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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-01-17
(45)【発行日】2023-01-25
(54)【発明の名称】ガラス容器
(51)【国際特許分類】
   B65D 41/04 20060101AFI20230118BHJP
   B65D 51/18 20060101ALI20230118BHJP
【FI】
B65D41/04 200
B65D51/18
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2019137060
(22)【出願日】2019-07-25
(65)【公開番号】P2021020684
(43)【公開日】2021-02-18
【審査請求日】2021-02-25
(73)【特許権者】
【識別番号】000231800
【氏名又は名称】日本耐酸壜工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100121821
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 強
(72)【発明者】
【氏名】堤 健
(72)【発明者】
【氏名】水野 直樹
(72)【発明者】
【氏名】浅野 雅尚
【審査官】植前 津子
(56)【参考文献】
【文献】特開2000-159248(JP,A)
【文献】特開2004-210572(JP,A)
【文献】特開2003-160157(JP,A)
【文献】実公平07-020029(JP,Y2)
【文献】米国特許出願公開第2003/0127420(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 39/00-55/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
口部を有するガラス容器本体と、前記口部を封止する栓と、を備えるガラス容器であって、
前記栓は、樹脂製のパッキンと、ガラスキャップとを備え、
前記パッキンは、前記口部の開口を上方から覆う蓋部と、前記蓋部から下方へ延び、前記口部の外周を覆う筒状のスカート部と、を備え、
前記ガラスキャップは、前記蓋部を上方から覆う天板部と、前記スカート部の外周を覆う筒状の周壁部と、を備え、
前記スカート部の内周側に、前記口部に係止されて前記栓による封止状態を維持する第1係止部が設けられており、
前記スカート部の外周側に、前記ガラスキャップに係止されて、前記ガラスキャップが前記パッキンを覆った状態を維持する第2係止部が設けられており、
前記スカート部の下端部には、外周側に延びるフランジ部が形成されており、
前記フランジ部により、前記周壁部の下端部が下方から覆われており、
前記フランジ部の外周端から上方へ延びた位置に設けられ、前記ガラスキャップに対し前記パッキンが一体回転するように前記ガラスキャップの前記周壁部の外周側に係止される第3係止部を備えている、ガラス容器。
【請求項2】
前記フランジ部の外周縁には、上方に延びる円環突条部が形成されており、
前記円環突条部の上端には、前記第3係止部として、上方に延びる係止突起部が設けられており、
前記ガラスキャップの前記周壁部の下端は、前記円環突条部と同じ高さ分だけ薄肉部になっており、前記薄肉部の外周径は、前記周壁部のうち前記薄肉部以外の部分の外周径よりも小さくなっており、
前記周壁部の外周面には、前記薄肉部の上端から上方に延びるとともに下方及び外周側に開放された凹部である係止凹部が形成されており、
前記フランジ部により前記薄肉部の下端部が下方から覆われて、かつ、前記円環突条部と前記スカート部との間に前記薄肉部が嵌め込まれた状態で、前記係止凹部に前記係止突起部が係止されている、請求項1に記載のガラス容器。
【請求項3】
口部を有するガラス容器本体と、前記口部を封止する栓と、を備えるガラス容器であって、
前記栓は、弾性を有する樹脂製のパッキンと、ガラスキャップとを備え、
前記パッキンは、前記口部の開口を上方から覆う蓋部と、前記蓋部から下方へ延び、前記口部の外周を覆う筒状のスカート部と、を備え、
前記ガラスキャップは、前記蓋部を上方から覆う天板部と、前記スカート部の外周を覆う筒状の周壁部と、を備え、
前記スカート部の内周側に、前記口部に係止されて前記栓による封止状態を維持する第1係止部が設けられており、
前記スカート部の外周側に、前記ガラスキャップに係止されて、前記ガラスキャップが前記パッキンを覆った状態を維持する第2係止部が設けられており、
前記スカート部の下端部には、外周側に延びるフランジ部が形成されており、
前記フランジ部により、前記ガラスキャップの下端部が下方から覆われており、
前記周壁部の内周側には上部よりも下部の径を小さくすることにより形成された段差部が前記周壁部の内周側の全周にわたって形成されており、
前記第2係止部は、前記段差部に係止されるものであって、前記スカート部の外周から突出しかつ前記スカート部の全周にわたって形成されており、
前記第2係止部に前記第2係止部を周方向に分断する分断部が形成されていることにより、前記パッキンを前記ガラスキャップへ挿入する場合に前記スカート部が内周側へ弾性変形し易くなっている、ガラス容器。
【請求項4】
前記ガラスキャップは、プレス&ブロー成形又はブロー&ブロー成形によって成形されたものである、請求項1~3のいずれか1項に記載のガラス容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガラスキャップを備えたガラス容器に関する。
【背景技術】
【0002】
香水など高級感を付与したい容器に対しては、容器本体としてガラスビンを用い、キャップもガラス製のものが用いられることがある。この場合、ガラスキャップは、内栓構造をなしており、ガラスビンの口部の内周面にキャップの凸部が嵌め込まれる。この凸部の外周面にパッキンを取り付けることにより、シール性能を向上させたものも提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2000-139557号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、ガラスビンに外栓構造のキャップを採用する場合、樹脂製又は金属製のキャップが採用されるのが一般的である。そのため、外栓構造のガラスビンでは高級感が損なわれる。また、ガラスビンに樹脂製又は金属製のキャップを用いた場合、キャップの一部に孔を空けることが比較的容易になり、内容物の品質保証の観点からは改善の余地がある。
【0005】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、高級感を付与しつつキャップに孔を空けにくくすることのできる外栓構造のガラス容器を提供することを主たる目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成すべく、本発明のガラス容器は、
口部を有するガラス容器本体と、前記口部を封止する栓と、を備えるガラス容器であって、
前記栓は、樹脂製のパッキンと、ガラスキャップとを備え、
前記パッキンは、前記口部の開口を上方から覆う蓋部と、前記蓋部から下方へ延び、前記口部の外周を覆う筒状のスカート部と、を備え、
前記ガラスキャップは、前記蓋部を上方から覆う天板部と、前記スカート部の外周を覆う筒状の周壁部と、を備え、
前記スカート部の内周側に、前記口部に係止されて前記栓による封止状態を維持する第1係止部が設けられており、
前記スカート部の外周側に、前記ガラスキャップに係止されて、前記ガラスキャップが前記パッキンを覆った状態を維持する第2係止部が設けられている。
【0007】
本発明のガラス容器では、ガラス容器本体の栓として、外栓構造のガラスキャップを適用したことにより、高級感を付与しつつキャップに孔を空けにくくすることができる。ここで、ガラス容器の製造工程による事情から口部外周面に比べ口部内周面の精度を高めることは困難であるが、外栓構造を採用したことにより、ガラス容器と栓との封止精度を高めることができる。また、ガラスキャップを外栓構造に採用しても、パッキンとの協働により、ガラスキャップの周壁部内周の精度を高度に求める必要がなくなる。さらに、パッキンとガラスキャップとの二重構造を採用していることから、それらの間に、印刷や表示シールを施したり、空隙がある場合には収容物を入れたりしても、ガラスキャップの存在によりそれらに対して不正なアクセスができなくなる利点も生じる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】第1の実施の形態における、ガラスビンの正面図並びにガラスビンに取り付けられた外栓の断面図。
図2】外栓の構成部品であるガラスキャップの斜視図。
図3】外栓を構成部品であるパッキンの斜視図。
図4】外栓を一部切断した状態を示す斜視図。
図5】第2の実施の形態を示す断面図。
図6】第3の実施の形態を示す断面図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
<第1の実施の形態>
以下、図1~4を参照しながら、第1の実施の形態を説明する。
【0010】
図1に示すように、ガラス容器の代表例であるガラスビン11は、ガラス材料によって形成されている。ガラスビン11の口部12は上方に開口しており、口部12の外周面には、ネジ溝部13が形成されている。ガラスビン11の口部12を塞ぐ外栓14は、パッキン15と、ガラスキャップ16とを備えて構成されている。
【0011】
以下、外栓14の詳細について、図1図4を参照しながら説明する。
【0012】
図1,3,4に示すように、パッキン15は、口部12を外周及び上方から覆って口部12をシールする機能と、ガラスキャップ16を一体的に保持する機能とを有する。パッキン15は、ポリエチレンやシリコンゴム等の弾性を有する合成樹脂材料によって一体形成されている。パッキン15は、蓋部21を備えており、蓋部21が口部12の上端部に圧接された場合に、蓋部21の下面によって口部12の上端部がシールされる。蓋部21の外周縁からは下方へ延びる円筒状のスカート部22が形成されている。スカート部22の内周面にはネジ溝部13とネジ結合される内ネジ部23が形成されている。
【0013】
図1,2,4に示すように、ガラスキャップ16は、全体が透明であり、パッキン15のスカート部22を外周から覆う円筒状の周壁部31と、パッキン15の蓋部21を上方から覆う天板部32とを備えている。周壁部31の外周面は、ユーザが外栓14を容易に回転させることができるように、ボルトの外周面のような多面形状とされている。天板部32は周壁部31の上端から若干下方へ窪んだ位置で平面状に形成されており、天板部32の上面には例えば飲料メーカや商品のロゴマークがガラスキャップ16の成形と同時に形成される。
【0014】
パッキン15からガラスキャップ16が外れないための構造として、パッキン15のスカート部22の外周面には、上下方向の中間位置に外周側へ突出する係止突条部24が形成されている。ガラスキャップ16の周壁部31は下部の径が小さくなるように絞られており、径の変化する部分において周壁部31の内周面に段差部33が形成されている。そして、パッキン15をガラスキャップ16の下方開口から挿入することにより、係止突条部24が段差部33に係止され、パッキン15がガラスキャップ16内に保持される。
【0015】
パッキン15のスカート部22には、上下方向に延びる切欠部25が周方向に等間隔をおいて複数(本実施の形態では6つ)設けられている。切欠部25は周壁部31の外周面から内周側へ所定深さに形成されているが、内外に貫通するものであってもよい。切欠部25の存在により係止突条部24が周方向に分断される。また、スカート部22の肉厚も薄くなる。その結果、パッキン15をガラスキャップ16へ挿入する場合に、スカート部22が内周側へ変形し易くなる。そのため、係止突条部24が、周壁部31において径の小さい箇所を通過することができる。
【0016】
外栓14は、ガラスキャップ16がユーザによって回転操作された場合に、パッキン15を一体に回転することができる構造を備えている。すなわち、パッキン15のスカート部22の下端には、外周側へ突出するリング状のフランジ部26が形成されており、フランジ部26の外周縁からは上方へ延びる円環突条部27が形成されている。円環突条部27の上端には、更に上方へ延びる係止突起部28が周方向に等間隔をおいて複数(本実施の形態では6つ)設けられている。
【0017】
一方、ガラスキャップ16の周壁部31下端は、円環突条部27と同じ高さ分だけ薄肉に形成された薄肉部34になっている。薄肉部34により周壁部31の外周径が小さくなっている。周壁部31の外周面には、薄肉部34の上端から上方へ延び、係止突起部28が係止される係止凹部35が形成されている。係止凹部35は、周壁部31の下方及び外周側に開放された凹部であり、凹部の底面は薄肉部34の表面と同一面になっている。係止凹部35は係止突起部28と1対1で対応するように周方向に等間隔をおいて複数(本実施の形態では6つ)設けられている。
【0018】
したがって、ガラスキャップ16にパッキン15を挿入すると、各係止凹部35に係止突起部28をそれぞれ係止させることができる。これにより、ガラスキャップ16がユーザによって回転操作された場合、パッキン15が追従して一体に回転する。
【0019】
円環突条部27及び係止突起部28は、薄肉部34による周壁部31外周の縮径された分の長さと同じ厚みである。そのため、円環突条部27及び係止突起部28の表面が周壁部31の表面から外周側へ突出することがなく、概ね面一の状態になる。そのため、円環突条部27及び係止突起部28がユーザの手に引っ掛かることはない。
【0020】
また、ガラスキャップ16にパッキン15を挿入した場合、係止突条部24が段差部33に係止された状態で、フランジ部26の上面が周壁部31の下端部と当接した状態となるように、それぞれの上下方向の位置が設定されている。そのため、周壁部31の下部は、係止突条部24とフランジ部26とで上下方向に挟み込まれた状態となっている。また、周壁部31の薄肉部34はその内径がパッキン15のスカート部22の外径と同一になっており、円環突条部27の内径は薄肉部34の外径と同一になっている。そのため、周壁部31の薄肉部34はスカート部22と円環突条部27(及び係止突起部28)とで隙間なく径方向に挟み込まれた状態になる。これらの結果、ガラスキャップ16に対してパッキン15がぐらつくことなく固定される。
【0021】
ガラスキャップ16の周壁部31下端は、内周面、外周面及び下端面がパッキン15によって覆われた状態になるため、ガラスキャップ16の下端がガラスビン11やその他の障害物と直接接触して、ひび割れたり欠けたりする可能性を低減することができる。
【0022】
パッキン15とガラスキャップ16との間、特に係止突条部24より上方の位置には、空隙部36が形成されている。本実施の形態では、空隙部36は、蓋部21と天板部32との間、並びにスカート部22及び周壁部31の間に、連続して形成されている。この空隙部36にビーズ等の装飾物を入れればデザイン性を高めることができるし、空隙部36に懸賞等の抽選物を入れればガラスキャップ16に覆われた防犯性の高い収容領域となる。また、装飾物や抽選物を入れない場合であっても、例えばパッキン15の外面に印刷やシールを施すこともでき、この場合でも印刷やシールに対して不正にアクセスすることを抑止することができる。このように、口部12を上側のみならず周方向から覆う外栓構造のガラスキャップ16を用いることにより、ガラスビン11の内容物を含むガラスキャップ16の内部への不正なアクセスを抑止することができる。
【0023】
ガラスキャップ16は、パッキン15を取り除けば、小型のガラス容器として活用することができる。パッキン15は、フランジ部26のあたりを手で摘まんで、スカート部22の径が小さくなるように変形させつつ引っ張れば、取り除くことができる。なお、このような操作は、外栓14がガラスビン11に取り付けた状態では不可能である。そして、パッキン15が取り除かれたガラスキャップ16は、反転させることにより、猪口等として用いることができる。
【0024】
次いで、ガラスキャップ16の製造方法について説明する。ガラスキャップ16は、プレス&ブロー成形によって製造される。ガラスキャップ16のプレス&ブロー成形工程は、粗型工程(一次工程)と仕上型工程(二次工程)とからなる。粗型工程は、ゴブイン工程、プレッシング工程を含む。
【0025】
ゴブイン工程では、ガラスを溶融してなる高温のゴブ(ガラス塊)が粗型のキャビティ内に投入される(ゴブイン)。プレッシング工程では、粗型内においてゴブのうち周壁部31の下端部に相当する部分を成形しつつ、プランジャを下方から押し付けることにより、周壁部31の下端部をおおよそ成形しつつガラスキャップ16の原形となるパリソンを形成する。
【0026】
プレッシング工程の終了後には、インバート工程により、粗型工程(一次工程)から仕上型工程(二次工程)に移行させる。インバート工程は、粗型工程によって形成されたパリソンを180度回転させて仕上型に投入する工程である。インバート工程の終了後、仕上型の上面にブローヘッドを装着し、ブローヘッドを通じて圧縮空気を仕上型のキャビティに収容されたパリソン内に吹き入れる(ファイナルブロー)。これにより、パリソンが仕上型のキャビティ形状(姿面)に沿うまで膨張し、ガラスキャップ16が形成される。
【0027】
このように、ガラスキャップ16は、一般的なガラスビンの製造工程と同じ工程を経て製造される。すなわち、ガラスキャップ16は、反転させれば小さなガラスビンであるともいえる。ガラスビンの製造工程と同じ工程を経てガラスキャップ16を製造することができるため、ガラスビンとガラスキャップ16とを同じ製造工場において互いの精度を調整しながら製造することができる。
【0028】
<第2の実施の形態>
以下、図5を参照しながら、第2の実施の形態を説明する。なお、第1の実施の形態と同一又は同等の構成については、同一符号を付して説明を省略する。第2の実施の形態では、第1の実施の形態とは異なり、係止突条部24、切欠部25、係止突起部28、段差部33、薄肉部34、係止凹部35は設けられていない。
【0029】
第2の実施の形態では、ガラスキャップ16の周壁部31内径と、パッキン15のスカート部22外径とがほぼ一致しており、周壁部31とスカート部22との間に空隙が設けられていない。空隙部36は、蓋部21と天板部32との間にのみ設けられている。
【0030】
周壁部31の下端外周部には、内周側へ凹んだ係止凹部41が設けられている。係止凹部41は周方向に等間隔をおいて複数(本実施の形態では6つ)設けられている。パッキン15の円環突条部27の上端には、内周側へ延びて係止凹部41に係止される係止突起部42が周方向に等間隔をおいて複数(本実施の形態では6つ)設けられている。
【0031】
したがって、ガラスキャップ16にパッキン15を挿入して、各係止凹部41に係止突起部42をそれぞれ係止させることにより、ガラスキャップ16がユーザによって回転操作された場合にパッキン15が追従して一体に回転することができる。
【0032】
また、係止凹部41に係止突起部42が入り込むことにより、ガラスキャップ16の下端部がフランジ部26と係止突起部42とで上下方向に挟み込まれる。そのため、ガラスキャップ16からパッキン15が簡単に外れてしまうおそれもない。
【0033】
<第3の実施の形態>
以下、図6を参照しながら、第2の実施の形態を説明する。なお、第1の実施の形態と同一又は同等の構成については、同一符号を付して説明を省略する。第3の実施の形態では、第1の実施の形態とは異なり、ネジ溝部13、内ネジ部23、切欠部25、円環突条部27、係止突起部28、薄肉部34、係止凹部35は設けられていない。なお、第3の実施の形態においても、第1の実施の形態と同様に、切欠部25を設けるようにしてもよい。
【0034】
第3の実施の形態では、ガラスビン11の口部12にネジは形成されていない。口部12の下端部は若干くびれて外径が小さくなっており、その部分に下方から係止される環状係止部51が、パッキン15の下端部から内周側へ突出して形成されている。環状係止部51はフランジ部26とともにガラスキャップ16の下端よりも下方に配置されているため、外栓14を口部12に押し込んだ場合、環状係止部51が弾性変形し、口部12の外周面を滑らせることができる。
【0035】
第3の実施の形態では、外栓14を回転させるのではなく、外栓14を押し込んだり引き抜いたりする操作によって着脱する。そのため、特にガラスキャップ16を引き抜く操作のためにガラスキャップ16に対して指を下方から当てられるように、周壁部31の下部に対して上部が周方向へ大きくなるように形成されている。第3の実施の形態では、周壁部31の下部は口部12やパッキン15のスカート部22に合わせた円筒状に形成されているが、上部は例えば四角筒状に形成されている。
【0036】
ここで、環状係止部51の内周側への突出量よりも、係止突条部24の外周側への突出量の方が大きくなっている。また、環状係止部51の上下方向の厚みよりも、係止突条部24の上下方向の厚みの方が大きくなっている。したがって、ガラスキャップ16を引き抜く場合に、口部12と環状係止部51との係止力よりも、段差部33と係止突条部24との係止力の方が大きくなり、ガラスキャップ16とパッキン15とを一体に保持したまま外栓14を引き抜くことができる。
【0037】
<他の実施の形態>
(1)パッキン15とガラスキャップ16との抜け止め構造や、パッキン15とガラスキャップ16とを一体回転させる構造は、例示したものに限定されない。例えば、第1の実施の形態では、段差部33と係止突条部24とによって抜け止め構造の主要部が形成され、係止突起部28と係止凹部35とによって一体回転させる構造の主要部が形成されていた。これを例えば、係止突条部24の隙間である切欠部25に対応する位置に、周壁部31の内周部から切欠部25に入り込む突起部が形成されるようにすれば、係止突起部28と係止凹部35とを省略することができる。
【0038】
(2)ガラス容器本体としては、ガラスビン11以外でもよい。また、ガラスビン11等のガラス容器本体に液体や粉体以外の固体や粒体を収容する場合には、パッキン15に気密性を付与するほどのシール性能がなくてもよい。
【0039】
(3)ガラスキャップ16をプレス&ブロー成形によって製造するのに代えて、ブロー&ブロー成形によって製造するものであってもよい。いずれにしても、ガラスビン11等のガラス容器本体の製造設備を流用できるものであれば、同一の製造工場によりガラスビン11とガラスキャップ16とをまとめて製造することができる利点がある。
【0040】
(4)ガラスキャップ16を透明なガラスによって形成したが、ガラスキャップ16の内部を視認させる必要がない場合には、半透明又は不透明なガラスによって形成してもよい。
【符号の説明】
【0041】
11…ガラスビン(ガラス容器本体)、12…口部、13…ネジ溝部、14…外栓、15…パッキン、16…ガラスキャップ、21…蓋部、22…スカート部、23…内ネジ部(第1係止部)、24…係止突条部(第2係止部)、25…切欠部(分断部)、26…フランジ部、27…円環突条部、28…係止突起部(第3係止部)、31…周壁部、32…天板部、33…段差部、34…薄肉部、35…係止凹部、36…空隙部、41…係止凹部、42…係止突起部、51…環状係止部。
図1
図2
図3
図4
図5
図6