(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-01-17
(45)【発行日】2023-01-25
(54)【発明の名称】不揮発性半導体記憶装置及び不揮発性半導体記憶装置の書き換え方法
(51)【国際特許分類】
G11C 16/34 20060101AFI20230118BHJP
G11C 16/16 20060101ALI20230118BHJP
H01L 21/336 20060101ALI20230118BHJP
H01L 29/788 20060101ALI20230118BHJP
H01L 29/792 20060101ALI20230118BHJP
【FI】
G11C16/34 163
G11C16/16
H01L29/78 371
(21)【出願番号】P 2018107582
(22)【出願日】2018-06-05
【審査請求日】2021-05-06
(73)【特許権者】
【識別番号】315002243
【氏名又は名称】ユナイテッド・セミコンダクター・ジャパン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002918
【氏名又は名称】弁理士法人扶桑国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】江間 泰示
(72)【発明者】
【氏名】安田 真
【審査官】堀田 和義
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-240572(JP,A)
【文献】特開2005-182909(JP,A)
【文献】特開平6-150672(JP,A)
【文献】特開平6-5823(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G11C 16/34
G11C 16/16
H01L 21/336
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のワード線と複数のビット線と、各々が前記複数のワード線の何れかに接続されるとともに前記複数のビット線の何れかに接続され、コラムデコーダ及びロウデコーダにより選択される複数のメモリセルとを備えるメモリセルアレイと、
前記複数のメモリセルの何れかを対象にした消去処理を伴う書き換え処理の回数が所定回数に達するまで、前記対象としたメモリセルを含み前記メモリセルアレイの全体よりも小さい第1の範囲を書き換え単位とし、前記書き換え処理の回数が前記所定回数に達する場合に、前記対象としたメモリセルを含み前記第1の範囲よりも大きい第2の範囲を前記書き換え単位として、書き換えを行うように前記コラムデコーダ及び前記ロウデコーダを制御し、前記書き換え処理の回数が前記所定回数に達するたびに前記書き換え処理の回数をリセットする制御回路と、を有し、
前記所定回数は、ゲートディスターブとドレインディスターブのうち、前記メモリセルアレイにおいて前記対象としたメモリセルとワード線またはビット線を共有し、前記書き
換え処理の対象とならない非選択メモリセルの閾値電圧に
影響を与え
るディスターブによる前記閾値電圧の変動量の許容値に基づいて設定されている、
不揮発性半導体記憶装置。
【請求項2】
前記第1の範囲は、前記メモリセルアレイを前記複数のワード線に直交する方向に分割した複数の領域の各々に含まれる第1のメモリセル群であり、前記第2の範囲は、前記メモリセルアレイの全体である、
請求項1に記載の不揮発性半導体記憶装置。
【請求項3】
前記コラムデコーダは、前記複数の領域の各々に含まれるメモリセルのデータを消去する際に、前記複数の領域の各々に含まれる複数の第1のビット線に一括して同一の電圧を供給する、請求項2に記載の不揮発性半導体記憶装置。
【請求項4】
前記第1の範囲は、前記メモリセルアレイにおいて同一ビット線に接続された複数の第1のメモリセルのうちの各々または前記複数の第1のメモリセルよりも少ない複数の第2のメモリセルであり、前記第2の範囲は、前記複数の第1のメモリセルの全てである、
請求項1に記載の不揮発性半導体記憶装置。
【請求項5】
前記制御回路は、前記メモリセルアレイにおいて同一ワード線に接続された複数の第3のメモリセルの何れかについての消去処理を伴う書き換え処理の回数が第1の回数に達する場合に、前記メモリセルアレイの全体の書き換えを行うように前記コラムデコーダ及び前記ロウデコーダを制御する、
請求項4に記載の不揮発性半導体記憶装置。
【請求項6】
前記ロウデコーダは、前記メモリセルアレイにおける所定数のワード線ごとに一括して同一の電圧を供給して、前記複数の第2のメモリセルのデータを一括して消去する、請求項4または5に記載の不揮発性半導体記憶装置。
【請求項7】
前記第1の範囲は、前記複数のメモリセルのうち、前記複数のワード線の各々に接続された第2のメモリセル群であり、前記第2の範囲は、前記メモリセルアレイの全体である、
請求項1に記載の不揮発性半導体記憶装置。
【請求項8】
複数のワード線と複数のビット線と、各々が前記複数のワード線の何れかに接続されるとともに前記複数のビット線の何れかに接続され、コラムデコーダ及びロウデコーダにより選択される複数のメモリセルとを備えるメモリセルアレイと、
前記複数のメモリセルの何れかである選択メモリセルに対する消去処理を伴う書き換え処理時に、前記メモリセルアレイにおいて前記選択メモリセルとワード線またはビット線を共有する非選択メモリセルが、連続して前記書き換え処理の対象外となる回数が所定回数に達するまで、前記選択メモリセルを含み前記メモリセルアレイの全体よりも小さい第1の範囲を書き換え単位とし、前記連続して前記書き換え処理の対象外となる回数が前記所定回数に達する場合に、前記選択メモリセルを含み前記第1の範囲よりも大きい第2の範囲を前記書き換え単位として、書き換えを行うように前記コラムデコーダ及び前記ロウデコーダを制御し、前記連続して前記書き換え処理の対象外となる回数が前記所定回数に達するたびに前記連続して前記書き換え処理の対象外となる回数をリセットする制御回路と、を有し、
前記所定回数は、ゲートディスターブとドレインディスターブのうち、前記非選択メモリセルの閾値電圧に
影響を与え
るディスターブによる前記閾値電圧の変動量の許容値に基づいて設定されている、
不揮発性半導体記憶装置。
【請求項9】
制御回路は、メモリセルアレイにおける複数のメモリセルの何れかを対象にした消去処理を伴う書き換え処理の回数が所定回数に達するまで、前記対象としたメモリセルを含み前記メモリセルアレイの全体よりも小さい第1の範囲を書き換え単位として、書き換えを行うように、前記複数のメモリセルの何れかを選択するコラムデコーダ及びロウデコーダを制御し、
前記制御回路は、前記書き換え処理の回数が前記所定回数に達する場合に、前記対象としたメモリセルを含み前記第1の範囲よりも大きい第2の範囲を前記書き換え単位として、書き換えを行うように前記コラムデコーダ及び前記ロウデコーダを制御し、
前記制御回路は、前記書き換え処理の回数が前記所定回数に達するたびに前記書き換え処理の回数をリセットし、
前記所定回数は、ゲートディスターブとドレインディスターブのうち、前記メモリセルアレイにおいて前記対象としたメモリセルとワード線またはビット線を共有し、前記書き
換え処理の対象とならない非選択メモリセルの閾値電圧に
影響を与え
るディスターブによる前記閾値電圧の変動量の許容値に基づいて設定されている、
不揮発性半導体記憶装置の書き換え方法。
【請求項10】
制御回路は、メモリセルアレイにおける複数のメモリセルの何れかである選択メモリセルに対する消去処理を伴う書き換え処理時に、前記メモリセルアレイにおいて前記選択メモリセルとワード線またはビット線を共有する非選択メモリセルが、連続して前記書き換え処理の対象外となる回数が所定回数に達するまで、前記選択メモリセルを含み前記メモリセルアレイの全体よりも小さい第1の範囲を書き換え単位として、書き換えを行うように、前記複数のメモリセルの何れかを選択するコラムデコーダ及びロウデコーダを制御し、
前記制御回路は、前記連続して前記書き換え処理の対象外となる回数が前記所定回数に達する場合に、前記選択メモリセルを含み前記第1の範囲よりも大きい第2の範囲を前記書き換え単位として、書き換えを行うように前記コラムデコーダ及び前記ロウデコーダを制御し、
前記制御回路は、前記連続して前記書き換え処理の対象外となる回数が前記所定回数に達するたびに前記連続して前記書き換え処理の対象外となる回数をリセットし、
前記所定回数は、ゲートディスターブとドレインディスターブのうち、前記非選択メモリセルの閾値電圧に
影響を与え
るディスターブによる前記閾値電圧の変動量の許容値に基づいて設定されている、
不揮発性半導体記憶装置の書き換え方法。
【請求項11】
前記所定回数は、前記ドレインディスターブよりも前記ゲートディスターブが前記閾値電圧に
影響を与え
る場合、前記ゲートディスターブよりも前記ドレインディスターブが前記閾値電圧に
影響を与え
る場合よりも、大きい値が設定される、請求項1に記載の不揮発性半導体記憶装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、不揮発性半導体記憶装置及び不揮発性半導体記憶装置の書き換え方法に関する。
【背景技術】
【0002】
不揮発性半導体記憶装置として、ゲート電極の側壁に形成されるサイドウォール絶縁膜や、フローティングゲートに電荷(ホットキャリア)を蓄積することによってデータを記憶するメモリセルが用いられるものがある。
【0003】
このような不揮発性半導体記憶装置において、メモリセルに記憶されたデータの書き換えを行う際には、操作が簡単であることから、セクタと呼ばれる所定の大きさの単位領域ごとに一括処理する方式が採用されている。
【0004】
ただ、セクタに含まれるメモリセルに記憶されているデータの書き換えの際、書き換えるデータ量が小さくセクタの一部を書き換えればよい場合であっても、セクタ全体の消去が行われた後に、新たなデータの書き込みが行われる。そのため、セクタサイズが大きいほど、書き換えにかかるエネルギー効率が悪くなる。また、セキュリティ強化などの理由により、不揮発性半導体記憶装置に格納されるプログラムソースコードの更新が頻繁に行われる場合、セクタにおいて書き換えを要する範囲は非常に小さいことが多い。このため、メモリセルアレイにおいて書き換えが可能な単位は小さいほどよい。
【0005】
なお、1つのメモリセル単位での消去を可能とする技術が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開平11-31393号公報
【文献】特開2000-57782号公報
【文献】特開2006-31821号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、書き換え可能な単位を同一のデコーダにより選択可能な領域よりも小さくしていく場合、書き換え処理時に書き換え対象とならないメモリセルの電荷量が変動する可能性がある。たとえば、同一ワード線または同一ビット線に接続される複数のメモリセルの一部を書き換え対象として選択する場合、それら複数のメモリセルのうち、非選択となるメモリセルの電荷量が変動する可能性がある。この現象は、ディスターブ(ドレインディスターブまたはゲートディスターブ)と呼ばれ、ディスターブの影響が大きくなると、非選択のメモリセルの記憶データが劣化する恐れがあった。
【0008】
1つの側面では、本発明は、同一のデコーダにより選択可能な領域よりも書き換え可能な単位を小さくした場合でも記憶データの劣化を抑制できる不揮発性半導体記憶装置及びその書き換え方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
1つの実施形態では、複数のワード線と複数のビット線と、各々が前記複数のワード線の何れかに接続されるとともに前記複数のビット線の何れかに接続され、コラムデコーダ及びロウデコーダにより選択される複数のメモリセルとを備えるメモリセルアレイと、前記複数のメモリセルの何れかを対象にした消去処理を伴う書き換え処理の回数が所定回数に達するまで、前記対象としたメモリセルを含み前記メモリセルアレイの全体よりも小さい第1の範囲を書き換え単位とし、前記書き換え処理の回数が前記所定回数に達する場合に、前記対象としたメモリセルを含み前記第1の範囲よりも大きい第2の範囲を前記書き換え単位として、書き換えを行うように前記コラムデコーダ及び前記ロウデコーダを制御し、前記書き換え処理の回数が前記所定回数に達するたびに前記書き換え処理の回数をリセットする制御回路と、を有する不揮発性半導体記憶装置が提供される。
【0010】
また、1つの実施形態では、複数のワード線と複数のビット線と、各々が前記複数のワード線の何れかに接続されるとともに前記複数のビット線の何れかに接続され、コラムデコーダ及びロウデコーダにより選択される複数のメモリセルとを備えるメモリセルアレイと、前記複数のメモリセルの何れかである選択メモリセルに対する消去処理を伴う書き換え処理時に、前記メモリセルアレイにおいて前記選択メモリセルとワード線またはビット線を共有する非選択メモリセルが、連続して前記書き換え処理の対象外となる回数が所定回数に達するまで、前記選択メモリセルを含み前記メモリセルアレイの全体よりも小さい第1の範囲を書き換え単位とし、前記書き換え処理の回数が前記所定回数に達する場合に、前記選択メモリセルを含み前記第1の範囲よりも大きい第2の範囲を前記書き換え単位として、書き換えを行うように前記コラムデコーダ及び前記ロウデコーダを制御し、前記書き換え処理の回数が前記所定回数に達するたびに前記書き換え処理の回数をリセットする制御回路と、を有する不揮発性半導体記憶装置が提供される。
【0011】
また、1つの実施形態では、不揮発性半導体記憶装置の書き換え方法が提供される。
【発明の効果】
【0012】
1つの側面では、本発明は、同一のデコーダにより選択可能な領域よりも書き換え可能な単位を小さくした場合でも記憶データの劣化を抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】第1の実施の形態の不揮発性半導体記憶装置の一例を示す図である。
【
図2】第2の実施の形態の不揮発性メモリの一例の全体ブロック図である。
【
図4】メモリトランジスタの一例の断面構造と、メモリトランジスタに対する書き込み及び消去の例を示す図である。
【
図5】消去時に非選択のメモリトランジスタに生じるドレインディスターブの影響を示す図である。
【
図6】消去時に非選択のメモリトランジスタに生じるゲートディスターブの影響を示す図である。
【
図7】1セクタ分のメモリセルアレイを複数のサブブロックに分割した例を示す図である。
【
図8】書き換え処理時における不揮発性メモリの動作の一例の流れを示すフローチャートである。
【
図9】消去処理の一例の流れを示すフローチャートである。
【
図10】書き換え処理時における第3の実施の形態の不揮発性メモリの動作の一例の流れを示すフローチャートである。
【
図11】第4の実施の形態の不揮発性メモリの一例を示す図である。
【
図12】書き換え処理時における第4の実施の形態の不揮発性メモリの動作の一例の流れを示すフローチャートである。
【
図13】複数のワード線にまとめて負の高電圧を供給する例を示す図である。
【
図14】コラムデコーダが、サブブロックごとに同一の電圧を供給する様子を示す図である。
【
図15】フローティングゲート型のメモリセルを有するメモリセルアレイの一例を示す図である。
【
図16】フローティングゲート型のメモリトランジスタの一例の断面構造と、メモリトランジスタに対する書き込み及び消去の例を示す図である。
【
図17】消去時に非選択のメモリトランジスタに生じるゲートディスターブの影響を示す図である。
【
図19】第5の実施の形態の不揮発性メモリの一例を示す図である。
【
図20】第5の実施の形態の不揮発性メモリの書き換え方法の一例の流れを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、発明を実施するための形態を、図面を参照しつつ説明する。
(第1の実施の形態)
図1は、第1の実施の形態の不揮発性半導体記憶装置の一例を示す図である。
【0015】
不揮発性半導体記憶装置(以下不揮発性メモリという)10は、メモリセルアレイ11a、コラムデコーダ11b、ロウデコーダ11c、制御回路12を有する。
図1では、1セクタ分のメモリセルアレイ11a、コラムデコーダ11b、ロウデコーダ11cが示されているが、不揮発性メモリ10は、これらの構成を各々複数有していてもよい。メモリセルアレイ11aは図示を省略しているが複数のワード線と複数のビット線と、各々が複数のワード線の何れかに接続されるとともに複数のビット線の何れかに接続される複数のメモリセルを備える。各メモリセルは、コラムアドレスとロウアドレスに基づいて、コラムデコーダ11b及びロウデコーダ11cにより選択される。メモリセルとして、たとえば、ゲート電極の側壁に形成されるサイドウォール絶縁膜に電荷を蓄積することによってデータを記憶するサイドウォールトラップ型のメモリトランジスタが用いられる。なお、メモリセルとして、フローティングゲートに電荷を蓄積することによってデータを記憶するフローティングゲート型のメモリトランジスタが用いられてもよい。
【0016】
なお、
図1では、センスアンプなどについては図示が省略される。
制御回路12は、供給されるコマンドに応じて、コラムデコーダ11bやロウデコーダ11cを制御する。また、制御回路12は、メモリセルアレイ11aの複数のメモリセルの何れかを対象にした消去処理を伴う書き換え処理の回数をカウントする。そして、制御回路12は、その書き換え処理の回数が所定回数に達するまで、メモリセルアレイ11aの全体よりも小さい範囲を書き換え単位とするように、コラムデコーダ11b及びロウデコーダ11cを制御する。上記所定回数は、たとえば、書き換え処理の際に非選択(書き換え対象外)となるメモリセルにおいて発生するディスターブの影響により変動する閾値電圧の変動量の許容値に基づいて設定される。たとえば、データが0から1または1から0に反転しないように、所定のマージンを考慮して許容値が決定される。
【0017】
図1の例では、制御回路12は、メモリセルアレイ11aを分割した複数の領域の各々に含まれるメモリセル群を書き換え単位とするように、コラムデコーダ11b及びロウデコーダ11cを制御する。複数の領域(以下サブブロックという)11a1,11a2,…,11anは、メモリセルアレイ11aを、
図1におけるy方向(図示しない複数のワード線に直交する方向)に複数分割したものである。なお、図示しないワード線はx方向に伸びている。
【0018】
制御回路12は、たとえば、カウンタ12aを有し、上記書き換え処理の回数をカウントする。なお、書き換え処理の回数は、セクタごとにカウントされる。そのため、制御回路12は、セクタごとにカウンタを有していてもよい。
【0019】
さらに、制御回路12は、書き換え処理の回数が所定回数に達する場合に、メモリセルアレイ11aの全体(1セクタ分)の書き換えを行うようにコラムデコーダ11b及びロウデコーダ11cを制御する。そして、制御回路12は、書き換え処理の回数が所定回数に達するたびに書き換え処理の回数をリセットする。
【0020】
図1には、不揮発性メモリ10の動作の一例の流れを示すフローチャートが示されている。
まず、制御回路12は、カウンタ12aの計数値Nを0に初期化させる(ステップS1)。計数値Nは、メモリセルアレイ11aの複数のメモリセルの何れかを対象にした書き換え処理の回数を示す。ステップS1の処理後、制御回路12は、不揮発性メモリ10のメモリセルアレイ11aのメモリセルに対する書き換えを指示するコマンドを受信したか否かを判定する(ステップS2)。制御回路12は、メモリセルアレイ11aのメモリセルに対する書き換えを指示するコマンドを受信していない場合には受信待ちを行い(ステップS8)、ステップS2からの処理を繰り返す。
【0021】
制御回路12は、メモリセルアレイ11aのメモリセルに対する書き換えを指示するコマンドを受信した場合には、カウンタ12aの計数値Nをカウントアップ(+1)させる(ステップS3)。そして、制御回路12は、計数値Nが所定回数Nthより小さいか否かを判定する(ステップS4)。
【0022】
計数値Nが所定回数Nthより小さい場合、制御回路12の制御のもと、サブブロック単位で消去及び書き換えが行われる(ステップS5)。
ステップS5の処理では、制御回路12は、たとえば、指定されたコラムアドレスに対応するサブブロックに含まれるメモリセルに記憶されているデータを、一旦、図示しない記憶部(レジスタやSRAM(Static Random Access Memory)など)に保持させる。その後、制御回路12は、書き換えを指示するコマンドとともに供給される新たなデータにより、記憶部に保持されているデータを更新させる。さらに、制御回路12の制御のもと、書き換え対象のサブブロックのメモリセルに記憶されているデータが消去され、その後、記憶部に保持されているデータが書き換え対象のサブブロックに書き込まれる。
【0023】
一方、計数値Nが所定回数Nthに達する場合、制御回路12の制御のもと、セクタ単位で消去及び書き換えが行われる(ステップS6)。
ステップS6の処理では、制御回路12は、たとえば、メモリセルアレイ11aの全メモリセルに記憶されているデータを、一旦、図示しない記憶部に保持させる。その後、制御回路12は、書き換えを指示するコマンドとともに供給される新たなデータにより、記憶部に保持されているデータを更新させる。さらに、制御回路12の制御もと、メモリセルアレイ11aの全メモリセルに記憶されているデータが消去され、その後、記憶部に保持されているデータがメモリセルアレイ11aの全メモリセルに書き込まれる。
【0024】
ステップS6の処理後、制御回路12は、計数値Nをリセットする(0にする)(ステップS7)。ステップS5,S7の処理後、ステップS8の処理が行われる。そして、制御回路12は、書き換えを指示するコマンドを受信するたびに、ステップS3からの処理を繰り返す。
【0025】
なお、
図1に示した処理の順序は一例であり、適宜入れ替えてもよい。
上記のような不揮発性メモリ10では、書き換え処理の回数が所定回数に達するまでは、メモリセルアレイ11aの全体よりも小さい範囲が書き換え単位となるため、書き換え処理の際に非選択となる範囲のメモリセルではディスターブの影響を受ける。しかし、制御回路12は、書き換え処理の回数が所定回数に達した場合に、より大きな単位での書き換えを行うことで、ディスターブの影響をリセットするため、記憶データの劣化を抑制できる。
【0026】
たとえば、
図1のようにサブブロック単位での消去処理を伴う書き換え処理が行われる場合、非選択となるサブブロックのメモリセルでは、書き換え対象のサブブロックのメモリセルと同じワード線に接続されているため、ゲートディスターブが発生する。書き換え処理の際に連続して非選択となる回数が多くなるサブブロックでは、ゲートディスターブの影響が大きくなり、メモリセルの閾値電圧がシフトする。しかし、上記の第1の実施の形態の不揮発性メモリ10では、書き換え処理の回数が所定回数に達するたびに、セクタ単位の書き換えが行われるため、シフトした閾値電圧を元に戻すことができ、記憶データの劣化を抑制できる。
【0027】
なお、サブブロック11a1~11anは、メモリセルアレイ11aをワード線に直交する方向に分割したものであるため、異なるサブブロックは、ビット線を共有していない。そのため、サブブロック単位での消去処理を伴う書き換え処理の際、非選択となるサブブロックのメモリセルではドレインディスターブの影響を受けない。
【0028】
このように、第1の実施の形態の不揮発性メモリ10によれば、同じデコーダで選択可能な領域(セクタ)よりも小さい単位(たとえば、サブブロック)で書き換え可能とした場合の記憶データの劣化を抑制できる。
【0029】
また、書き換え処理の回数が所定回数に達するまでは、サブブロック単位で書き換え処理が行われるため、毎回セクタ単位で書き換えを行うよりもエネルギー効率を高められ、省電力化が可能となる。
【0030】
なお、セクタ自体の大きさを小さくして、ディスターブの影響を抑えつつ書き換え単位を小さくすることができるが、その場合、デコーダなどの回路量が増えてしまう。第1の実施の形態の不揮発性メモリ10は、1セクタ分のメモリセルアレイ11aを分割したサブブロック11a1~11anを書き換え単位とするため、回路量の増加を抑えられる。
【0031】
(第2の実施の形態)
図2は、第2の実施の形態の不揮発性メモリの一例の全体ブロック図である。
不揮発性メモリ20は、セクタ21a1,21a2,…,21am、制御回路22、アドレスレジスタ23、ロウデコーダ24、ライトバッファ25、出力バッファ26を有する。
【0032】
セクタ21a1は、コラムデコーダ21b、ワードドライバ21c、メモリセルアレイ21d、コラムスイッチ21e、センスアンプ21fを有する。セクタ21a2~21amの各々も、セクタ21a1と同様の要素を有している。
【0033】
コラムデコーダ21bは、メモリセルアレイ21dの複数のビット線(図示せず)のうち、アドレスレジスタ23から供給されるコラムアドレスに対応するビット線に接続されたメモリセルを選択するための信号を出力する。
【0034】
ワードドライバ21cは、ロウデコーダ24が出力する信号に基づいて、メモリセルアレイ21dの複数のワード線(図示せず)のうち、何れかのワード線に所定の電圧を供給する。
【0035】
メモリセルアレイ21dは、図示を省略しているが、複数のビット線、複数のワード線、複数のソース線及び複数のメモリセルを有する。
コラムスイッチ21eは、コラムデコーダ21bが出力する信号に基づいて、複数のビット線の何れかをセンスアンプ21fに接続する。
【0036】
センスアンプ21fは、メモリセルアレイ21dから読み出されたデータ(電圧値)を増幅して出力する。
制御回路22は、受信したコマンドやコラムアドレスに基づいて、コラムデコーダ21bやロウデコーダ24などを制御する。なお、制御回路22は、カウンタ22aを有する。カウンタ22aは、制御回路22の外にあってもよい。
【0037】
アドレスレジスタ23は、アドレスを受信し、ロウアドレスをロウデコーダ24に供給し、コラムアドレスを制御回路22及びコラムデコーダ21bに供給する。
ロウデコーダ24は、アドレスレジスタ23から供給されるロウアドレスに対応するワード線に接続されたメモリセルを選択するための信号を出力する。
【0038】
ライトバッファ25は、メモリセルに書き込むためのデータを受信し、セクタ21a1~21amに供給する。
出力バッファ26は、セクタ21a1~21amから読み出されたデータを保持し出力する。
【0039】
なお、後述するメモリセルアレイ21dでは、メモリセルにデータを書き込む際、メモリセルに接続されるソース線にも電圧をかける場合があるが、
図2ではその構成は省略されている。また、メモリセルの種類によっては、消去時や書き込み時に高電圧を用いる場合があるが、
図2では昇圧回路など高電圧を生成する回路については省略されている。
【0040】
図3は、メモリセルアレイの一例を示す図である。
図3の例では、メモリセルアレイ21dは、サイドウォール絶縁膜に電荷(ホットキャリア)を蓄積することによってデータを記憶するメモリトランジスタ(たとえば、メモリトランジスタ21t1~21t6)を、複数有する。
【0041】
なお、
図3のメモリセルアレイ21dでは、2つのメモリトランジスタ(メモリトランジスタ対)が1ビットのデータを記憶するメモリセルとして機能する。一方のメモリトランジスタに“1”が記憶される場合、他方のメモリトランジスタに“0”が記憶される。
【0042】
メモリトランジスタ対の一方(たとえば、メモリトランジスタ21t1,21t3,21t5)のドレインには、ビット線BL0,BL1,…,BLxの何れかが接続される。メモリトランジスタ対の他方(たとえば、メモリトランジスタ21t2,21t4,21t6)のドレインには、ビット線/BL0,/BL1,…,/BLxの何れかが接続される。メモリトランジスタ対の各々のソースには、ソース線SL0,SL1,…,SLxの何れかが接続される。また、メモリトランジスタ対の各々のゲートには、ワード線WL0,WL1,…,WLyの何れかが接続される。
【0043】
なお、上記では、メモリトランジスタ対により1ビットのメモリセルを実現する例を示したが、1つのメモリトランジスタにより1ビットのメモリセルを実現してもよい。
図4は、メモリトランジスタの一例の断面構造と、メモリトランジスタに対する書き込み及び消去の例を示す図である。
【0044】
メモリトランジスタ21t1は、半導体基板30の上方に設けられたゲート絶縁膜31、ゲート絶縁膜31の上方に設けられたゲート電極32、ゲート電極32の側壁及び半導体基板30の上方に設けられたサイドウォール絶縁膜33を有する。サイドウォール絶縁膜33は、たとえば、絶縁膜である酸化膜33aと窒化膜33bが積層された構造を含む。メモリトランジスタ21t1は、さらに、ゲート電極32の両側(ゲート長方向の両側)の半導体基板30内にそれぞれ設けられ、ソース領域またはドレイン領域として機能する不純物領域34a及び不純物領域34bを有する。メモリトランジスタ21t1は、サイドウォール絶縁膜33の下方の半導体基板30内で、不純物領域34a及び不純物領域34bの内側に、LDD領域35a及びLDD領域35bを有してもよい。メモリトランジスタ21t1は、ゲート電極32の下方の、不純物領域34aと不純物領域34bの間(あるいはLDD領域35aとLDD領域35bの間)の領域に設けられるチャネル領域36と、その下方に設けられた不純物領域37をさらに有する。
【0045】
このようなメモリトランジスタ21t1に対する書き込み時には、たとえば、半導体基板30が接地電位(たとえば、0V)とされ、不純物領域34aに0~0.5V、不純物領域34bに5V、ゲート電極32に5Vの電圧が印加される。これにより不純物領域34bの近傍で生成されるホットエレクトロンがサイドウォール絶縁膜33に注入、蓄積されることで、データが書き込まれる。
【0046】
一方、メモリトランジスタ21t1に対する消去時には、たとえば、半導体基板30が接地電位とされ、不純物領域34aがフローティング状態とされ、不純物領域34bに4.5V、ゲート電極32に-6Vの電圧が印加される。これにより、サイドウォール絶縁膜33に蓄積されている電子が、不純物領域34bの近傍で生成されるホットホールによって中和されることによって、データが消去される。
【0047】
以下では、上記のようなホットエレクトロンをサイドウォール絶縁膜33に注入することを“0”を書き込むとし、消去は、メモリトランジスタ21t1のデータを“1”にする(言い換えれば、“1”を書き込む)ものとして説明する。
【0048】
図3に示したメモリセルアレイ21dにおいて、メモリトランジスタ21t1に“0”を書き込む場合、たとえば、ワード線WL0に5Vの電圧が印加され、ソース線SL0に5Vの電圧が印加され、ビット線BL0に0~0.5Vの電圧が印加される。ビット線/BL0には5Vの電圧が印加される。その他のビット線BL1~BLx,/BL1~/BLx、ソース線SL1~SLx、ワード線WL1~WLyは0Vに設定される。
【0049】
このとき、書き込みの対象外のメモリトランジスタ(非選択のメモリトランジスタ)のうち、ワード線WL0に接続されているメモリトランジスタ(たとえば、メモリトランジスタ21t3,21t4)は、ゲートディスターブの影響を受ける。また、非選択のメモリトランジスタのうち、ソース線SL0(またはビット線BL0,ビット線/BL0)に接続されているメモリトランジスタ(たとえば、メモリトランジスタ21t5,21t6)は、ドレインディスターブの影響を受ける。
【0050】
しかしながら、書き込み時間は比較的短い(たとえば、10μsec)ため、書き込み回数が極端に多くならない限り、ディスターブは問題にならない。
一方、
図3に示したメモリセルアレイ21dにおいて、メモリトランジスタ21t1のデータを消去する場合、メモリトランジスタ21t1の対となるメモリトランジスタ21t2に、一旦、“0”が書き込まれる。この処理は、必須ではないが、メモリトランジスタ対への書き込み履歴を等価しておくことで、メモリトランジスタ対の特性ばらつきを抑えることができる。その後、たとえば、ワード線WL0に-6Vの電圧が印加され、ソース線SL0に4.5Vの電圧が印加され、ビット線BL0~BLx,/BL0~/BLxはフローティング状態とされる。その他のソース線SL1~SLx、ワード線WL1~WLyは0Vに設定される。これにより、メモリトランジスタ21t1,21t2のデータはともに“1”となる。
【0051】
このとき、書き込み時と同様に、消去の対象外のメモリトランジスタ(非選択のメモリトランジスタ)のうち、ワード線WL0に接続されているメモリトランジスタは、ゲートディスターブの影響を受ける。また、非選択のメモリトランジスタのうち、ソース線SL0(またはビット線BL0,ビット線/BL0)に接続されているメモリトランジスタは、ドレインディスターブの影響を受ける。
【0052】
書き込み時間に対して、消去時間は長いため(たとえば、100ms)、非選択のメモリトランジスタに対するディスターブの影響は大きい。
図5は、消去時に非選択のメモリトランジスタに生じるドレインディスターブの影響を示す図である。横軸はディスターブタイム(sec)を表し、縦軸は閾値電圧Vth(V)を表す。
【0053】
図5では、消去状態(“1”が書き込まれている状態)のメモリトランジスタにおいて、同じソース線に接続される他のメモリトランジスタが複数回消去されたときに受けるドレインディスターブの影響が、閾値電圧Vthの変動によって表されている。1回の消去時間は100msecである。なお、メモリトランジスタは、
図3に示したような、サイドウォール絶縁膜に電荷(ホットキャリア)を蓄積することによってデータを記憶するものである。メモリトランジスタとして、ドレインディスターブを受ける前の閾値電圧Vthが異なる複数のサンプルが用いられている。
【0054】
図5に示されているように、ディスターブタイムが1.E+00(sec)(消去回数=10回に相当)を超えると、閾値電圧Vthの変化がより大きくなる。そのため以下では、非選択のメモリトランジスタについてのドレインディスターブによる閾値電圧Vthの変化の許容値は、消去回数が10回のときまでの値とする。
【0055】
図6は、消去時に非選択のメモリトランジスタに生じるゲートディスターブの影響を示す図である。横軸はディスターブタイム(sec)を表し、縦軸は閾値電圧Vth(V)を表す。
【0056】
図6では、“0”が書き込まれている状態のメモリトランジスタにおいて、同じワード線に接続される他のメモリトランジスタが複数回消去されたときに受けるゲートディスターブの影響が、閾値電圧Vthの変動によって表されている。1回の消去時間は100msecである。なお、メモリトランジスタは、
図3に示したような、サイドウォール絶縁膜に電荷(ホットキャリア)を蓄積することによってデータを記憶するものである。メモリトランジスタとして、ゲートディスターブを受ける前の閾値電圧Vthが異なる複数のサンプルが用いられている。
【0057】
図6に示されているように、ディスターブタイムが1.E+02(sec)(消去回数=1000回に相当)を超えると、閾値電圧Vthの変化がより大きくなる。そのため以下では、非選択のメモリトランジスタについてのゲートディスターブによる閾値電圧Vthの変化の許容値は、消去回数が1000回のときまでの値とする。
【0058】
上記のような消去時のディスターブの影響を抑制するために、第2の実施の形態の不揮発性メモリ20は、セクタ21a1のメモリセルアレイ21dを、ワード線に直交する方向に分割した複数のサブブロックの各々を書き換えの単位として書き換え処理を行う。そして、不揮発性メモリ20は、書き換え処理の回数が所定回数に達する場合に、1セクタ分のメモリセルアレイ21dの全体の書き換えを行う。
【0059】
図7は、1セクタ分のメモリセルアレイを複数のサブブロックに分割した例を示す図である。
図7では、1セクタ分のメモリセルアレイ21dが、y方向(図示しないワード線に直交する方向)に、8つのサブブロック21d1,21d2,…,21d8に分割されている例が示されている。なお、図示しないワード線はx方向に伸びている。
【0060】
たとえば、1セクタ分のメモリセルアレイ21dにおいて、ワード線が256本設けられ、ビット線対(たとえば、
図3のビット線BL0,/BL0)が256本設けられている場合、サブブロック21d1~21d8の各々は、1kバイトのデータを保持する。メモリセルアレイ21dの全体では8kバイトのデータが保持される。
【0061】
制御回路22は、書き換え処理の回数が所定回数に達するまで、サブブロック21d1~21d8の各々を書き換えの単位(上記の例では1kバイト単位)とするように、コラムデコーダ21bやロウデコーダ24を制御する。
【0062】
サブブロック21d1~21d8は、メモリセルアレイ21dをワード線に直交する方向に分割したものであるため、異なるサブブロックは、ビット線を共有していない。そのため、サブブロック単位での消去処理を伴う書き換え処理の際、非選択となるサブブロックのメモリセルではドレインディスターブの影響を受けない。
【0063】
一方、サブブロック単位での消去処理を伴う書き換え処理の際、非選択となるサブブロックのメモリセルでは、書き換え対象のサブブロックのメモリセルと同じワード線に接続されているため、ゲートディスターブが発生する。書き換え処理の際に連続して非選択となる回数が多くなるサブブロックでは、ゲートディスターブの影響が大きくなる。そして、
図6に示したように、消去回数が1000回を超えると、“0”が書き込まれているメモリセル(メモリトランジスタ)の閾値電圧Vthがより低下していく。
【0064】
第2の実施の形態の不揮発性メモリ20では、たとえば、書き換え処理の回数(=消去回数)が1000回に達するたびに、セクタ単位の書き換えを行う。サブブロック21d1~21d8の何れかが書き換え対象となる書き換え処理が999回行われたとき、999回のうち一度も書き換え対象にならないサブブロックがあった場合でも、そのサブブロックは1000回目の書き換え処理においては書き換え対象となる。そのため、ゲートディスターブによる閾値電圧Vthの変化量が許容値を超えることを抑えられるとともに、低下した閾値電圧Vthを元に戻すことができ、記憶データの劣化を抑制できる。
【0065】
以下、書き換え処理時における不揮発性メモリ20の動作例を説明する。
なお、以下では、セクタ21a1のメモリセルアレイ21dに含まれるメモリセルの書き換え処理を説明する。他のセクタ21a2~21amのメモリセルアレイに含まれるメモリセルの書き換え処理も同様に行われる。
【0066】
図8は、書き換え処理時における不揮発性メモリの動作の一例の流れを示すフローチャートである。
まず、制御回路22は、カウンタ22aの計数値Nを0に初期化させる(ステップS10)。計数値Nは、メモリセルアレイ21dの複数のメモリセルの何れかを対象にした書き換え処理の回数を示す。ステップS10の処理後、制御回路22は、メモリセルアレイ21dのメモリセルに対する書き換えを指示するコマンドを受信したか否かを判定する(ステップS11)。制御回路22は、メモリセルアレイ21dのメモリセルに対する書き換えを指示するコマンドを受信していない場合には受信待ちを行い(ステップS25)、ステップS11からの処理を繰り返す。
【0067】
制御回路22は、メモリセルアレイ21dのメモリセルに対する書き換えを指示するコマンドを受信した場合には、メモリセルアレイ21dの全メモリセルに記憶されているデータを読み出して、一旦、図示しない記憶部(レジスタやSRAMなど)に保持させる。そして、制御回路22は、書き換えを指示するコマンドとともに供給される新たなデータにより、記憶部に保持されているデータを更新させる(ステップS12)。
【0068】
その後、制御回路22は、カウンタ22aの計数値Nをカウントアップ(+1)させ(ステップS13)、計数値Nが1000より小さいか否かを判定する(ステップS14)。なお、1000という値は、
図6に示した閾値電圧Vthの変化量の許容値を考慮して設定されているが、特にこの値に限定されるものではない。
【0069】
計数値Nが1000より小さい場合、制御回路22は、受信アドレス(コラムアドレス)に基づいて、書き換え対象のサブブロックを示す番号を選択する(ステップS15)。以下、書き換え対象のサブブロックを示す番号を、番号Nswという。番号Nswは、
図7に示したようにメモリセルアレイ21dが8つのサブブロック21d1~21d8に分割されているため、0,1,2,3,4,5,6,7の何れかの値である。番号Nswは、たとえば、図示しないレジスタに保持される。
【0070】
次に、制御回路22は、サブブロックを特定するための番号Ns(0~7の何れかの値)を、0にする(ステップS16)。番号Nsは、カウンタ(カウンタ22aとは別のもの)の値であってもよい。
【0071】
そして、制御回路22は、Ns=Nswであるか否かを判定する(ステップS17)。Ns=Nswである場合、制御回路22は、コラムデコーダ21bとロウデコーダ24を制御して、番号Nswのサブブロックのデータを消去させる(ステップS18)。その後、制御回路22は、コラムデコーダ21bとロウデコーダ24を制御して、番号Nswのサブブロックに新規のデータ(前述した記憶部に保持されている更新後のデータのうち、番号Nswのサブブロックのデータ)を書き込ませる(ステップS19)。
【0072】
ステップS17の処理において、Ns=Nswではないと判定した場合、及び、ステップS19の処理後、制御回路22は、番号Nsを+1し(ステップS20)、Ns=8であるか否かを判定する(ステップS21)。Ns=8である場合、ステップS25の処理が行われ、Ns=8ではない場合、ステップS17からの処理が繰り返される。
【0073】
ステップS14の処理において、制御回路22は、計数値Nが1000に達したと判定した場合、コラムデコーダ21bとロウデコーダ24を制御して、全てのサブブロック21d1~21d8のデータを消去させる(ステップS22)。その後、制御回路22は、コラムデコーダ21bとロウデコーダ24を制御して、全てのサブブロック21d1~21d8に新規のデータ(前述した記憶部に保持されている更新後のデータ)を書き込ませる(ステップS23)。
【0074】
ステップS23の処理後、制御回路22は、計数値Nをリセットする(0にする)(ステップS24)。ステップS24の処理後、ステップS25の処理が行われる。そして、制御回路22は、書き換えを指示するコマンドを受信するたびに、ステップS12からの処理を繰り返す。
【0075】
なお、ステップS18の処理やステップS22の処理では、たとえば、以下のような消去処理が行われる。
図9は、消去処理の一例の流れを示すフローチャートである。
【0076】
制御回路22は、まず、消去対象のサブブロックまたはメモリセルアレイ21dに含まれる、1ビットのメモリセルを選択する(ステップS30)。そして、制御回路22は、コラムデコーダ21bとロウデコーダ24を制御して、選択した1ビットのメモリセルのメモリトランジスタ対のうち、“0”が書き込まれていないメモリトランジスタに“0”を書き込ませる(ステップS31)。なお、ステップS31の処理は、制御回路22が、前述のステップS12の処理で読み出されたメモリセルアレイ21dの全メモリセルのデータを参照することで行われる。
【0077】
その後、制御回路22は、消去対象のサブブロックまたはメモリセルアレイ21dの全ビットのメモリセルを選択したか否かを判定し(ステップS34)、全ビットのメモリセルを選択していない場合には、ステップS30からの処理を繰り返す。全ビットのメモリセルを選択した場合、制御回路22は、コラムデコーダ21bとロウデコーダ24を制御して、消去対象のサブブロックまたはメモリセルアレイ21dに含まれる、全ビットのメモリセルのデータを消去させ(ステップS35)、消去処理を終える。
【0078】
なお、
図8、
図9に示した処理の順序は一例であり、適宜入れ替えてもよい。
以上のような不揮発性メモリ20及び書き換え方法によれば、書き換え処理の回数が所定回数(上記の例では1000回)に達するまでは、サブブロック単位で書き換え処理が行われる。そのため、毎回セクタ単位で書き換えを行うよりもエネルギー効率を高められ、省電力化が可能となる。
【0079】
たとえば、
図7に示したように、1kバイトのサブブロック21d1~21d8の各々が書き換え単位である場合のエネルギー削減効果は、以下のようになる。1回当たりの書き換え処理において書き換えるデータ量が常に1kバイト以下であれば、書き換えにかかるエネルギーは、1000回のうち999回はセクタ単位で書き換え処理を行う場合の1/8である。1000回のうち、セクタ単位での書き換え処理が行われるのは1回だけであるため、毎回セクタ単位で書き換え処理を行う場合に対して、約1/8のエネルギーで済むことになる。
【0080】
また、以上のような不揮発性メモリ20及び書き換え方法によれば、前述のように記憶データの劣化を抑制できる。
(第3の実施の形態)
第3の実施の形態の不揮発性メモリは、
図2に示した不揮発性メモリ20と同様のハードウェア構成にて実現されるが、制御回路22は、以下に示すようにコラムデコーダ21bとロウデコーダ24を制御する。
【0081】
第3の実施の形態の不揮発性メモリにおいて、制御回路22は、消去処理を伴う書き換え処理の回数が所定回数に達するまで、複数のワード線の各々に接続されたメモリセル群を書き換え単位とするように、コラムデコーダ21b及びロウデコーダ24を制御する。また、制御回路22は、書き換え処理の回数が上記所定回数に達する場合に、メモリセルアレイの全体の書き換えを行うようにコラムデコーダ21b及びロウデコーダ24を制御する。また、制御回路22は、書き換え処理の回数が上記所定回数に達するたびに書き換え処理の回数をリセットする。
【0082】
複数のワード線の各々に接続されたメモリセル群を書き換え単位とした書き換え処理が行われる場合、非選択のメモリセル群は、書き換え対象のメモリセル群と同じビット線に接続されているため、ドレインディスターブの影響を受ける。
【0083】
たとえば、
図3に示したようなメモリセルアレイ21dでは、ワード線WL0に接続されたメモリセル群の書き換え処理が行われる場合、非選択のメモリセル群であるワード線WL1~WLyに接続されるメモリセル群は、ドレインディスターブの影響を受ける。
【0084】
書き換え処理の際に連続して非選択となる回数が多くなるメモリセル群では、ドレインディスターブの影響が大きくなる。そして、
図5に示したように、消去回数が10回を超えると、消去状態のメモリセル(メモリトランジスタ)の閾値電圧Vthがより上昇し、閾値電圧Vthの変化量の許容値を超えてしまう。
【0085】
第3の実施の形態の不揮発性メモリにおいて制御回路22は、たとえば、書き換え処理の回数(=消去回数)が10回に達するたびに、コラムデコーダ21b及びロウデコーダ24に、セクタ単位の書き換えを行わせる。メモリセルアレイ21dの複数のワード線の各々に接続されたメモリセル群を書き換え単位とした書き換え処理が9回行われたとき、9回のうち一度も書き換え対象にならないメモリセル群があった場合でも、そのメモリセル群は10回目の書き換え処理においては書き換え対象となる。そのため、ドレインディスターブによる閾値電圧の変化量が許容値を超えることを抑えられるとともに、上昇した閾値電圧を元に戻すことができ、記憶データの劣化を抑制できる。
【0086】
なお、複数のワード線の各々に接続されたメモリセル群を書き換えの単位とした場合、異なるメモリセル群は、ワード線を共有していない。そのため、複数のワード線の各々に接続されたメモリセル群を書き換えの単位として、消去処理を伴う書き換え処理が行われる際、非選択となるメモリセル群ではゲートディスターブの影響を受けない。
【0087】
以下、書き換え処理時における第3の実施の形態の不揮発性メモリの動作例を説明する。
なお、以下では、セクタ21a1のメモリセルアレイ21dに含まれるメモリセルの書き換え処理を説明する。他のセクタ21a2~21amのメモリセルアレイに含まれるメモリセルの書き換え処理も同様に行われる。
【0088】
図10は、書き換え処理時における第3の実施の形態の不揮発性メモリの動作の一例の流れを示すフローチャートである。
まず、制御回路22は、カウンタ22aの計数値Mを0に初期化させる(ステップS40)。計数値Mは、メモリセルアレイ21dの複数のメモリセルの何れかを対象にした書き換え処理(第3の実施の形態の不揮発性メモリでは、複数のワード線の何れかに接続されたメモリセル群に対する書き換え処理)の回数を示す。
【0089】
ステップS40の処理後、制御回路22は、メモリセルアレイ21dのメモリセルに対する書き換えを指示するコマンドを受信したか否かを判定する(ステップS41)。制御回路22は、メモリセルアレイ21dのメモリセルに対する書き換えを指示するコマンドを受信していない場合には受信待ちを行い(ステップS55)、ステップS41からの処理を繰り返す。
【0090】
制御回路22は、メモリセルアレイ21dのメモリセルに対する書き換えを指示するコマンドを受信した場合には、メモリセルアレイ21dの全メモリセルに記憶されているデータを読み出して、一旦、図示しない記憶部に保持させる。そして、制御回路22は、書き換えを指示するコマンドとともに供給される新たなデータにより、記憶部に保持されているデータを更新させる(ステップS42)。
【0091】
その後、制御回路22は、カウンタ22aの計数値Mをカウントアップ(+1)させ(ステップS43)、計数値Mが10より小さいか否かを判定する(ステップS44)。なお、10という値は、
図5に示した閾値電圧Vthの変化量の許容値を考慮して設定されているが、特にこの値に限定されるものではない。
【0092】
計数値Mが10より小さい場合、制御回路22は、受信アドレスに基づいて、書き換え対象のメモリセル群が接続されたワード線を示す番号を選択する(ステップS45)。以下、書き換え対象のメモリセル群が接続されたワード線を示す番号を、番号Mswという。また、以下の例では、
図3に示したようなメモリセルアレイ21dのワード線WL0~WLyの本数が256であり、番号Mswは0~255の何れかの値であるものとする。番号Mswは、たとえば、図示しないレジスタに保持される。
【0093】
次に、制御回路22は、ワード線を特定するための番号Ms(0~255の何れかの値)を、0にする(ステップS46)。番号Msは、カウンタ(カウンタ22aとは別のもの)の値であってもよい。
【0094】
そして、制御回路22は、Ms=Mswであるか否かを判定する(ステップS47)。Ms=Mswである場合、制御回路22は、コラムデコーダ21bとロウデコーダ24を制御して、番号Mswのワード線に接続されたメモリセル群のデータを消去させる(ステップS48)。その後、制御回路22は、コラムデコーダ21bとロウデコーダ24を制御して、番号Mswのワード線に接続されたメモリセル群に新規のデータを書き込ませる(ステップS49)。書き込まれる新規のデータは、前述した記憶部に保持されている更新後のデータのうち、番号Mswのワード線に接続されたメモリセル群のデータである。
【0095】
ステップS47の処理において、Ms=Mswではないと判定した場合、及び、ステップS49の処理後、制御回路22は、番号Msを+1し(ステップS50)、Ms=256であるか否かを判定する(ステップS51)。Ms=256である場合、ステップS55の処理が行われ、Ms=256ではない場合、ステップS47からの処理が繰り返される。
【0096】
ステップS44の処理において、制御回路22は、計数値Mが10に達したと判定した場合、コラムデコーダ21bとロウデコーダ24を制御して、全ワード線に接続されたメモリセル群のデータを消去させる(ステップS52)。その後、制御回路22は、コラムデコーダ21bとロウデコーダ24を制御して、全ワード線に接続されたメモリセル群に新規のデータ(前述した記憶部に保持されている更新後のデータ)を書き込ませる(ステップS53)。
【0097】
ステップS53の処理後、制御回路22は、計数値Mをリセットする(0にする)(ステップS54)。ステップS54の処理後、ステップS55の処理が行われる。そして、制御回路22は、書き換えを指示するコマンドを受信するたびに、ステップS42からの処理を繰り返す。
【0098】
なお、
図10に示した処理の順序は一例であり、適宜入れ替えてもよい。また、消去処理は、
図9に示した処理と同じである。
以上のような第3の実施の形態の不揮発性メモリ及び書き換え方法によれば、書き換え処理の回数が所定回数(上記の例では10回)に達するまでは、複数のワード線の各々に接続されたメモリセル群を書き換え単位とした書き換え処理が行われる。そのため、毎回セクタ単位で書き換えを行うよりもエネルギー効率を高められ、省電力化が可能となる。
【0099】
たとえば、
図3に示したようなメモリセルアレイ21dのワード線WL0~WLyの本数が256である場合、書き換えに伴う消去処理にかかるエネルギーは、10回のうち9回はセクタ単位で消去処理を行う場合の1/256である。
【0100】
また、以上のような第3の実施の形態の不揮発性メモリ及び書き換え方法によれば、前述のように記憶データの劣化を抑制できる。
(第4の実施の形態)
図11は、第4の実施の形態の不揮発性メモリの一例を示す図である。
図11において、
図2に示した要素と同じ要素については同一符号が付されている。
【0101】
第4の実施の形態の不揮発性メモリ40は、
図2に示した不揮発性メモリ20とほぼ同様のハードウェア構成で実現できるが、制御回路41は、カウンタ部41aを有する。
カウンタ部41aは、同一ビット線に接続された複数のメモリセルの何れかについての書き換え処理の回数をカウントするためのカウンタを、複数のビット線の各々について有している。また、カウンタ部41aは、同一ワード線に接続されたメモリセルの何れかについての書き換え処理の回数をカウントするためのカウンタを、複数のワード線の各々について有していてもよい。
【0102】
制御回路41は、同一ビット線に接続された複数のメモリセルの何れかについての書き換え処理の回数が所定回数に達するまで、その複数のメモリセルの各々を書き換え単位とするようにコラムデコーダ21b及びロウデコーダ24を制御する。これにより、メモリセル単位(1ビット単位)での書き換え処理が行われる。以下、同一ビット線に接続された複数のメモリセルの何れかについての書き換え処理の回数を、M(j)とする。jは複数のビット線の何れか(
図3に示したようなメモリセルアレイ21dでは複数のビット線対の何れか)を示す番号である。M(j)はカウンタ部41aに含まれる複数のカウンタにより計数される。なお、上記所定回数は、
図5に示したドレインディスターブによる閾値電圧Vthの変化量の許容値を考慮して、たとえば、10回に設定される。
【0103】
また、制御回路41は、M(j)が所定回数に達する場合に、番号jで示されるビット線に接続される複数のメモリセルの全てを書き換え単位として書き換えを行うようにコラムデコーダ21b及びロウデコーダ24を制御する。これにより、ビット線単位(
図3に示したようなメモリセルアレイ21dではビット線対単位)での書き換え処理が行われる。
【0104】
なお、制御回路41は、カウンタ部41aに含まれる複数のカウンタに、同一ワード線に接続されたメモリセルの何れかについての書き換え処理の回数をカウントさせてもよい。以下、その書き換え処理の回数を、N(i)とする。iは、ワード線を示す番号である。N(i)はカウンタ部41aに含まれる複数のカウンタにより計数される。
【0105】
そして、制御回路41は、N(i)が所定回数に達する場合に、メモリセルアレイ21dの全体を書き換え単位として書き換えを行うようにコラムデコーダ21b及びロウデコーダ24を制御する。これによりセクタ単位での書き換え処理が行われる。なお、上記所定回数は、
図6に示したゲートディスターブによる閾値電圧Vthの変化量の許容値を考慮して、たとえば、1000回に設定される。
【0106】
メモリセル単位を書き換え単位とした書き換え処理が行われる場合、書き換え対象のメモリセルと同じビット線またはワード線に接続されている非選択のメモリセルは、ドレインディスターブまたはゲートディスターブの影響を受ける。
【0107】
不揮発性メモリ40において制御回路41は、たとえば、M(j)が10回に達するたびに、コラムデコーダ21b及びロウデコーダ24に、番号jのビット線に接続される複数のメモリセルの全てを書き換え単位として書き換えを行わせる。その場合、あるビット線に接続される複数のメモリセルの何れかの書き換え処理が9回行われたとき、そのビット線に接続され、一度も書き換え対象にならないメモリセルがあった場合でも、そのメモリセルは10回目の書き換え処理においては書き換え対象となる。これにより、ドレインディスターブによる閾値電圧のシフトに起因した記憶データの劣化を抑制できる。
【0108】
また、不揮発性メモリ40において制御回路41は、たとえば、N(i)が1000回に達するたびに、コラムデコーダ21b及びロウデコーダ24に、セクタ単位での書き換えを行わせる。その場合、あるワード線に接続される複数のメモリセルの何れかの書き換え処理が999回行われたとき、そのワード線に接続され一度も書き換え対象にならないメモリセルがあった場合でも、そのメモリセルは1000回目の書き換え処理では書き換え対象となる。これにより、ゲートディスターブによる閾値電圧のシフトに起因した記憶データの劣化を抑制できる。
【0109】
以下、書き換え処理時における第4の実施の形態の不揮発性メモリの動作例を説明する。
なお、以下では、セクタ21a1のメモリセルアレイ21dに含まれるメモリセルの書き換え処理を説明する。メモリセルアレイ21dは、256本のワード線、256本のビット線(またはビット線対)を有するものとする。また、他のセクタ21a2~21amのメモリセルアレイに含まれるメモリセルの書き換え処理も同様に行われる。
【0110】
図12は、書き換え処理時における第4の実施の形態の不揮発性メモリの動作の一例の流れを示すフローチャートである。
まず、制御回路41は、N(i)(i=0~255)、M(j)(j=0~255)の各々を1に初期化する(ステップS60)。ステップS60の処理後、制御回路41は、メモリセルアレイ21dのメモリセルに対する書き換えを指示するコマンドを受信したか否かを判定する(ステップS61)。制御回路41は、メモリセルアレイ21dのメモリセルに対する書き換えを指示するコマンドを受信していない場合には受信待ちを行い(ステップS77)、ステップS61からの処理を繰り返す。
【0111】
制御回路41は、メモリセルアレイ21dのメモリセルに対する書き換えを指示するコマンドを受信した場合には、メモリセルアレイ21dの全メモリセルに記憶されているデータを読み出して、一旦、図示しない記憶部に保持させる。そして、制御回路41は、書き換えを指示するコマンドとともに供給される新たなデータにより、記憶部に保持されているデータを更新させる(ステップS62)。
【0112】
その後、制御回路41は、受信アドレスに基づいて、書き換え対象のメモリセルが接続されたワード線の番号とビット線の番号を選択する(ステップS63)。以下、書き換え対象のメモリセルが接続されたワード線を示す番号をia、書き換え対象のメモリセルが接続されたビット線を示す番号をjaという。番号ia,jaは、各々、0~255の何れかの値である。番号ia,jaは、たとえば、図示しないレジスタに保持される。
【0113】
次に、制御回路41は、ビット線を特定するための番号j(0~255の何れかの値)を、0にする(ステップS64)。番号jはカウンタ部41aに含まれるカウンタの値であってもよい。
【0114】
そして、制御回路41は、j=jaであるか否かを判定する(ステップS65)。j=jaである場合、制御回路41は、i=0~255の全てのN(i)が1000よりも小さいか否かを判定する(ステップS66)。全てのN(i)が1000よりも小さい場合、制御回路41は、M(j)が10よりも小さいか否かを判定する(ステップS67)。
【0115】
なお、上記の10や1000という値は、
図5や
図6に示した閾値電圧Vthの変化量の許容値を考慮して設定されているが、特にこれらの値に限定されるものではない。
M(j)が10よりも小さい場合、制御回路41は、コラムデコーダ21bとロウデコーダ24を制御して、番号jのビット線に接続された複数のメモリセルのうち、番号iaのワード線に接続されたメモリセルのデータを消去させる(ステップS68)。M(j)が10に達した場合、制御回路41は、コラムデコーダ21bとロウデコーダ24を制御して、番号jのビット線に接続された全てのメモリセルのデータを消去させる(ステップS69)。
【0116】
ステップS68またはステップS69の処理後、制御回路41は、コラムデコーダ21bとロウデコーダ24を制御して、データが消去されたメモリセルに新規のデータ(前述した記憶部に保持されている更新後のデータ)を書き込ませる(ステップS70)。その後、制御回路41は、N(i)をカウントアップ(+1)させるとともに、M(j)をカウントアップさせる(ステップS71)。なお、ステップS68の処理が行われた場合には、番号iaのワード線についてのN(ia)がカウントアップされ、ステップS69の処理が行われた場合には、i=0~255の全てのワード線についてのN(i)がカウントアップされる。
【0117】
ステップS65の処理で、j=jaでないと判定した場合、またはステップS71の処理後、制御回路41は、番号jを+1し(ステップS72)、j=256であるか否かを判定する(ステップS73)。j=256ではない場合、ステップS65からの処理が繰り返され、j=256である場合、ステップS77の処理が行われる。
【0118】
ステップS66の処理において、制御回路41は、何れかのN(i)が1000に達したと判定した場合、コラムデコーダ21bとロウデコーダ24を制御して、セクタ単位でデータを消去させる(ステップS74)。その後、制御回路41は、コラムデコーダ21bとロウデコーダ24を制御して、セクタ21a1のメモリセルアレイ21dの全メモリセルに新規のデータ(前述した記憶部に保持されている更新後のデータ)を書き込ませる(ステップS75)。
【0119】
ステップS75の処理後、制御回路41は、i=0~255の全てのN(i)と、j=0~255の全てのM(j)を1にリセットする(ステップS76)。ステップS76の処理後、ステップS77の処理が行われる。そして、制御回路22は、書き換えを指示するコマンドを受信するたびに、ステップS62からの処理を繰り返す。
【0120】
なお、
図12に示した処理の順序は一例であり、適宜入れ替えてもよい。また、消去処理は、
図9に示した処理と同じである。
以上のような第4の実施の形態の不揮発性メモリ及び書き換え方法によれば、M(j)が所定回数(上記の例では10回)に達するまでは、メモリセル単位(1ビット単位)で書き換え処理が行われる。そのため、毎回セクタ単位で書き換えを行うよりもエネルギー効率を大幅に高められ、省電力化が可能となる。
【0121】
また、以上のような第4の実施の形態の不揮発性メモリ及び書き換え方法によれば、前述のように記憶データの劣化を抑制できる。
ところで、上記の第4の実施の形態の不揮発性メモリ40の例では、同一ビット線に接続された複数のメモリセルは、書き換え回数が所定回数(たとえば、10回)までは、1つずつ(1ビット単位で)消去が行われる。このような処理を実現する場合、ロウデコーダ24として、複数のワード線の各々に、選択的に負の高電圧(たとえば、
図4に示したように-6V)を供給する回路構成が適用される。ただ、負の高電圧を供給する回路構成は複雑になりがちであるため、ロウデコーダ24を、複数のワード線に一括して同じ負の高電圧を供給するような回路構成とすることで、回路レイアウトを容易化できる。
【0122】
図13は、複数のワード線にまとめて負の高電圧を供給する例を示す図である。
図13では、8本のワード線(たとえば、ワード線WL0~WL7,WL8~WL15)からなるワード線群50,51のそれぞれに、ロウデコーダ24の同一電圧供給部24a,24bにより、まとめて負の高電圧が供給される例が示されている。
【0123】
第4の実施の形態の不揮発性メモリ40において、消去時にワード線群50,51ごとに、まとめて負の高電圧が供給される場合、1ビット単位での消去ではなく、8ビット単位での消去が行われる。このため、最小消去単位は大きくなるが、メモリセルアレイ21dにおいて更新される領域が極めて小さい場合を除けば、書き換え時のエネルギー効率に対する影響は少ない。
【0124】
なお、説明を省略したが、前述の第2の実施の形態の不揮発性メモリ20において、コラムデコーダ21bは、サブブロック21d1~21d8の各々に含まれる複数のビット線に一括して同一の電圧を供給する機能を有する。
【0125】
図14は、コラムデコーダが、サブブロックごとに同一の電圧を供給する様子を示す図である。
コラムデコーダ21bは、サブブロック21d1~21d8の数に対応して、8つの同一電圧供給部21b1,21b2,…,21b8を有する。同一電圧供給部21b1~21b8の各々は、消去処理時に、対応するサブブロックに含まれる複数のビット線に対して一括して同一の電圧を供給する。
【0126】
コラムデコーダ21bは、消去時に、ビット線1本ごとに電圧を供給するのではなく、サブブロックに含まれる複数のビット線に対して一括して同一の電圧を供給するので、回路レイアウトを容易化できる。
【0127】
ところで、フローティングゲート型のメモリセルを含むメモリセルアレイを有する不揮発性メモリにおいても、後述するように書き換え単位をセクタよりも小さくした場合には、ゲートディスターブの影響によるデータ劣化の可能性がある。そのため、たとえば、第2の実施の形態の不揮発性メモリ20と同様の手法を用いて、データ劣化を抑制することが望ましい。
【0128】
図15は、フローティングゲート型のメモリセルを有するメモリセルアレイの一例を示す図である。メモリセルアレイ60は、フローティングゲートに電荷(ホットキャリア)を蓄積することによってデータを記憶するメモリトランジスタ(たとえば、メモリトランジスタ61t1,61t2,61t3,61t4)を、複数有する。
【0129】
なお、
図15のメモリセルアレイ60では、1つのメモリトランジスタが1ビットのデータを記憶するメモリセルとして機能する。
複数のメモリトランジスタの各々のドレインには、ビット線BL0,BL1,…,BLyの何れかが接続される。たとえば、メモリトランジスタ61t1,61t2,61t3のドレインにはビット線BL0が接続され、メモリトランジスタ61t4のドレインにはビット線BLyが接続される。複数のメモリトランジスタの各々のソースには、ソース線SL0~SLxの何れかが接続される。たとえば、メモリトランジスタ61t1,61t2,61t4のソースにはソース線SL0が接続され、メモリトランジスタ61t3のソースにはソース線SLxが接続される。また、複数のメモリトランジスタの各々のゲートには、ワード線WL0,WL1,…,WLxの何れかが接続される。たとえば、メモリトランジスタ61t1,61t4のゲートにはワード線WL0が接続され、メモリトランジスタ61t2のゲートにはワード線WL1が接続され、メモリトランジスタ61t3のゲートにはワード線WLxが接続される。
【0130】
図16は、フローティングゲート型のメモリトランジスタの一例の断面構造と、メモリトランジスタに対する書き込み及び消去の例を示す図である。
メモリトランジスタ61t1は、p型の半導体基板70の上方に設けられたトンネル酸化膜71、トンネル酸化膜71の上方に順に積層されたフローティングゲート72、絶縁膜73、コントロールゲート74を有する。また、メモリトランジスタ61t1は、トンネル酸化膜71とフローティングゲート72と絶縁膜73とコントロールゲート74とによる積層構造の側壁に設けられたサイドウォール絶縁膜75を有する。サイドウォール絶縁膜75は、たとえば、絶縁膜である酸化膜75aと窒化膜75bが積層された構造を含む。メモリトランジスタ61t1は、さらに、半導体基板70内にそれぞれ設けられ、ソース領域またはドレイン領域として機能する不純物領域76a及び不純物領域76bを有する。メモリトランジスタ61t1は、サイドウォール絶縁膜75の下方の半導体基板70内で、不純物領域76a及び不純物領域76bの内側に、LDD領域77a及びLDD領域77bを有してもよい。
【0131】
このようなメモリトランジスタ61t1に対する書き込み時には、たとえば、半導体基板70と不純物領域76aが接地電位(たとえば、0V)とされ、不純物領域76bに5V、コントロールゲート74に9Vの電圧が印加される。これによりLDD領域77bの近傍で生成されるホットエレクトロンがトンネル酸化膜71を介してフローティングゲート72に注入、蓄積されることで、データが書き込まれる。
【0132】
一方、メモリトランジスタ61t1に対する消去時には、たとえば、半導体基板70に9Vの電圧が印加され、不純物領域76a,76bがフローティング状態とされ、コントロールゲート74に-9Vの電圧が印加される。これにより、フローティングゲート72に蓄積されている電子が、トンネル酸化膜71を介して半導体基板70に流れ出すことによって、データが消去される。
【0133】
フローティングゲート型のフラッシュメモリは、セクタ単位で一括消去を行うことが一般的であるが、特定のワード線に接続されるメモリセルを選択的に消去することもできる。
【0134】
たとえば、
図15に示したメモリセルアレイ60において、ワード線WL0に接続された複数のメモリトランジスタ(たとえば、メモリトランジスタ61t1,61t4)のデータを消去する場合、ワード線WL0に-9Vの電圧が印加される。他のワード線WL1~WLxは接地電位とされ、ビット線BL0~BLy、ソース線SL0~SLxはフローティング状態とされる。また、半導体基板70には、9Vの電圧が印加される。
【0135】
このとき、ワード線WL1~WLxに接続されているメモリトランジスタ(消去の対象外のメモリトランジスタ)は、ゲートディスターブの影響を受ける。半導体基板70に9Vの電圧が印加され、ワード線WL1~WLxは接地電位となっているためである。
【0136】
図17は、消去時に非選択のメモリトランジスタに生じるゲートディスターブの影響を示す図である。横軸は消去時間(sec)を表し、縦軸は閾値電圧Vth(V)を表す。
図17において実線は、消去時に選択されるメモリトランジスタにおける、消去時間と閾値電圧Vthとの関係の測定結果を示している。
図17において点線は、その測定結果を得たメモリトランジスタのデバイス構造をモデル化したものに対して、消去時に非選択となるメモリトランジスタに印加される電圧条件を適用したときの、消去時間と閾値電圧Vthとの関係を計算した結果を示す。なお、1回の消去時間は100msecである。
【0137】
図17に示されているように、消去時間が1.E+02(sec)(消去回数=1000回に相当)程度になると、ゲートディスターブによる閾値電圧Vthの低下は顕著になる。
【0138】
したがって、メモリセルアレイ60において書き換え単位を小さくした場合に、サイドウォールトラップ型のメモリセルを用いた不揮発性メモリと同様に、記憶データの劣化が生じる可能性がある。そこで、フローティングゲート型のメモリセルを用いた不揮発性メモリは、消去処理を伴う書き換え処理の回数が所定回数(たとえば、1000回)に達するまでは、メモリセルアレイ60をビット線に直交する方向に分割したサブブロック単位で書き換え処理を行う。
【0139】
図18は、サブブロックへの分割例を示す図である。
図18には、メモリセルアレイ60をビット線BL0~BLyに直交する方向に分割した複数のサブブロック62s1~62snの例が示されている。
【0140】
書き換え処理の回数が所定回数に達した場合、フローティングゲート型のメモリセルを用いた不揮発性メモリは、メモリセルアレイ60の全体の一括消去を行う。これにより、ゲートディスターブに起因した記憶データの劣化を抑制できる。
【0141】
(第5の実施の形態)
ところで、前述のように、ディスターブが生じるのは、書き換え対象となるメモリセル(選択メモリセル)とワード線またはビット線を共有し、書き換え対象外となるメモリセル(非選択メモリセル)である。そのため、書き換え処理の回数自体が所定回数に達した場合でも、メモリセルアレイに含まれるどのメモリセルにおいても、連続して書き換え処理の対象外となる回数がその所定回数に達しておらず、ディスターブの影響が小さい可能性がある。
【0142】
以下に示す第5の実施の形態の不揮発性メモリは、書き換え処理の回数自体が所定回数に達した場合に書き換え単位を大きくする代わりに、あるメモリセルが連続して書き換え処理の対象外となる回数が所定回数に達した場合に書き換え単位を大きくする。
【0143】
図19は、第5の実施の形態の不揮発性メモリの一例を示す図である。
図19において、
図2に示した要素と同じ要素については同一符号が付されている。
第5の実施の形態の不揮発性メモリ80において、制御回路81は、たとえば、
図7に示したサブブロック21d1~21d8の各々が、書き換え対象外となる回数をカウントするカウンタ81a1,81a2,…,81a8を有する。たとえば、カウンタ81a1は、サブブロック21d1が書き換え対象外となる回数をカウントし、カウンタ81a8は、サブブロック21d8が書き換え対象外となる回数をカウントする。
【0144】
制御回路81は、サブブロック21d1~21d8の何れかの書き換えが行われた場合には、書き換え対象となったサブブロックに対応するカウンタの計数値をリセットする。そして、制御回路81は、カウンタ81a1~81a8の何れかの計数値が、たとえば、1000回に達した場合に、書き換え単位をサブブロック単位から、セクタ単位にするように、コラムデコーダ21bとロウデコーダ24を制御する。なお、1000回という値は、
図6に示した閾値電圧Vthの変化量の許容値を考慮して設定されているが、特にこの値に限定されるものではない。
【0145】
以下、上記の不揮発性メモリ80の処理の例を、フローチャートを用いて説明する。
図20は、第5の実施の形態の不揮発性メモリの書き換え方法の一例の流れを示すフローチャートである。
【0146】
まず、制御回路81は、カウンタ81a1~81a8の計数値Nn(i)(i=1~8)を0に初期化させる(ステップS80)。計数値Nn(i)は、サブブロック21d1~21d8の各々が、書き換え対象外となる回数を示す。ステップS81,S82の処理は、
図8に示したステップS11,S12の処理と同じである。ステップS82の処理後、制御回路81は、受信アドレスに基づいて、書き換え対象以外のサブブロックを検出して、書き換え対象以外のサブブロックに対応したカウンタの計数値をカウントアップ(+1)させる(ステップS83)。そして、制御回路81は、1000に達した計数値Nn(i)があるか否かを判定する(ステップS84)。
【0147】
1000に達した計数値Nn(i)がない場合、ステップS85の処理が行われる。ステップS85~S91の処理は、
図8に示したステップS15~S21の処理と同じである。1000に達した計数値Nn(i)がある場合、ステップS92の処理が行われる。ステップS92,S93の処理は、
図8に示したステップS22,S23の処理と同じである。ステップS93の処理後、制御回路81は、計数値Nn(i)(i=1~8)をリセットする(0にする)(ステップS94)。ステップS94の処理後、ステップS95の処理(受信待ち)が行われる。そして、制御回路81は、書き換えを指示するコマンドを受信するたびに、ステップS82からの処理を繰り返す。
【0148】
以上のような処理によれば、あるサブブロックが連続して書き換え処理の対象外となる回数が1000回に達した場合に、書き換え単位がセクタ単位(全サブブロック)となる。これにより、どのメモリセルもディスターブの影響が小さい(閾値電圧Vthの低下が小さい)にもかかわらず、書き換え単位を広げてしまうことが抑制され、エネルギー効率をさらに向上できる。
【0149】
以上、実施の形態に基づき、本発明の不揮発性メモリ及びその書き換え方法の一観点について説明してきたが、これらは一例にすぎず、上記の記載に限定されるものではない。
以上説明した複数の実施の形態に関し、さらに以下の付記を開示する。
【0150】
(付記1)複数のワード線と複数のビット線と、各々が前記複数のワード線の何れかに接続されるとともに前記複数のビット線の何れかに接続され、コラムデコーダ及びロウデコーダにより選択される複数のメモリセルとを備えるメモリセルアレイと、
前記複数のメモリセルの何れかを対象にした消去処理を伴う書き換え処理の回数が所定回数に達するまで、前記対象としたメモリセルを含み前記メモリセルアレイの全体よりも小さい第1の範囲を書き換え単位とし、前記書き換え処理の回数が前記所定回数に達する場合に、前記対象としたメモリセルを含み前記第1の範囲よりも大きい第2の範囲を前記書き換え単位として、書き換えを行うように前記コラムデコーダ及び前記ロウデコーダを制御し、前記書き換え処理の回数が前記所定回数に達するたびに前記書き換え処理の回数をリセットする制御回路と、
を有する不揮発性半導体記憶装置。
【0151】
(付記2)前記第1の範囲は、前記メモリセルアレイを前記複数のワード線に直交する方向に分割した複数の領域の各々に含まれる第1のメモリセル群であり、前記第2の範囲は、前記メモリセルアレイの全体である、
付記1に記載の不揮発性半導体記憶装置。
【0152】
(付記3)前記複数のメモリセルの各々は、サイドウォールトラップ型のメモリトランジスタを有する、付記2に記載の不揮発性半導体記憶装置。
(付記4)前記第1の範囲は、前記メモリセルアレイを前記複数のビット線に直交する方向に分割した複数の領域の各々に含まれる第1のメモリセル群であり、前記第2の範囲は、前記メモリセルアレイの全体である、
付記1に記載の不揮発性半導体記憶装置。
【0153】
(付記5)前記複数のメモリセルの各々は、フローティングゲート型のメモリトランジスタを有する、付記4に記載の不揮発性半導体記憶装置。
(付記6)前記所定回数は、1000回である付記2乃至5の何れか1つに記載の不揮発性半導体記憶装置。
【0154】
(付記7)前記コラムデコーダは、前記複数の領域の各々に含まれるメモリセルのデータを消去する際に、前記複数の領域の各々に含まれる複数の第1のビット線に一括して同一の電圧を供給する、付記2または3に記載の不揮発性半導体記憶装置。
【0155】
(付記8)前記第1の範囲は、前記メモリセルアレイにおいて同一ビット線に接続された複数の第1のメモリセルのうちの各々または前記複数の第1のメモリセルよりも少ない複数の第2のメモリセルであり、前記第2の範囲は、前記複数の第1のメモリセルの全てである、
付記1に記載の不揮発性半導体記憶装置。
【0156】
(付記9)前記制御回路は、前記メモリセルアレイにおいて同一ワード線に接続された複数の第3のメモリセルの何れかについての消去処理を伴う書き換え処理の回数が第1の回数に達する場合に、前記メモリセルアレイの全体の書き換えを行うように前記コラムデコーダ及び前記ロウデコーダを制御する、
付記8に記載の不揮発性半導体記憶装置。
【0157】
(付記10)前記所定回数は10回であり、前記第1の回数は1000回である、付記9に記載の不揮発性半導体記憶装置。
(付記11)前記ロウデコーダは、前記メモリセルアレイにおける所定数のワード線ごとに一括して同一の電圧を供給して、前記複数の第2のメモリセルのデータを一括して消去する、付記8乃至10の何れか1つに記載の不揮発性半導体記憶装置。
【0158】
(付記12)前記第1の範囲は、前記複数のメモリセルのうち、前記複数のワード線の各々に接続された第2のメモリセル群であり、前記第2の範囲は、前記メモリセルアレイの全体である、
付記1に記載の不揮発性半導体記憶装置。
【0159】
(付記13)前記所定回数は10回である、付記12に記載の不揮発性半導体記憶装置。
(付記14)複数のワード線と複数のビット線と、各々が前記複数のワード線の何れかに接続されるとともに前記複数のビット線の何れかに接続され、コラムデコーダ及びロウデコーダにより選択される複数のメモリセルとを備えるメモリセルアレイと、
前記複数のメモリセルの何れかである選択メモリセルに対する消去処理を伴う書き換え処理時に、前記メモリセルアレイにおいて前記選択メモリセルとワード線またはビット線を共有する非選択メモリセルが、連続して前記書き換え処理の対象外となる回数が所定回数に達するまで、前記選択メモリセルを含み前記メモリセルアレイの全体よりも小さい第1の範囲を書き換え単位とし、前記書き換え処理の回数が前記所定回数に達する場合に、前記選択メモリセルを含み前記第1の範囲よりも大きい第2の範囲を前記書き換え単位として、書き換えを行うように前記コラムデコーダ及び前記ロウデコーダを制御し、前記書き換え処理の回数が前記所定回数に達するたびに前記書き換え処理の回数をリセットする制御回路と、
を有する不揮発性半導体記憶装置。
【0160】
(付記15)制御回路は、メモリセルアレイにおける複数のメモリセルの何れかを対象にした消去処理を伴う書き換え処理の回数が所定回数に達するまで、前記対象としたメモリセルを含み前記メモリセルアレイの全体よりも小さい第1の範囲を書き換え単位として、書き換えを行うように、前記複数のメモリセルの何れかを選択するコラムデコーダ及びロウデコーダを制御し、
前記制御回路は、前記書き換え処理の回数が前記所定回数に達する場合に、前記対象としたメモリセルを含み前記第1の範囲よりも大きい第2の範囲を前記書き換え単位として、書き換えを行うように前記コラムデコーダ及び前記ロウデコーダを制御し、
前記制御回路は、前記書き換え処理の回数が前記所定回数に達するたびに前記書き換え処理の回数をリセットする、
不揮発性半導体記憶装置の書き換え方法。
【0161】
(付記16)制御回路は、メモリセルアレイにおける複数のメモリセルの何れかである選択メモリセルに対する消去処理を伴う書き換え処理時に、前記メモリセルアレイにおいて前記選択メモリセルとワード線またはビット線を共有する非選択メモリセルが、連続して前記書き換え処理の対象外となる回数が所定回数に達するまで、前記選択メモリセルを含み前記メモリセルアレイの全体よりも小さい第1の範囲を書き換え単位として、書き換えを行うように、前記複数のメモリセルの何れかを選択するコラムデコーダ及びロウデコーダを制御し、
前記制御回路は、前記書き換え処理の回数が前記所定回数に達する場合に、前記選択メモリセルを含み前記第1の範囲よりも大きい第2の範囲を前記書き換え単位として、書き換えを行うように前記コラムデコーダ及び前記ロウデコーダを制御し、
前記制御回路は、前記書き換え処理の回数が前記所定回数に達するたびに前記書き換え処理の回数をリセットする、
不揮発性半導体記憶装置の書き換え方法。
【符号の説明】
【0162】
10 不揮発性メモリ
11a メモリセルアレイ
11a1~11an サブブロック
11b コラムデコーダ
11c ロウデコーダ
12 制御回路
12a カウンタ