(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-01-17
(45)【発行日】2023-01-25
(54)【発明の名称】指挟み防止装置
(51)【国際特許分類】
E06B 7/36 20060101AFI20230118BHJP
【FI】
E06B7/36 C
(21)【出願番号】P 2022165988
(22)【出願日】2022-10-17
【審査請求日】2022-10-17
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】506405655
【氏名又は名称】阿部 春一
(74)【代理人】
【識別番号】110001793
【氏名又は名称】弁理士法人パテントボックス
(72)【発明者】
【氏名】阿部 春一
【審査官】河内 悠
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-101005(JP,A)
【文献】登録実用新案第3136109(JP,U)
【文献】特開2000-248826(JP,A)
【文献】特開2010-203220(JP,A)
【文献】実開昭63-023472(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E06B 7/36
E05F 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ドア側に取り付けられるドア側取付部と、
壁側に取り付けられる壁側取付部と、
前記ドア側取付部及び前記壁側取付部に接続され、ドアの回転時に吊元側の隙間を閉塞する閉塞部と、を備え、
前記ドア側取付部、前記壁側取付部、及び前記閉塞部は、前記ドアの回転軸線に
平行な方向に分割されることで、前記ドアの回転軸線に
平行な方向に折り畳み可能になっている、指挟み防止装置。
【請求項2】
前記ドア側取付部、前記壁側取付部、及び前記閉塞部は、前記ドアの回転軸線に
平行な方向に別部材に分割され、かつ、前記ドア側取付部、前記壁側取付部、及び前記閉塞部の片面に共通してシートが貼り付けられて一体にされている、請求項1に記載された、指挟み防止装置。
【請求項3】
前記ドア側取付部、前記壁側取付部、及び前記閉塞部は、前記ドアの回転軸線に平行な方向に別部材に分割され、かつ、前記閉塞部は、前記ドアの回転軸線に
垂直な方向に2分割されてドア側閉塞部及び壁側閉塞部から構成される、請求項2に記載された、指挟み防止装置。
【請求項4】
分割された前記ドア側取付部、前記壁側取付部、及び前記閉塞部の間には、前記ドアの回転軸線に平行な方向及び前記ドアの回転軸線に垂直な方向に、所定幅の隙間が設けられている、請求項2又は請求項3に記載された、指挟み防止装置。
【請求項5】
前記ドア側取付部、前記壁側取付部、及び前記閉塞部は、PETであり、前記シートはOPPテープである、請求項4に記載された、指挟み防止装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ドアを開閉する際に、ドア本体とドア枠との間に生じる隙間に指が挟まれることを防止するようにされた指挟み防止装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、ドアを開閉する際に、幼児等がドア本体とドア枠(縦枠)との間に生じる空隙(隙間)に誤って指を挟んでしまう事例が報告されている。このようにドア本体とドア枠との間に指が挟まれる事故を防止する指挟み防止装置として、様々な構造のものが提案されている。
【0003】
例えば、特許文献1は、ドア本体とドア枠の間にできるV字の隙間に乳幼児が指を挟まれてけがをしないように、ドアを開いたときに、ドア本体とドア枠との間に生じる隙間を安全フィルムによりカバーすることを開示する。
【0004】
さらに、特許文献2は、4つの帯状体から構成されるシート状部材であって、4つの帯状体のすべてが長手方向にロール状に変形可能である、指挟み防止装置を開示する。この特許文献2の構成であれば、ロール状に巻き取ることによって、割合にコンパクトな形状で販売・配送することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2007-247231号公報
【文献】特開2020-101005号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献2のようにロール状に巻き取るように構成した場合、少なくとも帯状体の幅に相当する高さが生じることになるうえ、巻き癖がついてしまうことで設置しにくくなる、という問題があった。このように巻き癖がついてしまうと、非常に設置しにくくなる。例えば、180cmの長さがあると、両腕の幅を超えるため、1人で設置するのはかなり難しくなる。
【0007】
また、従来品は梱包して発送する場合、小さくとも15cmx15cmx高さ18cmのサイズになるためポストに投函することができず、送料が嵩んでしまう。加えて、不在の場合は、複数回の訪問が必要になるため、迅速に配送することが難しかった。
【0008】
そこで、本発明は、よりコンパクトな形状にでき、巻き癖がつくことなく設置しやすい、指挟み防止装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、本発明の指挟み防止装置は、ドア側に取り付けられるドア側取付部と、壁側に取り付けられる壁側取付部と、前記ドア側取付部及び前記壁側取付部に接続され、ドアの回転時に吊元側の隙間を閉塞する閉塞部と、を備え、前記ドア側取付部、前記壁側取付部、及び前記閉塞部は、前記ドアの回転軸線に垂直な方向に分割されることで、前記ドアの回転軸線に垂直な方向に折り畳み可能になっている。
【発明の効果】
【0010】
本発明の指挟み防止装置は、ドア90側に取り付けられるドア側取付部と、壁側に取り付けられる壁側取付部と、ドア側取付部及び壁側取付部に接続され、ドアの回転時に吊元側の隙間を閉塞する閉塞部と、を備え、ドア側取付部、壁側取付部、及び閉塞部は、ドアの回転軸線に垂直な方向に分割されることで、ドアの回転軸線に垂直な方向に折り畳み可能になっている。このような構成であれば、縦に折り畳むことによって、よりコンパクトな形状にでき、巻き癖がつくことなく設置しやすい、指挟み防止装置となる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図2】実施例の指挟み防止装置の拡大図である。(a)は平面図であり、(b)は断面図である。
【
図4】実施例の指挟み防止装置が折り畳まれる際の状態図である。(a)は折り曲げられた状態であり、(b)はほぼ折り畳まれた状態であり、(c)は完全に折り畳まれた状態である。
【
図5】実施例の指挟み防止装置をドアに取り付けた状態の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。ただし、以下の実施例に記載されている構成要素は例示であり、本発明の技術範囲をそれらのみに限定する趣旨のものではない。
【0013】
(構成)
まず、
図1~
図3を用いて、実施例の指挟み防止装置1の構成について説明する。指挟み防止装置1は、開き戸であるドア90の吊元側に生じるドア90本体と壁91(縦枠、ドア枠を含む)の隙間の指挟み防止装置1である。そして、本実施例の指挟み防止装置1は、
図1~
図3に示すように、4列・5行に分割された20枚の板状の部材から構成されている。
【0014】
具体的に言うと、指挟み防止装置1は、ドア90に取り付けられるドア側取付部21~25と、壁91側に取り付けられる壁側取付部51~55と、ドア側取付部21~25と壁側取付部51~55の両方に接続され、ドア90の回転時に吊元側の隙間を閉塞する閉塞部31~35、41~45と、を備えている。
【0015】
そして、これらの各部(21~25、31~35、41~45、51~55)の片面(一側面)には、共通してシート60が溶着や接着剤によって貼り付けられて、全体が指挟み防止装置1として一体化されている。すなわち、ドア側取付部21~25と、壁側取付部51~55と、閉塞部31~35、41~45とは、各部よりも柔らかく折り曲げやすくなっているシート60を介して互いに連繋(接続;一体化)されている。
【0016】
このうちドア側取付部21~25は、合成樹脂によって矩形(長方形)の薄い板状に形成される。ドア側取付部21~25は、一方の側面(シート60が貼り付けられる側面とは反対の側面)に貼り付けられた両面テープ等によってドア90の吊元側に貼付けられる。このドア側取付部21~25としては、例えば、縦:横=300mm:10mmのPET製の板(0.5mm厚)を使用できる。
【0017】
そして、本実施例のドア側取付部21~25は、ドア90の回転軸に平行な方向に5つの部材に分割されている。換言すると、ドア側取付部21~25は、設置された状態において、上下方向に等分に5分割されている。すなわち、ドア側取付部21~25は、5枚の各板が、ドア90回転軸に沿う方向に(後述するシート60を介して)繋げられて構成されている。
【0018】
壁側取付部51~55は、ドア側取付部21~25と同様に、合成樹脂によって矩形(長方形)の薄い板状に形成される。壁側取付部51~55は、一方の側面(シート60が貼り付けられる側面とは反対の側面)に貼り付けられた両面テープ等によって壁91に貼付けられる。なお、壁側取付部51~55は、ドア側取付部21~25と同じ幅跳することが好ましいが、異なる幅とすることもできる。この壁側取付部51~55としては、例えば、縦:横=300mm:10mmのPET製の板(0.5mm厚)を使用できる。
【0019】
そして、本実施例の壁側取付部51~55は、ドア90の回転軸に平行な方向に5つの部材に分割されている。換言すると、壁側取付部51~55は、設置された状態において、上下方向にみて等分に5分割されている。すなわち、壁側取付部51~55は、5枚の各板が、ドア90回転軸に沿う方向に(後述するシート60を介して)繋げられて構成されている。
【0020】
閉塞部31~35、41~45は、指挟み防止装置1の指挟み防止機能を有する本体部であり、ドア90の吊元側と壁91の間に生じる隙間を閉塞して指が挟まれることを防止する。すなわち、指挟み防止装置1は、閉塞部31~35、41~45は、ドア側取付部21~25を介してドア90に取り付けられるとともに、壁側取付部51~55を介して壁91に取り付けられる。
【0021】
そして、本実施例の指挟み防止装置1の閉塞部31~35、41~45は、左右に(すなわち、設置された状態で水平方向に)二分割され、ドア側閉塞部31~35と、壁側閉塞部41~45とから構成されている。そして、分割されたドア側閉塞部31~35と壁側閉塞部41~45は、シート60を介して互いに接続されている。したがって、閉塞部31~45は、それ自体が左右に折り曲げやすくなっている。この閉塞部31~35、41~45としては、例えば、縦:横=300mm:60mmのPET製の板(0.5mm厚)を使用できる。
【0022】
さらに、本実施例の閉塞部31~35、41~45は、ドア90の回転軸に平行な方向に5つの部材に分割されている。換言すると、閉塞部31~35、41~45は、設置された状態において、上下方向に等分に5分割されている。すなわち、ドア側閉塞部31~35、及び壁側閉塞部41~45は、5枚の各板が、ドア90回転軸に沿う方向に(後述するシート60を介して)繋げられて構成されている。
【0023】
シート60は、ドア側取付部21~25、ドア側閉塞部31~35、壁側閉塞部41~45、及び、壁側取付部51~55の片面に共通して貼り付けられて、これら各部材を一体化している。シート60としては、具体的には、概略寸法で縦:横=1508mm:146mmのOPP(Oriented PolyPropylene)製のテープ(90μm厚)を使用できる。
【0024】
そして、本実施例の指挟み防止装置1においては、前述した各部材21~55は、隣接する各部材との間に所定の隙間をおいてシート60に貼り付けられている。この所定の隙間の幅としては、各部材21~55の厚みの少なくとも2倍以上あることが好ましい。このように隙間を空けることによって、各部材の端縁どうしが干渉することなく折り畳みやすくなっている。例えば、ドア側取付部21とドア側閉塞部31の間には、左右に2mmの隙間が設けられ、1番目のドア側取付部21と2番目のドア側取付部22の間には、上下に2mmの隙間が設けられる。
【0025】
(効果)
次に、実施例の指挟み防止装置1が奏する効果を列挙して説明する。
【0026】
(1)上述してきたように、実施例の指挟み防止装置1は、ドア90側に取り付けられるドア側取付部21~25と、壁91側に取り付けられる壁側取付部51~55と、ドア側取付部21~25及び壁側取付部51~55に接続され、ドア90の回転時に吊元側の隙間を閉塞する閉塞部31~35、41~45と、を備え、ドア側取付部21~25、壁側取付部51~55、及び閉塞部31~35、41~45は、ドア90の回転軸線に平行な方向に分割されることで、ドア90の回転軸線に平行な方向に折り畳み可能になっている。このような構成であれば、縦に折り畳むことによって、よりコンパクトな形状にでき、巻き癖がつくことなく設置しやすい、指挟み防止装置1となる。
【0027】
つまり、使用状態では、
図5に示すように、ドア90の吊元側にドア側取付部21~25を両面テープ等で貼り付け、壁91側に壁側取付部51~55を両面テープ等で貼り付けることで、指挟み防止装置1を固定する。そうすると、閉塞部31~35、41~45によって、隙間が塞がれるのである。また、指挟み防止装置1を、上下方向(長手方向)に短く区切ることで、長手方向の変形(巻き癖)による応力が低減され、かつ、指挟み防止装置1がドア90や壁91から剥がれにくくなる。
【0028】
他方、本実施例の指挟み防止装置1の折り畳み状態では、
図4(a)~(c)に示すように、指挟み防止装置1は、ドア90の回転軸線に垂直な方向に、きわめてコンパクトな形状にまで折り畳むことができる。つまり、指挟み防止装置1を、隙間を境として交互に反対向きに折り畳むことによって、全体として平面寸法が狭く、かつ、厚みの薄い、折り畳み形状に変形できる。このように、指挟み防止装置1を縦に完全に折り畳むことができれば、全体の長さが短くなるうえ、厚みも小さくなるため、ポストに投函できるようになり、非常に低額な送料で配送することができる。
【0029】
これに対して、従来品では、シール部を内側にしてロール状に巻くと、PET部とシール部に「円周の長さの違い」が生じるため、シールが部分的に剥がれることがある。これとは逆に、シール部を外側にしてロール状に巻くと、固いPET部に追随する形で、伸縮性のあるシール部が伸びてしまう。このようにシール部が伸びてしまった状態でロールを平らに伸ばす(展開する)と、PET部とシール部の長さの違いにより、シール部が部分的に剥がれることがある。
【0030】
(2)そして、指挟み防止装置1は、具体的には、ドア側取付部21~25、壁側取付部51~55、及び閉塞部31~35、41~45は、ドア90の回転軸線に平行な方向に別部材に分割され、かつ、ドア側取付部21~25、壁側取付部51~55、及び閉塞部31~35、41~45の片面に共通してシート60が貼り付けられて一体にされていることが好ましい。このように構成すれば、指挟み防止装置1が縦方向と横方向の2方向に折り畳まれることで、巻き癖がつくことなく、運搬時や保管時に極めて省スペースとなる。
【0031】
(3)さらに、ドア側取付部21~25、壁側取付部51~55、及び閉塞部31~35、41~45は、ドア90の回転軸線に平行な方向に別部材に分割され、かつ、閉塞部31~35、41~45は、それぞれドア90の回転軸線に垂直な方向に2分割されてドア側閉塞部31~35及び壁側閉塞部41~45から構成されることが好ましい。このように、縦だけでなく横にも分割されることで、全体としてきわめて小さな寸法にまで折り畳むことができる。加えて、開閉時に折り曲げたときの、巻き癖に起因する戻る力が小さく低減される。
【0032】
(4)また、分割されたドア側取付部21~25、壁側取付部51~55、及び閉塞部31~35、41~45の間には、ドア90の回転軸線に平行な方向及びドア90の回転軸線に垂直な方向に、所定幅の隙間が設けられていることが好ましい。このように部材間に隙間を設けることによって、指挟み防止装置1として一体化されつつも、数ミリ程度の隙間があるため、折り曲げたときの、戻り方向の弾性力がほぼなくなる。
【0033】
(5)さらに、素材としては、ドア側取付部21~25、壁側取付部51~55、及び閉塞部31~35、41~45は、0.5mm厚のPETであり、シート60はOPPテープであることが好ましい。具体的に、これらの素材の組み合わせであれば、製造が容易であり、かつ、小さく折り畳むことのできる、指挟み防止装置1となる。
【0034】
以上、本発明の代表的な実施形態及び変形例について説明したが、本発明は種々の変更が可能である。本願の特許請求の範囲によって定義される本発明の精神及び範囲から逸脱しない限り、種々の置換、変更が可能である。
【0035】
例えば、実施例では、シート60が各部材21~55とは別部材であり、各部材21~55の片面に溶着又は接着されるものとして説明したが、これに限定されるものではない。シート60は、折り畳み易い、剛性の小さい柔らかいものであれば、各部材21~55と一体に成形されるものであってもよい。例えば、シート60は、各部材21~55と一体に成形されるが、各部材21~55の厚みの1/5程度の厚みの薄いシート状として成形することもできる。
【0036】
また、実施例では、ドア90が開き戸であるとして説明したが、これに限定されるものではなく、開閉時に隙間を生じるドアであれば、例えば、ドアとしての折れ戸にも本発明の指挟み防止装置1を適用することができる。
【符号の説明】
【0037】
1 指挟み防止装置
21~25 ドア側取付部
31~35 ドア側閉塞部
41~45 壁側閉塞部
51~55 壁側取付部
60 シート(OPPテープ)
90 ドア
91 壁
【要約】
【課題】縦に折り畳むことによって、よりコンパクトな形状にでき、巻き癖がつくことなく設置しやすい、指挟み防止装置を提供する。
【解決手段】実施例の指挟み防止装置1は、ドア90側に取り付けられるドア側取付部21~25と、壁91側に取り付けられる壁側取付部31~35と、ドア側取付部21~25及び壁側取付部31~35に接続され、ドア90の回転時に吊元側の隙間を閉塞する閉塞部41~45、51~55と、を備え、ドア側取付部21~25、壁側取付部31~35、及び閉塞部41~45、51~55は、ドア90の回転軸線に垂直な方向に分割されることで、ドア90の回転軸線に垂直な方向に折り畳み可能になっている。
【選択図】
図1