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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-01-17
(45)【発行日】2023-01-25
(54)【発明の名称】粉体スプレー装置
(51)【国際特許分類】
   B05B 7/14 20060101AFI20230118BHJP
   B05C 19/04 20060101ALI20230118BHJP
   B05D 1/06 20060101ALI20230118BHJP
   B05D 7/24 20060101ALI20230118BHJP
【FI】
B05B7/14
B05C19/04
B05D1/06 H
B05D7/24 301A
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2021188738
(22)【出願日】2021-11-19
(62)【分割の表示】P 2017222915の分割
【原出願日】2017-11-20
(65)【公開番号】P2022010417
(43)【公開日】2022-01-14
【審査請求日】2021-11-19
(73)【特許権者】
【識別番号】596036256
【氏名又は名称】株式会社ビーエムジー
(74)【代理人】
【識別番号】100121382
【弁理士】
【氏名又は名称】山下 託嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100124707
【弁理士】
【氏名又は名称】夫 世進
(72)【発明者】
【氏名】藤村 元輝
(72)【発明者】
【氏名】長田 慎一
(72)【発明者】
【氏名】糀谷 祐輔
(72)【発明者】
【氏名】玄 優基
(72)【発明者】
【氏名】玄 丞烋
【審査官】河内 浩志
(56)【参考文献】
【文献】特表2017-528249(JP,A)
【文献】特開2016-063919(JP,A)
【文献】特開2014-140577(JP,A)
【文献】特開2012-143502(JP,A)
【文献】実公昭12-010311(JP,Y1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B05B 1/00- 3/18
7/00- 9/08
B05C 7/00-21/00
B05D 1/00- 7/26
A61F35/00-36/08
A61L24/00-24/12
A61M11/00-19/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
粉体容器(7)を上部に取り付け可能か、または粉体容器(7)と一体に設けられる漏斗(ろうと)部材(1)と、
漏斗部材(1)の下端の排出口(11B)に第1の開口(31)が接続される第1の三方継ぎ手(3)と、
第1の三方継ぎ手(3)の第2及び第3の開口(32,33)にそれぞれ接続される気流供給管(41)及び送出管(42)と、
漏斗部材(1)における漏斗本体部(11)の外面に取り付けられて固定される振動モーター(2)と、
気流供給管(41)から分岐して、送出管(42)に合流するように接続するバイパス気流管(8)と、
圧縮気体がバイパス気流管(8)のみを通って送られる待機状態と、圧縮気体が、気流供給管(41)、三方継ぎ手(3)の内部、及び送出管(42)による塗布用の流路を通るとともに、バイパス気流管(8)をも通る塗布状態との間で、切り換えを行うためのオンオフ機構(6)と、を備える粉体スプレー装置。
【請求項2】
これらの部材を収納するハウジング(5)を備え、
漏斗部材(1)及び第1の三方継ぎ手(3)は、ハウジング(5)に対して揺動及び振れ動きが可能に取り付けられている請求項1の粉体スプレー装置。
【請求項3】
バイパス気流管(8)と送出管(42)との接続部が、第2の三方継ぎ手(81)により形成され、バイパス気流管(8)と気流供給管(41)との接続部が、第3の三方継ぎ手(82)により形成され、
第2の三方継ぎ手(81)には、バイパス気流管(8)が接続する分岐部(83)よりも上流の領域に、くの字状の折れ曲がり部(91)が備えられ、この中で気流の方向が、斜め上方へと向かう方向から、斜め下方へと向かう方向へと切り換えられる請求項1または2に記載の粉体スプレー装置。
【請求項4】
オンオフ機構(6)は、
ロッド(61D)からなるトリガーレバー(61であって、このロッド(61Dは、それぞれ気流供給管(41)及びバイパス気流管(8)のための第1及び第2のバルブ孔(61A)及び(61B)を備えるものと、
トリガーレバー(61)のロッド(61D)が滑り動き可能に差し込まれており、第1及び第2の通気部(62A)及び(62B)を有しており、これら通気部(62A)及び(62B)は、気流供給管(41)及びバイパス気流管(8)の途中に挿入されている、バルブハウジング部材62と
を備える請求項1~3のいずれかに記載の粉体スプレー装置。
【請求項5】
第2のバルブ孔(61B)についての、ロッド(61D)に沿った寸法は、トリガーレバー(61)のストロークより大きい、請求項4に記載の粉体スプレー装置。
【請求項6】
トリガーレバー(61)がユーザーによって引き込められた際、塗布状態に切り替えられて気流供給管(41)を通じた圧縮空気の送り出しが開始される前に、振動モーター(2)の振動動作が開始される、請求項1~5のいずれかに記載の粉体スプレー装置。
【請求項7】
漏斗本体部(11)の外面にポケット部(12)またはその他の装着部が一体に設けられ、振動モーター(2)が、このポケット部(12)中に押し込まれるか、またはその他の装着部に嵌め合わされている、請求項1~6のいずれかに記載の粉体スプレー装置。
【請求項8】
溶液の凍結乾燥により得られた粉体、または、ランダムな粒子形状及び/または吸湿性を有する粉体について、請求項1~7のいずれかの粉体スプレー装置を用いて吹き付けを行う粉体スプレー方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、外科手術時その他における生体組織の漏れ閉塞、接着、充填、及び癒着防止、及び止血などに用いられる医療用接着剤に関する。特には、第1反応成分を含有する粉末(粉末状反応剤)と、第2反応成分を含有する粉末(粉末状反応剤)とからなり、水の存在下で第1反応成分と第2反応成分とを互いに反応させてゲル状に硬化させた後、一定期間経過後に、分解・流動化し排泄されるものに関する。
【背景技術】
【0002】
医療用、特には外科手術用の接着剤として、(1)シアノアクリレート系接着剤、及び(2)フィブリン糊(フィブリン・グルー)が主に使用されてきた。しかし、シアノアクリレート系接着剤は、固化物が柔軟性に乏しく硬いために創傷治癒を妨げる場合があり、また、生体内で分解しにくいために被包化されて異物となりやすい等の問題があった。一方、フィブリン糊は接着力がかなり低いため、生成したフィブリン塊が組織から剥がれる場合がある。さらに、血液製剤であるためウィルス感染が懸念されるという問題があった。
【0003】
近年、(3)アルデヒド化デキストラン-高分子キトサン(特許文献1)。(4)ミセル形成性の末端アルデヒドポリマー-高分子ポリアリルアミン、(5)アルデヒド化デンプン-コラーゲン、(6)ゼラチン-スクシンイミド化ポリ-L-グルタミン酸、(7)ゼラチン-ジカルボン酸無水物、(8)ウレタンプレポリマー等が検討されているが、それぞれ問題点を含む(特許文献2の背景技術の欄を参照)。
【0004】
そこで、本件出願人会社の研究グループでは、種々の探索及び検討を行った末に、比較的低分子量のε-ポリ-L-リジンをコハク酸無水物などのカルボン酸無水物により側鎖などのアミノ基を部分的にブロックした部分カルボキシル化-ポリ-L-リジンを、上記の高分子キトサンなどに代えて用いることを試みた。その結果、医療用接着剤に求められる一般的な特性を充分に満たしつつ、設計崩壊時間を経過した後に速やかに崩壊すると共に、設計崩壊時間を比較的自由に調整・制御できる医療用接着剤および医療用の含水ゲル樹脂を開発した(特許文献2~3)。
【0005】
一方、本研究グループでは、種々検討した結果、かさ密度の低く流動性の低い粉体など、多様な粉体を、圧縮空気や加圧ガスなどにより連続的にかつなるべく均一に送り出すことができる粉体スプレー装置を開発した(特許文献4)。この粉体スプレー装置は、特には、本研究グループが開発した医療用接着剤を、執刀医などの施術者が患部などに、所定の領域及び所定の量だけ、正確に塗布するのに用いられるものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】国際公開WO2003/035122(AESCULAP AG & CO KG(DE)、US2005/0002893 A-1及びEP1438079 B1に対応)
【文献】国際公開WO/2006/080523「自己分解性を有する医療用2反応剤型接着剤、及び医療用樹脂」
【文献】国際公開WO/2008/066182「自己分解性を有する粉体-液体及び粉体-粉体の2反応剤型の医療用接着剤」
【文献】日本特開2016-63919「医療用粉体スプレー装置」
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本研究グループが先に開発した医療用2成分反応剤型接着剤は、(1)生体という水分を含んだ被着体に対する高い接着性、(2)生体組織表面における常温常圧下での比較的速やかな固化反応性、(3)創部が治癒するまでの間、皮膚、血管又は臓器などの被着体に密着しつつ、被着体の物理的な運動を阻害しない程度の柔軟性、等を全て満たす優れた性能、特性を有している。
【0008】
本件発明者らは、医療用2成分反応剤型接着剤を実際の医療の現場などで用いて、確実に安定した性能が得られるようにすべく鋭意努力した。その結果、以前に具体的に試験を行ったレベルと比較した場合に、部分カルボキシル化-ポリ-L-リジンの残存アミノ基率をより高い特定の範囲とし、上記の粉体スプレー装置を用いて塗布する塗布量をより低い特定の範囲とすることにより、特に優れた接着性及びその信頼性が得られることを見出した。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の医療用2成分反応型接着剤は、重量平均分子量が1000~20万であるアルデヒド化グルカンの粉末からなる第1反応剤と、重量平均分子量が1000~2万であるポリ-L-リジンに、コハク酸無水物またはグルタル酸無水物を反応させて残存アミノ基率が70~93%となるようにした部分カルボキシル化ポリ-L-リジンの粉末からなる第2反応剤とをアルデヒド基/アミノ基のモル比が0.9~2.0となるように混合した混合粉末よりなり、前記アルデヒド化グルカンは、デキストランまたはデキストリンを過ヨウ素酸または過ヨウ素酸塩で酸化して、無水グルコース・ユニットあたり0.2~0.5個のアルデヒド基を導入したものであり、前記アルデヒド化グルカンの粉末及び前記ポリ-L-リジンの粉末は、いずれもランダムな形状の多孔体であって、平均粒径が10~150μmであり、前記混合粉末は、含水率が2.0%以下であり、粉体スプレー装置を用いた1回の塗布量が、20~50mg/cm2である。
【0010】
好ましくは、前記部分カルボキシル化ポリ-L-リジンにおける残存アミノ基率が87~93%である。このようであると、特に高い接着力及びその信頼性が得られる。
【0011】
本発明の医療用2成分反応型接着剤は、前記アルデヒド化グルカンにおけるアルデヒド基の導入量を、無水グルコース・ユニットあたり0.2~0.4個の範囲で変化させることにより、含水ゲルが崩壊するまでの期間を、2~3日から、4週間以上の範囲で調整して設定することができる。
【0012】
医療用2成分反応型接着剤についての好ましい実施形態で用いる粉体スプレー装置は、粉体容器を上部に取り付け可能か、または粉体容器と一体に設けられる漏斗(ろうと)部材と、漏斗部材の下端の排出口部分に第1の開口部が接続される三方継ぎ手と、三方継ぎ手の第2の開口部に接続される気流供給管と、三方継ぎ手の第3の開口部に接続される送出管と、これらの部材を収納するハウジングとを備える粉体スプレー装置において、振動モーターがさらに備えられ、漏斗部材には、漏斗本体部の外面にポケット部が一体に設けられ、このポケット部中に振動モーターが押し込まれて固定され、漏斗部材及び三方継ぎ手は、ハウジングに対して、部材間のクリアランスにより、揺動及び振れ動きが可能に取り付けられていることを特徴とする。
【0013】
本発明の粉体スプレー装置は、上記のような粉体スプレー装置において、気流供給管(41)から分岐して、送出管(42)に合流するように接続するバイパス気流管(8)と、圧縮気体がバイパス気流管(8)のみを通って送られる待機状態(オフ状態)と、圧縮気体が、気流供給管(41)、三方継ぎ手(3)の内部、及び送出管(42)による塗布用の流路を通るとともに、バイパス気流管(8)をも通る塗布状態(オン状態)との間で、切り換えを行うためのオンオフ機構(6)と、を備えることを特徴とする。
【0014】
漏斗部材及び三方継ぎ手は、ハウジング内にて、大きなクリアランス(遊び)により、前後左右及び上下に揺動可能に保持されている。また、例えばポケット部を中心にして、振れ動きが可能に保持されている。すなわち、漏斗部材及び三方継ぎ手は、ハウジング内にて、各方向への揺動、及び、軸方向を振れさせる振れ動きが可能なように、充分なクリアランス(遊び)を持って保持されている。また、抜け外れが生じないように可動範囲を制限する取り付け構造となっている。好ましい一実施形態において、クリアランスによる上下方向への揺動可能な寸法範囲は、0.5~8mm、好ましくは1~5mm、特には2~4mmであり、クリアランスによる水平方向(漏斗本体部の中心軸に垂直の方向)への揺動可能な寸法範囲は、0.5~5mm、好ましくは0.5~4mm、特には2~3mmである。また、好ましい一実施形態において、漏斗部材は、漏斗本体部の上端の近傍及び下端の近傍にて、ハウジングから保持される。そして、最大の振れ動きは、漏斗本体部における上端の近傍と下端の近傍とが、上記の水平方向の揺動可能範囲の限界まで、互いに逆向きに動いた際に生じる。好ましい一実施形態において、漏斗本体部の上端の近傍における、ハウジングと漏斗部材との間の、揺動可能な保持及び可動範囲の制限は、フランジ同士の突き当て、及び、フランジと円筒部との突き当てによって行われる。具体的には、漏斗部材及びハウジングの一方に設けられたフランジが、他方に設けられた上下のフランジ及び円筒部に突き当てられるようにして可動範囲を制限することができる。また、好ましい一実施形態において、漏斗本体部の下端の近傍における、ハウジングと、漏斗部材及び三方継ぎ手との間の、揺動可能な保持及び可動範囲の制限は、ハウジングの壁面またはリブと、三方継ぎ手、または漏斗本体部の下端部との間の突き当てによって行われる。具体的には、ハウジングの底壁または水平板状リブに設けられた、円形またはその他の形状の開口に、漏斗本体部の下端部または三方継ぎ手の一部が、水平方向に可動に差し込まれることで実現可能である。なお、フランジは、好ましい実施形態において、板状に半径方向外側または内側へと突き出して先端にエッジを形成するものである。しかし、板状以外の断面形状のものでも良く、また、円筒壁の一部に設けられた段部や断面コの字状の折り曲げ部であっても良い。例えば、断面が正方形に近い矩形または横向きU字状の半径方向突出部が、円筒壁の一部に設けられた凹部中にて、大きなクリアランスをもって保持されているのであっても良い。
【0015】
振動モーターは、典型的には、扇形金属片などのバラスト(おもり)が、一方に偏るようにして中心軸に取り付けられ、バラストの回転により振動を発生する。振動モーターは、好ましくは扁平型のものである。すなわち、径が回転軸方向の寸法より大きいものである。振動モーターは、さらに好ましくはコイン型のものである。すなわち、径が25mm以下の円盤形であり、例えば径が5~20mmである。厚みは例えば径の20~60%である。振動モーターの回転数(回転/分)は、例えば1000~2万rpm(振動数 約20~300Hz)、特には2000~1万rpm(振動数 約30~200Hz)である。振動モーターを収納するポケット部は、振動モーターが押し込まれて固定されるように、対応する寸法が、振動モーターに等しいか、またはわずかに小さく設定される。ポケット部は、好ましくは、駆動モーターの回転軸が漏斗本体部の内側に向けられるように、特には、回転軸の延長線が漏斗本体部の中心軸に交わるか、ほぼ交わるように配置される。また、好ましい形態において、ポケット部の開口部は、漏斗本体部の周方向を向いており、好ましくは、ポケット部の開口部または内面に、振動モーターの抜け出しを防止するとともにさらに固定を行うために、掛け止め突起を設けるか、粘着テープを貼り付けるか、粘着剤を用いるかの少なくともいずれかを行う。掛け止め突起は、例えば、ポケット部の内面から突き出す円弧状の突条、または、開口縁のツメ部として設けることができる。また、粘着テープは、例えば、片面粘着タイプのものを、開口部を覆うように貼り付けることもでき、両面粘着タイプのものをポケット部の内面と振動モーターとの間に挟み込むようにすることもできる。粘着剤は、例えば、振動モーターを押し込む前に、ポケット部の内面に塗布しておくことができる。塗布するかまたは粘着テープに用いる粘着剤は、例えば変性アクリル樹脂または変性シリコーン樹脂であり、粘着テープに用いた場合に、例えばJIS Z 1541の1種に合格するものを用いることができる。このように強力な粘着剤または粘着テープを用いるならば、簡便かつ確実に振動モーターの抜け出しを防止することができる。
【0016】

好ましい実施形態において、漏斗部材は、樹脂成形により、少なくとも漏斗本体部及ポケット部が一体に設けられる。樹脂成形は、射出成形、押し出し成形などにより行うことができ、好ましくは、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリメチルペンテン樹脂、及びこれらの共重合樹脂を含むポリオレフィン樹脂が用いられる。
【0017】
本発明の医療用2成分反応型接着剤は、第1反応剤の粉末と第2反応剤の粉末を予め混合接着剤粉末としてビン中に保存することができ、濡れた状態の生体部位に、上記の粉体スプレー装置等により塗布することができる。
【0018】
一般的に、医療目的では、医療用接着剤は少なくとも1年間の保存安定性を担保する必要がある。保存安定性は、少なくとも12ヶ月、好適には少なくとも18ヶ月、より好適には少なくとも24ヶ月、更に好適には少なくとも30ヶ月担保できることが望ましい。
【0019】
第1反応剤をなすアルデヒド化グルカンは、特にはα-グルカンを酸化してアルデヒド基を導入したもので、重量平均分子量が1000~20万の範囲内にあるものである。α-グルカンとは、グルコース同士が脱水縮合してα結合により結合した形の糖鎖であり、グルカンにおける糖残基(無水グルコース・ユニット)の分子量は162.14である。本発明で用いるα―グルカンには、デキストラン、デキストリン、及びプルランが含まれ、これらを混合して用いることもできる。でんぷんやアミロースも適度に分解すれば使用可能である。高分子のプルラン製品も適度に分解して用いることができる。また、場合によっては、α-グルカン単位とβ-グルカン単位とからなるグルカンであっても、水中に溶解または均一な分散が可能あれば、α-グルカンと同様に用いることができる。なお、アルデヒド基の導入は、一般的な過ヨウ素酸酸化法により行うことができ、無水グルコース・ユニットあたり、適当な自己分解性の付与等のためには、好ましくは0.1~1.0個のアルデヒド基、より好ましくは0.2~0.9個、さらに好ましくは0.2~0.6個のアルデヒド基が導入される。第1反応剤の保存安定性を高めるためには、アルデヒド化の程度が比較的低いのが良く、例えば、無水グルコース・ユニットあたり0.2~0.4個のアルデヒド基が導入される。混合接着剤粉末を用いることで、アルデヒド基の導入量が無水グルコース・ユニットあたり0.2~0.4個であっても、充分に短時間での硬化を実現できる。
【0020】
アルデヒド化α-グルカンの中でもアルデヒド化デキストラン及びアルデヒド化デキストリンが、接着剤性能の安定性などの理由で特に好ましい。アルデヒド化デキストランを得るのに用いるデキストランは、重量平均分子量が好ましくは2000~20万であり、より好ましくは2000~10万である。デキストリンの重量平均分子量は例えば1000~1万である。なお、アルデヒド化α-グルカンの最適分子量は具体的な用途によって異なり、特定の分子量乃至分子量分布のものを選択することにより、自己分解により液化するまでの期間を調整することができる。アルデヒド化α-グルカンの分子量が過度に大きい場合、自己分解による液化が過度に遅延してしまう。また、アルデヒド化α-グルカンの分子量が過度に小さい場合、ゲル化状態を維持する時間が短くなりすぎる。
【0021】
アルデヒド化グルカンの粉末(第1反応剤)としては、過ヨウ素酸酸化によるアルデヒド基の導入の後、乾燥を経て機械的に粉砕して得られるものをそのまま用いることができる。場合によっては、減圧下、または窒素などの不活性ガスを吹き込みつつ、比較的低温でスプレードライを行うことにより粉末とすることもできる。
【0022】
第2反応剤をなす部分カルボキシル化ポリ-L-リジンは、L-リジンの連鎖によりなるもので、重量平均分子量が1000~2万、好ましくは1000~1万、より好ましくは1500~8000である。また、好ましくは、分子量3万以上の高分子量分画を実質上含まないものである。特には、微生物または酵素を用いて生産された、分子量が1000~2万、特には1000~6000のε-ポリ-L-リジンである。
【0023】
第2反応剤または第1反応剤には、必要に応じて、pH調節剤としての酸または酸性塩等が添加される。好ましくは一価または多価のカルボン酸またはその無水物が添加される。このようにして、第1反応剤と第2反応剤とが混合された際には、pHが5.0~8.0の範囲内の値、好ましくは5.5~7.5の範囲内の値、より好ましくは6.5~7.5の範囲内の値になるようにすることができる。
【0024】
第2反応剤に用いるアミノ基含有ポリマーとしてのε-ポリ-L-リジンには、10重量%の中性ポリリジン水溶液から、上記アルデヒド化デキストランの場合と全く同様に乾燥を経て機械的に粉砕して得られるものを無水コハク酸処理ポリリジンとしてそのまま用いることができる。この中性ポリリジン水溶液は、好ましい実施形態において、25重量%のε-ポリリジン水溶液(分子量4,000、チッソ株式会社、フリーアミン)10mlに無水コハク酸0.5g及び蒸留水14.5mlを添加することにより調製したものである。
【0025】
第1反応剤としてのアルデヒド化グルカンの粉末、及び、第2反応剤としての部分カルボキシル化ポリ-L-リジンの粉末は、分散性及び溶解性に優れた形態であればいずれも使用可能である。粉末の形態としては、ランダムな形状の多孔体であるのが好ましく、このため、水溶液を乾燥した後、機械的に粉砕した粉末が好ましい。このような粉末が得られると、噴霧性に優れるだけでなく、リークの閉塞、特には空気漏れの閉塞にとり好ましい。反応硬化時に、適度に不均一な溶液構造をとり、ミクロなオーダーで、適度に不均一な反応を行う結果、硬化樹脂がより強靭なるものと考えられる。粉末の平均粒径は下記範囲の(1)から(4)へと進むにつれて順次、より好ましい範囲となる。(1)10~150μm、(2)15~120μm、(3)20~100μm、(4)20~80μm。すなわち、20~80μmであるのが最も好ましい。ここで、平均粒径は、実体顕微鏡により得られた映像より画像解析プログラム(例えば株式会社マウンテックの画像解析式粒度分布測定ソフトウェア「マックビュー」を用いることができる)等により、各粒子の2軸平均径(長軸長と短軸長との単純平均x)を求めてから長さ平均(Σx/Σx)をとることで得られる。粉末のアスペクト比(長軸長/短軸長)は、例えば1.3~3.0、特には1.5~2.0である。
【0026】
第1反応剤及び第2反応剤の粉体を、所定の反応モル比となるように混合して混合接着剤粉末としておくことにより噴霧が容易になるだけでなく、リーク圧の向上、特には空気漏れの閉塞性を向上させることできるので好ましい。混合接着剤粉末とした場合、瓶中やシリンジ中などに保存して振動を加えても、分級作用によって第1及び第2反応剤の粉体の混合比が局所的に変動するといったこともない。混合接着剤粉末として、サンプル瓶等に入れて栓をして保存する場合、含水率は5.0%以下、好ましくは2.0%以下、さらにより好ましくは1.0%前後、例えば0.5~1.5%に保持する。第1反応剤のみの粉末を保存する場合も同様である。
【0027】
第1反応剤及び第2反応剤を混合した状態におけるアルデヒド基/アミノ基のモル比は好ましくは0.9~2.5、さらに好ましくは0.9~2.0である。この範囲内であると、接着力を高く保つ上で好ましい。また、残留するアルデヒド基またはアミノ基を少なくすることができ、毒性をさらに低下させる上で有意義である。
【0028】
第1反応剤及び第2反応剤は、混合接着剤粉末の状態で、ガンマ線、電子線などの放射線滅菌により容易に滅菌を行うことができる。好ましくは、サンプル瓶等に入れて密閉した状態で、10~50kGyの放射線、さらに好ましくは20~30kGyの放射線を照射して滅菌を行う。サンプル瓶等の密閉容器には、混合接着剤粉末を、例えば、滅菌後にも密閉容器の容積の60%以上、特には80%以上が満たされるように、充填しておくことができる。また、この際の混合接着剤粉末の含水率は、例えば0.5~2.0%、特には0.5~1.0%とすることができる。このような条件で滅菌操作を行うと、混合接着剤粉末の流動性を、上記粉体スプレー装置による塗布のために必要な程度だけ向上させることができる。これは、全く予想外の効果である。この理由は、放射線滅菌の際に、混合接着剤粉末中に含まれている水分が加熱されることにより、粉末の突起が少し丸められるといったことに起因するものと推測される。
【0029】
第1反応剤及び第2反応剤は、混合接着剤粉末の状態で、圧縮空気と共に上記の粉体スプレー装置により噴出させて吹き付けによる塗布を行うことができる。また、吹き付け等による塗布操作を繰り返し、すなわち2回以上、例えば2~4回、塗布操作を行うのが塗布の均一性等を実現する上で好ましく、さらに、粉体スプレー装置の噴霧速度を調節することにより、任意の噴霧速度で定量的に噴霧できることから、均一かつ薄い層の形成を、所定の時間で実現することができる。なお、こういった繰り返し塗布の間、及び後には、生理食塩水または蒸留水等を、吹き付け、滴下などによって塗布箇所に加える。例えば、小型シリンジの先端に噴霧用アダプターや径の非常に小さい注射針を取り付けて行う噴霧、散布もしくは滴下により、または、化粧水用の指押し式のスプレーボトルによる噴霧等により行うことができる。なお、接着すべき箇所または患部に水分が多くない場合には、混合接着剤粉末の最初の塗布の前に、生理食塩水等を滴下または吹き付けておくことができる。
【0030】
上記の粉体スプレー装置による1回の塗布操作による吹き付け塗布の量は、20~50mg/cmであり、25~50mg/cmであることがより好ましい。具体的な実験結果によると、次のとおりであった。25mg/cm未満の塗布量では、塗布面にムラが生じ易く、混合接着剤粉末により完全に覆われていない部分が生じ易かった。また、生理食塩液を滴下した際、部分的にゲルの形成が不十分な場合があった。これに対し、25~50mg/cmの塗布量では、塗布面の全体が白く均一に混合接着剤粉末で覆われていた。50mg/cmを超える塗布量では、塗布面の全体が混合接着剤粉末により白く覆われていたものの、ところどころに凹凸が生じた。特には、生理食塩液を十分に滴下しても部分的に混合接着剤粉末のままで残っている場合があった。
【0031】
単位面積当たりの塗布量が50mg/cmを超えるように厚く塗布する場合には、一度に塗布するのではなく、上記の粉体スプレー装置による塗布操作を繰り返し行うべきである。すなわち2回以上繰り返し塗布操作を行うことで、重層化したゲルを作製することが好ましい。なお、動物評価を種々行った結果、ウサギ肺による実験的気漏モデルのような比較的厳しい空気漏れの箇所を塞ぐには、100mg/cm以上の塗布量、例えば150~200mg/cmの塗布量が必要な場合があることが知られた。
【0032】
上記のような塗布により、混合接着剤粉末に水分が加えられると、アルデヒド化グルカンのアルデヒド基とアミノ基含有ポリマーのアミノ基との間でシッフ結合が形成され、これが架橋点となって網目構造を有するハイドロゲルが形成される
【0033】
このような硬化反応により生成する含水ゲル状の硬化接着剤は、接着強度が20gf/cm以上であることが好ましく、50gf/cm以上であることがさらに好ましい。20gf/cm未満になると、生体組織の接着という本来の目的を果たせないだけでなく、生体組織の伸縮を伴う柔軟性のある動きに耐えられない可能性がある。ここでの接着強度は、引張試験機を用いた剥離試験によって測定した値である。
【0034】
このような硬化反応により生成する含水ゲル状の硬化接着剤は、耐圧接着強度が100mmHg以上であることが好ましく、150mmHg以上であることがさらに好ましい。100mmHg未満になると、生体組織の伸縮を伴う柔軟性のある動きに耐えられない可能性がある。ここでの耐圧接着強度は、閉塞した針穴に対し圧力をかける方法により測定した値である。
【0035】
このような硬化反応により生成する、含水ゲル状の硬化接着剤層または含水ゲル状の樹脂は、所定の分解期間を経たならば、自己分解によって液体状態(流動可能なゾル状態)に変化する。この液化時間は、特には、無水グルコース・ユニットあたりのアルデヒド基の導入量を調整することによって、容易に調整することができる。分解時間を短期間にするためには、アルデヒド化の程度が比較的低いのが良く、例えば、0.2~0.4個のアルデヒド基が導入される。分解時間を1~2週間の範囲内で調節するには、0.26~0.3個のアルデヒド基の導入が好ましく、2~3日と短期間での自己分解を実現するには、無水グルコース・ユニットあたり0.2~0.25個のアルデヒド基の導入が、さらに好ましい。
【0036】
このような硬化反応により生成する含水ゲル状の硬化接着剤層または含水ゲル状の樹脂は、設計に基づく液化時間を経たならば、自己分解によって液体状態(流動可能なゾル状態)に変化する。すなわち、生体内での酵素分解等を経ずとも、含水状態にあるならば自然に分解を生じ液体状態に変換される。したがって、生体内にあっては、ある所定の期間を経過後、速やかに、吸収されるかあるいは排泄されて消滅されるようにすることができる。設計に基づく分解時間は、数時間~4箇月、通常は1日~1箇月の範囲、特には2日~2週間の範囲内で任意に設定できる。
【0037】
このような硬化反応により生成する含水ゲル状の硬化接着剤が、良好な接着性能および自己分解を実現するには、提供される部分カルボキシル化ポリ-L-リジン中、残存している反応性アミノ基が、部分カルボキシル化前の元のアミノ基のモル数に対してどの程度の割合を占めているかにも依存する。残存するアミノ基の比率は、60~95%である必要があり、好ましくは70~93%、より好ましくは87~93%である。
【0038】
自己分解の機構は、明らかではないが、アルデヒド化α-グルカンのアルデヒド基がアミノ基と結合してシッフ塩基を形成した後、速やかにシッフ塩基のアマドリ転位によって、隣接するα-グルコシド結合の開裂により低分子化されやすくなったものと推測している。
【0039】
本発明の医療用接着剤及び医療用樹脂は、生体接着剤、組織充填剤、止血剤、血管塞栓剤、動脈瘤の封止剤、シーラント、癒着防止材、及びドラッグデリバリーシステム(DDS)用担体として、多様な用途に活用される。
【発明の効果】
【0040】
本発明の医療用2成分反応剤型接着剤であると、接着強度、ゲル化による硬化性、粉体スプレー装置による塗布性等において優れた性能を示す。また、生体組織に適合する自己分解性及び柔軟性の程度を、任意に調節することができる。
【図面の簡単な説明】
【0041】
図1】一実施形態の粉体スプレー装置(粉体スプレーガン)についての、右側ハウジング部を取り外した状態での右側面図である。
図2図1の粉体スプレー装置の要部を示す、気流経路に沿った部分断面図(1)である。待機時の状態を示す。
図3図1の粉体スプレー装置の要部を示す、気流経路に沿った部分断面図(2)である。スプレー塗布時の状態を示す。
図4図1の粉体スプレー装置の粉体供給部を示す、部分断面斜視図(特許文献4の図2)である。
図5図1の粉体スプレー装置に含まれる漏斗部材についての斜視図である(特許文献4の図4)である。
図6】噴霧速度が比較的高い場合の、噴霧時間と噴霧量との関係を示すグラフである。
図7】噴霧速度が比較的低い場合の、噴霧時間と噴霧量との関係を示すグラフである。
図8】一回の塗布操作による塗布量と、塗布表面の状態との関係を示す一組の画像、並びにである。
図9】残存アミノ基率と接着強度との関係を示すグラフである。
図10】残存アミノ基率と分解率との関係を示すグラフである。
図11】in vitro針穴閉塞試験のための装置を示す概略図である。
図12】第1反応剤としてのアルデヒド化デキストランの粉末の顕微鏡写真である。
図13】第2反応剤としての無水コハク酸処理ポリリジンの粉末の顕微鏡写真である。
図14】混合接着剤粉末(ライデックス)粉末の顕微鏡写真である。
【発明を実施するための形態】
【0042】
図1~5に示す一実施形態の粉体スプレー装置(粉体スプレーガン)10は、(i)粉体容器7を上部に取り付け可能か、または粉体容器7と一体に設けられる漏斗(ろうと)部材1と、(ii)漏斗部材1の下端の排出口11Bに第1の開口31が接続される第1の三方継ぎ手3と、第1の三方継ぎ手3の第2及び第3の開口32,33にそれぞれ接続される気流供給管41及び送出管42と、これらの部材を収納するハウジング5と、(iii)漏斗部材1に備え付けられる振動モーター2と、(iv)気流供給管41から分岐して、第1の三方継ぎ手3を介さずに送出管42に合流するように接続するバイパス気流管8と、(v)圧縮気体が、気流供給管41、第1の三方継ぎ手3の内部、及び送出管42を通る塗布用の流路4Aを通って送られるとともに、バイパス気流管8をも通って送られる塗布状態(オン状態)と、圧縮気体がバイパス気流管8のみを通って送られる待機状態(オフ状態)との間で、切り換えを行うためのオンオフ機構6と、を備えており、漏斗部材(1)及び第1の三方継ぎ手(3)は、ハウジング(5)に対して揺動及び振れ動きが可能に取り付けられている。
【0043】
上記のように、バイパス気流管8と、オンオフ機構6とを備えることにより、かさ密度及び流動性が低く、吸湿性の大きい粉末をスムーズに送り出し、均一な塗布を実現することができる。特に、オンオフ機構6は、後述のように、バイパス気流管8に、待機時だけでなく塗布時にも、圧縮気体を流し続けるようにすることで、本願の医療用接着剤の粉末のような、かさ密度及び流動性が低く、吸湿性の大きい粉末について、均一に所定量だけ塗布することを可能にする。
【0044】
また、図示の実施形態において、バイパス気流管8と送出管42との接続部が、第2の三方継ぎ手81により形成され、バイパス気流管8と気流供給管41との接続部が、第3の三方継ぎ手82により形成されている。そして、第2の三方継ぎ手81には、バイパス気流管8が接続する分岐部83よりも上流の領域に、くの字状の折れ曲がり部91が備えられ、この中で気流の方向が、斜め上方へと向かう方向から、斜め下方へと向かう方向へと切り換えられる。このような折れ曲がり部91を備えることにより、接着剤粉末の送り出しの速度をさらに均一にすることができる。
【0045】
図1~5に示す実施形態の粉体スプレー装置(粉体スプレーガン)10は、バイパス気流管8及びオンオフ機構6に関連した構造を除くならば、特許文献4の粉体スプレー装置と同様である。具体的な実施形態において、第2の三方継ぎ手81及び第3の三方継ぎ手82は、後述する第1の三方継ぎ手3の材料と同様の材料で形成される、比較的剛直な部材である。これに対し、塗布用気流管4(気流供給管41及び送出管42を含む)及びバイパス気流管8は、三方継ぎ手3,81~82の領域、及び、オンオフ機構6内の領域を除き、内径及び外径が均一で同一の材料からなるフレキシブルなチューブにより形成される。なお、図示の実施形態において、第2の三方継ぎ手81の本体部81Aが、折れ曲がり部81Cにて折れ曲がる(方向転換する)角度は、100~130°である。また、折れ曲がり部81Cよりも下流側にて、第2の三方継ぎ手81の本体部81Aに、分岐部81Bが接続する角度も、これと同様である。一方、第3の三方継ぎ手82は、トの字状であり、直線状に延びる本体部82Aと、バイパス気流管8の上流端部が接続する分岐部82Bとがなす角度は、30~60°である。
【0046】
図示の実施形態において、オンオフ機構6は、トリガーレバー61と、バルブハウジング部材62と、コイルバネ63とからなる。トリガーレバー61は、指載せ部61Cと、これからハウジング5内へと延びる棒状部分61Dとからなり、この棒状部分61Dの先端部61Bに、コイルバネ63の先端部が係止されている。すなわち、指載せ部61Cに人差し指などをあてがってトリガーレバー61を、コイルバネ63の力に逆らって押し込むことができる。そして、引くのを止めると、コイルバネ63により初期位置に復帰する。なお、コイルバネ63は、ハウジング5内の板状リブ52により形成された筒状部分に収納されている。一方、トリガーレバー61の棒状部分61Dは、バルブハウジング部材62の筒状の本体部62Cに、滑り動き可能に差し込まれる。他方、バルブハウジング部材62には、本体部62Cに交差するように、気流供給管41の途中に挿入される第1の通気管部62Aと、バイパス気流管8の途中に挿入される第2の通気管部62Bとが備えられる。すなわち、気流供給管41の上流部41Aが、第1の通気管部62Aの下部に接続されており、気流供給管41の下流部41Bが、第1の通気管部62Aの上部に接続されている。また、バイパス気流管8の上流部8Aが、第2の通気管部62Bの下部に接続されており、バイパス気流管8の下流部8Bが、第2の通気管部62Bの上部に接続されている。
【0047】
トリガーレバー61の棒状部分61Dには、先端側に、第1のバルブ孔61Aが設けられるとともに、根元側(指載せ部61Cの側)に、第2のバルブ孔61Bが設けられている。第1のバルブ孔61Aは、棒状部分61Dの軸方向に沿った寸法L1が、気流供給管41及び送出管42の内径D1とほぼ同一か、または、これより少し大きいものであり、気流が送られる方向から見た場合、例えば円形である。これに対し、第2のバルブ孔64についての、棒状部分61Dの軸方向に沿った寸法L2は、バイパス気流管8の内径D2に、トリガーレバー61のストローク(押し下げ及び復帰の際の移動距離)L3を加えた寸法とほぼ同一か、または、これより少し大きいものとなっている。
【0048】
図2に示すように、トリガーレバー61を引き込む前の初期位置では、トリガーレバー61の第1のバルブ孔61Aは、第1の通気管部62Aと第2の通気管部62Bとの間に位置し、圧縮空気の供給に寄与しない。第1の通気管部62A内の流路は閉じられている。一方、この初期位置にて、第2のバルブ孔62Bの先端部が、第2の通気管部62B内の流路に一致する。このようにして、初期位置にて、圧縮空気は、バイパス気流管8の流路にのみ送られる。
【0049】
次に、図3に示すように、トリガーレバー61を引き込める限界まで引き込むと、バルブ孔61Aが、バルブハウジング部材62の第1の通気管部62A内の流路に一致するので、気流供給管41を通って圧縮空気が送られる。この塗布位置にて、第2のバルブ孔64の根元端部が、第2の通気管部62B内の流路に一致する。このようにして、初期位置にて、圧縮空気は、第1の三方継ぎ手3の内部を通る塗布用の流路65のみならず、バイパス気流管8中にも送られる。他方、トリガーレバー61の引き始めの時点で、棒状部分61Dの先端部に備えられたスイッチ用突起61Eが、スイッチ素子21のヒンジレバー21Aを振れ動かして、ボタン21Bを押し込む。すると、電池ボックス55中の電池22(具体例においてボタン電池)からの電力が、電力配線23を通じて振動モーター2に供給され振動が行われる。このように、圧縮空気を供給するより前に、振動を開始することにより、粉体をスムーズに送り出すことができる。
【0050】
気流供給管41の上流部41Aは、第3の三方継ぎ手82の直管状の本体部82Aを介して気流供給管41の根元部41Cに接続しており、この根元部41Cは、円盤状の除菌フィルターユニット47(例えばガラス繊維ろ紙からなるHEPAフィルター)の排出口に接続している。除菌フィルターユニット47の導入口には、圧縮空気供給管43が接続している。バイパス気流管8の上流部8Aは、第3の三方継ぎ手82の分岐部82Bに接続している。圧縮空気供給管43は、ポリエチレンなどからなるフレキシブルチューブであり、例えば、施術室の壁面に設けられた壁面接続口46及びこれに取り付けられた圧力調整器49を通じて、壁面内の圧縮空気配管に接続される。ハウジング5は、左側ハウジング部5Aと、右側ハウジング部(不図示)とからなり、これらが、別個に製作され、漏斗部材1、三方継ぎ手3、塗布時の気流の経路をなす塗布用気流管4(気流供給管41及び送出管42を含む)、バイパス気流管8、ノズル45、トリガーレバー61などを挟み込むようにして、左右間の組み付け用のツメ53などにより互いに組み付けられる。
【0051】
ノズル45は、剛直な樹脂または金属などからなる直線状に延びる細い管であって、図示の例では、先端に、シリコーンゴムなどからなるノズル先端管部44が取り付けられている。ノズル45は、着脱可能であって、使用時に、粉体スプレー装置10の本体に取り付けることができ、具体的な使用の場面に応じて、長さの異なるものを用いることもできる。内視鏡手術のためには、15~40cm、例えば30cmの長さを有し、外径が3~7mm、例えば約5mmのものを用いることができる。
【0052】
生体組織の接着やシーラントなどとして用いるためには、ノズル45の先端部が高湿環境に曝されることとなる。しかし、本実施形態の粉体スプレー装置(粉体スプレーガン)10は、待機時にも、バイパス気流管8を通じて圧縮空気を送り出す構造であるため、ノズル45内部を含む粉体送出経路中での目詰まりの発生が防止されている。
【0053】
特に、本実施形態の粉体スプレー装置10では、塗布時及び待機時にわたって、常時、バイパス気流管8を通じて圧縮空気を送り出す構造となっている。但し、塗布時における圧縮空気の流量は、塗布用の流路65中で、バイパス気流管8中よりも大きい。好ましくは、塗布時にバイパス気流管8を通る流量は、塗布用の流路65を通る流量の20~70%、または30~60%、例えば40~60%である。図示の具体例において、バイパス気流管8をなすフレキシブル管の内径と、気流供給管41及び送出管42をなすフレキシブル管4の内径とは同一である。ところが、バイパス気流管8を通る流路では、第3の三方継ぎ手82内で折れ曲がることなどの原因により、流量が塗布用の流路65より少なくなったものと考えられる。塗布時にバイパス気流管8にも圧縮空気が流れることにより、そうでない場合に比べて、送出される混合接着剤粉末の量が減少することとなる。しかし、1秒間に約0.1~0.2g噴霧される条件で実験したところ、塗布時にバイパス気流管8を閉塞する場合に比べて、噴霧量の低下は約30%にとどまった。一方、塗布時にバイパス気流管8を閉塞する場合、トリガーレバー61を引くのを止めて塗布用の流路65を閉塞した際、短い時間であるものの引き続き混合接着剤粉末がノズルから送り出された。ところが、本実施形態の粉体スプレー装置10であると、トリガーレバー61の引き込みを停止した瞬間に、粉末の送り出しが停止した。これは、バイパス気流管8からの圧力により、第2の三方継ぎ手81内の圧力が、送出管42内の圧力より高くなるためと考えられる。このように、本実施形態の粉体スプレー装置10は、かさ密度及び流動性が低く吸湿性の高い粉末を所定量だけ塗布することを可能にする。特には、手術の際に、片手でトリガーレバー61を引くだけで所定時間だけ所定量の塗布を、容易に実現できる。
【0054】
以上に説明した部分を除き、本実施形態の粉体スプレー装置(粉体スプレーガン)10は、特許文献4に記載のものと同一である。共通の構造について、下記に簡単に説明する。
【0055】
図面に示す実施例における粉体スプレー装置10は、ピストル型の粉体スプレーガンであり、圧縮空気配管46からの圧縮空気を利用して、上端部に逆さに取り付けられたバイアル7内の粉体を、前方端のノズル45から吹き付けるものである。バイアル7は、容量が、例えば3~50mL、一具体例で7mLであり、瓶口71の内径が、例えば3~25mm、一具体例で6mmである。バイアル7、ノズル45及び圧縮空気供給管43を除き、ほぼ全体がハウジング5内に収納されている。ハウジング5の後方部分が取っ手部54であり、この中に、電池ボックス55が収納されている。取っ手部54の上部には、圧縮空気の供給及び遮断を行うためのオンオフ機構6が設けられ、ピストルの引き金(トリガー)に相当するトリガーレバー61を引き込んでいる間だけ、気流が供給される。また、トリガーレバー61を軽く引いた際に、スイッチ素子21Aを通じて振動モーター2が作動を開始する。振動モーター2は、バイアル7が上部に取り付けられる漏斗部材1のポケット部12内に、ズレ動き不能に固定されて収納されており、漏斗部材1とこの下端に接続される三方継ぎ手3は、ハウジング5から遊びをもって保持されることで、揺動及び振れ動きが可能となっている。そのため、振動モーター2が作動すると、漏斗部材1とこの上下に取り付けられたバイアル7及び三方継ぎ手3が一体になって、ハウジング5に対して振動を行う。三方継ぎ手3は、一筋の気流管路36をなす部分と、漏斗部材1の下端に接続するソケット部34とからなり、この気流管路36は、オンオフ機構6からノズル45へと至る塗布用気流管4の途中(気流供給管41の下流部と送出管42との間)に挿入されている。このようにして、三方継ぎ手3の中心部にて気流中に分散された粉体がノズル45から送り出される。なお、気流供給管41の下流部41B及び送出管42には、振動に対する追従性に優れたウレタンゴムを用いることができるが、シリコーン管やPVC管(特には非フタル酸系の軟質塩化ビニル樹脂管)を用いても構わない。なお、気流供給管41の上流部41A及びバイパス供給管8も、同一または同様のフレキシブルなチューブで形成することができる。また、振動モーター2は、具体例において、携帯電話のマナーモード用に用いられているものであって、径が10mm、厚みが3.3~3.5mmであり、3Vでの駆動電流が50~70mAである。
【0056】
漏斗部材1は、全体がテーパー状である漏斗本体部11と、この外面から外側へと突き出るポケット部12と、漏斗本体部11の上端部11Dの外面から延びる取り付け部13とからなる。この取り付け部13は、バイアル7を振動により外れないように堅固に固定することを可能にするとともに、ハウジング5の上端部の取り付け用開口部51により、漏斗部材1を、比較的大きな遊びを持って保持するようにするためものである。図示の具体例において、漏斗部材1の取り付け部13は、漏斗本体部11の上端より少し下方の箇所から延びるフランジ部14と、フランジ部14の外周端よりわずかに内側から上方へと延びる円筒部15とからなる。漏斗本体部11の上端部11Dと、フランジ部14と、円筒部15とにより形成される円形リング状の溝17内にバイアル7の瓶口部71が差し込まれて固定される。また、バイアル7が抜け出るのを防止すべく、円筒部15の内周面に、複数の掛け止め突起16が設けられている。
【0057】
一方、ハウジング5の上端部の取り付け用開口部51は、ハウジング5の上端部から上方へと突き出す円筒部51Cと、この上下の端部から延びる上下の内向きフランジ51A及び51Bからなる。漏斗部材1の可動範囲の制限は、上下方向において、漏斗部材1のフランジ部14が、上下の内向きフランジ51A及び51Bに突き当てられることにより行われる。一方、水平方向における可動範囲の制限は、フランジ部14が、取り付け用開口部51の円筒部51Cに突き当てられるとともに、漏斗部材1の円筒部15が上方の内向きフランジ51Aに突き当てられることにより行われる。図示の例で、さらに、下方の内向きフランジ51Bが、フランジ部14の下面の段部18に突き当てられることによっても可動範囲を制限可能である。一具体例において、漏斗部材1の可動範囲は、上下方向に3mm、上端部及び下端部にて水平方向に2mmである。
【0058】
漏斗部材1は、ポリプロピレン樹脂の射出成形により一体に形成される。この際、漏斗本体部11の内面に対応する金型面には、鏡面加工を施して置く。このようにして、漏斗本体部11の内面のJIS 表面粗さRaを約10(nm)とした。なお、図示の例で、漏斗本体部11の内面のテーパー角(中心軸11Cに対する角度)は、約10度である。
【0059】
漏斗部材1のポケット部12は、コイン型の振動モーター2をぴったりと押し込めるように設けられている。ここで、振動モーター2の回転軸2Aは、その延長線が漏斗本体部11の中心軸11Cに交わるように配置されて収納される。また、図示の例で、この交点の位置は、漏斗本体部11の高さ方向寸法の等分点に一致する。ポケット部12は、漏斗本体部11の周方向へと一方へと開口する開口部12Aをなし、この開口部12Aから振動モーター2が押し込まれる。この押し込みの後、例えば、振動モーター2の周面から突き出ることで開口部12Aから突き出る端子部2Bを、強力な粘着テープにより、漏斗本体部11の外面またはポケット部12の外面に貼り付けるようにして固定することができる。例えば、片面粘着テープを、端子部2Bを覆うようにして貼り付けることができる。このようにして、粘着テープを用いて、振動モーター2の位置ズレ及び抜け落ちをさらに防止することができる。一方、振動モーター2と、ポケット部12の内面との間に強力な両面粘着テープを配置することもできる。例えば、ポケット部12における開口部12Aから遠い側の部分、すなわちポケット底部12Bは、振動モーター2の回転軸2Aの方向から見て、半円形に設けることができ、振動モーター2を押し込む際に、ポケット底部12Bの周壁面と、コイン型の振動モーター2の周面との間に、強力な両面粘着テープが挟み込まれるようにすることができる。
【0060】
図示の例で、漏斗本体部11の下端部11Aは、三方継ぎ手3の中央部から上方へと分岐するソケット部34に、ポケット部12の下端がソケット部34の上端にほぼ接するまで押し込まれて堅固に接続されている。一方、漏斗本体部11の下端排出口11Bは、ソケット部34の底に設けられた第1の開口31に、内周面同士が連続するようにして接続されている。特に、この第1の開口31は、三方継ぎ手3内の気流管路36の管壁の開口をなすように設けられる。そのため、漏斗本体部11の下端排出口11Bが、気流管路36にほぼ接する位置にまで延びている。他方、図示の例において、合流部37の底面、すなわち、第1の開口31に対向する箇所には、気流管路36の管壁に、湾入部35が設けられている。
【0061】
図1~3中に示すように、三方継ぎ手3の外面がハウジング5内面から突き出る板状リブ52に突き当てられることにより、三方継ぎ手3と漏斗部材1の下部とに対する保持及び可動範囲の制限が行われる。図示の例で、三方継ぎ手3のソケット部34の上端部が、水平板状リブの開口52A内に位置して、この開口52Aの縁に突き当て可能となっている。また、三方継ぎ手3の下端の突起部が、他の水平板状リブの開口52B内に位置して、開口52Bの縁に突き当て可能となっている。なお、初期位置において、三方継ぎ手3の下端は、水平板状リブの開口52Bの周辺部に載せられて支持されている。
【0062】
以下に、一実施形態における医療用2成分反応型接着剤について説明する。
【0063】
1.粉末状アルデヒド化デキストラン(第1反応剤;AD)の調製
分子量70,000のデキストラン(名糖産業株式会社Meito Sangyo Co.,Ltd.、「デキストラン70」)400gをイオン交換水1600mlに溶解させ、50gの過ヨウ素酸ナトリウム(分子量213.89)をイオン交換水800mlに溶解させた後添加し、50℃水浴中で3時間撹拌させながら反応させた。そして、反応後の溶液を透析した後、0.45μmフィルターでろ過後、乾燥させた。さらに、小型粉砕器(ワンダークラッシュミルD3V-10、大阪ケミカル株式会社)を用いて粉砕処理を行い、粉末状のアルデヒド化デキストラン(2.5/20)を得た。なお、(2.5/20)は、アルデヒド化デキストランを構成する(過ヨウ素酸ナトリウム/デキストラン70)の仕込み比率を示す。得られたアルデヒド化デキストランにおける、糖残基量(モル)あたりのアルデヒド基の導入量は0.28であった。なお、アルデヒド基の導入量の測定は酸化還元滴定法により行った。具体的には、0.05mol/lのヨウ素水溶液20ml、10mg/mlのアルデヒド化デキストラン水溶液10ml及び1mol/lの水酸化ナトリウム水溶液20mlを、100mlマイヤーフラスコに入れ25℃で15分間撹拌した。そして、6v/v%硫酸水溶液15mlを添加し、0.1mol/lのチオ硫酸ナトリウム水溶液にて滴定した。終点は反応系が無色透明化した時点とし、指示薬はでんぷん水溶液とした。
【0064】
粉末の粒度を、実体顕微鏡を用いて評価したところ、図12の写真に示すように平均粒径が90μmであった。さらに、電子顕微鏡により表面性状を観察した結果、多孔体をなしていた。平均アスペクト比(短軸に対する長軸の比)は約1.6であった。
【0065】
2.無水コハク酸処理ポリリジン(第2反応剤;SAPL)の調製
25重量%のε-ポリリジン水溶液(分子量4,000、チッソ株式会社)400gに無水コハク酸(ナカライテスク)10gを加え、50℃で1時間反応させた。反応後の溶液を0.45μmフィルターでろ過後、乾燥させた。さらに、小型粉砕器(ワンダークラッシュミルD3V-10、大阪ケミカル株式会社)を用いて粉砕処理を行い、粉末状の無水コハク酸処理ポリリジンを得た。
【0066】
得られた無水コハク酸処理ポリリジンについて、遊離アミノ基(ペプチド結合の形成に関与しない側鎖及び末端のアミノ基)の残存率を求めたところ、89.5%であった。この測定のためには、水に溶かした後、ニンヒドリン溶液およびpH5.5の酢酸・酢酸ナトリウム緩衝液を加え、3分間沸騰水浴中で加熱した後、急冷し試料溶液とした。そして、日本薬局方 紫外可視吸光度測定法により試験を行い、波長570nmにおける吸光度を測定し、試料溶液中のアミノ基含量を求めた。
【0067】
得られた粉末状の無水コハク酸処理ポリリジンは、上記のアルデヒド化デキストランの場合と同様に実体顕微鏡を用いて評価したところ、図13に示すように、図12の写真とほぼ同様のランダムな形状の多孔体であった。また、平均粒径が80μmであった。平均アスペクト比は約1.7であった。
【0068】
3.混合接着剤粉末
上記の粉末状のアルデヒド化デキストランと粉末状の無水コハク酸処理ポリリジンを4/1の重量比率で混合した混合接着剤粉末(平均粒径が80μm)は、アルデヒド基とアミノ基とのモル比がほぼ1になる。図14に、得られた混合接着剤粉末を示す。混合接着剤粉末のかさ密度は、420mg/cmであった。なお、この混合接着剤粉末は、アルミキャップ付きの7mLガラス製バイアル瓶に3gずつ充填してから密栓して保存することにより、含水率を1.0%以下、特には0.5~1.0%に保持した。本願において、この混合接着剤粉末を、適宜「ライデックス(登録商標)」とも呼ぶこととする。なお、特に記載しない限り、上記の反応仕込み比及び混合比のものを用いた。すなわち、ε-ポリリジン100gに無水コハク酸10gを反応させた水コハク酸処理ポリリジンを用いるとともに、デキストランをアルデヒド化する際の過ヨウ素酸ナトリウム/デキストラン70の仕込み比率を2.5/20とし、アルデヒド化デキストラン(AD)と無水コハク酸処理ポリリジン(SAPL)とを4/1の重量比率で混合した混合接着剤粉末(「ライデックス粉末2.5/20」)を用いた。
【0069】
4.混合接着剤粉末の塗布
図1~5に示された粉体スプレー装置(粉体スプレーガン)10を用いて、上記混合接着剤粉末の塗布を行った。この際、粉体スプレー装置本体10Aにノズル45を接続し、根元側の除菌フィルター47に圧縮空気供給管43(送気用チューブ)を取り付け圧力調整器49と接続した。さらには、第1反応剤及び第2反応剤を予め混合した混合接着剤粉末が充填されたバイアル瓶7を、逆さにして粉体スプレー装置本体10Aに接続した。圧力調整された圧縮空気は、除菌フィルター47を通過し、バイアル瓶7に接続された計量部(第1の三方継ぎ手3の内部)に供給される。この計量部中にて、混合接着剤粉末は、圧縮空気により、さらに混合される。そして、ノズル45を通じて送り出される。このような粉体スプレー装置10を用いて、混合接着剤粉末を、体液、血液等により濡れた箇所に直接吹き付けて塗布した。次に、生理食塩液を吸い込んだシリンジの先端に「ミストアダプター」(前田産業株式会社:噴霧用ノズル)を使用し、混合接着剤粉末が均一透明にゲル化するまで生理食塩液を均等に散布し2分間静置した。
【0070】
なお、壁面接続口における圧縮空気の圧力は、4気圧(約400kPa)であった。圧力調整器49によって、圧縮空気供給管43に供給される圧力を調整することにより、噴霧速度を調整することができる。噴霧実験を繰り返した結果、1秒あたり、0.1~0.8g(100~800mg)とするのが、所定の量だけ均一に塗布する上で、最適と考えられた。
【0071】
5.噴霧速度
図6~7には、噴霧速度を、0.25g/秒(図6)、及び、0.75g/秒(図7)の2段階に調整して、噴霧時間と、噴霧総量(噴霧開始からの累積噴霧量)との関係について調べた結果を図5~6にそれぞれ示す。図6~7中、四角(正立した大きめの正方形)は、振動モーター2の駆動電流を最大の70mAとした場合であり、ひし形(45度倒れた小さめの正方形)は、最小の50mAとした場合を示す。この結果、振動モーター2の駆動電流を大きめにしさえすれば、噴霧速度の高低にかかわらず噴霧状態も安定しており、所定の時間内に定量的に噴霧できることを確認した。
【0072】
6.一回の塗布操作の塗布量、及び、ウサギ肺実験的気漏モデルを用いたシーラント性能試験
日本白色種雄性ウサギの左肺後葉の最大部で切除後、デクランプし、吸気圧を30cmHOまで上昇させ、肺切断面に生理食塩液を滴下して気漏があることを確認した。気漏発生個所が4箇所に満たない場合は、切断面に対して垂直方向にディスポーザブル注射針18Gを穿刺し、気漏箇所が合計で4箇所以上となるように気漏モデルを作製した。上記と同様に気漏があることを確認した。
【0073】
次に、図1~5に示された粉体スプレー装置(粉体スプレーガン)10を用い、一回の塗布操作により塗布する塗布量(接着予定領域の面積あたりの粉末接着剤の量)を変化させて、上記の4箇所以上の気漏箇所を含む径30mmの円形領域に塗布した。この円形領域は、上記の気漏モデルに対応する領域であり、体液により濡れている領域である。混合接着剤粉末を塗布した直後に、混合接着剤粉末によりちょうど吸い込まれるだけの量の生理食塩水をまんべんなく滴下した。図8は、一連の写真を、表に埋め込んだ形としており、これら一連の写真は、塗布量ごとに、このような塗布の直後の塗布面、及び、生理食塩水の滴下から2分後(ゲル化後)の塗布面の様子を、それぞれ示す。図8中に示すように、25mg/cm未満の塗布量では、塗布面にムラがあり、完全には混合接着剤粉末に覆われていない部分があった。そして、生理食塩水を噴霧して2分静置した後にも、含水ゲルの形成が不十分である部分があるようであった。25~50mg/cmの塗布量では、塗布面の全体が白く均一に混合接着剤粉末で覆われており、形成されたゲルも非常に均一であると考えられた。しかし、50mg/cmを超える塗布量では、塗布面の全体が混合接着剤粉末により白く覆われているものの、ところどころに、波うち状の凹凸が見られた。そして、生理食塩水を滴下した後、ゲル化が充分に進行せずに混合接着剤粉末のままで残っている部分が観察された。
【0074】
一方、図8中には、針孔閉塞試験において面積当たりの各塗布量でシールした場合に、空気漏れを防止できる最大圧力(バースト値)を計測した結果を示す。この測定のためには、気漏モデルを形成したウサギの左肺後葉に人工呼吸器を取り付けた。そして、2分後もしくは5分後に初期圧として約90mmHg(約27cmHO)の負荷をかけ、針穴からの漏出がないことを確認した後、150ml/hrの速度で負荷をかけ、針穴から漏出した時の耐圧接着強度(mmHg)を求めた。その結果、図7中に示すように、1回の吹き付け量が45mg/cmである場合に最も高く、25mg/cmでも、ある程度高い値となった。これに対し、1回の吹き付け量が11mg/cmの場合、及び77mg/cmの場合には、顕著に低くなった。
【0075】
これらの結果から、50mg/cmを超えて大量に塗布する場合には、一度に塗布するのではなく、吹き付けによる塗布操作を繰り返すべきことが知られた。すなわち、2回以上繰り返し塗布操作を行うことで、重層化したゲルを作製すべきことが知られた。また、動物評価において、ウサギ肺実験的気漏モデルのような、比較的厳しい空気漏れでは、100mg/cm以上の塗布量が必要な場合がある。そこで、塗布操作の完了後の単位面積当たりの塗布量としては、50~100mg/cmを基準とし、適宜に、例えば150mg/cmまで、増大させることとした。
【0076】
7.無水コハク酸処理ポリリジンの残存アミノ基率による接着性能及び分解能
上記「2.無水コハク酸処理ポリリジン(第2反応剤)の調製」と同様に調製したが、25重量%のε-ポリリジン水溶液(分子量4,000、チッソ株式会社)400gに無水コハク酸(ナカライテスク)を6~14g(6g、8g、10g、12g、14gの5水準)加えて反応を行うことで、残存アミノ基率に関して5水準の、粉末状の無水コハク酸処理ポリリジンを得た。この結果、残存アミノ基率が75.8~89.5%の無水コハク酸処理ポリリジンが得られた。また、同様に、25重量%のε-ポリリジン水溶液(分子量4,000、チッソ株式会社)400gに無水コハク酸(ナカライテスク)を60g以下の範囲で加えることで、残存アミノ基率をさらに大きく変化させた粉末状の無水コハク酸処理ポリリジンを得た。なお、残存アミノ基率の定量は、次のようにして行った。まず、粉末状の無水コハク酸処理ポリリジンを乾燥し、水に溶かした。この後、ニンヒドリン溶液およびpH5.5の酢酸・酢酸ナトリウム緩衝液を加え、3分間沸騰水浴中で加熱した後、急冷し試料溶液とした。そして、日本薬局方 紫外可視吸光度測定法により試験を行い、波長570nmにおける吸光度を測定し、試料溶液中のアミノ基含量を求めた。
【0077】
上記の粉末状のアルデヒド化デキストランと5水準の粉末状の無水コハク酸処理ポリリジンを4/1の重量比率で混合した。この混合接着剤粉末を、充填機を用いて3gずつ7mLのバイアル瓶に充填した。
【0078】
<in vitro剥離試験による接着強度>
エタノール拭きしたコラーゲンケーシングの上に、内径15mmのステンレス製治具を置き、その中にライデックスの混合接着剤粉末50mgを入れ、均一な厚さになるようマイクロスパーテルで拡げた後、150μlの生理食塩液を加えてゲル化させた。そして、2分後、引張試験機(テンシロン万能試験機RTC-1210A、株式会社オリエンテック)によって10mm/minの速度でステンレス製治具を持ち上げ、コラーゲンケーシングから剥離時の負荷荷重を接着強度とした。この結果を、表1及び図9、並びに表2に示す。
【0079】
表1及び図9に示すように、残存アミノ基率が約90%の場合に、接着力が最も大きいと考えられた。しかし、残存アミノ基率を70~86%の範囲で変化させても、接着力には顕著な差が見られなかった。残存アミノ基率を70%未満、または約90%よりも大きい値とした場合、良好な含水ゲルが形成されず、計測可能な接着力は得られなかった。
【0080】
<in vitroゲル分解試験>
透析膜(透析膜36/32、型番:UC36-32-500、エーディア株式会社)を5cm程度の長方形に切断し、水道水で洗浄し、水分を除去した後、透析膜の片面をエタノール拭きする。これをエタノール拭きしたコラーゲンケーシングと称する。このコラーゲンケーシングの上に、内径15mmのステンレス製治具を置き、その中にライデックスの混合接着剤粉末40mgを入れ、均一な厚さになるようマイクロスパーテルで拡げた後、120μlの生理食塩液を加えてゲル化させた。50mlの生理食塩液を入れた密閉容器にゲル化したライデックスを浸漬させ、37℃に設定した超小型恒温振とう培養機バイオシェ-カ-(型式V・BR-36、タイテック株式会社)に設置し100rpmで振とうさせた。6時間後、及び22時間後、ゲル化したライデックスの消失割合を目視確認した。表1及び図9、並びに表2に結果を示す。
【0081】
残存アミノ基率の異なる無水コハク酸処理ポリリジンを含有するライデックスの分解は、6時間後いずれも約50%消失し、22時間後いずれも約90%消失しており、残存アミノ基の比率を70~約90%の範囲で変えても分解能はほぼ同等であることが確認された。しかし、この範囲を外れると、上述のように含水ゲルの形成自体が不十分であった。
【0082】
【表1】
【0083】
【表2】
【0084】
8.アルデヒド基導入量による接着性能及び分解能
上記「粉末状アルデヒド化デキストラン(第1反応剤)の調製」と同様に調製したが、デキストラン400gに添加して反応させる、過ヨウ素酸ナトリウムの量を60g(仕込み比3.0/20)及び80g(仕込み比4.0/20)に変化させた。このようにして、無水グルコース・ユニットあたり、それぞれ、0.30個及び0.39個のアルデヒド基が導入された。上記と同様にアルデヒド化デキストランと粉末状の無水コハク酸処理ポリリジンを4/1の重量比率で混合して混合接着剤粉末を得た。
【0085】
上記「7.」と同様にin vitroゲル分解試験を行ったところ、表3に結果を示すように、アルデヒド基導入量0.27個(「ライデックス粉末2.5/20」)では2~3日で消失し、アルデヒド基導入量0.30個(「ライデックス粉末3.0/20」)は7~11日で消失した。アルデヒド基導入量0.39個(「ライデックス粉末4.0/20」)はライデックス粉末(3.0/20)が消失した時点で大きな変化は認められず4週間以上要するものと推察された。この結果から知られるように、過ヨウ素酸ナトリウムの配合量を減らすことにより、アルデヒド基の導入量を低減化できることから、無水コハク酸処理ポリリジンとのシッフ結合による架橋が減少し、ゲルの消失を早めることができ、ゲルの分解時間を任意に調節することができる。
【0086】
なお、アルデヒド基導入量を変化させても、上記「6.」と同様に測定した接着強度、及び、針穴閉塞試験による耐圧測定値に、有意な差は見られなかった。
【0087】
図11には、針孔閉塞試験に用いた装置の概略図を示す。まず、エタノール拭きしたコラーゲンケーシングの上に、内径15mmのステンレス製治具を置き、18G針を用いて中央に穴を開けた。ついで、針穴部分にライデックスの混合接着剤粉末50mgを入れ、均一な厚さになるようスパーテルで拡げた後、150μlの生理食塩液を加えてゲル化させた。そして、2分後もしくは5分後に初期圧として約90mmHgの負荷をかけ、針穴からの漏出がないことを確認した後、150ml/hrの速度で負荷をかけ、針穴から漏出した時の耐圧接着強度(mmHg)を求めた。
【0088】
【表3】
【0089】
9.ゲルの厚みがゲル消失時間に与える影響
7週齢の雄ラットの腹部皮膚を胸骨剣状突起付近から正中線に沿って2~3cm切開し、肝臓を露出させ、内側右葉の表面にステンレス製治具(内径15mm)を置き、その内側に前記の「ライデックス粉末2.5/20」またはライデックス粉末「ライデックス粉末4/20」を均一に噴霧し、次いで生理食塩液を噴霧しゲル化させた。肝臓を元の位置に戻し、切開部を縫合し、術野を清拭した。ライデックス粉末の塗布量は、38mg、76mg、114mgの3水準で、塗布厚みはそれぞれ0.5mm、1mm、1.5mmとした。塗布厚みは、治具面積及びライデックス粉末のかさ密度(420mg/cm)から算出した。
【0090】
2週間後、4週間後、6週間後及び8週間後に開胸後、肝臓を摘出し、分解の様子を肉眼的検査により観察した。表4に結果を示す。
【0091】
ライデックス粉末(2.5/20)は、適用後2週目に、中間厚(1mm)塗布群でごくわずかにゲルの残存が認められ、薄い(0.5mm)塗布群ではゲルの残存は認めらず、適用後4週目及び6週目には、厚い(1.5mm)塗布群でもゲルの残存は認められなかったことから、速やかに消失していることが確認された。一方、ライデックス粉末(4.0/20)は、適用後8週目でも中間塗布群でゲルの残存が認められ、薄い塗布群ではごくわずかにゲルの残存が認められた。以上のことから、分解期間に対するゲルの厚みによる影響は、大きくないことが知られた。
【0092】
【表4】
【0093】
10.肺実質切断面全体についての閉塞試験
(実施例1)
日本白色種雄性ウサギの左肺後葉をその最大部で切断して肺実質切断面を形成した。そして、「ライデックス粉末2.5/20」を、上記粉体スプレー装置を用いて肺実質切断面に噴霧してから、生理食塩液を噴霧してゲル化させた。続いて、ウサギの左肺後葉に接続した人工呼吸器の吸気圧を20cmHOから50cmHOまで圧力を段階的に上昇させ、気漏の有無を確認した。ある吸気圧条件下で気漏が認められた場合は、それ以上の加圧は行わず、その吸気圧を気漏発生吸気圧とした。結果を表5に示す。
【0094】
(実施例2)
「ライデックス粉末4.0/20」を、上記粉体スプレー装置を用いて肺実質切断面に噴霧してから、生理食塩液を噴霧してゲル化させた。続いて、前記と同様の操作を施し、気漏の有無を確認した。結果を表5に示す。
【0095】
(比較例1)
フィブリン糊はA・B混合液を肺実質切断面全体に塗布した。続いて、前記と同様の操作を施し、気漏の有無を確認した。結果を表5に示す。
【0096】
(比較例2)
フィブリン糊とPGA製シート状縫合補強材との併用については、フィブリン糊A液を切断面全体に塗布した後、5mm角程度に切断したPGA製シート状縫合補強材を気漏部分に貼付した。次いで、切断面全体にフィブリン糊A液とB液の混合液を塗布し、PGA製シート状縫合補強材になじませ、2分間程度放置した。続いて、前記と同様の操作を施し、気漏の有無を確認した。結果を表5に示す。
【0097】
シーラント性能を確認した結果、実施例1(ライデックス粉末(2.5/20))の1例のみ吸気圧50cmHOにおいても気漏が認められなかった。その他の全例では気漏が認められ、気漏発生吸気圧はそれぞれ実施例1(ライデックス粉末(2.5/20))で30~40cmHO(平均値:40cmHO)、実施例2(ライデックス粉末(4.0/20))で30~40cmHO(平均値:36cmHO)、比較例1(フィブリン糊)で20~40cmHO(平均値:30cmHO)、比較例2(PGA製シート状縫合補強材及びフィブリン糊併用)で30~50cmHO(平均値:38cmHO)であった。気漏発生吸気圧についてKruskal-Wallis検定を行った結果、実施例1、実施例2及び比較例2はほぼ同等であった。実施例1及び実施例2のライデックス粉末は、比較例2のPGA製シート状縫合補強材及びフィブリン糊併用と同等以上のシーラント性能を示した。
【0098】
【表5】
【0099】
11.混合割合による接着力の変化
アルデヒド化デキストラン(AD)と、コハク酸処理ポリリジンと(SAPL)の混合割合を変えることで、アルデヒド基とアミノ基とのモル比を5/1~5/5に変化させて、上記「7.」と同様の方法で剥離試験による接着力測定を行った。その結果を下記の表6に示す。下記の表6から明らかなように、反応モル比が1/1の場合に、接着力も最も高くなることが確認できた。また、反応モル比が多少ずれても、接着力の低下はそれほど大きくなかった。
【0100】
<表6>
AD/SAPL 接着力(gf)
5/1 58.88
5/2 81.20
5/3 100.15
5/4 102.70
5/5 110.12
【産業上の利用可能性】
【0101】
本発明の医療用接着剤は、生体接着剤、組織充填剤、止血剤、血管塞栓剤、動脈瘤の封止剤、シーラント、癒着防止材、及びドラッグデリバリーシステム(DDS)用担体として、好適に使用されうる。また、本発明の粉体スプレー装置は、本発明の医療用接着剤、または、その他のかさ密度及び流動性が低く、吸湿性の大きい粉末について、均一に所定量だけ塗布することを可能にする。
【符号の説明】
【0102】
1…漏斗(ろうと)部材; 10…粉体スプレーガン;
10A…スプレーガン本体;
11…漏斗本体部; 11A…下端部; 11B…下端の排出口;
11C…漏斗本体部の中心軸; 11D…漏斗本体部の上端部;
12…ポケット部; 12A…開口部; 12B…ポケット底部;
13…取り付け部; 14…フランジ部; 15…円筒部;
16…掛け止め突起; 17…リング状の溝; 18…段部;
2…振動モーター; 2A…振動モーターの回転軸; 21…スイッチ素子;
21A…ヒンジレバー; 21B…ボタン; 22…電池;
3…第1の三方継ぎ手; 31…粉体受入開口; 32…気流受入開口;
33…気流送出開口; 34…ソケット部; 35…湾入部;
36…気流管路; 36A…上流部; 36B…下流部;
37…合流部; 38A,38B…上流部及び下流部の中心軸;
4…塗布用気流管; 4A…塗布用の流路; 41…気流供給管;
42…送出管; 41A…上流部; 41B…下流部; 41C…根元部;
43…圧縮空気供給管; 44…ノズル先端管部; 45…ノズル;
46…壁面接続口; 47…除菌フィルター; 49…圧力調整器;
5…ハウジング; 5A…左側ハウジング部; 51…取り付け用開口部;
51A,51B…内向きフランジ; 51C…円筒部; 52…板状リブ;
52A,52B…水平板状リブの開口; 53…左右間の組み付け用のツメ;
54…取っ手部; 55…電池ボックス; 6…オンオフ機構;
61…トリガーレバー; 61A…第1のバルブ孔;
61B…第2のバルブ孔; 61C…指載せ部; 61D…棒状部分;
61E…スイッチ用突起; 62…バルブハウジング部材;
62A…第1の通気管部; 62B…第2の通気管部; 62C…本体部;
63…コイルバネ; 7…バイアル(粉体容器); 71…瓶口部
8…バイパス気流管; 8A…上流部; 8B…下流部;
81…第2の三方継ぎ手; 81A…本体部; 81B…分岐部;
81C…折れ曲がり部; 82…第3の三方継ぎ手; 82A…本体部;
82B…分岐部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14