(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-01-16
(45)【発行日】2023-01-24
(54)【発明の名称】副鼻腔炎の治療のための埋込み可能な足場
(51)【国際特許分類】
A61F 2/18 20060101AFI20230117BHJP
A61B 17/24 20060101ALI20230117BHJP
A61F 2/90 20130101ALI20230117BHJP
A61M 37/00 20060101ALI20230117BHJP
A61K 31/58 20060101ALI20230117BHJP
A61L 27/18 20060101ALI20230117BHJP
A61L 27/34 20060101ALI20230117BHJP
A61L 27/40 20060101ALI20230117BHJP
A61L 27/54 20060101ALI20230117BHJP
A61L 27/58 20060101ALI20230117BHJP
A61P 11/02 20060101ALI20230117BHJP
A61K 47/34 20170101ALI20230117BHJP
【FI】
A61F2/18
A61B17/24
A61F2/90
A61M37/00
A61K31/58
A61L27/18
A61L27/34
A61L27/40
A61L27/54
A61L27/58
A61P11/02
A61K47/34
(21)【出願番号】P 2022006338
(22)【出願日】2022-01-19
(62)【分割の表示】P 2017565901の分割
【原出願日】2016-06-29
【審査請求日】2022-01-19
(32)【優先日】2015-06-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2016-05-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2016-02-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】517437829
【氏名又は名称】ライラ・セラピューティクス・インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100172041
【氏名又は名称】小畑 統照
(72)【発明者】
【氏名】チャーンチュヨン,ヨウ
(72)【発明者】
【氏名】ファム,クイン
(72)【発明者】
【氏名】コンカフ,ダニー
【審査官】土谷 秀人
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2015/0100133(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2014/0100644(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2013/0158652(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2010/0222881(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61F 2/18
A61B 17/24
A61M 37/00
A61L 27/54
A61L 27/58
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
体外において、送達カテーテルと当該送達カテーテル内に位置決めされた足場とを備える送達システムを製造するための製造方法であって、
(a)(1)送達カテーテルと、(2)中鼻道空間の形状に合わせられている自己拡張型の足場であって、前記自己拡張型の足場は第1の直径で製造されており、(i)ポリマー材料を含む複数のポリマーストランド、(ii)架橋型エラストマーを含む、前記足場上のコーティング、(iii)フロ酸モメタゾンを含む層、及び、(iv)前記フロ酸モメタゾンを含む層上のトップコートであって、前記トップコートの厚さは、前記足場を中鼻道に配置した後に前記フロ酸モメタゾンが12週間以上時間と量が線形となる関係で放出されるように構成されるトップコートと、を備える自己拡張型の足場と、を提供するステップと、
(b)捲縮した足場を形成するように、前記自己拡張型の足場を縮径した第2の直径に捲縮させるステップと、
(c)前記捲縮した足場を前記送達カテーテル内へ投入
し、それにより送達システムを製造するステップと、
を含む
製造方法。
【請求項2】
前記送達カテーテルは、放射状に拘束された形状に前記足場を維持するように構成されている、請求項1に記載の
製造方法。
【請求項3】
前記ポリマー材料が、ポリ(ラクチド-co-グリコリド)を含む、請求項1に記載の
製造方法。
【請求項4】
前記架橋型エラストマーが、ポリ(ラクチド-co-カプロラクトン)を含む、請求項1又は3に記載の
製造方法。
【請求項5】
前記複数のポリマーストランドは、編み上げられている、請求項1に記載の
製造方法。
【請求項6】
前記足場は、製造された第1の直径の少なくと
も70%に回復するように設計されている、請求項1に記載の
製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
[0001]本出願は、参照によりそのそれぞれの全体が本明細書に組み込まれる、2015年6月29日に出願されたIMPLANTABLE SCAFFOLDS FOR TREATMENT OF SINUSITISという名称の米国仮出願第62/186,030号、2016年2月2日に出願されたIMPLANTABLE SCAFFOLDS
FOR TREATMENT OF SINUSITISという名称の米国仮出願第62/289,982号、および2016年5月5日に出願されたIMPLANTABLE
SCAFFOLDS FOR TREATMENT OF SINUSITISという名称の米国仮出願第62/332,134号の利益を主張するものである。
【0002】
[0002]本開示はとりわけ、慢性鼻副鼻腔炎を治療するのに使用され得る、材料、デバイス、キット、および方法について記述する。
【背景技術】
【0003】
[0003]慢性鼻副鼻腔炎(CRS)は、12週間よりも長く続く副鼻腔の症候性炎症によって定義される、よく見られる状態である。人口の最大16%がこの状態に罹る。CRSに関連する腔部には、上顎、前頭、篩骨、中鼻道自然口ルート、篩骨漏斗、および蝶形骨洞、ならびに中鼻道部位、またはこれらの組合せが含まれる。CRSの一般的症状には、障害性鼻閉塞、顔面圧迫感または満月様顔ぼう、鼻汁、および嗅覚障害が含まれ、これらの症状は、粘膜炎症、局所感染、および/または粘液線毛機能に起因して生じがちである。
【0004】
[0004]CRSの治療に関して承認されている療法はないが、根拠に基づく医学的管理は、疾患に対する経口または外用副腎皮質ステロイド療法のホストの使用を支援する。鼻内噴霧を介した外用副腎皮質ステロイドの補助薬塗布と共に、高容量の毎日行われる生理食塩液による洗浄は、一次療法として一般的である。再発および悪化した疾患に対する二次選択薬は、短期の経口副腎皮質ステロイドを含むが、この手法は、緑内障、骨粗しょう症、臀部および肩の虚血壊死を含めた、意図しない全身性副作用をもたらす可能性がある。CRS患者の最大12~15%は、この推奨される医療レジメンに対して良い方向に応答せず、しばしば機能的内視鏡副鼻腔手術(FESS)および/またはバルーンsinuplasty拡張の候補になることが予測される。
【0005】
[0005]CRSの治療における外科的介入は、これらの手順が手術に関連したリスクを持ち、術後の疼痛および不快感を引き起こし、厄介で費用のかかる術後清浄を必要とするので、上記のような外科的介入の回避が患者にとって理想的と考えられる。臨床データは、CRSに伴う炎症を低減させるのに外用副腎皮質ステロイドが有効であり、したがって、この状態の管理に合理的な選択であることを実証した。
【0006】
[0006]CRSの理想的な治療は、洞手術に対する代替治療の選択肢として、患者の洞部への局所的かつ持続的な抗炎症薬の送達を行うであろう。そのような療法は、炎症を起こした組織に限局される安全で有効な持続的薬物送達を、理想的に確立すると考えられ、場合によっては手術の必要性をなくす可能性がある。
【0007】
[0007]FESSでは、骨および組織を除去して洞流出路を拡張し、副鼻腔の入口または小孔を拡げ、既に閉塞している洞腔内の換気および粘液線毛クリアランスの回復を可能にする。現在、米国内では毎年、約500,000回の処置が行われている。
【0008】
[0008]洞腔内の骨、ポリープの小片の除去、および/または組織の創傷清拭により、FESSは、洞部の排液経路を改善するのに有効な方法になることが証明された。しかし、炎症、腫脹、疾患再発、処置を繰り返す必要性、および癒着など、著しい数の術後合併症が、しばしば観察される。したがって、術後ケアは、FESSの重要な構成要素である。FESS患者の約10~20%は難治性であり、治療に応答せず、追加の外科的介入または終生医学療法を必要とする可能性がある。
【0009】
[0009]何らかの形の洞填入が、FESSの術後に一般に実施される。填入材料の例には、生理食塩液で湿らせた単純な包帯、多糖ゲルをベースにしたフォームドレッシング、PEGをベースにした材料、および中鼻道スペーサーが含まれる。埋込み可能な洞ステントも考えられており、これらの足場は、副鼻腔の入口および鼻介骨を安定化し、浮腫を低減させ、かつ/または組織接着による閉塞を予防することが意図される。これらのステントは、時間と共に局所的に送達され得る治療薬(複数可)と一体化する能力も有する。治療薬(複数可)のこの局所送達は、術後設定における局所施用よりも優れていると考えられる。これに関し、USFDAで承認されたPROPEL(商標)システム(Intersect ENT、Menlo Park、CA、USA)は、FESS後に篩骨洞内で使用することが意図される、自己展開する生体吸収性のステロイド溶出ステントである。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0010】
[0010]本明細書で使用される「洞」および「洞腔」という用語は、洞腔および鼻腔の両方を指し、例えば、上顎、前頭洞、および篩骨洞、小孔道複合体、篩骨漏斗、および蝶形骨洞、ならびに中鼻道(洞腔)が含まれる。
【0011】
[0011]本開示は、繊維ベースおよび非繊維ベースのデザインを有する、様々な洞の足場について記述する。これらのデザインは、形、寸法、および送達部位(すなわち、上顎、前頭、篩骨、蝶形骨洞、および中鼻道)が様々である。さらに、治療薬(複数可)は、短時間または長時間にわたって局所送達用の足場内に任意選択で含まれてもよい。したがって、これらの足場は、例えば外科的に修復された洞空間でのまたは外科的修復を前もって受けていない洞空間での、洞開存性を改善するのに使用され得る。さらにこれらの足場は、例えば洞手術(例えば、FESS)の代替例である治療計画の一部としてまたはその他の場合にはいくつかの実施形態におけるFESSの術後ケアの一部としても含め、そのような洞空間に局所治療薬(複数可)を送達するのに使用されてもよい。
【0012】
[0012]様々な態様において、本開示は、患者の洞腔内に埋め込むよう構成されたほぼ管状の足場に関する。本明細書で使用される、「ほぼ管状の」は、円形断面または非円形(例えば、楕円形など)断面の中空形状と、一定の直径または可変の直径の(例えば、中空錐台の場合のような先細りの直径の)中空形状とを含む。ほぼ管状の足場の両端が開放されていてもよく、一端が開放されて他端が閉鎖されていてもよく、または両端が閉鎖されていてもよい。本明細書に記述される多くの有益な実施形態では、両端が開放された中空円筒の形状にある(すなわち、円形断面および一定の直径を有する)、ほぼ管状の足場が用いられる。足場は、繊維ベースのまたは非繊維ベースの構造を有していてもよく、足場材料と、足場材料を少なくとも部分的に被覆するコーティング材料を含む任意選択のコンフォーマルコーティングとを含んでいてもよい。
【0013】
[0013]足場材料は、例えば、数ある可能性の中でも、明細書の他の箇所で記述された治療薬から選択された治療薬を含んでいても含まなくてもよい。
[0014]足場が治療薬を含む場合、足場には、様々な放出プロファイルが提供され得る。
【0014】
[0015]いくつかの実施形態では、足場は、足場を、回転式振盪機で穏やかに振盪させながら37℃で2wt%のSDSを含有するpH7.4のPBS緩衝溶液に浸漬させ、足場を浸漬させた緩衝溶液の体積が、足場内の治療薬の総量に対応する治療薬の量が緩衝溶液の飽和点にある(沈降状態と呼ぶことがある)緩衝溶液の体積の少なくとも10倍超であり、緩衝液が、定量のために毎週完全に除去されかつ新鮮な緩衝液と交換されるin vitroアッセイに供されたときに、ある累積放出特性を実証することができる。
【0015】
[0016]そのようなin vitro状態での1週間後、足場は、1%以下から70%以上に及ぶ(例えば、1%から2%に、5%に、10%に、15%に、20%に、25%に、30%に、35%に、40%に、45%に、50%に、55%に、60%に、65%に、70%に及ぶ)(すなわち、前述の数値のいずれか2つの間に及ぶ)、ある実施形態では、有益には2%から50%、より有益には5%から30%に及ぶ、足場内の治療薬の総量に基づく治療薬の累積放出を実証することができる。
【0016】
[0017]あるいはまたはさらに、そのようなin vitro状態での2週間後、足場は、5%以下から80%以上に及ぶ(例えば、5%から7%に、10%に、15%に、20%に、25%に、30%に、35%に、40%に、45%に、50%に、55%に、60%に、65%に、70%に、75%に、80%に及ぶ)(すなわち、前述の数値のいずれか2つの間に及ぶ)、ある実施形態では、有益には7%から50%に及ぶ、より有益には10%から30%に及ぶ、足場内の治療薬の総量に基づく治療薬の累積放出を実証することができる。
【0017】
[0018]あるいはまたはさらに、そのようなin vitro状態での4週間後、足場は、10%以下から90%以上に及ぶ(例えば、10%から15%に、20%に、25%に、30%に、35%に、40%に、45%に、50%に、55%に、60%に、65%に、70%に、75%に、80%に、85%に、90%に及ぶ)(すなわち、前述の数値のいずれか2つの間に及ぶ)、ある実施形態では、有益には20%から75%に及ぶ、より有益には30%から60%に及ぶ、足場内の治療薬の総量に基づく治療薬の累積放出を実証することができる。
【0018】
[0019]あるいはまたはさらに、そのようなin vitro状態での8週間後、足場は、25%以下から100%に及ぶ(例えば、20%から25%に、30%に、35%に、40%に、45%に、50%に、55%に、60%に、65%に、70%に、75%に、80%に、85%に、90%に、95%に、100%に及ぶ)(すなわち、前述の数値のいずれか2つの間に及ぶ)、ある実施形態では、有益には30%から90%に及ぶ、より有益には40%から80%に及ぶ、足場内の治療薬の総量に基づく治療薬の累積放出を実証することができる。
【0019】
[0020]いくつかの実施形態では、足場は、in vivo放出特性におけるある累積を実証することができる。
[0021]例えば、ヒトの洞部またはウサギの洞部内でin vivoで1週間後、足場は、1%以下から45%以上に及ぶ(例えば、1%から1.5%に、2%に、3%に、5%に、10%に、15%に、20%に、25%に、30%に、35%に、40%に、45%に及ぶ)(すなわち、前述の数値のいずれか2つの間に及ぶ)、ある実施形態では、有益には1.5から35%に及ぶ、より有益には3%から20%に及ぶ、足場内の治療薬の総量に基づく治療薬の累積放出を実証することができる。
【0020】
[0022]あるいはまたはさらに、ヒトの洞部またはウサギの洞部内でin vivoで2週間後、足場は、3%以下から50%以上に及ぶ(例えば、3%から5%に、7%に、10%に、15%に、20%に、25%に、30%に、35%に、40%に、45%に、5
0%に及ぶ)(すなわち、前述の数値のいずれか2つの間に及ぶ)、ある実施形態では、有益には5%から35%に及ぶ、より有益には7%から20%に及ぶ、足場内の治療薬の総量に基づく治療薬の累積放出を実証することができる。
【0021】
[0023]あるいはまたはさらに、ヒトの洞部またはウサギの洞部内でin vivoで4週間後、足場は、7%以下から60%以上に及ぶ(例えば、7%から10%に、15%に、20%に、25%に、30%に、35%に、40%に、45%に、50%に、55%に、60%に及ぶ)(すなわち、前述の数値のいずれか2つの間に及ぶ)、ある実施形態では、有益には15%から50%に及ぶ、より有益には20%から30%に及ぶ、足場内の治療薬の総量に基づく治療薬の累積放出を実証することができる。
【0022】
[0024]あるいはまたはさらに、ヒトの洞部またはウサギの洞部内でin vivoで8週間後、足場は、15%以下から100%に及ぶ(例えば、15%から20%に、25%に、30%に、35%に、40%に、45%に、50%に、55%に、60%に、65%に、70%に、75%に、80%に、85%に、90%に、95%に、100%に及ぶ)(すなわち、前述の数値のいずれか2つの間に及ぶ)、ある実施形態では、有益には20%から60%に及ぶ、より有益には25%から55%に及ぶ、足場内の治療薬の総量に基づく治療薬の累積放出を実証することができる。
【0023】
[0025]足場が繊維ベースの構造を含む実施形態では、足場は、足場材料の1つまたは複数のストランドを含有する編み上げ構造を含んでいてもよい。
[0026]上記態様および実施形態のいずれかと併せて使用され得るいくつかの実施形態では、編み上げ構造は、対向するヘリカルストランドの組を含んでいてもよい。例えば、ヘリカルストランドの各組は、2から64個の間の部材、より典型的には8から32個の間の部材を含んでいてもよい。
【0024】
[0027]上記態様および実施形態のいずれかと併せて使用され得るいくつかの実施形態では、編み上げ構造が、第1の剛性を有する材料の第1のストランドと、第1の剛性よりも大きい第2の剛性を有する材料の第2のストランドとを含んでいてもよい。特定の例として、材料の第2のストランドは、材料の第1のストランドの弾性率の少なくとも2倍となり得る>3GPaの弾性率を有していてもよい。
【0025】
[0028]上記態様および実施形態のいずれかと併せて使用され得るいくつかの実施形態では、編み上げ構造が、異なるサイズのセルを含んでいてもよい。例えば、数ある可能性の中でも、編み上げ構造の一部は、異なるサイズのセルが形成されるように除去されてもよく、または編み上げ構造は、異なるサイズのセルが形成されるように編み上げられてもよい。場合によっては、異なるサイズのセルは、第1の面積を有する第1のセルと、第2の面積を有する第2のセルとを含んでいてもよく、第1の面積は第2の面積よりも少なくとも50%大きい。セルサイズのばらつきは、例えば、足場の長手方向に沿って、かつ/または足場の円周に沿って生じ得る。
【0026】
[0029]上記態様および実施形態のいずれかと併せて使用され得るいくつかの実施形態では、足場は、編み上げ構造の2つ以上の節に機械的に連結される縦エラストマー繊維を含んでいてもよい。
【0027】
[0030]上記態様および実施形態のいずれかと併せて使用され得るいくつかの実施形態では、1つまたは複数のストランドの1つまたは複数の端部が、元の編み上げ構造に織り込まれ、結合される。
【0028】
[0031]いくつかの実施形態では、本開示のほぼ管状の足場は、スパイラル管状構造に巻
かれた細長い部材を含む足場材料を含んでいてもよい。これらの実施形態のいくつかでは、細長い部材は、スパイラル管状構造に巻かれたリボン形状の細長い部材の形をとる。リボン形状の細長い部材は、例えば固体フィルムの形をとってもよく、またはアパーチャを含んでいてもよい(例えば、固体フィルム内に穴を形成することによって形成され、編み上げ構造内に繊維を交差させることによって形成されるなど)。
【0029】
[0032]いくつかの実施形態では、本開示のほぼ管状の足場は、複数の平行な開放フープを含む足場材料を含む。これらの実施形態のいくつかでは、開放フープがリボン形状の開放フープである。リボン形状の開放フープは、例えば、固体フィルムの形をとってもよく、またはアパーチャを含んでいてもよい。
【0030】
[0033]いくつかの実施形態では、本開示のほぼ管状の足場は、編み込み構造を含む足場材料を含む。これらの実施形態のいくつかでは、編み込み構造は、足場を解きかつ除去するように引っ張ることができる単一ストランドを含んでいてもよい。
【0031】
[0034]いくつかの実施形態では、本開示のほぼ管状の足場は、ほぼ管状の構造内に、複数の放射状に拡張可能な挿入物を含んでいてもよい。これらの実施形態のいくつかでは、数ある可能性の中でも、放射状に拡張可能な挿入物のそれぞれが、ハブと、複数の放射状に拡張可能なアームとを含んでいてもよく、または編み上げフープを含んでいてもよい。
【0032】
[0035]上記態様および実施形態のいずれかと併せて使用され得るいくつかの実施形態では、ほぼ管状の足場の遠位端は、追加のデバイスによって捕捉されるように構成されてもよく、ほぼ管状の足場は、ほぼ管状の足場によって形成された管腔内に遠位端を引き込むことによって、反転され除去されるように構成されてもよい。
【0033】
[0036]上記態様および実施形態のいずれかと併せて使用され得るいくつかの実施形態では、ほぼ管状の足場は、例えばエラストマーまたは非エラストマーコーティング材料から形成されたコンフォーマルコーティングを含んでいてもよい。例えばコーティング材料は、ウレタン架橋、尿素架橋、またはウレタン架橋および尿素架橋の両方を持つポリ(L-ラクチド-co-ε-カプロラクトン)を含むエラストマー材料であってもよく;コーティング材料は、ジイソシアネート硬化型(例えば、ヘキサメチレンジイソシアネート硬化型など)ヒドロキシ末端分枝ポリ(L-ラクチド-co-ε-カプロラクトン)を含むエラストマー材料であってもよい。コーティング材料は、数ある可能性の中でも、例えば本明細書の他の箇所に記述される治療薬から選択される治療薬を、含んでいても含まなくてもよい。コーティング材料は、数ある可能性の中で、ほぼ管状の足場の長さに沿った交互領域を覆ってもよく、かつ/またはコーティング材料は、ほぼ管状の足場の端部の間の領域を覆わない状態でほぼ管状の足場の端部を覆ってもよい。編み上げ構造の場合、コーティング材料は、編み上げ構造のいくつかの節を覆いながらその他の節を覆わないままにしてもよい。編み上げ構造の節でのコーティング材料の厚さは、例えば、編み上げ構造の節と節との間のコーティング材料の厚さの1から100倍に及び得る(例えば、編み上げ構造の節と節との間のコーティング材料の厚さの1から2倍、5倍、10倍、25倍、50倍、75倍、100倍までのいずれかに及ぶ)。
【0034】
[0037]上記態様および実施形態のいずれかと併せて使用され得るある実施形態では、足場は、追加のコーティング材料と、数ある可能性の中でも例えば本明細書のその他の箇所に記述される治療薬から選択される治療薬とを含む、追加のコンフォーマルコーティングでさらに被覆され得るコンフォーマルコーティングを有していてもよい。追加のコンフォーマルコーティングは、その厚さが、数ある可能性の中でも例えば1μmから25μmの間に及んでもよい(例えば、厚さが1から2μmに、5μmに、20μmに、25μmに及ぶ)。ある実施形態では、追加のコーティング材料は、ポリ(ラクチド-co-ε-カ
プロラクトン)、またはポリ(ラクチド-co-ε-カプロラクトン)とラクチドのホモポリマーまたはコポリマー、例えばポリ(ラクチド-co-グリコリド)などの追加のポリマーとの混合物などの、生分解性ポリマーであってもよい。含まれる場合には、追加のポリマーは、追加のコンフォーマルコーティングの、例えば5から50%に及ぶ量の重量パーセントとして存在してもよい。ポリ(ラクチド-co-ε-カプロラクトン)は、数ある可能性の中でも、例えば50から95%に及ぶラクチドのモルパーセンテージ、および50から5%に及ぶカプロラクトンのモルパーセンテージを有していてもよい。存在する場合には、ポリ(ラクチド-co-グリコリド)は、数ある可能性の中でも例えば50から99.9%に及ぶラクチドのモルパーセンテージ、および50から0.1%に及ぶグリコリドのモルパーセンテージを有していてもよい。ある特定の実施形態では、追加のコンフォーマルコーティングは、数ある可能性の中でも、1種または複数の生分解性ポリマーを50から99.9wt%(例えば、50から60wt%に、70wt%に、80wt%に、90wt%に、95wt%に、99wt%cに、99.5wt%に、99.9wt%に)、およびフロ酸モメタゾンを0.1から50wt%(例えば、0.1から0.5wt%に、1wt%に、5wt%に、10wt%に、20wt%に、30wt%に、40wt%に、50wt%に)含んでいてもよい。フロ酸モメタゾンの典型的な量は、数ある可能性のある値の中でも、例えば、0.1μg/mm2以下から20μg/mm2に及んでもよく(すなわち、フロ酸モメタゾンは足場表面積の平方mm当たり0.1以下から20μg以上に及び、足場表面積Aは、A=nDLとして計算され、但しDは足場の製造後の直径であり、Lは足場の製造後の長さである)、例えば、0.1μg/mm2から0.2μg/mm2に、0.5μg/mm2に、1μg/mm2に、2μg/mm2に、5μg/mm2に、10μg/mm2に、15μg/mm2に、20μg/mm2に及び(すなわち、前述の数値のいずれか2つの間に及ぶ)、より典型的には1μg/mm2から10μg/mm2に及ぶ。
【0035】
[0038]上記態様および実施形態のいずれかと併せて使用され得るある実施形態では、足場がさらに、追加のコーティング材料および治療薬を含む追加のコンフォーマルコーティング上に配置された、コンフォーマルトップコート層で被覆されていてもよい。トップコート層は、例えば、本明細書の他の箇所に記述されるものから選択される単一の生分解性ポリマーまたは生分解性ポリマーのブレンドから形成されてもよい。ある実施形態では、トップコート層は、下に在る追加のコンフォーマルコーティングと同じ1種または複数のポリマーから形成されてもよいが、治療薬を含有しなくなる。トップコート層は、例えば、下に在る追加のコンフォーマルコーティング内での治療薬の放出を遅延させかつ/または遅くするのに用いられてもよい。トップコート層は、数ある可能性の中でも、その厚さが例えば1μmから30μmの間に及んでもよい。
【0036】
[0039]その他の態様では、本開示は、(a)足場、例えば上記態様および実施形態のいずれかによる足場を、放射状に拘束された形状にある間に、患者の洞腔内に導入するステップと、(b)拘束された形状に足場を維持する拘束を解除して、足場が洞腔内で自己展開するようになされたステップとを含む、治療の方法に関する。デバイスの埋込みに適した洞腔の例には、とりわけ篩骨洞、中鼻道空間、前頭洞口(前頭陥凹とも呼ぶ)、上顎洞口、および蝶形骨洞口が含まれる。
【0037】
[0040]さらにその他の態様では、本開示は、(a)足場、例えば上記態様および実施形態のいずれかによる足場と、(b)送達カテーテルと、(c)任意選択の投入補助具とを含むキットに関する。ある実施形態では、上記態様および実施形態のいずれかによる足場を、15Frenchもしくはそれ未満の送達カテーテル、9Frenchもしくはそれ未満の送達カテーテル、6Frenchもしくはそれ未満の送達カテーテル、またはさらに4Frenchもしくはそれ未満の送達カテーテル内に載置してもよい。ある実施形態では、上記態様および実施形態のいずれかによる足場を、6.5frenchから9fr
enchのカテーテル内に載置してもよい。
【0038】
[0041]いくつかの実施形態では、送達カテーテルは、放射状に拘束された形状に足場を維持するように、かつ送達部位で、前記放射状に拘束された形状に足場を維持する拘束を解除するように、構成されてもよい。
【0039】
[0042]上記態様および実施形態のいずれかと併せて使用され得るいくつかの実施形態では、送達カテーテルが、拡張可能なデバイスを含んでいてもよい。例えば送達カテーテルは、膨張管腔を有するカテーテルシャフトと、カテーテルシャフトの遠位端にまたはこの遠位端近くに配置された1つまたは複数の可膨張性バルーンとを含むバルーンカテーテルであって、1つまたは複数の可膨張性バルーンが、治療薬を含有するコーティングで少なくとも部分的に被覆されても被覆されていなくてもよいバルーンカテーテルである。
【0040】
[0043]さらにその他の態様では、本開示は、(a)足場、例えば上記態様および実施形態のいずれかによる足場と、(b)送達カテーテルとを含む送達システムであって、足場が、送達カテーテル内で放射状に拘束された形状で位置決めされている送達システムに関する。そのような送達システムは、例えば、(a)放射状に拘束された形状にある間に、足場を患者の洞腔内に導入して、足場が洞腔内の送達部位に位置決めされるようにするステップと、(b)放射状に拘束された形状に足場を維持する拘束を解除して、足場が洞腔内で自己展開するようにするステップとを含む、治療方法で使用されてもよい。
【0041】
[0044]さらにその他の態様では、本開示は、(a)足場、例えば上記態様および実施形態のいずれかによる足場と、(b)拡張可能なデバイスを含む送達カテーテルとを含む送達システムであって、足場が、拡張可能なデバイスの上、中、下、近位、または遠位に位置決めされた送達システムに関する。例えば、拡張可能なデバイスは、拡張可能なフレームまたは可膨張性バルーンであってもよい。例えば送達カテーテルは、膨張管腔を有するカテーテルシャフトと、カテーテルシャフトの遠位端にまたはこの遠位端近くに配置された1つまたは複数の可膨張性バルーンとを含むバルーンカテーテルであって、1つまたは複数の可膨張性バルーンが、治療薬を含有するコーティングで少なくとも部分的に被覆されていても被覆されていなくてもよいバルーンカテーテルであってもよい。そのような送達システムは、例えば、(a)足場を患者の洞腔内に導入して、足場が洞腔内の送達部位に位置決めされるようにするステップと、(b)拡張可能なデバイスが足場の管腔内に位置決めされている間に拡張可能なデバイスを拡張させるステップとを含む、治療方法で使用されてもよい。
【0042】
[0045]さらにその他の態様では、本開示は:(a)第1の溶媒、分枝状生分解性ポリマー、およびジイソシアネート架橋剤を含む第1のコーティング溶液を、上記態様および実施形態のいずれかによる足場に付着させるステップと、(b)付着された第1のコーティング溶液を、室温でまたは高温で硬化するステップとを含む、被覆された足場を形成する方法に関する。
【0043】
[0046]上記態様および実施形態のいずれかと併せて使用され得るある実施形態では、分枝状生分解性ポリマーが、例えば分枝状ポリ(ラクチド-co-ε-カプロラクトン)、例えば分枝状ヒドロキシ末端ポリ(ラクチド-co-ε-カプロラクトン)であってもよい。
【0044】
[0047]上記態様および実施形態のいずれかと併せて使用され得るある実施形態では、溶液がさらに、連鎖停止剤を含んでいてもよい。例えば連鎖停止剤は、アルコール、例えば数ある可能性の中でも1-ドデカノールおよびステアリルアルコールなどのC8~C18アルコールであってもよい。
【0045】
[0048]上記態様および実施形態のいずれかと併せて使用され得るある実施形態では、ジイソシアネート架橋剤が、数ある可能性の中でもヘキサメチレンジイソシアネートであってもよい。
【0046】
[0049]上記態様および実施形態のいずれかと併せて使用され得るある実施形態では、第1の溶媒が、数ある可能性の中でもジクロロメタンまたは酢酸エチルを含んでいてもよい。これらの実施形態のいくつかでは、第1の溶媒が、共溶媒としてアニソールをさらに含んでいてもよい。
【0047】
[0050]上記態様および実施形態のいずれかと併せて使用され得るある実施形態では、足場は、足場材料の1つまたは複数のストランドと複数の節とを含む編み上げ構造であってもよく、コーティング溶液が、足場の少なくとも節に付着されてもよい。
【0048】
[0051]上記態様および実施形態のいずれかと併せて使用され得るある実施形態では、方法は、追加の生分解性ポリマー(例えば、数ある可能性の中でもポリ(ラクチド-co-ε-カプロラクトン))、第2の溶媒(例えば、数ある可能性の中でもギ酸エチルおよびアニソールを含む)、および治療薬を含む第2のコーティング溶液を、第1のコーティング溶液を付着させた後に足場に付着させるステップをさらに含んでいてもよい。治療薬は、数ある可能性の中でも、フロ酸モメタゾンなどのステロイド系抗炎症薬であってもよい。
【0049】
[0052]本開示のその他の態様は、上記態様および実施形態のいずれかによる方法によって形成された、被覆された足場に関する。
[0053]本開示の潜在的な利益には、とりわけ成人および小児の処置に関連して、下記の1つまたは複数が含まれる:(a)洞の開口/小孔の安定化、(b)癒着および術後接着の低減、(c)手術の代替としての療法(例えば、経口および/または局所ステロイドの投与に基づく医学的管理ができなかった患者の治療)、術前および/または術後ケアのための、局所的かつ長期の治療薬送達、および(d)FESSに応答しない難治性患者への治療薬送達、(e)外科的拡張後の洞の小孔/開口の狭窄の予防。
【0050】
[0054]本開示のこれらおよびその他の態様、実施形態、および利益は、以下の詳細な説明および特許請求の範囲を検討することによってすぐに当業者に明らかにされよう。
[0055]本開示の、追加の列挙される態様を、以下の段落で述べる:
[0056]態様1.洞腔に埋め込むために構成された足場であって、管腔を有するほぼ管状の構造を含み、かつ足場材料と、足場材料を少なくとも部分的に被覆するコーティング材料を含む任意選択のコンフォーマルコーティングとを含む足場。
【0051】
[0057]態様2.足場が繊維ベースの構造を含む、態様1の足場。
[0058]態様3.足場が、足場材料の1つまたは複数のストランドを含む編み上げ構造を含む、態様1の足場。
【0052】
[0059]態様4.編み上げ構造が、対向する何組かのヘリカルストランドを含む、態様3の足場
[0060]態様5.それぞれの組のヘリカルストランドが2から64の間の部材を含む、態様4の足場。
【0053】
[0061]態様6.編み上げ構造が、第1の剛性を有する材料の第1のストランドと、第1の剛性よりも大きい第2の剛性を有する第2のストランドとを含む、態様3の足場。
[0062]態様7.材料の第2のストランドが>5GPaの弾性率を有し、材料の第1のス
トランドの弾性率の少なくとも2倍である、態様6の足場。
【0054】
[0063]態様8.編み上げ構造が、異なるサイズのセルを含む、態様3~8のいずれかの足場。
[0064]態様9.編み上げ構造の一部が、異なるサイズのセルが形成されるように除去され、または編み上げ構造が、異なるサイズのセルが形成されるように編み上げられる、態様8の足場。
【0055】
[0065]態様10.第1の面積を有する第1のセルと、第2の面積を有する第2のセルとを含み、第1の面積が第2の面積よりも少なくとも50%大きい、態様8の足場。
[0066]態様11.セルサイズのばらつきが、足場の長手方向の長さに沿って生じる、態様8の足場。
【0056】
[0067]態様12.セルサイズのばらつきが、足場の円周を巡って生じる、態様8の足場。
[0068]態様13.編み上げ構造の2つ以上の節に機械的に連結された縦エラストマー繊維をさらに含む、態様3~12のいずれかの足場。
【0057】
[0069]態様14.前記1つまたは複数のストランドの1つまたは複数の端部が、元の編み上げ構造に織られ結合される、態様3~13のいずれかの足場。
[0070]態様15.足場が、コーティング材料を含む前記コンフォーマルコーティングを含む、態様3~14のいずれかの足場。
【0058】
[0071]態様16.コーティング材料がエラストマーを含む、態様15の足場。
[0072]態様17.エラストマーがウレタン架橋を含む、態様16の足場。
[0073]態様18.コーティング材料が編み上げ構造のいくつかの節を覆いながらその他の節は覆われないままにする、態様15~17のいずれかの足場。
【0059】
[0074]態様19.コーティング材料が、編み上げ構造の長さに沿った交互領域を覆う、態様15~18のいずれかの足場。
[0075]態様20.コーティング材料が、編み上げ構造の端部を覆うが編み上げ構造の端部の間の領域は覆わない、態様15~18のいずれかの足場。
【0060】
[0076]態様21.編み上げ構造の節のコーティング材料の厚さが、編み上げ構造の節と節の間のコーティング材料の厚さの1から100倍に及ぶ、態様15~21のいずれかの足場。
【0061】
[0077]態様22.足場材料の1つまたは複数のストランドがポリ(ラクチド-co-グリコリド)を含み、コーティング材料が、ウレタン架橋、尿素架橋、またはウレタン架橋および尿素架橋の両方を持つポリ(L-ラクチド-co-カプロラクトン)を含むエラストマー材料である、態様15~21のいずれかの足場。
【0062】
[0078]態様23.足場材料の1つまたは複数のストランドがポリ(ラクチド-co-グリコリド)を含み、コーティング材料が、ジイソシアネート硬化型ヒドロキシ末端分枝状ポリ(L-ラクチド-co-カプロラクトン)を含むエラストマー材料である、態様15~21のいずれかの足場。
【0063】
[0079]態様24.ヒドロキシ末端分枝状ポリ(L-ラクチド-co-カプロラクト)がヘキサメチレンジイソシアネートで硬化される、態様24の足場。
[0080]態様25.足場が、50から99.9wt%のポリ(L-ラクチド-co-カプ
ロラクトン)および0.1から50wt%のフロ酸モメタゾンを含む追加のコーティング材料でさらに被覆される、態様15~21、23、および24のいずれかの足場。
【0064】
[0081]態様26.足場が、50から99.9wt%のポリ(L-ラクチド-co-カプロラクトン)および0.1から50wt%のフロ酸モメタゾンを含む追加のコーティング材料でさらに被覆される、態様22の足場。
【0065】
[0082]態様27.編み上げ構造が、スパイラル管状構造に巻かれたリボン形状の細長い部材の形をとる、態様3の足場。
[0083]態様28.足場が、スパイラル管状構造に巻かれた細長い部材を含む、態様1の足場。
【0066】
[0084]態様29.足場が、複数の平行な開放フープを含む、態様1の足場。
[0085]態様30.開放フープがリボン形状の開放フープである、態様29の足場。
[0086]態様31.リボン形状の開放フープが複数のアパーチャを有する、態様30の足
場。
【0067】
[0087]態様32.複数のアパーチャが編み上げ様構造を創出する、態様31の足場。
[0088]態様33.ほぼ管状の構造が、編み込み構造である、態様1の足場。
[0089]態様34.編み込み構造が、足場を解き除去するよう引っ張ることができる単一ストランドを含む、態様33の足場。
【0068】
[0090]態様35.ほぼ管状の構造内に、複数の放射状に拡張可能な挿入物を含む、態様1の足場。
[0091]態様36.放射状に拡張可能な挿入物が、ハブと、複数の半径報告に拡張可能なアームとを含み、または放射状に拡張可能な挿入物が編み上げフープを含む、態様35の足場。
【0069】
[0092]態様37.足場の遠位端が、追加のデバイスによって捕捉されるように構成され、かつ足場が、管腔内に遠位端を引き入れることによって洞腔から反転され除去されるように構成される、態様1の足場。
【0070】
[0093]態様38.(a)態様1~37のいずれかによる足場を、放射状に拘束された形状にある間に患者の洞腔内に導入するステップと、(b)前記拘束された形状に足場を維持する拘束を解除して、足場が洞腔内で自己展開するようになされたステップとを含む、治療方法。
【0071】
[0094]態様39.洞腔が、篩骨洞、中鼻道空間、前頭洞口、上顎洞口、蝶形洞口、または前頭洞陥凹である、態様38の方法。
[0095]態様40.(a)態様1~37のいずれかによる足場、(b)送達カテーテル、および(c)任意選択の投入補助具を含むキット。
【0072】
[0096]態様41.送達カテーテルが、放射状に拘束された形状に足場を維持するように、かつ送達部位で前記放射状に拘束された形状に足場を維持する拘束を解除するように構成された、態様40のキット。
【0073】
[0097]態様42.送達カテーテルが、拡張可能なデバイスを含む、態様40のキット。
[0098]態様43.送達カテーテルが、膨張管腔を有するカテーテルシャフトと、カテーテルシャフトの遠位端にまたはこの遠位端近くに配置された1つまたは複数の可膨張性バルーンとを含む、バルーンカテーテルである態様40のキット。
【0074】
[0099]態様44.1つまたは複数の可膨張性バルーンが、治療薬を含有するコーティングで、少なくとも部分的に被覆されている、態様43のキット。
[00100]態様45.(a)態様1~37のいずれかによる足場と、(b)送達カテーテ
ルとを含み、足場が、放射状に拘束された形状で送達カテーテル内に位置決めされている、送達システム。
【0075】
[00101]態様46.(a)足場を、放射状に拘束された形状にある間に患者の洞腔内に
導入して、足場が洞腔内の送達部位に位置決めされるようにするステップと、(b)放射状に拘束された形状に足場を維持する拘束を解除して、足場が洞腔内で自己展開するようになされたステップとを含む、態様45の送達システムを使用する治療方法。
【0076】
[00102]態様47.(a)態様1~37のいずれかによる足場と、(b)拡張可能なデ
バイスを含む送達カテーテルとを含み、足場が、拡張可能なデバイスの上、中、下、近位、または遠位に位置決めされた、送達システム。
【0077】
[00103]態様48.拡張可能なデバイスが、可膨張性バルーンまたは拡張可能なフレー
ムである、態様47の送達システム。
[00104]態様49.送達カテーテルが、膨張管腔を有するカテーテルシャフトと、カテ
ーテルシャフトの遠位端にまたはこの遠位端近くに配置された1つまたは複数の可膨張性バルーンとを含む、バルーンカテーテルである態様47の送達システム。
【0078】
[00105]態様50.1つまたは複数の可膨張性バルーンの少なくとも1つが、治療薬を
含有するコーティングで少なくとも部分的に被覆された、態様49の送達システム。
[00106]態様51.(a)足場を患者の洞腔内に導入して、足場が洞腔内の送達部位に
位置決めされるようにするステップと、(b)拡張可能なデバイスが足場の管腔内に位置決めされている間に拡張可能なデバイスを拡張するステップとを含む、態様47の送達システムを使用する治療方法。
【0079】
[00107]態様52.拡張可能なデバイスがバルーンである、態様51の方法。
[00108]態様53.(a)第1の溶媒、分枝状生分解性ポリマー、およびジイソシアネ
ート架橋剤を含む第1のコーティング溶液を、足場に付着させるステップと、(b)付着された第1のコーティング溶液を高温で硬化させるステップとを含み、足場が、洞腔内での埋込み用に構成されており、足場が、管腔を有しかつ足場材料を含むほぼ管状の構造を有する、被覆された足場を形成する方法。
【0080】
[00109]態様54.分枝状生分解性ポリマーが、分枝状ヒドロキシ末端ポリ(ラクチド
-co-カプロラクトン)である、態様53の方法。
[00110]態様55.足場材料がポリ(ラクチド-co-グリコリド)を含む、態様53
~54のいずれかの方法。
【0081】
[00111]態様56.第1の溶液がさらに、連鎖停止剤を含む、態様53~54のいずれ
かの方法。
[00112]態様57.ジイソシアネート架橋剤がヘキサメチレンジイソシアネートであり
、連鎖停止剤が1-ドデカノールであり、または両方の組合せである、態様56の方法。
【0082】
[00113]態様58.第1の溶媒がジクロロメタンを含む、態様53~57のいずれかの
方法。
[00114]態様59.第1の溶媒がアニソールをさらに含む、態様58の方法。
【0083】
[00115]態様60.足場が、足場材料の1つまたは複数のストランドと、複数の節とを
含む編み上げ構造であり、コーティング溶液が、足場の少なくとも節に付着される、態様59の方法。
【0084】
[00116]態様61.第2の溶媒、追加の生分解性ポリマー、および治療薬を含む第2の
コーティング溶液を、硬化後の足場に付着させるステップをさらに含む、態様53~57のいずれかの方法。
【0085】
[00117]態様62.追加の生分解性ポリマーが、ポリ(ラクチド-co-カプロラクトン)である、態様61の方法。
[00118]態様63.治療薬が、ステロイド系抗炎症薬である、態様61~62のいずれ
かの方法。
【0086】
[00119]態様64.治療薬がフロ酸モメタゾンである、態様61~62のいずれかの方
法。
[00120]態様65.第2の溶媒が、ギ酸エチルおよびアニソールを含む、態様64の方
法。
【0087】
[00121]態様66.第1のコーティング溶液および第2のコーティング溶液が、噴霧プ
ロセスにおいて付着される、態様61~65のいずれかの方法。
[00122]態様67.態様53~66のいずれかの方法によって形成された足場。
【0088】
[00123]態様68.足場材料が治療薬を含む、態様1~37のいずれかの足場。
[00124]態様69.治療薬がステロイド系抗炎症薬である、態様68の足場。
[00125]態様70.コーティング材料が治療薬を含む、態様15~26のいずれかの足
場。
【0089】
[00126]態様71.治療薬がステロイド系抗炎症薬である、態様70の足場。
[00127]態様72.追加のコーティング材料および治療薬を含む追加のコンフォーマル
コーティングをさらに含む、態様15~26のいずれかの足場。
【0090】
[00128]態様73.治療薬がステロイド系抗炎症薬である、態様72の足場。
[00129]本開示の追加の態様および実施形態について、以下に述べる詳細な説明で論じ
る。
【0091】
[00130]本開示の非限定的な例について、概略的なものであって必ずしも正確な縮尺で
描かれていない添付図面を参照しながら、例として記述する。図中、図示される同一のまたはほぼ同一の構成要素のそれぞれは、典型的には、単一の数字によって表される。明瞭にする目的で、全ての構成要素にそれぞれ数字が付されているわけでもなく、または当業者に開示を理解させるのに図示が必ずしも必要でない場合には、開示の各実施形態の全ての構成要素が示されているわけでもない。
【図面の簡単な説明】
【0092】
【
図1】[00131]
図1Aは、本開示の実施形態による様々な繊維断面を、概略的に示す図である。 [00132]
図1Bは、本開示の2つの実施形態による多重繊維フィラメントの断面を、概略的に示す図である。
【
図2】[00133]本開示の実施形態による自己展開足場の、概略側面図である。
【
図3】[00134]
図3Aは、本開示の実施形態による、均一な編み上げ角を有する自己展開足場の概略側面図である。 [00135]
図3Bは、本開示の実施形態による、可変の編み上げ角を有する自己展開足場の概略側面図である。
【
図4】[00136]本開示の実施形態による、エラストマーコーティングを有する自己展開足場の概略側面図である。
【
図5】[00137]本開示の実施形態による、弾性クロス繊維を有する自己展開足場の概略側面図である。
【
図6】[00138]
図6Aは、本開示の実施形態による、異なる剛性のフィラメントを有する自己展開足場の概略側面図である。 [00139]
図6Bは、本開示の実施形態による、除去されたフィラメントセグメントを有する自己展開足場の概略側面図である。 [00140]
図6Cは、本開示の実施形態による、被覆された端部を有する自己展開足場の概略側面図である。 [00141]
図6Dは、本開示の実施形態による、交互に被覆されたおよび被覆されていないセクションを有する自己展開足場の概略側面図である。
【
図7】[00142]本開示の実施形態による、不均等なセルサイズを有する自己展開足場の写真である。
【
図8】[00143]本開示の実施形態による、折り返し端部を有する自己展開足場の概略側面図である。
【
図9】[00144]本開示の実施形態による、編み込み足場の図である。
【
図10】[00145]本開示の実施形態による、スパイラル形状の自己展開足場の概略斜視図である。
【
図11】[00146]
図11Aは、本開示の実施形態による、編み上げ管状足場から形成されたスパイラル形状自己展開足場の写真である。 [00147]
図11Bは、本開示の実施形態による、2つ編みから形成されたスパイラル形状自己展開足場の写真である。
【
図12】[00148]
図12Aは、本開示の実施形態による、中実ストラットフープを有する自己展開足場の概略斜視図である。 [00149]
図12Bは、本開示の実施形態による、2つ編みデザインの形をしたストラットフープを有する自己展開足場の概略斜視図である。
【
図13】[00150]本開示の実施形態による、コンフォーマルチューブの概略側面図である。
【
図14】[00151]
図14Aは、本開示の実施形態による、拡張した形の関連三次元支持構造を備えるコンフォーマルチューブの概略斜視図である。 [00152]
図14Bは、本開示の実施形態による、捲縮形態にある関連三次元支持構造を備えたコンフォーマルチューブの概略端面図である。
【
図15】[00153]本開示の実施形態による、一元ポリマー構造の形をした足場の概略側面図である。
【
図16】[00154]本開示の実施形態による、それぞれ16本のストランドを備えた直径8mmの足場、直径10mmの足場、直径20mmの足場、および直径31mmの足場の写真である。
【
図17A】[00155]本開示の実施形態による、3つの異なる薬物負荷に関し、時間の関数として、薬物担体ポリマーとしてポリ(乳酸-co-カプロラクトン)(PLCL)の存在下で放出されたフロ酸モメタゾン(MF)の累積絶対質量を示すグラフである。
【
図17B】[00156]
図17Aの実施形態に関し、時間の関数として、薬物担体ポリマーとしてPLCLの存在下で放出されたMFの累積パーセントを示すグラフである。
【
図18】[00157]本開示の実施形態による、トップコートがない400μgの1つのMF足場と、異なるトップコートの厚さを備えた400μgの3つのMF足場とに関し、時間の関数として、PLCLおよびPLAを含むトップコートを備えた状態および備えていない状態で、薬物担体ポリマーとしてPLCLの存在下で放出されたMFの累積パーセント質量を示すグラフである。
【
図19】[00158]本開示の実施形態による、3つの異なるタイプのD,L-PLGAを含有する400μgのMFに関し、時間の関数として、薬物担体ポリマーとしてD,L-PLGAの存在下で放出されるMFの累積パーセントを示すグラフである。
【
図20】[00159]
図20Aは、本開示の実施形態による、16本のストランドを備えた31.75mmの足場の写真である。 [00160]
図20Bは、
図20Aの場合のような足場の、被覆された節の写真である。
【
図21】[00161]本開示の実施形態による足場に関し、圧縮歪みに対する圧縮荷重を示すグラフである。
【
図22】[00162]
図22Aは、本開示の様々な実施形態による、様々な足場デザインを示す写真である。
図22Bは、本開示の様々な実施形態による、様々な足場デザインを示す写真である。
図22Cは、本開示の様々な実施形態による、様々な足場デザインを示す写真である。
図22Dは、本開示の様々な実施形態による、様々な足場デザインを示す写真である。
図22Eは、本開示の様々な実施形態による、様々な足場デザインを示す写真である。
【
図23】[00163]
図23Aは、本開示の実施形態による足場の、ブタ鼻腔内での展開を示す写真である。
図23Bは、本開示の実施形態による足場の、ブタ鼻腔内での展開を示す写真である。
図23Cは、本開示の実施形態による足場の、ブタ鼻腔内での展開を示す写真である。
図23Dは、本開示の実施形態による足場の、ブタ鼻腔内での展開を示す写真である。
【
図24】[00164]ブタ鼻腔内での展開後の、本開示の実施形態による足場を示す写真である。
【
図25】[00165]ヒト死体の自然状態の中鼻道内での展開後、本発明の実施形態による、直径13mmの直径および長さ10mmを有する32本のフィラメントの足場を示す写真である。
【
図26】[00166]ヒト死体の前頭洞口における展開後の、本開示の実施形態による、16フィラメント、10mm足場を示す写真である。
【
図27】[00167]FESS後のヒト死体の篩骨洞における展開後の、本開示の実施形態による、直径17.5mmおよび長さ10mmを有する32フィラメント足場を示す写真である。
【
図28】[00168]
図28Aは、噴霧コーティング中、共溶媒としてアニソールがない状態の、16ストランドを有する被覆された8mm足場、すなわちPLGA(10:90)足場の光学顕微鏡画像である。
図28Bは、噴霧コーティング中、共溶媒としてアニソールがある状態の、16ストランドを有する被覆された8mm足場、すなわちPLGA(10:90)足場の光学顕微鏡画像である。
図28Cは、噴霧コーティング中、共溶媒としてアニソールがない状態の、16ストランドを有する被覆された8mm足場、すなわちPLGA(75:25)足場の光学顕微鏡画像である。
図28Dは、噴霧コーティング中、共溶媒としてアニソールがある状態の、16ストランドを有する被覆された8mm足場、すなわちPLGA(75:25)足場の光学顕微鏡画像である。
【
図29】[00169]
図29Aは、噴霧コーティング中、共溶媒としてアニソールがない状態で被覆された足場、すなわち共溶媒としてアニソールがない溶液から、ベース編紐の重量に対して62wt%のエラストマーで被覆された足場の光学画像を示す。
図29Bは、噴霧コーティング中、共溶媒としてアニソールがある状態で被覆された足場、すなわち共溶媒としてアニソールを含有する溶液から得た、63wt%のエラストマーで被覆された足場の光学画像を示す。29Cは、噴霧コーティング中、共溶媒としてアニソールがある状態で被覆された足場、すなわち共溶媒としてアニソールを含有する溶液から得た、100wt%のエラストマーで被覆された足場の光学画像を示す。
【
図30A】[00170]時間の関数として、MFで被覆された足場の3つの組から放出されたMFの累積絶対質量を示すグラフである。
【
図30B】[00171]時間の関数として、MFで被覆された足場の3つの組から放出されたMFの累積パーセント質量を示すグラフである。
【
図31】[00172]MFで被覆されたPLGA(10:90)足場およびMFで被覆されたPLGA(75:25)足場のin vivo薬物放出プロファイルを示すグラフである。
【
図32】[00173]埋込み後の時間の関数として、屠殺したウサギの洞粘膜中のMF濃度を示すグラフである。
【
図33】[00174]時間の関数として、in vivoでの全MFを示すグラフである(足場上のMFと、屠殺したウサギの洞粘膜中のMFとを合わせたもの)。
【
図34】[00175]時間の関数として、MFで被覆された足場の2つの組から放出されたMFの累積パーセント質量を示すグラフである。
【
図35】[00176]時間の関数として、MFで被覆された足場の4つの組から放出されたMFの累積パーセント質量を示すグラフである。
【
図36A】[00177]
図36Aは、圧縮時間の関数として、90および128編み上げ角を有するMFで被覆された足場の2つの組の、第1の量の圧縮からの即時回復率を示すグラフである。
【
図36B】[00178]
図36Bは、圧縮時間の関数として、90および128編み上げ角を有するMFで被覆された足場の2つの組の、第2の量の圧縮からの即時回復率を示すグラフである。
【
図37A】[00179]
図37Aは、圧縮時間の関数として、90および128編み上げ角を有するMFで被覆された足場の2つの組の、第1の量の圧縮から6時間後の回復を示すグラフである。
【
図37B】[00180]
図37Bは、圧縮時間の関数として、90および128編み上げ角を有するMFで被覆された足場の2つの組の、第2の量の圧縮から6時間後の回復を示すグラフである。
【
図38】[00181]本開示の実施形態による、圧縮試験を実施するための試験装置の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0093】
[00182]本開示の埋込み可能な医療デバイスは、ほぼ管状のデバイスであり、そのデバ
イスは、様々な実施形態において自己展開デバイスである。本明細書で使用される「デバイス」、「足場」、「ステント」、「担体」、および「インプラント」は同義に使用され得る。同様に本明細書で使用される「自己展開」とは、体内に送達するため縮小送達構成へと捲縮され、その後、任意の追加の拡張デバイスの助けなしにまたはバルーンで支援されたもしくは同様に支援された拡張の部分的な支援によって、送達構成から解放されたらより大きい適切な構成にまで拡張する傾向のあるデバイスを含むものとする。本明細書で使用される「強さ」および「剛性」は、半径方向力または静止当接物に対して足場により加えられた力による変形に対する、本開示の医療用足場の耐性を意味するために、同義に使用され得る。本開示の医療用足場を特徴付けるのに使用される、強さおよび剛性測定の例には、本明細書でさらに記述されるように半径方向抵抗力および持続的外向き力が含まれる。
【0094】
[00183]本開示による足場は、典型的には、様々な直径および長さを含めた様々なサイ
ズのものであってもよい、および様々洞部への適用例で使用され得る、管状デバイスである。非円形断面の物体の場合、「直径」は幅を示す。ある有益な実施形態では、製造されたときの(または拘束されていない)足場の直径は、5mm以下から60mm以上に及んでもよく、例えば5mmから10mmに、15mmに、20mmに、25mmに、30mmに、35mmに、40mmに、または50mmに、60mmに及び(すなわち、前述の数値のいずれか2つの間に及び)、一般には、5から13mmに、または15から30mmに及ぶ。ある有益な実施形態では、製造されたときの(または拘束されていない)長さは、5mm以下から30mm以上に及んでもよく、例えば5mmから10mmに、15mmに、20mmに、25mmに、または30mmに及び(すなわち、前述の数値のいずれか2つの間に及び)、一般には、10mmから20mmに及ぶ。
【0095】
[00184]ある有益な実施形態では、足場の質量は、1から20mg/mm(長さ)に及
んでもよい。
[00185]他に指示しない限り、本明細書で与えられる足場の直径および足場の長さは、
拘束されていない(製造された)直径および長さを指す。
【0096】
[00186]本開示の多くの足場の実施形態は自己展開するが、それは、第1の直径で製造
され、その後、第2の縮小直径に縮小しまたは「捲縮し」て送達カテーテル内に留置され、埋込み部位で送達カテーテルから押し出されたときに第1の直径に向けて自己展開するからである。第1の直径は、いくつかの実施形態で足場が埋め込まれる体内管腔の直径よりも、少なくとも10%大きくてもよい。足場は、いくつかの実施形態で、その製造された第1の直径の少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、最大約100%回復するようにデザインされてもよい。
【0097】
[00187]本開示による足場には、足場を、洞腔内でのその意図される目的に対して有効
にするのに適切な、拡張および機械的性質が与えられる。本明細書で使用されるそのような機械的性質の2つの尺度は、「半径方向抵抗力」(「RRF」)および「持続的外向き力」(「COF」)である。RRFは、捲縮力に反応して足場が加える力であり、COFは、静止当接面に対して足場が加える力である。ある実施形態では、足場は、開放体内管腔、体腔、および鼻の形体などを保持することができるよう、比較的高いRRFを有するように構成され、さらに、体内管腔の壁面、視神経、脳などに対しておそらくは有害な力が加わるのを回避するために、比較的低いCOFを有するように構成される。例えば、本開示の足場は、好ましくは、捲縮された後に、その製造されたときの構成の70から100%に拡張し、50から300mmHgに及ぶRRFを有し、かつ/または10から100mmHgに及ぶ急なCOFを有する(洞腔内への送達時)。
【0098】
[00188]本開示による足場は、様々なポリマーおよび非ポリマー材料から形成されても
よい。本開示による足場は、生分解性であっても非生分解性であってもよく、または生分解性および非生分解性の両方の材料の組合せであってもよい。生分解性の場合、足場は、患者の洞腔内に留置後、例えば3週間以下の短い期間から52週間以上の長い期間内で完全に吸収され得る。いくつかの実施形態では、ほぼ管状の構造は、留置から12週間後および留置から32週間になる前の、ある時点で完全に吸収され得る。生分解性デバイスは、その他の実施形態で、鼻粘膜への吸収とは対照的に、鼻洗浄を通して排除されてもよい。デバイスは、個別の部分(複数可)が再吸収されて所定の小片への分解が行われ(典型的には、最長寸法が、<10mm以上、典型的には<5mm)、これらの小片を、正常な粘膜毛様体作用を通して洞部および鼻腔から排除し、嚥下または鼻からの排出を行うことができるようにデザインされてもよい。このように、洞部または鼻腔表面に接触する酸性再吸収副生成物(例えば、乳酸、グリコール酸)の量は、低減させることができる。このことは、これらおよび周囲の組織の刺激または炎症を低減させることができる。塩基性の性質の添加剤を、いくつかの実施形態でデバイスに添加して酸性副生成物を中和してもよく、その副生成物に関連した炎症性応答を低減させることができる。さらに、異なる速度で生体吸収する多数の材料を、いくつかの実施形態では組み合わせて、どの時点においても分解する材料の量を、したがって生体応答を低減させることができる。
【0099】
[00189]様々な実施形態では、埋込み可能な足場は、足場材料を含むほぼ管状の構造を
含んでいてもよい。本開示による足場は、繊維ベースであっても非繊維ベースであってもよい。
【0100】
[00190]様々な実施形態では、足場材料は、生分解性足場材料であってもよく、典型的
には、1種または複数の生分解性ポリマーを含む生分解性足場材料であってもよい。生分解性足場材料を形成するための生分解性ポリマーの非限定的な例には、生分解性ポリエステル、ポリカーボネート、ポリヒドロキシアルカノエート、ポリ無水物、およびポリオルトエステルが含まれ、その非限定的な例には、乳酸のホモポリマー(PLA)、グリコール酸のホモポリマー(PGA)、トリメチレンカーボネートのホモポリマー(PTMC)
、カプロラクトンのホモポリマー(PCL)、ポリプロピレンフマレートのホモポリマー(PDO)、およびジオキサンのホモポリマー(PDO)、ならびに前述のモノマーの2種以上を含むコポリマー、例えばポリ(乳酸-co-グリコール酸)(PLGA)、ポリ(乳酸-co-カプロラクトン)(PLCL)、およびポリ(グリコール酸-co-カプロラクトン)(PGCL)が含まれる。好ましいコポリマーには、10から90%に及ぶ乳酸のモルパーセンテージと、90から10%に及ぶグリコール酸のモルパーセンテージとを有し、より典型的には10から75%に及ぶ乳酸と、90から25%に及ぶグリコール酸のモルパーセンテージとを有するPLGAが含まれ;例えばPLGA 75:25(モル/モル)またはPLGA(10:90)(モル/モル)を、いくつかの実施形態で用いてもよい。これらの範囲内のPLGAポリマーの組成は、足場が使用される特定の適用例の機械的性質および分解要件を満たすように最適化されてもよい。ある実施形態では、生分解性足場材料は、プロドラッグをベースにしたポリマー、例えばポリアスピリンを含んでいてもよく、このポリマーは、分解制御された治療薬放出能を備えた足場を作製するための、ほぼ管状の構造の単一成分または副成分として使用することができるものである。
【0101】
[00191]様々な実施形態では、足場材料は、非生分解性足場材料、典型的には1種また
は複数の非生分解性ポリマーを含む非生分解性足場材料であってもよい。非生分解性足場材料を形成するための非生分解性ポリマーの非限定的な例には、ポリエチレン(HDPEおよびLDPE)およびポリプロピレンなどのポリオレフィン、ポリ塩化ビニル(PVC)とポリテトラフルオロエチレン(PTFE)およびパーフルオロアルコキシアルカン(PFA)を含めたフルオロポリマーなどのハロゲン化ポリオレフィン、ポリスチレンなどのポリ芳香族、ポリエチレンテレフタレート(PET)などのポリエステル、ナイロンなどのポリアミド、シリコーン、粘膜付着材料、および生物学的安定性のあるポリウレタン(PU)が含まれる。
【0102】
[00192]本開示による足場は、任意選択で、足場形成材料を少なくとも部分的に被覆す
る、コーティング材料で形成されたコーティングを含んでいてもよい。
[00193]コーティングは、機械的性質の強化、分解制御、および治療薬の放出および制
御を含めた様々な目的で付着されてもよい。コーティングは、足場の全てもしくは一部を覆ってもよく、または繊維ベースの技法では、足場を形成するフィラメントもしくはストランドの全てもしくは一部を覆ってもよい。本明細書で使用される「ストランド」および「フィラメント」は、同義で使用されてもよく、単繊維ストランドおよびフィラメント(モノフィラメントとも呼ぶ)と多繊維ストランドおよびフィラメントとを含む。
【0103】
[00194]被覆される足場が繊維ベースの構造である場合、コーティングは、例えば、足
場を形成する前に個々のストランドに付着させてもよく、または足場の形成後に足場に付着させてもよい。足場が非繊維ベースの構造である場合、コーティングは例えば、機械的または熱的な切断などの適切な切断技法を使用して、材料を除去する前または後のいずれかで固体ポリマーチューブまたはシートに付着させてもよい。コーティングは、とりわけ噴霧、エレクトロスプレー、圧延、浸漬、化学気相成長、エレクトロスピニング、および/または共押出しを含めた任意の適切な方法を使用して創出されてもよい。いくつかの実施形態では、コーティングは、以下にさらに詳述される治療薬などの追加の薬剤を含んでいてもよい。
【0104】
[00195]様々な実施形態では、コーティング材料は、生分解性もしくは非生分解性のコ
ーティング材料または両方の組合せであってもよく、典型的には、1種もしくは複数の生分解性ポリマーを含む生分解性コーティング材料、または1種もしくは複数の非生分解性ポリマーを含む非生分解性コーティング材料である。生分解性コーティング材料を形成するための生分解性ポリマーの非限定的な例には、上記列挙された生分解性ポリマーが含ま
れる。非生分解性コーティング材料を形成するための非生分解性ポリマーの非限定的な例には、上記列挙された非生分解性ポリマーが含まれる。
【0105】
[00196]様々な実施形態では、エラストマーを含むコーティングが形成される。そのよ
うなコーティングの可能性ある利益は、機械的性質の強化を含む。例えばコーティングは、圧縮されまたは引き伸ばされたときのその弾性により足場に力を加えて、放射状に拡張し易くなるよう動作するエラストマーポリマーから作製されてもよく、したがって数ある性質の中でも復元可能性および/または半径方向剛性が強化される。エラストマーの、追加の可能性ある利益は、足場材料(とりわけ編み上げ構造であってもよい)を包封し、一体性を維持し、滑らかな軟らかい表面を提供することにより接触点での組織の刺激を最小限に抑えつつ、良好な順応性を提供する。この点に関し、生体吸収性フィラメントおよびエラストマーコーティングの複合構造および組合せから得られたものも含めた本明細書に記述されるデザインのある態様は、その他の生体吸収性ステントのデザインからは実現できない性質を与える。可能性ある利益には、より低い量のポリマー、より低いプロファイル(ステント壁の厚さ)、および/または各繊維交差点でのバネ様構造に起因したより良好な順応性を持つ、より高い半径方向抵抗力および/または持続的外向き力が含まれ、それによって、より小さい送達システムまたはガイドカテーテルを通した標的部位への送達が可能になり、かつ/またはより小さい製作されたときのステント直径で標的部位に対する良好な並置および順応性がもたらされる。より良好な順応性は、改善された組織接触の結果に基づいて、組織へのより効率的な薬物送達をもたらし得る。さらに、より良好な順応性は、所望の位置に向けた外科医による展開後のインプラントの取扱いを容易にすることができる。例えば、インプラントの片側を再調節するとき、インプラントの反対側は、十分に輪郭が形成されかつ組織に接着していない限り、その位置を再調節する傾向がある。
【0106】
[00197]エラストマーコーティングに関するコーティングの厚さは、広く様々であって
もよく、その典型的な厚さは例えば、数ある厚さの中でも5から50μmに及ぶ。編み上げ足場が被覆される場合、エラストマーコーティングは例えば、編み上げ足場基材の30から150重量%の間に及んでもよい。
【0107】
[00198]エラストマーは、熱硬化性および熱可塑性エラストマーを含む。熱硬化性また
は熱可塑性エラストマーは、有益には室温(25℃)よりも低いガラス転移温度(Tg)を有し、10℃よりも低いときがより有益である。熱硬化性エラストマーは、循環機械試験の下での永久変形が低い状態で高い破断点伸びをもたらし得る。エラストマーの例には、例えば、ポリ(グリコリド-co-ε-カプロラクトン)(PGCL)、またはポリ(L-ラクチド-co-ε-カプロラクトン)およびポリ(D,L-ラクチド-co-ε-カプロラクトン)を含めたポリ(ラクチド-co-ε-カプロラクトン)(PLCL)が含まれる。ある実施形態では、PLCLは、20から80%に及ぶラクチドのモルパーセンテージ、および80から20%に及ぶカプロラクトンのモルパーセンテージを有していてもよく、より典型的には30から50%に及ぶラクチドのモルパーセンテージ、および50から70%に及ぶカプロラクトンのモルパーセンテージを有していてもよい。
【0108】
[00199]ある実施形態では、生分解性コーティング材料は、ジオール、トリオール、テ
トラオール、および/または高級アルコールを含めたポリマーポリオールから形成された熱硬化性エラストマーである。そのようなポリマーは、二または多官能性の小分子またはポリマーである架橋剤で架橋されていてもよい。例えば架橋は、そのようなポリマーと、小分子またはポリマーの形をとっていてもよい二または多官能性イソシアネートとを反応させることによって形成されてもよい。
【0109】
[00200]コーティングが熱硬化性エラストマーポリマーを含む場合、架橋密度は、所望
の機械的性質が得られるように様々であってもよい。例えば、任意選択の連鎖停止剤を、ポリエステルウレタンなどの熱硬化性エラストマー材料中で使用して、架橋密度を制御してもよい。化学架橋密度は、ポリエステル-ウレタン硬化中に生じる架橋度を制御するために、連鎖停止剤を使用することによって調節される。得られるエラストマーの架橋密度は、エラストマー網状構造に組み込まれた連鎖停止剤の濃度に依存する。適切な連鎖停止剤の例には、単官能性イソシアネート、アルコール、アミン、塩化アシル、および塩化スルホニルなどの任意の適切な単官能性化合物が含まれる。
【0110】
[00201]ある実施形態では、熱硬化性エラストマーは、ポリエステルポリオール、ジイ
ソシアネート架橋剤、および任意選択の連鎖停止剤を含む。そのような熱硬化性エラストマーは:溶媒にポリエステルポリオールを少なくとも部分的に溶解して溶液を形成するステップと;ジイソシアネート架橋剤を前記溶液に添加するステップと;任意選択で連鎖停止剤を前記溶液に添加するステップと;前記溶液を足場形成材料上に被覆するステップと;前記溶液を硬化するステップとを含むプロセスによって調製されてもよい。溶媒をベースにした加工が用いられる場合、コーティングプロセス中の、熱可塑性エラストマーの節での蓄積を改善するのに、少ない揮発性共溶媒を使用することができる。
【0111】
[00202]ウレタン架橋エラストマーを形成するのに適切なポリオールの非限定的な例に
は、例えば、分枝状(3アームまたはそれ超)ポリ(乳酸-co-カプロラクトン)(PLCL)およびポリ(グリコリド-co-カプロラクトン)(PGCL)ポリオールが含まれる。分枝状ポリマーの他に、直鎖状ポリマージオールを使用して、イソシアネート(例えば、ヘキサメチレンジイソシアネート)およびその他の適切な試薬での硬化によって弾性コーティングを創出してもよい。材料分解によって引き起こされる炎症を低減させるため、ポリ(トリメチレンカーボネート)(PTMC)をベースにしたポリオールを使用して、弾性コーティングを創出してもよい。Sn(Oct)2、Zn(Oct)2、ジブチルスズジラウレート(DBTL)、1,4-ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン(DABCO)、および1,8-ジアザビシクロウンデカ-7-エン(DBU)を含むがこれらに限定されない様々な触媒を使用して、硬化プロセスを容易にしてもよい。
【0112】
[00203]いくつかの実施形態では、足場および/またはコーティングは、洞構造に合わ
せて成型されるよう、サイズ、形状、および/または順応性を変化させることができる形状記憶ポリマーを使用して製作してもよい。形状記憶ポリマーの非限定的な例には、オリゴラクチド、オリゴカプロラクトン、オリゴラクチド-co-グリコリド、オリゴ(トリメチレンカーボネート)、またはオリゴジオキサノン連結イソシアネートと、様々な連鎖延長剤とで作製された、セグメント化されたポリウレタン、ラクチド(グリコリド)およびカプロラクトン、ジオキサノン、またはトリメチレンカーボネートの(マルチ)ブロックコポリマー、ポリラクチドおよびポリアミドエラストマーのポリマーブレンドが含まれる。
【0113】
[00204]前述のように、本開示による足場は、繊維ベースであっても非繊維ベースであ
ってもよい。繊維ベースの実施形態では、ポリマー材料は、例えば10μmから1000μm、より典型的には100μmから300μmに及ぶ断面寸法を持った繊維に、最初に製造されてもよい。そのような繊維は、例えば押出しまたは紡糸技術を含めたいくつかの技術を使用して形成されてもよい。
【0114】
[00205]繊維の断面形状は、広く様々であってもよい。
図1Aを参照すると、そのよう
な断面は、丸い断面10、楕円形断面12、および多角形断面(例えば、三角形断面14、四辺形断面16、例えば長方形、平行四辺形、台形などの形状をとり、五角形断面、および六角形断面18などである)を有する繊維を含む。繊維断面は、繊維製造中に使用するのに適切な断面のダイを選択することによって、様々にすることができる。
【0115】
[00206]ポリマー材料は、例えば適切な流延または押出しプロセス(例えば、溶媒流延
、溶融流延、溶媒ベースの押出し、溶融押出しなど)を通して、シート状に形成されてもよい。シートはその後、繊維(例えば、多角形断面を有する繊維であって、例えば三角形、または長方形、平行四辺形、台形などの四辺形の形状をとるもの)に切断されてもよい。
【0116】
[00207]繊維の強さは、例えば、適切な延伸比で引き延ばしまたは適切な温度でアニー
ルすることによって、ある実施形態で最適化することができる。
[00208]繊維の強さおよび/または柔軟性は、均質なまたは不均質な断面の繊維を多繊
維ストランド(例えば、魚網型構造)に編み上げることによって最適化されてもよい。編み上げられる繊維は、同じ組成のものでも異なる組成のものでもよい。さらに、編み上げられる繊維は、同じ直径のものでも異なる直径のものでもよい。2つの実施形態を
図1Bに示すが、これらは、(a)同じ材料の同じ直径を有するストランドから形成された多繊維ストランド11の断面と、(b)異なる組成の異なる直径を有するストランドから形成された多繊維ストランド13の断面とを示す。
【0117】
[00209]ポリマーストランドを調製したら、そこから繊維ベースの足場を作製すること
ができる。例えば、様々な形状の(例えば、とりわけ
図1A~1Bに示されるような)単繊維ストランドおよび/または多繊維ストランドを、ほぼ管状の構造に編み上げてもよい。編紐を形成するストランドは、直径が広く様々であってもよく、例えば、数ある可能性の中でも10から1000μmに及んでもよい。ある実施形態では、ストランドを形成する材料は、約1GPaから約10GPaの範囲内にある、より好ましくは約4~9GPaの範囲内にある弾性率を有していてもよい。
【0118】
[00210]本開示の低プロファイルの態様を容易にするために(例えば、小さい直径の洞
腔内への、足場の送達)、ある有益な実施形態では、足場の形成に使用されるストランドは100から500μmに及ぶ、より有益には125から250μmに及ぶ直径を有していてもよい。小さい直径のストランドの使用は、最小の肉厚を持つ、かつ低直径カテーテル送達システム内で潰れる(すなわち、捲縮する)能力を有する足場をもたらす。ある実施形態では、ストランドの直径は、足場を15French以下の送達カテーテル、9French以下の送達カテーテル、6French以下の送達カテーテル以下、またはさらに4French以下の送達カテーテル送達可能にするように選択されてもよい。
【0119】
[00211]
図2は、長さ130、幅131と、縦寸法に沿って第1および第2の端部13
2、133とを有する実質的に管状の構成を形成するように織られた、少なくとも1本のストランド(例えば、単繊維または多繊維ストランド)を含む編み上げ足場100の実施形態を示す。例えば、管状構造は、二組のストランド110および120を含んでいてもよく、それぞれの組は、足場の縦寸法に沿って、対向するヘリカル構成内を延びている。ある実施形態では、足場を形成するヘリカルストランドの数は、数ある可能性の中でも例えば8から48ストランドに及んでもよい。これらの組のストランド110および120は、編み上げ角140で互いに交差する。編み上げ角140は、数ある値の中から例えば約30度以下から約150度以上に及んでもよく、例えば30度から40度の、50度の、60度の、70度の、80度の、90度の、100度の、110度の、120度の、130度の、140度の、150度のいずれかの範囲に及ぶ(すなわち、前述の数値のいずれか2つの間に及ぶ)。ストランドは、例えば様々な1×1、1×2、および2×2のデザインを含めた当技術分野で公知の様々な方法を使用して一緒に織られてもよく、レギュラーパターン「1ワイヤ、2オーバー/2アンダー」、ダイヤモンドハーフロードパターン「1ワイヤ、1オーバー/1アンダー」、またはダイヤモンドパターン「2ワイヤ、1オーバー/1アンダー」などの特定の公知の織込みパターンを使用して織られてもよい。
【0120】
[00212]とりわけストランドの直径(複数可)、編み上げ角140、ストランドの材料
(複数可)、および使用されるストランドの数を含めた様々な要因が、足場100の半径方向強さに寄与している。
【0121】
[00213]ストランドは、一定の、あるいは足場の円周に沿ってかつ/または足場の縦寸
法に沿って変化し得る編み上げ角で、互いに交差していてもよい。
図3Aは、足場100が一定の編み上げ角のストランドを有する実施形態を示し、それに対して
図3Bは、足場100が可変の編み上げ角のストランドを有する実施形態を示す。
図3Bの特定の実施形態では、第1の編み上げ角のストランドを有する第1の領域100aが、第1の編み上げ角未満の第2の編み上げ角のストランドを有する第2の領域100bに移行する。様々なフィラメント編み上げパターンを使用して、そのような構築物を製造してもよい。
【0122】
[00214]可変編み上げ角を持つデザインの潜在的な属性には、とりわけ下記の1つまた
は複数が含まれる:(1)優先的な治療薬送達に合わせて特定の密度でセグメントの配向を可能にする;(2)足場部位に応じて調整された半径方向力を可能にする;および(3)非円筒状の解剖学的構造に有用な先細りの管状デザインを提供するのに使用してもよい。
【0123】
[00215]一般に、本開示による足場の形状および直径は、デバイスの長さに沿って変化
してもよい。ある実施形態では、円筒状のデザインにおいて、デバイスの両端の直径が中間点の直径より大きくてもよい(例えば、ダンベルまたは砂時計形状)。例えば、デバイスの両端の直径は、中間点の直径の1.5倍以上、さらに2倍以上であってもよい。別の実施例では、デバイスの形状は、一端が三角形であり他端が六角形であってもよい。
【0124】
[00216]編み上げ足場に関する半径方向の剛性は、様々なストランドの交差点(「節」
とも呼ぶ)を部分的にまたは完全に固定することによって調整されてもよい。節は、数ある可能な技法の中でも、例えば熱を使用して(例えば、ピコまたはフェムトレーザなどの適切なレーザを使用して)、例えば交差点でストランドを溶接することによって、適切な接着剤を使用することによって、適切なフィラメントで交差点を包むことによって、またはフィラメントを一緒に保持する適切な材料で交差点を被覆することによって、部分的にまたは完全に固定されてもよい。いくつかの実施形態では、例えば参照によりその開示が本明細書に組み込まれる米国特許第8,137,396号、第8,540,765号、および第8,992,601号に記載されたものなどの手順を使用して、エラストマーを編紐上に被覆してもよい。
【0125】
[00217]下に在る編紐は、既に固定された節があるものであってもないものであっても
、エラストマーコーティングに供することができる。一実施形態を
図4に示すが、この図は、エラストマー100eで完全に被覆された編み上げ足場100を示している。被覆されたエラストマーの節の蓄積を変えることにより、この洞腔に関して半径方向抵抗力(RRF)および持続的外向き力(COF)の両方を最適化してもよい。
【0126】
[00218]代替の実施形態では、弾性フィラメントまたはストランドなどの弾性部材を使
用して編み上げ構造の節が接続されている足場を提供してもよい。そのような1つの実施形態が
図5に示されており、この図は、編紐110の長さに沿った様々な点で弾性ストランド111が編紐110に取着された足場100を示す。これらの実施形態で、編紐そのものは洞腔を支持する枠を提供し、一方、弾性フィラメントまたはストランド111は、展開中の足場回復を強化するように設けられる。弾性フィラメントまたはストランド111は、例えば、編み上げプロセス中に足場100に織り込まれ、または足場が形成された後に足場100に導入される。後者の場合、足場100を形成する編紐110は、洞壁に
順応しかつ所望の分解プロファイルを有する、より軟らかい非弾性材料から作製されてもよい。所与の足場100で使用される弾性フィラメントまたはストランド111の数は、適切な回復および半径方向の剛性が得られるように調整される。
【0127】
[00219]順応可能な足場は様々な実施形態で望まれるが、それは接触組織との並置を改
善するのに、接触組織への損傷を低減させるのに、かつ治療薬が送達される場合には組織接触の増大に起因して治療薬送達効力も増大させるのに使用され得るからである。
【0128】
[00220]編み上げ足場の順応性を増大させるのに、様々な戦略を用いることができる。
例えば、いくつかの実施形態では、少なくともいくつかのフィラメントを少なくともいくらか自由に互いの上を滑らせることが可能になるように、編紐の節のいくつかまたは全てを部分的に固定してもよくまたは全く固定しなくてもよい。制約された空間において、自由に移動可能な足場は、周囲環境の幾何形状に対してより良好に適合する傾向を有することになる。
【0129】
[00221]あるいは、または加えて、足場は、異なる剛性のフィラメント(例えば、より
高いまたはより低い剛性の組合せを有する)から編み上げられてもよい。所与のストランドの剛性は、例えば、その固有の材料の性質によって、その加工条件によって、およびその寸法によって決定される。このタイプの足場の一実施形態を
図6Aに概略的に示すが、この図において足場100は、より高い剛性のストランド112およびより低い剛性のストランド113から形成されたものが示されている。ある特定の実施形態では、より高い剛性のストランド112は、3GPaよりも高い弾性率および100μmよりも大きいフィラメント直径を有していてもよく、一方、より低い剛性のストランド113は、3GPaよりも低い弾性率および200μmよりも少ないフィラメント直径を有していてもよい。より低い剛性のフィラメントは、洞腔に適応するよう変形が可能になるように、より弱い点を足場に設けてもよく、それに対して、より高い剛性のフィラメントは、機械的一体性を維持してもよい。
【0130】
[00222]順応性は、編み上げ構造内からストランドのいくつかを除去することによって
、改善されてもよい。このタイプの足場の一実施形態を
図6Bに概略的に示すが、この図には、様々なサイズのセルが形成された足場100が示されている。特に、より大きいダイヤモンド形状のセル114およびより小さいダイヤモンド形状のセル115を含有する足場が示されている。いくつかの実施形態では、切断されたストランドを、ストランドの切断された先端に最も近い交差点で、部分的にまたは完全に固定してもよい。
【0131】
[00223]関連ある実施形態では、例えば適切な編み上げパターンの選択を通して、編み
上げプロセスの過程で異なるサイズのセルが創出される。より大きい編み上げセル114およびより小さい編み上げセル115を有する足場100の一実施形態を、
図7に示す。
【0132】
[00224]異なるサイズのセルが形成される場合、より大きいセルは、より小さいセルの
1.1倍から10倍以上に及ぶ面積を有していてもよい。
[00225]より大きいセルとより小さいセルとの組合せを有する足場の潜在的な利点は、
より大きいセルが柔軟性を与え得る(例えば、捲縮およびより良好な順応性を容易にするために)のに対し、より小さいセルは機械的一体性を維持し得る。
【0133】
[00226]順応可能な足場を創出する別の経路は、とりわけ炭素繊維強化シリコーン、ポ
リ(アクリロニトリルブタジエン)、およびポリ(スチレンブタジエン)ゴムなどの剛性ゴム材料を使用して足場を編み上げることである。この結果、完全に弾性の編紐が得られる。
【0134】
[00227]いくつかの実施形態では、コーティング層は、足場構造の全体または一部の上
に形成されてもよい。コーティング層に、比較的非弾性の材料を用いることにより(例えば、D,L-PLGAなどの比較的堅いポリマーを使用して形成されたもの)、足場の剛性を改善してもよい。さらに、本来弾性である編紐を使用してインプラントが形成される場合、およびコーティング層が分解可能な層である場合、分解可能な層の分解によって、足場ストランドは増大した順応性を有することになる。
【0135】
[00228]さらにコーティング層は、編み上げ足場の順応性を調整するために、あるパタ
ーンで付着されてもよい。ある特定の例として、
図6Cは、被覆された領域116が足場100の各端部に設けられ、一方、被覆されていない領域117が足場100の中心に設けられている、足場100の実施形態を示す。そのようなデザインは、高い剛性を有する端部を提供するのに使用されてもよく、したがってデバイスをより良く洞腔に固着させることが可能になる。さらに、足場100の中間領域を被覆されないままにすることによって、埋め込む時の洞腔の形状にステントが順応する能力を増強してもよい。別の特定の例として、
図6Dは、被覆された領域116および被覆されていない領域117が交互に配されたパターンで設けられている、足場100の実施形態を示す。被覆されていない領域117の存在は、足場の長さに沿って高い柔軟性の領域を提供し、このことは、洞腔に関連するものなどの不規則な表面に対して高い順応性をもたらし得る。
【0136】
[00229]被覆されたおよび被覆されていない材料の領域は、様々な技法を使用して得る
ことができる。例えば、いくつかの実施形態では、被覆されたおよび被覆されていない領域の特定のパターンを創出するのに、噴霧コーティングプロセスにおいてマスクを使用してもよい。
【0137】
[00230]噴霧コーティング中に、長手方向に、管状編紐の一部をマスクすることにより
、U字形のコーティング領域(長手方向から見たときに)を創出し得る。これらの足場では、被覆された領域は比較的堅く、一方、被覆されていない領域は比較的軟らかい。被覆された領域は、洞腔内に展開した後の足場回復性をもたらすと考えられる。一方、軟らかく被覆されていない領域は、洞腔の不規則な表面に適合するよう容易に変形することができ、最適化された順応性が得られる。ある特定の実施形態では、そのような足場は、左および右副鼻腔の間に開口を作製する選択の場合には、開存率を維持するのに役立てることができる。
【0138】
[00231]いくつかの実施形態では、足場を長手方向に切断して、展開後に洞腔の幾何形
状に一致するよう足場の円周のサイズを容易に決め直すことができるようにしてもよく、したがってより良好なコンプライアンスおよび順応性を得ることができる。
【0139】
[00232]潜在的な組織刺激、または鋭い足場の縁部によって引き起こされる患者の不快
感を低減させるため、足場の縁部を被覆してもよく、かつ/または端部フィラメントが足場の中心に向かって折り返す編み上げ足場を作製してもよい。例えば、フィラメント端部を元の足場構造に織り込み、例えば節で結合させてもよい。結合は、節でフィラメントを結合するために、上述の技法を使用して実施してもよい(例えば、溶接、適切な接着剤の付着、エラストマーコーティングの付着など)。このタイプの足場100を
図8に概略的に示すが、この図で、端部フィラメント118は元の足場100の中心に向かって折り返されている。
【0140】
[00233]短い足場が大きい直径のマンドレルで編み上げられるとき(すなわち、大きい
直径と長さとの比で足場を形成するとき)に難点に遭遇する程度まで、単および多繊維ストランドを含むジグザグストランドを編み上げ前に製作してもよい。次いでジグザグストランドを、マンドレルの周りに巻いてまたはループ状にし、好ましくは編み上げパターン
にしてもよい。次いでフィラメントの端部を、例えば節でフィラメントを結合する上述の技法(例えば、溶接、適切な接着剤の付着、エラストマーコーティングの付着などによって)を使用して取着することにより、編み上げ構造を完成させてもよい。最終的な足場のサイズおよび形状は、ジグザグフィラメントの戻り角、配向、およびストラット長によって制御されてもよい。そのような編紐は、上述のような折り返し端部を有していてもよい。
【0141】
[00234]ある実施形態では、除去することが望まれる場合には容易に除去される能力を
持った洞足場を提供することが、有益である。比較的軟らかい編み上げ足場の場合、端部に1つまたは複数のフックを備えたツールを使用して、埋め込まれた足場の遠位端を捕捉してもよい。あるいはデバイスは、ENT外科医が入手可能な標準的な手術器具によって除去することができる。次いで編紐は、その端部を引っ張ることによって反転させてもよく、したがって外面を管腔内に入れてもよい。このように、足場は、洞壁から剥がすことによって除去されてもよく、洞組織に対するさらなる擦過、刺激、および損傷が低減される。
【0142】
[00235]その他の足場は、非編み上げ構造、または混成編み上げ/非編み上げ構造をベ
ースにする。
[00236]例えば、様々な実施形態では、織られたまたは編まれたストランドから形成さ
れた足場が提供される。編まれたチューブの形をした足場100を、
図9に示す。そのような織られたまたは編まれた足場は、高いコンプライアンスおよび順応性も有しながら(ならびにいくつかの実施形態では治療薬送達を容易にする)、ステント留置機能をもたらすことができる。さらに、編まれた構造の場合、いくつかの実施形態では、チューブを形成するのに使用される単一ストランドの一端を引っ張ってステントを解放してもよく、足場の除去が可能になる。
【0143】
[00237]様々なその他の実施形態では、足場がスパイラル(例えば、ヘリカル)形態を
とってもよい。これらの実施形態のいくつかでは、スパイラル形態は、単一ストランド(例えば、単または多繊維ストランド)から形成されてもよい。そのような足場100の例を、
図10に概略的に示す。
【0144】
[00238]これらの実施形態のその他では、スパイラル形態を、多重撚り構築物から形成
してもよい。多重撚り構築物の例には、例えば、スパイラル形態に成形することができる実質的に二次元の構造(例えば、リボン形状の構造)が含まれる。このタイプのスパイラル形状足場の2つの実施形態を、
図11Aおよび
図11Bに示す。
図11Aに示される実施形態では、スパイラル形状足場100が、例えば、後でスパイラルに切断される編み上げ管状構造(例えば、前述のものの1つ)などの、既存の管状構造から形成される。
図11Bに示される実施形態では、足場100は、先に形成された実質的に二次元の編み上げパターン119をスパイラル構造に作り上げることによって、例えば、実質的に二次元の編み上げパターンをマンドレル上に配置し、この二次元編み上げパターンをスパイラル形状に形成するのに適切な時間および温度でアニールすることによって、形成される。そのような編み上げパターンの例には、2つ編み(
図11Bに示される)、3つ編み、4つ編みなどの編み上げパターンなど、多重編みの編み上げパターンが含まれる。
【0145】
[00239]本明細書に記述される様々な編み上げ構造の足場類似体は、一元ポリマー構造
の形をとってもよいことに留意されたい。一元ポリマー構造は、繊維ベースの技法の使用と比較したとき、低減されたプロファイルを提供してもよく、したがって、重なるストランドの幅の合計である、最小限に抑えられたプロファイルが提供され得る。そのような構造の一実施形態が
図15に示されているが、この図には足場100が示されており、この足場は格子構造などの規則的な反復パターンによって特徴付けられる。足場100が一元
ポリマー構造である場合、この足場は、パターンを固体ポリマーチューブまたは固体ポリマーリボンに機械的に切断しまたはレーザで切断することによってなど、様々な適切な技法を使用して製作されてもよい。
【0146】
[00240]様々なその他の実施形態では、足場は、開放円筒の形をとってもよい。例えば
、
図12Aおよび12Bに示されるように、足場100は、互いに軸上に並べられかつ一端に接続された一連の個々のフープ121から形成されてもよい。
図12Aに示される実施形態では、個々のフープ121は固体フープ(例えば、リボンの形とる)である。
図12Bに示される実施形態では、個々のフープ121はセルを含み、特に、2つ編みで形成されたものに類似したダイヤモンド形状のセルを含む。これらのデザインの利益には、とりわけ下記の1つまたは複数が含まれてもよい:フープは、そのサイズが捲縮し易く;送達後に足場が拡がって拡張した直径になる。各フープは異なる幅に拡張することが可能であるので、足場は様々なサイズの空間に、より順応することができる。
【0147】
[00241]さらにその他の実施形態では、足場100は、
図13に示されるものなどのポ
リマーチューブの形をとってもよい。そのようなデバイスは、例えば洞壁200に順応することができかつ任意選択で1種または複数の治療薬を放出し得るので有益である。チューブは、とりわけ上述の足場材料などの材料を利用してもよく、多くのその他の可能性ある材料の中で、熱で鍛造されたPCLまたは高いカプロラクトン含量のPLCLを含む。
【0148】
[00242]関連あるデバイスのデザインにおいて、
図13に示されるような管状コンフォ
ーマル足場は、足場の拡張を支援しかつ洞部を支持することができる、捲縮可能な三次元支持構造に取着されてもよい。そのようなデバイスの特定の例が
図12に示されており、この図は、捲縮可能な三次元構造122に取着された管状足場110を示す。構造122は、低侵襲性送達されるように捲縮可能である。構造122は、管状足場110の両端に設けられてもよく、望む場合には、管状足場110の長さに沿った1つまたは複数の点に設けられてもよい。捲縮可能な三次元構造を形成するのに適切な材料の例には、圧縮することができかつその変形から回復することができる分解可能なまたは非分解可能なエラストマー材料が含まれる。その他の実施形態では、上記にて論じられたような編み上げステント構造は、捲縮可能な三次元構造として使用され得る。
【0149】
[00243]治療薬および不活性放出制御剤などの補足剤が、本明細書に記述される様々な
デバイスに一体化されてもよい。
[00244]治療薬の例は、とりわけ小分子剤、生物学的製剤、幹細胞を含む細胞、遺伝子
治療薬、およびRNAiを含めた、所望の生物学的効果を発揮する任意の適切な薬剤である。治療薬の特定の例には、とりわけ:アスピリンおよびパラセタモールなどの単純鎮痛薬、イブプロフェン、ジクロフェナク、ナプロキセン、セレコキシブ、ケトプロフェン、ピロキシカム、およびスリンダクなどの非ステロイド系抗炎症薬、コデイントラマドール、デキストロプロポキシフェ、パラセタモール、モルホリン、オキシコドン、およびペチジン塩酸塩などのオピオイドを含めた鎮痛剤;リドカイン、ブピバカイン、およびロピバカインなどの麻酔剤;アトロバスタチン、セリバスタチン、フルバスタチン、ロバスタチン、メバスタチン、ピタバスタチン、プラバスタチン、ロスバスタチン、およびシムバスタチンなどのスタチン;グルココルチコイド、フロ酸モメタゾン、ジプロピオン酸ベクロメタゾン、ブデソニド、シクレソニド、フルニソニド、フロ酸フルチカゾン、プロピオン酸フルチカゾン、デキサメテゾン、コルチゾン、プレドニゾン、メチルプレドニゾロン、トリアムシノロンアセトニド、ベタメタゾン、デキサメタゾン、プレドニゾロン、コルチコステロン、エストロゲン、スルファサラジン、ロシグリタゾン、ミコフェノール酸、およびメサラミンなどのステロイド系抗炎症薬;ジフェンヒドラミン、ロラタジン、フェキソフェナジン、シプロヘプタジン、プロメタジン、デスロラタジン、クロルフェニラミン、ヒドロキシジン、およびピリラミンなどのH1-受容体拮抗薬、シメチジン、ファモチ
ジン、ラフチジン、ニザチジン、ラニチジン、ロキサチジン、およびチオチジンなどのH2-受容体拮抗薬を含めた抗ヒスタミン;ムピロシン、ゲンタマイシン、およびトブラマイシンなどの抗菌剤;ペニシリン、セフォキシチン、オキサシリン、およびトブラマイシンなどの抗生剤;エンドスタチン、アンジオスタチン、およびチミジンキナーゼ阻害剤、およびその類似体または誘導体;抗ロイコトリエン剤(例えば、モンテロイカスト、ザフィルルカスト、ジロイトンなど);抗真菌剤;およびプロバイオティクスが含まれる。
【0150】
[00245]治療薬の他の例は、ヘパリン、ヘパリン誘導体、ウロキナーゼ、およびPPa
ck(デキストロフェニルアラニンプロリンアルギニンクロロメチルケトン)、エノキサパリン、ヒルジンなどの抗血栓剤;アンジオペプチン、または平滑筋細胞増殖を遮断することが可能なモノクローナル抗体、アセチルサリチル酸、パクリタキセル、シロリムス、タクロリムス、エベロリムス、ゾタロリムス、ビンクリスチン、スプリセル、アムロジピン、およびドキサゾシンなどの抗増殖剤;シロリムス、タクロリムス、エベロリムス、ゾタロリムス、およびデキサメタゾンなどの免疫抑制剤;パクリタキセル、5-フルオロウラシル、シスプラチン、ビンブラスチン、クラドリビン、ビンクリスチン、エポチロン、メトトレキセート、アザチオプリン、ハロフギノン、アドリアマイシン、アクチノマイシン、およびムタマイシンなどの抗新生物/抗増殖/抗有糸分裂剤;D-Phe-Pro-Argクロロメチルケトン、RGDペプチド含有化合物、ヘパリン、抗トロンビン化合物、血小板受容体拮抗薬、抗トロンビン抗体、抗血小板受容体抗体、アスピリン(アスピリンは、鎮痛剤、解熱剤、および抗炎症薬としても分類される)、ジピリダモール、ヒルジン、プロスタグランジン阻害剤、血小板阻害剤と、トラピジルまたはリプロスチンなどの抗血小板剤、マダニ抗血小板ペプチドなどの抗凝固剤;細胞成長を阻害しかつある癌細胞にアポトーシスを誘発させる、RNAまたはDNA代謝物としても分類される5-アザシチジンなどのDNA脱メチル化薬;増殖因子、血管内皮細胞増殖因子(VEGF、全てのタイプはVFGF-2を含む)、増殖因子受容体、転写活性因子、および翻訳プロモーターなどの血管細胞促進剤;抗増殖剤、増殖因子阻害剤、増殖因子受容体拮抗薬、転写リプレッサー、翻訳リプレッサー、複製阻害剤、阻害抗体、増殖因子を対象とする抗体、増殖因子および細胞毒からなる二官能性分子、抗体および細胞毒からなる二官能性分子などの血管細胞増殖阻害剤;コレステロール低下剤;血管拡張剤;および内因性血管作動メカニズムに干渉する薬剤;プロブコールなどの抗酸化剤;酸性および塩基性線維芽細胞増殖因子、エストラジオール(E2)、エストリオール(E3)、および17-ベータエストラジオールを含むエストロゲンなどの血管新生物質;ジゴキシン、ベータ-遮断薬、カプトプリルおよびエナロプリルを含むアンギオテンシン変換酵素(ACE)阻害剤、スタチン、および関連する化合物などの心不全用の薬物;シロリムスおよびエベロリムスなどのマクロライド;5-フルオロウラシル、ドキシサイクリン、カルベジロール、クルクミン、およびトラニラストなど、細胞外マトリックスリモデリングの動作の一次メカニズムと細胞増殖を阻害する動作の二次メカニズムとを有する薬剤から選択されてもよい。
【0151】
[00246]その他の治療薬は、鼻腔および洞部に健康な微生物叢を確立し直すのに有益と
考えられる、細菌またはその他の微生物相、ならびに健康な微生物叢を促進させ得る薬剤または栄養素を含む。
【0152】
[00247]治療薬放出動態の制御を強化するために、不活性な放出制御剤が含まれてもよ
い。不活性放出制御剤の例には、ポリエチレングリコール(PEG)(ポリエチレンオキシド、PEOとしても公知である)、PEG-ビニルアルコールコポリマー、ポリアクリレート、ポリメタクリレートエステルであってカチオンおよびアニオン官能基を含有するもの、ポリビニルピロリドン、およびデキストラン、ならびにシクロデキストリン、またはクエン酸アセチルトリブチル(ATBC)もしくはクエン酸アセチルトリエチル(ATEC)などのクエン酸エステルなどの、小分子添加剤などの可溶性ポリマーが含まれる。
【0153】
[00248]足場が、埋め込み部位で1種または複数の治療薬を送達する実施形態では、治
療薬(複数可)を、いくつかの方法でそこから送達するようデバイス内に設けてもよい。
[00249]例えば治療薬は、本明細書に記述されるほぼ管状の足場を形成するため後で使
用される、ポリマー構築物(例えば、フィラメント、シート、固体チューブなど)内に直接埋め込まれてもよい。一実施形態では、治療薬およびポリマー(複数可)は適切な溶媒に溶解して、均質な溶液もしくは懸濁液を作製し、または治療薬およびポリマー(複数可)を加熱して、治療薬を含有するポリマー溶融体を形成する。次いで溶液、懸濁液、または溶融体を、押出し、湿式紡糸、乾式紡糸、溶融紡糸、エレクトロスピニング、またはその他のプロセスなどの適切な溶媒ベースのまたは溶融体ベースの加工に供して、埋め込まれた治療薬を含む治療薬負荷ポリマー構築物(例えば、フィラメント、シート、チューブなど)を得る。いくつかの実施形態では、治療薬を含有しないポリマー領域(例えば、ポリマーコア)は、治療薬負荷ポリマーコーティングと共押出しされて、治療薬負荷ポリマー構築物を形成する。
【0154】
[00250]いくつかの実施形態では、治療薬負荷ポリマー構築物はその後、引き続き加工
されて、本明細書に記述されるほぼ管状の足場を形成するのに後で使用される追加の形態になる。特定の例として、シートの形をとる溶媒流延治療薬負荷ポリマー構築物は、治療薬と1種または複数の担体ポリマーとの溶液の、制御された蒸着によって作製されてもよい。溶媒(複数可)の除去後、治療薬負荷ポリマーシートをレーザ切断して、編み上げ製造用の平らなフィラメントの形をとる治療薬負荷ポリマー構築物にしてもよい。
【0155】
[00251]いくつかの実施形態では、とりわけ、噴霧コーティング、浸漬コーティング、
圧延、または気相成長などの適切な付着技法を使用して、担体材料(例えば、上述のようなポリマーコーティング材料)の存在下または存在しない状態で、治療薬を、事前に形成された構築物(例えば、フィラメント、シート、またはチューブであって、事前に形成されたデバイスの足場を含めたもの)に付着させてもよい。治療薬放出プロファイルは、例えば、コーティング層の厚さによって、不活性成分の添加によって、およびポリマーが担体として提供される場合には、担体ポリマーを変化させることによって(例えば、ポリマーの組成および/または分子量を変化させることによって)、および/または治療薬とポリマーとの比を変化させることによって、調整されてもよい。
【0156】
[00252]治療薬を含まないポリマー層のトップコートは、デバイスから身体組織への治
療薬の送達を規制するのに用いてもよい。非生分解性トップコートに関連する実施形態では、トップコートは、治療薬(複数可)の送達速度がトップコートを通したその拡散速度によって制限されるように、拡散障壁として動作してもよい。生分解性トップコートに関連したいくつかの実施形態では、トップコートは、拡散障壁として治療薬(複数可)の送達速度がトップコートを通したその核酸速度によって制限されるように、動作してもよい。生分解性トップコートに関するその他の実施形態では、治療薬(複数可)は、トップコートを通して拡散することができず、したがって、その送達は、トップコートの分解が終了するまで単に遅延されるようになる。
【0157】
[00253]エレクトロスピニングは、事前に形成された構築物上に治療薬を導入するため
の、別の可能性ある方法を提供する。一実施形態では、繊維ベースまたは非繊維ベースの足場は、コア-シース繊維メッシュなどの、エレクトロスピニングされた繊維メッシュによって覆われてもよい。エレクトロスピニング中、治療薬は、コアポリマー溶液に溶解されても懸濁されてもよい。治療薬放出プロファイルは、治療薬負荷、治療薬の粒度(懸濁液が用いられる場合)、コアおよびシースをそれぞれ形成するのに使用されるポリマーのタイプ、ならびにシースの厚さを調節することによって、調整されてもよい。
【0158】
[00254]その他の実施形態では、コア-シース繊維は、治療薬を含むコアポリマー溶液
または懸濁液とシースポリマー溶液との同軸エレクトロスピニングを通して、最初に製作される。治療薬負荷繊維は、デバイスの製造に使用されることになる多繊維ストランドに、さらに編み上げられてもよい。例えば、魚網形状の複合ストランドを形成してもよく、その後、前述の編み上げ足場になるよう製作してもよい。これらのデザインで、治療薬の放出は、エレクトロスピニングされた繊維によって支配され得る。
【0159】
[00255]いくつかの実施形態では、タンパク質および/または多糖などの生物学的に活
性な薬剤を、エレクトロスピニングされた繊維に組み込んでもよい。
[00256]いくつかの実施形態では、本明細書に記述されるデバイスを、sinupla
styと併せて使用することができる。例えば、本明細書に記述されるような足場は、数ある可能性の中でも拡張可能なフレーム(例えば、拡張可能なワイヤフレーム)またはバルーンなどの拡張可能なデバイスの支援を得て、洞腔内に展開することができる。そのような実施形態では、本開示による足場は、製造現場でまたはヘルスケアの専門化により送達時点で、拡張可能なデバイスの上、中、下、近位、または遠位に位置決めされてもよい。拡張可能なデバイスは、薬物溶出デバイス(例えば、拡張可能なデバイス上に配置された薬物含有コーティングを介して)または非薬物溶出デバイスであってもよい。薬物溶出デバイスにより放出される治療薬の例は、上述の通りである。
【0160】
[00257]したがって、バルーンの場合、バルーンは被覆されても被覆されなくてもよく
、本開示による足場は、sinuplasutyに適切なバルーンカテーテルの上、中、下、近位、または遠位に、製造現場でまたはヘルスケアの専門家により送達時点で位置決めされてもよい。カテーテルは、バルーン用の膨張管腔を含むカテーテルシャフトの遠位端にまたは遠位端付近に配置された、可膨張性バルーンアセンブリを含んでいてもよい。非膨張状態では、バルーンアセンブリは、カテーテルの遠位端の全幅を有意に増大させない。このためカテーテルの遠位部分は患者に挿入可能になり、患者の洞部の所望の治療部位まで案内される。治療部位に達すると、バルーンアセンブリは膨張して、治療部位の近傍の洞壁に対して足場を位置決めする。バルーンアセンブリは、治療部位に応じて、いくつかの構成で任意の数の個々のバルーンを含むことができる。さらに、sinuplastyは、足場の送達前に、足場の送達後に、足場の送達と同時に、または周術期処置手順の任意の組合せで終了してもよい。
【0161】
[00258]いくつかの実施形態では、本明細書に記述されるデバイスを、補助療法として
使用することができる。例えば、本明細書に記述されるような足場は、例えば治療薬溶出バルーンなどの治療薬溶出送達デバイスを使用して、洞腔内に展開することができる。あるいは足場は、ヒドロゲルスプレーなどの治療薬放出スプレーでまたは本開示で既に記述した治療薬の1種を含有する洗浄液で腔内が治療された後に、洞腔内に展開することができる。
【0162】
[00259]本開示の足場は、従来の蛍光透視技法を使用して目に見えるように、放射線不
透過であってもよい。一実施形態では、放射線不透過添加剤が存在する場合には、足場および/またはそのコーティングのポリマー材料中に含まれる。適切な放射線不透過添加剤の例には、ヨウ素、臭素、硫酸バリウム、白金、イリジウム、タンタル、および/またはパラジウムを含む粒子が含まれる。別の実施形態では、ヨウ素などの放射線不透過基が、ポリマー主鎖上に導入される。さらに別の実施形態では、例えば白金、イリジウム、タンタル、および/またはパラジウムを含む、1つまたは複数の生物学的安定性のまたは生分解性の放射線不透過マーカーは、チューブ、コイル、ワイヤ、球、またはディスクの形で生成されてもよく、次いでこれらは足場の端部に配置されまたは足場上のその他の所定の位置に配置される。
【0163】
[00260]送達を容易にするために、患者に埋め込む直前に送達カテーテルに足場を投入
してもよい。埋め込みに緊密に一時的に近接して足場を投入することにより、送達カテーテル内で、輸送および貯蔵などの最中に足場のポリマーが緩む可能性を回避する。したがって本開示の一態様は、本開示の足場を送達する方法であって、体内管腔に埋め込む前に、足場を短時間で、例えば1時間以内に送達カテーテルに投入するステップを含む方法を含む。しかし本開示の足場は、埋め込まれる直前に送達カテーテルに投入される必要はないことに留意すべきである。
【0164】
[00261]ある実施形態では、数ある使用の中でも(例えば、数あるデバイスの中でも6
mmカテーテルを使用して)、篩骨洞手術中に形成された、空になった空間に埋め込むのに適切な足場を提供してもよい。そのような足場は、数ある可能な値の中でも、例えば直径が10から30mmに、より詳細には直径が15から20mmに及んでもよい。そのような足場は、数ある可能な値の中でも、例えば長さが5から20mmに、より詳細には長さが8から12mmに及んでもよい。ある有益な実施形態では、足場は、数ある可能な値の中でも、例えば8から64編み上げストランド、より詳細には16から32編み上げストランドを含んでいてもよい、編み上げ足場材料を含む。ある有益な実施形態では、編み上げ角は、数ある可能な値の中でも、例えば30から150度まで、より詳細には60から130まで様々であってもよい。ある有益な実施形態では、編紐を形成するストランドの直径は、数ある可能な値の中でも50から500μm、より詳細には150から300μmまで様々であってもよい。ある有益な実施形態では、足場の質量は、数ある可能な値の中でも、例えば1から20mg/mm(長さ)、より詳細には2から10mg/mmに及んでもよい。ある有益な実施形態では、足場は、10分間で、非拘束時の直径の30%の直径まで圧縮された後に少なくとも85%の直径回復%を有する。薬物が放出された場合、非難治性患者では、数ある値の中でも薬物を3から6週間にわたって放出してもよく、それに対して難治性患者では、薬物を、数ある値の中でも8から26週間にわたって放出してもよい。
【0165】
[00262]ある実施形態では、数ある使用の中でも(例えば、数ある可能なデバイスの中
でも3~4mm送達カテーテルを使用する)、中鼻道空間に埋め込むのに適切な足場を提供してもよい。そのような足場は、例えば、数ある可能な値の中でも直径が5から20mm、より詳細には直径が10から15mmに及んでもよい。そのような足場は、例えば、数ある可能な値の中でも長さが5から20mm、より詳細には長さが8から12mmに及んでもよい。ある有益な実施形態では、足場は、数ある可能な値の中でも例えば8から64編み上げストランド、より詳細には16から32編み上げストランドを含んでいてもよい、編み上げ足場材料を含む。ある有益な実施形態では、編み上げ角は、数ある可能な値の中でも、例えば30から150度、より詳細には60から130度まで様々であってもよい。ある有益な実施形態では、編紐を形成するストランドの直径は、数ある可能な値の中でも100から500μm、より詳細には150から300μmまで様々であってもよい。ある有益な実施形態では、足場の質量は、数ある可能な値の中でも、例えば1から20mg/mm(長さ)、より詳細には2から10mg/mm(長さ)に及んでもよい。ある有益な実施形態では、足場は、10分間で、拘束されていない直径の30%の直径にまで圧縮された後に少なくとも85%の直径回復%を有する。ある有益な実施形態では、足場は、数ある可能な値の中でも、製造時の直径未満の直径で、MSI半径方向力試験機で測定後、30から500mmHgに及ぶRRFを有する。ある有益な実施形態では、足場は、数ある可能な値の中でも、製造時の直径未満の直径で、MSI半径方向力試験機で測定後、5から100mmHgに及ぶ急なCOFを有する。薬物が放出される場合、薬物は、数ある値の中でも8から26週間にわたり放出されてもよい。
【0166】
[00263]ある実施形態では、数ある使用の中でも(前頭、上顎、または蝶形)洞口内へ
の、または前頭洞陥凹への埋め込みに適切な足場を提供してもよい(例えば、数ある可能なデバイスの中でも3~4mm送達カテーテルを使用して)。そのような足場は、数ある
可能な値の中でも、例えば直径が4から20mmに、より詳細には直径が6から10mmに及んでもよい。そのような足場は、数ある可能な値の中でも、例えば長さが5から20mmに、より詳細には長さが6から12mmに及んでもよい。ある有益な実施形態では、足場は、数ある可能な値の中でも例えば8から64編み上げストランド、より詳細には16から32編み上げストランドを含んでいてもよい、編み上げ足場材料を含む。ある有益な実施形態では、編み上げ角は、数ある可能な値の中でも、例えば30から150度に、より詳細には60から130度に及んでもよい。ある有益な実施形態では、編紐を形成するストランドの直径は、数ある可能な値の中でも100から500μmに、より詳細には150から300μmに及んでもよい。ある有益な実施形態では、足場の質量は、数ある可能な値の中でも例えば1から20mg/mm(長さ)に、より詳細には2から10mg/mmに及んでもよい。ある有益な実施形態では、足場は、10分間で、拘束されていない直径の30%の直径に圧縮された後、少なくとも85%の直径回復率%を有する。ある有益な実施形態では、足場は、数ある可能な値の中で、製造時の直径未満の直径でMSI半径方向力試験機による測定で、30から500mmHgに及ぶRRFを有する。ある有益な実施形態では、足場は、数ある可能な値の中で、製造時の直径未満の直径でMSI半径方向力試験機による測定で、5から100mmHgに及ぶ急なCOFを有する。薬物が放出される場合、薬物は、数ある値の中で6から26週間にわたり放出され得る。
【0167】
[00264]いくつかの態様では、本明細書に記述される足場は、数ある構成要素の中でも
(a)1つまたは複数の足場、(b)送達カテーテル、および(c)任意選択の投入補助具(例えば、捲縮機構)を含むキットで提供されてもよい
【実施例1】
【0168】
[00265]均一に編み上げられた足場(例えば、
図3A参照)は、個々のボビンに繊維紡
糸モノフィラメントを巻くことにより、PLGA(85:15)コポリマーを使用して最初に製造した。各ボビンを編み上げ機上に配置し、ローラおよび小穴内に通し、所望のOD(例えば、7、8、または10mm)のマンドレルに巻き付けた。機械の編み上げ張力は、モノフィラメントのサイズに適するように設定した。ピクセル/2.54cm(1インチ)は、半径方向強さを含む最適な性質の編み上げ角が得られるように設定した。編み上げパターンを選択し、編み上げ機によって、モノフィラメントを糸巻きからマンドレル上へと編み上げた。各マンドレルの端部でタイラップを使用して、フィラメント上の張力を保持するが、これは熱アニールを行うのにかつ高弾性特性を得るのに役立てることができるものである。編み上げられたポリマーをマンドレル上で熱アニールし、次いでブレードで所望の長さに切断し、マンドレルから除去した。
【0169】
[00266]編み上げられたPLGA足場を、任意選択の触媒の使用により、連鎖停止剤と
しての1-ドデカノール(DD)の存在下、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)で硬化される、ポリ(L-ラクチド-co-ε-カプロラクトン)(PLCL)から作製された支持コーティングで被覆した。特に、4アームヒドロキシ末端PLCL(40:60)(モル/モル)、HDI、およびDDをジクロロメタンに溶解して、噴霧コーティング用の原液を作製した。溶液を、編み上げ足場上に噴霧コーティングした。高温で完全に硬化した後、半径方向力および回復試験に向けて、足場を様々な長さに切断した。
図16は、それぞれが16本のストランドおよび約100~135度の編み上げ角を持つ、8mm、10mm、20mm、および31mmの足場の顕微鏡画像を示す。異なる製造時の直径、ストランドの数、および編み上げ角を持つこれらおよび類似の足場のいくつかの性質を、表1に示す(表中、@[DO-1]mmは、製造時の直径よりも1mm小さい測定値を指し、すなわち、7mmの足場に関しては6mmであり、8mmの足場に関しては7mmであり、10mmの足場に関しては9mmである)。全ての足場は、模擬使用後に、優れた直径回復率(Rec.%)を示した。これらの足場は、デザインに応じて様々な半径方向剛性(RRFおよびCOF)を有する。
【0170】
【実施例2】
【0171】
[00267]実施例1で調製した足場を、PLCLと、活性剤としてのフロ酸モメタゾン(
MF)との混合物を含む、追加のコンフォーマルコーティングでさらに被覆した。MF含有コーティング中のPLCLは、約70%(モル%)の乳酸を含んでおり、その残りはカプロラクトン(PLCL 70:30)であった。MFおよびPLCLの均質な溶液を、ジクロロメタン(DMC)で調製した。次いでDCM溶液を、24本のストランドを有する7mm足場に噴霧コーティングした。
【0172】
[00268]各足場により担持されるMFの量を、MF含有コーティングの厚さおよび負荷
率により制御した。<1μmから10μmの間に厚さを制御し、かつ全乾燥コーティング重量に対して約1wt%から約40wt%にMFの負荷率を制御することによって、本発明者らは、7mm直径の足場に関する薬物負荷は、足場の長さ10mm当たり約10から2400μgであることが有益であり、より有益には足場の長さ10mm当たり100から1600μgであることを見出した。
図17Aは、異なる薬物負荷率を持つ足場に関し、質量を単位として表される、放出された累積MFを示す(5、10、および20重量%は、足場の長さ10mm当たり100、200、および400μgのMFに相当する)。有意には、本発明者らは、薬物放出パーセンテージのプロファイルが、ある範囲内の薬物負荷率によって僅かに影響を受けることを見出した(
図17B参照)。
【実施例3】
【0173】
[00269]より線形の放出プロファイルを得るために、PLCL(70:30)およびP
LAを含むトップコートを、薬物で被覆された足場上にさらに被覆した。0.75wt%のPLCLおよび0.25wt%のPLAの均質溶液を、DCMで調製した。次いでDCM溶液を、異なるトップコートの厚さをもたらす可変コーティングパスにより、単一コーティング層における24本のストランドを有する7mm足場上に噴霧コーティングした。
図18に示されるように、MF放出は、トップコートの厚さを変化させることによって調整することができる。トップコートが厚くなるほど、薬物放出は遅くなる。この手法を、異なる薬物負荷率と組み合わせることにより、プログラム可能な放出持続時間で、異なる1日投与量が容易に提供される。
【実施例4】
【0174】
[00270]D,L-PLGAなどの生分解性ポリマーは、薬物担体としても使用した。D
,L-PLGAと、活性剤としてのフロ酸モメタゾン(MF)との混合物を含むコンフォーマルコーティングを、形成した。コーティングは、20wt%のMFを含有していた。モメタゾン含有コーティング中のD,L-PLGAは、約50%のラクチドおよび50%のε-カプロラクトン(50:50)(モル%)を有するD,L-PLGA、約75%のラクチドおよび25%のε-カプロラクトン(75:25)を有するD,L-PLGA、または約85%のラクチドおよび15%のε-カプロラクトン(85:15)を有するD,L-PLGAを含んでいた。それぞれの場合において、MFおよびD,L-PLGAの均質溶液は、アニソール/ギ酸エチル(50:50v/v)で調製した。次いで溶液を、24本のストランドを有する7mm足場に噴霧コーティングした。
【0175】
[00271]
図19に例示されるように、コーティング層としてこれらのポリマーを含む足
場から放出される薬物は、PLCL(70:30)で被覆されたものよりも大幅に遅くなる。D,L-PLGAの場合、理論に拘泥するものではないが、薬物放出は、担体ポリマーの分解によって最も制御し易く、ポリマーが分解し始めた後の後期段階で薬物分子が放出される。
【0176】
[00272]この文脈において、薬物コーティングの二重層を持つ足場は、長期間にわたる
MFの持続放出を実現するように製造することができる。例えば、PLCL(70:30)およびMFを含む上層は、DL-PLGAおよびMFを含む底層上に形成されてもよい。理論に拘泥するものではないが、初期段階で、放出された薬物は上層からのMFの拡散制御放出によって支配され得るのに対し、後期段階では、底層中の薬物はDL-PLGAの分解に伴って放出され得ると考えられる。
【実施例5】
【0177】
[00273]16本のモノフィラメントストランド(約0.0165cm(0.0065”
)のフィラメント直径、PLGA 85:15)からなる足場を、大きい直径のマンドレル(3.175cm)上に、2.54cm(1インチ)当たり打込み本数25で、1×1の編み上げパターンで編み上げた。次いで足場を130℃で24時間アニールし、作業長さに切断し、次いで噴霧コーティングの準備中に固定具上に配置した。
【0178】
[00274]エラストマー溶液を、DCMに溶解した5wt% PLCL(40:60)を
使用して調製した。架橋剤、ヘキサメチレンジイソシアネート(45:1 NCO:OH)、およびオクタン酸亜鉛触媒(0.1wt%)を、最終溶液に添加した。エラストマー溶液を足場に噴霧コーティングし、開放バイアル内で、100℃で24時間硬化した。このように生成された1つのステントの写真を
図20Aに示し、そのようなステントのコーティング節の写真を
図20Bに示す。
【0179】
[00275]平板圧縮試験を実施して、硬化後の足場の機械的性能を評価した。足場を、初
期直径の50%まで長手方向に圧縮した。結果を
図21に示すが、図中、圧縮荷重は、足場の単位長さ当たりのものである。
【実施例6】
【0180】
[00276]マルチフィラメントストランドを、2本の約0.0178cm(0.007”
)PLGA 85:15モノフィラメントストランドを一緒に捻ることによって調製した。次いでマルチフィラメントストランドを、固定具を使用して様々な編み上げパターンに手織りした。マルチフィラメントの足場を調製するのに使用される固定具の例を、
図22に示す。固定具は、モノフィラメントストランドを使用して足場を調製するのにも使用した。織った後、フィラメントの端部を、テープを使用して固定具に固定し、引き続き100℃で一晩アニールしてフィラメントを硬化し、フィラメントの交差点を維持した。次い
で足場を、5wt%のPLCL 40:60、HDI(45:1 NCO:OH)、および亜鉛触媒(0.1wt%)を塩化メチレン中に含有するエラストマー溶液を使用して噴霧コーティングした。全ての足場を100℃で24時間、開放バイアル内で硬化した。
【0181】
[00277]表2は、噴霧コーティング後の5つの異なる編み上げパターン(
図22A~2
2Eに示される)から作成したデータを含む。全ての足場を、直径、重量、編み上げ角、急な回復率、および展開後の回復率に関して測定した。
【0182】
【0183】
[00278]回復率試験は、足場を捲縮し、かつ4~5mmの捲縮直径に達するまで外側編
み上げメッシュシースを使用して一連の大から小に至るチューブ内を移送することによって行った。急な回復率および展開後の回復率を、初期直径のパーセンテージとして報告する。
【実施例7】
【0184】
[00279]本開示による足場のin vivo性能を、ブタの死体内で試験した。この研
究は、本開示による直径約7mmおよび32本のフィラメント編紐(表1、エントリー1参照)を有する足場2を利用し、7.5Fカテーテルに通して送達した。
【0185】
[00280]デバイスを、ブタの死体の鼻甲介のひだに埋め込んだ。デバイスは、中間プッ
シャを所定位置に保持しつつデバイスの外側シースを引き出すことにより、円滑に制御された手法で、ブタ鼻腔内に展開した。
図23A、
図23B、
図23C、および
図23Dは
、展開プロセスを示す写真である。送達カテーテルは、直径が約2.8mmであった。足場は、
図24に見られるように、鼻中隔と鼻甲介との間の空間を満たすように拡張した。
【0186】
[00281]これらの展開は:(a)制御された正確な送達、(b)鼻腔壁に対して改善さ
れた並置/順応性、および(c)減じられたデバイスプロファイルを含む、本開示の足場のいくつかの潜在的な利益を明らかにした。
【実施例8】
【0187】
[00282]ヒト死体の研究は、ヒト解剖学における本開示による足場の臨床上の性能を評
価するのに実施した。デバイスのプロトタイプおよび送達システムのプロトタイプを統合して、代表的な解剖学における多数のシナリオを、機能的内視鏡副鼻腔手術の前と後の両方で試験した。終点には、内視鏡を介した外観および臨床上のフィードバックが含まれた。
【0188】
[00283]本開示によるいくつかの小さい直径の足場のプロトタイプを表1に記述し、一
方、2つの大きい直径の足場のプロトタイプを表3に記述する。
【0189】
【0190】
[00284]実施例1に記載されたラインに沿う手順を使用して形成された足場を、中鼻道
に配置し、機械的な力を加えて中鼻甲介を内側に変位させ、薬物を篩骨洞に送達する可能性を実証した。5つの展開が実施された:(a)16フィラメント、8mmの足場、(b)32フィラメント、8mmの足場、(c)16フィラメント、10mmの足場、(d)32フィラメント、10mmの足場、および(d)32フィラメント、13mmの足場。全てのデバイスは、組織に対して比較的うまく順応し、中鼻甲介を内側に変位させ(MT)、外向きの力を鉤状突起(UP)に与えたが、32フィラメント、13mmの足場は、この足場が埋め込まれた特定の空間に対して最良の適合を提供したように見えた。
図25は、ヒト死体の中鼻道内で展開後の、32フィラメント、13mmの足場(長さ10mm)を例示する写真である。インプラントは、中鼻甲介の適切な喉頭形成述により組織にうまく順応した。
【0191】
[00285]本開示によるデバイスは、ヒト死体の前頭陥凹にも配置した。第1の死体検体
では、外科的介入の前に前頭陥凹には接触できなかった。前頭洞への入口はその直径が約1mmであり、送達デバイスを収容することができなかった。機能的内視鏡副鼻腔手術(FESS)を実施して、篩骨蜂巣を除去し、前頭洞への経路を拡大した。この手順に従って、32フィラメント(表1、エントリー6)および16フィラメント(表1、グループ8)のインプラントを、前頭洞口内に展開した。両方のデバイスは組織にうまく順応したが、16フィラメントのデバイスは、このデバイスが埋め込まれた特定の空間に対して高い順応性を示すように見えた。
図26は、前頭洞口内に展開後の、16フィラメント、1
0mmの足場を示す写真である。
【0192】
[00286]第2の死体では、前頭洞口に、外科的介入の前に接触可能であった。10mm
、16フィラメントのインプラント(n=1、表1から、エントリー8、およびn=1、表1から、エントリー9)を、FESSの前および後でそれぞれ前頭洞内に展開した。これらのインプラントは洞口にうまく順応した。
【0193】
[00287]16フィラメント、10mm直径の足場、4フィラメント、38mmの足場、
2フィラメント、38mmの足場、および32フィラメント、17.5mmの足場を、機能的内視鏡副鼻腔手術の後にヒト死体の篩骨洞に配置し、このとき10mm直径の足場は、この足場が埋め込まれた特定の空間よりも小さく見え、38mmの足場は、この足場が埋め込まれた特定の空間よりも大きく見え、17.5mmの足場は、この足場が埋め込まれた特定の空間に対して最良の適合をもたらすように見えた。
図27は、FESS後に篩骨洞内で展開した後の、17.5mmの直径および10mmの長さを有する32フィラメントの足場を例示する写真である。
【0194】
[00288]この研究は、7.5Frenchおよび9Frenchのカテーテルシステム
を利用した。全ての前頭洞に接触するよう7.5Fのシステムを使用し、一方、9Fのシステムは、篩骨洞内へのデバイス展開のために使用した。両方のカテーテルの直径が許容可能であり、デバイスは、使用中に適切に機能した。90度の曲げは、前頭洞に到達するのに適切であった。このタイプのカテーテルは、例えば、参照により本明細書に組み込まれる、2015年6月29日に出願された「SINUS SCAFFOLD DELIVERY SYSTEMS」、代理人整理番号第81354800002号、出願番号第62/186,311号に記載されている。
【0195】
[00289]全てのデバイスは、展開後に標準的なツールを使用して容易に位置決めし直し
た。全てのデバイスは、身体から容易に除去した。
【実施例9】
【0196】
[00290]均一に編み上げられたPLGA(10:90)またはPLGA(75:25)
足場(直径=8mm、16ストランド、編み上げ角120°を有する)を、連鎖停止剤としての1-ドデカノール(DD)および触媒としてのオクタン酸亜鉛(Zn(Oct)
2)の存在下、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)で硬化されるポリ(L-ラクチド-co-ε-カプロラクトン)(PLCL)から作製された支持コーティングで被覆した。より詳細には、4アームPLCL(40:60)、HDI、DD、およびZn(Oct)
2をジクロロメタン(DCM)に溶解して、噴霧コーティング用の原液を作製した。溶液を、標準的な手順を使用して、編み上げられた足場上に噴霧コーティングした。窒素環境下、室温で一晩乾燥した後、足場を60℃で完全に硬化し、次いで半径方向力および回復試験に向けて10mmの長さに切断した。足場上でのエラストマーの節の蓄積を改善するために、アニソール(AN)を、噴霧コーティング溶液中の共溶媒として使用した。上述の乾燥および硬化処理後、これらの足場を機械的性能評価にも供した。
図28A~28Dは、下記の通り、噴霧コーティング中に共溶媒としてアニソールを含む、および含まない、16ストランドを有する被覆された8mm足場の光学顕微鏡画像である:
図28A、アニソール共溶媒を含まないPLGA(10:90)足場;
図28B、アニソール共溶媒を含むPLGA(10:90)足場;
図28C、アニソール共溶媒を含まないPLGA(75:25)足場;および
図28D、アニソール共溶媒を含むPLGA(75:25)。これらの足場のいくつかの性質を、表4にまとめる。
【0197】
【0198】
[00291]全ての足場は、模擬展開後に優れた直径回復率を示した。しかし足場は、エラ
ストマーの節蓄積に応じて、極めて異なる半径方向剛性を有する。ベース編紐材料は、被覆された足場の半径方向剛性に著しい影響を及ぼさないが、それはこれら2種の材料が同等の弾性率を有するからである。同様に、22mm直径のPLGA(10:90)足場を、上述の噴霧コーティング中に共溶媒としてのアニソールがない状態でおよび存在下で、同じエラストマーで被覆した。足場は、32本のストランドと、編み上げ角128または140とを有する。
図29A~29Cは、下記の通り、噴霧コーティング中に共溶媒としてアニソールのある状態でまたはない状態で、被覆された足場の光学画像を示す:
図29A、共溶媒としてアニソールを含有しない溶液から、ベース編紐の重量に対して62wt%(すなわち、エラストマーの質量とベース編紐の質量との間の比)のエラストマーで被覆された足場;
図29B、共溶媒としてアニソールを含有する溶液から、ベース編紐の重量に対して63wt%のエラストマーで被覆された足場;および
図29C、共溶媒としてアニソールを含有する溶液から、ベース編紐の重量に対して100wt%のエラストマーで被覆された足場。上述のように、足場コーティング中のアニソールの存在は、足場上に得られるエラストマーの節蓄積を改善する。さらに、より多くのコーティング材料は、さらなる節蓄積に繋がる可能性がある。それらの機械的性能を評価するため、これら22mm直径の足場(長さ=10mm)を、INSTRON装置上に組み立てられた2つの平行な平らなアルミニウム板の間で圧縮試験に供した。足場を、それらの初期直径の75%に圧縮し、圧縮時およびリバウンド段階での力を、圧縮距離の関数として記録した。表2に、50%圧縮時の圧縮力(Fc)およびリバウンド力(Fr)をまとめる。これらの力を、足場の長さに対して正規化する。
【0199】
【0200】
[00292]より高い編み上げ角は、足場のより高い圧縮およびリバウンド力を提供するこ
とに留意されたい。一方、エラストマーの節蓄積は、足場の剛性を強化するのを助ける。しかし、コーティング材料の量をさらに増大させることにより、あるレベルの材料が節上に導入されると足場の圧縮強さがごく僅かに改善することが見出された。
【実施例10】
【0201】
[00293]この実施例では、足場を、PLCLと、活性剤としてのフロ酸モメタゾン(M
F)との混合物を含む、追加のコンフォーマルコーティングでさらに被覆した。MF含有コーティング中のPLCLは、約70%(モル%)の乳酸を含んでおり、その残りはカプロラクトン(PLCL 70:30)であった。MFおよびPLCLの均質溶液を、ギ酸エチルおよびアニソール(50:50v/v)中で調製した。次いで溶液を、16ストランドを持つd=10mmの足場または32ストランドを持つd=22mmの足場上に噴霧コーティングした。各足場により担持されるMFの量は、MF含有コーティングの厚さおよび負荷率によって制御した。10mmの足場の場合、20wt%のMF(80wt%のPLCL)および40wt%のMF(60wt%のPLCL)をそれぞれ含有する薬物層を足場上に被覆して、それぞれ足場当たり240μgおよび590μgを得た。別の場合には、800μgのMFを、薬物層中に20wt%のMF(80wt%のPLCL)を含む状態で22mm足場上に被覆した。これら22mmおよび10mmの足場の薬物層は、同等の厚さを有する。
【0202】
[00294]MFで被覆された足場からのMFのin vitro放出を、決定した。各足
場を、2%のSDSを含む事前に定められた量のpH7.4 PBS緩衝液中で、37℃で穏やかに振盪させながらインキュベートした。それぞれ指示された時点で(
図30Aおよび30B参照)、緩衝液を完全に除去し、HPLCによってMFを定量し、新しい緩衝液を添加した。
図30Aおよび30Bはそれぞれ、これら3組の足場から放出されたMFの累積絶対値および質量パーセントを示す。予測されるように、毎日放出されるMFの量は、足場内の全MF負荷に依存する。一方、40wt%のMF負荷率を持つ10mm足場は、20wt%のMF付加率をもつそれらの類似体よりも著しく遅い放出パーセントを示す。この結果は、比較的低いMF負荷率(例えば、5wt%から20wt%)を持つ足場に関して本発明者らが観察したものとは異なる。薬物コーティング層内のMFの高負荷率は、MFの結晶化をもたらし、その結果、薬物放出が遅くなる可能性があると仮定する。これに関し、薬物結晶サイズの調整は、薬物放出プロファイルの制御を行うのに選択される方法である。興味深いことに、20wt%のMF負荷率を持つ22mmおよび10mmの足場は、本質的に同一の放出パーセントプロファイルを示し、薬物層が類似の厚さを有する場合には、放出プロファイルは足場の寸法にほとんど影響を受けないことを示唆している。
【実施例11】
【0203】
[00295]590μgのMFを担持するPLGA(10:90)の足場と、530μgの
MFを担持するPLGA(75:25)の足場とを、10mmの直径および6.5mの長さで製造した。これらの足場を、エチレンオキシドを使用して滅菌し、健康な若い4~6月齢のニュージーランドホワイトウサギの左および右上顎洞腔内に埋め込んだ。足場を、3、7、14、および28日目に外植し、HPLC-UVを使用して残留薬物含量を分析した。動的薬物放出(KDR)プロファイルを、重量測定により決定された最初に負荷された薬物から残留薬物を差し引くことによって、作成した。展開している間に足場を取り囲む組織を収集し、分析して、組織薬物濃度を得た。
図31は、MFでコーティングされたPLGA(10:90)およびPLGA(75:25)足場に関するin vivo KDRプロファイルを示す。
図32は、所与の時点での、犠牲にしたウサギの洞粘膜中のMF濃度を示す。
図33は、所与の時点での、足場上のMFの総量と犠牲にしたウサギの洞粘膜中の薬物の量とを合わせたものを示す。
【実施例12】
【0204】
[00296]編み上げられたPLGA 17.5mm直径の足場(PLGA 10:90、
32ストランド)を、ポリ(L-ラクチド-co-ε-カプロラクトン)、特にL-PL
CL(40:60)から作製された支持コーティングで被覆し、上述のZn(Oct)2触媒の任意選択の使用の下で連鎖停止剤としての1-ドデカノール(DD)の存在下、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)で硬化した。次いで、30wt%のMFおよび70wt%のPLCLを含む追加の治療薬含有層を、上述のギ酸エチルおよびアニソール(70:30v/v)中に調製されたMFおよびPLCLの均質溶液から、足場上にさらに被覆したが、例外として、実施例10で既に記述したようなL-PLCL(70:30)ではなくD,L-PLCL(80:20)またはD,L-PLCL(90:10)を担体ポリマーとして使用した。
【0205】
[00297]これらMFで被覆された足場からのMFのin vitro放出を、実施例1
0で既に記述したようにさらに決定した。
図34に示されるように、D,L-PLCL(80:20)(Tg=20℃)に関連したMF放出速度は、D,L-PLCL(90:10)(Tg=35℃)の場合よりも非常に速い。理論に拘泥するものではないが、担体ポリマーのガラス転移温度(Tg)は、薬物放出プロファイルを決定する際に重要な役割を演ずると考えられる。この点に関し、Tg作用がない場合には、より疎水性の高いモノマー(カプロラクトン)、すなわちD,L-PLCL(90:10)の最少量を有するコポリマーがより速い放出を実証することが、通常なら予測されたと考えられる。
【実施例13】
【0206】
[00298]編み上げられたPLGA 17.5mm直径の足場(PLGA 10:90、
32ストランド)を、ポリ(L-ラクチド-co-ε-カプロラクトン)、特にL-PLCL(40:60)から作製された支持コーティングで被覆し、上述の触媒の任意選択の使用の下で連鎖停止剤としての1-ドデカノール(DD)の存在下、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)で硬化した。次いで30wt%のMFおよび70wt%のポリマー材料を含む追加の治療薬含有層を、上述のギ酸エチルおよびアニソール(70:30v/v)中に調製されたMFおよびポリマー材料の均質溶液から、足場上にさらに被覆したが、例外として、実施例10で既に述べたL-PLCL(70:30)に加え、試験されたポリマー材料はさらに、PLCL(70:30)およびPLGA(75:25)が75:25wt/wt比であるブレンド、PLCL(70:30)およびPLGA(85:15)が75:25wt/wt比であるブレンド、およびPLCL(70:30)およびPLAが75:25wt/wt比であるブレンドを含んでいた。
【0207】
[00299]これらのMFで被覆された足場からのMFのin vitro放出を、実施例
10で既に記述したようにさらに決定した。
図35に示されるように、より高いラクチド含量のコポリマーがPLCL(70:30)にブレンドされた場合、MF放出速度は低下する。理論に拘泥するものではないが、MF放出速度は、PLCL(70:30)とブレンドされたポリマーのTgの上昇と共に低下すると考えられる。この点に関し、PLAは、使用される3種のポリマーの中で最も高いガラス転移温度を有する(PLGA(75:25)Tg約50℃、PLGA(85:15)Tg約55℃、およびPLA Tg約60℃)。
【実施例14】
【0208】
[00300]均一に編み上げられたPLGA(10:90)足場(直径=17.5mm、長
さ=10mm、32ストランド、編み上げ角90°または128°を有する)を、上述の触媒の任意選択の使用と共に連鎖停止剤として1-ドデカノール(DD)の存在下、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)で硬化されるポリ(L-ラクチド-co-ε-カプロラクトン)(PLCL)から作製された支持コーティングで被覆し、先の実施例10で記述したPLCLおよびフロ酸モメタゾンの混合物を含むコンフォーマルコーティングでさらに被覆した。
【0209】
[00301]それらの機械的性能を評価するために、
図38に概略的に示すように、34℃
および80%の相対湿度で維持されたチャンバ内の圧縮装置200の平行な平板210a、210bの間に、これらの足場100を横向きに置き、圧縮した。異なる言い方をすれば、足場100は、管状足場の軸Aが平行な平板と平行になるようにかつ管状足場100が平行な平板間で圧縮されるように、2枚の平行な平板210a、210bの間に圧縮状態で配置されたが、この圧縮は、平行な平板間の距離dが、初期の非拘束直径の、あるパーセンテージになる点まで、すなわち、足場100が圧縮装置200内で圧縮されたとき、管状足場が、軸Aに対して垂直に測定された距離dに等しい第1の最小幅Dを有するようになる点まで行われるものである。足場は、1.5mm(その初期直径の8.6%)または3mm(その初期直径の17.1%)のいずれかに圧縮した。週ごとに、足場を圧縮装置から取り出し、各足場の回復した最小幅D(第2の最小幅Dとも呼ぶ)を、圧縮装置から取り出した直後と圧縮装置から取り出した6時間後との両方で測定した。回復率%は、圧縮板から取り出した直後または6時間後の第2の最小幅Dを、第1の最小幅D(平行板の間の隙間の端から端までの距離dに等しい)で割ることによって計算し、すなわちD(単位 mm)/1.5mm×100またはD(単位 mm)/3mm×100で計算した。
【0210】
[00302]いくつかの実施形態では、足場の製造時の直径の8.5%である距離dで10
週間、圧縮状態で維持した後に(例えば、17.5mmの足場は1.5mmに圧縮される)、および6時間にわたる圧縮状態から管状足場100を取り出した後に、管状足場の第1の最小幅D(距離d)は、第1の最小幅Dの少なくとも450%の(例えば、450%から1000%)(理論的最大値1166%)、軸に垂直に測定された第2の最小幅Dに回復し得る。いくつかの実施形態では、足場の製造時の直径の17%である距離dで10週間、圧縮状態で維持した後に(例えば、17.5mmの足場は3.0mmに圧縮される)、および6時間にわたる圧縮状態から管状足場100を取り出した後に、管状足場の第1の最小幅Dは、第1の最小幅Dの少なくとも250%の(例えば、250%から500%)(理論的最大値583%)、軸に垂直に測定された第2の最小幅Dに回復し得る。
【0211】
[00303]1.5mmに圧縮した90°および128°の編み上げ角の足場の、取り出し
た直後の結果を
図36Aに提示し、3.0mmに圧縮した90°および128°の編み上げ角の足場の、取り出した直後の結果を
図36Bに提示する。
図36Aからわかるように、90°の編み上げ角の足場の、1.5mmの圧縮からの即時回復率は、1週間後に約230%であり、10週間後に約250%であった。128°の編み上げ角の足場の、1.5mmの圧縮からの即時回復率は、1週間後に約175%であり、10週間後に約190%であった。
図36Bからわかるように、90°の編み上げ角の足場の、3.0mmの圧縮からの即時回復率は、1週間後に約165%であり、10週間後に約170%であった。128°の編み上げ角の足場の、3.0mmの圧縮からの即時回復率は、1週間後に約140%であり、10週間後に約175%であった。
【0212】
[00304]1.5mmに圧縮した90°および128°の編み上げ角の足場の、取り出し
てから6時間後の結果を
図37Aおよび表6に提示し、3.0mmに圧縮した90°および128°の編み上げ角の足場の、取り出してから6時間後の結果を
図37Bおよび表7に提示する。90°の編み上げ角の足場の、1.5mmの圧縮から6時間後の回復率は、1週間を経たものでは約540%であり、10週間を経たものでは約510%であった。128°の編み上げ角の足場の、1.5mmの圧縮から6時間後の回復率は、1週間を経たものでは約550%であり、10週間を経たものでは約480%であった。90°の編み上げ角の足場の、3.0mmの圧縮から6時間後の回復率は、1週間を経たもので約280%であり、10週間を経たもので約270%であった。128°の編み上げ角の足場の、3.0mmの圧縮からの6時間後の回復率は、1週間を経たもので約300%であり、10週間を経たもので約190%であった。
【0213】
【0214】
【0215】
[00305]
図37Aからわかるように、90°の編み上げ角の足場の、1.5mmの圧縮
からの回復率は、全ての時点で、128°の編み上げ角の足場の、1.5mmの圧縮からの回復率に類似するように見え、それぞれは、1週と2週との間で回復率がかなり降下することを示している。代表的な回復率データを表6に提示する。
【0216】
[00306]同様に、
図37Bからわかるように、90°の編み上げ角の足場の、3.0m
mの圧縮からの回復率は、128°の編み上げ角の足場の、3.0mmの圧縮から7週に至るまでの回復率に類似するように見え、それぞれは、1週と2週との間で回復率がかなり降下することを示している。代表的な回復率データを表7に提示する。
【0217】
[00307]様々な実施形態について、本明細書で特に例示し記述してきたが、本開示の修
正例および変形例は、本開示の精神および意図される範囲から逸脱することなく、上述の教示に包含されかつ添付される特許請求の範囲内にあることが理解されよう。例えば足場は、洞部への適用例に関して本明細書で記述されるが、そのような足場は、耳管のステント形成などのその他の適用例に役立ててもよい。