IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 京都電機器株式会社の特許一覧

<>
  • 特許-線状照明装置 図1
  • 特許-線状照明装置 図2
  • 特許-線状照明装置 図3
  • 特許-線状照明装置 図4
  • 特許-線状照明装置 図5
  • 特許-線状照明装置 図6
  • 特許-線状照明装置 図7
  • 特許-線状照明装置 図8
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-01-17
(45)【発行日】2023-01-25
(54)【発明の名称】線状照明装置
(51)【国際特許分類】
   F21V 3/04 20180101AFI20230118BHJP
   F21S 2/00 20160101ALI20230118BHJP
   F21V 3/00 20150101ALI20230118BHJP
   F21V 3/02 20060101ALI20230118BHJP
   F21Y 115/10 20160101ALN20230118BHJP
【FI】
F21V3/04
F21S2/00 230
F21V3/00 320
F21V3/02
F21Y115:10
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2019000430
(22)【出願日】2019-01-07
(65)【公開番号】P2020109721
(43)【公開日】2020-07-16
【審査請求日】2021-12-06
(73)【特許権者】
【識別番号】392026888
【氏名又は名称】京都電機器株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100092727
【弁理士】
【氏名又は名称】岸本 忠昭
(74)【代理人】
【識別番号】100146891
【弁理士】
【氏名又は名称】松下 ひろ美
(72)【発明者】
【氏名】森 和幸
【審査官】安食 泰秀
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2018/025927(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F21V 3/04
F21S 2/00
F21V 3/00
F21V 3/02
F21Y 115/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基台と、
前記基台に搭載された光源ユニットと、
前記光源ユニットを覆う遮蔽部材と、
拡散板と、を備え、
前記光源ユニットは、基板と、前記基板上に第1方向に沿って配列された複数個のLEDと、を有し、
前記遮蔽部材は、前記基台に装着された基端部と、スリットが設けられた先端部と、前記基端部と前記先端部とを接続する中間部と、を有し、
前記拡散板は前記LEDと間隔を空けて対向配置され、
前記第1方向に垂直な第2方向において、前記スリットの幅寸法は前記基端部及び前記中間部の幅寸法よりも小さく、
前記スリットは前記第1方向に沿って延びると共に、前記複数個のLEDの光軸上に位置し、
前記LEDから発せられた光は前記拡散板により前記第1方向に拡散され、このように拡散された光の一部は前記スリットから外部に照射されて照射面を線状に照明し、残部は前記遮蔽部材により遮蔽されることを特徴とする線状照明装置。
【請求項2】
前記遮蔽部材の反射率は10%以下である請求項1に記載の線状照明装置。
【請求項3】
前記中間部は、前記第2方向における幅寸法が前記先端部に向かうに従い漸減するテーパ形状を有することを特徴とする請求項1又は2に記載の線状照明装置。
【請求項4】
前記遮蔽部材の形状は、前記LEDの光軸を中心に非対称である請求項3に記載の線状照明装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば画像処理検査等において被検査物を照明するために用いられる線状照明装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、CCDカメラ等による撮像を利用した品質検査が行われており、フィルムやシート状の被検査物を検査する場合はラインセンサカメラを用いる場合が多い。そのため被検査物の表面(照射面)を線状に照らす線状照明装置が利用される。例えば、被検査物がシート状物の場合、被検査物を所定方向に搬送させながら被検査物の表面を線状に照明する。特許文献1に開示の線状照明装置は、光源からの光を集光レンズにより帯状に収束させて照射面(被検査物の表面)に照射させるように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2012-238436
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、レンズ等の光学部品はコストが高く、線状照明装置全体のコストが高くなるという問題があった。また、線状照明装置が数メートルもの長さを有する場合には複数個のレンズを長さ方向に連結して用いることになり、レンズの繋ぎ目において均一な照明が難しくなるという問題が発生していた。
【0005】
本発明は、レンズ等の光学部品を使用しない線状照明装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明にかかる線状照明装置は、基台と、前記基台に搭載された光源ユニットと、前記光源ユニットを覆う遮蔽部材と、を備え、前記光源ユニットは、基板と、前記基板上に第1方向に沿って配列された複数個の光源と、を有し、前記遮蔽部材は、前記基台に装着された基端部と、スリットが設けられた先端部と、前記基端部と前記先端部とを接続する中間部と、を有し、前記第1方向に垂直な第2方向において、前記スリットの幅寸法は前記基端部及び前記中間部の幅寸法よりも小さく、前記スリットは前記第1方向に沿って延びると共に、前記複数個の光源の光軸上に位置し、前記光源から発せられた光の一部は前記スリットを介して外部に照射され、残部は前記遮蔽部材により遮蔽されることを特徴とする。
【0007】
また、前記第2方向における前記スリットの幅寸法は1.5mm~3mmであって、前記光源から前記スリットまでの距離は30mm~40mmであることを特徴とする。
【0008】
また、前記光源の光軸に沿う第3方向におけるスリットの長さ寸法は3mm~10mmであることを特徴とする。
【0009】
また、前記中間部は、前記第2方向における幅寸法が前記先端部に向かうに従い漸減するテーパ形状を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明の線状照明装置によれば、光源から発せられた光の一部はスリットを介して外部に照射され、残部は遮蔽部材により遮蔽されるので、レンズ等の高価な光学素子をもちいなくても照射面上に光を線状に照射させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の実施形態に係る線状照明装置の正面図。
図2図1のII-II線端面図。
図3図1に示す線状照明装置の使用例を示す概略図。
図4】実施例と比較例のパラメータを示すテーブル。
図5】ワークディスタンスを50mmとした場合の実施例と比較例の照度を示す図。
図6】ワークディスタンスを100mmとした場合の実施例と比較例の照度を示す図。
図7】本発明の変形例を示す図。
図8】本発明の他の変形例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、添付図面を参照して、本発明の実施形態に係る線状照明装置について説明する。図1及び図2を参照して、本実施形態に係る線状照明装置1は、長手方向D1(第1方向)に延びる基台2と、光源ユニット3と、拡散板4と、遮蔽部材5と、を備える。基台2の短手方向D2(第2方向)両側には長手方向D1に延びる複数枚の放熱フィン21が設けられ、また基台2の上面(高さ方向D3(第3方向)における先端側表面)22の短手方向D2両端からは一対の支持壁23が上方(先端側)に起立している。
【0013】
光源ユニット3は、長手方向D1に延びて基台2の上面22に装着される長尺状の基板31と、基板31上に長手方向D1に配列された複数個の光源32(図2には1個のみ示す)と、を有し、光源32としては例えばLEDが用いられる。拡散板4は高さ方向D3に光源ユニット3と間隔を空けて対向するように一対の支持壁23により支持されている。
【0014】
遮蔽部材5は、基台2に取り付けられて光源ユニット3及び拡散板4を覆うものであって、短手方向D2に相互に対向する一対の側壁51を有し、全体として縦断面逆向き漏斗形状に構成されている。より具体的に、遮蔽部材5は、基台2の一対の支持壁23の外面に装着された基端部5Aと、スリットS1が設けられた先端部5Cと、基端部5Aと先端部5Cとを接続する中間部5Bと、を有する。短手方向D2において、スリットS1の幅寸法W1は基端部5Aや中間部5Bの幅寸法よりも小さく、また中間部5Bは先端に向かうに従い幅寸法が漸減する縦断面テーパ状とされている。スリットS1は光源32の光軸C1上に位置し、長手方向D1に沿って延びている。遮蔽部材5(側壁51の内面)の反射率は10%以下であり、黒色材料からなるのが好ましい。
【0015】
かかる構成において、各光源32から発せられた光は拡散板4により長手方向D1に拡散され、このように拡散された光のうち、一部の光はスリットS1を介して照射面(図3に示す被検査物Wの表面Ws)に照射され、残りの光は遮蔽部材5の内面により遮蔽される。換言すると、拡散板4により拡散された光のうち、短手方向D2において光軸C1に対する傾斜角度が比較的小さい光のみがスリットS1を介して外部に照射され、残りの光は遮蔽部材5により遮蔽される。
【0016】
このように、遮蔽部材5によって不要な光を遮蔽して一部の光のみをスリットS1を介して照射させることで、照射面に照射される光の長手方向D1への広がりは許容しつつ短手方向D2における光の広がりを制限して、照射面を線状に均一に照明することができる。
【0017】
このように、本実施形態によれば、レンズ等の高価な光学部品を用いる必要がないので、線状照明装置1の製造コストを低減できる。また、遮蔽部材5の中間部5Bを先端に向かうに従い幅寸法が漸減するテーパ状にしたため、例えば図3に示す様にして線状照明装置1を用いた場合に、被検査物WやカメラMと干渉することなく線状照明装置1を被検査物Wの表面Ws(照射面)に近づけることができる。
【0018】
即ち、線状照明装置1により被検査物Wの表面Ws上に線状に光が照射され、表面Wsからの反射光がカメラMで撮像される。このとき、被検査物WとスリットS1との距離を近づけるほど被検査物Wの表面Wsに照射される光量が増して表面Wsを明るく照らせるため、線状照明装置1と被検査物Wとの距離は可及的に小さく設定するのが好ましい。この点、上述のように遮蔽部材5の中間部5Bをテーパ状にしたため、図3に示す様に線状照明装置1を、その短手方向D2及び高さ方向D3が被検査物Wの表面Wsに対して傾斜するように斜めに配置することで、線状照明装置1と被検査物Wとの距離を小さく設定しても、線状照明装置1は被検査物WやカメラMと干渉しない。
【0019】
ここで、図2を参照して、高さ方向D3(光軸C1方向)における光源32からスリットS1までの距離L1は30mm~40mmとするのが好ましく、高さ方向D3におけるスリット2の長さ寸法L2は3mm~10mmとするのが好ましい。距離L1が長すぎても短すぎても、また寸法L2が大き過ぎても、照射面(被検査物Wの表面Ws)に照射される光量は大きく低下してしまう。また、寸法L2が小さすぎると照射面に照射される光の幅(所定方向D4における幅)が広がってしまい、光を所望するような線状に照射することができなくなる。更に、光源32から拡散板4までの距離L3は5mm~10mmとするのが好ましい。
【0020】
また、短手方向D2におけるスリットS1の幅寸法W1は1.5mm~3mmとするのが好ましい。スリットS1の幅寸法W1が小さすぎると照射面を十分な光量で照明できず、幅寸法W1が大きすぎると照射面に照射される光の幅が広がり過ぎてしまうためである。
【0021】
このように、本実施形態によれば、高価なレンズ等を用いる必要がないので線状照明装置1の製造コストを抑えることができる。また線状照明装置1の長手方向D1における寸法が長くなってもレンズの継ぎ目等が発生せず、照射面を長手方向D1において均一に照明できる。
[実施例と比較例]
【0022】
本実施形態の実施例と比較例1~4に係る線状照明装置を用いて照射面に光を照射した場合の照度を測定した。実施例及び各比較例における寸法L1,L2,L3,W1は図4のテーブルに示す通りであり、ワーキングディスタンス(光軸C1方向おけるスリットS1から照射面までの距離)を50mmとした場合の測定結果を図5に、ワーキングディスタンスを100mmとした場合の測定結果を図6に示す。図5及び図6に示すグラフにおいて、縦軸は照度を、横軸は短手方向D2における光軸C1からの距離を示す。なお、遮蔽部材5の基端部5Aの内寸W2(図2参照)は何れも35mmとし、何れの場合も線状照明装置を照射面に対して垂直に(光軸C1が照射面に対して垂直となるように)設置した。
【0023】
図5及び図6から理解される通り、実施例の線状照明装置を用いた場合には、狭い範囲を線状に高い照度で照らすことができた。
【0024】
以上、本発明の実施形態に係る線状照明装置について添付の図面を参照して説明したが、本発明はかかる実施形態に限定されず、本発明の範囲を逸脱することなく種々の変形、修正が可能である。
【0025】
例えば、上記実施形態においては、中間部5Bをテーパ状としたが、必ずしもテーパ状とする必要はなく、例えば図7に示す線状照明装置101のように、遮蔽部材5が有する一対の側壁151をクランク状とし、短手方向D2における中間部105Bの内寸を基端部5Aの内寸W2と同一としてもよい。
【0026】
また、上記実施形態においては、遮蔽部材5を光軸C1を中心に対称形状としたが必ずしも対称とする必要はなく、例えば図8に示す線状照明装置201のように、光軸C1を中心に非対称とすることもできる。ただしこの場合においてもスリットS1は光源32の光軸C1上に位置させるのが好ましい。
【符号の説明】
【0027】
1,101,201 線状照明装置
2 基台
3 光源ユニット
4 拡散板
5 遮蔽部材
5A 基端部
5B 中間部
5C 先端部
32 光源
C1 光軸
S1 スリット
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8