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特許7212140ケーブル貫通ヒンジ及び関連するフレキシブルプリント回路を有するオーディオ眼鏡
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-01-16
(45)【発行日】2023-01-24
(54)【発明の名称】ケーブル貫通ヒンジ及び関連するフレキシブルプリント回路を有するオーディオ眼鏡
(51)【国際特許分類】
   G02C 11/00 20060101AFI20230117BHJP
   H04R 1/02 20060101ALI20230117BHJP
   G02C 5/14 20060101ALI20230117BHJP
   G02C 5/22 20060101ALI20230117BHJP
   G02C 5/00 20060101ALI20230117BHJP
【FI】
G02C11/00
H04R1/02 103A
G02C5/14
G02C5/22
G02C5/00
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2021505641
(86)(22)【出願日】2019-07-31
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-11-25
(86)【国際出願番号】 US2019044413
(87)【国際公開番号】W WO2020028529
(87)【国際公開日】2020-02-06
【審査請求日】2021-03-25
(31)【優先権主張番号】16/050,682
(32)【優先日】2018-07-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】591009509
【氏名又は名称】ボーズ・コーポレーション
【氏名又は名称原語表記】BOSE CORPORATION
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】アレン・ティモシー・グラフ
(72)【発明者】
【氏名】セドリック・ボッシュ
(72)【発明者】
【氏名】ネイサン・デイヴィッド・シャール
(72)【発明者】
【氏名】エドガルド・アリセア
(72)【発明者】
【氏名】ヴィンセント・ジェームズ・リー
(72)【発明者】
【氏名】ライアン・リチャード・メガンク
【審査官】中村 和正
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2016/194853(WO,A1)
【文献】特表平09-504120(JP,A)
【文献】特表2005-534269(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2008/0013041(US,A1)
【文献】特表2015-522842(JP,A)
【文献】欧州特許出願公開第03062144(EP,A1)
【文献】国際公開第2018/005136(WO,A1)
【文献】国際公開第2013/175367(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02C 11/00
H04R 1/02
G02C 5/14
G02C 5/22
G02C 5/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
オーディオ眼鏡であって、
ユーザーの頭部に置かれるためのフレームであって、前記フレームは、
レンズ領域と、
前記レンズ領域から延在する一対のアームと、
前記レンズ領域及び前記一対のアームのうちの1つを連結するヒンジであって、前記ヒンジは、
本体と、
前記本体内の空洞であって、前記空洞は、内部を通って延在するケーブルを収容するようにサイズ決めされ、前記ヒンジは、前記レンズ領域に対する前記アームの動きを可能にする、空洞と、を含む、ヒンジと、を含む、フレームと、
前記フレーム内に少なくとも部分的に収容され、オーディオ出力を提供するための音放射面を含む、電気音響トランスデューサと、
を備え、
前記ケーブルは、フレキシブルプリント回路(FPC)を含み、
前記フレキシブルプリント回路(FPC)は、
前記レンズ領域内に位置する第1のセグメントであって、前記第1のセグメントは、少なくとも1つのビアによって接続され、絶縁層によって分離された2層の導電材料を含む、第1のセグメントと、
前記第1のセグメントと連続し、前記レンズ領域と前記一対のアームのうちの前記少なくとも1つとの間の前記ヒンジを通って延在する第2のセグメントであって、前記第2のセグメントは、前記2層の導電材料のうちの第1の層のみと前記絶縁層とを含む、第2のセグメントと、
を含む、オーディオ眼鏡。
【請求項2】
前記レンズ領域に対する前記アームの前記動きを減衰させるために、前記本体に連結された摩擦要素を更に備える、請求項1に記載のオーディオ眼鏡。
【請求項3】
前記摩擦要素が、シリコーンダンパー又はバネ式デバイスのうちの少なくとも1つを含む、請求項2に記載のオーディオ眼鏡。
【請求項4】
前記レンズ領域及び前記一対のアームのうちの第2のアームを連結する追加のヒンジを更に備え、前記追加のヒンジは、
本体と、
前記本体内の空洞と、
を含み、前記空洞は、内部を通って延在する前記ケーブルを収容するようにサイズ決めされている、請求項1に記載のオーディオ眼鏡。
【請求項5】
前記電気音響トランスデューサは、前記ヒンジによって前記レンズ領域に連結された前記アームのうちの第1のアーム内に装着され、前記ケーブルは、前記アームのうちの他方のアーム内の回路基板に第1の位置で固定され、前記レンズ領域を通って延在し、前記アームのうちの前記第1のアーム内の前記電気音響トランスデューサに近接した第2の位置に固定されている、請求項1に記載のオーディオ眼鏡。
【請求項6】
前記ケーブルは、前記レンズ領域に対する前記アームの前記動きの最中の前記ケーブルに対する張力を制御するために、前記空洞内に収容された少なくとも1つの屈曲部を更に含む、請求項5に記載のオーディオ眼鏡。
【請求項7】
前記ヒンジを前記アームに連結するピンのセットを更に備える、請求項1に記載のオーディオ眼鏡。
【請求項8】
前記ヒンジは、前記オーディオ眼鏡が開放位置にあるときに前記ケーブルを視界からほぼ遮り、前記オーディオ眼鏡が閉鎖位置にあるときに前記ケーブルを視界から完全に遮る、請求項1に記載のオーディオ眼鏡。
【請求項9】
オーディオ眼鏡であって、
ユーザーの頭部に置かれるためのフレームであって、前記フレームは、
レンズ領域と、
前記レンズ領域から延在する一対のアームと、
前記レンズ領域及び前記一対のアームのうちの1つを連結するヒンジであって、前記ヒンジは、
本体と、
前記本体内の空洞であって、前記ヒンジは、前記レンズ領域に対する前記アームの動きを可能にする、空洞と、を含む、ヒンジと、
前記レンズ領域から、前記ヒンジ内の前記空洞を通って前記一対のアームのうちの少なくとも1つまで延在するフレキシブルプリント回路(FPC)と、を含む、フレームと、
前記フレキシブルプリント回路(FPCと接続された電気音響トランスデューサであって、前記電気音響トランスデューサは、前記フレーム内に少なくとも部分的に収容され、オーディオ出力を提供するための音放射面を含む、電気音響トランスデューサと、
を備え、
前記フレキシブルプリント回路(FPC)は、
前記レンズ領域内に位置する第1のセグメントであって、前記第1のセグメントは、少なくとも1つのビアによって接続され、絶縁層によって分離された2層の導電材料を含む、第1のセグメントと、
前記第1のセグメントと連続し、前記レンズ領域と前記一対のアームのうちの前記少なくとも1つとの間の前記ヒンジを通って延在する第2のセグメントであって、前記第2のセグメントは、前記2層の導電材料のうちの第1の層のみと前記絶縁層とを含む、第2のセグメントと、
を含む、オーディオ眼鏡。
【請求項10】
前記レンズ領域に対する前記アームの前記動きを減衰させるために、前記本体に連結された摩擦要素を更に備える、請求項9に記載のオーディオ眼鏡。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、概して、オーディオ眼鏡に関する。より具体的には、本開示は、貫通ヒンジ配線を有するオーディオ眼鏡に関する。
【背景技術】
【0002】
オフイヤーヘッドフォンなどのウェアラブルオーディオデバイスは、ユーザーの耳から離間した電気音響トランスデューサを使用して音を生成する。これらのウェアラブルオーディオデバイスは、様々なフォームファクタをとり得る。いくつかの事例では、これらのウェアラブルオーディオデバイスは、ユーザーの耳及び鼻の上に置かれるように構成されたオーディオ眼鏡を含む。オーディオ眼鏡は、例えば眼鏡のアーム上に位置する、ユーザーの耳の一方又は両方に近接するトランスデューサを含み得る。しかしながら、これらのトランスデューサに電力を供給すること、並びにオーディオ眼鏡のフレームを介した有線通信を可能にすることは、この音声デバイスフォームファクタにおいて困難であり得る。
【発明の概要】
【0003】
下記で言及される全ての例及び特徴は、技術的に可能な任意の方法で組み合わせることができる。
【0004】
本開示の様々な実装形態は、貫通ヒンジ配線構成を有するオーディオ眼鏡を含む。
【0005】
いくつかの特定の態様では、オーディオ眼鏡は、ユーザーの頭部に置かれるためのフレームであって、フレームは、レンズ領域と、レンズ領域から延在する一対のアームと、レンズ領域及び一対のアームのうちの1つを連結するヒンジであって、ヒンジは、本体と、本体内の空洞であって、空洞は、内部を通って延在するケーブルを収容するようにサイズ決めされ、ヒンジが、レンズ領域に対するアームの動きを可能にする、空洞と、を含む、ヒンジと、を有する、フレームと、フレーム内に少なくとも部分的に収容され、オーディオ出力を提供するための音放射面を有する電気音響トランスデューサと、を含む。
【0006】
他の特定の態様では、オーディオ眼鏡は、ユーザーの頭部に置かれるためのフレームであって、フレームは、レンズ領域と、レンズ領域から延在する一対のアームと、レンズ領域から一対のアームのうちの少なくとも1つまで延在するフレキシブルプリント回路(FPC)であって、FPCは、レンズ領域内に位置する第1のセグメントであって、第1のセグメントは、少なくとも1つのビアによって接続され、絶縁層によって分離される2層の導電材料を有する、第1のセグメントと、第1のセグメントと連続し、レンズ領域と一対のアームのうちの少なくとも1つとの間の接合部に近接する第2のセグメントであって、第2のセグメントは、2層の導電材料のうちの第1の層のみと、絶縁層と、を含む、第2のセグメントと、を含む、FPCと、を有する、フレームと、FPCと接続された電気音響トランスデューサであって、電気音響トランスデューサは、フレーム内に少なくとも部分的に収容され、オーディオ出力を提供するための音放射面を有する、電気音響トランスデューサと、を含む。
【0007】
更なる特定の態様では、オーディオ眼鏡は、ユーザーの頭部に置かれるためのフレームであって、フレームは、レンズ領域と、レンズ領域から延在する一対のアームと、レンズ領域及び一対のアームのうちの1つを連結するヒンジであって、ヒンジは、本体と、本体内の空洞であって、ヒンジが、レンズ領域に対するアームの動きを可能にする、空洞と、を含む、ヒンジと、レンズ領域からヒンジ内の空洞を通って一対のアームのうちの少なくとも1つまで延在するフレキシブルプリント回路(FPC)と、を有する、フレームと、FPCと接続された電気音響トランスデューサであって、電気音響トランスデューサは、フレーム内に少なくとも部分的に収容され、オーディオ出力を提供するための音放射面を有する、電気音響トランスデューサと、を含む。
【0008】
実装形態は、以下の特徴のうちの1つ、又はそれらの任意の組み合わせを含み得る。
【0009】
ある特定の実装形態では、オーディオ眼鏡は、レンズ領域に対するアームの動きを減衰させるために本体に連結された摩擦要素を含む。特定の事例では、摩擦要素は、シリコーンダンパー又はバネ式デバイスのうちの少なくとも1つを含む。
【0010】
いくつかの態様では、オーディオ眼鏡は、レンズ領域及び一対のアームのうちの第2のアームを連結する追加のヒンジを含み、追加のヒンジは、本体と、本体内の空洞と、を有し、空洞は、内部を通って延在するケーブルを収容するようにサイズ決めされる。
【0011】
ある特定の事例では、電気音響トランスデューサは、ヒンジによってレンズ領域に連結されるアームのうちの第1のアーム内に装着され、ケーブルは、第1の位置でアームのうちの他方のアーム内の回路基板に固定され、レンズ領域を通って延在し、アームのうちの第1のアーム内の電気音響トランスデューサに近接した第2の位置に固定される。特定の態様では、ケーブルは、レンズ領域に対するアームの動きの最中のケーブルに対する張力を制御するために、空洞内に収容された少なくとも1つの屈曲部を更に含む。
【0012】
いくつかの実装形態では、オーディオ眼鏡は、ヒンジをアームに連結するピンのセットを更に含む。
【0013】
ある特定の態様では、ヒンジは、オーディオ眼鏡が開放位置にあるときにケーブルを視界からほぼ遮り、オーディオ眼鏡が閉鎖位置にあるときにケーブルを視界から完全に遮る。
【0014】
特定の事例では、ケーブルは、フレキシブルプリント回路(FPC)を含む。
【0015】
いくつかの態様では、レンズ領域と一対のアームのうちの少なくとも1つとの間の接合部は、ヒンジを含み、ヒンジは、本体と、本体内の空洞であって、空洞は、内部を通って延在するFPCを収容するようにサイズ決めされ、ヒンジが、レンズ領域に対するアームの動きを可能にする、空洞と、を有する。ある特定の事例では、FPCは、第2のセグメントがヒンジ内の空洞を通過し、第1のセグメントがヒンジ内の空洞の外側に留まるように、第1のセグメントからヒンジに近接する第2のセグメントに移行する。
【0016】
ある実装形態では、FPCは、一対のアーム及びレンズ領域の両方を通って延在し、第2のセグメントのみが、レンズ領域と一対のアームとの間の対応の接合部に近接して位置する。
【0017】
特定の態様では、2層の導電材料は、第1の導電材料層及び第2の別個の導電材料層を含み、第1の導電材料層は、第2の導電材料層よりも薄い。いくつかの実装形態では、第2の導電材料層は、第1の導電材料層の厚さの少なくとも3倍の厚さを有する。
【0018】
ある特定の事例では、第1のセグメントは、第2のセグメントよりも低いインピーダンスを有し、第2のセグメントは、第1のセグメントよりも長い曲げサイクル寿命を有する。
【0019】
特定の態様では、オーディオ眼鏡は、2層の導電材料のうちの一方の層に隣接する第1の追加の絶縁層と、2層の導電材料のうちの他方の層に隣接する第2の追加の絶縁層と、を更に含む。
【0020】
本概要の項に記載される特徴を含む、本開示に記載される特徴の2つ以上は、特に本明細書に記載されない実装形態を形成するために組み合わされ得る。
【0021】
1つ以上の実装形態の詳細が、添付図面及び以下の説明において述べられる。他の特徴、目的、及び利点は、本説明及び図面から、並びに特許請求の範囲から明らかになるであろう。
【0022】
様々な実装形態の図面は必ずしも縮尺どおりではないことに留意されたい。図面は、本開示の典型的な態様のみを示すことを意図するものであり、したがって、発明の範囲を限定するものとみなされるべきではない。図面において、同様の番号付けは、図面間の同様の要素を表す。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】様々な実装形態によるオーディオ眼鏡の概略図を示す。
図2図1のオーディオ眼鏡に実質的に収容されている選択電子機器の概略図である。
図3】様々な実装形態によるオーディオ眼鏡内のヒンジの概略図を示す。
図4図3のオーディオ眼鏡内にヒンジの追加の斜視図である。
図5】様々な実装形態によるヒンジの断面図である。
図6】様々な実装形態によるフレキシブルプリント回路(FPC)を含むオーディオ眼鏡の概略部分透視図を示す。
図7】様々な実装形態によるFPCの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
本明細書に記載されるように、本開示の様々な態様は、概して、貫通ヒンジ配線を有するオーディオ眼鏡に関する。より具体的には、本開示の態様は、貫通ヒンジオーディオ眼鏡用の配線と共に、配線用空洞を有するヒンジを有するオーディオ眼鏡に関する。
【0025】
図中の共通にラベル付けされた構成要素は、例示目的のために略同等の構成要素であるとみなされ、それらの構成要素の重複する説明は、明確化のために省略する。
【0026】
本明細書に示され、説明される構成要素は、様々な製造技術、例えば、成形、鋳造、付加製造(例えば、3D印刷)などによって形成され得る。特定の技術が記載されていない場合、従来の製造手法を使用して、様々な実装形態に従って開示される構成要素及び構造を形成することができる。
【0027】
本明細書に開示される態様及び実装形態は、様々なフォームファクタのウェアラブルオーディオデバイスなどの多種多様なスピーカシステムに適用可能であり得、オーディオ眼鏡又は他のヘッドマウントオーディオデバイスに特に適用する。別段の指定がない限り、本文書で使用されるようなウェアラブルオーディオデバイスという用語は、頭、肩、又は1つ以上の音響ドライバを含む身体装着音響デバイスなどの様々な他の種類のパーソナルオーディオデバイスを含み、ユーザーの耳に接触して又は接触することなく音を生成する。開示されるいくつかの態様は、オーディオ眼鏡又は他のヘッドマウントオーディオデバイスなどのパーソナル(ウェアラブル)オーディオデバイスに特に適用可能であり得る。オーディオを音響的に出力する目的を主に果たすスピーカシステムの具体的な実装形態は、ある程度の詳細が提示されているが、そのような特定の実装形態の提示は、実施例の提供を通じて理解を容易にすることを意図するものであり、開示の範囲又は特許請求の範囲のいずれかを限定するものとして解釈されるべきではないことに留意されたい。
【0028】
本明細書に開示される態様及び実装形態は、双方向通信をサポートするか、又はサポートしないスピーカシステムに適用可能であり得、アクティブノイズ低減(active noise reduction、ANR)をサポートするか、又はサポートしないスピーカシステムに適用可能であり得る。双方向通信又はANRのいずれかをサポートするスピーカシステムの場合、本明細書で開示及び特許請求されるものは、使用時に耳の外側に残るスピーカシステムの一部分(例えば、フィードフォワードマイクロフォン)、使用時に耳の一部分に挿入される一部分(例えば、フィードバックマイクロフォン)、又はそのような部分の両方に配置された1つ以上のマイクロフォンを組み込むスピーカシステムに適用可能であることが意図されている。本明細書で開示及び特許請求されるものが適用可能であるスピーカシステムの、更に他の実装形態は、当業者には明らかであろう。
【0029】
本明細書で述べられるように、オフイヤーヘッドフォンは、使用中にユーザーの耳から離間した(又は分離された)音響ドライバを使用して音を生成する。オーディオ眼鏡(眼鏡ヘッドフォンとも称される)は、眼鏡フレーム内に内蔵された1つ以上の双極子ラウドスピーカを含み得る。双極子ラウドスピーカは、ラウドスピーカの電気音響トランスデューサの両側から位相のずれた音を生成する。音は、眼鏡フレーム内の開口部又は通気孔から放出され得る。一方の通気孔が耳に近く、他方の通気孔が耳から離れている場合には、最小限の漏出で高品質の音が耳に送達され得る。双極子ラウドスピーカを有するオフイヤーヘッドフォンの例は、米国特許第9,794,676号及び米国特許出願第15/375,119号に開示されており、これらの両方は参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。オフイヤーヘッドフォンの更なる態様は、米国特許出願第15/884,924号及び同第15/992,982号に記載されており、これらの両方は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。加えて、特定のオフイヤーヘッドフォンの設計は、米国意匠特許出願第29/639,191号(代理人整理番号OG-18-041-US)に含まれており、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0030】
本明細書では、オーディオ眼鏡又は眼鏡ヘッドフォンとして記載されているが、本明細書に開示されるウェアラブルオーディオデバイスは、追加の特徴及び能力を含み得る。つまり、様々な実装形態に従って記載されるオーディオ眼鏡は、スマート眼鏡、スマートウォッチなどの1つ以上の他のウェアラブル電子デバイス、又は電気音響トランスデューサへの配線がヒンジへの通過を必要とする任意の他のウェアラブルオーディオデバイスに見られる特徴を含み得る。これらのオーディオ眼鏡は、1つ以上のカメラ、位置追跡デバイス、マイクロフォンなどの追加のハードウェア構成要素を含むことができ、音声認識、視覚認識、及び他のスマートデバイス機能が可能であり得る。本明細書に含まれるオーディオ眼鏡の説明は、そのようなデバイスにおけるこれらの追加の能力を除外することを意図するものではない。
【0031】
図1は、様々な実装形態によるオーディオ眼鏡10の概略図である。図示のように、オーディオ眼鏡10は、レンズ領域30と、レンズ領域30から延在する一対のアーム40と、を有するフレーム20を含み得る。従来の眼鏡と同様に、レンズ領域30及びアーム40は、ユーザーの頭部に置かれるように設計されている。レンズ領域30は、度付き、度なし、及び/又は光フィルタリングレンズ、並びにユーザーの鼻に置かれるためのブリッジ60(パッドを含んでもよい)を含み得る、レンズ50のセットを含み得る。アーム40は、ユーザーのそれぞれの耳に載せるための輪郭65を含み得る。
【0032】
フレーム20内には、電子機器70及び特定の実装形態によるオーディオ眼鏡10を制御するための他の構成要素が収容される(又は、構成要素がフレームの境界を越えて延在し得るように、実質的に収容される)。いくつかの事例では、電子機器70の別個のセット又は重複セットがフレームの一部、例えば、フレーム20内の対応するアーム40のそれぞれに収容される。しかしながら、本明細書に記載されるある特定の構成要素は、単一の形態で存在し得る。
【0033】
図2は、フレーム20(図1)内に収容された電子機器70の概略図を示す。電子機器70内の1つ以上の構成要素は、ハードウェア及び/又はソフトウェアとして実装されてもよいこと、また、そのような構成要素は、任意の従来の手段(例えば、有線及び/又は無線接続)によって接続されてもよいことが理解される。オーディオ眼鏡10又は実装形態に従って開示される他のシステム内の別の構成要素に接続又は連結されたものとして記載される任意の構成要素は、任意の従来の有線接続及び/又は追加の通信プロトコルを使用して通信し得ることが更に理解される。いくつかの事例では、通信プロトコル(複数可)は、無線ローカルエリアネットワーク(local area network、LAN)、IEEE 802.11 b/gなどの通信プロトコル(例えば、第3世代、第4世代、又は第5世代(3G、4G、5Gのセルラーネットワーク))、又はBluetooth(登録商標)、BLE Bluetooth(登録商標)、ZigBee(メッシュLAN)、Z波(サブGHzメッシュネットワーク)、6LoWPAN(軽量IPプロトコル)、LTEプロトコル、RFID、超音波オーディオプロトコルなどの、複数のモノのインターネット(internet-of-things、IoT)プロトコルのうちの1つを含み得る。様々な特定の実装形態では、オーディオ眼鏡10内に別個に収容された構成要素は、1つ以上の従来の無線送受信機を使用して通信するように構成される。
【0034】
図2に示すように、フレーム20(図1)内に収容された電子機器70は、トランスデューサ80と、慣性測定ユニット(IMU)90と、電源100と、を含み得る。様々な実装形態では、電源100はトランスデューサ80に接続され、更にIMU90に接続され得る。トランスデューサ80、IMU90、及び電源100のそれぞれは、コントローラ110と接続され、コントローラ110は、本明細書に記載される様々な実装形態に従って制御機能を実行するように構成されている。電子機器70は、1つ以上の無線ネットワーク(例えば、ローカルWiFiネットワーク、Bluetooth(登録商標)接続、又は無線周波数(RF)接続)を介して接続された1つ以上の他の電子デバイスと通信するように構成された通信構成要素(例えば、無線送受信機(WT))、並びに増幅及び信号処理構成要素など、本明細書に具体的に示されていない他の構成要素を含み得る。これらの構成要素又はこれらの構成要素の機能的等価物は、コントローラ110と接続され得る、又はその一部を形成し得ることが理解される。
【0035】
トランスデューサ80は、ユーザーの耳に近接して音響出力を生成するための少なくとも1つの電気音響トランスデューサを含み得る。いくつかの特定の事例では、少なくとも2つの電気音響トランスデューサ80が、ユーザーの耳(例えば、それぞれの耳に近接する1つのトランスデューサ80)に近接して(ただし、物理的に分離されて)位置付けられる。しかしながら、他の事例では、トランスデューサ80は、それらが(又は耳とインターフェースをとるためのそれらの対応するハウジング又は構造)がユーザーの耳に物理的に接触するように、アーム40から延在して位置付けられ得ることが理解される。ある特定の実装形態では、それぞれのトランスデューサ80は、その前側から前側音響放射を放出し、その後側に後側音響放射を放出する音響ドライバ又はラジエータを有する双極子ラウドスピーカを含み得る。双極子ラウドスピーカは、オーディオ眼鏡10のフレーム20内に組み込まれ得る(図1)。ハウジングは、前側音響放射を方向付けることができ、またハウジングは、後側音響放射を方向付けることができる。ハウジング内の複数の音響電動通気孔(開口部)は、音がハウジングから出ることを可能にする。眼鏡フレーム20内の開口部は、音がフレーム20からも出るように、これらの通気孔と位置合わせされ得る。これらの事例では、音響伝導開口部間の距離は、ラウドスピーカの音響双極子の有効長を画定する。有効長は、任意の特定の周波数で放出される放射に最も寄与する2つの開口部間の距離であると考えることができる。ハウジング及びその開口部は、有効双極子長が周波数依存性であるように構築及び配置され得る。ある特定の事例では、トランスデューサ80(例えば、ラウドスピーカ双極子トランスデューサ)は、この特徴を有さないオフイヤーヘッドフォンと比較して、耳に送達される音圧と漏出する音とのより大きい比を達成することができる。
【0036】
IMU90は、多軸加速度計、ジャイロスコープ、及び/又は磁力計を組み合わせる微小電気機械システム(MEMS)デバイスを含み得る。追加又は代替センサは、本明細書に記載されるような動きを検出するための、IMU90、例えば、光学系追跡システム、加速度計、磁力計、ジャイロスコープ、又はレーダーの機能を実行し得ることが理解される。IMU90は、位置/配向に基づく制御機能を可能にするために、オーディオ眼鏡10の物理的位置及び/又は配向の変化を検出するように構成され得る。電子機器70はまた、オーディオ眼鏡10に位置する1つ以上の光学的若しくは視覚的検出システム、又はオーディオ眼鏡10の位置/配向を検出するように構成された別の接続デバイスを含み得ることが理解される。いずれの場合でも、IMU90(及び/又は追加のセンサ)は、オーディオ眼鏡10の位置及び/又は配向に関するセンサデータをコントローラ110に提供し得る。
【0037】
トランスデューサ80への電源100は、局所的に(例えば、フレーム20のつる領域のそれぞれの電池を用いて)提供され得るか、又は単一の電池が、フレーム20を通過するか、ないしは別の方法で一方のつるから他方のつるに転送される配線を介して電力を伝達し得る。電源100は、様々な実装形態によるトランスデューサ80の動作を制御するために使用され得る。
【0038】
コントローラ110は、本明細書に記載されるプロセスに従ってプログラム命令又はコードを実行するための従来のハードウェア及び/又はソフトウェア構成要素を含み得る。例えば、コントローラ110は、1つ以上のプロセッサ、メモリ、構成要素間の通信経路、及び/又はプログラムコードを実行するための1つ以上の論理エンジンを含んでもよい。コントローラ110は、任意の従来の無線接続及び/又は有線接続を介して電子機器70内の他の構成要素と連結することができ、それにより、コントローラ110は、それらの構成要素との間で信号を送受信し、それらの動作を制御することが可能になる。
【0039】
図1に戻ると(及び図2を参照すると)、ある特定の実装形態では、オーディオ眼鏡10は、コントローラ110と接続されたインターフェース150を含む。これらの事例では、インターフェース150は、オーディオ選択などの機能に使用され、オーディオ眼鏡に電力を供給するか、又は音声制御機能に従事し得る。ある特定の事例では、インターフェース150は、ボタン又は静電容量式タッチインターフェースを含む。いくつかの追加の実装形態では、インターフェース150は、ユーザーが、ユーザーインターフェースコマンドを開始するために、オーディオ眼鏡10の1つ以上のセクション(例えば、アーム40)を強く押すことを可能にし得る圧縮可能インターフェースを含む。図1に示されるインターフェース150は、単に、インターフェース(例えば、ボタン又は静電容量式タッチインターフェース)の一例を示すことを意図するものである。インターフェース機能は、インターフェースが肉眼で視認できないように、オーディオ眼鏡10のフレームに統合され得ることが理解される。
【0040】
図1に示されるが、図3及び図4の斜視図により具体的に例示されるように、オーディオ眼鏡10はまた、レンズ領域30及び一対のアーム40のうちの1つを連結するヒンジ300を含み得る。図1に示されるように、いくつかの事例では、オーディオ眼鏡10は、それぞれのアーム40をレンズ領域30に連結するために1つずつ、2つのヒンジ300を含む。しかしながら、オーディオ眼鏡は、図3及び図4に示されるヒンジ300のうちの単一のヒンジを含み得る(かつ、アームとレンズ領域30との他の接合部にある従来の眼鏡ヒンジを含み得る)ことが理解される。特定の実装形態では、ヒンジ300は、ステンレス鋼などの金属で(例えば、金属射出成形(MIM)を使用して)形成され、例えば、物理蒸着(PVD)プロセスを使用してコーティングされ得る。フレーム20の残りの部分は、実質的にプラスチック又は複合材料から形成され得る。
【0041】
図3に戻ると、ヒンジ300は、レンズ領域30をオーディオ眼鏡10の右アーム40と接合する、フレーム20の内側からのこの斜視図に示されている。この描写では、ヒンジ300は実質的に開放位置にある。本明細書で更に説明するように、ヒンジ300は、フレーム20のレンズ領域30に対するアーム40の動き(例えば、枢動)を可能にし得るが、例えば、アーム(複数可)40内の電子機器70(図1)内の1つ以上の構成要素に接続するために、ヒンジ300を通って延在するケーブル310を収容するように構成され得る。図4は、実質的に閉鎖した位置にあるフレーム20の反対側からのオーディオ眼鏡10の斜視図を示す。
【0042】
図5は、アーム40をレンズ領域30に連結するヒンジ300の上面断面図である。この図に示すように(図3及び図4を続けて参照すると)、ヒンジ300は、本体320と、本体320を通って延在する空洞330と、を含み得る。本体320は、プラスチック又は複合材など、眼鏡業界で使用される1つ以上の従来の材料で形成され得る。空洞330は、内部を通って延在するケーブル310を収容するようにサイズ決めされ、すなわち、空洞330は、ケーブル310の幅よりも広い第1の開口部340(レンズ領域30内の経路350に至る)と、ケーブル310よりも広い第2の開口部360(アーム40内の経路370に至る)を有する。いくつかの事例では、第1の開口部340は、例えば、第1の開口部350が第2の開口部370のサイズの約3~5倍である場合、第2の開口部360よりも大きい(より広い)。本明細書に記載されるように、様々な実装形態では、空洞330は、ケーブル310を収容するように、例えば、ケーブルが開口部340、360間の経路内で屈曲又は曲折することを可能にするようにサイズ決めされた経路を含む。
【0043】
特定の実装形態では、ヒンジ300は、繰り返し使用中の材料疲労を軽減するように輪郭形成された縁部305を含み得る。例えば、アーム40との境界面における輪郭形成された縁部305は、材料疲労を軽減するのに特に有用であり得る。いくつかの事例では、第2の開口部360に隣接するヒンジ300の表面は、輪郭形成された縁部305を含む。
【0044】
様々な実装形態では、図5に示されるように、オーディオ眼鏡10は、本体320に連結された摩擦要素400を更に含み得る。摩擦要素400は、例えば、アームがレンズ領域30に対して動く際に、本体320に対して抵抗力を加えることによって、レンズ領域30に対するアーム40の動きを減衰させるように構成され得る。いくつかの実装形態では、摩擦要素400は、本体320の外側表面405と連結されるが、他の事例では、摩擦要素400は、摩擦要素400が本体320内に延在するように、例えば、スロット又は嵌合溝内で本体320と一体化する。いくつかの例示的な実装形態では、図5に示されるように、摩擦要素400は、アーム40内のポケット415内に位置付けられ得、本明細書に記載される減衰機能を実行するために、本体320とアーム40との間にはめ込まれてもよい。ある特定の実装形態では、摩擦要素400は、結合剤又は接着剤を使用して本体320と接続されるが、他の事例では、摩擦要素400は本体320と一体に形成され得る(例えば、一体成形、鋳造、又は付加製造)。いくつかの事例では、摩擦要素400は、本体320及び/又はアーム40と連結されたシリコーンダンパー又はバネ式デバイス(例えば、バネ式プラットフォーム又は接触パッド)を含む。
【0045】
様々な実装形態では、ヒンジ300は、レンズ領域30内のスロット410内に固定される。例えば、図3及び図5に示されるように、スロット410は、スロット410内のレンズ領域30に固定されるか、ないしは別の方法で固定的に取り付けられ得るヒンジ300を収容するようにサイズ決めされる。いくつかの事例では、ヒンジ300は、接着剤又は結合剤によってレンズ領域30と接続される。特定の実装形態では、図3図5に示されるように、オーディオ眼鏡は、ヒンジ300をアーム40に連結するピン420のセットを含み得る。いくつかの特定の事例では、少なくとも2つのピン420が、ヒンジ300をアーム40に接続するために使用され、アーム40がレンズ領域30に対して旋回することを可能にする。ピン(複数可)420は、ヒンジ300内の嵌合スロット(複数可)430を通って延在し得る。ある場合には、上部ピン410及び下部ピン410は、いずれのピンも空洞330を通って延在してケーブル310を干渉することがないように、ヒンジ300をアーム40と連結するために使用される。
【0046】
図3に示されるように、ヒンジ300は、オーディオ眼鏡10が開放位置にあるときに、ケーブル310を実質的に視界から遮る。つまり、オーディオ眼鏡10が開放位置にあるとき、ユーザーにはケーブル310のわずかな部分のみが見える。ヒンジ300の外側表面とアーム40のケーシングとの間のこの隙間により、アーム40は、アーム40の動きを妨げることなく、ヒンジ300を中心に旋回することができる。図4に示されるように、ヒンジ300は、オーディオ眼鏡10が閉鎖位置にあるときに、ケーブル310を完全に視界から遮る。つまり、オーディオ眼鏡が閉鎖位置にあるとき、ユーザーには、ケーブル310のいずれの部分も見えない。
【0047】
図6のオーディオ眼鏡10の斜視図に示されるように(引き続き図5も参照すると)、様々な実装形態では、ケーブル310は、レンズ領域30を通って延在し、アーム40のうちの1つにある回路基板(図示せず)に第1の位置440で固定され、かつ他方のアーム40内の電気音響トランスデューサ80に近接する第2の位置450に固定される。ケーブル310は、ヒンジ300を貫通するが、レンズ領域30に対するアーム(複数可)40の動きを可能にする。例えば、図5に示すように、いくつかの実装形態では、ケーブル310は、レンズ領域30に対するアーム40の動きの最中のケーブル310における張力を制御するために、空洞330内に収容された少なくとも1つの屈曲部460を含む。つまり、屈曲部460は、レンズ領域30に対するアーム40の動きの最中のケーブル310における望ましくない張力を防止するために、ケーブル310内に意図的に形成され得る。いくつかの事例では、1つ以上の追加の屈曲部460がケーブル310内に形成されて、動きの最中のケーブル310の張力を制御する。
【0048】
ある特定の実装形態では、ケーブル310は、図6に示すように、オーディオ眼鏡10内の両方のヒンジ300を通過するように構成され得るフレキシブルプリント回路(FPC)を含む。ケーブル310のFPC実装は、図7のFPC700によって指定される。図7に示されるFPC700は、境界によって分離された2つのセクションで示されている。この図は、この斜視図内の別個のセグメントの特定の特性を示すことを意図している。
【0049】
図6及び図7に示されるように、FPC700は、レンズ領域30からアーム40のうちの少なくとも1つまで延在するように構成されている。特定の実装形態では、FPC700は、それぞれのヒンジ300を通って、アーム40の対応する1つまで延在する。図7のFPC700の断面図は、レンズ領域30(図6)に位置する第1のセグメント710と、レンズ領域30とアーム40との間の接合部730に近接して位置する第2のセグメント720と、の2つの別個のセグメントを示す。様々な実装形態では、接合部730は、図1及び図3図5に関して本明細書に記載されるように、ヒンジ300を含む。第2のセグメント720は、接合部730に近接する領域内のヒンジ300を通過するようにサイズ決めされている。第2のセグメント720は、片面セグメントとも称されてもよく、第1のセグメント710は、両面セグメントとも称されてもよい。いくつかの事例では、第2のセグメント720は、それぞれのアーム40の長さの一部分にわたって延在し、特定の事例では、第2のセグメント720は、アーム40内の電子機器70(例えば、本明細書に記載されるトランスデューサ又は他の電子構成要素)まで延在する。
【0050】
図7に見られるように、第1のセグメント710(又は両面セグメント)は、少なくとも1つのビア760によって接続され、絶縁層770によって分離された2層の導電材料750a、750bを含む。導電材料層(第1)750a、導電材料層(第2)750b、及びビア760は、一般的な導電材料、例えば、銅、若しくはアルミニウムなどの金属、又は金属充填ポリマーなどの導電性ポリマーから形成され得る。絶縁層770は、シリコン、シリコンゲルマニウムなどの任意の従来の絶縁回路材料を含み得る。第1及び第2の導電材料層750a、750bを分離する絶縁層770と同様の材料で形成され得る追加の絶縁層770が、第1のセグメント710に示されている。
【0051】
引き続き図6及び図7を参照すると、第2のセグメント720は、2つのセグメント間の電気経路が中断されないように、第1のセグメント710と連続している。レンズ領域30とアーム40との間の接合部730に近接して位置する第2のセグメント720(図6)は、導電材料層のうちの1つのみ、すなわち第1の導電材料層750aを有する。つまり、FPC700は、第1のセグメント710(導電材料層750a、750bの両方を有する)から、ヒンジ300に近接した第2のセグメント720(第1の導電材料層750を有する)に移行する。この意味では、図5を更に参照すると、第2のセグメント720は、ヒンジ300内の空洞330を通過し、第1のセグメント710は、その空洞330の外側に留まる。いくつかの特定の事例では、FPC700は、両方のアーム40並びにレンズ領域30を通って延在し、第2のセグメント720のみが、レンズ領域30とアーム40との間のそれぞれの接合部730に近接して、例えば、ヒンジ330のそれぞれから短い距離に位置する。しかしながら、他の実装形態では、FPC700は、レンズ領域30にわたり、ヒンジ300に近接する第2のセグメント720に移行する第1のセグメント710を含み、第2のセグメント720は、アーム(複数可)40内の電子機器70(例えば、トランスデューサ80)(図1)に近接した装着位置まで続いている。
【0052】
様々な特定の実装形態では、第1の導電材料層750aは、それらの層を形成するために使用される導電材料の種類の違いにかかわらず、第2の導電材料層750bよりも薄い。ある特定の事例では、第2の導電材料層750bは、第1の導電材料層750aの厚さ(T)の少なくとも3倍の厚さ(T)を有する(図7)。
【0053】
様々な実装形態では、第1のセグメント710(第1及び第2の導電材料750a、750bの両方を有する)は、第2のセグメント720(第1の導電材料層750aのみを有する)よりも低いインピーダンスを有する。つまり、FPC700の長さの大部分にわたり得る第1のセグメント710は、第2のセグメント720よりもインピーダンスの懸念の影響を受けにくい。逆に、第2のセグメント720は、第1のセグメント710よりも長い曲げサイクル寿命を有し得る。この意味では、FPC700の2セグメント構成は、回路の長さの大部分に及ぶインピーダンス制御を可能にする一方で、ヒンジ300を通過する回路の領域における曲げサイクル寿命を向上させる。この構成は、FPC700が約2ミリメートル(mm)以下の厚さを有し、いくつかの実装形態では、1.5mmほどの薄さになり得るように、薄いFPC設計を(ページ図6に)可能にする。FPC700の薄型構成は、嵩のある回路機構によって厚くならない、自然な見た目のレンズ領域30及びアーム40を可能にする。これにより、電気性能を損なうことなく、オーディオ眼鏡10の美的魅力を高めることができる。
【0054】
本明細書に記載される機能性又はその部分、及びその様々な修正(以下「機能」)は、少なくとも部分的にコンピュータプログラム製品(例えば、1つ以上のデータ処理装置(例えば、プログラム可能プロセッサ、コンピュータ、複数のコンピュータ、及び/又はプログラム可能論理構成要素など)の動作による実行のための、又はその動作を制御するための、1つ以上の非一時的機械可読媒体などの情報担体において有形に具現化されたコンピュータプログラム)を介して実装され得る。
【0055】
コンピュータプログラムは、コンパイラ型言語又はインタープリタ型言語を含む任意の形態のプログラム言語で書くことができ、それは、スタンドアローンプログラムとして、又はコンピューティング環境での使用に好適なモジュール、構成要素、サブルーチン、若しくは他のユニットとして含む任意の形態で配備され得る。コンピュータプログラムは、1つのコンピュータ上で、若しくは1つのサイトにおける複数のコンピュータ上で実行されるように配備されるか、又は複数のサイトにわたって配信されて、ネットワークによって相互接続され得る。
【0056】
機能の全部又は一部を実装することと関連した動作は、較正プロセスの機能を実施するために1つ以上のコンピュータプログラムを実行する1つ以上のプログラム可能なプロセッサによって実施され得る。機能の全部又は一部は、特殊目的論理回路、例えば、FPGA及び/又はASIC(特定用途向け集積回路)として実装され得る。コンピュータプログラムの実行に好適なプロセッサとしてはまた、例として、一般的及び特殊目的マイクロプロセッサの両方、並びに任意の種類のデジタルコンピュータの1つ以上のプロセッサが挙げられる。一般的に、プロセッサは、読み出し専用メモリ、ランダムアクセスメモリ、又はそれらの両方から命令及びデータを受信することになる。コンピュータの構成要素は、命令を実行するためのプロセッサ、並びに命令及びデータを記憶するための1つ以上のメモリデバイスを含む。
【0057】
図面の要素は、ブロック図の個別要素として図示及び説明される。これらの要素は、アナログ回路又はデジタル回路の1つ以上として実現されるようにしてもよい。代替的に、又は追加的に、これらの要素は、1つ以上のマイクロプロセッサがソフトウェア命令を遂行して実現されるようにしてもよい。ソフトウェア命令は、デジタル信号処理命令を含むことができる。演算は、アナログ回路により、又はマイクロプロセッサが、アナログ演算と同等の演算を実行するソフトウェアを遂行することにより実行することができる。信号ラインは、個別のアナログ信号ライン又はデジタル信号ラインとして、別個の信号を処理することができる適切な信号処理を行う個別のデジタル信号ラインとして、及び/又は無線通信システムの要素として実装されてもよい。
【0058】
ブロック図でプロセスが表現又は示唆されるときに、ステップは、1つの要素又は複数の要素によって実行され得る。これらのステップは、一括して実行される、又は異なる時点で行われるようにしてもよい。活動を実行する要素は、物理的に同じであっても互いに近接していてもよく、又は物理的に離れていてもよい。1つの要素は、1つのブロックよりも多くの活動を実行することができる。オーディオ信号は、符号化することができる、又は符号化されなくてもよく、デジタル形式又はアナログ形式のいずれかで伝送することができる。従来のオーディオ信号処理装置及びオーディオ信号演算処理は、図面から省略されている場合がある。
【0059】
様々な実装形態では、互いに「連結」されているとして説明される構成要素は、1つ以上のインターフェースに沿って接合することができる。いくつかの実装形態では、これらのインターフェースは、別個の構成要素間の接合部を含むことができ、他の場合には、これらのインターフェースは、強固に及び/又は一体的に形成された相互接続部を含み得る。すなわち、場合によっては、互いに「連結された」構成要素は同時に形成されて、単一の連続部材を画定することができる。しかしながら、他の実装形態では、これらの連結された構成要素は、別個の部材として形成され、その後、既知のプロセス(例えば、はんだ付け、締結、超音波溶接、接合)によって接合され得る。様々な実装形態では、「連結された」と記載される電子構成要素は、これらの電子構成要素が互いにデータを通信することができるように、従来の有線及び/又は無線手段を介してリンクすることができる。更に、所与の構成要素内の下位構成要素は、従来の経路を介してリンクされていると考えることができるが、必ずしも図示されない。
【0060】
具体的に本明細書に記載されていない他の実施形態もまた、以下の特許請求の範囲内にある。本明細書に記載される異なる実装形態の要素は、特に上に記載されない他の実施形態を形成するために組み合わされ得る。要素は、それらの動作に悪影響を及ぼすことなく、本明細書に記載される構造から除かれ得る。更にまた、様々な別個の要素は、本明細書に記載される機能を実施するために、1つ以上の個々の要素と組み合わされ得る。
【符号の説明】
【0061】
10 オーディオ眼鏡
20 フレーム
30 レンズ領域
40 アーム
80 電気音響トランスデューサ
300 ヒンジ
320 本体
330 空洞
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7