(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-01-17
(45)【発行日】2023-01-25
(54)【発明の名称】根菜収穫機
(51)【国際特許分類】
A01D 17/00 20060101AFI20230118BHJP
【FI】
A01D17/00
(21)【出願番号】P 2019141021
(22)【出願日】2019-07-31
【審査請求日】2022-02-10
(73)【特許権者】
【識別番号】000001052
【氏名又は名称】株式会社クボタ
(73)【特許権者】
【識別番号】599118768
【氏名又は名称】株式会社斎藤農機製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】弁理士法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】藤田 祐貴
(72)【発明者】
【氏名】秋元 賢佑
(72)【発明者】
【氏名】守山 千仁
(72)【発明者】
【氏名】後藤 正志
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 昌幸
(72)【発明者】
【氏名】斎藤 満
(72)【発明者】
【氏名】高橋 草太
【審査官】田辺 義拓
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-084849(JP,A)
【文献】特開平07-059424(JP,A)
【文献】特開2002-084848(JP,A)
【文献】特開2003-052213(JP,A)
【文献】特開2018-050575(JP,A)
【文献】特開2000-300031(JP,A)
【文献】特開平09-121657(JP,A)
【文献】実開昭56-015331(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01D 17/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
根菜の茎葉部を後上方に挟持搬送して根菜を圃場から抜き上げる挟持搬送装置と、前記挟持搬送装置の前方に設けられ、収穫対象の根菜の茎葉部を引き起こして前記挟持搬送装置に供給する分草部と、が備えられ、
前記分草部は、機体前後方向に延びる分草体と、前記分草体の前端部から前記挟持搬送装置の始端部に向けて後上がり、かつ横向きに延ばされた第1分草杆と、前記第1分草杆の後部の下方において、前記分草体から前記挟持搬送装置の始端部に向けて後上がり、かつ横向きに延ばされた第2分草杆と、を有し
、
側面視において、前記第1分草杆の後部と前記第2分草杆とが平行であり、かつ、平面視において、前記第1分草杆の後部と前記第2分草杆とが重複している根菜収穫機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、根菜収穫機に関する。
【背景技術】
【0002】
根菜収穫機には、根菜の茎葉部を後上方に挟持搬送して根菜を圃場から抜き上げる挟持搬送装置が備えられたものがある。この種の根菜収穫機としては、特許文献1に示されるものがある。特許文献1に示される根菜収穫機では、挟持搬送装置としての搬送装置が備えられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記した根菜収穫機では、挟持搬送装置に茎葉部がうまく挟持されないことがあると、根菜が収穫されないで圃場に残ってしまう。いわゆる、収穫漏れができる。また、収穫対象の根菜の茎葉部を引き起こして挟持搬送装置に供給する分草部を備えても、茎葉部が広がったり、倒れたりしていて分草部による引き起こし不良や挟持搬送装置に対する供給不良があると、収穫漏れができる。
【0005】
本発明は、収穫漏れができにくい根菜収穫機を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明による根菜数収穫機は、
根菜の茎葉部を後上方に挟持搬送して根菜を圃場から抜き上げる挟持搬送装置と、前記挟持搬送装置の前方に設けられ、収穫対象の根菜の茎葉部を引き起こして前記挟持搬送装置に供給する分草部と、が備えられ、前記分草部は、機体前後方向に延びる分草体と、前記分草体の前端部から前記挟持搬送装置の始端部に向けて後上がり、かつ横向きに延ばされた第1分草杆と、前記第1分草杆の後部の下方において、前記分草体から前記挟持搬送装置の始端部に向けて後上がり、かつ横向きに延ばされた第2分草杆と、を有し、側面視において、前記第1分草杆の後部と前記第2分草杆とが平行であり、かつ、平面視において、前記第1分草杆の後部と前記第2分草杆とが重複している。
【0007】
本構成によると、収穫対象の根菜の茎葉部と、収穫対象外の根菜の茎葉部とが分草体によって分草され、収穫対象の根菜の茎葉部が第1分草杆及び第2分草杆によってすくい上げられて挟持搬送装置に向けて寄せられるので、茎葉部の広がりや倒れにかかわらず、茎葉部が挟持搬送装置に的確に挟持され、根菜が圃場に残り難い状態で収穫できる。
【0008】
【0009】
また、本構成によると、茎葉部が第1分草杆と第2分草杆との間に詰まり難いので、収穫対象の根菜を挟持搬送装置にスムーズに供給できる。
【0010】
【0011】
また、本構成によると、茎葉部が第1分草杆及び第2分草杆に沿ってスムーズに挟持搬送装置に向けて移動するので、根菜が詰まり難い。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の一例である実施形態を図面に基づいて説明する。
なお、以下の説明では、人参収穫機(「根菜収穫機」の一例)の走行機体に関し、
図1,2に示される矢印Fの方向を「機体前方」、矢印Bの方向を「機体後方」、
図1に示される矢印Uの方向を「機体上方」、矢印Dの方向を「機体下方」、
図2に示される矢印Lの方向を「機体左方」、矢印Rの方向を「機体右方」とする。
【0014】
〔人参収穫機の全体について〕
図1に示されるように、人参収穫機の走行機体は、角パイプ材などの複数の鋼材を連結して構成された機体フレーム1を備えている。機体フレーム1の下部に左右一対のクローラ式走行装置2が装備されている。
図1,2に示されるように、走行機体の前部の右横側部分に運転座席3を有する運転部4が形成されている。運転座席3の下方に、エンジンEが設けられている。走行機体の左横側部分に、圃場から人参を収穫する収穫部5が設けられている。収穫部5が有する挟持搬送装置6の中間部の下方に、挟持搬送装置6による搬送途中の人参のひげ根を切断するひげ根切断装置7が設けられている。挟持搬送装置6の後部の下方に、人参の茎葉部を回転刃8によって切断して除去する茎葉部除去装置9が設けられている。除去された茎葉部は、茎葉部除去装置9の後方に設けられた第1放出シュート10及び第2放出シュート11によって案内されて機体後方で圃場に放出される。走行機体の後部に、茎葉部が除去された人参をコンテナCに回収する回収部12が設けられている。回収部12に対する人参の供給は、茎葉部除去装置9の下方に設けられ、茎葉部除去装置9から落下した人参を受け止めて後方に搬送する後送りコンベヤ13と、後送りコンベヤ13の終端部と回収部12との間に設けられ、後送りコンベヤ13からの人参を受け継いで回収部12に搬送する横送りコンベヤ14とによって行われる。走行機体の右横側部に、収穫された人参を貯留する貯留部15が設けられている。貯留部15は、複数のコンテナCを機体前後方向に並べて載置することができる。回収部12の後方に、補助作業者用の座席16が設けられている。
【0015】
〔収穫部について〕
図1,2に示されるように、収穫部5は、人参を圃場から抜き上げる挟持搬送装置6、収穫対象の人参の茎葉部を挟持搬送装置6に供給する分草部17、収穫対象の人参の茎葉部と収穫対象外の人参の茎葉部とを分草する強制分草装置18、収穫対象の人参の茎葉部の引起こしを行う引起こし装置19を有している。挟持搬送装置6の前部の下方に、収穫対象の人参の横側方において土をほぐして人参を抜け上げやすくする土ほぐし刃20が設けられている。
【0016】
〔分草部について〕
分草部17は、
図1,2に示されるように、挟持搬送装置6の前方に設けられている。分草部17は、
図1,3,4に示されるように、機体前後方向に延びる分草体21と、分草体21の前端部から挟持搬送装置6の始端部に向けて後上がり、かつ横向きに延ばされた第1分草杆22と、分草体21の前後方向での中間部から挟持搬送装置6の始端部に向けて後上がり、かつ横向きに延ばされた第2分草杆23と、を有している。分草体21は、挟持搬送装置6の下端部に連結された支持部材24から前方に延ばされ、支持部材24を介して挟持搬送装置6に支持されている。第1分草杆22は、
図3,6に示されるように、平面視において、第1分草杆22の前部22aが分草体21と重複し、第1分草杆22の後部22bが分草体21に対して挟持搬送装置6の受入れ口6aが位置する側に変位した状態で設けられている。第2分草杆23は、
図4,5に示されるように、第1分草杆22の後部22bの下方に配置されている。第1分草杆22及び第2分草杆23は、
図3,6に示されるように、平面視において、第1分草杆22の後部22bと第2分草杆23が重複する状態で設けられている。具体的には、第1分草杆22の後端部と、第2分草杆23の後端部とが重複している。第1分草杆22及び第2分草杆23は、
図4に示されるように、側面視において、第1分草杆22の後部22bと第2分草杆23とが平行に並ぶ状態で設けられている。本発明における「第1分草杆22の後部22bと第2分草杆23とが平行である」という構成は、ほぼ平行である構成を含む。
【0017】
分草部17においては、走行機体の前方に位置する人参の茎葉部が分草体21によって収穫対象の人参の茎葉部と収穫対象外の人参の茎葉部とに分草される。収穫対象の人参の茎葉部が第1分草杆22及び第2分草杆23によってすくい上げられ、かつ、第1分草杆22及び第2分草杆23によって挟持搬送装置6に向けて寄せられる。
【0018】
〔強制分草装置について〕
図3,4に示されるように、強制分草装置18は、挟持搬送装置6の前部の上方に後上がり傾斜の状態で設けられた分草ケース18aを有している。分草ケース18aは、分草ケース18aの後部と挟持搬送装置6のベルトカバー6bとに連結された支持部材25を介して挟持搬送装置6に支持されている。分草ケース18aには、分草ケース18aから前向きに突出した状態で分草ケース18aに沿わせて上昇移送される引起こし爪18bが備えられている。
【0019】
強制分草装置18においては、人参の茎葉部が引起こし爪18bによって梳き上げられることにより、収穫対象の人参の茎葉部と収穫対象外の人参の茎葉部とが分草される。
【0020】
〔引起こし装置について〕
図2,3に示されるように、引起こし装置19は、挟持搬送装置6における搬送経路に対して強制分草装置18が位置する側と反対側に設けられた引起こしケース19aを有している。引起こしケース19aには、引起こしケース19aから横向きに突出した状態で上昇移送される引起こし爪19bが備えられている。
【0021】
引起こし装置19においては、収穫対象の人参の茎葉部が引起こし爪19bによって梳き上げられることにより、人参の茎葉部の引き起こしが行われる。
【0022】
〔挟持搬送装置について〕
挟持搬送装置6は、
図1,2,3に示されるように、第1分草杆22及び第2分草杆23の後方箇所と茎葉部除去装置9の上方とにわたって後上がり傾斜の状態で設けられた左右一対のベルトカバー6bを有している。左右のベルトカバー6bそれぞれの内部に無端回動ベルト26が回転可能に設けられている。左右の無端回動ベルト26は、ベルトカバー6bの前端部内に回転可能に設けられた従動プーリ27(
図3参照)と、ベルトカバー6bの後端部内に回転可能に設けられた駆動プーリ28(
図2参照)とに巻回されており、駆動プーリ28によって駆動される。左右の無端回動ベルト26は、各無端回動ベルト26の搬送経路部26a(
図3参照)が寄り合う状態で設けられている。
図3に示されるように、左の無端回動ベルト26の前端部分と、右の無端回動ベルト26の前端部分とによって挟持搬送装置6の受入れ口6aが形成されている。
【0023】
挟持搬送装置6においては、分草部17によって分草された収穫対象の人参の茎葉部が第1分草杆22及び第2分草杆23によって挟持搬送装置6の前部に向けて案内され、案内された茎葉部が左右の無端回動ベルト26の前端部によって受入れ口6aを介して左右の無端回動ベルト26の搬送経路部26aに導入され、導入された茎葉部が左右の無端回動ベルト26の搬送経路部26aによって後上方に挟持搬送される。茎葉部が後上方に挟持搬送されることにより、人参(人参本体)が圃場から抜き上げられる。
【0024】
〔別実施形態〕
(1)上記した実施形態では、人参を収穫対象とする例を示したが、これに限らない。たとえば、玉ねぎ、大根など各種の根菜を収穫対象とするものであればよい。
【0025】
(2)上記した実施形態では、側面視において、第1分草杆22の後部22bと第2分草杆23とが平行である構成を採用した例を示したが、これに限らない。たとえば、第1分草杆と第2分草杆との間隔が後広がりである状態で第1分草杆と第2分草杆とが並ぶものであってもよい。
【0026】
(3)上記した実施形態では、平面視において、第1分草杆22の後部22bと第2分草杆23とが重複している構成を採用した例を示したが、これに限らない。例えば、第1分草杆と第2分草杆とが横方向に分散しているものであってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0027】
本発明は、根菜の茎葉部を後上方に挟持搬送して根菜を圃場から抜き上げる挟持搬送装置が備えられた各種の根菜収穫機に適用できる。
【符号の説明】
【0028】
6 挟持搬送装置
17 分草部
21 分草体
22 第1分草杆
22b 後部
23 第2分草杆