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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-01-17
(45)【発行日】2023-01-25
(54)【発明の名称】ディストリビュータ
(51)【国際特許分類】
   E04G 21/04 20060101AFI20230118BHJP
【FI】
E04G21/04
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2019099949
(22)【出願日】2019-05-29
(65)【公開番号】P2020193494
(43)【公開日】2020-12-03
【審査請求日】2022-02-10
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 平成31年4月23日、大裕株式会社の本社工場内にて、顧客の長浜産業株式会社の担当者の立ち会いのもと、ディストリビュータの運転試験にて公開
(73)【特許権者】
【識別番号】391015236
【氏名又は名称】大裕株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100087538
【弁理士】
【氏名又は名称】鳥居 和久
(74)【代理人】
【識別番号】100085213
【弁理士】
【氏名又は名称】鳥居 洋
(72)【発明者】
【氏名】野村 裕晧
(72)【発明者】
【氏名】西尾 慧太
【審査官】清水 督史
(56)【参考文献】
【文献】特開昭59-080864(JP,A)
【文献】特開2007-230781(JP,A)
【文献】特開平09-278368(JP,A)
【文献】米国特許第02616666(US,A)
【文献】米国特許第02364851(US,A)
【文献】特開2002-154788(JP,A)
【文献】特開昭52-152629(JP,A)
【文献】実開昭52-117825(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04G 21/04
B66C 19/00-23/94
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
旋回台と、
前記旋回台に基端部が起伏自在に取り付けられた親ブームと、
前記親ブームの先端側に前記親ブームに対して起伏自在に取り付けられた子ブームと、
第1のウィンチから引き出され前記親ブームと連結される第1のワイヤーロープと、
第2のウィンチから引き出され前記子ブームと連結される第2のワイヤーロープと、
前記第1のワイヤーロープと第2のワイヤーロープが掛け渡される滑車が先端に取り付けられ、前記旋回台に設けられた支持枠と、
前記親ブームと子ブームに支持されるコンクリート供給管と、
を備え、
前記第1のウィンチと第2のウィンチのワイヤーロープの繰り出し及び巻き取り動作により、前記親ブームと子ブームの起伏動作が制御されるディストリビュータであって、
前記支持枠は、前記親ブームの基端部と先端部とを結ぶ方向に対して揺動自在に前記旋回台に取り付けられた第1支持部材と、前記第1支持部材に対して揺動自在に取り付けられ、前記旋回台に対して着脱自在に設けられる第2支持部材と、を有し、前記第1支持部材と第2支持部材を前記親ブーム側へ折り畳み可能にしたことを特徴とするディストリビュータ。
【請求項2】
前記第1支持部材又は第2支持部材に揺動可能に取り付けられ、前記第1支持部材と第2支持部材との間を連結する補強桟を備えることを特徴とする請求項1に記載のディストリビュータ。
【請求項3】
前記第1のワイヤーロープと第2のワイヤーロープを前記滑車に掛け渡された状態で、前記第1支持部材と第2支持部材を前記親ブーム側へ折り畳まれることを特徴とする請求項1又は2に記載のディストリビュータ。
【請求項4】
前記第1支持部材は、前記旋回台に設けられた取付部に揺動自在に取り付けられ、前記取付部は、前記親ブームを伏限位置にある時に、前記親ブームより上に位置することを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載のディストリビュータ。
【請求項5】
前記親ブームに前記旋回台に取り付けられる伏限アームを設けたことを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載のディストリビュータ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、コンクリートを打設するために用いるディストリビュータに関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば、大型コンクリート構造物の構築におけるコンクリートの打設作業には、旋回と起伏が自由となるブームでコンクリート圧送管を支持し、ブームの旋回と折曲によりコンクリートを所望の位置に打設するディストリビュータが用いられている。
【0003】
前記ブームの起伏動作を、ワイヤーロープを繰り出し及び巻き取るウィンチを用いたディストリビュータが知られている(例えば、特許文献1参照)。図10に従い、従来のディストリビュータについて説明する。
【0004】
図10に示すように、ベース台101上に設けた旋回軸受102に旋回台103が回動自在に設けられ、この旋回台103に、ブーム105の根元部が起伏自在に取り付けられている。
【0005】
ブーム105は、根元部を軸受104で旋回台上に起伏自在に取り付けられた親ブーム105aと、この親ブーム105aの先端側寄りの位置に、軸受109を介して上下に起伏自在に取り付けられた子ブーム105bで構成されている。親ブーム105aと子ブーム105bは、互いに重なり合うように折り畳むことができる。
【0006】
前記旋回台103の上には、2台のウィンチ110、111と、上部に滑車112が取り付けられた支持枠113が設けられている。親ブーム105aは、この親ブーム起伏用となるウィンチ110から引き出したワイヤーロープ114によって先端側が支持される。
【0007】
親ブーム105aは、ウィンチ110とワイヤーロープ114によって、起伏角度が制御される。
【0008】
子ブーム起伏用ウィンチ111から引き出されたワイヤーロープ116の先端は、子ブーム105bに連結されている。ウィンチ111の操作により、親ブーム105aに対して子ブーム105bを起伏操作できるようになっている。
【0009】
コンクリート圧送管119は、旋回軸受102の軸心に沿って下部から上部に向かって通り、親ブーム105a、子ブーム105bに沿って配置され、ブーム5の起伏及び折り曲げに支障がないようになっている。そして、コンクリート圧送管119の先端部は、可撓性ホース122が連結され、子ブーム105bに取り付けたガイド123に沿って垂下状に保持されている。
【0010】
上記したディストリビュータを用いて、コンクリートの打設を行うには、子ブーム105bを親ブーム105aの先端に位置させてワイヤーロープ116で支持し、コンクリート圧送管119の先端可撓性ホース122を子ブーム105bのガイド123から垂下させ、コンクリートポンプ(図示しない)から圧送されたコンクリートを可撓性ホース122から床面に打ち込んでいくものである。そして、旋回台103の回動と両ブーム105aと105bの起伏操作により、旋回軸受102を中心としてブーム105の先端が描く半径の範囲にコンクリートの打設が可能となる。
【0011】
コンクリートの打設位置や打設高さは、ウィンチ110、111の操作による両ブーム105a、105bの起伏と折り曲げを行うことによって自由に変化させることができる。
【0012】
上記したディストリビュータは、建設現場までトラック又はトレーラなどにより搬送される。トラック又はトレーラなどで一般公道を走行して搬送する場合には、車両の幅、高さ、長さ等が法令により制限されている。すなわち、高さは3.8m以内、幅は2.5m以内、長さはトラックの場合は12m以内に制限されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【文献】特開昭59-80864号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
上記したディストリビュータをトラック又はトレーラに積載した際に、地上から上記支持枠113の先端部までの高さが上記した法令の高さ制限を超える場合がある。
【0015】
従来、ディストリビュータの支持枠113は、旋回台103にボルトとナットなどを用いて固定されている。このため、高さ制限を超える場合には、ワイヤーロープ114、116を上記した支持枠113の先端部の滑車112から取り外した後、支持枠113を旋回台103から取り外していた。そして、旋回台103から支持枠113を取り外した状態で、ディストリビュータをトラック又はトレーラに積載して搬送している。
【0016】
このように、従来のディストリビュータにおいては、搬送時に支持枠を解体し、その解体した支持枠をトラック又はトレーラに積載する必要がある。このため、従来のディストリビュータにおいては、支持枠の解体作業と積載作業などの作業が煩わしいという問題があった。
【0017】
そこで、この発明は、ディストリビュータをトラック又はトレーラに積載した際に、地上から上記支持枠の先端部までの高さが上記した法令の高さ制限を超える場合においては、簡単な作業で支持枠をブーム側へ折り畳んで高さ制限内にすることができるディストリビュータを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0018】
この発明にかかるディストリビュータは、旋回台と、前記旋回台に基端部が起伏自在に取り付けられた親ブームと、前記親ブームの先端側に前記親ブームに対して起伏自在に取り付けられた子ブームと、第1のウィンチから引き出され前記親ブームと連結される第1のワイヤーロープと、第2のウィンチから引き出され前記子ブームと連結される第2のワイヤーロープと、前記第1のワイヤーロープと第2のワイヤーロープが掛け渡される滑車が先端に取り付けられ、前記旋回台に設けられた支持枠と、前記親ブームと子ブームに支持されるコンクリート供給管と、を備え、前記第1のウィンチと第2のウィンチのワイヤーロープの繰り出し及び巻き取り動作により、前記親ブームと子ブームの起伏動作が制御されるディストリビュータであって、前記支持枠は、前記親ブームの基端部と先端部とを結ぶ方向に対して揺動自在に前記旋回台に取り付けられた第1支持部材と、前記第1支持部材に対して揺動自在に取り付けられ、前記旋回台に対して着脱自在に設けられる第2支持部材と、を有し、前記第1支持部材と第2支持部材を前記親ブーム側へ折り畳み可能にしたことを特徴とする。
【0019】
上記した構成によれば、前記第2支持部材を前記旋回台から外して、前記第1支持部材を前記親ブーム側へ回動させるだけで折り畳むことができ、作業性が向上する。
【0020】
また、この発明は、前記第1支持部材又は第2支持部材に揺動可能に取り付けられ、前記第1支持部材と第2支持部材との間を連結する補強桟を備えるように構成できる。
【0021】
前記補強桟により、支持枠となる三角フレームに十分な強度が得られる。
【0022】
また、前記第1のワイヤーロープと第2のワイヤーロープを前記滑車に掛け渡された状態で、前記第1支持部材と第2支持部材を前記親ブーム側へ折り畳まれるように構成することができる。
【0023】
前記第1のワイヤーロープと第2のワイヤーロープを前記滑車に掛け渡された状態で、前記第1支持部材と第2支持部材を前記親ブーム側へ折り畳むことで、ワイヤーロープの取り外し、掛け渡しの作業を省略でき,作業性が向上する。
【0024】
また、前記第1支持部材は、前記旋回台に設けられた取付部に揺動自在に取り付けられ、前記取付部は、前記親ブームが伏限位置にある時に、前記親ブームより上に位置するように構成すればよい。
【0025】
上記した構成によれば、親ブームの上に第1支持部材、第2支持部材を重ねた状態で折り畳むことができる。
【0026】
また、前記親ブームに前記旋回台に取り付けられる伏限アームを設ければよい。
【0027】
伏限アームで前記親ブームと旋回台を連結することで、クレーン等による吊り下げ時及び搬送時に親ブームを伏限位置で支持することができる。
【0028】
また、保管時及びトラック等による搬送時には、図示しない受け台を載置面から立ち上げて伏限位置の親ブームの先端部を支持することが好ましい。
【発明の効果】
【0029】
この発明にかかるディストリビュータによれば、簡単な作業で支持枠をブーム側へ折り畳んで高さ制限内にすることができる。この結果、搬送前の解体作業及び搬送後の組み立て作業に要する作業時間等を削減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
図1】この発明の実施形態にかかるディストリビュータを示す正面図である。
図2】この発明の実施形態にかかるディストリビュータを示す上面図である。
図3】この発明の実施形態にかかるディストリビュータの三角フレーム(支持枠)部分を示す左側面図である。
図4】この発明の実施形態にかかるディストリビュータの親ブームに対して子ブームを折り曲げて収容状態を示す正面図である。
図5】この発明の実施形態にかかるディストリビュータの三角フレーム部分を拡大した正面図である。
図6】この発明の実施形態にかかるディストリビュータの三角フレームを折り畳む状態を示す正面図である。
図7】この発明の実施形態にかかるディストリビュータの三角フレームを折り畳む状態の拡大正面図である。
図8】この発明の実施形態にかかるディストリビュータの三角フレームを折り畳んだ状態の上面図である。
図9】この発明の実施形態にかかるディストリビュータの三角フレームを折り畳んだ状態の正面図である。
図10】従来のディストリビュータを示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、この発明にかかるディストリビュータ60について、図面を参照しながら説明する。この発明にかかるディストリビュータ60は、例えば、ダムなどの大型コンクリート構造物の構築におけるコンクリートの打設作業に用いられる。
【0032】
ディストリビュータ60は、旋回と折曲が自由となるブーム5でコンクリート供給するコンクリート圧送管21を支持し、ブーム5の旋回と折曲によりコンクリートを所望の位置に打設する。
【0033】
この実施形態におけるブーム5の起伏動作は、ワイヤーロープとウィンチを用いて行われる。図1図5に従い、この実施形態のディストリビュータ60について説明する。
【0034】
図1に示すように、ベース台1上に設けた旋回軸受2に旋回台3が回動自在に設けられている。この旋回台3に、ブーム5が起伏自在に取り付けられている。
【0035】
ブーム5は、基端部50aを軸受4で旋回台3上に起伏自在に取り付けられた親ブーム5aと、この親ブーム5aの先端部50d側の位置に、軸受19を介して上下に起伏自在に取り付けられた子ブーム5bで構成されている。
【0036】
親ブーム5aと子ブーム5bは、互いに重なり合うように折り畳むことができ、搬送時などは、子ブーム5bは親ブーム5aの内側に折り畳むことができる。
【0037】
ベース台1は、上面視で矩形の枠体に形成され、下方に4つの脚部31を有する。そして、ベース台1の4隅には、アウトリガー32が開閉自在に取り付けられている。ディストリビュータ60の搬送時には、アウトリガー32はベース台1に沿って折り畳まれる。そして、打設作業の際には、アウトリガー32がベース台1から拡がるように配置され、ベース台1が安定よく地面Gに設置される。
【0038】
前記旋回台3の上には、2台のウィンチ10、11と、上段に滑車12が取り付けられた支持枠としての三角フレーム13が設けられている。第1のウィンチ10は、親ブーム5aを起伏するために用いられ、第2のウィンチ11は、子ブーム5bを起伏するために用いられる。第1のウィンチから引き出された第1のワーヤーロープ14aが親ブーム5aに連結され、第2のウィンチ11から引き出された第2のワイヤーロープ14bが子ブーム5bに連結される。
【0039】
三角フレーム13は、第1支持部材13aと、この第1支持部材13aの先端部に揺動自在に取り付けられた第2支持部材13bとを有する。第1支持部材13aは、旋回台3に対して基端部が親ブーム5aの基端部50aと先端部50dとを結ぶ方向に対して揺動自在に取り付けられる。
【0040】
第2支持部材13bは、旋回台3に設けた取り付けプレート13qにピン13pを用いて固定される。第2支持部材13bは、三角フレーム13を折り畳む際には、ピン13pを取り外すことにより、旋回台3の取り付けプレート13qから取り外すことができ、第1支持部材13aにぶら下がる状態にできる。
【0041】
第1支持部材13aと第2支持部材13bとは、補強桟13cにより連結される。図5に示すように、この実施形態においては、第1支持部材13aの略中間部分に設けられた取り付けプレート13jに係合ピン13mを用いて補強桟13cが揺動自在に取り付けられている。
【0042】
第2支持部材13bを旋回台3に固定した後、第2支持部材13bの略中間の位置に設けられた桟取付部材13dに補強桟13cをピン13nにより固定することにより、第1支持部材13aと第2支持部材13bとは、正面方向から見て上部に頂点を有する支持枠としての三角フレーム13が旋回台3上に設けられる。
【0043】
この三角フレーム13は、図2の上面図及び図3の左側面図に示すように、正面側と背面側にそれぞれ一対の第1支持部材13aと第2支持部材13bを備える。一対の第1支持部材13aは横桟13eにより連結されている。左側面側から見ると、一対の第1支持部材13aは中間に横桟13eを有する矩形枠体を形成している。なお、図3においては、ブーム5の図示は省略している。
【0044】
三角フレーム13の先端部には、滑車12が設けられている。図1及び図5に示すように、滑車12は、第1支持部材13aの先端部に取り付けられている。そして、第1支持部材13aの滑車12の取り付け位置より更に先端側に三角フレーム13を吊り下げるための孔13fを設けたプレート13gが取り付けられている。
【0045】
第1支持部材13aの滑車12の取り付け位置より下方部にプレート13hが設けられ、このプレート13hに第2支持部材13bが係合ピン13iを用いて揺動自在に取り付けられている。
【0046】
第1支持部材13aは、旋回台3に設けられた三角枠体51に揺動自在に取り付けられる。三角枠体51の第1支持部材13aを取り付ける取付部51aは、親ブーム5aが最も旋回台3に近づけた伏限位置にある状態で親ブーム5aより上部に位置する。
【0047】
上記取付部51aに係合ピン51bにより第1支持部材13aが揺動自在に取り付けられている。
【0048】
ディストリビュータ60を搬送する場合等には、親ブーム5aは上記した伏限位置になるように、親ブーム5aは、旋回台3の方向に倒される。この実施形態では、親ブーム5aの伏限位置は、親ブーム5aが地面Gに対して略平行になる位置である。
【0049】
この発明は、後述するように、三角フレーム13は、ディストリビュータ60の搬送時には、親ブーム5a側へ折り畳むように構成している。取付部51aは、親ブーム5aが伏限状態では、親ブーム5aより上部に位置する。このため、三角フレーム13を親ブーム5a側に倒すと、親ブーム5a上に重なった状態で三角フレーム13を積載できる。
【0050】
第1支持部材13aと第2支持部材13bとの間は、上述したように、補強桟13cが連結される。この実施形態では、第1支持部材13aに設けたプレート13jと第2支持部材13bに設けたプレート13dに補強桟13cが取り付けられている。
【0051】
この実施形態では、補強桟13cの一端は、プレート13jに係合ピン13mにより揺動自在に取り付けられ、補強桟13cの他端は、桟取付部材13dにピン13nにより固定される。
【0052】
なお、第2支持部材13bに補強桟13cを揺動自在に取り付け、第1支持部材13aにピンを用いて固定するように構成してもよい。
【0053】
また、補強桟13cを取り外し可能にし、三角フレーム13を折り畳む場合には、第1支持部材13aと第2支持部材13bから補強桟13cを取り外すように構成してもよい。
【0054】
上記した親ブーム5aは、この親ブーム起伏用となる一方のウィンチ10から引き出したワイヤーロープ14aによって先端側が支持される。
【0055】
親ブーム5aは、ウィンチ10がワイヤーロープ14aを繰り出し及び巻き取り動作によって、起伏角度が制御される。ワイヤーロープ14aは、支持枠13上部の滑車12から先端部50dに設けられた滑車15に順次巻回された後、ワイヤーロープ14aの先端が第1支持部材13aに固定されている。
【0056】
子ブーム起伏用ウィンチ11から引き出されたワイヤーロープ14bの先端は、三角フレーム13の滑車12から、親ブーム5aの先端部50dに取り付けた滑車16と子ブーム5bの基部に設けられた滑車17、18を順次通過し、滑車17と滑車18との間で順次巻回される。そして、ワイヤーロープ14bの先端が滑車18を取り付けた取付部材18aに固定されている。滑車18を取り付けた取付部材18aの先端部と子ブーム5bの先端部20とが連結材22を介して連結されている。ウィンチ11がワイヤーロープ14bを繰り出し及び巻き取り動作により、親ブーム5aに対して子ブーム5bを起伏操作できるようになっている。
【0057】
ウィンチ10,11の操作により、図1の破線で示すように、親ブーム5a、子ブーム5bが高さ及び前後方向に自在に移動させることができる。
【0058】
親ブーム5aは、図2に示すように、先端に向かって狭まる一対のアーム50b、50bからなり、それぞれのアーム50b、50bの基端部が軸受4により起伏自在に取り付けられている。アーム50b、50b同士は横桟50cで連結されている。両アームの先端部に軸受19が取り付けられている。
【0059】
図2に示すように、親ブーム5aの先端側の幅は,三角フレーム13の幅より狭くなっている。三角フレーム13を折り畳んだ際に、三角フレーム13は、親ブーム5aの上に重なって載置されるように構成されている。
【0060】
親ブーム5aには、伏限アーム35が揺動自在に取り付けられている。図4に示すように、この伏限アーム35は、親ブーム5aを伏限状態にした際に、親ブーム5aから回動させ、旋回台3に設けられた取り付け孔にピン36を用いて固定される。伏限アームを旋回台3に固定することで、親ブーム5aは伏限状態が保たれる。搬送時に伏限アーム35で親ブーム5aを旋回台3に固定することで、親ブーム5aの揺れ等が防止できる。
【0061】
旋回台3は、旋回台3の軸に設けられたギヤ41と旋回モータ40に設けられたギヤ40aとが噛み合い、旋回モータ40の駆動により、旋回台3がベース台1に対して旋回する。
【0062】
図2に示すように、コンクリート圧送管21は、旋回軸受2の軸心に沿って下部から上部に向かって通り、軸受4の中心を通って水平状態で親ブーム5aの外部に引き出され、この後、親ブーム5aに対して平行に進み、途中で先端部50dを貫通し、子ブーム5bに対して平行な状態になるように配置され、ブーム5の起伏及び折り曲げに支障がないようになっている。そして、コンクリート圧送管21の先端部は、子ブーム5bに支持され、先端に連結された可撓性ホース24が、子ブーム5bに取り付けたガイド23に沿って垂下状に保持されている。
【0063】
上記したディストリビュータを用いて、コンクリートの打設を行うには、子ブーム5bを親ブーム5aの先端に位置させてワイヤーロープ14bで支持し、コンクリート圧送管21の先端の可撓性ホース24を子ブーム5bのガイド23から垂下させ、コンクリートポンプ(図示しない)から圧送されたコンクリートを可撓性ホース24から床面に打ち込んでいくものである。そして、旋回台3の回動と両ブーム5aと5bの起伏操作により、旋回軸受2を中心としてブーム5の先端が描く半径の範囲にコンクリートの打設が可能となる。
【0064】
コンクリートの打設位置や打設高さは、ウィンチ10、11の操作による両ブーム5a、5bの起伏と折り曲げを行うことによって自由に変化させることができる。
【0065】
このディストリビュータ60を搬送する場合には、三角フレーム13の先端が高さ制限を超える場合がある.この実施形態では、三角フレーム13が親ブーム5a側へ折りたためるように構成され、搬送時には高さ制限以内の高さになるように構成されている。
【0066】
次に、この三角フレーム13の折り畳みにつき、図4図9を参照して説明する。図4及び図5に示すように、子ブーム5bを親ブーム5aの内側に折り曲げる。そして、ウィンチ10により、親ブーム5aを伏限位置まで倒す。子ブーム5bと親ブーム5aとは、吊りチェーン61等により固定する。この実施形態では、伏限位置は親ブーム5aが地面Gと平行になる位置である。
【0067】
親ブーム5aに取り付けていた伏限アーム35のピン36を取り外し、伏限アーム35を旋回台3にピン36により固定し、親ブーム5aを旋回台3に固定する。
【0068】
そして、第1支持部材13aの先端プレート13gの孔13fにワイヤーロープを通し、クレーンで支持する。この状態で、第2支持部材13bと旋回台3とを固定しているピン13pを取り外す。更に、補強桟13cと第2支持部材13bとを固定しているピン13nを取り外す。また、ワイヤーロープ14a、14bは親ブーム5aと子ブーム5bに掛け渡したままで滑車12からワイヤーロープ14a、14bは取り外さない。そして、ウィンチ10、11の乱巻き防止のため、ワイヤーロープ14a、14bは固定具(図示しない)により固定する。
【0069】
続いて、図6及び図7に示すように、第1支持部材13aをクレーン(図示しない)で吊り上げ、第1支持部材13aを親ブーム5aの先端の方向へ回動させる。第1支持部材13aに揺動自在に取り付けられた第2支持部材13b及び補強桟13cは、第1支持部材13aにぶら下がり、第1支持部材13aと共に回動する。
【0070】
そして、図8及び図9に示すように、第1支持部材13aを親ブーム5a上に重なるように載置する。第2支持部材13bと補強桟13cは、第1支持部材13a上に重なる。この時、第1支持部材13aの回動する端部は、親ブーム5aの伏限位置より上部に位置するので、親ブーム5a上に第1支持部材13aが重なるように載置できる。
【0071】
親ブーム5a上に載置された第1支持部材13a、第2支持部材13bと補強桟13cとをワイヤーロープなどを用いて固定する。
【0072】
そして、図8に示すように、アウトリガー32をベース台1に沿うように回転させて固定する。このようにして、図9に示すように、ディストリビュータ60の高さ(H)を搬送可能な制限高さ以内にでき、また、幅もアウトリガー32をベース台に沿うようにすることで、制限幅以内にできる。
【0073】
上記したように、三角フレーム13の折り畳みは、第2支持部材13bのピン13pと補強桟13cのピン13nを外して、ワイヤーロープ14a、14bは、滑車12と親ブーム5aと子ブーム5bに掛け渡したままで、第1支持部材13aをクレーン等に吊り下げて、親ブーム5a側へ回動させるだけで折り畳むことができ、作業性が向上する。
【0074】
また、建設現場へ搬送後、打設作業のために、三角フレーム13を旋回台3上に立ち上げる場合には、クレーン等により、第1支持部材13aを親ブーム5aの後部側に回動させ、第2支持部材13bをピン13pにより、旋回台3に取り付け、補強桟13cを第2支持部材13bにピン13nにより固定する。この結果、三角フレーム13が打設作業が行える位置になる。
【0075】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。この発明の範囲は、上記した実施の形態の説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0076】
1 :ベース台
2 :旋回軸受
3 :旋回台
4 :軸受
5 :ブーム
5a :親ブーム
5b :子ブーム
10 :第1のウィンチ
11 :第2のウィンチ
12 :滑車
13 :三角フレーム(支持枠)
13a :第1支持部材
13b :第2支持部材
13c :補強桟
13d :桟取付部材
13e :横桟
51 :三角枠体
51a :取付部
G :地面
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10