(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-01-17
(45)【発行日】2023-01-25
(54)【発明の名称】耐破壊性を有する大型液体積荷配送ターミナル
(51)【国際特許分類】
B67D 9/02 20100101AFI20230118BHJP
B67D 7/84 20100101ALI20230118BHJP
B65G 63/00 20060101ALI20230118BHJP
【FI】
B67D9/02
B67D7/84 Z
B65G63/00 A
(21)【出願番号】P 2021537436
(86)(22)【出願日】2019-09-05
(86)【国際出願番号】 SG2019050445
(87)【国際公開番号】W WO2020055324
(87)【国際公開日】2020-03-19
【審査請求日】2021-08-11
(31)【優先権主張番号】10201807799U
(32)【優先日】2018-09-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】SG
(73)【特許権者】
【識別番号】521101664
【氏名又は名称】ロータス テクノロジー ピーティーイー エルティーディー
(74)【代理人】
【識別番号】100091683
【氏名又は名称】▲吉▼川 俊雄
(74)【代理人】
【識別番号】100179316
【氏名又は名称】市川 寛奈
(72)【発明者】
【氏名】ゴー,エン ソーン
【審査官】松浦 久夫
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2012/0039694(US,A1)
【文献】特表2014-524865(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B67D 9/02
B67D 7/84
B65G 63/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃料油(ディーゼル、ガソリン、灯油を含む)、液体化学薬品、及び、流体化学薬品(極低温気体、産業用ガスを含む)を含む湿的な積荷、および、乾的な積荷(粒素材を含む)を貯蔵するサイロエリアであって、湿的な積荷、
液体化学薬品、および、流体化学薬品または乾的な積荷は、流体、あるいは流動性を有し、IMOタンクおよび/または貨物コンテナで配送されるのに適している、サイロエリアと、
前記サイロエリアの一方に沿って分割された、区分けされたエリアであって、点検ステーション、補充ステーション、配送/積載ステーションとして指定される、
前記補充ステーションは、湿的な、液体または乾的な流動性を有する積荷をIMOタンクまたは貨物コンテナに移送するための、回転関節を有する台座を備えた多関節補給アームを備える、区分けされたエリアと、及び、
前記区分けされたエリアに隣接して設けられた通路であって、IMOタンクや貨物コンテナを輸送する原動機およびトレーラが出入りする、入口点および出口点を有する通路と、
を備え、
前記サイロエリアおよび前記区分けされたエリアは、車両の衝突又は爆発力に対して強化された壁によって防護される、ことを特徴とする大型液体積荷配送ターミナル。
【請求項2】
強化された前記壁上を横断するように配置され、前記点検ステーション、前記補充ステーション、前記配送/積載ステーションで操作されるクレーンであって、前記通路を越えて伸長するクレーン、を更に備えることを特徴とする請求項1に記載のターミナル。
【請求項3】
前記入口点および前記出口点のそれぞれの近く位置する、守衛室あるいはセキュリティ管制室、を更に備える、ことを特徴とする請求項1または2に記載のターミナル。
【請求項4】
前記台座および前記回転関節は、キャリア上に支持、あるいはキャリアから吊り下げられている、ことを特徴とする
請求項1乃至3のいずれか一項に記載のターミナル。
【請求項5】
前記キャリアは、平行移動操作が可能、あるいはレール上を移動可能である、ことを特徴とする請求項
4に記載のターミナル。
【請求項6】
前記
レールは地面に支持される、ことを特徴とする請求項
5に記載のターミナル。
【請求項7】
前記キャリアは、最も高い位置にあるIMOタンクあるいは貨物コンテナよりも上から吊り下げられている、ことを特徴とする請求項
4に記載のターミナル。
【請求項8】
前記キャリアは、地面に固定されて取り付けられている、ことを特徴とする請求項
4に記載のターミナル。
【請求項9】
前記多関節補給アームの先端には、
排出ノズルと、その付随する位置に流体センサとがある、ことを特徴とする請求項
1乃至8のいずれか一項に記載のターミナル。
【請求項10】
前記
排出ノズルは、伸縮式セグメントに接続されたコネクタに取り付けられ、該伸縮式セグメントは、前記多関節
補給アームの極端部材に、伸長可能、退避可能、回転可能に接続され、位置や向きは、位置センサやエンコーダによって決定される、ことを特徴とする請求項
9に記載のターミナル。
【請求項11】
前記多関節補給アームは、多関節アーム、を更に備え、前記多関節アームは回転し、接続された位置センサは、
前記多関節補給アームの前記多関節アームの位置/向きを決定する、ことを特徴とする請求項
1乃至10のいずれか一項に記載のターミナル。
【請求項12】
前記多関節
補給アームは、前記多関節
補給アームの内側中空部を通る排出ホースを更に備える、ことを特徴とする請求項
1乃至11のいずれか一項に記載のターミナル。
【請求項13】
排出ノズルが取り付けられた移送ホースは、前記伸縮式セグメントの外側に取り付けられる、ことを特徴とする請求項
10に記載のターミナル。
【請求項14】
排出シュートが取り付けられた移送シュートは、前記伸縮式セグメントの外側に取り付けられ、前記乾的な積荷を、指定された貨物コンテナの入口ホッパに直接補給する、ことを特徴とする請求項
10に記載のターミナル。
【請求項15】
前記台座は二つ以上の
多関節補給アームを支持し、前記
多関節補給アームの最大運転領域が確定され、互いに干渉しないようになっているため、前記二つ以上の
多関節補給アームは同時に展開可能である、ことを特徴とする請求項
1乃至14のいずれか一項に記載のターミナル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、耐破壊性を有する大型流体積荷配送ターミナルに関する。特に、本発明は、流動性を有する、燃料油、化学薬品、液体や気体、乾粒物積荷等を、サイロ、IMOタンク、ISO貨物コンテナに貯蔵する配送ターミナルや、空のIMOタンク/ISO貨物コンテナを持ち込み、補給済のIMOタンク/ISO貨物コンテナを配送する原動機やトレーラ用の格納庫に関する。
【背景技術】
【0002】
多種多様な給油所が建設されている。例えば、特許文献1には、執務室、オイルタンク、そして操作卓に分かれた、スキッドを備えた燃料ステーションが開示されている。さらに、該燃料ステーションは、防爆特性を有する。
【0003】
他にも、特許文献2は、輸送可能な燃料充填ステーションを開示している。該ステーションは、プレハブの建物からなり、解体して、別の現場に移動することができる。さらに、床は、金属セクションからなる。
【0004】
特許文献3は、可動燃料配送ステーションを開示している。台の中心部は、少なくとも2本の脚部である基礎に接続されており、操作台がその脚によって高さ調節される。操作台に位置する燃料タンクに貯蔵された燃料は、脚にそって下のディスペンサーから給油される。
【0005】
上記開示のいずれも、耐破壊性を有する大型流体積荷配送ターミナルについて関するものではなく、よって、テロ行為に対して強化され、同時に、補充済IMOタンクおよび/またはISO貨物コンテナの補充、貯蔵、配送を可能にする、大型液体積荷(乾湿)配送ターミナルへの需要が高まっている。
【0006】
本発明の基本的な理解を促すための、簡略化された概要を下記に示す。この概略は、本発明の広範な概要を示すものでも、本発明の主要な特徴を限定するものでもない。むしろ、本発明の概念における進歩性を一般化した一部を提示するものであり、以下の詳細な説明の前置きとして示される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】中国実用新案第205575620号明細書
【文献】欧州特許第0507690号明細書
【文献】米国特許第8176931号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、湿的な積荷(例えば、燃料油、化学薬品、液体、気体)および乾的な積荷(例えば、流動性のある乾粒物積荷)等を想定した、耐破壊性を有する大型流体積荷配送ターミナルを提供することを探究したものである。配送ターミナルは、車両の衝突や爆発力に対して強化されたものであり、IMOタンクあるいはISO貨物コンテナにより、テロ行為や暴力行為に対処するため、セキュリティシステムが整備されている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
一実施形態において、本発明は、大型流体積荷配送ターミナルを開示し、該ターミナルは、流体、あるいは流動性を有する湿的な積荷および乾的な積荷であって、IMOタンクあるいは貨物コンテナで配送されるのに適した、燃料油(ディーゼル、ガソリン、灯油を含む)、液体化学薬品、流体化学薬品(極低温気体、産業用ガスを含む)を含む湿的な積荷および乾的な積荷(粒素材を含む)を貯蔵するサイロエリアと、サイロエリアの一方に沿って分割された、区分けされたエリアであって、点検ステーション、補充ステーション、配送/積載ステーションとして指定される、区分けされたエリアと、区分けされたエリアに隣接して設けられた通路であって、IMOタンクや貨物コンテナを輸送する原動機およびトレーラが出入りする、入口点および出口点を有する通路とを備え、サイロエリアおよび区分けされたエリアは、車両の衝突や爆発力に対して強化された壁によって防護されることを特徴とする。
【0010】
好ましくは、クレーンは、強化壁上を横断するよう配置され、点検ステーション、補充ステーション、配送/積載ステーションで操作され、通路を越えて伸長する。守衛室あるいはセキュリティ管制室を、入口点および出口点のそれぞれの近くに設けることで、安全性や配送ターミナルの円滑なオペレーションを確保する。
【0011】
好ましくは、補充ステーションは、回転関節を有する台座を備えた多関節補給アームを更に備える。台座および回転関節は、キャリア上に支持される。キャリアは、平行移動操作が可能、あるいはレール上の移動可能であり、地面に固定されて取り付けられるか、IMOタンクあるいは貨物キャリアよりも上から吊り下げられる。好ましくは、多関節補給アームの先端には、補充ノズルと、その付随する位置に流体センサとがある。好ましくは、補充ノズルは、伸縮式セグメントに接続されたコネクタに取り付けられ、伸縮式セグメントは、多関節アームの極端部材に、伸長可能、退避可能、回転可能に接続され、位置は、位置センサによって決定される。多関節アームは、回転稼働で、接続された位置センサはまた、多関節アームの位置や向きを決定する。
【0012】
好ましくは、補給アームの多関節部材は、多関節アームの内側中空部を通る排出ホースを更に備える。あるいは、排出ノズルが取り付けられた移送ホースが、伸縮式セグメントの外側、および、少なくとも、多関節アームの一部に取り付けられる。ISO貨物コンテナへの補充時、排出シュートが取り付けられた移送シュートが、伸縮式セグメントの外側、および、少なくとも、多関節アームの一部に取り付けられ、入口ホッパに乾的積荷が直接補給される。好ましくは、台座が二つ以上の補給アームを支持し、アーム同士が干渉することなく、補給アームを同時に展開可能である。
【0013】
下記図面を参照しながら、本発明を限定することを意図しない実施形態とともに、本発明を説明する。図面は以下の通りである。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】
図1は、本発明の実施形態による、耐破壊性を有する大型流体積荷配送ターミナルの配置図を表す。
【
図2A】
図1に示す大型流体積荷配送ターミナルにおいて使用される補給アームを表す。
【
図2B】
図1に示す大型流体積荷配送ターミナルにおいて使用される補給アームを表す。
【
図2C】
図1に示す大型流体積荷配送ターミナルにおいて使用される補給アームを表す。
【
図3A】
図1に示すターミナルの一部をなす、検査ステーション、補給ステーション、および配送ステーション上に配置されるネスト型屋根カバーを表す。
【
図3B】
図1に示すターミナルの一部をなす、検査ステーション、補給ステーション、および配送ステーション上に配置されるネスト型屋根カバーを表す。
【
図3C】
図1に示すターミナルの一部をなす、検査ステーション、補給ステーション、および配送ステーション上に配置されるネスト型屋根カバーを表す。
【
図3D】
図1に示すターミナルの一部をなす、検査ステーション、補給ステーション、および配送ステーション上に配置されるネスト型屋根カバーを表す。
【
図4A】
図1に示すターミナルの一部をなす、検査ステーション、補給ステーション、および配送ステーション上に配置される、折り畳み式の退避可能な屋根カバーを表す。
【
図4B】
図1に示すターミナルの一部をなす、検査ステーション、補給ステーション、および配送ステーション上に配置される、折り畳み式の退避可能な屋根カバーを表す。
【
図4C】
図1に示すターミナルの一部をなす、検査ステーション、補給ステーション、および配送ステーション上に配置される、折り畳み式の退避可能な屋根カバーを表す。
【
図4D】
図1に示すターミナルの一部をなす、検査ステーション、補給ステーション、および配送ステーション上に配置される、折り畳み式の退避可能な屋根カバーを表す。
【
図4E】
図1に示すターミナルの一部をなす、検査ステーション、補給ステーション、および配送ステーション上に配置される、折り畳み式の退避可能な屋根カバーを表す。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の、一つ以上の具体的かつ選択的実施形態を、添付の図面を参照して説明する。しかしながら、本発明が特定の詳細を用いずに実現され得ることは当業者にとって明らかである。本発明の明確化のため、詳細の一部は、冗長に記載しない。参照のしやすさの観点から、図面に共通する、同一あるいは類似の特徴を参照する際、共通の参照番号、あるいは一連の番号を、図面を通して使用することとする。
【0016】
図1は、本発明の一実施形態による、耐破壊性を有する大型流体積荷配送ターミナル10を示す。大型液体積荷は、コンテナ・ユニットで貯蔵・配送されることが共通している、湿的な積荷(例えば、燃料油(ディーゼル、灯油、ガソリン等を含む)、液体化学薬品、流体化学薬品(極低温気体、産業用ガス等を含む)および流動性がある乾的積荷(例えば、穀物類や乾粒素材)である。コンテナ・ユニットは、一般的な輸送ISO貨物コンテナ規格に合うもので、こうした輸送コンテナは、ISO貨物コンテナ規格やIMOタンク規格に合致するものを含む。ISO貨物コンテナおよびIMOタンクは、機械操縦用のコーナーキャスティングを備える。
【0017】
図1から明らかなように、配送ターミナル10は、二つのエリア10Aおよび10Bを有する。両エリアは、例えば、車両の追突や爆発による爆風力に対する、強化壁11a乃至11dによって防護されている。貯蔵エリア10Aやサイロ21、21a、21b等が、大型液体積荷の貯蔵に使用される。エリア10Bは、貯蔵エリア10Aの一方に沿って、強化壁11eで仕切られている。好ましくは、エリア10Bは、強化壁12aおよび12bによって、点検ステーション10C、補充ステーション10D、そして配送兼積載ステーション10Eに区分けされている。こうした強化壁は、扉あるいはシャトル開口(不図示)を備えることで、人・機械・材料などの移動が可能となる。点検ステーション10C、補充ステーション10D、そして配送/積載ステーション10Eの外側に沿って、通路14が設けられる。通路14は、入口点14aおよび出口点14bを有する。入口点14aおよび出口点14bのそれぞれに隣接して、二つの守衛室72aおよび72bが設けられる。入口点および出口点は、原動機61a乃至61fおよび、IMOタンク/ISO貨物コンテナ22を輸送する連結したトレーラ62が出入りする、通路に沿ったセキュリティ規制エリアを画定する。
図1からも分かるように、点検、補充および配送/積載ステーションで操作されるよう、三台のガントリクレーン41a乃至41cが、強化壁上を横断するよう建立している。ガントリクレーンは、一方のレールが強化壁11eに沿った貯蔵エリア10A内に敷設され、他方のレールが通路14に沿った線路上を走査してもよい。こうした配置により、ガントリクレーン41a乃至41cが、検査ステーション、補給ステーション、および配送ステーション上にまがって、通路14を越えて伸長する。これにより、空のIMOタンク/ISO貨物コンテナ22を、トレーラ62から点検ステーション10Cあるいは補充ステーション10D内に移送することができ、充填済のIMOタンク/ISO貨物コンテナを、配送ステーション10Eから指定のトレーラ62および原動機61へ移送することができる。ガントリクレーン41a乃至41cには、IMOタンクおよびISO貨物コンテナ22のフレームに設けた、機械操縦用のコーナーキャスティングに合うツイストロックを有するスプレッダが備えられている。三台のガントリクレーンを説明したが、配送ターミナルの荷捌容量に合わせて、クレーンの数を増減することは可能である。
【0018】
大型流体積荷配送ターミナルを防護する強化壁11a乃至11e、12a、および12bを支持するため、ベースまたは基礎は、想定される車両衝突による衝撃や、予想される爆発力に耐えうる、充分な強度を有していなければならない。
図3Cおよび3D、あるいは
図4Cおよび4Dでは、地下に埋設された基礎15が示されている。好ましくは、守衛室72aおよび72bの一面をなす壁11fも、車両の追突や爆発力に耐えうるよう強化される。好ましくは、ターミナル執務あるいは指令室(不図示)もまた、守衛室72aおよび72bに、あるいは隣接して位置している。区分けされたエリア10C、10D、10Eは、局地制御のための、独立したサブ執務室あるいは共通のサブ執務室を有していてもよい。
【0019】
図2A乃至
図2Cは、補充ステーション10Dに採用される補給アーム80を示す。図示のように、補給アーム80は、キャリア81と、回転関節88と、台座82と、そして、隣接するアーム部材と旋回軸99a、99b、99cで接合された、三つの多関節アーム83、84、85とからなる。端点アーム85は、中空であり、伸長・縮小・回転可能な中空伸縮式セグメント86を有する。好ましくは、伸縮式セグメント86の自由端は、液体排出ノズル90と合うコネクタ89を備え、排出ノズル90は、IMOタンク22の入口と合うようになっている。旋回軸99c側の、多関節アーム85の他端は、セグメント87によって、例えば、溶接されて固定されている。これにより、多関節アーム85および伸縮式セグメント86の両方の中空内は、漏出防止が施されている。好ましくは、閉塞セグメント87は、ホース金具(不図示)を有する。これにより、液体流や乾粒流が多関節アーム85への流入し、排出ノズル90から流出する。
【0020】
一実施形態において、キャリア81は、補充ステーション10Dの地面に敷設された線路を平行移動するよう、例えば、二列の、積まれたIMOタンク22の間に設けられている。補充支持を受け付けると、補給アーム80は、指定のIMOタンク22付近の地点へと平行移動する。そして、回転関節88を回転させ、多関節アーム83、84、85あるいは伸縮式セグメント86を動かすことで、指定のIMOタンクの入口ポートに、排出ノズル90が挿入可能となる。
図2A乃至
図2Cは、極めて簡略化されたもので、補給アーム80を通る、液体積荷流用のホースは、不図示となっている。また、排出ノズル90に配置された流体センサ、そして、補給アーム80、多関節アーム83、84、85、伸縮式セグメント85、そして排出ノズル90を感知して、その位置を検知する、排出ノズル90、旋回軸99a、99b、99cに配置された位置センサも、不図示となっている。台座82、多関節アーム、排出ノズル90の角度位置を判定する目的で、位置センサが回転関節88にも設けられている。他の実施形態において、キャリア81を、補充エリア10Dの中央位置に固定して取り付けることができると同時に、排出ノズル90は、同エリアにあるIMOタンク22の入口ポートに届くよう、配置される。他の実施形態において、キャリア81を、IMOタンクよりも高い位置で吊り下げることができると同時に、多関節アーム83、84、85、伸縮式セグメント86、排出ノズル90は、IMOタンク22に届くよう、下に延びる。また、他の実施形態において、個別の(排出ノズル90aを有する)移送ホースは、伸縮式セグメント86の外側に、かつ、少なくとも極端多関節アーム85の一部に取り付けられる。これにより、排出ノズル90aを移動させて、補充のためにIMOタンクの入口ポートに位置させるよう、補給アーム80が接続される。補充エリア10Dの広さによっては、補給アーム80を二つ以上設けてもよい。
【0021】
多くの場合、ISO貨物コンテナにおいて、乾的積荷(例えば、乾粒素材)は、排出シュート90b(不図示)から、ISO貨物コンテナの上部付近に位置する入口ホッパを通って、ISO貨物コンテナ22に充填される。排出シュート90bは、(ホースや移送シートのかわりとして)多関節移送シュートの終端であってもよい。上述の実施形態にあるように、排出シュート90bおよび移送シュートの一部は、伸縮式セグメント86の外側、および、少なくとも極端多関節アーム85の一部によって支持される。これにより、排出シュート90bを移動させて、入口ホッパに位置させるよう、補給アーム80が接続される。
【0022】
図2A乃至
図2Cは、一台の補給アーム80を支持する台座82を示す。台座82は、二台以上の補給アーム80を支持するものであってもよい。多関節アーム、伸縮式セグメント、排出ノズル/排出シュートのそれぞれに位置する、位置センサおよびエンコーダにより、各補給アーム80の最大運転領域が確定し、機械同士の干渉を防ぐことができる。こうした最大運転領域は、(静的に固定されていなくてもよい)種々の位置センサおよびエンコーダからの入力を受けて、補充ステーション10Dに位置する制御部によって、動的に決定される。排出ノズルや排出シュートに位置する各流体センサにより、二台あるいはそれ以上の補給アーム80は、各IMOタンクあるいはISO貨物コンテナ22の補充作業を同時に展開可能であるため、より速い操作あるいは短い往復時間が実現する。
【0023】
ここで、上述の大型流体積荷配送ターミナル10の操作を説明する。サイロ21、21a乃至21lは、大型の貯蔵タンクであり、必要な安全装置と、パイプと、(例えば、大型補給車両あるいは船舶からの)入口充填および補充ステーション10Dへの出口排出を制御する制御手段とを備える。トレーラ62あるいはトレーラ62に積載された空のIMOタンク/ISO貨物コンテナ22を有する原動機61が入口点14aへの入場を許可される前の段階において、最低でも、予備セキュリティチェックの実施を行ってはじめて、車両の入場が可能となる。予備セキュリティチェックは、IMOタンク/ISO貨物コンテナ22の種類やその積載物を、例えば、IMOタンク/ISO貨物コンテナに付されたバーコードやQRコード(登録商標)をスキャンすることで、実施される。さらに、IMOタンク/ISO貨物コンテナ22、トレーラ62、そして原動機61に対しても、爆発物のような脅威の有無等の安全確認が行われる。入場エリア14aへの入場が認められると、原動機61、運転手、そしてIMOタンク/ISO貨物コンテナ22の識別情報が記録される。続いて、空のIMOタンク/ISO貨物コンテナ22は、ガントリクレーン41aによって、点検ステーション10Cへと移送される。点検ステーション10Cでは、安全弁や安全ゲージの機能を損ないかねない、損傷や腐食といった機械の故障の有無について、IMOタンク/ISO貨物コンテナの確認・点検が行われる。それにより、IMOタンク/ISO貨物コンテナ22に対し、補充作業を安全に実施することができる。さらに、IMOタンク/ISO貨物コンテナ内の積載物履歴が検証され、運搬容量が決定し、それを、例えば、ターミナル制御室に位置するコンピュータに記録する。点検確認が完了すると、IMOタンク/ISO貨物コンテナ22は、補充ステーション10Dに移送される。補充ステーション10Dでは、紐づけられた発注に応じて許可された内容物を、IMOタンク/ISO貨物コンテナ22に補充する。IMOタンク/ISO貨物コンテナのなかには、補充の前後で積み重ねられるものもある。補充は、手動・自動のいずれの方法によっても実行される。補充が完了すると、各IMOタンク22の入口ポートおよび出口ポートや各ISO貨物コンテナ22のホッパを密封し、その後、配送ステーション10Eへと移送される。配送ステーションでは、IMOタンク/ISO貨物コンテナ22のうち一部は、積み上げられ、指定のトレーラ62や原動機61が、IMOタンク/ISO貨物コンテナ22を、それぞれの行先に向けて配送する準備が整うまで、待機する。指定のトレーラ62や原動機61が、配送ステーション10Eの外で、準備完了となった際は、ガントリクレーン41cを操作し、充填済のIMOタンク/ISO貨物コンテナ22を指定のトレーラ62上に移送する。積荷・車両の通関手続き後、原動機61およびトレーラ62は、配送ターミナル10を出発して、配送に向かう。
【0024】
詳述はしないが、測量ブリッジ等のその他設備を入口点14a前後に設置してもよい。該測量ブリッジのスケール装置によって、予備セキュリティチェックの一環として、IMOタンクの重量を、銘板と車両重量から素早く確認することがでる。
【0025】
図3Aは、点検ステーション10C、補充ステーション10D、配送10Eステーションのそれぞれの上方に設置された、三台のネスト型の退避可能なカバー30の平面図であり、
図3Cは、その側面図である。ネスト型カバー30は、二本の柱13a、13bに支持され、柱13a、13bは、それぞれが取り付けられている強化壁11c、11eの長辺の上端に沿って固定されている。
図3Dは、
図3Cの線AAによる断面部を示す。
図3A、
図3C、
図3Dは、三つのネスト型カバー33a、33b、33cからなるネスト型の退避可能なカバー30をそれぞれ示す。三つのカバーからなることにより、カバーが退避した際、カバーの構成要素の一つが、もう一つの下に収まる。退避可能なカバー30は、
図3Cの右手側の端に、より明確に示す。ネスト型カバー30の各極端は、ストッパ16、16a乃至16dによって画定される。三つの互いに隣接するネスト型カバー30の組が存在するため、二つの隣接するネスト型カバー30は、共通中間ストッパ16bおよび16cを共有する。好ましくは、ストッパ16、16a乃至16dのそれぞれに、シール材92を設ける。ネスト型カバーは、全て、ローラ37上を移動可能である。好ましくは、最内側カバー33c上の、ローラの一部が伝動である。これにより、該電動ローラを操作することで、外側ネスト型カバー33aおよび33bを、最内側カバー33cの動きにあわせて、延長・退避させることが可能となる。好ましくは、最外側カバー33aは、複数の防止具36によって、レール上の移動を制限されている。それにより、最外側カバー33aが、飛ばされたり、落ちたりすることを防ぐ。防止具36は、
図3Bに示す。
【0026】
他の実施形態において、最外側カバー33aおよび中間カバー33bのローラ37の一部が伝動であってもよい。好ましくは、これらのカバー33a、33bもまた、同様の防止具36(ただし、
図3Bでは不図示)により、レール上の移動を制限される。好ましくは、ローラ37の両側において、二本のシールストリップ93が、接続されたカバー33a、33b、33cの土台付近に配置される。
【0027】
図4A乃至
図4Eは、他の実施形態における、二つの折り畳み式の退避可能なカバー30a、30bを示す。図示の例においてのみ、第1カバー30aは、点検ステーション10Cで使用され、一方、第2カバー30bは、補充ステーション10Dおよび配送ステーション10Eの両方で使用される。前述の実施形態のように、これらの折り畳み式カバー30は、二本の柱13a、13bに支持され、柱13a、13bは、それぞれが取り付けられている強化壁11c、11eの長辺の上端に沿って固定されている。カバー30aおよび30bのそれぞれは、回動可能な構成パネル、例えば、パネル33d乃至33g、パネル33h乃至33nからなる。該パネルは、上下に折りたたまれ、上側旋回軸34および下側旋回軸35に接続する。折りたたまれた状態で、下側旋回軸35には、二本の柱13a、13bに配置されたレール上を移動するローラが設けられる。下側旋回軸35の一部は電動であるため、折り畳み式カバー30a、30bの折り畳み、退避が、自動、あるいは遠隔操作で制御される。防止具39は、例えば、ソレノイド作動式プランジャー38は、構成パネル33d乃至33nの一部の下方に設けられる(
図4Bおよび
図4Cに図示)。これにより、プランジャー38は、延長位置において、構成パネル33d乃至33nを固定して、レールから飛ばされたり落ちたりすることを防ぐ。
【0028】
具体的な実施形態を説明・図示したが、本発明の範囲を逸脱しない限りにおいて、種々の変更、修正や、バリエーション、組合わせを本発明に加えることができることは、理解されよう。例えば、位置センサは、排出ノズル90、90a、排出シュート90b、多関節アーム、回転関節88、そして、必要であれば、キャリア81の位置や向きの決定を補助する、近距離センサ、直線エンコーダ、回転エンコーダ等であってもよい。