(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-01-17
(45)【発行日】2023-01-25
(54)【発明の名称】PPAR-γ調節薬としての新規なベンズアミド誘導体
(51)【国際特許分類】
C07D 213/53 20060101AFI20230118BHJP
C07D 213/75 20060101ALI20230118BHJP
C07D 413/04 20060101ALI20230118BHJP
C07D 237/20 20060101ALI20230118BHJP
A61K 31/4418 20060101ALI20230118BHJP
A61K 31/444 20060101ALI20230118BHJP
A61K 31/496 20060101ALI20230118BHJP
A61K 31/5377 20060101ALI20230118BHJP
A61K 31/50 20060101ALI20230118BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20230118BHJP
A61P 35/00 20060101ALI20230118BHJP
A61P 35/02 20060101ALI20230118BHJP
A61P 19/10 20060101ALI20230118BHJP
A61P 19/02 20060101ALI20230118BHJP
A61P 3/04 20060101ALI20230118BHJP
A61P 3/06 20060101ALI20230118BHJP
A61P 3/10 20060101ALI20230118BHJP
A61P 1/00 20060101ALI20230118BHJP
A61P 17/00 20060101ALI20230118BHJP
A61P 17/06 20060101ALI20230118BHJP
A61P 17/04 20060101ALI20230118BHJP
A61P 17/10 20060101ALI20230118BHJP
A61P 11/06 20060101ALI20230118BHJP
A61P 11/00 20060101ALI20230118BHJP
A61P 37/06 20060101ALI20230118BHJP
A61P 25/28 20060101ALI20230118BHJP
A61P 25/16 20060101ALI20230118BHJP
A61P 9/10 20060101ALI20230118BHJP
A61P 9/00 20060101ALI20230118BHJP
A61P 13/12 20060101ALI20230118BHJP
【FI】
C07D213/53
C07D213/75 CSP
C07D413/04
C07D237/20
A61K31/4418
A61K31/444
A61K31/496
A61K31/5377
A61K31/50
A61P43/00 111
A61P35/00
A61P35/02
A61P19/10
A61P19/02
A61P3/04
A61P3/06
A61P3/10
A61P1/00
A61P17/00
A61P17/06
A61P17/04
A61P17/10
A61P11/06
A61P11/00
A61P37/06
A61P25/28
A61P25/16
A61P9/10
A61P9/00
A61P13/12
(21)【出願番号】P 2020532042
(86)(22)【出願日】2018-12-11
(86)【国際出願番号】 EP2018084290
(87)【国際公開番号】W WO2019115498
(87)【国際公開日】2019-06-20
【審査請求日】2021-10-06
(32)【優先日】2017-12-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】520009563
【氏名又は名称】メディビオファルマ、ソシエダッド、リミターダ
【氏名又は名称原語表記】MEDIBIOFARMA, S.L.
(74)【代理人】
【識別番号】100107342
【氏名又は名称】横田 修孝
(74)【代理人】
【識別番号】100155631
【氏名又は名称】榎 保孝
(74)【代理人】
【識別番号】100137497
【氏名又は名称】大森 未知子
(74)【代理人】
【識別番号】100207907
【氏名又は名称】赤羽 桃子
(74)【代理人】
【識別番号】100217294
【氏名又は名称】内山 尚和
(72)【発明者】
【氏名】フリオ、カストロ、パロミノ、ラリア
(72)【発明者】
【氏名】フアン、カマチョ、ゴメス
(72)【発明者】
【氏名】ロドルフォ、ロドリゲス、イグレシアス
【審査官】水島 英一郎
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2008/0206194(US,A1)
【文献】特開2002-332266(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07D
CAplus(STN)
REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)の化合物:
【化1】
[式中、
R
2は、ClおよびF原子から選択され、
R
1は、シアノ基を表し、
G
1およびG
2は独立して、N原子および-CR
9から選択される基を表し、ここで、G
1およびG
2は同時にCR
9であることはなく、
R
9は独立して、
a)ハロゲン原子、シアノ基、-COOH基、直鎖または分岐C
1-C
3アルキル基、直鎖または分岐C
1-C
3アルコキシ、直鎖または分岐C
1-C
3ハロアルキル基、C
3-C
4シクロアルキル、およびC
3-C
4シクロアルコキシからなる群から選択される1以上の置換基で場合により置換されていてもよい5員または6員のヘテロアリール環、
b)ハロゲン原子、シアノ基、-COOH基、直鎖または分岐C1-C3アルキル基、直鎖または分岐C1-C3アルコキシ、直鎖または分岐C1-C3ハロアルキル基、C3-C4シクロアルキル、C3-C4シクロアルコキシからなる群から選択される1以上の置換基で場合により置換されていてもよいフェニル基、
c)環の一部としてNおよびOから選択される1または2個のヘテロ原子を含んでなる5員または6員の飽和複素環式環(この複素環は、C
1-C
3アルキル基、およびC
3-C
4シクロアルキル基から選択される基で場合により置換されていてもよい)、ならびに
d)-C
3-C
6シクロアルキル基
からなる群から選択され、
R
3、R
4およびR
5は独立して、水素原子、ハロゲン原子、直鎖または分岐C
1-C
3アルキル基、C
3-C
4シクロアルキル基およびシアノ基からなる群から選択される]およびその薬学上許容される塩。
【請求項2】
R
3、R
4およびR
5が、独立して、水素原子およびハロゲン原子からなる群から選択される、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
R
3、R
4およびR
5が、水素原子である、請求項1または2に記載の化合物。
【請求項4】
G
1が、N原子を表し、かつ、G
2が、-CR
9基を表し、ここで、R
9は、
a)ハロゲン原子、-COOH基からなる群から選択される1以上の置換基で場合により置換されていてもよいフェニル基、
b)ハロゲン原子およびシアノ基からなる群から選択される1以上の置換基で場合により置換されていてもよいピリジル環、
c)C
1-C
3アルキル基およびC
3-C
6シクロアルキル基から選択される基で場合により置換されていてもよいモルホリニルおよびピペラジニル基
から選択される、請求項1~3のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項5】
G
2が、N原子を表し、かつ、G
1が、-CR
9基を表し、ここで、R
9は、
a)ハロゲン原子および-COOH基からなる群から選択される1以上の置換基で場合により置換されていてもよいフェニル基、
b)ハロゲン原子およびシアノ基からなる群から選択される1以上の置換基で場合により置換されていてもよいピリジニル環、
c)C
1-C
3アルキル基およびC
3-C
6シクロアルキル基から選択される基で場合により置換されていてもよいモルホリニルおよびピペラジニル基
から選択される、請求項1~3のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項6】
R
1が、シアノ基を表し、R
3、R
4およびR
5が、水素原子を表し、G
1が、N原子を表し、かつ、G
2が、-CR
9基を表し、ここで、R
9は、ハロゲン原子、-COOH基およびシアノ基からなる群から選択される1以上の置換基で場合により置換されていてもよいフェニル基を表す、請求項1に記載の化合物。
【請求項7】
R
1が、シアノ基を表し、R
3、R
4およびR
5が、独立して、水素原子を表し、G
1が、N原子を表し、かつ、G
2が、-CR
9基を表し、ここで、R
9はハロゲン原子、シアノ基からなる群から選択される1以上の置換基で場合により置換されていてもよいピリジル環を表す、請求項1に記載の化合物。
【請求項8】
R
1が、シアノ基を表し、R
3、R
4およびR
5が、独立して、水素原子を表し、G
2が、N原子を表し、かつ、G
1が、-CR
9基を表し、ここで、R
9は、
c)ハロゲン原子、-COOH基およびシアノ基からなる群から選択される1以上の置換基で場合により置換されていてもよいフェニル基、
d)ハロゲン原子、シアノ基からなる群から選択される1以上の置換基で場合により置換されていてもよいピリジル環
から選択される、請求項1に記載の化合物。
【請求項9】
2-クロロ-5-シアノ-N-(2-フェニルピリジン-4-イル)ベンズアミド 2-クロロ-5-シアノ-N-(6-フェニルピリジン-3-イル)ベンズアミド
2-クロロ-5-シアノ-N-(2-(4-フルオロフェニル)ピリジン-4-イル)ベンズアミド
2-クロロ-5-シアノ-N-(6-(4-フルオロフェニル)ピリジン-3-イル)ベンズアミド
N-([2,3’-ビピリジン]-5-イル)-2-クロロ-5-シアノベンズアミド
N-([2,3’-ビピリジン]-4-イル)-2-クロロ-5-シアノベンズアミド
N-([2,4’-ビピリジン]-5-イル)-2-クロロ-5-シアノベンズアミド
N-([2,4’-ビピリジン]-4-イル)-2-クロロ-5-シアノベンズアミド
N-([2,3’-ビピリジン]-5-イル)-5-シアノ-2-フルオロベンズアミド
5-シアノ-2-フルオロ-N-(6-(4-フルオロフェニル)ピリジン-3-イル)ベンズアミド
5-シアノ-2-フルオロ-N-(2-(4-フルオロフェニル)ピリジン-4-イル)ベンズアミド
N-([2,3’-ビピリジン]-4-イル)-5-シアノ-2-フルオロベンズアミド
N-([2,2’-ビピリジン]-5-イル)-2-クロロ-5-シアノベンズアミド
2-クロロ-5-シアノ-N-(6-(4-メチルピペラジン-1-イル)ピリジン-3-イル)ベンズアミド
2-クロロ-5-シアノ-N-(2-(4-メチルピペラジン-1-イル)ピリジン-4-イル)ベンズアミド
2-クロロ-5-シアノ-N-(2-モルホリノピリジン-4-イル)ベンズアミド
2-クロロ-5-シアノ-N-(6-モルホリノピリジン-3-イル)ベンズアミド
N-([2,4’-ビピリジン]-4-イル)-5-シアノ-2-フルオロベンズアミド
N-([2,4’-ビピリジン]-5-イル)-5-シアノ-2-フルオロベンズアミド
2-クロロ-5-シアノ-N-(ピリダジン-4-イル)ベンズアミド
5-シアノ-2-フルオロ-N-(ピリダジン-4-イル)ベンズアミド
2-クロロ-5-シアノ-N-(6-シクロプロピルピリジン-3-イル)ベンズアミド
3-(5-(2-クロロ-5-シアノベンズアミド)ピリジン-2-イル)安息香酸
4-(5-(2-クロロ-5-シアノベンズアミド)ピリジン-2-イル)安息香酸
の1つである請求項1に記載の化合物、およびその薬学上許容される塩。
【請求項10】
請求項1~9のいずれか一項に定義される化合物またはその薬学上許容される塩と、薬学上許容される希釈剤または担体と、場合により、治療上有効な量のさらなる化学療法剤、抗炎症剤、ステロイド、免疫療法剤または治療抗体などのその他の剤とを含んでなる、医薬組成物。
【請求項11】
PPAR-γ受容体の調節により改善され得る疾患または病態の治療または予防に使用するための、請求項10に定義される医薬組成物であって、前記疾患または病態が乳癌、膵臓癌、卵巣癌、前立腺癌、腎臓癌、膀胱癌、精巣癌、尿路上皮癌、皮膚癌、黒色腫、結腸癌、腎臓癌、脳癌、または造血器癌(リンパ腫、多発性骨髄腫および白血病から選択される)から選択される癌;骨粗鬆症、くる病、関節症、肥満、I型およびII型糖尿病、脂質代謝障害、膵炎、糖代謝障害、糖尿病性神経障害、糖尿病性合併症、高尿酸血症から選択される代謝障害;乾癬、アトピー性皮膚炎、湿疹、尋常性座瘡、その他の皮膚炎および掻痒症から選択される炎症性皮膚疾患などの炎症性疾患;喘息および慢性閉塞性肺疾患から選択される肺疾患;自己免疫疾患;多発性硬化症、アルツハイマー病、パーキンソン病から選択される神経変性疾患;アテローム性動脈硬化症、静脈および動脈閉塞性疾患、浸潤的手法後の再狭窄、心筋症、心筋線維症、うっ血性心不全から選択される心血管疾患;新生物性疾患および腎疾患における血管新生および新血管新生からなる群から選択される、医薬組成物。
【請求項12】
請求項1~9のいずれか一項に記載の化合物またはその薬学上許容される塩と
、イピリムマブ
、トレメリムマブ
、MDX-1106(ニボルマブ)、MK3475(ペンブロリズマブ)、CT-011(ピディリズマブ)
、AMP-224
、MPDL3280A、MEDI4736
、MDX-1105
、カルボプラチン、カルムスチン(BCNU)、シスプラチン、シクロホスファミド、エトポシド、イリノテカン、ロムスチン(CCNU)、メトトレキサート、プロカルバジン、テモゾロミド
およびビンクリスチン
からなる群から選択される少なくとも1種類の治療剤とを含んでなる、組合せ製品。
【請求項13】
PPAR-γ受容体の調節により改善され得る疾患または病態の治療または予防に使用するための医薬の製造のための請求項1~9のいずれか一項に定義される化合物またはその薬学上許容される塩の使用であって、前記疾患または病態が乳癌、膵臓癌、卵巣癌、前立腺癌、腎臓癌、膀胱癌、精巣癌、尿路上皮癌、皮膚癌、黒色腫、結腸癌、腎臓癌、脳癌、または造血器癌(リンパ腫、多発性骨髄腫および白血病から選択される)から選択される癌;骨粗鬆症、くる病、関節症、肥満、I型およびII型糖尿病、脂質代謝障害、膵炎、糖代謝障害、糖尿病性神経障害、糖尿病性合併症、高尿酸血症から選択される代謝障害;乾癬、アトピー性皮膚炎、湿疹、尋常性座瘡、その他の皮膚炎および掻痒症から選択される炎症性皮膚疾患などの炎症性疾患;喘息および慢性閉塞性肺疾患から選択される肺疾患;自己免疫疾患;多発性硬化症、アルツハイマー病、パーキンソン病から選択される神経変性疾患;アテローム性動脈硬化症、静脈および動脈閉塞性疾患、浸潤的手法後の再狭窄、心筋症、心筋線維症、うっ血性心不全から選択される心血管疾患;新生物性疾患および腎疾患における血管新生および新血管新生からなる群から選択される、使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、PPAR-γ受容体の調節薬としての新規な、場合により置換されていてもよいベンズアミド誘導体に関する。
【0002】
本発明の他の目的は、これらの化合物を製造するための手法;有効量のこれらの化合物を含んでなる医薬組成物;癌疾患、代謝障害、糖代謝障害、炎症性疾患、自己免疫疾患、神経変性疾患、心血管疾患、新生物性疾患および腎疾患などのPPAR-γ受容体の調節により改善し得る病態または疾患の治療または予防のための医薬の製造のためのこれらの化合物の使用;前記疾患の治療または予防において使用するための前記化合物;ならびに前記疾患の治療または予防の方法を提供することである。
【背景技術】
【0003】
ペルオキシソーム増殖因子活性化受容体(peroxisome proliferator-activated receptors)(PPAR)は、核受容体スーパーファミリーに属する転写因子である(CHAWLA, Ajay, et al. Nuclear receptors and lipid physiology: opening the X-files. Science, 2001, vol. 294, no 5548, p. 1866-1870)。この受容体は、主として脂肪組織ならびに単球、マクロファージ、BおよびTリンパ球、ナチュラルキラー細胞、樹状細胞、好中球、好酸球、および肥満細胞を含む免疫系の様々な細胞で発現される(CHAWLA, Ajay, et al. Peroxisome proliferator-activated receptor (PPAR) gamma: adipose-predominant expression and induction early in adipocyte differentiation. Endocrinology, 1994, vol. 135, no 2, p. 798-800)。
【0004】
PPARは、内在性の飽和および不飽和脂肪酸、それらの代謝産物および合成リガンドを含む小分子リガンドによって活性化される。PPARは、レチノイドX受容体(RXR)との絶対ヘテロ二量体として機能し、遺伝子の調節ドメインに位置するペルオキシソーム増殖因子応答要素(peroxisome proliferator response elements)(PPRE)に結合し、標的遺伝子の転写をリガンド依存的に調節する。PPARへのリガンドの結合はそれらの立体配座を安定化させ、続いて、補因子の動員を調節して転写の活性化をもたらす。PPARとしてはこれまでに、異なる分布および特異的役割を有するPPARα(PPARアルファ)、PPARβ/δ(PPARベータ/デルタ)、およびPPARγ(PPAR-ガンマ)の3つのサブタイプが同定されている。これら3つのPPARは、それらの構造、機能、および組織分布が異なる(BERGER, Joel; MOLLER, David E. The mechanisms of action of PPARs. Annual review of medicine, 2002, vol. 53, no 1, p. 409-435)。
【0005】
PPAR-γの主要な生物活性は、正常組織の中では最高レベルのPPAR-γを発現する細胞種である脂肪細胞の分化誘導である。しかしながら、より低レベルのPPAR-γが骨格筋、肝臓、乳房、前立腺、結腸、2型肺胞上皮細胞、いくつかの内皮細胞ならびに単球、およびBリンパ球などの他の正常な組織および細胞種に見られる(BURTON, Jack D.; GOLDENBERG, David M.; BLUMENTHAL, Rosalyn D. Potential of peroxisome proliferator-activated receptor gamma antagonist compounds as therapeutic agents for a wide range of cancer types. PPAR research, 2008, vol. 2008)。
【0006】
PPAR-γと癌
PPAR-γは、様々な上皮細胞腫瘍で推定癌治療標的となっている。PPAR-γの活性化は、腫瘍細胞の複製を抑制し、腫瘍細胞の生存を減らすことによって腫瘍形成過程を阻害し得ることが知られている(PANIGRAHY, Dipak, et al. Therapeutic potential of thiazolidinediones as anticancer agents. Expert opinion on investigational drugs, 2003, vol. 12, no 12, p. 1925-1937)。
【0007】
PPAR-γリガンドは、結腸癌、乳癌、前立腺癌、胃癌、膀胱癌、および膵臓癌を含む様々な癌細胞で分化およびアポトーシスを促進することが示されている(YOUSEFI, Bahman, et al. Peroxisome Proliferator‐Activated Receptor Ligands and Their Role in Chronic Myeloid Leukemia: Therapeutic Strategies. Chemical biology & drug design, 2016, vol. 88, no 1, p. 17-25,およびその参照文献)。(ELSTNER, Elena, et al. Ligands for peroxisome proliferator-activated receptor γ and retinoic acid receptor inhibit growth and induce apoptosis of human breast cancer cells in vitro and in BNX mice. Proceedings of the National Academy of Sciences, 1998, vol. 95, no 15, p. 8806-8811)。さらに、PPARリガンドは、慢性骨髄性白血病(CML)患者で使用されるイマチニブなどのチロシンキナーゼ阻害剤と併用される場合に相乗作用を示すことも知られている。
【0008】
いくつかの研究で、肺癌のための新規な単剤療法としての(CHANG, Tsg-Hui; SZABO, Eva. Induction of differentiation and apoptosis by ligands of peroxisome proliferator-activated receptor γ in non-small cell lung cancer. Cancer research, 2000, vol. 60, no 4, p. 1129-1138)、また、標準的な細胞傷害性化学療法と組み合わせた場合のPPAR-γアゴニストの可能性および有効性が示された。PPAR-γアゴニストは、従来の化学療法剤と相乗作用を示し、癌細胞に対するそれらの細胞傷害効果を増強する(REDDY, Aravind T.; LAKSHMI, Sowmya P.; REDDY, Raju C. PPAR-gamma as a novel therapeutic target in lung cancer. PPAR research, 2016, vol. 2016)。
【0009】
同様に、ペルオキシソーム増殖因子活性化受容体-γ(PPAR-γ)は、数種のヒト白血病細胞で検出されている。最近の研究で、PPAR-γリガンドは細胞増殖を阻害し、正常および悪性両方のB系列細胞でアポトーシスを誘導することが報告された(TAKENOKUCHI, M., et al. Troglitazone inhibits cell growth and induces apoptosis of B-cell acute lymphoblastic leukemia cells with t (14; 18). Acta Haematologica, 2006, vol. 116, no 1, p. 30-40)。
【0010】
しかしながら、PPAR-γ活性化は一部の場合では腫瘍細胞死に関連するが、いくつかの所見は、PPAR-γ機能の阻害もまたある種の癌の治療に有益であり得ることを示唆している。
【0011】
PPAR-γは、胃、乳房および肺のものを含む多くの上皮腫瘍細胞で過剰発現され、腫瘍生存因子に相当し得る(MUELLER, Elisabetta, et al. Terminal differentiation of human breast cancer through PPAR-gamma. Molecular cell, 1998, vol. 1, no 3, p. 465-470)。
【0012】
他の研究では、PPAR-γまたはRXRAの活性化変異は膀胱癌において特定の遺伝子発現シグネチャーをもたらすことが示された。薬理学的阻害であれ遺伝子除去であれPPAR-γ活性の低下は、PPAR-γ活性化膀胱癌細胞の増殖を阻害した(GOLDSTEIN, Jonathan T., et al. Genomic activation of PPARG reveals a candidate therapeutic axis in bladder cancer. Cancer Research, 2017, p. canres. 1701.2017)。
【0013】
別の研究では、口腔腫瘍に由来する4種の扁平上皮癌細胞株に対するPPAR-γ拮抗薬としてのBADGE、GW9662およびT0070907の効果が評価された。アゴニスト・ピオグリタゾン以外の3つの拮抗薬に関しては抗増殖性効果が示され、このことは、種々の化学構造を有するPPAR-γ拮抗化合物が、乳房、結腸、軌道消化器扁平上皮細胞、および肝細胞を含む上皮癌モデル系においてイン・ビトロ(in vitro)およびイン・ビボ(in vivo)でいくつかの有意な抗癌効果を有することを表す(MASUDA, Tomotake, et al. Critical role of peroxisome proliferator-activated receptor γ on anoikis and invasion of squamous cell carcinoma. Clinical Cancer Research, 2005, vol. 11, no 11, p. 4012-4021)。
【0014】
造血器癌モデル系では、最初のスクリーニングは、非ホジキンリンパ腫(NHL)細胞株としてのいくつかの骨髄腫(MM)は、拮抗薬GW9662およびT0070907の抗増殖効果に対して最大の感受性を有することを示した(BURTON, Jack D., et al. Peroxisome proliferator-activated receptor-γ antagonists exhibit potent antiproliferative effects versus many hematopoietic and epithelial cancer cell lines. Anti-cancer drugs, 2007, vol. 18, no 5, p. 525-534)。
【0015】
他の試験は、ヒトバーキット型Bリンパ腫細胞におけるRNAiによるPPAR-γ発現のサイレンシングは、基底増殖および分裂促進因子誘導増殖および生存を高めたことを示す。これらの細胞はまた、PPAR-γリガンドに曝された際に生存を高め、低分化表現型を呈した(GARCIA-BATES, Tatiana M., et al. Peroxisome proliferator-activated receptor gamma overexpression and knockdown: impact on human B cell lymphoma proliferation and survival. Cancer immunology, immunotherapy, 2009, vol. 58, no 7, p. 1071-1083)。
【0016】
他の試験は、PPAR-γリガンドおよびその阻害剤GW9662を用いた併用療法が、膠芽腫幹細胞を標的化する潜在的治療戦略となり得ることを示唆している(IM, Chang-Nim. Combination Treatment with PPARγ Ligand and Its Specific Inhibitor GW9662 Downregulates BIS and 14-3-3 Gamma, Inhibiting Stem-Like Properties in Glioblastoma Cells. BioMed Research International, 2017, vol. 2017)。
【0017】
PPAR-γおよび代謝障害
影響力の大きいイン・ビトロ研究では、この受容体は脂肪細胞分化に必要十分であること、およびこの受容体が脂肪細胞による脂質蓄積を促進することが実証された。PPAR-γアゴニストである抗糖尿病性チアゾリジンジオン(TZD)ファミリーは、骨格筋および肝臓に加え、低濃度のPPAR-γを含有する脂肪組織でもインスリン抵抗性を抑制することが知られている。これと一致して、TZDファミリーは脂肪細胞における脂質取り込み、脂質代謝およびインスリン作用に関与する遺伝子の発現を変更することが示されている。2型糖尿病(T2DM)患者および前臨床種からのデータもまた、PPAR-γアゴニストはインスリン抵抗性の脂肪分解性内臓脂肪貯蓄から小さな新たに分化したインスリン応答性脂肪細胞を含有する皮下脂肪へ脂質を再配分する「脂肪リモデリング因子」として機能することを示している(BERGER, Joel P.; AKIYAMA, Taro E.; MEINKE, Peter T. PPARs: therapeutic targets for metabolic disease. Trends in pharmacological sciences, 2005, vol. 26, no 5, p. 244-251,およびその参照文献)。
【0018】
アテローム性動脈硬化症
PPAR-γはまた、内皮細胞、平滑筋細胞および単球/マクロファージを含む種々の血管細胞においても比較的高レベルで発現される。PPAR-γアゴニストは、遺伝的傾向があるマウスモデル:LDLR-/-およびApoE-/-におけるアテローム性動脈硬化症を減弱またはヒト患者における内膜/中膜比を縮小することが報告されている。別の研究では、HFDまたは高フルクトース食で従前に維持されていた雄LDLR-/-マウスのトログリタゾン処置は、動脈硬化病変を有意に軽減した(HAN, Lu, et al. PPARs: regulators of metabolism and as therapeutic targets in cardiovascular disease. Part II: PPAR-β/δ and PPAR-γ. Future cardiology, 2017)。他の研究では、PPAR-γアクチベーターの投与が低密度リポタンパク質受容体ノックアウト(LDLRK/K)において動脈硬化病変のサイズを縮小することが示された(LI, Andrew C., et al. Peroxisome proliferator-activated receptor γ ligands inhibit development of atherosclerosis in LDL receptor-deficient mice. The Journal of clinical investigation, 2000, vol. 106, no 4, p. 523-531)。この抗アテローム活性は、異脂肪血症、インスリン抵抗性および高血圧症の改善とは独立して起こり、このことは直接的な血管効果を示し、結果として、PPAR-γアゴニストはまた、イン・ビトロおよびアテローム性動脈硬化症の動物モデルにおいて広域の抗アテローム効果を発揮する(HSUEH, Willa A.; BRUEMMER, Dennis. Peroxisome proliferator-activated receptor γ: implications for cardiovascular disease. Hypertension, 2004, vol. 43, no 2, p. 297-305)。
【0019】
肝臓、骨格筋および心臓における代謝機能のPPAR-γ調節
脂肪組織とは対照的に、肝臓、骨格筋および心臓は、PPAR-γタンパク質を低~中等度レベルでしか発現しない。しかしながら、特定の病態生理学的条件下で、これらの組織においてPPAR-γタンパク質の発現は有意に上方調節される。いくつかの研究で、様々な程度の脂肪症を伴う肥満(脂肪組織萎縮型肥満と過食症肥満の両方)、インスリン抵抗性および糖尿病の多くのモデルで肝臓のPPAR-γの発現は顕著に上方調節されているという証拠が示されている(NEUSCHWANDER‐TETRI, Brent A., et al. Improved nonalcoholic steatohepatitis after 48 weeks of treatment with the PPAR‐γ ligand rosiglitazone. Hepatology, 2003, vol. 38, no 4, p. 1008-1017)。
【0020】
同様に、低酸素誘導因子(HIF-1α)およびPPAR-γの発現の増加が肥大型心筋症を有するヒトおよびマウスの心室生検サンプルで報告されている(KRISHNAN, Jaya, et al. Activation of a HIF1α-PPARγ axis underlies the integration of glycolytic and lipid anabolic pathways in pathologic cardiac hypertrophy. Cell metabolism, 2009, vol. 9, no 6, p. 512-524)。マウスサンプルのさらなる評価は、HIF-1αがPPAR-γ遺伝子発現の誘導を引き起こし、続いて心臓脂肪症、アポトーシスおよび心不全をもたらすことを明らかにした(KINTSCHER, Ulrich; LAW, Ronald E. PPARγ-mediated insulin sensitization: the importance of fat versus muscle. American Journal of Physiology-Endocrinology And Metabolism, 2005, vol. 288, no 2, p. E287-E291)。
【0021】
加えて、PPAR-γ遺伝子発現はT2DMを有する肥満対象の骨格筋で上方調節されていることも報告されている(PARK, Kyong Soo, et al. PPAR-γ gene expression is elevated in skeletal muscle of obese and type II diabetic subjects. Diabetes, 1997, vol. 46, no 7, p. 1230-1234)。
【0022】
炎症、高血圧症および血管系
PPAR-γリガンドはまた、単球/マクロファージ、上皮細胞、平滑筋細胞、内皮細胞、樹状細胞およびリンパ球を含む様々な細胞種で多くの炎症性メディエーターおよびサイトカインの生産を阻害することが示されている([DAYNES, Raymond A.; JONES, Dallas C. Emerging roles of PPARs in inflammation and immunity. Nature reviews. Immunology, 2002, vol. 2, no 10, p. 748., KOSTADINOVA, Radina; WAHLI, Walter; MICHALIK, Liliane. PPARs in diseases: control mechanisms of inflammation. Current medicinal chemistry, 2005, vol. 12, no 25, p. 2995-3009に総説]。加えて、PPAR-γリガンドは、アテローム性動脈硬化症、肥満誘発インスリン抵抗性、アレルギー性脳脊髄炎、パーキンソン、アルツハイマー、乾癬、炎症性腸疾患、および関節炎を含むいくつかの疾患モデルで抗炎症効果を有することが示されている(RICOTE, Mercedes; GLASS, Christopher K. PPARs and molecular mechanisms of transrepression. Biochimica et Biophysica Acta (BBA)-Molecular and Cell Biology of Lipids, 2007, vol. 1771, no 8, p. 926-935., およびその参照文献)。
【0023】
高血圧症に対するPPAR-γの効果に関して、遺伝学的分析は、PPAR-γにおける2つのドミナントネガティブ突然変異がヒトの重度高血圧症に関連していることを示し、このことは血圧調節におけるPPAR-γの重要な役割を示している。PPAR-γアゴニストは糖尿病マウスで血圧を降下させる(RYAN, Michael J., et al. PPARγ agonist rosiglitazone improves vascular function and lowers blood pressure in hypertensive transgenic mice. Hypertension, 2004, vol. 43, no 3, p. 661-666)。
【0024】
PPAR-γアゴニストは強力な抗炎症効果を示し、直接的な神経保護作用を有する。PPAR-γアゴニストは、アルツハイマー病、脳卒中、多発性硬化症、パーキンソン病および筋萎縮性側索硬化症の動物モデルで有効であることが示されている(SUNDARARAJAN, Sophia, et al. PPARγ as a therapeutic target in central nervous system diseases. Neurochemistry international, 2006, vol. 49, no 2, p. 136-144, およびその参照文献)。
【0025】
心血管疾患
PPAR-γアゴニストは心血管疾患に関連する既知のリスク因子である糖尿病およびアテローム性動脈硬化症に利益を与えることが知られている。前臨床研究は、PPARの薬理学的調節が心筋細胞において脂肪酸酸化遺伝子の発現を上方調節し得ることを示した。さらに、PPARアゴニストは、それらの抗炎症活性、抗酸化活性、抗線維形成活性、および抗アポトーシス活性を介して動物モデルにおいて心室収縮性を改善し、心臓のリモデリングを軽減し得ることが分かった(ABUSHOUK, Abdelrahman Ibrahim, et al. Peroxisome proliferator-activated receptors as therapeutic targets for heart failure. Biomedicine & Pharmacotherapy, 2017, vol. 95, p. 692-700)。
【0026】
免疫療法
PPAR-γ拮抗薬は、それらの骨髄(BM)脂肪生成の阻害に加えて、T細胞の負のレギュレーターとして働くことが示されている。これは研究室および臨床の両方で免疫介在性病態生理におけるPPAR-γ拮抗薬の適用の意味を示している(SATO, Kazuya, et al. PPARγ antagonist attenuates mouse immune-mediated bone marrow failure by inhibition of T cell function. haematologica, 2016, vol. 101, no 1, p. 57-67)。
【0027】
他の研究から、PPAR-γ欠損T細胞がTCR刺激に対して過敏反応性であることが知られている。IFN-c、IL-4、IL-17、およびIL-2を含む種々のサイトカインは同腹子対照T細胞に比べてPPAR-γ欠損T細胞で増加していたが、このことはこれらの細胞はTCR刺激に過敏反応性であることを示唆している。加えて、PPAR-γ欠損T細胞は対照CD4+T細胞よりも有意に増殖したが、このことはPPAR-γがT細胞の活性化および増殖の負のレギュレーターとしての役割を示唆している(PARK, Hong-Jai, et al. PPARγ negatively regulates T cell activation to prevent follicular helper T cells and germinal center formation. PloS one, 2014, vol. 9, no 6, p. e99127)。
【0028】
他方、PPAR-γ拮抗薬による処理かまたはPPAR-γ遺伝子の一方の対立遺伝子の無効化のいずれかによるPPAR-γ活性の低下は、高脂肪食誘発脂肪細胞肥大およびインスリン抵抗性の軽減をもたらすことが報告されている。PPAR-γ拮抗薬による処理はまた、糖尿病マウスにおけるインスリン感受性を劇的に改善する。よって、抗肥満効果および抗糖尿病効果の両方が証明される(EUSSET, Jennifer, et al. A new selective peroxisome proliferator-activated receptor γ antagonist with antiobesity and antidiabetic activity. Molecular Endocrinology, 2002, vol. 16, no 11, p. 2628-2644)。
【0029】
ヒト遺伝学的研究およびPPAR-γ異型接合ノックアウトマウスからのデータは、PPAR-γ活性の低下がインスリン感受性を逆説的に改善し得ることを示す。これらの所見は、部分アゴニストまたは補因子動員に影響を及ぼす化合物によるPPAR-γ活性の調節がインスリン抵抗性の治療に有望であり得ることを示唆する。
【0030】
他方、ペルオキシソーム増殖受容体-γ(PPAR-γ)の活性の低減はインスリン感受性を増強し得るという遺伝学的証拠がある(DOGGRELL, Sheila. Do peroxisome proliferation receptor-γ antagonists have clinical potential as combined antiobesity and antidiabetic drugs?. Expert opinion on investigational drugs, 2003, vol. 12, no 4, p. 713-716)。
【0031】
PPAR-γ拮抗薬は骨組織を形成する働きをし、例えば、骨粗鬆症などに治療剤として有効であることが示されている(DUQUE, Gustavo, et al. Pharmacological inhibition of PPARγ increases osteoblastogenesis and bone mass in male C57BL/6 mice. Journal of Bone and Mineral Research, 2013, vol. 28, no 3, p. 639-648)。
【発明の概要】
【0032】
ゆえに、本発明により解決される課題は、PPAR-γ受容体の調節薬としての、より詳細には、PPAR-γ受容体の拮抗薬としての化合物を提供することである。
【0033】
本発明の筆者らは、適宜置換された新規なベンズアミド誘導体をPPAR-γ受容体の強力な調節薬(モジュレーター)として開発した。
【0034】
第1の側面(側面1)において、本発明は、式(I)の新規なベンズアミド誘導体:
【化1】
[式中、
R
2は、ClおよびF原子から選択され、
R
1は、シアノ基を表し、
G
1およびG
2は独立して、N原子および-CR
9から選択される基を表し、ここで、G
1およびG
2は同時にCR
9であることはなく、
R
9は独立して、
a)ハロゲン原子、シアノ基、-COOH基、直鎖または分岐C
1-C
3アルキル基、直鎖または分岐C
1-C
3アルコキシ、直鎖または分岐C
1-C
3ハロアルキル基、C
3-C
4シクロアルキル、およびC
3-C
4シクロアルコキシからなる群から選択される1以上の置換基で場合により置換されていてもよい5員または6員のヘテロアリール環、
b)ハロゲン原子、シアノ基、-COOH基、直鎖または分岐C1-C3アルキル基、直鎖または分岐C1-C3アルコキシ、直鎖または分岐C1-C3ハロアルキル基、C3-C4シクロアルキル、C3-C4シクロアルコキシからなる群から選択される1以上の置換基で場合により置換されていてもよいフェニル基、
c)環の一部としてNおよびOから選択される1または2個のヘテロ原子を含んでなる5員または6員の飽和複素環式環(この複素環は、C
1-C
3アルキル基、およびC
3-C
4シクロアルキル基から選択される基で場合により置換されていてもよい)、ならびに
d)-C
3-C
6シクロアルキル基
からなる群から選択され、
R
3、R
4およびR
5は独立して、水素原子、ハロゲン原子、直鎖または分岐C
1-C
3アルキル基、C
3-C
4シクロアルキル基およびシアノ基からなる群から選択される]
およびその薬学上許容される塩
に関する。
【0035】
本発明の他の側面は次の通りである:
側面2)側面1の化合物の製造方法、
側面3)治療上有効な量の側面1の化合物を含んでなる医薬組成物、
側面4)治療上有効な量の化学療法剤、抗炎症剤、ステロイド、免疫療法剤および治療抗体などのその他の剤をさらに含んでなる側面3による医薬組成物、
側面5)PPAR-γ受容体の調節により改善され得る疾患の治療において使用するための側面1の化合物、
側面6)側面1の化合物または側面3もしくは4の医薬組成物を、必要とする対象に投与することによりPPAR-γ受容体の調節により改善され得る疾患を治療するための方法、ここで、前記疾患は、乳癌、膵臓癌、卵巣癌、前立腺癌、腎臓癌、膀胱癌、精巣癌、尿路上皮癌、皮膚癌、黒色腫、結腸癌、腎臓癌、脳癌、または造血器癌(リンパ腫、多発性骨髄腫および白血病から選択される)から選択される癌;骨粗鬆症、くる病、関節症、肥満、I型およびII型糖尿病、脂質代謝障害、膵炎、糖代謝障害、糖尿病性神経障害、糖尿病性合併症、高尿酸血症、骨粗鬆症、くる病、関節症から選択される代謝障害;乾癬、アトピー性皮膚炎、湿疹、尋常性座瘡、その他の皮膚炎および掻痒症から選択される炎症性皮膚疾患などの炎症性疾患;喘息および慢性閉塞性肺疾患から選択される肺疾患;自己免疫疾患;多発性硬化症、アルツハイマー病、パーキンソン病から選択される神経変性疾患;アテローム性動脈硬化症、静脈および動脈閉塞性疾患、浸潤的手法後の再狭窄、心筋症、心筋線維症、うっ血性心不全から選択される心血管疾患;新生物性疾患および腎疾患における血管新生および新血管新生からなる群から選択され得る、
側面7)式(I)の化合物またはその薬学上許容される塩と、PPAR-γ受容体の調節に関連する疾患、障害または病態の治療のために本願の化合物と併用することができる、化学療法剤、抗炎症剤、ステロイド、免疫抑制剤、治療抗体からなる群から選択される1種類以上の治療剤とを含んでなる組合せ製品。これらの1種類以上の付加的医薬剤は患者に同時にまたは逐次に投与することができる。
【0036】
例示的化学療法剤としては、プロテオソーム阻害剤(例えば、ボルテゾミブ)、テモゾロミド、カルボプラチン、カルムスチン(BCNU)、シスプラチン、シクロホスファミド、エトポシド、イリノテカン、ロムスチン(CCNU)、メトトレキサート、プロカルバジン、ビンクリスチンを含むCNS癌の治療のための化学療法剤、および他の化学療法剤(例えば、サリドマイド、レブリミド)、およびDNA傷害薬(例えば、メルファラン、ドキソルビシン、シクロホスファミド、ビンクリスチン、エトポシド、カルムスチン)などが含まれる。
【0037】
例示的抗炎症性化合物としては、アスピリン、サリチル酸コリン、セレコキシブ、ジクロフェナクカリウム、ジクロフェナクナトリウム、ジクロフェナクナトリウムとミソプロストル、ジフルニサル、エトドラク、フェノプロフェン、フルルビプロフェン、イブプロフェン、ケトプロフェン、メクロフェナム酸ナトリウム、メフェナム酸、ナブメトン、ナプロキセン、ナプロキセンナトリウム、オキサプロジン、ピロキシカム、ロフェコキシブ、サルサレート、サリチル酸ナトリウム、スリンダック、トルメチンナトリウム、バルデコキシブなどが含まれる。
【0038】
例示的ステロイドとしては、コルチゾン、デキサメタゾン、ヒドロコルチゾン、メチルプレドニゾロン、プレドニゾロン、プレドニゾンなどのコルチコステロイドなどが含まれる。
【0039】
例示的免疫抑制剤としては、アザチオプリン、クロラムブシル、シクロホスファミド、シクロスポリン、ダクリズマブ、インフリキシマブ、メトトレキサート、タクロリムスなどが含まれる。
【0040】
併用療法で使用するための治療抗体の例としては、限定されるものではないが、トラスツズマブ(例えば、抗HER2)、ラニビズマブ(例えば、抗VEGF-A)、ベバシズマブ(例えば、抗VEGF)、パニツムマブ(例えば、抗EGFR)、セツキシマブ(例えば、抗EGFR)、リツキサン(抗CD20)およびc-METに対する抗体が含まれる。
【0041】
さらに別の側面では、本発明は、式(I)の化合物またはその薬学上許容される塩と、乳癌、膵臓癌、卵巣癌、膀胱癌、前立腺癌、腎臓癌、精巣癌、尿路上皮癌、皮膚癌、黒色腫、結腸癌、腎臓癌、脳癌、または造血器癌(リンパ腫、多発性骨髄腫および白血病から選択される)から選択される癌の治療において有用な1種類以上の免疫療法剤とを含んでなる組合せ製品に関する。
【0042】
好ましい態様では、組合せ製品は、式(I)の化合物またはその薬学上許容される塩と、イピリムマブおよびトレメリムマブなどの抗CTLA4抗体、MDX-1106(ニボルマブ)、MK3475(ペンブロリズマブ)、CT-011(ピディリズマブ)、PDR001およびAMP-224などの抗PD1抗体、ならびにMPDL3280A(アテゾリズマブ)、アベルマブ(MSB0010718C)、デュルバルマブ(MEDI4736)およびMDX-1105などの抗PDL1抗体、ならびにジヌツキシマブとしての、糖脂質GD2を標的とするモノクローナル抗体からなる群から選択される1種類以上の免疫療法剤とを含んでなる。組合せ製品の成分は、同じ処方物または別の処方物にある。
【0043】
別の可能性のある態様では、組合せ製品は、ロシグリタゾンおよびピオグリタゾンから選択されるPPAR-γ活性化薬を含んでなる。これらの薬物は癌細胞を細胞周期のG1期で停止させ、このPPAR-γ依存的作用を介した効果を引き起こさない場合がある。活性化薬のPPAR-γ非依存的効果と一緒に使用される拮抗薬のPPAR-γ依存的効果は相乗作用的であり得る。
【0044】
よって、本発明の誘導体および薬学上許容される塩ならびにこのような化合物および/またはそれらの塩を含んでなる医薬組成物は、必要とする対象に、有効量の本発明のベンズアミド誘導体またはそれらの薬学上許容される塩を投与することを含んでなる、ヒト身体の病態または疾患の治療方法に使用され得る。
【0045】
前述のように、本発明のベンズアミド誘導体は、PPAR-γ受容体の調節薬による処置によって改善を受け得ることが知られている疾患の治療または予防において有用である。このような疾患は、乳癌、膵臓癌、卵巣癌、前立腺癌、腎臓癌、膀胱癌、精巣癌、尿路上皮癌、皮膚癌、黒色腫、結腸癌、腎臓癌、脳癌、または造血器癌(リンパ腫、多発性骨髄腫および白血病から選択される)から選択される癌;骨粗鬆症、くる病、関節症、肥満、I型およびII型糖尿病、脂質代謝障害、膵炎、糖代謝障害、糖尿病性神経障害、糖尿病性合併症、高尿酸血症、骨粗鬆症、くる病、関節症から選択される代謝障害;乾癬、アトピー性皮膚炎、湿疹、尋常性座瘡、その他の皮膚炎および掻痒症から選択される炎症性皮膚疾患などの炎症性疾患;喘息および慢性閉塞性肺疾患から選択される肺疾患;自己免疫疾患;多発性硬化症、アルツハイマー病、パーキンソン病から選択される神経変性疾患;アテローム性動脈硬化症、静脈および動脈閉塞性疾患、浸潤的手法後の再狭窄、心筋症、心筋線維症、うっ血性心不全から選択される心血管疾患;新生物性疾患および腎疾患における血管新生および新血管新生から選択される。
【0046】
本明細書で使用する場合、ハロゲン原子という用語は、塩素、フッ素、臭素またはヨウ素原子、好ましくは、フッ素、塩素または臭素原子を含んでなる。接頭辞として使用される場合のハロという用語も同じ意味を有する。
【0047】
本明細書で使用する場合、C1-C3ハロアルキルという用語は、1個以上のハロゲン原子、好ましくは、1、2または3個のハロゲン原子により置換されたC1-C3アルキルを表すために使用される。好ましくは、ハロゲン原子は、フッ素または塩素原子からなる群から選択される。好ましい態様では、ハロアルキル基は、3個のフッ素原子で置換されたC1アルキル(トリフルオロメチル基)である。
【0048】
本明細書で使用する場合、C1-C3アルキルという用語は、1~3個の炭素原子を有する直鎖または分岐炭化水素基(CnH2n+1)を表すために使用される。例としては、メチル、エチル、n-プロピル、i-プロピル基が含まれる。
【0049】
本明細書で使用する場合、Cn-Cmシクロアルキルという用語は、n~m個の炭素原子、例えば、3~6個または3~4個の炭素原子を有する炭化水素単環式基を包含する。このようなシクロアルキル基は、例として、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチルおよびシクロヘキシルを含む。
【0050】
本明細書で使用する場合、C1-C3アルコキシという用語は、酸素原子に連結された直鎖または分岐C1-C3アルキル基(CnH2n+1-O-)を含有する基を表すために使用される。好ましいアルコキシ基はメトキシである。
【0051】
本明細書で使用する場合、C3-C4シクロアルコキシという用語は、酸素原子に連結されたC3-C4シクロアルキル基を含有する基を表すために使用される。
【0052】
本明細書で使用する場合、5~6員のヘテロアリール環という用語は、環の一部として炭素、水素ならびにN、OおよびSから選択される1個以上のヘテロ原子を含有する複素芳香環、例えば、フラン、ピリジン、ピラジン、ピロール、イミダゾール、ピラゾール、オキサゾール、チアゾールおよびチオフェンを表すために使用される。前記の基は、各場合において定義されたように1個以上の置換基で場合により置換されていてもよい。好ましい基は、場合により置換されていてもよいピリジル、ピリミジニルである。ヘテロアリール基が2個以上の置換基を有する場合、それらの置換基は同じであっても異なっていてもよい。
【0053】
本明細書で使用する場合、という用語は5員または6員の飽和複素環は、環の一部として炭素、水素ならびにおよびNおよびOから選択される1個以上のヘテロ原子を含有する飽和複素環式環、例えば、ピロリジニル、テトラヒドロフラニル、ジオキソラニル、ピラゾリジニル、イミダゾリニル、ピペラジニル、ピペリジニルおよびモルホリニルを表すために使用される。前記の基は、各場合において定義されたように1個以上の置換基で場合により置換されていてもよい。好ましい基は、場合により置換されていてもピペリジニル、ピペラジニルおよびモルホリニルである。複素環式基が2個以上の置換基を有する場合、それらの置換基は同じであっても異なっていてもよい。
【0054】
本明細書で使用する場合、本発明の一般構造に存在する原子、基、鎖または環の一部は「場合により置換されていてもよい」。これは、これらの原子、基、鎖または環が非置換であっても、またはいずれかの位置で1個以上、例えば、1、2、3もしくは4個の置換基で置換され、それにより、非置換原子、基、鎖または環に結合している水素原子が化学的に許容される原子、基、鎖または環に置き換わっていてもよいことを意味する。2個以上の置換基が存在する場合、各置換基は同じであっても異なっていてもよい。
【0055】
本明細書で使用する場合、薬学上許容される塩という用語は、薬学上許容される酸または塩基との塩を表すために使用される。薬学上許容される酸としては、無機酸、例えば、塩酸、硫酸、リン酸、二リン酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸および硝酸と有機酸、例えば、クエン酸、フマル酸、マレイン酸、リンゴ酸、マンデル酸、アスコルビン酸、シュウ酸、コハク酸、酒石酸、安息香酸、酢酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸またはp-トルエンスルホン酸の両方が含まれる。薬学上許容される塩基としては、アルカリ金属(例えば、ナトリウムまたはカリウム)、アルカリ土類金属(例えば、カルシウムまたはマグネシウム)水酸化物、および有機塩基、例えば、アルキルアミン、アリールアルキルアミンおよび複素環式アミンが含まれる。
【0056】
本発明による他の好ましい塩は、陰イオン(X-n)の等価体がN原子の正電荷に関連している第四級アンモニウム化合物である。X-nは、例えば、塩化物イオン、臭化物イオン、ヨウ化物イオン、硫化物イオン、硝酸イオン、リン酸イオンなどの種々の無機酸の陰イオン、または例えば、酢酸イオン、マレイン酸イオン、フマル酸イオン、クエン酸イオン、シュウ酸イオン、コハク酸イオン、酒石酸イオン、リンゴ酸イオン、マンデル酸イオン、トリフルオロ酢酸イオン、メタンスルホン酸イオンおよびトルエンスルホン酸イオンなどの有機酸の陰イオンであり得る。X-nは好ましくは、塩化物イオン、臭化物イオン、ヨウ化物イオン、硫化物イオン、硝酸イオン、酢酸イオン、マレイン酸イオン、シュウ酸イオン、コハク酸イオンまたはトリフルオロ酢酸イオンから選択される陰イオンである。より好ましくは、X-nは、塩化物イオン、臭化物イオン、トリフルオロ酢酸イオンまたはメタンスルホン酸イオンである。
【0057】
「調節薬」という用語は、特定の生物活性を遮断するまたはそうでなければ特定の生物活性に干渉する化合物、薬物、酵素、またはホルモンなどの分子を指す。
【0058】
「IC50」という用語は、本明細書で使用する場合、対照とする特異的結合の半分の阻害を生じる濃度を指す。IC50値は適当な用量反応曲線から推定することができ、より正確には、IC50値は非線形回帰分析を用いて決定され得る。
【0059】
本発明の一態様によれば、R3、R4およびR5は独立して、水素原子およびハロゲン原子から選択される。
【0060】
本発明の一態様によれば、R3、R4およびR5は水素原子である。
【0061】
本発明の一態様によれば、G1は窒素原子を表し、かつ、G2は-CR9基を表し、ここで、R9は、
a)ハロゲン原子、-COOH基からなる群から選択される1以上の置換基で場合により置換されていてもよいフェニル基、
b)ハロゲン原子およびシアノ基からなる群から選択される1以上の置換基で場合により置換されていてもよいピリジル環、
c)C1-C3アルキル基およびC3-C6シクロアルキル基から選択される基で場合により置換されていてもよいモルホリニルおよびピペラジニル基
から選択される。
【0062】
本発明の別の態様によれば、G2は窒素原子を表し、かつ、G1は-CR9基を表し、ここで、R9は、
a)ハロゲン原子および-COOH基からなる群から選択される1以上の置換基で場合により置換されていてもよいフェニル基、
b)ハロゲン原子およびシアノ基からなる群から選択される1以上の置換基で場合により置換されていてもよいピリジニル環、
c)C1-C3アルキル基およびC3-C6シクロアルキル基から選択される基で場合により置換されていてもよいモルホリニルおよびピペラジニル基
から選択される。
【0063】
本発明の他の態様では、R1はシアノ基を表し、R3、R4およびR5は水素原子を表し、G1はN原子を表し、かつ、G2は-CR9基を表し、ここで、R9は、ハロゲン原子、-COOH基およびシアノ基からなる群から選択される1以上の置換基で場合により置換されていてもよいフェニル基を表す。
【0064】
本発明の他の態様では、R1は、シアノ基を表し、R3、R4およびR5は独立して水素原子を表し、G1はN原子を表し、かつ、G2は-CR9基を表し、ここで、R9は、ハロゲン原子、シアノ基からなる群から選択される1以上の置換基で場合により置換されていてもよいピリジル環を表す。
【0065】
別の好ましい態様では、R1はシアノ基を表し、R3、R4およびR5は独立して水素原子を表し、G1はN原子を表し、かつ、G2は-CR9基を表し、ここで、R9は、ハロゲン原子、シアノ基からなる群から選択される1以上の置換基で場合により置換されていてもよいピリジル環を表す。
【0066】
別の好ましい態様では、R1はシアノ基を表し、R3、R4およびR5は水素原子を表し、G2はN原子を表し、かつ、G1は-CR9基を表し、ここで、R9は、
a)ハロゲン原子、-COOH基およびシアノ基からなる群から選択される1以上の置換基で場合により置換されていてもよいフェニル基、
b)ハロゲン原子、シアノ基からなる群から選択される1以上の置換基で場合により置換されていてもよいピリジル環
から選択される。
【0067】
本発明の特定の個々の化合物としては、
2-クロロ-5-シアノ-N-(2-フェニルピリジン-4-イル)ベンズアミド
2-クロロ-5-シアノ-N-(6-フェニルピリジン-3-イル)ベンズアミド
2-クロロ-5-シアノ-N-(2-(4-フルオロフェニル)ピリジン-4-イル)ベンズアミド
2-クロロ-5-シアノ-N-(6-(4-フルオロフェニル)ピリジン-3-イル)ベンズアミド
N-([2,3’-ビピリジン]-5-イル)-2-クロロ-5-シアノベンズアミド
N-([2,3’-ビピリジン]-4-イル)-2-クロロ-5-シアノベンズアミド
N-([2,4’-ビピリジン]-5-イル)-2-クロロ-5-シアノベンズアミド
N-([2,4’-ビピリジン]-4-イル)-2-クロロ-5-シアノベンズアミド
N-([2,3’-ビピリジン]-5-イル)-5-シアノ-2-フルオロベンズアミド
5-シアノ-2-フルオロ-N-(6-(4-フルオロフェニル)ピリジン-3-イル)ベンズアミド
5-シアノ-2-フルオロ-N-(2-(4-フルオロフェニル)ピリジン-4-イル)ベンズアミド
N-([2,3’-ビピリジン]-4-イル)-5-シアノ-2-フルオロベンズアミド
N-([2,2’-ビピリジン]-5-イル)-2-クロロ-5-シアノベンズアミド
2-クロロ-5-シアノ-N-(6-(4-メチルピペラジン-1-イル)ピリジン-3-イル)ベンズアミド
2-クロロ-5-シアノ-N-(2-(4-メチルピペラジン-1-イル)ピリジン-4-イル)ベンズアミド
2-クロロ-5-シアノ-N-(2-モルホリノピリジン-4-イル)ベンズアミド
2-クロロ-5-シアノ-N-(6-モルホリノピリジン-3-イル)ベンズアミド
N-([2,4’-ビピリジン]-4-イル)-5-シアノ-2-フルオロベンズアミド
N-([2,4’-ビピリジン]-5-イル)-5-シアノ-2-フルオロベンズアミド
2-クロロ-5-シアノ-N-(ピリダジン-4-イル)ベンズアミド
5-シアノ-2-フルオロ-N-(ピリダジン-4-イル)ベンズアミド
2-クロロ-5-シアノ-N-(6-シクロプロピルピリジン-3-イル)ベンズアミド
3-(5-(2-クロロ-5-シアノベンズアミド)ピリジン-2-イル)安息香酸
4-(5-(2-クロロ-5-シアノベンズアミド)ピリジン-2-イル)安息香酸
が含まれる。
【0068】
本発明の化合物は、下記の手順を用いて製造することができる。これらの手順の説明を容易にするために具体例が用いられているが、それらは本発明の範囲を何ら限定するものではない。
【0069】
式(I)の化合物の合成を下記のスキームで概説する。
【0070】
スキーム1
スキーム1では、式(III)の中間化合物および式(I)の化合物の合成を説明する。
【化2】
【0071】
試薬および条件:a)SOCl2;b)Y=ClまたはOH;(Y=Cl)、TEA、DMAP、アセトニトリル、40℃;(Y=OH)、HATU、DIPEA、DCM、RT/EDC、ピリジン、60℃。
【0072】
式(II)のカルボン酸または式(III)の塩化アシル誘導体のいずれかを用いて式(V)のアミンをアシル化して(ここで、R1は上記に定義)、本発明により特許請求される化合物の特定の例である式(I)のアミド誘導体を得ることができる。市販の式(II)の酸を塩化チオニルと反応させると、式(III)の塩化アシルが得られる。式(II)のカルボン酸を用いる式(I)のアミドの製造のために、この酸を、室温で、トリエチルアミンまたはDIPEAなどの塩基と式(IV)の対応するヘテロアリールアミンの存在下、HATU、EDCなどの典型的なカップリング試薬で活性化させる。
【0073】
スキーム2
スキーム2では、式(IX)および(X)の中間化合物の合成を説明する。
【化3】
【0074】
試薬および条件:c)[1,1’-ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]ジクロロパラジウム(II)、Cs2CO3、1,4-ジオキサン/H2O、100℃、12時間。
【0075】
式(V)のアミンの特定の例である式(IX)および(X)のアミンの合成は、25℃~110℃の温度で、炭酸セシウムなどの塩基の水溶液の存在下、ジオキサン中、[1,1’-ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]ジクロロパラジウム(II)のジクロロメタンとの複合体などのパラジウム触媒を用い、式(VI)または(VII)のヘテロアリールアミンとR9のボロン酸またはボロン酸誘導体との鈴木型カップリングによって行う。
【0076】
スキーム3
スキーム3では、式(IX)および(X)の中間化合物の合成を説明する。
【化4】
【0077】
試薬および条件:d)モレキュラーシーブ、p-トルエンスルホン酸、トルエン、還流下で4時間;e)テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム、トルエン、N2、130℃で一晩;f)塩酸ヒドロキシルアミン、トリエチルアミン、エタノール/H2O、80℃、20時間。
【0078】
いくつかの特定の例で、R9置換基を導入するためにトリブチルスタンニル誘導体を使用する。この反応は、N2雰囲気下、130℃で一晩、乾燥トルエン中、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウムを触媒として行う。アミノ基は、ヘキサン-2,5-ジオン(XI)との反応および2,5-ジメチル-1H-ピロール誘導体(XII)または(XIII)の形成により予め保護する。このアミノ基を、80℃で20時間、エタノール水溶液中、トリエチルアミンの存在下、ヒドロキシルアミンを用いて再び遊離させ、式(IX)または(X)の中間体を得た。
【0079】
スキーム4
スキーム4では、式(IX)および(X)の中間化合物の合成を説明する。
【化5】
【0080】
試薬および条件:g)テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム、トルエン、N2、130℃、48時間。
【0081】
この反応はアミノ保護基を用いずに行うことも可能である。すなわち、この場合、式(VI)または(VII)のヘテロアリールアミンを、N2雰囲気下、130℃で48時間、乾燥トルエン中、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウムを触媒として、トリブチルスタンニル誘導体と反応させ、収率は良好である。
【0082】
略号
本願では、対応する定義で下記の略号が使用される。
RT: 室温
Pd2(dba)3: トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム
SPhos: ジシクロヘキシル(2’,6’-ジメトキシ-[1,1’-ビフェニル]-2-イル)ホスフィン
TEA: トリエチルアミン
NaHMDS: ナトリウムビス(トリメチルシリル)アミド
THF: テトラヒドロフラン
DMSO: ジメチルスルホキシド
【0083】
薬理活性
結果
本発明の化合物を、ヒトPPAR-γ(h)(作用薬放射性リガンド)アッセイへの結合に関して検定し、IC50の決定のために数種の濃度で試験した。
【0084】
化合物結合は、(FERRY, Gilles, et al. Binding of prostaglandins to human PPARγ: tool assessment and new natural ligands. European journal of pharmacology, 2001, vol. 417, no 1, p. 77-89)に記載されているように、各標的に特異的な放射性標識リガンドの結合の阻害率%として計算した。
【0085】
IC50値(対照とする特異的結合の半分の阻害を生じる濃度)は、Hillの式の曲線の当てはめを用い、平均反復値で作成した競合曲線の非線形回帰分析により決定した。
【0086】
【0087】
式中、Y=特異的結合、A=曲線の左側漸近線、D=曲線の右側漸近線、C=化合物の濃度、C50=IC50、およびnH=勾配係数。この分析は、EUROFINS Cerep Companyで開発されたソフトウエア(Hillソフトウエア)を用いて行い、市販のウィンドウズ(登録商標)用ソフトウエアSigmaPlot(登録商標)4.0((C)1997 SPSS Inc.による)によって作成されたデータと比較することによってバリデートした。
【0088】
阻害定数(Ki)は、Cheng Prusoff式を用いて計算した。
【0089】
【数2】
式中、L=アッセイにおける放射性リガンドの濃度、およびKD=受容体に対する放射性リガンドの親和性。スキャッチャードプロットを用いてKDを決定する。
【0090】
表1は、本発明のいくつかの化合物のIC50値を示す。
【0091】
IC50範囲:A<0.2μM;0.2μM≦B<1μM;1μM≦C<50μM m、D≧50μM。
【0092】
【0093】
表1に記載される結果から分かるように、本発明の化合物はPPAR-γ受容体の調節薬(モジュレーター)であると判明した。
【0094】
本発明の化合物は、PPAR-γ受容体の調節により改善を受け得ることが知られている疾患の治療または予防に有用である。このような疾患は、乳癌、膵臓癌、卵巣癌、前立腺癌、腎臓癌、膀胱癌、精巣癌、尿路上皮癌、皮膚癌、黒色腫、結腸癌、腎臓癌、脳癌、または造血器癌(リンパ腫、多発性骨髄腫および白血病から選択される)から選択される癌;骨粗鬆症、くる病、関節症、肥満、I型およびII型糖尿病、脂質代謝障害、膵炎、糖代謝障害、糖尿病性神経障害、糖尿病性合併症、高尿酸血症、骨粗鬆症、くる病、関節症から選択される代謝障害;乾癬、アトピー性皮膚炎、湿疹、尋常性座瘡、その他の皮膚炎および掻痒症から選択される炎症性皮膚疾患などの炎症性疾患;喘息および慢性閉塞性肺疾患から選択される肺疾患;自己免疫疾患;多発性硬化症、アルツハイマー病、パーキンソン病から選択される神経変性疾患;アテローム性動脈硬化症、静脈および動脈閉塞性疾患、浸潤的手法後の再狭窄、心筋症、心筋線維症、うっ血性心不全から選択される心血管疾患;新生物性疾患および腎疾患における血管新生および新血管新生から選択される。
【0095】
よって、本発明の誘導体およびその薬学上許容される塩ならびにそのような化合物および/またはそれらの塩を含んでなる医薬組成物は、ヒト身体の障害の治療方法において使用することができ、その方法は、そのような治療を必要とする対象に有効量の本発明のベンズアミド誘導体またはそれらの薬学上許容される塩を投与することを含んでなる。
【0096】
本発明の化合物の1つの治療的使用は、癌などの増殖性疾患または障害を治療することである。癌は、乳癌、膵臓癌、卵巣癌、前立腺癌、腎臓癌、膀胱癌、精巣癌、尿路上皮癌、皮膚癌、黒色腫、結腸癌、腎臓癌、脳癌、または造血器癌(リンパ腫、多発性骨髄腫および白血病から選択される)から選択される。
【0097】
本発明の化合物の1つのより好ましい治療的使用は、膀胱癌を治療することである。
【0098】
本発明はまた、有効成分として少なくとも式(I)のベンズアミド誘導体またはそれらの薬学上許容される塩を、他の治療剤および担体または希釈剤などの薬学上許容される賦形剤とともに含んでなる医薬組成物を提供する。有効成分は、処方物の性質および適用前にさらなる希釈溶液が作製されるかどうかによって0.001重量%~99重量%、好ましくは0.01重量%~90重量%の組成物を含んでなり得る。好ましくは、これらの組成物は、経口、局所、鼻腔、直腸、経皮または注射投与に好適な形態で作製される。
【0099】
本発明の組成物を形成するために有効化合物またはそのような化合物の塩と混合される薬学上許容される賦形剤はそれ自体周知であり、使用する実際の賦形剤は、とりわけ、それらの組成物を投与する意図される方法によって異なる。
【0100】
本発明の組成物は好ましくは、注射および経口投与に適合される。この場合、経口投与用の組成物は、全て本発明の化合物を含有する錠剤、遅延錠剤、舌下錠、カプセル剤、吸入エアロゾル、吸入溶液、ドライパウダー吸入、または混合物、エリキシル剤、シロップもしくは懸濁液などの液体製剤の形態をとってよく、このような製剤は当技術分野で周知の方法によって作製され得る。
【0101】
組成物の調製に使用可能な希釈剤としては、所望により着色剤または香味剤を伴う有効成分に適合した液体および固体希釈剤が含まれる。錠剤またはカプセル剤は好都合には、2~500mgの有効成分または等価量のその塩を含有し得る。
【0102】
経口使用に適合した液体組成物は、溶液または懸濁液の形態であり得る。これらの溶液は、シロップを形成するために例えばスクロースを伴った、有効化合物の可溶性塩またはその他の誘導体の水溶液であり得る。懸濁液は、沈殿防止剤または香味剤とともに水を伴った、本発明の不溶性の有効化合物またはその薬学上許容される塩を含んでなり得る。
【0103】
非経口注射用の組成物は、凍結乾燥させてもさせなくてもよく、パイロジェンフリー水性媒体または他の適当な非経口注射液に溶解させてもよい可溶性塩から調製され得る。
【0104】
有効用量は通常、1日当たり2~2000mgの範囲の有効成分であり得る。一日量は1日に1回以上の処置、好ましくは、1~4回の処置で投与され得る。
【0105】
以下、実施例により本発明をさらに説明する。実施例は例示として示すものであり、本発明の範囲を何ら限定するものではない。本発明の化合物の合成を、中間体の製造を含め、実施例で説明するが、これらは本発明の範囲を何ら限定するものではない。
【実施例】
【0106】
概要 試薬、溶媒および出発生成物は、商業的供給者から入手した。「濃縮」という用語は、ビュッヒ回転蒸発器を用いた真空蒸発を指す。示されている場合、反応生成物は、示されている溶媒系を用いたシリカゲル(40~63μm)での「フラッシュ」クロマトグラフィーにより精製した。分光分析データは、Varian Mercury 400分光計で測定した。融点は、ビュッヒ535機で測定した。HPLC-MSは、Gilson 321ピストンポンプ、Gilson 864真空脱気装置、Gilson 189インジェクションモジュール、1/1000 Gilsonスプリッター、Gilson 307ポンプ、Gilson 170検出器、およびThermoquest Fennigan aQa検出器を備えたGilson機にて行った。
【0107】
中間体1: 2-クロロ-5-シアノベンゾイルクロリド
【化6】
2-クロロ-5-シアノ安息香酸(100mg、0.55mmol)を1mLの塩化チオニルに懸濁させ、この反応混合物を還流下で一晩撹拌した。この反応物を室温に冷却し、溶媒を真空下で除去した。固体をそれ以上精製せずに次の反応工程で使用した。
【0108】
下記の中間体は、5-シアノ-2-フルオロ安息香酸から出発し、中間体1に記載の手順を用いて合成した。
【0109】
中間体2: 5-シアノ-2-フルオロベンゾイルクロリド
【化7】
カルボン酸の塩化物もまた、それ以上精製せずに次の反応工程で使用した。
【0110】
中間体3: 2-フェニルピリジン-4-アミン
【化8】
2-ブロモピリジン-4-アミン(150mg、0.86mmol)、フェニルボロン酸(211.4mg、1.73mmol)および[1,1’-ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]ジクロロパラジウム(II)(42.46mg、0.054mmol)を水(1.3mL、2.60mmol)および6.5mLの1,4-ジオキサン中、2M Cs
2CO
3混合物に懸濁させた。この反応混合物を脱気し、バイアルを密閉し、110℃で一晩加熱した。この反応物を1M NaOHで急冷し、酢酸エチルで2回抽出した。有機層を洗浄し(飽和NaHCO
3およびブライン)、硫酸ナトリウムで乾燥させ、真空濃縮した。粗物質をCombiFlashカラムクロマトグラフィー(シクロヘキサン:酢酸エチル)により精製し、アミン誘導体(91.2mg、61.8%)を得た。
【0111】
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ = 8.08 (d, 1H), 7.90 (d, 2H), 7.44 (t, 2H), 7.37 (t, 1H), 6.99 (d, 1H), 6.45 (dd, 1H), 6.07 (s, 2H).
HPLC-MS: Rt 3.014; m/z 170.9 (MH+).
【0112】
下記の中間体は、対応するピリジニルハリドおよびボロン酸誘導体から出発し、中間体3に関して記載した手順を用いて合成した。
【0113】
中間体4: 2-(4-フルオロフェニル)ピリジン-4-アミン
【化9】
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d
6): δ = 8.07 (d, 1H), 7.95 (dd, 2H), 7.25 (t, 2H), 6.96 (d, 1H), 6.44 (dd, 1H), 6.06 (s, 2H).
HPLC-MS: Rt 3.328; m/z 189.1 (MH
+).
【0114】
中間体5: 6-フェニルピリジン-3-アミン
【化10】
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d
6): δ = 8.02 (d, 1H), 7.91 (d, 2H), 7.62 (d, 1H), 7.38 (t, 2H), 7.26 (t, 1H), 6.99 (dd, 1H), 5.45 (s, 2H).
HPLC-MS: Rt 3.442; m/z 170.9 (MH
+).
【0115】
中間体6: 6-(4-フルオロフェニル)ピリジン-3-アミン
【化11】
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d
6): δ = 8.01 (d, 1H), 7.93 (dd, 2H), 7.60 (d, 1H), 7.20 (t, 2H), 6.99 (dd, 1H), 5.45 (s, 2H).
HPLC-MS: Rt 3.670; m/z 188.9 (MH
+).
【0116】
中間体7: [2,4’-ビピリジン]-4-アミン
【化12】
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d
6): δ = 8.64 (d, 2H), 8.13 (d, 1H), 7.86 (d, 2H), 7.11 (d, 1H), 6.54 (dd, 1H), 6.21 (s, 2H).
HPLC-MS: Rt 2.326; m/z 172.0 (MH
+).
【0117】
中間体8: [2,4’-ビピリジン]-5-アミン
【化13】
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d
6): δ = 8.54 (d, 2H), 8.07 (d, 1H), 7.87 (d, 2H), 7.79 (d, 1H), 7.01 (dd, 1H), 5.76 (s, 2H).
HPLC-MS: Rt 2.479; m/z 171.9 (MH
+).
【0118】
中間体9: [2,3’-ビピリジン]-4-アミン
【化14】
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d
6): δ = 9.02 (d, 1H), 8.69 (dd, 1H), 8.23 (d, 1H), 8.15 (d, 1H), 7.57 (dd, 2H), 7.28 (s, 1H), 7.08 (d, 1H), 6.70 (dd, 1H).
HPLC-MS: Rt 2.303; m/z 172.0 (MH
+).
【0119】
中間体10: [2,3’-ビピリジン]-5-アミン
【化15】
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d
6): δ = 9.10 (d, 1H), 8.46 (dd, 1H), 8.24 (m, 1H), 8.05 (d, 1H), 7.71 (d, 1H), 7.40 (dd, 1H), 7.01 (dd, 1H), 5.58 (s, 2H).
HPLC-MS: Rt 2.471; m/z 172.0 (MH
+).
【0120】
中間体11: 3-(5-アミノピリジン-2-イル)安息香酸tert-ブチル
【化16】
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d
6): δ = 8.45 (s, 1H), 8.12 (d, 1H), 8.05 (d, 1H), 7.79 (d, 1H), 7.67 (d, 1H), 7.50 (t, 1H), 7.02 (dd, 1H), 5.55 (s, 2H), 1.57 (s, 9H).
HPLC-MS: Rt 4.808; m/z 271.1 (MH
+)
【0121】
中間体12: 3-(5-アミノピリジン-2-イル)安息香酸メチル
【化17】
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d
6): δ = 8.55 (s, 1H), 8.16 (d, 1H), 8.05 (d, 1H), 7.85 (d, 1H), 7.70 (d, 1H), 7.54 (t, 1H), 7.01 (dd, 1H), 5.56 (s, 2H), 3.88 (s, 3H).
HPLC-MS: Rt 3.731; m/z 229.1 (MH
+)
【0122】
中間体13: 4-(5-アミノピリジン-2-イル)安息香酸tert-ブチル
【0123】
【化18】
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d
6): δ = 8.04 (d, 3H), 7.90 (d, 2H), 7.73 (d, 1H), 7.00 (dd, 1H), 5.66 (s, 2H), 1.55 (s, 9H).
HPLC-MS: Rt 4.589; m/z 271.1 (MH
+)
【0124】
中間体14: 4-(5-アミノピリジン-2-イル)安息香酸メチル
【化19】
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d
6): δ = 8.07 (d, 3H), 7.97 (d, 2H), 7.74 (d, 1H), 7.01 (dd, 1H), 5.66 (s, 2H), 3.85 (s, 3H).
HPLC-MS: Rt 3.724; m/z 229.1 (MH
+)
【0125】
中間体15: 2-モルホリノピリジン-4-アミン
【化20】
密閉フラスコで、0.8mLの無水DMSO中、2-ブロモピリジン-4-アミン(100mg、0.58mmol)およびモルホリン(0.25mL、2.9mmol)を溶解させた。この混合物に炭酸カリウム(239.6mg、1.73mmol)を加え、反応物を190℃で16時間撹拌した。この混合物を飽和NaHCO
3で急冷し、酢酸エチルで抽出した。有機層を乾燥させ、濃縮した。粗物質をCombiFlashカラムクロマトグラフィー(DCM/MeOH)により精製し、目的生成物(25mg、24.1%)を得た。
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d
6): δ = 7.63 (d, 1H), 5.98 (dd, 1H), 5.85 (s, 3H), 3.66 (m, 4H), 3.27 (m, 4H).
HPLC-MS: Rt 1.661; m/z 180.0 (MH
+).
【0126】
下記の中間体は、対応するピリジニルハリドおよびアミンから出発し、中間体15に関して記載した手順を用いて合成した。
【0127】
中間体16: 6-モルホリノピリジン-3-アミン
【化21】
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d
6): δ = 7.61 (s, 1H), 6.93 (d, 1H), 6.62 (d, 1H), 4.66 (s, 2H), 3.68 (s, 4H), 3.17 (s, 4H).
HPLC-MS: Rt 1.730; m/z 179.9 (MH
+).
【0128】
中間体17: 2-(4-メチルピペラジン-1-イル)ピリジン-4-アミン
【化22】
1-メチルピペラジン(0.64mL、5.8mmol)中、2-ブロモピリジン-4-アミン(100mg、0.58mmol)を密封バイアル中、135℃で16時間加熱した。この反応物をジエチルエーテルとメタノールの混合物に溶解させ、濃縮した。この固体の精製をCombiFlashクロマトグラフィーカラム(DCM/MeOH)により行い、2-(4-メチルピペラジン-1-イル)ピリジン-4-アミン(84.2mg、75.7%)を得た。
【0129】
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ = 7.61 (d, 1H), 5.95 (dd, 1H), 5.86 (s, 1H), 5.82 (s, 2H), 3.33 (m, 4H), 3.04 (m, 4H), 2.23 (s, 3H).
HPLC-MS: Rt 1.995; m/z 193.0 (MH+).
【0130】
下記の中間体は、対応するピリジニルハリドおよびアミンから出発し、中間体17に関して記載した手順を用いて合成した。
【0131】
中間体18: 6-(4-メチルピペラジン-1-イル)ピリジン-3-アミン
【化23】
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d
6): δ = 7.59 (s, 1H), 6.90 (d, 1H), 6.62 (d, 1H), 4.61 (s, 2H), 3.23 (s, 4H), 2.46 (s, 4H), 2.25 (s, 3H).
HPLC-MS: Rt 1.903; m/z 192.9 (MH
+).
【0132】
中間体19: 2-ブロモ-5-(2,5-ジメチル-1H-ピロール-1-イル)ピリジン
【化24】
モレキュラーシーブ入りの沈降管(settled tube)中に、2mLの無水トルエン中、6-ブロモピリジン-3-アミン(100mg、0.58mmol)、ヘキサン-2,5-ジオン(0.075mL、0.64mmol)およびp-トルエンスルホン酸(1.5mg、0.008mmol)を加えた。この混合物を還流下で4時間撹拌した。この反応混合物を飽和NaHCO
3で急冷し、トルエンで抽出した(2回)。有機層を乾燥させ、真空濃縮し、CombiFlashクロマトグラフィーカラム(シクロヘキサン/酢酸エチル)により精製し、目的の中間体(83.2mg、57.3%)を得た。
【0133】
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ = 8.39 (d, 1H), 7.79 (m, 2H), 5.85 (s, 2H), 1.99 (s, 6H).
HPLC-MS: Rt 4.958; m/z 251.8 (MH+).
【0134】
下記の中間体は、対応するアミンから出発し、中間体19に関して記載した手順を用いて合成した。
【0135】
中間体20: 2-ブロモ-4-(2,5-ジメチル-1H-ピロール-1-イル)ピリジン
【化25】
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d
6): δ = 8.51 (d, 1H), 7.72 (s, 1H), 7.45 (d, 1H), 5.88 (s, 2H), 2.06 (s, 6H).
HPLC-MS: Rt 4.892; m/z 251.8 (MH
+).
【0136】
中間体21: 5-(2,5-ジメチル-1H-ピロール-1-イル)-2,2’-ビピリジン
【化26】
室温で1.5mLの乾燥トルエン中、2-ブロモ-5-(2,5-ジメチル-1H-ピロール-1-イル)ピリジン(73.2mg、0.29mmol)の溶液に、N
2雰囲気下で2-(トリブチルスタンニル)ピリジン(0.02mL、0.44mmol)を滴下した後、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(10.1mg、0.009mmol)を加えた。この反応混合物を窒素で脱気し、130℃で一晩撹拌した。この反応物を室温に冷却した。次に、この混合物を2M NaOHに取り、酢酸エチルで分離した(2回)。有機層をブラインで洗浄し、Na
2SO
4で乾燥させ、溶媒を真空下で除去した。粗物質をCombiFlashクロマトグラフィーカラム(シクロヘキサン/酢酸エチル)により精製し、目的の化合物(60.2mg、82.9%)を得た。
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d
6): δ = 8.77 (d, 1H), 8.68 (d, 1H), 8.55 (d, 1H), 8.51 (d, 1H), 8.12 (t, 1H), 7.98 (dd, 1H), 7.60 (m, 1H), 5.89 (s, 2H), 2.04 (s, 6H).
HPLC-MS: Rt 5.044; m/z 249.9 (MH
+).
【0137】
下記の中間体は、対応する(2,5-ジメチル-1H-ピロール-1-イル)ピリジン誘導体から出発し、中間体21に関して記載した手順を用いて合成した。
【0138】
中間体22: 4-(2,5-ジメチル-1H-ピロール-1-イル)-2,2’-ビピリジン
【化27】
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d
6): δ = 8.82 (d, 1H), 8.70 (d, 1H), 8.45 (d, 1H), 8.19 (d, 1H), 8.00 (t, 1H), 7.48 (m, 2H), 5.91 (s, 2H), 2.08 (s, 6H).
HPLC-MS: Rt 5.056; m/z 249.9 (MH
+).
【0139】
中間体23: [2,2’-ビピリジン]-5-アミン
【化28】
方法A: 1.4mLのエタノールおよび0.6mLのH
2O中、5-(2,5-ジメチル-1H-ピロール-1-イル)-2,2’-ビピリジン(75.6mg、0.3mmol)、塩酸ヒドロキシルアミン(210.7mg、3.0mmol)およびトリエチルアミン(0.084mL、0.6mmol)の混合物を80℃で20時間撹拌した。この混合物を1M HClに注ぎ、ジエチルエーテルで洗浄した。水層を中和し、5M NaOH および2M NaOHでpH=9~10となるまで塩基性化し、ジクロロメタンで抽出した(3回)。それぞれの有機層を回収し、乾燥させた。粗物質をCombiFlashクロマトグラフィーカラム(ジクロロメタン/ジクロロメタン:メタノール20%)により精製し、アミン誘導体(19.6mg、37.8%)を得た。
【化29】
【0140】
方法B: 室温で1.5mLの乾燥トルエン中、6-ブロモピリジン-3-アミン(50mg、0.29mmol)の溶液に、N2雰囲気下で2-(トリブチルスタンニル)ピリジン(0.013mL、0.35mmol)を滴下した後、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(40.2mg、0.03mmol)を加えた。この反応混合物を窒素で脱気し、130℃で2日間撹拌した。この反応物を室温に冷却した。次に、この混合物を2M NaOHに取り、酢酸エチルで分離した(2回)。有機層をブラインで洗浄し、Na2SO4で乾燥させ、溶媒を真空下で除去した。粗物質をCombiFlashクロマトグラフィーカラム(DCM/DCM:MeOH20%)により精製し、目的の化合物(21.6mg、43.5%)を得た。
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ = 8.54 (d, 1H), 8.17 (d, 1H), 8.08 (d, 1H), 8.01 (d, 1H), 7.80 (td, 1H), 7.25 (m, 1H), 7.01 (dd, 1H), 5.65 (s, 2H).
HPLC-MS: Rt 2.746; m/z 172.0 (MH+).
【0141】
下記の中間体は、対応する誘導体から出発し、中間体23に関して記載した手順を用いて合成した。
【0142】
中間体24: [2,2’-ビピリジン]-4-アミン
【化30】
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d
6): δ = 8.62 (d, 1H), 8.29 (d, 1H), 8.09 (d, 1H), 7.88 (td, 1H), 7.61 (d, 1H), 7.39 (dd, 1H), 6.53 (dd, 1H), 6.27 (s, 2H).
HPLC-MS: Rt 2.851; m/z 171.9 (MH
+).
【0143】
中間体25: 6-シクロプロピルピリジン-3-アミン
【化31】
封管中で、12mLのトルエンおよび0.6mLのH
2O中、300mg(1.73mmol)の6-ブロモピリジン-3-アミン、297.9mg(3.47mmol)のシクロプロピルボロン酸、97.25mg(0.35mmol)のトリシクロヘキシルホスフィン、38.92mg(0.17mmol)の酢酸パラジウムおよび1104mg(5.20mmol)のリン酸カリウムを混合した。この反応混合物をN
2で脱気し、100℃で2日間撹拌した。この混合物を酢酸エチルに取り、1M NaOHで抽出した(2回)。有機層を真空下で乾燥させ、粗物質をクロマトグラフィーカラム(Combi-Flash ヘキサン:酢酸エチル)により精製し、28mg(0.21mmol、12.03%)の6-シクロプロピルピリジン-3-アミンを得た。
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d
6): δ = 7.77 (d, 1H), 6.89 (d, 1H), 6.81 (dd, 1H), 4.96 (s, 2H), 1.85 (m, 1H), 0.75 (m, 2H), 0.70 (m, 2H).
HPLC-MS: Rt 2.589; m/z 135.1 (MH
+)
【0144】
中間体26: N-(2-ブロモピリジン-4-イル)-2-クロロ-5-シアノベンズアミド
【化32】
0.5mLのピリジン中、2-クロロ-5-シアノ安息香酸(50mg、0.27mmol)、2-ブロモピリジン-4-アミン(47.6mg、0.27mmol)およびEDC(116.2mg、0.60mmol)の混合物を60℃で48時間撹拌した。ピリジンを真空下で除去し、得られた粗物質をCombiFlashクロマトグラフィーカラム(ヘキサン/酢酸エチル)により精製し、目的の生成物(6.2mg、6.7%)を得た。
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d
6): δ = 11.23 (s, 1H), 8.33 (d, 1H), 8.27 (d, 1H), 8.05 (dd, 1H), 7.98 (s, 1H), 7.86 (d, 1H), 7.60 (dd, 1H).
HPLC-MS: Rt 4.289; m/z 337.9 (MH
+).
【0145】
下記の中間体は、対応する誘導体から出発し、中間体26に関して記載した手順を用いて合成した。
【0146】
中間体27: N-(6-ブロモピリジン-3-イル)-2-クロロ-5-シアノベンズアミド
【化33】
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d
6): δ = 11.01 (s, 1H), 8.68 (s, 1H), 8.25 (d, 1H), 8.09 (dd, 1H), 8.03 (dd, 1H), 7.85 (d, 1H), 7.68 (d, 1H).
HPLC-MS: Rt 4.243; m/z 337.9 (MH
+).
【0147】
中間体28: 3-(5-(2-クロロ-5-シアノベンズアミド)ピリジン-2-イル)安息香酸tert-ブチル
【化34】
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d
6): δ = 11.01 (s, 1H), 8.94 (d, 1H), 8.59 (s, 1H), 8.30 (m, 3H), 8.08 (d, 1H), 8.04 (dd, 1H), 7.94 (d, 1H), 7.86 (d, 1H), 7.62 (t, 1H), 1.59 (s, 9H).
HPLC-MS: Rt 5.584; m/z 434.1 (MH
+)
【0148】
中間体29: 4-(5-(2-クロロ-5-シアノベンズアミド)ピリジン-2-イル)安息香酸tert-ブチル
【化35】
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d
6): δ = 11.05 (s, 1H), 8.95 (d, 1H), 8.30 (m, 2H), 8.20 (d, 2H), 8.11 (d, 1H), 8.04 (dd, 1H), 8.00 (d, 2H), 7.86 (d, 1H), 1.57 (s, 9H).
HPLC-MS: Rt 5.610; m/z 434.1 (MH
+)
【0149】
中間体30: ピリダジン-4-イルアミン
【化36】
この生成物は市販されており、また、Hara, H. and Van Der Plas, H. C. (1982), On the amination of azaheterocycles. A new procedure for the introduction of an amino group . Journal of Heterocyclic Chemistry, 19: 1285-1287. doi:10.1002/jhet.5570190605に記載されているように得ることもできる。
【0150】
最終生成物:
実施例1: 2-クロロ-5-シアノ-N-(2-フェニルピリジン-4-イル)ベンズアミド
【化37】
乾燥DCM中、2-クロロ-5-シアノベンゾイルクロリド(中間体1)(55.1mg、0.27mmol)を、1mLの乾燥DCM中、2-フェニルピリジン-4-アミン(中間体3)(42.5mg、0.25mmol)、トリエチルアミン(0.05mL、0.37mmol)の冷却混合物に滴下した。この反応混合物を40℃で一晩撹拌した。この混合物をDCMおよび飽和NaHCO
3で抽出した。有機層を乾燥させ(Na
2SO
4)、濃縮した。粗物質を、CombiFlashカラムクロマトグラフィー(シクロヘキサン/酢酸エチル)により精製し、アミド誘導体(54.2、59.1%)を得た。
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d
6): δ = 11.11 (s, 1H), 8.61 (d, 1H), 8.29 (d, 1H), 8.20 (s, 1H), 8.05 (dd, 1H), 7.99 (d, 2H), 7.86 (d, 1H), 7.64 (d, 1H), 7.52 (t, 2H), 7.46 (t, 1H).
HPLC-MS: Rt 4.737; m/z 333.8 (MH
+).
【0151】
下記の実施例は、対応する置換安息香酸塩化物およびアミンから出発し、実施例1に関して記載した手順を用いて合成した。
【0152】
実施例2: 2-クロロ-5-シアノ-N-(6-フェニルピリジン-3-イル)ベンズアミド
(中間体1および5を使用)
【化38】
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d
6): δ = 10.96 (s, 1H), 8.91 (d, 1H), 8.27 (t, 1H), 8.24 (d, 1H), 8.04 (m, 4H), 7.85 (d, 1H), 7.49 (t, 2H), 7.42 (t, 1H).
HPLC-MS: Rt 4.785; m/z 333.8 (MH
+).
【0153】
実施例3: 2-クロロ-5-シアノ-N-(2-(4-フルオロフェニル)ピリジン-4-イル)ベンズアミド
【化39】
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d
6): δ = 11.11 (s, 1H), 8.60 (d, 1H), 8.28 (s, 1H), 8.19 (s, 1H), 8.04 (t, 3H), 7.86 (d, 1H), 7.62 (d, 1H), 7.35 (t, 2H).
HPLC-MS: Rt 4.838; m/z 351.8 (MH
+).
【0154】
実施例4: 2-クロロ-5-シアノ-N-(6-(4-フルオロフェニル)ピリジン-3-イル)ベンズアミド
(中間体1および6を使用)
【化40】
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d
6): δ = 10.96 (s, 1H), 8.90 (s, 1H), 8.25 (d, 2H), 8.12 (m, 2H), 8.02 (t, 2H), 7.85 (d, 1H), 7.31 (t, 2H).
HPLC-MS: Rt 4.870; m/z 351.8 (MH
+).
【0155】
実施例5: N-([2,3’-ビピリジン]-5-イル)-2-クロロ-5-シアノベンズアミド
(中間体1および10を使用)
【化41】
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d
6): δ = 11.02 (s, 1H), 9.25 (d, 1H), 8.95 (d, 1H), 8.62 (dd, 1H), 8.42 (d, 1H), 8.29 (dd, 2H), 8.11 (d, 1H), 8.04 (dd, 1H), 7.86 (d, 1H), 7.52 (dd, 1H).
HPLC-MS: Rt 3.897; m/z 334.8 (MH
+).
【0156】
実施例6: N-([2,3’-ビピリジン]-4-イル)-2-クロロ-5-シアノベンズアミド
(中間体1および9を使用)
【化42】
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d
6): δ = 11.17 (s, 1H), 9.16 (d, 1H), 8.66 (d, 2H), 8.33 (d, 1H), 8.28 (d, 1H), 8.22 (s, 1H), 8.05 (dd, 1H), 7.87 (d, 1H), 7.71 (d, 1H), 7.55 (dd, 1H).
HPLC-MS: Rt 3.908; m/z 334.8 (MH
+).
【0157】
実施例7: N-([2,4’-ビピリジン]-5-イル)-2-クロロ-5-シアノベンズアミド
【化43】
乾燥アセトニトリル中、2-クロロ-5-シアノベンゾイルクロリド(中間体1)(64.3mg、0.32mmol)を、3mLの乾燥アセトニトリル中、[2,4’-ビピリジン]-5-アミン(中間体8)(50mg、0.29mmol)、トリエチルアミン(0.05mL、0.37mmol)および4-DMAP(0.36mg、0.0029mmol)の溶液に滴下した。この反応混合物を50℃で一晩撹拌した。この混合物を水で急冷し、酢酸エチルで3回抽出した。有機層を乾燥させ(Na
2SO
4)、濃縮した。粗物質をCombiFlashカラムクロマトグラフィー(DCM/メタノール)により精製し、アミド誘導体(21.7、22.2%)を得た。
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d
6): δ = 11.09 (s, 1H), 8.97 (d, 1H), 8.69 (d, 2H), 8.33 (dd, 1H), 8.29 (d, 1H), 8.19 (d, 1H), 8.05 (dd, 3H), 7.86 (d, 1H).
HPLC-MS: Rt 3.874; m/z 334.8 (MH
+).
【0158】
下記の実施例は、対応する置換安息香酸塩化物およびアミンから出発し、実施例7に関して記載した手順を用いて合成した。
【0159】
実施例8: N-([2,4’-ビピリジン]-4-イル)-2-クロロ-5-シアノベンズアミド
(中間体1および7を使用)
【化44】
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d
6): δ = 11.21 (s, 1H), 8.70 (m, 3H), 8.30 (d, 2H), 8.06 (d, 1H), 7.94 (s, 2H), 7.87 (d, 1H), 7.75 (s, 1H).
HPLC-MS: Rt 3.902; m/z 334.8 (MH
+).
【0160】
実施例9: N-([2,3’-ビピリジン]-5-イル)-5-シアノ-2-フルオロベンズアミド
(中間体2および10を使用)
【化45】
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d
6): δ = 10.96 (s, 1H), 9.25 (d, 1H), 8.97 (d, 1H), 8.61 (d, 1H), 8.42 (d, 1H), 8.30 (m, 2H), 8.13 (dd, 2H), 7.66 (t, 1H), 7.52 (dd, 1H).
HPLC-MS: Rt 3.759; m/z 318.8 (MH
+).
【0161】
実施例10: 5-シアノ-2-フルオロ-N-(6-(4-フルオロフェニル)ピリジン-3-イル)ベンズアミド
(中間体2および6を使用)
【化46】
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d
6): δ = 10.90 (s, 1H), 8.92 (d, 1H), 8.31 (dd, 1H), 8.24 (dd, 1H), 8.14 (td, 3H), 8.01 (d, 1H), 7.66 (t, 1H), 7.31 (t, 2H).
HPLC-MS: Rt 4.816; m/z 335.8 (MH
+).
【0162】
実施例11: 5-シアノ-2-フルオロ-N-(2-(4-フルオロフェニル)ピリジン-4-イル)ベンズアミド
(中間体2および4を使用)
【化47】
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d
6): δ = 11.04 (s, 1H), 8.60 (d, 1H), 8.31 (dd, 1H), 8.19 (d, 1H), 8.16 (dd, 1H), 8.04 (dd, 2H), 7.68 (d, 1H), 7.64 (m, 1H), 7.35 (t, 2H).
HPLC-MS: Rt 4.724; m/z 335.8 (MH
+).
【0163】
実施例12: N-([2,3’-ビピリジン]-4-イル)-5-シアノ-2-フルオロベンズアミド
(中間体2および9を使用)
【化48】
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d
6): δ = 11.10 (s, 1H), 9.16 (d, 1H), 8.66 (d, 2H), 8.32 (t, 2H), 8.24 (d, 1H), 8.16 (m, 1H), 7.72 (dd, 1H), 7.67 (t, 1H), 7.55 (dd, 1H).
HPLC-MS: Rt 3.756; m/z 318.9 (MH
+).
【0164】
実施例13: N-([2,2’-ビピリジン]-5-イル)-2-クロロ-5-シアノベンズアミド
(中間体1および23を使用)
【化49】
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d
6): δ = 11.04 (s, 1H), 8.93 (d, 1H), 8.67 (d, 1H), 8.43 (d, 1H), 8.35 (d, 2H), 8.30 (dd, 1H), 8.04 (dd, 1H), 7.94 (td, 1H), 7.86 (d, 1H), 7.43 (dd, 1H).
HPLC-MS: Rt 4.229; m/z 334.8 (MH
+).
【0165】
実施例14: 2-クロロ-5-シアノ-N-(6-(4-メチルピペラジン-1-イル)ピリジン-3-イル)ベンズアミド
(中間体1および18を使用)
【化50】
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d
6): δ = 10.47 (s, 1H), 8.38 (d, 1H), 8.18 (d, 1H), 7.99 (dd, 1H), 7.86 (dd, 1H), 7.81 (d, 1H), 6.87 (d, 1H), 3.44 (m, 4H), 2.40 (m, 4H), 2.21 (s, 3H).
HPLC-MS: Rt 3.618; m/z 355.9 (MH
+).
【0166】
実施例15: 2-クロロ-5-シアノ-N-(2-(4-メチルピペラジン-1-イル)ピリジン-4-イル)ベンズアミド
(中間体1および17を使用)
【化51】
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d
6): δ = 10.74 (s, 1H), 8.20 (d, 1H), 8.04 (d, 1H), 8.01 (dd, 1H), 7.83 (d, 1H), 7.19 (s, 1H), 6.90 (d, 1H), 3.44 (d, 4H), 2.40 (m, 4H), 2.22 (s, 3H).
HPLC-MS: Rt 3.776; m/z 355.8 (MH
+).
【0167】
実施例16: 2-クロロ-5-シアノ-N-(2-モルホリノピリジン-4-イル)ベンズアミド
(中間体1および15を使用)
【化52】
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d
6): δ = 10.93 (s, 1H), 8.22 (d, 1H), 8.07 (d, 1H), 8.03 (dd, 1H), 7.84 (d, 1H), 7.28 (s, 1H), 6.98 (d, 1H), 3.72 (s, 4H), 3.43 (s, 4H).
HPLC-MS: Rt 3.938; m/z 342.8 (MH
+).
【0168】
実施例17: 2-クロロ-5-シアノ-N-(6-モルホリノピリジン-3-イル)ベンズアミド
(中間体1および16を使用)
【化53】
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d
6): δ = 10.50 (s, 1H), 8.41 (d, 1H), 8.19 (d, 1H), 7.99 (dd, 1H), 7.90 (dd, 1H), 7.81 (d, 1H), 6.88 (d, 1H), 3.70 (m, 4H), 3.40 (m, 4H).
HPLC-MS: Rt 3.774; m/z 342.8 (MH
+).
【0169】
実施例18: N-([2,4’-ビピリジン]-4-イル)-5-シアノ-2-フルオロベンズアミド
(中間体2および7を使用)
【化54】
H
1-RMN (400 MHz, DMSO-d
6): 11.14 (s, 1H), 8.71 (dd, 3H), 8.33 (s, 2H), 8.18 (d, 1H), 7.95 (d, 2H), 7.76 (d, 1H), 7.67 (t, 1H).
HPLC-MS: 3.811; m/z 319.0 (MH
+)
【0170】
実施例19: N-([2,4’-ビピリジン]-5-イル)-5-シアノ-2-フルオロベンズアミド
(中間体2および8を使用)
【化55】
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d
6): δ = 11.02 (s, 1H), 8.99 (s, 1H), 8.69 (d, 2H), 8.33 (dd, 2H), 8.19 (d, 1H), 8.15 (m, 1H), 8.04 (d, 2H), 7.66 (t, 1H).
HPLC-MS: Rt 3.829; m/z 319.0 (MH
+).
【0171】
実施例20: 2-クロロ-5-シアノ-N-(ピリダジン-4-イル)ベンズアミド
(中間体1および30を使用)
【化56】
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d
6): δ = 11.31 (s, 1H), 9.36 (d, 1H), 9.13 (d, 1H), 8.30 (d, 1H), 8.06 (dd, 1H), 8.03 (dd, 1H), 7.87 (d, 1H).
HPLC-MS: Rt 3.149; m/z 259.0 (MH
+).
【0172】
実施例21: 5-シアノ-2-フルオロ-N-(ピリダジン-4-イル)ベンズアミド
(中間体2および30を使用)
【化57】
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d
6): δ = 11.23 (s, 1H), 9.39 (m, 1H), 9.13 (d, 1H), 8.32 (dd, 1H), 8.18 (m, 1H), 8.03 (dd, 1H), 7.67 (m, 1H).
HPLC-MS: Rt 2.958; m/z 243.0 (MH
+).
【0173】
実施例22: 2-クロロ-5-シアノ-N-(6-シクロプロピルピリジン-3-イル)ベンズアミド
(中間体1および25を使用)
【化58】
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d
6): δ = 10.73 (s, 1H), 8.63 (d, 1H), 8.21 (d, 1H), 8.00 (m, 2H), 7.82 (d, 1H), 7.30 (d, 1H), 2.08 (m, 1H), 0.92 (m, 2H), 0.88 (m, 2H).
HPLC-MS: Rt 4.239; m/z 296.1 (MH
+)
【0174】
実施例23: 3-(5-(2-クロロ-5-シアノベンズアミド)ピリジン-2-イル)安息香酸
【化59】
2mLの乾燥DCM中、76mg(0.175mmol)の3-(5-(2-クロロ-5-シアノベンズアミド)ピリジン-2-イル)安息香酸tert-ブチル(中間体28)の溶液に、0.3mL(3.5mmol)のトリフルオロ酢酸を加えた。この反応物を室温で8時間撹拌した。溶媒を減圧下で除去した。得られた固体をTHFおよびメタノールで洗浄し、濾過した。この濾液をCombi-Flashカラムクロマトグラフィー(DCM/MeOH)により精製し、目的のカルボン酸(carboxyl acid)誘導体(22.3mg、33.7%)をえた。
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d
6): δ = 13.11 (s, 1H), 11.01 (s, 1H), 8.94 (d, 1H), 8.66 (s, 1H), 8.30 (m, 3H), 8.09 (d, 1H), 8.04 (dd, 1H), 7.98 (d, 1H), 7.86 (d, 1H), 7.62 (t, 1H).
HPLC-MS: Rt 2.991; m/z 378.0 (MH
+)
【0175】
下記の実施例は、対応する置換安息香酸塩化物およびアミンから出発し、実施例23に関して記載した手順を用いて合成した。
【0176】
実施例24: 4-(5-(2-クロロ-5-シアノベンズアミド)ピリジン-2-イル)安息香酸
(中間体29を使用)
【化60】
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d
6): δ = 13.05 (s, 1H), 11.05 (s, 1H), 8.95 (d, 1H), 8.30 (dd, 2H), 8.20 (d, 2H), 8.12 (d, 1H), 8.05 (d, 3H), 7.86 (d, 1H).
HPLC-MS: Rt 2.899; m/z 378.0 (MH
+)