし、ユーザの年代(例えば30代など)を示す情報であってもよい。あるいは、「年齢」は、ユーザの生年月日を示す情報であってもよいし、ユーザUの世代(例えば80年代生まれなど)を示す情報であってもよい。また、「性別」は、ユーザIDにより識別されるユーザの性別を示す。
【0037】
また、「自宅」は、ユーザIDにより識別されるユーザの自宅の位置情報を示す。なお、図3に示す例では、「自宅」は、「LC11」といった抽象的な符号を図示するが、緯度経度情報等であってもよい。また、例えば、「自宅」は、地域名や住所であってもよい。
【0038】
また、「勤務地」は、ユーザIDにより識別されるユーザの勤務地(学生の場合は学校)の位置情報を示す。なお、図3に示す例では、「勤務地」は、「LC12」といった抽象的な符号を図示するが、緯度経度情報等であってもよい。また、例えば、「勤務地」は、地域名や住所であってもよい。
【0039】
また、「興味」は、ユーザIDにより識別されるユーザの興味を示す。すなわち、「興味」は、ユーザIDにより識別されるユーザが関心の高い対象を示す。例えば、「興味」は、ユーザが検索エンジンに入力して検索した検索クエリ(キーワード)等であってもよい。なお、図3に示す例では、「興味」は、各ユーザに1つずつ図示するが、複数であってもよい。
【0040】
例えば、図3に示す例において、ユーザID「U1」により識別されるユーザの年齢は、「20代」であり、性別は、「男性」であることを示す。また、例えば、ユーザID「U1」により識別されるユーザは、自宅が「LC11」であることを示す。また、例えば、ユーザID「U1」により識別されるユーザは、勤務地が「LC12」であることを示す。また、例えば、ユーザID「U1」により識別されるユーザは、「スポーツ」に興味があることを示す。
【0041】
ここで、図3に示す例では、「U1」、「LC11」及び「LC12」といった抽象的な値を用いて図示するが、「U1」、「LC11」及び「LC12」には、具体的な文字列や数値等の情報が記憶されるものとする。以下、他の情報に関する図においても、抽象的な値を図示する場合がある。
【0042】
なお、ユーザ情報記憶部121は、上記に限らず、目的に応じて種々の情報を記憶してもよい。例えば、ユーザ情報記憶部121は、ユーザの端末装置10に関する各種情報を記憶してもよい。また、ユーザ情報記憶部121は、ユーザのデモグラフィック属性、サイコグラフィック属性、ジオグラフィック属性、ベヘイビオラル属性等の属性に関する情報を記憶してもよい。例えば、ユーザ情報記憶部121は、氏名、家族構成、出身地(地元)、職業、職位、収入、資格、居住形態(戸建、マンション等)、車の有無、通学・通勤時間、通学・通勤経路、定期券区間(駅、路線等)、利用頻度の高い駅(自宅・勤務地の最寄駅以外)、習い事(場所、時間帯等)、趣味、興味、ライフスタイル等の情報を記憶してもよい。
【0043】
(履歴情報記憶部122)
履歴情報記憶部122は、ユーザの行動を示す履歴情報(ログデータ)に関する各種情報を記憶する。例えば、履歴情報記憶部122は、ユーザのインターネット上の行動履歴(検索履歴、閲覧履歴、購買履歴、投稿履歴等)を示す履歴情報を記憶する。図4は、履歴情報記憶部122の一例を示す図である。図4に示した例では、履歴情報記憶部122は、「ユーザID」、「位置履歴」、「検索履歴」、「閲覧履歴」、「購買履歴」、「投稿履歴」といった項目を有する。
【0044】
「ユーザID」は、ユーザを識別するための識別情報を示す。また、「位置履歴」は、ユーザの位置や移動の履歴である位置履歴を示す。また、「検索履歴」は、ユーザが入力した検索クエリの履歴である検索履歴を示す。また、「閲覧履歴」は、ユーザが閲覧したコンテンツの履歴である閲覧履歴を示す。また、「購買履歴」は、ユーザによる購買の履歴である購買履歴を示す。また、「投稿履歴」は、ユーザによる投稿の履歴である投稿履歴を示す。なお、「投稿履歴」は、ユーザの所有物に関する質問を含んでいてもよい。
【0045】
例えば、図4に示す例において、ユーザID「U1」により識別されるユーザは、「位置履歴#1」の通りに移動し、「検索履歴#1」の通りに検索し、「閲覧履歴#1」の通りにコンテンツを閲覧し、「購買履歴#1」の通りに所定の店舗等で所定の商品等を購入し、「投稿履歴」の通りに投稿したことを示す。
【0046】
ここで、図4に示す例では、「U1」、「位置履歴#1」、「検索履歴#1」、「閲覧履歴#1」、「購買履歴#1」及び「投稿履歴#1」といった抽象的な値を用いて図示するが、「U1」、「位置履歴#1」、「検索履歴#1」、「閲覧履歴#1」、「購買履歴#1」及び「投稿履歴#1」には、具体的な文字列や数値等の情報が記憶されるものとする。
【0047】
なお、履歴情報記憶部122は、上記に限らず、目的に応じて種々の情報を記憶してもよい。例えば、履歴情報記憶部122は、ユーザの所定のサービスの利用履歴等を記憶してもよい。また、履歴情報記憶部122は、ユーザの実店舗の来店履歴又は施設の訪問履歴等を記憶してもよい。また、履歴情報記憶部122は、ユーザの端末装置10を用いた決済(電子決済)での決済履歴等を記憶してもよい。
【0048】
(モデル情報記憶部123)
モデル情報記憶部123は、クライアント側の事業者のユーザのうち、所定条件を満たす第1ユーザ群の統計情報が示す特徴を有するユーザであるか否かを判定するモデルに関する各種情報を記憶する。図5は、モデル情報記憶部123の一例を示す図である。例えば、モデル情報記憶部123は、学習処理により学習(生成)された学習済みモデル(モデル)の情報(モデルデータ)を記憶する。図5に示した例では、モデル情報記憶部123は、「モデルID」、「用途」、「モデルデータ」といった項目を有する。
【0049】
「モデルID」は、モデルを識別するための識別情報を示す。「用途」は、対応するモデルの用途を示す。「モデルデータ」は、モデルのデータを示す。図5では「モデルデータ」に「MDT1」といった概念的な情報が格納される例を示したが、「モデルデータ」には、ユーザの判定に用いる関数等の各種情報が含まれる。例えば、モデルM1がニューラルネットワーク等のネットワークである場合、モデルデータMDT1には、モデルの構成(ネットワーク構成)の情報やパラメータに関する情報等、そのモデルを構成する種々の情報が含まれる。この場合、モデルデータMDT1には、ネットワークの各層におけるノードと、各ノードが採用する関数と、ノードの接続関係と、ノード間の接続に対して設定される接続係数とを含む情報が含まれる。
【0050】
図5に示す例では、モデルID「M1」により識別されるモデル(モデルM1)は、用途が「条件#1を満たすユーザの判定」であることを示す。ここで、ユーザが満たすべき「条件#1」とは、そのユーザが、所定条件を満たす第1ユーザ群の統計情報が示す特徴#1を有することを指す。また、「特徴#1」は、第1ユーザ群に属するユーザが持つ特徴を示す。例えば、「特徴#1」は、第1ユーザ群に属するユーザが有するユーザ属性やユーザ行動を示す。また、モデルM1のモデルデータは、モデルデータMDT1であることを示す。なお、学習モデルは、単一の学習モデルに限らず、複数の学習モデルが用いられてもよい。
【0051】
なお、モデル情報記憶部123は、上記に限らず、目的に応じて種々の情報を記憶してもよい。例えば、モデルM1にPoisson回帰やGradient Boosting Decision Tree等のBoosting法を用いる場合、モデル情報記憶部123は、Poisson回帰に関する関数やBoosting法に関する関数を記憶する。
【0052】
(制御部130)
制御部130は、コントローラ(Controller)であり、例えば、CPU(Central Processing Unit)、MPU(Micro Processing Unit)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)やFPGA(Field Programmable Gate Array)等によって、情報処理装置100の内部の記憶装置に記憶されている各種プログラム(情報処理プログラムの一例に相当)がRAM等の記憶領域を作業領域として実行されることにより実現される。図2に示す例では、制御部130は、取得部131と、生成部132と、判定部133と、提供部134を有する。
【0053】
(取得部131)
取得部131は、クライアント装置50から第1ユーザ群の統計情報を取得する。具体的には、取得部131は、第1ユーザ群の統計情報として、所定の人数(10人以上20人以下等)に収まるように分類された第1ユーザ群の各クラスタのラベルを取得する。
【0054】
(生成部132)
生成部132は、取得部131が第1ユーザ群の統計情報を取得すると、ホスト側の事業者のユーザの属性情報に基づいて、ホスト側の事業者のユーザのうち、第1ユーザ群の統計情報が示す特徴を有する第2ユーザを判定する判定モデルを学習する。具体的には、生成部132は、ホスト側の事業者のユーザのうち、第1ユーザ群の各クラスタのラベルに当てはまる特徴を有する第2ユーザを判定する判定モデルを学習する。
【0055】
例えば、生成部132は、ホスト側の事業者のユーザの中から、取得したラベルに当てはまる特徴を有するユーザと、取得したラベルに当てはまる特徴を有しないユーザを抽出する。続いて、生成部132は、抽出したユーザの属性情報を正解データとして、抽出したユーザの属性情報の特徴を判定モデルに学習させる。例えば、生成部132は、抽出したユーザの属性情報が入力された場合に、属性情報に対応するユーザがラベルに当てはまる特徴を有するユーザである場合は「1」という数値を出力し、そうでないユーザである場合は「0」という数値を出力するよう判定モデルを学習する。
【0056】
(判定部133)
判定部133は、生成部132が判定モデルを学習すると、学習した判定モデルを用いて、ホスト側の事業者のユーザのうち、第1ユーザ群の統計情報が示す特徴を有する第2ユーザを判定する。具体的には、判定部133は、学習した判定モデルを用いて、ホスト側の事業者のユーザのうち、第1ユーザ群の各クラスタのラベルに当てはまる特徴を有する第2ユーザを判定する。例えば、判定部133は、ホスト側の事業者のユーザの属性情報を判定モデルに入力して、判定モデルから出力されたスコアを取得する。続いて、判定部133は、取得したスコアが所定の閾値(例えば、「0.8」など)以上である場合には、属性情報に対応するユーザがラベルに当てはまる特徴を有する第2ユーザであると判定する。一方、判定部133は、取得したスコアが所定の閾値(例えば、「0.8」など)を下回る場合には、属性情報に対応するユーザがラベルに当てはまる特徴を有する第2ユーザではないと判定する。
【0057】
(提供部134)
提供部134は、判定部133が第2ユーザを判定すると、判定モデルによって各クラスタのラベルに当てはまる特徴を有すると判定された第2ユーザ群の統計情報をクライアント側の事業者に提供する。具体的には、提供部134は、第2ユーザ群の統計情報として、所定の人数(10人以上20人以下等)に収まるように分類された第2ユーザ群の各クラスタのラベルを提供する。
【0058】
具体的には、提供部134は、ホスト側の事業者のユーザの属性情報をベクトル化するモデルを生成し、自社のユーザをベクトル空間上にマッピングする。続いて、提供部134は、ベクトル空間上にマッピングしたユーザの属性情報をラベル無しでクラスタリングする。例えば、提供部134は、各クラスタに分類されるユーザが所定の人数n(nは自然数)が所定の範囲内に収まるようにユーザの属性情報をクラスタリングする。例えば、提供部134は、nが10を下回らないようにユーザの属性情報をクラスタリングする。nには、上限があってもよい。例えば、提供部134は、各クラスタに分類されるユーザが10人以上20人以下等、所定の人数に収まるようにユーザの属性情報をクラスタリングする。
【0059】
続いて、提供部134は、各クラスタに属するユーザの属性情報の共通性、傾向、割合を示す統計情報(ラベルともいう)を取得する。具体的には、提供部134は、ラベルの一例として、第2ユーザ群の各クラスタに属する第2ユーザが所定の行動を行う確率を示すスコアを取得する。ホスト側の事業者は、複数サービスドメインの行動ログを用いることが可能である。例えば、提供部134は、サーバデータを用いて何かしらのスコアリングモデル(例えば、ユーザが所定の行動を行う確率を予測する予測モデル)を生成し、全ユーザに対し、ユーザごとにスコア付けしておく。提供部134は、ラベルの一例として、第2ユーザが特定の商品を購入する確率を示すスコア、第2ユーザが特定の検索クエリを検索する確率を示すスコア、第2ユーザが特定のコンテンツを閲覧する確率を示すスコア、第2ユーザが特定のSNS(Social networking service)に投稿する確率を示すスコア、第2ユーザが所定の場所に位置する確率を示すスコア、または第2ユーザが特定のサービスを利用する確率を示すスコアを取得する。
【0060】
提供部134は、各クラスタに属するユーザごとにスコアを集計する。このとき、提供部134は、各クラスタに属するユーザのスコア平均、スコアのトップn個(上位n位以内のスコア等)、及びパーセンタイル等を算出してもよい。また、提供部134は、各クラスタに属するユーザごとに複数の属性の組合せのスコアを算出してもよい。
【0061】
また、例えば、提供部134は、統計情報の一例として、各クラスタに属するユーザの属性情報の組合せを取得する。例えば、提供部134は、統計情報の一例として、各クラスタに属するユーザの商品の購入傾向とジオグラフィック属性を組み合わせた属性の共通性、傾向、割合を示す統計情報を取得してよい。このように、提供部134は、統計情報の一例として、ユーザのデモグラフィック属性、サイコグラフィック属性、ジオグラフィック属性、ベヘイビオラル属性等の属性、氏名、家族構成、出身地(地元)、職業、職位、収入、資格、居住形態(戸建、マンション等)、車の有無、通学・通勤時間、通学・通勤経路、定期券区間(駅、路線等)、利用頻度の高い駅(自宅・勤務地の最寄駅以外)、習い事(場所、時間帯等)、趣味、興味、ライフスタイル等の属性、またはこれらの複数の属性を組み合わせた属性の共通性、傾向、割合を示す統計情報を取得する。
【0062】
また、取得部131は、クライアント装置50から更新された第1ユーザ群の統計情報を取得する。具体的には、取得部131は、更新された第1ユーザ群の統計情報として、所定の人数(10人以上20人以下等)に収まるように分類された更新された第1ユーザ群の各クラスタのラベルを取得する。生成部132は、取得部131が更新された第1ユーザ群の統計情報を取得すると、更新された第1ユーザ群の統計情報に基づいて、判定モデルを再学習する。具体的には、生成部132は、ホスト側の事業者のユーザのうち、更新された第1ユーザ群の各クラスタのラベルに当てはまる特徴を有する第2ユーザを判定するよう判定モデルを再学習する。例えば、生成部132は、ホスト側の事業者のユーザの中から、取得したラベルに当てはまる特徴を有するユーザと、取得したラベルに当てはまる特徴を有しないユーザを抽出する。続いて、生成部132は、抽出したユーザの属性情報を正解データとして、抽出したユーザの属性情報の特徴を判定モデルに再学習させる。例えば、生成部132は、抽出したユーザの属性情報が入力された場合に、属性情報に対応するユーザがラベルに当てはまる特徴を有するユーザである場合は「1」という数値を出力し、そうでないユーザである場合は「0」という数値を出力するよう判定モデルを再学習する。
【0063】
〔3.変形例〕
上述した実施形態では、情報処理装置100から取得した第2ユーザ群の統計情報に基づいて、クライアント側の事業者がターゲティングを行う場合について説明したが、ホスト側の事業者がターゲティングを行ってもよい。具体的には、提供部134は、ホスト側の事業者のユーザのうち、判定モデルによって第2ユーザであると判定されたユーザに対してターゲティングを行う。例えば、提供部134は、第2ユーザであると判定されたユーザに対してターゲティング広告の広告コンテンツを配信する。続いて、提供部134は、広告コンテンツを配信したユーザがコンバージョンに至ったか否かに関するコンバージョン結果を取得する。
【0064】
生成部132は、提供部134が取得したコンバージョン結果に基づいて、判定モデルを更新する。具体的には、生成部132は、提供部134が取得したコンバージョン結果を正解データとして、判定モデルを再学習する。例えば、生成部132は、コンバージョンに至ったユーザの属性情報が入力された場合に、属性情報に対応するユーザがラベルに当てはまる特徴を有するユーザである場合は「1」という数値を出力し、そうでないユーザである場合は「0」という数値を出力するよう判定モデルを再学習する。
【0065】
〔4.効果〕
上述してきたように、実施形態に係る情報処理装置100は、取得部131と、生成部132と、提供部134を有する。取得部131は、クライアント側の事業者のユーザのうち、所定条件を満たす第1ユーザ群の統計情報を取得する。生成部132は、第1ユーザ群の統計情報およびホスト側の事業者のユーザの属性情報に基づいて、ホスト側の事業者のユーザのうち、第1ユーザ群の統計情報が示す特徴を有する第2ユーザを判定する判定モデルを学習する。提供部134は、判定モデルによって特徴を有すると判定された第2ユーザ群の統計情報をクライアント側の事業者に提供する。また、取得部131は、第2ユーザ群の統計情報に基づいて更新された第1ユーザ群の統計情報を取得する。生成部132は、更新された第1ユーザ群の統計情報およびホスト側の事業者のユーザの属性情報に基づいて、判定モデルを再学習する。
【0066】
このように、情報処理装置100は、クライアント側の事業者からユーザの統計情報を取得し、クライアント側の事業者に対してユーザの統計情報を提供することにより、ユーザ個人の属性データなどの個人情報をやり取りすることなく企業間でユーザから収集した情報を相互に提供可能とすることができる。また、情報処理装置100は、判定モデルを用いることで、ホスト側の事業者のユーザのうち、第1ユーザ群の統計情報が示す特徴を有する第2ユーザを適切に抽出することができる。また、情報処理装置100は、第2ユーザを適切に抽出することができるので、第2ユーザ群の統計情報を適切に抽出することができる。これにより、情報処理装置100は、クライアント側の事業者に対して、クライアント側の事業者の得意客が有する特徴であって、クライアント側の事業者が自社の情報のみでは知り得なかった新たな特徴に関する統計情報を提供することができる。すなわち、クライアント側の事業者は、ホスト側の事業者から取得した新たな特徴に関する統計情報に基づいて、自社の得意客となる見込みのある見込み顧客に対してターゲティングを行うことができる。つまり、クライアント側の事業者は、自社の得意客となる見込みのある見込み顧客を開拓することができる。したがって、情報処理装置100は、クライアント側の事業者に対して有用な情報を提供することができる。
【0067】
また、取得部131は、第1ユーザ群の統計情報として、所定人数に収まるように分類された第1ユーザ群の各クラスタの第1ラベルを取得する。生成部132は、第1ユーザ群の各クラスタの第1ラベルに当てはまる特徴を有する第2ユーザを判定する判定モデルを学習する。提供部134は、第2ユーザ群の統計情報として、所定人数に収まるように分類された第2ユーザ群の各クラスタの第2ラベルを提供する。
【0068】
これにより、情報処理装置100は、クライアント側の事業者から第1ユーザ群の各クラスタの第1ラベルを取得し、クライアント側の事業者に対して第2ユーザ群の各クラスタの第2ラベルを提供することにより、ユーザ個人の属性データなどの個人情報をやり取りすることなく企業間でユーザから収集した情報を相互に提供可能とすることができる。
【0069】
また、提供部134は、第2ラベルとして、第2ユーザ群の各クラスタに属する第2ユーザが所定の行動を行う確率を示すスコアを取得する。また、提供部134は、第2ラベルとして、第2ユーザが特定の商品を購入する確率を示すスコア、第2ユーザが特定の検索クエリを検索する確率を示すスコア、第2ユーザが特定のコンテンツを閲覧する確率を示すスコア、第2ユーザが特定のSNS(Social networking service)に投稿する確率を示すスコア、第2ユーザが所定の場所に位置する確率を示すスコア、または第2ユーザが特定のサービスを利用する確率を示すスコアを取得する。
【0070】
これにより、情報処理装置100は、クライアント側の事業者に対して第2ユーザ群の各クラスタに属する第2ユーザが所定の行動を行う特徴を示すスコアを提供することにより、ユーザ個人の属性データなどの個人情報をやり取りすることなく企業間でユーザから収集した情報を相互に提供可能とすることができる。
【0071】
また、提供部134は、第2ラベルとして、第2ユーザ群の各クラスタに属する第2ユーザが第1の行動を行う確率を示す第1スコアと第2ユーザが第2の行動を行う確率を示す第2スコアを組み合わせた複合スコアを取得する。
【0072】
これにより、情報処理装置100は、クライアント側の事業者に対して第2ユーザ群の各クラスタに属する第2ユーザが複数の行動を行う特徴を示すスコアを提供することにより、ユーザ個人の属性データなどの個人情報をやり取りすることなく企業間でユーザから収集した情報を相互に提供可能とすることができる。
【0073】
また、提供部134は、第2ラベルとして、第2ユーザのデモグラフィック属性、サイコグラフィック属性、ジオグラフィック属性、またはベヘイビオラル属性の共通性、傾向、または割合を示す情報を取得する。
【0074】
これにより、情報処理装置100は、クライアント側の事業者に対して第2ユーザ群の各クラスタに属する第2ユーザの属性の共通性、傾向、または割合を示す情報を提供することにより、ユーザ個人の属性データなどの個人情報をやり取りすることなく企業間でユーザから収集した情報を相互に提供可能とすることができる。
【0075】
〔5.ハードウェア構成〕
また、上述してきた実施形態に係る情報処理装置100は、例えば図6に示すような構成のコンピュータ1000によって実現される。図6は、情報処理装置100の機能を実現するコンピュータの一例を示すハードウェア構成図である。コンピュータ1000は、CPU1100、RAM1200、ROM1300、HDD1400、通信インターフェイス(I/F)1500、入出力インターフェイス(I/F)1600、及びメディアインターフェイス(I/F)1700を備える。
【0076】
CPU1100は、ROM1300またはHDD1400に格納されたプログラムに基づいて動作し、各部の制御を行う。ROM1300は、コンピュータ1000の起動時にCPU1100によって実行されるブートプログラムや、コンピュータ1000のハードウェアに依存するプログラム等を格納する。
【0077】
HDD1400は、CPU1100によって実行されるプログラム、及び、かかるプログラムによって使用されるデータ等を格納する。通信インターフェイス1500は、所定の通信網を介して他の機器からデータを受信してCPU1100へ送り、CPU1100が生成したデータを所定の通信網を介して他の機器へ送信する。
【0078】
CPU1100は、入出力インターフェイス1600を介して、ディスプレイやプリンタ等の出力装置、及び、キーボードやマウス等の入力装置を制御する。CPU1100は、入出力インターフェイス1600を介して、入力装置からデータを取得する。また、CPU1100は、生成したデータを入出力インターフェイス1600を介して出力装置へ出力する。なお、CPU1100の代わりに、MPU(Micro Processing Unit)、また多大な計算パワーを必要とすることからGPU(Graphics Processing Unit)を用いてもよい。
【0079】
メディアインターフェイス1700は、記録媒体1800に格納されたプログラムまたはデータを読み取り、RAM1200を介してCPU1100に提供する。CPU1100は、かかるプログラムを、メディアインターフェイス1700を介して記録媒体1800からRAM1200上にロードし、ロードしたプログラムを実行する。記録媒体1800は、例えばDVD(Digital Versatile Disc)、PD(Phase change rewritable Disk)等の光学記録媒体、MO(Magneto-Optical disk)等の光磁気記録媒体、テープ媒体、磁気記録媒体、または半導体メモリ等である。
【0080】
例えば、コンピュータ1000が情報処理装置100として機能する場合、コンピュータ1000のCPU1100は、RAM1200上にロードされたプログラムを実行することにより、制御部150の機能を実現する。コンピュータ1000のCPU1100は、これらのプログラムを記録媒体1800から読み取って実行するが、他の例として、他の装置から所定の通信網を介してこれらのプログラムを取得してもよい。
【0081】
以上、本願の実施形態のいくつかを図面に基づいて詳細に説明したが、これらは例示であり、発明の開示の欄に記載の態様を始めとして、当業者の知識に基づいて種々の変形、改良を施した他の形態で本発明を実施することが可能である。
【0082】
〔6.その他〕
また、上記実施形態及び変形例において説明した各処理のうち、自動的に行われるものとして説明した処理の全部または一部を手動的に行うこともでき、あるいは、手動的に行われるものとして説明した処理の全部または一部を公知の方法で自動的に行うこともできる。この他、上記文書中や図面中で示した処理手順、具体的名称、各種のデータやパラメータを含む情報については、特記する場合を除いて任意に変更することができる。例えば、各図に示した各種情報は、図示した情報に限られない。
【0083】
また、図示した各装置の各構成要素は機能概念的なものであり、必ずしも物理的に図示の如く構成されていることを要しない。すなわち、各装置の分散・統合の具体的形態は図示のものに限られず、その全部または一部を、各種の負荷や使用状況などに応じて、任意の単位で機能的または物理的に分散・統合して構成することができる。
【0084】
また、上述してきた実施形態及び変形例は、処理内容を矛盾させない範囲で適宜組み合わせることが可能である。
【0085】
また、上述してきた「部(section、module、unit)」は、「手段」や「回路」などに読み替えることができる。例えば、生成部は、生成手段や生成回路に読み替えることができる。
【符号の説明】
【0086】
100 情報処理装置
110 通信部
120 記憶部
121 ユーザ情報記憶部
122 履歴情報記憶部
123 モデル情報記憶部
130 制御部
131 取得部
132 生成部
133 判定部
134 提供部
図1
図2
図3
図4
図5
図6