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▶ パブリック・ジョイント・ストック・カンパニー・“シブール・ホールディング”の特許一覧

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-01-16
(45)【発行日】2023-01-24
(54)【発明の名称】ポリマー組成物及びその調製方法
(51)【国際特許分類】
   C08C 19/00 20060101AFI20230117BHJP
   C08F 4/54 20060101ALI20230117BHJP
   C08F 236/10 20060101ALI20230117BHJP
   C08L 15/00 20060101ALI20230117BHJP
   C08F 4/606 20060101ALI20230117BHJP
   B60C 1/00 20060101ALI20230117BHJP
【FI】
C08C19/00
C08F4/54
C08F236/10
C08L15/00
C08F4/606
B60C1/00 Z
【請求項の数】 34
(21)【出願番号】P 2021529013
(86)(22)【出願日】2018-11-23
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-01-20
(86)【国際出願番号】 RU2018000767
(87)【国際公開番号】W WO2020106173
(87)【国際公開日】2020-05-28
【審査請求日】2021-07-20
(73)【特許権者】
【識別番号】513322589
【氏名又は名称】パブリック・ジョイント・ストック・カンパニー・“シブール・ホールディング”
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】エフゲニー・レオニドヴィチ・ポルキン
(72)【発明者】
【氏名】アフィナ・レオニドヴナ・ルミアンツェヴァ
(72)【発明者】
【氏名】スヴェトラーナ・ボリソヴナ・ポポヴァ
(72)【発明者】
【氏名】タチアナ・アレクサンドロヴナ・イアルツェヴァ
【審査官】小森 勇
(56)【参考文献】
【文献】特表2013-544303(JP,A)
【文献】国際公開第2008/044722(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08C 19/00
C08F 4/54
C08F 236/10
C08L 15/00
C08F 4/606
B60C 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
タイヤを製造するためのゴム混合物に使用される、低い、40%未満の、ビニル基含有量によって特徴付けられるポリマー組成物を調製する方法であって、前記組成物はブタジエン-スチレン重合体とポリブタジエン重合体の1:1の質量比の混合物であり、前記ブタジエン-スチレン重合体が、少なくとも2つのヘテロ原子を含む電子供与体添加剤、脂肪族カリウムアルコキシド、有機リチウム開始剤を用い、かつ、少なくとも1つの酸素原子及び1つのケイ素原子を含む化合物からなる群から選択される鎖末端修飾剤を用いて調製されたものであり、かつ、前記ポリブタジエン重合体が、ネオジム化合物との有機アルミニウム化合物の触媒複合体の存在下で、少なくとも1つのスズ原子を含む少なくとも1つの分岐剤を用いて調製されたものである、ポリマー組成物を調製する方法
【請求項2】
鎖末端修飾剤が、シクロシラン及びオキサシクロシランの群から選択される化合物であることを特徴とする、請求項1に記載のポリマー組成物を調製する方法
【請求項3】
ヘキサメチルシクロトリシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルペンタシクロシロキサン、プロピルメタクリレート-ヘプタブチル-シクロシロキサン、1,3-グリシジルプロポ-ヘプタン-イソブチル-シクロシロキサン、1,1-ジメチル-1-シラ-2-オキサシクロシロキサン、及び2,2,4-トリメチル-1-オキサ-4-アザ-2-シラシクロヘキサンが鎖末端修飾剤として好ましいことを特徴とする、請求項1に記載のポリマー組成物を調製する方法
【請求項4】
オクタメチルシクロテトラシロキサン及び1,1-ジメチル-1-シラ-2-オキサシクロシロキサンが鎖末端修飾剤として最も好ましいことを特徴とする、請求項1に記載のポリマー組成物を調製する方法
【請求項5】
活性リチウムに基づく、使用した修飾剤の量が、活性リチウム1モル当たり0.05~5モルであることを特徴とする、請求項1に記載のポリマー組成物を調製する方法
【請求項6】
活性リチウムに基づく、使用した修飾剤の最も好ましい量が、活性リチウム1モル当たり0.1~1モルであることを特徴とする請求項1に記載のポリマー組成物を調製する方法
【請求項7】
タイヤを製造するためのゴム混合物に使用される、低い、40%未満の、ビニル基含有量によって特徴付けられるポリマー組成物を調製する方法であって、前記組成物はブタジエン-スチレン重合体とポリブタジエン重合体の1:1の質量比の混合物であり、前記ブタジエン-スチレン重合体が、少なくとも2つのヘテロ原子を含む電子供与体添加剤、脂肪族カリウムアルコキシド、有機リチウム開始剤を用い、かつ、少なくとも1つの窒素原子を含む鎖末端修飾剤を用いて調製されたものであり、かつ、前記ポリブタジエン重合体が、ネオジム化合物との有機アルミニウム化合物の触媒複合体の存在下で、少なくとも1つのスズ原子を含む少なくとも1つの分岐剤を用いて調製されたものである、ポリマー組成物を調製する方法
【請求項8】
鎖末端修飾剤が、ビニルピリジン類、ラクタム類、及びニトリル類の群から選択される化合物であることを特徴とする、請求項7に記載のポリマー組成物を調製する方法
【請求項9】
N-メチル-ε-カプロラクタム、N-メチルピロリドン、2-ビニルピリジン、4-ビニルピリジン、3-ジメチルアミノプロピオニトリル、及び3-ジエチルアミノプロピオニトリルが前記鎖末端修飾剤として好ましいことを特徴とする、請求項7に記載のポリマー組成物を調製する方法
【請求項10】
2-ビニルピリジン及び3-ジエチルアミノプロピオニトリルが前記鎖末端修飾剤として最も好ましいことを特徴とする、請求項7に記載のポリマー組成物を調製する方法
【請求項11】
活性リチウムに基づく、使用した修飾剤の量が、活性リチウム1モル当たり0.1~6モルであることを特徴とする請求項7に記載のポリマー組成物を調製する方法
【請求項12】
活性リチウムに基づく、使用した修飾剤の最も好ましい量が、活性リチウム1モル当たり0.9~5モルであることを特徴とする請求項7に記載のポリマー組成物を調製する方法
【請求項13】
前記脂肪族カリウムアルコキシドが式ROKの化合物であり、Rは、直鎖又は分岐鎖の一級、二級、又は三級の脂肪族基から選択できる脂肪族基であることを特徴とする、請求項1又は7に記載のポリマー組成物を調製する方法
【請求項14】
ED:ROKのモル比がそれぞれ1:(0.1~3)の範囲であることを特徴とする、請求項1又は7に記載のポリマー組成物を調製する方法
【請求項15】
最も好ましいED:ROK比が、最も好ましくは1:(0.17~0.3)の範囲であることを特徴とする、請求項1又は7に記載のポリマー組成物を調製する方法
【請求項16】
ED及びROKが、有機リチウム開始剤を供給する前に、同時に又は任意の順序で別々に供給されることを特徴とする、請求項1又は7に記載のポリマー組成物を調製する方法
【請求項17】
カリウムアミレート、カリウムイソアミレート、カリウムtert-アミレート、カリウムヘキサノレート、カリウム2-メチルヘキサノレート、カリウム2-エチルヘキサノレート、カリウムヘプタノレート、カリウム2-メチルヘプタノレート、カリウム2-エチルヘプタノレート、カリウムオクタノレート、ナトリウム及び周期表の第2族の原子を含む多官能の混合カリウムラプロモラート-テトラヒドロフルフルリレートを含めたカリウムラプロモレートが、カリウムアルコキシドとして好ましいことを特徴とする、請求項1又は7に記載のポリマー組成物を調製する方法
【請求項18】
EDとして使用される化合物が、エチレングリコールジメチルエーテル(モノグライム)、ジエチレングリコールジメチルエーテル(ジグライム)、2,2-ビス(2’-テトラヒドロフリル)プロパン(DTHFP)、N,N,N’,N’-テトラメチルエチレンジアミン(TMEDA)、メチルテトラヒドロフルフリルエーテル、エチルテトラヒドロフルフリルエーテル、プロピルテトラヒドロフルフリルエーテル、ブチルテトラヒドロフルフリルエーテル、イソプロピルテトラヒドロフルフリルエーテル、sec-ブチルテトラヒドロフルフリルエーテル、イソブチルテトラヒドロフルフリルエーテル、tert-ブチルテトラヒドロフルフリルエーテル、ペンチルテトラヒドロフルフリルエーテル、ヘキシルテトラヒドロフルフリルエーテル、エチレングリコールtert-ブチルメチルエーテル、エチレングリコールtert-ブチルエチルエーテル(EGTBEE)、ジテトラヒドロフルフリルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジプロピルエーテル、ジエチレングリコールジイソプロピルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル、ジエチレングリコールジイソブチルエーテル、又はそれらの混合物であることを特徴とする、請求項1又は7に記載のポリマー組成物を調製する方法
【請求項19】
ジテトラヒドロフリルプロパン(DTHFP)、N,N,N’,N’-テトラメチルエチレンジアミン(TMEDA)、メチルテトラヒドロフルフリルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールtert-ブチルエチルエーテル、及びジテトラヒドロフルフリルエーテルがEDとして好ましいことを特徴とする、請求項18に記載のポリマー組成物を調製する方法
【請求項20】
DTHFP及びTMEDAがEDとして最も好ましいことを特徴とする、請求項19に記載のポリマー組成物を調製する方法
【請求項21】
EDが、活性リチウム1モル当たり0.01~0.3モルの量で用いられることを特徴とする、請求項1又は7に記載のポリマー組成物を調製する方法
【請求項22】
EDが、活性リチウム1モル当たり0.02~0.2モルの量で好ましくは用いられることを特徴とする、請求項21に記載のポリマー組成物を調製する方法
【請求項23】
EDが、活性リチウム1モル当たり0.03~0.1モルの量で最も好ましくは用いられることを特徴とする、請求項22に記載のポリマー組成物を調製する方法
【請求項24】
分岐剤が、式SnHal、SnHalR、又はSnHal(式中、R=C~C20アルキルであり、Hal=F、Cl、Br、Iである)のハロゲン化スズであることを特徴とする、請求項1又は7に記載のポリマー組成物を調製する方法
【請求項25】
式SnHalのハロゲン化スズ、特に四塩化スズ及び四臭化スズが分岐剤として好ましいことを特徴とする、請求項24に記載のポリマー組成物を調製する方法
【請求項26】
ポリブタジエンの製造における分岐剤として四塩化スズが最も好ましいことを特徴とする、請求項25に記載のポリマー組成物を調製する方法
【請求項27】
分岐剤が、ネオジム1モル当たり0.2~1モルの量で用いられることを特徴とする請求項1又は7に記載のポリマー組成物を調製する方法
【請求項28】
ブタジエン-スチレン重合体とポリブタジエン重合体を1:1の質量比で、撹拌機を備えた装置中で70~100℃の温度において20~40分間混合する工程を含む、請求項1~27のいずれか一項に記載のポリマー組成物を調製する方法。
【請求項29】
ブタジエン-スチレン重合体が18~24%の1,2-単位含有量及び30~40%の結合したスチレンの含有量によって特徴付けられ、ポリブタジエン重合体が97~99%シス1,4-単位含有量、0.2~0.8%の1,2-単位含有量、及び1~1.5%のトランス-1,4-単位含有量によって特徴づけられ、かつ、組成物が60~80c.u.のムーニー粘度、17~19%の結合したスチレンの含有量、及び8~12%の1,2-単位含有量によって特徴付けられる、請求項1~2のいずれか一項に記載のポリマー組成物を調製する方法
【請求項30】
タイヤの製造のためのゴム混合物における、請求項1~28のいずれか一項に記載の方法によって得られた低いビニル基含有量を有するポリマー組成物の使用。
【請求項31】
ポリマー組成物が、トラックタイヤを製造するためのゴム混合物に用いられる、請求項30に記載の使用。
【請求項32】
トラックタイヤを製造するためのゴム混合物を調製する方法であって、前記ゴム混合物が請求項1~28のいずれか一項に記載の方法によって得られた低いビニル基含有量を有するポリマー組成物及び適切な添加剤を含む、ゴム混合物を調製する方法
【請求項33】
請求項32に記載の方法によって得られたゴム混合物から作られたタイヤを製造する方法
【請求項34】
前記タイヤがトラック用タイヤである、請求項33に記載のタイヤを製造する方法
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タイヤ、電気技術分野及びその他の分野における工業用ゴム製品に使用される合成ポリマーの産業分野に関する。特に、本発明は、タイヤの製造、特にトラック用タイヤの製造に使用される、低いビニル基含有量を有するポリマー組成物、及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
天然ゴム(NR)は、技術分野で幅広い用途をもたらす、多くの疑いの余地のない利点を有している。NRから作られた加硫物は、高い弾性及び耐寒性と組み合わせて、良好な強度特性、耐摩耗性、及び複数回の曲げに対する耐性を示す。NR加硫物の高い耐湿性は、この材料がトラック用のトレッドゴムとして使用される場合に特に魅力的である。しかし、NRはいくつかの重大な欠点を有しており、それはたとえば、NRの特性がゴム・プランテーションの場所に大きく左右されること、ゴム・プランテーションの安定しない収量、限定された原材料の供給源、及び北緯では工業規模でNRを得ることができないことなどである。NRは天然由来の唯一のゴムであり、そのユニットは主に1,4-シス-イソプレン構造をもっているため、現時点では、いかなる合成ゴム(SR)もNRベースの加硫物の複雑な特性を完全に再現することはできない。しかし、多くのSRが、NR加硫物の特性よりも優れたいくつかの特性をもつ加硫物を得ることを可能にしている。
【0003】
NRを用いることによって保証される特性に非常に類似した複雑な特性を有する加硫物を得るために、いくつかの異なるゴムを用いて、ゴム混合物を配合する。その結果、NRを用いた場合に得られる特性と多かれ少なかれ同じ特性が得られる。この技術は多くの特許、例えば、米国特許第5395891A号明細書、米国特許第5886086A号明細書、米国特許出願公開第2016/145418号明細書、米国特許第6359045号明細書、米国特許出願公開第2004/261927号明細書、米国特許第4946887号明細書、米国特許第8383711号明細書、米国特許出願公開第2014/100334A1号明細書、米国特許出願公開第2017/327601号明細書、ロシア国特許第2235105号明細書、ロシア国特許第2502754号明細書、ロシア国特許第2635803号明細書、及び欧州特許出願公開第0601611A1号明細書に記載されている。
【0004】
しかし、機械的混合では、ゴム粒子の相互貫入を十分なレベルで確実に達成することはできず、結果として、望ましい特性を確実に達成することができない。ゴム粒子の高度な相互貫入は、重合体を混合することによってのみ可能である。
【0005】
重合体を混合して最適な所望の特性を有する生成物を製造する方法は、文献及び特許文献によって知られている。
【0006】
すなわち、本件出願人の出願証明書SU1001671号は、高い含有率の1,2-単位及び制御された分子量分布を有するポリブタジエンの製造方法を開示している。この方法は、触媒としての有機リチウム化合物及び電子供与体としてのジエチレングリコールジメチルエーテル (ジグライム) の存在下、トルエン中で、出発物質としてモノマーのトルエン溶液の共通フィードラインをもつ一組の2並列型反応器中での1,3-ブタジエンの重合によって行われ、そこでは一組の反応器のうちの1つを使用して1.9~2.5dl/gの固有粘度を有する高分子量ポリマーを含む重合物を製造し、他方を使用して0.3~0.6dl/gの固有粘度を有する低分子量ポリマーを含む重合物を製造し、次にこれらの重合物を9:1~4:1の質量比で混合し、その場合に、低分子量ポリマーを含む重合物の一部が、残りの部分に対して1:30~30:1の質量比で出発物質にフィードされる。
【0007】
上記の発明において、電子供与体添加剤はジエチレングリコールジメチルエーテル(ジグリム)であり、これは有機リチウム化合物によるメタル化を受け、すなわち、エーテルの開裂プロセスはリチウムアルコキシドの形成とともに進行する。それとともに、成長するポリマー鎖の切断が起こり、これが、官能化されていないポリマーの形成につながる。
【0008】
ロシア国特許RU2487137号は (コ) ポリマーの製造方法を提供しており、そのプロセスは2つの並列反応器で行われ、反応器のそれぞれがジエンの重合又はそれらの相互の及び/又はビニルアリール化合物との共重合に使用される。第1の反応器には、有機リチウム開始剤、電子供与体添加剤、及び分岐剤が供給され、もう一方の反応器には、有機リチウム開始剤、電子供与添加剤、及び官能化剤が供給される。第1及び第2の反応器で調製された重合混合物は、互いに混合され、これに連鎖停止反応が続く。好ましいジエンは、共役ジエン、例えばブタジエン及び/又はイソプレンである。
【0009】
結果として得られるポリマーは、高い含有量の低分子量画分によって特徴付けられ、これは、ポリマー鎖の活性金属が触媒系の溶媒であるトルエンに移動することによって引き起こされる。さらに、分岐剤として使用される周期表の第4族元素のハロゲン化物と組み合わせての触媒系の成分としてのアルカリ金属アルコキシドの使用は、ポリマーの効率的な分岐をもたらさない。したがって、ゴム混合物における高いレベルの弾性ヒステリシスと物理機械的特性の複合は不可能である。
【0010】
ロシア国特許RU2565706号は、官能化されたジエンエラストマー及びその組成物を開示している。この官能化されたジエンエラストマーは、鎖の一方の末端にシラノール官能基又はシラノール末端ポリシロキサンブロックを含み且つもう一方の末端には官能基をもたない単官能化エラストマー75~95質量%、及び錫に結合するか又は錫によって星型分岐したエラストマー5~25質量%からなる。
【0011】
1つのストリーム中でのポリマーの分岐及び官能化は高レベルの分岐及び官能化を達成することはできず、したがって、この方法によって製造されたポリマーは、分岐された部分と官能化された部分を混合することによって製造されたポリマーよりも、加工性及び弾性ヒステリシス特性などのパラメーターにおいて劣る。
【0012】
米国特許第6228908号は、エラストマー組成物中のジエンポリマー及びコポリマーを記載している。このジエンポリマー及びコポリマーは、最初に、アニオン重合によって調製された「リビング」ポリマー鎖の一部を、ポリハロゲン化スズであるカップリング剤を使用してカップリングし、次に残りの「リビング」鎖をヒドロカルビルシラン化合物によって停止 (残りのリビング鎖の末端修飾) することにより調製される。
【0013】
停止剤として機能するカップリング剤の添加は、残る「リビング」鎖の濃度を制御することを困難にし、なぜなら、理論的に活性なリチウムの一定のパーセンテージが不純物に費やされ、それによって、後で、修飾時に、これがポリマーの不完全な官能化をもたらしうるからである。
【0014】
ロシア国特許RU2439101号において開示された官能化ポリマー組成物の調製方法は、技術的本質及び達成された結果において最も近いものである。ゴム組成物は、官能基の存在、0~5質量%未満の量の芳香族ビニル化合物、及び2000≦Mw≦15000の平均分子量によって特徴づけられる低分子量共役ジエンポリマー(B)、及び150000以上の平均分子量によって特徴付けられる高分子量ゴム成分(A)を伴う希釈剤(C)を混合することによって調製される。ポリマー(B)の官能基は、スズ含有基、ケイ素含有基、及び窒素含有基から選択される。この窒素含有基は、イソシアネート、チオイソシアネート、アミノベンゾフェノン化合物、尿素誘導体、C=N-C結合を含むケタミン又はアルジミン化合物、及び環状アミド化合物からなる群に由来する。この方法は、ゴム混合物中における低分子量成分の使用を含み、これは、ポリマー鎖の自由端でのエネルギーの散逸によって増大した熱の発生によって、もたらされる弾性ヒステリシス特性を改善する。ゴム混合物中の低分子量成分のみの官能化は、加硫物の弾性ヒステリシス特性の改善を確実にするものではない。さらに、このゴム組成物を使用して製造された加硫物は、改善された凍結路面グリップ特性、及び向上した耐久性によって特徴付けられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0015】
【文献】米国特許第5395891号明細書
【文献】米国特許第5886086号明細書
【文献】米国特許出願公開第2016/145418号明細書
【文献】米国特許第6359045号明細書
【文献】米国特許出願公開第2004/261927号明細書
【文献】米国特許第4946887号明細書
【文献】米国特許第8383711号明細書
【文献】米国特許出願公開第2014/100334号明細書
【文献】米国特許出願公開第2017/327601号明細書
【文献】ロシア国特許第2235105号明細書
【文献】ロシア国特許第2502754号明細書
【文献】ロシア国特許第2635803号明細書
【文献】欧州特許出願公開第0601611号明細書
【文献】SU1001671号明細書
【文献】ロシア国特許RU2487137号明細書
【文献】ロシア国特許RU2565706号明細書
【文献】米国特許第6228908号明細書
【文献】ロシア国特許RU2439101号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
したがって、天然ゴム(NR)に非常に近い特性を有し、良好な強度特性、耐摩耗性、及び複数回の曲げに対する耐性を、高い弾性及び耐凍害性を組み合わせて有する合成ゴムを作り出す必要性がなおも存在する
【0017】
本発明の技術的目的は、低ビニル基含有量を有するポリマーであって、ゴムコンパウンドの配合において天然ゴムを置き換えることができるポリマーを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0018】
この目的は、少なくとも2つのヘテロ原子を含む電子供与体添加剤、脂肪族カリウムアルコキシド、有機リチウム開始剤を用い、かつ、少なくとも1つの酸素原子及び1つのケイ素原子を含む化合物からなる群から選択される鎖末端修飾剤、あるいは少なくとも1つの窒素原子を含む鎖末端修飾剤を用いて調製されたブタジエン-スチレン重合体と、
ネオジム化合物との有機アルミニウム化合物の触媒複合体、及び少なくとも1つのスズ原子を含む少なくとも1つの分岐剤を用いて調製されたポリブタジエン重合体とを混合することによってポリマー組成物を調製することによって対処される。
【0019】
タイヤ、特にトラックタイヤの製造に使用されるポリマー組成物は、ブタジエン-スチレン重合体とポリブタジエン重合体を1:1の比率で混合することによって調製され、ここで、ブタジエン-スチレン重合体は18~24%の1,2-単位の含有量、及び30~40%の結合したスチレン含有量によって特徴づけられ、かつポリブタジエン重合体は97~99%のシス-1,4単位の含有量、0.2~0.8%の1,2-単位の含有量、及び1~1.5%のトランス-1,4単位の含有量によって特徴付けられる。
【0020】
別の側面では、本発明は、本発明によるポリマー組成物を用いて調製されたゴム混合物に関する。
【0021】
技術的結果は、低いビニル基含有量を有するコポリマーである、ポリマー組成物を調製することであり、このコポリマーは、現在トラックタイヤの製造に使用されている天然ゴム(NR)の代替物である。さらに、特許請求の範囲に記載した組成物の耐摩耗性は、NRのそれよりも2倍高い。
【発明を実施するための形態】
【0022】
<本発明の説明>
フィラー添加及び非フィラー添加のポリマー加硫物の良好な強度特性、耐摩耗性、及び複数回の曲げに対する耐性、高い弾性、及び良好な耐寒性は、ポリマーに必須の重要な特性である。それは、天然ゴムが有する特性である。しかし、NRの製造は、合成ゴムと比較して多くの欠点を有する。世界中のゴム・プランテーションの生産性は、近年、大幅に向上しているという事実にもかかわらず、NRの生産量の増加は無制限ではない。タイヤ産業はすでにNRの不足に直面しており、これはまた常に上昇する価格にも反映されている。さらに、天然ゴムの組成及び特性は、ゴム植物の生息地及びその年の気候特性に大きく左右される。この事実は、製造されるタイヤの安定した品質を確実にすることを難しくしている。さらに、NRは官能基(FG)を含んでおらず、かつその官能化へのアプローチは著しく制限されている一方で、非官能化生成物と比較して、加硫物におけるその弾性ヒステリシス及び物理機械的特性の改善された組み合わせによって、官能化された製品はゴムの消費者にとってより魅力的になっている。これらの理由をまとめると、現時点において、NRを合成類似体で置き換えるという重大な課題が存在する。
【0023】
本発明は、タイヤ製造用のゴム混合物に使用される低いビニル基含有量を有するポリマー組成物を提供し、この組成物はブタジエン-スチレン重合体及びポリブタジエン重合体を1:1の比率で含み、ここで、ブタジエン-スチレン重合体は、18~24%の1,2-単位の含有量及び30~40%の結合されたスチレンの含有量によって特徴付けられ、かつポリブタジエン重合体は、97~99%のシス-1,4単位の含有量、0.2~0.8%の1,2-単位の含有量、及び1~1.5%のトランス-1,4単位の含有量によって特徴付けられ、さらに、組成物が、60~80c.u.のムーニー粘度、17~19%の結合さされたスチレンの含有量、及び8~12%の1,2-単位の含有量によって特徴付けられる。
【0024】
ブタジエン-スチレン重合体は、触媒システムの存在下での、適切な出発ジエンモノマーとビニル芳香族モノマーの重合によって調製され、ジエンは1,3-ブタジエン及びイソプレン(2-メチル-1,3-ブタジエン)から選択され、ビニル芳香族モノマーはスチレン及びα-メチルスチレンから選択され、触媒システムは:
- 有機リチウム開始剤;
- 少なくとも2つのヘテロ原子を含む電子供与体化合物(ED);及び
- 一般式ROKの脂肪族カリウムアルコキシド
(ここで、Rは、直鎖又は分枝鎖の一級、二級、又は三級脂肪族基から選択できる脂肪族基である)
を含む。
【0025】
ED:ROKのモル比は、それぞれ、1:(0.1~3)の範囲である。ED及びROKは、有機リチウム開始剤を供給(フィード)する前に、同時に又はそれに代えて任意の順序で供給(フィード)される。上記範囲から選択される最適な比率は、達成されるべきポリマーの微細構造の目標とするパラメーターに応じて変わる。ED:ROKの比率は1:(0.17~0.3)が最も好ましい。
【0026】
ブタジエン-スチレン重合体を製造するための、請求項に規定する方法は、一般式ROKの様々な脂肪族カリウムアルコキシドの使用を示唆しており、ここで、Rは5~15個の炭素原子を含む脂肪族基であり、その基は直鎖又は分岐鎖の一級、二級、又は三級の脂肪族基及び/又はそれらの混合基から選択される。好ましいカリウムアルコキシドは、カリウムアミレート、カリウムイソアミレート、カリウムtert-アミレート、カリウムヘキサノレート、カリウム2-メチルヘキサノレート、カリウム2-エチルヘキサノレート、カリウムヘプタノレート、カリウム2-メチルヘプタノレート、カリウム2-エチルヘプタノレート、カリウムオクタノレート、及びカリウムラプロモラート(potassium lapromolat)であり、カリウムラプロモラートには、ナトリウム及び周期表の第2族の原子を含む多官能の混合カリウムラプロモラート-テトラヒドロフルフルリレートが含まれる。
【0027】
ブタジエン-スチレン重合体を調製するために使用されるカリウムアルコキシドの量は、活性リチウム(有機金属化合物中のアニオンの対イオン)に基づいて計算され、したがって、カリウムアルコキシドの量は、調製される共重合体についての好ましい微細構造に応じて変わる。供給(フィード)されたアルコキシドの量が多ければ多いほど、共重合体分子中のビニル芳香族化合物残基の含有量はより低くなり(ここで、残基は様々な長さのブロックで表される)、かつ前記のブロックの長さはより短くなる。
【0028】
本発明によれば、活性リチウムに基づくカリウムアルコキシドの使用量は、活性リチウム1モル当たり0.01~0.5モル、好ましくは活性リチウム1モル当たり0.02~0.4モル、最も好ましく活性リチウム1モル当たり0.03~0.3モルである。
【0029】
ブタジエン-スチレン重合体を調製するために使用される電子供与体添加剤は、1分子中に2つ以上のヘテロ原子を含む。
【0030】
2つ以上のヘテロ原子をもつEDは、エチレングリコールジメチルエーテル(モノグライム)、ジエチレングリコールジメチルエーテル(ジグライム)、2,2-ビス(2’-テトラヒドロフリル)プロパン(DTHFP)、N,N,N’,N’-テトラメチルエチレンジアミン(TMEDA)、メチルテトラヒドロフルフリルエーテル、エチルテトラヒドロフルフリルエーテル、プロピルテトラヒドロフルフリルエーテル、ブチルテトラヒドロフルフリルエーテル、イソプロピルテトラヒドロフルフリルエーテル、sec-ブチルテトラヒドロフルフリルエーテル、イソブチルテトラヒドロフルフリルエーテル、tert-ブチルテトラヒドロフルフリルエーテル、ペンチルテトラヒドロフルフリルエーテル、ヘキシルテトラヒドロフルフリルエーテル、エチレングリコールtert-ブチルメチルエーテル、エチレングリコールtert-ブチルエチルエーテル(EGTBEE)、ジテトラヒドロフルフリルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジプロピルエーテル、ジエチレングリコールジイソプロピルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル、ジエチレングリコールジイソブチルエーテル、又はそれらの混合物であることができる。
【0031】
2個以上のヘテロ原子をもつ好ましいEDは、ジテトラヒドロフリルプロパン(DTHFP)、N,N,N',N'-テトラメチルエチレンジアミン(TMEDA)、メチルテトラヒドロフルフリルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールtert-ブチルエチルエーテル、及びジテトラヒドロフルフリルエーテルである。
【0032】
2つ以上のヘテロ原子をもつ最も好ましいEDは、DTHFP及びTMEDAである。
【0033】
使用されるEDの量は活性リチウムに基づいて計算され、したがって、EDの用量は、調製される共重合体のための好ましい微細構造によって異なる。EDの使用量が多ければ多いほど、共重合体中の1,2-単位の含有量がより多くなる。
【0034】
2個以上のヘテロ原子をもつEDは、活性リチウム1モル当たり0.01~0.3モル、好ましくは活性リチウム1モル当たり0.02~0.2モル、最も好ましくは活性リチウム1モル当たり0.03~0.1モルの量で用いられる。
【0035】
ブタジエン-スチレン重合体を調製するために使用される有機リチウム化合物は、エチルリチウム、イソプロピルリチウム、n-ブチルリチウム、sec-ブチルリチウム、tert-ブチルリチウム、フェニルリチウム、メチルリチウム、2-ナフチルリチウム、4-フェニルブチルリチウム、プロピルリチウム、イソプロピルリチウム、3-ジメチルアミノプロピルリチウム、及び3-ジエチルアミノプロピルリチウムを含む群から選択されるアルキルリチウム又はその誘導体である。
【0036】
n-ブチルリチウム、sec-ブチルリチウム、tert-ブチルリチウム、及び3-ジメチルアミノプロピルリチウムが好ましい。
【0037】
最も好ましい有機リチウム開始剤はn-ブチルリチウムである。
【0038】
使用される有機リチウム開始剤の量は、製造されるブタジエン-スチレン重合体の所望のムーニー粘度に左右される。工業生産規模では、有機リチウム開始剤の最適量は、モノマー1トンあたり4~11モルである。
【0039】
ブタジエン-スチレン重合体は、原料のジエンモノマー(1,3-ブタジエン又はイソプレン)とスチレン又はα-メチルスチレンとのさまざまな比率で調製され、それはそれぞれが(95~60):(5~40)質量部の範囲である。好ましい比率は、それぞれ(80~50):(20~50)重量部である。最も好ましい比率は、それぞれ(70~60):(30~40)重量部である。
【0040】
ブタジエン-スチレン重合体は炭化水素溶媒を使用して製造され、溶媒は、ペンタン、ヘキサン、及びヘプタンを含む群から選択される脂肪族溶媒;シクロヘキサン及びシクロヘプタンから選択される脂環式溶媒;及び、ガソリン留分、並びにベンゼン、トルエン、エチルベンゼン、及びキシレンから選択される芳香族溶媒;あるいはそれらの混合物である。
【0041】
ヘキサン又はヘキサンとガソリン留分の混合物が、炭化水素溶媒として好ましい。
【0042】
最も好ましい炭化水素溶媒は、(65~70):(30~35)の比率のシクロヘキサンとネフラス(nefras)の混合物であり、ネフラスとは、65~75℃の沸点範囲をもつ、接触リフォーミングによる脱芳香族化ガソリンのパラフィン炭化水素のヘキサン-ヘプタン留分である。
【0043】
ブタジエン-スチレン重合体は、70~130℃の温度でのアニオン重合により調製される。
【0044】
この工程の好ましい温度は80~120℃の範囲である。
【0045】
最も好ましい温度は90~110℃の範囲である。
【0046】
本発明による電子供与体システムの存在下における、示された温度範囲での重合プロセスは、ランダム構造及びビニル単位の低い含有量によって特徴付けられるブタジエン-スチレン重合体を確実にする。40%以上の1,2-単位の含有量は、ビニル基の含有量が高いと考えられる。調製されたブタジエン-スチレン重合体は、18~24%の1,2-単位含有量及び30~40%の結合されたスチレン含有量によって特徴付けられる。
【0047】
加えて、本発明によるブタジエン-スチレン重合体の製造方法は、リサイクルした溶媒の回収に関連するエネルギー消費を低減することに留意すべきである(重合プロセスの高い温度によって、溶媒の大部分は重合体から容易に分離される)。
【0048】
得られたスチレン-ブタジエン重合体のシリカ及びカーボン充填剤(フィラー)に対する優れた親和性は、1つの酸素原子及び1つのケイ素原子を含む化合物の群から選択される鎖末端修飾剤、又は少なくとも1つの窒素原子を含む鎖末端修飾剤を用いた、重合体の修飾によってもたらされる。
【0049】
少なくとも1つの酸素原子及び1つのケイ素原子を含む化合物の群から選択される鎖末端修飾剤は、シクロシロキサン及びオキサシクロシロキサンの群から選択される化合物である。
【0050】
少なくとも1つの酸素原子及び1つのケイ素原子を含む好ましい鎖末端修飾剤は、ヘキサメチルシクロトリシロキサン(HMCTS)、オクタメチルシクロテトラシロキサン(OMCTS)、デカメチルペンタシクロシロキサン(DMPCS)、プロピルメタクリレートヘプタブチルシクロシロキサン、1,3-グリシジルプロピオヘプタ-イソブチルシクロシロキサン、1,1-ジメチル-1-シラ-2-オキサシクロシロキサン、2,2,4-トリメチル-1-オキサ-4-アザ-2-シラシクロヘキサンである。
【0051】
オクタメチルシクロテトラシロキサン及び1,1-ジメチル-1-シラ-2-オキサシクロシロキサンが最も好ましい。
【0052】
活性リチウムに基づく、供給される修飾剤の量は、活性リチウム1モル当たり0.05~5モル、好ましくは活性リチウム1モル当たり0.1~1モルである。
【0053】
少なくとも1つの窒素原子を含む化合物の群から選択される鎖末端修飾剤は、ビニルピリジン、ラクタム、及びニトリルの群から選択される化合物である。
【0054】
少なくとも1つの窒素原子を含む好ましい鎖末端修飾剤は、N-メチル-ε-カプロラクタム、N-メチル-ピロリドン、2-ビニルピリジン、4-ビニルピリジン、3-ジメチルアミノプロピオニトリル、及び3-ジエチルアミノプロピオニトリルである。
【0055】
2-ビニルピリジン及び3-ジメチルアミノプロピオニトリルが好ましい。
【0056】
活性リチウムに基づく、供給される修飾剤の量は、活性リチウム1モルあたり0.1~6モル、好ましくは活性リチウム1モルあたり0.9~5モルである。
【0057】
示した範囲を下回る鎖末端修飾剤の使用は、望ましいレベルの弾性ヒステリシス特性を達成することを可能にできないので、非効率的である。示した範囲より多い鎖末端修飾剤の使用は、弾性ヒステリシス特性に良い変化なしに修飾剤の消費が増加するので、非現実的である。
【0058】
ブタジエン-スチレン重合体の製造に使用される選択された鎖末端修飾剤は、ゴム混合物において低い転がり抵抗及び濡れた路面への高い付着力を達成することを可能にする。
【0059】
ブタジエン-スチレン重合体は、1つ又は複数の反応器中で連続法又は回分法によって調製される。
【0060】
出発原料のジエンモノマー(1,3-ブタジエン又はイソプレン)とスチレン又はα-メチルスチレンとの共重合によって重合体を製造するための連続法は、2つ以上の金属反応器からなる一組の装置中で行われる。連続共重合の方法は、好ましくは、3~6の金属反応器からなる装置中で実施される。バッチ式の方法は、互いに接続されていない1つ又は複数の金属反応器中で実施される。全ての反応器には、混合装置(ミキサー)、熱を供給/除去するためのジャケット、及び原材料の供給及び反応生成物の抜き出し用の付属装置が備え付けられる。重合プロセスはまた、1つの反応器中で実施することもできる。
【0061】
プロセスの開始時に、反応器に、ビニル芳香族モノマーの総計算量及び炭化水素溶媒の総量を仕込み、次にその混合物を所望の温度に加熱する。その混合物を供給し且つ加熱した後、反応器に触媒システムの成分を供給し、その場合にカリウムアルコキシド及びEDを最初に、同時に又は任意の順序で別々に投入する。次に、有機リチウム開始剤を供給し、重合プロセスを95%以上のモノマー転化率に到達するまで実施する。プロセス開始時において、反応混合物の温度は50~60℃である。共重合反応が進行するとともに、媒体の自己加熱によって反応混合物の温度は70~130℃に上昇し、温度がこの範囲を超え又はこの範囲に到達しない場合、温度は反応器の熱制御システムによってそのレベルに保たれる。
【0062】
少なくとも95%のモノマー転化率に達したら、鎖末端修飾剤を重合体に供給する。この修飾プロセスは、連続的に撹拌しながら10~20分間実施する。次に、この後、重合体は、0.2~0.7質量%、最も好ましくは0.3~0.6質量%の量の酸化防止剤、好ましくはフェノール系又はアミン系酸化防止剤で安定化される。好ましい酸化防止剤は、非着色性のフェノール系酸化防止剤、例えばIrganox-1520である。
【0063】
ポリブタジエン重合体は、有機アルミニウム化合物及びネオジム化合物の触媒複合体の存在下での1,3-ブタジエン又はイソプレン(2-メチル-1,3-ブタジエン)の重合、それに続いての少なくとも1つのスズ原子を含む少なくとも1つの分岐剤を用いて分岐させることによって調製される。
【0064】
ポリブタジエン重合体の調製のために使用される触媒複合体は、(A)ネオジム化合物、(B)有機アルミニウム化合物、(C)共役ジエン、及び(D)ハロゲン含有成分を、1:(8~30):(5~30):(1.5~3.0)の(A):(B):(C):(D)モル比で含む。
【0065】
触媒複合体の成分(A)、(B)、(C)、及び(D)のあいだの好ましいモル比は、1:(8~20):(5~20):(1.8~2.8)である。
【0066】
触媒複合体の成分(A)、(B)、(C)、及び(D)のあいだの最も好ましいモル比は、1:(10~15):(10~15):(2.1~2.5)である。
【0067】
適切なネオジム化合物は、カルボン酸塩、有機ホスフェート、有機ホスホネート、及び有機ホスフィネートから選択される。
【0068】
ネオジムカルボン酸塩は、ギ酸ネオジム、酢酸ネオジム、アクリル酸ネオジム、メタクリル酸ネオジム、吉草酸ネオジム、グルコン酸ネオジム、クエン酸ネオジム、フマル酸ネオジム、乳酸ネオジム、マレイン酸ネオジム、シュウ酸ネオジム、2-エチルヘキサン酸ネオジム、ネオデカン酸ネオジム(商品名ネオジムバーサテート)、ナフテン酸ネオジム、ステアリン酸ネオジム、オレイン酸ネオジム、安息香酸ネオジム、及びピコリン酸ネオジムを含む群から選択される。
【0069】
ネオジム有機リン酸塩(ホスフェート)は、ネオジムジブチルホスフェート、ネオジムジフェニルホスフェート、ネオジムジヘキシルホスフェート、ネオジムジヘプチルホスフェート、ネオジムジオクチルホスフェート、ネオジムビス(1-メチルヘプチル)ホスフェート、ネオジムビス(2-エチルヘキシル)ホスフェート、ネオジムジデシルホスフェート、ネオジムジドセルホスフェート、ネオジムジオクタデシルホスフェート、ネオジムビス(n-ノニルフェニル)ホスフェート、ネオジムブチル(2-エチルヘキシル)ホスフェート、ネオジム(1-メチルフェニル)(2-エチルヘキシル)ホスフェート、及びネオジム(2-エチルヘキシル)(n-ノニルフェニル)ホスフェートを含む群から選択される。
【0070】
ネオジム有機ホスホネートは、ネオジムブチルホスホネート、ネオジムペンチルホスホネート、ネオジムヘキシルホスホネート、ネオジムヘプチルホスホネート、ネオジムオクチルホスホネート、ネオジミウム(1-メチルヘプチル)ホスホネート、ネオジム(2-エチルヘキシル)ホスホネート、ネオジムデシルホスホネート、ネオジムドデシルホスホネート、ネオジムオクタデシルホスホネート、ネオジムオレイルホスホネート、ネオジムフェニルホスホネート、ネオジム(n-ノニルフェニル)ホスホネート、ネオジムブチル(ブチルホスホネート)、ネオジムペンチル(ペンチルホスホネート)、ネオジムヘキシル(ヘキシルホスホネート)、ネオジムヘプチル(ヘプチルホスホネート)、ネオジムオクチル(オクチルホスホネート)、ネオジム(1-メチルヘプチル)((1-メチルヘプチル)ホスホネート)、ネオジム(2-エチルヘキシル)((2-エチルヘキシル)ホスホネート)、ネオジムデシル(デシルホスホネート)、ネオジムドデシル(ドデシルホスホネート)、ネオジムオクタデシル(オクタデシルホスホネート)、ネオジムオレイル(オレイルホスホネート)、ネオジムフェニル(フェニルホスホネート)、ネオジム(n-ノニルフェニル)((n-ノニルフェニル)ホスホネート)、ネオジムブチル(2-エチルヘキシル)ホスホネート、ネオジム(2-エチルヘキシル)(ブチルホスホネート)、ネオジム(1-メチルヘプチル)((2-エチルヘキシル)ホスホネート)、ネオジム(2-エチルヘキシル)((1-メチルヘプチル)ホスホネート)、ネオジム(2-エチルヘキシル)((n-ノニルフェニル)ホスホネート)、及びネオジム(p-ノニルフェニル)((2-エチルヘキシル)ホスホネート)を含む群から選択される。
【0071】
ネオジム有機ホスフィネートは、ネオジムブチルホスフィネート、ネオジムペンチルホスフィネート、ネオジムヘキシルホスフィネート、ネオジムヘプチルホスフィネート、ネオジムオクチルホスフィネート、ネオジム(1-メチルヘプチル)ホスフィネート、ネオジム(2-エチルヘキシル)ホスフィネート、ネオジムデシルホスフィネート、ネオジムドデシルホスフィネート、ネオジムオクタデシルホスフィネート、ネオジムオレイルホスフィネート、ネオジムフェニルホスフィネート、ネオジム(n-ノニルフェニル)ホスフィネート、ネオジムジブチルホスフィネート、ネオジムジペンチルホスフィネート、ネオジムジヘキシルホスフィネート、ネオジムジヘプチルホスフィネート、ネオジムジオクチルホスフィネート、ネオジムビス(1-メチルヘプチル)ホスフィネート、ネオジムビス(2-エチルヘキシル)ホスフィネート、ネオジムトリス[ビス(2-エチルヘキシル)ホスフィネート]、ネオジムジデシルホスフィネート、ネオジムジドデシルホスフィネート、ネオジムジオクタデシルホスフィネート、ネオジムジオレイルホスフィネート、ネオジムジフェニルホスフィネート、ネオジムビス(n-ノニルフェニル)ホスフィネート、ネオジムブチル(2-エチルヘキシル)ホスフィネート、ネオジム(1-メチルヘプチル)(2-エチルヘキシル)ホスフィネート、及びネオジム(2-エチルヘキシル)(n-ノニルフェニル)ホスフィネートを含む群から選択される。
【0072】
ネオジムのカルボン酸塩及びリン酸塩(ホスフェート)が好ましい。ネオジムネオデカノエート及びネオジムトリス[ビス(2-エチルヘキシル)ホスフェート]又はそれらの混合物が最も好ましい。
【0073】
ポリブタジエン重合体を調製するための方法において用いられる有機アルミニウム化合物は、トリアルキルアルミニウム、トリフェニルアルミニウム、又はジアルキルアルミニウムヒドリド、アルキルアルミニウムジヒドリド、特に、トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリ-n-プロピルアルミニウム、トリイソプロピルアルミニウム、トリ-n-ブチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、トリ-tert-ブチルアルミニウム、トリフェニルアルミニウム、トリヘキシルアルミニウム、トリシクロヘキシルアルミニウム、トリオクチルアルミニウム、ジエチルアルミニウムヒドリド、ジ-n-プロピルアルミニウムヒドリド、ジ-n-ブチルアルミニウムヒドリド、ジイソブチルアルミニウムヒドリド、ジヘキシルアルミニウムヒドリド、ジイソヘキシルアルミニウムヒドリド、ジオクチルアルミニウムヒドリド、ジイソオクチルアルミニウムヒドリド、フェニルエチルアルミニウムヒドリド、フェニル-n-プロピルアルミニウムヒドリド、フェニルイソプロピルアルミニウムヒドリド、フェニル-n-ブチルアルミニウムヒドリド、フェニルイソブチルアルミニウムヒドリド、ベンジルエチルアルミニウムヒドリド、ベンジルn-ブチルアルミニウムヒドリド、ベンジルイソブチルアルミニウムヒドリド、ベンジルイソプロピルアルミニウムヒドリド等である。
【0074】
アルキルアルミニウム又はアルキルアルミニウムヒドリド、又はそれらの混合物が好ましい。
【0075】
トリエチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、ジイソブチルアルミニウムヒドリド、又はそれらの混合物が最も好ましい。
【0076】
触媒複合体において用いられる共役ジエンは、1,3-ブタジエン、イソプレン、2,3-ジメチル-1,3-ブタジエン、ピペリレン、2-メチル-3-エチル-1,3-ブタジエン、3-メチル-1,3-ペンタジエン、2-メチル-3-エチル-1,3-ペンタジエン、3-メチル-1,3-ペンタジエン、1,3-ヘキサジエン、2-メチル-1,3-ヘキサジエン、1,3-ヘプタジエン、3-メチル-1,3-ヘプタジエン、1,3-オクタジエン、3-ブチル-1,3-オクタジエン、3,4-ジメチル-1,3-ヘキサジエン、4,5-ジエチル-1,3-オクタジエン、フェニル-1,3-ブタジエン、2,3-ジエチル-1,3-ブタジエン、2,3-ジ-n-プロピル-1,3-ブタジエン、及び2-メチル-3-イソプロピル-1,3-ブタジエンである。
【0077】
好ましい共役ジエンは、1,3-ブタジエン及びイソプレンである。
【0078】
ハロゲン含有化合物として触媒システムに用いられる化合物は、ジメチルアルミニウムクロライド、ジエチルアルミニウムクロライド、ジイソブチルアルミニウムクロライド、ジメチルアルミニウムブロマイド、ジエチルアルミニウムブロマイド、ジイソブチルアルミニウムブロマイド、ジメチルアルミニウムフルオライド、ジエチルアルミニウムフルオライド、ジイソブチルアルミニウムフルオライド、ジメチルアルミニウムアイオダイド、ジエチルアルミニウムアイオダイド、ジイソブチルアルミニウムアイオダイド、メチルアルミニウムジクロライド、エチルアルミニウムジクロライド、メチルアルミニウムジブロマイド、エチルアルミニウムジブロマイド、メチルアルミニウムジフルオライド、エチルアルミニウムジフルオライド、メチルアルミニウムセスキクロライド、エチルアルミニウムセスキクロライド、及びイソブチルアルミニウムセスキクロライド、又はそれらの混合物である。
【0079】
好ましいハロゲン含有化合物は、エチルアルミニウムセスキクロライド、エチルアルミニウムジクロライド、ジエチルアルミニウムクロライド、又はそれらの混合物である。
【0080】
ポリブタジエン重合体の調製において分岐剤として使用される化合物は、式SnHal、SnHalR、SnHalのハロゲン化スズであり、式中、R=C~C20アルキル、及び、Hal=F、Cl、Br、Iである。式SnHalのハロゲン化スズ、特に、四塩化スズ及び四臭化スズが好ましい。最も好ましい分岐剤は四塩化スズである。
【0081】
分岐は、60~80℃の温度において10~40分、好ましくは70℃の温度において30分行う。分岐剤は、ネオジムに対して0.2~1のモル比で投入される。このモル比は最適であり、0.2未満あるいは1を超える、ネオジムに対するモル比での分岐剤の投入は、効果的な分岐をもたらさない。
【0082】
ポリブタジエン重合体は、ブタジエン、及び予め溶媒と混合された触媒複合体を装置に供給することにより、連続法又はバッチ法により、不活性炭化水素溶媒中で調製され、ここで、触媒複合体は、ネオジム化合物、有機アルミニウム化合物、共役ジエン、及びハロゲン含有有機化合物を含む。溶媒中のモノマーの形態の共役ジエンの濃度は、通常、7~12質量%、好ましくは9~10質量%である。7%未満の濃度は、プロセスのエネルギー効率の低下につながり、10%を超える濃度は重合物の粘度の上昇、ゴムの単離及び乾燥の段階におけるエネルギー消費の増大につながる。
【0083】
触媒複合体(CC)は、脂肪族溶媒中の共役ジエン(好ましくはブタジエン)の溶液に、有機アルミニウム化合物(好ましくは、トリイソブチルアルミニウム、ジイソブチルアルミニウムヒドリド(DIBAH)又はそれらの混合物)、ネオジム化合物(好ましくは、カルボン酸塩、特にネオジムバーサテート又はネオジムホスフェート)を添加し、その調製した混合物を23±2℃の温度において15分~20時間熟成させ、次にDIBAH及びハロゲン含有化合物(好ましくは、エチルアルミニウムセスキクロライド、エチルアルミニウムジクロライド、ジエチルアルミニウムクロライド、又はそれらの混合物)を添加することによって調製され、ネオジム化合物:共役ジエン:有機アルミニウム化合物:ハロゲン含有化合物は、1:(8~20):(5~20):(1.8~2.8)、好ましくは、1:(10~15):(10~15):(2.1~2.5)、最も好ましくは1:10:10:(2.1~2.5)となるモル比である。
【0084】
ブタジエンと触媒複合体を、一組の重合装置の最初の反応器に供給し、その混合物にDIBAH溶液を追加で添加して、1.2~3.2、好ましくは2.5~2.8のDIBAH/Nd化合物のモル比で、ポリマーの分子量を制御する。
【0085】
連続法の場合、ポリブタジエン重合体は、第1重合反応器から下流の第2、第3、そして第4重合反応器へポンプで送られる。モノマーの転化率は、修飾前に87~95%に達する。その後、重合体をスタティックフローミキサーに送り、そこで重合体をハロゲン化スズ修飾剤、好ましくは四塩化スズ(SnCl)の溶液と、0.62~2.25、好ましくは0.2~1.0のハロゲン化スズ/Nd化合物比で激しく混合する。さらなる撹拌、及び修飾剤と重合体の間の反応が、62~80℃の温度において30分~2時間、最後の下流の重合反応器中で起こる。次に、重合体は軟水を使用して停止するステップに送られ、続いて、ブタジエンの重合に使用したものと同じ溶媒を使用して調製した、フェノール化合物から選択される酸化防止剤、例えばIrganox-1520 Lから選択される酸化防止剤の溶液を、100%のポリマー当たり0.2~0.4%の量で用いて安定化させる。
【0086】
触媒複合体(CC)の使用量は、ネオジムに基づいて1.20~1.50モル/tである。
【0087】
使用する修飾剤の量は、ネオジムに対するモル比で計算して、0.62~2.25、好ましくは1.50~1.75である。
【0088】
得られたポリブタジエン重合体は、97~99%のシス-1,4単位の含有量、0.2~0.8%の1,2-単位の含有量、及び1~1.5%のトランス-1,4単位の含有量によって特徴付けられる。
【0089】
得られたブタジエン-スチレン重合体とポリブタジエン重合体を混合して、低いビニル基含有量のポリマー組成物を得る。それらの得られた重合体を、70~100℃の温度において、20~40分、好ましくは30分間、撹拌機を備えた別の装置のなかで1:1の質量比で混合する。重合体を混合した後、得られた混合物を、水性又は無水の脱気による単離工程に送る。得られたポリマー組成物は、60~80c.u.のムーニー粘度、17~19%の結合されたスチレンの含有量、及び8~12%の1,2-単位の含有量によって特徴付けられる。
【0090】
本発明はまた、低いビニル基含有量を有する、製造されたポリマー組成物に基づくゴム混合物に関する。
【0091】
ゴム混合物の組成含有量は、その目的、使用条件、及び製品に対する技術的必要項目、製造プロセス、及びその他の要因によって決定される。
【0092】
加硫物を調製する方法は、特殊なミキサー又はミル中でゴムを成分と混合する工程、ゴムから作られた半製品を剪断及び切断する工程(形状とサイズは、結果として得られるゴムのさらなる意図した用途によって異なり、特に、用いるべき試験方法によって異なる)、さらに、特別な装置(プレス、オートクレーブ、加硫成形機など)のなかでその半製品を加硫する工程を含む。
【0093】
ゴム混合物は、標準的な配合にしたがって調製され、その配合は、低いビニル基の含有量を有するポリマー組成物に加えて、当業者に周知のその他の任意選択による添加剤、例えば、充填剤(フィラー)、活性化剤、及び加硫促進剤、硬化剤、各種の柔軟化剤、及びその他の加工助剤を含む。添加剤の総含有量は、共重合体100部当たり40~100部である。
【0094】
充填剤(フィラー)は、例えば、カーボンブラック、シリカ、チタン及び亜鉛の酸化物などであることができる。
【0095】
活性化剤及び加硫促進剤として好適な化合物は、例えば、鉛、亜鉛、及びマグネシウムの酸化物、アセトアニリド、ステアリン酸、スルフェンアミド、ジフェニルグアニジンなどである。
【0096】
硬化剤として使用できる化合物は、例えば、硫黄、有機過酸化物、及びポリハロゲン化アルキルフェノール-ホルムアルデヒド樹脂、オリゴエーテルアクリレート、並びにその他の不飽和化合物である。
【0097】
柔軟化剤及び技術的添加剤として有用な化合物は、例えば、ナフテン油、ステアリン酸及びオレイン酸、パラフィン、ロジンなどである。
【0098】
低いビニル基含有量を有する上述したポリマー組成物から調製されたゴム混合物は、高い弾性及び耐寒性と組み合わされた、高い強度特性、耐摩耗性、及び濡れた路面への接着性、並びに多数回の折り曲げに対する高い耐性によって特徴付けられる。
【0099】
本発明によるゴム混合物は、特にGOST R 54555-2011に従う配合で製造することができる(表1)。 結果として得られるゴム混合物は、製品に対する技術的要件、特に一般的に入手可能な規格ASTM D3185-07に完全に準拠している。
【0100】
【表1】
【0101】
ゴム混合物を粉砕機(ミル)中で製造する場合、質量の精度は、ゴム及びカーボンブラックについては1.0g、硫黄及び加硫促進剤については0.02g、その他の成分については0.1gである。
【0102】
混合物をインターナルミキサー中で製造する場合、質量の精度は、ゴム及びカーボンブラックについては0.1g、成分の混合物については0.01g、それがもしあれば個別に添加される成分については0.001gである。
【0103】
得られたポリマー混合物は、天然ゴムの代替品である。この組成物は、シリカ及びカーボンフィラーに対する優れた親和性によって特徴付けられる。本発明による、低いビニル基含有量を有するポリマー組成物からの加硫物は、改善された物理機械的特性、例えば、(天然ゴムと比較して)改善された耐摩耗性及び弾性ヒステリシス特性によって特徴付けられ、それらは天然ゴムと同じレベルである。
【0104】
<本発明の実施形態>
本発明の実施形態を以下に開示する。当業者は、本発明が、提示された例のみに限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された発明の目的を超えることなく、他の実施形態においても同じ効果が達成され得ることを理解するであろう。
【0105】
請求項に記載した方法によって製造された共重合体の特性を評価するために使用される試験方法は、次のとおりである。
【0106】
1)100℃におけるゴムのムーニー粘度(ML(1+4)100℃)は、MV2000ムーニー粘度計でASTM D 1646-07に準拠して測定した。
【0107】
2)ゴムの分子量特性は、内部手順に従って、ゲル浸透クロマトグラフィーによって決定した。測定は、屈折率計を備えたゲルクロマトグラフであるWaters Breezeを使用して行った。試験条件:500~1×10a.m.u.の分子量をもつポリマーの分析を可能にするStyragel(HR3、HR4、HR5、HR6)を充填した4本の高分解能カラム(長さ300mm、直径7.8mm) の列;溶媒 - テトラヒドロフラン、流量 - 1cm/分;カラム用サーモスタット及び屈折率計内の温度 - 30℃;計算 - Kuhn-Mark-Houwink定数を使用し、ポリスチレン標準によるユニバーサル校正(ブタジエン-スチレン共重合体に対して、K=0.00041、α=0.693)。ゴムのサンプルを蒸留したばかりのテトラヒドロフランに溶かし、その溶液中のポリマーの質量濃度は2mg/mlだった。
【0108】
3)ブタジエン-スチレン共重合体のサンプル中の結合されたスチレンと1,2-単位のあいだの質量比の決定は、規格TU38.40387-2007(cl.5.8)に従ってフーリエ変換IR分光法によって行った。この方法は、スチレンのベンゼン環中のCH振動に対応する700cm-1の吸収バンドの強度と、1,2-ポリブタジエン単位の振動に対応する910cm-1の吸収バンドの強度の測定に基づいている。NMR分光法によって決定した、ポリマー鎖のブタジエン部分の1,2-単位及び結合されたスチレンの公知の質量比をもつランダムブタジエン-スチレンゴムの組成及びミクロ構造の標準サンプルの組を使用して、IRスペクトルを校正した。
【0109】
4)ポリマー中の残留修飾剤の含有量の決定は、エチルアルコールによる修飾剤の予備抽出と、それに続くクロマトグラフィー-水素炎イオン化検出器分析に基づく。残留修飾剤は内部標準法により算出した。
【0110】
5)ポリマーの修飾率は、次の式で計算した。
X,%=(w,g-w,g)×100%/W,g
式中、Xは修飾率であり、
は、導入された修飾剤の質量であり、
は、残留する修飾剤の質量である。
【0111】
5)リチウム触媒の溶液中の活性リチウムの含有量は、有機リチウム化合物と赤橙色の錯体を生成するo-フェナントロリンの存在下で、キシレン中のイソプロピルアルコールの溶液による活性リチウムの直接滴定に基づく方法によって決定した。
【0112】
6)ゴムコンパウンドの性能特性、例えば、転がり抵抗(60℃におけるtanδ)は、ゴムプロセス分析装置(RPA-2000 - Alpha Technologies社、周波数 - 10Hz、シフト振幅 - 10%、温度 - 60℃)で評価した。
【0113】
提案した技術的解決策の本質は、本発明の範囲を限定することなしに説明する特定の実施形態の以下の例によって説明される。当業者は、本発明がこれらに限定されず、同等の配合を適用することによって同じ効果を達成できることを理解するであろう。
【0114】
プロトタイプにしたがう例1
<高分子量ポリマー (ポリマーA)の調製>
乾燥させ、窒素を吹き込んだ800mlの加圧したタンクに、シクロヘキサン中のブタジエンの溶液(16%)及びシクロヘキサン中のスチレンの溶液(21%)を入れて、40gのブタジエンモノマー含有量及び10gのスチレンモノマー含有量に達するようにし、次に0.12mMの2,2-テトラヒドロフラン及びさらに0.4mMのn-ブチルリチウム(n-BuLi)を添加した。その後、50℃において1.5時間、重合反応を行った。重合中の転化率は100%に達した。重合システムに、イソプロパノール中の2,6-ジ-tert-ブチル-n-クレゾール((ブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)の非慣用名))の溶液0.5ml(BHTの濃度は5質量%だった)を加えることにより、重合反応を止め、次に常法により乾燥させて高分子量ポリマーを得た。
【0115】
<低分子量ポリマー(ポリマーB)の調製>
乾燥させ、窒素を吹き込んだ800mlの加圧したタンクに、シクロヘキサン300g及び1,3-ブタジエン50gを、次いでジテトラヒドロフリルプロパンを入れて、n-ブチルリチウムに対するジテトラヒドロフリルプロパンの量比を0.03にした。50℃において5時間で3.6mMのn-ブチルリチウム(n-BuLi)を添加した後、重合反応を行った。重合中の転化率は約100%に達した。その後、直ちにその重合システムに様々な修飾剤を添加し、50℃でさらに30分間、修飾反応を行った。修飾剤が四塩化スズの場合、n-BuLiに対する四塩化スズのモル比は0.22であり、修飾剤がテトラエトキシシランの場合、n-BuLiに対するテトラエトキシシランのモル比は0.9だった。重合システムに、イソプロパノール中の2,6-ジ-tert-ブチル-n-クレゾール((ブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)の非慣用名))の溶液0.5ml(BHTの濃度は質量%であった)を加えることにより、重合反応を止め、次に常法により乾燥させて、それぞれの修飾された低分子量ポリブタジエンを得た。さらに、修飾反応を行わなかった場合は、対応する反応を除いた同様の方法によって、低分子ポリブタジエンを調製した。
【0116】
ポリマーAおよびBを調製した後、それらは、ロシア国特許RU2439101号明細書に記載された処方に従って調製されたゴム組成物中において一緒に用いた。
【0117】
本発明による例2
【0118】
ブタジエンとスチレンの共重合(ポリマーA)のプロセス、並びにブタジエンの重合(ポリマーB)のプロセスは、撹拌機、熱を供給/除去するためのジャケット、及び反応剤を供給するため及び完成した生成物を取り出すための付帯設備を備えた10リットルの金属反応器中で実施した。
【0119】
ブタジエン-スチレン重合体(ポリマーA)は、1,3-ブタジエン及びスチレンからなる予め調製したブタジエン-スチレン混合物と炭化水素溶媒の全量を反応器に入れて調製した。使用した溶媒は、ネフラス(nefras)及びシクロヘキサンの70:30の比の混合物だった。混合物中のブタジエン/スチレンの質量比はそれぞれ82:18だった。その混合物を仕込んだ後、反応器の内容物を90℃に加熱し、触媒システムの成分、特に有機リチウム開始剤、並びにカリウムアルコキシド及びEDを含む電子供与体システムを投入した。有機リチウム開始剤はn-BuLiであり、n-BuLiの計算量は、モノマー1kgあたり9.2ミリモルだった。カリウムアルコキシドはカリウムt-アミレートであり、n-BuLiに対するカリウムアルコキシドのモル比は0.05だった。EDは N,N,N’,N’-テトラメチルエチレンジアミン(TMEDA)であり、n-BuLiに対するEDのモル比は0.05だった。鎖末端修飾剤は、オクタメチルシクロテトラシロキサン(OMCTS)であり、n-BuLiに対するOMCTSのモル比は0.9だった。修飾は20分間行った。修飾後、反応器に、重合生成物に基づいて0.6%の量の酸化防止剤を入れた。調製された重合体及び重合体のゴム混合物の特性を表3に示す。
【0120】
ポリブタジエン重合体(ポリマーB)は、9.0%の混合物(溶媒及び出発物質の混合物)及び予め溶媒と混合した触媒複合体(CC)を投入することにより、5つの反応器からなる一組の重合装置中で、不活性炭化水素溶媒中、連続法によって調製した。
【0121】
触媒複合体は、脂肪族溶媒中のブタジエン溶液に、トリイソブチルアルミニウム及びネオジムバーサテートを添加し、そうして調製された混合物を23±2℃の温度において20時間熟成させ、次に、水素化ジイソブチルアルミニウム(DIBAH)及びエチルアルミニウムセスキクロリド(EASC)を、1:10:10:2:2.2のネオジムバーサテート:ブタジエン:トリイソブチルアルミニウム:DIBAH:エチルアルミニウムセスキクロリドのモル比となるように添加することによって調製した。
【0122】
上記混合物及び触媒複合体の溶液を一連の重合装置の最初の反応器に投入し、ポリマーの分子量を調節するために、DIBAH/ネオジムバーサテートのモル比3.2で、DIBAH溶液をその混合物に追加した。
【0123】
触媒複合体の消費は、3t/hの反応装置投入量で1.2モル/tだった。
【0124】
95%を超えるモノマー転化率に達したら、四塩化スズ(SnCl)の溶液を、0.9のSnCl/Ndバーサテート比となるように添加した。分岐化は60℃の温度で30分間行った。分岐化の後、反応器に、重合生成物に基づいて0.6%の量の酸化防止剤を入れた。調製した重合体及びその重合体のゴム混合物の特性を表3に示す。
【0125】
ポリマーA及びポリマーBを調製した後、それらを別の装置中で1:1の比率で、定常状態温度において30分間混合し、次にその混合物の水分を脱気した。
【0126】
例3
ポリマーAの調製において、2-ビニルピリジン(2-VP)を鎖末端修飾剤として使用したことを除いて、例2と同様に共重合プロセスを実施した。
【0127】
例4
ポリマーAの調製において、3-(ジメチルアミノ)プロピオニトリル(DMAPN)を鎖末端修飾剤として使用したことを除いて、例2と同様に共重合プロセスを実施した。
【0128】
例5
共重合のプロセスを例2と同様に実施した。開始剤としてsec-ブチルリチウムを使用した。ポリマーAの調製における鎖末端修飾は行なわなかった。得られたゴム混合物は、弾性ヒステリシス特性及び耐摩耗性において本発明によるゴム混合物よりも劣っていた。
【0129】
例6
共重合のプロセスを例2と同様に実施した。2,2-ビス(2'-テトラヒドロフリル)プロパン(DTHFP)をEDとして用い、カリウムtert-ブチレートをカリウムアルコキシドとして用いた。オクタメチルシクロテトラシロキサン(OMCTS)を鎖末端修飾剤として用いた。
【0130】
例7
共重合のプロセスを例2と同様に実施した。ポリマーA及びポリマーBの調製において、イソプレンを共役ジエンとして使用した。ポリマーBの調製において、四臭化スズを分岐剤として用いた。
【0131】
例8
共重合のプロセスを例2と同様に実施した。ポリマーAの調製において、α-メチルスチレンをビニル芳香族化合物として用いた。
【0132】
例9
共重合のプロセスを例2と同様に実施した。ポリマーAの調製において、α-メチルスチレンをビニル芳香族化合物として用いた。1,1-ジメチル-1-シラ-2-オキサシクロヘキサン(DSO)を鎖末端修飾剤として用いた。ポリマーBの調製において、メチルトリクロロスズを分岐剤として用いた。
【0133】
例10
共重合のプロセスを例2と同様に実施した。カリウム-ナトリウムラプロモラート(potassium-sodium lapromolat)をカリウムアルコキシドとして用いた。2-ビニルピリジン(2-VP)を鎖末端修飾剤として用いた。
【0134】
例11
共重合のプロセスを例2と同様に実施した。2,2-ビス(2'-テトラヒドロフルフリル)プロパン(DTHFP)を電子供与体(ED)として用いた。1,1-ジメチル-1-シラ-2-オキサシクロヘキサン(DSO)を鎖末端修飾剤として用いた。
【0135】
例12
共重合のプロセスを例2と同様に実施した。sec-ブチルリチウムを開始剤として用いた。2,2-ビス(2'-テトラヒドロフリル)プロパン(DTHFP)を電子供与体(ED)として用い、カリウムナトリウムラプロモラートをカリウムアルコキシドとして用いた。1,1-ジメチル-1-シラ-2-オキサシクロヘキサン(DSO)を鎖末端修飾剤として用いた。
【0136】
例13
共重合のプロセスを例2と同様に実施した。2,2-ビス(2'-テトラヒドロフリル)プロパン(DTHFP)を電子供与体(ED)として用い、カリウムtert-ブチレートをカリウムアルコキシドとして用いた。
【0137】
例14
共重合のプロセスを例2と同様に実施した。イソプレンを共役ジエンとして用いた。1,1-ジメチル-1-シラ-2-オキサシクロヘキサン(DSO)を鎖末端修飾剤として用いた。
【0138】
例15
共重合のプロセスを例2と同様に実施した。α-メチルスチレンをビニル芳香族化合物として用いた。2,2-ビス(2'-テトラヒドロフリル)プロパン(DTHFP)を電子供与体(ED)として用い、カリウムナトリウムラプロモラートをカリウムアルコキシドとして用いた。2-ビニルピリジン(2-VP)を鎖末端修飾剤として用いた。
【0139】
例16
共重合のプロセスを例2と同様に実施した。α-メチルスチレンをビニル芳香族化合物として用いた。カリウムtert-ブチラートをカリウムアルコキシドとして用いた。2-ビニルピリジン(2-VP)を鎖末端修飾剤として用いた。
【0140】
例17
共重合のプロセスを例2と同様に実施した。2,2-ビス(2'-テトラヒドロフリル)プロパン(DTHFP)を電子供与体(ED)として用い、カリウムtert-ブチレートをカリウムアルコキシドとして用いた。 2-ビニルピリジン(2-VP)を鎖末端修飾剤として用いた。
【0141】
例18
共重合のプロセスを例2と同様に実施した。α-メチルスチレンをビニル芳香族化合物として用いた。2,2-ビス(2'-テトラヒドロフリル)プロパン(DTHFP)を電子供与体(ED)として用い、カリウムtert-アミレートをカリウムアルコキシドとして用いた。1,1-ジメチル-1-シラ-2-オキサシクロヘキサン(DSO)を鎖末端修飾剤として用いた。
【0142】
例19
共重合のプロセスを例2と同様に実施した。sec-ブチルリチウムを開始剤として用いた。α-メチルスチレンをビニル芳香族化合物として用いた。2,2-ビス(2'-テトラヒドロフリル)プロパン(DTHFP)を電子供与体(ED)として用い、カリウムナトリウムラプロモラートをカリウムアルコキシドとして用いた。1,1-ジメチル-1-シラ-2-オキサシクロヘキサン(DSO)を鎖末端修飾剤として用いた。
【0143】
例20
共重合のプロセスを例2と同様に実施した。α-メチルスチレンをビニル芳香族化合物として用いた。2,2-ビス(2'-テトラヒドロフリル)プロパン(DTHFP)を電子供与体(ED)として用い、カリウムtert-ブチレートをカリウムアルコキシドとして用いた。オクタメチルシクロテトラシロキサン(OMCTS)を鎖末端修飾剤として用いた。
【0144】
例21
共重合のプロセスを例2と同様に実施した。α-メチルスチレンをビニル芳香族化合物として用いた。オクタメチルシクロテトラシロキサン(OMCTS)を鎖末端修飾剤として用いた。
【0145】
調製したポリマー組成物の特性、及びその調製方法を表2に示す。
【0146】
ゴム混合物の調製例
ポリマー組成物を加硫することにより、ゴム混合物を調製した。ゴム混合物のポリマー及び成分組成は、生成物についての目的、操作条件、及び技術的要求事項、製造プロセス、並びにその他の要因に応じて選択した。
【0147】
加硫物を調製するプロセスは、特殊なミキサー又はミル中でゴムを成分と混合する工程、ゴムから作られた半製品を剪断及び切断する工程(形状とサイズは、結果として生じるゴムのさらなる意図した用途によって異なり、特に、使用する試験方法によって異なる)、及び特別な装置(プレス、オートクレーブ、加硫成形機など)中での半製品の加硫工程を含む。
【0148】
本発明との関連において、表1に示す配合にしたがってゴム混合物を調製し、その場合に、本発明による低いビニル基含有量を有するポリマー組成物をゴムとして用いた。ゴムコンパウンドの調製は、バンバリータイプのローターを備えた小型のインターナルミキサー中で行った。各混合工程の後、ゴム混合物を、50±5℃のミル温度にて、ASTM D 3182に準拠したロールミルで処理をした。
【0149】
【表2】
【0150】
【表3】
【0151】
【表4】
【0152】
【表5】
【0153】
【表6】
【0154】
【表7】
【0155】
表2中の略語の一覧:
CC - 触媒複合体
TMEDA - N,N,N',N'-テトラメチルエチレンジアミン
DTHFP - 2,2-ビス(2'-テトラヒドロフリル)プロパン
n-BuLi - ノルマルブチルリチウム
sec-BuLi - sec-ブチルリチウム
OMCTS - オクタメチルシクロテトラシロキサン
DSO - 1,1-ジメチル-1-シラ-2-オキサシクロヘキサン
2-VP - 2-ビニルピリジン
DMAPH - 3-(ジメチルアミノ)プロピオニトリル
DIBAH - 水素化ジイソブチルアルミニウム
NR - 天然ゴム
MA - 修飾剤
BA - 分岐剤
TTC - 四塩化スズ
TTB - 四臭化スズ
MTC - メチルトリクロロスズ
【0156】
【表8】
【0157】
【表9】
【0158】
表2及び表3に示したデータを比較すると、本発明による請求項に記載の方法が、所望のレベルの特性、すなわち、60~80c.u.のムーニー粘度、17~19%の結合したスチレンの含有量、及び8~12%の1,2-単位含有量を有するポリマーの組成物をもたらすことが明らかである。
【0159】
結果として得られるポリマー組成物は、改善された物理機械的特性、例えば改善された耐摩耗性(天然ゴムと比較して)、及び天然ゴムのレベルにある弾性ヒステリシス特性によって特徴付けられる。この組成物は、ケイ酸及びカーボン充填剤(フィラー)に対する優れた親和性によっても特徴付けられる。