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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-01-17
(45)【発行日】2023-01-25
(54)【発明の名称】交通支援システム
(51)【国際特許分類】
   G08G 1/00 20060101AFI20230118BHJP
   B60M 7/00 20060101ALI20230118BHJP
   B60L 53/51 20190101ALI20230118BHJP
   B60L 53/53 20190101ALI20230118BHJP
   B60L 53/12 20190101ALI20230118BHJP
【FI】
G08G1/00 A
B60M7/00 X
B60L53/51
B60L53/53
B60L53/12
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2019188269
(22)【出願日】2019-10-14
(65)【公開番号】P2021064153
(43)【公開日】2021-04-22
【審査請求日】2021-03-24
(73)【特許権者】
【識別番号】506142794
【氏名又は名称】MIRAI-LABO株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001667
【氏名又は名称】弁理士法人プロウィン
(72)【発明者】
【氏名】平塚 利男
(72)【発明者】
【氏名】平塚 利幸
(72)【発明者】
【氏名】平塚 雷太
【審査官】稲垣 彰彦
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2018/0102730(US,A1)
【文献】特開2010-71955(JP,A)
【文献】特開2018-38105(JP,A)
【文献】Sustainable Motorways of the Future,GREEN JOURNAL,英国,2019年01月23日,https://www.greenjournal.co.uk/2019/01/sustainable-motorways-of-the-future/
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60L 1/00- 3/12
7/00-13/00
15/00-58/40
E01C 1/00-17/00
E01F 9/00-11/00
G08G 1/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
道路の走行面に敷設された光発電部と、
前記光発電部が発電した電力を貯蔵する電力貯蔵部と、
前記電力貯蔵部から供給される電力によって動作し、前記道路の状況を路面情報として検出するセンサ部と、
前記電力貯蔵部から供給される電力によって動作し、前記路面情報を処理して送信情報を出力する情報処理部と、
前記送信情報をデータセンターに送信する情報通信部を備え、
前記路面情報は、前記光発電部の出力低下を含み、
前記センサ部、前記情報処理部および前記情報通信部を複数備え、
前記データセンターは、前記複数の情報通信部から送信される複数の前記送信情報を受信して蓄積道路情報として蓄積し、
前記蓄積道路情報を情報処理して支援情報を生成する支援情報処理部と、
前記支援情報を支援対象に配信する支援情報配信部を有することを特徴とする交通支援システム。
【請求項2】
請求項1に記載の交通支援システムであって、
前記電力貯蔵部、前記センサ部、前記情報処理部、前記情報通信部の少なくとも何れか1つが、前記道路の表面下に埋設されていることを特徴とする交通支援システム。
【請求項3】
請求項1または2に記載の交通支援システムであって、
前記道路に埋設され、前記道路上を走行する車両に対して前記電力貯蔵部から供給される電力を給電する給電部を備えることを特徴とする交通支援システム。
【請求項4】
請求項1から3の何れか一つに記載の交通支援システムであって、
前記路面情報は、湿度、振動、照度、二酸化炭素濃度、降雨量、走行車両数、走行車両速度、路面画像、赤外線画像の何れかを含むことを特徴とする交通支援システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、交通支援システムに関し、特に太陽光で発電した電力によって動作する交通支援システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、渋滞や事故などの各種道路情報を収集し、道路上に配置した電光表示装置に道路情報を表示することや、車両に搭載されたナビゲーションシステムに道路情報を送信して表示させる交通情報システムが運用されている。また、従来の交通情報システムを発展させた高度道路交通システム(ITS:Intelligent Transport Systems)も提案されている(例えば特許文献1,2を参照)。
【0003】
さらに、車両と車両が相互に情報通信する車車間通信や、道路側に配置された通信設備と車両が相互に情報通信する路車間通信を用いて、人と道路と車両を情報通信技術で接続し、高度な道路利用や利用負担の軽減を図る次世代ITSの開発も進められている。このような次世代ITSでは、車両が運転状態や周囲状況の情報を取得して運転を支援する運転支援システムや、車両の運転を自動化する自動運転技術との連動も検討されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2004-280377号公報
【文献】特開2004-280382号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし特許文献1,2の従来技術では、道路情報を収集するための検出装置や道路情報を送信するための通信装置を道路近傍に多数設置する必要があった。これらの装置を動作させるためには、電力を供給するための電力線と情報通信を行うための通信回線を道路に沿って敷設する必要があるため、設置工事は大掛かりなものとなる。
【0006】
また、検出装置や通信装置を設置する領域が点在していたとしても、その領域までの経路に電力線と通信回線を敷設する必要があった。また、検出装置や通信装置を道路近傍に多数設置するため、路側帯が狭い道路や市街地などの接地面積が限定されている領域では、車両や歩行者の通行を妨げる可能性があった。更に、災害時等の停電時には電力会社からの電力が途絶えた場合に通信制御や情報配信のシステムが稼働できなくなり自動運転等の制御に支障をきたす可能性があった。
【0007】
そこで本発明は、上記従来の問題点に鑑みなされたものであり、通行領域を確保しつつ設置工事を簡略化し、道路情報の収集や送信を行うことが可能な交通支援システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明の交通支援システムは、道路の走行面に敷設された光発電部と、前記光発電部が発電した電力を貯蔵する電力貯蔵部と、前記電力貯蔵部から供給される電力によって動作し、前記道路の状況を路面情報として検出するセンサ部と、前記電力貯蔵部から供給される電力によって動作し、前記路面情報を処理して送信情報を出力する情報処理部と、前記送信情報をデータセンターに送信する情報通信部を備え、前記路面情報は、前記光発電部の出力低下を含み、前記センサ部、前記情報処理部および前記情報通信部を複数備え、前記データセンターは、前記複数の情報通信部から送信される複数の前記送信情報を受信して蓄積道路情報として蓄積し、前記蓄積道路情報を情報処理して支援情報を生成する支援情報処理部と、前記支援情報を支援対象に配信する支援情報配信部を有することを特徴とする。
【0009】
このような本発明の交通支援システムでは、光発電部で発電した電力を電力貯蔵部で貯蔵し、電力貯蔵部からの電力でセンサ部と情報処理部を動作させ、センサ部で取得した道路の状況を情報処理してデータセンターに送信するため、電力配線や通信配線を敷設する必要がなく、通行領域を確保しつつ設置工事を簡略化し、道路情報の収集や送信を行うことが可能となる。
【0010】
また本発明の一態様では、前記電力貯蔵部、前記センサ部、前記情報処理部、前記情報通信部の少なくとも何れか1つが、前記道路の表面下に埋設されている。
【0011】
また本発明の一態様では、前記道路に埋設され、前記道路上を走行する車両に対して前記電力貯蔵部から供給される電力を給電する給電部を備える。
【0012】
また本発明の一態様では、前記路面情報は、湿度、振動、照度、二酸化炭素濃度、降雨量、走行車両数、走行車両速度、路面画像、赤外線画像の何れかを含む
【発明の効果】
【0013】
本発明では、通行領域を確保しつつ設置工事を簡略化し、停電時においても道路情報の収集や送信を行うことが可能な交通支援システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】第1実施形態に係る交通支援システム100の概要を示す模式図である。
図2】交通支援システム100が収集した蓄積道路情報に基づいて状況判断をした結果を示す模式図である。
図3】第2実施形態に係る交通支援システム200の概要を示す模式図である。
図4】ユニット化された光発電部10の構造を示す模式断面図である。
図5】交通支援システム200の概要を示すブロック図である。
図6】光発電部10をグリッド化して配置した例を示す模式図であり、図6(a)は1つのグリッド70の構成例を示し、図6(b)は道路にマトリクス状に複数のグリッド70を配置した例を示している。
【発明を実施するための形態】
【0015】
(第1実施形態)
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。各図面に示される同一または同等の構成要素、部材、処理には、同一の符号を付すものとし、適宜重複した説明は省略する。図1は、本実施形態に係る交通支援システム100の概要を示す模式図である。図1に示すように、本実施形態の交通支援システム100は、光発電部10と、電力貯蔵部20と、給電部30と、路面情報装置40と、負荷部50とを有している。また図1では、給電部30上を車両C1が走行し,光発電部10上を車両C2が走行した例を示している。
【0016】
光発電部10は、道路の走行面に敷設された光を電力に変換する装置であり、太陽光発電パネルを用いることができる。太陽光発電パネルの具体的な構造は限定されないが、シリコン単結晶やアモルファスシリコン、色素増感型パネル、CIGS系材料など公知の材料と構造を用いることができる。光発電部10は、図示しない電気配線によって電力貯蔵部20に電気的に接続されている。
【0017】
電力貯蔵部20は、道路の表面下に埋設されて、電力を貯蔵および供給する装置であり、二次電池やキャパシタ等を用いることができる。二次電池としては、リチウムイオン電池や全固体電池等の公知の材料と構造を用いることができ、例えば電気自動車やハイブリットカーで使用された二次電池の再生品を用いるとしてもよい。また電力貯蔵部20には、電力の貯蔵と供給を最適化する公知のコントローラが内蔵されている。電力貯蔵部20は図示しない電気配線によって光発電部10、給電部30、路面情報装置40および負荷部50に電気的に接続されており、光発電部10で発電された電力を貯蔵するとともに、給電部30、路面情報装置40および負荷部50に対して電力を供給する。ここでは、電力貯蔵部20を道路の表面下に埋設した例を示したが、設置面積を確保できるのであれば道路面上や路側帯に設置するとしてもよい。
【0018】
給電部30は、道路の走行面に敷設されて、路面を走行する車両C1に対して給電する装置であり、電磁誘導方式、電波受信方式、磁界共鳴方式等の公知の非接触給電装置を用いることができる。給電部30は図示しない電気配線によって電力貯蔵部20に接続されており、電力貯蔵部20から供給された電力を車両C1に搭載された受電側装置に対して伝達する。
【0019】
路面情報装置40は、道路の路面上や路側帯に設置され、道路の状況を路面情報として収集するとともに、路面情報を処理して送信情報としてデータセンター(図示省略)に対して送信する装置である。したがって、本実施形態の路面情報装置40は、本発明におけるセンサ部、情報処理部および情報通信部の機能を備えている。路面情報装置40は図示しない電気配線によって電力貯蔵部20に接続されており、電力貯蔵部20から供給された電力によって各種機能が動作する。路面情報装置40が収集する路面情報としては、路面および路面近傍の温度、湿度、振動、照度、二酸化炭素濃度、降雨量、走行車両数、走行車両速度、路面画像、赤外線画像等が挙げられる。また、送信情報をデータセンターに送信するための機能としては、光ファイバ等の有線接続や電波による無線接続を用いることができる。
【0020】
負荷部50は、道路の路面上や路側帯に設置され、電力を消費して所定の動作を行う装置であり、例えば照明装置や電光表示装置が挙げられる。負荷部50は図示しない電気配線によって電力貯蔵部20に接続されており、電力貯蔵部20から供給された電力によって各種機能が動作する。また、必要に応じて負荷部50と路面情報装置40とは情報通信可能に接続され、路面情報装置40から出力された情報の表示や、照明光の制御、路車間通信を実現するとしてもよい。
【0021】
本実施形態の交通支援システム100では、光発電部10が発電した電力は電力貯蔵部20に貯蔵され、電力貯蔵部20から供給される電力で給電部30、路面情報装置40および負荷部50が動作する。路面情報装置40が収集した道路の状況は、データセンターに送信され、道路上に複数配置された路面情報装置40から集められた情報は、データセンターに蓄積道路情報として蓄積される。
【0022】
また、データセンターでは、収集された膨大な蓄積道路情報に基づいて状況判断を行い、路面情報装置40に対して交通制御のための支援情報を送信する。支援情報を受信した路面情報装置40は、路車間通信や電光表示装置を用いて支援情報を走行中の車両C1,C2に伝達する。車両C1,C2では、受信した支援情報に基づいて案内表示や音声ガイド、運転支援制御を行う。ここでは電力貯蔵部20に貯蔵された電力で各部を動作させるとしたが、光発電部10で発電した電力を直接各部と各装置に供給して動作させるとしてもよい。
【0023】
図2は、交通支援システム100が収集した蓄積道路情報に基づいて状況判断をした結果を示す模式図である。本実施形態の交通支援システム100では、路面情報装置40が備えるセンサ部によって、エリア毎に降雨状況や車両の平均走行速度、渋滞の発生と継続距離、路面上の障害物、事故の発生等をリアルタイムに把握することができる。データセンターでは、これらの情報が蓄積された蓄積道路情報から、速度制限や回避動作などの支援情報を生成し、路面情報装置40を介して走行中の車両C1,C2等に情報提示や運転支援動作を行う。または、データセンターから通信会社等の無線通信回線を介して車両C1,C2に支援情報を送信し、自動運転の制御や運転支援動作を行う。
【0024】
本実施形態の交通支援システム100では、道路の表面に配置された光発電部10で発電した電力を電力貯蔵部20に貯蔵して、給電部30、路面情報装置40および負荷部50が駆動される。これにより、路面情報の収集や通信のために長距離の電力線や通信回線を敷設する必要がない。また光発電部10は走行路面に設けられているため、省スペース化を図って通行領域を確保しつつ設置工事を簡略化し、道路情報の収集や送信を行うことが可能となる。また、災害時や遠隔地などにおいて電力会社からの電力供給が途絶えても、太陽光路面発電システムの独立化によって、交通支援システム100を作動させることができる。
【0025】
また、図1では路面情報装置40を路側帯に配置した例を示したが、路面情報装置40が備えているセンサ部、情報処理部および情報通信部の何れか少なくとも1つまたは全部を道路の表面下に埋設するとしてもよい。これらセンサ部、情報処理部、情報通信部、電力貯蔵部20を道路の表面下に埋設すると、さらに省スペース化を図って通行領域を確保することができる。
【0026】
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態について説明する。第1実施形態と重複する内容は説明を省略する。本実施形態では、第1実施形態の路面情報装置40が有する各機能をユニット化した光発電部10に集約している。図3は、本実施形態に係る交通支援システム200の概要を示す模式図である。図4は、ユニット化された光発電部10の構造を示す模式断面図である。
【0027】
図3図4に示すように、本実施形態の交通支援システム200は、複数の光発電部10と、負荷部50とを有している。また、光発電部10はユニット化されており、光発電部10の筐体内部に太陽光パネル11と、情報処理部12と、情報通信部13と、センサ部14と、電力貯蔵部20と、給電部30を収容されている。ここで、ユニット化された光発電部10の内部に各部が収容されているため、ユニット化された光発電部10を道路に敷設した場合には、情報処理部12、情報通信部13、センサ部14、電力貯蔵部20、給電部30は道路の表面下に埋設されることになる。図3では図示を省略したが、ユニット化された光発電部10とは別に電力貯蔵部20、給電部30を用意して、光発電部10が敷設されていない領域に配置するとしてもよい。
【0028】
太陽光パネル11は、ユニット化された光発電部10の表面近傍に設けられたソーラーパネルであり、耐荷重性能や柔軟性、耐候性の面からアモルファスシリコンを材料としたフレキシブルなソーラーパネルを用いることが好ましい。
【0029】
情報処理部12は、ユニット化された光発電部10の内部に設けられており、各種情報を所定の手順に従って処理する部分であり、中央演算処理装置(CPU:Central Processing Unit)とメモリ、外部記憶装置、各種インターフェースを備えるコンピュータである。情報処理部12は電力貯蔵部20に電気的に接続されて、電力貯蔵部20から供給される電力によって駆動される。
【0030】
情報通信部13は、ユニット化された光発電部10の内部に設けられており、無線中継局との間で無線情報通信を行う装置である。また、情報通信部13は、路面を走行する車両C1,C2等と相互に情報通信して路車間通信を行う。情報通信部13は電力貯蔵部20に電気的に接続されて、電力貯蔵部20から供給される電力によって駆動される。情報通信部13の具体的な通信手段は限定されないが、第4世代移動通信システムや第5世代移動通信システムを用いることができる。
【0031】
センサ部14は、ユニット化された光発電部10の内部や、光発電部10を敷設していない領域において道路の表面下に埋設されており、道路上の各種状況を路面情報として取得する装置である。センサ部14としては、マイク、温度計、湿度計、振動測定装置、照度計、二酸化炭素濃度測定器、雨量計、動体センサ、速度センサ等が挙げられる。センサ部14は電力貯蔵部20に電気的に接続されて、電力貯蔵部20から供給される電力によって駆動される。
【0032】
図4に示すように、下層1と表層2を有する道路上に複数のユニット化された光発電部10が複数敷設されている。下層1は、道路の舗装面において表層2より下方に設けられた構造であり、例えばコンクリート層、基礎、地面等が挙げられる。表層2は、道路の舗装面を構成する構造であり、例えばアスファルト層、特殊塗装層、土台等が挙げられる。
ユニット化された複数の光発電部10は、互いに太陽光パネル11が電気的に接続されて、道路の表面下に埋設された共通の電力貯蔵部20に接続されている。各光発電部10の太陽光パネル11で発電された電力は、上述したように共通電力貯蔵部20に貯蔵される。
【0033】
また、各光発電部10には、それぞれ個別の電力貯蔵部20、給電部30、情報処理部12、情報通信部13、センサ部14を備えている。それぞれの光発電部10において太陽光パネル11で発電された電力は、ユニット内の電力貯蔵部20に貯蔵される。ユニット内の給電部30、情報処理部12、情報通信部13、センサ部14は、それぞれ同ユニット内の電力貯蔵部20から電力が供給されて駆動される。ここでは、ここではユニット内の電力貯蔵部20に貯蔵された電力で、同ユニットの各部を動作させるとしたが、太陽光パネル11で発電した電力を直接各部に供給して動作させるとしてもよい。
【0034】
図5は、交通支援システム200の概要を示すブロック図である。道路の表面下に埋設された複数の光発電部10が電力貯蔵部20および給電部30と電気的に接続されており、光発電部10内に収容された情報通信部13が無線通信を用いてデータセンター60と相互に情報通信を行う。図5では、各光発電部10が有する情報処理部12の図示を省略している。
【0035】
本実施形態の交通支援システム200でも、光発電部10が発電した電力は電力貯蔵部20に貯蔵され、電力貯蔵部20から供給される電力で給電部30と負荷部50が動作する。センサ部14が収集した路面情報は、情報処理部12で情報処理されて送信情報として情報通信部13からデータセンター60に送信される。データセンター60では、道路上に複数配置されたセンサ部14から集められた情報を蓄積道路情報として蓄積し、収集された膨大な蓄積道路情報に基づいて状況判断を行う。
【0036】
データセンター60では状況判断の結果として、交通制御のための支援情報を情報通信部13に送信する。支援情報を受信した情報通信部13は、路車間通信や電光表示装置を用いて支援情報を走行中の車両C1,C2に伝達する。車両C1,C2では、受信した支援情報に基づいて案内表示や音声ガイド、運転支援制御を行う。または、データセンター60から通信会社等の無線通信回線を介して車両C1,C2に支援情報を送信し、自動運転の制御や運転支援動作を行う。
【0037】
データセンター60での状況判断としては、例えば振動や衝撃音、動体検知、太陽光パネル11の出力低下等から、落下物の有無、事故の発生、事故の規模、故障車の存在、渋滞の発生、車両の平均走行速度、火災の発生等を判断する。また、データセンター60が状況判断した結果として生成する支援情報としては、事故発生現場付近への車両に対する減速動作の指示、路面上に障害物等が存在する場合には所定距離手前から車線変更の指示や迂回路の指示、降雨や積雪、路面凍結などの場合には制限速度低下と減速を指示、見通しの悪い交差点手前で車体を検知しての通知などが挙げられる。
【0038】
また、複数のセンサ部14からの路面情報をデータセンター60で蓄積道路情報として蓄積して、ビッグデータとして解析することで、状況判断の精度や反応速度を向上させることができ、リアルタイムで情報処理して支援情報を道路上に送信することができる。また、道路に沿って複数の光発電部10とセンサ部14を埋設しておき、区間(グリッド)毎のデータを収集することで、グリッド単位での動作や離れたグリッドとの連携をして、細かい状況判断のスケーラビリティとソリューションを実現できる。
【0039】
図6は、光発電部10をグリッド化して配置した例を示す模式図であり、図6(a)は1つのグリッド70の構成例を示し、図6(b)は道路にマトリクス状に複数のグリッド70を配置した例を示している。図6(a)に示した例では、ユニット化した光発電部10a,10bは相互に接続されており、グリッド70内の光発電部10a,10b同士で電力と情報を交換可能とされている。ここでは、一例として光発電部10aは個別の電力貯蔵部20、給電部30、情報処理部12、情報通信部13、センサ部14を備えおり、その他の光発電部10bは情報通信部13を備えていないとする。
【0040】
同一グリッド70内の光発電部10a,10bそれぞれにおいて、センサ部14で検出した路面情報は情報処理部13で処理され、グリッド70内で情報が伝達されて光発電部10aの情報通信部13を介してデータセンター60に送信される。図6(b)に示すように、道路上には複数のグリッド70が敷設されており、各グリッド70から路面情報がデータセンター60に送信情報として送信される。各グリッド70には個別に位置情報を記録しておき、送信情報の送信時に位置情報を含めてデータセンター60に送信することで、グリッド70の範囲内で生じた路面の状況と位置を把握することができる。
【0041】
このように交通支援システム200では、グリッド化された光発電部10によって得られた路面情報をデータセンター60で蓄積道路情報として蓄積し、状況判断することで支援情報を生成する。また、データセンター60からは、各グリッド70の光発電部10aが備えた情報通信部13を介して走行中の車両C1,C2に支援情報が送信され、情報提示や運転支援動作を行う。または、データセンター60から通信会社等の無線通信回線を介して車両C1,C2に支援情報を送信し、自動運転の制御や運転支援動作を行う。
【0042】
本実施形態の交通支援システム200でも、道路の表面に配置された光発電部10で発電した電力を電力貯蔵部20に貯蔵して、給電部30、情報処理部12、情報通信部13、センサ部14、および負荷部50が駆動される。これにより、路面情報の収集や通信のために長距離の電力線や通信回線を敷設する必要がない。また光発電部10は走行路面に設けられているため、省スペース化を図って通行領域を確保しつつ設置工事を簡略化し、道路情報の収集や送信を行うことが可能となる。また、災害時や遠隔地であっても独立して交通支援システム200を作動させることができる。
【0043】
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0044】
C1,C2…車両
100,200…交通支援システム
10…光発電部
20…電力貯蔵部
30…給電部
40…路面情報装置
50…負荷部
60…データセンター
11…太陽光パネル
12…情報処理部
13…情報通信部
14…センサ部
図1
図2
図3
図4
図5
図6