(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-01-17
(45)【発行日】2023-01-25
(54)【発明の名称】ガラクトオリゴ糖、又はガラクトオリゴ糖及びコラーゲントリペプチドを含む免疫機能改善及び皮膚状態改善用の機能性食品組成物及び化粧料組成物
(51)【国際特許分類】
A23L 33/125 20160101AFI20230118BHJP
A61K 31/702 20060101ALI20230118BHJP
A61K 38/06 20060101ALI20230118BHJP
A61P 17/16 20060101ALI20230118BHJP
A61P 29/00 20060101ALI20230118BHJP
A23L 33/18 20160101ALI20230118BHJP
C07H 3/06 20060101ALN20230118BHJP
【FI】
A23L33/125
A61K31/702
A61K38/06
A61P17/16
A61P29/00
A23L33/18 ZNA
C07H3/06
(21)【出願番号】P 2021536289
(86)(22)【出願日】2020-05-07
(86)【国際出願番号】 KR2020006054
(87)【国際公開番号】W WO2021221221
(87)【国際公開日】2021-11-04
【審査請求日】2021-06-23
(31)【優先権主張番号】10-2020-0052861
(32)【優先日】2020-04-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 2020年4月6日に、Molecules,2020,25(7),1679(掲載アドレス:https://doi.org/10.3390/molecules25071679)にて公開
(73)【特許権者】
【識別番号】517429259
【氏名又は名称】ネオ クレマー カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000800
【氏名又は名称】特許業務法人創成国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】キム,ジェファン
(72)【発明者】
【氏名】ソ,ヒョンジュ
(72)【発明者】
【氏名】ホン,キベ
(72)【発明者】
【氏名】シン,ジュンチョル
(72)【発明者】
【氏名】キム,ナリ
(72)【発明者】
【氏名】チョ,キョンエ
【審査官】山村 周平
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2012/002322(WO,A1)
【文献】国際公開第2012/141256(WO,A1)
【文献】国際公開第2003/101464(WO,A1)
【文献】中国特許出願公開第107467677(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第108244659(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第110897060(CN,A)
【文献】SOICHI TANABE et al.,Oral administration of a galactooligosaccharide preparation inhibits development of atopic dermatitis-like skin lesions in NC/Nga mice,INTERNATIONAL JOURNAL OF MOLECULAR MEDICINE,2010年,Vol.25,p.331-336
【文献】Vasiliki Lolou et al.,Functional Role of Probiotics and Prebiotics on Skin Health and Disease,Fermentation,2019年,Vol.5, No.41,p.1-17
【文献】Hee-Bong Pyun et al.,Effects of Collagen Tripeptide Supplement on Photoaging and Epidermal Skin Barrier in UVB-exposed Hairless Mice,Prev Nutr Food Sci,2012年,Vol.17,p.245-253
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A23L 2/00-35/00
A61K 6/00-51/12
A61P 1/00-43/00
A61Q 1/00-19/10
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガラクトオリゴ糖(galacto-oligosaccharide,GOS)及びコラーゲントリペプチド(collagen tripeptide,CTP)からなり、GOSの重量:CTPの重量が1:3である混合物を有効成分として含む、
紫外線性光老化による皮膚しわを抑制するための食品組成物。
【請求項2】
ガラクトオリゴ糖(galacto-oligosaccharide,GOS)及びコラーゲントリペプチド(collagen tripeptide,CTP)からなり、GOSの重量:CTPの重量が1:3である混合物を有効成分として含む
紫外線性光老化による炎症を抑制するための食品組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本特許出願は2020年4月29日に大韓民国特許庁に提出された大韓民国特許出願第10-2020-0052861号に対して優先権を主張し、この特許出願の開示事項は、本明細書に参照によって組み込まれる。
【0002】
本発明は、ガラクトオリゴ糖(galacto-oligosaccharide,GOS)、又はガラクトオリゴ糖及びコラーゲントリペプチド(collagen tripeptide,CTP)を含む免疫機能改善及び皮膚状態改善用の食品組成物及び化粧料組成物に関する。
【背景技術】
【0003】
皮膚の老化は、皮膚を構成する細胞の回復能力の低下に起因する。皮膚老化の原因は、加齢による内因性老化と、持続的な紫外線により発生する外因性老化(例えば、光老化)とに分類される。内因性老化では、細胞数が減少することで、細胞外基質タンパク質線維の合成量と弾性力が減少する。また、内因性老化では、皮膚細胞内の水分損失によって角質層の構造が変わることで、小ジワの発生、皮下脂肪層の減少、皮膚保湿の減少などの症状を引き起こす。一方、外因性老化では、紫外線の刺激によって発生する活性酸素種(ROS)が炎症性サイトカインの発生を促進させることで、太くて深いシワの形成、皮膚の乾燥、弾力性の低下などの症状を引き起こす。内因性及び外因性老化の両方で生成される活性酸素種を適宜に除去しないと、皮膚の回復能力を妨げて皮膚老化を加速させることが知られている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明者は、ガラクトオリゴ糖と、ガラクトオリゴ糖及びコラーゲントリペプチドの混合物が皮膚に及ぼす様々な効果とその作用効果を確認するために、鋭意研究努力をした。その結果、ガラクトオリゴ糖が免疫機能改善及び抗炎症又は抗酸化の効果を有すること、および、ガラクトオリゴ糖及びコラーゲントリペプチド混合物が免疫機能改善、抗炎症、抗酸化、シワ又は弾力改善、皮膚保湿、光老化抑制の効果を有することを究明し、本発明を完成するに至った。
【0005】
しがたって、本発明の目的は、ガラクトオリゴ糖を有効成分として含む、炎症改善用又は免疫機能改善用の食品組成物を提供することである。
【0006】
本発明の他の目的は、ガラクトオリゴ糖及びコラーゲントリペプチドを有効成分として含む、食品組成物を提供することである。
【0007】
本発明のさらに他の目的は、ガラクトオリゴ糖、又はガラクトオリゴ糖及びコラーゲントリペプチドを有効成分として含む、皮膚状態改善用の化粧料組成物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一態様によれば、本発明は、ガラクトオリゴ糖を有効成分として含む、免疫機能改善及び炎症改善用の食品組成物を提供する。
【0009】
本発明において、「ガラクトオリゴ糖」は、ガラクトオリゴ糖を含む種々の糖の混合物である。前記ガラクトオリゴ糖は、単糖類であるグルコース及びガラクトース;二糖類であるガラクトビオース、ラクトース及びアロラクトース;三糖類であるガラクトシルラクトース;及びその他四糖類以上のガラクトオリゴ糖を含むことができる。前記ガラクトビオースは、4-ベータ-ガラクトビオース、6-ベータ-ガラクトビオースを含むことができる。前記アロラクトースは、6-ガラクトシル-グルコースを含むことができる。前記ベータガラクトシルは、3'-ガラクトシルラクトース、4'-ガラクトシルラクトース、6'-ガラクトシルラクトース、4-ベータ-ジ-ガラクトシルラクトース、4-ベータ-ツリー-ガラクトシルラクトース、4-ベータ-テトラ-ガラクトシルラクトースなどを含むことができる。
【0010】
具体的に、本発明におけるガラクトオリゴ糖は、二糖類であるガラクトビオースとアロラクトース;及びガラクトシルラクトースを含む三糖類以上のガラクトオリゴ糖を含む。
【0011】
前記ガラクトオリゴ糖は、無水物基準で二糖類が17~25%、三糖類が26~36%、四糖類以上が16~30%として構成されてもよく、単糖類であるグルコース及びガラクトースと二糖類であるラクトースを除くガラクトオリゴ糖の含量は無水物基準で70~80%であってよい。
【0012】
前記ガラクトオリゴ糖は、難消化性プレバイオティクスなので、消化を促し、腸内有益菌の成長を助けることで、免疫力を高めることが知られている。
【0013】
本発明において、「コラーゲントリペプチド(CTP)」は、3個のアミノ酸からなるコラーゲンの最小単位である。CTPは、従来のコラーゲンとは違い、腸管から容易に吸収される。CTPは、傷と骨折の治癒、靭帯強化などの効果を有する生物活性物質であり、補助食品として用いられている。
【0014】
本発明において、「抗炎症」又は「炎症改善(緩和)」効果とは、炎症を抑えることを意味する。炎症は有害な刺激に対する生体組織の防御反応の一つであって、組織の変質、循環障害と滲出、組織増殖の3つを併発する複雑な病変のことをいう。より具体的に、炎症は先天性免疫の一部であり、炎症反応は損傷した組織又は傷部位から侵入する微生物に対する敵対的な環境を作る、非特異的な防御作用である。炎症反応では、初期段階の免疫反応を担っている白血球が寄り集まってサイトカインを発現させるため、細胞内のサイトカインの発現量が炎症反応の活性化の指標となる。前記炎症反応の活性化に関連するサイトカインとしては、IL-6、IL-12、TNF-alphaなどがある。前記サイトカインは、炎症反応と関連した免疫指標でもある。
【0015】
前記IL-6(interleukin-6)は、炎症反応及び糖尿、動脈硬化、sLE、多発性骨髄腫、前立腺癌、ベーチェット病、リウマチ性関節炎などの多数の疾病に対して自己免疫反応を促進するサイトカインである。前記IL-12は、樹状細胞、マクロファージ、好中球などの細胞に抗原刺激に対する反応として自然生成されるインターロイキンであり、広範囲な伝染性疾患において作用するサイトカインである。前記TNF-alpha(tumor necrosis factor-alpah)は、全身性炎症反応に作用するサイトカインであり、急性炎症反応をはじめとする炎症反応の活性化に中枢的な役割を果たす。
【0016】
紫外線による刺激が繰り返されると活性酸素種(ROS)が発生し、前記炎症性サイトカインの生成が促進されて様々な信号伝達体系を活性化させることによって炎症反応が増加することが知られている。
【0017】
本発明の実施例において、本発明のガラクトオリゴ糖は、IL-6、IL-12、TNF-alphaのような炎症性サイトカインの分泌を抑制する効果が高いので、免疫機能の改善及び炎症改善用の食品組成物として有用に使用でき、過度な炎症反応又は過度な免疫反応により引き起こされる回復の遅延を予防し、傷又は疾病からの回復を促進する。前記免疫機能及び炎症の改善は、具体的に皮膚免疫機能及び皮膚炎症の改善を意味するが、これに限定されない。
【0018】
前記炎症と関連した皮膚疾患の例としては、アトピー皮膚炎、接触性皮膚炎、脂漏性皮膚炎、乾癬、放射線・化学物質・火傷などにより触発される紅斑性疾患、酸火傷、紫外線による火傷、水泡性皮膚病、苔蘚、アレルギーによるかゆみ症状、ニキビ跡、尋常性天疱瘡、多形滲出性紅斑、結節紅斑、亀頭炎、陰門炎、円形脱毛症のような炎症性の毛髪損失、皮膚T-細胞リンパ腫などがあるが、これに限定されない。前記炎症と関連した皮膚疾患の症状としては、紅斑、丘疹、水泡、過度な角質の形成、かゆみ症状などがあるが、これに限定されない。
【0019】
前記炎症と関連した疾患は、皮膚疾患に限定されず、例えば、口内炎、血管炎、心内膜炎、骨関節炎、リウマチ性関節炎、口内炎、又は炎症性腸疾患などを含む。前記炎症性腸疾患は、具体的に、潰瘍性大膓炎(ulcerative colitis)、クローン病(crohn's disease)、腸型ベーチェット(intestinal behcet's disease)、不確定大膓炎(indeterminate colitis)、細菌性腸炎、ウイルス性腸炎、アメーバ性腸炎、出血性直腸潰瘍、虚血性大膓炎及び結核性腸炎からなる群から選ばれるものであるが、これに限定されない。より具体的には、前記炎症性腸疾患は、潰瘍性大膓炎又はクローン病である。
【0020】
また、本発明は、ガラクトオリゴ糖及びコラーゲントリペプチドを有効成分として含む、皮膚状態改善用の食品組成物を提供する。
【0021】
前記皮膚状態の改善は、皮膚保湿、皮膚鎮静、皮膚刺激緩和、皮膚シワ改善、紫外線による皮膚損傷抑制、光老化抑制、皮膚弾力改善、又は皮膚炎症改善を意味する。
【0022】
したがって、本発明の一態様によれば、本発明は、ガラクトオリゴ糖及びコラーゲントリペプチドを有効成分として含む、皮膚保湿用の食品組成物を提供する。
【0023】
皮膚の保湿は、皮膚の最外層である表皮の角質層に存在する水分と、真皮に存在するコラーゲンによって保持される。角質層の水分含量は、表皮で生成分泌される脂質混合体である皮脂膜と、角質層内に存在する水溶性成分である自然保湿因子(NMF:natural moisturizing factor)によって決定される。健康な表皮の角質層は、15~20%の水分を含んでおり、水分が10%以下に落ちると、皮膚が乾燥し、ツヤと弾力がなくなり、シワが増加してしまう。
【0024】
本発明において、コラーゲンは、膠原線維とも呼ばれ、真皮の85~90%を占める細胞外基質の主要構成成分である。コラーゲンは、線維芽細胞の作用によりプロコラーゲンの形態で生成されるタンパク質である。新しく合成されたプロコラーゲンは、酵素反応を経て皮膚細胞の細胞外空間に分泌されて三重螺旋構造のマイクロフィブリル(microfibril)を形成し、マイクロフィブリルは、ロイシンに富んだ小型プロテオグリカン(leucine-rich small proteoglycans)と結合してフィブリルを形成する。このような過程を膠原線維形成(fibrillogenesis)という。結果的に、こうして作られたフィブリルが集まってコラーゲン線維を形成し、皮膚に結合力と弾力性を持たせる。皮膚コラーゲンの大半を占めるのは、第1型コラーゲンである。このコラーゲンの主な機能としては、皮膚の機械的堅固性を高め、結合組織の抵抗力と結合力を高め、細胞接着の支持、細胞分割と分化誘導させることなどである。
【0025】
本発明の実施例において、本発明のガラクトオリゴ糖及びコラーゲントリペプチドの混合物には、摂取時に真皮内のコラーゲンの含量を向上させる効能がある。本発明の具体的な実施例で示すように、紫外線の照射前と後の水分保有量の変化を確認した結果、GOS/CTPの重量比が3:1~1:3である全ての混合処理群において、NOR群に比べてコラーゲン含量がより向上したことを確認し、GOS単独処理群とCTP単独処理群と比較して、コラーゲン含量の面でシナジー効果があることを確認した。
【0026】
本発明の他の実施例において、本発明のガラクトオリゴ糖及びコラーゲントリペプチドの混合物には、摂取時に水分保有量を高く保持させ、経皮水分蒸散量を減少させる効能がある。ここで、経皮水分蒸散量(transepidermal water loss,TEWL)数値は、皮膚から発散される水分量であり、この数値が高いほど皮膚の保湿機能が低下していることを意味し、皮膚固有の障壁機能が損なわれていることを示す。
【0027】
本発明の実施例において、前記ガラクトオリゴ糖及びコラーゲントリペプチドは、1~10:1~10の重量比で含まれる。前記重量比は、より具体的には、1~10:1~10、1:1~10、1~10:1、1~5:1~5、1:1~5、1~5:1、1~3:1~3、1:1~3、1~3:1、1:10、1:5、1:3、1:2、1:1、10:1、5:1、3:1、又は2:1であってよいが、これに限定されない。本発明の組成物中の有効成分として含まれるガラクトオリゴ糖及びコラーゲントリペプチドの重量比は、本発明の機能性食品組成物の用途に関係なく同一に適用される。
【0028】
本発明の具体的な実施例に示すように、紫外線照射前と後の水分保有量の変化を確認した結果、GOS/CTP 1:1混合処理群で水分保有量の変化が有意に増加し、経皮水分蒸散量は全ての試料投与群で有意に減少し、GOS/CTP 3:1~1:3混合処理群の全てにおいて、GOS単独処理群及びCTP単独処理群と比較して、経皮水分蒸散量の減少に対してシナジー効果を示した。
【0029】
皮膚に存在するヒアルロン酸は線維芽細胞及び角質形成細胞で形成される。ヒアルロン酸はムコ多糖質を構成成分とする多糖類を多く含むので、水分を相当量含有できるという特徴を有する。このヒアルロン酸は2~4.5日の周期を有し、自身の1,000倍の重さである水分と結合して皮膚障壁機能を調節し、細胞外基質を水和させ、組織内の水分の恒常性を保持させる。また、ヒアルロン酸は、真皮の他に表皮の細胞間隔、特に有棘層にも存在するが、角質層と顆粒層には存在しない。
【0030】
ヒアルロン酸加水分解酵素(Hyaluronidase,HYAL)は、皮膚の保湿因子であるヒアルロン酸(hyaluronan)の加水分解酵素である。
【0031】
本発明の具体的な実施例において、ヒアルロン酸の分解酵素であるHYALの遺伝子発現量を測定した結果、紫外線に露出させた対照群で有意に増加しており、全ての組成物投与群で減少する傾向を示した。特に、GOS/CTPを3:1、1:1、1:3の割合で含む混合組成物の投与した群のHYAL発現量は、GOS、CTPを単独で投与した群と比べて、減少の面においてシナジー効果を示す。
【0032】
したがって、本発明のガラクトオリゴ糖及びコラーゲントリペプチドの混合物は、皮膚保湿効果に非常に優れているところ、皮膚保湿用食品組成物として有用に用いることができる。
【0033】
本発明の他の一態様によれば、本発明は、ガラクトオリゴ糖及びコラーゲントリペプチドを有効成分として含む、皮膚鎮静用又は皮膚刺激緩和用の食品組成物を提供する。
【0034】
本発明において、皮膚鎮静とは、皮膚に冷感を与えること、皮膚の紅斑/発赤を抑える効果を意味する。
【0035】
本発明において、皮膚刺激緩和とは、皮膚に加えられる外部的及び内部的刺激に対する皮膚の反応を減少させることであり、例えば、紫外線により皮膚に加えられる刺激に対する炎症(紅斑/発赤)を減少させる効果を意味する。
【0036】
本発明の実施例において、本発明のガラクトオリゴ糖及びコラーゲントリペプチドの投与は、紫外線刺激に対して、炎症と関連した免疫指標としてのサイトカインであるIL-6、IL-12、及びTNF-alphaの発現を著しく減少させる効果を示しており、紅斑指数を評価した結果、GOS/CTP 1:3混合処理群で特に優れた紅斑減少効果を示した。
【0037】
したがって、本発明のガラクトオリゴ糖及びコラーゲントリペプチドは、皮膚鎮静用又は皮膚刺激緩和用の食品組成物の原料として有用に用いることができる。
【0038】
本発明の他の一態様によれば、本発明は、ガラクトオリゴ糖及びコラーゲントリペプチドを有効成分として含む、皮膚シワ改善用の食品組成物を提供する。
【0039】
皮膚が紫外線に露出されると、皮膚組織内に物理的生化学的な性状の変化が誘発され、上皮細胞の増殖、過色素沈着、過度な活性酸素種の形成によるDNA損傷、各種酵素とタンパク質の異常活性化などをもたらす。皮膚組織内の変化は、外部物質の皮膚吸収及び水分蒸発を調節する正常の皮膚障壁機能を損傷させ、皮膚厚を増加させ、真皮層の構造を損傷させてしまい、シワの発生につながる。
【0040】
本発明において、「シワ改善」効果とは、皮膚にシワができることを抑制又は阻害し、既に生成されたシワを緩和させることをいう。
【0041】
本発明の具体的な実施例において、本発明のガラクトオリゴ糖及びコラーゲントリペプチドの混合物の投与は、シワ様相の指標(シワの面積及びシワの最大深さ)が対象群と比べて有意に減少する傾向を確認しており、組成物のうちGOS/CTP1:3~1:1混合処理群においてシワの最大深さをシナジー的に減少させ、GOS/CTP 3:1~1:3混合処理群の全てにおいてシワの面積をシナジー的に減少させた。しがたって、本発明の組成物は、皮膚シワ改善用の食品組成物として有用に用いることができる。
【0042】
本発明の他の一態様によれば、本発明はガラクトオリゴ糖及びコラーゲントリペプチドを有効成分として含む、紫外線による皮膚損傷抑制用の食品組成物を提供する。
【0043】
皮膚が紫外線に露出されると、皮膚組織内に損傷が誘発されることは前述した通りである。長期間UVに露出されると、皮膚組織では表皮の厚さが2~3倍増加し、表皮層では有棘細胞の増加、角質細胞の多形性などが観察される。光老化時に、皮膚真皮層を保護するために角質層の形成が増加して皮膚が厚くなるため、紫外線などにより皮膚の厚さが厚くなったということは、その分、皮膚損傷が大きいことを意味する。
【0044】
本発明の実施例に示すように、本発明のガラクトオリゴ糖及びコラーゲントリペプチドを含む組成物の投与は、紫外線の照射による表皮厚の有意な増加を減少させ、特に、GOS/CTPを1:1、3:1混合処理群の表皮の厚さが、GOS、CTP単独処理群に比べて有意に減少し、シナジー効果があることが確認された。したがって、本発明の組成物は、紫外線に対する皮膚損傷を效果的に抑え、特に、1:1~3:1の重量比の範囲でシナジー効果を示す。
【0045】
本発明の他の一態様によれば、本発明は、ガラクトオリゴ糖及びコラーゲントリペプチドを有効成分として含む、光老化抑制用の食品組成物を提供する。
【0046】
太陽光線の紫外線による刺激により活性酸素種(ROS)が発生し、前記炎症性サイトカインの生成が促進され、様々な信号伝達体系が活性化される。また、AP-1を活性化してTGF-β及びTGF-αを抑えることによって、真皮の主要成分である第1型コラーゲン(collagen type 1、COL1a1)と第3型コラーゲン(collagen type 3)の合成を減少させる、AP-1及びNF-κβの活性化は、MMPs、特にMMP-1、MMP-3、MMP-9を活性化させて真皮内の結締組織の分解を促進する。
【0047】
皮膚真皮の主構成物質であるコラーゲン(collagen)は、皮膚組織の弾力と強度を維持する上で主要な要素であり、紫外線による皮膚保護指標でもある。全コラーゲンのうち、第1型コラーゲンは80~85%を占めている。
【0048】
また、MMP(Matrix metallogroteinase)は、コラーゲン分解酵素であり、MMPの活性が増加すればコラーゲンの分解が促進される。紫外線は、いくつかのMMPの発現を増加させて前記コラーゲンの分解を増加させ、真皮層の構造を損傷させて、結局、皮膚のシワ(老化)を誘発する。
【0049】
MMPがコラーゲンを分解する代表的な酵素であるのに対し、TIMP(tissue inhibitor of metalloproteinases)は、前記MMPの活性を阻害する抑制剤である。
【0050】
本発明の実施例において、真皮内のコラーゲン含量を確認した結果、全試料群でコラーゲン含量の増加を確認した。CTP単独処理群に比べて、GOS単独処理群、又はGOS/CTP混合処理群の1:3~3:1の全ての重量比においてコラーゲン含量がシナジー的に有意な増加を示し、特に、COG/CTP 1:3混合処理群は最も優れた効果を示した。
【0051】
また、本発明の他の実施例において、真皮内のコラーゲン分解酵素MMPsのmRNA発現量を測定した結果、本発明のGOS及びCTPを1:1及び3:1の比で含む組成物を投与したとき、MMP2/3/9/13遺伝子の発現量が有意な減少を示した。
【0052】
また、本発明のさらに他の実施例において、真皮内のコラーゲン分解酵素の抑制剤であるTIMP1及びTIMP2遺伝子の発現量を測定した結果、本発明のGOS及びCTPを1:3~3:1の比で含む組成物を投与したとき、TIMP1及びTIMP2の発現量が増加した。
【0053】
したがって、本発明の前記光老化抑制用の組成物は、GOS/CTPの重量比が1:3~3:1、より具体的には、GOS/CTPの重量比が1:1~3:1の範囲で光老化抑制においてシナジー効果があることを確認した。
【0054】
本発明の他の一態様によれば、本発明は、ガラクトオリゴ糖及びコラーゲントリペプチドを有効成分として含む、皮膚弾力改善用の食品組成物を提供する。
【0055】
光老化或いは内因性老化により、真皮層の網構造を有しているエラスチンタンパク質の減少も、皮膚弾力の低下と密接な関連があることが知られている。
【0056】
エラスチンは、真皮層の3~4%程度を占めており、皮膚の弾力に影響を与える弾性線維である。エラスチン遺伝子の発現によってトロポエラスチンというタンパク質を合成することになり、このようなトロポエラスチンは異なるトロポエラスチンと結合して、最終的にエラスチンタンパク質を生成する。
【0057】
本発明の実施例において、真皮内のエラスチン線維の含量を確認した結果、本発明のガラクトオリゴ糖及びコラーゲントリペプチドを含む組成物は、全ての重量比範囲で対照群に比べて、エラスチン線維の含量を増加させる。特に、GOS/CTP1:3及び3:1混合処理群は、GOS単独処理群、CTP単独処理群に比べて、エラスチン線維増加の効果の面でシナジー効果を有する。
【0058】
また、皮膚の弾力性は、真皮内のコラーゲンの含量とも関連があることが知られている。全試料群でコラーゲン含量の増加を確認した。CTP単独処理群に比べて、GOS単独処理群、又はGOS/CTP混合摂取群の1:3~3:1の全重量比において、コラーゲン含量がシナジー的に有意な増加を示し、特にGOS/CTP 1:3混合処理群で最も有意な効果を示した。
【0059】
したがって、本発明のガラクトオリゴ糖及びコラーゲントリペプチドの混合物は、皮膚弾力改善用の食品組成物として有用に用いることができる。具体的には、GOS/CTPの重量比が1:3~3:1である範囲、より具体的にはGOS/CTPの重量比が1:3又は3:1である範囲である。
【0060】
本発明の他の一態様によれば、本発明は、ガラクトオリゴ糖及びコラーゲントリペプチドを有効成分として含む、免疫機能及び炎症改善用の食品組成物を提供する。
【0061】
本発明のさらに他の一態様によれば、本発明は、ガラクトオリゴ糖及びコラーゲントリペプチドを有効成分として含む、免疫機能改善用又は腸内菌叢改善用の食品組成物を提供する。
【0062】
本発明において、前記炎症改善(炎症緩和又は抗炎症)効果は、ガラクトオリゴ糖を有効成分として含む免疫機能改善及び炎症改善用の食品組成物と関連して記述した通りである。
【0063】
本発明において、「免疫」という用語は、体内に存在する自己防御体系であり、人体が外部から侵入してくる各種物質又は生命体を自分自身に対する異質物として認識し、除去し代謝させる過程である。外部刺激による損傷や病原微生物の侵入から自身を防御することもあれば、炎症反応などのように自分自身の組織に損傷を与えることもある。免疫機能改善は、免疫機能の変化を調節して正常に回復させたり変化の幅を減らしたりする作用であり、過敏免疫反応の緩和又は免疫機能の増強に区分される。過敏免疫反応の緩和は、外部物質に対する不利な反応により起こるアレルギー反応、自己抗原又は変形された自己抗原に対する反応など、不利に増加した免疫反応を抑制させることを意味する。免疫機能改善は、生体の防御能力を増強させるための免疫機能の増進と、敏感になった免疫機能を調節して改善するための過度な免疫反応の緩和とに区分される。
【0064】
本発明の実施例において、前記免疫機能の改善は、過度な免疫反応の緩和である。前記過度な免疫反応の緩和は、臓器移植の拒否反応の緩和、アレルギーの緩和、炎症又は炎症性疾患の緩和、自己免疫疾患の緩和を含む。
【0065】
本発明において、前記臓器移植の拒否反応は、具体的には心臓、肺、心臓及び肺複合、肝臓、腎臓、膵臓、皮膚、腸(bowel)又は角膜の移植後に発生する急性又は慢性移植拒否反応、そして骨髄移植後の移植片対宿主病(graft-versus-host disease)であり、特にT細胞が媒介する移植後の拒否反応である。
【0066】
本発明において、前記アレルギー、自己免疫疾患、炎症又は炎症性疾患は、皮膚アレルギー、鼻アレルギー、気管支アレルギー、食物アレルギー、敗血症、動脈硬化、菌血病、全身炎症反応症候群、多臓器機能不全、骨粗鬆症、歯周炎、全身性紅斑性ループス、リウマチ性関節炎、骨関節炎、幼年型慢性関節炎、脊椎関節症、多発性硬化症、全身性硬化症、特発性炎症性筋障害、シェーグレン症候群(Sjogren's syndrome)、全身性脈管炎、類肉腫症(sarcoidosis)、自己免疫溶血性貧血、自己免疫性血小板減少症、甲状腺炎、真性糖尿病、免疫媒介性腎臓疾患、中枢神経系又は末梢神経系の脱髄鞘疾患、特発性脱髄鞘多発性神経炎、ギランバレー症候群(GuillainBarre syndrome)、慢性炎症性脱髄鞘多発性神経炎、肝胆汁性疾患、感染性又は自己免疫性慢性活性肝炎、原発性胆汁性肝硬変、肉芽腫性肝炎、硬化性胆管炎、サイトカインストーム(cytokine storm)、炎症性腸疾患(inflammatory bowel disease,IBD)、潰瘍性大膓炎(ulcerative colitis)、クローン病(Crohn's disease)、過敏性腸症候群(irritable bowel syndrome)、グルテン(gluten)敏感性腸疾患、ホイップル病(Whipple's disease)、自己免疫性又は免疫媒介性皮膚疾患、水泡性皮膚疾患多形紅斑、接触性皮膚炎、乾癬、アレルギー性疾患、喘息、アレルギー性鼻炎、アトピー性皮膚炎、掻痒症、食物過敏症、にきび、じんましん、肺の免疫疾患、好酸球性肺炎、特発性肺線維症、過敏性肺炎からなる群から選ばれるものでよいが、これに限定されない。
【0067】
本明細書において、「掻痒症」という用語は、任意のかゆみ症状であり、例えば、皮膚を掻いたり擦ったりしたい欲望を引き起こす不愉快な感覚を含む。このような掻痒症は、大きく、皮膚疾患による掻痒症と内科的疾患による掻痒症とに分けられる。皮膚疾患による掻痒症は、アトピー性皮膚炎、じんましん、乾癬、天疱瘡、皮膚乾燥症、慢性単純苔蘚(Lichen simplex chronicus)、結節性痒疹、苔蘚などによる掻痒症を含む。内科的疾患による掻痒症は、甲状腺疾患による掻痒症、糖尿などのホルモン異常による掻痒症、慢性腎不全及び血液透析による腎臓性掻痒症或いは尿毒性掻痒症、白血病やリンパ腫などによる腫瘍性掻痒症、胆汁鬱滞性掻痒症、移植片対宿主疾患による掻痒症、貧血及び代謝性疾患による掻痒症、後天性兔疫欠乏症による掻痒症などを含む。
【0068】
免疫反応の緩和と関連した機能性の確認のためのバイオマーカーとしては、免疫グロブリン(IgE)、プロスタグランジン、ロイコトリエン、ヒスタミン、NO、iNOS、COX2、サイトカイン(TNF、IL、IFN)などがある。
【0069】
本発明のガラクトオリゴ糖及びコラーゲントリペプチドを有効成分として含む食品組成物は、炎症性サイトカインであるIL-6、IL-12及びTNF-alphaの発現量を減少させる効果に優れている。前記IL-6は、皮膚のかゆみ症状と関連性があることが知られているサイトカインであり、本発明の組成物を掻痒症の予防、改善、又は治療に利用できることを示す。前記IL-12は、アトピー性皮膚炎、アレルギー性接触性皮膚炎などの様々な皮膚の炎症反応で増加することが知られている。前記TNF-alphaは、アトピー性皮膚炎、乾癬などの皮膚疾患の他、リウマチ性関節炎などでも炎症を誘発するサイトカインとして知られている。
【0070】
また、本発明の具体的な実施例において、前記GOS及びCTPの混合物は、GOSとCTPの重量比が1:3、1:1、3:1である全ての場合に、GOS、CTP単独処理群と比較して、炎症性サイトカインの分泌減少効果の面においてシナジー効果があることを示した。したがって、本発明の組成物は、免疫機能改善又は炎症改善(抗炎症)用の組成物として有用に用いることができる。
【0071】
また、本発明の実施例において、前記免疫機能の改善は、腸管内における免疫機能の改善を含む。前記腸管内における免疫機能の改善は、腸管内の有害菌を抑え、乳酸菌などの腸管内の有益菌を増加させることによって達成される。
【0072】
本発明の他の実施例において、前記腸内菌叢の改善は、腸内のフィルミクテス門(Firmicutes)菌/バクテロイデス門(Bacteroidetes)菌の比率を減少させることである。
【0073】
本発明の他の実施例において、前記腸内菌叢の改善は、腸内ビフィドバクテリウム属菌株を増加させることである。
【0074】
本発明の実施例で立証された通り、本発明のGOS、又はGOS及びCTPの混合物は、腸内のフィルミクテス門(Firmicutes)菌/バクテロイデス門(Bacteroidetes)菌の比率を減少させ、腸内乳酸菌のうちビフィドバクテリウム属菌株を増加させるので、腸内菌叢改善用の組成物として有用に用いることができる。
【0075】
本発明の実施例において、腸内菌叢改善は、腸内の短鎖脂肪酸の増加によって裏付けられる。腸内の微生物は、腸内で食物線維を発酵させて短鎖脂肪酸、主に酢酸、プロピオン酸、酪酸を生成し、短鎖脂肪酸は、腸粘膜から迅速に吸収されて大腸粘膜細胞の主要エネルギー源として用いられることが知られている(Thompson DB,2000)。
【0076】
本発明の実施例で立証された通り、本発明のGOS、又はGOS及びCTPの混合物は、腸内の総短鎖脂肪酸及び個別短鎖脂肪酸(酢酸、酪酸、吉草酸など)を増加させるので、腸内乳酸菌の増加及び腸内有害菌の減少により腸管内の免疫機能を改善し、腸内菌叢を改善させることが分かる。
【0077】
本発明において、前記食品組成物は、各種食品添加物又は健康機能性食品として用いることができる。前記食品は、粉末、顆粒、錠剤、カプセル又は飲料などの形態で製造されてよく、具体的に、飲料類、肉類、チョコレート、食品類、菓子類、ピザ、ラーメン、その他の麺類、ガム類、アイスクリーム類、アルコール飲料類、ビタミン複合剤又は健康補助食品類であってよい。
【0078】
前記食品組成物に含まれた本発明のGOS及びCTPの混合物の含量は、食品の形態、所望の用途などに応じて適宜調節することができ、特に制限はない。例えば、GOS及びCTPの含量は、全食品重量の0.001~30重量%又は0.01~20重量%であってよく、健康飲料組成物においては、100mlを基準として0.001~15g、0.02~10g、又は0.3~1gであってよいが、これに制限されない。
【0079】
本発明のGOS及びCTPの混合物を含む組成物が、食品組成物として製造される場合、有効成分として前記GOS及びCTPの混合物だけでなく、食品製造時に通常添加される成分を含むことができる。前記添加成分は、例えば、タンパク質、炭水化物、脂肪、栄養素、調味剤及び香味剤を含む。上述した炭水化物の例は、モノサッカライド、例えば、ブドウ糖、果糖など;ジサッカライド、例えば、マルトース、スクロース、オリゴ糖など;及びポリサッカライド、例えば、デキストリン、シクロデキストリンなどのような通常の糖、及びキシリトール、ソルビトール、エリトリトールなどの糖アルコールである。香味剤は、天然香味剤[ソーマチン、ステビア抽出物(例えば、レバウディオサイドA、グリチルリチンなど)]及び合成香味剤(サッカリン、アスパルテームなど)を用いることができる。例えば、本発明の食品組成物がドリンク剤として製造される場合には、本発明の前記抽出物の他に、クエン酸、液状果糖、砂糖、ブドウ糖、酢酸、リンゴ酸、果汁、杜沖抽出液、ナツメ抽出液、甘草抽出液などをさらに含むことができる。
【0080】
本発明の他の一態様によれば、本発明はi)ガラクトオリゴ糖、又はii)ガラクトオリゴ糖及びコラーゲントリペプチドを含む、皮膚状態改善用の化粧料組成物を提供する。
【0081】
本発明の有効成分である前記i)ガラクトオリゴ糖、又はii)ガラクトオリゴ糖及びコラーゲントリペプチドは、上述した実施例で立証された通り、炎症反応と関連したサイトカインの発現を著しく減少させ、経皮水分発散量、紅斑指数などを減少させる効果を示す。したがって、本発明の組成物は皮膚障壁機能を強化し、皮膚刺激から皮膚を保護し、皮膚刺激を緩和させる効果に優れている。
【0082】
本発明の前記皮膚状態の改善は、上述した組成物で定義した通りである。
【0083】
本発明の実施例において、本発明の組成物は、有効成分であるi)ガラクトオリゴ糖、又はii)ガラクトオリゴ糖及びコラーゲントリペプチドの他に、化粧料組成物に通常用いられる成分も含むことができ、例えば、抗酸化剤、安定化剤、溶解化剤、ビタミン、顔料及び香料のような通常の補助剤、そして担体を含むことができる。
【0084】
前記担体は、精製水、一価アルコール類(エタノール又はプロピルアルコール)、多価アルコール類(グリセロール、1,3-ブチレングリコール又はプロピレングリコール)、高級脂肪酸類(パルミチン酸又はリノレン酸)、油脂類(小麦胚芽油、椿油、ホホバ油、オリーブ油、スクアレン、ひまわり油、マカダミアナッツ油、アボカド油、大豆水添加レシチン又は脂肪酸グリセリド)などを用いることができるが、これに限定されない。また、必要によって、界面活性剤、殺菌剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、消炎剤及び清凉剤を添加することができる。
【0085】
界面活性剤は、ポリオキシエチレン、硬化蓖麻子油、ポリオキシエチレン、オレイルエーテル、モノオレイン酸ポリオキシエチレン、ポリオキシエチレン、グリセリンモノステアレート、モノステアリン酸ソルビタン、モノオレイン酸ポリオキシエチレン、ソルビタン、蔗糖脂肪酸エステル、モノラウリン酸ヘキサグリセリン、ポリオキシエチレン還元ラノリン、POE、グリセリンピログルタミン酸、イソステアリン酸、ジエステル、N-アセチルグルタミン及びイソステアリルエステルなどを用いることができる。
【0086】
殺菌剤は、ヒノキチオール、トリクロサン、クロルヘキシジングルコン酸塩、フェノキシエタノール、レゾルシン、イソプロピルメチルフェノール、アズレン(azulene)、サリシル酸及びジンクピリチオンなどを用いることができる。
【0087】
酸化防止剤は、ブチルヒドロキシアニソール、沒食子酸、沒食子酸プロピル及びエリソルビン酸の中でいかなるものも使用可能である。
【0088】
紫外線吸収剤は、ジヒドロキシベンゾフェノンなどのベンゾフェノン類、メラニン、パラアミノベンゾ酸エチル、パラジメチルアミノベンゾ酸2-エチルヘキシルエステル、シノキサート、パラメトキシ桂皮酸2-エチルヘキシルエステル、2-(2-ヒドロキシ-5-メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、ウロカニン酸及び金属酸化物微粒子などを用いることができる。
【0089】
消炎剤は、グリチルリチン酸ジカリウム又はアラントインなどを用いることができ、清凉剤としては、トウガラシチンキ又は1-メントールなどを用いることができる。
【0090】
本発明の他の実施例において、本発明の化粧料組成物は、溶液、外用軟膏、ゲル、クリーム、フォーム、栄養化粧水、柔軟化粧水、パック、柔軟水、乳液、メークアップベース、エッセンス、アンプル、ヘアアンプル、頭皮トリートメント、ヘアトニック、ヘアコンディショナー、ヘアトリートメント、ヘアローション、ヘアシャンプー、ヘアリンス、リンス兼用シャンプー、毛髪栄養化粧水、ヘアジェル、ヘアワックス、ヘアスプレー、染色剤、石鹸、液体洗浄料、入浴剤、サンスクリーンクリーム、サンオイル、懸濁液、乳濁液、ペースト、ゲル、ローション、パウダー、石鹸、界面活性剤-含有クレンジング、オイル、粉末ファンテーション、乳濁液ファンデーション、ワックスファンデーション、パッチ及びスプレーからなる群から選ばれる剤形として製造できるが、これに限定されない。
【0091】
また、本発明のさらなる他の一態様によれば、本発明は、上述した本発明のi)ガラクトオリゴ糖、又はii)ガラクトオリゴ糖及びコラーゲントリペプチドを含む組成物を対象体(subject)に投与する段階を含む、皮膚状態改善方法を提供する。
【0092】
前記皮膚状態改善とは、皮膚保湿、皮膚鎮静、皮膚刺激緩和、皮膚シワ改善、紫外線による皮膚損傷抑制、光老化抑制、皮膚弾力改善、又は抗炎症のことを意味するが、これに限定されない。
【0093】
本明細書において使われる、「投与」又は「投与する」という用語は、本発明の組成物の治療的有効量を呼吸器疾患のある対象体(個体)に直接投与することによって、対象体の体内に組成物の治療的有効量を形成させることをいう。
【0094】
また、本明細書において使われる、「対象体」という用語は、ヒト、マウス、ラット、ギニアピッグ、イヌ、ネコ、ウマ、ウシ、ブタ、サル、チンパンジー、ヒヒ及びアカゲザルなどを含む哺乳類である。最も具体的には、本発明の対象体はヒトである。
【0095】
本発明の前記皮膚状態の改善方法は、本発明の実施形態である様々な用途の食品組成物を投与する段階を含む方法であるので、重複する内容に対しては本明細書の過度な重複性を避けるために、その記載を省略する。
【0096】
本発明は、ガラクトオリゴ糖、又はガラクトオリゴ糖及びコラーゲントリペプチドを有効成分として含む、機能性食品組成物を提供する。本発明の組成物は、光老化抑制用、皮膚シワ又は皮膚弾力の改善用、抗酸化用、抗炎症用、又は皮膚保湿用の用途と関連して優れた効果を有するので、上述した用途の機能性食品組成物として有用に用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【0097】
【
図1A】本発明の実験群別の飼料摂取量を示す図である。
【
図1B】本発明の実験群別の飲水摂取量を示す図である。
【
図2A】本発明の実験群別の皮膚水分保有量を示す図である。
【
図2B】本発明の実験群別の皮膚水分保有量の変化量を示す図である。
【
図3A】本発明の実験群別の経皮水分発散量を示す図である。
【
図3B】本発明の実験群別の経皮水分蒸散量の変化量を示す図である。
【
図4A】本発明の実験群別の紅斑数値を示す図である。
【
図4B】本発明の実験群別の紅斑数値変化量を示す図である。
【
図5】本発明の実験群別のマウスの背部の皮膚を肉眼及び撮影して観察した図である。
【
図6A】本発明の実験群別の皮膚シワの合計面積を示す図である。
【
図6B】本発明の実験群別の皮膚シワの最大深さを示す図である。
【
図7】本発明の実験群別のマウス皮膚のH&E染色結果を示す図である。
【
図8】本発明の実験群別のマウス皮膚のH&E染色結果から表皮の厚さを測定して示す図である。
【
図9】本発明の実験群別のマウス皮膚のコラーゲンに対するIHC染色結果を示す図である。
【
図10】本発明の実験群別のマウス皮膚のコラーゲンに対するIHC染色結果からコラーゲン数値を測定して示す図である。
【
図11】本発明の実験群別のマウスの真皮内のエラスチン量を測定した結果である。
【
図12】本発明の実験群別の皮膚組織のMMP2のmRNA発現量を示す図である。
【
図13】本発明の実験群別の皮膚組織のMMP3のmRNA発現量を示す図である。
【
図14】本発明の実験群別の皮膚組織のMMP9のmRNA発現量を示す図である。
【
図15】本発明の実験群別の皮膚組織のMMP13のmRNA発現量を示す図である。
【
図16】本発明の実験群別に皮膚組織のTIMP2のmRNA発現量を示す図である。
【
図17】本発明の実験群別に皮膚組織のTIMP1のmRNA発現量を示す図である。
【
図18】本発明の実験群別に皮膚組織の第1型コラーゲン(COL1a1)のmRNA発現量を示す図である。
【
図19】本発明の実験群別に皮膚組織のヒアルロン酸分解酵素のmRNA発現量を示す図である。
【
図20】本発明の実験群別に皮膚組織内のIL-6の分泌量を示す図である。
【
図21】本発明の実験群別に皮膚組織内のIL-12の分泌量を示す図である
【
図22】本発明の実験群別に皮膚組織内のTNF-alphaの分泌量を示す図である
【
図23】本発明の実験群別の酢酸の量を示す図である。
【
図24】本発明の実験群別のプロピオン酸の量を示す図である。
【
図25】本発明の実験群別の酪酸の量を示す図である。
【
図26】本発明の実験群別の吉草酸の量を示す図である。
【
図27】本発明の実験群別の全短鎖脂肪酸の量を示す図である。
【
図28】本発明の各実験群別の皮膚及び腸健康機能性細菌叢の群集を分析するためにUPGMAクラスタリング分析を行った結果である。
【
図29】本発明の各実験群別の腸内細菌叢のうち、バクテロイデス(Bacteroidetes)の分布を示す図である。
【
図30】本発明の各実験群別の腸内細菌叢のうち、フィルミクテス(Firmicutes)の分布を示す図である。
【
図31】本発明の各実験群別の腸内細菌叢のうち、バクテロイデスとフィルミクテスとの間の比を示す図である。
【
図32】本発明の各実験群別の腸内細菌叢のうち、乳酸菌(lactic acid bacteria)の分布を示す図である。
【
図33】本発明の各実験群別の腸内細菌叢のうち、ビフィドバクテリウム(Bifidobacterium)の分布を示す図である。
【
図34】本発明の各実験群別の腸内細菌叢のうちラクトバチルス(Lactobacillus)の分布を示す図である。
【
図35】本発明の各実験群別の腸内細菌叢のうちラクトコッカス(Lactococcus)の分布を示す図である。
【
図36】本発明の各実験群別の腸内細菌叢のうちプロテオバクテリア(Proteobacteria)の分布を示す図である。
【
図37】本発明の各実験群別の腸内細菌叢のうちクリステンセネラセエ(Christensenellaceae)の分布を示す図である。
【
図38】本発明の各実験群別の腸内細菌叢のうち腸内細菌科(Enterobacteriaceae)の分布を示す図である。
【
図39】本発明の各実験群別の腸内細菌叢のうちルミノコッカス(Ruminococcus)の分布を示す図である。
【
図40】本発明の各実験群別の腸内細菌叢のうちラクノスピラセエ(Lachnospiraceae)の分布を示す図である。
【
図41】本発明の各実験群別の腸内細菌叢のうちアッケルマンシア(Akkemansia)の分布を示す図である。
【
図42】本発明の各実験群別の腸内細菌叢のうちバクテロイデス(Bacteroides)の分布を示す図である。
【
図43】本発明の各実験群別の腸内細菌叢のうちブラウティア(Blautia)の分布を示す図である。
【
図44】本発明の各実験群別の腸内細菌叢のうちクロストリジウム(Clostridium)の分布を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0098】
以下、実施例を通じて本発明をさらに詳細に説明する。これらの実施例は、単に本発明をより具体的に説明するためのものであって、本発明の範囲がこれらの実施例によって制限されないことは当業界で通常の知識を有する者にとって自明である。
【0099】
(実施例)
本明細書全体を通じて、特定物質の濃度を示すために使われる"%"は、別の言及がない限り、固体/固体は(重量/重量)%、固体/液体は(重量/体積)%、そして液体/液体は(体積/体積)%である。
【0100】
材料及び試薬
ガラクトオリゴ糖とコラーゲントリペプチドは、ネオクレマから提供されたものを使用した。提供されたガラクトオリゴ糖の構成は、グルコース0.5%、ガラクトース1.8%、ラクトース21.7%、ガラクトオリゴ糖成分のうち二糖類20.4%、ガラクトオリゴ糖成分のうち三糖類30.6%、ガラクトオリゴ糖成分のうち四糖類以上が25.0%として構成される。本発明においてGOSとCTPは、単独又は混合比別の混合物であり、蒸溜水に溶解して使用される。
【0101】
実験動物の処置
実験群は、総7群(1群当たり6匹)であり、正常対照群(normal,not UVB-induced)、陰性対照群(control、UVB照射)、GOS単独処理群(GOS 200mg/kg、UVB照射)及びCTP単独処理群(CTP 200mg/kg、UVB照射)、GOS/CTP 1:3混合処理群(GOS/CTP 50:150mg/kg、UVB照射)、GOS/CTP 1:1混合処理群(100:100mg/kg、UVB照射)、GOS/CTP 3:1混合処理群(GOS/CTP 150:50mg/kg、UVB照射)に分類した。
【0102】
実験動物は、SKH-1無毛マウス(SkH:HR-1)の雄をオリエントバイオから購入して飼育した。動物飼育室の環境温度は22±2℃、相対湿度は50±10%、明暗は12時間周期で調節し、飲水と飼料は自動給餌を利用した。
【0103】
本実験は、高麗大学校動物実験倫理委員会の承認後に、「実験動物管理及び利用に関する指針(Guide for the Care and Use of Laboratory Animals,NRC)」に従って管理しながら行った。
【0104】
一週間の適応期が終わった後、正常対照群(NOR)以外の6群に、週3回8週間、UVB-紫外線ランプ(T-8M;VILber Lourmat,France)付き紫外線照射器(BLX-254;VILber Lourmat,France)を用いて、背部の皮膚に紫外線を照射して光老化を誘発した(Hong et al.,2015)。紫外線の照射量は、UV照度計(UV Light meter)(UV-340;Lutron,Taiwan)で紫外線照射器内部の照射量を測定して調整した後、下記の表1のようにUVB照射量を調節した。
【0105】
【0106】
紫外線照射開始日から8週間、正常対照群(NOR)と陰性対照群(CON)に飲用水だけ経口投与し、試料処理群には体重測定後、濃度に合わせて試料を飲用水と混合して経口投与した。各マウスは、8週間の紫外線照射及びGOS、CPT単独又は混合試料の投与期間の終了後に安楽死させた。
【0107】
実施例1:飲水摂取量及び飼料摂取量
本発明者は、本発明の組成物がマウスの飲水及び飼料の摂取量に及ぼす影響を確認するために、マウスに紫外線を照射し、試料を投与する期間内において、1週間に1回ずつ飲水及び飼料の摂取量を測定した。
【0108】
図1Aは、本発明の実験群別の飼料摂取量を示す図である。
【0109】
図1Bは、本発明の実験群別の飲水摂取量を示す図である。
【0110】
図1Aに示すように、食餌摂取量は、GOS/CTP 3:1混合処理群が19.14g/dayであり、全実験群の平均食餌摂取量である16.62g/dayに比べて増加傾向を示したが、群間の有意な差異はなかった。
【0111】
図1Bに示すように、飲水摂取量は、UVB照射が行われたGOS/CTP 1:1混合処理群を除いた試料投与群において、NOR群に比べて飲水摂取量が増加しており、このうち、GOS/CTP 1:3混合処理群の飲水摂取量が18.36ml/dayと有意に高い数値を示した(p値<0.05)。
【0112】
実施例2:皮膚水分保有量、経皮水分蒸散量(TEWL)及び紅斑評価
本発明者は、本発明の組成物が皮膚状態に及ぼす影響を確認するために、紫外線を照射したネズミの背部の皮膚をMulti Probe Adapter(登録商標)MPA6(Courage und Khazaka,Germany)により、皮膚の水分保有量、経皮水分蒸散量(TEWL)及び紅斑を測定した。紫外線照射の開始前に、全群で皮膚測定が行われ、NOR群とCON群間の皮膚測定結果で有意な差異が現れるか確認するために、紫外線照射4週後から1週間隔で皮膚測定を行った。皮膚測定の結果は、安楽死の前日に最後に測定した結果と紫外線照射前の初期の皮膚とを比較した値、及び最後の測定結果をグラフで示した。
【0113】
皮膚水分保有量
図2Aは、本発明の実験群別の皮膚水分保有量を示す図である。
【0114】
図2Bは、本発明の実験群別の皮膚水分保有量の変化量を示す図である。
【0115】
図2Aに示すように、水分保有量は、陰性対照群(CON)で正常対照群(NOR)と対比して約1.61倍の有意な増加を示し、全試料投与群でCON群と対比して水分保有量が増加した。特に、GOS単独処理群とGOS/CTP 1:1混合処理群の水分保有量が有意な増加を示した(p値<0.05)。
【0116】
また、
図2Bに示すように、紫外線照射前後の水分保有量の変化を確認した結果、CON群ではNOR群と対比して有意な減少を示した。CTP単独処理群及びGOS/CTP 1:1混合処理群で水分保有量の変化が有意に増加し、特に、GOS/CTP 1:1混合処理群ではNOR群と類似の水準で水分保有量の変化が確認された(p値<0.05)。
【0117】
経皮水分蒸散量
図3Aは、本発明の実験群別の経皮水分蒸散量を示す図である。
【0118】
図3Bは、本発明の実験群別の経皮水分蒸散量の変化量を示す図である。
【0119】
図3Aに示すように、経皮水分蒸散量は、陰性対照群(CON)が正常対照群(NOR)と対比して約3.99倍の有意な増加を示した(p値<0.05)。全試料投与群は、CON群と対比して経皮水分蒸散量が有意に減少し、特に、GOS/CTP 1:1混合処理群は、NOR群と類似のレベルに経皮水分蒸散量が減少した(p値<0.05)。
【0120】
また、
図3Bに示すように、紫外線照射前後の経皮水分蒸散量の変化量を確認した結果、NOR群以外の、UVBを照射した全群で増加した様相が見られ、全試料投与群はCON群と対比して有意な減少を示した(p値<0.05)。
【0121】
紅斑数値
図4Aに示すように、紅斑数値は、NOR群と対比してCON群が約1.60倍の有意な増加を示し(p<0.05)、試料投与群における紅斑数値は、CON群と対比して有意な変化が確認されなかった。
【0122】
また、
図4Bに示すように、紫外線照射前後の紅斑数値変化量を確認した結果、NOR群以外の全UVB照射群で紅斑数値が有意な増加を示した(p値<0.05)。そのうち、GOS単独処理群およびCTP単独処理群、GOS/CTP 1:3混合処理群でCON群と対比して減少する傾向を示したが、有意な差異は確認されなかった。
【0123】
この結果から、GOS単独処理群及びCTP単独処理群に比べてGOS/CTPを1:1及び3:1混合処理群は、水分保有量、経皮水分蒸散量及び紅斑数値の全てにおいて肯定的な活性を示した。したがって、本発明のGOS及びCTPの混合組成物は、紫外線により誘発される皮膚水分損失及び皮膚障壁の損傷を防止し、皮膚障壁機能を正常に作用することができる。
【0124】
実施例3:臓器の重さ
本発明者は、本発明の組成物が臓器の重さに及ぼす影響を確認するために、GOS及びCTP試料を摂取し、毒性及び異常有無を確認するために、臓器(肝臓、心臓、腎臓、脾臓)を摘出して重量を確認した。実験終了時に各臓器を摘出し、摘出された肝臓、心臓、腎臓及び脾臓の重さ(mg)が、各実験群のネズミの体重(g)を考慮して算出された。結果は、表2に示した。
【0125】
【0126】
前記表2に示すように、腎臓及び脾臓の重さについて、実験群間に有意な差異はなく、肝臓及び心臓の重さは有意な差異は多少あったが、NOR群と比較したとき、相対的な差異はなかった。
【0127】
実施例4:皮膚の肉眼観察及び皮膚シワの分析
本発明者は、本発明の組成物のシワ改善効果を確認するために、ネズミの背部の皮膚を撮影し、シワの様相の分析のためにVisioline(登録商標)(VL650;CK electronic GmbH,Germany)を用いて得られたレプリカ(replica)からシワの面積、数、長さ、深さなどを分析した。結果は、
図5、
図6A及び
図6Bに示した。
【0128】
図6A及び
図6Bに見られるように、シワの様相の指標を分析した結果、陰性対照群(CON)は、シワの面積と深さが正常対照群(NOR)と対比して有意に増加した(p値<0.05)。また、本発明の組成物の投与時に、シワの様相の指標がCON群と対比して有意に減少する傾向を示し、特に、組成物のうちGOS/CTP 1:3混合処理群でシワの面積と最大深さが有意な減少を示した(p値<0.05)。
【0129】
これによって、本発明のGOSとGOS及びCTPの混合組成物を摂取したとき、UVBによるシワ生成に対する抑制効果があることを確認した。特に、GOSとCTPを1:3の割合の混合組成物を摂取したとき、シワの改善に対して有意な効果があることを確認した。
【0130】
この結果から、紫外線により生成された皮膚のシワが、GOSとCTPを単独で摂取したときにも減少するが、GOS/CTPを1:3の割合で混合して摂取したとき、光老化で生成されたシワを最も有意に減少させる効果を確認した。
【0131】
実施例5:皮膚の組織病理学的分析-表皮の厚さ及びコラーゲン測定
本発明者は、本発明の組成物が、表皮厚及びコラーゲンの発現に及ぼす影響を確認するために、紫外線照射及び組成物投与実験の終了後、全ネズミの背部の皮膚を採取して10%ホルマリン(formalin)に入れた後、組織病理学的な変化を確認できるヘマトキシリン・エオジン(hematoxylin and eosin,H&E)染色、及び真皮(Dermis)に存在するコラーゲンを確認できる免疫組織(immunohistochemistry,IHC)染色を行い、染色済み組織を光学顕微鏡で写真撮影し、イメージ化して分析した。
【0132】
図7及び
図8に示すように、H&E染色の結果、正常対照群(NOR)に比べてUVB照射群の表皮(epidermisd)の厚さが有意に増加したことを確認した(p値<0.05)。また、全試料投与群においてCON群に対比して表皮の厚さが有意に減少し、特に、GOS/CTP 1:1、3:1混合処理群における表皮の厚さがGOS単独処理群およびCTP単独処理群に比べて有意に減少した傾向を示すことを確認した(p<0.05)。
【0133】
本実験において、皮膚組織の病理学的観察の結果、UV照射群は、対照群と対比して表皮の厚さが約4倍程度増加し、GOS単独処理群及びCTP単独処理群に比べて混合処理群において厚さが減る様相が観察できた(
図7及び
図8)。
【0134】
また、コラーゲンに対するIHC染色の結果、正常対照群(NOR)に比べて陰性対照群(CON)における真皮(dermis)内のコラーゲン比率が有意に減少したことを確認した(p値<0.05、
図7)。全試料投与群において、CON群と対比して真皮内のコラーゲン比率が有意に増加し、特にGOS/CTP 1:3混合処理群の真皮内コラーゲン比率が最も有意に増加した(p値<0.05)。
【0135】
実施例6:エラスチン(Elastin)測定
皮膚真皮の構成物質であるエラスチンは、皮膚組織の弾力に影響を及ぼす弾力質であり、皮膚が光老化されたとき、その数と直径が減少して皮膚弾力を減少させる。本発明者は、本発明の組成物が皮膚弾力に及ぼす影響を確認するために、各実験群別に10mg程度の皮膚組織を抽出した後、Fastin Elastin assay(F2000;Biocolor、UK)から提供された方法を用いて皮膚組織内のエラスチン量を測定した。
【0136】
図11に示すように、本発明の組成物を処理した群はCON群と比較したとき、全エラスチン含量が増加する傾向を示し、特に、GOS/CTP 3:1混合処理群において、全エラスチン含量はCON群と対比して有意に増加した(p値<0.05)。
【0137】
この結果から、本発明のGOS単独組成物だけでなく、GOSとCTPの両方を含む組成物、特に、GOS/CTPを3:1の混合比率で含む組成物を経口摂取する場合、UVにより減少したエラスチンの含量を増強させ、皮膚の真皮層の網構造を改善し、弾力増進の効果が期待できることを確認した。
【0138】
実施例7:qRT-PCRを用いた皮膚関連遺伝子発現量の分析
本発明者は、本発明の組成物が皮膚状態と関連した遺伝子の発現に及ぼす影響を確認するために、第1型コラーゲン、MMP(Matrix metalloproteinase)2/3/9、TIMP1/2、ヒアルロン酸加水分解酵素(hyaluronidase,HYAL)、NF-Kの発現量をGAPDHと比較して測定した。
【0139】
具体的に、本発明者は本発明の組成物を投与した各実験群のマウスから約100mgの皮膚組織を採取し、TRIzol試薬を用いて全RNAを分離した。分離されたRNAに50μMオリゴ-(dT)プライマー(primer)と10mM dNTP mixを入れて65℃で5分間反応させた後、5X RTバッファー、0.1M DTT、RNaseOUT、SuperScript III、25mM MgCl2を混合して入れ、50℃で50分、85℃で5分の条件で反応させた。RNase Hを入れて37℃で20分間反応させ、mRNAからcDNAが合成された。PCRを行うために、合成したcDNA 1μLにプライマー及びSYBR green gene expression master mixとDEPC水が混合され、qPCRが行われた。各ターゲット遺伝子別のプライマーは、表3に示した。各ターゲット遺伝子の発現量は、NOR群に対する相対的発現量で示した。
【0140】
【0141】
MMPs(Metalloproteinases)
コラーゲン分解酵素MMP2の遺伝子発現量を測定した結果、CON群は、NOR群に対比して約1.21倍増加しており、試料を投与した全ての群でMMP2の発現量が減少する傾向を示した(
図12)。特に、GOS単独処理群及び、CTP単独処理群、GOS/CTP 3:1混合処理群はCON群に対比して有意に減少した(p値<0.05)。
【0142】
MMP3の遺伝子発現量を測定した結果、GOS単独処理群及びGOS/CTP 3:1混合処理群でMMP3の発現量がCON群に対比して減少する傾向を示したが、有意な差異は確認されなかった(
図13)。
【0143】
皮膚組織の細胞外基質分解能の指標を観察するために、MMP9の遺伝子発現量を測定した結果、NOR群に比べてCON群は約6.31倍と有意な増加を示し、CON群に比べて全試料投与群でMMP9の遺伝子発現量が有意に減少したことが確認された(p値<0.05、
図14)。試料投与群のうち、GOS単独処理群及びCTP単独処理群に比べてGOS/CTP混合処理群で発現量が減少し、特に、GOS/CTP3:1混合群において、発現量はCON群に比べて有意に減少し、NOR群と類似の水準を示した(p値<0.05)。
【0144】
MMP13の遺伝子発現量を測定した結果、NOR群に比べてCON群で約5.42倍と有意な増加を示し、CON群に比べて全試料投与群でMMP13の遺伝子発現量が有意な減少を示した(p値<0.05、
図15)。特に、GOS/CTP1:1及び3:1混合処理群において、発現量はCON群に比べて有意に減少し、NOR群と類似の水準を示した(p値<0.05)。
【0145】
この結果から、光老化によって誘発されたMMPsの発現が、GOS単独処理群とCTP単独処理群に比べGOS/CTP 混合処理群において、より減少することを確認し、特に、光老化時のシワ生成に重要な役割を果たしているMMP-13の遺伝子発現が、GOS/CTP 1:1処理群で有意に減少することを確認した。
【0146】
TIMPs(Tissue inhibitor of metalloproteinases)
TIMP1の遺伝子発現量を測定した結果、全試料投与群でCON群に比べてTIMP1の発現量が有意に増加した(p値<0.05、
図16)。特に、GOS単独処理群、CTP単独処理群及びGOS/CTP 1:3混合処理群でTIMP1の発現量がCON群に比べて有意に増加した(p値<0.05、
図16)。
【0147】
TIMP2の発現量を測定した結果、全試料処理群において、CON群に比べてTIMP2の発現量が増加したが、有意な差異はなかった(
図17)。
【0148】
この結果から、本発明のGOSを含む組成物と、GOS及びCTPを含む組成物が、特に、TIMP1の発現を促進することによって、MMPsの活性とこれによる細胞外基質タンパク質の分解を減少させ、結果的に光老化によるシワの生成を抑えていることを確認した。
【0149】
第1型コラーゲン(Collagen type1:COL1a1)
図18に示すように、COL1a1の遺伝子発現量を測定した結果、CON群とNOR群との間に差異はなく、本発明の組成物を処理した群でCOL1a1の発現量が増加する傾向を示した。特に、GOS/CTP 1:3混合処理群において、COL1a1の発現量がCON群に比べて約1.22倍と有意に増加した(p値<0.05)。
【0150】
皮膚結合組織には、細胞外基質タンパク質のうち第1型コラーゲンが最も多く存在し、その他にエラスチン、ファイブロネクチン、インテグリン、フィブリリーン、プロテオグリカンなどが存在する。新しく合成されたプロコラーゲンは、酵素反応を経て皮膚細胞の細胞外空間に分泌され、三重螺旋構造のマイクロフィブリル(microfibrIL)を形成し、これらはコラーゲン線維を形成して皮膚の結合性及び弾力性を与える。
【0151】
光老化或いは内因性老化により真皮層コラーゲン線維が減少すると、皮膚組織の陥没を誘発してシワが発生し、皮膚がたれて、弾力性も失われてしまう。
【0152】
この結果から、本発明のGOS組成物、又はGOS及びCTPを含む組成物の処理によって、第1型コラーゲンの発現量が増加するため、シワの改善及び弾性の増進に効果があると判断される。
【0153】
ヒアルロニダーゼ(Hyaluronidase、HYAL)
図19は、本発明の実験群別に皮膚組織のヒアルロン酸分解酵素のmRNA発現量を示す図である。
【0154】
ヒアルロン酸分解酵素であるヒアルロニダーゼ(HYAL)の遺伝子発現量を測定した結果、CON群はNOR群に比べて約1.30倍の有意な増加を示し、全組成物投与群で減少する傾向を示した(
図19)。特に、GOS/CTP 1:3混合処理群において、ヒアルロニダーゼ(HYAL)の発現量はCON群に比べて約0.61倍の有意な減少を示した(p値<0.05)。
【0155】
実施例8:ELISAを用いた炎症関連サイトカインの分析
本発明者は、本発明の組成物の免疫機能改善又は抗炎症効果を確認するために、各実験群別に皮膚組織を採取し、炎症性サイトカインであるIL-6、IL-12、TNF-αの含量をELISAキット(BD Bioscience,San Jose,CA)を用いて測定し、組織抽出物からBCA法でタンパク質量を分析し、炎症関連サイトカインを、タンパク質mg当たりの含量で示した。
【0156】
図20に示すように、インターロイキン-6(IL-6)の含量を測定した結果、正常対照群(NOR)に比べて陰性対照群(CON)でIL-6の含量が有意に増加し、GOS/CTP 1:3混合処理群でCON群に比べてIL-6の含量が減少したことを確認した(p値<0.05)。
【0157】
また、
図21に示すように、インターロイキン-12(IL-12)の含量を測定した結果、陰性対照群(CON)において陽性対照群(NOR)と比較してIL-12の含量が有意に増加し、全ての組成物投与群においてCON群と比べて有意に減少することを確認した(p値<0.05)。全ての混合組成物において、IL-12の分泌量の減少面でシナジー効果が確認された。特に、GOS/CTP 1:3混合処理群でIL-12の含量を最も多く減少させることが確認された。
【0158】
図22に示すように、TNF-αの含量を測定した結果、陰性対照群(CON)において正常対照群(NOR)と比べてTNF-αの含量が有意に増加したことを確認した(p値<0.05)。また、全ての組成物投与群で、陰性対照群(CON)に比べてTNF-αの含量が有意に減少し、全ての混合組成物におけるTNF-αの分泌量の減少面でシナジー効果が確認された。特に、GOS/CTP混合処理群で、有意な効果が確認された(p値<0.05)。
【0159】
この結果から、全ての組成物投与群において、前記炎症性サイトカインであるIL-6、IL-12及びTNF-αの含量が減少することを確認した。特に、GOS/CTPを混合して投与したとき、サイトカインの減少にシナジー効果が現れることを確認した。したがって、本発明のGOSを含む組成物及びGOS及びCTPを含む組成物は、皮膚の炎症反応を減少させるので、免疫機能の改善又は抗炎症用組成物として有用に用いることが可能である。
【0160】
本発明の実施例において、前記抗炎症用組成物は、GOS及びCTPの1:3~3:1の全範囲においてシナジー効果を示す。
【0161】
実施例9:GCを用いた短鎖脂肪酸(short-chain fatty acid:SCFA)の分析
本発明者は、マウスの盲腸を摘出し、メタノールを用いた抽出物を、GCカラム(DB-FFAP 123-3253、50m×0.32mm×0.50μM)が装着されたガスクロマトグラフィー(Agilent Technologies,CA,USA)を用いて、SCFAを分析した。この時、カラム温度は、100℃で1分間保持した後、180℃まで8℃/minの速度で上昇させ、200℃まで20℃/minの速度で上昇させた後、200℃で5分間維持するように設定した。酢酸、プロピオン酸及び酪酸などの標準物質を用いて、盲腸内のSCFA含量を分析し、その結果を
図23~
図27に示した。
【0162】
短鎖脂肪酸の生成に対するGOS及びCTP試料の影響をガスクロマトグラフィーで分析した結果、酢酸の含量は、陰性対照群(CON)で正常対照群(NOR)に比べて有意に減少した(
図23)。一方、GOS/CTP 1:1混合処理群ではCON群に比べて酢酸の含量が有意に増加した(p値<0.05)。
【0163】
プロピオン酸の含量は、陰性対照群(CON)で正常対照群(NOR)と比べて減少したが、有意な差異はなかった(
図24)。GOS単独処理群,CTP単独処理群では、CON群に比べてプロピオン酸の含量が増加する傾向を示したが、有意な差異はなかった。
【0164】
酪酸の含量は、陰性対照群(CON)で正常対照群(NOR)に比べて減少した(
図25)。GOS/CTP 3:1混合処理群以外の残りの群では、CON群に比べて酪酸の含量が増加し、特に、GOS単独処理群及びCTP単独処理群で酪酸の含量が有意に増加した(p値<0.05)。
【0165】
吉草酸の含量は、陰性対照群(CON)で正常対照群(NOR)に比べて減少する傾向を示した(
図26)。試料群のうちCTP単独処理群でCON群に比べて吉草酸の含量が有意に増加した(p値<0.05)。
【0166】
全ての短鎖脂肪酸の含量を分析した結果、陰性対照群(CON)では、正常対照群(NOR)と比べて短鎖脂肪酸の含量が有意な減少を示し、GOS単独処理群では、CON群と比べて有意な増加を示した(p値<0.05)。CTP単独及びGOS/CTP 1:1混合処理群では短鎖脂肪酸の含量が増加する傾向を確認した(
図27)。
【0167】
腸内微生物は、腸内で食物線維を発酵させ、短鎖脂肪酸、主に酢酸、プロピオン酸、酪酸を生成する。短鎖脂肪酸は腸粘膜から迅速に吸収され、大腸粘膜細胞の主なエネルギー源として用いられることが知られている(Thompson DB,2000)。
【0168】
本研究の結果、本発明者は光老化により短鎖脂肪酸が有意に減少することおよび皮膚と腸内微生物との間に相互関係があることを確認した。このような減少はGOS及びCTPの摂取により増加させ、腸内環境の改善及び皮膚保護効果との相関関係を確認した。腸内菌叢の変化を分析することにより、皮膚と腸内微生物間の相互関係、及びGOS及びCTPの摂取が腸内環境の変化に及ぼす影響を評価した。
【0169】
実施例10:腸内菌叢の変化分析
本発明者は、マウスの盲腸を摘出し、i-ゲノムクリニックDNA抽出キットを用いてDNAを抽出し、16S rRNAライブラリーをIllumina 16S V3~V4 Amplicon(Illumina,SanDiego,CA,USA)のプロトコルによって構成した。DNA抽出物を用いて一番目の重合酵素連鎖反応(PCR-1)により16S rRNA V3~V4領域を増幅し、PCR生成物をAgencourt AMPure XP Beads(Beckman Coulter,Inc.,Pasadena,CA,USA)を用いて精製し、洗浄されたアンプリコンで定量化した。最終アンプリコンライブラリーを、v3、600サイクルキット、及び、イルミナ二重インデックスアダプター配列を有する第2PCR(PCR-II)のテンプレートとしてのPCR生成物を用いてIllumina MiSeq上でシーケンシングを行った。QIIME2ソフトウェアで配列データ分析を行った後、品質フィルターリングを行った。QIIMEパイプラインから同種重合体を除去し、代表配列セットを、UCLUSTを用いて類似性水準97.0%以上でクラスタリングした。配列の操作上の分類単位(Operational taxonomic unit,OTU)を分析し、アルファ多様性をリッチネス(Richness)、シャノン指数(Shannon Index)及びACE(Abundance-based Coverage Estimator)インデックスを用いて分析した。また、群内及び群間のベータ多様性を、UniFrac測定距離を用いて分析した。
【0170】
この結果は主座標分析(PCoA)で表現される。本発明者は、腸内菌叢組成(OTU)と同一の群で、変数は平均間の相関関係として、ピアソンの相関関係を用いて確認した。クラスカルーウォリス検定(Kruskal-Wallis test)を行い、腸内菌叢の多様性と相対豊富度の差異を分析した。ベータ(β)多様性の差異は、類似性分析(ANOSIM)及び順列多変量分散分析(PERMANOVA)検定で分析した。
【0171】
【0172】
NOR:正常群;CON:UVB対照群。データは平均±標準誤差(n=6)と表現され、異なる文字はテューキー検定での有意差が存在することを示す(p値<0.05)。
【0173】
【0174】
NOR:正常群;CON:UVB対照群。データは平均±標準誤差(n=6)と表現され、異なる文字はテューキー検定での有意差が存在することを示す(p値<0.05)。
【0175】
表4及び表5は、21個の試料に対する群集分析のアルファ多様性(alpha diversity)の全体的な要約を示す。各分析値の平均値は、OTUs 653.90、ACE727.12、CHAO 722.38、Jackknife 762.73、NPShannon 4.21、Shannon 4.20、Simpson 0.06、phylogenetic diversity 886.14、good's coverage of library(%)99.80である。
【0176】
属(Genus)レベルの細菌群集比較
属レベルの細菌群集を分析した結果、470分類群が調べられ、代表的な50分類群を選択した。分析試料内の細菌群集の組成を出現した属順に並べると、次の通りであった。
【0177】
アッケルマンシア(Akkemansia)、PAC000661_g、ユーバクテリウム_g23(Eubacterium_g23)、PAC000664_g、PAC000198_g、スポロバクター(Sporobacter)、バクテロイデス(Bacteroides)、ラクトバチルス(Lactobacillus)、シュードフラボニフラクター(Pseudoflavonifractor)、ユーバクテリウム_g17(Eubacterium_g17)、PAC002367_g、パラバクテロイデス(Parabacteroides)、オシリバクター(Oscillibacter)、ルミノコッカス(Ruminococcus)。
【0178】
属レベルの上位20分類群のうち、ウェルコミクロビウム(Verrucomicrobia)門に該当するアッケルマンシア属は、10個の試料(N1、CTP1、CTP2、CTP3、GOS/CTP 1:3(1)、(3)、GOS/CTP 1:1(1)、(2)、GOS/CTP 3:1(1)、(3))で10%以上検出されており、GOS/CTP 1:3(3)試料で22.77%検出された。一方、CON試料は、いずれも0.2%以下しか検出されず、試料のうち最も低い数値を示した。
【0179】
バクテロイデスは、7個の試料(N2、GOS1、2、CTP3、GOS/CTP 1:3(3)、GOS/CTP 3:1(1)、(3))で10%以上検出された。アッケルマンシア属と同様に、GOS/CTP 1:3(3)試料で28.73%検出され、最も高い数値を示し、CON1で3.11%と最も低く検出された。
【0180】
試料間の類縁関係の比較
PCoA分析
本発明者は、GOSとCTPの皮膚及び腸健康機能性細菌叢の類縁関係分析を行うために、属レベルの群集結果について、距離関数(distance metrics)を用いたユニフラック(UniFrac)で主座標分析(principal coordinate analysis,PCoA(主成分))を行った。21個の試料の群集は散布(scatter)しており、特異なグループを形成しなかった。
【0181】
UPGMA分析
UPGMAクラスタリング(UPGMA clustering)分析の結果、本発明者は、各群内で群集組成が類似な試料と異なる試料が存在することを確認した(
図28)。相対的にNOR群、CON群、GOS単独処理群、特にNOR群とGOS単独処理群との群集組成が類似し、CTP単独処理群とGOS/CTP混合処理群との群集組成が類似していることが分かった。
【0182】
腸内微生物の菌叢変化
バクテロイデス(Bacteroidetes)とフィルミクテス(Firmicutes)の変化
GOS/CTP混合物の経口投与によるバクテロイデス門とフィルミクテス門の変化をそれぞれ測定した(
図29~
図31)。ヒトの腸内微生物叢は、50個以上の異なる種類の門(phylum)、1000個以上の異なる種(species)の細菌で構成される。このうち、主流をなす5つの門は、ラクトバチルスの属するフィルミクテス門、バクテロイデス門、ビフィドバクテリウムの属したアクチノバクテリア門(Actinobacteria)、プロテオバクテリア門(Proteobacteria)、ウェルコミクロビウム門(Verrucomicrobia)であり、この中でもバクテロイデスとフィルミクテスの2つの門が主流をなし、正常腸内微生物の80%以上を占めている。そして、このような微生物種の多様性にもかかわらず、18個の核心種だけが全ての個体に存在する。また、2つの主流をなす門の比率は個体ごとに異なり、フィルミクテス:バクテロイデス比が疾病のある患者間で変化することが観察され、疾病の発生と関連性があると判断される。
【0183】
フィルミクテス/バクテロイデス比率は、腸内細菌叢の多様性の減少及び増加の指標として使われており、過敏性腸症候群の患者において腸内微生物の多様性が減少しており、ビフィドバクテリウムとラクトバチルスが減少した所見が見られ、フィルミクテス:バクテロイデス比が増加する傾向を示す(Kim et al.,2013;Hong and Rhee,2014;Tojo et al.,2014;Dupont,2014)。
【0184】
光老化モデルにおいて、GOS、CTP単独、又はGOS/CTP混合物の経口投与したとき、フィルミクテスはGOS単独処理群で減少し、フィルミクテス/バクテロイデス比率も減少する傾向を示した。CTP単独処理群においては、F/B比率が増加する傾向を示すが、CON群に比べて有意な差異は見られなかった。GOS/CTP混合処理群においては、GOSの濃度が上がるとF/B比率が減少した。このような結果から、GOSの投与は腸内環境の改善に関与するものとして推定される。
【0185】
乳酸菌の変化
GOS/CTP摂取による、腸内微生物のうち乳酸菌(lactic acid bacteria)に対する変化を測定すると、全体乳酸菌のうちラクトバチルス(Lactobacillus)とビフィドバクテリウム(Bifidobacterium)が主要菌株として確認された。GOS単独処理群において、ビフィドバクテリウムが増加する傾向を示した。一方、GOS/CTP 1:3混合処理群においては、ビフィドバクテリウムがCON群に比べて有意に増加した(p値<0.05)。乳酸菌に属するラクトバチルス種の変化は、GOS単独処理群において、増加する傾向を示し、GOS/CTP混合処理群においては、GOS/CTP 1:1混合処理群以外でCON群に比べてラクトバチルス種が減少する傾向を示したが、有意な差異はなかった。
【0186】
ヒトの腸内微生物の変化
ヒトの腸内で観察される代表的な微生物の変化を測定した結果は、
図38~
図46の通りである。
【0187】
本発明者は、ヒトの腸内で見つかった微生物が属する門(phylum)と科(family)の変化を測定した。プロテオバクテリア(Proteobacteria)は、門(phylum)に属し、健康な腸では低いレベルで観察される微生物であり、GOS/CTP混合処理群において、増加する傾向を示し、特にGOS/CTP 1:3混合処理群において、CON群に比べて有意に増加した(p値<0.05)。クリステンセネラセエ(Christensenellaceae)腸内細菌は、痩せている双子から主に発見されており、ネズミにこのクリステンセネラセエ腸内細菌を注入すると、肥満を誘発する高脂肪の栄養分を豊富に含む餌を食べても太らなかったという報告がある。しかし、試料処理群ではむしろ正常対照群(NOR)に比べてクリステンセネラセエ腸内細菌が減少する傾向を示した。老年期になると、腸内微生物集団の多様性が減少することが知られている(O'Toole and Claesson、2010)。すなわち、ビフィドバクテリウム科(Bifidobacteriaceae)の数が減少し、腸内細菌科(Enterobacteriaceae)が増加することが知られている(Woodmansey、2007;Claesson et al.,2011)。
【0188】
本発明のGOS/CTP混合処理群、特にGOS/CTP 1:3混合処理群および3:1混合処理群において、このような腸内細菌科が減少する。
【0189】
図36~
図40は、本発明の各実験群別の腸内細菌叢のうち腸内微生物の門(phylum)及び科(family)の分布を示す図である。
【0190】
一般に、プロテオバクテリア(Proteobacteria)は低い一方で、バクテロイデス(Bacteriordes)、プレボテラ(Provotella)、ルミノコッカス(Ruminococcus)は豊富なものが、健康な腸内微生物組成とされている(Kim et al.,2013;Tojo et al.,2014)。バクテロイデス門(Bacteroidetes)に含まれる属(Geuns)には、バクテロイデス(Bacteroides)、プレボテラ(Prevotella)、キシラニバクタ―(Xylanibacter)があるが、これらは種々の糖鎖(glycan)複合体を分解できる。GOS及びCTP投与によって、ルミノコッカス(Ruminococcus)の数が大幅に増加する傾向を示し、特に、GOS/CTP 1:1混合処理群において、NOR群に比べてルミノコッカスが有意に増加した(p値<0.05)。
【0191】
大腸内に分布する菌の優占種によって個人を分類(enterotype)でき、バクテロイデス(Bacteroides)が優占するエンテロタイプ1(enterotype 1)、プレボテラ(Prevotella)が優占するエンテロタイプ2(enterotype 2)、ルミノコッカス(Ruminococcus)が優占するエンテロタイプ3(enterotype 3)という3つのエンテロタイプ(enterotype)に分類できる。分類されたエンテロタイプの分布様相が摂取食餌や遺伝的な差異、居住地域によって相違することが知られているが、その意味についてはまだ議論がある(Bennet et al.,2015;Eupont、2014)。
【0192】
ヒトの腸内で観察される代表的な微生物(geuns)の変化を測定した結果は、
図41~
図44に示した通りである。アッケルマンシア(Akkemansia)は、NOR群に比べてUV対照群(CON)で減少し、試料処理群では増加してNOR群と類似の水準を示した。一方、 ブラウティア(Blautia)はCON群で有意に増加し、ほとんどの試料処理群において減少する傾向が確認され、バクテロイデス(Bacteroides)とクロストリジウム(Clostridium)については、試料間で有意な差異は確認されなかった。GOS/CTP混合物の摂取時には、腸内菌叢の変化が確認された。GOSの投与はフィルミクテス/バクテロイデステスの比率が多少改善される効果を有する。また、光老化モデルで皮膚改善の効果を示したGOS/CTP混合処理群では、腸内乳酸菌の増加が確認された。
【配列表】