(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-01-17
(45)【発行日】2023-01-25
(54)【発明の名称】コネクタ接続構造及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
H01R 12/77 20110101AFI20230118BHJP
H01R 43/00 20060101ALI20230118BHJP
【FI】
H01R12/77
H01R43/00 J
(21)【出願番号】P 2022571826
(86)(22)【出願日】2022-09-14
(86)【国際出願番号】 JP2022034429
【審査請求日】2022-11-22
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】514015019
【氏名又は名称】エレファンテック株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】312003595
【氏名又は名称】タカハタプレシジョン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100162341
【氏名又は名称】瀬崎 幸典
(72)【発明者】
【氏名】中島 崇
(72)【発明者】
【氏名】飯塚 稔
(72)【発明者】
【氏名】北山 慎吾
(72)【発明者】
【氏名】横山 英明
(72)【発明者】
【氏名】老田 雄一
(72)【発明者】
【氏名】藤巻 清
【審査官】松原 陽介
(56)【参考文献】
【文献】特開平8-279667(JP,A)
【文献】実開平6-44037(JP,U)
【文献】特開2008-218118(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0028174(US,A1)
【文献】特許第7117705(JP,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R 12/00,12/50-12/91
H01R 24/00-24/86
H01R 43/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
変形可能な回路基板の一面に配置された導電性パターンの一端部を外部素子と電気的に接続するコネクタ接続構造であって、
ハウジングの基端部に形成された開口部の内面に前記外部素子と電気的に接続される外部接続端子の一端が露出し、前記導電性パターンの一端部は前記開口部に挿入されて前記外部接続端子の一端と電気的に導通するように接触保持された状態で前記回路基板の一面とは反対側の他面を覆うように形成された樹脂層が前記ハウジングと一体化されて固定されている、
ことを特徴とするコネクタ接続構造。
【請求項2】
前記樹脂層は、前記ハウジングと相溶性を有する合成樹脂を材料とする、
ことを特徴とする請求項1に記載のコネクタ接続構造。
【請求項3】
変形可能な回路基板の一面に配置された導電性パターンの一端部を外部素子と電気的に接続するコネクタ接続構造であって、
前記導電性パターンの一端部が前記外部素子と電気的に接続される外部接続端子に形成された開口部に挿入されて前記外部接続端子と電気的に導通するように接触保持された状態で、前記回路基板の一面とは反対側の他面を覆うように形成される樹脂層が前記外部接続端子が露出するように前記外部接続端子を囲うハウジングと一体化されて固定されている、
ことを特徴とするコネクタ接続構造。
【請求項4】
前記回路基板は、前記導電性パターンの一端部が形成された領域の裏面側に前記一端部の曲げ変形を抑制する補強板が設けられている、
ことを特徴とする請求項1ないし
3のいずれか1項に記載のコネクタ接続構造。
【請求項5】
変形可能な回路基板の一面に配置された導電性パターンの一端部を外部素子と電気的に接続するコネクタ接続構造の製造方法であって、
基材を準備する工程と、
前記基材上に前記導電性パターンを配置する工程と、
ハウジングと外部接続端子からなるコネクタを準備する工程と、
前記ハウジングの基端部に形成された開口部に前記導電性パターンの一端部を挿入して前記外部素子と電気的に接続される前記外部接続端子の一端と電気的に導通するように接触保持する工程と、
前記一端部を接触保持した状態で前記回路基板の一面とは反対側の他面を覆い前記ハウジングと一体化される樹脂層を形成する工程と、を含む、
ことを特徴とするコネクタ接続構造の製造方法。
【請求項6】
変形可能な回路基板の一面に配置された導電性パターンの一端部を外部素子と電気的に接続するコネクタ接続構造の製造方法であって、
基材を準備する工程と、
前記基材上に前記導電性パターンを配置する工程と、
前記外部素子と電気的に接続される外部接続端子を準備する工程と、
前記外部接続端子に形成された開口部に前記導電性パターンの一端部を挿入して前記外部接続端子と電気的に導通するように接触保持して接続する工程と、
前記回路基板の一面とは反対側の他面を樹脂層で覆うとともに前記外部接続端子が露出するように前記外部接続端子を囲うハウジングを一体形成する工程と、を含む、
ことを特徴とするコネクタ接続構造の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コネクタ接続構造及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一側の端縁が傾斜したフレキシブル基板と、フレキシブル基板の下面に位置し、フレキシブル基板の傾斜した一側の端縁の形状に沿うように形成された補強部材と、補強部材の下面に位置するハウジングと、ハウジングを覆うように位置するカバーによって形成されたコネクタ部とからなるフレキシブル基板のコネクタ接続構造であって、フレキシブル基板および補強部材には、それぞれには孔が設けられ、フレキシブル基板と補強部材はそれぞれに設けられた孔への熱加工により、ハウジングに固定保持され、フレキシブル基板の、一側の端縁にて導電パターンにより形成された少なくとも一つの端子部と、コネクタ部の各接続端子が、フレキシブル基板の対応する端子部から突出して延びる延長部上の導電パターンから構成されており、コネクタ部の各接続端子が、絶縁材料から成る補強部材により裏打ちされているフレキシブル基板のコネクタ接続構造が知られている(特許文献1)。
【0003】
フレキシブルプリント基板(FPC)が挿入される基板挿入穴を有するオスコネクタハウジングの背面側から前面側のコネクタ挿入穴にかけて形成される基板挿入穴を水平から緩やかに下方に向かい再び水平になるような側面S字状の溝に形成し、この基板挿入穴の挿入口近傍にロック突起を形成し、このロック突起が係合するロック固定穴をFPCに形成し、コネクタ挿入穴に面した基板挿入穴の出口幅よりも広い基板突き当て部をFPCに形成し、このFPCの基板突き当て部の先に出口幅とほぼ同一幅のコンタクト部を形成したフレキシブルプリント基板のコネクタ接続構造も知られている(特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2011-204387号公報
【文献】特開2006-313703号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、変形可能な回路基板と外部素子との電気的接続を安定化させる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するために、請求項1に記載のコネクタ接続構造は、
変形可能な回路基板の一面に配置された導電性パターンの一端部を外部素子と電気的に接続するコネクタ接続構造であって、
ハウジングの基端部に形成された開口部の内面に前記外部素子と電気的に接続される外部接続端子の一端が露出し、前記導電性パターンの一端部は前記開口部に挿入されて前記外部接続端子の一端と電気的に導通するように接触保持された状態で前記回路基板の一面とは反対側の他面を覆うように形成された樹脂層が前記ハウジングと一体化されて固定されている、
ことを特徴とする。
【0007】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のコネクタ接続構造において、
前記樹脂層は、前記ハウジングと互いに相溶性を有する合成樹脂を材料とする、
ことを特徴とする。
【0009】
前記課題を解決するために、請求項3に記載のコネクタ接続構造は、
変形可能な回路基板の一面に配置された導電性パターンの一端部を外部素子と電気的に接続するコネクタ接続構造であって、
前記導電性パターンの一端部が前記外部素子と電気的に接続される外部接続端子に形成された開口部に挿入されて前記外部接続端子と電気的に導通するように接触保持された状態で、前記回路基板の一面とは反対側の他面を覆うように形成される樹脂層が前記外部接続端子が露出するように前記端子を囲うハウジングと一体化されて固定されている、
ことを特徴とする。
【0010】
請求項4に記載の発明は、請求項1ないし3のいずれか1項に記載のコネクタ接続構造において、
前記回路基板は、前記導電性パターンの一端部が形成された領域の裏面側に前記一端部の曲げ変形を抑制する補強板が設けられている、
ことを特徴とする。
【0011】
前記課題を解決するために、請求項5に記載のコネクタ接続構造の製造方法は、
変形可能な回路基板の一面に配置された導電性パターンの一端部を外部素子と電気的に接続するコネクタ接続構造の製造方法であって、
基材を準備する工程と、
前記基材上に前記導電性パターンを配置する工程と、
ハウジングと外部接続端子からなるコネクタを準備する工程と、
前記ハウジングの基端部に形成された開口部に前記導電性パターンの一端部を挿入して前記外部素子と電気的に接続される前記外部接続端子の一端と電気的に導通するように接触保持する工程と、
前記一端部を接触保持した状態で前記回路基板の一面とは反対側の他面を覆い前記ハウジングと一体化される樹脂層を形成する工程と、を含む、
ことを特徴とする。
【0013】
前記課題を解決するために、請求項6に記載のコネクタ接続構造の製造方法は、
変形可能な回路基板の一面に配置された導電性パターンの一端部を外部素子と電気的に接続するコネクタ接続構造の製造方法であって、
基材を準備する工程と、
前記基材上に前記導電性パターンを配置する工程と、
前記外部素子と電気的に接続される外部接続端子を準備する工程と、
前記外部接続端子に形成された開口部に前記導電性パターンの一端部を挿入して前記外部接続端子と電気的に導通するように接触保持して接続する工程と、
前記回路基板の一面とは反対側の他面を樹脂層で覆うとともに前記外部接続端子が露出するように前記端子を囲うハウジングを一体形成する工程と、を含む、
ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
請求項1に記載の発明によれば、変形可能な回路基板と外部素子との電気的接続を安定化させることができる。
【0015】
請求項2に記載の発明によれば、導電性パターンの一端部と外部接続端子の電気的接続を安定化させることができる。
【0017】
請求項3に記載の発明によれば、変形可能な回路基板と外部素子を電気的に接続するコネクタを一体化することができる。
【0018】
請求項4に記載の発明によれば、固定部材の抜けを抑制することができる。
【0019】
請求項5に記載の発明によれば、固定部が金属の場合、コネクタを強固に固定することができる。
【0021】
請求項6に記載の発明によれば、変形可能な回路基板と外部素子との電気的接続を安定化させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】
図1Aは第1実施形態に係るコネクタ接続構造を備えた回路基板の一例を示す平面模式図、
図1Bは回路基板の一例を示す断面模式図である。
【
図2】
図2Aは端子部の構成を示す平面模式図、
図2Bは端子部の構成を示す断面模式図である。
【
図3】
図3Aはコネクタ部の構成を示す横断面模式図、
図3Bはコネクタ部の構成を示す縦断面模式である。
【
図4】第1実施形態に係るコネクタ接続構造を備えた回路基板の製造方法の概略の手順の一例を示すフローチャート図である。
【
図5】第1実施形態に係るコネクタ接続構造を備えた回路基板の製造過程を説明するための回路基板の部分断面模式図である。
【
図6】第2実施形態に係るコネクタ接続構造を備えた回路基板の製造過程を説明するための回路基板の部分断面模式図である。
【
図7】第2実施形態に係るコネクタ接続構造を備えた回路基板の製造方法の概略の手順の一例を示すフローチャート図である。
【
図8】第3実施形態に係るコネクタ接続構造を備えた回路基板の製造過程を説明するための回路基板の部分断面模式図である。
【
図9】第3実施形態に係るコネクタ接続構造を備えた回路基板の製造方法の概略の手順の一例を示すフローチャート図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
次に図面を参照しながら、本発明の実施形態の具体例を説明するが、本発明は以下の実施形態に限定されるものではない。
尚、以下の図面を使用した説明において、図面は模式的なものであり、各寸法の比率等は現実のものとは異なることに留意すべきであり、理解の容易のために説明に必要な部材以外の図示は適宜省略されている。
【0025】
「第1実施形態」
(1)コネクタ接続構造の全体構成
図1Aは第1実施形態に係るコネクタ接続構造を備えた回路基板1の一例を示す平面模式図、
図1Bは回路基板1の一例を示す断面模式図、
図2Aは端子部5の構成を示す平面模式図、
図2Bは端子部5の構成を示す断面模式図、
図3Aはコネクタ部6の構成を示す横断面模式図、
図3Bはコネクタ部6の構成を示す縦断面模式、
図3Cはコネクタ部6と端子部5の接続を示す図である。
以下、図面を参照しながら、第1実施形態に係るコネクタ接続構造の構成について説明する。
【0026】
本実施形態においては、コネクタ接続構造の一例として実装部品4が基材2上に配置された導電性パターン3と電気的に接合された回路基板1の構成について説明する。
回路基板1は、
図1に示すように、変形可能な基材2と、基材2の一面2aに配置された導電性パターン3と、基材2上に設けられ、導電性パターン3と電気的に接合された実装部品4と、導電性パターン3の一端部に複数のコネクタ接続パッド3Aaが形成された端子部5と、端子部5が電気的に導通するように接触保持された状態で外部素子と電気的に接続されるコネクタ部6と、基材2の一面2aとは反対側の他面2bを覆いコネクタ部6のハウジング62と一体化されるように形成された樹脂層7と、を備えて構成されている。
【0027】
(基材)
本実施形態における基材2は、合成樹脂材料からなり変形可能な絶縁性のフィルム状の基材である。ここで、「変形可能な基材」は、導電性パターン3を配置後に変形できる、すなわち、熱成形、真空成形または圧空成形によって実質的に平坦な2次元形状から実質的に立体的な3次元形状に変形することができる基材を意味する。
【0028】
基材2の材質としては、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)などのポリエステル、ナイロン6-10、ナイロン46などのポリアミド(PA)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、アクリルブタジエンスチレン(ABS)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリ塩化ビニル(PVC)などの熱可塑性樹脂が挙げられる。
特にポリエステルがより好ましく、さらにその中でもポリエチレンテレフタレート(PET)が経済性、電気絶縁性、耐薬品性等のバランスが良く最も好ましい。
【0029】
基材2の一面2aには、金属ナノ粒子等の触媒インクを均一に塗布するために、表面処理を施すことが好ましい。表面処理としては、例えば、コロナ処理、プラズマ処理、溶剤処理、プライマー処理等を用いることができる。
【0030】
(導電性パターン)
基材2の一面2aに導電性パターン3を配置する場合、さきに、金属めっき成長のきっかけとなる金属ナノ粒子等の触媒からなる下地層(不図示)を所定のパターン状に形成する。下地層は、基材2上に金属ナノ粒子等の触媒インクを塗布したあと、乾燥および焼成を行うことにより形成する。
【0031】
下地層の厚み(μm)は、0.1~20μmが好ましく、0.2~5μmがさらに好ましく、0.5~2μmが最も好ましい。下地層が薄すぎると、下地層の強度が低下するおそれがある。また、下地層が厚すぎると、金属ナノ粒子は通常の金属よりも高価であるため、製造コストが増大する虞がある。
【0032】
触媒粒子の材料としては、金、銀、銅、パラジウム、ニッケルなどが用いられ、導電性の観点から金、銀、銅が好ましく、金、銀に比べて安価な銅が最も好ましい。
【0033】
触媒粒子の粒子径(nm)は1~500nmが好ましく、10~100nmがより好ましい。粒子径が小さすぎる場合、粒子の反応性が高くなりインクの保存性・安定性に悪影響を与える虞がある。粒子径が大きすぎる場合、薄膜の均一形成が困難になるとともに、インクの粒子の沈殿が起こりやすくなる虞がある。
【0034】
導電性パターン3は、下地層の上に電解めっきまたは無電解めっきにより形成される。めっき金属としては、銅、ニッケル、錫、銀、金などを用いることができるが、伸長性、導電性および価格の観点から銅を用いることが最も好ましい。
【0035】
めっき層の厚さ(μm)は、0.03~100μmが好ましく、1~35μmがより好ましく、3~18μmが最も好ましい。めっき層が薄すぎると、機械的強度が不足するとともに、導電性が実用上十分に得られない虞がある。めっき層が厚すぎると、めっきに必要な時間が長くなり、製造コストが増大する虞がある。
【0036】
(実装部品)
導電性パターン3には、複数の実装部品4が取り付けられている。実装部品4は、本体部4aと、導電性パターン3の接続パッド3aに電気的に接合される端子部4bからなる。
実装部品4としては、制御回路、歪み、抵抗、静電容量、TIRなどの接触感知、および光検出部品、圧電アクチュエータまたは振動モータなどの触知部品または振動部品、LEDなどの発光部品、マイクおよびスピーカーなどの発音または受音、メモリチップ、プログラマブルロジックチップおよびCPUなどのデバイス操作部品、デジタル信号プロセッサ(DSP)、ALSデバイス、PSデバイス、処理デバイス、MEMS等が挙げられる。
【0037】
(端子部)
端子部5は、基材2上に配置された導電性パターン3から一体に延びる導電性パターン3Aを備えており、その導電性パターン3Aに複数のコネクタ接続パッド3Aaが形成されている。コネクタ接続パッド3Aaは、コネクタ部6の外部接続端子61のアンカー部61bに電気的に導通している。
端子部5は、裏面がコネクタ接続パッド3Aa付近の領域において、
図2に示すように、補強板51により裏打ちされている。補強板51は、例えばプラスチック等の絶縁材料から成り、端子部5の裏面に密着して取り付けられ、端子部5の剛性を高め曲げ変形を抑制している。
【0038】
(コネクタ部)
コネクタ部6は、
図3(a)に示すように、端子部5のコネクタ接続パッド3Aaと電気的に接続され外部に設けられた外部素子と電気的に接続するための外部接続端子61と、外部接続端子61を保持するハウジング62とを備える。
【0039】
外部接続端子61は、例えば、銅の合金などを用いて四角柱形状に形成されている。なお外部接続端子61は、一例として、表面にニッケルメッキを施し、そのニッケルメッキの上に、金(AU)、錫(Sn)などの金属やそれら金属を含む合金などのメッキが施されても良い。外部接続端子61のピッチは、接続先である外部素子のコネクタの規格に応じている。外部接続端子61は、コネクタ端子部61aと、コネクタ接続パッド3Aaと接合されるアンカー部61bとからなる。
【0040】
ハウジング62は、
図3に示すように、基端部に開口部63が形成されている。開口部63では外部接続端子61のアンカー部61bが開口部63内に露出し、
図3(c)に示すように、端子部5が挿入されることで、端子部5のコネクタ接続パッド3Aaが外部接続端子61のアンカー部61bと接触保持した状態で電気的に導通する。
そして、樹脂層7が基材2の一面2aとは反対側の他面2bを覆うとともにコネクタ部6のハウジング62と一体化されることで端子部5とコネクタ部6が電気的に導通した状態で固定される。
【0041】
(樹脂層)
樹脂層7は、基材2の一面2aとは反対側の他面2bを覆いコネクタ部6のハウジング62と一体化されるように形成されている。
このように基材2の一面を覆うとともにハウジング62と一体化される樹脂層7は、ハウジング62と互いに相溶性を有し、射出成形可能な熱可塑性樹脂である。具体的には、ハウジング62が、ポリカーボネート(PC)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリアミド(PA)、アクリルブタジエンスチレン(ABS)、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、変性ポリフェニレンエーテル(m-PPE)、変性ポリフェニレンオキサイト(m-PPO)、シクロオレフィンコポリマー(COC)、シクロオレフィンポリマー(COP)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリ塩化ビニル(PVC)、またはこれらの混合物を含む熱可塑性樹脂である場合、これらと相溶性がある樹脂材料を用いることが好ましい。
特に、ハウジング62が、電気特性に優れるポリブチレンテレフタレート(PBT)で形成されている場合、ポリブチレンテレフタレート(PBT)と相溶性の高いポリエステル系樹脂を用いることが好ましい。ポリエステル系樹脂としては、分子構造中のアルコール由来の残基にトリメチレン残基、ペンテン残基、ネオペンテン残基、ヘキセン残基等の脂肪族残基、シクロヘキサンジメチレン残基、シクロヘキセン残基、シクロペンテン残基等の脂環族残基を含む樹脂が好ましい。
【0042】
(2)コネクタ接続構造の製造方法
図4は第1実施形態に係るコネクタ接続構造を備えた回路基板1の製造方法の概略の手順の一例を示すフローチャート図、
図5は第1実施形態に係るコネクタ接続構造を備えた回路基板1の製造過程を説明するための回路基板1の部分断面模式図である。
【0043】
回路基板1は、基材2の準備工程S11と、基材2上に導電性パターン3を配置する配線用めっき工程S12と、外部接続端子61とハウジング62からなるコネクタ部6を準備する工程S13と、ハウジング62の基端部に形成された開口部63にコネクタ接続パッド3Aaが形成された端子部5を挿入して外部接続端子61のアンカー部61bと電気的に導通するように接触保持する接続工程S14と、端子部5を接触保持した状態で基材2の一面2aとは反対側の他面2bを覆いハウジング62と一体化される樹脂層7を形成する工程S15と、を経て製造される。
【0044】
(基材の準備工程S11)
基材の準備工程S11においては、まず、所定の形状及び大きさに形成された実質的に平坦なフィルム状の基材2に導電性パターン3を配置するために、基材2上に金属めっき成長のきっかけとなる金属ナノ粒子等の触媒粒子からなる下地層を所定のパターン状に形成する。尚、基材2には、金属ナノ粒子等の触媒粒子からなる触媒インクを均一に塗布するために、例えば、コロナ処理、プラズマ処理、溶剤処理、プライマー処理等の表面処理を施すことが好ましい。
【0045】
基材2上に金属ナノ粒子等の触媒粒子からなる触媒インクを塗布する方法としては、インクジェット印刷方式、シルクスクリーン印刷方式、グラビア印刷方式、オフセット印刷方式、フレキソ印刷方式、ローラーコーター方式、刷毛塗り方式、スプレー方式、ナイフジェットコーター方式、パッド印刷方式、グラビアオフセット印刷方式、ダイコーター方式、バーコーター方式、スピンコーター方式、コンマコーター方式、含浸コーター方式、ディスペンサー方式、メタルマスク方式が挙げられるが、本実施形態においてはインクジェット印刷方式を用いている。
【0046】
具体的には、1000cps以下、例えば、2cpsから30cpsの低粘度の触媒インクをインクジェット印刷方式で塗布した後、溶媒を揮発させ金属ナノ粒子のみを残す。その後、溶媒を除去し(乾燥)、金属ナノ粒子を焼結させる(焼成)。
焼成温度は、100°C~300°Cが好ましく、150°C~200°Cがより好ましい。焼成温度が低すぎると、金属ナノ粒子同士の焼結が不十分となるとともに、金属ナノ粒子以外の成分が残ることで、密着性が得られない虞がある。また、焼成温度が高すぎると、基材2の劣化や歪みが発生する虞がある。
【0047】
(配線用めっき工程S12)
基材2上に形成された下地層に対し、電解めっきまたは無電解めっきを行うことにより、下地層の表面および内部にめっき金属を析出させ導電性パターン3及びコネクタ接続パッド3Aaを配置する(
図5A 参照)。めっき方法は公知のめっき液およびめっき処理と同様であり、具体的に無電解銅めっき、電解銅めっきが挙げられる。
【0048】
(コネクタ部の準備工程S13)
コネクタ部6の準備工程S13においては、外部接続端子61をハウジング62にインサート成形してコネクタ部6を作成する。
外部接続端子61は金属板部材を板厚方向に屈曲して所定の形状に形成される。本実施形態においては、コネクタ部6の外部素子との接続方向に応じて、
図5Bに示すように、挿抜方向が回路基板1の実装面に沿ったライトアングルタイプ、接続した端子部5が回路基板1の実装面に対し直交方向に引き出されるストレートアングルタイプのいずれかの形状で形成される。
【0049】
ハウジング62は、基端部に端子部5が挿入される開口部63が形成される。開口部63は、その内側に外部接続端子61の屈曲したアンカー部61bが露出するように形成され、開口部63に挿入される端子部5のコネクタ接続パッド3Aaが接触して電気的に導通する。
ハウジング62は、射出成形可能な熱可塑性樹脂材料で形成される。熱可塑性樹脂材料としては、特に限定されないが、電気特性に優れるポリブチレンテレフタレート(PBT)が好ましい。
【0050】
(接続工程S14)
端子部5の接続工程S14においては、まず、端子部5のコネクタ接続パッド3Aa付近の裏面に補強板51を取り付ける。補強板51は、例えば接着剤、粘着剤あるいは両面テープ等の固定部材により取り付けられる。
そして、補強板51が取り付けられて曲げ剛性が向上した端子部5をハウジング62の開口部63に挿入してコネクタ接続パッド3Aaが開口部63の内側で露出した外部接続端子61のアンカー部61bと接触して電気的に導通した状態で保持する(
図5C 参照)。
【0051】
(樹脂層形成工程S15)
樹脂層形成工程S15では、まず、基材2の導電性パターン3が配置された一面2aとは反対側の他面2bに基材2と樹脂層7の樹脂素材の組み合わせに応じてバインダーインクを塗布して接着層(不図示)を形成する。また、ハウジング62が樹脂層7と接するハウジング62の端面62aにもバインダーインク(不図示)を塗布する。バインダーインクは、接着性樹脂を含み、スクリーン印刷、インクジェット印刷、スプレーコート、筆塗り等で塗布され、射出成形される樹脂層7と基材2及びハウジング62との接着性を向上させる。
【0052】
次にコネクタ部6に端子部5が挿入された回路基板1を金型Kに位置決めしてセットした状態(
図5D 参照)で金型Kを閉じて樹脂をキャビティCA1に充填する。キャビティCA1に充填された樹脂により、基材2の他面2bを覆いコネクタ部6のハウジング62と一体化される樹脂層7が形成される。
【0053】
次に、実装部品4を、端子部4bを導電性パターン3の接続パッド3a上に位置決めして固定状態で端子部4bと接続パッド3aとをはんだで電気的に接合する。
実装部品4の端子部4bと導電性パターン3の接続パッド3aとの接合には、レーザー光を用いたレーザーはんだ付けや光焼成はんだ付けを用いてもよい。レーザーはんだ付けは、はんだ付け装置のはんだ付けヘッドからレーザー光を照射し、回路基板1の微細な部位に実装部品4を短時間で実装することができるという利点がある。また、電気的接合を行いたい部分に選択的にレーザー光を照射することができるため、フロー式やリフロー式と比較して、実装部品4の実装時に、部品全体に熱を加えずに実装を行うことが可能となる。
【0054】
以上で、回路基板1の組立が完了する(
図1B 参照)。この場合、変形可能な回路基板1の端子部5は、基材2と一体に形成されたコネクタ部6に挿入されてコネクタ接続パッド3Aaが外部接続端子61と接触保持されているので、回路基板1と外部素子との電気的接続を安定化させることができる。
【0055】
「第2実施形態」
図6は第2実施形態に係るコネクタ接続構造を備えた回路基板1Aの製造過程を説明するための回路基板1Aの部分断面模式図である。
以下、図面を参照しながら、第2実施形態に係るコネクタ接続構造について説明する。
【0056】
(1)回路基板1Aの構成
回路基板1Aは、変形可能な基材2と、基材2の一面2aに配置された導電性パターン3と、基材2上に設けられ、導電性パターン3と電気的に接合された実装部品4と、導電性パターン3の一端に基材2の一面2aとは反対側の他面2bが樹脂層7で覆われた状態で複数のコネクタ接続パッド3Aaが形成された端子部5と、端子部5が電気的に導通するように接触保持され外部素子と電気的に接続されるコネクタ部6と、を備えて構成されている。
【0057】
すなわち、第2実施形態に係るコネクタ接続構造を備えた回路基板1Aは、導電性パターン3の一端に複数のコネクタ接続パッド3Aaが形成された端子部5が基材2の一面2aとは反対側の他面2bを樹脂層7で覆われた状態でコネクタ部6の開口部63に挿入されて電気的に導通するように接触保持されている点で、第1実施形態に係るコネクタ接続構造を備えた回路基板1と相違している。したがって、第1実施形態との共通部分については同一の符号を付してその詳細な説明は省略する。
【0058】
端子部5は、導電性パターン3の一端に複数のコネクタ接続パッド3Aaが形成されている。端子部5のコネクタ接続パッド3Aa付近の領域の裏面には補強板51が取り付けられ、端子部5の剛性を高めて曲げ変形を抑制している。
図6Aに示すように、端子部5の裏面となる基材2の一面2aとは反対側の他面2bは、コネクタ部6の開口部63への挿入範囲を除いて樹脂層7で覆われ、回路基板1Aとして剛性が高められている。
【0059】
コネクタ部6は、外部に設けられた外部素子と電気的に接続するための外部接続端子61と、外部接続端子61を保持するハウジング62とを備える。
ハウジング62は、基端部に開口部63が形成されている。
図6Bに示すように、開口部63では外部接続端子61のアンカー部61bが開口部63内に露出し、端子部5が挿入されることで、端子部5のコネクタ接続パッド3Aaが外部接続端子61のアンカー部61bと接触保持した状態で電気的に導通する。端子部5は、裏面が補強板51で補強され、開口部63への挿入範囲を除いて樹脂層7で覆われて剛性が高められコネクタ部6との接続が強固になっている。
【0060】
(2)回路基板1Aの製造方法
図7は第2実施形態に係るコネクタ接続構造を備えた回路基板1Aの製造方法の概略の手順の一例を示すフローチャート図である。
回路基板1Aは、基材2の準備工程S21と、基材2上に導電性パターン3を配置する配線用めっき工程S22と、外部接続端子61とハウジング62からなるコネクタ部6を準備する工程S23と、導電性パターン3の一端に端子部5が形成された基材2の一面2aとは反対側の他面2bを樹脂層7で覆う工程S24と、ハウジング62の基端部に形成された開口部63に端子部5を挿入して外部素子と電気的に接続される外部接続端子61のアンカー部61bと電気的に導通するように接触保持して固定する接続工程S25と、を経て製造される。
【0061】
(基材の準備工程S21、配線用めっき工程S22)
基材の準備工程S21においては、所定の形状及び大きさに形成された実質的に平坦なフィルム状の基材2に、第1実施形態におけると同様に、基材2上に金属めっき成長のきっかけとなる金属ナノ粒子等の触媒粒子からなる下地層を所定のパターン状に形成し、配線用めっき工程S22を経て導電性パターン3及びコネクタ接続パッド3Aaを配置する。
そして、端子部5のコネクタ接続パッド3Aa付近の裏面に補強板51を取り付ける。
【0062】
(コネクタ部の準備工程S23)
コネクタ部6の準備工程S23においては、外部接続端子61をハウジング62にインサート成形してコネクタ部6を作成する。
外部接続端子61は金属板部材を板厚方向に屈曲して所定の形状に形成される。
ハウジング62は、基端部に端子部5が挿入される開口部63が形成される。開口部63は、その内側に外部接続端子61の屈曲したアンカー部61bが露出するように形成され、開口部63に挿入される端子部5のコネクタ接続パッド3Aaが接触して電気的に導通する。
【0063】
(樹脂層形成工程S24)
樹脂層形成工程S24では、基材2の導電性パターン3及びコネクタ接続パッド3Aaが配置された一面2aとは反対側の他面2bに基材2と樹脂層7の樹脂素材の組み合わせに応じてバインダーインクを塗布して接着層を形成する。
次に配線用めっき工程S22を経た基材2を金型Kに位置決めしてセットした状態(
図10E 参照)で金型Kを閉じて樹脂をキャビティCA1に充填する。キャビティCA1に充填された樹脂により、基材2の他面2bを覆う樹脂層7が形成される。ここで、樹脂層7は、端子部5のコネクタ部6の開口部63への挿入範囲を除いて形成される(
図6A 参照)。
【0064】
(接続工程S25)
端子部5の接続工程S25においては、
図6Bに示すように、樹脂層7が形成された回路基板1Aの端子部5をハウジング62の開口部63に挿入してコネクタ接続パッド3Aaが外部接続端子61のアンカー部61bと接触して電気的に導通した状態で接触保持して固定する(
図6C 参照)。
実装部品4は、端子部4bを導電性パターン3の接続パッド3a上に位置決めして固定状態で端子部4bを接続パッド3aに電気的に接合する。
【0065】
以上で、回路基板1Aの組立が完了する。変形可能な回路基板1Aの端子部5は、裏面が樹脂層7で覆われた状態でコネクタ部6に挿入されてコネクタ接続パッド3Aaが外部接続端子61と接触保持された状態で固定されているので、回路基板1Aと外部素子との電気的接続を安定化させることができる。
【0066】
「第3実施形態」
図8は第3実施形態に係るコネクタ接続構造を備えた回路基板1Bの製造過程を説明するための回路基板1Bの部分断面模式図である。
以下、図面を参照しながら、第3実施形態に係るコネクタ接続構造について説明する。
【0067】
(1)回路基板1Bの構成
回路基板1Bは、変形可能な基材2と、基材2の一面2aに配置された導電性パターン3と、基材2上に設けられ、導電性パターン3と電気的に接続された実装部品4と、導電性パターン3の一端部に形成されたコネクタ接続パッド3Aaが開口部61cに挿入されて電気的に導通するように接触保持した状態で外部素子と電気的に接続される外部接続端子61と、基材2の一面2aとは反対側の他面2bを覆うように形成される樹脂層7が外部接続端子61が露出するように外部接続端子61を囲うハウジング62と一体化されたコネクタ部6と、を備えて構成されている。
【0068】
すなわち、第3実施形態に係るコネクタ接続構造を備えた回路基板1Bは、導電性パターン3の一端に複数のコネクタ接続パッド3Aaが形成された端子部5が外部素子と電気的に接続される外部接続端子61の開口部61cに挿入されて電気的に導通するように接触保持されている点で、第1実施形態に係るコネクタ接続構造を備えた回路基板1と相違している。したがって、第1実施形態との共通部分については同一の符号を付してその詳細な説明は省略する。
【0069】
端子部5は、
図8Aに示すように、導電性パターン3の一端に複数のコネクタ接続パッド3Aaが形成されている。端子部5のコネクタ接続パッド3Aa付近の領域の裏面には補強板51が取り付けられ、端子部5の剛性を高めて曲げ変形を抑制している。
【0070】
コネクタ部6は、外部に設けられた外部素子と電気的に接続するための外部接続端子61と、外部接続端子61を保持するハウジング62とを備える。
外部接続端子61は、
図8Bに示すように、金属板部材を板厚方向に屈曲して所定の形状に形成され、アンカー部61bには開口部61cが形成されている。開口部61cには、端子部5が挿入され(
図8B 参照)コネクタ接続パッド3Aaがアンカー部61bと接触保持した状態で電気的に導通する。
【0071】
樹脂層7は、
図8Cに示すように、基材2の一面2aとは反対側の他面2bを覆い外部接続端子61が露出するように外部接続端子61を囲うハウジング62を形成してコネクタ部6と一体化するように形成されている。
【0072】
(2)回路基板1Bの製造方法
図9は第3実施形態に係るコネクタ接続構造を備えた回路基板1Bの製造方法の概略の手順の一例を示すフローチャート図である。
回路基板1Bは、基材2の準備工程S31と、基材2上に導電性パターン3を配置する配線用めっき工程S32と、導電性パターン3の一端に形成された端子部5が挿入されて電気的に導通する外部接続端子61を準備する工程S33と、外部接続端子61のアンカー部61bに形成された開口部61cに端子部5を挿入して外部接続端子61と電気的に導通するように接触保持する接続工程S34と、導電性パターン3の一端に端子部5が形成された基材2の一面2aとは反対側の他面2bを覆うとともに外部接続端子61を囲うハウジング62を形成してコネクタ部6と一体化される樹脂層7を形成する工程S35と、を経て製造される。
【0073】
(基材の準備工程S31、配線用めっき工程S32)
基材の準備工程S31においては、所定の形状及び大きさに形成された実質的に平坦なフィルム状の基材2に、第1実施形態におけると同様に、基材2上に金属めっき成長のきっかけとなる金属ナノ粒子等の触媒粒子からなる下地層を所定のパターン状に形成し、配線用めっき工程S32を経て導電性パターン3及びコネクタ接続パッド3Aaを配置する。そして、端子部5のコネクタ接続パッド3Aa付近の裏面に補強板51を取り付ける(
図8A 参照)。
【0074】
(外部接続端子の準備工程S33)
外部接続端子61の準備工程S33においては、金属板部材を板厚方向に屈曲して所定の形状に形成した外部接続端子61を準備する。外部接続端子61は、アンカー部61bに端子部5が挿入される開口部61cが形成される。開口部61cは、補強板51が取り付けられた端子部5がその内側に圧入できる高さで形成され、開口部61cに挿入される端子部5のコネクタ接続パッド3Aaが接触して電気的に導通する。
【0075】
(接続工程S34)
端子部5の接続工程S34においては、回路基板1Bの端子部5を外部接続端子61の開口部61cに挿入して(
図8B 参照)端子部5のコネクタ接続パッド3Aaが外部接続端子61のアンカー部61bと接触して電気的に導通した状態で接触保持して固定する。
【0076】
(樹脂層形成工程S35)
樹脂層形成工程S35では、基材2の導電性パターン3及びコネクタ接続パッド3Aaが配置された一面2aとは反対側の他面2bに基材2と樹脂層7の樹脂素材の組み合わせに応じてバインダーインク(不図示)を塗布して接着層を形成する。また、外部接続端子61の表面にもバインダーインク(不図示)を塗布する。
次に接続工程S34を経た基材2を金型K(不図示)に位置決めしてセットした状態で金型Kを閉じて樹脂をキャビティCA1(不図示)に充填する。キャビティCA1に充填された樹脂により、基材2の他面2bを覆う樹脂層7及びコネクタ部6のハウジング62が形成される(
図8C 参照)。
実装部品4は、端子部4bを導電性パターン3の接続パッド3a上に位置決めして固定状態で端子部4bを接続パッド3aに電気的に接合する。
【0077】
以上で、回路基板1Bの組立が完了する。変形可能な回路基板1Bの端子部5は、コネクタ部6を構成する外部接続端子61の開口部61cに挿入されてコネクタ接続パッド3Aaが外部接続端子61と接触保持された状態で基材2の一面2aとは反対側の他面2bを覆うように形成される樹脂層7が外部接続端子61が露出するように外部接続端子61を囲うハウジング62と一体化されて固定されているので、回路基板1Bと外部素子との電気的接続を安定化させることができる。
【符号の説明】
【0078】
1、1A、1B・・・回路基板
2・・・基材
2a・・・一面(導電性パターン3側)、2b・・・他面
3、3A・・・導電性パターン
3Aa・・・コネクタ接続パッド
4・・・実装部品
5・・・端子部
6・・・コネクタ部、61・・・外部接続端子、62・・・ハウジング
7・・・樹脂層
K・・・射出成形用金型
CA1・・・キャビティ
【要約】
変形可能な回路基板と外部素子との電気的接続を安定化させる。
変形可能な回路基板の一面に配置された導電性パターンの一端部を外部素子と電気的に接続するコネクタ接続構造であって、ハウジングの基端部に形成された開口部の内面に外部素子と電気的に接続される外部接続端子の一端が露出し、導電性パターンの一端部は開口部に挿入されて外部接続端子の一端と電気的に導通するように接触保持された状態で回路基板の一面とは反対側の他面を覆うように形成された樹脂層がハウジングと一体化されて固定されている。